2021年は新型コロナの影響もあって、読書が捗りちょうど200冊の本を読みました。思えば、今年は本の確保に苦労した一年でした。新刊も買いますが、私の興味がある分野の本が毎月読む分だけ出版されるわけではないので、その分は古本でカバーしています。しかし、なんと行っても去年から神田神保町古本祭りが中止になってしまったことが、なんとも言えず痛かったのです。聞いたこともないような中小出版社の絶版本などは、古本祭りでしか出会えない醍醐味でしょう。
2021年の新刊は60冊読みました。じゃあ、残りの140冊は古本かというと実はそうではなく、新刊で買ったものの読んでいなかった去年より以前のものや、買っていなかったことに気がついて今年買った数年前に出版された新刊なんてものもあったりします。そんな本は、実に25冊もありました。つまりは85冊は新刊本ということです。残りの115冊は古本で、2010年以前の出版物でした。2010年以前というと、もう10年以上昔なんですよね。時間がたつのは早いですね。
今年の新刊本のベスト10は以下の通り。あくまで個人の感想なので悪しからず。
2021年刊行ベスト10
1, 『魚にも自分がわかる』、ちくま新書
2, 『高地文明』、中公新書
3, 『藤原仲麻呂』、中公新書
4, 『京大式へんな生き物の授業』、朝日新書
5, 『アンコール王朝興亡史』、NHKブックス
6, 『本能』、中公新書
7, 『バイアスとは何か』、ちくま新書
8, 『刀伊の入寇』、中公新書
9, 『フォン・ノイマンの哲学』、講談社現代新書
10, 『ウィリアム・アダムス』、ちくま新書
解説
1は自己認識について。ヒトは鏡を見て写った像が自分だとわかりますが、動物では出来ないとされていました。チンパンジーに対する自己認識実験は何故か成功したり失敗したりしていましたが、それでもチンパンジーは鏡に写った自身を認識出来ると認められています。しかし、それを認めるのはヒトとチンパンジーのみで、実験の成功例があっても犬や象、イルカは試験数が少ないので認められていませんでした。そこで著者は、なんと哺乳類ですらない魚にすら自己認識があるということを主張し、実験で証明して見せるのです。どうやら、昔の自己認識実験は試験方法に問題があったようです。単純に人間に対する方法を他の動物にそのまま当てはめていたみたいですが、やはり実験する動物の習性に合わせなければ意味がありません。
2は四大文明に対する論拠の見直しまで含めた文明論。そもそも、四大文明という言葉は日本独自のものであること、その論拠すら考古学の進展により否定されるに至っています。私も本書を読んでいて、黄河文明は稲作と無関係で、黄河文明に先立つ長江に稲作の主体があったいうことが80年代後半には判明していたことを思い出しました。古くさい四大文明論がまだ生き残っていることに驚きます。
3は藤原仲麻呂=恵美押勝についての概説書。恵美押勝の乱と言えば、恵美押勝が権力奪取のために反乱を起こしたとされています。しかし、著者は上皇が天皇から実権を取り返すために乱を起こしたのだから、恵美押勝の乱という名前は間違いではないかと提起しています。実際に上皇は御璽を奪い、恵美押勝は一貫して天皇を擁護していることからも、それは伺えます。
2021年の新刊は60冊読みました。じゃあ、残りの140冊は古本かというと実はそうではなく、新刊で買ったものの読んでいなかった去年より以前のものや、買っていなかったことに気がついて今年買った数年前に出版された新刊なんてものもあったりします。そんな本は、実に25冊もありました。つまりは85冊は新刊本ということです。残りの115冊は古本で、2010年以前の出版物でした。2010年以前というと、もう10年以上昔なんですよね。時間がたつのは早いですね。
今年の新刊本のベスト10は以下の通り。あくまで個人の感想なので悪しからず。
2021年刊行ベスト10
1, 『魚にも自分がわかる』、ちくま新書
2, 『高地文明』、中公新書
3, 『藤原仲麻呂』、中公新書
4, 『京大式へんな生き物の授業』、朝日新書
5, 『アンコール王朝興亡史』、NHKブックス
6, 『本能』、中公新書
7, 『バイアスとは何か』、ちくま新書
8, 『刀伊の入寇』、中公新書
9, 『フォン・ノイマンの哲学』、講談社現代新書
10, 『ウィリアム・アダムス』、ちくま新書
解説
1は自己認識について。ヒトは鏡を見て写った像が自分だとわかりますが、動物では出来ないとされていました。チンパンジーに対する自己認識実験は何故か成功したり失敗したりしていましたが、それでもチンパンジーは鏡に写った自身を認識出来ると認められています。しかし、それを認めるのはヒトとチンパンジーのみで、実験の成功例があっても犬や象、イルカは試験数が少ないので認められていませんでした。そこで著者は、なんと哺乳類ですらない魚にすら自己認識があるということを主張し、実験で証明して見せるのです。どうやら、昔の自己認識実験は試験方法に問題があったようです。単純に人間に対する方法を他の動物にそのまま当てはめていたみたいですが、やはり実験する動物の習性に合わせなければ意味がありません。
2は四大文明に対する論拠の見直しまで含めた文明論。そもそも、四大文明という言葉は日本独自のものであること、その論拠すら考古学の進展により否定されるに至っています。私も本書を読んでいて、黄河文明は稲作と無関係で、黄河文明に先立つ長江に稲作の主体があったいうことが80年代後半には判明していたことを思い出しました。古くさい四大文明論がまだ生き残っていることに驚きます。
3は藤原仲麻呂=恵美押勝についての概説書。恵美押勝の乱と言えば、恵美押勝が権力奪取のために反乱を起こしたとされています。しかし、著者は上皇が天皇から実権を取り返すために乱を起こしたのだから、恵美押勝の乱という名前は間違いではないかと提起しています。実際に上皇は御璽を奪い、恵美押勝は一貫して天皇を擁護していることからも、それは伺えます。