樹木状となるアロエは、アロエ属から分離しアロイデンドロン属(Aloidendron)となりました。アロイデンドロン属で一番有名な種類はかつてアロエ・ディコトマ(Aloe dichotoma)と呼ばれていたアロエです。現在はAloidendron dichotomumとなっています。アロイデンドロン属は7種類あるとされています。つまり、A. dichotomum、A. ramosissimum、A. pillansii、A. barberae、A. tongaensis、A. eminens、A. sabaeumです。しかし、2019年に出たアロイデンドロン属の遺伝子を解析した論文によると、A. sabaeumはアロイデンドロン属ではなくアロエ属であることが分かりました。さらに、アロエ属から分離されたAloestrela suzannaeが、実はアロイデンドロン属に含まれてしまうことも明らかになりました。今後、公的データベースの情報も改定されていくかもしれません。

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さて、そんなアロイデンドロン属ですが、A. dichotomum以下はほとんど見かけません。最近、ようやくA. dichotomumの実生苗が流通し始めたばかりですから、さもありなんと言ったところです。私はたまたま千葉のイベントでA. ramosissimumを入手しましたから、本日はA. ramosissimumについて少し調べてみました。
とは言うものの、思ったより良い情報はありませんでした。しかし、あちこちのサイトを見たところ、どうもどれも似た内容ばかりであることに気が付きました。おそらく、南アフリカ生物多様性研究所(SANBI)が主宰している「PlantZAfrica」というサイトから来ているようですね。私も「PlantZAfrica」の記述を参照します。その前に、キュー王立植物園のデータベースを確認しておきましょう。なぜなら、A. ramosissimumがディコトマの亜種であるとしているサイトが割と目についたからです。

まず、始めは1939年にAloe ramosissima Pillansと命名されました。この名前が一番使われてきた馴染みがあるものでしょう。2000年にディコトマの変種であるとするAloe dichotoma var. ramosissima (Pillans) Glen & D.S.Hardyや、2002年にはディコトマの亜種とするAloe dichotoma subsp. ramosissima (Pillans) Zonn.とする意見がありました。この意見を参照としているサイトはまだあります。2013年にアロエ属ではなくアロイデンドロン属とするAloidendron ramosissimum (Pillans) Klopper & Gideon F.Sm.とされました。その後の遺伝子解析結果からも、アロエ属ではないことが確認されています。属内の関係では、A. dichotomumやA. pillansiiと近縁ということです。

さて、「PlantZAfrica」の内容に移ります。
A. dichotomumとA. ramosissimumとの最大の違いは、枝の分岐の仕方です。A. dichotomumは直立した太い幹の上部で枝分かれしますが、A. ramosissimumは根元から枝分かれを始め球状に育ちます。A. dichotomumは高さ10mを越えますが、A. ramosissimumは高さ2mほどです。
A. ramosissimumの分布は南アフリカのRichtersveldとナミビア南部に限定されます。A. ramosissimum非常に乾燥した岩場に生え、年間110mm以下の冬の降雨に依存しています。この地域では気温が46℃にもなります。
英名は「maiden's quiver tree」、つまり「乙女の矢筒の木」と呼ばれますが。「quiver tree」はA. dichotomumのことですから、A. ramosissimumが小型なことや枝振りからそう呼ばれているのかもしれませんね。ちなみに、「矢筒の木」とは、A. dichotomumの枝を矢筒を入れるために使用したと言われているためです。そういえば種小名の「ramosissimum」は、ラテン語で「ramosis」が「枝」で、「ssima」が「とても」という意味ですから、「最も分岐した」という意味になります。A. ramosissimumの特徴を良く表している名前です。

A. ramosissimumの花は鮮やかな黄色ですが、sugarbirdや蟻、ミツバチが蜜を求めて訪れます。翼のある種子は風で運ばれ、他の植物の近くで発芽します。これをナース植物と言って、日陰を作るので実生の生育にとって重要です。しかし、やがてA. ramosissimumはナース植物より巨大になり、結果的にナース植物は枯れてしまいます。

「PlantZAfrica」の記事は、まあだいたいこんな感じです。他のサイトでは、生長は遅く開花する1~1.5mになるまでに10~15年ほどかかると言います。どうやら、私が花を拝めるまで長い時間が必要なようです。また、若いツボミは食用となり、アスパラガスに似た味ということです。しかし、流石に10年以上かけて育てたA. ramosissimumを、開花前に食べてしまうのは憚られますね。とにもかくにも、このA. ramosissimumとは長い付き合いになるのでしょう。


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