最近、沖縄で海外のソテツにつく害虫が見つかりました。Aulacaspis yasumatsuiというカイガラムシの一種です。昨日、ニュースで初めて知ったのですが、沖縄は2例目で実は昨年の10月に奄美大島で発見されており、すでに700本のソテツに拡がってしまっているそうです。その増殖の早さから思いの外、大事になる可能性があります。

ニュースの元記事はこちら。
A. yasumatsuiはタイなどの東南アジア原産のカイガラムシです。繁殖力が強く世界中の温暖地に拡散してしまっています。野生ソテツの宝庫であるメキシコではA. yasumatsuiをかなり警戒しているようです。今までA. yasumatsuiが確認されたソテツはCycasだけではなく、Zamia、Dioon、Stangeria、Macrozamia、Bowenia、Encephalartosで見つかっていますから、ソテツの仲間はすべて被害に合うと考えた方が良いようです。

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Dioon spinulosum

カイガラムシはカメムシの仲間で植物の汁を吸いますが、吸われた部位は白く細胞が死んだ状態となります。大量に増えればやがて光合成が出来なくなります。葉についたA. yasumatsuiは葉をすべて取ってしまえば済みますが、幹の鱗片の間や地下部位についたA. yasumatsuiを除去するのは大変な困難でしょう。

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もし、A. yasumatsuiが鱗片の隙間に入ってしまったらと考えると、とても除去しきれる気がしません。

A. yasumatsuiがついて何もしなければ1年ほどでソテツは枯死する可能性があると言います。対策は、見える範囲にいるものは取り除くか、カイガラムシ用の殺虫剤をまくしかありません。それでも、地下部位などすべてを取り去るのは至難の技かもしれません。また、もし本土にA. yasumatsuiが定着してしまった場合、除去しても野外の他のソテツから新たなA. yasumatsuiがやって来るかもしれません。


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Zamia furfuracea

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Cycas revoluta

A. yasumatsuiは東南アジア原産ですから、寒さに弱いような気もしますがよく分かりません。そもそも、私は熱帯原産のソテツを冬は室内に取り込んでいます。温室で育てている人もいるでしょう。そうなると、もしA. yasumatsuiが寒さに弱かったとしても、冬に生き残るでしょうからA. yasumatsuiの耐寒性の有無に意味はないかもしれません。また、屋外にあったとしても、土壌中は暖かいので地下で生き残るものもあるかもしれませんし、一般的に耐寒性が高い卵で冬を越す可能性もあります。沖縄は離れているからなどと楽観視は出来ないでしょう。近年、ソテツシジミという、ソテツを食害する南方系の蝶が、1992年に沖縄で確認されてから、現在では関東地方各地で確認されるに至りました。この蝶も日本列島をじわじわ北上して来たわけです。地球温暖化により気温も上昇してきていますから、A. yasumatsuiが本土に上陸するのも時間の問題でしょう。

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Dioon edule

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Zamia integrifolia(=Z. floridana)

ソテツシジミが関東地方のあちこちで発見されているニュースを見て、まあいざとなれば芋虫を捕殺するだけなので、それほどの脅威は感じませんでした。しかし、Aulacaspis yasumatsuiは初期に気が付かず蔓延してしまうと、手に負えなくなる可能性が大です。私もソテツを何種類か育てていますから、注意しないといけませんね。


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