昨日に引き続き、ラフレシアリサーチさんで購入したギムノカリキウムのご紹介です。Gymnocalycium mihanovichiiとGymnocalycium friedrichiiはご紹介しましたが、本日はGymnocalycium damsii ssp. evae v. torulosumです。しかし、おかしな学名ですね。ダムシイ亜種エヴァエ変種トルロスムという、亜種なのか変種なのかよく分からない学名です。
ダムシイは一般的には「麗蛇丸」と呼ばれます。私が購入したのは、'VoS 03-040'という番号が付いたダムシイ系のギムノカリキウムです。


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Gymnocalycium damsii subsp. evae var. torulosum VoS 03-040

そもそも、G. damsiiとは何者かというと、1903年に命名されたEchinocactus damsii K.Schum.から始まります。1922年にはギムノカリキウム属とされ、Gymnocalycium damsii (K.Schum.) Britton & Roseとなりました。これが、現在園芸上において流通している学名でしょう。しかし、2005年にはダムシイはG. anisitsiiの亜種であるとするGymnocalycium anisitsii subsp. damsii (K.Schum.) G.J.Charlesとなりました。これが、現在認められている正式な学名です。
では、subsp. evaeだとかvar. torulosumはどうなるのかと言うと、G. anisitsii subsp. damsiiの異名扱いのようです。亜種エヴァエは2004年に命名されたGymnocalycium damsii subsp. evae Halda、変種トルロスムは1963年に命名されたGymnocalycium damsii var. torulosum Backeb.から来ているようです。また、2004年にはGymnocalycium damsii var. torulosum Backeb. ex H.Till & Amerhとなっています。ちなみに、ダムシイ系の亜種や変種は、G. damsiiかG. anisitsii subsp. damsiiとなったことからすべて存在しないことになりました。
ちなみにG. anisitsii (K. Schum.) Britton & Roseは1922年の命名ですが、はじめて命名されたのは1900年のEchinocactus anisitsii K.Schum.でした。

最後にフィールドナンバーを調べてみます。私の所有するG. mihanovichiiもG. friedrichiiも、やはり
Volker Schädlichの採取でした。それだけではなく、採取日も同じですから、Schädlichがパラグアイを移動しながら採取したことが分かりますね。購入時にラベルを見てぎょっとしましたが、おかしな学名はフィールドナンバーの記載事項だったんですね。
Field number : VoS 03-04
Collector : Volker Schädlich
Species : Gymnocalycium damsii ssp. evae v. torulosum
Locality : Paraguay, Santa Cruz (east of San Jose 309m)
Date : 01/01/2007

 さて、ここ3回に分けてVoSナンバーの付いたギムノカリキウムをご紹介してきました。お気づきのように学名がかなり変わってしまっています。あまり馴染みがない名前ばかりかもしれません。どうやら、近年のギムノカリキウム属の分類は、亜種や変種はまとめる傾向があるようです。とは言うものの、これで一件落着とは言えないでしょう。おそらくはギムノカリキウム属は見かけの分類は非常に困難です。ギムノカリキウムの分類はかなりの高難度ですから、近縁種を集めて詳細な遺伝子解析でもしないと、いつまで経っても仮の分類にしかならないような気もします。それまでは、学名もコロコロ変わるでしょう。まあ、取り敢えずは、フィールドナンバーの記載された学名をラベルに書いておくことにしておきます。


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