昨年の秋のサボテン・多肉植物のビッグバザールで、「ユーフォルビア・ペディラントイデス」という名前の花キリンを入手しました。調べてみましたが、海外や論文を含めたいした情報はありませんでした。仕方がないので、学名について調べてみました。

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Euphorbia pedilanthoides

ペディラントイデスの学名は、1921年に命名されたEuphorbia pedilanthoides Denisです。しかし、実は最初に命名されたのは1887年で、Pedilanthus lycioides Bakerでした。Pedilanthusはユーフォルビア属と同じトウダイグサ科の植物で、すぼまった形のほとんど開かない花が咲きます。代表的な種類は「ダイギンリュウ」の名前で知られています。ペディラントイデスは最初Pedilanthusとされたのは、特徴的な花の形状がよく似ているからでしょう。しかし、それ以下の特徴はあまりにも花キリンです。
ここで一つ疑問がわきます。Pedilanthus lycioidesがユーフォルビア属に移動したならば、学名はEuphorbia lycioidesとなるのが通常でしょう。しかし、何故かEuphorbia pedilanthoidesとされているのです。もしやと思って、試しにEuphorbia lycioidesを調べてみたら、なんとEuphorbia lycioides Boiss.というブラジル原産のユーフォルビアが出てきました。ペディラントイデスは花キリンですから、当然ながらマダガスカル原産です。つまりはまったくの別種です。しかも、このEuphorbia lycioidesは1860年の命名で、なんとPedilanthus lycioidesよりも命名が早いのです。命名が早い方が優先されますから、Euphorbia lycioidesを使うわけにはいかなかったのです。というわけで、ユーフォルビアとなるにあたり新たに命名し直したということなのでしょう。ちなみに、種小名の'pedilanthoides'とは、「Pedilanthusに似た」という意味ですね。

ペディラントイデスには「痩花キリン」という名前もあります。枝が細い所から来ているのでしょうか。読み方ですが、幾つかのサイトでは「ソウカキリン」とありました。しかし、「痩せた」+「花キリン」でしょうから、「痩花+キリン」は読み方としては少しおかしな気もしますが、まあ所詮は園芸名なので問題がないと言えば問題がないのでしょう。
そういえば、根元の幹が少し太ってやや塊茎状となるようですが、小さく目立ちませんね。本来は枝が枝分かれして長く伸び灌木状になりますから、盆栽のような枝を切り詰めながら育てればコーデックスとして扱えるかもしれません。

ペディラントイデスは花キリンですが、花キリンはユーフォルビア属ユーフォルビア亜属Old world  Clade IIのSection Goniostemaに所属します。花キリンにも幾つかのグループがありますが、ペディラントイデスはE. horombensis、E. didiereoides、E. croizatii、E. lophogona、E. milliiなどと近縁です。

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