現代医学が幅を利かせているように思われる昨今ですが、未だに世界中で薬草が現役で使用されています。先端医療が行き届いていないという事実もありますが、それだけではないでしょう。伝統的な風習にも関係があります。多肉植物も医療目的で使われることがありますが、なんと驚くべきことに毒があることで有名なユーフォルビアが薬草として利用されていると言うのです。特に世界中で帰化しているEuphorbia tirucalliは薬草として世界中で栽培されています。また、アフリカでも様々なユーフォルビアが薬草として使われていますが、猛毒の矢毒キリンすら薬草なのですから驚かされます。

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矢毒キリン Euphorbia virosa

さて、本日はその矢毒キリンのベナン共和国における薬草としての利用方法について調査した、Gbodja Houehanou, Francois Gbesso, Jhonn Logbo, Jacques EvrardCharles Aguia Dahoによる『Variability between Socio-culture Groups and Generations of Traditional Knowledge of Euphorbia poissonii Pax in Benin』という論文です。

世界保健機関(WHO)によると、発展途上国の世界人口の約65~80%は、貧困と現代医学へのアクセスの困難から薬草に依存しているとしています。アフリカでは薬草は先祖代々の慣習であり、人口の80%近くが薬草を利用しています。薬草の知識は主に口伝による世代間の伝承によります。
この調査はベナン共和国のSavalou市において、Mahi族とNago族のE. virosaの利用方法を調査しました。調査は112人に対する個別インタビューによるものです。Savalouはスーダン - ギニアのサバンナ植生と湿潤熱帯の移行帯に位置しています。岩の多い土壌はE. virosaの生育には適した環境です。現地ではE. virosaは庭や畑で栽培されます。
調査の結果によると、成人のMahiや若いNagoはE. virosaを単純に毒として利用し、成人と老人のNagoは薬用とする傾向があります。また、老人のMahiはE. virosaを魔術的な医療として利用する傾向があります。しかし、統計学的には薬用あるいは毒としての利用が重要でした。調査ではE. virosaの21の用途が明らかとなりました。葉、樹皮、茎、乳液が特定の病気や症状に対して治療目的で使用されました。体の一部あるいは創傷による腫れ、麻疹、サソリ刺されなどの治療においてMahi社会では重要な用途でした。また、成人女性及び老人(女性)、若い男性のMahiは葉を使用する傾向があり、成人男性のNagoと老人Mahiは乳液、老人Nagoと若い女性Mahiは樹皮をより使用する傾向があります。


以上が論文の簡単な要約となります。
矢毒キリンの名前の通りE. virosaは毒性が高いことで知られています。しかし、それはベナンにおいても同様で、E. virosaは毒性が高いと正しく認識されているようです。それでも薬用に用いるのは、強力に人体に作用するからでしょう。それは必ずしも良い作用ばかりではないかも知れませんが…。とはいえ、E. virosaの乳液にはおそらくは未知の化合物も含まれているはずで、すでに抽出された化合物であっても薬理作用は完全に解明されてはいないはずです。このような伝統医療の解明と活用法については、まだ様々な可能性を秘めているように思えます。


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