先日、五反田TOCで開催された冬のサボテン・多肉植物のビッグバザールへ行って来ました。ビッグバザールでは安目のユーフォルビアやらアロエやらを購入したわけですが、調べてもよく分からないユーフォルビアがありました。以外の記事に書きましたが、公的なデータベースに記載がなかったのです。
そのユーフォルビアの名前は、Euphorbia longituberculosaと言います。ネットで検索すると、国内外のE. longituberculosaの、まあ多くは販売サイトですが割と出てきます。しかし、イギリスのキュー王立植物園のデータベースを検索すると、何故かヒットしません。何かおかしいと思い、E. longituberculosaの論文を検索したところ、『New Euphorbia species Related to E. longituberculosa Boiss』という論文が出てきました。しかし、残念なことに有料の雑誌ですから内容はわかりません。とはいえ、E. longituberculosaという学名が論文で使用されたものであることは確かです。

取り敢えず、データベースに"Euphorbia long"と入れてみます。すると、学名の候補が出てきました。上から、Euphorbia longecornuta、Euphorbia longepetiolata、Euphorbia longeramosa、Euphorbia longetuberculosa…、はいありましたね。どうやら、Euphorbia longituberculosaではなく、Euphorbia longetuberculosaが正しい学名のようです。"longi"ではなく、"longe"でした。
なんでこんなことをしたかと言うと、以前カタカナで書かれた名札がついたユーフォルビアを購入した際、カタカナの名前ではネット検索にすら引っ掛からないので、先ずはスペルを調べるところから始めました。その時の方法がうまくいきました。

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Euphorbia longetuberculosa

しかし、ネット検索では"longi"の方の学名だと沢山ヒットしますが、"longe"の方の学名ではあまりヒットしません。"longi"の学名の方が一般的なようです。しかも、学術論文ですら間違えているとなると、単純な販売業者の記入ミスではないのでしょう。
まあ、論文で誤った学名が使用された挙げ句、その誤った学名が流通してしまった例(Euphorbia venenificaは誤りで、正しくはEuphorbia venefica)もありますから、研究者でも間違うことはあるのでしょう。しかし面白いのは、この論文がKew Bulletinというキュー王立植物園の雑誌で、しかも著者は国立ユーフォルビア協会(IES)の会長であるSusan Carterという事実でしょう。

学名は1862年に記載されたEuphorbia longetuberculosa Hochst. ex Boiss.です。Titymalus braunii Schweinf.という異名もありますが、記載は1863年と1年遅い命名でした。命名規約は命名は早い方が優先しますから、実に惜しかったですね。
命名者はFerdinand von HochstetterとPierre Edmond Boissierです。
E. longetuberculosaはジブチ、エチオピア、ケニア、オマーン、ソマリア、イエメンの原産です。


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