ギムノカリキオイデスはエチオピア原産のユーフォルビアです。名前の通りまるでサボテンのGymnocalyciumの様な姿をしています。一般に栽培難易度は高く、自根での栽培は困難とされているようです。ですから、一般的には他のユーフォルビアに継木して育てます。ギムノカリキオイデスは継木で育てると、生育は良く普通に育てることが出来ます。
私の入手したギムノカリキオイデスは、おそらくは継木株由来のカキコで、干からびた貧弱な根しかありませんでした。今年の6月の五反田TOCのビッグバザールで購入しましたが、しばらくは発根管理していて最近ようやく根が多少張ったかな? くらいの感覚です。おそらくは、これからは根の状態に右往左往させられる予感がないではないと言ったところでしょうか。


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Euphorbia gymnocalycioides

しかし、ギムノカリキオイデスは何故そこまで難易度が高いのか気になります。とりあえずは、ギムノカリキオイデスに関する論文を漁ってみました。というわけで本日ご紹介するのは、ギムノカリキオイデスを新種として初めて報告したM. G. Gilbert & Susan Carterの1984年の論文『A Cactus-like Euphorbia from Ethiopia』です。

1929年にChiovendaは、Euphorbia turbiniformisを記述する際に、2つの標本を引用しました。それは、ソマリアの北東海岸近くと、もうひとつはエチオピア南部のSidamo地方です。ソマリアの標本は1966年にBallyがレクトタイプ(正模式標本が指定されていない、正模式標本が行方不明、正模式標本が複数種含まれていた場合に選出される選定基準標本)としたものと特徴はほぼ一致します。レクトタイプの標本は1924年の採取でしたが、1969年にタイプ標本の採取地の南南西150km地点でLarvanosにより再発見されて1971年に報告されました。Ballyがソマリアの標本をE. turbiniformisのレクトタイプとして指定しましたが、エチオピアの標本(=後のE. gymnocalycioides)には名前がありませんでした。しかし、1982年にエチオピアの植物収集のための遠征隊により再発見されましたが、残念ながら持ち帰った植物は枯れてしまいました。1年後、別の遠征隊が同じ地域を訪れ4個体の植物を持ち帰りました。それらはすべて栽培に成功し、そのうち1個体が開花しました。その開花個体の情報に基づいて論文は書かれたとのことです。

 E. gymnocalycioidesは標高1350mのAcacia-Commiphoraのブッシュがある地域で発見され、開けたキツネノゴマ科の特にBarleriaの低木の下で育ちます。同じような環境でEuphorbia actinocladaがみられ、ブッシュのある地域ではEuphorbia glochidiataがみられました。
この地域の降水量は4~5月と11~12月にピークがあるはっきりとした二峰性でした。栽培するにあたっては、春・秋型として扱うのが最善かもしれません。多くの東アフリカの多肉植物と同様に、夏に休眠期間があります。

E. gymnocalycioidesはE. turbiniformisとは明らかな別種ですが、この2種は特徴から見て近縁と考えられます。また、E. gymnocalycioidesはアフリカ北東部やソマリアに、特徴の類似したユーフォルビアが分布します。Euphorbia columnarisやEuphorbia phillipsiae、Euphorbia mosaica、Euphorbia horwoodiiはE. gymnocalycioidesと特徴に連続性があるとしています。つまり、似ている部分と異なる部分があり、上記の種の間で遠近があるということです。E. gymnocalycioidesはトゲを失う方向性に向かったものということになります。

さて、とりあえず論文を読んだ感想てしては、ギムノカリキオイデスは高地性で、夏に暑がるタイプのようです。ソマリアものと同じ扱いということでしょう。しかし、私もソマリアものはE. columnarisやE. phillipsiae、E. phillipsioidesなどはなんだかんだで育てていますが、実のところ育て方はよく分かりません。日本で夏に涼しくというのは難しいので断水したくなりますが、ユーフォルビアは完全断水をすると根にダメージがあるため、断水はしたくないですね。E. phillipsiaeあたりは少し遮光するだけで夏を越しますし、E. phillipsioidesは遮光し過ぎると形が崩れやすいのであまり遮光しない方が良いみたいです。このように、一口にソマリアものと言えど結構育て方に違いがありますから、ギムノカリキオイデスについても悩みどころです。とりあえずは、真夏だけ強目に遮光する形にしようと考えています。


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