最近、ザミアZamiaという名前のソテツが園芸店に出回るようになりました。主に見かけるのは、Zamia pumilaとZamia floridanaです。しかし、実はこの学名は間違っており、Zamia pumilaは国内では基本的に販売されておりません。Z. pumilaの名前で販売されている、葉か肉厚で判別の先端が丸みを帯びているソテツはZamia furfuraceaです。このことについて書いた記事は、私の書いた記事の中では人気があります。たまに、正しいフルフラケアの名前で売られることもありますから、混乱している人も多いのでしょう。記事では海外のサイト等を参照としていましたが、最近フルフラケアについて書かれたいくつかの論文で写真を確認しましたから、やはり私の推測は正しかったようです。
お次はZ. floridanaですが、こちらもやはり学名は誤りです。Zamia integrifoliaが正しい学名です。学名は国際命名規約により、先に命名された学名を優先するという「先取権の原理」があります。Z. integrifoliaはZ. floridanaの79年前に既に命名されていますから、どう考えてもZ. integrifoliaが正しい学名です。詳しくは以下の記事をご参照ください。
さて、実はというわけではないのですが、私はフロリダナ、ではなくインテグリフォリアの苗を育てています。ところが、遮光せずに外に出したところ、1枚しかない葉が日焼けして丸坊主になってしまいました。仕方がないので、ハウォルチアの棚に避難させていたところ、立て続けに3枚の葉が伸びてきました。葉をやられたからでしょうけど、春から夏にかけて新葉を出さなかったのにとは思いましたけど。しかし、やはり日照が足りない様にも感じました。というのも、新しい葉が、以前より大きくなったからです。葉が大きくなると生長しただけに思えますが、それだけではありません。一般論ですが、日向で植物を育てると葉は厚く小さくなり、日陰では葉は薄く大きくなる傾向があります。これは一応理屈があり、強い光が当たると厚みのある葉でも内部まで光が入ってくるので、葉の内部でも光合成出来ますから葉は分厚くなります。逆に弱い光では厚みのある葉では内部まで光が到達しないので、葉の内部では光合成が出来ません。そうなると、厚みのある葉は無駄が多いので薄い葉を出すことになりますが、光合成できる細胞が減ってしまいますから、葉の面積を大きくする事で対応するのです。ですから、葉が大きくなったので日照不足を心配してしまうのです。
Zamia integrifolia
そんな悩みを抱えていた昨今、何気なくザミアの論文を検索してみたところ、なんとザミアの育て方に関する論文を発見しました。いやはや、なんでも探せばあるものですね。さて、そんなことで、本日ご紹介する論文は2004年に発表されたF. C. Almira, A. E. Dudeck, and B. Schutzmanの『Effects of Varying Shade and Fertilizer on the Growth of Zamia floridana A. DC. B. Dehgan』です。タイトルを見ておや?と思った方もおられるでしょうが、この論文ではZamia floridanaとなっています。まあ、古い論文では異名がまかり通ることは割とある話です。しかし、イギリス王立植物園が主宰する『Plants of the World Online』ではZamia integrifoliaが正しい学名であるその根拠を、ニューヨーク植物園が2012年に出版した『The world list of Cycad.』をもって承認しています。論文が出された2004年当時はZamia floridanaとされることがポピュラーだったのかもしれませんね。さて、前置きが長くなりましたが、早速内容を見てみましょう。
ソテツ類は世界中で絶滅の危機にさらされています。当然、開拓や開発による自生地の消滅も問題ですが、残念なことに盗掘による個体の減少も頭の痛い問題となっております。ですから、環境保護だけではソテツ類の野生個体の減少を止めることは難しいと考えられています。そのため、ソテツが簡単に入手可能となって採取の被害を抑えるという考え方は昔から繰り返し主張されており、ソテツの人工繁殖を効率的に行い大量に流通させることが目指されており、実際にそのような論文も出されているようです。しかし、増やすことは研究されているものの、増やしたソテツをどのように育てるかは研究されて来ませんでした。流通させるためには繁殖だけでは駄目で、園芸農場で育成する必要がある以上は育て方も重要です。
若いソテツは自然状態では親植物などの陰で育つ個体が多く、直射日光が当たるオープンな環境では実生を見かけません。若い苗のうちは遮光が必要である可能性があります。また、ソテツの栄養要求性はまったくの不明です。このような背景があるため、論文ではZ. floridana(=Z. integrifolia)をモデルとして使用し、遮光と肥料の効果について検証しています。
ザミアは1歳の苗木を用い、条件を揃えるために根を切除してから新たに出根させた後、3ヶ月育成しました。遮光の条件は30%と50%と無遮光です。苗木には隔週で、20-20-20の液肥(Peters溶液)、あるいは18-6-12の置肥(Osmocote顆粒)、16-8-12の置肥(Sierraタブレット)を与えられました。この3つの数字の組み合わせは、肥料の成分比で、一般的にN-P-K、つまりは窒素-リン-カリウムを示します。園芸店で販売している化成肥料にも、この構成比は書かれています。試験の評価方法は、試験開始から8ヶ月後、冬が始まる前に葉のサイズや枚数、塊根のサイズ、地上部と根の重量が測定されました。
結果として遮光は効果的です。ただし、50%遮光は葉の長さは最大でしたが、葉の枚数は30%遮光が最大でした。葉のサイズは日陰への適応ですから、あまり好ましい結果ではないでしょう。しかし、葉の枚数は生長に従い増えますから、30%遮光が条件としては最適ということになります。
肥料はその種類に関わらず効果的でした。個人的にはソテツ類は生長が遅いため、それほど肥料の恩恵は受けないのではないかと考えていました。しかも、ソテツ類はマメ科植物と同様に根粒があり、空気中の窒素を固定して栄養源にできますから、肥料要らずと勘違いしていました。下手に肥料なんてあげたら腐るかもしれないなんて思っていましたが、どうやら肥培に努めた方が良いみたいです。
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お次はZ. floridanaですが、こちらもやはり学名は誤りです。Zamia integrifoliaが正しい学名です。学名は国際命名規約により、先に命名された学名を優先するという「先取権の原理」があります。Z. integrifoliaはZ. floridanaの79年前に既に命名されていますから、どう考えてもZ. integrifoliaが正しい学名です。詳しくは以下の記事をご参照ください。
さて、実はというわけではないのですが、私はフロリダナ、ではなくインテグリフォリアの苗を育てています。ところが、遮光せずに外に出したところ、1枚しかない葉が日焼けして丸坊主になってしまいました。仕方がないので、ハウォルチアの棚に避難させていたところ、立て続けに3枚の葉が伸びてきました。葉をやられたからでしょうけど、春から夏にかけて新葉を出さなかったのにとは思いましたけど。しかし、やはり日照が足りない様にも感じました。というのも、新しい葉が、以前より大きくなったからです。葉が大きくなると生長しただけに思えますが、それだけではありません。一般論ですが、日向で植物を育てると葉は厚く小さくなり、日陰では葉は薄く大きくなる傾向があります。これは一応理屈があり、強い光が当たると厚みのある葉でも内部まで光が入ってくるので、葉の内部でも光合成出来ますから葉は分厚くなります。逆に弱い光では厚みのある葉では内部まで光が到達しないので、葉の内部では光合成が出来ません。そうなると、厚みのある葉は無駄が多いので薄い葉を出すことになりますが、光合成できる細胞が減ってしまいますから、葉の面積を大きくする事で対応するのです。ですから、葉が大きくなったので日照不足を心配してしまうのです。
Zamia integrifolia
そんな悩みを抱えていた昨今、何気なくザミアの論文を検索してみたところ、なんとザミアの育て方に関する論文を発見しました。いやはや、なんでも探せばあるものですね。さて、そんなことで、本日ご紹介する論文は2004年に発表されたF. C. Almira, A. E. Dudeck, and B. Schutzmanの『Effects of Varying Shade and Fertilizer on the Growth of Zamia floridana A. DC. B. Dehgan』です。タイトルを見ておや?と思った方もおられるでしょうが、この論文ではZamia floridanaとなっています。まあ、古い論文では異名がまかり通ることは割とある話です。しかし、イギリス王立植物園が主宰する『Plants of the World Online』ではZamia integrifoliaが正しい学名であるその根拠を、ニューヨーク植物園が2012年に出版した『The world list of Cycad.』をもって承認しています。論文が出された2004年当時はZamia floridanaとされることがポピュラーだったのかもしれませんね。さて、前置きが長くなりましたが、早速内容を見てみましょう。
ソテツ類は世界中で絶滅の危機にさらされています。当然、開拓や開発による自生地の消滅も問題ですが、残念なことに盗掘による個体の減少も頭の痛い問題となっております。ですから、環境保護だけではソテツ類の野生個体の減少を止めることは難しいと考えられています。そのため、ソテツが簡単に入手可能となって採取の被害を抑えるという考え方は昔から繰り返し主張されており、ソテツの人工繁殖を効率的に行い大量に流通させることが目指されており、実際にそのような論文も出されているようです。しかし、増やすことは研究されているものの、増やしたソテツをどのように育てるかは研究されて来ませんでした。流通させるためには繁殖だけでは駄目で、園芸農場で育成する必要がある以上は育て方も重要です。
若いソテツは自然状態では親植物などの陰で育つ個体が多く、直射日光が当たるオープンな環境では実生を見かけません。若い苗のうちは遮光が必要である可能性があります。また、ソテツの栄養要求性はまったくの不明です。このような背景があるため、論文ではZ. floridana(=Z. integrifolia)をモデルとして使用し、遮光と肥料の効果について検証しています。
ザミアは1歳の苗木を用い、条件を揃えるために根を切除してから新たに出根させた後、3ヶ月育成しました。遮光の条件は30%と50%と無遮光です。苗木には隔週で、20-20-20の液肥(Peters溶液)、あるいは18-6-12の置肥(Osmocote顆粒)、16-8-12の置肥(Sierraタブレット)を与えられました。この3つの数字の組み合わせは、肥料の成分比で、一般的にN-P-K、つまりは窒素-リン-カリウムを示します。園芸店で販売している化成肥料にも、この構成比は書かれています。試験の評価方法は、試験開始から8ヶ月後、冬が始まる前に葉のサイズや枚数、塊根のサイズ、地上部と根の重量が測定されました。
結果として遮光は効果的です。ただし、50%遮光は葉の長さは最大でしたが、葉の枚数は30%遮光が最大でした。葉のサイズは日陰への適応ですから、あまり好ましい結果ではないでしょう。しかし、葉の枚数は生長に従い増えますから、30%遮光が条件としては最適ということになります。
肥料はその種類に関わらず効果的でした。個人的にはソテツ類は生長が遅いため、それほど肥料の恩恵は受けないのではないかと考えていました。しかも、ソテツ類はマメ科植物と同様に根粒があり、空気中の窒素を固定して栄養源にできますから、肥料要らずと勘違いしていました。下手に肥料なんてあげたら腐るかもしれないなんて思っていましたが、どうやら肥培に努めた方が良いみたいです。
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