パキポディウムはマダガスカル島の原産種が多いのですが、そのほとんどが黄色い花を咲かせます。しかし、マダガスカル島には赤い花を咲かせるパキポディウムが2種類あります。Pachypodium baroniiとPachypodium windsoriiです。実はこの2種は他のマダガスカル島産パキポディウムと分類学的に異なるグループです。P. rosulatum系のgraciliusやcactipes、P. brevicaule、P. horombenseなどはGymnopus節、P. baroniiとP. windsoriiはPorphyropodium節となっているようです。さて、去年はパキポディウムの苗をいくつか購入しましたが、その中にはPachypodium windsoriiの苗もありました。というわけで、P. windsoriiについて少し調べてみました。

パキポディウムの分類については、過去に記事にしましたのでこちらもどうぞ。
先ほどから、私はPachypodium windsoriiと表記していますが、一般的にはPachypodium baronii var. windsoriiと表記されます。どちらが正しいのかは微妙なところで、常に変わる可能性があります。しかし現在のところ、学術的に認められている学名はPachypodium windsoriiです。
まとめますと、はじめて学名がつけられたのは1916年のPachypodium windsorii Poiss.です。Poiss.はフランスの植物学者であるHenri Louis Poissonのことです。Euphorbia poissoniiはPoissonに対する献名です。しかし、1949年にPachypodium baronii var. windsorii (Poiss.) Pichon.とされました。Pichonはフランスのキョウチクトウ科を専門とする植物学者である、Marcel Pichonのことです。

さて、ではなぜウィンドゥソリイはバロニイ変種ではなく、独立種とされたのでしょうか。イギリス王立植物園が主宰する『Plants of the World Online』によると、2004年に出版された『Bradleya. Yearbook of British Cactus and Succulent Society』に掲載された、Jonas M.
Lüthyの「Another look at the Pachypodium of Madagascar.」という論文を根拠としているようです。タイトルはマダガスカルのパキポディウムをもう一度見てみよう、といった感じでしょうか? 内容的には既知のパキポディウムについて、過去の知見からそれぞれの特徴と類似、現状の問題などを挙げたもので、総説的な雰囲気です。どうも購入しないと全文は読めないらしく、見出しを読んだだけですから詳しくはわかりません。しかし、P. baroniiとP. windsoriiがそれぞれ独立種とされていることは間違いないようです。
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昨日の11月に購入。何故か葉が1枚だけ落ちないで冬を越しました。

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2022年10月。あまり変わっていないような気もしますが少し膨らみました。葉は光沢が強く、Gymnopus節とは雰囲気が異なります。

ウィンドゥソリイはマダガスカル島の極北にあるWindsor城山塊にのみ知られていました。P. windsoriiの種小名はこのWindsor城から来ているようですね。しかし、2005年にBeantely山塊とAmboaizamikono山塊で、新たに自生地が発見されました。
自生地は石灰質の階段状あるいは急な斜面で育ちます。森林伐採や山火事により生息が脅かされているそうです。



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