2013年に発表された『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文の紹介です。昨日に引き続きOld World Clade II②の、Section Euphorbiaを解説します。
ユーフォルビア属の分子系統
┏━━━━━━Subgenus Esula
┃
┫┏━━━━━Subgenus Rhizanthium
┃┃
┃┃┏━━━━Subgenus Chamaesyce
┗┫┃
┃┃ ┏━━Pacific Clade
┗┫┏┫
┃┃┗━━New World Clade
┗┫
┃┏━━Old World Clade I
┗┫
┃┏━Old World Clade II①
┗┫
┗━★Old World Clade II②
Old World Clade II②の分子系統
┏━★Section Euphorbia VI
┏┫
┃┗━★Section Euphorbia V
┏┫
┃┗━━━Section Euphorbia IV
┏┫
┃┗━━━━Section Euphorbia III
┏┫
┃┗━━━━━Section Euphorbia II (アジア原産種)
┏┫
┃┗━━━━━━Section Euphorbia I
┫
┗━━━━━━━Section Monadenium
Old World Clade II②
Section Euphorbia V
Section Euphorbia Vはアフリカ大陸東側の南部に分布するグループです。基本的には根元から叢生する柱サボテン状の多肉植物で、トゲがあり幹は多肉質です。
E. ledieniiは「蛮鬼閣」と呼ばれることもあり、南アフリカ原産です。E. curiviramaは「蒼蛮閣」と呼ばれ、南アフリカ原産です。実はE. curiviramaは自然交雑種とされていて、学名はEuphorbia ×curiviramaと表記します。交雑親は、Euphorbia caerulercens × Euphorbia triangularisとされているようで、系統的に近い種同士で交雑がおきたことがわかります。E. caerulercensは南アフリカ原産ですが、ガイアナに移入されているとのことです。E. triangularisは「大纏」と呼ばれ、南アフリカ、モザンビーク、スワジランド原産です。E. keithiiはモザンビーク、スワジランド原産です。E. perangustaは南アフリカ原産です。E. limpopoanaは南アフリカ、ジンバブエ、モザンビーク、ボツワナ原産です。E. avasmontanaは「角キリン」あるいは「婆羅門閣」と呼ばれ、南アフリカ、ナミビア原産です。E. ammakは「大戟閣」と呼ばれ、サウジアラビア、イエメン原産です。分布がE. ammakだけ離れていますが、系統的にも他の種とは距離があります。昨日解説したSection EuphorbiaIVのE. fruticosaなどアラビア半島原産のユーフォルビアと近縁なのかもしれません。
┏━━━━━━Section Euphorbia VI
┃
┃ ┏━E. ledienii
┃ ┏┫
┃ ┃┗━E. curvirama
┃ ┏┫
┃ ┃┗━━E. caerulercens 1
┏┫ ┏┫
┃┃ ┃┃┏━━E. triangularis
┃┃ ┃┗┫
┃┃┏┫ ┗━━E. caerulercens 2
┃┃┃┃
┃┃┃┗━━━━E. keithii
┃┗┫
┫ ┃ ┏━━━E. perangusta
┃ ┃┏┫
┃ ┃┃┗━━━E. limpopoana
┃ ┗┫
┃ ┗━━━━E. avasmontana
┃
┗━━━━━━━E. ammak
Section Euphorbia VI
Section Euphorbia VIはアフリカ東側から南部原産。柱サボテン状で、根元から叢生するタイプが多いようです。
E. grandicornisは「キリン冠」と呼ばれ、南アフリカ、モザンビーク、スワジランド原産です。E. pseudocactusは「春駒」と呼ばれ、南アフリカ原産です。E. breviarticulataはエチオピア、ケニア、ソマリア、スーダン、タンザニア、ウガンダ原産です。E. pseudoburuanaはケニア、タンザニア原産です。E. bougheyiはモザンビーク原産です。E. busseiはケニア、タンザニア原産です。E. brevitortaはケニア原産です。E. lividifloraはマラウイ、モザンビーク、タンザニア、ジンバブエ原産です。E. cooperiは「瑠璃塔」と呼ばれ、ボツワナ、南アフリカ、マラウイ、モザンビーク、スワジランド、タンザニア、ザンビア、ジンバブエ原産です。E. groenewaldiiは南アフリカ、モザンビーク原産で塊根性です。E. enormisは南アフリカ原産で塊根性です。E. cactusはエリトリア、エチオピア、オマーン、サウジアラビア、スーダン、イエメン原産です。E. fractiflexaはサウジアラビア、イエメン原産ですが、スーダンは移入の可能性があります。E. longispinaはエチオピア、ソマリア原産です。E. エチオピア、ケニア、ソマリア、タンザニア原産ですが、ジブチは移入の可能性があります。
┏━E. grandicornis 2
┏┫
┃┗━E. pseudocactus
┏┫
┃┗━━E. grandicornis 1
┏┫
┃┗━━━E. breviarticulata
┏┫
┃┗━━━━E. pseudoburuana
┃
┃ ┏━━E. bougheyi
┏┫ ┏┫
┃┃ ┃┗━━E. bussei 1
┃┃┏┫
┃┃┃┗━━━E. brevitorta
┏┫┗┫
┃┃ ┗━━━━E. bussei 2
┃┃
┏┫┗━━━━━━E. lividiflora
┃┃
┃┗━━━━━━━E. cooperi
┏┫
┃┃┏━━━━━━━E. groenewaldii
┃┗┫
┏┫ ┗━━━━━━━E. enormis
┃┃
┃┃┏━━━━━━━━E. cactus
┃┗┫
┫ ┗━━━━━━━━E. fractiflexa
┃
┃┏━━━━━━━━━E. longispina
┗┫
┗━━━━━━━━━E. robecchii
以上で『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文の紹介は終了となります。なんと9日間に渡り長々と論文の内容を紹介し続けた記事でした。また、論文に出てくる学名を検索して、原産地などを調べるのは思った以上に時間がかかり、記事を書くのも中々に疲れました。とりあえずは書き終わってほっとしていますが、まだ気掛かりはあります。それは、初日に紹介したリザンチウム亜属です。リザンチウム亜属は、オベサやホリダなど園芸店でよく見かけるユーフォルビアの大半が含まれます。しかし、論文ではたった4種類を調べたに過ぎないのです。この論文のメインがユーフォルビア亜属なので仕方がないでしょう。しかし、タコものユーフォルビアや鉄甲丸、瑠璃晃など有名なユーフォルビアが出てこないことは、流石に不満があります。ですから、リザンチウム亜属について調べたところ、割とあっさり論文が見つかりました。しかし、記事にするにはそれなりに労力がいりますから、少し間を空けます。解説を挟むのに、色々と調べる時間も必要ですからね。という訳でそのうち続きを記事にしようと思います。
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Old World Clade II②
Section Euphorbia V
Section Euphorbia Vはアフリカ大陸東側の南部に分布するグループです。基本的には根元から叢生する柱サボテン状の多肉植物で、トゲがあり幹は多肉質です。
E. ledieniiは「蛮鬼閣」と呼ばれることもあり、南アフリカ原産です。E. curiviramaは「蒼蛮閣」と呼ばれ、南アフリカ原産です。実はE. curiviramaは自然交雑種とされていて、学名はEuphorbia ×curiviramaと表記します。交雑親は、Euphorbia caerulercens × Euphorbia triangularisとされているようで、系統的に近い種同士で交雑がおきたことがわかります。E. caerulercensは南アフリカ原産ですが、ガイアナに移入されているとのことです。E. triangularisは「大纏」と呼ばれ、南アフリカ、モザンビーク、スワジランド原産です。E. keithiiはモザンビーク、スワジランド原産です。E. perangustaは南アフリカ原産です。E. limpopoanaは南アフリカ、ジンバブエ、モザンビーク、ボツワナ原産です。E. avasmontanaは「角キリン」あるいは「婆羅門閣」と呼ばれ、南アフリカ、ナミビア原産です。E. ammakは「大戟閣」と呼ばれ、サウジアラビア、イエメン原産です。分布がE. ammakだけ離れていますが、系統的にも他の種とは距離があります。昨日解説したSection EuphorbiaIVのE. fruticosaなどアラビア半島原産のユーフォルビアと近縁なのかもしれません。
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┃ ┃┗━E. curvirama
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┃ ┃┗━━E. caerulercens 1
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┗━━━━━━━E. ammak
Section Euphorbia VI
Section Euphorbia VIはアフリカ東側から南部原産。柱サボテン状で、根元から叢生するタイプが多いようです。
E. grandicornisは「キリン冠」と呼ばれ、南アフリカ、モザンビーク、スワジランド原産です。E. pseudocactusは「春駒」と呼ばれ、南アフリカ原産です。E. breviarticulataはエチオピア、ケニア、ソマリア、スーダン、タンザニア、ウガンダ原産です。E. pseudoburuanaはケニア、タンザニア原産です。E. bougheyiはモザンビーク原産です。E. busseiはケニア、タンザニア原産です。E. brevitortaはケニア原産です。E. lividifloraはマラウイ、モザンビーク、タンザニア、ジンバブエ原産です。E. cooperiは「瑠璃塔」と呼ばれ、ボツワナ、南アフリカ、マラウイ、モザンビーク、スワジランド、タンザニア、ザンビア、ジンバブエ原産です。E. groenewaldiiは南アフリカ、モザンビーク原産で塊根性です。E. enormisは南アフリカ原産で塊根性です。E. cactusはエリトリア、エチオピア、オマーン、サウジアラビア、スーダン、イエメン原産です。E. fractiflexaはサウジアラビア、イエメン原産ですが、スーダンは移入の可能性があります。E. longispinaはエチオピア、ソマリア原産です。E. エチオピア、ケニア、ソマリア、タンザニア原産ですが、ジブチは移入の可能性があります。
┏━E. grandicornis 2
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┃┗━E. pseudocactus
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┃┗━━E. grandicornis 1
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┃┗━━━E. breviarticulata
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┃┗━━━━E. pseudoburuana
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┃ ┏━━E. bougheyi
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┃┃ ┃┗━━E. bussei 1
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┃┃┃┗━━━E. brevitorta
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┏┫┗━━━━━━E. lividiflora
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┃┗━━━━━━━E. cooperi
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┃┃┏━━━━━━━E. groenewaldii
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┏┫ ┗━━━━━━━E. enormis
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┃┃┏━━━━━━━━E. cactus
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┫ ┗━━━━━━━━E. fractiflexa
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┃┏━━━━━━━━━E. longispina
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┗━━━━━━━━━E. robecchii
以上で『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文の紹介は終了となります。なんと9日間に渡り長々と論文の内容を紹介し続けた記事でした。また、論文に出てくる学名を検索して、原産地などを調べるのは思った以上に時間がかかり、記事を書くのも中々に疲れました。とりあえずは書き終わってほっとしていますが、まだ気掛かりはあります。それは、初日に紹介したリザンチウム亜属です。リザンチウム亜属は、オベサやホリダなど園芸店でよく見かけるユーフォルビアの大半が含まれます。しかし、論文ではたった4種類を調べたに過ぎないのです。この論文のメインがユーフォルビア亜属なので仕方がないでしょう。しかし、タコものユーフォルビアや鉄甲丸、瑠璃晃など有名なユーフォルビアが出てこないことは、流石に不満があります。ですから、リザンチウム亜属について調べたところ、割とあっさり論文が見つかりました。しかし、記事にするにはそれなりに労力がいりますから、少し間を空けます。解説を挟むのに、色々と調べる時間も必要ですからね。という訳でそのうち続きを記事にしようと思います。
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