2013年に発表された『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文の紹介です。昨日はOld World Clade II①の残り、Section Denisophorbia、Section Deuterocalli、Section Rubellaeについて解説しました。本日はSection Monadeniumについてです。
Section Monadeniumは、かつてはユーフォルビア属に近縁なモナデニウム属として独立していましたが、ユーフォルビア属に吸収されました。しかし、それでもSection Monadeniumはまとまった群として存在します。
とはいえ、現在でもモナデニウムはユーフォルビア属ではなく、モナデニウム名義で販売されていますから、論文の内容は我々趣味家には縁のない話かもしれません。むしろ、モナデニウムがユーフォルビアとして販売された場合、それはそれでややこしいので、販売名はモナデニウム名義でいて欲しいと思ってしまいます。
ユーフォルビア属の分子系統
┏━━━━━━Subgenus Esula
┃
┫┏━━━━━Subgenus Rhizanthium
┃┃
┃┃┏━━━━Subgenus Chamaesyce
┗┫┃
┃┃ ┏━━Pacific Clade
┗┫┏┫
┃┃┗━━New World Clade
┗┫
┃┏━━Old World Clade I
┗┫
┃┏━Old World Clade II①
┗┫
┗━★Old World Clade II②
Old World Clade IIの分子系統
┏━Section Euphorbia(Old World Clade II②)
┏┫
┫┗━★Section Monadenium(Old World Clade II②)
┃
┗━━Old World Clade II①
Old World Clade II②
Section Monadeniumは主にアフリカ大陸産で、東アフリカのケニアを中心にタンザニア、エチオピアに多いようです。
ここで注意が必要なのは、モナデニウム属がユーフォルビア属へ移動した際、名前が変更になった種が多いことです。ですから、モナデニウムを育てていても、どれがどれやらわからないもかもしれません。残念ながら、論文ではモナデニウム属時代の学名は併記しておりません。ですから、解説部分で旧・学名も示します。
Section Monadeniumの分子系統
┏━━━━Section Euphorbia
┃
┫ ┏━★Section Monadenium I
┃┏┫
┗┫┗━★Section Monadenium II
┃
┗━━★Section Monadenium III
①Section Monadenium I
Section Monadenium Iは一見して最低4グループあります。○、▲、◎、■の記号でグループ分けしました。
○モナデニウムに特有の緑色の太った多肉質を持ち、茎の頂点に大きな葉を出すタイプが多いようです。E. rhizophora以外はこういうタイプです。
E. kimberleyana(=Monadenium kimberleyanum)はあまり情報はありません。E. lugardiae(=Monadenium lugardiae)はボツワナ、ザンビア、モザンビーク、スワジランド、南アフリカ原産。E. schubei(=Monadenium schubei)はタンザニア原産です。E. guentheri(=Monadenium guentheri)はケニア原産です。E. heteropoda(=Monadenium heteropodum)はあまり情報がありません。E. rhizophora(=Monadenium rhizophorum)はケニア原産で、塊根性で多肉質の茎を伸ばします。E. succulenta(=Monadenium succulentum)はケニア、タンザニア、ウガンダ原産です。
▲このグループはすべて塊根性です。
E. neomontana(=Monadenium montanum)はケニア、タンザニア原産です。E. neostolonifera(E. stoloniferum)はケニア原産です。E. neorubellae(=Monadenium rubellum)はケニア原産です。E. invenusta(=Monadenium invenustum)はケニア原産です。E. pseudolaevis(Monadenium laeve)はタンザニア、マラウイ原産です。
◎このグループのうち3種類はモナデニウム特有のタイプで系統的にも近縁です。他の3種類は緑色の棒状の多肉植物と塊根植物です。
E. pseudostellata(=Monadenium stellatum)はソマリア原産で、緑色の太った多肉質を持ち、茎の頂点に大きな葉を出します。E. bisellenbeckii(=Monadenium ellenbeckii)はエチオピア、ケニア原産で、緑色の太った多肉質を持ち、茎の頂点に大きな葉を出します。E. neoreflexa(=Monadenium reflexum)はエチオピア、ケニア原産で、緑色の太った多肉質を持ち、茎の頂点に大きな葉を出します。
E. lindenii(=Monadenium lindenii)はソマリア原産で、棒状の多肉質の茎を持ちます。E. major(=Monadenium majus、=Monadenium erubescens)はエチオピア、ソマリア原産で、塊根性の多肉植物です。E. neovirgata(=Monadenium virgatum)はケニア原産で、棒状の多肉質の茎を持ちます。
■一番根元はE. pseudotrinervis(=Monadenium trinerve)はケニア原産の塊根のある多肉植物です。
┏━○E. kimberleyana
┏┫
┃┗━○E. lugardiae
┏┫
┃┗━━○E. schubei
┏┫
┃┃┏━━○E. guentheri
┃┗┫
┏┫ ┗━━○E. heteropoda
┃┃
┃┃┏━━━○E. rhizophora
┃┗┫
┃ ┗━━━○E. succulenta
┃
┃ ┏━━▲E. neomontana
┏┫ ┏┫
┃┃ ┃┗━━▲E. neostolonifera
┃┃┏┫
┃┃┃┗━━━▲E. neorubella
┃┗┫
┃ ┃┏━━━▲E. invenusta
┃ ┗┫
┃ ┗━━━▲E. pseudolaevis
┃
┏┫ ┏━━━◎E. pseudostellata
┃┃ ┏┫
┃┃ ┃┗━━━◎E. bisellenbeckii
┃┃┏┫
┃┃┃┗━━━━◎E. neoreflexa
┃┃┃
┃┗┫ ┏━━━◎E. lindenii
┫ ┃┏┫
┃ ┃┃┗━━━◎E. major
┃ ┗┫
┃ ┗━━━━◎E. neovirgata
┃
┃┏━━━━━━■E. pseudotrinervis
┗┫
┗━━━━━━■E. sp. 13
②Section Monadenium II
Section Monadenium IIは2つのグループがあるように見えます。◇、●の記号でグループ分けしました。
◇このグループは多肉植物ではない低木が多いようです。旧・モナデニウム属だけではなく、旧・Synadenium属も入ります。
E. bicompacta(=Synadenium compactum)はエチオピア、ケニア、エリトリア、ルワンダ原産の低木です。E. pseudomollis(=Synadenium molle)はケニア、タンザニア原産の低木です。E. umbellata(=Synadenium umbellatum、=Synadenium grantii)はスーダン、ブルンジ、タンザニア原産の低木です。E. neospinescensはトゲのあるコーデックスで、一見してパキポディウムのようです。E. neogossweileri(=Monadenium gossweileri、=Endadenium gossweileri)はアンゴラ原産の低木です。
●このグループはタンザニア原産でトゲのあるグループです。
E. magnifica(=Monadenium magnificum)はタンザニア原産で、トゲのある緑色の幹を持ちます。E. spectabilis(=Monadenium spectabile)はタンザニア原産で、トゲのある緑色の幹を持ちます。E. neococcinea(=Monadenium coccineum)はタンザニア原産で塊根性です。
┏━━◇E. bicompacta
┏┫
┃┗━━◇E. pseudomollis
┏┫
┃┗━━◇E. umbellata
┏┫
┃┃┏━━◇E. torrei
┃┗┫
┏┫ ┗━━◇E. neospinescens
┃┃
┃┗━━━━◇E. neogossweileri
┃
┃ ┏━●E. neoarborescens 2
┃ ┏┫
┫ ┃┗━●E. magnifica
┃ ┏┫
┃ ┃┗━━●E. neoarborescens 1
┃┏┫
┃┃┗━━━●E. spectabilis
┗┫
┗━━━━●E. neococcinea
③Section Monadenium III
E. neogracilis(=Monadenium gracile)はタンザニア原産で塊根性です。
Section Monadeniumは以上です。しかし、ユーフォルビア属は多様ですが、モナデニウムはSection Monadenium内でも様々な姿をとります。大変面白いグループです。
さて、明日はついにSection Euphorbiaです。本論文はSection Euphorbiaを中心に調べていますから、割と種数が多くなっています。
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Section Monadeniumは、かつてはユーフォルビア属に近縁なモナデニウム属として独立していましたが、ユーフォルビア属に吸収されました。しかし、それでもSection Monadeniumはまとまった群として存在します。
とはいえ、現在でもモナデニウムはユーフォルビア属ではなく、モナデニウム名義で販売されていますから、論文の内容は我々趣味家には縁のない話かもしれません。むしろ、モナデニウムがユーフォルビアとして販売された場合、それはそれでややこしいので、販売名はモナデニウム名義でいて欲しいと思ってしまいます。
ユーフォルビア属の分子系統
┏━━━━━━Subgenus Esula
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┫┏━━━━━Subgenus Rhizanthium
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┃┃┏━━━━Subgenus Chamaesyce
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┃┃ ┏━━Pacific Clade
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┃┃┗━━New World Clade
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┃┏━━Old World Clade I
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┃┏━Old World Clade II①
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┗━★Old World Clade II②
Old World Clade IIの分子系統
┏━Section Euphorbia(Old World Clade II②)
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┫┗━★Section Monadenium(Old World Clade II②)
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┗━━Old World Clade II①
Old World Clade II②
Section Monadeniumは主にアフリカ大陸産で、東アフリカのケニアを中心にタンザニア、エチオピアに多いようです。
ここで注意が必要なのは、モナデニウム属がユーフォルビア属へ移動した際、名前が変更になった種が多いことです。ですから、モナデニウムを育てていても、どれがどれやらわからないもかもしれません。残念ながら、論文ではモナデニウム属時代の学名は併記しておりません。ですから、解説部分で旧・学名も示します。
Section Monadeniumの分子系統
┏━━━━Section Euphorbia
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┫ ┏━★Section Monadenium I
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┗┫┗━★Section Monadenium II
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┗━━★Section Monadenium III
①Section Monadenium I
Section Monadenium Iは一見して最低4グループあります。○、▲、◎、■の記号でグループ分けしました。
○モナデニウムに特有の緑色の太った多肉質を持ち、茎の頂点に大きな葉を出すタイプが多いようです。E. rhizophora以外はこういうタイプです。
E. kimberleyana(=Monadenium kimberleyanum)はあまり情報はありません。E. lugardiae(=Monadenium lugardiae)はボツワナ、ザンビア、モザンビーク、スワジランド、南アフリカ原産。E. schubei(=Monadenium schubei)はタンザニア原産です。E. guentheri(=Monadenium guentheri)はケニア原産です。E. heteropoda(=Monadenium heteropodum)はあまり情報がありません。E. rhizophora(=Monadenium rhizophorum)はケニア原産で、塊根性で多肉質の茎を伸ばします。E. succulenta(=Monadenium succulentum)はケニア、タンザニア、ウガンダ原産です。
▲このグループはすべて塊根性です。
E. neomontana(=Monadenium montanum)はケニア、タンザニア原産です。E. neostolonifera(E. stoloniferum)はケニア原産です。E. neorubellae(=Monadenium rubellum)はケニア原産です。E. invenusta(=Monadenium invenustum)はケニア原産です。E. pseudolaevis(Monadenium laeve)はタンザニア、マラウイ原産です。
◎このグループのうち3種類はモナデニウム特有のタイプで系統的にも近縁です。他の3種類は緑色の棒状の多肉植物と塊根植物です。
E. pseudostellata(=Monadenium stellatum)はソマリア原産で、緑色の太った多肉質を持ち、茎の頂点に大きな葉を出します。E. bisellenbeckii(=Monadenium ellenbeckii)はエチオピア、ケニア原産で、緑色の太った多肉質を持ち、茎の頂点に大きな葉を出します。E. neoreflexa(=Monadenium reflexum)はエチオピア、ケニア原産で、緑色の太った多肉質を持ち、茎の頂点に大きな葉を出します。
E. lindenii(=Monadenium lindenii)はソマリア原産で、棒状の多肉質の茎を持ちます。E. major(=Monadenium majus、=Monadenium erubescens)はエチオピア、ソマリア原産で、塊根性の多肉植物です。E. neovirgata(=Monadenium virgatum)はケニア原産で、棒状の多肉質の茎を持ちます。
■一番根元はE. pseudotrinervis(=Monadenium trinerve)はケニア原産の塊根のある多肉植物です。
┏━○E. kimberleyana
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┃┗━○E. lugardiae
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┃┗━━○E. schubei
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┃ ┏━━▲E. neomontana
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┃┃ ┃┗━━▲E. neostolonifera
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┃┃┃┗━━━▲E. neorubella
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┃ ┃┏━━━▲E. invenusta
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┃ ┗━━━▲E. pseudolaevis
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┏┫ ┏━━━◎E. pseudostellata
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┃┃ ┃┗━━━◎E. bisellenbeckii
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┃┃┃┗━━━━◎E. neoreflexa
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┃┗┫ ┏━━━◎E. lindenii
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┃ ┃┃┗━━━◎E. major
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┃ ┗━━━━◎E. neovirgata
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┃┏━━━━━━■E. pseudotrinervis
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┗━━━━━━■E. sp. 13
②Section Monadenium II
Section Monadenium IIは2つのグループがあるように見えます。◇、●の記号でグループ分けしました。
◇このグループは多肉植物ではない低木が多いようです。旧・モナデニウム属だけではなく、旧・Synadenium属も入ります。
E. bicompacta(=Synadenium compactum)はエチオピア、ケニア、エリトリア、ルワンダ原産の低木です。E. pseudomollis(=Synadenium molle)はケニア、タンザニア原産の低木です。E. umbellata(=Synadenium umbellatum、=Synadenium grantii)はスーダン、ブルンジ、タンザニア原産の低木です。E. neospinescensはトゲのあるコーデックスで、一見してパキポディウムのようです。E. neogossweileri(=Monadenium gossweileri、=Endadenium gossweileri)はアンゴラ原産の低木です。
●このグループはタンザニア原産でトゲのあるグループです。
E. magnifica(=Monadenium magnificum)はタンザニア原産で、トゲのある緑色の幹を持ちます。E. spectabilis(=Monadenium spectabile)はタンザニア原産で、トゲのある緑色の幹を持ちます。E. neococcinea(=Monadenium coccineum)はタンザニア原産で塊根性です。
┏━━◇E. bicompacta
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┃┗━━◇E. pseudomollis
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┃┗━━◇E. umbellata
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┃┃┏━━◇E. torrei
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┏┫ ┗━━◇E. neospinescens
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┃┗━━━━◇E. neogossweileri
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┃ ┏━●E. neoarborescens 2
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┃ ┃┗━━●E. neoarborescens 1
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┃┃┗━━━●E. spectabilis
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┗━━━━●E. neococcinea
③Section Monadenium III
E. neogracilis(=Monadenium gracile)はタンザニア原産で塊根性です。
Section Monadeniumは以上です。しかし、ユーフォルビア属は多様ですが、モナデニウムはSection Monadenium内でも様々な姿をとります。大変面白いグループです。
さて、明日はついにSection Euphorbiaです。本論文はSection Euphorbiaを中心に調べていますから、割と種数が多くなっています。
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