硬葉系ハウォルチアとされていたプミラとマキシマは同種とされていて、どちらが正式名称なのかを巡って論争があったそうです。とあるブログによると、プミラではなく、マキシマが正式名称とのことです。その根拠は、マキシマが先に命名されたからだそうです。
私が入手したプミラについて調べている最中だったので、興味深く読ませていただきました。しかし、疑問点も浮かびました。
プミラが先かマキシマが先か
まず、プミラとマキシマがハウォルチア属とされたのは、1809年のことでした。
Haworthia pumila (L.) Duval
Haworthia maxima (Haw.) Duval
勘のいい人はすでにお気付きになったと思いますが、これって「プミラのほうが命名早くない?」ということです。
解説します。学名は「属名」+「種小名」から成り立ちますが、そのあとに「命名者の略号」をつけます。命名者を書かないことも多く、略しても構いません。ここから少しややこしいのですが、「属名」が変更になることが割りとあります。実は違う仲間だったとか、新しい属として独立したりという場合です。この時、「種小名」は基本的に変わらずに継承されます。この時の命名者はどうなるでしょうか? 正解は併記する、です。つまり、「(種小名の命名者)+属名変更者」という風に、種小名の命名者を括弧で表記するのです。
プミラの場合は、はじめての命名においては、アロエ属とされました。これは、硬葉系ハウォルチアにおいては良くあることです。なぜなら、この時点でハウォルチア属は存在しないからです。アロエ属は1753年に創設、ハウォルチア属は1809年に創設されました。
さて、種小名の命名者に注目してみましょう。プミラの命名者は(L.)、学名の仕組み自体を作ったCarl von Linneのことです。つまりは、Aloe pumila L.ですが、これは1753年に命名されましたが、これはLinne自身によりアロエ属が創設された年です。よって、プミラの命名は考えうる限り、最も早いものでしょう。
では、マキシマはどうでしょうか。マキシマはHaworthia maxima (Haw.) Duvalです。マキシマはHaw.、つまりはAdrian Hardy Haworthが命名しています。もとをたどると、Aloe margaritifera var. maxima Haw.のようで、これは1804年の命名です。ちなみに、Aloe margaritiferaはプミラの異名(シノニム)です。
まとめると、命名年はプミラが1753年、マキシマは1804年であり、プミラのほうが先に命名されました。よって、正統性ならマキシマではなくプミラとなります。Haworthの命名がLinneよりも早いことがあり得ないことを知っていれば、マキシマよりプミラのほうが命名が早いこともまた明白という訳です。
ただし、これで終わらないのが、なんとも厄介な話です。
プミラとマキシマは別種
プミラとマキシマは同一種と見なされてきたので、プミラ・マキシマ論争があったわけです。しかし、近年の研究では、マキシマはプミラ系ではなく、minor系であることが判明しました。つまり、Tulista minor(=Haworthia minor)です。そうであるとすると、今度はミニマ・マキシマ論争となってしまいます。
しかし、以下の記事により、マキシマではなくminorが正式名称です。
ツリスタ属の誕生
さらに、硬葉系ハウォルチアは、ハウォルチオプシス属とツリスタ属になりました。ツリスタ属は、Tulista kingiana、Tulista pumila、Tulista minor、Tulista marginataの4種類が提唱されています。現状において、オパリナやマキシマは正式な学名として認められておらず、ともにT. minorと同一種とされます。まあ、今後変わっていく可能性はありますが。
個別のツリスタ属の記事はこちら。
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プミラが先かマキシマが先か
まず、プミラとマキシマがハウォルチア属とされたのは、1809年のことでした。
Haworthia pumila (L.) Duval
Haworthia maxima (Haw.) Duval
勘のいい人はすでにお気付きになったと思いますが、これって「プミラのほうが命名早くない?」ということです。
解説します。学名は「属名」+「種小名」から成り立ちますが、そのあとに「命名者の略号」をつけます。命名者を書かないことも多く、略しても構いません。ここから少しややこしいのですが、「属名」が変更になることが割りとあります。実は違う仲間だったとか、新しい属として独立したりという場合です。この時、「種小名」は基本的に変わらずに継承されます。この時の命名者はどうなるでしょうか? 正解は併記する、です。つまり、「(種小名の命名者)+属名変更者」という風に、種小名の命名者を括弧で表記するのです。
プミラの場合は、はじめての命名においては、アロエ属とされました。これは、硬葉系ハウォルチアにおいては良くあることです。なぜなら、この時点でハウォルチア属は存在しないからです。アロエ属は1753年に創設、ハウォルチア属は1809年に創設されました。
さて、種小名の命名者に注目してみましょう。プミラの命名者は(L.)、学名の仕組み自体を作ったCarl von Linneのことです。つまりは、Aloe pumila L.ですが、これは1753年に命名されましたが、これはLinne自身によりアロエ属が創設された年です。よって、プミラの命名は考えうる限り、最も早いものでしょう。
では、マキシマはどうでしょうか。マキシマはHaworthia maxima (Haw.) Duvalです。マキシマはHaw.、つまりはAdrian Hardy Haworthが命名しています。もとをたどると、Aloe margaritifera var. maxima Haw.のようで、これは1804年の命名です。ちなみに、Aloe margaritiferaはプミラの異名(シノニム)です。
まとめると、命名年はプミラが1753年、マキシマは1804年であり、プミラのほうが先に命名されました。よって、正統性ならマキシマではなくプミラとなります。Haworthの命名がLinneよりも早いことがあり得ないことを知っていれば、マキシマよりプミラのほうが命名が早いこともまた明白という訳です。
ただし、これで終わらないのが、なんとも厄介な話です。
プミラとマキシマは別種
プミラとマキシマは同一種と見なされてきたので、プミラ・マキシマ論争があったわけです。しかし、近年の研究では、マキシマはプミラ系ではなく、minor系であることが判明しました。つまり、Tulista minor(=Haworthia minor)です。そうであるとすると、今度はミニマ・マキシマ論争となってしまいます。
しかし、以下の記事により、マキシマではなくminorが正式名称です。
ツリスタ属の誕生
さらに、硬葉系ハウォルチアは、ハウォルチオプシス属とツリスタ属になりました。ツリスタ属は、Tulista kingiana、Tulista pumila、Tulista minor、Tulista marginataの4種類が提唱されています。現状において、オパリナやマキシマは正式な学名として認められておらず、ともにT. minorと同一種とされます。まあ、今後変わっていく可能性はありますが。
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