閃紅閣は一般的にはフルティコーサの名前で知られる多肉ユーフォルビアです。紅海を挟んだサウジアラビアとイエメンの原種です。アラビア半島まで分布している多肉ユーフォルビアは割りと珍しいみたいです。
生長記録

閃紅閣。2020年、購入時の写真。
あまり状態が良くないのか、少し痩せた感じがします。トゲは目立ちますが良くみるとまばらです。

2022年1月。良く日に当てたのでどっしりとして貫禄が出てきました。全体的に大きくなったため、相対的にトゲは目立ちません。仔も増えて大きくなりました。

花は黄色。
栽培方法
一般論として、万年青や椿の様に濃い緑色の植物は、日陰でも良く育ちます。多肉植物では濃い緑色のものは日焼けしやすい傾向があります。これは絶対ではありませんが、注意するに越したことはありません。また、白い粉を吹いていると、強光線から防御する働きもありますから、自生地は日照が強い地域なのだろうと推察します。そう考えると、閃紅閣は明るい緑色で、肌は白い粉に覆われていますから、強い日照が必要でしょう。ですから、真夏でも遮光せずに育ててきました。先細りせずに太くなったのは、健全な栽培の証拠です。
水は用土が乾ききるまでは、あげないほうが安全でしょう。これだけ高度に多肉化していますから、水の遣り過ぎで根腐れしてしまうことのほうが怖く感じます。
多肉ユーフォルビアは全般的に寒さに弱いので、冬は室内に取り込んだほうが良いでしょう。ただし、冬でも明るい窓際に置いて、よく日に当てたほうが良いようです。室内が暖かければ生長してしまいますから、日照不足で徒長してしまいます。生長が止まった場合でも、室内の日陰に置いていた場合、春になって外に出すと急激に日焼けしてしまうこともあるため、やはりなるべく日照は確保するべきと言えます。
2つのタイプがある?
閃紅閣の学名はフルティコーサの呼び方通り、Euphorbia fruticosaなのですが、調べてみるととても不思議なことがあります。フルティコーサで検索すると、上の写真の様な姿の個体が出てきます。しかし、Euphorbia fruticosaで検索すると、国内のサイトはフルティコーサで検索した場合と変わらないのですが、海外のサイトを見ると様相が一変します。まったく上の写真と異なるのです。海外ではEuphorbia fruticosaは強いトゲが一列に並んでびっしりと生えているのです。到底、同種には見えません。一体どういう事なのでしょうか?
検索を続けてわかったことは、私の所有株はEuphorbia fruticosa var. inermisと呼んでいるサイトもあるということです。inermisとはなんでしょうか?
inermisはラテン語で、「○○のない」という意味です。この場合は「武器のない」という意味から派生して、「トゲのない」という意味なのでしょう。そう言えば、九頭竜はEuphorbia inermisですが、まさにトゲはありません。ということは、私の写真の個体はEuphorbia fruticosaのトゲがない変種ということになります。ただし、写真を見ると普通にトゲがあるということが気がかりです。
共通点と差異
ここで一旦整理しましょう。
すべての共通点は、肌に白い粉を吹いてやや青白く見えることです。
フルティコーサと検索して出てくるのは、①トゲはないかまばら、②稜の頂点は丸い、③稜は厚い、④稜のイボ状の頂点にトゲが生える、の四点です。トゲ以外はほぼ同じに見えます。
海外のサイトのEuphorbia fruticosaは、①トゲは強く密、②稜の頂点は鋭角、③稜は薄い、④トゲは一列に隙間なく並ぶ、の四点です。
私の写真は、まさに①トゲはまばら、②稜の頂点は丸い、③稜は厚い、④稜のイボ状の頂点にトゲが生える、とフルティコーサで検索をかけた場合と同様です。
var. inermisのトゲについては、個体差の範囲内なのかもしれません。なぜなら、トゲ以外の特徴にまったく違いが無いからです。むしろ、トゲの強い原種との差のほうが、圧倒的に大きく見えます。学名の「トゲのない」は、原種と比較した場合にはトゲがあってもまばらなので、そこを表現したのではないでしょうか。
まとめると、日本のサイトのものは、Euphorbia fruticosa var. inermisで、海外のサイトに多いのはEuphorbia fruticosaの原種であるということです。
閃紅閣と閃光閣
閃紅閣のことを、「閃紅閣/閃光閣」と表記されることもあるようです。しかし、閃光閣はEuphorbia knobeliiに付けられた名前です。閃光閣はその名前の通り、稲妻の閃光の様な模様が入ります。
では、閃紅閣はどうでしょうか? フルティコーサにはパッと見では紅色の要素はありません。花も黄色です。新しいトゲは赤いのですが、それほど目立つわけではありません。紅海沿岸に原産地があることに因んだ可能性もありますが、これ以上は良くわかりません。
とりあえず言えることは、フルティコーサに「閃光」要素は、おおよそ見当たらないということだけです。

閃光閣
学名について
閃紅閣の学名はEuphorbia fruticosa Forssk.で1775年に命名されました。Forsskはフィンランドの探検家・東洋学者・博物学者である、Peter Forsskålのことです。Forsskålはリンネの弟子で、調査地のイエメンでマラリアで亡くなったそうです。1763年、31歳のことでした。
Forsskålが亡くなってから12年後に、Forsskålの調査と研究成果をまとめた「Flora Aegyptiaco-Arabica」が出版されました。Euphorbia fruticosaもこの本により、命名され新種として登録されました。
気を付けたいのは、1847年に命名されたEuphorbia fruticosa Edgew.という学名です。こちらは、Euphorbia cuneataというコーデックスの異名です。当然ながらこちらは学術的に認められている学名ではありません。ややこしいのですが、間違わない様にしましょう。
さて、日本で流通している閃紅閣は、Euphorbia fruticosa var. inermisであると想定しました。しかし、このvar. inermisは学術的に登録された名前ではないようです。詳細な情報がありません。単純に学術的な研究がなされていないだけかもしれませんが、あるいは園芸種である可能性もあります。栽培品の中からトゲが疎な突然変異が生まれることは、あり得ることです。多肉ユーフォルビアでは、ポリゴナ/ホリダ系のアノプリアが恐らくは矮性のトゲ無し変異種ですから、可能性はありそうです。
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生長記録

閃紅閣。2020年、購入時の写真。
あまり状態が良くないのか、少し痩せた感じがします。トゲは目立ちますが良くみるとまばらです。

2022年1月。良く日に当てたのでどっしりとして貫禄が出てきました。全体的に大きくなったため、相対的にトゲは目立ちません。仔も増えて大きくなりました。

花は黄色。
栽培方法
一般論として、万年青や椿の様に濃い緑色の植物は、日陰でも良く育ちます。多肉植物では濃い緑色のものは日焼けしやすい傾向があります。これは絶対ではありませんが、注意するに越したことはありません。また、白い粉を吹いていると、強光線から防御する働きもありますから、自生地は日照が強い地域なのだろうと推察します。そう考えると、閃紅閣は明るい緑色で、肌は白い粉に覆われていますから、強い日照が必要でしょう。ですから、真夏でも遮光せずに育ててきました。先細りせずに太くなったのは、健全な栽培の証拠です。
水は用土が乾ききるまでは、あげないほうが安全でしょう。これだけ高度に多肉化していますから、水の遣り過ぎで根腐れしてしまうことのほうが怖く感じます。
多肉ユーフォルビアは全般的に寒さに弱いので、冬は室内に取り込んだほうが良いでしょう。ただし、冬でも明るい窓際に置いて、よく日に当てたほうが良いようです。室内が暖かければ生長してしまいますから、日照不足で徒長してしまいます。生長が止まった場合でも、室内の日陰に置いていた場合、春になって外に出すと急激に日焼けしてしまうこともあるため、やはりなるべく日照は確保するべきと言えます。
2つのタイプがある?
閃紅閣の学名はフルティコーサの呼び方通り、Euphorbia fruticosaなのですが、調べてみるととても不思議なことがあります。フルティコーサで検索すると、上の写真の様な姿の個体が出てきます。しかし、Euphorbia fruticosaで検索すると、国内のサイトはフルティコーサで検索した場合と変わらないのですが、海外のサイトを見ると様相が一変します。まったく上の写真と異なるのです。海外ではEuphorbia fruticosaは強いトゲが一列に並んでびっしりと生えているのです。到底、同種には見えません。一体どういう事なのでしょうか?
検索を続けてわかったことは、私の所有株はEuphorbia fruticosa var. inermisと呼んでいるサイトもあるということです。inermisとはなんでしょうか?
inermisはラテン語で、「○○のない」という意味です。この場合は「武器のない」という意味から派生して、「トゲのない」という意味なのでしょう。そう言えば、九頭竜はEuphorbia inermisですが、まさにトゲはありません。ということは、私の写真の個体はEuphorbia fruticosaのトゲがない変種ということになります。ただし、写真を見ると普通にトゲがあるということが気がかりです。
共通点と差異
ここで一旦整理しましょう。
すべての共通点は、肌に白い粉を吹いてやや青白く見えることです。
フルティコーサと検索して出てくるのは、①トゲはないかまばら、②稜の頂点は丸い、③稜は厚い、④稜のイボ状の頂点にトゲが生える、の四点です。トゲ以外はほぼ同じに見えます。
海外のサイトのEuphorbia fruticosaは、①トゲは強く密、②稜の頂点は鋭角、③稜は薄い、④トゲは一列に隙間なく並ぶ、の四点です。
私の写真は、まさに①トゲはまばら、②稜の頂点は丸い、③稜は厚い、④稜のイボ状の頂点にトゲが生える、とフルティコーサで検索をかけた場合と同様です。
var. inermisのトゲについては、個体差の範囲内なのかもしれません。なぜなら、トゲ以外の特徴にまったく違いが無いからです。むしろ、トゲの強い原種との差のほうが、圧倒的に大きく見えます。学名の「トゲのない」は、原種と比較した場合にはトゲがあってもまばらなので、そこを表現したのではないでしょうか。
まとめると、日本のサイトのものは、Euphorbia fruticosa var. inermisで、海外のサイトに多いのはEuphorbia fruticosaの原種であるということです。
閃紅閣と閃光閣
閃紅閣のことを、「閃紅閣/閃光閣」と表記されることもあるようです。しかし、閃光閣はEuphorbia knobeliiに付けられた名前です。閃光閣はその名前の通り、稲妻の閃光の様な模様が入ります。
では、閃紅閣はどうでしょうか? フルティコーサにはパッと見では紅色の要素はありません。花も黄色です。新しいトゲは赤いのですが、それほど目立つわけではありません。紅海沿岸に原産地があることに因んだ可能性もありますが、これ以上は良くわかりません。
とりあえず言えることは、フルティコーサに「閃光」要素は、おおよそ見当たらないということだけです。

閃光閣
学名について
閃紅閣の学名はEuphorbia fruticosa Forssk.で1775年に命名されました。Forsskはフィンランドの探検家・東洋学者・博物学者である、Peter Forsskålのことです。Forsskålはリンネの弟子で、調査地のイエメンでマラリアで亡くなったそうです。1763年、31歳のことでした。
Forsskålが亡くなってから12年後に、Forsskålの調査と研究成果をまとめた「Flora Aegyptiaco-Arabica」が出版されました。Euphorbia fruticosaもこの本により、命名され新種として登録されました。
気を付けたいのは、1847年に命名されたEuphorbia fruticosa Edgew.という学名です。こちらは、Euphorbia cuneataというコーデックスの異名です。当然ながらこちらは学術的に認められている学名ではありません。ややこしいのですが、間違わない様にしましょう。
さて、日本で流通している閃紅閣は、Euphorbia fruticosa var. inermisであると想定しました。しかし、このvar. inermisは学術的に登録された名前ではないようです。詳細な情報がありません。単純に学術的な研究がなされていないだけかもしれませんが、あるいは園芸種である可能性もあります。栽培品の中からトゲが疎な突然変異が生まれることは、あり得ることです。多肉ユーフォルビアでは、ポリゴナ/ホリダ系のアノプリアが恐らくは矮性のトゲ無し変異種ですから、可能性はありそうです。
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