笹蟹丸と紅キリンの因縁について。
両者ともに南アフリカ原産で、分布域もほとんど同じです。
学名は一般的には、笹蟹丸はEuphorbia pulvinata、紅キリンはEuphorbia aggregataとされています。

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笹蟹丸

笹蟹丸は先端に長い葉がつく面白い姿をしています。
笹蟹丸の学名はpulvinataですが、pulvinata=笹蟹丸では無いことに注意しなければなりません。
pulvinataは原産地ではかなり姿に幅があります。トゲの強さ、葉の大きさ、葉の有無等々…。 日本では写真のようなトゲが弱く葉の大きいタイプのpulvinataを、笹蟹丸と呼んでいるということになります。ですので、pulvinataと言った場合、笹蟹丸のような姿のものだけでは無いということです。

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紅キリン

紅キリンは昔からエノプラ(Euphorbia enopla)と混同されて来ました。エノプラはトゲトゲで細長く伸びるので、あまり似ていない様な気もしますが…。 いまでも、紅キリンにエノプラの名札が着いていることもあるみたいです。
学名もEuphorbia aggregataとされていますが、実際にはEuphorbia pulvinataが正しいとされています。ただ、pulvinataは笹蟹丸の学名でした。一体全体どういうことなのでしょうか?
実は笹蟹丸の説明にありました通り、pulvinataは変異幅がとても広いと言われますが、なんと紅キリンはpulvinataの変異の一つに過ぎないということです。全然似ていないと思うかもしれませんがそれは逆で、pulvinataの変異の中で極端な姿の株に、笹蟹丸だとか紅キリンとかいう園芸名がつけられただけの話です。原産地では中間のタイプや、両者に似てないタイプも存在するのです。

そう言えば、勇猛閣は紅キリンの亜種という説もありますが、これはどうなんでしょうか? 一般的に勇猛閣の学名はEuphorbia feroxですが、Euphorbia aggregata subsp. feroxと書かれることもあるようです。しかし、Euphorbia aggregataが無効な以上、Euphorbia aggregata subsp. feroxも無効です。ただし、勇猛閣がpulvinataの変異に含まれるのかはわかりません。今後の研究が望まれます。

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勇猛閣

追記 : これらの意見は論文が出ているものの、必ずしも認められている意見ではありません。「笹蟹丸と紅キリンの怪しい関係 part.2」としてまとめていますから、そちらをどうぞ。



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