ユーフォルビアは傷付いたりすると、白い乳液をだします。この乳液は毒性があるので気を付けましょうというのは、ユーフォルビア栽培の基本情報です。
そんなユーフォルビアの中でも、その毒性が高いことで有名な2種類を紹介します。

①矢毒キリン
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2020年2月、鶴仙園にて購入。

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2020年5月。美しい新トゲ。

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大分生長しました。

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矢毒キリン Euphorbia virosa

矢毒キリンは、アンゴラ、ナミビア、南アフリカ原産で、アフリカのサン族が矢じりに塗って狩りをしたと言われております。だから矢毒キリンという名前なわけですが、ただ本当に矢毒に使われたのかどうかは、いまいちわかりません。毒性が強いのは本当のようです。
八大竜王という名前もあるそうですが、なぜ八大竜王なのかよくわかりませんが。

野生動物は基本的に矢毒キリンを食べないそうですが、クロサイだけは食べるらしいです。すごいなクロサイ。また、矢毒キリンの花の蜜を求めて蜂がよく来るそうで、その蜂蜜は当然ながら毒があり、口にすると口内や喉が焼ける様に痛むらしいです。まあ、日本でも蜂が野生のトリカブトの蜜を集めて…、なんてこともあるそうですから、さもありなんですね。
英語名はPoison Tree(毒の木)、あるいはPoisonous spurge(有毒のトウダイグサ)。割りと直球な名前で面白いですが、やはり海外でも毒性の高さは有名なんですね。

矢毒キリンの育て方は、かなり簡単。遮光しないで乾かしぎみに管理するだけです。雨には当てない方がいいかもしれません。柱状のユーフォルビアは生長が早いものが多いですが、矢毒キリンの生長は相対的にゆっくり。耐寒性はよくわかりません。私は戸外栽培する勇気がないので、冬は室内です。まあ、多肉ユーフォルビアは基本的に寒さに弱いので、冬は室内に取り込んだ方が安全でしょうね。

矢毒キリンの学名は1799年に命名されたEuphorbia virosa Willd.です。Willd.はドイツの植物学者・薬剤師・植物分類学者であるCarl Ludwig Willdenowのことです。Willdenowは植物地理学の創始者とされ、フンボルト海流やフンボルトペンギンでお馴染みのFriedrich von Humboldtの師なんだそうです。

②ポイゾニィ
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2021年10月、鶴仙園にて購入。

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2022年6月。
冬の間に葉は少しずつ落ちて、ついには坊主に。外に出しても動きがなかったのですが、ようやく新葉が出てきました。


ユーフォルビア・ポイゾニィは、ギニア~ナイジェリアまでの熱帯西アフリカが原産で、分布は不規則で局所的なんだとか。また、名前はpoison(毒)から来ている様に思えますが、植物学者のポアソン(Henri Louis Poisson)にちなんでつけられたということです。
ポイゾニィはユーフォルビアでも最強クラスの毒性を持つことで有名です。非常によく似たユニスピナ(Euphorbia unispina)、ベネニフィカ(Euphorbia venenifica)と合わせて、猛毒三兄弟と言われているとかいないとか。

その毒性にも関わらずアフリカでは有用植物として利用されており、乳液を集めて農薬として農家が使用するとか、家畜を囲む生け垣として利用するらしいです。毒性があって食べられないからこそ、生け垣になるというのも面白いですね。さらに、乳液を薬として利用するという話もありますが、猛毒なのに一体全体どうやって使っているのか気になります。
海外のWikiには、シナプス(神経の受容体)に結合して激しい痛みをもたらすとか、シナプスと乳液の成分が結合してシナプスが死滅するとか物騒なことが書いてありました。薬として利用するには、命懸けの様な気もしますが…
しかし、これだけ人に利用されているのなら、今の分布は本来の自然分布ではないかもしれませんね。ギニア湾沿いの国々に広く分布しておりますが、人から人へ伝播したのかも知れません。アフリカには遊牧民もいますから伝播も速そうです。さらに、あそこら辺は昔から交易も盛んな地域でしたから、文化の伝達もスムーズでしょう。

英語名はCandle Plant(ロウソクの植物)、Cylindrial Euphorbia(円筒状のユーフォルビア)。写真では茎はまだ短くて分かりにくいですが、白い木質の茎が特徴です。英語名もそれにちなんだものでしょう。

ポイゾニィの育て方はまだよくわかりませんが、まあ普通の多肉ユーフォルビアの育て方で行きます。私は基本的にユーフォルビアは無遮光栽培していますから、矢毒キリンに準ずることにします。

ポイゾニィの学名は1902年に命名されたEuphorbia poissonii Paxです。Paxはドイツの植物学者であるFerdinand Albin Paxのことです。

終わりに
そういえば、矢毒キリンもポイゾニィも鶴仙園(池袋の方)で購入しました。鶴仙園のブログを見て、ユーフォルビアが入荷したら休みの日に朝イチで買いに行きました。ユーフォルビアは大人気多肉ではないので、そんなに早く売れないとは思いつつ売れてしまわないか気が気じゃない感じでした。まあ、鶴仙園は回転が早いから油断するとあっという間に売れてしまうのが怖いところ。しかし、多肉植物の中でもユーフォルビアは、特に一期一会感が強いのでゲットできたことは実にラッキーでした。

ユーフォルビアの乳液は有毒なので、扱いにはやや気を付ける必要がありますが、基本的には乳液が付いたらすぐに洗い流すだとか、園芸用の手袋するだとかするだけで問題ありません。基本的に即効性の毒ではないし、乳液の付いた手で目をこすったり、傷口に乳液がついたりしなければ大丈夫。それほど神経質になる必要はありません。
しかし、矢毒キリンやポイゾニィは特に毒性が高いので、注意が必要でしょう。例えば紅彩閣なんかはトゲが柔らかいので、少し触れただけで乳液が出て始末に終えませんが。まあ、矢毒キリンはトゲも硬く基本的には乳液が出る場面には遭遇しないでしょうけど。もし、胴切りして丈を詰めるとかするならば、大量の乳液が出ますから、乳液が飛び散って目に入るといけませんから眼鏡やゴーグルをした方が安心です。
ポイゾニィは多肉質の葉がいずれ落ちますから、割りばしで回収するなどして、直接触れない様にします。私自身の経験では、多肉植物を移動したりしていると、他のユーフォルビアのトゲにポイゾニィの葉が触れて、傷がついて乳液が出ることがあるため要注意です。

こんな、脅す様な事を散々いっておいてなんですが、ユーフォルビア流行らないかなぁ。流行れば珍しい種類も入手しやすくなるんですけどね。実際、園芸店でも隅に追いやられ勝ちなので…


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