ザミアの種類

最近、海外のソテツが販売されているのを、園芸店で目にします。代表格はザミア(Zamia)という、北米産のソテツです。
ネット含め、国内で主に販売されているのは3種類。

プミラ(Z.pumila)
フロリダーナ(Z.floridana)
フルフラケア(Z.furfuracea)

ところが、この内プミラとフルフラケアの区別がつかないんです。フロリダーナは葉が細く全体に華奢なので、簡単に区別できるのですが、プミラとフルフラケアは葉の幅が広く肉厚で短い毛の様な繊維をまとっています。まったく同じ特徴です。

園芸店で最近見かける長田カクタスさんの小苗は、フロリダーナとフルフラケアという名で販売されています。じゃあ、プミラって何者?ということで、少し調べてみました。

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フロリダーナの苗

図鑑

山と溪谷社の『山溪カラー名鑑 観葉植物』(1991)では、プミラとフロリダーナが紹介されています。写真はプミラですが、これはフルフラケアと区別がつきません。 

小学舘の『園芸植物大事典』(1994)では、やはりプミラとフロリダーナで写真入りです。何とこのプミラの写真は山と溪谷社のものとまったく同じ写真じゃあないですか。やはり、区別はつきません。

ここまでプミラばかりで、フルフラケアが出てきません。逆にフルフラケアがわからない感じです。

平凡社の『世界有用植物事典』(1989)では、フルフラケアとフロリダーナが記載されております。写真はありませんが。はじめて出てきたフルフラケアは、ヒロハザミアという和名がついています。葉の幅が3.5cmと、確かにヒロハザミアの名前の通りです。

上の2冊はあまり特徴を記載しておりません。やはり、プミラが怪しい。

論文

新種の発見時には詳しい特徴が論文に記載されるはずです。なので、プミラとフルフラケアの記載された時の論文を探してみましたが、見つけられませんでした。
これは、ネットでヒットするのは、ネットが普及したあとの論文だけだからです。誰か親切な人がスキャナーで取り込んでPDF化してくれいればいいんですけどね。 

ちなみに、『Native cycad coontie』という論文では、プミラの写真が小さく掲載されておりましたが、葉は細長く日本では見たことがない形でした。ただし、写真が小さいので何とも言えない感じはまだあります。

海外のサイト

これは直接の証明にはなりませんが、英語のサイトはアメリカ人のみだけではなく世界中の人がアクセスします。要するに、日本以外がどうなっているのか気になるところです。

幾つかのサイトを見てみました。その結果、日本で販売されている葉の幅が広いザミアはフルフラケア、プミラは日本では見たことがないものでした。

『FLORA & FAUNA WEB』では特徴が細かく書かれています。
プミラ→a feathery like appearance、要するに鳥の羽の様に葉が並んでいるということです。 

フルフラケア→Leaflets are leathery, obovate to oblanceolate shaped, margin slighly toothed and covered in yellowish brown hairs.
葉は革のようで、細い卵型、黄色から茶色の毛に覆われいる。

どうでしょうか。日本で販売されているのは、プミラではなくフルフラケアの様な気がしてきましたね。

GBIF

Gbifというサイトに、大学、博物館、植物園の収集した植物標本が掲載されていることに気がつきました。普段は学名の確認のために利用しているので、今まで気が付きませんでした。
検索してみると、やはり日本で販売されているのはフルフラケアで、プミラはフロリダーナほどではないですが細長い葉がぎっしり並んでいます。海外の園芸サイトの説明の通りでした。

ちなみに標本は、スミソニアン博物館、フロリダ自然史博物館、テネシー大学植物園、ニューヨーク植物園の収集品で確認しました。

和名

国内の販売サイトでは、プミラ=ヒロハザミアとなっていますが、特徴からみても間違いです。ヒロハザミア=フルフラケアです。同様にプミラ=メキシコソテツも間違い。正しくは以下の通り。

プミラ→ヒメザミア
フルフラケア→ヒロハザミア、メキシコソテツ
フロリダーナ→フロリダザミア

結論

国内で販売されているザミアは、主にフロリダーナとフルフラケア。
葉の幅が広くて厚みがあり、葉の表面に毛が生えていればフルフラケア。
この混乱は日本国内だけの問題であることから、図鑑の写真が間違っており、そこから誤った名前が広がったのではないでしょうか。

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ヒロハザミア Zamia furfuracea

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