ユーフォルビア・オベサ・ドットコム

女王錦と千代田錦の花茎が伸びてきたものの、中々咲かないのでしびれを切らして、ツボミの様子を記事にしました。しかし、何と2種類とも記事を上げた翌日に咲き始めたのです。なんと意地の悪い、というより私の間が悪いだけですねこれは。しかし、冬は多肉植物たちも動きが緩やかですから、基本的に特筆すべきことはないものです。ユーフォルビアあたりは種類によっては花が咲きますが、ご存知の通り非常に地味です。冬型の多肉植物は基本的に育てていないので、冬のアロエの花は大変嬉しく感じます。

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女王錦 Aloe parvula

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千代田錦 Gonialoe variegata

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最近は中々忙しくて論文を読む時間が取れません。そのため、完全にネタ不足ですね。仕方がないので、多肉植物ではありませんが、植物関連の小ネタをポツポツ記事にしていくつもりです。


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最近、1937年にドイツで出版された『Kakteenkunde』を入手し、その中のPaul Stephan氏のユーフォルビア・コレクションをご紹介しました。せっかく珍しい古い文献ですから、他にも何か面白い記事はないか索引を眺めていたところ、私の興味ある多肉植物であるガステリアについての記事がありました。

さて、本日は『Kakteenkunde』のガステリアに関する2つの記事をご紹介します。記事の執筆者はドイツの植物学者であるKarl Joseph Leopold Arndt von Poellnitzです。多肉植物を広く研究しましたが、特にHaworthiaの分類で著名です。Poellnitzia rubrifloraに献名されていることからご存知の方もおられるでしょう。
先ずは11月号の「Zwei neue Gasteria-Arten」から見ていきましょう。どうも、2種類のガステリアの新種を発表しているみたいです。植物の特徴は何とラテン語で記載されていました。全く読めませんから、機械翻訳の不細工な怪文書を解読してみました。

・Gasteria caespitosa von Poellnitz spec.nov.
根元から非常に多く増殖します。葉は完全に円柱状で、直立し長さ10~14cm、基部の幅は2cmです。両端には結節状の鋸歯があります。葉には光沢があり斑点があります。この先はさらなる詳細と花の特徴が続いているようですが、残念ながらかなり翻訳文が怪しいのでここまでとしましょう。
ここから先はドイツ語の翻訳です。どうやら、van der Bijl夫人が1929年にケープランドのSomerset Eastで採取したものを、von Poellnitzに贈ったものということです。von Poellnitzはこのガステリアを、育ったらGasteria maculata (Thunb.) Haw.、あるいはその類似種となると考えていたようです。しかし、その予想は外れて、葉のサイズは変わらずに良く花を咲かせているということです。von Poellnitzはこのガステリアを、Gasteria subnigricans Haw.やGasteria fasciata (Salm) Haw.と関係するが、それらと区別されるため新種と考えているようです。

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Gasteria caespitosa von Poellnitz spec. nov.
さて、ではこの種は現在どうなっているでしょうか?
取り敢えず、G. caespitosaから見てみましょう。
Gasteria caespitosa Poelln., First published in Kakteenkunde 1937 : 165

ちゃんと『Kakteenkunde』の165ページに載ってると書かれていますね。いや、当たり前の話ですが、何となく嬉しく思います。しかし、残念ながらこのG. caespitosaは現在認められている学名ではありません。現在はGasteria obliquaの異名扱いです。また、von PoellnitzがG. maculataと似ていると思った直感は正しく、Gasteria maculata Haw.も現在ではGasteria obliquaの異名ですから、同じ種を示していた訳です。ちなみに、G. subnigricansはGasteria brachyphylla var. brachyphylla、G. fasciataは何とまたもやGasteria obliquaの異名となっています。

・Gasteria Bijliae von Poellnitz spec.nov.
無茎またはほぼ無茎で、非常に早く生長し増殖します。若い苗は尖った2列の葉を持ち、成熟すると葉は渦巻き状の密なロゼットとなり、直径12~14cmです。横向きの縞模様があります。
やはり、このガステリアもvan der Bijl夫人によるもので、種小名は夫人に対する献名です。種小名が大文字なので単純に誤植かと思いましたが、写真の方の学名も同様なのであえてそうしているような気もしました。献名なのでとか何か理由があるのか、本当にただの誤植がは分かりません。von Poellnitzが7年育てましたが、未だに花は咲いていないということです。von Poellnitzもまだ生長しきっていないため、確実に新種とも言い切れないようで、やや歯切れの悪い言い方をしています。

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Gasteria Bijliae von Poellnitz spec.nov.
G. bijliaeは、現在ではGasteria carinata var. carinataの異名となっています。

では続けて10月号のvon Poellnitzによる「Gasteria humilis v.P.」を見てみましょう。G. humilisは1929年にvan der Bijl夫人がケープランドのGreat Brak川付近で採取した植物で、同年にvon Poellnitzにより新種として記載されました。密に螺旋状となり直径12~14cmとなります。8~12枚の葉は若い時は直立し古い葉はやや広がります。葉は三角形で先端はごく僅かに内側に曲がり、鈍く尖ります。葉は滑らかで光沢があり、濃い緑色で斑点があります。
G. humilisは確かにG. decipiens Haw.やG. parvifolia Bak.、G. gracilis Bak.、G. Beckeri 
Schönlandに関連しています。しかし、これらとは異なり葉の縁がトリミングされます。また、G. obtuse (Salm) Haw.はキールが上部で曲がり葉縁を形成しますが、G. humilisでは目立ちません。
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Gasteria humilis v.P
名前が出てきた中では、G. humilisとG. parvifoliaはGasteria carinata var. carinataの異名、G. decipiensとG. BeckeriはGasteria nitida var. nitidaの異名です。G. gracilisは何に相当するのかが不明な種です。


以上が論文の簡単な要約です。1937年にvon Poellnitzにより命名された2種類のガステリアは、残念ながら現在は認められておりません。過去に命名したG. humilisもG. carinata var. carinataの異名になってしまいました。学名は一度決まったら不変なものではなく、結構ダイナミックに変更され続けるものですから、昔の学名と異なるのは差程珍しいことではありません。しかし、ガステリア属はかなり特殊で、「分類学者の悪夢」と呼ばれるくらい異名だらけでした。個体差や地域変異がすべて別種として命名されてきたのでしょう。まあ、そもそもが外見的に区別するのが難しいグループなのかもしれません。たしか、1990年代くらいからvan Jaarsveldにより、ガステリア属は大幅に整理されました。現在、ガステリア属は26種類に集約されました。とは言うものの、そのうち9種類は2000年以降に発見されていますから、種類が少ないのに新種が次々と発見されているホットなグループでもあります。また、現在では遺伝子解析によりある程度は近縁関係が分かってきましたから、細かい修正は続くかもしれません。

さて、個人的にはこのような昔の記事が面白いので、是非とも記事にしたいのですが、中々古いものは入手が難しいものです。記事の内容を一応紹介していますが、どちらかと言うと1937年当時の画像を見ていただきたいだけだったりします。しかし、サボテンについての(恐らくは)貴重な記事もあるようですが、残念ながらサボテンはギムノカリキウム属以外はよく分かりません。私では何もコメント出来ませんから記事化は断念しました。もう少し色々な多肉植物に詳しければ良いのですが、こういうものは一朝一夕には身に付かないものです。少しずつ勉強していくつもりです。



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まだまだ寒い日が続きますが、日中は暖かくなってきたせいか早くも活動を始める多肉植物もポツポツ出てきました。まあ、室内にあるため冬に関係なく生長しているものもありますけどね。当然、室内でも休眠している多肉植物もあります。同じ仲間でも様々です。そんな、2月の多肉植物の動向を少し見てみましょう。

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貴青玉錦 Euphorbia meloformis cv.
E. meloformis系は冬でも元気に花を咲かせ続けています。斑入りの貴青玉錦は花の赤味が強く、少し目立ちます。


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紅青玉
やはり、E. meloformis系は冬の間も開花します。貴青玉自体が交配種と言われていますが、紅青玉はさらに交配させたものらしいです。現状では貴青玉と外見上の違いはありませんが、生長すれば差が見えるのでしょうか?

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勇猛閣 Euphorbia ferox
勇猛閣という名前はあまり使われず、「フェロックス」の名前の方が馴染みがあるかもしれません。不定期に目立たない花を咲かせますが、冬の間も新しいトゲが幾つか出て、花も咲かせています。

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紅彩閣 Euphorbia heptagona
紅彩閣は丈夫なので冬の間も生長を続けています。わびしい冬の間も新しいトゲが美しいですね。室内で冬の日照を確保出来ない場合、少し暖かいと生長をはじめて徒長してしまいます。冬に室内に多肉植物を取り込む人にとっては逆に育てにくいかもしれません。

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Euphorbia rossii
細長い葉が出る花キリンですが、完全に葉が落ちました。生長はかなり遅いようです。

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Euphorbia gottlebei
同じく細長い葉が出る花キリンですが、こちらも葉はすべて落ちました。ただし、こちらは新しい葉と花芽が出てきました。一足早く春を感じ取っているようです。


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Euphorbia mangokyensis
こちらも花キリンですが、葉は落ちたものの花芽が出てきました。まだ小苗ですから花は嬉しいですね。

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Gymnocalycium intertextum
学名に関しては色々と議論があり未だに定まりません。冬の間も元気でトゲは出続けます。


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女王錦 Aloe parvula
花芽が出てからここまで来るのにかなりの時間を要しています。やはり、明け方や夜間の寒さもあり、花芽の生長も緩やかなのでしょう。


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一番花が垂れてきたので、いよいよ開花が近いみたいです。

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千代田錦 Gonialoe variegata
こちらも、花芽が出てから中々伸びませんでしたが、最近急激に花茎が伸びて来ました。

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一番花が垂れて急激に膨らんで来ました。開花が楽しみです。

2月はまだ多肉植物の動きは緩やかですが、少しずつ目覚め始めています。いよいよ多肉植物の季節が近づいている事を予感させます。Fouquieriaたちも少しずつ葉が出始めています。そういえば、この冬は関東地方にも雪が降ったりしましたが、それでも暖かかったのか、Adenia glaucaは葉を落としませんでしたし、Pachypodiumたちもあまり葉を落としませんでした。逆にPachypodium makayenseなんかは冬の間にかなり太りました。本当に多肉植物も様々ですね。


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2013年頃からアロエの仲間の遺伝子が本格的に調べられはじめ、それ以降アロエの仲間は激変しました。AloeはAloe、Aloidendron、Aloiampelos、Kumara、Gonialoe、Aristaloeに分割され、HaworthiaはHaworthiaとHaworthiopsis、Tulistaに分割されました。逆にChortolirionやLomatophyllumはアロエに含まれることが明らかとなりました。他のアロエ類である、Gasteria、Astrolobaについても命名規約上の問題があり議論されています。

さて、Bruce Bayerが2014年にアロエ類についての意見をコラム欄で簡潔に述べています。それが、Aloe striatula(現在はAloiampelos)の葉の配置について述べた、『Leaf arrangement in Aloe striatula』です。興味深い
内容ですから見てみましょう。
A. striatulaを上から見て、葉の配置が二列性あるいは三列性であることを示しています。Bayerは二列性なら1、3、5、7、9枚目あるいは2、4、6、8、10枚目の葉がセットで、三列性なら1、4、7、10枚目、2、5、8枚目、3、6、9枚目がセットであるとしています。
しかし、この説明は非常に分かりにくいので、私の育てているAloiampelos striatula var. caesiaを例に、別の表現で解説しましょう。

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二列性の配置
まず、二列性の配置ですが、向かい合う葉が対になります。つまり、1+2、3+4、5+6、7+8、9+10です。軸が回転するように、葉が重ならない配置となります。

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三列性の配置
三列性の配置では3枚が1セットとなります。つまり、1+2+3、4+5+6、7+8+9がセットとなります。

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葉の根元は鞘があり、茎を覆っています。A. striatulaの次の葉は前の鞘のすぐ下に挿入されています。葉は左右に交互に出ますから、螺旋状に葉は配置されます。また、Aloe broomiiは葉の挿入は連続的で、茎から全ての葉を剥がすことが出来ます。

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Aloe broomii

ほとんどのHaworthiaでは葉は不規則ですが、常に螺旋状の順序になっています。Haworthia wittebergensisには完全に挿入された葉があり、恐らくHaworthia blackbeardiana(現在のH. bolusii var. blackbeardiana)、Haworthia viscosa(現在のHaworthiopsis viscosa)にも当てはまります。

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Haworthiopsis viscosaは典型的な三列性

以上がコラムの内容となります。
2014年はまだアロエ類の分類についての議論が華やかなりし頃でしたから、このような論考があった訳です。とはいえ、単純な外見的特徴から遠近を判断するのは困難ですよね。
AloeやGasteriaは苗の頃は二列性ですが、やがて回転していきます。アロエ類は基本的には向かい合う2枚の葉が回転していきます。アロエ類の葉が回転するのは、全ての葉に効率的に太陽光線を当てるための仕組みです。アロエは茎が伸びて行くものが多いですが、Haworthiaは茎が伸びずにロゼット型となります。

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Aloe spectabilisの苗。左右に葉が向かい合う典型的な二列性です。

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現在のAloe spectabilis。ある程度育つと葉が回転し始めます。

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Haworthia arachnoidea。回転する葉が密について茎が伸びないと、ロゼット型になります。


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fan aloe(扇アロエ)と呼ばれる多肉植物があります。蒼白い上向きの葉が左右に分かれて綺麗に並ぶことから、そのように呼ばれているのでしょう。以前は珍しい多肉植物でしたが、最近では実生苗が出回っています。一般的にはAloe plicatilisという名前で販売されています。しかし、2013年にGordon D.Rowleyによりアロエ属からクマラ属に移されました。つまりは、Kumara plicatilisです。しかし、この過程にも何やらややこしい事情が見え隠れしているようです。非常に面倒臭い話ですからご注意のほどを。書いている私もうんざりする内容です。

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Kumara plicatilis

事の発端は1753年まで遡ります。現在の学名の仕組みを作り出したCarl von Linneが、fan aloeを命名しました。この最初の学名は、Aloe disticha var. plicatilis L.でした。Aloe distichaとは現在のGasteria distichaのことです。というのも、von Linneの時代はまだガステリア属はなく、当時のアロエ属には現在のガステリアやハウォルチアを含んでいたのです。ですから、Gasteria distichaも最初はアロエ属でした。そして、fan aloeは、何故かAloe disticha=Gasteria distichaの変種とされたのです。
1768年にfan aloeは独立し、Aloe plicatilis (L.) Burm.f.とされました。しかし、1786年にKumara disticha Medik.という学名も提案されました。問題はここまでの経緯と、この先のクマラ属に移行する際の混乱です。この混乱についての論文は、Ronell R.Klopper, Gideon F.Smith & Abraham E. van Wykの2013年6月の論文『(2144) Proposal to conserve the name Kumara (Asphodelaceae) with a conserved type』、及び7月でた同著者らの論文である『The correct name of Aloe plicatilis in Kumara (Xanthorrhoeaceae : Asphodeloideae)』に書かれています。

1786年にMedikusはKumara Medik.を創設し、Kumara disticha Medik.という1種類を命名しました。その時の図を見ると、Kumara distichaがfan aloeを指していることが分かります。また、1784年に命名されたAloe tripetata Medik.という異名は、Commelijnの1701年の銅版画に基づくものです。Commelijnの銅版画は明らかにfan aloeを描いています。これは、本来はAloe disticha var. plicatilis L.である必要があります。また、この時にMedikusは、Aloe disticha var. δ(※1)についても言及していますが、これは誤りでGasteria carinata (Mill.) Duval=Gasteria excavata (Willd.) Haw.を示しているようです。MedikusはAloe linguiformis Medik.をAloe disticha var. αに基づいており、Aloe verrucosa(※2)をAloe disticha var. γに基づき命名し、後の1786年にはAloe tristichaをAloe disticha var. βに基づいていました。

(※1)Aloe disticha L.は、現在のGasteria disticha (L.) Haw.を指しているとされていますが、Aloe distichaは他の種類のガステリアを含んだものだったようです。ですから、この場合は異なる種の混合であるAloe distichaを参照としており、仮にAloe distichaの変種δと表現しています。この後に出てくる変種αや変種βも同様です。

(※2)これは1768年に命名されたAloe verrucosa Mill.を示すため誤りで、正しくは1784年に命名されたAloe verrucula Medik.のことを指す。A. verruculaとは現在のGasteria carinata var. verrucosaのこと。

実際にはfan aloeはKumara distichaとは呼ばれずAloe plicatilisの名前が使用されてきました。しかし、遺伝子解析の結果からは、fan aloeがアロエではなくハウォルチアに近縁な仲間であることが分かりました。そうなると、fan aloeをアロエから独立させる時に、忘れ去られていたKumara distichaが浮かび上がって来るのです。
ここで問題が生じます。Kumara distichaは1786年の命名であり、Gasteria Duvalは1809年の命名ですから、もしAloe distichaがKumara plicatilisやGasteria carinataなどの様々な種を含んでいた場合、Aloe distichaはKumaraのバシオニム(基になった名前)となります。つまり、Aloe distichaを現在のGasteria distichaとした場合、GasteriaよりもKumaraの方が命名が早いので、現在のGasteriaは全種類Kumaraにしなければなりません。GasteriaはKumaraの異名となります。当然、Kumara plicatilisはKumara属を旧・Gasteriaに取られてしまったので、新たな命名が必要となります。これは、命名規約を厳密に適応するならば避けられない事態ですが、適応された場合の混乱は必至でしょう。
しかし、著者はKumara plicatilisを保存して、Gasteriaを現在のままにしておくことを提案しています。なぜなら、Gasteriaは200年以上に渡り使用されてきた学名であり、命名法の深刻な混乱を引き起こすからです。そして、Aloe plicatilis (L.) Burm.f.の新たな命名としてKumara plicatilis (L.) Klopper & Gideon F.Sm.を提唱しています。
 
以上が論文の内容となります。内容が込み入っているため、適切に要約出来ているか怪しい部分もあります。しかし、話はこれで終わりではありません。まだ続くのです。やはり、同著者らの2013年8月の論文、『The correct name of Aloe plicatilis, the fan aloe, in the genus Kumara (Asphodelaceae), again』を見てみましょう。
Kumara Medik.がfan aloeであるAloe plicatilis (L.) Burm.f.のために復活した時に、7月の論文で著者らはKumara plicatilisに修正しました。この時に著者らはKumara plicatilis (L.) Klopper & Gideon F.Sm.と命名しました。しかし、2013年の4月にGordon D.Rowleyが『Alsterworthia』のSpecial Issueで、すでにKumara plicatilis (L.) G.D.Rowleyと命名していました。よって、著者らが命名したKumara plicatilis (L.) Klopper & Gideon F.Smは不適切な名前であり、G.D.Rowleyの命名が優先されます。
また、Aloe plicatilisの引用元は1768年の3/1~4/6の出版物で命名されたAloe plicatilis (L.) Burm.f.であり、同年の4/16に命名されたAloe plicatilis (L.) Mill.は採用されません。

以上が論文の簡単な要約です。しかし、Kumara plicatilisのややこしすぎる経緯は、何ともすっきりしない感じがあります。この問題は結局のところ、Aloe distichaの曖昧さと、Aloe distichaに対するMedikusの引用の不確かさが招いた混乱と言えるでしょう。また、Aloe plicatilisやKumara plicatilisの命名にも混乱があり、どちらも同じ年に同じ名前が命名されていますが、タッチの差で採用される名前が決まってしまいます。学術世界も競争の世界なんですね。
この異名の処理については文献学的な資料探索と、実際の多肉植物の学術的な知識が必要ですから、それほど進んでいないのかもしれません。私のブログでもこの手の記事を幾つか書きましたが、まだまだこれからも出てくるのでしょう。見つけましたら、また記事にしたいと思います。



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去年の秋のことです。神奈川県川崎市にあるタナベフラワーで、謎の多肉植物を入手しました。とても変わっていて、見た瞬間頭が疑問符だらけになりました。その多肉植物が「ハオルチア・トリアングラリス」です。名札にはそう書かれていました。しかし、聞いたことがない名前です。Haworthiopsis(硬葉系)であることは見て直ぐにわかりましたが、2022年時点で19種類あるHaworthiopsisにはこの学名はなかったはずです。おかしいなあとは思いつつ、外見的な面白さもあり購入に至った訳です。

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Haworthia triangularis?
三方向に葉を広げます。種小名の「トリアングラリス」とはそのまま「トライアングル」のことですから、外見の特徴から来ていることが分かります。大型で葉の表面にはイボやざらつきはなく、滑らかで艶があります。また、日を浴びると黄色くなります。

さて、帰宅して「ハオルチア・トリアングラリス」を調べてみました。まあ、この場合はHaworthia triangularisですね。Euphorbia triangularisを知っていたので、種少名のスペルも直ぐに分かりましたね。早速検索してみると、何故かほとんど出てきません。海外のあるサイトでは、Haworthia triangularis (Lamarck)とあります。ああ、これは正式な命名規約に乗っとった学名ではないようです。括弧がある場合、属名が変更になったり亜種や変種が独立種になったりと、何かしらの変更があったことを示しています。括弧の中は以前の名前の命名者で、括弧の次に変更後の学名の命名者が来るはずですが、それがないのは実におかしなことだからです。
これは、おそらくはAloe triangularis Lamarckから来ているはずです。なぜなら、1809年にフランスのHenri August DuvalによりHaworthia Duvalが命名されるまでは、大抵のハウォルチアはアロエ属だったからです。ということで、Aloe triangularisを調べると、出てきました。1783年に命名されたAloe triangularis Lam., nom.superfl.です。やはり、推測は正しかったようです。命名者の後の'nom.superfl.'は、既に命名された同じタイプに別の名前がつけられたということですから、そもそも無効ではあります。では、このAloe triangularisは何者かというと、2016年に命名されたHaworthiopsis viscosa (L.) Gildenh. & Klopperのことです。
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Haworthiopsis viscosa
Haworthiopsis viscosaは長い間Haworthiaでしたし、今でもHaworthia viscosaとして販売されています。その学名は1812年に命名されたHaworthia viscosa (L.) Haw.ですから、実に200年以上Haworthiaだった訳です。なるほど、新しい学名が浸透しない訳です。
しかし、初めて命名されたのは、1753年のAloe viscosa L.でした。これは、Aloe triangularisよりも30年早く命名されていますから、このAloe viscosa→Haworthia viscosa→Haworthiopsis viscosaの種小名の系統が正当な学名とされてきた訳です。Aloe triangularisは学術的には継承されず、園芸上はHaworthia triangularisとして使用されてきたということなのでしょう。

さて、ここまで学名を追って来ましたが、重大な問題が浮かび上がります。それは、Aloe triangularisがHaworthiopsis viscosaを指しているのならば、Aloe triangularisは典型的なHaworthiopsis viscosa(当時はAloe viscosa)に対して命名されたのではないかというものです。つまりは、私の所有している"Haworthia triangularis"は、1873年に命名されたAloe triangularisとは別物である可能性もあるのです。
そもそも、私の所有する"Haworthia triangularis"は由来がわからない多肉植物です。野生由来の個体なのか、栽培する中で生まれた突然変異株なのかすら不明です。学名の命名者達がどんな個体を見て命名したのかが分かりませんから、何とも言いようがありません。そもそも、古い論文は探しても見つからないことが多いので、それを確認することは中々困難です。もし、論文を見つけても、その命名の根拠となった標本は海外の大学や博物館にあるわけで、私にはその標本にアクセスする手段がありません。完全に手詰まりです。

ここで、私の所有する"Haworthia triangularis"(以下、引用符で囲った"Haworthia triangularis"は、私の所有する個体を表します)とHaworthiopsis viscosaを比較してみましょう。結構異なる部分があります。サイズが非常に大きく葉も長いことから、葉の重なり具合も異なります。また、Haworthiopsis viscosaの濃い緑色と比べて"Haworthia triangularis"は非常に明るい色です。葉の表面はざらつかず滑らかです。かなりの差があるように思えます。
しかし、自生地のHaworthiopsis viscosaの画像を検索してみると、思いの外その姿に多様性があり驚かされます。サイズや葉の重なり具合だけではなく、葉の表面のざらつき具合すら、かなりの幅があるようです。こうなると、"Haworthia triangularis"は、Haworthiopsis viscosaの変異幅の範疇に収まってしまう可能性が大です。
さて、これで一件落着かと思いきや、まだ続きがあります。Haworthiopsis viscosaには変種があり、Haworthiopsis viscosa var. 
variabilis (Breuer) Gildenh. & KlopperHaworthiopsis viscosa var. viscosaがあります。Haworthiopsis viscosa var. variabilisは、Haworthia variabilis (Breuer) Breuerの方が通りがいいかもしれませんが。さて、この変種variabilisは葉の長さが異なるようですが、幾つかの画像を見た限りではかなりの多様性があるみたいです。もしかしたら、私の"Haworthia triangularis"は、変種variabilisである可能性もあります。しかし、正確な見分け方がわからないので、可能性以上のことは言えません。

長々と書いてきましたが、まだ続きます。というのも、私の所有する"Haworthia triangularis"はAloe triangularis Lam.であるかのように書きましたが、実はAloe triangularisは2種類あるのです。それは、1784年に命名されたAloe triangularis Medik., nom.illeg.です。命名者、命名年、論文が記載された雑誌が異なります。要するに、Aloe triangularisという学名は2回命名されているのです。末尾の'nom. illeg.'は、命名規約の誤用が見られる名前という意味です。Aloe triangularis Medik.は、Haworthiopsis viscosa var. viscosaの異名です。
Aloe triangularis Lam.とAloe triangularis Medik.の違いに気付きましたか? 実はAloe triangularis Lam.はHaworthiopsis viscosaの異名で、Aloe triangularis Medik.は変種viscosaの異名なのです。同じように見えますが全く異なります。なぜなら、Haworthiopsis viscosaとは、変種viscosaと変種variabilisを合わせた名前だからです。つまりは、もし私の"Haworthia triangularis"がAloe triangularis Lam.とされた植物由来ならば、変種viscosaであるか変種variabilisであるかはわからないということになります。しかし、私の"Haworthia triangularis"がAloe triangularis Medik.由来であるならば、それはつまり変種viscosaということになるからです。とはいえ、それを確かめる手段はありませんから、虚しい空論かもしれません。

さて、Haworthiopsis viscosa自体は、Haworthiopsis scabraに近縁と言われているようです。ここで1つ思い浮かんだことがあります。それは、Haworthiopsis scabraとその変種starkianaの関係です。Haworthiopsis scabraというか変種scabraは、実にHaworthiopsisらしく、表面はざらざらしており全体的に暗い色合いです。しかし、変種starkianaは表面はツルツルで明るい色合いです。この関係は何やら私の"Haworthia triangularis"とHaworthiopsis viscosaとの関係に似ているような気がしたからです。こういう変異はよくあるパターンなのかもしれませんね。
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Haworthiopsis scabra var. scabra

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Haworthiopsis scabra var. starkiana

そういえば、Haworthiopsis pungensは、上から見るとちょっと似ていますね。
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Haworthiopsis pungens


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雪女王(Aloe albiflora)はマダガスカル原産の白い花を咲かせるアロエです。アロエの多くは赤~橙系統の花を咲かせますから、白い花のアロエは珍しいと言えます。しかし、なぜ白い花を咲かせるのでしょうか? とても不思議です。少し考えてみました。

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Aloe rubriflora
今年の1月に開催された世田谷ボロ市の出店で購入したばかりですから、まだ花は拝めていません。

アロエの多くは赤~橙系統の花を咲かせます。まず、この点から見ていきましょう。
花に様々な美しい色があるのは、何も我々の目を楽しませるためではありません。ポリネーター(花粉媒介者)にアピールするためです。植物が花を咲かせるのは、花を訪れる動物に花粉を運んでもらい、受粉して種子を作るためです。そのための報酬が甘い蜜で、目立つ色のついた花びらを標識として動物を呼び寄せるのです。日本では一般的に花の受粉は昆虫により行われます。しかし、世界にはハチドリ、ミツスイ、タイヨウチョウなど花の蜜を専門とする鳥も存在しますし、花の蜜を専門としていない鳥でも花の蜜を吸うことは珍しくありません。日本でも梅の花にメジロが訪れ花の蜜を吸っている姿を見ることが出来ます。
アロエが自生するアフリカにはタイヨウチョウが分布し、大型アロエの花にはタイヨウチョウ以外の様々な鳥が訪れ受粉に寄与しています。もちろん、アロエの花にはミツバチやネズミなども訪れますが、受粉のメインは鳥であると考えられており、アロエは鳥媒花とされています。大型アロエは大きな花と大量の蜜が出るため、様々な鳥を呼び寄せます。実は、タイヨウチョウは小型で頭が小さくクチバシが細長いため花の蜜だけを掠め取ってしまい、あまり受粉には寄与していないことが分かっています。そのため、大型アロエはある程度の大きさのある、花の蜜を専門としていない鳥に受粉してもらっているのです。大型アロエの場合、ターゲットは鳥ですから、その赤~橙系の花色は鳥に対するアピールと考えられます。他のアロエ類(アロエに近縁な仲間)を見てみると、GasteriaやAstroloba rubriflora(異名Poellnitzia rubriflora)は赤~橙系統の花を咲かせ、やはり鳥媒花であることが確認されています。
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Aloe arborescensの花

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Gasteria distichaの花

アロエ類は赤~橙系統の花だけではなく、白い花のものも沢山あります。例えばHaworthiaやHaworthiopsis、Astrolobaは白く小さな花を咲かせます。これらは花が小さいため、明らかに虫媒花です。しかも、その細長くすぼまった形から、鱗翅目(チヨウやガ)やハエ目(ハエやアブ)がターゲットなのでしょう。
実はカラフルな花の色はミツバチやマルハナバチを呼び寄せることが明らかとなっています。高山の森林限界を超えると、樹木はほとんど生えることが出来ませんが、様々な草本が花を咲かせ一般的に「お花畑」と呼ばれています。日本の高山のお花畑は非常にカラフルですが、海外の高山ではほとんど白一色のお花畑も存在します。これは、ミツバチやマルハナバチなどの蜜を集める膜翅目昆虫の不在が原因と考えられています。このように、花の色により虫媒花でも引き寄せる昆虫が異なる可能性があるのです。

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Haworthiopsis scabraの花

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Haworthiopsis glauca var. herreiの花

ではAloe albifloraはどうでしょうか? まだ開花していないので花を提示できませんが、アロエらしく釣り鐘型の花です。白く緑色のラインが入っており、花に膨らみが無いこと以外はハウォルチアの花に似ています。どうやら、Aloe albifloraは虫媒花、しかも鱗翅目やハエ目がターゲットのようです。ハウォルチアの花は細長いので、ターゲットはおそらく小型の蛾でしょう。しかし、Aloe albifloraの花はハウォルチアより大きく、しかも少し膨らんだ形です。蜜を吸うために小型のハエなども潜り込めるかもしれません。

とまあ、以上が雪女王について少し考えたことです。大した話ではありませんし、特に根拠のある訳ではありません。所詮は私の狭い知識の内での妄想です。本来はAloe albifloraを調査した論文があればよかったのですが、今のところ見つかっていません。何か面白い情報がありましたら、また記事にします。


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私の好きな多肉植物の産地は、大抵は南アフリカ、マダガスカル、メキシコあたりです。まあ、この辺りは多肉植物の宝庫ですから、実際に種類も豊富です。さて、私もそれなりに多肉植物が増えてきましたが、カナリア諸島やモロッコなど、多肉植物の産地としては少々変わった地域のものもちらほら入手しています。そんなおり、タンザニア原産のユーフォルビアを入手したので色々調べていたら、タンザニアのユーフォルビアについての記事を見つけました。それは、2008年のSusan Carterによる『Euphorbia in Tanzania』です。また、記事ではMonadeniumをEuphorbiaに含める考え方もあると注記がありましたが、現在ではMonadeniumは完全にEuphorbiaとされています。ですから、Monadeniumの学名の後にEuphorbiaとしての学名を追記しました。

タンザニアはケニアと比較すると、ユーフォルビアの多様化は低く、種類も少なくなっています。しかし、人口密度が高い沿岸地域から離れた中央高原は広大で、茂みに覆われツェツェバエ(アフリカ睡眠病を媒介する蝿)が蔓延していることからあまり探索されていません。

北部の草原地帯のSerengetiは、ケニアのMaasai Mara国立保護区よりはるかに広大です。ここでは、巨大な塊根を持つEuphorbia graciliramea PaxとEuphorbia similiramea S.Carter、さらに叢生するEuphorbia uhligiana Paxが見られます。この場所とNgorongoroの火山盆地の間には、2種類の局所的な分布のユーフォルビアが見られます。1つはEyassi湖のほとりのEuphorbia eyassiana P.R.O.Bally & S.Carterで、高さ80cmほどの多肉質の茎は紫がかります。もう1つはManyara湖のRift Valleyの断崖の斜面に見られるEuphorbia elegantissima P.R.O.Bally & S.Carterです。細長い多肉質の茎がブッシュ状となり3mほどになります。

ケニアとの国境沿いを南東に行きキリマンジャロを通り過ぎた北東のParesとUsambarasを横切る丘に到着します。海岸に近いのでよく調査されており、有名なユーフォルビアが生えます。北端にはEuphorbia robecchii Paxが生えます。苗のうちはトゲのある柱サボテン状ですが、大型になると幹は木質化し一見して樹木のように見えます。丘の麓には深い砂質土壌の開けた茂みがあり、Euphorbia heterochroma Paxが生えます。四角柱の柱サボテン状のユーフォルビアで、特徴的な規則的な緑色の斑紋があります。19世紀後半にドイツの博物学者により東アフリカ沿岸部が調査された時に発見された最初の種の一つです。Usambarasの急斜面のさらに南には、高さ15mになるEuphorbia quadrialata Paxが生えます。
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Euphorbia robecchii Paxの苗。Euphorbia robechchiiの名前で流通しているようです。

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大型のEuphorbia robecchiiは樹木状となります。
(P.R.O.Bally, 1954)

ケニアへ広がるこの沿岸地域には、樹木状で沢山の稜があるEuphorbia bussei Paxが見られます。また、3稜のEuphorbia nyikae Paxは、海からの湿気を利用しています。海岸から離れると、1本の幹から無数の枝を密につける有名なEuphorbia candelabrum Kotschyが見られます。

Great Ruaha川を内陸に辿ると、急な断崖のある渓谷に到着します。険しい断崖は植物を保護し、多くのユーフォルビアが生える理想的な生息地です。バオバブの木とともに、Euphorbia quadrangularis Paxは正方形の頑丈でまばらに枝分かれした茎を持ち、その高さは最大3.5mとなります。枝は主茎から直角に広がり、灰色がかった緑色の斑入りです。これはEuphorbia cooperi var. ussanguensis (N.E.Br.) L.C.Leachの分布の北東の限界でもあります。高さ10mとなります。さらに、断崖に沿って行くと、固有種のEuphorbia greenwayi P.R.O.Bally &S.Carterが生えます。高さは30cmで暗赤色のトゲと青みがかる斑入りの茎が特徴です。
さらに、6種類以上の非常に異なったモナデニウムが生え、そのうち4種類はこの地域から固有です。急斜面の丘の中腹には高さ3.5mになる樹木、Monadenium elegans S.Carter=Euphorbia biselegans Bruynsが生えます。美しい紫がかる褐色のフレーク状の樹皮を持ち、明るい色の葉を持ちます。高さ4mになり、まばらに枝分かれした低木であるMonadenium arborescens P.R.O.Bally=Euphorbia neoarborescens Bruynsは、太い多肉質の緑色の茎と25cmになる大型で多肉質の葉をつけます。この種は、関連するMonadenium spectabile S.Carter=Euphorbia spectabilis (S.Carter) Bruynsと同様に谷底に生え、高さ3mで多肉質の大きなは木質葉があります。この地域の4つ目の固有種はMonadenium magnificum E.A.Bruce=Euphorbia magnifica (E.A.Bruce) Bruynsです。丘の麓のブッシュランドのさらに北で見つかりました。高さ1.5mほどの低木で、15cmの多肉質の葉を出します。

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Euphorbia greenwayi P.R.O.Bally

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Monadenium magnificum E.A.Bruce
=Euphorbia magnifica (E.A.Bruce) Bruyns


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茎や葉の裏に沢山のトゲをつけます。

他の地域にも分布するモナデニウムは2種類で、丘の間の低木地帯で見られます。Monadenium goetzei Pax=Euphorbia neogoetzei Bruynsは3種類の固有種と関連しています。草本性の多年草で、茂みの中から75cmまで育ちます。長さ17cmの多肉質の葉を持ちます。また、下草の中にはMonadenium schubei (Pax) N.E.Br.=Euphorbia schubei Paxがマット状に育ちます。時に高さ1m近く育ちます。

開けた茂みを南西に進むと、Euphorbia quadrangularisが豊富です。しかし、しばしば家畜が放牧されており、環境は渓谷とは異なります。緑がかる褐色の茎と1cmを超えるトゲを持つEuphorbia reclinata P.R.O.Bally & S.Carterが自生します。マラウイとザンビアに隣接する山の麓には、塊根を持つEuphorbia tetracanthoides Paxが見られます。

タンガニーカ湖の東岸に沿う低い丘を北に向かうと、Euphorbia grantii Oliv.が見られます。小さく枝分かれした樹木で多肉植物ではありません。葉は長さ30cmにもなります。関連する種としては、高さ3mの低木であるEuphorbia goetzei Paxがあります。ザンビアとマラウイにも分布します。多肉植物ではありません。同じく、関連するEuphorbia matabelensis Paxは鋭く尖った枝を持つ低木で、多肉植物ではありません。分布は南アフリカまで広がっています。
この丘には多肉質のユーフォルビアもあり、Euphorbia angustiflora Paxなどトゲのある種が知られています。マット状に育つこともあります。また、Euphorbia rubrispinosa S.Carterは明るい緑色で、4稜の茎と暗赤色のトゲを持ちます。


以上が記事の要約です。
タンザニアの多肉植物はあまり聞きませんが、非常に魅力的なユーフォルビアが沢山自生していることが分かります。しかし、それだけではなく、タンザニアの西部にはまだ未調査な部分があると言いますから、まだ知られていない未知のユーフォルビアが存在するかもしれません。今後に期待しましょう。



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本日は2022年のColin C.Walkerの記事、『Euphorbia evolution and taxonomy』をご紹介します。タイトルは「ユーフォルビアの進化と分類学」ですが、内容的には2021年に発表されたユーフォルビアに関する論文の紹介記事です。記事は3つのパートからなっています。早速、記事を見てみましょう。

①ユーフォルビアの分類
遺伝子解析の発達は、長い歴史を誇る植物分類学を一新してしまいました。特にここ10年と少しで急速に普及・発展し、その精度も高くなっています。全世界の植物学者が協力して植物の分類を決定しようとしたAPGというプロジェクトがあり、分類体系は様変わりしました。遺伝子解析によりユーフォルビアの分類も大きな影響を受けることになりました。

さて、ユーフォルビアは種類も多く姿も多様ですが、近年の遺伝子解析においてまとまりのあるグループであることが明らかとなっています。今までユーフォルビアから分離されてきたグループも、ユーフォルビアに合併される傾向があります。
2021年の論文、『Plastome evolution in the hyperdiverse genus Euphorbia (Euphorbiaceae) using phylogenomic and comparative analysis : large - scale expansion and contraction of the inverted repeat region』では、ユーフォルビア属は単系統です。Chamaesyce、Cubanthus、Eleophorbia、Endadenium、Monadenium、Pedilanthus、Poinsettia、Synadeniumは、ユーフォルビア属内で他のユーフォルビアと入れ子状となっていることが示されています。ユーフォルビア属の4つの亜属である、Athymalus、Chamaesyce、Esula、Euphorbiaは単系統でした。

次にやはり2021年の論文、『Euphorbia mbuinzauensis, a new succulent species in Kenya from the Synadenium group in Euphorbia sect. Monadenium (Euphorbiaceae) 』では、わずか14種類のグループであるシナデニウム属に焦点を当てています。シナデニウムは以前は熱帯アフリカの東部と南部のみに分布する、高さ18mまでの樹木です。既知の植物と一致しない種が発見されたので、分子生物学的研究が行われました。この新種はEuphorbia mbuinzauensisと命名されました。ケニア原産の高さ4mほどの低木です。この研究によりシナデニウム属がユーフォルビア亜属の構成員であることを確認しました。

②マダガスカル・ユーフォルビアの学名の改定
2番目はマダガスカルのユーフォルビアについての論文です。2021年の2本の論文、『Novelties in Malagasy Euphorbia (Euphorbiaceae)』と『Taxonomic change and new species in Malagasy Euphorbia』です。

マダガスカルには200以上のユーフォルビアがあり、多様性があります。この2つの論文ではその分類法と命名法を再評価しています。マダガスカルのユーフォルビア48種類を評価しており、これらの論文の種名の変更を基に、将来的に学名が大きく改定される可能性があります。

1つ目の論文の焦点は、花キリンEuphorbia miliiの分類方法の再検討です。E. miliiの由来は1826年の命名以来謎のままであり、この名前は園芸業界で様々な品種に対して総称として使用されています。Euphorbia milii Des Moul.の名前は、先端を切ったような葉の種類に限定されます。楕円形の葉を持つ、赤色や黄色の花(苞)を持つ良く栽培される種類をEuphorbia splendens Bojer ex Hookerの名前で復元されています。
他のE. milii複合体については以外の通りに改定されております。
E. milii var. longifolia→E. betrokana
E. splendens var. bevilaniensis→E. bevilaniensis
E. splendens var. hislopii→E. hislopii
E. milii var. imperatae→E. imperatae
E. milii var. bosseri→E. neobosseri
E. milii var. roseana→E. roseana
E. splendens var. tananarivae→E.tananarivae
E. milii var. tenuispina→E. tenuispina


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Euphorbia imperatae cv. 

また、Euphorbia bosseri Leandriの分類方法も改定され、一般的なE. platycladaは異名となります。E. platyclada var. hardyiはEuphorbia hardyiとして変種から独立種に昇格しました。

他にも、いくつかの低木種の分類も改定されました。
E. primulifolia var. begardii→E. begardii
E. francoisii var. crassicaulis→E. crassicaulis
E. perrieri var. elongata→E. paulianii
E. berevoensis(E. nicaiseiを含む)
E. delphinensis
E. fanjahiraensis(E. isalensisを含む)
E. guillemetii(E. beharensisを含む)
E. leandriana(E. horombensisを含む)
E. mangokyensis(E. razafindratsiraeを含む)
E. pachyspina
E. perrieri
E. psammiticolia
E. werneri


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Euphorbia begardii

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Euphorbia mangokyensis

2番目の論文では、14種類ものマダガスカルの新種ユーフォルビアが記載され、近縁な種類と比較しています。その14種は、E. agatheae、E. atimovatae、E. fuscoclada、E. graciliramulosa、E. kalambatitrensis、E. linguiformis、E. mahaboana、E. makayensis、E. multibrachiata、E. parvimedusae、E. perrierioides、E. rigidispina、E. spannringii、E. tsihombensisです。
また、非公式なE. rubrostriataグループの新しい組み合わせが提案されています。E. itampolensis(E. neobosseri var. itampolensis)、再評価されているのはE. mahafalensis、E. rubrostriata(E. mainianaを含む)、E. xanthadenia(E. croizatii、E. ebeloensis、E. emiliennaeを含む)です。
さらに、新しい異名と新しい組み合わせが提案されています。
E. moratii var. antsingiensis→E. antsingiensis
E. enterophora subsp. crassa→E. crassa
E. rangovalensis(E. castilloniを含む)
E. enterophora→E. xylophylloides

③Euphorbia susannaeの調査
3つ目は、日本ではすっかり普及種となったEuphorbia susannaeについてです。その論文は2021年の『Population biology and ecology of the endangered Euphorbia susannae Marloth, an endemic to the Little Karoo, South Africa』です。著者らはE. susannaeの分布と環境を調査し、野生のE. susannaeの個体数が非常に少数であることを報告しています。
実はこの論文は既に記事にしています。詳細は以下のリンクをどうぞ。


最後に
以上が最新のユーフォルビアのニュースとなります。ユーフォルビアは種類が多い割に論文が少なく、園芸的に人気があるアフリカの多肉質なユーフォルビアとなると、残念ながらほとんどない状態です。しかし、ユーフォルビア属自体は大変動の最中で、モナデニウム属などがユーフォルビア属に吸収合併されました。ユーフォルビア属内の大まかな分類も概ね解決しており、後は詳細な種の所属を明らかにすることや、種同士の関係性が気になるところです。次にマダガスカルのユーフォルビアについてですが、これは非常に大きな改定です。これからの分類が刷新される可能性もあり、重要な論文かもしれません。時間があれば一度読んでみたいと思っています。最後にEuphorbia susannaeについてですが、これは思いの外重要な論文です。多肉植物は、環境破壊や違法採取などにより、個体数を減らしたり絶滅が危惧されているものも沢山あります。しかし、希少植物を保護するにせよ現地調査は欠かせません。まずは知るところからがスタート地点です。しかし、残念ながらアフリカのユーフォルビアは、減少している可能性があるといった曖昧な情報が多く調査もなされていないため、仮に絶滅していてもそのことすら感知されない可能性があります。大変悲しいことです。


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昨年の夏頃に安価なミニ多肉として販売されていたE. リカルドシアエという名前のユーフォルビアを購入しました。このリカルドシアエは、マラウイ原産のEuphorbia richardsiaeのことですが、画像検索すると外見が異なるものが出てくるので、以前から気になっていました。取り敢えず、リカルドシアエの情報をまとめた記事がこちらです。
しかし、最近ユーフォルビアの画像を色々漁っていた時に、我が家のリカルドと似た画像が偶然見つかりました。それが、グリセオラ、つまりはEuphorbia griseolaです。龍尾閣という名前もあるようです。
我が家の謎のユーフォルビアの特徴を見てみましょう。

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トゲとトゲの間がつながっており、直線的に育ちます。E. richardsiaeはトゲが繋がらず、グネグネと歪曲しながら育ちますから明らかに特徴が異なります。どうにも、E. griseolaと特徴が符合します。

グリセオラの学名は1904年に命名されたEuphorbia griseola Paxです。亜種としてE. griseola subsp. griseola、E. griseola subsp. mashonica、E. griseola subsp. zambiensisがあります。
分布はかなり広く、ボツワナ、マラウイ、モザンビーク、南アフリカ、ジンバブエ、ザンビア、ザイールの原産です。原産地や育て方の情報はありませんが、育てた感想としてかなり生長が早く育てやすいと思います。
Dolomite euphoriaなる名前も出てきましたが、ドロマイトは苦灰石のことです。苦灰石を加工したものが苦土石灰ですから、アルカリ土壌に生えるのでしょうか?

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Euphorbia griseola Pax

ついていたラベルの名前が間違えているというのは、非常に困ったことです。特にユーフォルビアは類似したものも多く種類も多いので、似た種類をすべてピックアップして比較するということは非常に困難です。しかし、これは生産者が勝手に適当なラベルを挿した訳ではないと思います。生産者がうっかり間違った可能性もありますが、おそらくは購入した種子の名前が間違っているのでしょう。基本的に生産者は種子に書いてあった名前を、そのままラベルに記入しています。実際に、海外の種子で2種類の植物が混同されていたり、実生苗の学名のスペル・ミスがあちこちの生産者で共通していることが結構あります。ですから、この名前の誤りはそう簡単には解決しない問題と言えるでしょう。


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1937年にドイツで出版された『Kakteenkunde』を見つけたのですが、残念ながらドイツ語はまったく分かりません。しかし、索引を眺めていたら、なんとユーフォルビアについて書かれた記事があるみたいです。これは内容が非常に気になります。仕方なく機械翻訳にかけてみました。若干、怪しい翻訳文ですが、86年前に書かれた実に興味深い記事です。
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記事のタイトルはVon Paul Stephanの『Einige wenig bekannte Euphorbia』、つまりはポール・ステファンによる「幾つかのあまり知られていないユーフォルビア」です。おそらく、Paul Stephanはハンブルク植物園で多肉植物のコレクションの管理をした植物コレクターのことでしょう。Paul Stephanは1929年にConophytum stephaniiの種小名に献名されていますね。この記事ではポール・ステファン氏が自慢のユーフォルビア・コレクションを写真付きで紹介しています。

Euphorbia stellata Willd.
ポール・ステファン氏の解説 : 太くて短い円筒形の幹の上から多数の枝が出ます。幹の樹皮は灰褐色で棘はありません。枝は暗い緑色で褐色の棘があります。枝は上部が凹み、幅は最大2cmで一対の棘で強化されています。棘は赤褐色で長さは2~3mmです。Euph. stellataは「Berger」ではEuph. uncinata DCとされていますが、これは古い名前で有効な名前であるstellataと呼ぶ必要があります。古くから知られていますが、コレクションには滅多に見られません。
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ポール・ステファン氏のコレクションの写真。何故か写真の学名は、Eu. uncinnataとなっていました。本来はstellataです。しかも、uncinataをuncinnataと誤植されています。枝が短いせいか、あまりE. stellataらしく見えませんね。むしろ、Euphorbia tortiramaに見えてしまいます。水を少なく遮光しないで育てているのかもしれません。

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E. stellataは日本では飛竜の名前で知られています。E. stellata Willd.は1799年の命名、E. uncinata DC.は1805年の命名です。数年前は日本でも割と珍しいユーフォルビアで、思いの外高額でした。現在は苗が出回っており、だいぶお値段も落ち着きました。

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Euphorbia tortirama

Euphorbia inermis Mill.
ポール・ステファン氏の解説 : Euph. inermis Mill.はEuph. caput-medusae L.の近縁種ですが、はるかに強力な側枝が異なる点です。caput-medusaeにある若い芽は失われています。枝の肋とこぶははるかに顕著です。幹は緑色で下部に向かうほど灰色になります。
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ポール・ステファン氏のコレクション。下の私の所有している個体と良く似ています。

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E. inermisは日本では九頭竜と呼ばれています。E. inermisは1768年の命名です。日本では量産されており、入手しやすいタコものユーフォルビアです。あまり強光を好まないみたいです。

Euphorbia valida N.E.Br.
ポール・ステファン氏の解説 : Euph. meloformisに最も近縁ですが色が異なります。花の残骸が残っていないため無防備です。それ以外はほぼ同じ植物で、Marlothによるとmeloformisの生長形態が異なるだけに過ぎないと言います。
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ポール・ステファン氏のコレクション。花柄は残っていません。かなり大型の個体のようです。

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Euphorbia validaとされる個体。花柄はあまり出ません。縞模様がよく目立ちます。現在、E. valida N.E.Br.、あるいはE. meloformis subsp. valida (N.E.Br.) G.D.Rowleyは、E. meloformis Aitonと同種とされています。原産地では、E. meloformisともE. validaともつかない中間個体が多いようです。要するに、多様な個体の中で特徴的なものをピックアップして命名されただけかもしれないのです。

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縞模様がほとんどない個体。花柄は長く伸びます。validaとは、ラテン語で「validus=強い」から来ています。

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Euphorbia infausta N.E.Br.は、現在はE. meloformisと同一種とされています。花柄は弱く残りにくいタイプです。

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貴青玉
E. meloformisのことを貴青玉と呼んでいたみたいですが、最近ではE. meloformis系交配種のことを貴青玉と言っているみたいです。


Euphorbia Suzannae  Marl.
ポール・ステファン氏の解説 : ほぼ球形で複数の稜があります。長さ10mmまでのイボがあり、マミラリアのような外見です。灰緑色。若い時は単頭で、やがて枝分かれします。
※誤植があります。種小名は本来は小文字で、さらにsuzannaeではなくsusannaeです。

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ポール・ステファン氏のコレクション。こちらには、Euph. Susannae Marl.と表記されていました。良くしまった美しい個体です。イボが長くて尖るタイプ。

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E. susannaeは日本では瑠璃晃と呼ばれることもありますが、あまり使われないかもしれません。私の所有個体はイボが短く丸味があるタイプです。そういえば、命名者のHermann Wilhelm Rudolf Marloth(ドイツ出身で南アフリカで活動した植物学者)の略はMarl.となっていますが、正式な学名の表記ではMarlothです。まあ、1937年の命名規約がどうなっていたかは分かりませんが。

以上がポール・ステファン氏のユーフォルビア・コレクションの紹介でした。しかし、まさか80年以上前のドイツのユーフォルビア・コレクションを写真で見られるとは思っておりませんでしたから、私も感銘を受けました。こういう記事をもっと書きたいと思うものの、中々古い時代の出版物は探しても見つからないことが多く難しいですね。一応は少しずつ探索を継続する予定です。


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年末年始に木更津Cactus & Succulentフェアと新年のサボテン・多肉植物のビッグバザールがありましたから、そちらを優先したので気付けば鶴仙園にも去年の秋以来顔を出していませんでした。2月は個人的に気になる多肉植物のイベントはないようですし、都内に所用があるついでに池袋の鶴仙園を見てきました。金曜日は関東地方でもそれなりに雪が降りましたから積雪を心配しましたが、その後に雨が続いたのですっかり溶けてなくなりました。というわけで、鶴仙園に昨日行って来ました。
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前日の雪と雨が嘘のような快晴でした。

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今回はどのような多肉植物があるでしょうか?

今回はエケベリアとメセンは沢山ありましたが、私の好きな硬葉系ハウォルチアは、ほとんどありませんでした。相変わらず軟葉系ハウォルチアはうなる程ありましたが。あと、まだケープバルブも健在でした。サボテンの部屋には、入り口に交配系ガステリアが沢山ありましたね。サボテンは五反田TOCのビッグバザールでもお馴染みのRuchiaさんの出していたギムノカリキウムが結構ありました。
しかし、まあ2月ですから多肉植物はオフ・シーズンです。それほどめぼしいものはありませんでした。今回はサボテンの苗と特に珍しいわけではないユーフォルビアを購入しました。

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Gymnocalycium andreae v. leucanthum LB15239
G. andreaeはいわゆる黄蛇丸ですが、現在G. andreaeには変種はありません。しかし、v. leucanthumは現在ではG. andreaeの異名とはされていません。何やらG. bruchii系という情報もありますね。

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白角キリン 
Euphorbia resiniferaです。珍しいユーフォルビアではありませんが、モロッコ原産の多肉ユーフォルビアはあまりありませんね。ただし、白角キリンには以前から気になっていたことがあります。そのうち、記事にします。

それほど購入しませんでしたが、久しぶりの訪問で沢山の多肉植物を見れて良かったです。今日は店主の鶴岡秀明さんもいらっしゃいましたね。
去年は新型コロナの自主的な自粛もあり、鶴仙園へは朝イチで行って昼は家に帰っていましたが、色々解禁の雰囲気がありますから今日は西武池袋をあちこち見て回りました。デパ地下を2時間以上彷徨い歩いて惣菜だのお菓子だのを買い込みました。多肉植物が安くすんだ代わりに、こちらでだいぶ使ってしまいました。


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去年の秋頃のことでしたか、休日出勤でヘロヘロになりながら、帰りに池袋の鶴仙園に立ち寄りました。鶴仙園は毎度凄まじい量のハウォルチアがありますが、かつて硬葉系ハウォルチアと呼ばれたHaworthiopsisは少数派です。十二の巻あたりはいつでもありますが、それ以外は入荷次第な部分もあります。その時はなんとフィールドナンバー付きのHaworthiopsisがあったので購入しました。Haworthiopsis coarctata、つまりはいわゆる九輪塔です。

フィールドナンバー
フィールドナンバーは採取した場所などの情報が記載されています。フィールドナンバーが異なれば採取された地点が異なりますから、フィールドナンバーごとに特徴が異なります。
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Haworthia coarctata DMC06356 IB5850
ラベルはフィールドナンバーの情報に基づくため、Haworthiopsisにはなっていません。IBはIngo Breuer、DMCはDavid M. Cummingの略です。後ろの2つがフィールドナンバーですが、2つあるのはおかしな気もします。しかし、IBナンバーは他のフィールドナンバーから来ていることもあるようですから、この場合はIB5850=DMC06356なのでしょう。
さて、採取地点はFarm Begelly, 12km S of Grahamstownということです。グレアムズタウンは南アフリカの南東部です。グレアムズタウンの南に12kmですから、ポート・エリザベスとポート・アルフレッドの中間くらいかもしれないですね。


H. coarctataの分布
H. coarctataの分布は、西側はPort Erizabethで東側はGreat Fish Riverまでです。東側のさらに先にはHaworthiopsis fasciataが自生します。H. coarctataの分布は良く似たHaworthiopsis reinwardtiiと隣接するようです。
混同されがちなH. reinwardtiiとの見分け方は中々難しいところがあるようです。H. coarctataの結節は滑らかで丸味があり、H. reinwardtiiの結節は偏平で大型と言われます。しかし、実際に自生地で野生のH. coarctataとH. reinwardtiiを見分けるのは、大変難しいようです。

H. coarctataの学名の変遷
H. coarctataはやはりH. reinwardtiiと関連付けられがちで、H. reinwardtiiの変種とされたりして来たようです。1824年にはじめて命名された時は、Haworthia coarctata Haw.でしたが、1997年にはHaworthia reinwardtii subsp. coarctata (Haw.) HaldaHaworthia reinwardtii var. coarctata (Haw.) Haldaとされたこともあります。異名として、1829年に命名されたAloe coarctata (Haw.) Schult. & Schult.f.や、1891年に命名されたCatevala coarctata (Haw.) Kuntze.もあります。2013年にハウォルチアから独立しHaworthiopsisとなり、Haworthiopsis coarctata (Haw.) G.D.Rowleyとなり、これが現在認められている学名です。また、2016年にはHaworthiopsis reinwardtii var. coarctata (Haw.) Breuerが命名されており、やはりH. coarctataをH. reinwardtiiと関連付ける考え方は健在のようです。
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Haworthiopsis reinwardtii

変種アデライデンシスの学名の変遷
さて、H. coarctataには3つの変種があります。1つ目の変種は最初はやはりH. reinwardtiiの変種とされ、1940年にHaworthia reinwardtii var. adelaidensis Poelln.とされました。1973年にはHaworthia coarctata subsp. adelaidensis (Poelln.) M.B.Bayer、1999年にはHaworthia coarctata var. adelaidensis (Poelln.) M.B.BayerというH. coarctataの変種や亜種とする意見も出てきました。2010年には独立種であるHaworthia adelaidensis (Poelln.) Breuerも命名されました。最終的には2013年にHaworthiopsis coarctata var. adelaidensis (Poelln.) G.D.Rowleyと命名されています。他の異名として、1944年に命名されたHaworthia reinwardtii var. riebeekensis G.G.Sm.、1945年に命名されたHaworthia reinwardtii var. bellula G.G.Sm.、1983年に命名されたHaworthia coarctata f. bellula (G.G.Sm.) Pilbeamがあります。

変種テヌイス
2つ目の変種は、やはりH. reinwardtiiの変種とされ、1948年にHaworthia reinwardtii var. tenuis G.G.Sm.と命名されました。1973年にはHaworthia coarctataの変種とされHaworthia coarctata var. tenuis (G.G.Sm.) M.B.Bayerとなりました。2010年には独立種とするHaworthia tenuis (G.G.Sm.) Breuerもありました。最終的に2013年にHaworthiopsis coarctata var. tenuis (G.G.Sm.) G.D.Rowleyと命名されました。2016年にはHaworthiopsis reinwardtii var. tenuis (G.G.Sm.) Breuerという学名も命名されています。

変種コアルクタタの異名
ちなみに、変種アデライデンシスと変種テヌイスが出来たことにより、自動的に変種コアルクタタ、つまりHaworthiopsis coarctata var. coarctataが出来ました。というのも、H. coarctataとは、変種アデライデンシス+変種テヌイス+変種コアルクタタのことだからです。変種アデライデンシスと変種テヌイスが命名された時点で、変種アデライデンシスと変種テヌイスではないH. coarctataにも命名が必要となるのです。
しかし、変種コアルクタタには恐ろしいほどの異名があります。面倒なので年表形式で示しましょう。
1880年 Haworthia greenii Baker
              Haworthia peacockii Baker
1891
年 Catevala greenii (Baker) Kuntze
              Catevala peacockii (Baker) Kuntze
1906年 Haworthia chalwinii
                         Marloth & A.Berger
1932年 Haworthia fallax Poelln., orth.var.

1937年 Apicra bicarinata
                         Resende, nom.illeg.
              Haworthia reinwardtii
                         var. conspicua Poelln.
1938年 Haworthia resendeana Poelln.
1940年 Haworthia reinwardtii
                         var. pseudocoarctata Poelln.
1943年 Haworthia coarctata var. haworthii
                          Resende
              Haworthia coarctata
                          var. krausii Resende
              Haworthia coarctata
                          f. major Resende
              Haworthia coarctata
                          f. pseudocoarctata Resende
              Haworthia reinwardtii var. chalwinii
                       (Marloth & A.Berger) Resende
              Haworthia reinwardtii
                       var. committeesensis G.G.Sm.
              Haworthia greenii f. bakeri Resende
              Haworthia greenii f. minor Resende
              Haworthia greenii var. silvicola
                               G.G.Sm.
              Haworthia fulva G.G.Sm.
1944年 Haworthia baccata G.G.Sm.
              Haworthia reinwardtii
                         var. huntsdriftensis G.G.Sm.
1948年 Haworthia coarctatoides Resende
              Haworthia musculina G.G.Sm.
1973年 Haworthia coarctata var. greenii
                         (Baker) M.B.Bayer
1983年 Haworthia coarctata f. chalwinii
                         (Marloth & A.Berger) Pilbeam
              Haworthia coarctata f. conspicua
                         (Poelln.) Pilbeam
1997年 Haworthia reinwardtii
                          var. greenii (Baker) Halda
1999年 Haworthia coarctata f. greenii
                         (Baker) M.B.Bayer
2016年 Haworthiopsis resendeana
                         (Poelln.) Gildenh. &Klopper
              Haworthiopsis reinwardtii
                          var. greenii (Baker) Breuer

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Haworthiopsis resendeana
残念ながら変種コアルクタタの異名となり、吸収されてしまいました。

最後に
ここ数年来のエケベリアや近年のアガヴェ・ブームと比べれば細やかですが、透明な窓が美しい交配系の軟葉系ハウォルチアを中心にハウォルチアも流行の兆しがあります。しかし、硬葉系ハウォルチア=ハウォルチオプシス人気は今一つです。硬葉系は肌がざらつき暗い色合いだったり渋い存在ですから、好きな人は好きなんですけど、園芸店はおろかビッグバザールなどの販売イベントですら中々販売していないのが悩みどころです。そんな中でも、鶴仙園さんはハウォルチアに対する期待値は高いのですが、硬葉系が有るか否かは運次第です。頻繁に通いたいところですがそうも行かないのが悩みです。


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今年の正月明けに五反田TOCで開催された新年のサボテン・多肉植物のビッグバザールで、Euphorbia greenwayiというユーフォルビアを入手しました。赤いトゲと蒼白い肌色が大変美しいですね。どのような多肉植物なのでしょうか? 少し調べてみました。

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Euphorbia greenwayi

調べてわかったこととして、E. greenwayiはあまり情報がないということです。とは言うものの、実は論文が1報出ているのですが、何故かE. greenwayiの成分の殺菌作用について調べたものでした。ユーフォルビアは毒性のある乳液を出しますから、その成分を調べた論文は沢山出ています。ですから、この手の論文は珍しくはありませんが、研究者がヨーロッパに多いこともありヨーロッパのユーフォルビア、あるいは世界中に移植されているEuphorbia tirucalli(ミルクブッシュ、緑珊瑚)が一般的で、わざわざE. greenwayiを使うのは珍しいと言えば珍しいですね。とはいえ、化学的な内容のものも多いため、あまり読む気にはなりません。というわけで、一般的な情報について記していきます。
E. greenwayiはタンザニア原産の希少なユーフォルビアです。というのも、分布するのはIringa断崖のみの1箇所で、推定される生息範囲はたった3km2に過ぎないと言います。海抜は1000~1250mほどです。

E. greenwayiの学名は1974年に命名されたEuphorbia greenwayi P.R.O.Bally & S.Carterです。E. greenwayiを命名したP.R.O.Ballyとは、スイスの植物学者、植物画のイラストレーターであるPeter Rene Oscar Ballyのことです。S.Carterとはユーフォルビアとモナデニウムの専門家で、キュー王立植物園のSusan Carter Holmesのことです。国立ユーフォルビア協会の会長です。ちなみに、種小名はイギリスの植物学者で、タンザニアやケニアで研究したPercy (Peter) J.Greenwayに対する献名です。1987年には亜種のEuphorbia greenwayi subsp. breviaculeata S.CarterEuphorbia greenwayi subsp. greenwayiが命名されています。

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我が家に来てからまだ1ヶ月ですが、根元から新芽が吹いてきました。1月は氷点下にもなりましたが、最近は0℃以上の日が続いてますね。とはいえ、まだまだ寒い日が続いています。それでも、E. greenwayiは一足早く春の気配を感じているのかもしれません。

アフリカのユーフォルビアは素晴らしいものが多いのですが、環境破壊などにより絶滅を危惧されている種が沢山あります。E. greenwayiは生息域が狭く限られています。しかも、薪や炭焼きのために生息域の森林が伐採されており、環境が悪化し個体数を減らしているということです。非常に美しい植物ですから、自生地で絶滅してしまわないことを願っております。


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去年の春先に、異常な暑さと信じがたい日射しが我が家の多肉植物を襲いました。例年真夏でも無遮光で耐える強者揃いでしたが、室内から出してまだ慣れていないこともあり、一部は焼けたり焦げたり萎れたりして大変なことになりました。そんな中、Euphorbia cylindrifoliaは顔色1つ変えることなく平然としていましたが、近縁なEuphorbia ambovombensisは葉を完全にやられてしまいました。

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古い葉は全滅。何ともみすぼらしい姿に…
しかし、E. ambovombensisも花キリンの端くれですから、直ぐに強光に耐えられる新しい葉を沢山出すはずです。根に問題があれば別ですが、根張りがしっかりしていたので遮光はしませんでした。別に特別強光に弱いわけではないのですから平気なはず。

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現在のE. ambovombensis。葉はすっかり生え揃いました。しかし、我が家のE. ambovombensisは他の塊根性花キリンと比べて、生長が非常に遅く中々育ちません。新しい葉もあまり出ないのですが、葉がなくなったので流石にあわてて葉を出したみたいです。

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相変わらず枝は地を這うが如くです。厳しく育てているせいか枝が増えませんが、甘やかすと間延びしてしまいそうで怖くはあります。そういえば、去年は植え替えましたが、塊根が太るというよりずいぶん伸びたので少し浅植えしました。この時際が少しくびれているのは、何が原因なんでしょうね? Pachypodium succulentumもそんな感じでした。すべての塊根がそうだという訳ではありませんが少し不思議です。


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去年、鶴仙園西武池袋店でPlant's Workさんとのコラボイベントがあり、沢山の珍しいハウォルチアが並びました。私も参戦してフィールドナンバー付きのHaworthiopsis woolleyiを入手しました。H. woolleyiを見たのははじめてのことでしたから、非常に嬉しかったのを覚えています。本日はそんなH. woolleyiについて調べてみました。

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購入時のH. woolleyi。ラベルには'H. venosa ssp. wooleyi GM079 South of Kleinpoort'とありました。これは古い学名ですが、Plant's Workさんが間違えている訳ではありません。フィールドナンバーは採取された時点の情報で登録されていますから、フィールドナンバーの登録情報が現在と異なることは珍しいことではありません。そして、フィールドナンバーの情報を記載するのが普通です。なぜなら、最新の学名はまたいつか変更されるかもしれないからです。とはいえ、よく見ると'woolleyi'ではなく'wooleyi'となっており、間違いがありますが、これは元のフィールドナンバーの登録情報の誤りのようです。

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現在のH. woolleyi。我が家に来てわずか5ヶ月程度ですが、一回り大きくなった気がします。

H. woolleyiは、1937年に年にHaworthia woolleyi Poelln.と命名されました。さらに、1997年にはHaworthia venosa subsp. woolleyi (Poelln.) Haldaとなりヴェノサの亜種とされました。しかし、最終的にはGordon D.Rowleyにより2013年にハウォルチオプシス属とされ、ヴェノサの亜種ではなく独立種に戻りました。現在はHaworthiopsis woolleyi (Poelln.) G.D.Rowleyが認められた学名です。また、2016年にはHaworthiopsis venosa var. woolleyi (Poelln.) Breuerも提唱されており、H. venosaと関係があるという考え方は一貫しています。
そういえば、H. woolleyiがはじめて命名された1937年のKarl von Poellnitzの論文、『Vier ndue Haworthia-Arten』を読むことが出来ました。非常に簡素で、図はなく特徴を羅列している無駄のない論文です。この論文では、ハウォルチアの新種を4種類命名しています。1つ目はHaworthia gordonianaで、これは現在のHaworthia cooperi var. gordonianaのことです。2つ目はHaworthia woolleyiですが、何故かHaworthia woolleyiiとiが重複しています。このHaworthia woolleyiiが採用されていない理由は分かりませんが、語尾の形式は決まっているため訂正があったのかもしれません。3つ目はHaworthia stayneriiで、これは現在のHaworthia cooperi var. piliferaのことです。4つ目はHaworthia emelyaeです。ちなみに、H. woolleyiの種小名はStapelia収集家のC.H.F.Woolleyに対する献名ということです。


最後にフィールドナンバーの情報を見てみましょう。やはり、H. woolleyiではなくH. wooleyiとなっています。Plant's Workさんの情報は正確ですね。
Field number : GM 79
Collector : J. Gerhard Marx
Species : Haworthia venosa ssp. wooleyi
Locality : South of Kleinpoort, Eastern Cape, South Africa


残念ながら採取年は分かりません。採取地のKleinpoortはポート・エリザベスの近くですね。私の所有するHaworthiopsis fasciata DMC 05265の採取地はN. Hankey(ハンキー北部)とありますから、South of Kleinpoort(クレイン・プアトル南部)は非常に近いか可能性があります。フィールドナンバーがついていると、このようなこともわかり面白いですね。
そういえば、収集者のGerhard Marxは南アフリカの著名な芸術家で、ハウォルチアのコレクションでも有名です。自ら素晴らしい野生のハウォルチアの絵を書いており、幾つかの新種の多肉植物を発見しています。このH. woolleyiのように、Gerhard Marxにより採取されたフィールドナンバー付きのハウォルチアも沢山あります。



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グロエネワルディ(Euphorbia groenewaldii)は南アフリカのレッドデータブックで、絶滅危惧種に指定されている希少な植物です。そんなグロエネワルディを保護していくにはどのようなことが必要でしょうか? その参考となるMarula Triumph Rasethe & Sebua Silas Semenyaの2019年の論文、『Community's Knowledge on Euphorbia groenewaldii: Its Populations, Threats and Conservation in Limpopo Province, South Africa』をご紹介します。この現地調査をどう捉え、如何なる保全をしたら良いでしょうか?

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Euphorbia groenewaldii

E. groenewaldiiは南アフリカのLimpopo州、Porokwane自治区のDalmada(準都市部)とGa-Mothiba(農村)の2つの地域に固有で、6つの集団が確認されています。その生息域の狭さから、南アフリカでは絶滅危惧種(A2ac)とされています。さらに、E. groenewaldiiは開発や違法伐採、採掘、踏みつけなどにより、個体数が減少しています。E. groenewaldiiは2003年及び2004年の法制定により採取や許可なしの取引を禁止され、保全計画の推奨を謳っています。
しかし、著者はE. groenewaldiiの生息著者の地域社会が、E. groenewaldiiに対してどのように考え、その保護についてどのように捉えているのかが重要かもしれないとしています。なぜなら、生息域の住人こそが、保全や法に対する利害関係者だからです。という訳で、著者は農村であるGa-Mothibaにおいて、E. groenewaldiiに対する意識調査を実施しました。

ランダムに抽選された参加者たちは、残念ながらE. groenewaldiiが保護されている絶滅危惧種であることを知りませんでした。しかし、調査の参加者はE. groenewaldiiの保全に対する関心は高く、E. groenewaldiiを脅かす可能性があると思われる要因とは何かをインタビューしたところ、降雨不足・干魃、土壌侵食などによる生息地の劣化、農村集落の拡大、種の保全に対する知識の欠如、採掘活動、人為的火災など、かなり正確に問題点を捉えていることが明らかとなりました。
とは言うものの、農村の拡大は住民の望みでもあり、舗装された道路の施設など開発が進むことを望んでいます。採掘活動も村の経済と雇用機会にとって重要ですが、石灰岩の間などに生えるE. groenewaldiiは採掘により根こそぎ破壊されてしまいます。人為的火災は枯れ草を燃やすことにより、牧畜のための新しい牧草の育成に必要な作業です。また、家畜による踏みつけについては懸念としては浮かんでこない項目でした。

以上が論文の簡単な要約です。
まず言えるのは、保護を法律で定めても周知させなければ意味がないということです。保全活動に関係していない農村の住民にも、正しく伝えれば問題を理解し鋭く考えることはインタビュー結果からも明らかです。
次に保護活動は学者や保護活動家だけが関わるものではなく、地域住民にも知識や理念、活動の趣旨を理解してもらい、住民も参加することが望ましいということです。保護活動は明らかに住民の経済活動の利害に反し、強硬に推し進めれば反発を招き保護活動も頓挫するでしょう。また、開発は住民の権利ですから、我々が文句を言うことは出来ません。先進国に住む人々が、低開発国の発展を阻害するのは実に傲慢なことです。
経済活動に伴う環境やグロエネワルディそのものに対する損害に対しては、代替手段を用意すべきです。やり方を工夫しダメージが最小となる手段を考えたり、あるいは村に別の雇用機会を設けるなどです。実際に動物の保護活動では、密猟者をレンジャーとして雇用することもあります。なぜなら、密猟は欧米人のするようなゲームハンティングではなく、あくまでも経済活動だからです。雇用があり賃金が払われるならば、わざわざ密猟などしないのです。
私が思い付くのは所詮はこの程度で、何一つとして有効な解決策を提示出来てはいません。まあ、世界中の学者や保護活動家の頭を悩ませる問題を、私が簡単に解決出来ないのは当たり前かもしれません。
皆様はこの調査結果をどう捉えたでしょうか? 市販されている多肉植物でも、原産地では絶滅の危機に瀕しているものも珍しくありません。多肉植物を栽培する皆様にも是非、一度考えていただきたい問題です。


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ユーフォルビア・モラティイはマダガスカル原産の花キリンです。去年、五反田TOCで開催された冬のサボテン・多肉植物のビッグバザールで入手しましたが、早くも花が咲きました。花キリンとは言ってもよく見るEuphorbia milii系ではなく、花や葉を見る限りEuphorbia cylindrifoliaやEuphorbia tulearensisの仲間でしょうから花は地味ですけどね。良い機会ですからどのような多肉植物なのか調べてみました。

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Euphorbia moratii

モラティイの学名は1970年に命名されたEuphorbia moratii Rauhです。モラティイは国際的に著名な生物学者、植物学者、作家のドイツのWerner Rauhが命名しました。種小名はモラティイを発見したフランス国立自然史博物館の植物学者Philippe Moratに対する献名ということです。
モラティイには3変種、Euphorbia moratii var. moratii、1984年に命名されたEuphorbia moratii var. bemarahensis Cremers、1991年に命名されたEuphorbia moratii var. multiflora Rauhが認められています。
また、1984年に命名されたEuphorbia moratii var. antsingiensis Cremersは、2021年に種として独立しEuphorbia antsingiensis (Cremers) Haev. & Hett.となり、モラティイの変種ではなくなりました。


E. moratiiはワシントン条約(CITES)の附属書 I に掲載されています。ワシントン条約は国際的な動植物の取引を規制していますが、附属書 I は絶滅の恐れがありる最も厳しい規制がなされており基本的に取引は禁止されています。これはすべてのワシントン条約登録種の3%、約1000種類の動植物のみと言いますから、珍しい花キリンですね。

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花は塊根性花キリンに典型的な雰囲気。

モラティイはマダガスカルのMahajanga州に分布するということです。調べると、マダガスカル北西部のようです。また、inselbergの岩の多い斜面に生えると言います。'inselberg'は孤立した丘である残丘の1種で、定義は「なだらかな斜面を持つ周囲の地形から飛び出した、急な斜面を持つ丘」のことで、特にアフリカの乾燥地帯に典型的な地形とのことです。

以上がモラティイの情報ですが、調べても情報がほとんど出てきません。何か良い論文が出てくれると嬉しいのですが。
塊根が出来るようですが、私のモラティイはまだ塊根は出来ていないでしょう。まあどちらにせよモラティイはコンパクトな小型種です。焦らずゆっくり育てていきます。



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ここのところ2日続けて、旧・アロエ属についてゴニアロエ(Gonialoe)とアロイアンペロス(Aloiampelos)の記事を書きました。個人的に旧・アロエ属を含むアロエ類は気になっており、アロエ(Aloe sensu stricto)、アロイデンドロン(Aloidendron)、アロイアンペロス、(Aloiampelos)、クマラ(Kumara)、アリスタロエ(Aristaloe)、ゴニアロエ(Gonialoe)、ハウォルチア(Haworthia)、ハウォルチオプシス(Haworthiopsis)、ツリスタ(Tuesday)、ガステリア(Gasteria)、アストロロバ(Astroloba)についてぼちぼち集めたりしています。
このアロエとハウォルチアの分割は中々の衝撃でしたが、私は
2014年に出た『A Molecular Phylogeny and Generic Classification of Asphodelaceae Subfamily Alooideae : A Final Resolution of the Prickly Issue of Polyphyly in the Alooids?』という論文でアロエ類の遺伝子解析結果を見て、割と納得してしまってそれ以上調べませんでした。しかし、アロエやハウォルチアが分割された根拠となる論文がそれぞれにあるはずで、それらの論文を読んでいないのは片落ちではないかと今更ながら思った次第です。

2014年の論文の記事①
2014年の論文の記事②

さて、以前から学名を調べていると、ハウォルチオプシスやツリスタの命名者にやたらとG.D.Rowleyが出てくるなあと思っていました。実はハウォルチオプシスやツリスタはG.D.Rowleyがハウォルチアから分離させたことが原因でした。
その論文はGordon D. Rowleyの 2013年の、『HAWORTHIOPSIS AND TULISTA - OLD WINE IN NEW BOTTLE』です。「新しいボトルに入った古いワイン」という副題が面白かったので、記事のタイトルにしました。この論文の主題はツリスタ属とハウォルチオプシス属です。かつて硬葉系ハウォルチアと呼ばれていたハウォルチオプシスは、この論文で16種が命名されました。
現在、ハウォルチオプシスは19種類が認められていますが、G.D.Rowleyはそのうち16種類をハウォルチオプシスとしています。G.D.RowleyはHaworthiopsis koelmaniorum、Haworthiopsis pungensはツリスタ属としました。また、Haworthiopsis 
henriquesiiは新しく2019年に命名されたため、この論文には登場しません。

ハウォルチオプシス19種類の情報は以外の3つの記事をご参照ください。


ツリスタ属はG.D.Rowleyが命名した訳ではなく、1840年にRafinesqueが命名した属名です。Rafinesqueは当時Aloe pumilaと呼ばれていた植物にTulista margariferaと命名しましたが認められませんでした。しかし、この忘れ去られていたツリスタ属をG.D.Rowleyが復活させたということです。どうも、副題の「新しいボトルに入った古いワイン」とはツリスタ属のことのようです。確かに論文が書かれた2013年から遡ること73年前の命名ですから、73年もののワインを新たな装いで出したようなものかもしれませんね。
さて、この論文におけるツリスタ属は、現在とは結構異なります。現在のツリスタ属の正式メンバーである、Tulista marginata、Tulista pumila、Tulista kingianaはすでに含まれていますが、Tulista minorはいませんね。ちなみに、Aloe kingianaをG.D.Rowleyがはじめてツリスタ属としてTulista kingianaとした訳ですが、これは認められずに2017年に
Gideon F.Sm. & MoltenoによってTulista kingianaと命名され直しました。これは、Von PoellnitzがHaworthia kingianaと命名した論文を引用しなければなりませんが、G.D.Rowleyはその引用元を間違えていたため認められませんでした。
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Tulista pumila (L.) G.D.Rowley

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Tulista kingiana (Poelln.)
                       Gideon F.Sm. & Molteno


また、この論文ではTulistaは13種類がリストアップされていますが、Astrolobaが7種、後のHaworthiopsisが2種、Aristaloeが1種が含まれていました。現在Astrolobaは10種類が認められていますが、この論文の後に命名された3種類、Astroloba cremnophila、Astroloba robusta、Astroloba tenaxは含まれていません。

Astrolobaについては過去に記事としたまとめています。

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Aristaloe aristata

以上が論文の内容です。
結局、G.D.Rowleyの主張はすべて認められているわけではありませんが、Haworthiopsisの創設とTulistaの復活を含む非常に重要な論文です。アロエ類が命名された論文はまだありますから、これから少しずつ読んでいくつもりです。


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アロエ属(広義)が分割されて、アロエ(狭義, Aloe)、アロイデンドロン(Aloidendron)、アロイアンペロス(Aloiampelos)、クマラ(Kumara)、アリスタロエ(Aristaloe)、ゴニアロエ(Gonialoe)となりました。とは言うものの、そのほとんどの種はアロエ属(狭義)に含まれ、分割されて出来た新属は皆小さなグループです。
アロエと言えば非常に多くの種類があり、様々な種類がホームセンターや園芸店で販売されています。昔から知られるキダチアロエ(Aloe arborescens)やアロエ・ベラ(Aloe vera)だけではなく、割と珍しい種類も見かけます。また、アロエから分割されて出来た新属は、大抵は旧・学名で販売されています。ディコトマ(Aloe dichotoma=Aloidendron dichotomum)もたまに見かけますし、千代田錦(Aloe variegata=Gonialoe variegata)や綾錦(Aloe aristata=Aristaloe aristata)は古くから普及し、乙姫の舞扇(Aloe plicatilis=Kumara plicatilis)も最近は良く目にします。これらは、特に近年では入手が容易になってきています。
しかし、そんな中でもアロイアンペロス(Aloiampelos)だけは、何故かまったく見かけません。普及種もなく、情報も貧弱です。どのような多肉植物なのでしょうか?
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Aloiampelos striatula var. caesia

アロイアンペロスはヒョロヒョロと伸びて、ややだらしない感じがするアロエの仲間です。しかし、これは枝同士が絡まりながら長く伸びてブッシュを形成したり、あるいは低木に寄りかかるする育ち方をするからです。学名自体がAloe+ampelos(ツル植物)ですから、特徴をよく表しています。
アロイアンペロスは低地に育ち沿岸部付近に多いのですが、A. striatulaのように内陸部の標高の高い降雪地帯に生えるものもあります。
花には普通のアロエと同様に太陽鳥が訪れます。


アロイアンペロスは1825年に4種がアロエ属として命名されました。しかし、2013年には命Aloiampelos Klopper & Gideon F.Sm.と命名され、アロエ属から独立しました。アロイアンペロス属に含まれる種類を見てみましょう。

①Aloiampelos ciliaris
キリアリスの学名は、2013年に命名されたAloiampelos ciliaris (Haw.) Klopper & Gideon F.Sm.です。最初に命名されたのは1825年で学名はAloe ciliaris Haw.でした。また、キリアリスには4変種が知られています。
・Aloiampelos ciliaris var. ciliaris
異名として1903年に命名されたAloe ciliaris var. franaganii Schönlandが知られています。
・Aloiampelos ciliaris var. redacta (S.Carter) Klopper & Gideon F.Sm.
1990年に命名されたAloe ciliaris var. redacta S.Carterに由来します。
・Aloiampelos ciliaris var. tidmarshii (Schönland) Klopper & Gideon F.Sm.
1903年に命名されたAloe ciliaris var. tidmarshii Schönlandに由来します。1943年にはAloe tidmarshii (Schönland) F.S.Mull. ex R.A.Dyerと命名されました。
・Aloiampelos ciliaris nothovar. gigas (Resende) Gideon F.Sm. & Figueiredo 
1943年に命名されたAloe ciliaris nothof. gigas Resendeに由来します。

②Aloiampelos commixta
コミクスタの学名は、2013年に命名されたAloiampelos commixta (A.Berger) Klopper & Gideon F.Sm.です。1908年に命名されたAloe commixta A.Bergerに由来します。

③Aloiampelos decumbens
デクンベンスの学名は、2013年に命名されたAloiampelos decumbens (Reynolds) Klopper & Gideon F.Sm.です。1950年に命名されたAloe gracilis var. decumbens Reynoldsに由来します。2008年に命名されたAloe decumbens (Reynolds) van Jaarsv.もあります。

④Aloiampelos gracilis
グラシリスの学名は、2013年に命名されたAloiampelos gracilis (Haw.) Klopper & Gideon F.Sm.です。1825年に命名されたAloe gracilis Haw.に由来します。異名として、1906年に命名されたAloe laxiflora N.E.Br.が知られています。

⑤Aloiampelos juddii
ジュディイの学名は、2013年に命名されたAloiampelos juddii (van Jaarsv.) Klopper & Gideon F.Sm.です。2008年に命名されたAloe juddii van Jaarsv.に由来します。

⑥Aloiampelos striatula
ストリアツラの学名は、2013年に命名されたAloiampelos striatula (Haw.) Klopper & Gideon F.Sm.です。1825年に命名されたAloe striatula Haw.に由来します。ストリアツラには2変種が知られています。
・Aloiampelos striatula var. striatula
変種ストリアツラには、1869年に命名されたAloe subinermis Lem.、1880年に命名されたAloe macowanii、1892年に命名されたAloe aurantiaca Baker、1898年に命名されたAloe cascadensis Kuntzeという異名が知られています。
・Aloiampelos striatula var. caesia (Reynolds) Klopper & Gideon F.Sm.

1936年に命名されたAloe striatula var. caesia Reynoldsに由来します。

⑦Aloiampelos tenuior 
テヌイオルの学名は、2013年に命名されたAloiampelos tenuior (Haw.) Klopper & Gideon F.Sm.です。1825年に命名されたAloe tenuior Haw.に由来します。また、テヌイオルには5変種が命名されましたが、現在では認められておりません。一応記しておくと、1900年(publ. 1901)に命名されたAloe tenuior var. glaucescens Zahlbr.、1936年に命名されたAloe tenuior var. decidua Reynolds、1936年に命名されたAloe tenuior var. rubriflora Reynolds、1956年に命名されたAloe tenuior var. densiflora、2007年に命名されたAloe tenuior var. viridifolia van Jaarsv.です。

終わりに
アロイアンペロスは国内ではほとんど見かけないアロエの仲間です。鉢に植えられた苗は、何やら徒長してしまったアロエのように見えて、いまいち食指が動かないかもしれません。しかし、地植えをして地際から枝が沢山出て絡まるようにブッシュを形成させるのが本来の楽しみかたです。南アフリカではキリアリスやテヌイオルなどアロイアンペロスは園芸に広く使われています。テヌイオルは「庭師のアロエ(the gardener's aloe)」という名前で知られているくらいです。ストリアツラは生け垣として、特にレソトでは植栽されるようです。アロイアンペロスは、沢山の太陽鳥をはじめとした鳥を庭に引き付けることでも楽しませてくれます。とは言うものの、日本国内では庭に植えるわけにもいかないでしょうし、本来の姿を楽しむことは中々難しいかもしれませんね。


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アロエの仲間というかアロエと近縁な植物と言えば、ガステリア(Gasteria)、ハウォルチア(Haworthia)、アストロロバ(Astroloba)とされてきました。これは、主に花の構造から推察された分類でした。この分類は、近年の遺伝子解析の結果からも支持されており、まとめてアロエ類などと呼ばれています。しかし、意外なこともわかりました。ハウォルチア属(広義)は3分割され、Haworthia(狭義)、Haworthiopsis、Tulistaとなり、しかもそれぞれが特別近縁ではないということが分かりました。それはアロエ属(広義)も同様で、Aloe(狭義)、Aloidendron、Aloiampelos、Aristaloe、Gonialoe、Kumaraとなりました。この旧・アロエ属のうち、AristaloeとGonialoeはどうやら近縁である可能性が高いようです。

長い前置きとなりましたが、本日の主役はアロエ属から分離されたゴニアロエ属(Gonialoe)です。ゴニアロエは3種類しかありませんが、代表種はGonialoe variegata(千代田錦)です。G. variegataは昔から園芸店で販売されてきましたが、G. variegata以外のゴニアロエは園芸店には出回りません。そんな中、正月明けに五反田TOCで開催されたサボテン・多肉植物のビッグバザールで、Gonialoe sladenianaを入手しました。良い機会ですから、ゴニアロエとは何者なのか調べみました。

Gonialoeの誕生
ゴニアロエの3種はすべて最初はアロエ属とされました。しかし、2014年にゴニアロエ属とされました。つまり、Gonialoe (Baker) Boatwr. & J.C.Manningです。ここで括弧の中のBakerとは何かという疑問が浮かびます。単純にBoatwr. & J.C.Manningが命名しただけではないことが分かります。調べてみると1880年にJohn Gilbert Bakerがアロエ属の内部の分類において、ゴニアロエ亜属(subgenus Gonialoe)を創設したということのようです。このゴニアロエ亜属を2014年にBoatwr. & J.C.Manningが亜属から新属に昇格させたということが事の経緯です。

①Gonialoe variegata
ゴニアロエで一番早く命名されたヴァリエガタの学名から見ていきましょう。ヴァリエガタの学名は2014年に命名されたGonialoe variegata (L.) Boatwr. & J.C.Manningです。はじめて命名されたのは1753年のAloe variegata L.で、ゴニアロエとなるまでこの学名でした。1753年に現在の二名式学名を考案したCarl von Linneの命名ですから、ヴァリエガタはアロエ属の初期メンバーということになりますね。
G. variegataには異名があり、1804年に命名されたAloe punctata Haw.や、1908年に命名された変種であるAloe variegata var. haworthii A.Bergerがありますが、現在では認められておりません。また、1928年にはAloe variegataのより大型で模様が美しいとされたAloe ausana Dinterも命名されますが、現在このタイプは確認されていないようです。

ヴァリエガタはナミビア南部から南アフリカのNorthen Cape、Western Cape、Eastern Cape西部から自由州西部まで広く分布します。粘土質、まれに花崗岩の崩壊した土壌で育ちます。生息地の冬は寒くなります。葉の長さは最大15cmです。
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Gonialoe variegata(千代田錦)

②Gonialoe sladeniana
スラデニアナもヴァリエガタと同様に2014年にGonialoe sladeniana (Pole-Evans) Boatwr. & J.C.Manningと命名されました。はじめてスラデニアナが命名されたのは1920年のAloe sladeniana Pole-Evansです。また、1938年には命名されたAloe carowii Reynoldsは異名とされています。
スラデニアナはナミビア中西部の断崖にのみ分布し、崩壊した花崗岩上で育ちます。生息地の冬は非常に寒いということです。葉の長さは最大9cmと小型です。
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Gonialoe sladeniana

③Gonialoe dinteri
ディンテリもヴァリエガタやスラデニアナと同様に、2014年にGonialoe dinteri (A.Berger) Boatwr. & J.C.Manningと命名されました。ディンテリがはじめて命名されたのは1914年のAloe dinteri A.Bergerです。
ディンテリはナミビア北西部とアンゴラ南西部に分布します。砂地あるいは岩場、石灰岩の割れ目、茂みに生えます。葉は長さ30cmとゴニアロエでは最大種です。

Tulista?
また、ゴニアロエ属が誕生した2014年に、G.D.Rowleyによりこの3種類はTulista Raf.とする意見もありました。G.D.Rowleyはツリスタ属を広くとり、現在のGonialoe、Aristaloe、Tulista、Astroloba、さらに一部のHaworthiopsisを含んだものでした。基本的にはGonialoe、Aristaloe、Tulista、Astrolobaは遺伝的にも近縁ですから、格別おかしな意見ではありません。これは、どの範囲で区切るかという尺度の問題です。それほどはっきりしたものでもないでしょう。ただ、Astrolobaなどは属内で非常によくまとまっており、アストロロバ属として独立していることに意味はあるのでしょう。ただ、HaworthiopsisはGasteriaと近縁で、Gonialoeとは近縁ではありません。

Aloe variegataの発見
オランダ東インド会社は1652年に現在のケープタウンに相当する場所に基地を設立しました。1679年にSimon van der Stelが司令官に任命され、1690年には総督に就任しました。1685年から1686年にかけて、van der Stelはナマクア族の土地で銅資源を探索する遠征を行いました。遠征隊は1685年の10月にCopper(=銅)山脈に到着しました。遠征隊に同行した画家のHendrik Claudiusにより、遠征中の地理、地質学、動物、植物、先住民の絵が描かれました。
また、遠征隊の日記が作成されましたが、van der StelもClaudiusも資料を出版しませんでした。これらの資料は1922年に、何故かアイルランドの首都ダブリンで発見されました。そして1932年にWaterhouseにより出版されました。
それによると、ヴァリエガタは1685年の10月16日、Springbok地域で記録されました。これが、ヴァリエガタの知られている限りの一番最初の記録です。


最後に
幾つかのサイト、主としてキュー王立植物園のデータベースや南アフリカ国立生物多様性研究所(South African National Biodiversity Institute)の資料を参考にしましたが、過去に論文等で知ったことも補足情報として追記しています。しかし、調べてみて分かりましたが、ゴニアロエは情報があまりありませんね。特別珍しくもなく、ヴァリエガタなどは普及種であるにも関わらずです。情報の質も良くありませんから、ゴニアロエについての良い論文が出てほしいものです。特にGonialoe sladenianaなどは、現在の個体数や環境情報がほとんどないような状況らしいので、将来的な保護のためにも科学的な調査が必要でしょう。


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昨日はメキシコ原産のソテツであるDioon eduleの情報についての記事を書きましたが、本日はD. eduleの論文をご紹介したいと思います。D. eduleはDioonの代表種であり、様々な角度から研究がなされています。非常に面白そうな論文が沢山あります。しかし、最近ではやや忙しく中々思ったように論文を読めていないのが悩みです。

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Dioon edule

そんな中、読んだ論文はAndrew P. Vovidesの1990年の論文、『Spatial Distribution, Survival, and Fecundity of Dioon edule (Zamiaceae) in a Tropical Deciduous Forest in Veracuruz, Mexico, with Notes on Its Habitat』です。

著者は野生のD. eduleが集中するメキシコのVeracuruz州中央の熱帯林で、その生長と繁殖に関するデータを4年間にわたり収集しました。
まずは実生の定着具合を見てみましょう。調査によると、高さ10cm以下の若い苗はほぼ枯れてしまうことが分かりました。やはり、小さな内は環境の変化や乾燥に耐えられないのでしょう。しかし、高さ40~50cmくらいに生長すると枯れてしまう個体は5%以下でした。ある程度生長できれば環境の変化にも対応出来るのでしょう。
次に樹齢を見てみましょう。調査した区域の139個体のD. eduleの中で最高齢は2001~2250歳と見られる個体が1本ありました。1501~2000歳の個体は0本、1251~1500歳の個体が1本、1001~1250歳の個体が2本、751~1000歳の個体が2本、501~750歳の個体が11本、251~500歳の個体が13本、0~250歳の個体が109本ありました。ここで分かることは、D. eduleは非常に寿命が長いということだけではありません。0~250歳の個体が109本ということは、この250年の間に生き残った実生は109本しかないということでもあります。この0~250歳の死亡率は88%にもなるようです。

種子を人工的に発芽させた場合、発芽率は98%と非常に高いことが分かりました。しかし、野生状態だとネズミ(Peromyscus mexicanus)に種子を食べられてしまうことが明らかとなっています。しかし、一般的にソテツには毒があり、ラットにD. eduleの種子を砕いて与えると24時間以内に死亡してしまいます。つまり、D. eduleの種子を食べるP. mexicanusはソテツの毒に耐性があるということです。
また、新しく葉は柔らかく、Eumaeus deboraという蝶の幼虫により食害されます。
実生が枯死する最大の要因は、おそらく極端な乾燥です。1983年の乾季には1~2歳のD. eduleはほぼ死滅しました。さらに、D. eduleの実生を人工的に2年間育てた後に2週間の乾燥させたことにより、20個体中18個体が枯死しました。やはり、若い個体にとって乾燥は大敵のようです。
D. eduleの生息地は山火事が起きやすく、大型の個体は耐えられますが、苗は耐えられないでしょう。しかし、山火事により一時期に土壌中に窒素が増加することにより、開花に寄与しているということです。結果的に種子の生産が増加するということです。


生育環境を見てみましょう。土壌の深さを測定すると、D. eduleの84%はたった6~20cmしかない浅い土壌に生えていることが分かりました。多くの場合、岩場に生えていました。土壌はカリウムとリン酸が貧弱であり、かなりの貧栄養のようです。pHは7.7でした。この岩場に育つことにより、種子が岩の隙間に入りネズミに食べられてしまう可能性は低くなるようです。
D. eduleには菌根が確認されているそうです。あまり知られていませんが、野生の樹木の根はキノコの菌糸で被われており、樹木とキノコの間で養分のやり取りがあり共生関係にあります。これを菌根と呼びます。菌根はまれな現象ではなく、森林には普遍的に存在し非常に重要な仕組みであることが分かってきました。D. eduleも共生している菌根から水分や栄養をもらい、乾燥し栄養の少ない過酷な環境に耐えているのでしょう。

以上が論文の簡単な要約となります。D. eduleが尋常ではない寿命を持つこと、あまりに過酷な環境ゆえに実生苗がほとんど死滅してしまうこと、そしてその過酷な環境に耐える仕組みがあることが分かりました。このような調査は単にD. eduleの科学的な知見が増えるだけではなく、将来保護を行うための基本的な下地にもなります。しかし、このような地味な研究には資金が中々出ない現状のため、多くの植物が調査すらされずに人知れず開発や違法採取で絶滅していることは大変悲しいことです。著者はD. eduleの繁殖にも関わっているようですから、そこら辺の活動についてもそのうち記事に出来たらと思っておりません。


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3年前くらい前のことですが、大型の園芸店にDioon eduleという海外のソテツの苗が販売されていることに気が付きました。冬だったこともあり葉が黄色く変色していたりして、購入を躊躇う状態でした。その後、2~3の園芸店やホームセンターで見かけましたが、基本的に状態は悪く入荷からそれなりに時間が経っていることがうかがえます。流石に復活可能かわからないので購入しませんでしたが、その後はDioon eduleを見かけることはありませんでした。おそらくは、Dioon eduleの種子をある程度の数輸入した一過性の実生苗だったようです。しかし、去年のクリスマスに千葉で開催された木更津Cactus & Succulentフェアで、なんとDioon eduleを販売していたので購入しました。 ということで、Dioon eduleとは一体どのようなソテツなのでしょうか?

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Dioon edule

D. eduleの学名は、1843年に命名されたDioon edule Lindl.です。D. eduleはまあまあ異名が多いため、以下に年表で示しました。
1844年 Zamia maelenii Miq.
1845年 Platyzamia rigida Zucc.
1848年 Dioon imbricatum Miq.
1855年 Dioon aculeatum Lem.
1861年 Dioon edule f. imbricatum
                  (Miq.) Miq.
1863年 Dioon strobilaceum Lem.
1868年 Dioon edule var. imbricatum
                  (Miq.) Miq.
1884年 Macrozamia littoralis
                   Liebm. ex Dyer
              Macrozamia pectinata 
                   Liebm. ex Dyer
1899年 Dioon edule var. lanuginosum
                  (J.Schust.) Wittm.
1932年 Dioon edule f. lanuginosum
                   J.Schust.
              Zamia rigida Karw. ex J.Schust.

さらに、現在は独立種とされているDioon angustifoliumは、かつてDioon edule f. angustifolium、Dioon edule var. angustifolium、Dioon edule subsp. angustifoliumなどと呼ばれていました。幾つかのサイトでD. eduleの情報を収集しましたが、あるサイトではD. eduleはD. merolaeやD. holmgeniiと関連があるなどと書かれていましたが、遺伝子解析の結果ではD. eduleはD. angustifoliumと近縁です。分布が近い種は遺伝子も近縁な傾向があり、D. eduleとD. angustifoliumは分布が近いと言えます。
他にも現在は認められていないD. eduleの変種があります。Dioon edule var. latipinniumはDioon pectinatumに、Dioon edule var. sonorenseはDioon sonorenseとして現在ではそれぞれ独立種とされています。

さて、一般的なD. eduleの情報を探したところ、D. eduleはメキシコの海抜1500mにまで見られるということです。D. eduleは中型のソテツで、高さ1~1.5(~3)mで、直径は20~30cmになります。成熟した葉は15~20枚で、長さ0.7~1.6mとなり、小葉は片側120~160にもなります。Dioonの中でも小葉の縁にトゲがないことが、D. eduleの特徴とされているようです。D. eduleは乾燥した森林地帯に生え、浅い土壌の過酷な地域です。

Dioon eduleは大変美しいソテツで、育つほど葉は長くなり小葉の数も増えていきます。小葉は細長く隙間なく整然と並び、ある程度育ったD. eduleの葉は涼しげで非常に美しいものです。しかし、Dioon eduleは環境の悪化などにより個体数の減少が指摘されている貴重なソテツです。輸入種子由来の実生の流通が望ましく、違法採取株由来かもしれない現地球の販売はあまり望ましくありません。正規のルートで輸入された個体でも、違法採取株がファームを転々として日本に輸入された可能性も捨てきれません。
Dioon eduleはDioonの代表種です。異名が多くE. eduleから分離された種類があることからも、それはうかがえます。そのため、Dioonの中ではD. eduleは割と研究されており、論文も多少は出されています。明日はそんなD. eduleについて調査した論文をご紹介しましょう。


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近年、サンセヴィエリア属(Sansevieria、サンスベリア、サンセベリア)がドラカエナ属(Dracaena、ドラセナ)に吸収されてしまうという驚くべきニュースを目にしました。当該論文は公開されていないので、残念ながら読めていないのですが、その辺りの話は最近記事にしました。


その関連で少し興味が湧いたので、他にも何か論文はないかと調べてみたところ、Iris van Kleinweeらの2021年の論文、『Plastid phylogeny  of the Sansevieria clade (Dracaena ; Asparagaceae) resolves a rapid evolutionary radiation』を見つけました。ただし、この論文は全文を公開していないため、イントロと方法のみしか示されておりません。しかし、遺伝子解析結果は公開されていましたから、見てみましょう。

取り敢えず、サンセヴィエリアはドラカエナに吸収されてしまいましたが、ドラカエナの中でもサンセヴィエリアはまとまったグループのようです。このグループをSansevieria cladeと呼んでいるようです。しかし、Sansevieria cladeに含まれる種の分類はよく分かっていませんでした。どうやら、現存する旧・Sansevieriaたちは、新しい時代に急速に進化して様々な種類に分かれた可能性があるのです。
遺伝子解析はすべての遺伝子を調べているわけではなく、植物種の違いに関わらずよく使われる遺伝子があります。しかし、それらの遺伝子では、新しい時代に急速に進化した場合は上手く種を分離出来ないのです。ですから、この論文では実に7種類もの遺伝子を解析して、サンセヴィエリアの急速な進化に迫っています。
以下に示す分子系統では、A1、A2、B、C、D、Eの6グループに分かれています。このA~Eまではまとまりがあり、旧・Sansevieriaは近縁です。

                        ┏グループA1
                    ┏┫
                    ┃┗グループA2
                ┏┫
                ┃┗━グループB
            ┏┫
            ┃┃┏━グループC
            ┃┗┫
        ┏┫    ┗━グループD
        ┃┃
    ┏┫┗━━━D. angolensis
    ┃┃
    ┃┗━━━━グループE
┏┫
┃┃┏━━━━D. camerooniana
┃┗┫
┫    ┗━━━━D. sambiranensis
┃ 
┗━━━━━━D. aletriformis

グループA1
A1には、D. zeylanica、D. burmanica、D. roxburghianaが含まれます。インド亜大陸の原産です。
・D. zeylanicaはSansevieria zeylanicaのことです。Sansevieria ensifolia、Sansevieria grandicuspis、Sansevieria indica、Sansevieria pumilaと同種です。Cordyline zeylanicaと呼ばれたこともあります。
・D. burmanicaはSansevieria burmanicaのことです、Sansevieria maduraiensisと同種です。
・D. roxburghianaはSansevieria roxburghianaのことです。また、1805年にはSansevieria zeylanicaという学名もつけられましたが、これはD. zeylanica (Sansevieria zeylanica)とは別につけられたもののまったく同じ学名です。当然ながら認められていない学名です。

グループA2
A2には、D. pinguicula、D. perrotii、D. powellii、D. hanningtonii、D. arborescensが含まれます。
立ち上がり茎が伸びるタイプで、主に東アフリカの原産です。
・D. pinguiculaはSansevieria pinguiculaのことです。
・D. perrotiiはSansevieria perrotiiのことです。Sansevieria robusta、Sansevieria ehrenbergiiと同種です。
・D. powelliiはSansevieria powelliiのことです。
・D. hanningtoniiはPleomele hanningtoniiのことです。Dracaena oldupai、Sansevieria rorida、Sansevieria ehrenbergii、Sansevieria roridaと同種です。ちなみに、D. powelliiの異名の1つにS. ehrenbergiiがあり、D. hanningtoniiとかぶりますが、D. powelliiの異名のS. ehrenbergiiは後から同じく学名を付けてしまったパターンです。
・D. arborescensはSansevieria arborescensのことです。Sansevieria zanzibaricaと同種です。

グループB
Bには、D. raffllii、D. testudinea、D. canaliculata、D. liberica、D. longiflora、D. scimitariformis、D. sinus-simiorum、D. stuckyi、D. subspicata、D. spathulata、D. aethiopica、D. halliiが含まれます。アフリカ南部中心に分布します。
D. raffllii、D. testudinea~D. liberica、D. longiflora~D. haliiの3グループに分けられます。
・D. rafflliiはSansevieria rafflliiのことです。
・D. testudineaはSansevieria brauniiのことです。種小名が変わっていますが、これはもともとDracaena brauniiという植物が先に存在したため、同じ学名となってしまうことを避けるための処置です。
・D. canaliculataはSansevieria canaliculataのことです。Sansevieria schimperi、Sansevieria sulcataと同種です。
・D. libericaはSansevieria libericaのことです。Sansevieria chinensis、Sansevieria gentilisと同種です。
・D. longifloraはSansevieria longifloraと同種です。
・D. scimitariformisはSansevieria scimitariformisのことです。
・D. sinus-simiorumはSansevieria sinus-simiorumのことです。
・D. stuckyiはSansevieria stuckyiのことです。Sansevieria andradaeと同種です。
・D. subspicataはSansevieria subspicataのことです。
・D. spathulataはSansevieria cocinnaのことです。Sansevieria subspicata var. cocinnaは同種です。種小名が変わっていますが、これはもともとDracaena cocinnaという植物が先に存在したため、同じ学名となってしまうことを避けるための処置です。
D. aethiopicaはSansevieria aethiopicaのことです。Sansevieria thunbergii、Sansevieria caespitosa、Sansevieria glauca、Sansevieria scabrifoliaは同種です。
D. halliiはSansevieria halliiのことです。

グループC
Cには、D. parva、D. singularis、D. phillipsiae、D. nilotica、D. dawei、D. bacularis、D. dooneri、D. trifasciata、D. francisii、D. sordida、D. suffruticosa、D. serpenta、D. newtoniana、D. conspicua、D. volkensis、D. hargeisana、D. forskalianaが含まれます。アフリカ大陸に広く分布します。
D. parva~D. trifasciata、D. francisii~D. serpenta、D. newtoniana~D. forskalianaの3グループに分けられます。
・D. parvaはSansevieria parvaのことです。Sansevieria bequaertiiは同種です。
・D. singularisはSansevieria singularisのことです。Sansevieria fischeriは同種です。
・D. phillipsiaeはSansevieria phillipsiaeのことです。
・D. niloticaはSansevieria niloticaのことです。Sansevieria massaeは同種です。
・D. daweiはSansevieria daweiのことです。
・D. bacularisはSansevieria bacularisのことです。
・D. dooneriはSansevieria dooneriのことです。
・D. trifasciataはSansevieria trifasciataのことです。Sansevieria aureovariegata、Sansevieria craigii、Sansevieria jacquinii、Sansevieria laurentii、Sansevieria trifasciata var. laurentii、Sansevieria zeylanica var. laurentiiは同種です。
・D. francisiiはSansevieria francisiiのことです。
・D. sordidaはDracaena variansの異名です。D. variansはSansevieria variansのことです。Sansevieria patens、Sansevieria sordida、Dracaena patensは同種です。
・D. suffruticosaはSansevieria suffruticosaのことです。
・D. serpentaはSansevieria gracilisのことです。種小名が変わっていますが、これはもともとDracaena gracilisという植物が先に存在したため、同じ学名となってしまうことを避けるための処置です。とはいえ、このD. gracilisは問題のある学名で、1796年に命名されたD. gracilisはDracaena reflexa var. angustifoliaの異名で、1808年に命名されたD. gracilisはDracaena ellipticaの異名です。これだけ使い降るされた学名ですから、3回目の使用となれば混乱は必至でしょうから使われないのは当然です。
・D. newtonianaはSansevieria newtonianaのことです。
・D. conspicuaはSansevieria conspicuaのことです。
・D. volkensisはSansevieria volkensisのことです。Sansevieria intermedia、Sansevieria polyrhytis、Sansevieria quarriaは同種です。
・D. hargeisanaはSansevieria hargeisanaのことです。
・D. forskalianaはSansevieria forskalianaのことです。Sansevieria guineensis var. angustior、Sansevieria elliptica、Sansevieria abyssinica、Convallaria racemosaは同種です。

グループD
Dには、D. zebra、D. senegambica、D. petheraが含まれます。D. zebraとD. senegambicaは非常に近縁です。
・D. zebraはSansevieria metallicaのことです。
種小名が変わっていますが、これはもともとDracaena metallicaという植物が先に存在したため、同じ学名となってしまうことを避けるための処置です。ただし、Dracaena metallicaはCordyline fruticosaの異名です。
・D. senegambicaはSansevieria senegambicaのことです。Sansevieria cornuiは同種です。
・D. petheraはSansevieria kirkiiのことです。
種小名が変わっていますが、これはもともとDracaena kirkiiという植物が先に存在したため、同じ学名となってしまうことを避けるための処置です。

グループE
EにはD. kenyensis、D. dawnsii、D. caulescens、D. pearsoniiが含まれます
・D. kenyensisはデータベースに情報がありませんが、どうやらSansevieria bellaのことのようです。 Sansevieria bellaは現在ではDracaena neobellaとされています。
種小名が変わっていますが、これはもともとDracaena bellaという植物が先に存在したため、同じ学名となってしまうことを避けるための処置です。ただし、このDracaena bellaはCordyline fruticosaの異名です。
・D. dawnsiiはSansevieria dawnsiiのことです。
・D. caulescensはSansevieria caulescensのことです。
・D. pearsoniiはSansevieria pearsoniiのことです。Sansevieria deserti、Sansevieria rhodesianaのことです。



A~Eのグループに入らない種類についてですが、D. angolensisはSansevieria内にありますが、A~Eのグループには入りません。
・D. angolensisはSansevieria angolensisのことです。Sansevieria cylindrica、Sansevieria livingstoniaeと同種です。
・D. cameroonianaはSansevieriaではなく、はじめからDracaenaでしたが、Sansevieriaと近縁のようです。
・D. sambiranensisはSansevieria sambiranensisのことです。他のSansevieriaとは系統が異なります。
・D. aletriformisはSansevieriaではありません。Yucca aletriformisという異名があります。

Sansevieriaの葉の形状は様々で、葉の厚みも様々です。これは、乾燥に対する適応を示しています。しかし、葉の形状はグループごとに似ているわけではないようです。多肉質な葉は近縁ではないあちこちに現れるようです。
また、タイトルにありますように、Sansevieriaは急速に進化して様々な種類に分化したようです。どうやら、Sansevieriaは約500万年前に登場したようです。非常に昔なような気がしますが、新生代新第三紀終盤の鮮新世ですから、歴史年代からすると最近です。しかも、現在の種類が分化し始めたのは、第四紀更新世以降ですから、日本では旧石器時代という新しさです。本当に新しく現れた多肉植物と言えますね。



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サボテンはギムノカリキウムを少しばかり育てています。何がいいのか自分でもはっきりしないのですが、不思議とギムノカリキウムに惹かれてしまうのです。昨年は池袋の鶴仙園を度々訪れましたが、秋に大型鬼胆丸というギムノカリキウム属のサボテンを購入しました。本日はそんな大型鬼胆丸についての話です。大型鬼胆丸は割と地味な部類の九紋竜系(Gymnocalycium gibbosum)ですが、ここら辺の学名も中々混乱していますから、まとめてみました。

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大型鬼胆丸 Gymnocalycium gibbosum var. nigrum
    =Gymnocalycium gibbosum subsp. gibbosum


一般的に大型鬼胆丸はGymnocalycium gibbosum var. nigrumとされており、というか変種ニグルムの中でも大型のタイプを大型鬼胆丸と呼んでいるらしいです。では、大型ではない鬼胆丸はというと、Gymnocalycium gibbosum var. brachypetalum、あるいはGymnocalycium brachypetalumと呼ばれます。ここまではネット上のブログや販売サイトの情報です。

さて、ではキュー王立植物園のデータベースでは、これらの九紋竜系はどう整理されているのでしょうか。
まずは、基本種であるGymnocalycium gibbosumから見ていきましょう。正式な学名は1844年に命名されたGymnocalycium gibbosum (Haw.) Pfeiff. ex Mittlerですが、はじめて命名されたのは1816年のCactus gibbosus Haw.でした。'gibbosum'ではなくて'gibbosus'となっていたようです。さて、その後は1828年に命名されたEchinocactus gibbosus (Haw.) DC.や、1905年に命名されたEchinocactus gibbosus var. typica Speg.もありました。

現在、ギボスムに認められている亜種は、亜種ボルティイのみです。また、亜種ボルティイが出来たことで、亜種ギボスム=Gymnocalycium gibbosum subsp. gibbosumが出来ました。これは、G. gibbosum=subsp. gibbosum + subsp. borthiiだからです。G. gibbosumとG. gibbosum subsp. gibbosumはイコールではありませんから、間違わないようにしなければなりません。というわけで、亜種は2005年に命名されたGymnocalycium gibbosum subsp. borthii (Kloop ex H.Till) G.J.Charlesです。亜種ボルティイはもともとは独立種で、1987年に命名されたGymnocalycium borthii Kloop ex H.Tillでした。G. borthiiには亜種と変種があり、2007年にGymnocalycium borthii var. viridis NeuhuberGymnocalycium borthii subsp. nogolensis NeuhuberGymnocalycium borthii subsp. kokori Halda & Miltが命名されましたが、現在は認められておりません。
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Gymnocalycium gibbosum subsp. borthii

さて、それでは亜種ギボスムはどうなっているのかというと、だいぶややこしいことになっています。亜種ボルティイはアルゼンチン北西部にのみ分布し、発見も遅かったため、あまり異名がありません。しかし、亜種ギボスムはG. borthiiが命名されてから、亜種ボルティイ以外の全ての異名は亜種ギボスムのものです。
亜種ギボスムの異名の年表を以下に示します。長くなるので覚悟して見て下さいね
1826年 Cereus gibbosus (Haw.) Sweet
1828年 Cereus reductus DC.
1830年 Echinocactus nobilis Haw., nom.illeg.

1831年 Echinocactus brachypetalus
                   (Speg.) Werderm.
1837年 Echinocactus mackieanus Hook.
1846年 Echinocactus gibbosa
                   P.Pfeiff. ex 
C.F.Först
1850年 Echinocactus gibbosus var. leucodictyus
                   Salm-Dyck
              Echinocactus leucodictyus Salm-Dyck

1885年 Echinocactus gibbosus var. celsianus
                   Labour. ex R
ümpler
              Echinocactus gibbosus var. pluricostatus
                   C.F.F
örst.
              Echinocactus reductus K.Schum.
1886年 Echinocactus gibbosus var. ferox
                   Labour. ex 
Rümpler
              Echinocactus gibbosus var. leucacanthus
                   Rümpler
              Echinocactus gibbosus var. schlumbergeri
                   Rümpler
1898年 Echinocactus gibbosus var. leonensis
                   Hildm. ex K.Schum
              Echinocactus gibbosus var. polygonus
                   K.Schum.

1899年 Echinocactus gibbosus var. cerebriformis
                   Speg.
              Echinocactus gibbosus var. fennellii
                   F.Haage
              Gymnocalycium gibbosum
                   var. cerebriformis Speg.
1902年 Echinocactus gibbosum var. chubutensis
                  (Speg.) Speg.
1903年 Echinocactus spegazzinii
                  F.A.C.Weber ex Speg.
1907年 Echinocactus gibbosus f. fennellii
                  (J.N.Haage) Schelle
              Echinocactus gibbosus f. ferox
                  (Labour. ex Rümpler) Schelle
              Echinocactus gibbosus f. leonensis
                  (Hildm. ex K.Schum.) Schum
              Echinocactus gibbosus f. leocacanthus
                  (Rümpler) Schelle
              Echinocactus gracilius f. leucodictyus
                  (Salm-Dyck) Schelle
              Echinocactus gibbosus f. schlumbergeri
                  (
Rümpler) Schelle
1925年 Gymnocalycium brachypetalum Speg.
              Gymnocalycium chubutense
                  (Speg.) Speg.
1959年 Gymnocalycium gibbosum
                  var. nigrum Backeb.
1995年 Gymnocalycium mackieanum
                  (Hook.) Metzing, Mereg. & R.Kiesling 
1996年 Gymnocalycium gibbosum
                  var. brachypetalum (Speg.) Papsch
              Gymnocalycium gibbosum
                  f. cerebriforme (Speg.) Papsch
              Gymnocalycium gibbosum
                  var. chubutense (Speg.) Papsch
              Gymnocalycium gibbosum subsp. ferox
                  (Labour. ex 
Rümpler) Papsch
1997年 Gymnocalycium reductum
                  var. leucodictyon (Salm-Dyck) Papsch
2002年 Gymnocalycium gibbosum
                   subsp. ferdinandii
                   Halda, Malina & Milt
              Gymnocalycium gibbosum
                  subsp. gastonii Halda & Milt
              Gymnocalycium gibbosum
                  subsp. radekii Halda & Milt
2006年 Gymnocalycium dubniorum Halda & Milt
              Gymnocalycium gibbosum
                  subsp. radovanii Halda & Milt
              Gymnocalycium striglianum
                  subsp. aeneum Mereg. & Gugliemone
2007年 Gymnocalycium striglianum
                  subsp. otmari Halda & Milt
2008年 Gymnocalycium chubutense
                  var. dubniorum (Halda & Milt) H.Till


大型鬼胆丸の学名であるG. gibbosum var. nigrumは1959年の命名、鬼胆丸の学名とされるG. brachypetalumは1925年、G. gibbosum var. brachypetalumは1996年の命名です。しかし、これらはG. gibbosum subsp. gibbosumの異名扱いです。

そういえば、属名も変遷がありますね。G. gibbosumははじめはCactus属でした。Cactus gibbosusは1816年の命名です。このCactus属(Cactus L.)は、1753年に学名のシステムを作ったCarl von Linneによりサボテン全般に付けられたものの現存しない学名です。ということで、Cactus gibbosusはCactus属としてはかなり遅い命名です。というのも、Cereusが誕生した翌年の1754年にはCereus Mill.も提唱されており、実際に1826年にはCereus gibbosusと命名されているわけですから、こちらもだいぶ遅い移行です。1827年にEchinocactus Link & Ottoが提唱されましたが、その翌年の1828年にはEchinocactus gibbosusが提唱されており、こちらは素早い対応でした。では、Gymnocalyciumはと言うと、1844年に命名されたGymnocalycium Pfeiff. ex Mittlerです。G. gibbosumの命名は1844年ですから、G. gibbosumはギムノカリキウム属の初期メンバーだったようです。とは言うものの、1907年までは普通にEchinocactusとして命名されていますね。1925年以降はGymnocalyciumとして命名されますが、それ以前はGymnocalyciumとする命名はほとんどありません。中々、ギムノカリキウム属は浸透しなかったようです。



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昨日に引き続き、ラフレシアリサーチさんで購入したギムノカリキウムのご紹介です。Gymnocalycium mihanovichiiとGymnocalycium friedrichiiはご紹介しましたが、本日はGymnocalycium damsii ssp. evae v. torulosumです。しかし、おかしな学名ですね。ダムシイ亜種エヴァエ変種トルロスムという、亜種なのか変種なのかよく分からない学名です。
ダムシイは一般的には「麗蛇丸」と呼ばれます。私が購入したのは、'VoS 03-040'という番号が付いたダムシイ系のギムノカリキウムです。


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Gymnocalycium damsii subsp. evae var. torulosum VoS 03-040

そもそも、G. damsiiとは何者かというと、1903年に命名されたEchinocactus damsii K.Schum.から始まります。1922年にはギムノカリキウム属とされ、Gymnocalycium damsii (K.Schum.) Britton & Roseとなりました。これが、現在園芸上において流通している学名でしょう。しかし、2005年にはダムシイはG. anisitsiiの亜種であるとするGymnocalycium anisitsii subsp. damsii (K.Schum.) G.J.Charlesとなりました。これが、現在認められている正式な学名です。
では、subsp. evaeだとかvar. torulosumはどうなるのかと言うと、G. anisitsii subsp. damsiiの異名扱いのようです。亜種エヴァエは2004年に命名されたGymnocalycium damsii subsp. evae Halda、変種トルロスムは1963年に命名されたGymnocalycium damsii var. torulosum Backeb.から来ているようです。また、2004年にはGymnocalycium damsii var. torulosum Backeb. ex H.Till & Amerhとなっています。ちなみに、ダムシイ系の亜種や変種は、G. damsiiかG. anisitsii subsp. damsiiとなったことからすべて存在しないことになりました。
ちなみにG. anisitsii (K. Schum.) Britton & Roseは1922年の命名ですが、はじめて命名されたのは1900年のEchinocactus anisitsii K.Schum.でした。

最後にフィールドナンバーを調べてみます。私の所有するG. mihanovichiiもG. friedrichiiも、やはり
Volker Schädlichの採取でした。それだけではなく、採取日も同じですから、Schädlichがパラグアイを移動しながら採取したことが分かりますね。購入時にラベルを見てぎょっとしましたが、おかしな学名はフィールドナンバーの記載事項だったんですね。
Field number : VoS 03-04
Collector : Volker Schädlich
Species : Gymnocalycium damsii ssp. evae v. torulosum
Locality : Paraguay, Santa Cruz (east of San Jose 309m)
Date : 01/01/2007

 さて、ここ3回に分けてVoSナンバーの付いたギムノカリキウムをご紹介してきました。お気づきのように学名がかなり変わってしまっています。あまり馴染みがない名前ばかりかもしれません。どうやら、近年のギムノカリキウム属の分類は、亜種や変種はまとめる傾向があるようです。とは言うものの、これで一件落着とは言えないでしょう。おそらくはギムノカリキウム属は見かけの分類は非常に困難です。ギムノカリキウムの分類はかなりの高難度ですから、近縁種を集めて詳細な遺伝子解析でもしないと、いつまで経っても仮の分類にしかならないような気もします。それまでは、学名もコロコロ変わるでしょう。まあ、取り敢えずは、フィールドナンバーの記載された学名をラベルに書いておくことにしておきます。


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昨日に引き続き、ラフレシアリサーチさんで購入したギムノカリキウムのご紹介です。昨日はGymnocalycium mihanovichiiでしたが、本日はGymnocalycium friedrichiiです。
フリエドリチイ(フリードリッヒ)は一般的には「牡丹玉」と呼ばれます。私が購入したのは、'VoS 01-017/a'という番号が付いたフリエドリチイです。


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Gymnocalycium friedrichii VoS 01-017/a

フリエドリチイの学名は、はじめて命名されたのは1936年のGymnocalycium mihanovichii var. friedrichii Werderm.でした。つまりは、ミハノヴィチイの変種とされたのです。1979年には独立種となり、Gymnocalycium friedrichii (Werderm.) Pazout ex Sch
ützとなりました。一般的にはこの学名が流通していますが、どうやら問題のある学名のようです。G. friedrichiiには'not validly publ.'という表記が追加されています。つまりは、有効な公開ではないということです。学名は命名規約に乗っ取って記載する必要があり、不備があれば無効となる可能性もあります。この場合、G. friedrichiiを命名した論文を読まないと、どこに問題があったのかは分かりません。一応、今後調べてみます。しかし、命名者が'Pazout ex Schütz'となっていますから、そもそもG. friedrichiiはPazoutが記載したものの何らかの不備があり、そのPazoutをSchützが引用して改めて記載したという意味ですが、さらにその論文にも不備があったということになります。
では、現在認められている学名はというと、1979年に命名された、Gymnocalycium stenopleurum F.Ritterです。一般にG. stenopleurumは大型のG. friedrichiiと言われたりしますが、2016年にはGymnocalycium friedrichii subsp. stenopleurum (F.Ritter) Schädlichも提唱されています。
昨日はミハノヴィチイ(G. mihanovichii)をご紹介しましたが、ミハノヴィチイの4つの変種は、実はG. stenopleurumの異名とされています。上で出てきたG. mihanovichii var. friedrichii以外では、
1951年に命名されたGymnocalycium mihanovichii var. piraretaense Pazout1962 年に命名されたGymnocalycium mihanovichii var.  angustostriatum Pazout1963年に命名された Gymnocalycium mihanovichii var. albiflorum Pazoutです。

また、1958年に命名されたGymnocalycium eytianum Cardenasは、2008年にはGymnocalycium friedrichii subsp. eytianum (Cardenas) H.Hill & Amerh.とする意見もありましたが、これは'not validly publ.'ということですから、有効な公開ではないようです。ちなみに、G. eytianumはGymnocalycium marsoneri subsp. matoenseの異名とされているようです。

最後にフィールドナンバーを調べてみます。昨日のG. mihanovichiiと同じくVolker Schädlichが2007年の正月にパラグアイで採取しています。
Field number : VoS 01-017/a
Collector : Volker Schädlich
Species : Gymnocalycium friedrichii
Locality : Paraguay, Boqueron (north of Americo Pico 195m)
Date : 01/01/2007

フィールドナンバーの学名が、G. stenopleurumではなくG. friedrichiiになっていますが、これは採取された時点での学名だからです。学名が変更になってもフィールドナンバーの情報は更新されませんから、フィールドナンバーとして登録された学名と現在の学名が異なることは当然の話です。
ちなみに、有名なLB 2178は暗い地に白い肋が鮮烈ですが、このVoS 01-017/aのように採取地点により特徴が異なります。LBは採取したLudwig Berchtの略ですが、Berchtが採取したG. friedrichiiはLB 2178だけではありません。LB 2211やLB 2218、LB 3054などもBerchtにより採取されたG. friedrichiiです。他にもSTO 95-995/1、HU 311、RCB 360、HT 373、LAU 373など、様々な採取人により沢山の個体が採取されています。どれも個性的ですから、集めたくなってしまいますね。


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五反田TOCのビッグバザールでもお馴染みのラフレシアリサーチさんは、毎度フィールドナンバー付きのサボテンを並べています。フィールドナンバーとは、野生の植物が採取された時の情報が記載されたものです。フィールドナンバーが付いているということは、交配種や園芸種ではなく、野生個体由来の植物を増やしたものということになります。
ラフレシアリサーチさんからは私も度々購入していますが、たまたまよく似た3種類のギムノカリキウムを入手しました。これから3回に分けて、3種類のギムノカリキウム、G. mihanovichii、G. friedrichii、G. damsii ssp. evae v. torulosumをご紹介します。
今日はミハノヴィチイ(ミハノビッチ)です。ミハノヴィチイは一般的には「瑞雲丸」と呼ばれます。私が購入したのは、'VoS 01-007'という番号が付いたミハノヴィチイです。

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Gymnocalycium mihanovichii VoS 01-007

ミハノヴィチイは、はじめて命名されたのは1905年のことで、Echinocactus mihanovichii Frič & Gürkeと命名されました。しかし、1922年にはギムノカリキウム属に移され、Gymnocalycium mihanovichii (Frič Gürke) Britton & Roseとなりこれが現在認められている学名です。また、1966年にはGymnocalycium mihanovichii var. filadelfiense Backeb.という変種が主張されましたが、現在では変種としては認められずG. mihanovichiiと同種とされています。 

さて、ミハノヴィチイには他にも4つの変種がありましたが、現在ではそのすべてが認められていません。しかも、その4種はG. mihanovichiiとは関係がなく、すべてがGymnocalycium stenopleurumと同種とされているようです。一応、その4種を以下に示します。
1936年 G. mihanovichii var. friedrichii
1951年 G. mihanovichii var. piraretaense
1962年 G. mihanovichii var. angustostriatum
1963年 G. mihanovichii var. albiflorum

最後に、フィールドナンバーを調べてみます。2007年の正月にパラグアイで採取されたようです。
Field number : VoS 01-007
Collector : Volker Schädlich
Species : Gymnocalycium mihanovichii
Locality : Paraguay, Boqueron (West of Mariscal, Ruta Trans-Chaco towards Fn. Nueva Asunsion 205m)
Date : 01/01/2007


以上がミハノヴィチイについての情報でした。明日はG. friedrichiiをご紹介します。G. friedrichiiと言えばLB 2178が有名ですね。このLBはフィールドナンバーですが、当然ながらLB 2178以外のフィールドナンバーも存在します。私の購入したG. friedrichiiはVoSナンバーです。しかし、少し調べるとG. friedrichiiの学名については多少のいわくがあるようです。


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昨年の秋のサボテン・多肉植物のビッグバザールで、「ユーフォルビア・ペディラントイデス」という名前の花キリンを入手しました。調べてみましたが、海外や論文を含めたいした情報はありませんでした。仕方がないので、学名について調べてみました。

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Euphorbia pedilanthoides

ペディラントイデスの学名は、1921年に命名されたEuphorbia pedilanthoides Denisです。しかし、実は最初に命名されたのは1887年で、Pedilanthus lycioides Bakerでした。Pedilanthusはユーフォルビア属と同じトウダイグサ科の植物で、すぼまった形のほとんど開かない花が咲きます。代表的な種類は「ダイギンリュウ」の名前で知られています。ペディラントイデスは最初Pedilanthusとされたのは、特徴的な花の形状がよく似ているからでしょう。しかし、それ以下の特徴はあまりにも花キリンです。
ここで一つ疑問がわきます。Pedilanthus lycioidesがユーフォルビア属に移動したならば、学名はEuphorbia lycioidesとなるのが通常でしょう。しかし、何故かEuphorbia pedilanthoidesとされているのです。もしやと思って、試しにEuphorbia lycioidesを調べてみたら、なんとEuphorbia lycioides Boiss.というブラジル原産のユーフォルビアが出てきました。ペディラントイデスは花キリンですから、当然ながらマダガスカル原産です。つまりはまったくの別種です。しかも、このEuphorbia lycioidesは1860年の命名で、なんとPedilanthus lycioidesよりも命名が早いのです。命名が早い方が優先されますから、Euphorbia lycioidesを使うわけにはいかなかったのです。というわけで、ユーフォルビアとなるにあたり新たに命名し直したということなのでしょう。ちなみに、種小名の'pedilanthoides'とは、「Pedilanthusに似た」という意味ですね。

ペディラントイデスには「痩花キリン」という名前もあります。枝が細い所から来ているのでしょうか。読み方ですが、幾つかのサイトでは「ソウカキリン」とありました。しかし、「痩せた」+「花キリン」でしょうから、「痩花+キリン」は読み方としては少しおかしな気もしますが、まあ所詮は園芸名なので問題がないと言えば問題がないのでしょう。
そういえば、根元の幹が少し太ってやや塊茎状となるようですが、小さく目立ちませんね。本来は枝が枝分かれして長く伸び灌木状になりますから、盆栽のような枝を切り詰めながら育てればコーデックスとして扱えるかもしれません。

ペディラントイデスは花キリンですが、花キリンはユーフォルビア属ユーフォルビア亜属Old world  Clade IIのSection Goniostemaに所属します。花キリンにも幾つかのグループがありますが、ペディラントイデスはE. horombensis、E. didiereoides、E. croizatii、E. lophogona、E. milliiなどと近縁です。

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新年のサボテン・多肉植物のビッグバザールに行きました。ラフレシアリサーチさんが様々な多肉植物の種子を販売していましたが、Operculicarya pachypusの種子を3粒購入しました。まだ寒いので種をまく適期ではないでしょうけど、お試し用に1粒まいてみました。ちなみに、先人の知恵は無視して、適当にやってしまいました。一応は持てるだけの科学知識を動員してはみましたが…
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今回はこんな道具を使用。今回は30mLサイズの三角フラスコに種をまきます。

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オーソサイドは種子の殺菌にも使用されます。

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オーソサイドを適当に溶かしました。ピンセットの殺菌用なので、規定の倍率にする必要はありません。

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オペルクリカリア・パキプスの種子を使用。今回はお試し用に1粒だけ。果肉には発芽を抑制するアブシジン酸が含まれていますから、果肉は取り去る必要があります。自然では鳥などの動物に食べられて果肉は消化されます。

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しばらく水に浸け込んで、果肉をふやかします。

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しかし、思うように水を吸いません。果肉も固く中々取れません。

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果肉を取っては水に浸けてふやかしてを繰り返しました。まあ、ティッシュペーパーで擦ってだいたい果肉は落ちましたかね。

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しばらく水に浸けておきます。直ぐに沈んだので、しいな(不捻種子)ではなさそうです。10時間ほど吸水。

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赤玉土と燻炭を混ぜたものです。赤玉土は細粒が良いのでしょうけど、なかったので中粒で代用。熱湯で簡単に消毒。本当は圧力鍋で高温湿圧滅菌した方がベストですが、食品以外で圧力鍋は使いたくありませんからね。

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殺菌剤水溶液にピンセットを浸け込んでおきます。まあ、火炎滅菌の方が手っ取り早くて確実ではあります。ライターの弱い火でも800~900度、火で炙れば完全に滅菌可能ですからね。しかし、ピンセットが酸化して汚くなるので今回はなしの方向です。専用のピンセットが必要でしたか。

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種子はよく水に溶かした滅菌剤に浸けたりしますが、今回は種子に直に殺菌剤をまぶします。殺菌剤の説明書に書かれた希釈倍率は、果実に使った時に残留しないようにするためのものです。ですから、種子粉衣と言って、直に殺菌剤をまぶした方が簡単で効果が期待出来ます。まあ、モヤシやカイワレ大根なんかは、発芽前の種子に殺菌剤をまぶすと、高濃度の殺菌剤を口にすることになりますから止めた方が無難ですけどね。

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種子には発芽に光が必要な明発芽種子と、光があると発芽しない暗発芽種子とがあります。例えば、乾燥地の植物の種子は、光が当たっている環境だと発芽しても暑さや乾燥で枯れてしまうのではないでしょうか。種子が確実に地中に埋まっている時に発芽した方が生き残る可能性が高いでしょう。ですから、多肉植物は暗発芽種子が多いような気もします。というわけで、種子は暗くしておきます。

さて、勢いだけで適当にやってしまいましたが、どうなることやらといった感じです。上手くいけばいいのですが、部屋が普通に10℃以下になるので中々厳しいかもしれませんね。まあ、試しです。種子もかなり安かったので、失敗しても大して懐が痛むわけでもありません。
まあ、とはいえ今回やってみたものの、少しカビに対して神経質過ぎたかなあとは思いました。極端なことを言えば、普通に殺菌せずに種をまいて、カビが生えたら殺菌剤まけばそれで解決なんですよね。今さらですが、ただの徒労だったかもしれません。次回はもっと適当にやってみます。



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硬葉系ハウォルチア(Haworthiopsis)は人気がなく、昔から国内で流通しているにも関わらずあまり見かけません。私もちまちま集めていますが、中々集まりません。去年の10月に神奈川県川崎市のタナベフラワーで多肉植物のイベントががあり訪れましたが、珍しいことに硬葉系ハウォルチアがけっこうあり、Haworthiopsis venosaを購入しました。
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Haworthiopsis venosa

ハウォルチアは南アフリカ原産ですが、H. venosaは南アフリカだけではなくナミビアにも分布する可能性があり、非常に広範囲に分布します。厳しい環境ですが、茂みの中や岩の隙間などの陰に生えます。自生地にはEuphorbia aggregata、Crassula obvallata、Cotyledon toxicarina、Mesembrhanthemum saxicolum、Stapelia flavirostrisなどが生えます。

さて、H. venosaが最初に命名されたのは1783年のことで、実に200年以上前のことです。この時はアロエ属とされており、Aloe venosa Lam.でした。ハウォルチア属が創設されたのは1809年ですから、1809年より前に命名されたハウォルチアはすべてアロエ属でした。1821年にはHaworthia venosa (Lam.) Haw.とされました。この学名が一番良く使用されており、国内では園芸的にも未だにこの名前で販売されています。その後、1891年にCatevala venosa (Lam.) Kuntzeも提唱されましたが、このカテバラ属自体が現在は存在しない属ですから認められていません。2013年には硬葉系ハウォルチアがHaworthiopsisとされましたが、H. venosaもハウォルチア属からハウォルチオプシス属とされました。つまり、Haworthiopsis venosa (Lam.) G.D.Rowleyです。残念ながら国内ではハウォルチオプシスの使用は少ないのが現状です。しかし、遺伝子解析の結果からも、ハウォルチア属とハウォルチオプシス属の分離はまず間違いがないでしょう。H. venosaには他にも異名がありますから年表で示します。

1804年 Aloe anomala Haw.
              Aloe recurva Haw.
              Aloe tricolor Haw.
1811年 Apicra anomala (Haw.) Willd.
              Apicra recurva (Haw.) Willd.
              Apicra tricolor (Haw.) Willd.
1812年 Haworthia recurva (Willd.) Haw.
1876年 Haworthia distincta N.E.Br.
1891年 Catevala recurva (Willd.) Kuntze
1943年 Haworthia venosa var. oertendahlii Hjelmq.

1976年 venosa subsp. recurva (Haw.) M.B.Bayer

H. venosaはよく見ると、葉の上面は透き通っています。ハウォルチオプシス属ではこのような「窓」があるものはあまりありませんが、しかも窓に葉脈のような模様が入るのは、H. venosa、H. tessellata、H. woolleyi、H. granulataくらいです。これらの共通する特徴を持つハウォルチオプシスは、H. venosaの亜種あるいは変種とされたこともあります。H. venosaとの関連だけをピックアップして見てみましょう。          DSC_1797
Haworthiopsis woolleyi
              (Poelln.) G.D.Rowley, 2013

異名
Haworthia woolleyi Poelln., 1937
→Haworthia venosa subsp. woolleyi
                     (Poelln.) Halda, 1997
→Haworthiopsis venosa var. woolleyi
                    (Poelln.) Breuer, 2016


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Haworthiopsis tessellata
                   (Haw.) G.D.Rowley, 2013

異名
Haworthia tessellata Haw., 1824
→Aloe tessellata
         (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
→Haworthia venosa subsp. tessellata
                                 (Haw.) M.B.Bayer, 1982
→Haworthia venosa var. tessellata
                                        (Haw.) Halda, 1997


Haworthiopsis granulata
           (Marloth) G.D.Rowley, 2013

異名
Haworthia granulata Marloth, 1912
→Haworthia venosa subsp. granulata
                     (Marloth) M.B.Bayer, 1976


ちなみに、何故か共通した特徴のないように見えるニグラもH. venosaの亜種とされたことがあるようです。一応、情報を記載します。
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Haworthiopsis nigra
                   (Haw.) G.D.Rowley, 2013
異名
Apicra nigra Haw., 1824
→Aloe nigra (Haw.)
               Schult. & Schult.f., 1829 
→Haworthia nigra (Haw.) Baker, 1880
→Haworthia venosa subsp. nigra
                                (Haw.) Halda, 1997




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今年の正月明けに五反田TOCで開催された、新年のサボテン・多肉植物のビッグバザールへ行って来ました。今回のビッグバザールは、アロエがいつもより多く珍しいものも沢山ありました。悩みましたが、マダガスカル原産の小型アロエであるバケリ(Aloe bakeri)を購入しました。バケリはアロエにしては葉は薄くて非常に硬く、まるでディッキア(Dyckia)のようです。

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Aloe bakeri

バケリは園芸店では見かけないアロエですが、どのような多肉植物なのでしょうか? 少し調べてみました。取り敢えず論文を当たってみましたが、2019年のColin C. Walkerの論文、『Aloe bakeri - a critically endangered highly localized Madagascan endemic』が見つかりました。早速内容を見ていきましょう。

イギリスの植物学者であるGeorge Francis Scott-Elliotは1888年から1890年にかけてマダガスカルを訪れました。マダガスカル最南東にあるFort Dauphin (Taolagnaro, Tolanaro, Tolagnaro)での採取で、Aloe bakeriは発見されました。Scott-Elliotはキュー王立植物園のアロエの専門家であるJohn Gilbert Bakerに対する献名として、1891年にマダガスカルで採取した新しいアロエにAloe bakeri Scott-Elliotと命名しました。
 
1994年にA. bakeriをGuillauminiaとする、つまりはGuillauminia bakeri (Scott-Elliot) P.V.Heathがありました。このGuillauminiaは、Guillauminia albiflora(Aloe albiflora)のために、1956年にBertrandにより提唱された属です。Heathは1種類しかなかったGuillauminiaを拡大し、マダガスカルの矮性アロエであるA. bakeri、A. bellatula、A. calcairophylla、A. descoingsii、A. rauhiiを含ませましたが、それまではGuillauminiaが注目を浴びることはなく無視されてきました。しかし、アロエの権威であったReynoldsはGuillauminiaを採用しないなど、浸透したとは言いがたいようです。しかも、1995年にGideon F. Smithらにより発表された『The taxonomy of Aloinella, Guillauminia and Lemeea (Aloacaea)』ではGuillauminiaを詳細に分析し、アロエ属とは異なりGuillauminiaのみに共通する特徴がないことなどが指摘され、Guillauminiaは明確に否定されています。さらに、近年の遺伝子解析の結果では、Guillauminiaの所属種同士が必ずしも近縁ではなく、アロエ属の中に埋没してしまうことが明らかとなりました。よって、現在Guillauminiaは認められておりません。
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Aloe albiflora

次に自生地を調査した植物学者たちの報告を見てみましょう。Gilberd Reynoldsは1955年の6月から10月まで、マダガスカルでアロエを探して、自動車で4000マイル(6437km)以上の距離を運転しました。ReynoldsはFort Dauphinの近くでAloe bakeriを大量に見つけました。それは、50から100の密集したグループで生長していました。
次いで、Werner Rauhはマダガスカルに9回旅行しました。Rauhの1964年の報告では、Fort Dauphin付近でA. bakeriを観察しています。A. bakeriはTolanaro北西にあるVinanibe付近のまばらな花崗岩の露頭の腐植土が溜まった岩の亀裂で育つとしています。

CormanとMaysは2008年の報告で、去年(2007年)にマダガスカル南部を訪れたNorbert RebmannとPhilippe Cormanは、Euphorbia millii var. imperataeとともに生育するFort Dauphin付近のA. bakeriを見つけました。しかし、近くの港の開発に必要な石材採取のために、A. bakeriの生息地が破壊されていました。CormanはかつてRauhが観察した岩場で、A. bakeriは4個体しか見つかりませんでした。A. bakeriを発見したScott-Elliotは砂丘にも生息するとしていましたが、RebmannもCormanも砂丘ではA. bakeriを見つけることは出来ませんでした。
Castillon & Castillonは2010年の報告で、Taolagnaro付近の岩だらけの丘は、商業港と都市部の産業開発のため2年前に消滅したため、野生のA. bakeriは絶滅してしまったとしています。


以上が論文の簡単な要約となります。そういえば、1902年に命名されたAloe bakeri Hook.f. ex Bakerというアロエもありますが、こちらはAloe percrassa Tod.の異名です。A. percrassaは大型アロエですから、まったく似ていませんから間違いようはありませんね。
著者は絶滅したかは断言していませんが、キュー王立植物園のデータベースではA. bakeriは「絶滅」と表記されています。栽培は難しくないようですから、栽培品の維持はされています。しかし、自然環境に自生する多肉植物は非常に美しいものですから、大変悲しいことです。これ以上、多肉植物が絶滅してしまうことが起きてほしくありません。


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寒い日はありますが、今年の1月は割と暖かい気もします。関東では雪が降るかも知れないと言いますから、冬本番はこれからかもしれませんね。

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幻蝶カズラ Adenia glauca
寒さに弱い幻蝶カズラは、冬は毎年葉を落とします。しかし、今年は枝をカットした後に、冬だというのに新しい葉が出て来て枯れません。

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Haworthia mucronata var. mucronata JDV90-111
ムクロナタは夏は葉先が枯れたりしますが、冬は瑞々しくて一番綺麗な時期ですね。


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Haworthia arachnoidea
禾が美しいアラクノイデアも、葉の枚数が増えてだいぶ見られるようになりました。

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Gasteria disticha
ディスティカの花は丸みがあり、ガステリア=胃と命名された理由がよく分かります。


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Gasteria baylissiana
小型ガステリアのバイリシアナも花芽が出来てきました。

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Gasteria carinata
カリナタの花は細長くて、ガステリア=胃というほど似ていませんね。

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千代田錦 Gonialoe variegata
千代田錦も花芽が見えて来ました。

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Euphorbia moratii
塊根性花キリンのモラティイにも花芽が出てきました。去年のビッグバザールで購入したばかりですから、はじめての花です。


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鉄甲丸 Euphorbia bupleurifolia
鉄甲丸も花が咲きました。育てにくい割にちょくちょく開花します。


最後に気になる情報を一つ。鶴仙園さんのブログを見ていたら、なにやらイベントが開催されるみたいですね。今回は「ZawaFes ReUNION」という茨城県のつくばで開催される多肉植物の即売会です。先行入場チケット抽選をやってるみたいですから気になる方はお早めに。しかし、つくばは完全に車社会で公共交通機関だときついことが多いのですが、会場の「つくばカピオ」はつくばエクスプレスのつくば駅の近くですから、立地は良さそうです。主宰は四国造園さんという茨城県では有名な多肉植物の聖地とされる園芸店だそうです。おらいさん、優木園さんなどという名前が並びますから、どうやらエケベリアがメインとなりそうです。まあ、エケベリアはずっと人気がありますからね。しかし、開催は3月12日ということで、春のサボテン・多肉植物のビッグバザールと同じ日なんですよ。まあ、ビッグバザールは開催日が変わることがありますが、しかし開催日が被るとは。ZawaFesの会場のつくばカピオは中々予約が取れないので、抽選でこの日になったみたいですから偶然なんでしょうけど困りましたね。


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ガステリアは実に面白い多肉植物ですが、何故か人気がありません。どうしても、マニアックな印象がつきまといます。もしかしたら、臥牛が古典植物のように扱われ、微妙な姿の違いを観賞する傾向があるからかもしれません。ということですから、あまり人気がないのであまり販売されていません。ガステリア自体は昔から国内に流通していますから、レアとは言えない種類も多いはずですけどね。私も極々稀に販売されていたりしますから、機を逃さずにチマチマ集めて記事を書いてきました。また、現在、学術的に認められているガステリア属を異名を含めまとめた記事があります。
本日ご紹介するのはGasteria distichaです。「青竜刀」あるいは「無憂華」という名前もあるようですが、ネットの販売サイトでしか見たことがない名前です。実際に使われているのかは不明です。

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Gasteria disticha

G. distichaの学名は、1827年に命名されたGasteria disticha (L.) Haw.ですが、これは1753年にCarl von Linneが命名したAloe disticha L.から来ています。ガステリア属は1809年にGasteria Duvalが創設されるまではアロエ属とされていました。実はG. distichaは最初に命名されたガステリアです。また、1866年にはPtyas disticha (L.) Salib. not validly publ.も知られます。末尾に''not validly publ.とありますが、これは有効な公表ではないということですから、正式なものとは認められていないのでしょう。

G. distichaには変種が認められています。2007年にGasteria disticha var. robusta van Jaarsv.Gasteria disticha var. langebergensis van Jaarsv.が命名されたことに従い、基本種はGasteria disticha var. distichaとなりました。この内、変種ランゲベルゲンシスは独立種とされ、2019年にGasteria langebergensis (van Jaarsv.) van Jaarsv.となり、Gasteria distichaではなくなりました。さらに、2022年にはGasteria disticha var. marxiiがE. J. van JaarsveldとD. V. Tribbleにより提唱されていますが、まだ審議中といったところでしょうか。データベース上ではvar. marxiiの名前はまだ確認出来ません。


さて、ここからは異名を見ていきましょう。ガステリアは「分類学者の悪夢」と言われるくらい分類が混乱していた経緯があり、19世紀にはやたらめったらに学名が命名されました。そのため、うんざりする程に異名が沢山あります。というわけで、変種ディスティカの異名を命名年順に列挙します。

1768 Aloe linguiformis Mill.
1789 Aloe lingua var. angustifolia Aiton
          Aloe lingua var. crassifolia Aiton
1804 Aloe lingua var. latifolia Haw.
          Aloe lingua var. longifolia Haw.
          Aloe nigricans Haw.
          Aloe obliqua Jacq., nom. illeg.    
1809 Gasteria angustifolia (Aiton) Duval
          Gasteria longifolia (Haw.) Duval
          Gasteria nigricans (Haw.) Duval

1811 Aloe obscura Willd., nom. illeg.
1812 Aloe longifolia (Haw.) Haw., nom. illeg.
          Gasteria latifolia (Haw.) Haw.
1817 Aloe nigricans var. crassifolia Salm-Dyck
1819 Gasteria denticulata Haw.
1821 Aloe angustifolia
                     (Aiton) Salm-Dyck, nom. illeg.
          Aloe conspurcata Salm-Dyck
          Aloe obtusifolia Salm-Dyck, nom. illeg.
          Gasteria mollis Haw.
          Gasteria nigricans var. crassifolia
                            (Aiton) Haw.
1827 Gasteria conspurcata (Salm-Dyck) Haw.
          Gasteria crassifolia (Salm-Dyck) Haw.
          Gasteria disticha var. major Haw.
          Gasteria disticha var. minor Haw.
          Gasteria obtusifolia Haw.
1829 Aloe crassifolia
                         (Salm-Dyck) Schult. & Schult.f.
          Aloe mollis (Haw.) Schult. & Schult.f.
1840 Aloe retusifolia Haw. ex Steud.
1880 Gasteria disticha var. angustifolia Baker
          Gasteria disticha var. conspurcata
                                         (Salm-Dyck) Baker
          Gasteria platyphylla Baker

アロエだったりガステリアだったりしますが、とにかく様々な名前が付けられてきました。しかも、所々に'nom. illeg.'、つまりは非合法名が見受けられます。
そういえば、G. distichaははじめて命名されたガステリアだと述べましたが、ヨーロッパにはじめてもたらされたガステリアでもあります。G. distichaはCarl von LinneがAloe distichaと命名する前から知られていました。1689年にケープタウンの東でHendrik Oldenlandが採取し、'Aloe africana flore rubro folia maculis ab utraque parte albicantibus notata'という特徴の羅列で表記されました。その後、Carl von Linneにより、Aloe distichaと命名されましたが、この'disticha'とは葉が左右に分かれる二列性の特徴から、分配を意味するラテン語由来の種小名です。

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さて、タイトルにあります通り、Gasteria distichaにはじめて花が咲きました。Gasteriaはgaster=胃からきた名前ですが、名前の如く胃袋のような形の花を咲かせます。ガステリアの花には細長いタイプと短いタイプかありますが、G. distichaの花は短いタイプですね。丸みがあってかわいらしい花です。


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昨年末に千葉で開催された木更津Cactus & Succulentフェアで、低木状のユーフォルビアであるバルサミフェラ(Euphorbia balsamifera)を購入しました。バルサミフェラはあまり見かけないユーフォルビアでしたが、最近のイベントではポツポツ見かけるようになりました。国内ではあまり流通していませんから、割と高価です。しかし、私のバルサミフェラは現在室内栽培しているとは言うものの、明け方はかなり冷え込むにも関わらず新しい葉を盛んに出しています。思ったより丈夫みたいですから、値段も徐々に落ち着いていくでしょうね。

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Euphorbia balsamifera

そんなバルサミフェラですが、非常に分布が広く生息域が分断されて距離があることが知られています。そのため、伝統的にアフリカ北部に広く分布するE. balsamifera subsp. balsamiferaと、アフリカの角~アラビア半島原産のE. balsamifera subsp. adenensisに分けられてきました。しかし、実際にはsubsp. adenensisは種として独立し、Euphorbia adenensisとなりました。

実はここからが本題です。どうやら、バルサミフェラにはまだ謎が隠されているようなのです。というわけで、本日ご紹介するのはRichard Riinaの2020年の論文、『Three sweet tabaibas instead of one : splitting former Euphorbia balsamifera s. l. and resurrecting the forgotten Euphorbia sepium』です。
論文のタイトルの後半は、「広義のEuphorbia balsamiferaを分割し、忘れられたEuphorbia sepiumを復活させる」ということですから、バルサミフェラからE. sepiumを分離するということです。さて、この「広義(s.l.=sensu lato)のバルサミフェラ」とは何かですが、ここではE. adenensisやE. sepiumを含んだバルサミフェラを示しています。逆にE. adenensisやE. sepiumを含まないバルサミフェラは「狭義(s.s.=sensu stricto)のバルサミフェラ」と呼んでいます。

一度述べていますが、広義のバルサミフェラはアフリカの角~アラビア半島はアフリカ北西部~西部などの個体群と分布に距離がありました。そのため、広義のバルサミフェラについて、各地からサンプリングして遺伝子を解析しました。その結果を示します。

┏━━━━E. sepium

┃            ┏E. adenensis
┗━━━┫
                ┗E. balsamifera s.s.

まずは、広義のバルサミフェラが3つに分割できるということが分かります。狭義のバルサミフェラはモロッコ、西サハラ、カナリア諸島の原産です。驚くべきことに、アフリカ北西部に分布する狭義のバルサミフェラに近縁なのは、分布の離れたE. adenensisでした。しかし、最大の驚きは狭義のバルサミフェラやアデネンシスと遺伝的に距離がある種があったのです。論文ではこの種を、昔命名されたものの忘れ去られていたE. sepiumを適用しました。実はこのセピウムは、アルジェリア、ベニン、ブルキナファソ、中央アフリカ、チャド、コンゴ、ガンビア、ガーナ、ギニア、リベリア、マリ、モーリタニア、ニジェール、セネガル、トーゴ、西サハラと非常に分布が広く、かつて広義のバルサミフェラの分布の大半を占めています。

ここで疑問が浮かびます。広義のバルサミフェラは三分割されたとは言うものの、非常に近縁であることは間違いありません。では、どのような道筋で進化したのでしょうか。通常ならば、狭義のバルサミフェラ→セピウム→アデネンシスか、アデネンシス→セピウム→狭義のバルサミフェラが一番分かりやすいでしょう。または、広義のバルサミフェラの広い分布域から、徐々に3種類に分かれたというシナリオもあるでしょう。しかし、予想外にも狭義のバルサミフェラとアデネンシスが近縁ですから、上のシナリオはすべてご破算です。例えば、昔は狭義のバルサミフェラあるいはアデネンシスの分布が今より広く隣接していたとか、狭義のバルサミフェラとアデネンシスの間の空白に絶滅した未知の種が存在したとか、考えられるシナリオは沢山あります。

バルサミフェラの学名についてまとめましょう。
バルサミフェラは、1789年にEuphorbia balsamifera Aitonと命名されました。1887年に命名されたEuphorbia adenensis Deflersは、1965年にはEuphorbia balsamifera subsp. adenensis (Deflers) P.R.O.Bally、つまりはバルサミフェラの亜種とされましたが、地理的な隔離などによりやがて独立種により戻されました。また、1911年に命名されたEuphorbia rogeri N.E.Br.は、1938年にEuphorbia balsamifera var. rogeri (N.E.Br.) Maire1948年にはEuphorbia balsamifera subsp. rogeri (N.E.Br.) Guinea とする意見もありましたが、E. rogeriはE. balsamiferaと同種とされています。しかし、1911年に命名されたEuphorbia sapium N.E.Br.は、1938年にEuphorbia balsamifera subsp. sepium (N.E.Br.) Maireとされてきましたが、再びEuphorbia sepiumに戻り、広義のバルサミフェラは3種類に分割されることになったのです。


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Fouquieriaは観峰玉(F. columnaris)やF. fasciculataが有名で、現地球が多肉ブームというかコーデックス・ブームに乗っかり高額で売買されました。しかし、最近では実生苗も販売されるようになり、イベントでは様々な種類が見られるようになりました。私もなんだかんだで実生苗をポツポツと購入しているうちに6種類集まりました。ちなみにFouquieriaは現在11種が認められています。一応ですがその11種類のFouquieriaの命名年を以下に示しましょう。

1823年 Fouquieria formosa
1848年 Fouquieria splendens
1885年 Fouquieria columnaris(観峰玉)
1903年 Fouquieria fasciculata
              Fouquieria macdougalii
1909年 Fouquieria purpusii
1911年 Fouquieria burragei
1925年 Fouquieria diguetii
1939年 Fouquieria shrevei
1942年 Fouquieria ochoterenae
1961年 Fouquieria leonilae

簡単に補足説明すると、観峰玉はIdria属とされることもありますが、現在ではFouquieria属です。また、BronniaやPhiletaeriaも、Fouquieriaの異名とされています。

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Fouquieria ochoterenae

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Fouquieria leonilae

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Fouquieria diguetii

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Fouquieria macdougalii

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Fouquieria formosa

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Fouquieria columnaris

さて、そんなFouquieriaですが、2018年に発表された『Recent radiation and  dispersal of an ancient lineage : The case of Fouquieria (Fouquiericeae, Ericales) in American deserts』という論文では、現在のFouquieriaが分岐した年代を、遺伝子解析から推測しています。論文によると、Fouquieriaの出現は白亜紀後期にまで遡るそうです。白亜紀は中生代末期ですから、まだ恐竜が闊歩していた時代にFouquieriaは生まれたということになります。中生代の次は新生代が始まり、新生代は第3紀と第4紀に分けられます。第3紀は古第3紀と新第3紀に分けられ、現在のFouquieriaの種類はこの新第3紀に分岐したようです。新第3紀は2303万年~258万年前の期間です。新第3紀は人類誕生の頃ですから、現在のFouquieriaたちは割と新しい種類ということになります。しかも、ただ1種類から始まり、新第3紀に急速に10種類(※)に進化したのです。
※F. burrageiはこの論文では取り扱
っていないため不明です。

                            ┏━━F. ochoterenae
                        ┏┫
                        ┃┗━━F. leonilae
                    ┏┫
                    ┃┗━━━F. diguetii
                    ┃
                ┏┫        ┏━F. splendens
                ┃┃┏━┫
                ┃┗┫    ┗━F. shrevei
    ┏━━┫    ┃
    ┃        ┃    ┗━━━F. macdougalii
    ┃        ┃
┏┫        ┗━━━━━F. formosa
┃┃
┃┗━━━━━━━━F. columnaris

┃                            ┏━F. purpusii
┃                        ┏┫
┗━━━━━━┫┗━F. fasciculata 1
                            ┃
                            ┗━━F. fasciculata 2


遺伝子解析の結果からは、Fouquieriaは2つのグループに分けられます。F. purpusiiとF. fasciculataは現生のFouquieriaの中では古い時代に他の種類と分岐しました。次にF. columnarisだけは他の種類から孤立しています。F. ochoterenae、F. leonilae、F. diguetiiは姉妹群で、F. splendens、F. shrevei、F. macdougaliiの群と非常に近縁です。F. formosaはこれらの6種類と近縁です。


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昨年末に千葉で開催された木更津Cactus & Succulentフェアで、Euphorbia ellenbeckiiという名前のユーフォルビアを入手しました。どのような多肉植物なのでしょうか? 少し調べてみました。

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Euphorbia ellenbeckii

Monadenium ellenbeckii
取り敢えず「エレンベッキー」で検索すると、出てくるのはMonadenium ellenbeckiiですね。正直、これは中々面白いことになったと感じました。というのも、遺伝子解析の結果からモナデニウムはユーフォルビアに吸収されてしまいました。ということは、Monadenium ellenbeckiiはEuphorbia ellenbeckiiになるのかというと、おそらくは違うでしょう。何故なら、すでにユーフォルビアには同じ種小名のEuphorbia ellenbeckiiがいるからです。データベースを見てみると、M. ellenbeckiiは2006年にEuphorbia bisellenbeckiiに変更されました。やはり、同姓同名は許されないということです。新しい種小名は、ellenbeckiiに'bis'を追加しただけではあります。この'bis'は「2回」とか「2度」という意味ですから、すでに存在するEuphorbia ellenbeckiiに2を追加した「エレンベッキー2」みたいな割と安直な名前です。
しかし、海外のサイトではすでにこのE. bisellenbeckiiは普通に使われていますが、日本国内ではほぼ流通していない名前です。以前から思っていましたが、日本は情報が遅いですよね。こういう部分でもガラパゴス化しているのは困ったものです。私の弱小ブログではじめて日本で紹介された情報がかなりあるということに、若干うんざりしてしまいます。


Euphorbia ellenbeckii
愚痴はほどほどにして、E. ellenbeckiiを見てみましょう。エレンベッキーは1903年に命名されたEuphorbia ellenbeckii Paxです。特に異名などはないみたいです。原産地はエチオピア、ケニア、ソマリアですから、ちょうどアフリカの角にあたる部分ですね。
E. ellenbeckiiがはじめて記載された論文はPax in A. Engler, Botanische Jahrbücher für Systematik, Pflanzengeschichte und Pflanzengeographie 33 : 285 (1903)ということです。古いので探してもないでしょうけど、一応は探してみます。ごく稀に、古い論文を画像データとして公開されていることもあるからです。
どうやら、E. ellenbeckiiは根元から叢生するタイプみたいですが、枝は再分岐せずに15cmくらいになるようです。トゲは螺旋状につき、最大1.5cmくらいでサイズは様々ということです。花は黄色がかったピンク。ソマリアやタンザニアの原産と聞いて高地産と思いましたが、標高150mに分布するといいますからそれほど育て方に難はないかもしれませんね。


さて、現在得られる情報はこの程度です。正直、情報不足は否めません。日本国内の情報はほぼゼロに近いのですが、海外の情報もどうにも今一つですね。ヒットするのは販売サイトばかりです。育て方もよくわかりませんが、取り敢えず分布が近いソマリア原産のEuphorbia phillipsioidesを参照にして育てるつもりです。E. phillipsioidesはソマリアものですが暑さにも強く、強光にも割と耐えます。もし、日焼けの徴候があれば遮光を強目にすれば良いだけです。間延びした姿にはしたくありませんから、なるべく日に当てて水も絞って詰まった株に育てたいものです。


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サンスベリア、あるいはサンセベリアと呼ばれる植物があります。ラテン語読みなら「サンセヴィエリア」ですかね。まあ、昔からある斑入りのSansevieria trifasciataがすっかり普及しましたが、最近では様々な種類が販売されているようです。そんなサンスベリアですが、私自身はそれほど興味はありません。しかし、ダシリリオンを調べていた時に、また余計な情報を得てしまいました。なんと、サンスベリア属は現在では存在せず、ドラセナ属(Dracaena、ラテン語読みでドラカエナ)に統一されてしまったというのです。その論文では詳細がわかりませんから、その理由を探ってみました。

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ボウチトセランの花

イギリスのキュー王立植物園のデータベースを見てみたところ、サンセヴィエリアはドラカエナの異名とありました。その根拠として、2021年に出された『New nomenclatural and taxonomic adjustments in Dracaena (Asparagaceae)』という論文が指定されていました。しかし、この論文は一般に公開されていませんから概要しかわかりません。しかし、概要を読むと、遺伝子解析の結果から、サンセヴィエリアはドラカエナに含まれてしまうということです。実際の分子系統図を見れないのは残念ですが仕形ありません。
とりあえず、データベースでサンセヴィエリア属の情報を検索してみます。サンセヴィエリア属はCarl von Linneの弟子で鎖国下の日本の出島にも滞在したこともあるCarl Peter Thunbergが1794年に命名したSansevieria Thunb. nom. cons.です。属名は[属名]+[命名者]ですが、通常は命名者を省略して属名だけですが、論文(特に分類学)だと命名者もセットで記入されます。ここでは[属名]+[命名者]+[nom. cons.]となっています。このnom. cons.とは、保存名(保留名)のことです。保存名とは命名規約を厳密に適用すると、今まで使用されてきた学名から変更しなくてはならず、混乱する場合などに維持される学名です。


ただし、サンセヴィエリア属の項目には、'This name is a synonym of Dracaena'とあり、要するにサンセヴィエリアは異名でドラカエナになったということです。実際に最も一般的なサンセヴィエリアであるSansevieria trifasciataを調べてみると、詳細な情報はなくなっており学名はDracaena trifasciataになったからそちらを見るようにとあります。変更後のDracaena trifasciataを見ると、こちらには様々な情報が記載されていました。こちらにはnom. cons.の表記もありませんし、完全にサンセヴィエリアはドラカエナに吸収されてしまったようです。

とりあえず、サンセヴィエリアの有名な種類であるアツバチトセラン、ボウチトセラン、ツツチトセランの3種類について現状がどうなっているのか調べてみました。

①アツバチトセラン
まずは、代表的なサンセヴィエリアであるアツバチトセランです。アツバチトセランは、1903年にSansevieria trifasciata Prain
命名されましたが、2017年にDracaena trifasciata (Prain) Mabb.が提案され現在はこの学名が認められています。また、アツバチトセランには亜種があり、D. trifasciata subsp. trifasciataとD. trifasciata subsp. sikawaeがあり、それぞれに異名があります。

subsp. trifasciataには、1904年に命名されたSansevieria laurentii De Wild.、1911年に命名されたSansevieria jaquinii N.E.Br.、1912年に命名されたSansevieria craigii Anon.、1915年に命名されたSansevieria trifasciata var. laurentii (De wild.) N.E.Br.という異名があります。

subsp. laurentiiは2019年にSansevieria trifasciata var. laurentii R.H.Wbb & Yingerと命名されましたが、2021年にDracaena trifasciata subsp. sikawae (R.H.Wbb & Yinger) Takaw.-Ny. & Thiedeとなりました。


②ボウチトセラン
ボウチトセランは、1859年にSansevieria cylindrica Bojar ex Hook.と命名され、この学名が最も普及しています。しかし、実際には1861年に命名された Sansevieria angolensis Welw. ex Carriereの系統が正しい学名とされているようです。通常は先に命名された学名が優先ですから、S. cylindricaが優先されるはずです。しかし、実際にはS. angolensisが正しいとされる理由は不明です。詳しく調べる必要がありそうです。S. angolensisは命名者がWelw. ex Carriereとなっていますが、これはWelw.が命名したものの正式な命名の要件を満たしていなかったため、1861年にCarriereがWelw.を引用して記載し直したということでしょう。つまりは、Welw.の命名は1861年よりも前ということになりますが、このことがS. angolensisを優先する理由となっているかはわかりません。

さて、ボウチトセランの学名は1861年に命名されたSansevieria angolensis Welw. ex Carriereでしたが、2018年にDracaena angolensis (Welw. ex Carriere) Byng & Christenh.となりました。ボウチトセランには1932年に命名されたSansevieria livingstoniae Rendleという異名もあります。また、異名であるS. cylindricaには、1891年にAcyntha cylindrica (Bojar ex Hook.) Kuntze、1923年に命名されたCordyline cylindrica (Bojar ex Hook.) Brittonなどサンセヴィエリア属ではないという意見もありました。1915年にはSansevieria cylindrica var. patulaという変種も提唱されましたが、現在では認められておりません。

③ツツチトセラン
ツツチトセランは、1903年にSansevieria stuckyi God.-Leb.と命名されましたが、2018年にDracaena stuckyi (God.-Leb.) Byng. & Christenh.となりました。D. stuckyiは、1932年にAcyntha stuckyi (God.-Leb.) Chiov.とする意見もありました。また、S. stuckyiの命名年である1903年に同じ命名者により、Sansevieria andradae God.-Leb.が命名されていますが、現在ではD. stuckyiと同種とされています。ちなみに、この時の記載に問題があったようで、同じく1903年にSansevieria andradae God.-Leb. ex Geromeとなっています。

最後に
さて、このようにサンセヴィエリアについて多少調べてみましたが、サンセヴィエリア属からドラカエナ属に移動するに際して種小名が変わっているものも結構あるみたいです。
それはそうと、今回はキュー王立植物園のデータベースを参照としましたが、それ意外のすべてのデータベースがサンセヴィエリアをドラカエナに変更していないようです。
サンセヴィエリア属はそれなりに種類があるため、かなり大幅な変更でしょうから現在は移行期間中といった感じなのかもしれません。しかし、サンセヴィエリアの名前を残す残さない関係なく、サンセヴィエリアはドラカエナの一部であるであることは覆しようがありません。サンセヴィエリアからドラカエナへの変更の流れは止められないでしょう。


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昨日、世田谷で開催されたボロ市を覗いてきました。伝統ある行事らしく、例年だと出店が700店舗くらい出るらしいです。新型コロナで開催が中止されていましたが、ようやく再開の運びとなりました。まあ、私は初めて来たわけですけどね。
骨董品もありますが、植物も結構あるみたいです。はじめは多肉植物の屋台も出るから少し情報収集してみましたが、いわゆるお祭りですから他にも色々と楽しめそうです。
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世田谷駅には9時半くらいに到着しましたが、まあまあの混み具合でした。取り敢えず、出店をチラチラ見ながらゆっくり進みます。というか、立ち止まる人がいるので、ゆっくりとしか進めません。一番先まで行って戻ってきましたが、ちょうど代官屋敷のあたりで代官行列が始まるタイミングで、うっかり巻き込まれて完全に身動きが取れなくなってしまいました。仕方がないので、代官行列が始まる前のくす玉が割るイベントをかなり近くから見たりしました。その予定はなかったのですがね。
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レトロ感が出るように、インスタントのフィルターで撮影しました。ちょうど、くす玉が割れた瞬間です。

しかし、往路で気になったものがあっても他も見てからにしようと考えて先に進みましたが、復路ではどこだったかわからなくなりました。というのも、混在の度合いはどんどん増しますし、左側通行ですからいちいち反対側の人混みを掻き分けるのも大変。また、往路を行く気力もなく、諦めました。気になったら直ぐに買うべきでしたね。とにかく、何でもありなので、骨董品から食べ物の屋台、物産品から園芸関係まで色々です。着物関係もかなりありました。
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世田谷区のボロ市の紹介ページでは、混雑するからペットは連れてこないで下さいとありましたが、犬を連れた人もまあまあいました。大抵は足の踏み場もない雑踏ですから、抱き抱えざる得ない感じでしたが、小型犬を抱き抱えない人もいて文字通りの踏んだり蹴ったり状態でとても可哀想でした。

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ということで、戦利品としてはこちらのレトロなグラス。実はというか今回はグラスを買いに来ました。家にはホームセンターで買った無個性なものとウイスキーについてきたオマケのグラスしかないので、ちょっと変わったものがあればいいなぁといった感じです。他にも色々ありましたが、上記の理由で諦めました。

あと、名物だという代官餅はありましたが、凄まじい行列でした。私は並びませんでしたが、過去のボロ市では普通に1時間待ちとかみたいですね。あと、屋台のげんこつ揚げが有名みたいですが、やはり行列がありました。私は焼きそばと饅頭くらいしか買いませんでしたが。あと、何故かシャーピンにとんでもない行列…。別にここでしか食べられないものではないでしょうに。
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ボロ市饅頭
白い方は白あんでした。


上町天祖神社の敷地内で、植物を色々売っていました。盆栽や山野草など様々です。多肉植物の専門店はボロ市通りに2店舗でしたが、他にも多肉植物も少し並べているお店は幾つかありましたね。神社では、新潟から来られた中越植物園さんは色々な山野草を並べていましたが、少しだけアロエなんかがありました。ちょうど気になっていた雪女王があったので購入。
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雪女王 Aloe albiflora
マダガスカル原産の小型アロエ。最近では一時期ですが、ある程度園芸店に流通していたみたいです。しかし、何故か巡り合わせが悪く入手出来ず終いでした。ビッグバザールでも何故か見かけないため、良いタイミングでした。旧・Guillauminia。アロエでは珍しい白い花を咲かせます。

そういえば、多肉植物の屋台の片方はお祭り価格なのかやたらに高価で、万単位が当たり前みたいな感じでした。ビッグバザールなら半額以下だよなぁなどと思いながら、じっくり見るだけ見ました。
もう1つの専門店は、正月明けに開催された新春のサボテン・多肉植物のビッグバザールにも出店していたSucculent Connectionさんです。こちらは適正価格。先のビッグバザールでは、荷物がいっぱいでそれ以上買えませんでしたが、実はちょっと気になる多肉植物があったのですが、なんとちょうど売っているじゃあないですか! 早速購入。十二の巻系は(人気がなく育てるのが簡単なので)基本的にお安いので、懐が痛まない良い買い物となりました。
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スーパーゼブラ
Haworthiopsis fasciataの名前でしたが、いわゆるアテヌアタの白いバンドが強いタイプ。アテヌアタの園芸品種が「十二の巻」です。ちなみに、硬葉系ハウォルチアは、ハウォルチアからハウォルチオプシスとなりました。一般的にHaworthiopsis fasciata系品種とされますが、実はHaworthiopsis attenuata系品種です。というよりも、国内で本物のH. fasciataはほとんど販売していません。H. fasciataは私もビッグバザールでしか見たことがありません。園芸店で名札にはH. fasciataと書いてあっても、よくよく観察するとアテヌアタ系ですから注意が必要でしょう。見分け方は、葉の内側に白いイボがあればアテヌアタ系、白いイボがなくツルツルしていればファスキアタ系です。
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ご覧の通り葉の内側に白いイボがありますから、やはりアテヌアタ系ですね。

あまり人気がない十二の巻ですが、個人的には面白い多肉植物だと思っていて、アテヌアタ系、ファスキアタ系は集めています。せっかくですから、手持ちと比べて見ましょう。
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十二の巻
葉の内側には白いイボがあります。H. attenuata系です。


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H. アテヌアタ 特アルバ
葉の内側にも白いイボがあり、H. attenuata系です。特アルバはアテヌアタとして販売されていますが、葉の質感などスーパーゼブラそっくりです。


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Haworthiopsis fasciata
ご覧のようにファスキアタは葉の内側にイボはありません。


というわけで、世田谷ボロ市を散策してきました。新型コロナ始まって以来はじめての人混みでしたが、なんとも疲れました。結局、ボロ市を往復するだけで2時間半かかりました。基本的に行列には並びませんでしたから、見るだけでそれくらいかかるのです。その他にも食器だの味噌汁用の木の器だのを狙っていましたが、混雑に翻弄されてしまいグラスを選ぶだけでほうほうの体で退散する羽目になりました。次回はいつ開催されるのかわかりませんが、次こそは上手く目的のものを入手したいですね。


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私はユーフォルビア好きで、まあそのほとんどが普及種ですが育てています。ただ、ユーフォルビアには毒があり、扱いには多少なりとも気を付ける必要があります。しかし、やはり毒があるパキポディウムについては、なぜか語られることはありません。パキポディウムに毒? と思った方もおられるかも知れませんが、パキポディウムはキョウチクトウの仲間ですから、毒があることは意外とまではいかないのです。ただし、パキポディウムは別に毒が滲み出ているわけではありませんから、葉を毟って食べたりしない限りは特に害はありません。
日本ではパキポディウムと言ったらマダガスカル原産種が圧倒的で、P. rorulatum系(gracilius, cactipesなど)やP. brevicaule、P. horombense、P. densiflorum、P. windsoliiが主流です。これらのマダガスカル原産種は枝を剪定することは基本的にありませんから、毒があったとしてもそれほど注意が必要なわけでもありません。また、アフリカ大陸原産種のP. bispinosumやP. succulentumあたりは枝を剪定しながら育てますが、ユーフォルビアのように、切り口から乳液があふれ出るわけでもないため、それほど神経質にならなくても問題なさそうです。

パキポディウムの毒に関する論文
さて、そんな毒があるパキポディウムですが、どのような毒かは私も知りませんでした。しかし、調べてみるとパキポディウムの毒性について調べた論文を見つけました。それは、Anurag A. Agrawal, Aliya Ali, M. Daisy Johnson, Amy P. Hastings, Dylan Burge & Marjorie G. Weberの2017年の論文、『Toxicity of the spiny thick-foot Pachypodium』です。
この論文は意外性のある内容で、面白い試験をしています。というのも、例えば毒性のある乳液を出すユーフォルビアについて調べると、乳液の成分を分析した化学式や構造式が淡々と並ぶ論文が沢山あります。当然ながらこれらは科学的には重要で意味があるのでしょうけど、私には妙に味気無く感じてしまいます。それらに比べると、この論文はパキポディウムの種類によって毒性の強さに違いがあるのかとか、葉を食べるイモムシに対する毒性を見たりと中々変わったことをしています。というわけで、早速内容に移りましょう。

強心配糖体
ここで最初に用語の説明をします。パキポディウムの毒性を調べるために使用しているのがNa+/K+-ATPaseという酵素に対する反応です。このNa+/K+-ATPaseは、細胞の内外のナトリウムとカリウムの濃度を調整している酵素です。基本的に動物の細胞内にはカリウムが多く、細胞外の血液などにはナトリウムが多くなっています。この濃度の違い(濃度勾配)により、細胞外から細胞内へ、あるいは細胞内から細胞外への物質の輸送が行われます。つまり、このNa+/K+-ATPaseの働きを阻害してしまうことにより、動物に対して毒性が出るのです。具体的には強心配糖体と言って心臓にダメージが来る危険な毒です。

試験① パキポディウムの種類と毒の強さ
さて、このNa+/K+-ATPase(豚由来)に対する阻害を試験した結果、その毒性を5段階評価しています。この場合は数字が大きいほど、毒性が高いことになります。並びは遺伝子解析によるものです。

            ┏P. namaquanum
        ┏┫
        ┃┗P. bispinosum
    ┏┫ 
    ┃┃┏P. lealii
    ┃┗┫
    ┃    ┗P. saundersii
┏┫
┃┃    ┏P. ambongensis
┃┃┏┫
┃┃┃┃┏P. lamerei
┃┃┃┗┫
┃┗┫    ┗P. geayi
┃    ┃
┃    ┃┏P. rutenbergianum
┫    ┗┫
┃        ┗P. decaryi

┃    ┏P. windsorii
┃┏┫
┃┃┗P. baronii
┃┃
┗┫┏P. rosulatum 
    ┃┃       
ssp. rosulatum
    ┃┃        ┏P. inopinatum
    ┗┫    ┏┫
        ┃    ┃┗P. rosulatum ssp. bicolor
        ┃┏┫
        ┃┃┃┏P. horombense
        ┃┃┗┫
        ┗┫    ┃┏P. eburneum
            ┃    ┗┫
            ┃        ┗P. densiflorum
            ┃
            ┗P. rosulatum ssp. cactipes

以上の結果は中々面白いものです。上の4種類、P.namaquanum、P. bispinosum、P. lealii、P. saundersiiはアフリカ大陸の原産で毒性は高い傾向があります。次の5種類はマダガスカル島原産ですが、背が高くなるものが多くアフリカ大陸原産種に近縁です。これらはやはり毒性は高い傾向があります。赤い花を咲かせるP. baroniiとP. windsoriiは毒性が高い傾向があります。下の7種類はマダガスカル島原産で、背が低く幹が太ります。興味深いのは、分岐の根元に近いロスラツムやカクチペスは毒性が弱いのに、分岐先の1つであるイノピナツムは毒性が高まっていることです。一度弱毒となり再び強毒に進化するという奇妙なものですが、このような進化を誘うような要因が何かあるのでしょうか?

試験② オオカバマダラの幼虫の生長を阻害するか?
次に、オオカバマダラの幼虫にパキポディウムの葉の抽出物を食べさせる試験です。なんでこんなことをするのかを説明する前に、まずは背景をお話しましょう。
オオカバマダラは渡り鳥ならぬ渡りをする蝶として有名です。しかも、このオオカバマダラには毒があり、鳥ですら襲わない毒鳥です。オオカバマダラの幼虫は毒のあるトウワタ(Asclepias)の葉を食べて育ちます。そのため、オオカバマダラの体にはトウワタ由来の毒が蓄積しており、その毒でオオカバマダラは身を守っているのです。しかし、よく考えれば、オオカバマダラに毒があるのは、オオカバマダラにはトウワタの毒が効かないからでしょう。実はこのトウワタの毒はパキポディウムと同じくNa+/K+-ATPaseを阻害する強心配糖体です。もしかしたら、オオカバマダラにはパキポディウムの毒は効かないかもしれないのです。

結果として、オオカバマダラの幼虫はパキポディウムの葉(実際にはトウワタの葉に塗ったパキポディウムの葉の抽出物)を食べた量が多いほど、生長が阻害されることがわかりました。オオカバマダラにパキポディウムの毒が効いているように思えます。

試験③ オオカバマダラの酵素を阻害するか?
では、実際にどの程度、毒が効いているのか見てみましょう。最初の試験では使用したNa+/K+-ATPaseは豚由来でした。しかし、同時にオオカバマダラのNa+/K+-ATPaseの働きを阻害するのかも試験したのです。

さて、結果ですが、なんとオオカバマダラの
Na+/K+-ATPaseは、豚由来のNa+/K+-ATPaseと比べると約100倍もトウワタの毒に対して耐性があることがわかりました。オオカバマダラは酵素からしてトウワタの毒が効かなくなっているのです。では、パキポディウムの毒ではどうかというと、オオカバマダラのNa+/K+-ATPaseも豚由来のNa+/K+-ATPaseも、効果に差がありませんでした。つまりは、オオカバマダラはパキポディウムの毒には耐性がないということになります。

最後に
読めばお分かりのように、同じ強心配糖体とはいえ、トウワタとパキポディウムでは毒の成分は異なるのでしょう。とするなら、オオカバマダラにパキポディウムの毒が効くのは当たり前の話でしょう。一口にNa+/K+-ATPaseの働きを阻害すると言っても、どのように阻害するかは物質により異なる可能性が大です。さらに言えば、実際にパキポディウムの葉を食べるイモムシもいるということですから、一概にトウワタよりもパキポディウムの方が毒性が高いとも断言出来ません。パキポディウムの葉を食べるイモムシにトウワタの葉を食べさせたら、結構毒が効いてしまうかもしれません。
というように、非常に面白い研究ではありますが、結果ははっきりしないものでした。しかし、パキポディウムには強烈な毒性があることと、Na+/K+-ATPaseの阻害作用が明らかになりました。しかも、パキポディウムの種類により毒性も異なるのです。しかし、この差は何が原因でしょうか? 非常に気になります。


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 昨日に引き続きエケベリアの遺伝子を解析した論文の紹介です。本日が最後です。

エケベリアとセダムなどの遺伝子を解析した結果を以下に示します。それによると、エケベリアは大きく4つに分けられることがわかりました。下の系統図の太字で示したClade I~Clade IVです。

┏━━━━━━━━Lenophyllum acutifolium

┃                                ┏Sedum palmeri
┃                    ┏━━┫
┃                    ┃        ┗Sedum frutescens
┣━━━━━┫
┃                    ┃┏━━Sedum compactum
┃                    ┗┫
┫                        ┃┏━Sedum allantoides
┃                        ┗┫
┃                            ┃┏Villadia cucullata
┃                            ┗┫
┃                                ┗Villadia albiflora

┃┏━━━━━━━━Sedum dendroideum
┗┫
    ┃┏━━━━━━━Clade I
    ┗┫
        ┃┏━━━━━━Clade II
        ┗┫
            ┃┏━━━━━Sedum corynephyllum
            ┗┫
                ┃┏━━━━Clade III 
                ┗┫
                    ┃            ┏Clade IV-①
                    ┗━━━┫
                                    ┗Clade IV-②

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Clade IV-②はエケベリアのみからなるグループです。series Gibbiflorae、つまりはエケベリア属ギビフロラエ列です。ギビフロラエ列は2つのグループに大別されます。

                            ┏━E. gibbiflora 1
┏━━━━━━┫
┃                        ┃┏E. fulgens 
┃                        ┗┫    v. obtusifolia
┃                            ┗E. gibbiflora 2

┫┏━━━━━━━E. purhepecha
┃┃
┃┃                        ┏E. roseiflora
┃┃                    ┏┫
┃┃                    ┃┗E. nayaritensis
┗┫┏━━━━┫
    ┃┃                ┃┏E. munizii
    ┃┃                ┗┫
    ┃┃                    ┗E. rufiana
    ┃┃
    ┃┃    ┏━━━━E. dactylifera
    ┃┃┏┫
    ┗┫┃┃┏━━━E. michihuacana 1
        ┃┃┗┫
        ┃┃    ┃        ┏E. michihuacana 2
        ┃┃    ┃┏━┫
        ┃┃    ┃┃    ┗E. michihuacana 3
        ┃┃    ┗┫
        ┃┃        ┃┏━E. michihuacana 4
        ┗┫        ┗┫
            ┃            ┃┏E. michihuacana 5
            ┃            ┗┫
            ┃                ┗E. michihuacana 6
            ┃
            ┃┏━━━━E. cante
            ┃┃
            ┃┃        ┏━E. subrigida
            ┗┫┏━┫
                ┃┃    ┃┏E. novogaliciana
                ┃┃    ┗┫
                ┗┫        ┗E. perezcalixii
                    ┃
                    ┃┏━━E. cerrograndensis
                    ┗┫
                        ┃┏━E. sp.
                        ┗┫
                            ┃┏E. marianae
                            ┗┫
                                ┗E. patriotica

                        ┏E. uxorium
┏━━━━━┫
┃                    ┗E. acutifolia

┃                    ┏E. fulgens v. fulgens
┃┏━━━━┫
┃┃                ┗E. guerrerensis
┫┃
┃┃            ┏━E. aff. acutifolia 1
┃┃┏━━┫
┃┃┃        ┃┏E. aff. gigantea
┃┃┃        ┗┫
┗┫┃            ┗E. aff. acutifolia 2
    ┃┃
    ┃┣━━━━E. fulgens
    ┃┃
    ┃┣━━━━E. aff. gibbiflora
    ┃┃
    ┗┫            ┏E. fimbriata 1
        ┣━━━┫
        ┃            ┗E. fimbriata 2
        ┃
        ┣━━━━E. rubromarginata 1
        ┃
        ┃┏━━━E. sp.
        ┃┃
        ┃┃        ┏E. triquiana
        ┃┃┏━┫
        ┃┃┃    ┗E. gigantea
        ┗┫┃
            ┃┣━━E. longiflora
            ┃┃
            ┃┃    ┏E. aff. fulgens 1
            ┃┣━┫
            ┗┫    ┗E. grisea
                ┃
                ┣━━E. crenulata
                ┃
                ┣━━E. rubromarginata 2
                ┃
                ┃┏━E. aff. gibbifor
                ┗┫
                    ┃┏E. prunina
                    ┗┫
                        ┗E. aff. fulgens 2

この4日間に渡る記事の総括は、エケベリア属は単系統ではないということです。複数の系統が入り交じる雑多な寄せ集めと言えます。この状態の解決策は2つあります。1つは、すべてをセダム属としてしまうことです。エケベリアもグラプトペタルムもクレムノフィラもトンプソネラも廃止してしまうのです。おそらく、これが最も簡単かつ分類学的に正しい方法です。もう1つは、グラプトペタルムやクレムノフィラなどを廃止してエケベリアに含んでしまうというものです。この場合、エケベリアは遺伝的には広義セダムの一部ですから、エケベリアを残したい場合にはセダムを細かく分割する必要性が生じてしまいます。あまり現実的ではない提案でしょう。とは言うものの、まだ公的なデータベース上においては旧来の分類方法のままです。どうも、ここ十年くらいでセダムやエケベリアを含むベンケイソウ科植物の遺伝子解析が急激に進行しています。分類体系の再検討はこれからでしょう。かなりホットな話題ですから、これからのことの推移を注視していきたいと思います。


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昨日に引き続きエケベリアの遺伝子を解析した論文の紹介です。Clade I、Clade II、Clade IIIの詳細をお示ししました。本日はClade IV-①です。

エケベリアとセダムなどの遺伝子を解析した結果を以下に示します。それによると、エケベリアは大きく4つに分けられることがわかりました。下の系統図の太字で示したClade I~Clade IVです。

┏━━━━━━━━Lenophyllum acutifolium

┃                                ┏Sedum palmeri
┃                    ┏━━┫
┃                    ┃        ┗Sedum frutescens
┣━━━━━┫
┃                    ┃┏━━Sedum compactum
┃                    ┗┫
┫                        ┃┏━Sedum allantoides
┃                        ┗┫
┃                            ┃┏Villadia cucullata
┃                            ┗┫
┃                                ┗Villadia albiflora

┃┏━━━━━━━━Sedum dendroideum
┗┫
    ┃┏━━━━━━━Clade I
    ┗┫
        ┃┏━━━━━━Clade II
        ┗┫
            ┃┏━━━━━Sedum corynephyllum
            ┗┫
                ┃┏━━━━Clade III 
                ┗┫
                    ┃            ┏Clade IV-①
                    ┗━━━┫
                                    ┗Clade IV-②

_20230109_223219
Clade IVは調査された種類が多いため、2つに分けます。Clade IV-①はEcheveria、Graptopetalum、Sedum、Cremnophila、Reidmorania、Tacitusを含む雑多なクレードです。便宜上、4つのグループに分けました。

┏━━━━①Graptopetalum-1

┃┏━━━②Graptopetalum-2
┃┃
┗┫┏━━③Cremnophila
    ┃┃
    ┗┫┏━④Echeveria
        ┗┫
            ┗━Clade IV-②

①Graptopetalum-1
エケベリアとグラプトペタルムが混雑しており、グラプトペタルムはまとまりのあるグループではないことがわかります。これらは将来的に吸収されて消滅するでしょう。ちなみに、現在G. mendozaeとG. craigiiはセダムとされています。現在、Reidmoraniaはエケベリアに、Tacitusはグラプトペタルムに吸収されてしまいました。

┏━━━━G. mendozae

┣━━━━G. amethystinum

┃        ┏━G. craigii
┣━━┫
┃        ┃┏E. craigiana
┃        ┗┫
┃            ┗E. affinis

┃        ┏━G. grande
┣━━┫
┃        ┃┏G. paraguayense
┃        ┗┫
┃            ┗G. bernalense

┃            ┏R. occidentalis
┃┏━━┫
┃┃        ┗G. pachyphyllum
┃┃
┃┃    ┏━G. bartramii
┣┫┏┫
┃┃┃┃┏G. suaveolens
┃┃┃┗┫
┃┃┃    ┗T. bellus
┃┗┫
┃    ┃    ┏E. valvata
┃    ┃┏┫
┃    ┃┃┗E. calycosa
┃    ┗┫
┃        ┃┏G. saxifragoides
┃        ┗┫
┃            ┗G. pusillum

┃            ┏E. amoena
┣━━━┫
┃            ┗E. microcalyx

┃┏━━━②Graptopetalum-2
┃┃
┗┫┏━━③Cremnophila
    ┃┃
    ┗┫┏━④Echeveria
        ┗┫
            ┗━Clade IV-②


②Graptopetalum-2
③Cremnophila
ここではグラマトペタルムはまとまったグループとなっていますが、セダムが混入しています。クレムノフィラはよくまとまったグループですが、やはりエケベリアやセダムと入れ子状となっています。

┏━━━━━①Graptopetalum-1

┃                ┏G. fruticosum
┃    ┏━━┫
┃    ┃        ┗G. marginatum
┃    ┃
┃    ┃        ┏G. rusbyi
┃    ┣━━┫
┃    ┃        ┗G. filiferum
┃    ┃
┫┏┫        ┏G. macdougallii
┃┃┣━━┫
┃┃┃        ┗S. clavatum
┃┃┃
┃┃┃        ┏G. glassii
┃┃┃    ┏┫
┃┃┃    ┃┗G. pentandrum
┃┃┗━┫
┃┃        ┃┏G. superbum 1
┃┃        ┗┫
┃┃            ┗G. superbum 2
┗┫

    ┃        ┏━C. linguifolia 1
    ┃    ┏┫
    ┃    ┃┃┏C. linguifolia 2
    ┃    ┃┗┫
    ┃    ┃    ┗C. linguifolia 3
    ┃┏┫
    ┃┃┃┏━C. nutans 1
    ┃┃┗┫
    ┃┃    ┃┏C. nutans 2
    ┃┃    ┗┫
    ┗┫        ┗C. nutans 3
        ┃

        ┃        ┏E. humilis
        ┃┏━┫
        ┃┃    ┗E. xichuensis
        ┗┫
            ┃┏━E. trianthina
            ┗┫
                ┃┏④Echeveria
                ┗┫
                    ┗Clade IV-②


④Echeveria
ここではエケベリアがまとまっています。

┏━━━━━━━━━━━E. peacockii

┃┏━━━━━━━━━━E. subalpina
┗┫
    ┃┏━━━━━━━━━E. laui
    ┗┫
        ┃                                ┏E. semivestita 
        ┃                            ┏┫ v. semivestita
        ┃                            ┃┗E. semivestita 
        ┃┏━━━━━━┫     v. floresiana
        ┃┃                        ┃┏E. tamaulipana
        ┃┃                        ┗┫
        ┃┃                            ┗E. runyonii
        ┗┫
            ┃                            ┏E. aff. secunda 1
            ┃┏━━━━━━┫
            ┃┃                        ┗E. aff. secunda 2
            ┃┃
            ┃┃                    ┏━E. minima
            ┗┫┏━━━━┫
                ┃┃                ┃┏E. secunda
                ┃┃                ┗┫
                ┃┃                    ┗E. aff. secunda 3
                ┗┫
                    ┃┏━━━━━E. strictiflora
                    ┃┃
                    ┃┣━━━━━E. shaviana 1
                    ┃┃
                    ┗┫                ┏E. calderoniae
                        ┣━━━━┫
                        ┃                ┗E. shaviana 2
                        ┃
                        ┃┏━━━━E. lutea
                        ┗┫
                            ┃┏━━━E. bifida
                            ┗┫
                                ┃┏━━E. lyonsii
                                ┗┫
                                    ┃┏━E. bifurcata
                                    ┗┫
                                        ┃┏E. rodolfi
                                        ┗┫
                                            ┗E. aff. rodolfi


Clade IV-①は、エケベリア、グラマトペタルム、クレムノフィラ、セダムを含みます。グラマトペタルムはまったくまとまりがありません。Graptopetalum-2はよくまとまっていますが、セダムを含んでいます。Graptopetalum-1はエケベリアが混在しており、グラプトペタルム属の存在自体に疑問符がつきます。
明日に続きます。


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昨日から引き続きまして、エケベリアの遺伝子解析による分類をお示ししています。昨日はClade IとClade IIの詳細をお示ししました。本日はClade IIIです。

エケベリアとセダムなどの遺伝子を解析した結果を以下に示します。それによると、エケベリアは大きく4つに分けられることがわかりました。下の系統図の太字で示したClade I~Clade IVです。


┏━━━━━━━━Lenophyllum acutifolium

┃                                ┏Sedum palmeri
┃                    ┏━━┫
┃                    ┃        ┗Sedum frutescens
┣━━━━━┫
┃                    ┃┏━━Sedum compactum
┃                    ┗┫
┫                        ┃┏━Sedum allantoides
┃                        ┗┫
┃                            ┃┏Villadia cucullata
┃                            ┗┫
┃                                ┗Villadia albiflora

┃┏━━━━━━━━Sedum dendroideum
┗┫
    ┃┏━━━━━━━Clade I
    ┗┫
        ┃┏━━━━━━Clade II
        ┗┫
            ┃┏━━━━━Sedum corynephyllum
            ┗┫
                ┃┏━━━━Clade III 
                ┗┫
                    ┃            ┏Clade IV-①
                    ┗━━━┫
                                    ┗Clade IV-②

_20230109_222553
Clade IIIはThompsonellaを含みます。4つのグループに分けられます。それぞれのグループの詳細を見ると、①Echeveria-1と④Echeveria-4はエケベリアのみからなります。しかし、③Thompsonellaはエケベリアとトンプソネラが混じっています。トンプソネラと近縁なエケベリアをトンプソネラに含めてしまうか、トンプソネラを廃止してエケベリアに含めてしまうか、あるいはエケベリアもトンプソネラも廃止してしまいすべてセダムにするか、3つの選択肢があります。また、②Echeveria-2にはPachyphytum cuicatecanumが含まれます。これは流石にパキフィツムから除外すべきでしょう。

┏━①Echeveria-1

┫┏②Echeveria-2
┃┃
┗╋③Thompsonella
    ┃
    ┗④Echeveria-3


①Echeveria-1

                            ┏E. corynephyllum
┏━━━━━━┫
┃                        ┗E. rosea

┫                        ┏E. chiapensis
┃┏━━━━━┫
┃┃                    ┗E. nuda
┗┫
    ┃┏━━━━━E. nebularum
    ┗┫
        ┃┏━━━━E. globulosa
        ┗┫
            ┃┏━━━E. subcorymbosa
            ┗┫
                ┃┏━━E. megacalyx
                ┗┫
                    ┃┏━E. mondragoniana
                    ┗┫
                        ┃┏E. chazaroi
                        ┗┫
                            ┗E. helmutiana

②Echeveria-2

                            ┏E. rorzaniana
┏━━━━━━┫
┃                        ┗E. carminea

┃    ┏━━━━━E. racemosa
┃    ┃
┃    ┃                ┏E. pinetorum
┃    ┣━━━━┫
┃┏┫                ┗E. mucronata
┃┃┃
┃┃┣━━━━━E. olivacea
┃┃┃
┃┃┃┏━━━━E. penduliflora
┃┃┗┫
┃┃    ┃┏━━━P. cuicatecanum
┃┃    ┗┫
┃┃        ┃┏━━E. alata
┃┃        ┗┫
┗┫            ┃┏━E. viridissima
    ┃            ┗┫
    ┃                ┃┏E. globuliflora
    ┃                ┗┫
    ┃                    ┗E. macdougalii
    ┃
    ┃        ┏━━━E. lurida
    ┃┏━┫
    ┃┃    ┃┏━━E. diffractens
    ┃┃    ┗┫
    ┃┃        ┃┏━E. carnicolor
    ┃┃        ┗┫
    ┃┃            ┃┏E. tencho
    ┃┃            ┗┫
    ┃┃                ┗E. canaliculata
    ┗┫
        ┃        ┏━━E. goldmanii
        ┃┏━┫
        ┃┃    ┃┏━E. aff. bella
        ┃┃    ┗┫
        ┃┃        ┃┏E. bella aff. major
        ┗┫        ┗┫
            ┃            ┗E. sessiliflora
            ┃
            ┃┏━━━E. heterosepata
            ┗┫
                ┃┏━━E. crassicaulis
                ┗┫
                    ┃┏━E. platyphylla
                    ┗┫
                        ┃┏E. longipes
                        ┗┫
                            ┗E. paniculata
                                     v. maculata

③Thompsonella

                    ┏━E. moranii
┏━━━━┫
┃                ┃┏E. pringlei v. parva
┃                ┗┫
┃                    ┗E. pringlei

┃                    ┏T. mixtecana 1
┃┏━━━━┫
┃┃                ┗T. mixtecana 2
┗┫
    ┃            ┏━T. minutiflora 1
    ┃┏━━┫
    ┃┃        ┃┏T. xochipalensis
    ┃┃        ┗┫
    ┃┃            ┗T. minutiflora 2
    ┗┫
        ┃┏━━━T. platyphylla
        ┗┫
            ┃┏━━T. colliculosa
            ┗┫
                ┃┏━T. garcia-mendozae
                ┗┫
                    ┃┏T. spathulata 1
                    ┗┫
                        ┗T. spathulata 2

④Echeveria-3

                    ┏E. setosa v. ciliata
┏━━━━┫
┃                ┃┏E. coccinea 1
┃                ┗┫
┃                    ┗E. coccinea 2

┃                    ┏E. montana
┃    ┏━━━┫
┃    ┃            ┗E. aff. longissima
┫┏┫
┃┃┃┏━━━E. chapalensis
┃┃┗┫
┃┃    ┃┏━━E. derenbergii
┃┃    ┗┫
┃┃        ┃┏━E. gracilis
┃┃        ┗┫
┃┃            ┃┏E. pulvinata 1
┗┫            ┗┫
    ┃                ┗E. pulvinata 2
    ┃
    ┃            ┏━E. amphoralis
    ┃        ┏┫
    ┃        ┃┗━E. sp.
    ┣━━┫
    ┃        ┃┏━E. uhlii
    ┃        ┗┫
    ┃            ┃┏E. setosa v. deminuta
    ┃            ┗┫
    ┃                ┗E. setosa
    ┃
    ┃┏━━━━E. multicaulis
    ┗┫
        ┃┏━━━E. brachetii
        ┗┫
            ┃┏━━E. aff. setosa
            ┗┫
                ┃┏━E. purpusorum
                ┗┫
                    ┃┏E. longissima 
                    ┗┫     v. aztatlensis
                        ┗E. longissima
                                 v. brachyantha


エケベリアの中に埋もれているPachyphytum corynephyllumは、初めはエケベリアとして命名されました。現在はパキフィツムですが、エケベリアとした方が正しいのでしょう。また、Thompsonellaは未だに現在です。Thompsonellaには妥当性がないように思われます。ここいらへんも、将来整理されるかもしれません。
明日に続きます。



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かつて、というか去年の12月初めに珍しくエケベリアについての記事を書きました。実はエケベリアについて調べていたわけではなく、庭に野良セダムが生えてきたのでセダムSedumについて調べていたのです。しかし、見つけた論文のタイトルは"Linnaeus's folly"、「リンネの愚かさ」という大胆なもので、内容もエケベリアがセダムに吸収されてしまうという衝撃的なものでした。その論文の紹介記事はこちらをご一読下さい。
さて、とは言うものの、論文はセダムを広く解析したもので、エケベリアは少し調べただけでした。そこで、エケベリアについてもっと詳細に調べた論文はないかと調べていたところ、参考になりそうな論文を見つけました。2019年の論文、『Phylogenetics relationships of Echeveria (Crassulaceae) and related genera from Mexico, based on DNA barcoding loci』です。非常に長い論文で、詳細を書いていると大変な長さになりますから、実際の遺伝子解析結果のみを示します。
まずは、エケベリアとセダムなどの遺伝子を解析した結果を以下に示します。それによると、エケベリアは大きく4つに分けられることがわかりました。下の系統図の太字で示したClade I~Clade IVです。VilladiaがSedumに含まれてしまうなど、以前ご紹介した論文と傾向は同じです。そして、Clade IIとClade IIIの間に
Sedum corynephyllumが入るなど、エケベリアにはまとまりがありません。

┏━━━━━━━━Lenophyllum acutifolium

┃                                ┏Sedum palmeri
┃                    ┏━━┫
┃                    ┃        ┗Sedum frutescens
┣━━━━━┫
┃                    ┃┏━━Sedum compactum
┃                    ┗┫
┫                        ┃┏━Sedum allantoides
┃                        ┗┫
┃                            ┃┏Villadia cucullata
┃                            ┗┫
┃                                ┗Villadia albiflora

┃┏━━━━━━━━Sedum dendroideum
┗┫
    ┃┏━━━━━━━Clade I
    ┗┫
        ┃┏━━━━━━Clade II
        ┗┫
            ┃┏━━━━━Sedum corynephyllum
            ┗┫
                ┃┏━━━━Clade III 
                ┗┫
                    ┃            ┏Clade IV-①
                    ┗━━━┫
                                    ┗Clade IV-②


_20230109_221046
では、各クレードの詳細を見ていきましょう。Clade Iはパキフィツム(Pachyphytum)です。詳しくはわかりませんが、この論文ではパキフィツムはエケベリアの一部をなすと考えているようです。パキフィツムは非常にまとまりのあるグループですが、残念ながらこの論文では分離が悪く、種同士の関係性は不明です。横並びの18種類は、本来なら遠近があるはずですが、解析が上手くいかなかったようです。

    ┏P. fittkaui
┏┫
┃┗P. kimnachii

┃┏P. compactum
┃┣P. brevifolium
┫┣P. viride
┃┣P. brachetii
┃┣P. glutinicaule
┃┣P. sp.
┃┣P. rzedowskii
┃┣P. viride
┗╋P. hookeri
    ┣P. oviferum
    ┣P. bracteosum
    ┣P. longifolium
    ┣P. caesium
    ┣P. werdermannii
    ┣P. machucae
    ┣P. contrerasii
    ┣P. saltense
    ┗P. garciae

_20230109_222317
次はClade IIです。Clade IIはすべてエケベリアからなります。Series Urbiniaeとありますが、属の下の分類でウルビニア列です。著者はこのウルビニア列をエケベリアからの独立を提案しているようです。しかし、やはりセダムが入れ子状に混じりますから、中々難しいところです。解決策は非常に細分化して新しい属を作りまくるか、すべてをセダムとしてしまうかです。

        ┏━━━E. cuspidata var. cuspidata
    ┏┫
    ┃┗━━━E. cuspidata var. zaragozae
┏┫
┃┃┏━━━E. chihuahuensis
┃┗┫
┃    ┃┏━━E. lilacina
┃    ┗┫
┃        ┗━━E. unguiculata

┃    ┏━━━E. pulidonis
┃┏┫
┫┃┃┏━━E. elegans
┃┃┗┫
┃┃    ┃┏━E. potosina
┃┃    ┗┫
┃┃        ┃┏E. halbingeri var. halbingeri
┃┃        ┗┫
┃┃            ┗E. simulns
┗┫
    ┃    ┏━━E. juliana
    ┃┏┫
    ┃┃┃┏━E. tobarensis
    ┃┃┗┫
    ┃┃    ┗━E. turgida
    ┗┫
        ┃┏━━E. tolimanensis
        ┗┫
            ┃┏━E. agavoides
            ┗┫
                ┃┏E. colorata f. colorata
                ┗┫
                    ┗E. colorata


現在の学術的なデータベースではどうなっているでしょうか? イギリスのキュー王立植物園のデータベースでは、Villadia、Pachyphytumはまだ健在です。立ち位置の怪しいSedum corynephyllumもそのままです。ただし、Urbiniaeはエケベリアの異名扱いで正式に認められた属ではありません。今後、このあたりはダイナミックに変わる可能性があります。
続きます。


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以前から思っていたこととして、ノリナ属(Nolina)、カリバヌス属(Calibanus)、トックリラン属(Beaucarnea)はよく似ているということです。この3属の関係はどうなっているのでしょうか? というのも、ネットで調べるとNolina(=Beaucarnea)などと書かれており、何が正しいのか良くわからなくなったからです。
わからなくなら調べれば良いということで早速調べてみたところ、ちょうど良い論文が見つかりました。Vanessa Rojas-Pina, Mark E. Olson, Leonardo O. Alvarado-Cardenas & Luis E. Eguiarteの2014年の論文、『Molecular phylogenetics and morphology of Beaucarnea (Ruscaceae) as distinct from Nolina, and the submersion of Calibanus into Beaucarnea』です。

実は学術的にもトックリラン属Beaucarneaはあいまいな存在です。研究者によってはBeaucarneaはNolinaの異名とみなしています。しかし、まったく別の属であるとも言われます。さらに、BeaucarneaとCalibanusの関係もはっきりとはしていませんでした。
Beaucarneaは7種のメキシコ固有種があり、その他の3種は中央アメリカまで分布します(※2014年当時)。Beaucarneaは園芸用として19世紀半ばにヨーロッパへ導入されました。現在では世界中で栽培されています。しかし、園芸用途の長い歴史にも関わらず、系統関係の研究はなされていません。

以下に遺伝子解析による分子系統を示します。①~⑥のクレードがBeaucarneaです。ここでは6グループに分けられることを示しています。このBeaucarneaとDasylirionは姉妹群です。ご覧の通りNolinaはBeaucarneaと近縁ではあっても、BeaucarneaがNolinaに含まれるという考え方は否定されます。

                        ┏①recurvata clade
                    ┏┫
                    ┃┗②gracilis clade
                ┏┫
                ┃┗③calibanus clade
            ┏┫
            ┃┗④purpusii clade
        ┏┫
        ┃┗⑤stricta clade
    ┏┫
    ┃┗⑥southern clade
    ┃
┏┫┏━Dasylirion acrotriche
┃┃┃
┃┃┣━━Dasylirion serratifolium
┃┗┫
┃    ┃┏━Dasylirion berlandieri
┃    ┃┃
┃    ┗╋━Dasylirion longissimum
┃        ┃
┃        ┗Dasylirion glaucophyllum

┃    ┏━━Nolina parviflora
┃    ┃
┃┏┫    ┏━━Nolina longifolia
┃┃┗━┫
┃┃        ┗Nolina cespitifera
┗┫
    ┃                    ┏━━Nolina duranguensis
    ┃    ┏━━━┫
    ┃    ┃            ┗Nolina juncea
    ┗━┫
            ┗━━━Nolina lindheimeriana


では、次にBeaucarneaの①~③の3つのクレードを見てみましょう。驚くべきことにCalibanusはBeaucarneaと区別することが出来ません。Calibanus glassianusはBeaucarnea compactaと非常に近縁です。しかも、③Calibanusは①+②と④のBeaucarneaに挟まれてしまっています。このように入れ子状ではCalibanusを独立した属とみなすことは困難です。もし、Calibanusを維持しようとするならば、Beaucarneaの他の5つのクレードもそれぞれ別の属として独立させる必要があります。しかし、一番簡単なのは、CalibanusをBeaucarneaに含めてしまうことです。

                  ①recurvata clade
        ┏━━Beaucarnea recurvata
    ┏┫
    ┃┃┏Beaucarnea sp1
    ┃┗┫
    ┃    ┗Beaucarnea sanctomariana
    ┃         ②gracilis clade
    ┃    ┏Beaucarnea gracilis 1
┏┫    ┃
┃┃    ┣Beaucarnea gracilis 2
┃┃┏┫
┃┃┃┗Beaucarnea gracilis 3
┃┗┫
┃    ┗Beaucarnea gracilis 4
            ③ calibanus clade
┃    ┏Beaucarnea compacta 1
┫    ┃
┃    ┣Beaucarnea compacta 2
┃    ┃
┃    ┣Beaucarnea compacta 3
┃┏┫
┃┃┣Calibanus glassianus 1
┃┃┃
┃┃┣Calibanus glassianus 2
┗┫┃
    ┃┗Calibanus glassianus 3
    ┃
    ┃┏━Calibanus hookeri 1
    ┗┫
        ┃┏Calibanus hookeri 2
        ┗┫
            ┗Calibanus hookeri 3

次に④~⑥のクレードです。非常に綺麗に分かれています。著者のBeaucarneaを6つのグループに分ける提案は正しいでしょう。また、B. purpusiiはB. strictaの異名とする意見も幾つかの植物のデータベースでは見られますが、クレードレベルで異なることが明らかになりました。つまりは、B. purpusiiは独立種であり、B. strictaとは別種です。

                ┏①recurvata clade
            ┏┫
            ┃┗②gracilis clade
        ┏┫
        ┃┗③calibanus clade
        ┃
        ┃        ④purpusii clade
        ┃    ┏Beaucarnea sp2
    ┏┫┏┫
    ┃┃┃┗Beaucarnea sp2
    ┃┃┃
    ┃┗┫            ┏Beaucarnea hiriartiae 1
    ┃    ┃    ┏━┫
    ┃    ┃    ┃    ┗Beaucarnea hiriartiae 2
┏┫    ┗━┫
┃┃            ┃┏Beaucarnea purpusii 1
┃┃            ┗┫
┃┃                ┗Beaucarnea purpusii 2
┃┃             ⑤stricta clade
┃┃┏Beaucarnea stricta 1
┃┗┫
┃    ┃┏━Beaucarnea stricta 2
┃    ┗┫
┃        ┗Beaucarnea stricta 3
┃                ⑥southern clade
┃                    ┏Beaucarnea goldmanii 1
┃                ┏┫
┃                ┃┗Beaucarnea goldmanii 2
┃            ┏┫
┃            ┃┃┏Beaucarnea guatemalensis
┃            ┃┗┫
┗━━━┫    ┗Beaucarnea pliabilis
                ┃
                ┗Beaucarnea goldmanii 3


Beaucarneaは乾燥地域に分布するものと湿潤地域に分布するものがあります。①recurvata cladeと⑥southern cladeは割と湿潤な環境に自生します。この2つのクレードは遺伝的には近縁ではありませんが、形態学的特徴は共有しています。これは、環境に適応するために収斂した可能性があります。例えば、細い茎と枝、滑らかな樹皮、葉の形、浅く沈んだ気孔、無毛の葉などがあげられます。残りの4クレードは、乾生低木林や熱帯落葉樹林などの乾燥地に生えます。4つのクレードの共通する特徴は、丈夫な茎と枝、厚くタイル状の樹皮、ほぼまっすぐな光沢のある葉、深く沈んだ気孔などです。これらの特徴は、長い乾季の間に水分損失を減らすためと考えられます。

以上が論文の簡単な要約となります。著者はCalibanusはBeaucarneaに含まれるとし、Calibanus glassianusをBeaucarnea glassianaに、Calibanus hookeriをBeaucarnea hookeriとすることを提案しています。しかし、なぜBeaucarneaをCalibanusにではなく、CalibanusをBeaucarneaになのでしょうか? これは、別にCalibanusがBeaucarneaに囲まれているからとか、Beaucarneaの方が種類が多いからではありません。国際命名規約にある、先に命名された学名を優先するという「先取権の原理」に従っているだけです。Beaucarnea属とCalibanus属の創設年は以外の通りです。
1861年 Beaucarnea Lem.
1906年 Calibanus Rose
Beaucarneaの方が40年以上前に命名されていますね。この事実によりCalibanusがBeaucarneaに吸収されるのです。ちなみに、現在キュー王立植物園のデータベースではCalibanusはBeaucarneaの異名とされており、日本でも昔から使用されてきたCalibanus属は消滅したことになります。


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正月明け早々に多肉植物というのもどうかと思いましたが、良く考えたら去年は正月明けに池袋の鶴仙園に行っていたわけで、やっていることは一緒ですよね。12月24日に木更津Cactus & Succulentフェアに行ってきたばかりですから、年度を越したとはいえ正月明けそうそうイベントに行ってしまう自分にも呆れてしまいます。
それはそうと、今朝は大変寒く外出したくなくなりつつありましたが、何とか起きました。最近のビッグバザールは開場前に並んでいましたが、今回は開場時間くらいの到着です。

さて、正月明け一発目の多肉植物のイベントは、どえらい混み具合でした。廊下に並ぶのではなく、久しぶりに待機用の部屋があったくらいです。会場もかなり込み合っていて、たにっくん工房さんなんかは人だかりでまったく中に入れない始末です。
DSC_2142
今回の入場証にはサボテンの判子が押してありましたね。以前のビッグバザールの入場証で入ろうとした人がいたとかいう話も聞きますから、その対策でしょうか?

多肉植物の傾向は冬型のオトンナ、メセン類もありましたが、やはりアガヴェが優勢でした。今回はエケベリアもあちこちにあり、冬型球根は前回のビッグバザールよりだいぶ減っていました。何故かはわかりませんが、今まで見たことのない珍しい多肉植物が今回はかなり目につきました。置場所と資金に限りがありますから見るだけでしたが、こんなものがと驚かされました。良い目の保養です。あと、不思議と珍しいアロエがあちこちにありましたね。

というわけで、今回の購入品は以外の通りです。例によって名前はついていたラベルのままです。
最初に向かったのは毎度お馴染みのラフレシアリサーチさんへ。今回は珍しいことに多肉植物の種子を販売していたので購入しました。普段、実生はやらないのですが、少し面白そうな感じがしますからチャレンジしてみます。今回のラフレシアリサーチさんは、コピアポアが沢山並んでいましたね。
DSC_2133
A. striatula v. caesia 実生
Aloe striatulaは2013年にアロエ属から独立してアロイアンペロス属となりました。それに従い変種カエシアも同じく2013年にAloiampelos striatula var. caesiaとなりました。

DSC_2134
レオニエラ Fouquieria Leonielae 実生
Fouquieria leonilaeですが、多肉植物というより例によって灌木状の種類。F. leonilaeは初めて見ました。Fouquieriaは11種類ありますが、これで6種類目です。一番新しく発見されたFouquieriaです。

DSC_2135
上 : サイカス・ノンスタチアエ
下 : オペルクリカリア・パキプス
上はソテツの種子。Cycas nongnoochiae。タイのレアソテツと書いてありましたね。高さ5mになるようです。
下は説明不要、Operculicarya pachypusです。自分で種子を取り寄せると安いものの、ある程度の数を買わなくちゃならないこともあります。置場所がない上に、手続きが面倒で今後もやる気はありません。


DSC_2136
Euphorbia clandestina
これはオマケのユーフォルビア。


お次は鮮やかな筒アナナスや珍しいアロエが並ぶBabyLeaf plantsさんへ。大阪からの出店なんだそうです。私はお初ですかね。興味のあるあたりではロマトフィルムやグラスアロエなど珍種も盛り沢山でした。だいぶ目移りしましたが、今回は小型アロエを購入しました。
DSC_2139
Aloe bakeri Scott-Elliot 1891 Madagascar
ラベルには命名者・命名年・原産地が記入されていました。マダガスカル原産の小型アロエ。旧・Guillauminia。残念ながらマダガスカルでは絶滅しており、栽培品のみで維持されています。


DSC_2140
Euphorbia decaryi
手持ちは挿し木苗でしたが、今回初めて実生苗を見たので購入。学名の混乱で、実はE. boiteauiなんでしたっけ? 忘れました。マダガスカルはフランスの植民地だったせいか、論文がフランス語なんですよね。そのせいでまだ論文を読めていません。非常に面倒臭い。

お次は入り口の左のブースへ。前回、Aristaloeを購入したブースです。相変わらず根のない珍しいアロエが無造作に置かれていました。
DSC_2137
Aloe sladeniana
現在はアロエではなくGonialoe sladenianaになりました。私はアロエというか広義のアロエを集めていますから、アロエから分離したGonialoeも気になります。しかし、ゴニアロエは千代田錦G. variegataくらいしか見かけませんから、G. sladenianaは割と珍しいですね。ちなみにゴニアロエは3種類あります。

DSC_2138
Euphorbia greenwayi
美しい模様のユーフォルビアです。タンザニア原産ですから、もしかしたら育てにくいタイプかもしれません。ソマリアものと同じように育てますかね?

最後に国際多肉植物協会へ。何かと立派な多肉植物が並び勝ちですからいつもは見るだけですが、今回はユーフォルビア苗があったので購入しました。
DSC_2132
ユーフォルビア グロエネワルディ
Euphorbia groenewaldii。南アフリカからモザンビークの原産です。

今回は秋と冬のビッグバザールでユーフォルビアを購入したブースはあまりユーフォルビアがありませんでした。あと、Ruchiaさんは年末にあった木更津Cactus & Succulentフェアと似た内容でしたから今回はパスしました。また、気になっている硬葉系ハウォルチア(Haworthiopsis)やGasteria、Astrolobaは今回も不調でした。今回はアロエが意外と目についたため、購入品はアロエがメインでしたね。エリナケアが苗ですがかなり安価であちこちにありました。私は2年くらい前に苗をサイズからするとそれなりのお値段で購入しましたから、随分と安くなったものです。
そういえば、春のビッグバザールが3月にあるみたいですね。春が来るまでしばらくは大人しくしています。


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パキポディウムの苗を幾つか育てていますが、秋が深まるにつれて葉がパラパラと落ち始めました。しかし、その葉の落ち具合はバラバラでした。その違いは種類によるものなのか、生育の良し悪しによるものなのか、あるいはその両方かはわかりません。私がパキポディウムを室内に取り込んだのは去年の10月29日のことでしたが、古い葉が紅葉/黄葉し始めているタイミングでした。なんとなく、葉は少しずつ落ちていくイメージでしたが、年末になるまで意外と暖かかったためか、あまり葉は落ちませんでした。そんな冬のパキポディウムについてご紹介しましょう。

①Section Gymnopus
Section Gymnopusはマダガスカル原産のパキポディウムの主流派です。
DSC_2115
Pachypodium rorulatum subsp. rorulatum
ロスラツム系の基本。植物用ランプが強すぎるようで、少し葉が焼け気味です。葉は半分くらい落ちました。subsp. rorulatumに近縁なのはP. rorulatum subsp. bemarahenseです。

DSC_2116
Pachypodium rorulatum var. drakei
ドラケイは現在ではロスラツムと同種とされています。枝や葉が細長いタイプです。葉はまったく落ちませんでした。

DSC_2118
魔界玉 Pachypodium makayence
P. rorulatum subsp. makayenceが正式名称ですが、遺伝子解析の結果からは言うほどロスラツムに近縁ではありませんでした。ロスラツム系の中では、マカイエンセ、カクチペス、グラキリウスが近縁です。葉が繁りすぎて塊茎が見えません。葉もあまり落ちませんでした。

DSC_2117
Pachypodium cactipes
P. rorulatum subsp. cactipesが正式名称です。マカイエンセと同じくロスラツムにそれほど近縁ではありません。今年は生長がいまいちでしたから、もともと葉が少なかったので葉がほとんどなくなってしまいました。

DSC_2131
象牙宮 Pachypodium gracilius
正式名称はP. rorulatum subsp. graciliusです。非常に小さな実生苗。やはり、ロスラツムとはあまり近縁ではありません。葉はすべて落ちました。

DSC_2120
Pachypodium brevicalyx
ブレビカリクスは始めP. densiflorum var. brevicalyxでしたが、その後にP. brevicalyxとして独立しましたが、最終的にデンシフロラムと同一種とされています。ただし、遺伝的な遠近は良くわかりません。なんとなく全体的に粗雑な感じがしますが、葉はまったく落ちませんでした。

DSC_2129
Pachypodium densiflorum
デンシフロラムは分布ごとに遺伝子が異なることがわかっており、複数種からなっているのかもしれません。大型なため寒さに強いのでかなり遅くまで外に置いていました。そのせいか葉がほとんど落ちました。


DSC_2130
なぜか落ちない葉もあります。

DSC_2121
Pachypodium enigmaticum
デンシフロラムから分離されたエニグマティクムですが花が大型です。まだ開花しませんが。葉は落ちませんでした。

DSC_2127
Pachypodium eburneum
P. rorulatum var. eburneumとされたこともあります。デンシフロラム系です。夏の暑さで一度弱りましたが復活しました。復活してから葉は増えませんが、冬でも葉は落ちません。

DSC_2119
Pachypodium horombense
ホロンベンセもP. rorulatum var. horombenseとされたこともあります。ロスラツム系よりもトゲが強いですね。どちらかといえばデンシフロラム系です。葉は少し落ちました。


DSC_2123
恵比寿笑い Pachypodium brevicaule subsp. brevicaule
ブレビカウレは平たく育ちます。デンシフロラムと近縁です。葉は半分くらい落ちました。


DSC_2125
白花恵比寿笑い Pachypodium  brevicaule subsp. leucoxanthum
レウコキサンツムはブレビカウレの白花の亜種とされますが、遺伝子解析の結果ではブレビカウレとあまり近縁ではありません。同じ白花のP. inopinatumと近縁です。葉はほとんど落ちました。

②Section Porphyropodium
マダガスカル原産で赤花のパキポディウム。
DSC_2122
Pachypodium windsorii
P. baronii var. windsoriiとされたこともあります。まだ花は咲きません。葉はパラパラ落ちますが、少し残りました。

③Section African
アフリカ大陸原産のパキポディウムです。
DSC_2124
Pachypodium succulentum
ビスピノスムやナマクアヌムと近縁です。去年の冬は塊根が鉢底に当たってしまい緑色のまま葉が落ちてしまいました。植え替えたので今年は調子が良さそうです。葉はまったく落ちませんでした。

DSC_2126
Pachypodium bispinosum
葉が落ち始めましたが、塊根が伸びて鉢底に当たっていないか不安です。今年は深い鉢に植え替えます。


DSC_2128
Pachypodium saundersii
サウンデルシイはアフリカ大陸原産種の中でもP. lealiiと近縁です。寒くなってから葉色は良くありませんが、葉はあまり落ちませんね。

なんだかんだでパキポディウムも増えてしまいました。しかし、遺伝子解析の結果からパキポディウムは4つのグループに分けられますが、何故かSection Leucopodiumは1種類も持っていません。Section LeucopodiumではP. lamereiやP. geayiがあります。見かけたことはありますが、あまり好みではないため購入しませんでした。しかし、P. decaryiは少し気になりますから見かけたら購入してしまうかもしれません。
それはそうと、今年は葉を落とさないパキポディウムが多いみたいですが、流石に春までは持たないかもしれません。丈夫なP. succulentum、P. brevicalyx、P. rorulatum var. drakeiあたりは葉が落ちないかもしれませんが。まあ、いずれにせよ、来年は植え替えて生長にブーストをかけたいところです。


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亀甲竜は南アフリカ原産のヤマノイモの仲間です。ヤマノイモ?と思うかもしれませんが、亀甲竜の学名はDioscorea elephantipesで日本のヤマノイモはDioscorea  japonica、ナガイモはDioscorea D. polystachya(異名Dioscorea batatas)と同じヤマノイモ属です。みな、同じように蔓を伸ばし、非常に良く似た葉をつけます。違いは芋にコルク層が出来るか否かでしょう。さて、アフリカには亀甲竜以外のDioscoreaも分布しますが、それらの遺伝子を解析した論文を見つけました。Olivier Maurin, A. Muthama Muasya, Pilar Catalan, Eugene Z. Shongwe, Juan Viruel, Paul Wilkin & Michelle van der Bankの2016年の論文、『Diversification into novel habitats in the Africa clade of Dioscorea (Dioscoreaceae) : erect habit and elephant's foot tubers』です。

Dioscoreaは熱帯域を中心に世界中に分布し、600種類以上あるとされています。Dioscoreaは芋(根茎・塊茎、perennating organs)を持ち、茎はツル性です。そのほとんどは雌雄異株で翼のある種子があります。単位面積あたりの種の多様性が高い地域は、ブラジル南部、メキシコの一部、大アンティル諸島、マダガスカル西部、中国南部からタイまでです。
過去の知見によると、Dioscoreaは10の主要cladeに分けられることが明らかになっています。この10の主要cladeのうち、3cladeはサハラ以南のアフリカに分布します。African cladeはアフリカでのみ多様化しており、13種類が知られています。そのうち、9種類が南アフリカの固有種です。
African cladeの特徴はその「象の足」のようなコルク層が発達した芋にあります。論文では"pachycaul"と表現しています。この"pachycaul"とはラテン語で"pachy + caulis"、つまりは「ずんぐりした + 茎」という意味の合成語です。要するに塊根・塊茎植物(caudex)のことを示しています。このpachycaul構造はメキシコ亀甲竜Dioscorea mexicanaなど新大陸でも希に見られます。

以下に世界各地の28種類のDioscoreaの遺伝子を解析した分子系統を示します。Stenophora cladeはヒマラヤからネパール、バングラデシュ、タイ、ベトナム、マレーシア原産のD. prazeri、New World clade IIはアルゼンチン、チリ原産のD. brachybotrya、New World clade IIはメキシコ原産のD. galeottiana、Mediterranean cladeはヨーロッパ、北アフリカ、トルコからイラン原産のD. communis、レバノン、シリア原産のD. orientalis、スペイン原産のD. chouardii、フランス、スペイン原産のD. pyrenaicaを調べています。Tamus edulisはD. communisとD. orientalisと近縁で、独立したTamus属ではなくDioscorea属に含まれることがわかりました。現在ではT. edulisはD. communisと同種とされており、Tamus属自体がDioscorea属に吸収されて存在しない属になりました。また、D. tentaculigeraは中国からタイに分布します。それ以外はアフリカ原産種です。

                ┏━━━African clade
                ┃
                ┃        ┏Compound Leaved clade
                ┃    ┏┫
            ┏┫    ┃┗Dioscorea sansibarensis
            ┃┃┏┫
            ┃┃┃┗━Enantiophyllum clade
            ┃┗┫
            ┃    ┗━━Dioscorea tentaculigera
        ┏┫
        ┃┗━━━━Mediterranean clade
    ┏┫
    ┃┗━━━━━New World clade II
┏┫
┃┗━━━━━━New World clade I

┗━━━━━━━Stenophora clade

①African clade
African cladeは4つのサブクレードに分けられます。
        ┏━Pachycaul subclade
    ┏┫
    ┃┗━Cape subclade
┏┫
┃┗━━East Africa subclade

┗━━━D. buchananii subclade

・Pachycaul subclade
このサブクレードは、5種類13個体を調べています。名前の通り、"pachycaul"構造を持つ主に南アフリカ原産のグループです。代表種は亀甲竜D. elephantipesで、非常に肥厚したコルク層がある芋があり、ひび割れてゴツゴツした姿になります。芋は形よく育ち、観賞用によく栽培されます。D. sylvaticaは葉裏が白く、表面が滑らかな芋があり観賞用に栽培されます。南アフリカからモザンビーク、スワジランド、ザンビア、ジンバブエ原産です。D. hemicryptaは表面がガサガサした不定形の芋があります。D. strydomianaは非常に肌が荒れたゴツゴツした芋があり、やや立ち上がって育ち樹木の幹のように見えます。
遺伝子を調べると、外見上は似ていて同種とされていたものの実は近縁ではないとか、外見上は違いがあり別種とされていたものの実は同種というパターンも珍しくありませんが、Dioscoreaは従来区分の種によるまとまりがあります。D. elephantipesとD. sylvatica、D. hemicryptaとD. strydomianaはそれぞれ姉妹群です。

                    ┏━D. elephantipes 1
            ┏━┫
            ┃    ┗━D. elephantipes 2
        ┏┫
        ┃┗━━━D. elephantipes 3
        ┃
    ┏┫        ┏━D. sylvatica 1
    ┃┃┏━┫
    ┃┃┃    ┗━D. sylvatica 2
    ┃┗┫
    ┃    ┗━━━D. sylvatica 3
    ┃
    ┃            ┏━D. hemicrypta 1
┏┫        ┏┫
┃┃        ┃┗━D. hemicrypta 2
┃┃    ┏┫
┃┃    ┃┗━━D. hemicrypta 3
┃┃┏┫
┃┃┃┗━━━D. hemicrypta 4
┫┗┫
┃    ┃        ┏━D. strydomiana 1
┃    ┗━━┫
┃                ┗━D. strydomiana 2

┗━━━━━━D. brownii

・Cape subclade
このサブクレードは南アフリカ原産です。D. burchelliiは2つの個体でやや遺伝的に距離があるようです。

            ┏━D. stipulosa 1
    ┏━┫
    ┃    ┗━D. stipulosa 2
    ┃
┏┫    ┏━D. mundii 1
┃┣━┫
┃┃    ┗━D. mundii 2
┫┃
┃┗━━━D. burchellii 1

┗━━━━D. burchellii 2

・East Africa subclade
このサブクレードは東アフリカ原産です。D. gillettiiはエチオピア、ケニア原産、D. kituiensisはケニア原産です。

        ┏━D. gillettii 1
┏━┫
┃    ┗━D. gillettii 2

┗━━━D. kituiensis

・D. burchellii subclade
このサブクレードは主に南アフリカ原産です。D. rupicolaは不定形の芋を持ちます。D. buchananiiは分布が広く、南アフリカ、アンゴラ、マラウイ、モザンビーク、タンザニア、ザンビア、ザイール、ジンバブエ原産です。"Bitter Yam"と呼ばれ食用とされます。

        ┏━D. multiloba
┏━┫
┃    ┗━D. rupicola

┗━━━D. burchellii


②Compound Leaves clade
このクレードは熱帯アフリカ原産のものと、アジア~オーストラリア原産のものがあります。D. dregeanaは南アフリカ、モザンビーク、スワジランド原産、D. dumetorumはチャド、コンゴ、赤道ギニア、エチオピア、ガボン、ガーナ、アンゴラ、ベナン、ブルキナファソ、ブルンジ、カメルーン、中央アフリカ、ギニア、ギニアビサウ原産です。D. bulbiferaはニガカシュウの名前で知られています。アフリカからアジア、オーストラリアまで広く分布します。

                ┏━D. dregeana 1
            ┏┫
            ┃┗━D. dregeana 2
        ┏┫
        ┃┗━━D. dregeana 3
    ┏┫
    ┃┗━━━D. dregeana 4
┏┫
┃┃        ┏━D. dumetorum 1
┫┗━━┫
┃            ┗━D. dumetorum 2

┗━━━━━D. bulbifera

③Enantiophyllum clade
このクレードはアフリカ原産です。D. cotinifoliaは南アフリカ、モザンビーク、スワジランド原産で、不定形な滑らかな表面を持つ芋があります。D. schimperianaはアフリカ大陸に広く分布します。

        ┏━D. cotinifolia 1
        ┃
┏━╋━D. cotinifolia 2
┃    ┃
┃    ┗━D. cotinifolia 3

┃    ┏━D. schimperiana 1
┗━┫
        ┗━D. schimperiana 2

African cladeは始新世に始まった旧世界のクレードの一部をなしています。漸新世の間、アフリカは湿潤で密な森林に覆われており、多年草の塊茎とわずかに翼があり滑空する種子が特徴です。中新世の気候変動により、アフリカ東部の草原と南アフリカの地中海性気候、及びケープ植物相が出現しました。乾燥した草原でおきる火事への適応で、コルク質の樹皮が発達したと考えられています。東アフリカでは種子に翼がなく、エライオソームがあることからアリにより運ばれる可能性があります。エライオソームとはアリに運んでもらうための種子についている栄養分で、アリはエライオソームがついた種子ごと巣穴に持ち込みます。アリの巣は地表より湿っていて涼しいので発芽に適しています。しかし、なぜ東アフリカでは風による種子の拡散ではなくなったのかは不明です。ただし、アリによる拡散は他の地域でもおきていることから、割とおきやすい変異なのかもしれません。

DSC_1923
亀甲竜 Dioscorea elephantipes

以上が論文の簡単な要約です。この論文は遺伝子解析結果から種の分岐年代を推定しています。ですから、アフリカにおけるDioscoreaの進化をかつての環境の変動と照らし合わせて、どのように進化したのかを推察しているのです。実は論文の内容は盛り沢山なのですが、様々な議論がされているため要約しきれませんでした。記事があまりにも長くなるためかなり割愛しています。内容が気になる方は、実際の論文を読んだ方が面白いかもしれませんね。


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アロイデンドロンは樹木状となるアロエの仲間です。代表種はかつてアロエ・ディコトマ(Aloe dichotoma)と呼ばれていたAloidendron dichotomumです。アロイデンドロン属は近年の遺伝子解析の結果によりアロエ属から分離されました。現在アロイデンドロン属は7種類あるとされています。その点についてはかつて記事にしたことがあります。ご参照下さい。
アロエ属とアロイデンドロン属の関係は遺伝子解析により判明していますが、アロイデンドロン属内の分類はわかっていませんでした。そんな中、アロイデンドロン属の遺伝子を解析して近縁関係を解明した論文を見つけました。Panagiota Malakasi, Sidonie Bellot, Richard Dee & Olwen Graceの2019年の論文、『Museomics Clarifies the Classification of Aloidendron (Asphodelaceae), the Iconic African Tree Aloe』です。

アロイデンドロン属はアフリカ南部の砂漠を象徴する植物です。しかし、アロイデンドロン属内の進化関係は不明でした。そこで、アロイデンドロン属を遺伝子解析することにより、属内の系統関係を類推しています。ここでは、Aloestrela suzannaeというアロエ類が出てきますが、お恥ずかしい話ですが私はこのアロエストレラ属の存在を知りませんでした。アロエストレラ属は2019年に創設されましたが、Aloestrela suzannaeだけの1属1種の属です。しかし、新種というわけではなく、1921年に命名されたAloe suzannaeが2019年にAloestrela suzannaeとなりました。

アロイデンドロン属の分子系統
┏━━━━━━Aloe
┃     (Aloidendron sabaeumを含む)


┃    ┏━━━━Aloidendron ramossimum
┃    ┃
┃┏┫         ┏━Aloidendron dichotomum 1
┃┃┃     ┏┫
┃┃┃     ┃┗━Aloidendron dichotomum 2
┃┃┃┏ ┫
┃┃┃┃ ┗━━Aloidendron pillansii 1
┃┃┗┫
┃┃    ┗━━━Aloidendron pillansii 2
┃┃
┗┫            ┏━Aloidendron barberae 1
    ┃        ┏┫
    ┃        ┃┗━Aloidendron barberae 2
    ┃   ? ┫
    ┃        ┗━━Aloidendron barberae 3
    ┃
    ┃    ┏━━━Aloestrela suzannae 1
    ┃┏┫
    ┃┃┗━━━Aloestrela suzannae 2
    ┗┫
        ┃┏━━━Aloidendron eminens 1
        ┗┫
            ┗━━━Aloidendron eminens 2


アロイデンドロン属の系統関係は、Aloidendron sabaeum以外はまとまりのあるグループでした。しかし、論文ではA. barberaeが、A. ramossimum系統なのかA. eminens系統なのかは不明瞭でした。さらに、Aloestrela suzannaeは独立したアロエストレラ属ではなくA. eminensと近縁であり完全にアロイデンドロン属に含まれてしまうことがわかりました。また、驚くべきことにA. sabaeumはアロエ属に含まれてしまい、アロイデンドロン属とは近縁ではないことが明らかとなりました。よって、今後アロエストレラ属は消滅してアロイデンドロン属となり、A. sabaeumはアロエ属に復帰するかもしれません。しかし、論文ではAloidendron tongaensisが調べられていないようです。今後の研究が待たれます。また、A. pillansiiは2個体調べていますが、この2個体は近縁ではあるもののやや遺伝的に距離があるようです。この点も注視していく必要がありそうです。

以上が論文の簡単な要約です。
しかし、私が知らない間に創設されたアロエストレラ属を知らない間に否定する論文が出ていたということで、己の無知を思い知るとともにアロエ類の研究が盛んに行われていることを嬉しく思います。また、A. sabaeumの遺伝子解析の結果からは、アロエが樹木状となること=アロイデンドロンではないということを示唆しています。アロエ属であっても環境に対する適応により樹木状の形態をとる可能性があるのでしょう。そうなると、樹木状とならないというか草本に回帰したアロイデンドロン属も存在するかもしれませんね。今後の研究結果が非常に楽しみになります。


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ダシリリオンの小さな実生苗を育てていますが、一体なんの仲間なのか以前から気になっていました。まあ、おそらくはリュウゼツランだのトックリランだのに近いのだろうとは感じていました。そこで、論文を調べてみたところ幾つか出てきたのですか、割と新しい論文がありましたので本日はそれをご紹介したいと思います。なぜ、新しい方が良いかというと、過去の知見を踏まえて試験されているということ以外にも理由があります。遺伝子を解析する分子生物学は新しい科学ですから、近年急激に進歩しています。90年代後半や2000年代前半くらいの論文は、精度が悪く信頼性が高くありません。というわけで、Ran Meng, Li-Ying Luo, Ji-Yuan Zhang, Dai-Gui Zhang, Ze-Long Nie & Ying Mengの2021年の論文、『The Deep Evolutionary Relationships of the Morphologically Heterogeneous Nolinoideae (Asparagaceae) Revealed by Transcriptome Data』をご紹介します。名前を見るに中国の研究者でしょうか? もしそうならば、今まで読んだ多肉植物の論文の中では、はじめてですね。なんだかんだで、多肉植物の論文は多肉植物先進国のヨーロッパとアメリカ、多肉植物の原産国であるメキシコや南アフリカあたりがほとんどのような気がします。

さて、現在の分類体系でキジカクシ科Asparagaceaeスズラン亜科Nolinoideaeに所属する植物は、形態学的に非常に不均一なグループで、かつては様々な科に分けられていました。あまりにも異なる見た目と、遺伝子解析の難しさから中々正しく理解されてきませんでした。この論文では調べた種類は少ないものの、逆に2126個もの遺伝子を調べることにより精度と解像度を上げることに成功しています。
このスズラン亜科の分類はかなり複雑な経緯をたどってきたようです。スズラン亜科は以前はRuscaceae sensu lato(広義)またはConvallariaceae sensu lato(広義)として知られていました。スズラン亜科は伝統的にEriospermaceae、Polygonateae、Ophiopogoneae、Convallarieae、Ruscaceae sensu stricto(狭義)、Dracaenaceae及びNolinaceaeとして知られる7つの異種系統で構成される複雑なグループでした。遺伝子解析の結果を以外に示します。

スズラン亜科の分子系統

                                    ┏Polygonatum
                                ┏┫      sibiricum
                                ┃┗Polygonatum
                            ┏┫       cyrtonema
                            ┃┗━Polygonatum
                        ┏┫        zanlanscianense
                        ┃┗━━Disporopsis
                    ┏┫               aspera
                    ┃┗━━━Maianthemum
                ┏┫                 japonicum
                ┃┃┏━━━Aspidistra
                ┃┗┫              fenghuangensis
                ┃    ┗━━━Tupistra chinensis
            ┏┫
            ┃┃┏━━━━Theropogon
            ┃┗┫                     pallidus
            ┃    ┗━━━Liriope platyphylla
        ┏┫
        ┃┃┏━━━Beaucarnea recurvata
        ┃┗┫
        ┃    ┗━━Dasylirion longissimum
    ┏┫
    ┃┗━━━━━━━Ruscus aculeatus
┏┫
┃┃┏━━━━━━Dracaena angustifolia
┃┗┫
┫    ┗━━━━━━━Sansevieria trifasciata

┗━Eriospermum lancifolium

遺伝子解析の結果から、6グループに分けられました。Eriospermumは比較のための外群です。
①Polygonateae
Polygonatum、Disporopsis、Mainthemumは近縁なグループです。Polygonatumとはいわゆるアマドコロ属で、ナルコユリが有名です。Mainthemumはマイヅルソウ属です。
Polygonataeは単系統でよくまとまった分類群ですが、Mainthemumはやや距離があるようです。

②Convallarieae
AspidistraとTupistraは姉妹群です。Aspidistraとはハラン属のことです。代表的なのはConvallaria、つまりはスズラン属です。
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ドイツスズラン Convallaria majalis var. majalis

③Theropogon + Liriope
次にTheropogonとLiriopeは姉妹群です。Theropogonは東アジアに分布するスズラン様の草本です。Liriopeはいわゆるヤブラン属です。
Ophiopogoneae(ジャノヒゲ類)はConvallarieaeに含まれていましたが、実際の系統関係は不明でした。この論文ではTheropogonとLiriopeがOphiopogoneaeを代表しています。そして、遺伝子解析の結果では、OphiopogoneaeはPolygonateae + Convallarieaeに近縁であることが示されました。
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ヤブラン Liriope muscari

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ジャノヒゲ Ophiopogon japonicus

④nolinoides
BeaucarneaとDasylirionは姉妹群です。Beaucarneaはトックリラン属のことです。
nolinoidesは伝統的にはユリ科でしたが、その後ドラセナ科やトックリラン科とされました。Nolina、Dracaena、Yuccaは繊維状の葉と木質化する幹からリュウゼツラン科Agavaceaeとする考え方もあります。その花や果実や種子の特徴からは、Convallarieaeと近縁とされていました。しかし、遺伝子解析の計算方法の違いにより、Convallarieae-Dracaenaceae-Ruscaceae、あるいはAspidistreae-Convallarieaeに近縁とする2つの結果が得られています。この論文では、nolinoidesはruscoidsやdracaenoidsのような木質化するグループより、草本のConvallarieaeに近縁としています。
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トックリラン Beaucarnea recurvata

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ダシリリオン

⑤ruscoids
Ruscusとはナギイカダ属のことです。
ruscoidsは伝統的にキジカクシ科と近縁と考えられてきましたが、遺伝子解析ではConvallarieaeと近縁でした。

⑥dracaenoids
DracaneaとSansevieriaは姉妹群です。実はSansevieriaはDracaenaに含まれるとする考え方が主流のようで、Sansevieria属は学術的には存在しません。どうも、2017~2018年頃に変更されたみたいです。論文が見つかれば記事にしたいですね。
dracaenoidsはユリ科、リュウゼツラン科、ドラセナ科、ナギイカダ科、スズラン科などに含まれたこともあり、系統関係はあやふやでした。しかし、特徴からはnolinoidesと近縁である可能性がありましたが、実際にはruscoidsと近縁でした。
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ボウチトセラン Dracaena angolensis
                         (=Sansevieria cylindrica)


この論文の主眼は遺伝子解析の精度を高めることです。というのも、通常は2つの遺伝子を解析して系統関係を類推することが多いのですが、どうもスズラン亜科の過去の研究ではあまり高い精度を達成できていないみたいです。一応関係性は示されますが、精度が低いと信頼性も低いということになります。ですから、この論文では信頼性を高めることに成功したということです。しかし、dracaenoids、ruscoids、nolinoidesという木質化する各グループが、近縁であっても一つのグループにまとまっていないことがわかりました。さらなる詳細な研究が待たれます。

以上が論文の簡単な要約です。
この論文によりわかったこと、分類体系の確実性を増したことは確かでしょう。しかし、それは欠けたピースを少し埋めただけとも言えます。むしろこれからです。将来的な研究結果を楽しみにしています。


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