ユーフォルビア・オベサ・ドットコム

植物にとって花を咲かせることは、受粉し種子を作るために重要です。しかも、受粉は非常に多様で様々な工夫があり、植物の進化を考える上でも非常に面白い対象です。さらに、受粉について調べることは、希少植物の生態を理解し、保護のための基礎知識を与えます。ですから、花の受粉については割と詳しく研究されています。多肉植物の受粉についても調べられていますが、残念ながら調査対象に偏りがあります。例えば、サボテンは割と詳しく研究されており、種により受粉形式にかなりの違いがあることが明らかとなっています。アロエの受粉形式はごく一部が研究されているに限り、その少ない研究を見ただけで、非常に多様で知られていない生態がいくらでもあることが分かります。しかし、アフリカに分布する多肉質のユーフォルビアに関しては、ほとんど論文がありません。ユーフォルビアの研究と言えば、ヨーロッパ原産の草本が主なのです。しかしそんな中、珍しいことにアフリカの多肉ユーフォルビアに関する受粉を扱った論文を見つけました。それは、Dino J. Martinsの2010年の論文、『Pollination and Seed Dispersal in the Endangered Succulent Euphorbia brevitorta』です。

矮性のEuphorbia brevitortaは、ケニア固有の多肉植物です。その分布は局所的かつ分散しており、潜在的に絶滅の危機に瀕している植物として保全の対象となっています。過去に行われたE. brevitortaの研究は、ナイロビ近くの主要な生息地が人為的に撹乱されたことに端を発し、その分類学や生物地理、および保全状況に焦点が当てられて来ました。この研究は、E. brevitortaの花を訪れる花粉媒介者を記録し、その種子散布を観察することです。トウダイグサ科植物はそのほとんどが昆虫による受粉と考えられています。しかし、トカゲにより受粉するEuphorbia dendroidesなど珍しい花粉媒介者の例もあります。結実と種子の散布は絶滅危惧種の植物にとっては重要で、適切な受粉が行われなければ絶滅する可能性があります。

E. brevitortaの花の観察においては、ハエと複数種のミツバチ、スズメバチが最も多くの花粉を運びました。アリや甲虫類は花粉を運ぶ量が少ないことが分かりました。
ユーフォルビアの種子はカプセルが弾けて飛散します。E. brevitortaの種子の拡散は5cmから2mと幅があり、平均で69.84cm 拡散されました。
種子は丸く滑らかで、拡散された後で地面をさらに転がる可能性があります。アリによる二次的な散布を調べるために、種子をアリに与えたところ、50個中38個は無視されました。10個の種子はアリに食べられ、2個は運ばれたものの巣に運ばれる前に捨てられました。


以上が論文の簡単な要約となります。
著者はE. brevitortaは特定の花粉媒介者に頼らないため、環境が撹乱されて昆虫相が変化しても受粉出来る可能性があるかも知れないと述べています。要するに、花粉媒介者に関しては環境変動に強い可能性があるのです。1種類の花粉媒介者に頼る場合(スペシャリスト)、花粉媒介者もその植物の花に適応しているため、受粉の可能性は高くなります。しかし、このような一対一の関係は、片方がいなくなるともう片方も存在出来なくなります。対して、広く浅く花粉媒介者を集める場合(ジェネラリスト)、花粉媒介者は数も種類も安定しないため、受粉も不安定になりかねません。ところが、1種類の花粉媒介者に対する依存性が希薄なため、花粉媒介者がまったく変わってしまっても問題が少ないのです。
種子の散布はどうでしょうか。ユーフォルビアの種子は、熟すと弾き飛ばされるため、ある程度は拡散されます。しかし、論文にあるように親株からそれほど遠くには行けません。他の植物種子の拡散戦略では、動物に食べられたり、動物の体毛に付着したり、風で飛ばされたりと、親株とはまったく異なる場所に散布されます。散布方法としては最大2mはいかにも貧相です。アリによる散布もわずか2%に過ぎません。ところで、E. brevitortaが乾燥地の植物であることを考えた場合、種子が遠くに拡散されてもまったく育たない可能性があります。なぜなら、乾燥地では実生が育つのに適した場所は少ないからです。逆に考えた場合、親株が存在する場所は実生が育つのに適した環境かも知れません。なぜなら、親株がその場所で育っている以上は、親株は実生からその場所で育っていることが明らかだからです。ですから、親株の近くに飛ばされた種子は、遠く拡散された場合よりも生存率が高くなる可能性があるのです。



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以前、テレビを見ていたら、アフリカの砂漠に謎の円形の模様が沢山出来る不思議な現象に迫っていました。この、通称「フェアリーサークル」は、シロアリが形成しているもののようです。しかし、謎のサークルは必ずしもシロアリが原因とは言えないようです。「フェアリーサークル」はサークルの縁に草が生えることにより形成されますが、そうではないサークルもあります。岩がごろごろしている地域に、細かな砂のサークルが点在しており、それは多肉植物が原因であると言います。本日は、謎の「サンドサークル(砂の輪)」を調査し、原因を特定したJ. J. Marion Meyerらの2020年の論文、『Sand circle in story landscapes of Namibia are caused by large Euphorbia schrubs』をご紹介しましょう。

ナミビアに隣接する南アフリカ北西部には、石だらけの地形の中に砂で出来た円形の「サンドサークル」が何千も見られます。サークルにはほとんど草は生えません。サークルの内側には多肉植物の残骸が見つかることもあります。この残骸は付近に分布するユーフォルビアである可能性があります。
砂漠のサークルではナミビアの「フェアリーサークル」に似ています。「フェアリーサークル」は草に囲まれた植生のない砂地のサークルです。「フェアリーサークル」はEuphorbia gummiferaの枯れた跡であると考えられています。ユーフォルビアが枯れると、跡地には有毒で粘着性な乳液が残り、裸地の再植生を妨げます。南アフリカの「サンドサークル」もユーフォルビアが生えていた跡地かも知れません。
「サンドサークル」の周囲に生えるEuphorbia gregariaを観察すると、周囲に砂が蓄積していました。E. gregariaの枝は非常に緻密で、風により飛来する砂をキャッチします。著者らはこの「サンドサークル」がE. gregariaが原因で形成された可能性について検証しました。

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Euphorbia gregaria
『Transactions of the Royal Society of South Africa』(1912年)より。


まず、サークルの内側にあった多肉植物の残骸を正式に鑑定したところ、E. gregariaであることが確認されました。次に、サークルの砂から有機溶媒を用いて成分を抽出しました。抽出物を分析したところ、E. gregariaと同一と考えられる物質が検出されました。ちなみに、E. gregariaの生えていない土壌では同成分は検出されませんでした。

気候変動により多肉植物の急速な枯死が報告されています。巨大な樹木アロエであるAloe dichotoma(=Aloidendron dichotomum)は、気温上昇や降雨量の減少により近年急速に枯死しています。「サンドサークル」は衛星写真により数と分布を数えることが出来ます。「サンドサークル」はユーフォルビアの枯れた跡なのですから、気候変動の指標として利用出来るかも知れません。


以上が論文の簡単な要約です。
テレビで見た「フェアリーサークル」はシロアリが原因ではなく、E. gummiferaの生えていた跡であるという驚きの事実がさらりと語られました。さらに、「サンドサークル」もユーフォルビアの生えていた跡であるというのです。まったく意外な帰結でした。このように一般に知られていない不思議な現象は沢山あり、まだ解明されていないものも沢山あるのでしょう。しかし、気候変動により多肉植物はダメージを受けており、この「サンドサークル」のような跡のみを残して絶滅してしまう種も出てくるかも知れません。跡のみしかない場合、その現象の原因は永久に分からなくなるでしょう。その前に、不明な現象の解明を、そして出来ることなら多肉植物が絶滅しないように出来れば良いのですがね。


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2020年に『菌根の世界 菌と植物のきってもきれない関係』(築地書館)という本が出版されました。菌根とは植物と菌類が共生関係を結び形成されるものです。菌根自体は昔から知られており、私も90年代には図鑑の簡単な説明があり、存在自体は知っていました。しかし、私の認識としては、一部の植物にだけ関係する特殊な事例だと勘違いしていました。その後、菌根は特殊なものではなく、樹木から雑草まで普遍的にどこにでも存在することを知りました。『菌根の世界』を読んでから菌根について興味がわき、多肉植物と菌類の関係を調べ、サボテンやWelwitschiaが菌根を形成していることを確認した論文を記事にしたことがあります。菌根は植物と菌類の間で栄養のやり取りがあるわけですが、それだけではなく、特殊な環境に生える植物は、乾燥耐性や強酸性・強アルカリ性土壌への耐性は菌根の形成が担っていたりもするのです。

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さて、前置きばかり長くなりましたが、『菌根の世界』の続刊が出ました。『もっと菌根の世界 知られざる根圏のパートナーシップ』(築地書館)です。前巻でカバーしきれなかった部分、ツツジ科植物のエリコイド菌根やトリュフに代表される地下性菌、葉緑体がなく光合成せずに菌類に依存する腐生植物など非常に魅力的なラインナップです。厳密には菌根とは異なるかも知れませんが、DSEというカビが植物と共生していることなどは私も初めて知りました。非常に勉強になります。ただ、部分的にはかなり専門的な内容も含まれます。私は経歴的にある程度は分かりましたが、それでも実験のイメージがまったくつかない話もありました。まあ、簡単に図解するだけで、何となく理解が出来なくもないような気もしました。
それはそうと、植物と菌類の共生は欠かさざるえないものであることは明らかでしょう。本書を読んでいてまず関心したのは、植物の遷移と共生菌との関係です。山火事や崖崩れ、火山の噴火など様々な要因で、植生がリセットされた崩壊地が生まれます。崩壊地には生長の早い一年草が生え、腐植質が溜まれば松などの先駆的な樹木も生えて来るでしょう。温暖多雨な日本では、割と早く森林となりますが、樹種は移り変わって行きます。これを遷移といいますが、実は植物と共生する菌類の種類も遷移していくということを、初めて知りました。さらに、崩壊地に生える草の近くに樹木の実生が生えるのは、草の根の菌根菌が樹木の実生の根と繋がっているからであるというのです。偶然に樹木の種子の芽生えた根の近くに菌根菌の胞子があったり、風で偶然に胞子が飛んでくることを期待することは難しいことでしょう。資源の量からしても、すでに発達した菌根にアクセス出来るということは、大変なメリットです。まさに、森林は菌根菌あって初めて成立しているのです。

植物の進化史は、水中の植物が上陸したことは、非常に大きな出来事でした。それは、動物が上陸するに際して、すでに陸上に植物があったから可能であったことは明らかです。その植物も上陸初期は非常に未熟な根しか持っていなかったことが化石から明らかとなっています。おそらくは、上陸初期の植物はすでに菌類と共生関係を結んでおり、未熟な植物の根の代わりをしていたのでしょう。遺伝子解析の結果からは、菌根菌の一部は植物の上陸した時期にはすでに存在していたことが推定されています。そうなると、動物が上陸出来たのは植物のおかげで、植物が上陸出来たのは菌根のおかげということになります。我々人類が誕生したのは、遠因を辿ると植物と菌根が共生関係を結んだ時点まで行き着くとも言えるかも知れませんね。


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新種の記載や訂正、種を分けたり統合したりと、分類学により植物は命名され分類されます。近年では遺伝子解析が盛んに行われ、思わぬ植物同士が近縁だったり、外見上はそっくりで見分けがつかない隠蔽種が明らかとなったりと、分類学は非常に隆盛を極める分野となっています。そんな分類学ですが、種の登録に際しては、その植物の基準を示すためのタイプ標本を指定する必要があります。タイプ標本は博物館や大学に収蔵され、他の種と比較したり分類のために活用されます。
さて、本日ご紹介するのはGideon F. Smithらの2023年の論文、『Plant poaching in southern African is aided by taxonomy: Is a return to Caput bonae spei inevitable?』です。学術的に重要なタイプ標本ですが、悪用され多肉植物を危機に曝す原因となっているというのです。いったい、どういうことなのでしょうか?

密猟者の情報源
1970年代に南アフリカ国立植物研究所の前身である植物研究所で、植物標本のラベル情報が電子ファイルとして配布され始めました。やがて、データベースは拡張され、研究者は大規模なデータベースに容易にアクセス可能となり、計り知れない恩恵をもたらしました。また、一部の出版物はオープンアクセスにより、誰でも閲覧可能となりました。しかし、このような多肉植物の自生地の情報を、密猟者も閲覧し容易に自生地を見つけ出し収奪することも可能となりました。この予期せぬ出来事に対し、議論し抵抗するための提案を行います。

違法採取の急増
南アフリカの多肉植物は何世紀にも渡り植物愛好家を魅了してきました。最も注目すべきは、Aloe、Haworthia、Euphorbia、Crassula、Aizoaceae(メセン)で、園芸取引のために栽培されて来ました。しかし、栽培には時間がかかり、正規の繁殖方法では国際市場の需要を満たすことが出来ない場合もあります。
新型コロナの流行はロックダウンなど、人々の生活に様々な影響を与えました。一部の地域ではパンデミック中に趣味としてガーデニングや造園が流行り、植物の需要が増加しました。同時にロックダウン中は植物の密猟の増加がおきました。密猟者はソーシャルメディアを通じて植物の自生地付近の住民に連絡し、植物の入手を依頼することがあります。雇用機会が限られた田舎の失業者は、安価な報酬で密猟に手を貸してしまいます。南アフリカの多肉植物の違法採取、つまり密猟は巨大な違法産業に発展しており、押収された植物の数は毎年250%以上増加しています。過去3年間で150万本以上の野生植物が違法に密猟されたと推定されます。近年の例では、2022年11月に163万点もの植物を所持していた外国人が逮捕されています。

情報の秘匿
正確な産地情報を広めないことで植物の保全を支援する取り組みが実施されています。南アフリカ生物多様性研究所(SANBI)のデータベースでは、希少な植物については情報が隠蔽されており、研究者などが学術的な用途で申請し許可を受けた場合のみ情報を得ることが出来ます。しかし、密猟者が自由にアクセス可能な、タイプ標本のラベルや文献に記載された産地情報は依然として存在しています。

「CAPUT BONAE SPEI」への回帰
初期の南アフリカの植物の採取者は、採取地を単純に「Cput bonae spei」あるいは「Cpu. b. spei」、「Cabo bona spei」、「CBS」などと表記しました。これらはすべて「喜望峰」を意味します。初期の探検家たちは地図や地名の情報が少ない中で採取されたためです。後にこれらの古い情報の精査には時間がかかり、2世紀以上経てもわかっていない部分があります。
新種が公表されると直ちに密猟されてしまいます。違法採取による多肉植物の危機に際して、新種の発見を隠す傾向が出て来ました。植物が希少であるほど、絶滅に瀕しているほど、植物は価値が上がり密猟者の利益になります。「原産地: 喜望峰」という大昔の地理情報の記載方法へ回帰するしかないのでしょうか?


提案
密猟者の視線を躱すためには、産地情報が秘匿される必要があります。正確な産地情報は標本ラベルには記載せず、データベース上で管理し標本と関連付けられます。また、オンラインで入手可能であるラベルのスキャン画像は、地域情報はブロックします。さらに、正確な産地情報はオンラインではオープンアクセス出来ません。
しかし、これらの措置は分類学を始めとする多くの研究者の研究能力に悪影響を与えるでしょう。それでも、自然遺産が消失しないように、このような措置は免れません。


最後に
以上が論文の簡単な要約です。
最近の論文では、GPSで得た非常に精度の高い位置情報が記載されることも珍しいことではありません。現状、産地情報の秘匿はほとんどの論文では行われておらず、学術データを介した違法採取は引き続き拡大し続けるのでしょう。研究者たちの地道な学術的な努力が、卑しい密猟者の違法な金儲けに使われてしまうのは、大変皮肉でかつ悲しいことです。



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植物の繁殖にとって花は重要です。しかも、花の受粉様式は非常に多様で、花粉媒介者の相互作用など非常に複雑なメカニズムが存在し、その全容が明らかとなっているとは言えません。さらに、受粉後の種子散布については、それ以上に調べられていないように感じられます。最近では私もそのあたりが気になっており、ポツポツと少しずつ記事にしてきました。本日はアロエの種子に関する話です。それは、C. T. Symesの2011年の論文、『Seed dispersal and seed banks in Aloe marlothii (Asphodelaceae)』です。
アロエの種子には羽があって風で運ばれると言われますが、実際にはどうなのでしょうか? また、発芽せずに土壌中で環境が良くなるまで待つ「貯蔵種子」(Seed bank)は存在するでしょうか? 

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Aloe marlothii
『Curtis's botanical magazine』(1913年)より。


Aloe marlothiiは、南アフリカの草原とサバンナに広く分布する、冬に開花する多肉植物です。多くの個体は、岩の多異北向きの斜面や山岳地帯に生えます。A. marlothiiは最大6mに達する大型のアロエで、乾燥した冬に豊富な蜜を出すことから、様々な鳥のエネルギー源として重要です。よって、A.marlothiiは鳥により受粉しますが、その種子の散布についてはほとんど知られていません。
調査地のSuikerbosrand自然保護区は、標高1600〜1700mで、数百から数千のA. marlothiiが生育しています。自然保護区では、落雷などにより火災が発生することがあります。2003年9月におそらく送電線のアーク放電により発火し、自然保護区の西側の一部、約349ヘクタールが焼失しました。自然保護区内のアロエ林は激しく燃え、約1ヘクタールのアロエが死滅しました。その後、焼失地域には4mほどの枯れたアロエの茎が残り、雑草が生い茂りました。この焼失地域で、アロエの再定着を監視しました。
しかし、新しいアロエの苗は、焼失地域の外側に生えるアロエが開花した後にのみ出現しました。さらに、焼失地域の土壌を採取して温室内で貯蔵種子の発芽試験を行いましたが、貯蔵種子の発芽は1本しかありませんでした。焼失地域の外側に生えるアロエが開花した後には、焼失地域から採取された土壌の発芽試験では実生が生えて来ました。
つまり、A. marlothiiには貯蔵種子は基本的にないということが分かります。さらに、焼失地域外から種子が運ばれていることが分かります。A. marlothiiに良く似ているA. feroxは、高さ3mの高さから羽のある種子が30mも飛散すると言うことですから、焼失地域の発芽した種子は、ほとんどが焼失地域外から飛散してきたものなのでしょう。アロエの種子は柔らかく保護膜はほとんどなく、発芽は春の最適な環境次第と考えられます。条件が悪ければ発芽しませんが、種子の寿命が短いため翌年に発芽する可能性はほとんどありません。

以上が論文の簡単な要約です。
過去の研究では、他の種類のアロエの種子の寿命は1年とは言えないことが判明しています。しかし、A. marlothiiは貯蔵種子を持ちません。何故なのでしょうか? 少し考えてみます。
A. marlothiiのような巨大アロエは蓄積した資源量が多いため、毎年大量の種子を生産してばらまくことになります。わざわざ、耐久性のある種子を作る意味がないのかも知れません。ところが、火災に見舞われやすい地域であると言うことを考えると、貯蔵種子があった方が有利な気もします。しかし、長距離に拡散可能な種子であることから、わざわざ貯蔵種子を準備する必要はないのかも知れません。

しかし、火災の発生源は送電線のアーク放電による可能性があるとのことで、故意ではないとは言え人為的なものです。しかし、現在A. marlothiiのような巨大アロエの最大の敵は、火災ではないようです。近年、各地の自然保護区では、サイなどの希少動物の再導入が行われています。希少なアフリカゾウやクロサイが増えていることは素晴らしいことですが、まったく問題が起きていないわけではありません。これらの大型草食動物の採食によりA. marlothiiは急激に減少しています。一度崩れた生態系のバランスは、簡単にはもとには戻らないということかも知れませんね。


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多肉植物の生息地は、開発によりその生息が脅かされています。多肉植物は分布が狭く、特殊な環境にのみ生えるものも多いことから、多くの多肉植物が絶滅の危機に瀕しています。保護活動によりこれらの多肉植物を救うことは出来るのでしょうか?
本日は希少な多肉植物を救うための保護活動に目を向けます。Stefan Siebert & Frances Siebertの2022年の報告である、『Beating the boom: The fight to save a tiny succulent』をご紹介しましょう。小型のメセンであり、野生では非常に希少なFrithia humilisの保護活動の顛末です。


妖精の象の足
「妖精の象の足」(Faily elephant feet)と呼ばれるFrithia humilisは、南アフリカの固有種です。Gauteng州とMpumalanga州の境界にまたがる約600平方キロメートルの範囲の、岩盤上に乗った砂利の隙間にのみ生えます。非常に特殊な土壌条件が必要です。乾燥しわずか2cmしかない浅い土壌は、珪岩砂と腐植質からなり、0.5cmの珪岩砂利に覆われている必要があります。しかし、残念なことに南アフリカの発電所に供給される石炭が採掘される石炭鉱床は、F. humilisの分布と重なります。すでに、鉱山開発などによりF. humilisは生息地の半分以上を失っています。

救出作戦
新しい石炭鉱山の開発予定地に、4000個体に及ぶF. humilisが発見されました。しかし、南アフリカの政策により、この希少植物を他の土地に移植しなくてはなりませんでした。そのため、時間が限られる中、適切な代替地を探し出し、2009年に移植が敢行されました。移植が終わると、本来の自生地は採掘のため、すぐに爆破されてしまいました。

挫折と行き詰まり
救出活動以来、移植先を定期的に監視しました。当初、移植したF. humilisの生存と繁殖は有望に見えました。確かに、移植当初はネズミによる減少がありました。ところが、個体数が大幅に減少し始めたのは、2017年以降でした。著者らはこれは個体数が少ないことから、遺伝的多様性の低下により自家受粉が増えたからではないかと考えました。
著者らは移植先における花粉媒介者の数や訪問頻度、開花や結実について調査しましたが、これらの指標は他の自生地と変わりがありませんでした。つまり、種子や実生の数が少ないわけではないということです。

保護の難しさ
F. humilisは土壌ごと移植されたため、貯蔵種子(Seed bank)からの発芽が期待されました。実際に移植後に実生が出現し、それは2013年まで続きました。そして、干ばつ後の2017年以降、減少が始まりました。それ以降、観察により花の数、成体の植物数、実生苗の数は減少し続けています。
F. humilisのような特殊な土壌に生える植物は、数十億年かけて形成された生息地に、数百万年かけて適応してきました。単純に移動させたら、新しい生息地で繁栄することを期待することは出来ません。一度介入したならば、監視を続け生息地の維持のために投資する必要があります。最終的には、自生地には手を加えずに残しておく必要があります。


最後に
以上が報告の簡単な要約です。
保護活動は失敗に終わりました。これだけ文明が発達した現代においても、未だ自然とはあまりに未知であり、まったくコントロールが効かない存在であることを改めて実感しました。
しかし、F. humilisを育てるのはそれほど難しくないと思った方もおられるでしょう。これは、当然ながら自然環境下は栽培環境とはまったく異なるからです。自然環境下では植え替えも施肥も、水やりや遮光も出来ないのですから、自然と育って増えてくれるのを期待するしかありません。まったく同じ自然環境を用意することはあまりに難しいでしょう。やはり、自然環境ごと保全することが肝要ということなのでしょう。


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購入した多肉植物の植え替えの続きです。ひたすら花キリンを植え替えました。

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Euphorbia millotii
鉢のサイズは問題なさそうですが、私は赤玉細粒は苦手で、上手く水分のコントロールが出来ません。

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根の張りは良好です。
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植え替え後。少し大きめのプレステラ105に植えました。

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Euphorbia guillemetii(E. beharensis)
鉢のサイズは良さそうですが、塊根に根がついているため、浅植えされてそうです。

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根は割と貧相でした。塊根を見せるために浅植えしたのは間違いなさそうです。
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植え替え後。まだ塊根を出さなくてもいいかなと思ったので、塊根は埋めてしまいました。サイズ的にプレステラ90で十分。

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Euphorbia erythrocucullata
ひょろひょろした花キリンです。枝が細いので、枝分かれさせて混んだ樹形にする方が良いでしょうか?

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意外にも塊根性でした。しかし、塊根が丸まってしまっているので、露出させるのは難しそうです。
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植え替え後。塊根は露出させませんでした。塊根の形が悪いので、根をもう少し下方向に伸ばしたいところです。塊根があるためやや大きめにプレステラ105に植えました。

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Euphorbia delphinensis
これは流石に鉢が小さいですよね。

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根は渦巻いていて中々ほぐせませんでした。
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植え替え後。プレステラ120でも大き過ぎるということはなさそうです。

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Euphorbia fuscoclada
ちょっとバランスが悪そうです。風が強い我が家ではすぐに倒れてしまいます。

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根の張りはやや少ない感じでした。
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植え替え後。とりあえずは、プレステラ105に植えました。

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Euphorbia lophogona
葉が非常に大きいため、頭が重たそうですね。

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根の張りは良好です。
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植え替え後。プレステラ120に植えました。外見的に似ているE. viguieri系ではなく、かと言ってE. neohumbertii系でもないようです。遺伝子解析では意外にもE. miliiに近縁なようです。花は確かにそんな感じですが。

ということで、これにて購入品の植え替えは終了です。寒くなって来ましたから、今年の植え替え自体がこれで最後ですかね。それよりも、多肉植物たちを室内に取り込まなくてはなりませんが、まったく進んでいません。植物用ランプやらタイマーやら室内の準備すらまだなのですから、いささか慌てています。しかし、何かと忙しくて手が回りません。困ったものです。


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先日、多肉植物の即売会をハシゴしたわけですが、もう寒くなりつつあるにも関わらず、購入品の植え替えを強行しました。また、何故か強風が吹き荒れ、軽い遮光用に張っていた不織布がビリビリに破れてしまい、鉢を巻き込んで倒してしまいました。仕方がなく、こちらも植え替えと言うか植え直しです。

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Haworthia parksiana
Succulent Station 宮崎台の購入品。鉢のサイズも合っているので植え替える必要はなさそうですが、根の状態が気になります。

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根は良く張っていました。
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植え替え後で。あまり変わっていませんが、用土を統一することにより、感想具合をコントロールしやすくなります。

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Haworthia chloracantha v. subglauca RIB 0099
こちらもSucculent Station 宮崎台の購入品。

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こちらも根の状態は良好です。
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植え替え後。フィールドナンバーつきですから、あまり過保護にならないように育てたいですね。

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皇帝
ヨネヤマプランテイションの多肉植物BIG即売会の購入品。皇帝は少し窮屈そうに見えます。
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根の張りは良好ですが、やはり窮屈でした。
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植え替え後。バランス的にはこんなものでしょうか?

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青々錦 Aloiapelos tenuior(Aloe tenuior)
こちらもヨネヤマプランテイションの多肉植物BIG即売会の購入品。フニャフニャの鉢に植えられていました。

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やはり根の張りは良好です。
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植え替え後。本来Aloiampelosはヤブ状に育ちますが、どう育てるか悩みどころです。

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この2鉢はひっくり返したやつです。
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Haworthiopsis viscosa
ヴィスコサは完全にすっぽ抜けたので、植え替えました。何故か根はかなり貧相でしたね。

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Gasteria pillansii
ピランシィは根の張りが良いため、ひっくり返っても抜けませんでした。ですから、用土を足しただけで済みました。


というわけで、植え替えの第1弾でした。花キリンを沢山買いましたから、そちらも植え替えましたが、明日記事にします。
実は未だに室内に多肉植物を1つも取り込んでいません。それなりに数があるため、そろそろ始めないとあっという間に冬になってしまいます。とりあえず、パキポディウムと小型の花キリンは室内に取り込みました。早く何とかしなくては…

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サボテンは古い根元の方が褐色になり硬くなってしまいます。これは、太陽光が原因で樹皮が形成されているということのようです。ただ、樹皮形成はサボテンにはよろしくないことのようで、樹皮形成が多くなり過ぎるとサボテンは枯れてしまいます。この太陽光による樹皮形成は柱サボテン状になるユーフォルビアにも見られる現象です。本日は、南アフリカのユーフォルビアの樹皮形成について研究した、Lance S. Evans & Lauren Scelsaの2014年の論文、『Sunlight-induced bark formation on current-year stem of Euphorbia plants from South Africa』をご紹介します。

2011年のEvans & Abelaは、南アフリカの20種類のユーフォルビアで、サボテンに起きるものと同一に見える樹皮形成を確認しました。ただ、サボテンは古い茎に樹皮が形成されるのに対し、ユーフォルビアでは新しい茎でも形成されます。この研究は樹皮形成の仕組みを理解し、なぜ種類により樹皮形成の度合いが異なるのかを解明することを目的としています。
南アフリカに自生する15種類のユーフォルビアを調査した結果、樹皮形成率は高い順から、E. enopla(12.0%)、E. clandenstina(10.0%)、E. schoenlandii(10.0%)、E. clava(9.0%)、E. heptagona(8.9%)、E. tuberculata(7.8%)、E. fimbriata(6.2%)、E. horrida(6.2%)、E. knobelii(6.1%)、E. hottentota(5.5%)、E. tetragona(5.0%)、E. triangularis(4.6%)、E. avasmontana(0.0%)、E. virosa(0.0%)、E. cooperi(0.0%)でした。

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Euphorbia enopla(樹皮形成率12.0%)

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Euphorbia schoenlandii(樹皮形成率10.0%)

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Euphorbia virosa(樹皮形成稜0.0%)

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Euphorbia cooperi(樹皮形成率0.0%)

樹皮形成は太陽光がより当たる側で発生しました。調査したユーフォルビアを比較すると、樹皮形成率が高い種は稜(rib)がなく、樹皮形成率がなかった種は強い稜がありました。これは、稜があるとくぼんだ谷間が出来ることから、陰が形成されます。そのため、稜がある種類は樹皮形成が起きにくいと考えられます。
また、表面のクチクラの厚みを調査しましたが、種類によるクチクラの厚みの違いは、樹皮形成のしやすさとは相関がありませんでした。

ユーフォルビアの太陽光による樹皮形成は、表面組織の損傷により誘発されます。ただし、E. tetragonaやE. triangularisの幹に形成されるコルク層は、古い茎に形成されるもので、太陽光による樹皮形成とは関係がないようです。太陽光による樹皮形成は表皮細胞が関わりますが、コルクを形成したりはしません。

以上が論文の簡単な要約です。
内容としては、深い稜がある場合には、山と谷が出来て陰が出来ることから、樹皮は形成されにくい傾向があるというものでした。この場合の樹皮とは、大型になる柱サボテン状ユーフォルビアの、古い幹が木質化していく過程とは異なります。しかし、この太陽光による樹皮形成は、どうやらサボテンとメカニズムは同じようなのですが、サボテンは古い組織に出来るのにユーフォルビアは新しい組織に出来るのは何故でしょうか? また、太陽光による樹皮形成は表面細胞の損傷が原因ですから、要するに樹皮形成しにくい種はより強い太陽光に耐えられるということです。では、樹皮形成しにくい種は強い太陽光を浴びていて、樹皮形成しやすい種は陰になるような場所に生えるのでしょうか? 最適環境が異なるように思えます。実際の自生地の環境との比較が見てみたいところです。


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タナベフラワーで開催された「Succulent Station 宮崎台」が開催され行って参りましたが、続けてヨネヤマプランテイションで開催された「多肉植物BIG即売会」に行って来ました。「Succulent Station 宮崎台」の様子は昨日記事にしましたから今日はその続きです。
大量の花キリンを購入したため、割と邪魔でしたがヨネヤマプランテイションに着いて驚きました。なんと、タナベフラワーにあった花キリンがすべてではありませんが、いくつかあったのです。なんだ、こっちで買えば良かったと思いましたが、値段を見て驚きました。結構お高い、というかこちらが通常の値段ですかね。ヨネヤマプランテイションを先に来なくて良かったです。荷物が多くてもこちらが正解でした。いやはや、良かった良かった。

さて、前回の多肉植物BIG即売会では多肉植物は数も種類も、おまけにお客も少なかったわけですが、今回は割と力が入っていました。お客さんも開店直後でもないのに、割と入っていました。内容的にはアガベやエケベリアなどは相変わらずありましたが、私が気になったのはアロエです。他にもサボテンもそこそこあり、黒王丸や黒牡丹なんかもありました。
アロエは目立たないところにありましたが、あまり見ない種類ばかりでしたね。とはいえ、タナベフラワーで暴れすぎたため、そもそも沢山は買えません。荷物がこれ以上増えると、帰りは電車ですから流石につらいのです。泣く泣く2つだけ購入して帰りました。


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青々錦 Aloe tenuior
地味なアロエですが、現在はアロエ属から分離・独立し、アロイアンペロス属となっています。つまり、Aloiampelos tenuiorです。しかし、アロイアンペロスは非常に丈夫ですが、鑑賞価値は今ひとつなため、販売されることは稀ですね。

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皇帝
Tulista系、というかT. marginata系と思しき非常に優れた交配種です。今までも2回ほど目にしてはいたのですが、割と高額で手が出ませんでした。今回はかなり安かったので即決でした。皇帝は中々入手機会も少ないため、嬉しい偶然でした。


というわけで、ヨネヤマプランテイションの「多肉植物BIG即売会」でした。2連戦はいささか疲れましたが、今回はかなりの大収穫でしたから、疲れも吹き飛びますね。正直、今回はビッグバザールより安いくらいでしたから、見た目の物量ほど散財していません。まあ、正直なところ、置く場所が怪しいわけですが…


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川崎市にあるタナベフラワーにて21日と22日に開催された、「Succulent Station 宮崎台」に行って参りました。前回は5月に開催されましたから、約半年ぶりの訪問です。さて、21日と22日は横浜のヨネヤマプランテイションで「多肉植物BIG即売会」も開催されていますから、なんと続けて両方に行こうというワガママプランです。移動時間がかかりますから早く行こうということで、タナベフラワーの開園時間ちょうどに到着しました。
着くとちょうど開園するところでしたが、タナベフラワーの駐車場に待機列が出来ていました。そう言えば、駐車場が使えないと言う事でしたが、待機列のためだったみたいです。私も最後尾に並びましたが、整理券は70番でしたね。イベントの規模からすると大変な熱気です。季節柄、オトンナや亀甲竜などの冬型多肉がかなりありました。もちろん、パキポディウムやアガベ、エケベリア、ハウォルチアなどの多肉植物も沢山ありました。今回も以前と同様、たにっくん工房とタナベフラワーで購入しました。

まずは、たにっくん工房から。まあ、相変わらず様々な多肉植物が並んでいました。とにかく、種類が多いのが嬉しいところです。今回はハウォルチアを購入。かなりの安価で、大型園芸店と比べると場合によっては半額以下でしたね。

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Haworthia parksiana
ざらついた肌は軟葉系っぽくないですね。最も小型のハウォルチアと言われているそうです。


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Haworthia chloracantha v. subglauca RIB 0099
見た瞬間、フィールドナンバーつきだろうと思いました。選抜された栽培品とは異なり葉先が枯れたりしますが、野趣溢れる姿は独特の美しさがあります。

続けて、タナベフラワーの温室内を見て回りました。相変わらず、1棟はエケベリアやセダムなどで、1棟はハウォルチアが中心、1棟はサボテンやパキポディウムなど雑多な多肉植物がありました。前回は硬葉系ハウォルチアを購入しましたが、今回は花キリンが沢山あったので購入しました。サイズの割にかなり安いなあといった感想です。
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ユーフォルビア・デルフィエンセ
Euphorbia delphinensisです。葉が特徴的で詰まった樹形ですね。


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ユーフォルビア・フスコクラダ
Euphorbia fuscocladaです。2021年に記載されたばかりの新種です。どのような花が咲くでしょうか?


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ユーフォルビア・グイレメティー
塊根性の花キリンのEuphorbia guillemetiiです。現在、Euphorbia beharensisの異名となっています。しかし、ビッグバザールで入手したE. beharensisの挿し木苗は、葉の形が違います。今回入手した方が一般的なようです。


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ユーフォルビア・エリスロククラータ
Euphorbia erythrocucullataです。何やら面白い形の花を咲かせるようです。


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ユーフォルビア・ミロッティー
Euphorbia millotiiです。のっぺりとした幹肌が特徴です。


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ユーフォルビア・ロフォゴナ
Euphorbia lophogonaです。ロフォゴナは以前から気になっていた花キリンです。

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このように、トゲがペラペラの紙のようです。花キリンなどの専門家であったLeandriの著作の図譜を見てから、欲しかった花キリンです。
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花は意外にもスタンダードなタイプでした。

さて、なんだかんだで1時間近く居座ってしまい予定より遅れましたが、田園都市線とブルーラインを乗り継いで新羽駅に到着しました。ヨネヤマプランテイションにはどのような多肉植物があるでしょうか? しかし、花キリンがかさばるため、電車での移動中は正直邪魔でしたね。先にヨネヤマプランテイションに行くべきだったかと思いましたが、実は結果的にこの順番で良かったのです。その顛末は明日、記事にします。

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ヤリゲイトウか綺麗でした。


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以前、Gymnocalycium esperanzaeを調べていた時に、論文に面白いことが書かれていました。G. esperanzaeは、G. castellanosiiとG. bodenbenderianumとの自然交雑種である可能性があるというのです。その時の記事は以下のリンクをご参照下さい。


問題はG. esperanzaeは一時的に出来た雑種ではなく、すでに交雑親から独立しているように見えることです。論文でも、植物は自然交雑による種分化は珍しいことではなく、進化の原動力の1つであると書かれていました。交雑が進化に関係するということは、私も気になってはいたのですが、中々調べるところまでは行きませんでした。しかし、最近になりサボテンの自然交雑種に関する論文を見つけました。それは、Xochitl Granados-Aguilarらの2021年の論文、『Unraveling Reticulate Evolution in Opuntia (Cactaceae) From Southern Mexico』です。タイトルは訳すと、「メキシコ南部のウチワサボテンの網状進化の解明」となります。「網状進化」とは何なのでしょうか?

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Opuntia pilifera
『The Cactaceae』(1919年)より。


交雑は植物の約40%で発生し、その中でもウチワサボテンなど特定のグループにより頻繁に発生します。この論文では、ウチワサボテンの約12%が分布するにも関わらず、ほとんど調査されていないメキシコ南部のTehuacan-Cuicatlan渓谷において、ウチワサボテンの交雑種を遺伝子解析により調査しました。著者らの研究グループは、Opuntia tehuacanaはOpuntia piliferaとOpuntia huajuapensisの中間的な特徴を持つことから、交雑種ではないかと考えていますが、仮説が検証されたことはありませんでした。

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Opuntia velutina(右上)
『The Cactaceae』(1919年)より。

著者らはTehuacan-Cuicatlan渓谷とその周辺地域から、9種類のウチワサボテンを採取しました。複数の遺伝子を解析したところ、以下のような交雑が推測されました。

O. pilifera①=O. decumbens+O. depressa
O. pilifera②=O. decumbens+O. velutina
O. tehuacana=O. decumbens+O. huajuapensis
O. decumbens=O. tehuantepecana+O. depressa
O. velutina①=O. tehuantepecana+O. depressa
O. velutina②=O. tehuantepecana+O. decumbens

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Opuntia decumbens
『The Cactaceae』(1919年)より。


ウチワサボテンは生殖障壁が弱いため、自然交雑種は一般的です。研究に用いたウチワサボテンの開花期は春で、地理的に近い種の間では交雑が起きる可能性があります。一般的に受粉は主にミツバチにより行われますが、Tehuacan-Cuicatlan渓谷ではミツバチより長距離を移動するハチドリも受粉に関与している可能性があります。
さて、肝心のO. tehuacanaに関してですが、交雑親と考えられるO. huajuapensisは開花期が重なります。ハチドリが両方の種に訪れるため、受粉の可能性があります。しかし、共通の特徴はあるものの、交雑により予想されるような中間形質は確認されませんでした。もう片方の交雑親と当初は考えられていたのはO. piliferaですが、遺伝子解析では交雑の証拠はありませんでした。共通する特徴より異なる特徴が多く、中間形質もないため、O. piliferaが交雑親であるというシナリオは破棄されます。交雑の仕方からは、交雑親はO. decumbensが疑われます。しかし、すべてのO. tehuacanaからO. decumbensが関与しているわけではないことが判明しており、特定の遺伝子のみが移入しており、雑種種分化は発生していないことが推測されます。

以上が論文の簡単な要約です。
論文中に出てきた生殖障壁とは、交雑してしまう可能性のある近縁種同士が受粉しないような仕組みのことです。例えば、簡単な例では花の時期が異なるだとか、地形的に隔離されているとかです。やや複雑になると、花の色や形が異なり、訪れる花粉媒介者が異なる場合には交雑は起きません。しかし、Tehuacan-Cuicatlan渓谷では、ウチワサボテンが20m四方に4種類も存在するという高密度な状態でした。しかも、開花期も重なり花粉媒介者も共通します。
著者らは調べた遺伝子が少ないため、すべての交雑を検出出来たわけではないとしています。しかし、遺伝子情報からの推測方法については私には良くわからなかったため、上手く解説出来ませんでした。どうも、「網状進化」とは単純な交雑ではなく、複数種の遺伝子が混じり合って形成される、正に網状の交雑が起きているようです。しかし、論文自体は網状進化の一部を解明しただけで、すべてを解明したわけではなさそうです。実際には本当に網の目のように複雑に絡むような進化を辿ったのかも知れませんね。


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近年、多肉植物で最も盛り上がっているのはAgaveでしょう。「サボテン・多肉植物のビッグバザール」でも、Agaveの専門店が出店するようになり、あちこちでAgaveを出しています。多肉植物に強い園芸店でもAgaveはコーデックスに代わる目玉となっています。いつまでAgaveブームが続くのかは分かりませんが、流行っているオテロイ(Agave oteroi)は2019年に記載されたばかりの新種であることを考えたら、まだまだ盛り上がる要素は出てくるかも知れませんね。さて、そんなAgaveですが、オテロイの例にあるように新種が見つかっています。ここ10年と少しのAgaveの新種を見てみましょう。ちなみに、最近のAgaveに関する論文をざっと漁っただけなので、漏れもあるでしょうし、Abstractを流し読みしただけなので何かしらの間違いがあるかも知れません。まあ、ご参考までにということで。

2011年
・メキシコのバハ・カリフォルニアから、新種のAgave turneriが記載されました。
・メキシコ南部から、新種のManfreda justosierranaManfreda umbrophilaManfreda verhoekiaeが記載されました。しかし、2012年にはAgave属に移され、それぞれAgave justorierranaAgave umbrophilaAgave verhoekiaeとされました。


2012年
・メキシコ西部のmanantlanicola山脈の高地から、新種であるAgave manantlanicolaが記載されました。
・メキシコのJulisco州から、新種であるAgave temacapulinensisが記載されました。Agave wocomahiと近縁と考えられます。


2013年
・Agave gypsophilaを再評価し、Agave abisaiiAgave andreaeAgave kristeniiAgave pablocarrilloiが分離されました。
・メキシコのVeracruzより、新種であるAgave jimenoiが記載されました。

2014年
・メキシコのバハ・カリフォルニアのVizcaino半島から、新種のAgave azureaが記載されました。Agave vizcainoensisに近縁と思われます。
・メキシコ西部のQueretaroから、新種のAgave doctorensisが記載されました。Agave montium-sancticaroiに似ています。
・メキシコのOaxacaより、新種であるPolianthes alboaustralisが記載されました。しかし、2015年にはAgave属に移され、Agave alboaustralisとされました。

2016年
・メキシコ西部より、新種であるPolianthes quilaeが記載されました。しかし、2017年にはAgave属に移され、Agave quilaeとされました。

2017年
・コロンビアから新種であるAgave paxが記載されました。
・メキシコ西部より、新種であるManfreda occidentalisが記載されました。しかし、2019年にはAgave属に移され、Agave occidentalisとされました。

2018年
・メキシコのVeracruz中央海岸より、新種であるAgave maria-patriciaeが記載されました。
・メキシコのOaxaca南東部より、新種であるAgave cremnophilaが記載されました。
・メキシコ西部のSierra del  Surより、新種であるManfreda santana-micheliiが記載されました。しかし、2019年にはAgave属に移され、Agave santana-micheliiとされました。
・メキシコのMichoacan州より、新種であるPolianthes venustulifloraが記載されました。しかし、2019年にはAgave属に移され、Agave venustulifloraとされました。


2019年
・メキシコのTmaulipas州より、Agave lexiiが記載されました。Agave tenuifoliaやAgave striataに似ています。
・メキシコのOaxaca北中部より、新種であるAgave oteroiが記載されました。
・メキシコ西部のChorros del Varal州立保護区より、新種であるAgave garciaruziiが記載されました。Agave angustiarumおよびAgave imppressaに関連するようです。


2020年
・メキシコのOaxaca南部から、新種であるAgave calciphilaが記載されました。Agave angustiarumやAgave ghiesbreghtii、Agave huehuetecaに似ています。
・コロンビアから新種であるAgave sylvesterianaが記載されました。
・メキシコのGerrero州から、新種であるManfreda arceliensisが説明されました。しかし、この種は認められておりません。

2021年
・メキシコのTamaulipas州の湿った渓谷で、新種であるAgave crypticaが記載されました。Agave tenuifoliaと混同されてきたようです。

2022年
・メキシコ西部のBalsas盆地から、新種であるAgave internilloensisが記載されました。Agave gypsicolaに似ていますが、新種は葉が1mを超える大型種です。
・メキシコのOaxaca州西部より、新種であるAgave rosalesiiが記載されました。Agave ellemeetiana var. subdentataより分離されました。
・メキシコのJaliscoより、新種であるAgave martaelenaeAgave servandoanaが説明されました。しかし、データベースへの記載はまだのようです。

2023年
2023年に出た論文で説明された新種は、まだデータベースへの記載はありません。これから精査されるのでしょう。
・メキシコのSinaloaより、新種であるAgave mayoが記載されました。Agave schidigeraと共通する特徴があります。
・メキシコ原産のPolianthes montanaから、Polianthes aarodrigueziiが分離されました。


さて、Agaveの新種を漏れはあるかも知れませんが、大体の種類は収集出来たのではないでしょうか。ここでは、ManfredaやPolianthesが入っていますが、2000年代後半から2010年代前半にかけてManfredaやPolianthesがAgaveに含まれることが遺伝子解析により明らかになりました。そのため、ManfredaやPolianthesは徐々にAgaveへ改名されていきました。しかし、その最中でも新種は相変わらずManfredaやPolianthesと命名され続けたようですね。まあ、結局はAgaveに訂正されてしまいましたが。


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ソテツは地球上で最も危機に瀕している植物グループと言われます。しかし、日本では国内産のソテツ(Cycas revoluta)が庭木や鉢植えとして一般的に利用されていますから、珍しいという感覚は持ちにくいかも知れませんが、海外では自生地の都市開発や違法採取によりソテツは急激に数を減らしています。本日は国際自然保護連合(IUCN)のソテツに対する評価と保護計画について書かれた2003年の『Status Survey and Conservation Action Plan, Cycad』より、ソテツの貿易と持続可能な利用についてまとめられた第7章、J. S. Donaldsonらの「Cycads in Trade and Sustainable Use of Cycad Population」をご紹介しましょう。

ソテツの利用
ソテツは各地で伝統的に利用されてきました。いくつかの文化では、おそらく先史時代からソテツは利用されています。また、有毒のソテツから食品を調製する技術を、異なる文化がそれぞれ独自に開発しました。
19世紀から20世紀にかけて、ソテツを取り巻く環境は激変しました。例えば、1845年頃からZamia integrifoliaからデンプンを抽出するために、フロリダに製粉所が設立され、週に8000〜12000本のZ. integrifoliaが採取されました。都市化による生息地の破壊と相まってZ. integrifoliaは激減し、ソテツの製粉産業は1925年までに完成に崩壊しました。同様にオーストラリアで1921年にMacrozamia communisを用いて操業を開始しましたが、こちらは技術的な理由で失敗しました。

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Zamia integrifolia
(=Zamia floridana)


伝統医学や呪術のためのソテツの利用は様々な地域で続いており、人口増加により採取が激化しています。1994年の報告によると、南アフリカの2つの市場では毎月3000以上のStangeria eriopusが取引されていると言います。本来、農村部の人々は近隣に生えるソテツを利用しており、それは持続的に利用可能なものでした。しかし、ソテツを都市部に供給するために、人々が遠距離から採取に訪れるようになりました。

園芸植物としてのソテツ
1983年から1999年までに大量のCycasとBoweniaの葉が取引されました。これはフラワーアレンジメントでの使用で、主要な輸出国は日本でした。しかし、これは栽培植物由来のもので、野生植物に対する悪影響の証拠はありません。
20世紀のソテツの貿易パターンの劇的な変化は、園芸植物としての需要によりもたらされました。Cycas revolutaなどCycas属のソテツは、日本、中国、ベトナム、インドなどの国で、装飾用植物として何世紀にも渡り使用されてきました。しかし、都市造園やコレクターに由来する大規模な採取は、20世紀後半に発生しました。野生のソテツの採取が個体数の減少の主要な原因の1つと考えられていますが、その取引や野生植物への影響は分析されていません。

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Cycas revoluta

造園用としてのソテツ
都市造園用として利用されるソテツは少なく、利用されるのは主にCycas revolutaとZamia furfuraceaです。C. revolutaは広く栽培されており、野生植物の採取はありません。Z. furfuraceaはメキシコで大量に採取され、月に40トンが米国に輸入されたという報告があります。しかし、現在はZ. furfuraceaはメキシコと米国で広く栽培されており、野生植物の採取は不必要かつ違法採取は逆に不経済となっています。また、Cycas taitungensisなどの種は、大規模な植栽により人気が高まっています。
ソテツは造園用植物として優れていますが、植栽用にはある程度の大きさある植物が求められます。栽培植物では需要に答えられないため、野生植物の市場が生まれています。中国では多数のCycas panzhihuaensisとCycas hongheensisが採取され、タイではCycas litoralisが採取されています。南アフリカではカジノ開発のために、植栽用に300本を超えるEncephalartos altensteiniiが採取されました。
また、都市部の庭師は必ずしも特定の種を探しているわけではないため、野生植物を採取したり、わざわざ野生由来の植物を探したりはしません。

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Zamia furfuracea

ソテツ愛好家
植物のコレクターは、苗床から植物を購入し、他のコレクターと植物を交換し、愛好会などに入り植物や情報を交換します。コレクターはアクセス可能な地域のソテツの種子を採取したり、野生由来植物の可能性のある希少種を購入することはあるかも知れません。しかし、一般的にコレクターが珍しくソテツを探すために、それほどの時間とお金を費やすことはほとんどありません。
ただ、コレクションに多大な投資をしているコレクターもおり、野生由来の植物の取引に手を出していることもあります。しかし、野生植物の市場は犯罪シンジケートが関与しており、結果として組織犯罪に加担していることになります。


ソテツと貿易
1983年から1999年の貿易データによると、この期間中に5000万を超えるソテツの種子と、1300万の生きたソテツが、ワシントン条約(CITES)締結国から輸出されました。日本は最も重要なソテツの輸出国で、ソテツの種子輸出の90%近くを、生きたソテツの65%を占めています。C. revolutaとZ. furfuracea以外のソテツの取引は少ないものの、これは報告がされていないことによります。また、野生植物の少なさから考えると、かなり多くのEncephalartosが取引されています。現在でも絶滅危惧種のソテツが違法取引が続いており、CITESだけでは違法取引を食い止めることが出来ません。そのため、CITESは保全ツールの1つに過ぎないと見なさなければならず、合法的な取引のためにソテツの需要を満たすための行動が必要です。

ソテツの人工繁殖
ソテツを人工繁殖による大規模な商業生産することが可能ならば、ソテツの需要を人工繁殖したソテツで埋めることが出来るかも知れません。現在、種子繁殖が最も実用的な方法です。しかし、人工繁殖の場合、ソテツは雌雄異株であるため花の時期が合わなかったり、特定の花粉媒介者がいることなどから、種子が勝手に出来ません。最近の研究では、花粉は0℃で最大2年間は50%の生存率が維持出来ることが判明しており、雌雄の花が揃わなくても受粉が可能かも知れません。

最後に
以上が第7章の簡単な要約です。
ソテツはその減少が進行してしまっており、対策が急務です。すでに悠長にCITESに頼る段階ではないようです。サボテンや多肉植物では、趣味家たちはCITESは必要としながらも、CITESに物足りなさを感じているようです。趣味家たちは、珍しいサボテンや多肉植物の人工繁殖を積極的に行い、市場の需要を満たすことにより、野生植物の違法取引を減らせると考えています。しかし、ソテツでは趣味家ではなくIUCNが人工繁殖の推進を提唱しています。よくよく考えて見れば、この人工繁殖の推進はソテツの研究者により考えられたもののような気がします。なぜなら、ソテツの育て方や増やし方に関する論文がいくつも出されているからです。これは植物の研究としては珍しい部類ですね。
さて、ソテツの輸出の大半が日本からということでした。日本でCycas revolutaが庭木とされるのは、近年の流行ではなく、かなり昔からの話です。古い民家では、玄関先に背丈よりも高いC. revolutaが植えてあったりしますが、野生植物由来ではなく何十年もかけて大きくなったものです。そもそも、植木屋にはかなりの大きさのC. revolutaが植えられていますからね。ソテツはある程度のサイズになると脇芽が吹いてきますから、脇芽を発根させた鉢植えが沢山流通しています。日本ではC. revolutaはどこにでもあり、誰でも簡単に入手出来ますが、世界のソテツの希少性からすると珍しいことかも知れません。


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Pereskia属はサボテンらしからぬ姿のサボテンで、通常の樹木状で葉があり、全体的に特に多肉質ではありません。ただ、強い棘と美しい花がサボテンとの繋がりを感じさせます。Pereskiaは一般的には杢キリンだとかコノハサボテンと呼ばれますが、サボテン愛好家にもあまり人気はなさそうです。
さて、このPereskiaはサボテン科の進化を考える上で重要とされます。というのも、サボテンは本来は多肉質ではなく、Pereskiaのような多肉植物ではない姿から多肉質に進化したと考えられるからです。
そんなPereskiaはどうも単系統ではないと考えられているようです。2013年にPereskiaは単系統ではないという考えが示され、新属Leuenbergeriaが提唱されました。そこら辺の事情をまとめたJoel Lodeの2019年の論文、『Leuenbergeria, a new genus in Cactaceae』をご紹介しましょう。しかし、新種どころではなく、新属とは驚かされます。

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Leuenbergeria autumnalis(左右)
『The Cactaceae』(1919年)より。Pereskia tititachaとして記載。


PereskiaはSchumann(1890)とBuxbaum(1969)によりサボテン科の最も祖先的な分類群と考えられました。2002年のNyffelerの分析でも、Pereskiaはサボテン科の基底であることは示されましたが、単系統ではないとされました。2005年のButterworth & Wallaceの分子解析では、Pereskiaは単系統ではなく側系統群であることが示されました。2005年にEdwardsらは、Pereskiaの遺伝子解析を行いました。Pereskiaでは唯一コスタリカに分布するP. lychnidifloraと、Pereskia属のタイプ種であるP. aculeataとは、Pereskia属を分けなければならないレベルで遺伝的に距離がありました。2005年のCrozierの分子研究では、Pereskia属は急速に分岐した可能性を指摘しました。2007年にMarlon Machadoは、形態学的および解剖学的な特徴から、Pereskiaは2つのグループに分割出来るとしました。2008年にButterworth & Edwardsは、Pereskiaが側系統群であることを確認しましたが、GorelickはPereskiaの側系統の中に、Maihuenia、ウチワサボテン亜科、カクタス亜科が埋め込まれてしまっており、混乱し続けていることを指摘しました。

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Leuenbergeria zinniiflora(右)
『The Cactaceae』(1919年)より。Pereskia zinniaefloraとして記載。

そして、2008年のNyffelerらと2010年のNyffeler & Eggliは、Pereskiaは南アメリカ北部からメキシコまでの北部クレードと、ブラジル南部から南方の熱帯および亜熱帯南アメリカの南部クレードに分けることが出来ることを示しました。南部クレードは樹皮の形成が遅れており、茎に気孔があります。北部クレードは樹皮が早く形成され茎に気孔がありません。

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Leuenbergeria gamacho
『The Cactaceae』(1919年)より。Pereskia guamachoとして記載。


以上が論文の簡単な要約です。
論文中の用語ですが、単系統とは系統的な子孫からなるまとまりがあるグループです。側系統とは簡単に言えばまとまりのないグループです。論文ではPereskiaを2分割しました。名前のなかった南部クレードには、著者が2013年にLeuenbergeria属を提唱しました。属名はPereskiaの著名な研究者であったLeuenbergerから来ているようです。
また、本文中に「Pereskiaの側系統の中に、Maihuenia、ウチワサボテン亜科、カクタス亜科が埋め込まれてしまっており…」とありますが、分かりにくいため簡単に説明します。例えば、2005年のEdwardsの『Basal cactus phylogeny: implications of Pereskia (Cactaceae) paraphyly for transition to the cactus life form』では、以下のような分子系統が示されました。

              ┏━カクタス亜科
          ┏┫
    ┃┗━Maihuenia
      ┏┫
      ┃┗━━
ウチワサボテン亜科
  ┏┫     
  ┃┗━━
Pereskia
  ┫
  ┗━━━
Leuenbergeria

カクタス亜科は柱サボテンや玉サボテンを含む巨大なグループです。見方としては、カクタス亜科とMaihueniaは姉妹群で、カクタス亜科+Maihueniaとウチワサボテン亜科は姉妹群、それらとPereskiaは姉妹群なのです。つまり、カクタス亜科からPereskiaまでを一塊と捉えることも可能なため、そのような表現となっているのです。

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Leuenbergeria zinniiflora
『The Cactaceae』(1919年)より。Pereskia cubensisとして記載。


Pereskiaから独立してLeuenbergeriaとなったのは8種類です。以下に示します。
①L. aureiflora
②L. bleo
③L. guamacho
④L. lychnidiflora
⑤L. marcanoi
⑥L. portulacifolia
⑦L. quisqueyana
⑧L. zinniiflora


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今週末、21日と22日に横浜のヨネヤマプランテイションで「多肉植物BIG即売会」が開催されます。ヨネヤマプランテイションは横浜市営地下鉄ブルーラインの新羽駅の駅のすぐ近くです。今年の3月のBIG即売会は非常に多種多様で数も多かったのですが、7月のBIG即売会は割と規模が小さなものでした。今回はどうでしょうか?

①2021年11月
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Pachypodium brevicalyx
すっかり貫禄が出たブレビカリクスです。現在はP. densiflorumの異名扱いですが、よりずんぐりと育つようです。

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Fouquieria macdougalii
面影がなくなるくらい育ちました。去年は乾かし気味でしたからあまり育ちませんでしたが、今年は乾かさないようにしたら良く育ちました。

②2022年3月
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Pachypodium rosulatum var. drakei
枝分かれしました。P. rosulatumと同種とされていますが、ドラケイは葉や枝がより細長く育ちます。

③2022年7月
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Fouquieria formosa
すでに倍以上の長さとなりました。水を切らすと、葉先が枯れ込んでしまいます。

④2023年3月
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Euphorbia fianarantsoae
葉が出ただけで、あまり育った感じはありません。オーソドックスな非塊根性花キリンとして育てましたが、どうにも今一でした。

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昭和キリン Euphorbia bubalina
ブバリナは徒長しやすいと考え、日照は強めにしました。結果として綺麗に育っていますね。

⑤2023年7月
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天平丸 Gymnocalycium spegazzinii
南米病が怖くて手を出して来ませんでしたが、非常に安かったため試しに購入しました。とりあえず、今のところは問題はないようです。


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今年の秋は多肉植物の即売会が沢山あります。すべては行けませんが、なるべく行けるものは行く予定です。来週の21日と22日に、神奈川のタナベフラワーで「Succulent Station 宮崎台」が開催されます。いくつかの多肉植物・サボテンの専門店が集まるようです。
タナベフラワーは、東急田園都市線の宮崎台駅南口から、徒歩10分くらいです。今年の5月にも開催されましたが、その時の記事で会場までの道順を示したので、以下の記事をご参照下さい。


開催時間は9時から16時。21日と22日で一部店舗が入れ替わります。

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さて、「Succulent Station 宮崎台」は私は過去2回行っていますから、今回は3回目です。今回は何があるか楽しみですが、過去の購入品の育ち具合を見てみましょう。上が購入時で下が現在です。

①2022年10月
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紫翠(殿) Haworthiopsis resendeana
大分、生長して立派になりました。九輪塔系の短葉で結節が白くならないタイプです。


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星の林 Haworthiopsis reinwardtii var. archibaldiae
みっしりと詰まった美しい形に育っています。鷹の爪系。


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春鶯囀 Gasteria batesiana
分かりにくいのですか、大分大きくなっています。葉の模様が綺麗に出ています。


2023年5月
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翠眉閣 Euphorbia quadrangularis
倍以上のサイズに急成長しました。E. confinarisの名前で入手しました。E. confinaris ssp. rhodesiacaを入手済でしたから、比較のために購入しましたが誤りだったようです。しかし、グランカクタスの佐藤勉さんの図鑑では、ssp. rhodesiacaの写真はE. quadrangularisらしきものなんですよね。誤った輸入種子が蔓延しているのでしょうか?

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Haworthia attenuata f. tanba
子が吹いてきました。アテヌアタの矮性品種。今はHaworthiopsisです。

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Haworthiopsis limifolia
リミフォリアも盛んに子を吹いています。

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Euphorbia iharanae
非常に育ちが良いですね。E. neohumbertii系ですが、E. neohumbertiiより丈夫で強光や乾性に強いみたいです。


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最近は基本的にサボテンと多肉植物の論文をご紹介してきましたが、花と受粉に関する話題に興味があり積極的に取り上げてきました。しかし、最近は種子の行方にも興味が出て来ました。論文を漁っていたところ、「Serotiny」なる用語に出会いました。「Serotiny」とは、成熟した種子がすぐに散布されず、親個体に長く残る現象を指します。有名な植物はオーストラリアのバンクシアで、種子は火事により加熱されないと出て来ません。調べると、一部のサボテンも「Serotiny」であると言うのです。一体どういうことなのでしょうか?
本日はそんな「Serotiny」であるサボテンについて調査した、Edward M. Petersの2009年の論文、『The adaptive value of cued seed dispersal in desert plants: Seed retention and release in Mammillaria pectinifera (Cactaceae), a small globose ca cactus』をご紹介しましょう。

Mammillaria pectiniferaは直径3〜4cmの球形のサボテンで、メキシコのPuebla州Tehuacan Valleyの固有種です。土壌は保水力が高くアルカリ性です。M. pectiniferaは環境破壊や違法取引などにより絶滅が危惧されており、ワシントン条約(CITES)では附属書Iに含まれ国際取引が制限されています。メキシコ政府の絶滅危惧種リストにも記載されています。

M. pectiniferaの櫛状のアレオーレには白い棘があり、日照を和らげています。果実は白っぽい液果で、すぐに果実ごと種子が放出されることもあれば、サボテンのイボの中に埋め込まれたまま7〜8年かけて徐々に種子を放出する場合もあります。
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Mammillaria pectinifera(右)
『The Cactaceae』(1922年)より。Solisia pectiniferaとして記載。


著者らは、M. pectiniferaを2年間観察しました。1年目はエルニーニョ現象の影響により非常に乾燥し、2年目はラニーニャ現象により比較的雨が多い時期でした。乾燥した1年目は果実が放出されることはなく、埋め込まれた果実から種子がこぼれました。雨が多かった2年目は、新しい果実の21.5%は放出されました。2年目は実生が増え、苗の定着率も1年目の5倍に達しました。
また、温室内で水やりの量をコントロールすると、与えた水が多いほど果実の放出が多くなりました。年間降水量1000mm以上を想定したシミュレーションでは、ほぼすべての果実が放出されました。
M. pectiniferaの保持される種子の存在は、これが貯蔵種子(seed bank)として機能していることを示唆します。苗の死亡率が高い植物では、乾燥などの悪質な環境を避ける戦略かも知れません。それは、乾燥した年と雨が多い年の比較や、降水量をシミュレーションした実験からも伺えます。

以上が論文の簡単な要約です。
乾燥していたら種子をなるべく放出せず、雨が多ければ種子を放出するという賢い戦略です。雨が多い年には実生の生存率は上がります。乾燥した年に種子を放出するリスクを減らす意味もあります。M. pectiniferaは降水量をスイッチとしたSerotinyと言えるでしょう。
さて、論文ではサボテンのSerotinyは小型の球形サボテンで、現在25種類が確認されているそうです。Serotinyとされたのは、Mammillaria、Coryphantha、Dolichothele、Neobesseya、Echinocactus、Aztekium、Lophophora、Obregonia、Ariocarpus、Pelecyphoraに含まれていました。Serotinyはサボテンの中に、割と広く存在するようです。Mammillaria、Coryphantha、Obregonia、Pelecyphoraは遺伝的にも非常に近縁なため何となく分かりますが、それほど近縁ではなさそうなものもあります。乾燥に対する戦略として有効なため、分類群のあちこちで進化したのでしょうか? サボテン科全体の遺伝子解析は調べていないため断言出来ません。また、調べないといけないことが増えてしまいました。


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近年、プラスチックごみの残留が環境問題となっています。特にマイクロプラスチックと呼ばれる微細なプラスチックが動物に大量に摂取されており、その影響が心配されています。環境問題に関心がなくても、マイクロプラスチックを食べた動物を食べているであろう我々人類への影響がまだ分からないことから、この問題には無関心ではいられないはずです。
さて、論文を検索していたら、たまたまマクロプラスチックなる言葉に出会いました。マイクロプラスチックの「マイクロ」はその微小なサイズを表しているわけですが、マクロプラスチックの「マクロ」とはなんでしょうか? 一般的にはマクロは「巨大な」と言った意味合いですが、「巨大なプラスチック」とはなんでしょうか? というわけで、本日はLuca Gallitelli & Massimiliano Scaliciの2023年の論文、『Can macroplastics affect riparian vegetation blooming and pollination? First observations from a temperate South-European river』をご紹介しましょう。

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セイヨウニワトコ Sambucus nigra
ニワトコ属。薬草として知られているようです。
『Illustriertes Handbuch der Laubholzkunde』(1907年)より。


著者らはイタリア中部を流れるAniene川の河畔で、マクロプラスチックの植物の受粉に対する影響を観察しました。論文では、マクロプラスチックとは、0.5cm以上のサイズのプラスチックを指しています。
河川は都市部から来るプラスチックを海へ運びます。しかし、河畔の植生がプラスチックの一部を捕まえて閉じ込めてしまうと考えられています。このようなプラスチックの影響は今まで調べてられて来ませんでした。

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トネリコバノカエデ Acer negundo
Acerとはカエデ属のことです。沢山の品種(form)があると考えられて来ました。生長が早く丈夫なので世界中で街路樹として利用されますが、見栄えはイマイチ。
『Gartenflora』(1893年)より。


著者らは、冬の終わりの河畔植生の開花期間中に調査を実施しました。また、この時期は大雨と冬の洪水が起きるため、河畔植生にプラスチックごみがより集積します。調査地の代表的な河畔植生として、Sambucus nigra、Acer negundo、Robinia pseudoacaciaを選択しました。調査地では河畔植生の枝に434個ものプラスチックごみが付着し、芽や花の生長を許さない状態でした。観察では、ミツバチやマルハナバチなど58匹の花粉媒介者が、13本のS. nigra、24本のA. negundo、21本のR. pseudoacaciaの花を訪れました。全体としては、52個(18.6%)の花がマクロプラスチックごみにより覆われていたため、花粉媒介者が利用出来ませんでした。プラスチックごみに覆われていた割合は、S. nigraで28%、A. negundoで19%、R. pseudoacaciaで13%でした。

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ニセアカシア Robinia pseudoacacia
ハリエンジュ属。日本でもハリエンジュの名前で街路樹として利用されています。ちなみにマメ科なので豆がなります。
『Illustriertes Handbuch der Laubholzkunde』(1907年)より。


以上が論文の簡単な要約となります。
さて、これらのことから何が言えるでしょうか? 著者らは、まず河畔の生態系に対する影響を挙げます。河畔植生は、水質に対する改善効果などがあるとされます。プラスチックが芽を覆い、植物の生長に悪影響を及ぼします。また、花が減ることにより植生だけではなく、花を訪れる花粉媒介者にも影響が出る可能性もあるのです。
また、マイクロプラスチックが花とハチミツが検出されたという報告があります。マイクロプラスチックはマクロプラスチックごみが発生源の1つでしょう。しかし、これはミツバチにも、それを食べる人間にも何かしらの影響があるかも知れません。
しかし、驚いたのは論文に掲載された河畔の写真です。河畔の樹木の枝に大量のゴミがぶら下がる光景は、まるでゴミで作った汚いクリスマスツリーのようです。ここまで大量にゴミが河川に流されているとは思いませんでした。まあ、日本の都市部の河川はヘドロが溜まった小汚いドブと化していますから、偉そうなことは言えませんけどね。



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Elaiosomeとは種子についた栄養分のことですが、その栄養分を目的にアリが種子を巣穴に運ぶことが知られています。このようなアリにより拡散される種子を、Myrmecochory種子と呼びます。このような、MyrmecochoryやElaiosomeについて興味があったのですが、中々良い論文が見つかりませんでした。しかし、CaatingaのMyrmecochoryについて書かれた論文を見つけました。それは、Inara R. Lealらの2007年の論文、『Seed Dispersal by Ants in the Semi-arid Caatinga of North-east Brazil』です。
生物の多様性が高い地域をホットスポットと呼びますが、サボテンにもホットスポットが存在します。ブラジルの半乾燥地域にあるCaatingaの森も、サボテンのホットスポットの1つです。この論文ではサボテンだけではなく、様々なMyrmecochory植物について調査されています。

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Jatropha mutabilis
「Das Pflanzreich」(1910年)より。J. obtusifoliaとして記載。


著者らはCaatingaのXingo'地域でアリにより散布される種子を3年間にわたり調査しました。アリによる種子の散布は、Xingo'地域の樹木の1/4を占めていましたが、Elaiosomeがついた「真のMyrmecochory」は樹木の12.8%でした。
Myrmecochoryは、Elaiosomeを持つ種子を含み、仮種皮(Aril)や偽仮種皮(Arillode)、種枕(Caruncle)を持つ種子からなります。Elaiosomeのついた種子はアリにより巣穴に運ばれ、Elaiosomeは取り除かれ種子はゴミ捨て場や巣穴の入口に捨てられます。Myrmecochoryは、火災が多かったり、土壌の栄養が貧弱な地域に良く見られるとされます。アリの巣穴は栄養分が蓄積し、火災から守られるためです。

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Opuntia palmadora(右上)
「The Cactaceae」(1919年)より。


アリにより運搬された種子は、2つのタイプがありました。1 つは核果(Drupe)や液果(Berry)などの肉質の果実を持つタイプで、非Myrmecochoryです。つまりは、アリによる種子の運搬に特化していないものです。このタイプの植物は14種類が確認されました。2つめは仮種皮や種枕、肉質種皮(Sarcotesta)を含む、13種類のMyrmecochory種子でした。真のMyrmecochoryはトウダイグサ科植物の種枕を持つ11種でした。トウダイグサ科のJatropha mollissimaやCnidoscolus quercifoliusの種子は、ほとんどのアリ(10種類)を引き付けました。種子を運搬する主要なアリは7種類が確認されましたが、その平均分散距離は409.2〜538cmであり、自然に種子が落下したよりも広く拡散されます。
Myrmecochory種子はアリの運搬に特化していますが、非Myrmecochory種子でもアリにより運搬されます。非Myrmecochory種子は、本来運搬する動物が運搬して落とした種子も、二次的にアリが運搬しています。よって、Caatingaの森ではアリが種子散布者として重要な役割を果たしていることを示唆しています。

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Manihot carthagensis subsp. glayiovii
「Rubber and rubber planting」(1879-1915年)より。M. glazioviiとして記載。


以上が論文の簡単な要約です。
種子をアリに運搬された植物は27種類ありましたが、うち11種類がトウダイグサ科と圧倒的です。やはり、真のMyrmecochory種子はアリに特化しているということなのでしょう。今回観察されたトウダイグサ科植物は、Cnldoscolus属、Croton属、Jatropha属、Manihot属でした。次に多いのが、サボテン科で液果をつけます。観察されたサボテン科はCereus jamacaru、Melocactus bahiensis、Opuntia palmadora、Pilosoceus gounelleiの4種類でした。
果実には種類があり、何かしらの方法で動物を引き寄せ、種子の拡散を手伝わせます。例えば、液果は動物に食べられて消化管で果肉が除去され、糞の中に種子だけが残ります。果肉にはアブシシン酸など発芽を抑制する植物ホルモンが含まれるため、果実を動物に食べられることが重要です。親木の近くに果実が落ちただけでは発芽せず、動物により食べられて運搬された時に初めて発芽可能となるという上手い仕組みです。どうやら、Elaiosomeを持つ種子も、Elaiosomeの除去が発芽率を上昇させるようで、やはりアリにより運搬されElaiosomeを取り除かれる必要があります。論文中ではメロカクタスの果実もアリにより運搬されたようですが、メロカクタスの本来の種子散布者はトカゲです。トカゲに食べられなかった果実は地面に落ちて、アリにより運搬されるのです。
植物を栽培したり鑑賞する最大の目的は、おそらく花でしょう。植物にとっても花は繁殖のための要ですから重要です。ですから、花の受粉は生態学的にも重要で、沢山の論文が出ており私も度々記事にしています。しかし、受粉後の種子の拡散も、植物にとっては重要なイベントであるはずです。以上のように、種子の拡散は植物により種類があり、その拡散方法も様々です。私も興味がありますから、少しずつ調べてみるつもりです。

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Cereus jamacaru
「The Cactaceae」(1920年)より。


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最近、とても気になっていることがあります。以前購入したOperculicarya borealisの実生苗ですが、それが本当にO. borealisであるか良くわからなかったのです。ネットで検索すると何やらそれらしい情報は出てきますが、個人ブログの情報がどこまで正しいか良く分かりません。しかも、オペルクリカリア全種類の見分け方はまったく分からないため、ある種と特徴の一部が一致していても、同じ特徴を他の種も持っている可能性があります。具体的に言うと、O. borealisの葉には毛が生えていると言われますが、私の株にはありません。では、何かと言われると良くわからないのです。

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Operculicarya borealis?

ということで、オペルクリカリアの特徴を記述した論文を見つけましたから、ご紹介しましょう。それは、Armand Randrianasolo & Porter P. Lowry IIの2006年の論文、『Operculicarya (Anacardiaceae) revisited: an updated taxonomic treatment for Madagascar and Comoro Island, with description of two new species』です。この論文では、2種類の新種を説明するために、既存の種の見分け方が記述されています。


①葉軸の翼
 1. 葉軸に翼がある→②へ
 2. 葉軸に翼がない→⑦へ
②小葉の最大の長さ
 1. 小葉の長さは最大20mm以上
         →O. capuronii
 2. 小葉の長さは最大10(-15)mm
  →③へ
③葉に生えた毛
 1. 葉軸上に密な毛がある→④へ
 2. 葉はほぼ無毛。若い葉ではまばらに
  細かい毛がある。→⑥へ
④小葉の葉脈
 1. 葉脈がわずかに残る
  →O. hirsutissima
 2. 葉脈は顕著で裏面で隆起→⑤へ
⑤葉の形
 1. 小葉の先端は平らで、小葉は縁が
  丸まる、葉脈の間に深い空洞
  →O. hyphaenoides
 2. 小葉は楕円から倒卵形、小葉の縁は
  丸まらない、葉脈の間に深い空洞はない
  →O. borealis
⑥枝の形
 1. ジグザグの枝→O. pachypus
 2. 枝はまっすぐ→O. decaryi
⑦葉柄の長さ
 1. 葉柄は0.5mm以下→O. multijuga
 2. 葉柄は1〜4mm→O. gummifera
 
では、実際に謎のオペルクリカリアの特徴を見てみましょう。
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葉軸に羽がありますから②です。小葉は5〜6mmで、最大でも10mmですから③になります。さらに、葉に毛はほとんどないように見えますから⑥です。

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葉の裏面にも毛がありません。葉脈も目立ちません。葉脈が目立つO. hyphaenoidesやO. borealisではないようです。

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茎はジグザグにつきます。以上の特徴からは、O. pachypusということになります。どうやら、O. borealisではないようですね。GBIFの画像データでは、O. pachypusの葉脈は目立ず、O. decaryiの葉脈は主脈が目立ち、O. borealisの葉脈は側脈まではっきりとしていました。
また、O. hirsutissimaは良い画像データがないため、乾燥標本だけでは細かい特徴は良く分かりません。O. hyphaenoidesは葉が巻いて非常に特徴的です。葉軸に翼がないO. multijugaとO. gummiferaは、小葉の先端が尖ります。


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Operculicarya gummifera
『Flora de Madagascar et des Comores』(1946年)より。Poupartia gummiferaとして記載。


ちなみに、2015年には同じArmand Randrianasolo & Porter P. Lowry IIによる『A new species of Operculicarya H. Perrier (Anacardiaceae) from western dry forests of Madagascar』では、9種類目となるオペルクリカリアの新種、Operculicarya calcicolaが説明されました。O. calcicolaは葉軸に羽はなく、小葉は11〜13cmで葉柄は2〜5mmです。O. gummiferaと似ていますが、小葉は3〜6.3cmです。O. calcicolaは小葉や果実、花序軸など、全体的に大型です。

Operculicarya pachypusは爪楊枝くらいの細さの苗でも非常に高額で、今まで買う気になりませんでした。しかし、安いからと何となく購入したO. borealisが、どうやらO. pachypusだったようです。まあ、多肉植物をやるならばオペルクリカリアの1つくらいは育てたいと思っていただけで、O. borealisが欲しかったというわけでもないため、逆に良かったような気もします。
ところで、このオペルクリカリアは異なった名前で販売されていたわけですが、これは名札を間違えたからではなく、おそらくは輸入種子の名札がO. borealisだったのでしょう。このように、異なる名前で多肉植物が販売されるのは珍しいことではなく、私も度々こういう多肉植物に遭遇しています。ネット販売されている多肉植物でも、名前が間違っている場合はそのほとんどが同じ間違いをしていたりしますから、供給元が同じなのかも知れません。
さて、おそらくはO. pachypusであろうという結論に至りましたが、懸念というか心残りはO. hirsutissimaです。葉軸に密な毛がないため、私のオペルクリカリアとは異なる気がしますが、確かな画像データがないのは残念です。とはいえ、基本的に流通していないO. hirsutissimaである可能性はなさそうですけどね。


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先日、千葉で開催された木更津C&Sフェアで購入した多肉植物たちを植え替えました。使用している用土が異なりますから、乾燥の具合を上手くコントロールできないため、真冬でもない限りは植え替えたくなります。特に化粧砂がある場合は、下の用土が不明なのが怖いところです。ピートなどの腐植質が多かったり、非常に粒の細かい用土だと、私の水やり感覚だと根腐れしてしまいがちです。

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Euphorbia dichroa
化粧砂がありますが、下の用土は割と水はけは良さそうでした。

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どうやら挿し木苗のようで、新しい細い根しかありませんが、勢いは良いみたいです。
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植え替え後。すぐに窮屈になりそうですから、プレステラ90で鉢増ししました。


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Euphorbia marsabitensis
こちらは明らかに鉢が小さいので、植え替えは必須です。

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根の状態は普通。
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植え替え後。バランスが良くなりました。


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Euphorbia razafindratsirae
排水は良さそうな用土でしたから、植え替えは必要なさそうです。しかし、根の状態は気になるところです。

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非常に根は発達していました。
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植え替え後。元の鉢でも良かったのですが、根域は広い方が良いのでプレステラ90に変えました。


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Euphorbia paulianii
バランスが悪く(風が強い我が家では)、倒れてしまいそうです。

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根はパンパンで限界でしたね。
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植え替え後。思い切ってプレステラ120に植えました。バランス的にこれくらいは必要な気がします。


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Aloe fragilis
こちらも化粧砂が気になりますが、用土は水はけは良さそうでした。
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根の発達も良く、動いています。
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植え替え後。


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Gasteria nitida
ガステリアは根が太く強いので、かなり窮屈になっていると予想。

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予想通り、根が鉢いっぱいに広がっていました。
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植え替え後。プレステラ105に植えました。ガステリアの花が好きなので、早く見たいですね。冬に咲くでしょうか?


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近年、海外のソテツが販売されているのを、たまに目にします。よく見るのは、メキシコ周辺に分布するZamiaやDioonです。しかし、多肉植物の即売会ではEncephalartosも販売されていたりすることもあります。Encephalartosは希少かつ高額で、販売に制限があり、取引には国の許可が必要なソテツです。それほど一般的なソテツではないでしょう。国内で販売されるEncephalartosはE. horridusですが、Encephalartosは実は沢山の種類があります。本日はそんなEncephalartosの進化と分布について見てみましょう。参考とするのは、Ledile T. Mankgaらの2020年の論文、『On the origin and diversification history of the African genus Encephalartos』です。

Encephalartosは約65種類からなるアフリカの固有種です。しかし、Encephalartosのうち45種類はアフリカ南部に分布し、中央アフリカで5種類、西アフリカは1種類、北アフリカには分布しないなど、その分布には偏りがあります。この謎を解決するために、遺伝子解析と地理的な拡散の経路の分析を行いました。

以下の系統図は、遺伝子解析の結果から近縁な9グループの関係性を示します。ある程度、分布地域ごとにまとまりがあることが分かります。ちなみに、論文ではアフリカ西部とはベナン、ガーナ、ナイジェリアのギニア湾沿いの国で、アフリカ中央部とはコンゴ共和国、アフリカ東部とはタンザニア、ケニア、ウガンダ、スーダン、アフリカ南部とはザンビア、南アフリカ、モザンビーク、スワジランド、マラウイを指しています。


                        ┏━━A
                          ┏┫ (アフリカ中央部)
                          ┃┗━━B
                      ┏┫  (アフリカ東部等)
                      ┃┗━━━C
                  ┏┫ (アフリカ東部・南部)
                  ┃┗━━━━D
              ┏┫  (アフリカ東部・南部)
              ┃┗━━━━━E(アフリカ南部)
          ┏┫
          ┃┗━━━━━━F(アフリカ南部)
      ┏┫
      ┃┗━━━━━━━G
  ┏┫      (アフリカ東部・南部)
  ┃┗━━━━━━━━H(アフリカ南部)
  ┫
  ┗━━━━━━━━━I(アフリカ南部)

それぞれのグループに含まれる、解析されたEncephalartosを示します。

グループA(アフリカ中央部原産)
E. marunguensis、E. schmitzii、E. poggei、E. schanijesii、E. laurentianus

グループB(アフリカ東部・西部・中央部原産)
E. equatorianus(アフリカ東部原産)、E. bubalinus(アフリカ東部原産)、E. barteri(アフリカ西部原産)、E. macrostrobilus(アフリカ東部原産)、E. ituriensis(アフリカ中央部原産)、E.whitelockii(アフリカ東部原産)、E. tegulaneus(アフリカ東部原産)、E. septentrionalis(アフリカ東部原産)

グループC(アフリカ東部・南部原産)
E. hildebrandtii(アフリカ東部原産)、E. sclavoi(アフリカ東部原産)、E. kisambo(アフリカ東部原産)、E. turneri(アフリカ南部原産)、E. gratus(アフリカ南部原産)
 
グループD(アフリカ東部・南部原産)
E. ferox(アフリカ南部原産)、E. mackenziei(アフリカ東部原産)

グループE(アフリカ南部原産)
E. manikensis、E. concinnus、E. chimanimaniensis、E. pterogonus、E. munchii、E. dolomiticus、E. nubimontanus、E. eugene-maraisii、E. dyerianus、E. cupidus、E. middleburgensis、E. cerinus

グループF(アフリカ南部原産)
E. inopinus、E. umbeluziensis、E. villosus、E. aplanatus、E. caffer、E.ngoyanus
231009203902593~2
Encephalartos caffer
「Tijdschrift voor natuurlijke geschiedenis en physiologie」(1838年)より。Encephalartos brachyphyllusとして記載。


グループG(アフリカ南部・東部原産)
E. hirsutus(アフリカ南部原産)、E. delucanus(アフリカ東部原産原産)

グループH(アフリカ南部原産)
E. paucidentatus、E. heenanii、E. lebomboensis、E. aemulans、E. senticosus、E. relictus、E. transvenosus、E. natalensis、E. msinganus、E. woodii、E. altensteinii、E. lehmannii、E. latifrons、E. arenarius、E. horridus、E. trispinosus、E. princeps、E. longifolius
231009203849709~2
Encephalartos horridus(左下)
「Tijdschrift voor natuurlijke geschiedenis en physiologie」(1838年)より。Encephalartos nanusとして記載。


 グループI(アフリカ南部原産)
E. ghellinckii、E. humillis、E. leavifolius、E. brevifoliolatus(絶滅種)、E. lanatus、E. friederici-guilielm、E. cycadifolius


以上が論文の簡単な要約となります。
実際に論文では、分岐年代などを考察していますが、ここでは割愛させていただきます。
さて、系統図を見ると、アフリカ南部がEncephalartosの起源地に見えます。アフリカ南部からアフリカ東部、アフリカ東部からアフリカ中央部とアフリカ西部という道筋をたどりながら進化したのかも知れません。
過去の遺伝子解析の結果からは、不思議なことにEncephalartosは同じアフリカ大陸原産のStangeriaに近縁ではありません。むしろ、Encephalartosはオーストラリア原産のLepidozamia、Macrozamia、Boweniaに近縁です。おそらく、アフリカ大陸とオーストラリアが繋がっていた時に、共通祖先が伝播したのでしょう。ペルム紀から三畳紀にかけて存在したパンゲア大陸では、南極大陸をはさんでアフリカ大陸とオーストラリアがありました。南極大陸からも植物の化石が見つかっていますが、Encephalartosとオーストラリアのソテツの共通祖先の化石が見つかっているのか気になるところです。それはそうと、アフリカ大陸と南極大陸の結合部は、現在のアフリカ南部であることも何やら意味深です。
ソテツの進化と伝播はどのような筋道を辿ったのでしょうか? これからも関係ありそうな論文を読んでいくつもりです。良い論文がありましたら、ご紹介出来ればと考えております。


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昨日は木更津にあるかずさアカデミアホールで開催された、「木更津Cactus&  Succulentフェア」に行ってまいりました。私はこのイベントに行くのは4回目になります。毎回、東京駅から高速バスで向かいますが、今回も同様です。昨日はアクアラインが渋滞で20分ほど遅れました。まあ、すぐに売れてしまうようなものは買いませんから、特に問題はありません。
今回は出店も多く、海外のブースもいくつかありました。私は安いユーフォルビアを探しましたが、割とありましたね。ビッグバザールとはラインナップが異なるため、割と楽しめました。ギムノカリキウムが割とありましたが、今回はユーフォルビアが豊富だったので断念しました。エケベリアはあまりありませんでしたが、アガヴェの抜き苗(輸入品?)は沢山ありましたね。
さて、肝心の購入品についてです。


1つ目は、前回はE. ramenaやE. makayensisなどの花キリンを購入したところと多分同じブースです。今回も安いユーフォルビアが沢山あったので、ついつい沢山購入。(安かった)
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Euphorbia dichroa
ウガンダ原産のユーフォルビア。根元から細い枝が叢生するみたいです。


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Euphorbia marsabitensis
ケニアの山地に生えるようです。サイズ感はちがいますが、タンザニア原産のE. lenewtoniiと少し似た雰囲気があります。

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Euphorbia razafindratsirae
以前、挿し木苗を入手して育てていますが、実生苗があったので購入。何故かE. razafindratsiraeの名前で流通していますが、現在ではE. mangokyensisが正式な学名です。マダガスカル原産の塊根性花キリン。


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Euphorbia paulianii
マダガスカル原産の花キリンです。E. perrieri var. elongataと呼ばれることもあります。



2つ目は、前回アロエを購入したBaby leaf plantsさんです。今回もアロエが沢山ありましたね。
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Gasteria nitida
臥牛Gasteria nitida var. armstrongiiは見かけても、Gasteria nitidaは見ないですよね。G. nitidaと変種armstrongiiは分布は重なりますが、遺伝的には近縁ではないようです。

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Aloe flagilis
正確にはAloe fragilisです。マダガスカルの小型アロエ。


こういうイベントでは、多肉植物に力を入れているような大型園芸店でも見かけないような、面白い植物を見ることが出来ます。今回は花キリンに期待していましたが、やはり色々あって嬉しい限りです。珍しいアロエも入手しました。今回は中々満足感が高い即売会でしたね。
これからも、忙しくなければ、なるべく多肉植物のイベントに参加したいと思っています。以上、木更津C&Sフェアでした。


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メロカクタスは育てたことはありませんが、発達した花座が非常に特徴的なため、ひと目見たら忘れられないサボテンです。私もそれなりに興味があり、メロカクタスの論文を記事にしたことがあります。その論文では、地面に落ちたメロカクタスの果実は、アリが巣に運んだりと、アリが種子の拡散に関与しているというものでした。しかし、論文では何やら気になることが書いてあり、とても気になっていました。曰く、「メロカクタスの果実はトカゲが食べるが…」と、話の前置きとしてさらりと書かれていたのです。どうにもトカゲとサボテンの実が頭の中で結びつかず、長らく疑問に思っていました。そこで、本日はその宿題を片付けるために、メロカクタスの実を食べるトカゲについて書かれた論文を見てみましょう。それは、Vanessa Gabrielle Nobrega Gomesらの2021年の論文、『Endangered globose cactus Melocactus lanssensianus P. J. Braun depends on lizards for effective seed dispersal in the Brazilian Caatinga』です。

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Melocactus spp.
花座から飛び出した果実に注目。

『The Cactaceae』(1922年)より。

Melocactus lanssensianusはブラジルのCaatingaの花崗岩の露頭に固有のサボテンです。M. lanssensianumは国際自然保護連合(IUCN)レッドリストで、絶滅危惧種(EN)に分類されています。また、違法取引が大きな脅威であり、ブラジルのレッドリストでも絶滅危惧種に指定されています。そのため、M. lanssensianumの生態を研究することは、その保護活動のために重要です。
M. lanssensianumはすべての月で果実をつくりました。果実生産のピークは、乾季と雨季の双方でありました。


著者らの観察では、M. lanssensianumには2種類のトカゲが訪れ、果実を食べました。訪れたのは雑食のトカゲである、全長20cmになるTropidurus semitaeniatusと、全長35cmになるTropidurus hispidusでした。T. semitaeniatusはサボテンを登るか、果実めがけてジャンプして、果実を食べました。また、T. semitaeniatus同士で果実を求めて争いが観察されました。T. hispidusは二足歩行で直立し、サボテンに登らずに果実を食べました。
著者らはサボテンの周囲5mに落ちたトカゲの糞を集め、中の種子を数えました。T. semitaeniatusの20個の糞から122個の種子を、T. hispidusの9個の糞から10個の種子が見つかりました。種子の散布は、75%以上がT. semitaeniatus、24%がT. hispidusにより行われてました。
T. semitaeniatusの糞から採取された種子は約85%の発芽率を示しました。これは、実験的に果肉を除去しなかった種子の発芽率41%よりも高い確率でした。


Melocactusは一般に管状の花を咲かせ、ハチドリにより受粉します。しかし、M. lanssensianumは観察期間中で一度も開花せずに結実しました。これは、閉花受粉(Cleistogamy)であり、未開花のまま自家受粉します。この繁殖戦略は、環境ストレスが高い場合や花粉媒介者が少ない生息地に対する適応である可能性があります。

以上が論文の簡単な要約です。
トカゲがメロカクタスの種子散布者であるというのは、中々面白い事実です。閉花受粉が環境や花粉媒介者に関係するかも知れないことも分かりました。一年中果実が生産されるのは、閉花受粉するからであることが分かります。気になっていたことを調べただけですが、大変勉強になる論文でした。


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いよいよ明日は木更津Cactus & Succulentフェアが開催されます。今までは5月と12月の開催でしたが、今回は何故か10月の゙開催です。多肉植物ブームの恩恵でしょうか? 木更津C & Sはビッグバザールとはラインナップが少し異なりますから、なにか面白いものがあるかも知れません。
今日は過去の木更津C & Sの購入品の育ち具合を見てみましょう。ちなみに、上が購入時で下が現在の姿です。

①2021年12月
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Euphorbia tortirama
枝がねじれるタイプのユーフォルビア。1年目はほとんど動きませんでしたが、今年になってようやく枝が伸び始めました。


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Euphorbia clavigera
帰宅時の振動で抜けてしまいました。冬に植え替えをする羽目になったせいか、去年は調子が悪そうで心配しました。今年になりようやく復活の兆しが見えてきました。


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Operculicarya borealis
プレステラに植えてあったわけですが、塊根がむき出しかつ鉢底についてしまっていました。そのため、去年の春にプレステラの深型に植え替えました。しかし、今年の春に植え替えたら、塊根が鉢底に当たってしまい、いかにも窮屈そうでした。仕方がないので、見た目は悪いのですがロングポットに植えました。何故か伸びた枝が垂れていますが、生長自体は良好です。


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Aloe peglerae
ペグレラエはかなり葉が充実して混んできました。原産地では貴重なアロエですが、国内では実生苗が出回っていますから入手は割と簡単です。


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Aloe spectabilis
こちらは、おまけで貰ったスペクタビリスです。見違えるように育ちましたね。しかし、これは巨大アロエですから、いずれ手に負えなくなるかも知れません。


②2022年12月
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グロエネフィカ
E. groenewardii × E. veneficaという面白い交配種です。生長中は葉がついたままなのは、E. veneficaに似ています。育ちはいいですね。


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Dioon edule
エドゥレは非常に生長が遅いことが知られている、非常に長寿な新大陸産ソテツです。今年植え替えましたが、新しい葉が2枚出ました。


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Euphorbia balsamifera
バルサミフェラは、ちょうど良い環境がまだ見つかっていません。今は水多めで、かなり遮光して育てています。



③2023年5月
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Euphorbia granticola
グランティコラは新しい強いトゲが生えてきました。まだ、入手から数ヶ月ですから、これからが楽しみです。


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Euphorbia venefica
E. venenificaと呼ばれがちなベネフィカですが、有名な割にはあまり見かけませんね。猛毒3兄弟はみな似ていますが、どうもE. poissoniiとE. unispinaは同種の可能性があるようです。しかし、ベネフィカは葉の特徴がまったく異なりますね。

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Euphorbia ramena
小さな葉がついていましたが、今は強い大きな葉が沢山出ました。トゲではなく、赤褐色の毛が出る不思議なユーフォルビアです。


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Fouquieria splendens
枝が勢い良く伸びました。Fouquieriaの中ではF. columnarisと並んで葉が繊細で傷みやすいようです。

さて、私は木更津C & Sにはまだ3回しか行っていませんが、まだ始まって日が浅いイベントです。出店も徐々に増えているようで、自分の中ではビッグバザールに次ぐ多肉植物即売会となっています。明日は一般参加でゆっくり行くつもりです。
明日のイベントの様子は明後日に記事にする予定です。お楽しみに。


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Sedumは丈夫で育てやすく、寄植えやグランドカバーなど用途の幅も広く、その種類も非常に沢山あります。しかも、近年に至っても沢山の新種が発見されています。新たな調査により発見される場合もありますが、近年の特徴は遺伝子解析による新種の発見でしょう。産地ごとの微妙な違い程度と考えられて変種や亜種とされてきたものが、遺伝子解析により分離されるという報告がなされるようになりました。このように、新種の発見は大変興味深いものです。しかし、我々趣味家には中々情報が入って来ないものです。本日はそんなセダムのここ10年と少しの新種について、ごく簡単にご紹介しましょう。ただ、私もそのすべてを歩漁出来ませんから、おそらくご紹介出来たのはその一部に過ぎないかも知れません。

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Sedum spp.
『Illustrations of the British flora』(1908年)より。


2010年
・米国のアイダホ州から新種であるSedum valensが記載されました。


2012年
・メキシコから新種であるSedum kristeniiが記載されました。
・メキシコとグアテマラから新種であるSedum mesoamericanumが記載されました。
・中国から新種であるSedum plumbizinicicolaが記載されました。
・メキシコから新種であるSedum perezdelarosaeが記載されました。
・メキシコから新種であるSedum jarochoが記載されました。
・メキシコから新種であるSedum brachetiiが記載されました。


2013年
・台湾の石灰岩地から新種であるSedum tarokoenseが記載されました。
・中国から新種であるSedum kuntsunianumが記載されました。


2014年
・米国のカリフォルニア州から新種であるSedum citrinumが記載されました。
・中国から新種であるSedum spiralifoliumが記載されました。


2015年
・メキシコから新種であるSedum moniliformeが記載されました。Sedum longipesに良く似ているということです。
・メキシコから新種であるSedum piaxtlaenseが記載されました。
・メキシコから新種であるSedum pyriseminumが記載されました。


2016年
・東アフリカのケニア山高地から、新種であるSedum kenienseが記載されました。


2017年
・日本の男女群島より新種であるSedum danjoenseが記載されました。Sedum formosanumとされてきましたが、遺伝子解析により別種として分離されました。
・メキシコから新種であるSedum sinforosanumが記載されました。
・中国からSedum peltatumが説明されました。しかし、キュー王立植物園のデータベースには記載がありません。


2019年
・中国の石灰岩地から新種であるSedum lipingenseが記載されました。
・中国から新種であるSedum ichangensisが記載されました。
・台湾から新種であるSedum kwanwuenseSedum taiwanalpinumが記載されました。


2020年
・中国から新種であるSedum nanlingensisが記載されました。Sedum onychopetalumやSedum kiangnanenseに近縁とされます。
・ペルー北部から新種であるSedum hutchisoniiが記載されました。
・日本の小笠原諸島から新種のSedum mukojimenseが記載されました。Sedum boninenseから分離されました。


2022年
・メキシコから新種であるSedum dormiensが記載されました。
・日本の九州地方から沖縄に分布するSedum japonicum subsp. uniflorumあるいはSedum uniflorumとされるセダムは、Sedum ryukyuenseとされました。これは、1838年に記載されたSedum uniflorum Hook. & Arn.は、過去に同名のセダムが命名されていたため非合法名として命名され直されました。ちなみに、同名のセダムとは、1810年に命名されたSedum uniflorum Raf.(=Phedimus stellatus)です。 


2023年
2023年に出た論文で説明された新種は、まだデータベースに記載がありません。
・中国から新種とされるSedum jinglaniiが説明されました。
・中国から新種とされるSedum yangjifengensisが説明されました。
・中国から新種とされるSedum danxiacolaが説明されました。
・日本の九州地方の石灰岩地より、新種とされるSedum kawarenseが説明されました。Sedum lipingenseに近縁とされます。


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Sedum bourgaei
『Addisonia』(1917年)より。


セダムは種類が多く皆よく似ていますから、種類の判別は中々困難です。意外にも日本でもまだ新種のセダムが見つかっていますが、その経緯は種の整理や分離独立といった形です。これは、日本のセダムが広く分布する種類と似ていたら、基本的に広域種の地方変異程度に考えてしまうため、このような事態となっているのでしょう。今は遺伝子解析という武器があるため、隠蔽されていた新種が見つけ出されたのです。これからも、このようなケースは増えてくることは確実ですから、場合によっては新種が次々と見つかる可能性もあります。セダムはある意味、今熱い分野なのかも知れませんね。


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10月に入り、日中はともかく朝晩は急に涼しくなりました。昼夜の寒暖差は多肉植物にとっては良い環境です。どんどん生長して欲しいものです。本日はそんな10月はじめの多肉植物たちをご紹介しましょう。

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Haworthia obtusa
まずはハウォルチアから。オブツーサは暑さにも負けず、パンパンに膨らんでいます。
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オブツーサは半野良で、冬も屋外に出しっぱなしですが、いつの間にやら増えてしまいます。

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Tulista pumila
結節が密につくプミラです。非常に好調です。以下、しばらくはツリスタが続きます。


230930170228229
Tulista kingiana 
キンギアナは赤味が強くなりやや怪しげな雰囲気ですが、日焼けの兆候はありません。根の張りも非常に良く、ガッチリしています。暑さがストレスだっただけかも知れません。


230930170232140
Tulista marginata
マルギナタの結節がないタイプです。まだ、回転し始めたばかりですから、あまりツリスタっぽい葉ではありません。しかし、順調に育っていいます。


230930170238860
Tulista pumila var. ohkuwae GM 602
フィールドナンバーつきのプミラ、しかも最優美と言われる変種ohkuwaeです。結節が非常に目立ちますね。生長は緩やかです。


230930170259893
Tulista minor
ミノルも生長は緩やかです。


230930170244204
Tulista minor "swellense"
優れた固有産地のスウェレンセですが、これは大変まずい色合いです。触るとフニャフニャでした。

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これは駄目な感じです。中心までやられてしまいました。去年に一回焦がしてしまい、それから色味も悪く調子が戻りませんでしたが、復活出来なかったようです。残念。

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Euphorbia boiteaui
こちらは、珍しい実生のボイテアウイです。一般的にはE. decaryiの名前で知られています。挿し木だとグングン枝が暴れるように育ちますが、実生だと生長は緩やかで、自然に締まった形となるようです。


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Euphorbia cap-saintemariensis
聖マリー岬固有の小型花キリンです。論文の情報では生息地の降水量はかなり少ないということでしたから、水はかなり絞りました。しっかりと日を当てたこともあり、新しい葉はかなり厚みがある多肉質になりました。


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Euphorbia ambovombensis
アンボボンベンシスは何故か花が咲きません。塊根の根元から新しい枝が出ました。生長自体は良好なので、良く分かりませんね。


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Euphorbia ellenbechii
春に植え替えたら、根元の枝がポロッと取れてしまいました。仕方がないので挿しておいたのですが、どうやらしっかりと根を張ったようです。


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Pachypodium rutenbergianum
挿し木苗。せっかく出た根がホームセンターでカリカリに乾いてしまっていましたが、捨て値だったので買いました。すぐに根を張り、葉を沢山出しました。

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よく見ると、幹が太って割れてきています。ルテンベルギアヌヌムは棒状に細長く伸びるようですが、ある程度太るなら、枝を切り戻しながら枝を増やす盆栽作りにしてみるのはどうでしょうか。マダガスカルのパキポディウムは枝が太いため、基本的に切り戻すのはためらいますが、ルテンベリゲアヌムは枝も細いため盆栽作りには適しているかも知れません。ケヤキの盆栽のように仕立てたら面白いような気がします。


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サボテンの外敵とはなんでしょうか? ほとんどのサボテンはトゲに覆われており、簡単には草食動物に食べられることはないでしょう。アフリカでは、トゲだらけのアカシアの枝をキリンが食べたり、やはりトゲだらけのユーフォルビアをサイが食べたりしています。しかし、アメリカ大陸には大型の草食動物は少なく、ある程度のサイズがあるのは、ヘラジカ、バイソン、リャマ、アルパカ、グアナコ、カピバラ、マーラくらいなものでしょうか。
サボテンの分布を考えると、可能性があるのはグアナコくらいかも知れませんが、サボテンをむしゃむしゃ食べられる感じはしません。ラクダはサボテンを食べたりするらしいので、ラクダの仲間であるグアナコは食べるかも知れません。ちなみに、ラクダは中央アジアの砂漠にフタコブラクダが、アフリカから中東にはヒトコブラクダが分布します。いずれにせよ、ラクダが食べるサボテンは野生化したもので、おそらくはウチワサボテンでしょう。流石にラクダでもFerocactusを食べることは難しいような気もします。
話が脱線しました。サボテンを食べる動物については後で論文をあたるとして、本日の話題はサボテンを食べる外来種が観察されたという論文についてです。その論文は、Felipe S. Carevic & Ermindo Barrientosの2022年の論文、『Efectos de la introduction de fauna aloctona (Canis familiaris) en ecosistenmas aridos: estudio de caso en cactaceae endemics』です。


チリ北部の固有の植物相では、外来動物の影響はあまり評価されていません。著者らはAtacama州のFreirinaにあるサボテン集団に対する外来動物の被害を評価しました。自生するサボテンのうち調査したのは、Copiapoa coquimbanaとEriosyce napina、Eriosyce subgibbosaの3種類です。この論文で問題とされる外来動物とは、まさかの野良犬です。何が起こっているのでしょうか。

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Copiapoa coquimbana(下)
『The Cactaceae』(1922年)より。

著者らの観察により、驚くべきことに野良犬がサボテンを齧っていることが分かりました。もちろん、頭から齧りついたわけではなく、掘り返して根の方からサボテンの内側を上手く齧っているようです。3種類のサボテンでは、そのほとんどでC. coquimbanaが野良犬による被害を受けました。調査期間に被害を受けたサボテンは、VeranoではC. coquimbanaが12個体、E. napinaが3個体、E. subgibbosaが2個体、InviernoではC. coquimbanaが15個体、E. napinaが3個体、E. subgibbosaが2個体でした。
以前の研究では、Copiapoaは水分と糖分が他のサボテンよりも豊富であるとされており、水分の補給源としてより魅力的なのかも知れません。また、著者らはEriosyceは斜面や岩の隙間に生えるため、野良犬がアクセス出来ない可能性もあるとしています。


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Eriosyce napina(右)
『The Cactaceae』(1922年)より、Malacocarpus napinaとして記載。

以上が論文の簡単な要約です。
犬がサボテンを齧るという思わぬ出来事が発見されたわけですが、それ以上にトゲをこのような形で克服していることにも驚きました。そして、当然ながら野良犬は野生のサボテンにかなりの悪影響を与える新しいファクターとなってしまいました。非常に残念なことです。ただし、サボテンの保護を考えた時に、このような地道な知見が役に立つはずですから、今後に繋げていけたら素晴らしいですね。


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今年の正月明けに開催されたサボテン・多肉植物のビッグバザールで、珍しく多肉植物の種子が色々と販売されていました。面白いので、ついついソテツの種子を購入しましたが、すっかり忘れていて播種したのは3月に入ってからでした。その後、中々芽が出ない中、水やりも忘れがちになっていましたが、なんと5月に入ってようやく根が出て来ました。それから葉が出るまで、さらに時間がかかりましたが、無事に葉が展開して一安心していました。
赤玉単用で播種したので、来年は植え替える必要があるかと考えていましたが、鉢底から根がはみ出してしまいぐらつくため、急遽植え替えることにしました。


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Cycas nongnoochiae
発芽するまではラップを張って乾かさないようにしたため、種子のサイズを考慮して用土は浅く敷いてありましたが、これが後に問題となります。


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太い根がはみ出しており、安定感がありません。

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しかし、鉢底のスリットより根が太いため、鉢を壊しましたが、スリットに根が食い込んでくびれていたため、根が裂けてしまい結局は切断する羽目になりました。

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切断された根のすぐ上に細根がありました。しかし、位置的には、鉢底用の石粒の層に伸びていました。栄養や水分を吸うのは細根ですから、これでは困るわけです。まあ、しばらくは種子からの養分で育つのかも知れませんけど。

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植え替え後。用土を赤玉単用から配合用土に変え、鉢の上まで入れました。以前よりやや浅植えしています。
播種1年目ですから、まだまだこれからです。どう育っていくのか楽しみにしています。しかし、根太いを切断したダメージが影響しなければ良いのですがね。


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ここ数年、日本ではAgaveがブームとなっています。多肉植物の販売イベントでも、今やAgaveはあちこちのブースで取り扱われるマストアイテムと化しているようです。何が流行るか分からないものです。私は多肉植物の販売イベントで、おまけにもらったAgaveを2種類育てているくらいです。調べてみると、Agaveを中心とした小規模なイベントも、あちこちで開催されているようです。どうやら、ブームはしばらく続きそうですね。
しかし、Agaveを含むリュウゼツラン科植物は乾燥に強く、海外では暖地で野生化して増えてしまい、場合によっては手に負えない外来種となっているようです。そう言えば、リュウゼツラン科のアツバキミガヨラン(Yucca gloriosa)は寒さに強く、日本各地の砂浜で増えてしまい困っているというニュースを見たことを思い出しました。調べてみると、小笠原諸島や奄美群島などの暖地では巨大Agaveであるアオノリュウゼツラン(Agave americana)が野生化しているようです。
さて、本日は場合によっては厄介者と化すリュウゼツラン科植物の野生化の例として、Filip Verlooveらの2019年の論文、『A synopsis of feral Agave and Furcraea (Agavaceae, Asparagaceae, s. lat.) in the Canary Island (Spain)』をご紹介しましょう。

この研究は著者らのカナリア諸島のFuerteventura島、Gran Canaria島、Lanzarote島、Tenerife島での長年に渡るフィールドワークに基づいています。カナリア諸島ではリュウゼツラン科のAgaveとFurcraeaが野生化しています。観察された野生化したAgaveとFurcraeaを以下に示します。

Agave属
Agave亜属
①Section Agave 
 Agave americana
 Agave franzosinii

②Section Ditepalae
 Agave murpheyi
③Section Rigidae
 Agave angustifolia
 Agave fourcroydes
 Agave macroacantha
 Agave sisalana
 Agave aff. tequilana
④Section Salmian 

 Agave salmiana var. salmiana
 Agave salmiana var. ferox
⑨Section Vivipara

 Agave vivipara

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アオノリュウゼツラン Agave americana
カナリア諸島ではすべての島から知られています。


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Agave angustifolia
『Botanical Museum leaflet』(1974-1976年)より、Agave pacificaとして記載。
A. angustifoliaは最も普及したアガヴェで、原産地はメキシコ北部からパナマまでです。非常に簡単に野外に逸出することで知られています。例えば、フロリダ州、南アフリカ、インド、西オーストラリア、スペイン、イタリアなどで記録されています。


Littaea亜属
①Section Heteracantha
 Agave lechuguilla
 Agave oteroi
②Section Inermes

 Agave attenuata
④Section Littaea

 Agave filifera

Furcraea属
Furcraea亜属

 Furcraea foetida
 Furcraea hexapetala
 Furcraea selloana


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Furcraea foetida
『Gartenflora』(1852年)より、Furcraea giganteaとして記載。
F. foetidaは暖地で広く栽培され帰化しています。ハワイ、マダガスカル、ニュージーランド、レユニオン島など島嶼部だけではなく南アフリカやブラジルでも報告されています。

以上が論文の簡単の要約です。
論文ではカナリア諸島で見つかったアガヴェとフルクラリアの詳細な解説があり、非常に長いものです。長すぎてすべて記事には出来ませんでした。しかし、随分な種類が逸出してしまっているようです。
カナリア諸島は温暖なためか、アガヴェが簡単に野生化してしまうようです。野外でのアガヴェ栽培が中々困難な日本からしたら羨ましいようにも思えます。ところが、アガヴェは簡単に野生化して環境に悪影響を与えてしまうため、世界中の温暖地で問題となっています。カナリア諸島では簡単にドライガーデンでアガヴェを育てられそうですが、逸出を考えたら気軽にアガヴェを育てるのも考えものかも知れませんね。


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Aloe florenceaeが開花しました。マダガスカル中部原産のアロエで、2004年に新種として記載された割と新しい種類です。 
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本体のサイズからしたら、花茎はとても長いですね。

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Aloe florenceaeの花は、花茎の先端に固まってつきます。しかし、なんとも微妙な色合いの花です。アロエは鳥により受粉する鳥媒花と言われますが、アロエ研究は大型アロエが中心で、アロエの受粉には謎が沢山あります。かつて、小型アロエであるAloe minimaとAloe linearifoliaは、ミツバチにより受粉することを明らかにした論文をご紹介したことがあります。
以下な記事をご参照下さい。

では、このAloe florenceaeの花を訪れる花粉媒介者はなんでしょうか? この場合、花が小さい筒状なので、タイヨウチョウが蜜を吸いに来る可能性はあります。しかし、花の色合いは淡く、赤系が多い鳥媒花らしくはありません。
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花の形を見てみましょう。白に緑色のラインがあるのは、ハウォルチアに似ています。ハウォルチアは虫媒花ですから、Aloe florenceaeも虫媒花かも知れません。まあ、サイズはこちらのほうが大きくはあります。問題は花の長さで、Aloe florenceaeの花は長さが2.5cmもあります。しかも、先端がすぼまるため、ミツバチではやや難しそうです。ここで、他の過去記事を見てみましょう。
この記事でご紹介した論文では、Tritoniopsis revolutaという植物は根元が筒状の花を咲かせます。筒状の部分の長さは産地により14〜84mmと差があり、最大71mmに及ぶ口吻を持つナガテングバエが花粉を運ぶと言われていました。しかし、ナガテングバエは数が少なく毎年の発生数は安定しません。詳しく調べると、短い花はミツバチにより受粉していることが分かりました。ミツバチの口吻は最大8.6mmでした。花に頭を潜り込ませれば、なんとか蜜を吸えそうです。
では、Aloe florenceaeはどうかと言うと、長さが2.5cmもあり、先端がすぼまるため頭を潜り込ませることも難しいように思えます。相当口吻が長くないと蜜を吸うことは出来ないでしょう。しかし、ミツバチは種類により口吻の長さが異なるはずです。知っている中では、口吻の長いシタバチという仲間がいますが、調べてみるとアメリカ大陸原産のようです。マダガスカル島に口吻の長いミツバチがいるかは分かりませんが、中々厳しそうです。
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青白く美しいアロエです。小さいため、まだ咲かないと思っていました。

ここで、試しに匂いを嗅いでみました。すると、なんと甘い香りがします。一般的に花の匂いは鳥を呼びません。匂いがあり色が薄い花は蛾が訪れる花の可能性が高いとされています。確かに蛾であるならば長い口吻で蜜を吸うことが可能です。
長い口吻の蛾と言えば、キサントパンスズメガがまず思い起こされます。進化論で知られるかのチャールズ・ダーウィンは、長い距(蜜が溜まる部分)を持つマダガスカル原産の蘭(Angraecum)の標本を見て、この花の蜜を吸える長い口吻を持つ蛾がいることを予言しました。それから、40年以上経ち、なんとマダガスカルから28cmの口吻を持つキサントパンスズメガが発見されたのです。つまり、長い口吻を持つ蛾は存在し、しかもマダガスカルにいるのです。もちろん、キサントパンスズメガは蘭の長い距に対応していますから、Aloe florenceaeの花粉媒介者ではないでしょう。しかし、長い口吻を持つ蛾、それもおそらくホバリング出来るスズメガの仲間がAloe florenceaeの花粉媒介者である可能性があります。
さて、記事を書いているうちに、Aloe florenceaeの新しい花が日が落ちた頃にまた1つ開花しました。夕方以降に開花するというも、夜に訪れる花粉媒介者をターゲットとしているからでしょう。そして、花の香りも昼よりも強くなっています。これは、夜間のほうが香りが強いのか、新しい花ほど香りが強いのかは分かりません。しかし、いずれにせよ、夜に花粉媒介者を呼び寄せていることは明らかでしょう。いよいよ蛾媒である可能性が高まりましたね。
というわけで、根拠のない怪しげな当て推量をダラダラと書き連ねましたが、確認方法はないわけではありません。野外で花を夜の間撮影して、蛾が来るか確かめれば良いのです。まあ、現在は撮影機材がないので出来ませんし、Aloe florenceaeの花の匂いに日本の蛾が引き寄せられるかも分かりません。しかし、最終的にはマダガスカルの自生地でAloe florenceaeの花に来た花粉媒介者を観察し、実際に受粉して種子が出来るかを確認しないとならないでしょう。これは出来そうにありませんから、研究者の頑張りに期待するしかありませんけどね。


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サボテンは強烈な日照や厳しい乾燥など、様々な環境ストレスに耐え忍んでいます。しかし、その特徴や仕組みについては、意外にもあまり研究されていないようです。そんな中、ギムノカリキウムの環境ストレスへの耐性についての、今年出たばかりの論文を見つけました。それは、Maria E. Soto Acostaらの2023年の論文、『Adaptative Strategie in Gymnocalycium species (Cactaceae) and the Prerence of Ectomycorrhizae Associated with Survival in Arid Environments』です。早速、見ていきましょう。

Gymnocalyciumについて
Gymnocalycium属はパラグアイ、ブラジル、ボリビア、ウルグアイ、アルゼンチンに分布しており、7亜属約60種が知られています。アルゼンチンのCatamarca州には約14種のGymnocalyciumが分布しています。その中でも、Gymnocalycium亜属のG. baldianumとG. marianae、Trchomosemineum亜属のG. stellatum、Microsemineum亜属のG. oenanthemumの4種類は固有種です。研究では自生する標高と降雨量が異なるG. marianaeとG. oenanthemumを用いました。解析のために、自生地のサボテンの根を採取しました、また、2種類のサボテンの種子を採取し、播種して3.5年生植物を研究に用いました。

G. marianae
G. marianaeはAndalgalaの標高1600〜1800mに分布します。Sierra de Ambatoの北斜面に育ち、水と風による侵食を受ける起伏のある丘にあります。年間の平均降水量は約380mmで、5〜9月は乾季となり月間降水量は10mm以下です。年間平均気温は約9.5℃で、4月から10月、あるいは11月に霜が発生します。この地域の植生は乏しいようです。この地域には16世紀半ばまでインカ人が住んでいました。
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Gymnocalycium venturianum
『Cactus handbook, 1876-1951』(1951年)より。
現在、G. marianaeはG. baldianumの異名となっているようです。G. venturianumはG. baldianumの異名の1つ。


G. oenanthemum
G. oenanthemumはAmbato、San Fernando、Capayan、Catamarcaの標高500〜1000mに分布します。研究ではAmbatoのSierra de Ambatoの東斜面から採取されました。年間の平均降水量は約670mmで、4〜9月に乾季があります。
年間平均気温は15℃で4月から10月には霜が発生します。この地域は豊富な植生と野良牛がいます。G. oenanthemumは低木や草により日照から保護されることがあります。

サボテンの外生菌根
サボテンは根の内部に侵入する内生菌根と共生することが、知られています。内生菌根はアーバスキュラー菌という非常に多くの植物と共生可能な共生菌です。しかし、本研究においてサボテンでは初めて外生菌根が発見されました。また、G. marianaeの方が高い菌根菌着生率でした。
アーバスキュラー菌とは異なり、外生菌根をつくる菌類は大型のキノコをつくる担子菌や子嚢菌からなります。菌根菌は一般的に植物の水分と養分の収集、および植物の環境ストレスへの耐性が指摘されます。Gymnocalyciumで発見された外生菌根は、乾性環境への耐性に適応するために意味があるのかも知れません。

構造と成分分析
植物の表面で水分の蒸発を防ぐクチクラ層は、G. oenanthemumよりG. marianaeの方が、密度も高く厚みがありました。また、環境ストレスに耐性が上がるフラボノイドやカロテノイドも、やはりG. oenanthemumよりもG. marianaeの方が高いことが分かりました。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
G. marianaeはG. oenanthemumと比較すると、日照や気温、乾燥などより厳しい環境に生えることが分かります。G. marianaeは環境ストレスに耐えるために、厚いクチクラや含有成分の高さだけではなく、外生菌根に適正を示し、より高い環境ストレス耐性を獲得しているようです。サボテンも環境に適応するために、様々な工夫をしていることが伺えますね。そう言えば、菌根についてはあまり話題とならず、残念ながらその重要度と比べてそれほど周知されていないように思います。当ブログではいくつか菌根関連の記事を書いてきましたが、これからも何か面白い論文がありましたら取り上げていきたいと思っております。


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美しい花は我々を楽しませてくれますが、中には地味で奇妙な花を咲かせる植物も存在します。基本的に花は昆虫などの花粉媒介者へのアピールですから、それなりに目立つものが多いのです。では、地味は色合いの花にはどのような意味があるのでしょうか?
日があまり当たらない森林の林床には、肉色(腐肉)と評される、赤黒い花を咲かせる植物がいくつかあります。代表的なのはラフレシアで、腐臭を出してハエを誘っていると言われています。ラフレシアは割と明るい色合いですが、Bulbophyllum属(着生ラン)、Brachystelma属(ガガイモ科の塊根植物)、Aristolochia属(ウマノスズクサ属、ツル性)の中には、暗い色合いの花を咲かせるものが多いようです。神代植物公園に行った折、大温室でAristolochiaの不思議な花を見ることが出来ました。このAristolochiaはやはりハエを呼び受粉するタイプの植物で、中には訪れたハエを閉じ込める罠を持つものもあるそうです。しかし、調べるうちに、ハエと面白い関係を結んだAristolochiaがあるという論文を見つけました。それは、Shoko Skaiの2002年の論文、『Aristolochia spp. (Aristolochiaceae) Pollinated by files breeding on decomposting flower in Panama』です。

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Aristolochia gigantea(神代植物公園)
人の顔くらいある巨大の花です。例によって肉色の花。Aristolochiaは、種類によって柑橘系だったり腐敗臭だったりと、様々な臭いで昆虫を呼びます。


この研究はパナマの乾季の森林で実施されました。観察したのは、Aristolochia maximaとAristolochia inflataです。A. maximaはフロリダ南部からパナマまで、A. infataはメキシコ南部からパナマまでに分布します。調査地では高さ10〜30mの高さで開花しました。A. maximaの花の一部は低い幹にもつきました。

A. maximaの花に訪れる昆虫の53%がMegaselia sakaieというハエで、そのうち99.7%がメスでした。19%は数種類のショウジョウバエで、そのうち58%はメスでした。訪れたハエは、花の蜜をなめる様子が観察されました。A. inflataを訪れたハエはM. sakaieのみで、すべてメスでした。ハエが花に訪れて数日後にM. sakaieの幼虫が現れ、腐った花を食べながら育ちました。

A. inflataの主要な花粉媒介者はM. sakaieですが、A. maximaは異なるようです。A. maximaの花を訪れたM. sakaieを調べると、非常に少数の花粉しか付着していませんでした。これは、M. sakaieの花を訪れてからの行動の違いによると考えられます。A. maximaの花粉媒介者はショウジョウバエである可能性がありますが、少数ですが花に来る甲虫も受粉に関与するかも知れません。

花粉媒介者はA. maximaやA. inflataの花を訪れるのは、おそらくは臭いと花の色によると思われます。Aristolochiaに関する研究のほとんどが、Aristolochiaは腐肉臭や糞便臭、キノコ臭などを模倣し、花粉媒介者のハエが騙されて花を訪れると説明しています。ハエに対するA. maximaやA. inflataの報酬は、蜜と繁殖場所の提供です。他の種類のAristolochiaでは、ハエを閉じ込めるものもあり、場合によってハエは閉じ込められたまま死んでしまうこともあります。この場合の花の蜜は花の外にあり、閉じ込められたハエの食糧にはなりません。蜜はハエをおびき寄せるためのものだからです。しかし、A. maximaやA. inflataは、ハエを閉じ込めずに蜜を与えます。これは、ハエの産卵に必要である可能性があります。ほぼメスしか訪れないM. sakaieとは対照的に、ショウジョウバエはオスも訪れます。これは、A. maximaの花が産卵だけではなく、交尾の場所でもあるからかも知れません。ハエを罠に掛けるAristolochiaより、A. maximaやA. inflataはより進んだ共生関係を示しているのかも知れません。


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Aristolochia spp.
『Monatsberichte der Koniglichen Preussische Akademie des Wissenschaften zu Berlin』(1859年)より。


以上が論文の簡単な要約です。
ハエは報酬の蜜と産卵場所のために、2種類のAristolochiaの花を訪れます。Aristolochiaからしたら、蜜だけではなく産卵行動まで含めて、滞在時間を増やして受粉率を上げているのかも知れません。特にA. inflataは、花にM. sakaieしか訪れていないことから、より深く共生関係を結んでいるようです。このような関係が進めば、やがて植物と花粉媒介者が互いに不可欠な存在となる絶対共生となるのかも知れませんね。
しかし、花を食べさせるという特殊な関係が結ばれていることに改めて驚かされます。しかし、
A.maximaの花は赤褐色でいかにもハエを呼び寄せそうな花色ですが、A. inflataの花は黄色です。個人的にはこの点が気になります。M. sakaieは黄色に強く引き寄せられたりするのでしょうか? とても不思議です。


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先日開催された「9月のサボテン・多肉植物のビッグバザール」にて、Euphorbia hedyotoidesという塊根植物を入手しました。私が入手したのは非常に小さな実生苗ですが、育つと塊根から伸びる細長い枝と、細長い葉が面白い多肉植物です。E. hedyotoidesを詳しく調べてみようとしましたが、中々調べる時間が取れないため安直に論文を探したところ簡単に見つかったので、では記事にしようということになりました。その論文は、Wernner Rauhの1992年の論文、『The growth-form of Euphorbia hedyotoides N.E.Br. (syn. E. deceriana Croiz.)』です。

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Euphorbia hedyotoides N.E.Br.

E. hedyotoidesの発見
マダガスカル南部のAmbosaryとFort Dauphinの、Didierea科の茂みには、Euphorbia hedyotoidesが見られます。1934年にL. Croizat によりEuphorbia decarianaとした記載されましたが、Leandri(1962)によると1909年にN. E. BrownによりEuphorbia hedyotoidesとしてすでに記載されていると言うことです。Euphorbia hedyotoidesはアフリカではゴム用(caoutchouc)植物として栽培されており、N. E. Brownは旧ドイツ領東アフリカのAmaniにあるManboの植物に因んでいると説明しています。

塊根と異形根
E. hedyotoidesは、高さ1〜1.5mの低木で、大きな塊根が地下にありサッカーボールくらいの大きさになる可能性があります。塊根は胚軸と一次根が膨れたものです。E. hedyotoidesは異形根性(※1)で、塊根は水を貯蔵し、塊根の上部にある側根は水を吸収します。側根は地表から数ミリメートル下に広がっています。

(※1) 異形根性(heterorhizy): 同じ個体で明らかに形態の異なる根を持つこと。

短枝と長枝
若い段階では、一次枝が高さ20〜30cmほど長く伸びます。枝の先端は短枝(brachyblast)となり、そこから放射状に新たな長枝が出て来ます。短枝は徐々に生長し、数年で3〜5cmとなります。葉は一番若い短枝から出ます。


E. hedyotoidesの花は雌雄異株ですが、稀に雌雄同株も見られます。
E. hedyotoidesの花(cyathia)は非常に小さく、ほとんどが単独につきます。花には短い葉柄があり、2つの緑がかる苞葉(cyathophyll)に包まれています。総苞(involucrum)は非常に小さく高さと厚みは2mmで、緑色の腺(grand)は直立し1mmほどです。


分類
E. hedyotoidesの分類は不明です。Leandri(1962)は、E. neohumbertiiやE. viguieriを含むEuphorbia lophogoraグループに分類しましたが、これは間違いです。著者はE. hedyotoidesをE. elliotiiと共に同じ新しいグループとすることを提案します。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
E. hedyotoidesは奇妙な枝分かれをするようですが、Rauhはこれを「hedyotoides型分岐」と呼んでいるようです。しかし、E. hedyotoidesの短枝の画像を見ていたら、何やら見覚えがあることに気が付きました。E. bongolavensisの短枝と良く似ているのです。
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Euphorbia bongolavensisの短枝(枝の先端の模様が入った部分)

Thomas Haevermansの2006年の論文では、E. hedyotoidesやE. bongolavensisを含むグループを、「pyrifoliaグループ」としており、狭義のsection Denisophorbiaに含まれるとしています。やはり、E. millotiiやE. bongolavensisも同じグループに含まれるようです。

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Euphorbia bongolavensisの「hedyotoides型分岐」
短枝から数本の長枝が出て、その長枝の先端には新しい短枝が形成されます。


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近年、コーデックス・ブームがありました。今はやや落ち着いてきましたが、今でも多肉植物の即売会ではコーデックスはまだ主役級です。ブーム初期に人気を牽引したのは、おそらくパキポディウムでしょう。国内では大量の現地球が売買されており、種の多様性の保護の観点からはやや不安になります。パキポディウムの国際取引はどのようになっているのでしょうか。2018年のワシントン条約(CITES)の附属書を見てみましょう。

CITESとパキポディウム
Pachypodium属は約25種類あり、そのすべてがCITESに記載されています。アフリカ大陸に約5種類あり、残りはマダガスカル原産です。マダガスカル原産のPachypodiumのうち3種類はCITESの附属書Iに記載され、他の種はすべて附属書IIに記載されています。

パキポディウム属の特徴
Pachypodiumは高さ15mまでの低木で、根元が大きく膨れます。Pachypodium namaquanum以外は枝分かれし、枝はPachypodium decaryi以外はトゲがあります。形態は木本状から枝分かれした低木、地下塊根まで多様です。マダガスカルの南の落葉性乾性林には、Pachypodium lamereiやPachypodium geayiのように、より樹木状となる傾向があります。

パキポディウムの国際取引
P. lamereiは最も多く取引されるPachypodiumで、長年栽培されています。Pachypodiumは主に野生および人工繁殖した植物が取引されます。野生の植物は主にマダガスカルから輸出されています。人工繁殖した植物の最大の輸出国はカナダですが、これは2007年に50000を超える大規模輸出があったためで、基本的にはマダガスカルと南アフリカから輸出されます。ドイツは野生の植物の最大の輸入国で、特に2015年にはP. densiflorumの951個体にも及ぶ野生植物の輸入がありました。人工繁殖した植物の主な輸入国は、ドイツと米国、スイスです。

附属書Iに記載された3種類
①Pachypodium ambongense
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『Bulletin del' Academie Malgache』(1922-1923年)より。この雑誌で初めて記載されました。

②Pachypodium decaryi
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『Bulletin del' Academie Malgache』(1917年)より。この雑誌で初めて記載されました。

③Pachypodium baronii 
CITES2018では、P. baronii var. baroniiとP. baronii var. windsoriiが含まれます。現在では、P. baronii var. windsoriiはP. windsoriiとなり独立種とされています。

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Pachypodium windsorii

人工繁殖
Pachypodiumの繁殖は種子によりますが、P. bispinosumやP. succulentumなどでは茎や根の挿し木は一般的です。ほとんどのパキポディウムは、P. lamereiに継ぎ木することも出来ます。Pachypodiumは苗床で栽培されています。また、種子はインターネット上で広く入手可能です。P. brevicauleのようないくつかの種は、アマチュアは栽培が難しく非常に生長が遅いことで知られています。

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Pachypodium bispinosum

以上がCITES2018のパキポディウムについてでした。附属書Iに記載された3種(P. windsoriiを含めると4種)は、基本的に国際取引は禁止されています。それ以外のパキポディウムもすべて附属書IIに記載されていますから、国際取引には許可が必要です。
さて、日本でパキポディウムと言えばP. graciliusです。あの丸っこい現地球はやはり大人気で、割と高額であるにも関わらずコーデックスを育てる際の入口になっています。しかし、パキポディウムは安価な実生苗が広く出回るようになり、今では誰でも育てられるコーデックスの入手種としての地位を盤石としています。さらに、最近は実生にチャレンジする趣味家も増えており、種の保存の観点からも良い傾向と言えます。やはり、種から育てた植物は愛着がわきますし、完成した現地球とは異なり育っていく姿が顕著に現れますから、育てていて楽しいでしょう。私は頻繁な水やりが苦手なので、実生はおそらく(必ず)失敗するでしょうからやりません。ですから、私は多肉植物の即売会で実生苗を購入しています。多肉植物の即売会ではP. inopinatumやP. enigmaticum、P. makayenseなど、やや珍しいパキポディウムの実生苗も入手可能です。お値段的にもそれほど高くはないので、気軽に始められるので皆様も育ててみてはいかがでしょうか?
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Pachypodium makayense

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アロエ属は2010年代前半に大幅な改訂が順次行われました。アロエ属からの分離と、アロエ属に近縁な仲間のアロエ属への統合という出来事が行われ、ハウォルチアやガステリアも絡めて整理されたのです。しかし、名前が変わってしまうと、過去に様々な文書に書かれた植物名と矛盾してしまうため、それらの文書は改訂が必要となります。その中でも特に急務なのはワシントン条約(CITES)でしょう。CITESは絶滅が危惧される動植物の国際取引を規制していますから、植物名が変わったことにより混乱をきたす可能性があるからです。そのため、アロエ属の改訂に伴い、研究者からCITESへの勧告が行われてました。それは、Olwen
M. Grace & Ronell R. Klopperの2014年の論文、『Recommendation to the CITES Plants Committee: Name changes affection Aloe and related genera』です。アロエ属の改訂に関しては、当ブログでも度々取り上げてきましたから今更かも知れませんが、その過程や勧告も重要と思い今回ご紹介する次第です。


Aloe L.は、アフリカ大陸、アラビア半島、ソコトラ島、マダガスカル、インド洋のセイシェル、マスカリン、コモロ諸島に約575種類自生します。いくつかのアロエは地中海やインド、南北アメリカの一部、カリブ海、オーストラリアに侵略的、あるいは帰化しています。多くの多肉植物と同様にアロエも愛好家により収集され、園芸的に広く使用され取引されます。

系統学的研究により、アロエ属には変更が加えられました。アロエ属に含まれていた種から、Aloidendron属、Aloiampelos属、Kumara属が独立し、逆にChortolirion属がアロエ属に統合されました。
変更は以下の通り。

1, Aloiampelos ciliaris
 旧学名
    Aloe ciliaris
2, Aloiampelos ciliaris var. redacta
 旧学名
    Aloe ciliaris var. redacta
3, Aloiampelos ciliaris var. tidmarshii
 旧学名
    Aloe ciliaris var. tidmarshii
    Aloe tidmarshii
4, Aloiampelos commixta
 旧学名
    Aloe commixta
5, Aloiampelos decumbens
 旧学名
    Aloe gracilis var. decumbens
    Aloe decumbens
6, Aloiampelos gracilis
 旧学名
    Aloe gracilis
7, Aloiampelos juddii
 旧学名
    Aloe juddii
8, Aloiampelos striatula
 旧学名
    Aloe striatula
9, Aloiampelos striatula var. caesia
 旧学名
    Aloe striatula var. caesia
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Aloiampelos striatula var. caesia

10, Aloiampelos tenuior
 旧学名
    Aloe tenuior
11, Aloidendron barberae
 旧学名
    Aloe barberae
    Aloe bainesii
12, Aloidendron dichotomum
 旧学名
    Aloe dichotoma
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Aloidendron dichotomum

13, Aloidendron eminens
 旧学名
    Aloe eminens
14, Aloidendron pillansii
 旧学名
    Aloe pillansii
    Aloe dichotoma subsp. pillansii
15, Aloidendron ramosissimum
 旧学名
    Aloe ramosissima
    Aloe dichotoma var. ramosissima
    Aloe dichotoma subsp. ramosissima
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Aloidendron ramosissima

16, Aloidendron tongaensis
 旧学名
    Aloe tongaensis
17, Kumara plicatilis
 旧学名
    Aloe plicatilis
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Kumara plicatilis

18, Aloe welwitschii
 旧学名
    Haworthia angolensis
    Chortolirion angolense
19, Aloe subspicata
 旧学名
    Haworthia subspicata
    Chortolirion subspicatum
20, Aloe barendii
 旧学名
    Haworthia tenuifolia
    Chortolirion tenuifolium
    Aloe tenuifolia
21, Aloe juppeae
 旧学名
    Chortolirion latifolium
    Aloe aestivalis

以上が勧告の内容です。
アロエ属は大きく様変わりしました。しかし、この勧告の後も改訂は続きました。簡単に解説しましょう。
1つは、マダガスカルやマスカリン諸島に分布するLomatophyllum属が、アロエ属に吸収されたことです。現在では、Lomatophyllum属に含まれていた種類同士が必ずしも近縁ではないことが明らかとなっています。
2つ目は、2014年のGonialoe属の独立です。Gonialoe属は旧学名Aloe variegataなど、3方向に葉を揃えて出すほぼトゲのないアロエで、現在3種類が認められています。また、新種が発見されていますが、学術的な検証はこれからでしょう。
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Gonialoe sladeniana

3つ目は、2014年のAristaloe属の独立です。Aristaloe属は旧学名Aloe aristataのみからなる1属1種のアロエです。
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Aristaloe aristata

4つ目は、2019年にAloestrelaが追加されたことです。これは、Aloe suzannaeがAloestrela suzannaeとして独立したものです。しかし、同じく2019年のPanagiota MalakasiらのAloidendron属の遺伝子を解析した論文では、Aloestrela属は明らかにAloidendron属に含まれることが分かりました。まだ、データベースではAloestrela属は健在ですが、いずれAloidendronとされるかも知れません。また、2014年に新規にAloidendron属とされたAloidendron sabaeumは、同論文ではAloidendron属ではなくAloe属であるとしています。こちらもこれから検証されるのでしょう。

その他の細々とした変更や追加についても、少し触れておきましょう。1つ目は、2014年にAloe haemanthifoliaがKumara haemanthifoliaとされました。2つ目は、上の一覧のNo. 20のAloe barendiiですが、現在ではAloe bergerianaとされています。ちなみに、Chortolirion tenuifolium、Chortolirion bergerianum、Chortolirion stenophyllumは同種とされ、Aloe bergerianaの異名となっています。3つ目は、上の一覧のNo. 10のAloiampelos tenuiorですが、2022年に変種であるAloiampelos tenuior var. ernstiiが新たに記載されました。
まあ、こんなところでしょうか。これからも新種は発見されるでしょうし、遺伝子解析も進行していくでしょう。しかし、いくらかの追加や変更はあるかも知れませんが、大枠は変わらないかも知れません。アロエ属は気になっているので、これからも注視していきたいと思います。


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もう9月も終わりですが、予報ではどういうわけか、しばらくは30℃を超える日もあるようです。しかし、大分過ごしやすくなってきました。多肉植物たちの様子はどうでしょうか?

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メロフォルミス錦 Euphorbia meloformis cv.
2020年夏に鶴仙園で購入したメロフォルミス錦です。当時は単頭でしたが、子が出来てかなり大きくなりました。

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Euphorbia lenewtonii
今年の6月のビッグバザールで入手したばかりですが、大部枝が増えてきました。枝が混んで面白い形になるようです。

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奇怪ヶ島 Euphorbia squarrosa
今年の春のビッグバザールで入手した実生苗です。枝が順調に伸びています。まだ塊根はツメの先ほどのサイズです。

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Euphorbia silenifolia
2020年の4月にファーマーズ三郷で購入。冬型の難物ですが、なんとか3年維持してきました。まあ、育っている実感はありませんが。


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Euphorbia sp. nova somalia hordio
謎の未記載種です。今年の3月にルームズ大正堂八王子店で購入しました。かなり生長は良いのですが、垂れ下がりながら伸びる面白いユーフォルビアです。地を這いながら育つのでしょうか? 不思議ですね。

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Euphorbia gottlebei
去年の夏にヨネヤマプランテイションの即売会で入手しました。枝分かれしない面白い花キリンです。根元から叢生するはずですが、まだ単頭です。


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Euphorbia erinacea
2020年に鶴仙園で購入しましたが、あまり育った実感に乏しいですね。去年は乾かしすぎて外の葉が枯れてみすぼらしくなりました。今年は水をたっぷり与えて、あまり乾かさないようにしたらきれいに仕上がりました。ちなみに、唐錦(A. melanacantha)の変種とされることもありますが、現在では独立種とされています。


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Haworthia triangularis
去年の秋にあったタナベフラワーのイベントで入手しました。この名前は園芸名で、おそらくはAloe triangularisから来ています。A. triangularisとは、現在のHaworthiopsis viscosaに相当します。大型でざらつかないタイプなのでしょう。


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亀甲竜 Dioscorea elephantipes
越谷のレイクタウンにある園芸店で購入しました。今はもうないみたいです。
10年くらい育てている亀甲竜ですが、ツルが伸びてきました。イモは地中に埋めれば早く大きくなりますがコルク層は発達しません。地上に出して育てればイモの育ちは遅くなりますが、コルク層が発達します。私の亀甲竜は、サイズの割にはまあまあコルク層が発達しています。最近はイモは大きいのにコルク層が薄いものは良く目にしますね。


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Agaveに引き続き、CITES2018を取り上げます。本日はメキシコの乾燥地を中心に分布するFouquieriaについてです。

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Fouquieria Kunth, 1823

Fouquieria科の唯一の種であるFouquieria属には11種類あり、メキシコと米国南部の乾燥地に見られる乾性低木です。CITES2018には3種類が記載されています。
★Fouquieria fasciculataは高さ4〜15mになる木本で、幹の下部は直径60cmまで膨れます。枝は先細りし、赤いトゲがあります。幹は基部で膨れ、円錐状に細くなるのではなく、急激に細くなります。CITESの附属書Iに記載されています。
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Fouquieria fasciculata
             (Humb. ex Roem. & Schult.)  Nash, 1903
異名 :
・Cantua fasciculata Humb.
                ex Roem. & Schult., 1819

・Bronnia spinosa Kunth, 1823

★Fouquieria purpusiiは高さ4mになることがあり、先細りになる薄緑色の幹にコルク色のマーキングがあります。CITESの附属書Iに記載されています。
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Fouquieria purpusii Brandegee, 1909

★Fouquieria columnarisはFouquieria最大種で、高さ20mになります。幹は緑色がかります。花弁は黄色が多く、柱頭は花弁より長く伸び、花は散房花穂ではなく末端穂につきます。幹は基部だけではなく、全体的に太くなります。CITESの附属書IIに記載されています。
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Fouquieria columnaris (Kellogg)
      Kellogg ex Curran, 1885

異名 :
・Idria columnaris Kellogg, 1863
・Fouquieria gigantea Orcutt, 1886

用途は、造園や観賞用の鉢植えとして、多肉植物愛好家に求められています。CITESのデータベースによると、人工繁殖した個体の取引は非常に少なく、その大部分は米国、スペイン、ドイツ、チェコ共和国により輸出されています。大きな現地球は米国から入手できる可能性がありますが高額です。
附属書Iに記載されたF. fasciculataとF. purpusiiは、生きている個体か否かを問わずすべての取引が規制されています。附属書IIに記載されたF. columnarisは、種子、花粉、切り花、組織培養された植物を除いて、取引が規制されています。
Fouquieriaは種子と挿し木から育てることが出来ますが、生長は非常に遅く広く普及しているとは言えません。種子や苗はオンライン及び、ヨーロッパや米国のナーセリーから入手出来ます。

以上がCITES2018のFouquieriaの項目です。日本ではFouquieriaの人気はイマイチですが、F. fasciculataの苗が、イベントで高額で取引されているのを見たことがあります。幹が太らず観賞価値が低いF. diguetiiやF. macdougaliiは、何故か園芸店に苗が並んだりもしました。イベントではF. columnarisやF. fasciculataの現地球も稀にありますが、やはり非常に高額です。しかし、パキポディウムやオペルクリカリアほどには流通はないようですね。日本国内に限って言えば、違法取引が問題となるレベルの人気はなさそうです。
私はFouquieriaの実生苗、あるいは挿し木苗を購入しています。しかし、中々育ちが遅く、見られるようになるまではまだまだ長い時間がかかりそうです。


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外来種は日本でも問題となっていますが、この問題は国内のみならず世界中で起きています。昔から木材やコンテナに紛れて害虫が侵入したり、ペットとして持ち込まれたアライグマやミシシッピアカミミガメが捨てられて野外で繁殖してしまっているケースなどがあります。しかし、近年ではオンライン取引により、個人的に植物を輸入するケースが増えて来ました。しかし、その中には違法なものも含まれている可能性があります。現状ではオンライン取引に対する監視の目がゆるいため、違法取引の最大の懸念点となっています。ということで、本日は植物のオンライン取引について調査した、Jacob Maherらの2023年の論文、『Weed wide web: characterising illegal online trade of invasive plants in Australia』をご紹介します。

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ホテイアオイ Pontederia crassipes
一般的にはEichhornia属とされますが、現在はPontederia属とされているようです。
『Nova genera et species plantarum』(1823年)より。


オーストラリアはすでに29000種以上に及ぶ外来植物が導入されており、在来植物は深刻な影響を受けています。そのため、オーストラリア政府は厳格な輸入措置とリスク評価を実施しています。管理措置は州政府が行い、管轄区域におけるその分類群の取引の禁止を「宣言」します。宣言された植物は、供給、販売、輸送が禁止され、違反に対しては罰金が科せられます。しかし、ウェブ取引では実店舗がなくでも良く、簡単に郵送されたりと、従来の措置を回避する可能性があります。国際郵送はあまりにも多いため、すべてを調べることは困難です。

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Orbea variegata(上)
ガガイモ科の多肉植物で、スタペリアと同様に星型の花を咲かせます。
『Hortus botanicus panormitanus』(1877年)より、Stapelia atrataとして記載。

著者らはウェブサイトの植物取引広告を1年間監視し、植物の取引を記録しました。結果、1年間で235162件の植物広告を収集し、10000件はいずれかの州で取引が禁止されている種類でした。最も収集された違法植物は、ウチワサボテンと水草でした。ウチワサボテンは、Opuntia microdasys(金烏帽子)やOpuntia monacantha(単刺団扇)、Opuntia ficus-indica(大型宝剣)、あるいは他のウチワサボテンも取引されました。水草は、Eichhornia crassipes(ホテイアオイ)やLimnobium laevigatum(アマゾントチカガミ、アマゾンフロッグビット、現在の学名はHydrocharis laevigata)が一般的でした。また、頻繁に検出された侵入植物は、Zantedeschia aethiopica(オランダカイウ、Calla)やGazania、Hedera helix(セイヨウキヅタ、アイビー)、Lavandula stoechas(フレンチラベンダー)、Rubus fruticosus(ブラックベリー)、Orbea variegata、Azadirachta indica(インドセンダン、neem)でした。

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大型宝剣 Opuntia ficus-indica(左)
『The illustrated dictionary of gardening』(1884-1888年)より。


ウチワサボテンは簡単に増やすことが出来ますが、トゲがやっかいなため、増えすぎると最終的には処分に困ることになります。その結果、ウチワサボテンは投棄されることがあるようです。また、ウチワサボテンの処分に困り、売却したいと思っている人もいるようです。

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Calla(左上)
『Beautiful flowers』(1890年)より。


以上が論文の簡単な要約です。
オーストラリアは有袋類など固有種の宝庫です。同じように植物も固有種が多く、独自の生態系があります。オーストラリア政府も固有種を守るために、規制はかなり厳しくしているようですが、現実問題として違法な植物の取引は行われてしまっています。ウチワサボテンなどは鉢に植えていなくても、節で切ってお手軽に発送可能です。簡単に挿し木で発根しますし、乾燥地のオーストラリアでは野外でもよく育ちます。実際にオーストラリアでウチワサボテンが増えすぎて、対応に困っているという報道を見たことがあります。1年中野外でサボテンを育てられるというのは羨ましい話ですが、環境が合いすぎるというのも、それはそれで困ったことのようです。

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金烏帽子 Opuntia microdasys(右下)
しかし、刺さって抜けない芒刺のせいで、増えすぎた金烏帽子を取り除くのは大変そうです。
『The Cactaceae: description and illustrations of the catus family』(1919年)より。


さて、この違法オンライン取引はオーストラリア特有の問題ではないでしょう。インターネットは世界中のあらゆる国を結んでいますから、違法オンライン取引はすべての国で行われているのものと考えても良いかも知れません。日本ではどうでしょうか? 私にはその実態は分かりませんが、法的な問題は別にして、風潮としては違法取引に対する問題意識は薄いように感じられます。外国語の苦手な日本人は海外との取引は少ないような気もしますが、実際は分かりません。
最後に蛇足ですが、論文のタイトルの「Weed wide web」はURLのwww、つまり「world wide wide」をもじったものでしょう。wwwは世界中のウェブサイトをハイパーテキストでつなぐシステムのことらしいのですが、実質これはインターネットと同義となっているようです。ですから、「Weed wide web」は、インターネットを介したオンライン取引を示唆しています。しかし、この「Weed」とは雑草のことですが、実際には取引されるのは観賞用の植物であり、実態に合わないような気もします。よく調べると、「Weed」には雑草から転じて、庭や畑の望ましくない植物を指す意味もあるようです。ウチワサボテンは庭に植えられている時は好ましくても、敷地から逸出してしまえば生態系を脅かす「望ましくない植物」になってしまうということでしょう。


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以前、アロエとユーフォルビアについて、ワシントン条約(CITES)の附属書に記載された種を取り上げたことがあります。本日は、アメリカ大陸の主にメキシコから米国に分布するAgaveについてご紹介したいと思います。参考にしたのは、2018年に発行されたCITES2018です。早速、見てみましょう。

Agaveは250種以上からなり、うち2種類はCITESに記載されています。
・Agave parvifloraは附属書Iに記載されており、国際的な取引は禁止されています。直径15〜25cmの小型のロゼットを形成し、ワックス状にコーティングされ、白くマーキングされた濃い緑色の葉を持ちます。葉の縁には白いフィラメントがあります。花茎は高さ1.8mになり、淡い黄色の花を咲かせます。
A. parvifloraは観葉植物として栽培されます。分布はアリゾナ州南部とメキシコのソノラ砂州北部に限られるため、米国とメキシコの両方の法律で保護されています。
CITESの貿易データベースによると、A. parvifloraは生きた植物と種子が取引されています。ワシントン条約の許可した栽培場で栽培されたA. parvifloraの、主な輸出国はタイとドイツです。単に栽培個体の主な輸出国はオランダで、次がドイツとメキシコです。種子は米国から中国、日本、カナダ、オランダ、台湾、チェコ共和国へ輸出されています。


・Agave victoriae-reginaeは附属書IIに記載されています。葉は10〜15cmで、最大50cm程度の小型種です。緑色の葉の縁に沿って独特の白いマーキングがあります。葉はコンパクトな螺旋状のロゼットを形成します。花茎は高さ4mほどで、赤味がある様々な色の花を咲かせます。
A. victoriae-reginaeは観葉植物として人気があり、乾燥地の造園に利用されます。最も耐寒性が強いにも関わらず、湿潤な温帯地域での造園には適していません。
A. victoriae-reginaeの取引は人工的に繁殖させた植物で、生産量は少数です。主な輸出国はイタリア、スペイン、タイ、オランダです。


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Agave victoriae-reginae
『The Gardener's chronicle』(1875年)より


以上がCITES2018のAgaveの項目です。A. parvifloraは「姫乱れ雪」、A. victoriae-reginaeは「笹の雪」として日本でも良く知られた小型種です。Agaveはワシントン条約に記載され、国際取引が規制されている種は少ないようです。ただ、原産地における野生植物の違法採取はどの程度多く脅威なのかが気になります。
日本ではアガヴェは流行真っ盛りと言った感もありますが、タイプ違いや園芸種が人気なようで、現地球を求める動きは見られません。より強いトゲの個体を求めたり、美しい覆輪がある品種が出来たりと、園芸的にも発展しているようです。最近では特に若い人たちが積極的に実生を行っているようですが、この流れは原産地の植物の保全の観点からも推奨出来ます。


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植物の花は受粉し種子を作るための器官です。豊富な蜜や花粉は、花粉を運び受粉を手伝ってくれる受粉媒介者への報酬です。しかし、中には花そのものを食べてしまったりして、受粉を妨害してしまうような動物もいます。これを、とりあえず「送粉系撹乱」と呼ぶことにしましょう。さて、そんな送粉系撹乱の例を探してみたところ、Lophophoraを調査した論文が見つかりました。それは、Maria Isabel Briseno-Sanchezらの2022年の論文、『Biotic interaction prior to seed dispersal determine recruitment probability of peyote (Lophophora diffusa, Cactaceae), a threatened species polmllinator-dependent』です。Lophophoraは受粉にとって重要な蜜や花粉が少ない植物と言われています。報酬が少ない場合、送粉系撹乱を受けやすいような気もしますが実際はどうなのでしょうか?

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Lophophora williamsii
L. diffusaの良い図がなかったのでL. williamsiiで代用。
Echinocactus williamsiiとして記載。
『Gesambescheibung der Kakteen』(1898年)より


Lophophora diffusaはチワワ砂漠の固有種です。L. diffusaは自家受粉せず、必ず相手が必要な他家受粉花です。開花期間は長く、甲虫やバッタ、ミツバチが訪れます。果実は小さく受粉後2ヶ月ほどで成熟しますが、種子は少なく1つの果実に40個未満です。種子はエライオソーム(蟻に運んでもらうための栄養)があるため、蟻により拡散しているようです。また、種子は水が染み込まず水に浮くため、雨により流される可能性もあります。

試験はメキシコの標高1438mにあるQueretaro州Penamillerで実施されました。植生はLarrea tridentata、Fouquieria splendens、Mimosa sp.、Bursera sp.などの低木が優勢です。
L. diffusaの花の蜜量を測定しましたが、22%の花は蜜がありませんでした。最も蜜量が多い花でも0.36μL(0.00036mL)に過ぎず、平均は0.054μLであり0.1μLを超えることはほとんどありませんでした。
花には甲虫(Acmaeodera=フナガタタマムシ属)と数種類のミツバチ(Macrotera、Lasioglossum、Ashmeadiellaなど)が訪れました。観察した年により甲虫が優勢の場合もミツバチが優勢な場合もありました。また、受粉率は年により変動が激しいものの、結実はほとんどが開花した花の半分以下でした。


乾燥地では水の少なさがストレスとなり、蜜の生産に悪影響を及ぼします。蜜の減少は花と花粉媒介者の相互作用を減らし、受粉率を低下差させる可能性があります。また、L. diffusaの花粉媒介者の訪問率は非常に低く、訪問者の少なさが受粉率の低さの原因かも知れません。他とは研究では、L. diffusaの花に人工的に花粉をつけると、種子が20%も増えることが示されています。

以上が論文の簡単な要約です。
L. diffusaは蜜の量が少なく、蜜がない花まであることが分かりました。そのことが花粉媒介者である昆虫にとって魅力的ではないことは明白で、訪問者の少なさは種子生産に悪影響を及ぼしています。論文では水の少なさがストレスとなるとありますが、水の量と蜜の量には相関があるのでしょうか。そうであるならば、栽培している個体は蜜量が豊富ということになります。しかし、本来L. diffusaは乾燥地に適応しているはずです。乾燥化が進み蜜生産量が減少したというのなら分かりますが、環境に適応した結果がただ示されただけのような気がします。要するに、沢山の種子を作れない代わりに、蜜の生産を最小限にしているのかも知れません。蜜が少なかったりなかったりしても、花が咲いていればとりあえず昆虫は訪れるでしょう。群体性のミツバチなら蜜がなければ仲間を呼びませんが、単独性のミツバチなら花が咲いていれば騙されて花を訪れるでしょう。花粉を目当てに訪れることも考えられますが、花粉媒介者とは基本的に一過性の付き合いなのかも知れませんね。



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先日のビッグバザールの購入品を植え替えました。用土は様々で、乾き具合が把握出来ないため、冬や真夏以外では、なるべく早めに植え替えをするようにしています。根の状態はどうでしょうか? 

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Euphorbia hedyotoides
赤玉細粒は思うよりジメジメするので、個人的には苦手です。

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根の状態は悪くありません。
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少し塊根を埋め気味にしました。根が細いので、しばらくは水を多めにやるつもりです。

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Euphorbia beharensis
挿し木苗ですが、根はどれくらいあるでしょうか。用土は水はけが良さそうですね。

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根はチョロリとあるくらいです。まあ、問題ありません。

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Aloe calcairophila
赤玉細粒を単用するのは割と心配になります。

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根は動いていません。かなりの加湿状態でした。
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排水の良い用土に植えたので、根は動いてくれるでしょう。

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Aloe saundersiae
こちらも湿っぽい感じがします。

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根はかなり加湿でしたが、良く動いているようです。水が好きなのでしょうか? 良く見たら、子株か3つほどついていました。
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植え替えましたが、花は咲いてくれるでしょうか? 

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白磁盃 Aloe pratensis
こちらも根が心配。

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これは駄目ですね。加湿で少しやられ気味です。しかし、根元から新しい根が出ていますから、まあ大丈夫でしょう。
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根が太く荒いタイプみたいですから、大きめの鉢に植えました。しかし美しいアロエですね。

私は水はけ重視の用土で植えています。ですから、非常に乾くのが早いのは良いのですが、乾き過ぎて萎れがちになります。ですから、成長期は頻繁な水やりが必要で、やや面倒ではありますが。


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鈴木正彦・末光隆志 / 著、『「利他」の生物学 適者生存を超える進化のドラマ』(中公新書)が刊行されました。生物は利己的であるというのは基本的なことですが、共生関係など利他的な戦略は、ただ利己的であるよりも生存に有利であったりします。そんな、共生関係について生物界を広く見渡し紹介した1冊です。内容的には植物だけではありませんが、植物も扱われており、以外と本では触れられない話が多いように思われます。内容について、植物関連部分の概要だけ少しご紹介します。

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①細胞内共生説
ミトコンドリアや葉緑体は元来は細菌であったという細胞内共生説は、1970年のリン・マーグリスの『真核生物の起源』にまで遡ります。すぐに認められたわけではなく、中々受け入れられなかったとはいえ、細胞内共生説について学術レベルの内容を一般書籍で解説した本はあまりなかったと言えます。葉緑体の誕生は植物の誕生でもあるわけですから、生物の進化の歴史では非常に重要なイベントです。マーグリスの時代より研究は進んでいますから、最新の情報を得ることが出来ます。

②虫媒花と昆虫の進化
当ブログでも、サボテンや多肉植物と花粉媒介者の関係についての論文をいくつかご紹介してきました。しかし、論文は狭い範囲の的を絞った話でしたから、その基本的な有り様についてはわかりませんでした。本書では、様々な実例を挙げて花粉媒介の有り様を解説しています。共進化やアリ植物を始めとした、植物と昆虫の関係性を広く解説しており勉強になります。

③菌根菌と植物の関係
野生の植物は菌類と共生関係を結んでいるものが非常に多く、乾燥地に生えるサボテンや多肉植物も例外ではありません。私も何度か記事にしたことがあります。根粒菌の話だけではなく、蘭菌の話やアーバスキュラー菌の話もあり、植物と菌類の共生関係の基本的な部分を学ぶことが出来ます。

内容的には動物や菌類の話も沢山あります。しかし、このように植物だけを分けないという書き方は少し珍しいですね。研究者は基本的に1分野に突出するため、広く扱うのは中々難しいように思われます。本書は2人の専門が異なる研究者の共著で、お互いに内容を補っています。読んでいて感じたのは、植物もまた生物界の一部分に過ぎないのだという当たり前のものでした。しかし、基本的に生物学の一般書籍は、動物は動物、植物は植物に絞って書かれがちですから、その当たり前の意識が薄れがちです。私などはサボテンや多肉植物の論文に前のめりで入り込んでいるため、そのことをついつい忘れがちです。一度立ち止まって、広く見回してみるのも必要なことだと思いなしました。おすすめします。


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本日は待ちに待ったサボテン・多肉植物のビッグバザールが開催されました。一体、どのような面白い植物に出会えるか、楽しみにしていました。
ビッグバザールは朝早いので寝坊することもしばしばでしたが、今回は開場が10時といつもより遅いため、開場前に到着しました。相変わらず9月に入っても暑く、汗を拭きながらの開場待ちでした。

しかし、9時20分頃から整理券を配布と言っていましたが、すでに配り終えていたようで、一般待機列に並びました。今回は開始時間が遅いため、皆さん早く来たみたいですね。

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今回はいつも以上の混雑で、中々会場に入れませんでした。出店もいつもより多かったわけですが、残念ながら個人的には今回はイマイチでした。単純に私好みのものが少なかっただけとも言います。
私の好きなユーフォルビアは手持ちにあるものばかりでしたね。基本的に3000円以下しか買わないようにしていますから、塊根性のユーフォルビアは見るだけです。アストロロバ、ハウォルチオプシス、ツリスタ、ガステリアも駄目でした。パキポディウム苗は沢山ありましたが、現在は集めていません。あと、今回はアロエが少なくてあまり選ぶ余地がありませんでした。
全体的には大きな塊根・塊茎植物があちらこちらに並ぶのはいつものことです。アガヴェはあちこちにありました。相変わらず人気なようです。エケベリアを沢山並べるブースが2、3あり、こちらも人だかりがありました。ハウォルチアも結構多く、禾が美しいタイプもあちこちにあり、ちょっと気になりました。ただ、見てもあまり分からないため、もう少し勉強してからにします。

さて、本日の購入品はこちら。
今回はブースが多いせいかいつもと並びが異なり、混雑も重なったせいか少々戸惑いました。今回はお馴染みのブースからは買わず、多分初めての2 つのブースから購入しました。
まずは、ユーフォルビアを始めとした塊茎・塊根植物の苗を並べているブースへ。安いユーフォルビア苗とフォウクィエリア苗を購入。

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フォークイエリア・プルプシー
Fouquieria purpusiiです。プルプシイの苗は初めて見ました。なんと、
Fouquieriaはこれで9種類目になります。あと2種でコンプリートですが、ネットでは買わずに今まで通りにイベントでの偶然の出会いに期待することにします。

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ユーフォルビア・ベハレンシス
Euphorbia beharensisです。挿し木苗なので塊根は出来ませんが、姿が面白いので購入。

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ユーフォルビア・ヘディオトイデス
Euphorbia hedyotoidesです。可愛らしい塊根植物です。

お次はDyckiaやケープバルブが並ぶブースへ。こちらでは小さなアロエ苗を購入。最近は柔らかいタイプの小型アロエが好みです。
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Aloe calcairophila
Guillauminiaとされたこともあるマダガスカル原産のアロエ。葉が回転せず2列性のまま育つのでしょうか?

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Aloe sandersiae
調べても出てこないと思ったらスペルミスがあり、正確にはA. saundersiaeでした。かつては、Leptaloeとされていたグラスアロエです。

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白磁盃 Aloe pratensis
有名種ですが初めて見たのでうっかり購入。高地性アロエなんでしょうかね?


さて、今回はいつも以上の混雑具合で、何やら疲れました。好みの多肉植物は少なかったため、いつもより購入は控えめです。また次がありますから、無理して買うこともありませんからね。これから涼しくなっていきますが、多肉植物のイベントはあるのでしょうか? 情報収集が下手なのでイベントに気付かない可能性もありますが、出来ればあちらこちら見て廻りたいものです。というわけで、9月のサボテン・多肉植物のビッグバザールでした。


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国際多肉植物協会(I. S. I. J)の主催するサボテンや多肉植物の販売イベント、「サボテン・多肉植物のビッグバザール」がいよいよ明日(2023年9月18日)開催されます。関東最大級の多肉植物系イベントです。普段目にしない珍しい植物に出会えるチャンスです。
TOCビルが解体される予定だったのですが、資材費高騰だったか色々あったようで延期されています。それでも今年度が最後でしょう。協会も例年よりビッグバザールの回数増やしてますね。しかし、TOCビルは五反田駅から近く非常に便利だったわけですが、来年の夏とかどうなるのか気になります。電車で行きやすい場所だったらいいんですけど。
さて、いつものように入場料500円は準備しといて下さいだとか、開場前にキープするなとか色々ありますか、今回は変わった部分もあります。いつもは、9時開場で8時20分から整理券を配布していました。しかし、今回は開場が10時と遅く、整理券の配布も9時20分からですからお気をつけ下さい。


さて、今回のビッグバザールは行けるか直前まで分かりませんでした。仕事が入る可能性があったのですが、なんとか仕事が日曜日になるように調整しました。良かった良かった。前回のビッグバザールは、風邪を引いてしまい体調不良でしたから1周ぐるりと回って帰りましたが、今回は体調も万全です。じっくり見てくるつもりです。
ここで、過去のビッグバザールの購入品がどれだけ育ったか、ちょっとだけ見てみましょう。上の画像が購入時で、下が現在の画像です。

冬のサボテン・多肉植物のビッグバザール
 (2021年11月)
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Gymnocalycium prochazkianum ssp. simile VoS 1417
大分育ちましたね。塊根性ですが、購入時はまだあまりちゃんと根が張っていないとのことでした。白い粉を吹くタイプなので、日照に強いだろうと思い、あまり遮光していません。

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Pachypodium makayense
非常に太りましたが、葉が茂りすぎて何だか分かりませんね。今年、初めて開花しました。



②春のサボテン・多肉植物のビッグバザール
   (2022年4月)
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女王錦 Aloe parvula
購入時は大分寒さに当たっていたようで、真っ赤でした。赤味が抜けるのに半年以上かかりました。現在は葉も増えて絶好調です。ちょうど、花茎が上がっています。

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Haworthiopsis koelmaniorum
時期的にあまりキレイではありませんが、かなり良い形に育ったように思えます。

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Agave multifilifera
おまけでいただいたアガヴェ。ようやくアガヴェ感が出て来ました。


③夏のサボテン・多肉植物のビッグバザール

    (2022年6月)
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Euphorbia gymnocalycioides
平たい形に育っています。難物と言われていますが、今のところ問題ありません。


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Gasteria vlokii
ガステリアは生長が遅いのですが、葉が1回転しました。後は花が咲いてくれたら嬉しいのですが…


④秋のサボテン・多肉植物のビッグバザール
    (2023年9月)
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Haworthiopsis nigra IB 12484
ニグラは大分積み重なってきましたね。地下茎から出てきた子株もニグラの顔つきになってきました。


⑤冬のサボテン・多肉植物のビッグバザール

    (2022年11月)
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Euphorbia moratii
とにかく葉の勢いがよく、見違えるように育ちました。根元はかなり太くなっていますから、来年の植え替えが非常に楽しみです。

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Euphorbia handiensis
カナリア諸島原産のユーフォルビアです。よく開花します。


⑥新年のサボテン・多肉植物のビッグバザール

    (2023年1月)
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Fouquieria leonilae
よく育っていますね。とはいえ、まだ1年目なので太くはなっていません。これからです。

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Euphorbia greenwayi
タンザニア原産なので難しいかなと思いましたが、それほど気難しくありませんでした。



⑦春のサボテン・多肉植物のビッグバザール

    (2023年3月)
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Euphorbia woodii
よく育っていますね。本体のサイズが明らかに変わりました。


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Fouquieria fasciculata
こちらも非常に勢いが良いです。伸びすぎた枝はいずれカットしますから、挿し木したくなりますが、太らせるために来年まで伸ばしっぱなしで行きます。



⑧6月のサボテン・多肉植物のビッグバザール

    (2023年6月)
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Gymnocalycium ragonesei
まだ、入手してから3カ月なので目立った違いはありません。ただ、購入時は根があまり張っていませんでしたが、今は非常にしっかりと根を張りました。

さて、明日のビッグバザールでは、どんな多肉植物が見られるでしょうか? 今回は特にターゲットを決めずに行きます。何か面白いものが見られるでしょうか? 楽しみですね。


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最近、イベントや園芸店でウチワサボテンを以前より目にするようになりました。流通の兆しでしょうか? 思うにゲオメトリクスや武蔵野などのテフロカクタスが先鞭をつけたような気もします。しかし、ウチワサボテンの仲間はよく似ており、見分けるのは中々困難です。ただし、新しい枝を重ねる特徴から一目でウチワサボテンと分かります。
ウチワサボテンはOpuntia属とされてきましたが、やがていくつかの属が独立しました。しかし、ここいら辺の事情はよく分かりませんから、少しずつ調べてみることにしました。本日はウチワサボテンの分類について書かれた、Matias Kohlerらの2021年の論文、『"That's Opuntia, that was!", again: a new combination for an old and enigmatic Opuntia s. l. (Cactaceae)』をご紹介します。

Opuntia schickendantziiは、Catamarca & Tucumanの資料に基づいて1898年に記載された古くて謎めいた種で、Cylindropuntia亜属とされました。種の説明は、アルゼンチン北西部の山岳地帯とボリビアに沿って分布している、緑色で光沢のある枝、トゲのあるアレオーレ、エメラルドグリーンの柱頭を持つ黄色の花などの特徴で示されました。命名後は形態学的特徴から、Cylindropuntia属、Austrocylindropuntia属、Salmiopuntia属で暫定的に扱われました。しばしば、「地位が不確定(incertae sedis)」とされました。

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Opuntia schickendantzii
『The Cactaceae vol. 1』(1919年)より


2012年に遺伝子解析によりO. schickendantziiがBrasiliopuntiaのグループであることが示され、2014年にBrasiliopuntia schickendantziiが提案されました。しかし、地理的にO. schickendantziiとBrasiliopuntiaを結びつける形態学的特徴はありません。さらに、研究で使用された資料は、アリゾナのBoyce Thompson樹木園の「Lion's Tongue」と呼ばれる栽培された個体由来であることが判明しました。

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Brasiliopuntia brasiliensis
『The Cactaceae vol. 1』(1919年)より


著者らは2006年から2019年にかけて、南アメリカ南部の主要な生態地域を網羅するフィールドワークを実施しました。採取されたウチワサボテンの遺伝子を解析しました。解析結果を以下に示します。

               ┏━━━━Opuntia spp.
               ┃
           ┏┫        ┏━Tacinga spp.

           ┃┗━━┫

           ┃            ┗━Brasiliopuntia brasiliensis
           ┃
           ┃                ┏S. salminiana1
           ┃            ┏┫
           ┃            ┃┗S. salminiana2
           ┃        ┏┫
           ┃        ┃┗━S. salminiana3
           ┃       

           ┃    ┏┫┏━O. schickendantzii
           ┃   
┃┗┫
           ┃   
┃    ┗━S. salminiana4
           ┃
┏┫
       ┏┫┃┗━━━Tunilla spp.           
       ┃┗┫
       ┃    ┗━━━━Miquelliopuntia miquelii
   ┏┫
   ┃┗━━━━━━Consolea
   ┫ 
   ┗━━━━━━━Out group


※「spp.」とは複数種を含むという意味です。

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Salmiopuntia salminiana
『The Cactaceae vol. 1』(1919年)より

遺伝子解析の結果から分かったことは、O. schickendantziiはSalmiopuntiaに含まれるということです。さらに、4つの産地から採取したSalmiopuntia salminianaは3個体はまとまりがありましたが、1つの個体はO. schickendantziiと近縁でした。
ちなみに、2012年に解析された「Lion's Tongue」は、Brasiliopuntiaに含まれることが分かりました。このBoyce Thompson樹木園のウチワサボテンは野生のO. schickendantziiと比較した結果、特徴がまったく異なることが明らかになりました。このタイプのウチワサボテンは栽培されたものが世界中で野生化しており、オーストラリアやスペインなどでも誤ってO. schickendantziiの名前で報告されています。このウチワサボテンは「Lion's Tongue」という名前で市販されていますが、起源は不明であり交配種である可能性もあります。


以上が論文の簡単な要約です。
この論文は、あまり情報がないOpuntia schickendantziiがSalmiopuntiaに属するということを示したものです。このように、少しずつ研究は進んでいます。形態学的な分類から遺伝学的な分類に徐々に移行しつつあります。Opuntiaは分解され、現在のウチワサボテンはOpuntia sensu stricto(狭義のOpuntia)となっています。ウチワサボテンの仲間全体は今どうなっているのでしょうか? これからも、徐々に調べていくつもりです。



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常々、サボテンや多肉植物の原産地の環境を詳しく知ることができたら、栽培する上で何かしらの参考になるのではないかと考えたりもします。しかし、残念ながらサボテンや多肉植物の原産地の情報というものは、調べてもよくわからないものが多いように思われます。原産地の環境を再現出来るでもなし、試行錯誤するしかないと言われてしまえば、それまでかも知れませんけどね。まあ、純粋な興味からも知りたいとは思います。とは言うものの、よくよく考えたてみると、乾燥地が原産のサボテンや多肉植物が、まったく異なる環境の日本で育つというのも不思議な話です。サボテンや多肉植物は、どの程度の環境の違いならば許容出来るのでしょうか? その回答になるかは分かりませんが、メロカクタスの本来生える環境とは異なる土壌で栽培してその影響を調べた、Maxlene Maria Fernandes & Jefferson Rodrigues Macielの2023年の論文、『Adaptive potential of Melocactus violaceus Pffeiff (Cactaceae) to clay soils』をご紹介しましょう。

現在、地球温暖化による海面上昇が懸念されており、まず起こることとして海岸線の破壊が挙げられています。海岸線に近い沿岸地域の植物の生息地が短時間で減少してしまうかも知れません。例えば、ブラジル沿岸のrestingaと呼ばれる砂地の沿岸植物が危機にさらされる可能性があります。restingaの植物群落は、草本から森林まで、いくつかの植物相からなります。restingaは海との距離に大きく影響され、高い塩分、高温、強光、強風、栄養不足、貧者な水などに対処するために、植物は適応を示します。Melocactus violaceus Pffeiffは、restingaの絶滅危惧種の1つです。M. violaceusはrestingaと川の砂丘、つまりは砂地に生えるサボテンです。特定のタイプの土壌に適応した植物は、分散力が限られます。しかし、沿岸地域の都市化に伴い、砂地の環境を失った樹木が粘土質の土壌に進出していることが観察されています。同じrestingaの白い砂地に生えるM. violaceusはどうでしょうか?

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Melocactus violaceus
Cactus melocactoidesとして記載(1923年)。


著者らはM. violaceusの種子を採取し発芽させました。発芽180日後、3種類の土壌で育てました。1つ目は砂と堆肥を等量、2つ目は粘土と堆肥を等量、3つ目は砂が1/4と粘土が1/4と堆肥が1/2とした中間のものです。栽培は180日間行われ、苗のサイズが測定されました。
栽培の結果、M. violaceusの苗の生長は、砂≧砂+粘土>粘土でした。砂質土壌がM. violaceusの実生にどって理想であることが分かります。粘土質土壌でも定着する可能性はありますが、実生の初期生長に制限を課します。砂質土壌は一般的に栄養素に乏しく、生える植物は根系が特殊化しています。M. violaceusも砂粒に強く付着する非常に発達した根系を持っています。
このような根の特殊化はDiscocactus placentiformisなどの他の種類のサボテンでも見られ、根が砂粒との付着と吸収面積を増加させる物質の放出がおきる「砂結合」と呼ばれる機能を持ちます。砂結合という適応を示す植物は、リンの取り込みに不可欠なカルボキシラーゼやホスファターゼを大量に放出します。砂結合は窒素ではなく、砂質土壌ではリンの制限に適応しています。


以上が論文の簡単な要約です。
単に環境の違いだけではなく、根の特性が環境適応の結果として異なるのですから、土壌の違いはクリティカルに生長に響くというのは納得のいく話です。とはいえ、著者らの試験では粘土質土壌でもまったく育たないわけでもありませんでした。これは、環境破壊による生息地の減少に対し、M. violaceusの環境適応への可能性を示したという趣旨なのでしょう。しかし、残念ながらそう上手くは行かないかも知れません。M. violaceusが本来の砂質土壌から追い出されて、砂質土壌ではない地域への移動をしようとしたとしましょう。その場所には環境適応した生態系がすでに存在するはずですから、後から入り込むM. violaceusは元来環境適応した植物と競争しなければなりません。果たして、出来上がった生態系に入り込むことが出来るでしょうか? 



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サボテンに限らずですが、育てている鉢植えの植物の名前というものは、我々趣味家を悩ませるものです。札落ちで名前が分からないという悩みだけではなく、純血種か雑種かすら判別が難しいことがあります。ギムノカリキウムなどは、雑種が蔓延しすぎて国内の種や品種が信頼出来ない状況に陥ったこともあります。今でも、LB2178は雑種が盛んに作られ、それらがホームセンターで堂々と「LB2178」の名前で販売されてしまっています。もはや、国内のLB2178は信頼性が皆無な状態であり、趣味家が育てている個体が本物かどうかは誰にも分からないでしょう。
混乱の元は考えなしの雑な交配と、正しい名札をつける意識の薄さがあります。サボテンは原産地では希少なものが多く、ワシントン条約で国際取引が制限されています。サボテン栽培は希少植物の保存という意味もありますから、正しい名前も保存されなくては意味がありません。本日はそんな趣味家とサボテンの名前について考察したTristan J. Davisの論文、『Don't tell me, show me: the importance of maintaining data in cultivated plants』をご紹介します。

情報は大事
多くの科学的分野と異なり、サボテンと多肉植物の学術的進歩は愛好家に依存してきました。そのため、正確な情報が含まれたコレクションには、植物の分類学や保全にとって意味があります。しかし、サボテンや多肉植物の愛好家と話すと、所有する植物の情報を保存していない様々な言い訳をよく耳にします。植物の名前のような基本的な情報さえ、負担が重すぎると考える人もいます。このような考えは、植物を純粋に審美的なものとして育てたい人には受け入れられますが、それらの人が希少植物に手を出し始めると問題が生じます。個体数を減らしている希少植物に対しては、その情報を取得して保存することに責任を感じるべきです。

学名の変更
植物の学名は変わることがあるため、愛好家は分類学者を非難したりします。とはいえ、元来分類学は絶えず変化する可能性があるものです。しかし、名前が変わる度に最新の学名に名札を変更する必要はありません。なぜなら、分類学には変更の文書化がなされているためです。植物に適切な名前が書かれている限り、いつでもその後に変更された名前を知ることが出来ます。学名が変更される度に名札を変更することを好む人もいますが、必要ではありません。学名が変更される度に名札を書き換えるなら、元々の名前も併記するべきです。ある植物が亜種だとか変種とされたり、後に独立種となったりすることはよくあります。この時に、元の情報が失われるとその植物が本来何を指していたのか分からなくなってしまいます。

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Loxanthocereus(右下)

学名の誤り
そもそも名前に誤りがある場合もあります。例えば、Karel Knizeの種子コレクションではペルーのSamneから採取されたBorzicactus samnensis F. Ritterとされる植物が配布されてきました。B. samnensisは紫色の花を咲かせます。しかし、著者が育てたところ、赤橙色の花を咲かせました。特徴的にはLoxanthocereusです。産地情報から調べると、SamneからはLoxanthocereus parvitesselatus F. Ritterが分布していることが分かりました。Knizeは同じ地域から採取された他の植物とコレクションを混同した可能性があります。

入手経路とコミュニティ
どこで、いつ、誰から入手したのか、という情報はあまり評価されていません。しかし、これは最も簡単に入手可能な情報です。
また、愛好家同士のコミュニケーションの促進にも役立ちます。植物の情報は愛好家による植物に対する理解を高め、関心を持つ愛好家コミュニティによる教育にも役立ちます。


疑わしい名前
著者は誤った名前で販売されている珍しいサボテンを見つけました。Siccobacatus estevesii、Pilosocereus chrysostele、Spephanocereus leucostele、Browningia hertlingiana、Oroya peruvianaなどです。
さらに、一見して正しい種に見えたとしても、似たような特徴の別種があるのかも知れません。基本的に重要な特徴は花ですから、未開花個体を適切に識別出来たと確信することは出来ません。また、栽培環境は自然環境とは異なるため、姿が異なることもあります。

インターネット上の怪しい情報
ウェブ上の情報は不正確で誤解に満ちているため、役に立たず混乱を招くだけです。オンラインコミュニティで「専門家」とされるような人たちは、正当な理由もなく古い考えや反証された識別法に固執しています。

サボテン愛好家と研究者
情報の維持は保全にとっても重要です。正確な情報を持つ植物園の植物たちは貴重です。適切な産地情報がある植物は、植物の原産地への再導入の取り込みにも使用可能です。
また、愛好家の育てているサボテンを用いた研究もあります。例えば、Copiapoaの産地情報から気候変動にどのように反応するのかを評価する研究が知られています。
サボテン愛好家の育てている植物の情報の保存は、絶滅が危惧されている植物にとって明らかに重要です。また、資金不足に悩ませられている科学者たちにとっても、重要な研究対象となります。サボテンの大多数が気候変動、環境破壊、密猟により重大な危険にさらされていることを考えると、情報を維持する努力をするべきでしょう。


最後に
学名は常に変わる可能性があります。私のブログでは、学名の変遷を扱った記事がかなり多いのですが、経験上1種類の植物に数十もの異名があることは珍しくありません。情報が増えたり、新たに詳細な研究がなされれば、これからも学名は変更されるでしょう。我々趣味家からしたら、学名は外見上はとても不安定なものです。しかし、新基準の学名が提唱された場合、過去に命名された学名と同一でありそれらは異名である旨が記載されます。ですから、分類学者は学名がどう変更されようが、その情報に簡単にアクセス出来るため、我々趣味家のように惑わされることはないのです。
対して我々趣味家は、論文の情報を追跡するのは中々ハードルが高いように思われます。論文は公的な意味合いもあり基本的に無料で一般公開されているものがほとんどです。しかし、最近は有料の論文が多くなってしまっています。私も相当な数の論文を諦めました。しかも悪いことに、ウェブ上の情報は入り乱れており、誤りが目立ちます。信頼のおけるサイトを探すのも一苦労です。何か学名が気になる、分からない、最新情報にアップデートしたいと考えられている方も多いでしょう。

この論文では情報の重要性を語っていますが、私の管理方法は3つからなります。1 つはラベルです。ラベルには購入時に記載された学名と、あれば和名、さらに入手年月日を記入しています。2つ目はノートへの記録です。ノートにイベントや園芸店の名前と訪れた日、購入した植物の名札に記入された名前、現在認められている学名を記入します。3つ目はこのブログです。ラベルの日付を見れば、ブログやノートから入手したイベントが割り出せる仕組みとなっています。手っ取り早いのは、ブログで日付で検索したら簡単に情報が出て来ます。ブログは写真つきなので便利です。とはいえ、電子データは消えてしまう可能性がありますから、一応はノートも予備として記録しています。ご参考までに。



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マダガスカルと言えば、花キリンなどの固有のユーフォルビア、固有種のアロエ、パキポディウム、DidiereaやAlluaudia、着生ランなど、とにかく珍しい植物の宝庫というイメージです。しかし、一般的にマダガスカルと言えばキツネザルをイメージするかも知れません。私もDidierea-Alluaudia林に住むキツネザルは、果たしてあのトゲトゲの幹に掴まって平気なんだろうかと、余計な心配をしたりもしました。さて、そんな中、キツネザルと植物の関係について書かれた興味深い論文を見つけましたのでご紹介します。それは、Jen Tinsmanらの2017年の論文、『Scent marking preferences of ring-tailed lemurs (Lemur catta) in spiny forest at Berexty Reserve』です。

キツネザルのマーキング行動
キツネザルはすべての霊長類の中で、最も複雑なマーキング行動を行います。群れのナワバリや、配偶者へのアピール、同じ性別の中での順位など、様々な社会状況に香りを使用します。過去にワオキツネザルで実施された研究では、マーキングをする際の特定の植物に対する選好は見られませんでしたが、垂直な茎に対する強い選好が見られました。しかし、観察されたのは雨季の森林内で、樹上での行動でした。ワオキツネザルは乾季には、乾燥しトゲだらけのDidierea-Alluaudia林に移動します。乾季ではマーキングする植物に選好はあるのでしょうか? 

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ワオキツネザル  Lemur catta
『Histoire phyrique: naturelle et politique de Madagascar』(1890年)より


ワオキツネザルに好みあり
ワオキツネザルが出産する乾季に、Berenty保護区で観察されました。雌6頭、雄7頭、若い雄2頭の計15頭の群れを追跡しました。著者らはマーキングの跡の調査と、100例の実際のマーキング行動を観察しました。
調査では1534属の植物を確認しましたが、最も頻繁にマーキングしたのはUncarinaでした。Uncarinaは調査地域の植物の6%を占めるに過ぎませんが、マーキングされた植物の65%を占めました。Albizia、Azadiractha、Catharanthus、Celtis、Fernandoa、Moringaも、よりマーキングされました。逆に、Alluaudia、Commiphora、Euphorbiaは個体数に比較してマーキングされませんでした。

選ばれる理由・選ばれない理由
実際のマーキング行動の観察では、その65%が分岐した植物を選んでいました。Uncarinaの85%は二股に分岐しているため、ワオキツネザルに好まれているのかも知れません。
AlluaudiaやCommiphoraはトゲがあるため、避けているのかも知れません。また、ユーフォルビアはトゲがない滑らかな外見上はマーキングに適した植物でも、ワオキツネザルは避けました。ユーフォルビアの刺激のある乳液を嫌がっているのかも知れません。
興味深いことにUncarinaはの樹液は独特の臭気があります。Uncarinaの臭気がマーキングの効果に影響を与えている可能性もあります。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
乾季のワオキツネザルは、マーキングする植物に好みがあることが明らかになりました。また、著者らは、ワオキツネザルが片手で枝を掴んでバランスを取りながらマーキングする行動を観察しており、それが二股の植物が選ばれる理由かも知れないと述べています。しかし、なぜUncarinaなのかは、化学的な研究と、ワオキツネザルに対する行動試験をして、確かめる必要がありそうです。



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