ユーフォルビア・オベサ・ドットコム

昨日に引き続き、多肉植物の室内への移動というか、避難をしています。サボテンはそれほどありませんが、ギムノカリキウムは平たい小型種を少し集めています。大型のサボテンは冬でも戸外で、簡単な霜除け位で冬越ししています。おそらくは平気だとは思うのですが、最近集めた小型のサボテンは冬に耐えられない気がしますから、念のため室内に取り込みました。

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隙間なく並べるのに手間取りました。

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Gasteria carinata
はじめて花芽が上がってきました。


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Haworthiopsis fasciata
DMC05265というフィールドナンバー付き。花茎が伸び続けています。曲がりくねっていますが、長さを測ってみたら116cmもありました。まだ咲き続けるようです。


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十二の巻きではない、本物のH. fasciataです。ちなみに、十二の巻きはH. attenuata系です。

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Gymnocalycium erinaceum
WR726Bというフィールドナンバーつき。細かいトゲが多くあまりギムノカリキウムらしさがない姿が魅力。


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Gymnocalycium anisitsii subsp. damsii
VoS03-040というフィールドナンバーつき。ラベルには、G. damsii subsp. evea var. torulosumというよく分からない名前が書いてありました。
いわゆる麗蛇丸G. damsiiは、翠晃冠G. anisitsiiの亜種G. anisitsii subsp. damsiiとされているようです。相変わらずギムノカリキウムの分類は混乱しています。とはいっても、学名はそのうちまた変わる気がして、今一つ信頼性がないですよね。ギムノカリキウムについては細かい研究はあまり進んでいない感じがします。


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大型鬼胆丸 Gymnocalycium gibbosum var. nigrum
九紋竜G. gibbosum系は過去に命名された亜種や変種の大半は現在認められていせん。鬼胆丸G. brachypetalum(=G. gibbosum var. brachypetalum)とG. gibbosum var. nigrumは同種と言われていました。G. gibbosum var. nigrumは大型鬼胆丸の名前で購入しましたが、九紋獅子、黒鷲玉、黒瞳玉など様々な名前で呼ばれているらしいです。よくわからないですね


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Gymnocalycium gibbosum var. borthii
かつてG. borthiiと呼ばれていましたが、現在は九紋竜G. borthiiの唯一認められた亜種とされています。あまり九紋竜には似ていませんが…

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Gymnocalycium ochoterenae var. cinereum
var. cinereumは黒っぽい肌と根元が黒いトゲが特徴と言われています。でも何故か私のvar. cinereumはトゲが白いんですよね。どちらかと言えば守殿玉G. bodenbenderianumに似ています。そもそも、現在はG. ochoterenaeに亜種・変種は認められておりません。本当にギムノカリキウムは泥沼の世界ですね。


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Euphorbia gymnocalycioides
ギムノカリキウムに似たユーフォルビア。種小名の"-oides"は「~に似た」という意味ですから、「ギムノカリキウムに似た」という意味です。6月に購入した時には、何故か根があまりない状態でしたが、現在はしっかりと根が張りました。とはいえ、エチオピア高地原産の難物なので、正木でどこまで持つかわかりませんが…


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先週は寒さに弱いユーフォルビアたちを室内に取り込みました。しかし、HaworthiopsisやGasteriaはまだ外にあります。ハウォルチアの棚を簡易フレーム化する企みも当初はありましたが、結局のところ準備が間に合わず企画倒れとなってしまいました。仕方がないので、室内に避難させます。寒さに強いものもあるのかもしれませんが、私の居住地は最低気温がマイナス7℃になったこともある土地柄ゆえ、いきなり本番は怖いところです。もう少し、じっくり計画を練り直してみます。

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慌てて取り込んだので、とにかく詰め込みました。なんか、ごちゃごちゃしてますねぇ…

とりあえずは軟葉系ハウォルチアから。Haworthia sensu stricto(狭義のハウォルチア)は、透き通った透明な窓や、糸のような禾(ノギ)があります。あまり軟葉系は詳しくないのですが、個人的には禾が長いタイプが気になっています。
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Haworthia herbacea
ヘルバケアは小さな透明な窓が沢山あるタイプです。禾はオマケ程度。子を2つ吹きました。


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Haworthia arachnoidea
私のアラクノイデアは先端に少し窓が入るタイプです。禾がきれいです。Euphorbia susannaeとともに自生します。


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Haworthia maraisii var. notabilis
JVC87/197というフィールドナンバー付き。非常に整ったロゼットです。見えませんが小さい子が出来ています。


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Haworthia mucronata var. mucronata
JDV90/111というフィールドナンバー付き。全体的に少し透き通った感じがあります。なんとなく水っぽい葉です。よく増えます。


お次は硬葉系ハウォルチア=Haworthiopsis。
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Haworthiopsis koelmaniorum
Haworthiopsisの中でも、遺伝的に少し離れています。上面全体が窓になっています。


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竜城 Haworthiopsis tortuosa
実は交配種らしいです。ですから、現在H. tortuosaという学名は認められておりません。H. viscosa系ですかね? 詳しくは調べておりません。


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五重の塔 Haworthiopsis viscosa
生長はゆっくり。普及種ですが、色合いがいいですね。

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"Haworthiopsis triangularis"
実はH. triangularisという学名は存在しないので、こいつは名無しです。おそらくはH. viscosa系の園芸種。

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Haworthiopsis reinwardtii f. kaffirdriftensis
f. kaffirdriftensisは詰まった形が美しいですね。


ガステリアも少々。
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Gasteria baylissiana
小型で群生するタイプのガステリア。いくらでも増えます。また、ガステリアでは珍しく、成熟しても葉が回転しません。
浅い鉢に植えたせいか、実は根が沢山はみ出しています。しかし、ガステリアは浅い鉢に植えるように書いてあるサイトが海外だとたまにあります。ガステリアは太く長い根が伸びますから、深い鉢がいい様な気がしますが…



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昨日はAgave macroacanthaの受粉を行う動物を調査する論文をご紹介しました。2000年に出されたSantiago Arizaga, Exequiel Ezcurra, Edward Peters, Felnando Ramírez de Arellano & Ernesto Vegaによる『POLLINATION ECOLOGY OF AGAVE MACROACANTHA (AGAVACEAE) IN A MEXICAN TROPICAL DESERT』という論文です。
論文は二部構成で、昨日の
第1部では重要なポリネーター(花粉媒介者)は日中の訪問者である蜂やハチドリではなく、夜間に花を訪れる蛾やコウモリであることが示されました。第2部は『II. THE ROLE OF POLLINATORS』という題名で、夜間のポリネーターである蛾とコウモリのAgave macroacanthaの花の受粉への影響を調べています。

幾つかの論文で、Agave亜属ではコウモリによる受粉が指摘され、トゲが多いAgave(主にLittaea亜属)は昆虫により受粉がなされると指摘されています。しかし、それらはコウモリが花を訪れていたという観察記録であり、昨日の第1部で見た通り花を訪れたからといって種子が出来るわけではないことを考えれば、Agaveの受粉への実際の影響力は不明瞭でした。また、夜行性の蛾の受粉への影響は、Yucca以外ではあまり詳しい調査はなされていないようです。蛾が夜間にAgaveの花を訪れているという報告はありますが、やはり受粉への寄与についてはよくわかっておりません。

調査した結果、蛾やコウモリが訪れた花に出来た果実は、コウモリが訪れた花は蛾が訪れた花の2倍以上の種子が出来ていることが確認されました。よって、Agave macroacanthaの受粉にとって最も重要なポリネーターはコウモリであることがわかりました。
さらに、Agave macroacanthaを訪れたコウモリは、Leptonycteris curasoaeとChoeronycteris mexicanaの2種類でしたが、LeptonycterisはChoeronycterisより20%も多くの種子生産に寄与しました。

近年の調査では、Leptonycterisの個体数が著しく減少しており、牧畜や農業開発、伐採による環境の悪化や、事情はよく分かりませんが洞窟での直接殺害さが要因とされています。そのため、アメリカでは絶滅危惧種に指定されています。LeptonycterisやChoeronycterisは渡り鳥のように季節的に移動するため、その行き先のどこか1つの環境が悪化すると個体数が減少し、移動した他の地域の受粉にも悪影響を及ぼす可能性があります。当然ながら、これらのコウモリに依存的な柱サボテンやアガヴェは、受粉の成功率が減少し、やがて個体数も減っていくことでしょう。

以上が論文の簡単な要約です。コウモリ媒花という面白い現象がある一方、アガヴェの未来は明るくなさそうであるという厳しく現実があります。自然の生き物は種を超えて繋がりを持って生きていますから、コウモリとアガヴェのように連鎖的な減少が起こる可能性もあります。しかも、そのような関係が判明していない生き物も沢山ありますから、いつの間にか気付かない間に崩壊しているかもしれません。あまり具体的なことは書かれていないので詳しいことはわかりませんが、自然に生えるアガヴェの美しい姿をいつまでも見られる未来であって欲しいものですね。


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アガヴェはメキシコを中心としたアメリカ大陸に分布する多肉植物です。最近は多肉植物の中でもアガヴェが非常に人気で、園芸店でも見かけることが増えましたし、都内ではアガヴェの販売イベントも開催されているようです。アガヴェは若い人に人気がありますから、イベントもフットワークが軽く、昔からあるサボテンの即売会とは隔世の感があります。
さて、私自身はアガヴェを集めるつもりはないのですが、訳あって現在2種類のアガヴェを育てています。別に購入した訳ではなく、今年の多肉植物の即売会に行った際にオマケとしていただいたものです。なんとなく育てていますが、育てている以上はアガヴェについて多少なりとも気になります。何か面白い論文はないかと調べてみました。

そんなこんなで見つけたのが、2000年に出されたSantiago Arizaga, Exequiel Ezcurra, Edward Peters, Felnando Ram
írez de Arellano & Ernesto Vegaによる『POLLINATION ECOLOGY OF AGAVE MACROACANTHA (AGAVACEAE) IN A MEXICAN TROPICAL DESERT』という論文です。論文は2部に分かれており、本日は第1部である『I. FLORAL BIOLOGY AND POLLINATION MECHANISMS』についてご紹介します。第1部はAgave macroacanthaの花を訪れる動物を調査し、その中から実際に受粉により寄与した動物を突き止めることを目的としています。

調査はメキシコのTehuac
àn市の30km南にあるZapotitlàn Salinasで1994年の5月から9月に実施されました。植生は巨大な柱サボテンであるNeobuxbaumia tetetzoが優勢な乾燥地です。雨季は夏で5月下旬から9月下旬位です。
実験は個体密度が低いため、半径5km以内の16個体のAgave macroacanthaを観察区域内に移植し、もとから自生していた16個体と合わせて計32個体としました。ちなみに、アガヴェの花茎は放っておくとヤギにすべて食べられてしまうらしく、アガヴェは柵で囲んだそうです。

A. macroacanthaの花を人工的に受粉させた場合、自身の花粉ではほとんど種子は出来なかったそうです。A. macroacanthaは自家受粉はしない植物だと言えますから、ポリネーター(花粉媒介者)に依存して繁殖していることがわかります。
A. macroacanthaの花を訪れる動物を調べたところ、日中は9種類の蜂と蝶、ハチドリが訪れました。夜間には5種類の蛾と2種類以上のコウモリが訪れました。では、日中と夜間では、どちらの訪問者が受粉のために、より寄与しているのでしょうか。
それはポリネーターが訪れた花に、ちゃんと種子が出来るのか否かで判定しました。日中のポリネーターが訪れた花は、実験的にネットをかけてポリネーターが訪れないようにした花と同じで、ほぼ種子は出来ませんでした(※まれに風で受粉することもあり、完全にゼロにはならない)。夜間にポリネーターが訪れた花は、人工的に受粉を行った花と同じで、沢山の種子が出来ました。ちなみに、
花の蜜の分泌量を調べると、どうも夜間に沢山出ているようです。ということは、A. macroacanthaの受粉にとって重要なのは夜間に花を訪れるポリネーターということになります。

ここで疑問が湧きます。なぜ、日中の受粉はことごとく失敗するのでしょうか? 著者の仮説は、日中のポリネーターである蜂はサイズが小さいことが問題ではないかとしています。例えば、1981年のHowell & Rothの論文では、Agave palmeriを訪れる蜂やハチドリは受粉に寄与するような雌しべとの接触が最小限であったことが示されました。これは、私が考えるに、蜂やハチドリは蜜の採取者としては正に専門家=スペシャリストですから、うまく蜜だけを掠めとることができるということではないでしょうか。スペシャリストはその分野においては洗練されていますから、無駄が少なくなります。私も過去の記事でアロエと太陽鳥の関係性についての論文を紹介しましたが、その時も蜜を吸うスペシャリストである太陽鳥はアロエの受粉に寄与せず、蜜の専門家ではないヒヨドリは要するに採蜜が下手なので花粉だらけになりながら蜜を吸い、アロエの受粉に寄与しているらしいのです。では、重要な夜間のポリネーターは誰なのでしょうか? 蛾は蜂と同様に小さく受粉を行うのは難しい可能性もあります。ということは、残った選択肢はコウモリということになります。コウモリによる受粉は聞きなれないかもしれませんが、柱サボテンなどはすでにコウモリ媒花が知られています。同じメキシコですから、それほどの不思議ではないでしょう。一応、論文では蛾の可能性も残しているようです。
ただし、すべてのアガヴェがコウモリ媒花というわけではなく、蛾が主体の虫媒花も知られています。著者は亜属により異なるのではないかと推測しています。

以上が論文の簡単な要約です。あまり知られていないコウモリ媒花という事実は単純な面白さがあります。また、日中の受粉への寄与が少ないことを示唆していますが、これは非常に重要なものでしょう。なぜなら、このことが解明していないと、コウモリも受粉に関与しているであろう可能性を指摘することしか出来ないのです。
明日は2部に分かれている論文の第2部についてご紹介します。


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多肉植物たちも1年経てば、それぞれの速度で生長していきます。私の育てている多肉たちも、生長が早いもの遅いもの、去年はいまいちでも今年はよく生長したもの、逆に去年はよく生長したのに今年はいまいちだったものなど、一株一株皆異なり様々です。
最近、寒くなり室内に多肉植物たちを取り込みましたから、毎日じっくり見る時間が出来ました。普段は帰宅すると暗くてよく見えず、休日に見るくらいですが、暑いわ蚊は出るわで中々じっくり多肉植物たちを見られませんでしたから。
寒さによって生長は鈍り、種類によっては完全に生長が止まったものもあるでしょう。この1年の生長を振り返る良い機会です。本日は我が家のアロエについて、少し振り返ります。まあ、それほど沢山のアロエを育てているわけではありませんが、アロエは丈夫なものが多く生長も早いので、なんと行っても目に見えて大きくなりますから育てる喜びがあります。そんな我が家のアロエたちを少しご紹介しましょう。

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2021年の12月に千葉で開催された木更津Cactus & Succulentフェアで購入したAloe pegleraeです。まだ若く葉の枚数が少ないため、A. pegleraeらしさはありません。

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最近のAloe peglerae。見違えるように葉が増えました。葉の枚数が増えたので、葉がやや内側に巻いてきて、少しA. pegleraeらしくなってきました。トゲも強くなり、赤味が増して荒々しさが出ています。

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同じく2021年の12月のCactus & Succulentフェアで入手したAloe spectabilisです。A. pegleraeを購入したオマケでいただいた抜き苗です。真冬に植え込みましたから少し心配でした。
二列性と言って、アロエは苗の頃は葉が左右に並びますが、ご覧の通り見事な二列性の苗でした。

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最近のA. spectabilis。葉が旋回を始めました。葉の幅がかなり広くなり、A. spectabilisらしさが出てきました。まあ、A. spectabilisは高さ5メートルになる巨大アロエですから、まだまだ赤ちゃんみたいなものでしょうけど。

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2022年の2月に鶴仙園池袋店で購入したAloe somaliensis。冬なので乾かしぎみ、あるいは断水管理なのかもしれません。カリカリに乾いて、葉が巻いています。

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夏のA. somaliensis。あまりの強光に焦げて外側の葉をやられてしまいました。

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最近のA. somaliensis。焦がしてから遮光して、ようやく落ちつきました。来年は葉の枚数を増やしたいものです。

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2020年の1月に埼玉のシマムラ園芸で購入したAloe aristata。今は属が変更されてArirtaloe aristataです。カチカチに硬いタイプです。
※おそらくはGasteriaとの交配種の可能性あり。

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最近のA. aristata。すっかり葉が増えて同じ種類には見えません。隠れていますが、根元から幾つか小さい子を吹いています。

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2022年の4月に五反田で開催された春のサボテン・多肉植物のビッグバザールで購入したAloe parvula。寒さにすっかり赤くなっていました。写真ではわかりませんが、葉先はだいぶ枯れ込んでいました。凍みてしまう一歩手前に見えましたが、さてどうなるやら。

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最近のA. parvula。中々、赤味が抜けなくて苦労しましたが、ご覧の通り葉も増えて美しい緑色を取り戻しました。こういうしなやかな葉のアロエは気に入っています。

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2020年の3月に横浜のコーナン港北インター店で購入したAloe haworthioides。柔らかい小型アロエです。この時点では3株でした。

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最近のA. haworthioides。8株に増えました。

室内に取り込んだ多肉植物を眺めていると、ああ随分生長したなあと思います。今回、あまり変わっていなように見えても、昔の写真と比較すると思いの外生長していて驚いたりもしました。
そういえば、我が家の多肉植物に冬型はほとんどありません。ですから、基本的に冬はお休みの季節です。ブログも論文の紹介などがメインになるかもしれません。 

論文の紹介は私の記事としてはあまり人気はありませんが、重要なことが書かれており、私は個人的に面白くて仕方がないので是非内容を共有したいと考えています。学術論文だからと言って真面目に構えて読む必要はなく、流し読む位の気楽なものと捉えてほしいのです。科学研究は研究者だけの独占物ではなく、社会に還元することが求められます。それは、必ずしも実社会で実用的である必要はなく、書籍や大学のホームページなどで研究成果を説明していただくだけでも意味があると思います。しかし、すべての研究者の業績が書籍となるわけではなく、若手研究者や海外の研究については学術論文以外では知る術がないのが現状です。といったところで、学術論文を検索するのはハードルが高いかもしれません。ですから、あくまで私の興味のある部分だけではありますが、多肉植物の論文をこれからも紹介していきたいと考えております。



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最近、Bowiea volubilisについて少しずつ調べています。Bowieaは葉のないモジャモジャした蔓を伸ばす緑色の玉葱のような球根植物です。アフリカでは薬草として利用されてきたことや、現在はB. volubilisの亜種とされているsubsp. gariepensisについても記事にしました。実際の薬理作用についても気になるところで、良さげな論文がありましたら記事にしてご紹介出来ればと考えております。
Bowieaにはもうひとつ、Bowiea kilimandscharicaという小型種があります。しかし、このB. kilimandscharicaは現在ではB. volubilisと同種とされ、B. kilimandscharicaという学名は異名とされています。しかし、小型であること位しか情報がありません。何か情報はないかと調べても、B. kilimandscharicaについては、何故かよくわかりません。せめて、B. kilimandscharicaが初めて記載された論文を探してはみたものの、1934年に出版されたドイツ語の「Notizblatt des Botanischen Gartens und Museums zu Berlin-Dahlem.」という雑誌らしいのですが、PDF化されていないのか見つかりません。まあ、探し方が悪いだけかもしれませんが…
 
しかし、調べる過程でBowieaを含むアフリカの球根植物の分類に挑戦した論文を発見しました。B. kilimandscharicaの調査は続行するとして、本日はアフリカの球根植物についての論文をご紹介します。

ご紹介するのは、Mario Martine-Azorin, Manuel B. Crespo, Maria Angeles-Vargas, Michael Pinter, Neil R. Crouch, Anthony P. Dold, Ladislav Mucina, Martin Pfosser & Wolfgang Wetschnigの2022年の7月に出たばかりの論文『Molecular phylogenetics of subfamily Urgineoideae (Hyacinthaceae) : Toward a coherent generic circumscription informed by molecular, morphological, and dirtributional data』です。
内容はキジカクシ科Urginea亜科(ヒヤシンス亜科)植物の遺伝子解析による分子系統を構築し、今後の分類の改訂を提案してあるようです。大変力が入った研究で、内容や議論されている内容をつぶさに検討すると、大変なボリュームとなってしまいますから、私の記事では分子系統を示すに留めたいと思います。まあ、球根類には詳しくないので、よく分からないという部分も大なのですが…

Urginea亜科の分子系統
                            ┏Austronea
                        ┏┫
                        ┃┗Fusifilum
                        ┃
                    ┏┫    ┏Boosia
                    ┃┃┏┫
                    ┃┃┃┃┏Fusifilum magnifium
                    ┃┗┫┗┫
                    ┃    ┃    ┗Urginea revoluta
                    ┃    ┃
                ┏┫    ┗Geschollia
                ┃┃
                ┃┣Urgineopsis
                ┃┃
                ┃┣Drimia
                ┃┃
                ┃┣Litanthus
                ┃┃
                ┃┣Schizobasis
                ┃┃
                ┃┣Rhadamanthopsis
                ┃┃
                ┃┃┏Rhadamanthopsis
                ┃┣┫          namibiensis
                ┃┃┗Aulostemon
                ┃┃
                ┃┣Squilla
                ┃┃
                ┃┣Tenicroa
                ┃┃
                ┃┗Rhodocodon
                ┃
                ┃    ┏Ebertia
                ┃┏┫
                ┃┃┗Vera-duthiea
                ┃┃
                ┃┃        ┏Indurgia
                ┣┫        ┃
                ┃┃    ┏┫┏Spirophyllos
                ┃┃    ┃┗┫
            ┏┫┃┏┫    ┗Urginea
            ┃┃┃┃┃
            ┃┃┗┫┗Iosanthus
            ┃┃    ┃
            ┃┃    ┃┏Sekanama
            ┃┃    ┗┫
            ┃┃        ┗Zulusia
            ┃┃
            ┃┃        ┏Ledurgia
            ┃┃        ┃
            ┃┃    ┏╋Thuranthos
        ┏┫┃    ┃┃
        ┃┃┃┏┫┗Zingela
        ┃┃┃┃┃
        ┃┃┗┫┗Urginavia
        ┃┃    ┃
    ┏┫┃    ┗Sagittanthera
    ┃┃┃
    ┃┃┗Striatula
┏┫┃
┃┃┗Mucinaea
┫┃
┃┗Rhadamanthus

┗Bowiea


馴染みがない名前が多いのですが、南アフリカなどのアフリカの冬型球根としては、Drimia、Urginea、Schizobasisあたりは辛うじて知られています。最近ではケープバルブも見かけるようになってきましたから、聞いたことがあるものもあるかもしれません。しかし、ケープバルブと言っても、要するに南アフリカの冬型球根の総称ですから、分類すると特に近縁ではないいくつものグループが含まれています。この論文では扱われていない種類も沢山あります。

気になるBowieaについてですが、この論文ではB. gariepensisもB. kilimandscharicaも独立種とされています。分子系統を見ると、B. volubilisとB. kilimandscharicaは近縁で、B. gariepensisの2株は少し離れています。現在のところは、B. kilimandscharicaはB. volubilisに含まれてしまい、B. gariepensisはB. volubilisの亜種とされていますが、3種類の関係性は分子系統の結果と符合します。特徴や分布が異なり、生殖隔離もあるようですから、3種は別種としても良いのでないかと思います。そもそも、Bowieaの種の認定を左右する根拠は1987年のBruynsの論文によるものでしょうから、遺伝子解析が発達した近年の研究により改訂されるべきでしょう。この論文は2022年の最新のものですから、今後学名の変更の可能性はあります。ただし、そのためには様々な地域のB. volubilisとB. kilimandscharicaを比較して、B. kilimandscharicaがB. volubilis集団から明瞭に分離できるということが求められるかもしれません。

Bowieaの分子系統
                    ┏B. gariepensis 1
┏━━━━┫
┃                ┗━━B. gariepensis 2

┃    ┏━B. kilimandscharica
┗━┫
        ┗━━━━B. volubilis


以上が論文の内容ですが、本当に一部のみの抜粋です。論文では様々な議論が展開されています。著者は分類群を統合する分類学の流れに対し、意義を唱えています。例えば、一塊の分類群は「教育目的にはより実用的」(Chase et al., 2009)であるとか、分類群は「数が少ないほど扱いがより安定する」(Manning et al., 2004, 2009)と述べられています。しかし、その議論はあまりに推測的で不当ではないか、科学的根拠に欠けるのではないかと、著者は考えているようです。


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Euphorbia susannaeは南アフリカ原産のユーフォルビアです。日本では実生苗が大量に出回っているため、すでに普及種として安価で入手可能です。瑠璃晃なる名前も付けられており、園芸店で販売されているE. susannaeに差してある名札によく書かれています。
しかし、驚くべきことに、E. susannaeは絶滅が危惧されている希少な植物であるというのです。
E. susannaeを普及種だと思っている我々日本人からすると、実に意外な話です。

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瑠璃晃 Euphorbia susannae
強い日照を浴びて赤みが増しています。E. susannaeは栽培下では子を盛んに吹いて群生します。しかし、私は栽培条件を厳しくしているため、あまり子を吹きません。現在、直径6cmですが、偏平な形を維持しています。


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子株に花が咲いています。下の葉は雑草なので気にしないように。

さて、本日ご紹介するのはLaaiqah Jabar, Stefan John Siebert, Michele Franziska Pfab, Dirk Petrus Cilliersの2021年の論文、『Population biology and ecology of the endangered Euphorbia susannae Marloth, an endemic to the Little Karoo, South Africa』です。

論文は南アフリカのE. susannaeの自生地を調査することにより、生息環境と個体数の把握を目的としています。南アフリカの希少植物はあまり調査がなされていないため、先ずはその実態を把握するための研究と言えます。
調査によると、E. susannaeはLangebergの北麓に8亜集団が確認されました。分布の東西の幅は、わずか32kmでした。また、集団が道路などのインフラにより分断されてしまっている自生地もありました。調査では野生のE. susannaeの全個体数をカウントしておりますが、なんとE. susannaeの野生株はわずか1845個体に過ぎないことが明らかになりました。保護区域内は良いてして、人が立ち入りやすい区域では盗掘による被害が以前より知られていたそうです。また、牛の踏みつけによる損傷も観察されました。

E. susannaeの自生地は石英からなる砂利と石からなる白い土壌です。何でも、太陽光線を反射することにより土壌の温度を下げる効果があるそうです。
また、E. susannaeの3/4は日陰で生長していることが明らかになりました。その多くは低木の下で、Haworthia arachnoideaとともに育ちます。低木は茂みを作るキク科のDicerothamnus(Elytropappus) rhinocerotisが多いようです。


E. susannaeの花に訪れるのは、その86%はアリでした。E. susannaeはアリにより受粉する虫媒花である可能性が高いとされているようです。また、甲虫類(7%)やハエ(7%)もE. susannaeの花に訪れていました。少し気になったのは、ここでいう「ハエ」はハナアブを含むのかどうかです。論文では、ただ"flies"とあるだけですが、こういう英語の機微はよくわかりません。
ユーフォルビアは一般的に種子が成熟すると、種子を遠くに撥ね飛ばします。それはE. susannaeも同様で、0.6~2.5m以内に種子を飛散させるそうです。しかし、種子に綿毛をつけて風で飛ばしたり、鳥などの動物に運んでもらう他の植物の戦略と比較すると、E. susannaeの種子の分散距離は短いと言えます。これは、親株の近くの方が生育できる環境である確率が高いからかもしれません。乾燥地域の厳しく環境では、例えば低木の下の日陰以外では実生が育たない可能性が大きいでしょう。要するに、種子の落ちる場所はどこでもいいわけではないということです。
また、種子にはelaiosome(種子に着いている栄養分でアリはelaiosome欲しさに種子ごと巣に運ぶ)がないとされていることから、myrmecochory(アリによる二次散布)の可能性は低いと言われていますが確認はされていないようです。アリが地下にある巣に運んでくれると、自動的に地中に埋められることとなり、地上よりも涼しく湿った環境で発芽することができる可能性が高くなります。


どうやら、カナダとアメリカからE. susannaeが大量に世界市場への大量輸出があったようです。これは、あまりに大規模だったため、著者は組織培養による増殖の可能性があるとしています。他の方法ではここまで急激な増殖は難しいとしています。そのため、ここ10年で違法採取は緩和したと見られています。やはり、実生にしろ組織培養にしろ、大量に生産されて普及してしまえば、わざわざ違法採取株を購入する必要がなくなります。市場価格も低下しますから、違法採取の旨味も減じることでしょう。

論文の内容は以上です。今回の調査で、野生での絶滅が危惧されるE. susannaeは2000個体を切る危機的な状況であることが明らかとなりました。しかも、保護されている環境にあるのは、わずか20%に過ぎないこともわかりました。野生生物が現在置かれている状況を先ずは把握しないと、効果的な保護活動は難しいものとなります。そのため、非常に精度の高いこの調査は大変価値が高いものでしょう。貴重な野生のE. susannaeが絶滅しないことを切に願っております。


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相も変わらず、ユーフォルビアの室内への取り込みをしています。しかし、ようやく終了です。毎年面倒ではありますが、多肉植物の状態や生長をまじまじと見られる良い機会だと割りきって作業しています。

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ゼブラホリダ Euphorbia polygona var. ???
むやみやたらに花が咲くので、花殻が濡れて汚い感じになってしまいます。ビニールを張って雨が当たらないようにしていますが、霧雨だったり風が強いと雨が吹き込んで濡れてしまいます。中々綺麗に育てるのは難しいですね。
ゼブラホリダはE. horrida var. zebrinaとか言われていましたが、ホリダ自体がE. polygonaの変種になってしまったので、名無しになってしまいました。しかし、ホリダは花が緑色でポリゴナは紫色とか言われますが、全然関係ないように見えます。何せゼブラホリダもアノプリアも花は紫色ですからね。

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紅ホリダ
ホリダE. polygona var. horridaと紅彩閣E. hepatogona(=E. enopla)の交配種。紅彩閣よりも太く、少し白い粉をまといます。ホリダの根元から子吹きする性質と、紅彩閣の枝分かれしやすさが合わさって、みっちりした姿になりました。

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紅彩閣 Euphorbia heptagona
紅ホリダと比べると細長く育ちます。紅彩閣はE. enoplaとされますが、E. heptagonaが正式な学名です。

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Euphorbia polygona var. anoplia
E. anopliaからポリゴナの変種になりました。野生個体は見つかっていないので、トゲと白い粉がない矮性のタイプなのでしょう。
しかし、際限なく子を吹くので、鉢が歪んでしまっています。キリがないので、来年の植え替えではすべて外します。

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以前に間引いたアノプリアの子を植えましたが、小さいのに花も咲いて子を吹いています。


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群星冠 Euphorbia stellispina
トゲが特徴的です。トゲは花柄の跡ですが、画像を検索するとトゲは割とまばらになりがちみたいですね。私は厳しく育てトゲが詰まった株を目指しています。この冬に出るだろう新しいトゲが綺麗に出たら、全体的にトゲで覆われたかなり見られる株になるでしょう。


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飛竜 Euphorbia stellata
購入時に、何が気に入らないのかこじれてしまい、生長が思わしくありませんでした。今年の春に植え替えてからは割と状態は良さげです。こじれていた間は塊根は太らなかったので、これからに期待しましょう。


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閃紅閣 Euphorbia fruticosa cv.
日本で流通しているE. fruticosaはトゲがまばらなタイプで、おそらくは突然変異の園芸種なのだと思います。一応海外ではE. fruticosa var. inermisなんて呼ばれたりもしますが、学術的に認められた学名ではありません。


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亀甲竜 Dioscorea elephantipes
芋は地中に埋めた方が早く大きくなりますが、芋を地上に出さないとコルク層が発達しません。私は小さい苗の時からあえて地上に出して育てていますから、芋は小さいのにコルク層はかなりの厚みです。

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幻蝶カズラ Adenia glauca
かなり遮光しないと塊茎が日焼けしてしまいますから、玄関内で育てています。ツルは私の背丈を越えました。


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寒くなり葉が萎びてきました。幻蝶カズラは寒さに弱いので、暖かい部屋に移します。ツルは根元からカットします。

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シバの女王の玉櫛 Pachypodium densiflorum
長年放置してきたパキポです。植え替えなしで、雨ざらしでした。枝がやたらと伸びがちですが、逆に枝がやたら多いので花は沢山咲きます。春から秋までずっと咲いていますが、冬でも室内が暖かい時にはポツポツ開花します。


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見栄えは良くありませんが、付き合いは長い方なのでなんだかんだ言って愛着があります。国内実生の小苗から育てており、サイズが大きいコトもありやたらと丈夫です。

というわけで、週末のユーフォルビアの室内への取り込みはなんとか終了しました。最近の寒さに慌てていましたから、とりあえずは一安心です。来週はユーフォルビア以外を何とかします。とはいっても、室内へ入れた多肉植物は適当に並べただけなので、やや乱雑な雰囲気です。並び替えが必要でしょう。さて、どうしようか…


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多肉植物の室内への取り込みの続きです。寒くなりこれから冬を迎えるにあたって、室内に上手く収納するにはどうすれば良いのか考えながらの作業です。しかし、後先考えずに購入してきたせいで、この1年に限っても多肉植物はまあまあ増えましたから、棚を増やしたりコンテナのサイズを変えたりと、色々画策してはいますが、すべてを取り込んでみないと正直わからない部分もあります。とりあえず、昨日に引き続きユーフォルビアメインです。

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白樺キリン(ミルクトロン)
Euphorbia mammillaris cv.
鱗宝の斑入り品種。何故か子吹きしませんが、太めに育っています。


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閃光閣 Euphorbia knoblii
普及種ですが大変美しいユーフォルビアです。今年は沢山の花を咲かせました。E. knobliiは多肉ユーフォルビアでは珍しい雌雄同株みたいです。


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Euphorbia debilispina
一見して地味なユーフォルビアですが、木質化した荒れた肌の根を持ちます。塊根ではありませんが、肥培して根を太らせて、多少根元を出して植え付けたら面白いかもしれません。再来年の植え替え時に、根の太り具合を見てみたいと考えております。


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孔雀丸 Euphorbia flanaganii
実はタコものは苦手です。E. flanaganiiは丈夫なのでまだしも、他のタコものユーフォルビアは枝が少なめになりがちです。もっと遮光した方が良いのかもしれません。


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金輪際 Euphorbia gorgonis
タコものの中でも一番簡単。真夏に無遮光でも日焼けしません。本体は直径6cm位ですが、どの程度大きくなるのでしょうか?

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Euphorbia sapinii
以外と入手しにくいユーフォルビア。木質化した茎が伸びていくタイプ。毒性が高いEuphorbia poissoniiに近縁と考えられていますが、E. sapiniiの毒性は如何ほどでしょうか。

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Euphorbia phillipsiae
ソマリアもの、その①。遮光しないと黄色くなりますが、なんとか耐えることが出来ます。しかし、やはり遮光した方がきれいでした。
E. phillipsiaeにはE. golisanaという異名があり、園芸店では「ゴリサナ」という名札がついていることが多いようです。

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Euphorbia phillipsioides
ソマリアもの、その②。E. phillipsiaeと名前が似ていますが、同じ地域に自生しよく似ていて今まで混同されてきたため、phillipsiaeに似た(-oides)という学名が付けられましたが、それはそれでややこしい感じがしますね。
日照が弱まると覿面にトゲが弱くなります。そのため、天候によりトゲのサイズが安定しないことが悩みです。ソマリアものですが暑さにはかなり強い印象です。


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Euphorbia columnaris
ソマリアもの、その③。まだ、正直特徴を捉えきれていません。根張りは弱い感じがありますから、いかにも夏に弱そうです。強光に弱い感じはありませんが、暑さが苦手なのかもしれませんね。

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Aloe somaliensis
ソマリアものつながりでA. somaliensisも室内へ。A. somaliensisは暑さよりも強光に弱いみたいです。まあ、斑が多い葉を見ればわかることなんですけど、私は夏に焦がしました。最近、ようやくきれいになりました。しかし、美しい斑です。


普及種から育ちずらいソマリアものまで、手当たり次第集めたので割とめちゃくちゃです。しかし、そのほとんどが普及種ですが、普及種と馬鹿にしたものではありません。育てれば美しいものも沢山あります。どう育つのか毎年楽しみにしています。
多肉植物の室内への取り込みも、いよいよ明日の記事で終了です。とはいっても、ユーフォルビアとアロエだけですけどね。それ以外は来週です。



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日中は暖かいのですが、夜は冷え込むようになりました。慌てて多肉植物たちを室内に取り込んでいます。まだ、室内に取り込まなくてもよい多肉植物もあるのかもしれませんが、今の調子でぼーっとしているとあっという間に12月になってしまいます。最低でもユーフォルビアは一気に片付けてしまいましょう。

とりあえずは、大きめなものから。
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白雲巒岳 Euphorbia confinalis subsp. rhodesiana
巒岳E. abbyssinicaとは関係ないにも関わらず、何故か巒岳の名前を戴いています。何やらピンク色になって来ました。寒いのでしょうか。


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墨キリン Euphorbia canariensis 
一年中、特に変化がない墨キリン。整然とした姿です。小さく見えますが現在高さ35cmです。
そういえば、原産地のカナリア諸島は観測史上の最低気温が2月の9.4℃とのことですから、見た目に変化はないけれど最近は寒かったかもしれません。


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瑠璃塔 Euphorbia cooperi
段が積み重なるように生長します。

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狗奴子キリン Euphorbia knuthii
枝が沢山吹いて長く伸びるのが特徴なのでしょうけど、我が家のE. knuthiiは枝はあまり出ないし伸びません。塊根は太りますが…

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Euphorbia clivicola
生長が遅いと言われますが、確かに目に見えて育った感はありません。


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闘牛角 Euphorbia schoenlandii
夏の終わりからずっと花が咲き続けています。この闘牛角は少し気になることがあります。


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闘牛角の枝は普通は先端は尖りあまり伸びませんが、このように棍棒状になる枝もあります。最近、棍棒状の枝から小さい枝らしきものが出てきました。この棍棒は挿し木出来るのではないか?と思っています。
と言いますのは、タコものユーフォルビアは通常は枝を挿し木しても細か長い枝がそのままひょろひょろと伸びるだけで、タコものらしい姿にはなりません。しかし、たまに枝の先に子株が出来ることがあり、挿し木により増やすことが出来ます。ですから、闘牛角もタコものユーフォルビアのはしくれですから、子株なのかなあと思った次第です。来年、挿し木してみようかと考えております。


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矢毒キリン Euphorbia virosa
今年の生長は今一つでした。夏前に日差しが強かった影響か動き出すのが涼しくなってからでした。


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Euphorbia leistneri
E. virosaとは対照的に、希少種のE. leistneriはよく生長しました。しかし、残念ながら自生地はダムに沈む運命らしいのです。


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Euphorbia magnifica
かつては、Monadenium magnificumと呼ばれていました。しかし、モナデニウム属はユーフォルビア属に吸収されてしまいました。


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葉の裏の葉脈からもトゲを出す面白い植物です。

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鉄甲丸 Euphorbia bupleurifolia
去年は葉がない夏越でしたが、今年は少し葉があります。思ったより水が好きなことはわかりましたが、適切な日照の強さはわかっていません。まだ、試行錯誤中です。

というわけで、室内への取り込み第2弾は、柱状のユーフォルビアを中心とした縦長組です。先週はPachypodiumと花キリンを取り込みました。しかし、まだ終わっておりません。取り込みはまだまだ続きます。


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Aloidendron dichotomumは代表的な木性アロエです。原産地では巨大に育つことで有名です。現在はアロイデンドロン属とされていますが、かつてはAloe dichotomaと呼ばれていました。
本日はA. dichotomumの発見と命名の経緯について書かれたColin C. Walkerによる2021年の論文『Aloidendron dichotomum The archetypal tree aloe』をご紹介します。私の所感や他の著者の論文による遺伝子解析の情報も追加しました。


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Aloidendron dichotomum

オランダ東インド会社は1652年に現在のケープタウンに相当する場所に基地を設立しました。1679年にSimon van der Stelが司令官に任命され、1690年には総督に就任しました。1685年から1686年にかけて、van der Stelはナマクア族の土地で銅資源を探索する遠征を行いました。遠征隊は1685年の10月にCopper(=銅)山脈に到着しました。遠征隊に同行した画家のHendrik Claudiusにより、遠征中の地理、地質学、動物、植物、先住民の絵が描かれました。その中には、A. dichotomumの絵も含まれていました。
また、遠征隊の日記が作成されましたが、van der StelもClaudiusも資料を出版しませんでした。これらの資料は1922年に、何故かアイルランドの首都ダブリンで発見されました。そして1932年にWaterhouseにより出版されました。van der Stelの日記には、A. dichotomumに対する記述があります。時に12フィートとなり、樹皮は硬いが中は柔らかく軽くスポンジ状つ、原住民は矢筒として利用されていることが記されています。これが、おそらくは最も古いA. dichotomumに対する記述でしょう。


次に南アフリカのA. dichotomumを訪れて記述したのは、Francis Massonです。MassonはJoseph Banks卿の命により、イギリス王立植物園のコレクションを強化するために南アフリカに派遣されたプラント・ハンターでした。Massonは数多くの新種の植物を発見しました。Massonは1774年にZwart Doon渓谷で新種のアロエを発見し、Aloe dichotomaと命名しました。 これが、A. dichotomumの最初の命名でしたが、Massonは当時の分類体系に正しく分類したことになります。

さて、A. dichotomumは初めて命名されて以来、200年以上A. dichotomaという学名でした。Aloidendronに移されたのが2013年のことでしたから、まだ10年も経っていないことになります。過去に出た図鑑もAloe dichotomaと表記していますし、販売される時にもAloe dichotomaの名札だったりしますから、Aloe dichotomaの方が馴染みがあります。ただし、現在のアロエ類の分類は、外見上の特徴ではなくて遺伝子解析の結果によりますから、より精度が高いものとなっています。ちなみに、Aloidendronとは、そのままTree Aloeという意味ですからわかりやすいですね。

アロエ類の分子系統図
┏━━━━━━━━★Aloidendron属

┫    ┏━━━━━━Kumara属
┃┏┫
┗┫┗━━━━━━Haworthia属
    ┃
    ┃┏━━━━━━Aloiampelos属
    ┃┃
    ┗┫┏━━━━━Aloe属
        ┃┃
        ┗┫    ┏━━━Astroloba属
            ┃    ┃
            ┃┏┫┏━━Aristaloe属
            ┃┃┃┃
            ┃┃┗┫┏━Gonialoe属
            ┃┃    ┗┫
            ┗┫        ┗━Tulista属
                ┃
                ┃┏━━━Haworthiopsis属
                ┗┫
                    ┗━━━Gasteria属

Aloidendronはイギリス王立植物園のデータベースでは7種類が登録されておりますが、論文では6種類について述べられています。
Aloidendronのうち、A. dichotomumに最も近縁と考えられているのが、Aloidendron ramosissimumです。そのため、2000年にはA. dichotomaの変種、2002年には亜種とする考え方も提案されました。しかし、現在ではそれぞれ別種とされております。両種ともに南アフリカのケープ州からナミビアにかけて分布します。A. ramosissimumは枝分かれして高さ3mほどのブッシュ状となり主幹を持たないため、A. dichotomumとは異なり樹木というよりは低木とした方が正しいようです。
同じく南アフリカのケープ州からナミビアに分布するのが、絶滅の危機に瀕しているAloidendron pillansiiです。やはり、2002年にはAloe dichotomaの亜種とする意見もありました。A. pillansiiは幹は直立しますが、枝は少ないようです。また、花序は水平方向に伸びるらしく、花序が直立するA. dichotomumとの区別は簡単です。
他のAloidendronはA. dichotomumとは地理的に離れています。アフリカ南東部にはAloidendron barberaeとAloidendron tongaensisが分布します。A.tongaensisは南アフリカのKwaZulu-Natal州からモザンビークまで、A. barberaeは南アフリカの東ケープ州からKwaZulu-Natal州、北部州、スワジランド、モザンビークまで広く分布します。しかし、論文では2015年のvan Jaarsveldはモザンビークの分布を主張しましたが、2019年のWalkerの報告ではモザンビークでのA. barberaeの存在を確認出来ませんでした。A. barberaeは高さ18mになり、花のサイズとピンクがかった花色でA. dichotomumと区別されます。2010年に発見されたばかりのAloidendron tongaensisは、A.barberaeに似ていますが高さは8mほどです。黄色がかったオレンジ色の花が特徴です。
他のAloidendronとさらに地理的に隔離されているのが、Aloidendron eminensです。A. eminensはソマリアの固有種で分布は非常に狭いと言います。高さは15mまでの直立した幹を持ち、赤色の花を咲かせます。
最後に論文には記載がない7種類目は、Aloidendron sabaeumです。発見は1894年ですがAloidendronとされたのは2014年のことです。驚くべきことにA. sabaeumはアフリカ原産ではなく、サウジアラビアとイエメンに分布します。高さは5mほどで、垂れ下がる葉を持ちます。花は赤色から赤褐色です。ここまではカタログ・データですが、A. sabaeumの画像がいまいち見つかりません。ひょろひょろと細長く伸びて枝分かれしないミニチュアのヤシのような画像は出てきます。生長しても分岐せずに、姿は変わらないのでしょうか?

論文の内容は以上です。多少情報を追加しましたが、Aloidendron dichotomumの発見の経緯などはまったく知らなかったので、私は非常に面白く論文を読みました。こういう話はデータベースを漁るだけでは得られませんから、著者には感謝ですね。
また、この他にもA. dichotomumの絵が書かれた経緯などもありましたが割愛しております。悪しからず。



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最近寒い日があったりして、先週少し多肉植物を室内に取り込みました。しかし、室内の多肉植物置き場の整理がまだで、先週末は1日かけて何とか準備をしました。室内では植物用ライトを当てますから、スチールラックに並べて育てます。
去年はスチールラックに100均のコンテナを並べていました。一鉢ごとに水受け皿を並べるのも面倒なので、大変便利です。ただ、100均のコンテナはA4サイズなので、並べた時にデッドスペースが大きくてどうにも今一つでした。

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並べると角とか縁が重なり、置ける面積が狭くなります。

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一番の問題は、微妙な隙間が出来てしまうことです。右上の鉢は斜めになってしまっています。

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というわけで、こんなものを買ってみました。L型水産コンテナという名前らしいです。何でも、パレット(フォークリフトで運ぶための下敷き)に並べるとちょうどピッチリ並べられるサイズらしいです。

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サイズは今までのコンテナの倍くらいです。

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高さは低め。

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スチールラックに置くと、ちょうどいいサイズです。

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とりあえず、室内に取り込んだ多肉植物は適当に並べただけです。ミニ扇風機もセットしました。

まだ日差しが強いので、植物用ランプは使っていません。窓から入る陽光だけで十分です。ただ、室内は風がなく空気があまり動きませんから、用土の乾きが非常に悪くなります。冬の室内は日中暖かくなっても、水やり後1週間たってもまったく乾かないで、用土がじめじめしていたりしますから、生長が停止したり鈍っている多肉植物はどうしても根腐れしやすくなります。ですから、冬の間はミニ扇風機で風を当てています。タイマーで日中だけの稼働です。小さな扇風機ですが思いの外効果的です。
何でも、予報では私の居住地域の最低気温が5℃まで下がるとのことですから、寒さに弱いユーフォルビアは要注意です。いつまでもだらだらやっていると、気づいた時には12月だなんてことになりかねませんから、この土日で一気に片付ける予定です。


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Euphorbia apparicianaは今年の9月に開催された秋のサボテン・多肉植物のビッグバザールで購入しましたが、その時の記事で「見た瞬間、南米産のユーフォルビアであることがわかりました。独特の雰囲気があります。おそらくは、ユーフォルビア亜属New World Cladeのブラジリエンセス節なのでしょう。」だなんていい加減なことを言いました。しかし、E. apparicianaの画像を検索すると、まるでリプサリスのように枝分かれしながら横に拡がって育つ姿となることがわかりました。私は購入時の姿のまま直立して育つと早合点してしまったので、ユーフォルビア亜属だと思ってしまったわけです。しかし、この育ちかたからするとユーフォルビア亜属ではありません。では、E. apparicianaは分類学上どの位置にいるとされているのでしょうか?

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Euphorbia appariciana

調べてみると、どうやらChamaesyce亜属のようです。しかし、困ったことに私はChamaesyce亜属に詳しくありません。過去に調べて記事にしたのは、柱サボテン状のユーフォルビアや花キリンなど、多肉ユーフォルビアの大半を含むEuphorbia亜属と、タコものやオベサ、ホリダなどを含むRhizanthium亜属でした。残りのEsula亜属やChamaesyce亜属の大半は多肉植物ではない草本で、雑草や山野草が多いため論文は見つけていたものの、読んでいませんでした。
その論文は2012年のYa Yang, Ricarda Riina, Jeffery J. Morawetz, Thomas Haevermans, Xavier Aubriot & Paul E. Berryの『Molecular phylogenetics and classification of Euphorbia subgenus Chamaesyce (Euphorbiaceae)』です。Chamaesyce亜属のユーフォルビアは学名を見ても馴染みがないので、よくわかりません。というわけで、内容は詳しく読んでいないのですが、とりあえずChamaesyce亜属の遺伝子解析による系統図では、E. apparicianaはChamaesyce亜属Section Crossadenia(クロサデニア節)、Subsection Apparicianae(アパリキアナ亜節)とのことです。Crossadenia節の分子系統を示しましょう。


Section Crossadenia 
    ┏━━☆Subsection Appariciana
━┫
    ┃┏━◇Subsection Gueinziae
    ┗┫
        ┗━▽Subsection Sarcodes

        ┏━━━━☆E. flaviana
    ┏┫
    ┃┗━☆E. appariciana
    ┃
━┫    ┏━━━◇E. gueinzii
    ┃    ┃
    ┃    ┃        ┏━▽E. gymnoclada
    ┗━┫        ┃
            ┃    ┏┫        ┏▽E. sarcodes
            ┃    ┃┗━━┫
            ┗━┫            ┗▽E. goyazensis
                    ┃
                    ┃    ┏▽E. lycioides
                    ┗━┫
                            ┃    ┏━▽E. sessilifolia
                            ┗━┫
                                    ┗▽E. crossadenia

Gueinziae亜節のE. gueinziiだけは南アフリカ原産の塊根植物ですが、それ以外はブラジル原産です。Crossadenia節はE. appariciana以外も面白そうな種類がありそうです。気になったので調べてみるとCrossadenia節について書かれた論文を見つけました。2016年のOtávia Marques, Inês Cordeiro & Ricarda Riinaの『Lovers of sandy habitats and rocky outcrops : Euphorbia section Crossadenia』です。

論文のタイトルにありますように、Crossadenia節は砂質あるいは岩質の過酷な環境を好みます。まずは、このCrossadenia節の話から始めましょう。
Crossadenia節はスイスのPierre Edmond Boissierが1862年に提案しました。この時、E. gymnocladaをタイプ種(分類群を作るための代表種)として確立しました。この時のCrossadenia節は5種類で、E. goyazensis、E. gymnoclada、E. lycioides、E. sarcodes、E. sessilifoliaでした。このうち、E. goyazensis、E. gymnoclada、E. lycioides、E. sarcodesはBoissierが1860年に命名されました。E. sasessilifoliaはBoissierが1862年に命名しています。ただ、命名者はKlotzsch ex Boissとなっており、はじめドイツのJohann Friedrich 
Klotzschにより発表されたが、何かしらの要件を満たしていなかったために、BoissierによりKlotzschを引用して正式に発表したということなのでしょう。
その後、1923年にドイツのFerdinand Albin PaxとKäthe HoffmannによりE. crossadeniaが、1989年にブラジルのCarlos Toledo RizziniによりE. apparicianaが命名されました。さらに、2008年にはM. Machado & HofackerによりE. teresが、そして2012年にはE. flavianaがCarn-Torres & Cordeiroにより命名されました。2013年にV. W. SteinmによりE. riinaeが命名されています。E. riinaeはボリビア原産ですが、それ以外はブラジル原産です。

Appariciana亜節は3種(E. appariciana, E. flaviana, E. teres)、Ephedropeplus亜節は7種(E. crossadenia, E. goyazensis, E. gymnoclada, E. lycioides, E. sarcodes, E. sessilifolia, E. riinae)です。Ephedropeplus亜節とはSarcodes亜節の同義語です。Ephedropeplus亜節は1874年の命名、Sarcodes亜節は2012年の命名ですから、Ephedropeplus亜節が優先されます。

Crossadenia節の特徴はPencil-stem、つまりは棒状の茎を持ちます。Appariciana亜節は脱落性の葉と鋸歯状付属体、5つのシアチアル腺があります。Ephedropeplus亜節はよく発達した葉と4つのシアチアル腺、線毛付属体があります。ただし、E. gymnocladaはEphedropeplus亜節ですが、例外的に5つのシアチアル腺を持ちます。
Crossadenia節の中でE. apparicianaだけはリブ付きの茎を持ちます。つまりは、茎の断面が歯車状となっているのです。
DSC_1884
Euphorbia apparicianaの特殊な茎

ブラジルのセラード(Cerrado、熱帯サバンナ、強酸性の赤土地帯)やCaating地域(トゲのある低木が生える半乾燥熱帯林)に自生するCrossadenia節は3種類(E. appariciana, E. crossadenia, E. gymnoclada)です。E. apparicianaとE. crossadeniaは絶滅危惧種、E. gymnocladaは危急種です。このうち、一般に栽培されているのはE. apparicianaだけです。


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ユーフォルビア属は傷付くと乳液を出しますが、この乳液には毒性があります。この乳液が肌につくと炎症、ひどいと水ぶくれを引き起こすと言われています。ただし、ユーフォルビアの毒性は種類により異なります。ユーフォルビアの中でも特に毒性が強いと言われるのが、Euphorbia poissonii、Euphorbia venenifica、Euphorbia unispinaの、誰が呼んだか「猛毒三兄弟」です。猛毒三兄弟は円筒形の木質化するもあまり太くならない茎を持ち、先端から多肉質の葉を出します。海外では"Cylindrical Euphorbia"なんて呼ばれています。しかし、このEuphorbia venenificaという学名と、Euphorbia unispinaとの関係性については議論があるようです。

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Euphorbia poissonii

本日ご紹介するのは、2020年にOdile Weber、Ergua Atinafe、Tesfaye Awas & Ib Friisの発表した『Euphorbia venefica Tremaux ex Kotschy (Euphorbiaceae) and other shrub-like cylindrically stemmed Euphorbia with spirally arranged single spines』です。
まず、エチオピアを調査してE. venenificaを探しました。さらに、世界中の大学や博物館に収蔵されている標本や資料を調査しました。
資料によると、フランスの写真家、建築家のPierre Tr
émauxがスーダンでE. venenificaと思われるユーフォルビアを発見し、1853年にEuphorbia mamillaris Trémauxと命名しました。しかし、E. venenificaは適切に命名されずかなりの混乱を経験したようです。Euphorbia mamillarisは1753年に命名されたEuphorbia mammillaris L.とmが入らないだけの同名であり混同される可能性があります。1857年にKotschyはE. venenificaに対する新しい情報と説明を提供しました。この時のドイツ語の説明では、Euphorbia veneficaという学名がつけられていました。これは命名規約の要件を満たしたものであり、Euphorbia venenificaと呼ばれている植物は、Euphorbia venefica Trémaux ex Kotschyが正しい学名であるとしています。しかし、その後はSchweinfurth(1862 & 1867, 1873)やBrown(1911)は、E. veneficaではなくE. venenificaと表記しています。
国際命名規約ではタイプミスや正書法の誤りの修正を除いて、元の綴りを保持する必要があるとしています。E. veneficaもE. venenificaも、毒を表す"venenum"というラテン語に基づいています。
ただし、E. veneficaに綴り上の誤りはなく、E. venenificaへの変更は命名規約上は認められないということです。上記のことからE. venenificaについては、ここからはE. veneficaと呼ぶことにします。

さて、Cylindrical Euphorbiaには、E. venefica、E. unispina、E. poissonii、E. sapinii、E. darbandensisが知られています。このうち、E. sapiniiとE. darbandensisは資料が不十分なため、論文では扱われておりません。また、E. veneficaに一見類似したE. sudanicaとE. pagonumは、茎のコルク質があまり発達しないなど、E. veneficaと明らかに特徴が異なります。著者は特徴が一致するE. venefica、E. unispina、E. poissoniiについて、その違いを詳しく調べています。

まず、E. veneficaとE. unispinaは、葉の形に違いがあるとされています。しかし、著者の調べた限りでは、どうやら葉の形の違いはE. veneficaの個体ごとの変異幅の範囲に収まってしまうと言います。E. veneficaは東アフリカ、E. unispinaはギニア湾沿いから東アフリカまで広く分布します。しかし、どちらかと言えば東アフリカと西アフリカで葉の形が異なるのではないかと述べています。つまりは、今まで言われてきたE. veneficaとE. unispinaの特徴は、どうやら当てはまらないということになります。よって、E. veneficaとE. unispinaは区別出来ない以上は、これらは同種であるというのが著者の主張です。

では、E. veneficaとE. poissoniiの関係はどうでしょうか。E. poissoniiの際立った特徴として、トゲがないことがあげられます。また、若い苗ではまれにトゲが見られることもあるそうです。ただし、1992年のNewtonのレビューでは、トゲの有無によるものではなく、大きい緑色のCyathia(Euphorbia特有の杯状の花)を持つものをE. poissonii、小さく赤色のCyathiaを持つものをE. unispinaとしました。ところが、Cyathiaの色は乾燥標本にすると色褪せてしまうため、過去の標本で確認出来ませんでした。
また、雄花が赤くなることがあると趣味家に指摘されることがあるそうです。また、実際の植物のCyathiaの観察では、種類ごとの共通した特徴は見られませんでした。
さて、やや混沌としてきましたが、E. poissoniiに関する歴史を振り返ります。1969年にRauhは植物園で行われた発生形態学的研究により、E. poissonii、E. venefica、E. unispina、E. sapinii、E. darbandensisは、同一種内であっても葉の形状とトゲの形成にはバリエーションがあるとしています。したがって、これらをE. venenifica(=E. venefica)の変種と見なすことを提案しました。2004年にArbonnierはRauhの結論に同意して、E. venefica、E. unispinaをE. poissoniiと同種であるとしました。しかし、
先に命名された学名を優先するという「先取権の原理」からすると、これは誤りです。E. veneficaは1857年、E. unispinaは1911年、
E. poissoniiは1902年の命名ですから、命名が一番早いE. veneficaとされるべきです。
ただし、著者は詳細にE. veneficaとE. poissoniiの特徴を比較検討した結果、特徴が異なることを明らかにしました。よって、E. veneficaとE. poissoniiは別種とすべきとしております。

E. venefica
・トゲはよく発達し長さ8mmまで。
・果実の小花柄は5mm以内。

E. poissonii
・トゲは若い苗の時はあるが、成体では全くないか未発達。
・果実の小花柄は5mm以上。

以上が論文の内容となります。著者の主張をまとめますと、E. venenificaという学名は誤りで、正しくはE. venefica、②E. veneficaとE. unispinaは同種であり、E. veneficaとすべきである、③E. veneficaとE. poissoniiは別種、ということになります。このうち、①と③は認められていますが、②はこれからかもしれません。イギリス王立植物園のデータベースでは以下のようになっていました。


Euphorbia venefica
                  Trémaux ex Kotschy, 1857
    異名 : Euphorbia mamillaris 
                   Trémaux, 1853
               ※nomen illegitimum
・Euphorbia unispina N.E.Br., 1911
・Euphorbia poissonii Pax, 1902

ちゃんと、E. venenificaはE. veneficaとなっていますが、E. unispinaは健在です。また、E. mamillarisは
nomen illegitimum=非合法名とされております。

最後にE. poissoniiについて、私の所有苗を観察してみます。
DSC_1875
葉の付け根に2~3mmの小さなトゲがありますが、脆くて直ぐに脱落してしまいます。生長すると出なくなるのでしょうか。

DSC_1877
若い葉は先端が平らで、頂点は少し尖ります。

DSC_1878
成熟した葉は先端がやや凹みます。

まとめ : 猛毒三兄弟の長男はE. venenificaと呼ばれがちでしたが、本名はE. veneficaでした。次男はE. poissoniiです。三男E. unispinaは長男E. veneficaと同一人物でした。


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草花の花は美しく私達の目を楽しませてくれますが、植物達は私達を楽しませるために花を咲かせているわけではありません。受粉のために昆虫や鳥などを呼び寄せる際の目印として、目立つ花を咲かせているのです。もちろん、植物は花粉を運んでもらう報酬として、甘い蜜を準備しています。花に集まる昆虫や鳥もタダ働きは御免でしょうから、働きに見合う甘い蜜は必要なのです。
最近は多肉植物の花の受粉に関する論文を記事としてご紹介してきました。これまでの記事は花粉を運ぶポリネーターについての話でした。少し視点を変えて、本日はこの甘い蜜のお話をしましょう。

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Haworthiopsis scabra

よく考えてみると、花の話題はあっても、花の蜜の話題はあまり聞かない気がします。まあ、我々が直に花の蜜を吸うわけではないので、花の蜜と言えば蜂蜜くらいなものですからね。
ポリネーター(花粉媒介者)に対するアピールとして重要なのは、花の色や大きさ、形状です。花の色によって反応するポリネーターは異なります。しかし、花の蜜の成分はどうでしょうか。植物により異なるのでしょうか。あるいは、その成分とポリネーターの種類には相関があるのでしょうか。
とりあえず、多肉植物の蜜に関する論文を漁ってみたところ見つけたのが、G. F. Smith, B-E. van Wyk, E. M. A. Steyn & I. Breuerの2001年の論文、『Infrageneric classification of Haworthia (Aloaceae) : perspectives from nectar sugar analysis』です。

DSC_1631
Haworthiopsis attenuata

まず、アロエ類についておさらいしましょう。アロエ類とは、古典的な分類ではAloe(広義)、Haworthia(広義)、Gasteria、Astrolobaからなる植物です。しかし、最近では遺伝子解析の進展により、Aloe(広義)は解体されてAloe(狭義)、Aloidendron、Aloiampelos、Gonialoe、Arirtaloeとなり、Haworthia(広義)も、Haworthia(狭義)、Haworthiopsis、Tulistaとなりました。しかし、この論文が出た時点ではここら辺の話はまだ出て来ておりませんでした。むしろ当時の問題点は、球根様のChortolirionや液果を持つLomatophyllumはAloeか否かとか、花が異なるPoellnitziaがAstrolobaか否かということでした。これらは研究者によって見解が異なるため、かなりの議論があったようです。現在では、遺伝子解析により、ChortolirionやLomatophyllumはAloeの、PoellnitziaはAstrolobaの特殊化したものに過ぎないことがわかりました。さて、前提はここまでにして、論文の内容に移りましょう。花の蜜を分析して、蜜に含まれる糖の種類の割合を算出しています。蜜に含まれる糖は、果糖(フルクトース)、ブドウ糖(グルコース)、ショ糖(スクロース)です。以下の一覧は、2001年当時ですから学名が現在と一部異なります。括弧の中は【フルクトース, グルコース, スクロース】の割合(%)を示しています。

Haworthia亜属(=狭義のHaworthia)
1   H. angustifolia             【 4, 48, 48】
2   H. angustifolia
       fa. baylissii                 【10, 25, 65】
3   H. arachnoidea①        【13, 51, 36】
4   H. arachnoidea②        【  5, 50, 45】
5   H. blackburniae           【24, 43, 33】
6   H. bolusii                      【  6, 39, 55】
7   H. comptoniana          【  4, 54, 42】
8   H. cooperi                    【  5, 39, 56】
9   H. cymbiformis
     var. cymbiformis          【14, 55, 31】
10 H. decipiens①             【  7, 51, 42】
11 H. decipiens②             【  9, 61, 30】
12 H. divergens                 【16, 52, 32】
13 H. emelyae①               【  8, 54, 38】
14 H. emelyae②               【12, 59, 29】
15 H. habdomadis
       var. morrisiae              【  2, 48, 50】
16 H. herbacea                  【19, 46, 35】
17 H. maculata①              【17, 49, 34】
18 H. maculata②              【16, 58, 26】
19 H. margnifica
       var. maraisii                 【  1, 50, 49】
20 H. marumiana               【16, 54, 30】
21 H. maughanii                 【  7, 58, 35】
22 H. nortierii                      【20, 60, 20】
23 H. pubescens                【11, 46, 43】
24 H. retusa                        【  4, 44, 52】
25 H. retusa
       var. dekenahii              【10, 39, 51】
26 H. rycroftiana                【  6, 57, 37】
27 H. semiviva                    【16, 52, 32】
28 H. truncata                     【  7, 47, 46】
29 H. unicolor                      【  5, 45, 50】
30 H. xiphiophylla               【25, 48, 27】
31 H. glauca                         【  1, 19, 80】

いわゆる軟葉系ハウォルチア、狭義のHaworthiaはグルコースあるいはスクロースが主成分です。フルクトースは少ないのですが、多いものでも25%程度です。

Hexangulares亜属(=Haworthiopsis)
32 H. koelmaniorum①    【  5, 23, 72】
33 H. koelmaniorum②    【  8, 28, 64】
34 H. limifolia
        var. limifolia①           【  4, 41, 55】
35 H. limifolia
        var. limifolia②           【  3, 24, 73】
36 H. limifolia
        var. limifolia③           【11, 29, 60】
37 H. limifolia
        var. gigantea             【  4, 34, 62】
38 H. longiana①              【  3, 20, 77】
39 H. longiana②              【  7, 19, 74】
40 H. nigra                        【   - , 25, 75】
41 H. venosa
     subsp. granulata①     【  5, 25, 70】
42 H. venosa
     subsp. granulata②     【  4, 24, 72】
43 H. venosa
     subsp. granulata③     【  8, 30, 62】
44 H. venosa
     subsp. tessellata①    【  1, 29, 70】
45 H. venosa
     subsp. tessellata②    【  2, 24, 74】
46 H. viscosa①               【  2, 32, 66】
47 H. viscosa②               【  4, 33, 63】
48 H. woolley                   【  1, 22, 77】

硬葉系ハウォルチア、つまりはHaworthiopsisはスクロースが主成分です。狭義のHaworthiaとの違いが目立ちます。
Haworthiopsisの中でもH. koelmaniorumやH. limifoliaは遺伝子解析の結果では、やや位置が異なると見られていますが、蜜の成分はHaworthiopsisとしては普通です。

Robustipeduculares亜属(=Tulista)
49 H. minima                  【  7, 24, 69】
50 H. pumila①               【  1, 14, 85】
51 H. pumila②               【  3 , 17, 80】
52 H. pumila③               【  7, 19, 74】

Tulistaはサンプルが少ないのが残念ですが、スクロースの比率が非常に高いようです。実はTulistaは狭義のHaworthiaやHaworthiopsisより、AstrolobaやArirtaloeと近縁です。
ちなみに、H. minimaは現在ではTulista minorとされています。

交配種など
53 H. woolley
         × H. sordida           【  4, 29, 67】
54 H. viscosa
         × H. longiana         【  8, 27, 65】
55 H. subg.
   Haworthia sp. nov.     【  6, 55, 39】
56 H. tortuosa                【11, 31, 58】
57 H. mcmurtryi             【  7, 26, 67】

Astroloba
58 A. bullulata                【20, 46, 34】
59 A. spiralis
      subsp. spiralis          【  2, 13, 85】
60 A. spiralis
      subsp. foliolosa①   【  4, 16, 80】
61 A. spiralis
      subsp. foliolosa②   【  7, 29, 64】
62 A. spiralis
      subsp. foliolosa③   【  9, 32, 64】

Astrolobaはスクロースの比率が高いようです。A. bullulataは異なります。
ちなみに、A. spiralis subsp. foliolosaはA. foliolosaとして独立種とされています。

Chortolirion
63 C. angolense①        【  8, 21, 71】
64 C. angolense②        【  8, 19, 73】
65 C. angolense③        【  7, 20, 73】

Chortolirionはスクロースの比率が高いようです。Chortolirionは現在はAloeとされていますが、Aloeの蜜の成分と比較したいところです。

蜜の糖の成分がこれ程、属ごとに異なるとは思いませんでした。むしろ、種類ごとにバラバラでもおかしくはないと思っていました。意外です。
蜜の成分とポリネーター(花粉媒介者)との関係性はどうなのでしょうか? 大型アロエは鳥媒花ですが、Chortolirionはわかりませんが同じ鳥媒花だとしたらスクロース比率が高いのでしょうか。しかし、Haworthia、Haworthiopsis、Astrolobaは虫媒花ですが、割と成分の比率は異なります。ただし、ターゲットの昆虫が異なる可能性はあり、蜜の成分の違いと花に集まる昆虫の関係性も気になります。
最大の疑問はAstroloba rubrifloraの蜜の成分でしょう。A. rubrifloraはかつてPoellnitziaとされていました。これは、白花で虫媒花であるAstrolobaに対し、赤い花で鳥媒花のPoellnitzia rubrifloraという違いがあったためです。ポリネーターが異なることと蜜の関係性が一番わかりやすい例でしょう。
どうにも知りたいことが多すぎて困ってしまいます。他に論文がないかさらに詳しく調べてみます。


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本日のお話に関係するAloe pegleraeは南アフリカ原産の絶滅が危惧されているアロエです。原産地では非常に整った美しい姿をしており、違法採取や環境破壊により数を減らしており、保護の対象とされています。しかし、A. pegleraeは増やすことが難しいわけではないため、実生苗は入手が容易で普及種に近い状況となっております。ただし、A. pegleraeは生長が遅く大型になるまでに時間がかかるため、高額な現地球を欲しがる人もいるのでしょう。とはいえ、現在アロエは、Aloe veraと園芸用の交配系アロエ以外の輸出入に関して制限がかかっており、簡単には輸入出来なくなっているようです。

さて、最近アロエの受粉に関わる鳥について調査した論文の内容について記事にしました。
しかし、論文ではAloe feroxの受粉に関与する鳥を調査することが目的であり、昆虫や哺乳類を排除した内容でした。そこで、何か良い論文はないかと調べていたら見つけたのが、南アフリカのStephanie L. Payne、Craig T. Symes and ED T. F. Witkowskiが2016年に発表した『Of feathers and fur : Differential pollinator roles of birds and small mammals in the grassland succulent Aloe peglerae』です。

DSC_1864
Aloe peglerae

アロエは一般的に赤系統の花を咲かせますが、これは鳥に対するアピールと考えられています。しかし、ネズミなどの小型哺乳類が夜間にアロエの花を訪れることは知られていましたが、その受粉への関与についてはあまりわかっておりません。この論文では草原性のアロエであるAloe pegleraeの花を訪れる動物を記録し、受粉により出来た種子を調べました。
A. pegleraeの開花は7~8月で、主にルリガシライソヒヨ(Monticola rupestris)という鳥により受粉が行われ、昆虫の貢献はわずかと言われています。過去の知見ではA. pegleraeの花を訪れた動物は、ヒガシイワハネジネズミ(Elephantulus myurus)、ナマクアロックマウス(Micaelamys namaquensis)、チャクマヒヒ(Papio hamadryas ursinus)、ホソマングース(Galerella sanguinea)、four striped grass mouse(※4本の縞模様があるネズミ、Rhabdomys pumilio)が知られています。

研究は南アフリカのPretoriaの西部にあるMagaliesberg山脈にあるPeglerae Conservancyで行われました。A. pegleraeは知られている個体群は3箇所のみです。A. pegleraeは直径20cm以上で成体となり、冬(7~8月)に毎年開花します。A. pegleraeの花は薄い蜜を大量に分泌するということです。

さて、観察の結果、日中はルリガシライソヒヨ、夜間はナマクアロックマウスが最も頻繁なA. pegleraeの花への訪問者でした。チャクマヒヒやネズミが花自体を食べてしまった様子も観察されました。アロエの花に来ることが報告されているアカハラケビタキ(Thamnolaea cinnamomeiventris)は周囲に沢山いたにも関わらず、観察期間中にA. pegleraeの花を訪れませんでした。また、シロハラセッカ(Cisticola lais)、ハシナガビンズイ(Anthus similis)、アカバネテリムク(Onychognathus morio)、ケープメジロ(Zosterops virens)、ヒガシイワハネジネズミがA. pegleraeの花を訪れました。 
A. pegleraeの花への訪問、はルリガシライソヒヨが約60%を占めていることから、A. pegleraeの受粉にとって重要です。ルリガシライソヒヨが冬にわざわざ寒いMagaliesberg山脈を訪れるのは、餌の少ない冬にA. pegleraeの蜜を求めてではないかと著者は考察しています。

ネズミなどの小型哺乳類による受粉は、幾つかの植物で報告があります。今回の観察でA. pegleraeを訪れたのはナマクアロックマウスとヒガシイワハネジネズミでしたが、やはり餌の少ない冬に蜜を求めてやってくる可能性があります。しかし、ナマクアロックマウスは花を食べてしまうため、受粉の有効性は疑問視されてきました。ただし、今回の観察では食害があっても、種子が出来たということです。
鳥と小型哺乳類の受粉に対する貢献度は正確にはわかりません。その違いは移動距離で、鳥と比較すると小型哺乳類の移動範囲は狭くなります。しかし、小型哺乳類は採餌に時間をかけるため、鳥よりも多くの花粉を体に付着させます。花粉の移動する量という側面からは、小型哺乳類が有効と言えます。高さ数メートルになる大型アロエと比較して、A. pegleraeは背が低いため、小型哺乳類をより引き寄せやすいと言えるかもしれません。
A. pegleraeは自家不和合性、つまりは自分の花では受粉しない可能性が高いとされています。今回の観察では、出来た種子の発芽試験を行われました。その結果、鳥による受粉でも小型哺乳類による受粉でも、種子の発芽率に違いはないとのことです。つまりは、移動範囲が狭い小型哺乳類でも、ちゃんと花粉を他の個体へ運んでいるのです。

以上で論文の簡単な要約は終了です。著者はAloe pegleraeの受粉は鳥だけではなく、小型哺乳類によっても行われるということを主張しています。Aloe pegleraeにとっては両者ともに重要なポリネーター(花粉媒介者)なのです。
植物の受粉と言えば、以前はミツバチやマルハナバチなどの昆虫が重要で、一部ハチドリやタイヨウチョウなどの鳥も関与するくらいの認識でした。しかし、
Generalist birds outperform specialist sunbirds as pollinators of an African Aloe』という論文では、Aloe feroxの受粉は花の蜜を餌とすることに特化したスペシャリストであるタイヨウチョウはほとんど関与せず、主に専門ではない他の餌も食べるジェネラリストにより受粉するというのです。スペシャリストの受粉への貢献度の低さにも驚きましたが、何より鳥が主たるポリネーターであることは、私の植物の受粉に対する認識を大きく変えられることになりました。さらに、今回ご紹介した論文で、小型哺乳類による受粉への関与という、ほとんど聞いたことがない行動を知るにつけ、思いの外植物と動物の関係は複雑で柔軟に出来ていることを改めて認識し直しました。



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昨日はタナベフラワーで開催されたSucculent stationという多肉植物のイベントへ行って参りました。イベントは本日も開催されています。

さて、すっかり寒くなってきたこの時期、イベントで販売される多肉植物はなんでしょうか? 9月に開催された秋のサボテン・多肉植物のビッグバザールでは、結構メセンが出て来ていましたが、そろそろ冬型のコーデックスや球根ものなんかがあってもおかしくはない気がします。とはいえ、そこら辺は購入するつもりはありません。渋いHaworthiopsisがあればいいなぁくらいの期待感で行きました。まあ、こういうイベントに行くこと自体が楽しいので、別にお目当ての多肉植物がなくてもそれはそれでいいのです。

東急田園都市線の宮崎台駅で下車しました。会場のタナベフラワーまでは歩いて10分くらいといいますから、私は地図で道を調べて徒歩で行きました。今日は朝は少し肌寒かったものの、日中は気温があがって汗ばむ陽気になりました。タナベフラワーに到着すると、すでにかなりの人だかりでした。

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私の好きなユーフォルビアもありましたが、出店している各テントにはオベサやホリダがあるくらいです。タナベフラワーさんの温室には普及種がかなりの格安でありました。最近見るようになった群星冠もありましたが、どれも手持ちにあるため購入しませんでした。まあ、冬に向かうこの時期、寒さに弱いユーフォルビアはこんなものでしょう。
全体的には、やはりアルブカなどのケープバルブやオトンナなどの冬型多肉が充実していました。相変わらずエケベリアは勢いがあり、タナベフラワーさんの温室には一棟がほぼエケベリアという感じでしたね。美しい軟葉系ハウォルチアやメセンも、各テントでかなり充実していました。

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さて、Succulent connectionさんはじめ、大変美しい軟葉系ハウォルチアが並んでおり、観賞させていただきました。しかし、残念ながら硬葉系ハウォルチア=Haworthiopsisはほぼありませんでした。タナベフラワーさんの温室にもハウォルチアが結構あって、なんと硬葉系も充実していました。しかも、ワンコインからという格安ぶりには驚かされました。しかし、最近は様々な交配種や園芸種が沢山出ていますね。私は原種の学名ばかり調べていますから、聞いたことがない名前の多肉植物が沢山あって、なんだかわからずにあたふたしてしまいました。

さて、それでは本日の購入品です。いかにも地味ですが、しかしなんともお得な買い物でした。
DSC_1861
紫翠(殿)
Haworthiopsis resendeana。現在は九輪塔Haworthiopsis coarctata var. coarctataと同種とされています。結節が白くならない小型のタイプでしょうか。今後、もし九輪塔の変種などとされる可能性もありますから、ラベルは「紫翠 H. resendeana」のままとしておきます。もし、H. coarctataと書いてしまうと、名前が変わる度に混乱するでしょうから。


DSC_1862
星の林
鷹の爪Haworthiopsis reinwardtiiの変種を、星の林var. archibaldiaeとしていました。現在は鷹の爪の異名扱いです。確かに鷹の爪と星の林の違いは少し微妙ではありますが…


DSC_1860
ヴェノーサ
Haworthiopsis venosa。かつては、H. tessellataと亜種や変種の関係とされることもありましたが、現在は独立種とされています。


DSC_1863
ハオルチア・トリアングラリス
実はHaworthia triangularisという学名は存在しません。18世紀にHaworthiopsis viscosaにあたる硬葉系ハウォルチアに、Aloe triangularisという異名がつけられたことがありました。Haworthiaという属名が誕生するまでは、HaworthiaやHaworthiopsisはAloeとされていたのです。しかし、このA. triangularisはその後学術的には継承されませんでした。しかし、園芸上では健在でHaworthia triangularisという名前で呼ばれているのです。
H. viscosaとはかなり異なるように見えますが、これはH. scabraとvar. starkianaとの関係と同じで、イボがなく色素が抜けたタイプなのでしょう。それ以外の特徴は同じです。一見してH. pungensに似ていますが、葉の角度や回転しないなど特徴は全く異なります。


DSC_1859
春鶯囀
Gasteria batesiana。今回の最大の目玉はこれです。まだ回転していませんが、結構大型です。店主もこんなに安く手に入らないよとおっしゃっていましたが、確かにおっしゃる通り格安です。ホームセンターのミニ多肉くらいのお値段でした。一株しかなかったので実にラッキー。

というわけで、タナベフラワーさんで開催されたSucculent station 宮崎台へ行って来ました。タナベフラワーさんはお初でしたから、色々と見ることが出来て楽しかったです。ちと遠いのでそう度々行くことは難しいでしょうけど、出来れば来年の多肉植物本番の夏前くらいにまた見に行きたいと思います。本日もイベントは開催中です。
しかし、自宅の多肉植物の冬支度がまだ手についていないのに、好きだからといってイベントになんかに行って、我ながら呆れています。明日は冬支度のために、室内の多肉置き場の整理で1日つぶれてしまいそうです。計画的に出来ない自分が悪いのですけどね。


DSC_1858
帰りに槍鶏頭?の花畑がありました。目が覚めるような色彩です。仕事と多肉植物関係以外では引きこもりがちなので、こういう偶然の出会いは何か嬉しく感じます。


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本日は、タナベフラワーで開催されていますSucculent Station宮崎台に行っています。会場の様子は明日記事にする予定です。
それはそうとして、最近急激に気温が低下していて、ちょっと焦っています。最近は何かと忙しく多肉植物の冬支度も全く進んでおりません。多肉植物を室内に取り込まなければならないのですが、その前に室内置き場を整備する必要があります。しかし、何をどう手をつければいいのか悩んでいるうちに寒くなってしまいました。とりあえず、Fouquieriaは葉が紅葉してきたものがありますから、準備がまだなのに慌てて家に取り込みました。あと、Pachypodiumの苗たちも取り込みました。Pachypodiumは他の多肉ブログのいくつかで葉が落ちたとか黄葉したとか画像がアップされているのを見て、こりゃいかんと我が家の苗を見てみましたが、葉が少し落ち初めているくらいで一安心です。しかし、この葉の落ち具合の差は何が原因なのか不思議です。我が家の所在地はそれほど暖かくはないと思いますから、葉が既に落ちているのは寒い地方のパキポなんでしょうかね? 我が家のパキポ苗だけ耐寒性があるだなんてバカな話はないでしょうから。
まあ、それはそうとして寒さに弱いEuphorbia達をいつ取り込むかが悩みどころです。とりあえず、耐寒性がなさそうな小さい苗から少しずつと考えています。

DSC_1845
Fouquieriaが寒さに一番敏感に反応しました。F. ochoterenaeは真っ赤です。

DSC_1846
Pachypodium苗たち、その①。手前中央の白馬城P. saundersiiはやんわり黄葉、左奥のP.rosulatumは紅葉してきました。中央奥のP.brevicalyxや右手前の魔界玉P.makayenseは寒さの影響は全くありません。 

DSC_1847
Pachypodiumの苗たち、その②。手前中央のP.windsoriiは黄葉が進んでいて、一番早く葉がなくなりそうです。右奥のP.horombenseも少し黄葉しましたが、1シーズンでずいぶん太りました。左手前の恵比寿笑いP.brevicauleは葉が黄葉せずに、黒っぽくなり痛んでいます。急な寒さに対応出来なかったのでしょう。早く気がついてよかった。

DSC_1852
とりあえず室内に取り込むEuphorbia第1弾は、花キリンです。そのほとんどが、あまり見た目は変わりませんが、E. gottlebeiの葉色が変わったので室内に取り込んだついでです。

DSC_1854
Euphorbia gottlebeiは何故か寒さに過敏に反応しました。

DSC_1850
同じ葉がモジャモジャした花キリンであるEuphorbia rossiiは元気で花が咲いています。

DSC_1849
Euphorbia tulearensisも元気で沢山の目立たない花を咲かせています。E.tulearensisは花キリン類でもトップクラスに丈夫なのですが、何故か弱い感じとされることが多いようです。無遮光で水を控え目で育てたので、生長は遅くとも詰まった良い形に仕上がっています。葉の縮れは個体差もありますが、良く日に当てるほど縮れます。

DSC_1851
Euphorbia decaryiは丈夫なのですが、寒さにはあまり強くないようです。結構、葉を落としてしまったようです。

DSC_1853
花キリンの集合写真にはいませんでしたが、Euphorbia pachypodioidesも花キリンでしたね。忘れていました。

DSC_1855
丈夫な噴火竜Euphorbia viguieriの葉も少し痛んできました。ただし、生長点からは新しい葉が出ています。そうは見えませんが分類学的には花キリンなんです。


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国際多肉植物協会のホームページで関連イベントを見ていたところ、サキュレント・ステーションというイベントが開催されるみたいです。まず、10/23に「BURTON FLAGSHIP STORE TOKYO」という渋谷にあるアウトドアグッズやスノーボードのお店で、多肉植物の販売・競売があったそうです。しかし、事前情報があまりないのと、最近忙しくてやや疲れぎみなので私はパスしました。渋谷は割と電車だと行きやすいのですが、何があるのかわからないのはさすがに不安です。その点、10/29-10/30に開催される「Succulent station 宮崎台」は事前情報がちゃんとあったので、少し遠いのですが行きたいと思います。

image
イベントは神奈川県川崎市のタナベフラワーさんで開催されます。イベントで出店されるのはポスターの面々ですが、どんな植物を扱っているのか調べてみました。

先ずは会場となるタナベフラワーさん。エケベリアやセダム、センペルビブムなどのベンケイソウの仲間やユーフォルビアが豊富みたいですね。年間通して600種類以上の多肉植物を取り扱っているそうです。6棟のハウスを所有し、そのうちの3棟で多肉植物の販売を行っており、残りの3棟のうちの2棟では、親株の栽培、1棟では販売用の多肉植物の栽培を行っているそうです。すべての温室は見学OKとのことです。
お次は9月に開催された秋のサボテン・多肉植物のビッグバザールにも出店された、静岡県のSucculent connectionさん。ハオルチアを主とした多肉植物、サボテン等の生産販売がメインらしいのですが、アガベ、コーデックス、アドロミスクス等も生産しているとのことです。
お次は奈良県のたにっくん工房さん。エケベリアわハオルチアをはじめ、様々な多肉植物を扱っているみたいです。「本当に久しぶりの関東出店です!」ということですから、非常に楽しみですね。
お次は山梨県の大木ナーサリーさん。原種シクラメンやクリスマス・ローズで有名みたいです。

一応、公式の開催情報は以下の通りです。

日時:2022年10月29日(土)・30日(日)

   10:00~16:00

            (園のオープンは9時から)


場所:タナベフラワー

〒216-0035 神奈川県川崎市宮前区馬絹6-25-8

 

東急田園都市線 宮崎台駅 南口より徒歩10分
*駐車場は数台分しかありません。

 誠に申し訳ありませんが、公共交通機関をご利用いただくか、近隣のコインパーキングをご利用ください。


*お会計は、各ブースにてお願いいたします。
*入場無料。どなたでも参加できます。



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マダガスカル島は多肉植物の宝庫で、マダガスカル固有種のDidiereaやAlluaudiaの林があり、島の全域にPachypodiumが自生します。私の好きなEuphorbiaも豊富で、花キリン類はマダガスカルを象徴する植物ですね。  
Aloeはアフリカ大陸に豊富ですが、マダガスカル島にも沢山の固有種が存在します。問題なのはアフリカ大陸からマダガスカル島にAloeが進出した際に、1種類が侵入して様々な種類に進化したのか、最初から様々な種類が侵入してそこから進化を開始したのかということです。
というわけで、本日ご紹介する論文は2018年のRichard J. Dee、Panagiota Malakasi、Solofo E. Rakotoarisoa & Olwen M. Graceが発表した『A phylogenetic analysis of the genus Aloe (Asphodelaceae) in Madagascar and the Mascarene Island』です。論文ではマダガスカル島とマダガスカル島のすぐ東にあるマスカレン諸島のアロエの遺伝子を解析しています。マスカレン諸島は、モーリシャス島、レユニオン島、ロドリゲス島からなります。

マダガスカル島には132種類のアロエが自生し、そのすべてが固有種です。マスカレン諸島では、Aloe lomatophylloides(=Lomatophyllum lomatophylloides)がロドリゲス島の固有種で、Aloe purpurea(=Lomatophyllum purpureum)、Aloe tormentorii(=Lomatophyllum tormentorii)はモーリシャス島の固有種、Aloe macra(=Lomatophyllum macrum)はレユニオン島の固有種です。マスカレン諸島の固有種はかつてロマトフィルム属とされてきました。

さて、マダガスカル島は深海に囲まれた島で、モザンビーク海峡の深さは500~1000mくらいです。地質調査により、氷河期に一部モザンビーク海峡を横断できる陸橋が出来た可能性があります。ですから、アロエも最後の氷河期にマダガスカル島に移入したのかもしれません。

アロエ研究の権威であったG.W.Reynoldsは、マダガスカル島のアロエをその形態から9グループに分けました。著者はさらに、Reynoldsがアロエを分類した時はアロエ属ではなくLomatophyllumだったグループを10番目に入れました。

Group
①小型あるいは超小型のアロエ
    旧・Guillauminia, Lemeea, Aloinella
②葉は二列性、A. compressa
③葉は長さ50cm幅5cm。花序は単生か枝分かれは少ない。
    A. schomeri, A. buchlohii

④葉は卵型。A. deltoideodonta
⑤大型のロゼット。無茎性で葉は70cmまで。
    A. bulbillifera
⑥密に花を咲かせる。総状花序は短い。
    A. capitata, A. trachyticola
⑦総状花序は密集して多花性。
    A. conifera,A. macroclada

⑧低木状。A. acutissima
⑨2~3mで太く直立し、葉は頂点に密に輪生。
    A. vaombe, A. cipolinicola

⑩液果ができる。旧・Lomatophyllum

次に、マダガスカルとマスカレン諸島、アフリカ大陸のアロエの遺伝子解析による分子系統です。マダガスカル島とマスカレン諸島原産のアロエは太字としており、数字は上記の10個のグループに相当します。比較対象としてアフリカ大陸原産のアロエも同時に解析されています。
以降は私の感想を記していきます。

まず、Clade AとClade Mに大別されますが、驚くべきことに、Aloe susannaeは他のアロエと系統が大きく離れたKumara haemanthifoliaと他のアロエより近縁でした。この時点で、様々なというよりかなり異なる系統のアロエがマダガスカルに入ってきたことがわかります。

    ┏━Kumara haemanthifolia
┏┫
┃┗━⑦Aloe susannae

┃┏━Clade A
┗┫
    ┗━Clade M

次にClade Aですが、マダガスカルの旧・Lomatophyllumである3種はまとまりがあります。また、マダガスカルの小型アロエ2週は近縁ですが、旧・LomatophyllumのA. citreaも近縁でした。東アフリカのエチオピアやソマリアといったいわゆる"アフリカの角"辺りに分布するアロエが、Clade Aのマダガスカル原産のアロエと近縁でした。マダガスカルに地理的に近いアロエが近縁であるという合理的な結果が得られました。逆に南アフリカ原産のアロエはやや距離があります。私が思ったこととして、アロエの地理的な拡散は、南アフリカ→マダガスカルへの渡航地点→マダガスカル・東アフリカである可能性はないでしょうか。

Clade A

┏━━━━━Aloe ecklonis
┃                (南アフリカ原産)
┃┏━━━━Aloidendron dichotomum
┃┃            (南アフリカ原産)
┣┫┏━━━Aloiampelos ciliaris
┃┗┫        (南アフリカ原産)
┃    ┗━━━Aloe ellenbeckii
┃                (東アフリカ原産)
┃┏━━━━①Aloe albiflora
┫┃             (=Guillauminia)
┃┣━━━━⑩Aloe propagulifera
┃┃             (=L. propaguliferum)
┃┃┏━━━⑩Aloe citrea
┃┣┫         (=L. citreum)
┃┃┃┏━━①Aloe haworthioides
┃┃┗┫(=Aloinella, =Lemeea)
┗┫    ┗━━①Aloe parvula
    ┃        (=Lemeea)
    ┃┏━━━⑩Aloe pembana
    ┣┫         (=L. pembanum)
    ┃┃┏━━⑩Aloe macra
    ┃┗┫     (=L. macrum)
    ┃    ┗━━⑩Aloe occidentalis
    ┃             (=L. occidentale)
    ┃┏━━━Aloe ankoberensis
    ┃┃         (Ethiopia原産)
    ┃┃    ┏━Aloe jucunda
    ┗┫┏┫ (Somalia原産)
        ┃┃┗━Aloe secundiflora
        ┗┫      (東アフリカ原産)
            ┃┏━Aloe trichosantha
            ┗┫  (東アフリカ原産)
                ┗━Aloe vera
                      (Oman原産)

Clade Mはすべてマダガスカル島とマスカレン諸島原産のアロエです。見てすぐにわかるのは、Reynoldsの分類が機能していないことです。要するに、アロエ属は外的な特徴は環境等によりその都度進化して、近縁ではなくても類似した姿をとることがあるということでしょう。それは、旧・Lomatophyllumも同様で、A. purpureaとA. tormentoriiは近縁ですが、A. anivoranoensisは近縁ではありません。さらに言えば、Clade Aに所属する旧・LomatophyllumはClade Mとかなりの遺伝的な距離があります。マダガスカル島のLomatophyllumが、マスカレン諸島に伝播して独自に進化したという、大変わかりやすいシナリオは却下しなければならないようです。要するに、Lomatophyllumはアロエ属の島嶼部への適応形態なので、分類群の中であちこちに出現するということなのかもしれません。

Clade M

┏━━━━━━━━④Aloe laeta

┃    ┏━━━━━━④Aloe deltoideodonta
┃┏┫
┃┃┗━━━━━━⑧Aloe millotii
┣┫
┃┃┏━━━━━━Aloe suarezensis
┃┗┫
┃    ┃┏━━━━━⑩Aloe purpurea
┃    ┗┫                   (=L. purpureum)
┃        ┗━━━━━⑩Aloe tormentorii
┫                               (=L. tormentorii)
┃┏━━━━━━━①Aloe rauhii
┃┃                           (=Guillauminia)
┃┃    ┏━━━━━Aloe divaricata
┃┃    ┃
┃┃    ┣━━━━━④Aloe madecassa
┃┃    ┃
┃┃    ┃┏━━━━④Aloe imalotensis
┗┫┏╋┫
    ┃┃┃┗━━━━④Aloe viguieri
    ┃┃┃
    ┃┃┃    ┏━━━⑧Aloe acutissima
    ┃┃┃┏┫
    ┃┃┃┃┗━━━⑦Aloe conifera
    ┃┃┗┫
    ┃┃    ┃┏━━━⑥Aloe capitata
    ┃┃    ┗┫
    ┗┫        ┗━━━⑨Aloe cipolinicola
        ┃
        ┃    ┏━━━━⑩Aloe anivoranoensis
        ┃    ┃              (=L. anivoranoense)
        ┃    ┃┏━━━②Aloe compressa
        ┃┏╋┫
        ┃┃┃┗━━━①Aloe descoingsii
        ┃┃┃              (=Guillauminia)
        ┃┃┃┏━━━④Aloe ibitiensis
        ┗┫┗┫
            ┃    ┗━━━⑥Aloe trachyticola
            ┃
            ┃┏━━━━⑤Aloe bulbillifera
            ┃┃
            ┗┫    ┏━━①Aloe calcairophila
                ┃┏┫        (=Guillauminia)
                ┃┃┗━━Aloe hoffmannii
                ┗┫
                    ┃┏━━⑦Aloe macroclada
                    ┗┫
                        ┃┏━①Aloe bakeri
                        ┗┫     (=Guillauminia)
                            ┗━⑨Aloe vaombe

以上が論文の内容となります。遺伝子解析の結果では、マダガスカル島のアロエは多系統であることが判明しました。最低でも、Aloe susannae、Clade A、Clade Mの3系統です。しかし、調べたアロエの種類が少ないため、マダガスカルにはまだ他の系統のアロエも存在するかもしれません。例えば、今回の研究ではAloe susannaeだけがかなり異なる系統だったように、場合によっては1種類だけ別系統というパターンもありうることがわかります。つまりは、マダガスカル島のアロエをすべて調べないとわからないということです。ただし、アフリカ大陸のアロエについての遺伝子解析がそれほど進んでいない感じがありますから、総合的な評価はまだ難しいのかもしれません。著者も完全解明を目論んだわけではなく、調査の規模からして予備検討的な研究であると本文で述べています。しかし、それでも予想を上回る重要な結果が得られています。個人的には大変意義のある良い論文だと思いました。


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Haworthiaはアフリカ原産の多肉植物です。自生地は当然ながら非常に暑くなります。ですから、その高温に耐える力がHaworthiaにはあるはずです。 本日ご紹介する論文は、2017年にウクライナのN.V.Nyzhyna、M.M.Gaidarzhy、Y.V.Aviekinにより発表された『Species-specific response to acute hyperthermal stress of Haworthia (Asphodelaceae) plants』です。なんと、Haworthiaを40℃と50℃に加熱してその反応を調べるというものです。

DSC_1832~2
これは論文のイメージに合わせて私が適当に加工して作った画像です。現実にこういう色のオブツーサはないので悪しからず。

論文で使用されたHaworthiaは、H. cymbiformis、H. parksiana、H. attenuata、H. limifoliaの4種類です。ただし、この内H. attenuataとH. limifoliaは、現在ではHaworthiopsisとされています。
研究方法は実生2年のHaworthiaの中間の葉(中心の新しい若い葉と外側の古い葉の間)を使用し、25℃の条件を比較対象として、40℃と50℃の条件にした葉を化学的に分析しました。加熱時間は3時間です。

植物もストレスを受けると活性酸素を生じます。活性酸素は細胞に対して毒性がありますから、生物の体には活性酸素を除去する働きがあります。主にスーパーオキシドジムスターゼやカタラーゼ、ペルオキシダーゼなどの酵素により活性酸素は不活化されます。H. cymbiformisやH. attenuataはスーパーオキシドジムスターゼが加熱により上昇しましたが、H. parksianaとH. limifoliaは上昇しませんでした。
さらに、成分を分析すると、フラボノイド(ポリフェノールの1種)がおそらくは破壊されたために、大幅に減少しました。しかし、フラボノイドは温度ストレスを受けた初期に働いて、植物を保護していると考えられます。H. parksianaでは40℃より50℃でよりフラボノイドが増加したことは、フラボノイドがストレス下の植物の保護に重要である可能性を示します。

H. attenuataは40℃でクロロフィル(光合成に必要な緑色の色素)とカロテノイド(強い抗酸化作用を持つ黄色や赤色の色素)が増加しました。さらに、50℃ではカロテノイドのみが増加しました。これはH. attenuataが高温下でもカロテノイドを増やすことにより環境に対応出来ていることがわかります。
逆にH. limifoliaは40℃ではややクロロフィルが減少し、光合成の効率が低下しました。50℃ではカロテノイドも減少したことから、H. limifoliaは高温環境には耐えられていないことが想定されます。
H. cymbiformisは40℃でも既にカロテノイドが減少する傾向があり、高温に耐える力が小さい可能性があります。

次に高温により失われた水分量の測定が行われました。加熱1時間の水分喪失量はH. attenuataは7.53%、H. limifoliaは4.32%、H. parksianaは7.44%、H. cymbiformisは22.29%でした。干魃耐性はH. limifoliaでやや高く、H. cymbiformisでは著しく低いことがわかりました。

以上が論文の内容となります。
ただし、この論文は英語ではなく、ウクライナ語で書かれたものです。キリル文字で書かれていますから、私は全く読めません。仕方がないので機械翻訳してみましたが、意外にも割とよく分かる日本語に翻訳されていました。というのも、例えばマダガスカルはフランスの植民地だったせいか、フランス語の論文が多くあります。同様にメキシコではスペイン語の論文が書かれています。マダガスカルもメキシコも多肉植物の宝庫ですから、沢山の多肉植物の論文が書かれています。タイトルに引かれて見てみると内容はフランス語やスペイン語で書かれていて全く読めないので試しに機械翻訳をかけてみますが、大抵は読むに耐えないひどい日本語になってしまいます。文字化けも多く、語尾がYesかNoかも怪しい悪質なもので、一応は日本語に翻訳されているのに全く内容が理解出来ず断念した論文が幾つもありました。機械翻訳は専門用語が多い学術論文には不向きです。最近では英語以外の論文は初めから除外していましたが、この論文はどうしても気になったので無理をして機械翻訳された文章を読んで見ました。しかし、ところどころで不明瞭な翻訳があり、よく理解出来ないために省いた部分もありました。ですから、大変申し訳ないのですが、不正確な部分もあるかもしれません。今回は無理をしたものの、正直懲りましたので今後はこれはというものではない限り、英語論文以外は訳さない方針で行こうかと思います。


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日本に生えるソテツ(蘇鉄、Cycas revoluta)は、針葉樹やイチョウなどと同じく裸子植物です。身近な針葉樹と言えば杉や桧ですが、花粉症の原因となり問題となっています。これは杉や桧が風媒花であることが重要です。風媒花は文字通りの風任せなため、数打ちゃ当たるの戦法で大量の花粉を撒き散らす必要があるのです。
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Cycas revoluta

植物の進化は陸上に上陸後、コケ植物→シダ植物→裸子植物→被子植物という順番でした。被子植物の登場により、昆虫に受粉してもらうための目立つ花が登場しました。針葉樹の花が目立たないのは、昆虫にアピールする必要がないからです。同じように、イネ科やカヤツリグサ科の植物の花も風媒花なため、非常に目立たない地味な花です。ですから、裸子植物は虫媒花ではなく、風媒花とされてきました。
しかし、1986年に海外のソテツであるZamia furfuraceaがゾウムシにより受粉されることが報告されました。それ以来、1987年にZamia pumilaがゾウムシとアザミウマにより受粉されるとし、1993年にはMacrozamia、1995年にはEncephalartos、2002年にはBowenia、2004年にはLepidozamiaについて昆虫による受粉が確認されました。
ソテツ類の分類は、裸子植物ソテツ綱ソテツ目です。科は2つか3つとするのがスタンダードですが、今回はソテツ科とザミア科の2つに分ける分類を採用します。ソテツ科はソテツ属(Cycas)の1属で約100種類からなり、ザミア科は9~10属で約200種類からなります。1986年以来のソテツの虫媒花の発見は、すべてザミア科によるものでした。ソテツ科は虫媒花の可能性について指摘されることはありましたが、確実性のある研究はこれまでありませんでした。日本に生えるCycas revolutaについては風媒花と考えられて来ました。

今回ご紹介するのは、Cycas revolutaの虫媒花の可能性を探った2007年の『IS CYCAS REVOLUTA (CYCADACEAE) WIND- OR INSECT-POLLINATED?』です。著者は京都大学のMasumi Kono & Hiroshi Tobeです。
まず、最近の研究によるとCycas revolutaの自然の自生地では受粉は雨季であり、風媒花にとっては不利です。また、受粉時に花から揮発性の強い臭いが放出されることが知られています。
研究は沖縄県与那国島において行われました。Cycas revolutaは雌雄異株で、雄株は1~2年、雌株は2~3年ごとに開花します。観察は2004年の5~6月で、頻繁に雨が降っていたにも関わらず受粉しました。
Cycas revolutaの花で採取された昆虫は、雄株ではカネタタキ(Ornebius kanetataki)、フタスジシュロゾウムシ(Derelomus bicarinatus)、アミメヒラタゴキブリ(Onychostylus notulatus)でした。雌株ではクロハナケシキスイ(Carpophilus chalybeus)、キバナガヒラタケシキスイ(Epuraea mandibularis)、オキナワゴボウゾウムシ(Larinus latissimus)が豊富でした。
受粉の1ヶ月後、雌の花にはクロハナケシキスイ、キバナガヒラタケシキスイ、オキナワゴボウゾウムシが頻繁に観察されました。ゴキブリやダンゴムシ、ヨコバイ、ムカデ、クモ、サソリ、トカゲも見られましたが、隠れるための一時的なものであると見なされました。自然に受粉した18個体中の15個体にはケシキスイが繁殖し幼虫も見られました。
ケシキスイの幼虫に最大10.5%が食害されていましたが、この場合でも146個の種子を作りました。
捕獲したケシキスイを電子顕微鏡で観察したところ、Cycas revolutaの花粉が付着していることが確認されました。

昆虫が訪れるのを網で防いだ場合でも、雄株と雌株の距離が2m以内の場合では約100個の種子を作りました。ですから、風媒により受粉するのは間違いありません。しかし、距離が2mを超えると受粉効率は著しく減少しました。つまりは、距離が近い場合には風媒が有効ですが、距離が遠い場合は虫媒により受粉するということです。

以上が論文の内容となります。著者はCycas revolutaが虫媒の初期段階にある可能性を指摘しています。風媒花から虫媒花へ、その両方へ跨がる受粉形式は例をみない奇妙なものです。昆虫に対する報酬も、蜜や花粉ではなく、花(胚)自体が食害によりダメージを受けるという不完全なものです。しかし、花の進化というものを考えた時に、Cycas revolutaの奇妙な受粉形式はその過渡期にあるものとして重要な意味を持つのかもしれませんね。


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ガリエペンシスは蒼角殿の仲間です。学名に関する経緯は以下の通りです。まず、1867年に蒼角殿Bowiea volubilisが命名されました。その後、白花の種類が見つかり、1983年にvan JaarsveldによりBowiea gariepensis van Jaarsv.と命名されました。しかし、1987年(publ. 1988)に蒼角殿の亜種とするBowiea volubilis subsp. gariepensis (van Jaarsv.) Bruyns.とされました。しかし、ガリエペンシスは白花であるだけではなく蔓の色合いなど全体的に違いがあり、一見して別種に思えます。
そんな中、ガリエペンシスを発見したvan Jaarsveldの短いレビューを見つけましたのでご紹介します。2015年に
Ernst Jacobus van Jaarsveldが執筆したBowiea HYACINTHACEAE』です。

内容的にはB. volubilisとB. gariepensisの詳細な特徴を列挙しています。B. volubilisの球根は最大16cmほどで茎は3-4m(最大10m)で、ケニア、タンザニア、ウガンダ、ジンバブエ、マラウイ、アンゴラ、南アフリカに分布します。B. gariepensisの球根は最大14cmほどで茎は1.2m程度で、ナミビア南部と南アフリカ北西部に分布します。それ以外にも花の細かい特徴が記載されていますが割愛します。

これは論文ではなく、植物図鑑の解説のようなものですから、記述は短くこの程度の簡単なものです。しかし、van JaarsveldはガリエペンシスがBowiea volubilisの亜種とする意見も示しつつ、本文ではBowiea gariepensisで通しています。学名は一度決まったら不変なものではなく、新たな研究の進展により変わることが度々あります。実際にB. gariepensisがB. volubilisの亜種とされたことを見てもそれはわかります。ですから、ガリエペンシスもいつか亜種ではなく、いつの日か独立種とされる可能性はあるのでしょう。個人的には、単純に外見的な違いだけではなく、分布の隔たりを見るに生殖隔離が既に起きているように見受けられます。何を持って亜種とされたのかわかりませんが、その根拠が気になります。当該論文を上手いこと見つけられればいいのですが…



おまけ

DSC_1842
1984年の『Veld & Flora』に記載されたガリエペンシス。絵自体は1983年に描かれたものですから、初記載時の絵かもしれません。ちなみに、まだこの時は"Bowiea gariepensis Van Jaarsveld, sp. nov."と表記されています。


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アロエは巨大に育つものがあります。Aloe feroxやAloe marlothiiなどは高さ数メートルに育ち、数十センチメートルの花序を沢山出します。しかも、このような巨大アロエは蜜の量も非常に多く、蜜を求めて様々な生き物が訪れます。当然ながらアロエは受粉をしてもらうために蜜を求める生き物を利用するわけですが、この蜜は他の生き物にとっても重要です。アロエは大抵は赤・橙・黄色系統の花を咲かせる種類が多く、色で花を探す鳥類や赤系統の花を好むミツバチやマルハナバチに対するアピールなのかもしれません。蜜の量が多ければ、ネズミなどの小型の哺乳類も蜜を舐めに来るかもしれません。
アフリカには花の蜜を専門として生きるタイヨウチョウ(sunbird)が分布します。アメリカ大陸にはやはり花の蜜で生きるハチドリがいますが、タイヨウチョウもハチドリと同じく非常にカラフルで美しい鳥として知られています。そして、アロエにもタイヨウチョウが訪れることが知られていますが、その受粉への貢献度について詳しくはわかっていませんでした。

本日ご紹介するのは、Aloe feroxの受粉に貢献する鳥について調査した、Carolina Diller, Miguel Castaneda-Zarate and Steven D.Johnsonの『Generalist birds outperform specialist sunbirds as pollinators of an African Aloe』という論文です。論文は2019年と最近のものです。
内容に入る前に少し用語の解説をします。生物の世界では、何かに対し専門的に特化したスペシャリスト(specialist)と、様々なものに浅く広く対応したジェネラリスト(generalist)が存在します。例えば、ある食物Xを食べることに特化したスペシャリストに対して、ジェネラリストはスペシャリストほど上手くXを食べることが出来ないということは良くあります。ただし、スペシャリストはX以外の食物も食べることが出来ます。スペシャリストとジェネラリスト、どちらが有利かはわかりません。なぜなら、スペシャリストもジェネラリストも存在するからです。環境次第ではないでしょうか。また、スペシャリストと一口に言っても、必ずしもジェネラリストよりも効率的に上手く出来るとは限らず、単純にそのXに依存しているだけの場合もあります。
次に受粉を行う生物を花粉媒介者と言いますが、一般的にはポリネーター(pollinator)と呼びます。アロエには様々なポリネーターが訪れます。

論文ではAloe feroxを観察し、アロエにポリネーターが訪れたあとに
花の柱頭に着いた花粉を数えました。Aloe feroxは高さ5mになるアロエで、最大13本の総状花序を出し、1本の総状花序には約280個の花が咲きます。調査は2017年の開花期にあたる、8月の乾季に南アフリカのLower Mpushini Valley自然保護区において、Aloe feroxの大規模な500以上の大群落において実施されました。
Aloe feroxを訪れた鳥は、スペシャリストとしてアメジストタイヨウチョウ(Chalcomitra amethystina)、ジェネラリストとしてサンショクヒヨドリ(Pycnonotus tricolor)、ハタオリドリ(Ploceus spp.)、アカガタテリムク(Lamprotornis nitens)でした。ハタオリドリはフィールドの観察では種類の特定までは出来なかったようです。
観察期間中、アメジストタイヨウチョウが4回で24個の花に、サンショクヒヨドリは10回で92個の花に、ハタオリドリは5回で45個の花、アカガタテリムクは6回で69個の花に訪れました。
観察期間の12日間にAloe feroxを訪れたスペシャリストは77羽、ジェネラリストは242羽でした。スペシャリストはアメジストタイヨウチョウが71回、シロハラタイヨウチョウが6回訪れました。ジェネラリストはハタオリドリが79回、アカガタテリムクが65回、サンショクヒヨドリが60回、クロオウチュウ(Dicrurus adsimilis)が20回、チャイロネズミドリ(Colius striatus)で18回でした。


さて、実際にAloe feroxの柱頭に付着した花粉を調べると、面白い結果が得られました。スペシャリストが訪れてもAloe feroxにはあまり花粉は付かないというのです。ポリネーターが入らないように網を被せた花と違いが見られなかったのです。ポリネーターが訪れなくても、多少は自分の花粉が付いてしまうこともあるのですが、スペシャリストはそのレベルあったということです。逆にジェネラリストの訪れた花は、スペシャリストの訪れた花の倍以上の花粉が付いていました。つまりは、Aloe feroxにとって、スペシャリストであるタイヨウチョウよりもジェネラリストの方が優れたポリネーターであるということです。

スペシャリストの嘴は長く、ジェネラリストの嘴は短いからであると言われることがあるようです。しかし、今回の観察期間中の鳥を調べると、スペシャリストとジェネラリストの嘴の長さに差はありませんでした。違いは嘴の太さで、スペシャリストの嘴は細くジェネラリストの嘴は太いということです。今回の観察期間中では、ジェネラリストはスペシャリストよりも大型でした。ジェネラリストは蜜を吸うために、顔を花に突っ込みその時に頭で雄しべを押し広げていることが観察されました。逆にスペシャリストのタイヨウチョウは、小さい頭に細い嘴、長い舌を持つため、雄しべに触れないで蜜を吸うことが出来るのです。よって、Aloe feroxに対してタイヨウチョウは蜜泥棒ということになります。

以上が論文の内容となります。
蜜を餌とする専門のタイヨウチョウが、受粉に寄与しないという驚くべき論文でした。2点ほど補足説明をしましょう。
まず1つ目は、Aloe feroxとタイヨウチョウの目的が異なることです。Aloe feroxはポリネーターに受粉してもらうために蜜を準備しているわけですが、タイヨウチョウは受粉を助けるために花を訪れているわけではありません。タイヨウチョウからすれば、いかに効率的に蜜を得られるかが重要なのであって、Aloe feroxが受粉するか否かはどうでも良いことです。邪魔な雄しべに触れないで、素早く嘴を花に差し込んで蜜だけを抜き取る。正にスペシャリストの技です。この場合、タイヨウチョウの方が一枚上手と言えます。対して、ジェネラリストはタイヨウチョウのようにスマートに蜜を得られません。しかし、下手だから頭を花粉だらけにして、上手いことAloe feroxに利用されて、知らずに受粉の手助けをしているのです。
2つ目は、これはAloe feroxに対するタイヨウチョウのポリネーターとしての能力がないと言っているだけで、他の植物の花では異なるかもしれないということです。例えば、Gasteriaはタイヨウチョウをポリネーターとしています。この場合、タイヨウチョウは花の蜜に特化したスペシャリストですが、Gasteriaはタイヨウチョウに特化した一段レベルの高いスペシャリストです。不特定多数の花の蜜を利用するタイヨウチョウは、自分をターゲットにしたGasteriaに上手く利用されているのです。
野生の生き物は何も相手を思いやって行動しているわけではなく、あくまで自分の利益のために行動しています。ですから、Aloe feroxとタイヨウチョウの関係は、上手く噛み合わなかっただけで、Aloe feroxがへまをしたわけでもタイヨウチョウが上手く出し抜いたわけでもありません。この関係は偶然の産物と言えます。
実はスペシャリストの訪問を妨げたりジェネラリストを呼ぶ算段を用意している植物もあります。ではAloe feroxが無策であるのは何故なのか気になります。考えたこととして、小型のアロエは花の数が少ないため受粉は確実性が欲しいでしょうから、蜜泥棒対策は必要でしょう。しかし、数えきれないほどの花を咲かせるAloe feroxは、そのすべての花が受粉しなくても十分なのかもしれません。無駄が多いようにも感じられますが、スペシャリストを妨げたりすることにも相応のコストがかかります。要するに戦略が異なるだけではないでしょうか。大型だからコストをかけて花を沢山咲かせる戦略、小型だから花は少ないけれど蜜泥棒対策にコストをかける戦略という、サイズに合わせた現実的な戦略を講じているわけです。

植物とポリネーターの関係は非常に複雑で面白く感じます。この論文では蜂の影響を避けるため、蜂が活発に活動する時間帯は花に網を被せていました。では、蜂の受粉に対する貢献度はいかほどでしょうか? また、このような大型アロエでは、ネズミなどの小型哺乳類も蜜を求めて訪れます。小型哺乳類の多くは夜行性ですから、昼行性の鳥類とは競合しないでしょう。では、小型哺乳類はアロエとどのような関係を築いているのでしょうか? どうにも気になることが沢山出て来てしまいました。最近は忙しく中々じっくりと論文を探す時間が取れませんが、少しずつ調べていくつもりです。


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白雪姫というかわいらしい名前をつけられたガステリアがあります。その学名をガステリア・グロメラタ(Gasteria glomerata)と言います。最近ガステリア属について詳しく調べたこともあり、ガステリアについて書かれた論文を少しずつ読んでいます。白雪姫については以前記事にしていますが、白雪姫の発見に関する論文を見つけましたのでご紹介します。

本日ご紹介するのは、南アフリカのErnst van Jaarsveldによる『Gasteria glomerata van Jaarsveld sp. nov.』という1991年の論文です。この論文により白雪姫がはじめて学術的に記載されました。白雪姫が発見された際の環境がわかる興味深い論文です。

早速内容に入りましょう。
Gasteria glomerataは南アフリカのKougaダム地域に固有のガステリアで、Kougaダムでは2種類目のガステリアです※。自生地の地形は険しく環境は良くありません。わずかに酸性(pH6.4)の石英質砂岩土壌で栄養価は低く、標高500~700mの垂直な崖に生えます。G. glomerataは他の低木などの陰で育ち、密集した状態で群生します。ちなみに、自生地が同じG. ellaphieaeとの雑種は確認されておりません。

※Kougaダムで最初に発見された新種のガステリアは、Gasteria ellaphieaeです。G. glomerataと同じ1991年にやはりvan Jaarsveldにより先に記載されました。

 G. glomerataの自生地には多肉植物を中心とした他の植物も豊富です。例えばCrassula(C. cordata, C. cultrata, C. lactea, C. muscosa var. parvula, C. orbicularis)、Delosperma laxipetalum、Adromirchus(A. crirtatus var. schonlandii, A. inamoenus)、Cotyledon(C. tomentosa, C. velutina, C. woodii)、Aloe pictifolia、Haworthia(H. translucens, H. turgida)、Bulbine latifolia、Othonna(O. carnosa, O. lobata)、Senecio scaposusHaemanthus albiflosなどがあげられます。また、低木あるいはブッシュを作るPelargonium zonale、Portulacaria afra、Ficus burt-davyiiなどが自生します。

G. glomerataは二列性の矮性種で、密に群生します。花は明るい赤桃色です。論文ではG. glomerataはG. rawlinsoniiとG. baylissianaと関係があるのではないかとしています。この3種はロゼットを形成しない二列性で、春に花を咲かせ、ともに厳しい断崖に生え、ケープに特有の石英質砂岩土壌に限定的に分布します。G. baylissianaは密に群生する育ち方も同じ矮性ガステリアです。また、著者はG. nitida var. armstrongiiと一部類似性があるものの、生息環境が異なるとしています。

最後に著者は、G. glomerataは明るい日陰で腐食質が豊富な土壌で最もよく育ち、分枝しよく増えると述べています。

以上がはじめて白雪姫が新種として命名された論文の要約した内容となります。詳細な形態学的な内容は割愛させていただきました。
さて、白雪姫の学名が命名されて既に30年以上経ちましたが、その間にガステリア研究も進展が見られます。2021年に出た『Phylogeny of the Southern African genus Gasteria duval (Asphodelaceae) based on Sanger and next generation sequencing data』という論文では、遺伝子解析によりガステリア属の系統関係を調べています。以下が白雪姫G. glomerataと近縁なガステリアとの系統関係です。

     ┏━━━━G. excelsa
 ┏┫
 ┃┗━━━━G. pulchra
 ┃
 ┫ ┏━━━━G. ellaphieae                         
 ┃ ┃ 
 ┃ ┃    ┏━━G. polita
 ┗ ┫┏┫
      ┃┃┃┏━G. acinacifolia
      ┃┃┗┫
      ┗┫    ┗━G. barbae
          ┃
          ┃┏━━G. armstrongii
          ┗┫
              ┃┏━G. glauca
              ┗┫
                  ┗━★G. glomerata

この論文では残念ながらG. baylissianaは解析されていないため、G. glomerataとの関係はわかりません。しかし、意外な事実が見えてきます。
例えば、G. glomerataはG. rawlinsoniiとは特に近縁ではありません。最も近縁なのはG. glaucaとG. armstrongiiです。この論文ではG. nitidaとG. nitida var. armstrongiiは近縁ではないことが判明したため、G. armstrongiiとして独立しています。G. glomerataと異なり、G. armstrongiiは平地に分布します。ガステリア属では生息環境の類似性は、種の近縁性とは無関係である可能性が高いのでしょう。
また、面白いことに、同じ地域に分布しているG. ellaphieaeは、G. glomerataと割と近縁でした。
あと、上の系統図のガステリアは、おおよそ南アフリカ南西部の原産でした。分布が近い種類は近縁種であるという、考えてみれば当たり前の話がわかったのです。

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Gasteria glomerata

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Gasteria ellaphieae

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Gasteria baylissiana


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蒼角殿は南アフリカ、ジンバブエ、ザンビア、タンザニア、ウガンダ、ケニア、モザンビーク、マラウイ、アンゴラ原産の、モジャモジャしたつるを持つ球根植物です。1867年にHarv. ex Hook.f.により命名されました。

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蒼角殿 Bowiea volubilis Harv. ex hook.f.

蒼角殿には強心作用があるとされていますが、原産地ではある種の薬草として利用されてきた歴史があります。蒼角殿に含まれる有効成分を調べた論文もあるようですが、本日は蒼角殿の薬草としての利用について調査した論文をご紹介します。

本日ご紹介するのは、南アフリカの研究者であるL.J. Ramarumo、A. Maroyi & M.P. Tshisikhaweの『Bowiea volubilis Harv. ex Hook.f. subsp. volubilis : A therapeutic plant species used by the traditional healers in the Soutpansberg Region, Vhembe Biosphere Reserve, Limpopo Province, South Africa』です。2019年に発表された新しい論文です。

論文は南アフリカのLimpopo州Vhembe自然保護区、Soutpansberg地域の伝統的なヒーラーによるB. volubilisの治療への利用を調査したものです。調査はヒーラー133人に対するインタビューにより収集されました。
身近にある植物を薬草として利用は、太古の昔から行われています。世界の人口の80%以上、特に農村地域では健康のために薬草に依存しています。アフリカ南部では4000種類以上の植物が、病気に対して治療薬として利用されているそうです。

B. volubilisは発疹、幼児の駆虫薬。肝感染症、骨盤痛、幼児の黄疸などに使用されました。その薬草としての加工方法も目的により異なります。例えば、発疹にB. volubilisを使用する際は、新鮮な球根をみじん切りにして汁を絞り、これをボディーローションとして1日2回、5日間患部に使用します。肝感染症には、新鮮なB. volubilisの全体を茹でて、Momordica(M. boivinii、M. balsamica、M. cardiospermoides、M. foetida、M. repens)の新鮮な根と一緒に煎じます。これは、1日3回、2ヶ月間薬湯として飲まれます。骨盤痛には、茹でて刻んだ新鮮な球根と、Artabotrys monteiroaeの煎じ薬をトウモロコシ粉と混ぜて粥を作ります。粥として1日2回を1週間食べます。

このように、B. volubilisの利用法についての調査により、薬草としての可能性はあります。しかし、残念ながらB. volubilisの持つ薬理作用に関してはあまりわかっていません。抽出された個別成分の研究はあるようですが、植物そのものが漢方薬のように効果があるかは検証されていません。しかし、B. volubilisが様々な生理活性物質を含んでいることは確かなので、今後の研究に期待したいところです。


最後に、問題はB. volubilisがこのように生薬として様々な用途で利用されるため、個体数が減少して将来的に野生状態での絶滅の可能性があるということです。著者らは栽培の必要性を訴えています。

以上が論文の内容となります。
個人的に驚いたのは、意外にも用途に合わせて加工方法が異なり、他の薬草と合わせて調合されるなど調合方法が複雑なことです。薬草としての長い歴史的な経緯を感じさせます。
また、著者らは栽培の必要性を訴えていますが、栽培した時に野生株と比較して薬効成分が減少しないかは気になるところです。実際にその点を重視して調べた論文もあるようです。Bowiea volubilisの実際の薬理作用についても気になります。今後も注視して行きたいと考えております。


おまけ
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1867年の『Botanical Magazine』に掲載されたBowiea volubilisの図表。この論文によりB. volubilisは正式に新種として記載されました。



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10月に入り涼しくなったどころか、急に寒くなったりしてやや多肉植物たちが心配になりました。しかし、最近ではまた暑くなったりしておかしな感じですね。
それでも、陽光が柔らかくなったせいか、ハウォルチアなどは葉色が美しい時期です。生長が楽しみな季節ですが、そろそろ冬支度も考えなくてはなりません。実は色々考えてはいるのですが忙しくて時間が取れず、一向に進まずまったく持って困ったものです。


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オブツーサ
ホームセンターの安売り品でしたが、もう10年ほど雨ざらしの半野良オブツーサ。冬も戸外なので増えては減ってを繰り返しています。


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Euphorbia bongolavensis
他のユーフォルビアと同じように育てていたら、葉が少なくなってしまいました。そこで、遮光下であまり乾かさないように管理したら、葉もきれいに生え揃いました。

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Astroloba spiralis 
=Astroloba pentagona
=Astroloba spirella
Astroloba hallii nom. nud.
葉色も良く非常に元気です。炭化鶏糞が効いたのでしょうか。

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Astroloba rubriflora
Poellnitzia rubriflora
生長は遅いのですが、これでもだいぶ生長しました。割ときれいに育っています。


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Aristaloe aristata
=Aloe aristata
今年の春に親株を植え替えた際に、小さな子が付いていたので外して移植しましたが順調に育っています。片方は小さいながらもロゼットを形成し始めました。


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Gymnocalycium vatteri
現在の主流のバッテリーはイボが大きく扁平で強棘ですが、こちらはイボが目立たず一本棘の古いタイプです。


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新鳳頭
何故か地中に潜っていきます。不思議。



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Euphorbia robecchiiはエチオピア、ケニア、ソマリア、タンザニア原産のユーフォルビアです。
購入時だけ何故か名札にはEuphorbia robechchiiとありました。少し検索すると"robechchii"という名前で販売されていることが多いようです。どうやら、販売されている種子に"Euphorbia robechchii"とラベルされているようで、生産者さんも種子の情報通りに名前を書いているのでしょう。
さて、学名は1897年に命名されたEuphorbia robecchii Paxです。Paxはドイツの植物学者のFerdinand Albin Paxのことです。異名としては、1911年(publ. 1912)に命名されたEuphorbia pimeleodendron Paxや、1916年に命名されたEuphorbia ruspolii Chiov.が知られています。
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Euphorbia robecchii

しかし、Euphorbia robecchiiを調べてもあまり情報がありません。まあ、園芸的に重要ではないので仕方がないことです。要するに流行りではないのでしょう。とは言うものの、これだけの内容だと記事としてはあまりにも寂しい気がしますから、論文を漁ってみました。すると、いつもとは毛色の異なる面白い論文がありました。
本日ご紹介するのは、スイスのP.R.O.Ballyの1954年の論文『TREE-EUPHORBIA AS TIMBER TREES』です。今から70年近く前の貴重な写真もありましたから、せっかくなので掲載しました。

早速内容に移りましょう。
熱帯アフリカに自生する大型のユーフォルビアは、幹が木質化して樹木のように育ちます。このような大型のユーフォルビアはいわゆる「燭台の木」(Candelabrum Trees)と呼ばれますが、経済的な価値はないと考えられています。

しかし、現地では昔からユーフォルビアを様々な用途で利用されてきました。乾燥させた枝は火を運ぶのに使われました。「燭台の木」の枝は一度火が着くと、何時間もくすぶり続けるということです。また、キクユ族(Kikuyu)は「燭台の木」の髄を強壮剤や肥育剤として利用します。乳液は水で薄めて人や牛の駆虫薬として使用されます。ただし、ユーフォルビアの乳液には大なり小なり毒性がありますから、危険性は当然ながらあります。その毒性を利用して、実際に矢毒や漁にも利用されているくらいです。

乳液にはゴムの原料となるラテックスが含まれています。第二次世界大戦中、日本のアジア侵攻によりヨーロッパではゴム不足となりました。そのため、代替品としてユーフォルビアからゴムを得ようと分析されたことがあります。しかし、ゴムの含量には問題ありませんでしたが、ゴムだけを分離する事が当時は技術的に困難だったとのことです。

しかし、経済的に重要なユーフォルビアが2種類あります。ひとつはエリトリアに膨大な個体数を誇るEuphorbia abyssinicaです。
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Euphorbia abyssinica
アビシニカは高さ40フィート(約12.2m)に達し、太く真っ直ぐな材が取れます。イタリア人は「柔軟で平行な繊維」を持つE. abyssinicaの材がマッチ製造に適していることを発見し、国内消費用だけではなく、輸出用のマッチも製造していました。また、材の削りかすやおが屑などの廃棄物をパルプ化して、強い茶色の紙が作られています。
ただし、残念なことにE. abyssinicaは非常に生長が遅く、伐採後の植樹がなされていないため、いずれ資源が枯渇するのは時間の問題です。

ソマリアの沿岸地域では背が高くなるEuphorbia robecchiiが豊富に生えています。幹は木質化しますが、上部で枝分かれした枝も木質化するため、一見して普通の樹木のように見えます。
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Euphorbia robecchii

川のほとりに沿ってイタリア人の運営する巨大なバナナのプランテーションがあり、その運搬のために木箱が必要でした。しかし、アフリカで木材を得るのは困難でしたから、E. robecchiiの材が用いられました。


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切り出されたE. robecchiiの幹

Euphorbia robecchiiの乳液は刺激性が高く毒性が強いことが知られています。極少量でも炎症を引き起こし、皮膚に水ぶくれが出来ると言います。そのため、E. robecchiiを伐採する前に火で樹皮を焦がして、乳液を取り除く必要があります。


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E. robecchiiの材から作られた木箱

E. robecchiiの材は乾燥させてからカットし、木箱を作ってバナナを詰めます。木箱に入ったバナナは船で運ばれて行きます。
E. robecchiiはソマリアだけではなく、ソマリランドやタンザニアにも広く分布する事から、資源として有望です。

以上が論文の要約となります。もちろん、現在はこのような使われ方はしていないでしょう。しかし、現地の古くからの民間利用は今でもなされているのでしょう。
この論文は著者の意図したことではないでしょうが、結局はヨーロッパ諸国が植民地でいかに金を儲けるか、産業利用の可能性についての内容となっています。まあ、著者はあくまで研究者ですから、ただありのままを報告しているに過ぎませんから、実際にはプランテーション経営やユーフォルビアの産業利用とは縁がないとも言えます。
しかし、これは実際にあったことで、小さなことですが歴史の1ページであることは間違いありません。この論文が電子ファイルとして保存されていることを今は喜ぶべきなのでしょう。


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土・日に仕事があり少し疲れています。土曜日は筑波まで、電車とバスを乗り継いで2時間以上かかりました。とはいえ、土曜日はまあこれは以前からわかっていたからいいのですが、日曜日は急なものでしたからさすがに疲れ気味です。まあこれは緊急なトラブル対応で、そうそうあることではないのでまあ仕方がないでしょう。度々あるようでは困りますが…
というわけで、日曜日は都内に仕方がないので行きましたが、午前仕事でしたから西武池袋の鶴仙園に寄って帰りました。先月末にイベントで来たばかりでしたから、今月は行く予定はありませんでしたが、近くに来たのも何かの縁です。さて、今回はどのような多肉植物があるでしょうか? 

西武池袋の屋上では、なにやらハロウィンの飾りがありました。屋上には飲食店が多数出ていますから、時間帯が昼なこともあり結構な賑わいでした。
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大きなカボチャがゴロゴロ転がっています。

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私はそんな賑わいを後目に、鶴仙園に真っ直ぐ向かいます。今日は疲れたので早く家に帰りたい一心でしたが、多肉植物には逆らえません。
さて、前回来てからそれほど時を経ていないため、それほど変わりありません。ただ、塊根性のモナデニウムが数種類あったりして少し驚きましたが、それなりにいいお値段でした。どういう訳か硬葉系ハウォルチア(=Haworthiopsis)はほとんどありませんでした。軟葉系は相変わらず充実していましたが…
今回はギムノカリキウムの苗が結構入っていましたから、2つほど購入しました。サボテンは安くていいですね。まあ、普及しているからでしょうけど。
あと、珍しいことに、かつて硬葉系ハウォルチアとされていたTulistaの原種が何鉢かありました。T. kingianaやT. marginataの小さな苗が、手が出ないお値段で販売されていました。まあ、どうやらかなり特殊な珍しいタイプみたいですから、仕方がないのでしょう。私はそれなりに大型なのに安く売られていたスパルサを購入しました。
というわけで、今回は10分くらいで退散しました。買わなくてもゆっくり見られたら目の保養になるのですが、さすがに疲れました。
今回の購入品は以下の通りです。

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大型鬼胆丸 実生
Gymnocalycium gibbosum v. nigrum
九紋竜G. gibbosumの変種。
G. borthii var. brachypetalumとされることの方が多いみたいです。
学術的にはG. gibbosum subsp. gibbosumに含まれるとしていますが、割と外見は異なります。このように、九紋竜には現在は認められていない変種が沢山あり、それぞれ特徴的ですからコレクションしたくなります。


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フェロシオール
碧厳玉G. catamarcenseの強棘タイプを変種ferox、さらに強い棘のタイプを変種ferociorと呼ぶみたいです。ただ、碧厳玉はかつてG. hybopleurumと呼ばれていたため、現在でもこの名前で流通しています。フェロシオールはG. hybopleurum var. ferociorと表記されることが多いようです。
しかし、イギリス王立植物園のデータベースによると、G. catamarcenseはG. pugiocanthumの異名で、G. hybopleurumはG. monvillei subsp. monvilleiの異名、G. hybopleurum var. feroxはG. castellonosii subsp. castellonosiiの異名とありました。そもそも、G. hybopleurum var. ferocior自体データベースに情報がありません。いったい何がどうなっているやら、さっぱりわかりません。今後、じっくりと調査する必要がありそうです。

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Tulista (Haworthia) pumila sparsa Lemoenpoort
かつてハウォルチアだったため、括弧でハウォルチアと表記されています。さて、プミラには
変種ohkuwaeと変種sparsaがありますが、既に変種ohkuwaeは入手済みでしたから、プミラはこれでコンプリートです。
ツリスタ属で未入手は、現在はT. minorに含まれているT. opalinaくらいですかね。まあ、細かい地域の違いやタイプを気にし始めたらキリがありませんが…


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鶴仙園のカッコいいラベル付き。



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いよいよ、ガステリア属の種類についての記事は、19世紀篇、20世紀篇と来て本日の21世紀篇で終了です。21世紀に入ると、南アフリカのvan Jaarsveldの一強時代となります。驚くべきことに、20年間に9種類の新種のガステリアが命名されており、そのすべてにvan Jaarsveldが関わっているのです。では、21世紀に命名されたガステリア属を見ていきましょう。

①Gasteria polita van Jaarsv., 2001

②Gasteria doreeniae
        van Jaarsv. & A.E.van Wyk, 2004


③Gasteria tukhelensis
                             van Jaarsv., 2005


④Gasteria barbae van Jaarsv., 2014

⑤Gasteria loedolffiae
                        van Jaarsv., 2014


⑥Gasteria koenii van Jaarsv., 2017

⑦Gasteria langebergensis
                   (van Jaarsv.)
              van Jaarsv. & Zonn., 2019

Homotypic synonym
Gasteria disticha var. langebergensis
                                van Jaarsv., 2007


⑧Gasteria visserii van Jaarsv., 2020

⑨Gasteria camillae
              van Jaarsv. & Molteno, 2020



ここ3日間の記事で、ガステリア属全26種の学名を、その命名年ごとに19世紀8種、20世紀9種、21世紀9種についてまとめてみました。18世紀はガステリア属はまだありませんからアロエ属とされており、1809年にDuvalによりガステリア属が創設されてからは19世紀はアロエ属かガステリア属かという駆け引きがあった模様です。しかし、20世紀前半は無風状態でしたが、後半はvan Jaarsveldの独断場と化します。1753年に後のGasteria disticha、つまりはAloe distichaが命名されていますからそこから数えて約270年、ガステリア属が1809年に創設されてからと考えても200年以上の歴史があります。そう考えるとここ30年あまりのvan Jaarsveldの活躍には目を見張るものがあります。
そのvan Jaarsveldは1987年にGasteria vlokiiを命名して以来、実に12種2亜種6変種を命名し認められています。ガステリア属26種類のうち12種類ですから、半分近くがvan Jaarsveldの命名しました。大変な速さで新種が見つかっています。

しかし、これだけ古くから知られており、しかも南アフリカに固有という条件で、21世紀に入ってから新種が発見されるペースが加速することは珍しく感じます。考えてみればガステリア属は急な崖に生えるものが多く、いまだに調査が及んでいない地域は沢山ありそうです。しかも、何故かガステリアは内陸部や隣国では見つからず、南アフリカにU字型に分布します。これからも、新種が発見される可能性が高いのではないでしょうか? 引き続きvan Jaarsveldの活躍と、21世紀の新世代の植物学者たちの研究に期待したいですね。



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昨日は19世紀に命名されたガステリア属についてまとめました。本日は20世紀篇です。
19世紀のガステリアは異名が非常に多く、それなりに混乱していたことがうかがえます。ガステリア属を採用するか、それとも今まで通りアロエ属のままにしていくのかという論争もあったのでしょう。しかし、20世紀に入るとガステリア属は定着し、もはやアロエ属の所属と考える学者は現れません。

20世紀に命名されたガステリア属は9種類です。19世紀と比較すると異名が少なく、異名が多いのは19世紀にアロエ属として命名されているGasteria brachyphyllaだけです。
では、20世紀に命名されたガステリア属を見ていきましょう。


①Gasteria pillansii Kensit, 1910

変種ピランシイ
Gasteria pillansii var. pillansii
Heterotypic synonym
Gasteria neliana Poelln., 1929

変種エルネスティ-ルスキイ
Gasteria pillansii var. ernesti-ruschii
        (Dinter & Poelln.) van Jaarsv., 1992
Homotypic synonym
Gasteria ernesti-ruschii
                Dinter & Poelln., 1938

変種ハリイ
Gasteria pillansii var. halii
                    van Jaarsv., 2007


②Gasteria rawlinsonii
                      Oberm., 1976


③Gasteria baylissiana
                           Rauh, 1977


④Gasteria vlokii
                   van Jaarsv., 1987


⑤Gasteria ellaphieae
                    van Jaarsv., 1991


⑥Gasteria glomerata
                    van Jaarsv., 1991


⑦Gasteria brachyphylla
      (Salm-Dyck) van Jaarsv., 1992
Homotypic synonym
Aloe brachyphylla Salm-Dyck, 1840

変種ブラキフィラ
Gasteria brachyphylla
                     var. brachyphylla
Heterotypic synonym
Aloe pseudonigricans Salm-Dyck, 1817
Gasteria nigricans
                 var. marmorata Haw., 1821
Aloe subnigricans Spreng., 1825
Gasteria subnigricans Haw., 1827
Gasteria subnigricans
                      var. glabrior Haw., 1827
Gasteria fasciata var. laxa Haw., 1827
Aloe subnigricans
       var. canaliculata Salm-Dyck, 1840
Gasteria nigricans
                  var. platyphylla Baker, 1880
Gasteria nigricans
                     var. polyspila Baker, 1880
Gasteria transvaalensis Baker, 1889
Gasteria angustiarum Poelln., 1937
Gasteria triebneriana Poelln., 1938
Gasteria joubertii Poelln., 1940
Gasteria vlaaktensis Poelln., 1940

変種バイエリ
Gasteria brachyphylla
                  var. bayeri van Jaarsv., 1992


⑧Gasteria batesiana
                     G.D.Rowley, 1995


変種バテシアナ
Gasteria batesiana var. batesiana

変種ドロミティカ
Gasteria batesiana var. dolomitica
        van Jaarsv. & A.E.van Wyk, 1999


⑨Gasteria glauca
                          van Jaarsv., 1998



時代が変わりガステリアの研究者も代わりました。もはや、19世紀を主導した研究者たちは見られません。
さらに、19世紀は8種類が命名されているのに対し、20世紀は9種類が命名されていますから、一見してガステリア研究は活発に見えますが、それは実のところ見かけだけのことです。なぜなら、20世紀前半で命名されたのはGasteria pillansiiのみで、しかも活動していたのはPoellnitz、
Schönland、Alwin Bergerくらいで、命名された学名の数も少なく19世紀ほどの熱気は感じられません。
しかし、20世紀後半はその様相はガラリと変わります。1976年から1995年までの19年間に残りの8種類が命名されているのです。このガステリアの命名ラッシュを主導したのはvan Jaarsveldです。1990年代以降はまさにvan Jaarsveldの時代と言えます。21世紀になってもvan Jaarsveldは活発に研究し、20世紀以上のペースでガステリアの新種を発見していくのです。

明日はいよいよ21世紀篇です。もはやガステリア属の第一人者となったvan Jaarsveldが大活躍します。

20世紀のガステリア属に関する代表的な命名者たちは以下の通り。

☆Poelln.=Karl von Poellnitz(1896-1945年)ドイツの植物学者。
Schönland.=Selmar Schonland(1860-1940年)ドイツ出身で南アフリカで活躍した植物学者。
☆A.Berger=Alwin Berger(1871-1931年)ドイツの植物学者・園芸家。
☆Kensit=Harrit Margaret Louisa Bolus née Kensit(1877-1970年)南アフリカの植物学者。L.Bolusと表記されることが多い。
☆Oberm.=Anna Amelia Mauve、旧姓Obermeyer(1907-2001)南アフリカの植物学者。
☆Rauh=Werner Rauh(1913-2000年)ドイツの植物学者・生物学者・作家。
☆G.D.Rowley=Gordon Douglas Rowley(1921-2019年)イギリスの植物学者。
☆van Jaarsv.=Ernst Jacobus van Jaarsveld(1953- )南アフリカの植物学者。



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ガステリアは赤系統の特徴的な花を咲かせるアロエ類(アロエ属やハウォルチア属などをまとめたグループ)です。属名のガステリア(Gasteria)は胃(garter)から来た名前で、花がちょうど胃袋のような形をしています。ガステリアは花の蜜を求めて訪れるタイヨウチョウにより受粉する鳥媒花です。
DSC_1358
ガステリアの花

ガステリアは1753年に設立されたアロエ属(Aloe L.)に含まれていましたが、1809年にDuvalによりガステリア属(Gasteria Duval)として独立しました。1866年にはプティアス属(Ptyas Salib.)も提唱されましたが、これは現在認められていない属名です。
2022年現在、学術的に認められているガステリアは26種類です。

本日は19世紀にガステリア属として命名された8種類について、異名を含め一覧としました。ガステリア属が創設される前はアロエ属でしたから、初命名は18世紀だったりしますが、ガステリア属が19世紀はじめに創設されましたからガステリア属としての命名は19世紀からということになります。しかし、19世紀に命名されたガステリアは異名が非常に多いですね。
異名は現在の正式な学名につながるHomotypic synonymと、正統性が認められないHeterotypic synonymがあります。
先に命名された学名を優先するという「先取権の原理」がありますから、一番はじめに命名された学名の種小名に正統性があります。ですから、もし属が変更になっても、種小名は基本的にはじめに命名されたものが受け継がれます。
しかし、19世紀のガステリア属の命名者を見てみると、Duval、Haworth、Bakerとアロエ属やハウォルチア属でもお馴染みの学者ばかりですね。

①Gasteria carinata
                (Mill.) Duval, 1809

Homotypic synonym
Aloe carinata Mill., 1768

変種カリナタ
Gasteria carinata var. carinata 

Heterotypic synonym
Aloe tristicha Medik., 1786
Aloe linguiformis DC, 1801
Aloe lingua var. angulata Haw., 1804
Aloe lingua var. multifaria Haw., 1804
Aloe carinata var. subglabra Haw., 1804
Gasteria angulata (Haw.) Duval, 1809
Aloe carinata Kew Gawl., 1810
Aloe excavata Willd., 1811
Aloe angulata Willd., 1811
Aloe angulata var. truncata Willd., 1811
Gasteria glabra Haw., 1812
Aloe leavis Salm-Dyck, 1817
Aloe pseudoangulata Salm-Dyck, 1817
Aloe subcarinata Salm-Dyck, 1817
Gasteria subcarinata
               (Salm-Dyck) Haw., 1819 
Aloe sulcata Salm-Dyck, 1821
Aloe glabra (Haw.) Salm-Dyck, 1821
Gasteria laetepunctata Haw., 1827
Gasteria parva Haw., 1827
Gasteria strigata Haw., 1827
Gasteria undata Haw., 1827
Gasteria sulcata
                (Salm-Dyck) Haw., 1827
Gasteria angulata (Willd.) Haw., 1827
Gasteria leavis (Salm-Dyck) Haw., 1827
Gasteria excavata (Willd.) Haw., 1827
Gasteria humilis Poelln., 1829 
Aloe pusilla Schult. & Schult.f., 1829
Aloe umdata Schult. & Schult.f., 1829
Aloe laetepunctata
         (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
Gasteria pallescens Baker, 1880
Gasteria porphyrophylla Baker, 1880
Gasteria parviflora Baker, 1880
Gasteria disticha var. angulata
                        (Willd.) Baker, 1880
Gasteria carinata var. parva
                       (Haw.) Baker, 1896
Gasteria carinata var. strigata
                       (Haw.) Baker, 1896
Gasteria trigona var. kewensis
                        A.Berger, 1908
Gasteria carinata var. falcata
                        A.Berger, 1908
Gasteria carinata var. latifolia
                        A.Berger, 1908
Gasteria bijliae Poelln., 1937
Gasteria schweickerdtiana
                             Poelln., 1938
Gasteria patentissima Poelln., 1940
Gasteria carinata var. glabra
          (Salm-Dyck) van Jaarsv., 1998


変種レツサ
Gasteria carinata var. retusa
                         van Jaarsv., 1992

Homotypic synonym
Gasteria retusa
       (van Jaarsv.) van Jaarsv., 2007

変種ヴェルコサ
Gasteria carinata var. verrucosa
                (Mill.) van Jaarsv., 1992

Homotypic synonym
Aloe verrucosa Mill., 1768
Gasteria verrucosa (Mill.) Duval, 1809

Heterotypic synonym
Aloe acuminata Lam., 1783
Aloe recemosa Lam., 1783
Aloe verrucula Medik., 1784
Aloe carinata DC., 1801
Aloe intermedia Haw., 1804
Aloe lingua Kew Gawl., 1810
Gasteria intermedia
               (Haw.) Haw., 1812
Aloe verrucosa var. striata
                     Salm-Dyck, 1817
Gasteria repens Haw., 1821
Gasteria intermedia var. asperrima
                               Haw., 1821
Aloe verrucosa var. latifolia
                      Salm-Dyck, 1821
Aloe subverrucosa Salm-Dyck, 1821
Aloe subverrucosa var. grandipunctata
                               Salm-Dyck, 1821
Aloe subverrucosa var. parvipunctata
                               Salm-Dyck, 1821
Aloe intermedia var. asperrima
                               Salm-Dyck, 1821
Gasteria subverrucosa
                  (Salm-Dyck) Haw., 1827
Gasteria intermedia var. laevior Haw., 1827
Gasteria intermedia var. longior Haw., 1827
Aloe repens Schult. & Schult.f., 1829
Aloe scaberrima Salm-Dyck, 1834
Gasteria var. intermedia
                           (Haw.) Baker, 1880
Gasteria subverrucosa var. marginata
                                 Baker, 1880
Gasteria radulosa Baker, 1889
Gasteria verrucosa var. scaberrima
                     (Salm-Dyck) Baker, 1896


②Gasteria obliqua
               (Aiton) Duval, 1809

Homotypic synonym
Aloe maculata var. obliqua
                     Aiton, 1789
Aloe obliqua (Aiton) Haw., 1804

Heterotypic synonym
Aloe maculata Thunb., 1785
Aloe lingua Kew Gawl., 1806
Aloe nigricans var. fasciata
                      Salm-Dyck, 1821
Gasteria bicolor Haw., 1826 publ. 1827
Gasteria picta Haw., 1827
Gasteria retata Haw., 1827
Gasteria maculata Haw., 1827
Gasteria formosa Haw., 1827
Gasteria maculata var. fallax
                         Haw., 1827
Gasteria fasciata
                      (Salm-Dyck) Haw., 1827
Aloe formosa
           (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
Aloe dictyodes Schult. & Schult.f., 1829
Aloe boureana Schult. & Schult.f., 1829
Aloe bicolor 
            (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
Aloe vittata Schult. & Schult.f., 1829
Aloe guttata Salm-Dyck, 1834
Aloe quadrangularis Da Pare, 1835
Aloe macchiata Da Pare, 1835
Aloe zeyheri Salm-Dyck, 1836
Aloe marmorata Steud., 1840
Aloe planifolia Baker, 1869
Gasteria variolosa Baker, 1873
Gasteria colubrina N.E.Br., 1877
Gasteria planifolia (Baker) Baker, 1880
Gasteria marmorata Baker, 1880
Gasteriazeyheri (Salm-Dyck) Baker, 1880
Gasteria spiralis Baker, 1880
Gasteria spiralis var. tortulata Baker, 1880
Gasteria maculata var. dregeana
                A.Berger, 1908
Gasteria lingua
            (Kew Gawl.) A.Berger, 1908
Gasteria caespitosa Poelln., 1937
Gasteria chamaegigas Poelln., 1938
Gasteria salmdyckiana Poelln., 1938
Gasteria liliputana Poelln., 1938
Gasteria longiana Poelln., 1938
Gasteria longibracteata Poelln., 1938
Gasteria herreana Poelln., 1938
Gasteria kirsteana Poelln., 1940
Gasteria loeriensis Poelln., 1940
Gasteria multiplex Poelln., 1940
Gasteria biformis Poelln., 1940
Gasteria bicolor var. liliputana
              (Poelln.) van Jaarsv., 1992
Gasteria bicolor var. fallax
               (Haw.) van Jaarsv., 2007


③Gasteria pulchra
               (Aiton) Haw., 1812

Homotypic synonym
Aloe pulchra (Aiton) Jacq., 1804

Heterotypic synonym
Aloe obliqua DC, 1802
Gasteria poellnitziana
                 H.Jacobsen, 1954


④Gasteria acinacifolia
                  (J.Jacq.) Haw., 1819

Homotypic synonym
Aloe acinacifolia J.Jacq., 1813


Heterotypic synonym
Aloe acinacifolia J.Jacq., 1813
Aloe acinacifolia var. minor
                         Salm-Dyck, 1817
Gasteria nitens Haw., 1819
Aloe acinacifolia var. nitens
                         (Haw.) Haw., 1821
Gasteria venusta Haw., 1827
Gasteria ensifolia Haw., 1825
Gasteria candicans Haw., 1827
Gasteria pluripunctata Haw., 1827
Gasteria  linita Haw., 1827
Aloe ensifolia
        (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
Aloe candicans
        (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
Aloe venusta
        (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
Aloe nitens
        (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
Aloe pluripunctata
        (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
Gasteria fuscopunctata Baker, 1880
Gasteria acinacifolia var. nitens
                            (Haw.) Baker, 1880
Gasteria acinacifolia var. ensifolia
                        (Haw.) Baker, 1880
Gasteria acinacifolia
     var. pluripunctata (Haw.) Baker, 1896
Gasteria acinacifolia
              var. venusta (Haw.) Baker, 1896
Gasteria huttoniae N.E.Br., 1908
Gasteria lutziii Poelln., 1933
Gasteria inexpectata Poelln., 1938


⑤Gasteria disticha (L.) Haw., 1827
Homotypic synonym
Aloe disticha L., 1753
Ptyas disticha (L.) Salib., 1866


変種ディスティカ
Gasteria disticha var. disticha

Heterotypic synonym
Aloe linguiformis Mill., 1768
Aloe lingua var. crassifolia Aiton, 1789
Aloe lingua var. angustifolia Aiton, 1789
Aloe nigricans Haw., 1804
Aloe obliqua Jacq., 1804
Aloe lingua var. latifolia Haw., 1804
Aloe lingua var. longifolia Haw., 1804
Gasteria nigricans (Haw.) Duval, 1809
Gasteria longifolia (Haw.) Duval, 1809
Gasteria angustifolia (Aiton) Duval, 1809
Aloe obscura Willd., 1811
Aloe longifolia (Haw.) Haw., 1812
Gasteria latifolia (Haw.) Haw., 1812
Aloe nigricans
           var. crassifolia Salm-Dyck, 1817
Gasteria denticulata Haw., 1819
Aloe obtusifolia Salm-Dyck, 1821
Aloe conspurcata Salm-Dyck, 1821
Aloe angustifolia
           (Aiton) Salm-Dyck, 1821
Gasteria mollis Haw., 1821
Gasteria nigricans
        var. crassifolia (Aiton) Haw., 1821
Gasteria disticha var. major Haw., 1827
Gasteria disticha var. minor Haw., 1827
Gasteria obtusifolia Haw., 1827
Gasteria conspurcata
           (Salm-Dyck) Haw., 1827
Gasteria crassifolia
           (Salm-Dyck) Haw., 1827
Aloe mollis
      (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
Aloe crassifolia
   (Salm-Dyck) Schult. & Schult.f., 1829
Aloe retusifolia Haw. ex Steud., 1840
Gasteria disticha var. angustifolia
                        Baker, 1880
Gasteria disticha var. conspurcata
                  (Salm-Dyck) Baker, 1880
Gasteria platyphylla Baker, 1880

変種ロブスタ
Gasteria disticha var. robusta
                        van Jaarsv., 2007


⑥Gasteria nitida
          (Salm-Dyck) Haw., 1827

Homotypic synonym
Aloe nitida Salm-Dyck, 1817
Haworthia nitida
            (Salm-Dyck) G.Don, 1830

変種ニティダ
Gasteria nitida var. nitida

Heterotypic synonym
Aloe nitida var. major Salm-Dyck, 1817
Aloe nitida var. minor Salm-Dyck, 1817
Aloe nitida var. obtusa Salm-Dyck, 1817
Aloe trigona Salm-Dyck, 1821
Haworthia nigricans Haw., 1824
Gasteria obtusa (Salm-Dyck) Haw., 1827
Aloe decipiens (Haw.)
              Schult. & Schult.f. 1829
Gasteria beckeri 
Schönland, 1908
Gasteria stayneri Poelln., 1938


変種アルムストロンギイ
Gasteria nitida var. armstrongii
        (
Schönland) van Jaarsv., 1992
Homotypic synonym
Gasteria armstrongii 
Schönland, 1912

⑦Gasteria croucheri
              (Hook.f.) Baker, 1880

Homotypic synonym
Aloe croucheri Hook.f., 1869

亜種クロウケリ
Gasteria croucheri subsp. croucheri

Heterotypic synonym
Gasteria disticha var. natalensis
                     Baker, 1880

亜種ポンドエンシス
Gasteria croucheri subsp. pondoensis
           N.R.Croch, Gideon F.Sm.
                       & D.G.A.Styles, 2011

亜種ペンドゥリフォリア
Gasteria croucheri subsp. pendulifolia 
             (van Jaarsv.) Zonn.

Homotypic synonym
Gasteria pendulifolia van Jaarsv., 2001


⑧Gasteria excelsa Baker, 1880


本日は19世紀に命名されたガステリア属をご紹介しました。明日は20世紀に命名されたガステリア属をご紹介します。
しかし、19世紀と一口に言っても実に長く、命名者も様々です。19世紀初頭はHaworthやDuvalが活躍しています。Haworthは当初はガステリアをアロエ属としていますが、Duvalがガステリア属を創設すると、歩調を合わせるようにHaworthもガステリア属を使用し始めます。しかし、1920年代から活躍するSalm-DyckやSchult. & Schult.f.は、ガステリア属を認めずアロエ属としています。19世紀中頃はSteudやBakerが、やはりアロエ属とする立場です。しかし、Bakerは19世紀後半ではガステリア属を認める立場となっています。結局のところ、19世紀のガステリア属の正式に認められている学名の命名者は、Duval、Haworth、Bakerの3人だけでした。ガステリア属を認めるか否かが重要な分岐点でしたね。

19世紀のガステリア属に関する代表的な命名者たちは以下の通り。

☆Haw.→Adrian Hardy Haworth (1767-1833年)イギリスの昆虫学者・植物学者・甲殻類学者。
☆Duval→Henri August Duval(1777-1814年)フランスの植物学者。
☆Salm-Dyck→Joseph Franz Maria Anton Hubert Ignatz Furst und Altgraf zu Salm-Reifferscheidt-Dyck(1773-1861年)ドイツのアマチュア植物学者。
☆Schult.→Joseph August Schultes(1773-1831年)オーストリアの医師・博物学者。
☆Schult.f.→Julius Hermann Schultes(1804-1840年)オーストリアの植物学者。Joseph August Schultesの息子。
☆Kew Gawl.→John Bellenden Kew、元John Gawler(1764-1842年)イギリスの植物学者。
☆Steud→Ernst Gottlieb von Steudel(1783-1856年)ドイツの医師・植物学者。
☆Baker→John Gilbert Baker(1834-1920年)イギリスの植物学者。


ちなみに、G. nitida var. armstrongiiについては、armstrongiiはG. nitidaの変種ではない可能性が出てきました。2021年に出た『Phylogeny of the Southern African genus Gasteria duval (Asphodelaceae) based on Sanger and next generation sequencing data』という論文では、遺伝子解析により別種とすべき結果が得られています。今後、armstrongiiは独立するかもしれません。



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最近、アロエ属についてアロエ属から分離したり統合されたりした経緯を簡単にまとめました。その記事の中でも触れましたが、Aloe bowieaについてはBowiea africanaやChamaealoe africanaとも呼ばれたことがあります。BowieaやChamaealoeからアロエ属に統合されても、アロエ属の中で独特の地位を占めるとされることがあります。

本日、ご紹介する論文はGideon F. Smithが1990年に発表した『Nomenclature notes on the subsection Bowiea in Aloe (Asphodelaceae : Alooideae)』です。早速、内容に入りましょう。

Chamaealoe A.BergerはAloe L.の異名です。つまり、かつてChamaealoe africana (Haw.) A.Bergerと呼ばれた種は現在Aloe bowiea Schult. & Schult.f.とされており、Aloe section Graminialoe Reynolds(=アロエ属グラミニアロエ節)に含まれるとされています。 

DSC_1607
Aloe bowiea
=Chamaealoe africana
=Bowiea africana


現代のアロエ属の分類に関しては、アフリカとマダガスカルのアロエ研究を生涯の仕事としたG. W. Reynoldsに負うところが大です。その後、アロエ属の属下分類は、Reynoldsの分類を基礎として改訂されていきました。アフリカ南部のアロエ属は、H. F. GlenとD. S. Hardyにより改訂されています。
Aloe bowieaはChamaealoeからアロエ属に移されましたが、Aloe bowieaのアロエ属内の分類はまだ明らかではありません。著者はAloe bowieaをSection Graminialoe Subsection Bowieae(グラミニアロエ節ボウィエアエ亜節)としてアロエ属の分類に組み込むことを目指しております。

アロエ属(Aloe L.)は1753年にCarl von Linneが設立しましたが、1786年にMedikusが細分化に失敗(Catevala Medik., Kumara Medik.)した後、1804年にHaworthがより自然な単位に分ける試みを行いました。Haworthは現在のHaworthiaやGasteriaに相当するグループに、アロエ属の属以下の分類としてGrandiflora、Parviflora、Curvifloraを考えました。その5年後の1809年に、DuvalはHaworthiaとGasteriaをアロエ属から分離しました。
1834年にSalm-Dyckは栽培した植物のカタログを出版しました。その中ではHaworthの考え方を支持し、アロエ属の属下分類としてParvifloraとGrandifloraを説明しました。GrandifloraはTubo recto(=アロエ)とTubo curvato(=ガステリア)に分類しました。Parvifloraは14節(Section)に分け、ボウィエアエ節(Section Bowieae)は、Aloe bowieaが初めてBowiea africanaとしてですが記載されました。これは、1824年のBowiea Haw.に基づきます。Bowiea Haw.の2種類目は1827年にHaworthによりBowiea myriacanthaと記載されました。しかし、1829年にこのBowiea Haw.の2種はアロエ属に移されました。
1836年にSalm-DyckはBowiea Haw.を支持し、Aloe myriacanthaも含めるべきであると主張しました。しかし、Baker(1880年, 1896年)はBowieaをアロエ属の同義語としてDuvalの分類を受け入れ、Salm-Dyckの節(Section)を亜属(Subgenus)に置き換えました。Aloe bowieaとAloe myriacanthaはアロエ属Eualoe亜属の中の1グループであるAcaulesに含めました。
Aloe bowieaとAloe myriacanthaは明らかに関連性はありますが、しかし互いの特徴は異なります。そのため、Aloe bowieaは1905年にChamaealoe africana、Aloe myriacanthaは1933年にLeptaloe myriacanthaとする意見もありました。Leptaloeは短命な属名で、1947年にReynoldsはアロエ属の同義語としました。しかし、1915年のMarloth、1941年のGroenewald、1950年のReynoldsはChamaealoeを支持しました。ただし、その後は1973年のObermeyer、1983年のSmithはChamaealoe africanaはAloe bowieaの同義語であるとしています。


Aloe bowieaは1973年のObermeyerや1981年のCourtによると、Anguialoe節との花の形態学的な類似性を示します。しかし、この節のアロエはAloe vryheidensis以外は木質化しますが、Aloe bowieaは非常に小型です。
Aloe bowieaは形態的にはGraminialoe節と類似します。Graminialoe節とAloe bowieaは、細い線形の直立した多肉質の葉を持ちます。Aloe bowieaは密集したロゼットを作り、他のGraminialoeと同様に肉質の根を持ちます。しかし、グラスアロエの中でもAloe bowieaの花は独特の緑がかる白色花で、総状花序に分散します。葯と花柱の配置も異なります。このように、Aloe bowieaは既存の属下分類に当てはまらないため、Graminialoe節の中でも独立したBowieae亜節(Subsection Bowieae)を提案しています。Graminialoe節Graminialoe亜節(Section Graminialoe Subsection Graminialoe)との相違点は上記以外にもあり、私の記事では示しませんが論文では一覧表をあげています。


Reynoldsのアロエ属の分類が示された後、Graminialoe節であるAloe modestaとAloe ioconspicuaが記載されました。しかし、それらとAloe bowieaは緩く細長い総状花序と、地下の球根状の膨らみがないことで区別出来ます。Aloe modestaはAloe bowieaよりも短い総状花序を持ち、小花柄が密集します。Aloe ioconspicuaは密集した円筒形の総状花序と無柄の花を持ちます。
上記のように、Bowiea亜節とGraminialoe亜節は肉眼でも容易に区別可能です。

以上が論文の簡単な内容紹介となります。やはり、アロエ属とされたとは言え、Aloe bowieaはアロエ属の中でも独立した存在と考える向きがあるようですね。グラスアロエを含む小型アロエはあまり詳しくないため、これから少しずつ調べていくつもりです。


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ギムノカリキオイデスはエチオピア原産のユーフォルビアです。名前の通りまるでサボテンのGymnocalyciumの様な姿をしています。一般に栽培難易度は高く、自根での栽培は困難とされているようです。ですから、一般的には他のユーフォルビアに継木して育てます。ギムノカリキオイデスは継木で育てると、生育は良く普通に育てることが出来ます。
私の入手したギムノカリキオイデスは、おそらくは継木株由来のカキコで、干からびた貧弱な根しかありませんでした。今年の6月の五反田TOCのビッグバザールで購入しましたが、しばらくは発根管理していて最近ようやく根が多少張ったかな? くらいの感覚です。おそらくは、これからは根の状態に右往左往させられる予感がないではないと言ったところでしょうか。


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Euphorbia gymnocalycioides

しかし、ギムノカリキオイデスは何故そこまで難易度が高いのか気になります。とりあえずは、ギムノカリキオイデスに関する論文を漁ってみました。というわけで本日ご紹介するのは、ギムノカリキオイデスを新種として初めて報告したM. G. Gilbert & Susan Carterの1984年の論文『A Cactus-like Euphorbia from Ethiopia』です。

1929年にChiovendaは、Euphorbia turbiniformisを記述する際に、2つの標本を引用しました。それは、ソマリアの北東海岸近くと、もうひとつはエチオピア南部のSidamo地方です。ソマリアの標本は1966年にBallyがレクトタイプ(正模式標本が指定されていない、正模式標本が行方不明、正模式標本が複数種含まれていた場合に選出される選定基準標本)としたものと特徴はほぼ一致します。レクトタイプの標本は1924年の採取でしたが、1969年にタイプ標本の採取地の南南西150km地点でLarvanosにより再発見されて1971年に報告されました。Ballyがソマリアの標本をE. turbiniformisのレクトタイプとして指定しましたが、エチオピアの標本(=後のE. gymnocalycioides)には名前がありませんでした。しかし、1982年にエチオピアの植物収集のための遠征隊により再発見されましたが、残念ながら持ち帰った植物は枯れてしまいました。1年後、別の遠征隊が同じ地域を訪れ4個体の植物を持ち帰りました。それらはすべて栽培に成功し、そのうち1個体が開花しました。その開花個体の情報に基づいて論文は書かれたとのことです。

 E. gymnocalycioidesは標高1350mのAcacia-Commiphoraのブッシュがある地域で発見され、開けたキツネノゴマ科の特にBarleriaの低木の下で育ちます。同じような環境でEuphorbia actinocladaがみられ、ブッシュのある地域ではEuphorbia glochidiataがみられました。
この地域の降水量は4~5月と11~12月にピークがあるはっきりとした二峰性でした。栽培するにあたっては、春・秋型として扱うのが最善かもしれません。多くの東アフリカの多肉植物と同様に、夏に休眠期間があります。

E. gymnocalycioidesはE. turbiniformisとは明らかな別種ですが、この2種は特徴から見て近縁と考えられます。また、E. gymnocalycioidesはアフリカ北東部やソマリアに、特徴の類似したユーフォルビアが分布します。Euphorbia columnarisやEuphorbia phillipsiae、Euphorbia mosaica、Euphorbia horwoodiiはE. gymnocalycioidesと特徴に連続性があるとしています。つまり、似ている部分と異なる部分があり、上記の種の間で遠近があるということです。E. gymnocalycioidesはトゲを失う方向性に向かったものということになります。

さて、とりあえず論文を読んだ感想てしては、ギムノカリキオイデスは高地性で、夏に暑がるタイプのようです。ソマリアものと同じ扱いということでしょう。しかし、私もソマリアものはE. columnarisやE. phillipsiae、E. phillipsioidesなどはなんだかんだで育てていますが、実のところ育て方はよく分かりません。日本で夏に涼しくというのは難しいので断水したくなりますが、ユーフォルビアは完全断水をすると根にダメージがあるため、断水はしたくないですね。E. phillipsiaeあたりは少し遮光するだけで夏を越しますし、E. phillipsioidesは遮光し過ぎると形が崩れやすいのであまり遮光しない方が良いみたいです。このように、一口にソマリアものと言えど結構育て方に違いがありますから、ギムノカリキオイデスについても悩みどころです。とりあえずは、真夏だけ強目に遮光する形にしようと考えています。


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先日、「解体と統合のアロエ属」と称しまして、アロエ属から分離独立したり吸収統合された多肉植物が沢山あるという記事を書きました。
しかし、それは公的なデータベースを漁っただけですから、細かい事情やことの経緯はよくわかりません。特に気になっているのは、Aloe albifloraとAloe bowieaです。双方ともアロエ属ではないとされていた時期があります。A. albifloraはGuillauminia albifloraとされていましたが、現在はアロエ属とされています。いかなる経緯があったのか気になりましたので、少し調べてみました。本日、ご紹介する論文は1995年にGideon F. Smithらにより発表された『The taxonomy of Aloinella, Guillauminia and Lemeea (Aloacaea)』です。

アロエ属には14の異名(※1995年当時)があり、そのうち2属はマダガスカル原産種に対するものでした。それは、AloinellaGuillauminiaです。どちらの属名も広く受け入れられているとは言えず、世界規模で属を改訂したGilbert Westacott Reynolds(1958, 1966年)によりアロエに含まれることとなり、AloinellaとGuillauminiaは異名となりました。Reynoldsは1930年から1966年までの30年以上に渡りアロエ属の権威でした。

しかし、Heath(1993, 1994年)は、特に裏付けもなくAloinellaとGuillauminiaを復活させました。Aloinellaは同属として、Lemeea P.V.Heathと命名されました。A. haworthioides、A. boiteaui、A. parvulaをLemeeaに、A. bakeri、A. bellatula、A. calcairophylla、A. descoingsii、A. rauhiiはGuillauminiaとされました。

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Aloe haworthioides
=Aloinella haworthioides
=Lemeea haworthioides


DSC_1816
Aloe parvula
=Lemeea parvula


著者らはHealthの意見には反対です。なぜなら、属はその他の種よりもお互いに共通する多くの特徴を有している必要があるためです。この場合は、LemeeaやGuillauminiaがアロエ属とは明確に分離出来る特徴を持つ、つまりはLemeea内やGuillauminia内で共通する特徴を多く持ち、それがアロエ属とは共通していないことが求められているわけです。しかし、LemeeaやGuillauminiaはその特徴を抽出すると、アロエ属に含まれてしまう特徴ばかりでした。それぞれ固有と考えられている特徴も、調べてみると同じ特徴を有するアロエが見つかりました。

これらのことから、著者らはLemeea(incl. Aloinella)とGuillauminiaをアロエ属から分離することを認めません。もし、Healthの主張が認められるならば、アロエ属は細かい特徴ごとに非常に細分化されてしまい、LemeeaやGuillauminia以外の属の復活と、新たに沢山の新属を設けなければならなくなります。アロエ属という分類群の安定のためにも好ましくないとしています。

以上が論文の内容となりますが、結局はHealthの主張は認められておりません。しかし、近年の遺伝子解析の進歩により、結局アロエ属は解体されることになりました。それでも、アロエ属から独立したのはA. aristataやA. variegata、A. dichotomaなどであり、LemeeaやGuillauminiaではありませんでした。つまりはGideon F. Smithらの主張通り、LemeeaやGuillauminiaはアロエ属に含まれてしまうことが確定的となりました。



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女王錦Aloe parvulaはマダガスカル島に固有の小型アロエです。A. parvulaは1908年にドイツの植物学者であるAlwin Bergerにより命名されました。
2004年にイギリス王立植物園が発行している『Curtis's Botanical Magazine』にある「505. ALOE PARVULA : Aloacaea」という論文というか報告書を見つけましたのでご紹介します。生息環境について記されておりますから、栽培のヒントになるかもしれません。著者は王立植物園のDavid Du Puyです。

DSC_1817
Aloe parvula

早速、内容を紹介します。
Aloe parvulaは絶滅危惧種で、マダガスカルの中央台地の標高1400~1800mの、より乾燥した西部に位置するItremo山塊に限定的に分布します。この山塊にはロゼットを形成する小型アロエが3種類自生していますが、A. parvulaはその1種です。他の2種はAloe bellatula ReynoldsとAloe haworthioides Bakerです。これらのアロエは剛毛や結節で覆われた柔らかい多肉植物で、むしろHaworthiaに似ています。A. parvulaは生長が遅い種ですが、黄色の色素を欠くためサンゴのような真っ赤な美しい花を咲かせます。また、A. parvulaは自生地では種子が出来にくく、増殖が良くありません。

A. parvulaは石英の岩だらけで、酸性石英砂利の浅い土壌が蓄積する岩のくぼみや隙間、あるいは泥炭質土壌が蓄積する苔むした草地で頻繁に発生します。A. parvulaの生える土壌はXerophytaやAngraecum、Pachypodiumなどの他の多肉植物の根により固定されています。岩の隙間には水分が集まるものの、冬の乾季には雨は降りませんが標高が高いため時々雲からの水分で結露します。冬には10℃を下回ることがあります。乾季は5月から11月にかけて7~8ヶ月続きます。花は雨季の間の、特に1月から3月に頻繁に開花します。また、雨季でも泥炭が乾燥する期間があります。自生地には低木も生えないため、直射日光にさらされています。

A. parvulaは嫌石灰植物(calcifuge)で、堆肥や水の石灰を嫌います。論文では雨水を与えるべきであるとしていますが、これは雨ざらしにするという意味ではなく、水道水が硬水でありカルシウムが多いヨーロッパを念頭に言っているのでしょう。ヨーロッパでも雨水は弱酸性です。また、日本ではほとんどの地域は軟水ですから、普通に水道水をあげても問題はないでしょう。
冬季は乾燥させて、月に1度くらい水をあげれば、水分不足で過度に縮むことを防ぐことができると言います。また、最低気温は約10℃までですが、乾燥させれば5℃程度までは耐えられます。しかし、耐霜性は弱いみたいです。



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ウンカリナ属はゴマ科の塊根植物です。最近では小型種のUncarina roeoeslianaをたまに見かけます。私もU. roeoeslianaの苗木を育てています。そんな中、Uncarinaは何種類あるのか気になりましたので、調べてみることにしました。
調べた結果、現在学術的に認められているUncarinaは14種類であることが判明しました。というわけで、Uncarinaの異名を含むリストは以下の通りです。

Uncarina leptocarpa
         (Decne.) Ihlen f. & Straka, 1962
異名
Harpagophytum leptocarpum Decne., 1865
Uncarina leptocarpa (Decne.) Kuntze, 1891

②Uncarina abbreviata
            (Baill.) Ihlen f. & Straka, 1962
異名
Harpagophytum abbreviata Baill., 1887

③Uncarina grandidieri
                     (Baill.) Stapf, 1895
異名
Harpagophytum grandidieri Baill., 1887
Harpagophytum  dimidiatum Baill., 1887
Uncarina grandidieri (Baill.) Kuntze, 1891
Uncarina didieri (Baill.) 1895
Uncarina dimidiata
                 (Baill.) Ihlen f. & Straka, 1962


④Uncarina peltata
                      (Baker) Stapf, 1895
異名
Harpagophytum peltata Baker, 1890
Uncarina peltata (Baker) Kuntze, 1891


⑤Uncarina leanarii Humbert, 1962
変種があります。
Uncarina leanarii var. leanarii
Uncarina leanarii var. rechbergeri, 1995


⑥Uncarina perrieri Humbert, 1962

⑦Uncarina sakalava Humbert, 1962

⑧Uncarina stellulifera Humbert, 1962

⑨Uncarina platycarpa
                               Larvanos, 1996


⑩Uncarina roeoesliana Rauh, 1996

⑪Uncarina turicana Larvanos, 1999

⑫Uncarina decaryi
                Humbert ex Ihlenf., 2002


⑬Uncarina ankaranensis Ihlenf., 2004

⑭Uncarina ihlenfeldtiana
                                Larvanos, 2004

以上が現在ウンカリナ属の学術的に認められている種類です。ウンカリナ属自体は1895年にオーストリア出身でイギリスの王立植物園で活動したOtto Stapfが命名したUncarina Stapfです。しかし、ウンカリナ属で初めて学術的に記載されたのは、1865年のHarpagophytum leptocarpum Decneですが、初めはハルパゴフィツム属とされました。Decneは現在のベルギー生まれのフランスの植物学者であるJoseph Decaisneです。さらに、1891年にドイツの植物学者であるCarl Ernst Otto Kuntzeにより、Uncarina leptocarpa (Decne.) Kuntzeとされました。しかし、ここに2つの謎があります。ひとつは、1891年にKuntzeによりUncarinaが命名されているはずですが、StapfがUncarinaを命名したのは1895年です。StapfがUncarinaを命名する前より4年前にUncarinaとされているのは何故でしょうか? また、このKuntzeの命名したUncarina leptocarpaは認められず、1962年にIhlen f. & StrakaによりUncarina leptocarpa (Decne.) Ihlen f. & Strakaという同じ学名が付けられているのは何故でしょう? 気になりますから詳しく調べてみるつもりです。
ちなみに、ハルパゴフィツム属はゴマ科の地面を這う植物です。ハルパゴフィツム属は1840年に創設されたHarpagophytum DC. ex Meisn.です。ハルパゴフィツムで有名なのはHarpagophytum procumbens (Burch.) DC. ex Meisn.です。H. procumbensライオンゴロシという名前で呼ばれており、鉤爪のある禍々しい果実で有名です。ウンカリナ属も鉤爪に被われた果実がなります。


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最近、ザミアZamiaという名前のソテツが園芸店に出回るようになりました。主に見かけるのは、Zamia pumilaとZamia floridanaです。しかし、実はこの学名は間違っており、Zamia pumilaは国内では基本的に販売されておりません。Z. pumilaの名前で販売されている、葉か肉厚で判別の先端が丸みを帯びているソテツはZamia furfuraceaです。このことについて書いた記事は、私の書いた記事の中では人気があります。たまに、正しいフルフラケアの名前で売られることもありますから、混乱している人も多いのでしょう。記事では海外のサイト等を参照としていましたが、最近フルフラケアについて書かれたいくつかの論文で写真を確認しましたから、やはり私の推測は正しかったようです。
お次はZ. floridanaですが、こちらもやはり学名は誤りです。Zamia integrifoliaが正しい学名です。学名は国際命名規約により、先に命名された学名を優先するという「先取権の原理」があります。Z. integrifoliaはZ. floridanaの79年前に既に命名されていますから、どう考えてもZ. integrifoliaが正しい学名です。詳しくは以下の記事をご参照ください。
さて、実はというわけではないのですが、私はフロリダナ、ではなくインテグリフォリアの苗を育てています。ところが、遮光せずに外に出したところ、1枚しかない葉が日焼けして丸坊主になってしまいました。仕方がないので、ハウォルチアの棚に避難させていたところ、立て続けに3枚の葉が伸びてきました。葉をやられたからでしょうけど、春から夏にかけて新葉を出さなかったのにとは思いましたけど。しかし、やはり日照が足りない様にも感じました。というのも、新しい葉が、以前より大きくなったからです。葉が大きくなると生長しただけに思えますが、それだけではありません。一般論ですが、日向で植物を育てると葉は厚く小さくなり、日陰では葉は薄く大きくなる傾向があります。これは一応理屈があり、強い光が当たると厚みのある葉でも内部まで光が入ってくるので、葉の内部でも光合成出来ますから葉は分厚くなります。逆に弱い光では厚みのある葉では内部まで光が到達しないので、葉の内部では光合成が出来ません。そうなると、厚みのある葉は無駄が多いので薄い葉を出すことになりますが、光合成できる細胞が減ってしまいますから、葉の面積を大きくする事で対応するのです。ですから、葉が大きくなったので日照不足を心配してしまうのです。

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Zamia integrifolia

そんな悩みを抱えていた昨今、何気なくザミアの論文を検索してみたところ、なんとザミアの育て方に関する論文を発見しました。いやはや、なんでも探せばあるものですね。さて、そんなことで、本日ご紹介する論文は2004年に発表されたF. C. Almira, A. E. Dudeck, and B. Schutzmanの『Effects of Varying Shade and Fertilizer on the Growth of Zamia floridana A. DC. B. Dehgan』です。タイトルを見ておや?と思った方もおられるでしょうが、この論文ではZamia floridanaとなっています。まあ、古い論文では異名がまかり通ることは割とある話です。しかし、イギリス王立植物園が主宰する『
Plants of the World Online』ではZamia integrifoliaが正しい学名であるその根拠を、ニューヨーク植物園が2012年に出版した『The world list of Cycad.』をもって承認しています。論文が出された2004年当時はZamia floridanaとされることがポピュラーだったのかもしれませんね。さて、前置きが長くなりましたが、早速内容を見てみましょう。

ソテツ類は世界中で絶滅の危機にさらされています。当然、開拓や開発による自生地の消滅も問題ですが、残念なことに盗掘による個体の減少も頭の痛い問題となっております。ですから、環境保護だけではソテツ類の野生個体の減少を止めることは難しいと考えられています。そのため、ソテツが簡単に入手可能となって採取の被害を抑えるという考え方は昔から繰り返し主張されており、ソテツの人工繁殖を効率的に行い大量に流通させることが目指されており、実際にそのような論文も出されているようです。しかし、増やすことは研究されているものの、増やしたソテツをどのように育てるかは研究されて来ませんでした。流通させるためには繁殖だけでは駄目で、園芸農場で育成する必要がある以上は育て方も重要です。
若い
ソテツは自然状態では親植物などの陰で育つ個体が多く、直射日光が当たるオープンな環境では実生を見かけません。若い苗のうちは遮光が必要である可能性があります。また、ソテツの栄養要求性はまったくの不明です。このような背景があるため、論文ではZ. floridana(=Z. integrifolia)をモデルとして使用し、遮光と肥料の効果について検証しています。

ザミアは1歳の苗木を用い、条件を揃えるために根を切除してから新たに出根させた後、3ヶ月育成しました。遮光の条件は30%と50%と無遮光です。苗木には隔週で、20-20-20の液肥(Peters溶液)、あるいは18-6-12の置肥(Osmocote顆粒)、16-8-12の置肥(Sierraタブレット)を与えられました。この3つの数字の組み合わせは、肥料の成分比で、一般的にN-P-K、つまりは窒素-リン-カリウムを示します。園芸店で販売している化成肥料にも、この構成比は書かれています。試験の評価方法は、試験開始から8ヶ月後、冬が始まる前に葉のサイズや枚数、塊根のサイズ、地上部と根の重量が測定されました。
結果として遮光は効果的です。ただし、50%遮光は葉の長さは最大でしたが、葉の枚数は30%遮光が最大でした。葉のサイズは日陰への適応ですから、あまり好ましい結果ではないでしょう。しかし、葉の枚数は生長に従い増えますから、30%遮光が条件としては最適ということになります。
肥料はその種類に関わらず効果的でした。個人的にはソテツ類は生長が遅いため、それほど肥料の恩恵は受けないのではないかと考えていました。しかも、ソテツ類はマメ科植物と同様に根粒があり、空気中の窒素を固定して栄養源にできますから、肥料要らずと勘違いしていました。下手に肥料なんてあげたら腐るかもしれないなんて思っていましたが、どうやら肥培に努めた方が良いみたいです。



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最近では多肉植物に力をいれている園芸店では、パキポディウムの実生苗も見かけるようになって来ました。しかし、流石にまだビッグバザールで見かけるマカイエンセやイノピナツムなどは販売されていません。本日ご紹介するエニグマティクムも同様で、まだそれほど流通していないパキポディウムです。私も園芸店の多肉植物即売会では見かけたことはありませんでしたが、2021年11月に開催されたサボテン・多肉植物のビッグバザールで入手しました。エニグマティクムはパキポディウムの中でも発見が遅く、学名は2014年に命名されたPachypodium enigmaticum Pavelka, Prokes, V.Vlk, Lavranos, Zidek & Ramav.です。また、エニグマティクムはちょっと珍しい発見の経緯がありました。何か資料はないかと探っていたところ、エニグマティクムの命名者らの書いた論文を見つけました。Peter Pavelka, Borivoj Prokes, Vitezslav Vlk, John J. Lavranosによる『Pachypodium enigmaticum -a new species in the Densiflorum complex』です。
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Pachypodium enigmaticum
まだ小さい苗です。


早速、論文の内容に入りましょう。
著者らは2003年から8回もマダガスカルでパキポディウムの調査を実施しました。目的の1つは、Pachypodium densiflorumの分布と変動を探ることにありました。P. densiflorumは中央高地の広大な地域に分布しています。
2003年に著者らは、マダガスカルで園芸農園を営むAlfred Razafindratsiaeから、葉が無毛のP. densiflorumを購入しチェコ共和国に持ち帰りました。しかし、驚いたことに、P. densiflorumとおぼしきパキポディウムは、初秋に直径62mmに達する非常に大きな黄花を咲かせたのです。著者らも知らないパキポディウムであり、入手の経緯からして野生個体が存在するのか疑わしいようにも思われました。Razafindratsiaeは野生個体が由来であると主張していましたが、実際にP. densiflorum × P. brevicauleの交雑種は自然界でも発生しているため、交雑の可能性も考えたようです。著者らはP. densiflorumの分布域の西側の境界を3週間かけて探索し、ついにRazafindratsiaeの農園のパキポディウムと同一の個体群を発見しました。そのため、Alfred Razafindratsiaeの農園のパキポディウムの起源は野生個体であり、新種であることが判明しました。種小名の"enigmaticum"は、農園で栽培されている間、このパキポディウムが謎であったことから命名されました。著者らはこの地域を5回訪れましたが、それ以外の地域では発見されておりません。

P. densiflorumは分布が広いため、形態が変化しやすいようです。花が咲くまではP. enigmaticumとP. densiflorumは区別が難しく、日本国内ではP. enigmaticumと偽ったP. densiflorumが流通したこともあるみたいです。著者らはP. enigmaticumの特徴を炙り出すために、良く似たP. densiflorumの特徴をまとめています。著者らの本来の目的がP. densiflorumの分布と変動を探ることにあったわけですから、著者ら以上にP. densiflorumの特徴を述べられる人物は稀でしょう。
さて、P. densiflorumは花色も非常に多様で、北部の個体群は黄色、Itremoの中央部ではオレンジ色、南端のAmbalavao周辺に向かって再び黄色になります。花のサイズも北部では約3.0~3.5cm、Itremoでは2.0~3.0cm、南部では約2.0cmに達します。葉の毛は北部では少なく、Itremoの中央部では葉は楕円形あるいは狭い倒卵形で密に毛があり、南部では葉は倒卵形で毛があります。
P. enigmaticumの花は非常に大きく形状も異なります。P. eburneumやP. graciliusの花は花冠筒はカップ状で雄しべはカップの奥にあります。しかし、P. enigmaticumはは花冠筒が非常に細く(通常3mm)、かつ非常に長く(最大3.5cm)、雄しべは突出します。開花時期も異なり、野生のP. densiflorumやP. brevicauleは10月から12月に開花しますが、野生のP. enigmaticumは6月から7月に開花します。著者らは基本的には花の構造により、P. enigmaticumを新種と考えました。花の構造による分類は植物学の基本ですから、オーソドックスな記載と言えます。

その他の可能性として、P. densiflorum以外のパキポディウムとも比較しています。P. enigmaticumの産地はP. brevicauleと似ており、特に若い苗の頃は茎の形状や葉に毛がないなど良く似ています。しかし、P. brevicauleの花は最大でも3.0cmほどで、花の構造が異なり雄しべは突出しません。
また、その他のパキポディウムと比較しても、類似した種はありません。自然状態では開花時期、生息地、花の構造、さらには花粉媒介者も異なり雑種は見つかりませんでした。

Lüthyによる分類法 : Nesopodium亜属、Gymnopus節、Densiflora列
Holotype : 2003年にAlfred Razafindratsiaeが収集
分布 : マダガスカルの固有種。標高920mのMandoto地区。


以上がエニグマティクムの論文の簡単な紹介でした。まさか、ファームで新種が発見されるとは驚かされますが、まさに原産地ならではの話でしょう。
しかし、私が育てているエニグマティクムはまだ小さい苗ですから、まだまだ花は咲きそうにありません。何年先かわかりませんが、その巨大な花を咲かせてくれる日を楽しみにしています。



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硬葉系ハウォルチアと呼ばれてきたHaworthiopsisを少しずつ集めています。しかし、残念ながら人気は今一つであまり販売されておりません。私は主にイベントで購入しています。年に数回、五反田TOCで開催されるサボテン・多肉植物のビッグバザールでは、Ruchiaさんのブースは硬葉系ハウォルチアやツリスタがあるため、毎回楽しみにしています。そんな中、ニグラHaworthiopsis nigraが販売されており、気にはなっていました。しかし、ついついツリスタやユーフォルビア苗に手を出してしまい、毎度帰宅してからやはり購入すべきであったと後悔していました。ニグラ自体は基本的に園芸店で見かけませんから、こういう時じゃないと中々手に入りませんからね。というわけで、先月開催された秋のサボテン・多肉植物のビッグバザールで、ついにニグラを購入しました。しかも、フィールドナンバー付きです。早速、調べてみました。
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Haworthiopsis nigra IB 12484

とりあえず、フィールドナンバーについて調べます。"IB 12484"とありますが、IBとは採取人のIngo Breuerの略です。Ingo Breuerはドイツの研究者であり、Eden Plantsの主宰者とのことです。登録されているIB 12484の情報は以下の通り。

Field number: IB 12484
Collector: Ingo Breuer
Species: Haworthia nigra
Locality: Deeside, 3km North of Whittlesea
Altitude: 1035m
Date: 17-Oct-03

登録されている学名はハウォルチア・ニグラとなっていますが、ニグラがハウォルチアからハウォルチオプシスとされたのは2013年のことですから、採取された2003年当時はハウォルチアで間違いないわけです。

さて、ニグラの学名は2013年に命名されたHaworthiopsis nigra (Haw.) G.D.Rowleyです。ニグラの命名の歴史は以下の通りです。
1824年 Apicra nigra Haw.
1829年 Aloe nigra
                        (Haw.) Schult. & Schult.f.
1880年 Haworthia nigra (Haw.) Baker
1891年 Catevala nigra (Haw.) Kuntze.
1997年 Haworthia venosa
                        subsp. nigra (Haw.) Halda
1998年 Haworthia viscosa
                        subsp. nigra (Haw.) Halda
2013年 Haworthiopsis nigra
                               (Haw.) G.D.Rowley


また、ニグラには2013年に命名されたHaworthiopsis nigra var. diversifolia (Poelln.) G.D.Rowleyという変種があります。
1937年 Haworthia diversifolia Poelln.
1938年 Haworthia schmidtiana
          var. diversifolia (Poelln.) Uitewaal
1948年 Haworthia nigra
          var. diversifolia (Poelln.) Uitewaal
2013年 Haworthiopsis nigra
      var. diversifolia (Poelln.) G.D.Rowley


変種ディヴェルシフォリアが出来たことで、変種ディヴェルシフォリアと基本種と区別するために自動的に変種ニグラが出来ました。つまり、Haworthiopsis nigra var. nigraです。この変種ニグラの異名は以下の通りです。
1929年 Haworthia schmidtiana Poelln.
1937年 Haworthia schmidtiana
                        var. suberecta Poelln.
1938年 Haworthia schmidtiana
                        var. elongata Poelln.
              Haworthia schmidtiana
                        var. pusilla Poelln.
1939年 Haworthia ryneveldii Poelln.
1948年 Haworthia nigra var. elongata
                                 (Poelln.) Uitewaal
              Haworthia nigra var. schmidtiana
                                 (Poelln.) Uitewaal
1983年 Haworthia nigra f. angustata
                                   (Poelln.) Pilbeam
2013年 Haworthiopsis nigra
                         var. elongata
                              (Poelln.) G.D.Rowley
              Haworthiopsis nigra var. nigra


ニグラは割と姿に多様性がありますから、亜種や変種が多いですね。別種とされたものも見受けられます。様々なタイプを集めるのも楽しいでしょう。



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パキポディウムはマダガスカル島の原産種が多いのですが、そのほとんどが黄色い花を咲かせます。しかし、マダガスカル島には赤い花を咲かせるパキポディウムが2種類あります。Pachypodium baroniiとPachypodium windsoriiです。実はこの2種は他のマダガスカル島産パキポディウムと分類学的に異なるグループです。P. rosulatum系のgraciliusやcactipes、P. brevicaule、P. horombenseなどはGymnopus節、P. baroniiとP. windsoriiはPorphyropodium節となっているようです。さて、去年はパキポディウムの苗をいくつか購入しましたが、その中にはPachypodium windsoriiの苗もありました。というわけで、P. windsoriiについて少し調べてみました。

パキポディウムの分類については、過去に記事にしましたのでこちらもどうぞ。
先ほどから、私はPachypodium windsoriiと表記していますが、一般的にはPachypodium baronii var. windsoriiと表記されます。どちらが正しいのかは微妙なところで、常に変わる可能性があります。しかし現在のところ、学術的に認められている学名はPachypodium windsoriiです。
まとめますと、はじめて学名がつけられたのは1916年のPachypodium windsorii Poiss.です。Poiss.はフランスの植物学者であるHenri Louis Poissonのことです。Euphorbia poissoniiはPoissonに対する献名です。しかし、1949年にPachypodium baronii var. windsorii (Poiss.) Pichon.とされました。Pichonはフランスのキョウチクトウ科を専門とする植物学者である、Marcel Pichonのことです。

さて、ではなぜウィンドゥソリイはバロニイ変種ではなく、独立種とされたのでしょうか。イギリス王立植物園が主宰する『Plants of the World Online』によると、2004年に出版された『Bradleya. Yearbook of British Cactus and Succulent Society』に掲載された、Jonas M.
Lüthyの「Another look at the Pachypodium of Madagascar.」という論文を根拠としているようです。タイトルはマダガスカルのパキポディウムをもう一度見てみよう、といった感じでしょうか? 内容的には既知のパキポディウムについて、過去の知見からそれぞれの特徴と類似、現状の問題などを挙げたもので、総説的な雰囲気です。どうも購入しないと全文は読めないらしく、見出しを読んだだけですから詳しくはわかりません。しかし、P. baroniiとP. windsoriiがそれぞれ独立種とされていることは間違いないようです。
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昨日の11月に購入。何故か葉が1枚だけ落ちないで冬を越しました。

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2022年10月。あまり変わっていないような気もしますが少し膨らみました。葉は光沢が強く、Gymnopus節とは雰囲気が異なります。

ウィンドゥソリイはマダガスカル島の極北にあるWindsor城山塊にのみ知られていました。P. windsoriiの種小名はこのWindsor城から来ているようですね。しかし、2005年にBeantely山塊とAmboaizamikono山塊で、新たに自生地が発見されました。
自生地は石灰質の階段状あるいは急な斜面で育ちます。森林伐採や山火事により生息が脅かされているそうです。



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玉鱗宝Euphorbia globosaは南アフリカ原産のユーフォルビアです。玉を重ねるように育ち独特の姿となります。先月五反田TOCで開催された秋のサボテン・多肉植物のビッグバザールで購入しましたが、ユーフォルビアの中ではやや珍しい部類と言えます。しかし、玉鱗宝自体を見たのは初めてではなく、何度か園芸店で見かけていました。しかし、どうも玉鱗宝は徒長しやすいらしく、新しい球が針のように細長くなってしまっていました。そのため、なかなか手が出せずにいたのですが、ようやく徒長していない玉鱗宝を入手することが出来ました。
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玉鱗宝
Euphorbia globosa

そういえば、Euphorbia pseudoglobosaという玉鱗宝と似た育ち方をする種類もあります。"pseudo-"はラテン語で「偽の」という意味ですから、玉鱗宝Euphorbia globosaに似ているという意味ですね。しかし、E. pseudoglobosaは、玉鱗宝ほどきれいな球形にはなりません。表面に凹凸が少なくツルツルした玉鱗宝と比べて、E. pseudoglobosaはイボが目立ちます。見分けるのは難しくありません。
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Euphorbia pseudoglobosa

玉鱗宝の学名は、1826年に命名されたEuphorbia globosa (Haw.) Simsです。玉鱗宝はユーフォルビアでは珍しく、初めて命名された時はユーフォルビアではありませんでした。初めて命名された時は、1823年のDactylanthes globosa Haw.でした。このDactylanthesは現存しない属名ですが、Dactylanthes hamata(=Euphorbia hamata)、Dactylanthes patula(=Euphorbia patula)、Dactylanthes tuberculata(=Euphorbia tuberculata)を含んでいました。また、1859年にはMedusea globosa (Haw.) Klotzsch & Garcheという学名がつけられたこともあります。Meduseaもまた現存しない属名で、主にタコものユーフォルビア(メドゥソイド)を含んだグループでした。
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花は特徴的です。

1906年にはEuphorbia glomerata A.Bergerと命名されましたが、これは認められておりません。しかし、属名の変更ならいざ知らず、A.Bergerの命名より83年も前に命名された玉鱗宝にわざわざ新たに学名をつけたのは何故なのでしょうか? 今から100年以上前の話でインターネットもありませんから情報が得にくかったのかもしれません。この場合、最低1959年のMedusea globosaとした論文を読んでいる必要がありますが、印刷された関係論文をすべて集めるのは中々困難だったことは想像に固くありません。まあ、単純に別種と考えて新たに命名しただけの可能性もありますが、このような経緯は学名からだけではわかりませんからどうにも気になってしまいます。1906年のA.Bergerの論文を読めばいいだけなのですが、古いもの故に誰かが紙の印刷物を電子ファイルにして公開してくれていないと読むことは出来ません。

E. 
glomerataの情報はイギリス王立植物園によるもので、その記載は"Sukkul. Euphorb.:104(1906)"によるものです。一応、期待しないで探してみたところ、なんと当該論文が画像ファイルでアップされていました。親切な人ありがとう。学術誌のタイトルは"Sukkulenta Euphorbien"で、Alwin Bergerが執筆しているもののようです。内容はドイツ語なので良くわかりませんが、とりあえず104ページを見てみます。すると、何故か見出しは太字で"E. globosa Sims"とあります。なんだ、A.Bergerは玉鱗宝についてよく知っているじゃあないですか。しかも、その後ろに"Dactylanthes globosa Haw."、"E. glomerata Hort."とありました。学名の変遷までばっちり抑えています。しかし、良く見るとE. glomerata Hort.とあります。これは、Hort.が命名したE. glomerataを異名として、A.Bergerが記載したように見えます。では、なぜ一般的にはE. glomera Hort.ではなく、E. glomera A.Bergerとされているのでしょうか。大変不思議です。もしかしたら、Hort.の記載に何か問題があったのでしょうか? わかりませんが、A.Bergerがこの学術誌を正式な形で報告したということに意味があるのかもしれませんが、憶測ばかりで何もわかりません。私はここでギブアップです。

さて、当該論文には1906年当時の玉鱗宝の写真が記載されています。こういうものは滅多に目にするものではないでしょう。せっかくですから当時の写真を掲載してみました。

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Sukkulenta Euphorbien,1906 : Alwin Berger
大型の株です。100年以上前の現地球でしょうか?




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アロエ属は現在使用されている二名式学名の創始者であるCarl von Linneにより、1753年に命名された由緒正しき属名です。しかし、アロエ属の歴史を辿ると、アロエ属だったものがアロエ属ではなくなったり、逆にアロエ属ではなかったものがアロエ属となったりと、アロエ属はかなりの変化を経験して来ました。ただし、全種類のアロエを調べたわけではありませんし、一時的にアロエ属だったものに関してはほとんど調べられておりません。しかし、それでも思いもよらぬ種類がアロエとされたり、アロエ属から分離したものの後に消失した属名の多さなど、その多様な有り様にめまいがするほどです。

先ずは、アロエ属と関係する属名の年表を示します。
1753年 Aloe L.
              Agave L.
1767年 Dracaena Vand. ex L. 
1786年 Catevala Medik.
              Kumara Medik.
1809年 Haworthia Duval
              Gasteria Duval
1811年 Lomatophyllum Willd.
              Rhipidodendrum Willd.
1813年 Phylloma Ker Gawl.
1821年 Pachidendron Haw.
1824年 Bowiea Haw.
1834年 Urginea Steinh.
1838年 Drakaina Raf.
1840年 Tulista Raf.
1866年 Busipho Salib.
1883年 Notosceptrum Benth.
1905年 Chamaealoe A.Berger
1908年 Chortolirion A.Berger
1933年 Leptaloe Stapf
1939年 Aloinella (A.Berger) Lemee
1947年 Astroloba Uitewaal
1956年 Guillauminia A. Bertrand
1993年 Lemeea P.V.Heath
2013年 Aloidendron (A.Berger)
                         Klopper & Gideon F.Sm.
              Aloiampelos
                         Klopper & Gideon F.Sm.
              Haworthiopsis G.D.Rowley
2014年 Gonialoe (Baker) 
                          Boatwr. & J.C.Manning
              Aristaloe Boatwr. & J.C.Manning

アロエ属の分離と吸収にはいくつかのパターンがありますから、いくつかの種類を例に挙げて解説します。
①古典的なアロエ類
1753年にアロエ属は誕生しましたが、この時アロエ属はあれもこれもといった状態で、様々な特徴を持つ多様な種を含むグループでした。しかし、アロエ属があまりにも様々なグループを含んでいたため、1809年に広義のHaworthiaとGasteria、1947年にはAstrolobaが独立し、アロエ属から分離しました。これらは、形態的にも生態的にも異なり、しかもHaworthia、Gasteria、Astrolobaはそれぞれの属内において非常によくまとまったグループでした。後に遺伝子解析でも支持された、妥当性のある自然な分離と言えます。
また、2013年にはHaworthiaが、Haworthia(狭義)、Haworthiopsis、Tulistaに分割されました。

DSC_0848
Aloe herbacea→Haworthia herbacea

DSC_1804
Aloe viscosa→Haworthiopsis viscosa

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Aloe pumila→Tulista pumila

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Aloe carinata→Gasteria carinata

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Aloe foliolosa→Astroloba foliolosa

②遺伝子解析によるアロエ属の分解
2013年に広義のアロエ属からAloidendronとAloiampelosが分離しました。さらに、翌2014年にはGonialoeとAristaloeが分離しました。AristaloeやGonialoeはAstrolobaやTulistaに近縁で、Kumaraは狭義のHaworthiaと近縁です。狭義のアロエはAloiampelosとは近縁ですが、他の旧アロエ属とはそれほど近縁ではありませんでした。

┏━━━━━━━━Aloidendron属

┫    ┏━━━━━━Kumara属
┃┏┫
┗┫┗━━━━━━Haworthia属
    ┃
    ┃┏━━━━━━Aloiampelos属
    ┃┃
    ┗┫┏━━━━━Aloe属
        ┃┃
        ┗┫    ┏━━━Astroloba属
            ┃    ┃
            ┃┏┫┏━━Aristaloe属
            ┃┃┃┃
            ┃┃┗┫┏━Gonialoe属
            ┃┃    ┗┫
            ┗┫        ┗━Tulista属
                ┃
                ┃┏━━━Haworthiopsis属
                ┗┫
                    ┗━━━Gasteria属

DSC_0145
Aloe broomii 

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Aloe plicatilis→Kumara plicatilis

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Aloe variegata→Gonialoe variegata

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Aloe aristata→Aristaloe aristata

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Aloe striatula→Aloiampelos striatula

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Aloe dichotoma→Aloidendron dichotomum

Lomatophyllum
Lomatophyllumは1811年に命名された昔からある属で、アロエ属に似た多肉植物です。一般的なアロエ属とは異なり、果肉のある果実をつけます。ただし、LomatophyllumにはDracaenaの一部が含まれていました。それらはやがてDracaenaとされ、本来のLomatophyllumのみとなりました。しかし、Lomatophyllumは種類が統合される傾向があり、例えばLomatophyllum purpureum=Lomatophyllum saundersii=Lomatophyllum rufocinctum=Lomatophyllum aloiflorum=Lomatophyllum marginatum=Lomatophyllum borbonicumとなっています。さらに、L. purpureumはDracaena marginata、Dracaena dentata、Dracaena foetidaなど、ドラセナ属とされることもありました。
しかし、Lomatophyllumは遺伝子解析の結果から、狭義のアロエ属に含まれてしまうことがわかりました。L. purpureumも現在ではAloe purpureaとされているようです。

④Chortolirion
一見して球根植物のような見た目の、Chortolirionも実はアロエ属に含まれることになりました。Lomatophyllumと同様に遺伝子解析の結果、狭義のアロエ属の一員となりました。Chortolirionは、初め広義のHaworthiaでしたがやがてChortolirionとなり、最終的にアロエ属となる経緯をたどりました。

⑤議論があったアロエ
アロエ属は一般的に赤・橙・黄色系統の花を咲かせます。しかし、Aloe albifloraは白い花を咲かせます。このことから、Aloe albifloraはアロエではない可能性があるとして、Guillauminia albifloraという学名がつけられたことがあります。Guillauminiaは6種類あるとされました。しかし、Guillauminiaは現在認められておらず、今は存在しない属名です。Guillauminiaはアロエ属6種からなる小さなグループでした。

Aloe bowieaは、Chamaealoe africanaあるいはBowiea africanaと呼ばれたことがあります。現在ではアロエ属となり、Chamaealoeは存在しない属名です。しかし、Bowieaは蒼角殿Bowiea volubilisとして属名が残っています。ただし、気を付けなければならないのは、Bowiea africanaのBowieaは1824年にHaworthが命名した属名ですが、Bowiea volubilisのBowieaは1867年にHarv. ex Hook.f.の命名した属名ですから実は起源が異なるはずですが、何故か混同されているように見えます。
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Aloe bowiea
=Chamaealoe africana
=Bowiea africana


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Bowiea volubilis

⑥現存しない一時的な学名
アロエ属にかつて命名されていたCatevala、Pachidendron、Urginea、Drakaina、Busipho、Notosceptrum、Leptaloe、Aloinella、Lemeeaといった属名がありますが、どれも現在では使用されておりません。

女王錦Aloe parvulaは、Lemeea parvulaと命名されたこともあります。
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Aloe parvula=Lemeea parvula

Aloe alooidesは、初めはUrginea alooidesと命名された後にNotosceptrum alooidesとなり、最終的にアロエ属となりました。実はこのUrgineaは160種類程度を含んだかなり大きな属でした。しかし、現在このUrgineaはほとんどがDrimiaとなり、その他にもAloe、Albuca、Schizocarphus、Fusifilum、Austroneaなどを含んだ雑多なグループでした。NotosceptrumはAloeやKniphofiaからなる小さなグループでした。

Aloe myriacanthaは、初めはBowiea myriacanthaと命名された後にアロエ属となり、最終的にLeptaloe myriacanthaとされましたが、結局はアロエ属とされています。Leptaloeは10種類ほどのグループで、すべてアロエ属からなっています。

Aloe purpureumはLomatophyllum purpureumとされていたこと、あるいはDracaenaとする意見があったことを示しました。しかしA. purpureumは、さらにPhyllomaやDrakainaといった属名とされたこともあります。Phyllomaはアロエ属4種類からなる小さなグループでした。Drakainaというドラセナに似た属名は、Aloe purpureumとDracaena dracoの2種類からなる奇妙なグループでした。

Aloe haworthioidesは、Lemeea haworthioidesやAloinella haworthioidesと命名されたこともあります。AloinellaはA. haworthioidesのためだけに創設されたグループでした。
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Aloe haworthioides
=Lemeea haworthioides
=Aloinella haworthioides


Aloe feroxは、Pachidendron feroxやBushipho feroxと呼ばれたこともあります。Pachidendronはアロエ属5種類からなる小さなグループでした。BushiphoはA. feroxのためだけに創設されたグループでした。

Aloe humilisはCatevala humilisと命名されたことがあります。Catevalaは約60種類程度を含むグループで、アロエ属や広義のハウォルチアが混ざっていました。
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Aloe humilis=Catevala humilis

Aloe dichotomaはAloidendron dichotomumとなりアロエ属から分離しましたが、広義のアロエ属だった1811年にRhipidodendrum dichotomumとされたことがあります。Rhipidodendrumは現在のKumaraとA. dichotomumの3種類からなるグループでした。
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Aloidendron dichotomum
=Aloe dichotoma
=Rhipidodendrum dichotomum


⑦アロエとされたことがあるアガヴェ
Agave americana、つまりはあの巨大に育つことで有名なアオノリュウゼツランですが、実に不思議なことにAloe americanaと命名されたことがあります。
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アオノリュウゼツラン
Agave americana
=Aloe americana


⑧存在しないアロエ
詳細は不明ですが、「廃止」となったアロエも存在します。他のアロエなどの異名ですらなく、学名自体が廃止となったAloe asperaやAloe browniiといったものがあります。詳しい調べていませんが、廃止となった学名はこの他にもけっこうありそうです。
もしかしたら、記載情報から実際の植物にたどり着けない場合というのはまず第一に考えられます。古い記載では情報が曖昧で標本もなく、スケッチのみというパターンは実際に存在します。まあ、他にも理由はあるのかもしれません。


⑨交雑種
かつてはアロエ属であった自然交雑種も存在します。例えば、Aloe × bicarinataは現在、× Astrolista bicarinataとされています。× AstrolistaはAstroloba × Tulistaを示しています。
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× Astrolista bicarinata
=Aloe × bicarinata

 
のブログは多肉植物がメインですが、内容的には学名の来歴を追った部分が他サイトとの違いかなあと思っています。実のところ大した情報ではありませんが、そんなことでも続けていれば色々と見えてくるものがあります。例えば、ハウォルチアは昔アロエだったものが多いこととか、アロエは意外に現在無効な属名があることとか、そんなことです。これからも、論文を含め気になることが出てきましたら記事にする予定です。


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私はユーフォルビアをチマチマ集めたりしていますが、ユーフォルビア属と近縁とされるモナデニウム属にはあまり興味がありませんでした。というのも、ユーフォルビア属自体があまりにも多様で種類が多いため、モナデニウム属まで手が回らないためです。そのため、モナデニウムを調べたりもしないので、あまりイメージがありませんでした。しかし、2013年に発表された『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文を紹介する記事を書いた時に、モナデニウム属がユーフォルビア属に含まれているということを書きました。私も論文を読んで初めて知ったのですが、その際に論文に出てくる旧モナデニウム属の種類を調べたところ、その多様な姿に驚かされました。

以前の記事はこちら。
しかし、その時の論文が初めてモナデニウム属がユーフォルビア属に含まれることを明らかにした論文であるかはわかりません。まだちゃんと読んでいないのですが、2006年のPeter Burynsらの『A New Subgeneric Classhfication for Euphorbia (Euphorbiaceae) in Southern Africa Based on ITS and psbA-trnH Sequence Data』において既に述べられているみたいです。他にも根拠論文はあるかもしれませんから、もう少し調べてみるつもりです。

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幹だけではなく、葉裏の葉脈にもトゲがあるのは面白く感じます。

以前、園芸店に鉢を買いに行った際、変わった多肉植物を見つけました。手に取ると、なんとモナデニウムで、ラベルには"Monadenium magnificum"とありました。私の古いイメージではモナデニウムはM. schubeiの様な姿を想定していたので、なにやら驚いた記憶があります。私にとっては初めてのモナデニウムですが、これは非常に面白い植物だと思いました。

2013年の『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』では、E. magnificaの遺伝子解析による分子系統は以下の通りです。近縁種はタンザニア原産です。

            ┏━E. magnifica
        ┏┫
        ┃┗━E. neoarborescens 2
    ┏┫
    ┃┗━━E. neoarborescens 1
┏┫
┃┗━━━E. spectabilis

┗━━━━E. neococcinea


E. magnificaは高さ1.5~2メートルくらいになるそうですから、旧モナデニウムの中ではかなり大型になります。一応は低木扱いとなるみたいです。塊根性。

さて、上の方で述べた通りモナデニウム属はユーフォルビア属に変更となりました。学名は1940年にMonadenium magnificum E.A.Bruceでしたが、2006年にはEuphorbia magnifica Burynsとなりました。良く見ると種小名の語尾も変更されています。ラテン語では、"-um"は単数形で"-a"は複数形らしいのですが、文法上のことでしょうから残念ながら私にはさっぱりわかりません。
しかし、モナデニウム属は個性的ですから、学術的にはユーフォルビア属でもやはり区別しておきたい思いがあります。ラベルには"Monadenium magnificum"の学名を記入しています。まあ、ユーフォルビア属に変更となったことを理解していればいいことだけですから、ラベルはわかりやすさ優先です。
しかし、学名は統合したり分離したりすることもありますから、元のラベルの表記は残しておかないと、後々訳がわからなくなるかもしれません。


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かつてのHaworthia sensu lato(広義のハウォルチア属)は2013年に分割され、Haworthia sensu stricto(狭義のハウォルチア属)、Haworthiopsis、Tulistaになりました。その中でもツリスタ属はたった4種類から構成されています。その4種類とはTulista marginata、Tulista pumila、Tulista kingiana、Tulista minorです。ただし、Tulista minorはTulista minimaと呼ばれることもあります。
ここからが本題です。私には以前から疑問に思っていたことがあります。それは、T. minorとT. minimaのどちらを選択するべきかということです。どうやら、近年ではT. minorで統一する流れのようですが、その根拠が今一つわからなかったのです。なぜならば、T. minorもT. minimaも、1789年にAloe margaritiferaの変種として、スコットランドのWilliam Aitonにより命名されました。本来ならば、先に命名された種小名が優先されますが、この場合は同時に命名されています。どちらを優先すべきなのでしょうか? なぜ、T. minorが認めているのでしょうか?
しかし、なんとその答えが書かれた論文を見つけました。是非ご紹介したいのですが、その前にT. minorとT. minimaの命名年表を下記に示します。


1789年 Aloe margaritifera var. minor Aiton
              Aloe margaritifera var. minima Aiton
1809年 Haworthia minor (Aiton) Duval
1812年 
Haworthia minima (Aiton) Haw.
1821年 Apicra minor (Aiton) Steud.
1829年 Aloe minor (Aiton) Schult. & Schult.f.
1891年 
Catevala minima (Aiton) Kuntze
1997年 
Haworthia pumila subsp. minima
                                     (Aiton) Halda
2014年 
Tulista minima
              (Aiton) Boatwr. & J.C.Manning

2018年 Tulista minor
              (Aiton) Gideon F.Sm. & Molteno

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Tulista minor

さて、今日ご紹介する論文は、Gideon F. Smith, Estrela Figueiredo & Steven Moltenoによる2018年の『A new combination in Tulista, T. minor (Alooideae, Asphodelaceae)』です。
1789年にAloe margaritifera var. minorとAloe margaritifera var. minimaを命名したAitonは"minor"と"minima"を別種と認識していました。しかし、どうやら同じ論文の中で命名されたようです。この場合、先に命名された学名を優先するという「先取権の原理」ではどちらを優先すべきか判断出来ません。フランスのHenri August Duvalが"minor"をハウォルチアとしたのは1809年、イギリスのAdrian Hardy Haworthが"minima"をハウォルチアとしたのは1812年ですから、ハウォルチアへの移行は3年の差があります。著者はこの事を重視しているようです。調べたところ、どちらかに正式な学名とすることを初めて公表した著者の意見が優先されるそうです。これは「第一校訂者の原理」と呼ばれます。"minor"の場合はDuvalが第一校訂者となります。よって、ツリスタ属に変更する場合でも、その基礎となる種小名は"minor"となります。

話をまとめます。著者らが主張する学名に使われる種小名"minor"は、1789年にAitonによりAloe margaritifera var. minor Aiton(※Basionym)と命名されました。1809年にDuvalによりHaworthia minor (Aiton) Duval(※Homotypic synonym)とされましたが、著者らはDuvalを第一校訂者として、H. minorを根拠とする
Tulista minor (Aiton) Gideon F.Sm. & Molteno, comb. nov.(※comb. nov.=所属が変更された)としました。ちなみに、他にも種小名"minor"を使用した異名(Homotypic synonym)として、1821年のApicra minor (Aiton) Steudel、1829年の Aloe minor (Aiton) Schult. & Schult.f.が知られています。
また、正統性がなく無効とされる異名(Heterotypic synonym)として、1789年の
Aloe margaritifera var. minima Aiton、 1812年のHaworthia minima (Aiton) Haworth、2014年のTulista minima (Aiton) Boatwright & J.C.Manningが知られています。

補記1 : 同じ著者らの2017年の論文では、ツリスタ属はT. opalinaを含め5種類としていました。しかし、今回ご紹介した2018年の論文ではツリスタ属は4種類とし、T. opalinaを認めるかは議論のあるところであるとしています。T. opalinaを認めるか否か、2017年から2018年の1年で情勢が変わったのかもしれませんね。

補記2 : "minor"は「ミノー」と読むことが一般的ですが、ラテン語の読み方では「ミノル」です。個人的な好みでラテン語読みにこだわっている関係上、「ミノル」と読ませていただきました。
そういえば、"minima"は「小さな」、"minor"は「より小さな」という意味です。初めに"minor"と"minima"を命名したAitonは、大小2つの個体を見て、大きい個体は他種より小さいから"minima"として、それより小さい個体を"minor"と命名したのでしょうかね? 名前のミステリーはまだ未解決かもしれません。



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個人的にツリスタ属が好みでチマチマ集めていますが、現在ツリスタ属は4種類なので全種類簡単に集まりました。あとは変種やフィールドナンバー付きを集めるくらいです。Haworthia pumilaとHaworthia marginataは、2013年にGordon Douglas RowleyによりTulista pumilaとTulista marginataとされました。しかしその後にGideon F.Sm & Moltenoにより2017年にはTulista kingiana、2018年にはTulista minorがツリスタ属に追加されました。そのため、海外のサイトではT. marginataやT. pumilaはツリスタ属としていても
、T. minorやT. kingianaはハウォルチア属としていることもあります。国内では残念ながらツリスタ属自体に対する認識がそもそもあまり無いのが現状で、4種類すべてがハウォルチア属としていることが多いように思われます。

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Tulista kingiana

さてそんな中、今年の7月初めにT.kingianaを入手したことにより全4種類が集まりましたが、その都度学名などの情報を調べて記事にしました。この時、学名の情報はイギリス王立植物園のデータベースを参考としましたが、その根拠は特に意識していませんでした。しかし、最近多肉植物の論文を漁っているため、キンギアナをツリスタ属とした論文を見つけました。早速読んでみたところ、何やら意外なことが書かれており、単純に属名の変更というどちらかと言えば地味な論文にしては面白い内容でしたのでご紹介します。

ご紹介する論文は2017年のGideon F. Smith, Estrela Figueiredo & Steven Moltenoによる『A new combination in Tulista, T. kingiana (Asphodeloideae, Xanthorrhoeaceae / Alooideae, Asphodelaceae)』です。早速簡単にご紹介しましょう。
2003年のTreulein et al.や2013年のGrace et al.、2014年のManning et al.によるアロエ類の系統発生研究により、Haworthia s.l.(sensu lato=広義の)は3分割されることが示されました。Haworthiaは、Haworthia s.s.(sensu stricto=狭義の)、Haworthiopsis G.D.Rowley、Tulista Rafinesqueの3グループが確立され広く受け入れられました。
このうち、Tulistaは5種類を含むと考えられています。つまり、T. marginata (Lamarck, 1783) G.D.Rowley, 2013、T. minima (Aiton, 1789) Boatwr. & J.C.Manning, 2014、T. opalina (Hayashi, 2001) Breuer, 2016、T. pumila (Linnaeus, 1753) G.D.Rowley, 2013です。しかし、5番目の種であるHaworthia kingiana Von Poellnitz, 1936については、ツリスタ属として命名はされていますが、その学名が有効ではないと言います。どういうことなのでしょうか?
2013年のG.D.Rowleyや2016年のBreuerの論文では、H. kingianaをツリスタ属としました。しかし、これらはVon Poellnitzの1936年の報告を引用してそれを基に命名しました。しかし、Von Poellnitzの1936年の報告は国際命名規約(ICN)に乗っ取ったものではありませんでした。つまり、G.D.RowleyやBreuerにより命名されたTulista kingianaは、引用元に誤りがあるため正式には認められないというのです。これは、ICNの第41.5条に基づいて有効ではないとされるそうです。
そこで著者はHaworthia kingianaが規約に乗っ取り正式に報告されたVon Poellnitz, 1937を引用して、Tulista kingiana (Poelln.) Gideon F.Sm. & Molteno, comb. nov.として新たに記載しました。
※comb.nov.=combination nova、他の所属になったことを示す。
学名の根拠となった元になった学名(Basionym)は、Haworthia kingiana Von Poellnitz, 1937で、Tulista kingiana (Poelln.) G.D.Rowley, 2013やTulista kingiana (Poelln.) Breuer, 2016は規約に従わない無効名です。

ここまでが論文の内容です。私はG.D.Rowleyが2013年にツリスタ属を復活させた時に、T. kingianaは含まれていなかったものだと勘違いしていましたが、実は命名自体はされていたわけです。しかし、このような経緯は学名を調べただけではわかりませんから、個人的には非常に面白い話でした。


補記 : 論文ではツリスタ属は5種類としていますが、現在学術的に認められているツリスタ属は4種類です。T. opalinaはT.minorの異名とされています。しかし、将来的にT. opalinaが認められる可能性はあります。
また、T. minimaは現在ではT. minorが正しい学名となっています。これについては個人的に前々から頭を悩ます問題でした。T. minorが正式な学名であることは知っていますが、その理由や根拠となると全く説明出来ないのです。そんな中、そこら辺について書かれた論文を見つけましたので、私が何にそんなに悩んでいたのかを含め明日ご紹介したいと思います。



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本日は2013年に発表された論文『Gymnocalycium mostii aggregate : Taxonomy in the northern part of its distribution area including newly described taxa』をご紹介します。著者はチェコの植物学者であるRadomír Řepka & Peter Kouteckyです。
論文の趣旨は、Gymnocalycium prochazkianum、Gymnocalycium simile、Gymnocalycium simplexの3種について、その形態や分布、ゲノムサイズの調査により、3種の関係性を考察しています。

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Gymnocalycium prochazkianum

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Gymnocalycium prochazkianum
                                    subsp. simile
            (=G. simile)


ここで、タイトルにあります"Gymnocalycium mostii aggregate"、つまりは「ギムノカリキウム・モスティイ集群」とは何かという話をしましょう。G. mostiiとはいわゆる「紅蛇丸」のことですが、現在G. mostiiには亜種や変種が認められておりません。つまりは、黒豹丸G. mostii var. kurtzianumも、ただのG. mostiiと同一視されています。さらには、G. bicolorやG. prochazkianum、G. simile(G. prochazkianum subsp. simile)、G. simplex(G. prochazkianum subsp. simplex)も、現在ではG. mostiiに集約されてしまっているのです。気を付けなければならないのは、紅蛇丸と言った場合はG. mostiiのことですが、G. mostiiと言った場合は紅蛇丸を示すとは限らないことです。単にG. mostiiと言った場合には、G. bicolorやG. prochazkianumなども含んだ学名だからです。ただ、その場合のG. mostiiはかなりの変異幅を持っていますから、「集群」という表現となっているのでしょう。しかし、研究者は論文でもG. prochazkianumやG. bicolorの学名を使用しています。やはり、不便なのでしょうか? 必ずしもG. mostiiとする統一見解があるわけではないのかもしれません。まあ、学名なんてそのうち変わるかもしれませんけどね。
※集群 : 亜属内の何らかの集合。

さて、内容に入る前にギムノカリキウム属について、簡単に解説します。2011年の論文でPablo H. Demaioはギムノカリキウム属を7つの亜属に分けました。その1つであるScabrosemineum亜属は共通する種子の特徴があるそうです。この特徴はG. mostiiグループにも見られますが、種子の色や葯やフィラメントの色の違いにより、G. mostiiグループは8つに分けられるとされます。
G. mostii sensu stricto
        ※狭義のG. mostii
G. mostii f. kurtzianum
G. mostii var. miradorense
G. mostii subsp. valnicekianus
G. bicolor nom.inval.
        ※nom.inval.=規約に従わない無効名
    =G. mostii subsp. bicolor
G. genseri nom.nud.
        ※nom.nud.=裸名
G. prochazkianum
    =G. mostii subsp. prochazkianum
G. bicolor var. simplex nom.prov.
       ※nom.prov.=正名がつくまで有効な学名

G. mostiiグループはアルゼンチンのコルドバ州とサンティアゴ・デル・エステロ州に分布します。
G. bicolor var. simplexは"Northern bicolor"とも呼ばれ、G. bicolor(s.str.)やG. prochazkianumとは形態が異なります。しかし、種子リストではG. prochazkianumとG. bicolor var. simplexの中間的な移行形態も見られるそうです。

さて、論文では形態的な比較もしており、例えば全体のサイズはprochazkianum<simile ≦simplex、稜の数はp
rochazkianum<simile <simplex、トゲの数はprochazkianum<simile<simplex、トゲの長さはprochazkianum<simile<simplex、果実のサイズはprochazkianum>simile >simplexなど、G. simileはG. prochazkianumとG. simplexの中間的な特徴を示し、G. simileの交雑により誕生した可能性を示唆しています。ただし、種内の特徴の変動幅を見た場合、意外にも交雑を疑われるG. simileよりG. prochazkianumの方が変動幅が高いことがわかりました。
次にG. prochazkianumは太く長い貯蔵根があり、G. simileも似たような根を持つことがありますが、G. simplexはわずかに肥厚することはありますが根は分岐します。

自生地ではG. simplexは平らな球形から半球形で土壌に1/2ほど埋まりますが、古い個体は完全に地上に露出します。G. prochazkianumは古い個体でも最大3/4は土壌に埋まります。G. simileは自生地の集団により、土壌に埋まったり露出したりします。
また、種子の形状ではG. simileとG. simplexはほぼ同じなんだそうです。


ここで、ゲノムサイズの解析について解説します。どうやらフローサイトメトリーにより解析を行ったようです。フローサイトメトリーはフローサイトメーター(FACS)という機器を用います。これは細胞にレーザーを当てて、その特徴を分析する機器です。FACSが優れているのは、数千~数万という細胞を短時間で解析可能であることです。
このFACSを用いた解析では、G. prochazkianum、G. simile、G. simplexは、すべて二倍体であることがわかりました。Scabrosemineum亜属は基本的に二倍体ですが、四倍体も知られていたため確認したみたいです。これは異なる倍数体同士では交配しない可能性があるため、同じ二倍体であることが交雑可能性の否定的要素の除外として重要だったみたいですね。


分布域を比較すると、G. prochazkianum、G. simile、G. simplexのそれぞれ離れており、連続していません。3種の中ではG. prochazkianumが最南端に分布します。
①G. prochazkianumはアカシアが優勢である低木地帯に生えます。低木により遮光される環境に育つことがあります。土壌は瓦礫地で花崗岩と花崗岩の崩壊物からなり、非常に低栄養で強く乾燥します。G. prochazkianumはこの極端な環境によく適応しています。太く長い貯蔵根は環境への適応により発達したのかもしれませんね。
②G. simplexはG. prochazkianumよりも北に分布し、比較的大きな分布域を持ちます。花崗岩の崩壊による砂質の土壌に育ちます。G. simplexはあまり埋まらず、直射日光にさらされます。G. simplexはG. prochazkianumと同様に栄養素の乏しい土壌です。
③G. simileはG. prochazkianumとG. simplexの生息域の間に分布し、生息域は繋がっておりません。石の多い斜面の低木地帯に生えるためG. prochazkianumに地質学的条件は似ています。岩石は花崗岩質で、花崗岩が崩壊して出来た砂質の土壌でも育ち、生態学的にはG. simplexに似ています。


ここまでの内容の結論としましては、G. simileはG. prochazkianumとG. simplexの自然交雑種である可能性が高いということです。
考えたこととして、これはただの雑種ではないかもし知れないということです。通常は雑種を防ぐ生態的あるいは発生学的な防壁があり、近縁種が混ざって生えていても、交雑は起きません。もし雑種が出来ても不捻と言って、雑種には発芽可能な種子が出来ないことが多いようです。しかし、ギムノカリキウム属は簡単に雑種が出来てしまい、雑種でも種子を作り増えることが出来ます。どうも自然交雑がギムノカリキウム属の進化に深く関わっているように思えます。交雑しても地理学的な隔離があれば、独立種としての道筋を辿るのではないでしょうか。そもそも、ギムノカリキウム属は短期間に進化したらしく、遺伝子解析による分離がいまいちなグループです(Demaio, 2011)。自然交雑が進化の起爆剤となっているのかもしれません。


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ダシリリオンはそもそもあまり流通していませんが、最近では実生苗がまれに販売されることもあります。そんな中、もっとも流通しているDasylirion longissimumは、じつはDasylirion quadrangulatumであるという記事を最近書きました。そもそもが海外での混乱がそのまま日本に波及した形なのですが、国内でそのことが話題に挙がることはないみたいですので、気にはなっています。

私は先ずDasylirion longissimumという名札が付いたDasylirion quadrangulatumを入手した後、正しい名札が付いたD. quadrangulatumを入手したので、結局はD. quadrangulatumを2株入手しただけでした。残念。
しかし、基本的にD. longissimum(本当はD. quadrangulatum)以外のダシリリオンはまあ見ないわけです。五反田TOCで開催されたサボテン・多肉植物のビッグバザールで、明らかD. quadrangulatumではないダシリリオンを見つけたので購入しました。それが、ダシリリオン・ベルランディエリです。


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葉は青白くトゲがあります。葉の断面が平たいことに注意。

ベルランディエリは葉の長さは120cmになり、葉はワックス状で青くトゲは不規則につきます。花茎は3.5メートルになるそうです。マイナス14℃に耐えるそうですから、ある程度のサイズになれば完全戸外栽培も可能でしょう。ベルランディエリは非常に美しい葉色を持ちますから、これからの生長が楽しみです。

ベルランディエリの学名は1879年に命名されたDasylirion berlandieri S.Watsonです。S.Watsonはアメリカの植物学者であるSereno Watsonです。種小名はフランスの植物学者であるJean-Louis Berlandierに対する献名です。Berlandierは1943年にメキシコのeast of MonterreyではじめてDasylirion berlandieriを発見しました。

ダシリリオンについては以下の記事もご参考までに。

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以前、笹蟹丸と紅キリンの関係について記事にしました。

この記事では、笹蟹丸Euphorbia pulvinataと紅キリンEuphorbia aggregataは同種であり、E. aggregataという学名はE. pulvinataの異名であるというものでした。
これは、海外のサイトを色々探った時に出てきた情報です。園芸サイトだけではなく、学術的な植物のデータを収集しているような幾つかのサイトでも、やはり2種は同種であるとありました。最終的には、『GBIF』(Global Biodiversity Information Facility)という学術的な情報に基いて、学名を収集しているサイトの情報を確認しました。
しかし、『World Checklist of Vascular Plants』というイギリス王立植物園が主宰するサイトの情報においては、E. pulvinataとE. aggregataはそれぞれ別種とされています。このサイトの情報は、正式な学名と異名について、出されている学術論文を参考にして検討する学術雑誌を出しており、新しい情報があれば改定されたりします。GBIFもWorld Checklist of Vascular Plantsを根拠としていますから、GBIFは情報が古いのかもしれません。

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笹蟹丸
Euphorbia pulvinata Marloth, 1910

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紅キリン
Euphorbia aggregata A.Berger, 1907 publ. 1906


ここで、疑問が湧きます。では、E. pulvinataとE. aggregataが同種であるという情報はどこから来たのでしょうか? 調べたところ、2012年に南アフリカの植物学者であるPeter Vincent Bruynsによる『Nomenclature and typification of southern African species of Euphorbia』という論文から来ているようです。驚いたことに、実は既に読んだことがある論文でした。World Checklist of Vascular Plantsでもこの論文を根拠としているユーフォルビアもありますから、内容をチェックしたことがあったのです。この論文の内容は、南アフリカに分布するユーフォルビアの種類と学名の妥当性を検討するというものです。問題のE. aggregataは"除外された名前"とされています。一体どういう意味なのでしょうか?
この論文においてE. aggregataは、E. pulvinataやE. feroxと同種ではないかを確認する必要があるとあります。あるいは、E. aggregataはカルー東部の広い範囲に分布し、E. pulvinataやE. feroxとの中間体である懸念を指摘しています。果たしてこの擬義が如何にして解消されたのかは私にはわかりませんが、とにかくこの論文のE. aggregataに関する記述は認められていません。その根拠を探して論文を探してみましたが、残念ながら見つけられませんでした。様々なサイトではE. aggregataについて異名の疑いを示してはいるものの、現在ではE. aggregataを承認する形となっています。

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勇猛閣
Euphorbia ferox Marloth, 1913

それでも気になるのは、やはりその根拠です。Bruynsの論文の当該部分を否定するならば、当然ながら議論があるはずです。しかし、よくよく考えて見ると、Bruynsの"懸念"が何らかの根拠に基づいているのか、その考え方の妥当性自体に誤りがないのかはわかりません。そもそもこの懸念が議論に値するものであるのかどうかすらわかりません。単純に妥当性なしとされただけのことかもしれません。とはいえ、それも確証はないため気になっている部分ですから、今後も論文の調査は行っていくつもりです。



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本日はヴロキイという名前の南アフリカ原産のガステリアをご紹介します。
ヴロキイは東ケープ州のHankey郊外のKouga地方に自生します。自然保護区の岩肌に生えるために保護の必要はないそうです。標高1000-1500メートルの石英質砂岩地の、ミネラル分が少ない砂質の腐食土壌がたまった岩の割れ目や隙間に生えます。pH4.1という非常に強い酸性条件で育つようです。生息地にはSenecio crassulifolius、Crassula atropurpurea、Crassula ericoides subsp. tortuosa、Adromischus maculatusなどが生えるそうです。

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Gasteria vlokii

ヴロキイは1984年に南アフリカの植物学者であるJan Vlokが、Waboomsbergの1946メートルの岩肌で発見しました。高地の湿ったフィンボス(夏に乾燥する冬の降雨地域)ではじめて発見されたガステリアということで、驚きをもって受け止められました。
ヴロキイは南アフリカの植物学者であるErnst van Jaarsveldが1987年にGasteria vlokii van Jaarsv.と命名しました。vlokiiは発見者であるJan Vlokに対する献名です。

ガステリア属は南アフリカ原産ですが、種類ごとの分布が近いものは遺伝的にも近縁であることがわかりました。以下に示すのはガステリアの遺伝子解析の結果です。ヴロキイは南アフリカ南西部のガステリアと近縁です。


┏━━━━━━━━━━G. pillansii

┃    ┏━━━━━━━━G. vlokii
┃    ┃
┃┏┫    ┏━━━━━━G. koenii
┃┃┃┏┫
┫┃┃┃┗━━━━━━G. brachyphylla
┃┃┗┫
┃┃    ┃    ┏━━━━━G. thunbergii
┃┃    ┃┏┫
┃┃    ┃┃┗━━━━━G. carinata 
┃┃    ┗┫                      var. glabra
┗┫        ┃┏━━━━━G. retusa
    ┃        ┗┫
    ┃            ┃┏━━━━G. carinata
    ┃            ┗┫
    ┃                ┃┏━━━G. langebergensis
    ┃                ┗┫
    ┃                    ┗━━━G. disticha
    ┃
    ┃    ┏━━━━━━━G. bicolor                          
    ┃┏┫                                         
    ┃┃┗━━━━━━━G. rawlinsonii                 
    ┃┃                                             
    ┗┫┏━━━━━━━G. nitida 
        ┃┃
        ┃┃         ┏━━━━G. excelsa
        ┃┃     ┏┫
        ┃┃     ┃┗━━━━G. pulchra
        ┃┃     ┃
        ┃┃┏ ┫ ┏━━━━G. ellaphieae                         
        ┃┃┃ ┃ ┃ 
        ┃┃┃ ┃ ┃    ┏━━G. polita
        ┗┫┃ ┗ ┫┏┫
            ┃┃      ┃┃┃┏━G. acinacifolia
            ┃┃      ┃┃┗┫
            ┃┃      ┗┫    ┗━G. barbae
            ┃┃          ┃
            ┃┃          ┃┏━━G. armstrongii
            ┗┫          ┗┫
                ┃              ┃┏━G. glauca
                ┃              ┗┫
                ┃                  ┗━G. glomerata
                ┃
                ┃    ┏━━━━G. croucheri
                ┃┏┫
                ┃┃┗━━━━G. loedolffiae
                ┗┫
                    ┃┏━━━━G. tukhelensis
                    ┗┫
                        ┃┏━━━G. batesiana
                        ┗┫            var. batesiana
                            ┗━━━G. batesiana
                                            var. dolomitica


ヴロキイは花の形状からは、G. glauca、G. ellaphieae、G. nitidaと近縁とされてきましたが、遺伝子解析の結果からは支持されません。

世の中には多肉植物ブームなるものが、私が知らない間にあったらしいです。しかし、その時の一時の過熱はなくなったものの、どうも多肉人口が増えたせいか多肉植物自体は以前より今の方が色々入ってきているように思います。そんな中でも、何故かガステリアは見かけません。もちろん、臥牛や恐竜は見かけますけど、それ以外の種類、しかも原種となると中々厳しいところです。私もチマチマ集めてはいますが、ガステリアは現在8種類のみです。先日のビッグバザールでも、ガステリアはほぼありませんでした。しかし、ガステリアは非常に美しいので、もう少し流行って欲しいところですね。


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