ユーフォルビア・オベサ・ドットコム

スペクタビリスは非常に大型になるアロエです。しかし、スペクタビリスは昔から他のアロエと混同されてきました。その経緯について調べましたので、ひとつ記事とさせていただきます。2010年のKlopper & Gideon F.Sm.『Asphodelaceae : Alooideae : Reinstatement of Aloe spectabilis Reynolds』と、2021年のColin C.Walker『Aloe spectabilis - a splend South African species』というスペクタビリスについてのレビューを参照にして、ことの経緯を見てみましょう。

著名な植物学者であるAlwin Bergerは、1908年に権威のあるアロエについてのモノグラフを出版しました。これは、数十年にわたりアロエの分類の標準的な作品でした。Bergerはスペクタビリスを、Aloe ferox Mill.に含めました。しかし、1937年にGilbert Westacott Reynoldsはスペクタビリスを識別し、Bergerの見解は間違いであること、そして新種としました。つまり、Aloe spectabilis Reynoldsです。

それからなんと63年後の2000年にGlen & D.S.Hardyは、スペクタビリスをAloe marlothiiと同種であるとしました。確かにスペクタビリスはマルロシイによく似ており、分布も類似します。スペクタビリスはこのまま吸収されて消えてしまうのでしょうか?

しかし、2010年にRonell R. Klopper & Gideon F. Smithが『アロエ・スペクタビリスの復活』と称して、Aloe marlothiiとAloe spectabilisの特徴を比較しています。Klopper & Gideon F.Sm.と言えば、Aloianpelos属やAloidendron属を創設した研究者ですね。スペクタビリスとマルロシイの特徴を比較すると以下のようになります。

Aloe marlothii
花序 : 斜めから水平、30-50cm、20-30本
花柄の色 : 緑色から赤褐色
内側の花被片の頂点 : 淡~深紫色
フィラメントの伸長部 : 淡~深紫色

Aloe spectabilis
花序 : ほぼ直立、25cm前後、10-14本
花柄の色 : 暗褐色からほぼ黒色
内側の花被片の頂点 : くすんだ光沢のある黒色
フィラメントの伸長部 : オレンジ色

 花が咲かないと、マルロシイとスペクタビリスは区別出来ないと言われていますが、確かに花の特徴が決め手なようです。

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昨年の12月に千葉で開催された木更津Cactus & Succulentフェアで、例によってラフレシア・リサーチさんで激安のAloe pegleraeを購入した際、おまけでいただいたAloe spectabilisの抜き苗です。アロエを買っておまけでアロエを貰うというのも、何やら不思議な感じがします。
直ぐ
に植え付けましたが非常に丈夫で、真冬に植えたにも関わらずあっという間に根が張ったことには驚きました

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2022年8月。葉が旋回を始めました。アロエは若い時は葉は二列性(左右に葉が並ぶ)ですが、生長すると葉はぐるぐる回りながら生えます。

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トゲはかなり強いみたいです。そういえば、マルロシイは「鬼切丸」と呼ばれますが、スペクタビリスは「鬼王錦」という名前もあるそうです。サボテンでは名前に「錦」とついた場合は斑入り品種を指しますが、アロエでは斑入り品種のことではなく、斑入り品種ではなくても普通に「○○錦」という名前がつきます。

スペクタビリスは巨大アロエで、高さ5mに達します。幹は木質となりますが、有名な巨大アロエであるAloidendron属とは異なり、枝分かれせず単幹で葉は巨大になり頭でっかちな見た目になります。花は枝分かれして巨大で、鳥や昆虫の蜜源として重要です。
スペクタビリスはKwaZulu-Natalの固有種です。冬は氷点下まで下がる可能性があるそうです。面白いことに、1900年に自由州の農場にスペクタビリスが3本植えられたそうですが、現在では3万本以上に増えてしまったそうです。

今回の記事に出てくる3種類のアロエの学名と記載年について一応記しておきます。
1768年 Aloe ferox Mill.
1905年 Aloe marlothii A.Berger
1937年 Aloe spectabilis Reynolds



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ボルシーはアルゼンチン原産のギムノカリキウムの一種です。現在では九紋竜Gymnocalycium gibbosumの亜種とされているようです。

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Gymnocalycium gibbosum subsp. borthii

九紋竜の学名は1844年に命名されたGymnocalycium gibbosum (Haw.) Pfeif. ex Mittlerです。しかし、この種小名gibbosumが最初に命名されたのは1816年のことです。gibbosum系の学名は以外の様な経過をたどりました。
1816年 Cactus gibbosum Haw.
1826年 Cereus gibbosum (Haw.) Sweet
1828年 Echinocactus gibbosum (Haw.) DC.
1844年 Gymnocalycium gibbosum
                                       (Haw.) Pfeif. & Mittler


G. gibbosumには沢山の異名がありますが、現在は認められておりません。あまりに異名が多いので、亜種、変種、品種を除いたリストを以下に示します。
1828年 Cereus reductus DC.
1830年 Echinocactus nobilis Haw.
1837年 Echinocactus mackieanus Hook.
1850年 Echinocactus leucodictyus Salm-Dyck
1925年 Gymnocalycium brachypetalum Speg.
              Gymnocalycium chubutense (Speg.) Speg.
1931年 Echinocactus brachypetalum
                                          (Speg.) Werderm.            
1995年 Gymnocalycium mackieanum
                   (Hook.) Metzing, Mereg. & R. Kiesling
2006年 Gymnocalycium dubniorum Halda & Milt

さて、次にボルシーの学名は2005年に命名されたGymnocalycium gibbosum subsp. borthii (Kloop ex T.Hill) G.J.Charlesです。初めて命名されたのは、1987年のGymnocalycium borthii Kloop ex T.Hillですが、上記の如く2005年にG. gibbosumの亜種とされました。



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シャボテン新図鑑
shabomaniac!
2022-05-22

ギラウミニアナはマダガスカル原産の花キリンの仲間です。花は地味で花キリン感は薄いのですが、木質の幹からトゲが出るあたりはいかにも花キリンです。私は入手してからまだ2年ですが、いまだに育て方に迷いがあります。ネットの情報では、ギラウミニアナの育て方と言いながら多肉植物の基本的な育て方が記載されており、ギラウウミニアナの育て方ではないように見受けられます。

そういえば、私は"guillauminiana"を「グイラウミニアナ」とラテン語読みしてしまいますが、なんで「ギラウミニアナ」と呼ばれているのでしょう? この種小名はフランスの植物学者であるAndré Louis Joseph Edmond Armand Guillauminに対する献名ですが、このGuillauminはフランス語ではおそらく「ギヨマン」と読むみたいですから、名前の読みかたならば「ギヨマニアナ」ですね。まあ、読み方なんて本来はどうでもいい話ですから、なんと読んでも一緒なんですけどね。以降、個人的なこだわりで、例によってラテン語読みのグイラウミニアナでいかせていただきます。

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2020年3月。園芸店で冬を越した苗で、根鉢が崩れて用土が半分くらいしかない状態でした。しかし、大特価の半額お値引き品という札に釣られて、ついつい購入してしまいました。今にして思えば危険な賭けでした。グイラウミニアナは寒さに弱いと聞きますから、そのままお亡くなりになる可能性も大でしたからね。

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2020年6月。購入時、すぐに植え替えましたが、それからわずか3ヶ月で開花しました。葉色も良く順調です。

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2022年8月。2年経って枝分かれしていますが、葉色の薄さが気になります。今年は異常な暑さで日差しが強すぎて多肉たちにもダメージがありましたが、おそらくはグイラウミニアナもその影響があったのでしょう。

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ただし、水やりについては良くわかりません。花キリンはやや水多めの方がいいような気もしますが、グイラウミニアナはどうでしょうか? 枝のつまった形の良いグイラウミニアナにするためには、あまりじゃぶじゃぶ水やりしない方がいいような気もしますが…

そういえば、グイラウミニアナは花キリンEuphorbia miliiの仲間と言われています。2013年にユーフォルビア属の遺伝子解析したPhylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文では、花キリン類はゴニアステマ節に分類されています。そこでは20種類ほど花キリン類を調べているようですが、残念ながらグイラウミニアナは調べていません。一応の証拠が欲しいので、マダガスカルのユーフォルビアを調べた2014年の『Insights on the Evolution of Plant Succulence from a Remarkable in Madagascar (Euphorbia)』という論文では、グイラウミニアナは噴火竜Euphorbia viguieriと近縁とあります。むしろ、近縁に見えるEuphorbia milii系とはそれほど近縁ではないようです。面白いですね。しかし、いずれにせよグイラウミニアナは花キリン類=ゴニオステマ節であることは間違いないと言えます。

グイラウミニアナの学名は1942年に命名されたEuphorbia guillauminiana Boiteauです。Boiteauはフランスの植物学者であるPierre Louis Boiteauのことです。Boiteauはマダガスカルのハンセン病療養所で働いていましたが、やがて現地語を学んだことにより、現地の伝統医療を知り薬草を研究しました。やがて、かつてマダガスカルに存在したメリナ王国の女王の親類の植物学者であるAlbert Rakoto Ratsimamangaと協力し、マダガスカルの薬草の研究所であるIMRAを設立しました。Boiteauは戦乱によりフランスに帰国しましたが、IMRAは現在も活動しているそうです。



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4月に五反田TOCであったビッグバザールでは、ユーフォルビアを中心に色々買いました。ラフレシア・リサーチさんで、白雲巒岳とコルムナリスという割と珍しいユーフォルビアを入手することが出来ました。ラフレシア・リサーチさんは毎度おまけをくれますが、この時はアガヴェの抜き苗でした。アガヴェは初めてでしたから、育て方もわかりません。とりあえず鉢に植え込んでみましたが、それから4ヶ月でまあまあ育ってきました。

DSC_0946
2022年4月。抜き苗。小さ過ぎて、まったく特徴が出ていません。アガヴェと言われなければわからない位です。

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2022年8月。だいぶ育ちました。ユーフォルビアとまったく同じ育て方をしていたというか、放置気味でしたが特に問題はなかったみたいです。

DSC_1705
全体的に蒼味がかり、中に白い筋が入っています。ムルチフィリフェラの特徴が出てきました。育つと白いフィラメントが美しい種類のようですが、あと何年かかることやら…

ムルチフィリフェラの学名は1972年に命名されたAgave multifilifera Gentryです。1992年には「乱れ雪」ことAgave filiferaの亜種とする意見、つまりAgave filifera subsp. multifilifera (Gentry) B. Ullrichもありましたが、現在では認められておりません。しかし、Agave filiferaが命名されたのは1834年ですから、ムルチフィリフェラの発見は新しい部類ですね。

そういえば、学名のmultifiliferaはラテン語で、"multi-"が「多数の」、"filifera"は「糸を持った」という意味ですから、フィラメントを沢山持っている特徴から来ているようです。一方のAgave filiferaは、ただのfiliferaですから「糸を持った」となりますが、ムルチフィリフェラの方がフィラメントが多いのでしょうか? サイズによってもフィラメントの多さは異なるように見受けられますから、実際に育ててみないとわからないかもしれません。

ムルチフィリフェラはあまり大きくならないようで、高さ30~45cmくらいみたいです。マイナス18℃くらいまでは耐えられるという情報もありますが、苗のころは何やら危険な感じがしますから冬は室内で安全策をとりたいと思います。
ムルチフィリフェラはメキシコのソノラ砂漠と、アメリカのアリゾナ州Paparito山脈の標高1000-2200mに生えると言います。寒さに強いのも、なんとなくわかる気がします。




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2013年に発表された『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文の紹介です。昨日に引き続きOld World Clade II②の、Section Euphorbiaを解説します。

ユーフォルビア属の分子系統
┏━━━━━━Subgenus Esula

┫┏━━━━━Subgenus Rhizanthium
┃┃
┃┃┏━━━━Subgenus Chamaesyce
┗┫┃
    ┃┃    ┏━━Pacific Clade
    ┗┫┏┫
        ┃┃┗━━New World Clade
        ┗┫
            ┃┏━━Old World Clade I
            ┗┫
                ┃┏━Old World Clade II①
                ┗┫
                    ┗━★Old World Clade II②

Old World Clade II②の分子系統
                    ┏━★Section Euphorbia VI
                ┏┫
                ┃┗━★Section Euphorbia V
            ┏┫
            ┃┗━━━Section Euphorbia IV
        ┏┫
        ┃┗━━━━Section Euphorbia III
    ┏┫
    ┃┗━━━━━Section Euphorbia II (アジア原産種)
┏┫
┃┗━━━━━━Section Euphorbia I

┗━━━━━━━Section Monadenium

Old World Clade II②
Section Euphorbia V
Section Euphorbia Vはアフリカ大陸東側の南部に分布するグループです。基本的には根元から叢生する柱サボテン状の多肉植物で、トゲがあり幹は多肉質です。
E. ledieniiは「蛮鬼閣」と呼ばれることもあり、南アフリカ原産です。E. curiviramaは「蒼蛮閣」と呼ばれ、南アフリカ原産です。実はE. curiviramaは自然交雑種とされていて、学名はEuphorbia ×curiviramaと表記します。交雑親は、Euphorbia caerulercens × Euphorbia triangularisとされているようで、系統的に近い種同士で交雑がおきたことがわかります。E. caerulercensは南アフリカ原産ですが、ガイアナに移入されているとのことです。E. triangularisは「大纏」と呼ばれ、南アフリカ、モザンビーク、スワジランド原産です。E. keithiiはモザンビーク、スワジランド原産です。E. perangustaは南アフリカ原産です。E. limpopoanaは南アフリカ、ジンバブエ、モザンビーク、ボツワナ原産です。E. avasmontanaは「角キリン」あるいは「婆羅門閣」と呼ばれ、南アフリカ、ナミビア原産です。E. ammakは「大戟閣」と呼ばれ、サウジアラビア、イエメン原産です。分布がE. ammakだけ離れていますが、系統的にも他の種とは距離があります。昨日解説したSection EuphorbiaIVのE. fruticosaなどアラビア半島原産のユーフォルビアと近縁なのかもしれません。


    ┏━━━━━━Section Euphorbia VI
    ┃
    ┃                ┏━E. ledienii
    ┃            ┏┫
    ┃            ┃┗━E. curvirama
    ┃        ┏┫
    ┃        ┃┗━━E. caerulercens 1
┏┫    ┏┫
┃┃    ┃┃┏━━E. triangularis
┃┃    ┃┗┫
┃┃┏┫    ┗━━E. caerulercens 2
┃┃┃┃
┃┃┃┗━━━━E. keithii
┃┗┫
┫    ┃    ┏━━━E. perangusta
┃    ┃┏┫
┃    ┃┃┗━━━E. limpopoana
┃    ┗┫
┃        ┗━━━━E. avasmontana

┗━━━━━━━E. ammak

Section Euphorbia VI
Section Euphorbia VIはアフリカ東側から南部原産。柱サボテン状で、根元から叢生するタイプが多いようです。
E. grandicornisは「キリン冠」と呼ばれ、南アフリカ、モザンビーク、スワジランド原産です。E. pseudocactusは「春駒」と呼ばれ、南アフリカ原産です。E. breviarticulataはエチオピア、ケニア、ソマリア、スーダン、タンザニア、ウガンダ原産です。E. pseudoburuanaはケニア、タンザニア原産です。E. bougheyiはモザンビーク原産です。E. busseiはケニア、タンザニア原産です。E. brevitortaはケニア原産です。E. lividifloraはマラウイ、モザンビーク、タンザニア、ジンバブエ原産です。E. cooperiは「瑠璃塔」と呼ばれ、ボツワナ、南アフリカ、マラウイ、モザンビーク、スワジランド、タンザニア、ザンビア、ジンバブエ原産です。E. groenewaldiiは南アフリカ、モザンビーク原産で塊根性です。E. enormisは南アフリカ原産で塊根性です。E. cactusはエリトリア、エチオピア、オマーン、サウジアラビア、スーダン、イエメン原産です。E. fractiflexaはサウジアラビア、イエメン原産ですが、スーダンは移入の可能性があります。E. longispinaはエチオピア、ソマリア原産です。E. エチオピア、ケニア、ソマリア、タンザニア原産ですが、ジブチは移入の可能性があります。

                           
                                    ┏━E. grandicornis 2
                                ┏┫
                                ┃┗━E. pseudocactus
                            ┏┫
                            ┃┗━━E. grandicornis 1
                        ┏┫
                        ┃┗━━━E. breviarticulata
                    ┏┫
                    ┃┗━━━━E. pseudoburuana
                    ┃
                    ┃        ┏━━E. bougheyi
                ┏┫    ┏┫
                ┃┃    ┃┗━━E. bussei 1
                ┃┃┏┫
                ┃┃┃┗━━━E. brevitorta
            ┏┫┗┫
            ┃┃    ┗━━━━E. bussei 2
            ┃┃
        ┏┫┗━━━━━━E. lividiflora
        ┃┃
        ┃┗━━━━━━━E. cooperi
    ┏┫
    ┃┃┏━━━━━━━E. groenewaldii
    ┃┗┫
┏┫    ┗━━━━━━━E. enormis
┃┃
┃┃┏━━━━━━━━E. cactus
┃┗┫
┫    ┗━━━━━━━━E. fractiflexa

┃┏━━━━━━━━━E. longispina
┗┫
    ┗━━━━━━━━━E. robecchii

以上でPhylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文の紹介は終了となります。なんと9日間に渡り長々と論文の内容を紹介し続けた記事でした。また、論文に出てくる学名を検索して、原産地などを調べるのは思った以上に時間がかかり、記事を書くのも中々に疲れました。とりあえずは書き終わってほっとしていますが、まだ気掛かりはあります。それは、初日に紹介したリザンチウム亜属です。リザンチウム亜属は、オベサやホリダなど園芸店でよく見かけるユーフォルビアの大半が含まれます。しかし、論文ではたった4種類を調べたに過ぎないのです。この論文のメインがユーフォルビア亜属なので仕方がないでしょう。しかし、タコものユーフォルビアや鉄甲丸、瑠璃晃など有名なユーフォルビアが出てこないことは、流石に不満があります。ですから、リザンチウム亜属について調べたところ、割とあっさり論文が見つかりました。しかし、記事にするにはそれなりに労力がいりますから、少し間を空けます。解説を挟むのに、色々と調べる時間も必要ですからね。という訳でそのうち続きを記事にしようと思います。



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2013年発表された『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文の紹介です。昨日に引き続きOld World Clade II②の、Section Euphorbiaについて解説します。

ユーフォルビア属の分子系統
┏━━━━━━Subgenus Esula

┫┏━━━━━Subgenus Rhizanthium
┃┃
┃┃┏━━━━Subgenus Chamaesyce
┗┫┃
    ┃┃    ┏━━Pacific Clade
    ┗┫┏┫
        ┃┃┗━━New World Clade
        ┗┫
            ┃┏━━Old World Clade I
            ┗┫
                ┃┏━Old World Clade II①
                ┗┫
                    ┗━★Old World Clade II②

Old World Clade II②の分子系統
                    ┏━Section Euphorbia VI
                ┏┫
                ┃┗━Section Euphorbia V
            ┏┫
            ┃┗━★Section Euphorbia IV
        ┏┫
        ┃┗━━★Section Euphorbia III
    ┏┫
    ┃┗━━━Section Euphorbia II (アジア原産種)
┏┫
┃┗━━━━Section Euphorbia I

┗━━━━━Section Monadenium

Old World Clade II②
Section Euphorbia III
Section Euphorbia IIIは、○、■、◇の3つに分けて解説します。

○このグループは、基本的に塊根から多肉質でトゲのある枝を伸ばすタイプです。
E. stellataは「飛竜」の名前で知られ、国内でもそこそこ流通しています。南アフリカ原産で、枝は平たい形です。E. micracanthaは「怒竜頭」と呼ばれ、南アフリカ原産です。E. persistentifoliaはザンビア、ジンバブエ原産です。E. griseolaは「龍尾閣」と呼ばれ、ボツワナ、マラウイ、モザンビーク、ザンビア、ザイール、ジンバブエに広く分布します。柱サボテン状で、枝分かれしてブッシュを作ります。E. deciduaは「蓬莱島」と呼ばれ、マラウイ、タンザニア、ザンビア、ザイール、ジンバブエ原産です。E. fanshaweiはザンビア原産です。

■このグループは、柱サボテン状で巨大に育ちます。幹は木質化し、盛んに枝分かれしてします。
E. ingensは「沖天閣」の名前で知られ、高さ12mになります。アンゴラ、ボツワナ、ブルンジ、エリトリア、エチオピア、ケニア、南アフリカ、マラウイ、モザンビーク、ルワンダ、ソマリア、スワジランド、タンザニア、ウガンダ、ザンビア、ザイール、ジンバブエに広く分布します。E. abyssinicaは「巒岳」の名前で知られ、高さ9mになります。ジブチ、エリトリア、エチオピア、ソマリア、スーダン原産。

◇このグループは、柱サボテン状ですが先端付近に大きな葉をつけ、枝は分岐します。
E. desmondiiはカメルーン、チャド、ガーナ、ニジェール、ナイジェリア原産です。E. drupiferaは高さ12-22mになるそうです。ベナン、中央アフリカ、チャド、コンゴ、ガボン、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、コートジボワール、リベリア、ニジェール、ナイジェリア、シエラレオネ、トーゴ、ウガンダに広く分布します。


            ┏━━━━━Section Euphorbia V, VI
        ┏┫
        ┃┗━━━━━Section Euphorbia IV
        ┃
        ┃                ┏━○E. micracantha
        ┃            ┏┫
        ┃            ┃┗━○E. stellata
    ┏┫        ┏┫
    ┃┃        ┃┗━━○E. persistentifolia
    ┃┃    ┏┫
    ┃┃    ┃┗━━━○E. griseola
    ┃┃┏┫
┏┫┃┃┗━━━━○E. decidua
┃┃┗┫
┃┃    ┗━━━━━○E. fanshawei
┃┃
┃┃┏━━━━━━■E. ingens
┃┗┫
┫    ┗━━━━━━■E. abyssinica

┃    ┏━━━━━━◇E. desmondii
┃┏┫
┃┃┗━━━━━━◇E. drupifera 2
┗┫
    ┗━━━━━━━◇E. drupifera 1

Section Euphorbia IV
Section Euphorbia IVは、◎、▲、▽、●の4つに分けて解説します。
◎このグループは、根元から分岐して小さい多肉質のブッシュを作ります。
E. clivicolaは南アフリカ、スワジランド原産です。短い太い枝を沢山伸ばします。E. lenewtoniiは、タンザニア原産です。E. ambroseaeはマラウイ、モザンビーク原産で、細長く伸びます。あまり情報がないようです。E. cuprispinaはケニア原産で、細い枝が枝分かれします。E. parciramulosaはサウジアラビア、イエメン原産で、アラビア半島に進出した種類です。太い柱サボテン状で叢生します。大型。

▲このグループは柱サボテン状です。E. heterospinaはケニア、ウガンダ原産で、高さ3.5mになります。E. heterochromaはケニア、タンザニア原産で、細長く伸びて分岐します。高さ2mになるそうです。E. elegantissimaはタンザニア原産で細長く伸びます。

▽このグループは、木質の幹から大きな葉を頂点につけます。あまり枝分かれはしません。
E. sudanicaはトゲのある幹を持ちます。ブルキナファソ、チャド、ギニア、コートジボワール、マリ、モーリタニア、ニジェール、ナイジェリア、セネガル、スーダン、トーゴに広く分布します。E. venenificaはトゲのない幹を持ちます。チャド、スーダン、エチオピア、エジプト原産で、高さ2-5mになるそうです。E. unispinaはトゲのある幹を持ち、高さ3mになります。ベナン、ブルキナファソ、カメルーン、チャド、コンゴ、ガーナ、コートジボワール、マリ、ナイジェリア、スーダン、トーゴ原産です。E. sapiniiはトゲのある幹を持ちます。カメルーン、中央アフリカ、チャド、ガボン、ザイール原産です。E. resiniferaは「白角キリン」と呼ばれ。モロッコ原産です。高さ2mのクッション状で、葉のありません。柱サボテン状です。

●このグループは、トゲがあり柱サボテン状ですが、それほど大きくなりません。
E. fruticosaはサウジアラビア、イエメン原産で、高さ70cmになります。E. seibanicaはイエメン原産です。E. classeniiはケニア原産で、細長く60-90cmほどになります。


                    ┏━━━◎E. clivicola
                ┏┫
                ┃┗━━━◎E. lenewtonii
            ┏┫
            ┃┗━━━━◎E. ambroseae
        ┏┫
        ┃┃┏━━━━◎E. cuprispina
        ┃┗┫
        ┃    ┗━━━━◎E. parciramulosa
        ┃
        ┃            ┏━━▲E. heterospina 1
    ┏┫        ┏┫
    ┃┃        ┃┗━━▲E. heterochroma 1
    ┃┃    ┏┫
    ┃┃    ┃┗━━━▲E. heterospina 2
    ┃┃┏┫
    ┃┃┃┗━━━━▲E. elegantissima
    ┃┗┫
    ┃    ┗━━━━━▲E. heterochroma 2
    ┃
┏┫                    ┏━▽E. sudanica 3
┃┃                ┏┫
┃┃                ┃┗━▽E. venenifica
┃┃            ┏┫
┃┃            ┃┗━━▽E. sudanica 1
┃┃        ┏┫
┃┃        ┃┗━━━▽E. sudanica 2
┃┃    ┏┫
┫┃    ┃┗━━━━▽E. unispina
┃┃┏┫
┃┃┃┗━━━━━▽E. sapinii
┃┗┫
┃    ┗━━━━━━▽E. resinifera

┃    ┏━━━━━━●E. fruticosa
┃┏┫
┃┃┗━━━━━━●E. seibanica
┗┫
    ┗━━━━━━━●E. classenii

本日はここまでです。明日はいよいよこの長い論文紹介のラストです。Section Euphorbia V, VIはよく市販されている柱サボテン状のユーフォルビアが沢山含まれています。



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2013年に発表された『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文の紹介です。昨日はOld World Clade II②の、Section Monadeniumについて解説しました。本日はSection Euphorbia、つまりはユーフォルビア列となります。Section Euphorbiaはその多くがアフリカ大陸産ですが、アジアにも分布します。この論文はこのSection Euphorbiaについては割と細かく調べていますから、扱われる種類が多いため、便宜的に6分割して解説します。ただし、この分割方法は私が記事を書くための都合上のものですから、学術的に意味があるものではありません。
本日はSection Monadeniumとの分岐点に近い、Section Euphorbia IとSection Euphorbia IIについて解説します。

ユーフォルビア属の分子系統
┏━━━━━━Subgenus Esula

┫┏━━━━━Subgenus Rhizanthium
┃┃
┃┃┏━━━━Subgenus Chamaesyce
┗┫┃
    ┃┃    ┏━━Pacific Clade
    ┗┫┏┫
        ┃┃┗━━New World Clade
        ┗┫
            ┃┏━━Old World Clade I
            ┗┫
                ┃┏━Old World Clade II①
                ┗┫
                    ┗━★Old World Clade II②

Old World Clade II②の分子系統
                    ┏━Section Euphorbia VI
                ┏┫
                ┃┗━Section Euphorbia V
            ┏┫
            ┃┗━━Section Euphorbia IV
        ┏┫
        ┃┗━━━Section Euphorbia III
    ┏┫
    ┃┗━━━━━★Section Euphorbia II
    ┃                             (アジア原産種)
┏┫
┃┗━━━━━━★Section Euphorbia I

┗━━━━━━━Section Monadenium

Old World Clade II②
Section Euphorbia I
Section Euphorbia Iは基本的にはアフリカ大陸産です。2つのグループに分けられる様に見えますから、●と◇に分けて解説します。

●このグループはアフリカ南部の原産です。外見は若いうちは柱サボテンのように見えますが、やがて幹は木質化して多肉質の枝を沢山伸ばします。自生地ではかなり大型になるものもあります。
E. evansiiは南アフリカ、スワジランド原産です。E. grandidensは南アフリカ、モザンビーク原産で、「隅田の雪」と呼ばれます。E. ramipressaはマダガスカル原産で、枝は平たく多肉質です。E. tanaensisはケニア原産で、高さ30mになるそうです。「タナガワトウダイグサ」と呼ばれることもあります。E. confinalisはスワジランド原産で、亜種のE. confinalis subsp. rhodesiacaは「白雲巒岳」の名前で知られています。E. tetragonaは南アフリカ原産で、E. trigonaとは別種です。

◇このグループはアジア系の原産です。
E. abdelkuriはソコトラ島原産で、トゲのない柱状の多肉植物です。E. laceiはアジア原産で、ラオス、ミャンマー、フィリピン、タイ、マレーシアに分布します。インドでは本来の自生地ではない移入種として分布します。

        ┏━━━━Section Euphorbia III, IV, V, VI
    ┏┫
    ┃┗━━━━Section Euphorbia II
    ┃
    ┃            ┏━●E. evansii
    ┃        ┏┫
┏┫        ┃┗━●E. grandidens
┃┃    ┏┫
┃┃    ┃┗━━●E. ramipressa
┃┃┏┫
┃┃┃┃┏━━●E. tanaensis
┃┃┃┗┫
┃┗┫    ┗━━●E. confinalis
┫    ┃
┃    ┃┏━━━●E. sekukuniensis
┃    ┗┫
┃        ┗━━━●E. tetragona

┃┏━━━━━◇E. abdelkuri
┗┫
    ┗━━━━━◇E. lacei

Section Euphorbia II
Section Euphorbia IIは基本的にはアジア産です。2つのグループに分けられる様に見えますから、◎と▲に分けて解説します。

◎このグループは、若いうちはモナデニウムに似ています。葉は多肉質ではなく、多肉質の太ったトゲのない幹を持ちます。
E. nivuliaはバングラデシュ、インド、ミャンマー、パキスタン、スリランカに分布します。E. neriifoliaはインド、イラン、ミャンマー、パキスタン、ベトナムに分布します。中国やインドネシア、東南アジアの島嶼部などに移入されているようです。「キリン角」とも呼ばれます。この、E. nivuliaとE. neriifoliaは分子系統が入り交じっています。解析の精度が低いせいなのか、遺伝的に交雑しているのか、隠蔽種があるのかはわかりません。
E. caducifoliaはインド、パキスタン原産です。根元より分岐して巨体なブッシュ状になります。多肉質の茎にはトゲがあり、葉は目立ちません。E. tekeはアフリカ大陸産で、カメルーン、中央アフリカ、チャド、コンゴ、スーダン、タンザニア、ウガンダ、ザイールに広く分布します。

▲このグループは、一見して柱サボテン様のトゲのあるタイプです。葉は目立ちません。
E. antiquorumはインド、バングラデシュ、カンボジア。マレーシア、パキスタン、スリランカ、タイ、ベトナムに広く分布します。E. lacteaはスリランカ原産ですが、移入種としてカリブ海地域やハワイ、南アジア、太平洋島嶼部などに広く見られます。綴化した斑入りのE. lacteaが継木されて「マハラジャ」などの名前でよく売られています。E. vajraveluiはインド原産です。


                    ┏━◎E. nivulia 2
                ┏┫
                ┃┗━◎E. neriifolia 1
            ┏┫
            ┃┗━━◎E. nivulia 1
        ┏┫
        ┃┗━━━◎E. nivulia 3
    ┏┫
    ┃┗━━━━◎E. neriifolia 2
┏┫
┃┃┏━━━━◎E. caducifolia
┃┗┫
┃    ┗━━━━◎E. teke

┃            ┏━━▲E. sp. 16
┫        ┏┫
┃        ┃┗━━▲E. sp. 15
┃    ┏┫
┃    ┃┗━━━▲E. antiquorum 1
┃┏┫
┃┃┃┏━━━▲E. antiquorum 2
┗┫┗┫
    ┃    ┗━━━▲E. lactea
    ┃
    ┗━━━━━▲E. vajravelui

今日解説したのは、Section Euphorbiaの分子系統の根元にある2グループですが、アフリカ原産種とアジア原産種があります。どのように分布を拡大して進化したのでしょうか? その道筋を考えてみたいと思います。
Section EuphorbiaはSection Monadeniumと姉妹群ですが、Section MonadeniumもSection Euphorbia Iもアフリカ原産ですから、Section Euphorbiaはアフリカ大陸が起源で間違いないでしょう。Section Monadeniumの多くは、ケニアを中心としたアフリカ大陸東岸のインド洋側です。Section Euphorbia Iの◇印は最初に分岐したグループですが、E. abdelkuriはアラビア半島沖のソコトラ島、つまりはインド洋側の分布ですから、Section Monadeniumとの共通祖先がいたケニア付近から北上した様に見えます。同じく◇印のE. laceiは本格的に熱帯アジアに進出しています。この◇印のグループが、Section Euphorbia IIのアジア進出の契機なのでしょうか? 
あるいは、Section Euphorbia IIはアジア原産ですが、◎印のE. tekeのみがアフリカ原産ですから、そこから来ている可能性もあります。

さて、本日はここまでです。明日はSection Euphorbiaの続きです。



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2013年に発表された『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文の紹介です。昨日はOld World Clade II①の残り、Section Denisophorbia、Section Deuterocalli、Section Rubellaeについて解説しました。本日はSection Monadeniumについてです。
Section Monadeniumは、かつてはユーフォルビア属に近縁なモナデニウム属として独立していましたが、ユーフォルビア属に吸収されました。しかし、それでもSection Monadeniumはまとまった群として存在します。
とはいえ、現在でもモナデニウムはユーフォルビア属ではなく、モナデニウム名義で販売されていますから、論文の内容は我々趣味家には縁のない話かもしれません。むしろ、モナデニウムがユーフォルビアとして販売された場合、それはそれでややこしいので、販売名はモナデニウム名義でいて欲しいと思ってしまいます。

ユーフォルビア属の分子系統
┏━━━━━━Subgenus Esula

┫┏━━━━━Subgenus Rhizanthium
┃┃
┃┃┏━━━━Subgenus Chamaesyce
┗┫┃
    ┃┃    ┏━━Pacific Clade
    ┗┫┏┫
        ┃┃┗━━New World Clade
        ┗┫
            ┃┏━━Old World Clade I
            ┗┫
                ┃┏━Old World Clade II①
                ┗┫
                    ┗━★Old World Clade II②

Old World Clade IIの分子系統
    ┏━Section Euphorbia(Old World Clade II②)

┫┗━★Section Monadenium(Old World Clade II②)

┗━━Old World Clade II①

Old World Clade II② 
Section Monadeniumは主にアフリカ大陸産で、東アフリカのケニアを中心にタンザニア、エチオピアに多いようです。
ここで注意が必要なのは、モナデニウム属がユーフォルビア属へ移動した際、名前が変更になった種が多いことです。ですから、モナデニウムを育てていても、どれがどれやらわからないもかもしれません。残念ながら、論文ではモナデニウム属時代の学名は併記しておりません。ですから、解説部分で旧・学名も示します。


Section Monadeniumの分子系統
┏━━━━Section Euphorbia

┫    ┏━★Section Monadenium I 
┃┏┫
┗┫┗━★Section Monadenium II
    ┃
    ┗━━★Section Monadenium III

①Section Monadenium I
Section Monadenium Iは一見して最低4グループあります。○、▲、◎、■の記号でグループ分けしました。

○モナデニウムに特有の緑色の太った多肉質を持ち、茎の頂点に大きな葉を出すタイプが多いようです。E. rhizophora以外はこういうタイプです。
E. kimberleyana(=Monadenium kimberleyanum)はあまり情報はありません。E. lugardiae(=Monadenium lugardiae)はボツワナ、ザンビア、モザンビーク、スワジランド、南アフリカ原産。E. schubei(=Monadenium schubei)はタンザニア原産です。E. guentheri(=Monadenium guentheri)はケニア原産です。E. heteropoda(=Monadenium heteropodum)はあまり情報がありません。E. rhizophora(=Monadenium rhizophorum)はケニア原産で、塊根性で多肉質の茎を伸ばします。E. succulenta(=Monadenium succulentum)はケニア、タンザニア、ウガンダ原産です。

▲このグループはすべて塊根性です。
E. neomontana(=Monadenium montanum)はケニア、タンザニア原産です。E. neostolonifera(E. stoloniferum)はケニア原産です。E. neorubellae(=Monadenium rubellum)はケニア原産です。E. invenusta(=Monadenium invenustum)はケニア原産です。E. pseudolaevis(Monadenium laeve)はタンザニア、マラウイ原産です。

◎このグループのうち3種類はモナデニウム特有のタイプで系統的にも近縁です。他の3種類は緑色の棒状の多肉植物と塊根植物です。
E. pseudostellata(=Monadenium stellatum)はソマリア原産で、
緑色の太った多肉質を持ち、茎の頂点に大きな葉を出します。E. bisellenbeckii(=Monadenium ellenbeckii)はエチオピア、ケニア原産で、緑色の太った多肉質を持ち、茎の頂点に大きな葉を出します。E. neoreflexa(=Monadenium reflexum)はエチオピア、ケニア原産で、緑色の太った多肉質を持ち、茎の頂点に大きな葉を出します。
E. lindenii(=Monadenium lindenii)はソマリア原産で、棒状の多肉質の茎を持ちます。E. major(=Monadenium majus、=Monadenium erubescens)はエチオピア、ソマリア原産で、塊根性の多肉植物です。E. neovirgata(=Monadenium virgatum)はケニア原産で、棒状の多肉質の茎を持ちます。


■一番根元はE. pseudotrinervis(=Monadenium trinerve)はケニア原産の塊根のある多肉植物です。

                        ┏━○E. kimberleyana
                    ┏┫
                    ┃┗━○E. lugardiae
                ┏┫
                ┃┗━━○E. schubei
            ┏┫
            ┃┃┏━━○E. guentheri
            ┃┗┫
        ┏┫    ┗━━○E. heteropoda
        ┃┃
        ┃┃┏━━━○E. rhizophora
        ┃┗┫
        ┃    ┗━━━○E. succulenta
        ┃
        ┃        ┏━━▲E. neomontana
    ┏┫    ┏┫
    ┃┃    ┃┗━━▲E. neostolonifera
    ┃┃┏┫
    ┃┃┃┗━━━▲E. neorubella
    ┃┗┫
    ┃    ┃┏━━━▲E. invenusta
    ┃    ┗┫
    ┃        ┗━━━▲E. pseudolaevis
    ┃
┏┫        ┏━━━◎E. pseudostellata
┃┃    ┏┫
┃┃    ┃┗━━━◎E. bisellenbeckii
┃┃┏┫
┃┃┃┗━━━━◎E. neoreflexa
┃┃┃
┃┗┫    ┏━━━◎E. lindenii
┫    ┃┏┫
┃    ┃┃┗━━━◎E. major
┃    ┗┫
┃        ┗━━━━◎E. neovirgata

┃┏━━━━━━■E. pseudotrinervis
┗┫
    ┗━━━━━━■E. sp. 13

②Section Monadenium II
Section Monadenium IIは2つのグループがあるように見えます。◇、●の記号でグループ分けしました。

◇このグループは多肉植物ではない低木が多いようです。旧・モナデニウム属だけではなく、旧・Synadenium属も入ります。
E. bicompacta(=Synadenium compactum)はエチオピア、ケニア、エリトリア、ルワンダ原産の低木です。E. pseudomollis(=Synadenium molle)はケニア、タンザニア原産の低木です。E. umbellata(=Synadenium umbellatum、=Synadenium grantii)はスーダン、ブルンジ、タンザニア原産の低木です。E. neospinescensはトゲのあるコーデックスで、一見してパキポディウムのようです。E. neogossweileri(=Monadenium gossweileri、=Endadenium gossweileri)はアンゴラ原産の低木です。

●このグループはタンザニア原産でトゲのあるグループです。
E. magnifica(=Monadenium magnificum)はタンザニア原産で、トゲのある緑色の幹を持ちます。E. spectabilis(=Monadenium spectabile)はタンザニア原産で、トゲのある緑色の幹を持ちます。E. neococcinea(=Monadenium coccineum)はタンザニア原産で塊根性です。

                ┏━━◇E. bicompacta
            ┏┫
            ┃┗━━◇E. pseudomollis
        ┏┫
        ┃┗━━◇E. umbellata
    ┏┫
    ┃┃┏━━◇E. torrei
    ┃┗┫
┏┫    ┗━━◇E. neospinescens
┃┃
┃┗━━━━◇E. neogossweileri

┃            ┏━●E. neoarborescens 2
┃        ┏┫
┫        ┃┗━●E. magnifica
┃    ┏┫
┃    ┃┗━━●E. neoarborescens 1
┃┏┫
┃┃┗━━━●E. spectabilis
┗┫
    ┗━━━━●E. neococcinea

③Section Monadenium III
E. neogracilis(=Monadenium gracile)はタンザニア原産で塊根性です。

Section Monadeniumは以上です。しかし、ユーフォルビア属は多様ですが、モナデニウムはSection Monadenium内でも様々な姿をとります。大変面白いグループです。
さて、明日はついにSection Euphorbiaです。本論文はSection Euphorbiaを中心に調べていますから、割と種数が多くなっています。




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2013年に発表された『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文の紹介です。昨日はOld World Clade IIのSection Goniostemaについて解説しました。本日はSection Denisophorbia、Section Deuterocalli、Section Rubellaeについてです。Section DenisophorbiaとSection Deuterocalliは花キリン類Section Goniostemaから出てきたグループですが、Section RubellaeはOld World Clade II全体の根元にあるグループです。

ユーフォルビア属の分子系統
┏━━━━━━Subgenus Esula

┫┏━━━━━Subgenus Rhizanthium
┃┃
┃┃┏━━━━Subgenus Chamaesyce
┗┫┃
    ┃┃    ┏━━Pacific Clade
    ┗┫┏┫
        ┃┃┗━━New World Clade
        ┗┫
            ┃┏━━Old World Clade I
            ┗┫
                ┃┏━★Old World Clade II①
                ┗┫
                    ┗━Old World Clade II②

Old World Clade IIの分子系統
    ┏━━━━━Old World Clade II②
    ┃
    ┃            ┏━★Section Denisophorbia
    ┃        ┏┫ 
┏┫        ┃┗━★Section Deuterocalli
┃┃    ┏┫
┃┃┏┫┗━━Section Goniostema I
┃┃┃┃
┫┗┫┗━━━Section Goniostema II
┃    ┃
┃    ┗━━━━Section Goniostema III

┗━━━━━━★Section Rubellae

Old World Clade II①
①Section Denisophorbia
②Section Deuterocalli
・Section Denisophorbia
E. hedyotoidesは太い塊根から細いトゲのない枝を伸ばします。葉は細長い。あとは、すべて未記載種のようです。

・Section Deuterocalli
Section Deuterocalliは緑色の棒状の多肉質な枝を伸ばすタイプで、この論文ではE. famatamboay、E. alluaudii、E. cedrorumを調べています。
今回、論文を読みながら色々調べたのですが、ユーフォルビア属はSection Deuterocalliのようなタイプの多肉植物が、あちこちのグループで現れるということです。以前、私はE. alluaudiiなどのマダガスカル原産の種とE. phosphorea(夜光キリン)のような南米原産の種は形状は似ていても分布が異なり、また外見的特徴も異なるように見えましたから、別グループなのではないかと考察しましたが、どうやら正解だったようです。E. phosphoreaはNew World Cladeですから、Old World Clade IIのE. alluaudiiとはまったく近縁ではありません。
さらに、どちらかと言えばSection Deuterocalliによく似た同じマダガスカル原産のE. tirucalli(ミルクブッシュ)はOld World Clade Iですから、やはりそれほど近縁ではありませんでした。私は近縁と考えていましたが、どうも他人のそら似だったようです。他にも、あちこちのグループで類似の形態が見受けられます。これは、ユーフォルビア属が多肉植物化するときに、進化しやすい方向性なのでしょう。


            ┏━E. sp. 14
        ┏┫
    ┏┫┗━E. sp. 11
    ┃┃
    ┃┗━━E. hedyotoides
┏┫
┃┃    ┏━E. sp. 9
┃┃┏┫
┃┗┫┗━E. sp. 10
┃    ┃
┫    ┗━E. sp. 8

┃    ┏━E. famatamboay
┃┏┫
┗┫┗━E. alluaudii
    ┃
    ┗━━E. cedrorum

③Section Rubellae
Section Rubellaeは、E. rubellaとE. brunelliiを調べています。E. rubellaやE. brunelliiは太い塊根からトゲのない短い枝が出ます。葉は頂点にのみつきます。E. rubellaはエチオピア原産で、E. brunelliiはエチオピア、ケニア、スーダン、ウガンダ原産です。

本日はここまでです。明日はSection Monadeniumについて解説させていただきます。



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2013年に発表された『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文の紹介です。昨日はOld World Clade Iについて解説しました。本日はOld World Clade IIについて解説しますが、論文で扱われている種類が多いため分割します。本日はSection Goniostemaについてです。Section Goniostemaとは、いわゆる花キリンの仲間です。

ユーフォルビア属の分子系統
┏━━━━━━Subgenus Esula

┫┏━━━━━Subgenus Rhizanthium
┃┃
┃┃┏━━━━Subgenus Chamaesyce
┗┫┃
    ┃┃    ┏━━Pacific Clade
    ┗┫┏┫
        ┃┃┗━━New World Clade
        ┗┫
            ┃┏━━Old World Clade I
            ┗┫
                ┃┏━★Old World Clade II①
                ┗┫
                    ┗━Old World Clade II②


Old World Clade IIの分子系統
    ┏━━━━━Old World Clade II②
    ┃
    ┃            ┏━Section Denisophorbia
    ┃        ┏┫ 
┏┫        ┃┗━Section Deuterocalli
┃┃    ┏┫
┃┃┏┫┗━━★Section Goniostema I
┃┃┃┃
┫┗┫┗━━━★Section Goniostema II
┃    ┃
┃    ┗━━━━★Section Goniostema III

┗━━━━━━Section Rubellae

Old World Clade II①
Section Goniostemaは花キリンの仲間です。花を観賞するために販売される花キリンE. milii系の品種はよく見かけますが、他の花キリンの仲間である噴火竜E. viguieriや筒葉チビ花キリンE. cylindrifoliaとの関係はどうなっているのか以前から気になっていました。

①Section Goniostema I
・E. viguieri系
E. viguieriは他の花キリン類とは離れた位置にあります。E. viguieriは「噴火竜」と呼ばれ、強いトゲがあり大きな葉は頂点にのみつきます。一見似ているE. neohumbertiiや
E. caproniiとは、それほど近縁ではありません。

・E. milii系
E. milii系の枝は、8種類が調べられました。E. miliiとよく似たE. lophogonaは、見た目通りE. miliiに近縁です。E. miliiは「花キリン」、E. lophogonaは「摩利支天」と呼ばれます。ともに、目立つ花を咲かせます。lophogonaのトゲは弱く突起物のようなものです。E. croizatiiはE. milii系の花を咲かせますが、トゲは非常に強いようです。E. didiereoidesはトゲは強く見た目はE. milii系ですが、花は小さく集合しややE. viguieriのようです。E. pedilanthoidesは塊根性でトゲのある細い枝からやや細長い葉を出します。花は小さくあまり開かないので、E. viguieriによく似ています。E. caproniiは一見してE. viguieriに似た強いトゲと大きな葉を持ちますが、枝は長く伸びてよく分岐します。花は集合しますが、苞はE. miliiほどではありませんが開いてやや目立ちます。E. horombensisは一見してE. miliiを大型にしたような姿です。苞も丸みがありよく目立ちます。

※ちなみに、"aff." という表記が見られますが、これは「特定の種あるいは亜種に類似するが、重要な分類形質の一部が明らかに一致しないことから、未記載種の可能性が高い場合に属名と種小名の間に挿入する用語」とのことです。今回は私に"aff."を判定する能力がないため、"aff."がついた種の解説は割愛させていただきます。

・E. tulearensis系
系統の根元にあるE. beharensisは塊根性で、トゲのある枝を長く伸ばします。かなり特殊な葉の出し方をします。E. tulearensisは塊根性でトゲはなく、縮れた葉を持ちます。E. ambovombensisやE. decaryiによく似ていますが、系統的には姉妹群ではあるものの、意外にも同じ枝に乗っていません。E. rossiiはトゲのある枝から非常に細長い葉を出します。苞は大きく目立ち、一見してE. milii系に見えますが、E. tulearensisに近縁です。E. capsaintemariensisは塊根性で、縮れた葉を出します。

・E. cylindrifolia系
E. cylindrifolia系は塊根性でトゲはありません。E. cylindrifolia以外は葉が縮れます。


        ┏━━━━━━━━Section Denisophorbia
    ┏┫
    ┃┗━━━━━━━━Section Deuterocalli
┏┫
┃┗━━━━━━━━━E. viguieri

┃                                ┏━E. aff. retrospina
┃                            ┏┫
┃                            ┃┗━E. horombensis
┃                        ┏┫
┃                        ┃┗━━E. capuronii
┃                    ┏┫
┃                    ┃┗━━━E. sp. 17
┃                ┏┫
┫                ┃┗━━━━E. aff. mahafalensis
┃            ┏┫
┃            ┃┗━━━━━E. pedilanthoides
┃        ┏┫
┃        ┃┗━━━━━━E. didiereoides
┃    ┏┫
┃    ┃┗━━━━━━━E. croizatii
┃┏┫
┃┃┃┏━━━━━━━E. lophogona
┃┃┗┫
┃┃    ┗━━━━━━━E. milii
┃┃
┃┃            ┏━━━━━E. capsaintemariensis 1
┗┫        ┏┫
    ┃        ┃┗━━━━━E. capsaintemariensis 2
    ┃    ┏┫
    ┃    ┃┃┏━━━━━E. rossii
    ┃    ┃┗┫
    ┃┏┫    ┗━━━━━E. tulearensis
    ┃┃┃
    ┃┃┗━━━━━━━E. beharensis
    ┃┃
    ┗┫        ┏━━━━━E. ambovombensis
        ┃    ┏┫
        ┃    ┃┗━━━━━E. decaryi
        ┃┏┫
        ┃┃┗━━━━━━E. cylindrifolia
        ┗┫
            ┗━━━━━━━E. francoisii

②Section Goniostema II
③Section Goniostema III

・Section Goniostema II
Section Goniostema IIはトゲのない群です。E. geroldiiは「トゲナシハナキリン」と呼ばれ、E. milii以上に丸みがある目立つ苞があります。E. alfrediiは太い幹から大きな葉を出します。

・Section Goniostema III
Section Goniostema IIIは太い幹に強いトゲがあり、葉は頂点にのみつきます。E. neohumbertiiは「噴炎竜」と呼ばれ、E. viguieriと対のように見られますが、それほど近縁ではありません。E. iharanaeはE. neohumbertiiによく似ています。


            ┏━Section Denisophorbia
        ┏┫
        ┃┗━Section Deuterocalli
    ┏┫
    ┃┗━━Section Goniostema①
┏┫
┃┃┏━━E. geroldii
┃┗┫
┃    ┗━━E. alfredii

┃    ┏━━E. neohumbertii 1
┃┏┫
┃┃┗━━E. neohumbertii 2
┗┫
    ┗━━━E. iharanae

そういえば、Euphorbia guillauminhanaはこの論文では調べていないようですが、花の形状や枝振りからすると、おそらくはE. miliiに近いのでしょう。また、地ムグリ花キリンE. primulifoliaの仲間はどうでしょうか? まだわからない部分があります。Section Goniostemaについて、詳細を調べた論文があるかもしれませんから、そのうち調べてみようかと思います。
明日はOld World Clade IIの内、Section MonadeniumとSection Euphorbia以外のその他のグループについて解説します。



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2013年に発表された『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文の紹介です。昨日はPacific CladeとNew World Cladeについて解説しました。本日はOld World Clade Iについて解説します。ちなみに、Old World Clade Iはマダガスカル原産で、幹が棒状の多肉植物であるSection Tirucalli、未記載種が多く低木のSection Pervilleanae、他にSection Pachysanthaeからなります。

ユーフォルビア属の分子系統
┏━━━━━━Subgenus. Esula

┫┏━━━━━Subgenus. Rhizanthium
┃┃
┃┃┏━━━━Subgenus. Chamaesyce
┗┫┃
    ┃┃    ┏━━Pacific Clade
    ┗┫┏┫
        ┃┃┗━━New World Clade
        ┗┫
            ┃┏━━★Old World Clade I
            ┗┫
                ┃┏━Old World Clade II①
                ┗┫
                    ┗━Old World Clade II②

Old World Clade I
Old World Clade Iはすべてマダガスカル原産です。

    ┏━Section Tirucalli
┏┫
┫┗━Section Pervilleanae

┗━━Section Pachysanthae

①Section Pachysanthae
Section PachysanthaeはSection TirucalliやSection Pervilleanaeの根元にある分類群です。
E. mandraviokyは木本で幹は太りコーデックスのようになります。


②Section Pervilleanae
未記載種が多いようです。E. intisyは茎は棒状の多肉植物ですが、それ以外の種は樹木で光沢のある葉を持ち、一見してユーフォルビアに見えません。

                ┏━E. sp. 12
            ┏┫
            ┃┗━E. sp. 6
        ┏┫
        ┃┗━━E. sp. 5
    ┏┫
    ┃┃┏━━E. sp. 3
    ┃┗┫
    ┃    ┗━━E. sp. 4
┏┫
┃┃    ┏━━E. sp. 2
┃┃┏┫
┃┗┫┗━━E. randrianjohanyi
┃    ┃
┃    ┗━━━E. tetraptera

┃        ┏━━E. sp. 7
┃    ┏┫
┃    ┃┗━━E. pervilleana
┃┏┫
┗┫┗━━━E. rauhii
    ┃
    ┗━━━━E. intisy

③Section Tirucalli
Section Tirucalliは基本的に多肉質の棒状の植物です。E. tirucalli(ミルクブッシュ、緑サンゴ)、E. xylophylloides(硬葉キリン、ヘラサンゴ)、E. stenoclada(トナカイ角)など有名種は入手しやすい種類です。
E. arahakaは4つの株を見ていますが、E. arahaka 4はやや遺伝的に離れています。それ以外にも、全体的に分離が甘いように見えます。


                            ┏━E. arahaka 4
                        ┏┫
                        ┃┗━E. kamponii
                    ┏┫
                    ┃┗━━E. stenoclada 1
                ┏┫
                ┃┗━━━E. tirucalli
            ┏┫
            ┃┗━━━━E. decorsei
            ┃
            ┃            ┏━E. enterophora 2
            ┃        ┏┫
            ┃        ┃┗━E. arahaka 3
        ┏┫    ┏┫
        ┃┃    ┃┗━━E. arahaka 1
        ┃┃┏┫
        ┃┃┃┗━━━E. arahaka 2
    ┏┫┗┫
    ┃┃    ┗━━━━E. xylophylloides 2
    ┃┃
    ┃┃┏━━━━━E. xylophylloides 1
    ┃┗┫
┏┫    ┗━━━━━E. enterophora 1
┃┃
┃┃    ┏━━━━━E. fiherenensis 1
┃┃┏┫
┃┃┃┗━━━━━E. fiherenensis 2
┃┗┫
┫    ┗━━━━━━E. stenoclada 2

┃        ┏━━━━━E. arbuscula
┃    ┏┫
┃    ┃┗━━━━━E. damarana
┃┏┫
┃┃┗━━━━━━E. dhofarensis
┗┫
    ┗━━━━━━━E. gummifera

ユーフォルビア属の分類体系は、まだまだ続きます。明日はOld World Clade IIのSection Goniostemaについてです。いわゆる花キリンの仲間となります。



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2013年に発表された『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文の紹介です。昨日はSubgenus. Esula、Subgenus. Rhizanthium、Subgenus. Chamaesyceについて解説しました。本日はPacific CladeとNew World Cladeについて解説します。ちなみに、Pacific Clade(太平洋分岐群)はオセアニアを中心とした島嶼部に、New World Clade(新世界分岐群)はアメリカ大陸の原産です。

ユーフォルビア属の分子系統
┏━━━━━━Subgenus. Esula

┫┏━━━━━Subgenus. Rhizanthium
┃┃
┃┃┏━━━━Subgenus. Chamaesyce
┗┫┃
    ┃┃    ┏━━★Pacific Clade
    ┗┫┏┫
        ┃┃┗━━★New World Clade
        ┗┫
            ┃┏━━Old World Clade I
            ┗┫
                ┃┏━Old World Clade II①
                ┗┫
                    ┗━Old World Clade II②

Pacific Clade
Section Pacificae
Pacific Cladeはオーストラリアからハワイに12種類が分布します。Pacific CladeはNew World Cladeの根元にありますから、Pacific Cladeの分布する太平洋の島嶼部からアメリカ大陸へ分布を拡げたことが推測されます。


この論文で解析されたPacific Cladeは5種類です。
・E. haeleeleanaはハワイ原産で、高さ13mに達する木本です。
・E. boophthonaはオーストラリア原産で、立ち上がりやや多肉質の茎を持ちます。
・E. plumerioidesはビスマルク諸島、フィジー、ジャワ、小スンダ諸島、ニューギニア、フィリピン、クイーンズランド、ソロモン諸島、スラウェシ、オーストラリアと広く分布します。細い木質の茎からプルメリアに似た葉を出します。
・E. steveniiはオーストラリア原産で、やや立ち上がり分岐する多肉質の茎に小さな葉を持ちます。
・E. sarcostemmoidesはオーストラリア原産で、叢生してやや多肉質な茎を持ちます。


            ┏━E. haeleeleana
        ┏┫
        ┃┗━E. boophthona
    ┏┫
    ┃┗━━E. plumerioides
┏┫
┃┗━━━E. stevenii

┗━━━━E. sarcostemmoides

New World Clade
New World Cladeはアメリカ大陸産のユーフォルビアです。遺伝子解析の結果では種の分離能があまり良くないということですが、これはNew World Cladeが短期間に進化した可能性を示しています。
New World Cladeはあまり有名な種類は少なく、Section Brasiliensesの夜光キリンなど、流通しているのは極一部です。

                        ┏━Section Brasilienses
                    ┏┫
                    ┃┗━Section Stachydium
                ┏┫
                ┃┗━━Section Crepidaria
                ┃
            ┏┫┏━━Section Nummulariopsis
            ┃┗┫
        ┏┫    ┗━━Section Portulacastrum
        ┃┃
        ┃┗━━━━Section Calyculatae
    ┏┫
    ┃┃    ┏━━━Section Euphorbiastrum
    ┃┃┏┫
    ┃┗┫┗━━━Section Mesophyllae
┏┫    ┃
┃┃    ┗━━━━Section Lactifluae
┃┃
┫┃┏━━━━━Section Cubanthus
┃┗┫
┃    ┗━━━━━Section Tanquahuete

┗━━━━━━━Pacific Clade

①Section Brasilienses
Section BrasiliensesとSection Stachydiumは近縁で、ともに中米・南米に分布します。しかし、Section Stachydiumは草本ですが、Section Brasiliensesは多肉植物です。
E. attastomaとE. phosphoreaの分離が出来ていません。急激に分化した場合など解析の精度が落ちる可能性もあります。ただし、隠蔽種と言って外見上では同じでも、遺伝的には差がある場合もありますから、さらなる詳細な研究が望まれます。

・E. attastomaはブラジル原産で、棒状の多肉植物。
・E. phosphoreaは「夜光キリン」と呼ばれ、現在地では菌の作用で発光すると言われます。ブラジル原産で棒状の多肉植物。
・E. sipolisiiはブラジル原産で、棒状の多肉植物です。枝は角ばる。


                ┏━E. attastoma1
            ┏┫
            ┃┗━E. phosphorea1
        ┏┫
        ┃┗━━E. sipolisii
    ┏┫
    ┃┃┏━━E. phosphorea2
    ┃┗┫
┏┫    ┗━━E. attastoma2
┃┃
┫┗━━━━Section Stachydium

┗━━━━━Section Crepidaria

②Section Stachydium
Section Brasiliensesと姉妹群を形成し、ともに中・南米原産です。基本的に草本で、多肉植物ではありません。

・E. heterodoxaはブラジル原産の草本。
・E. lagunillarumはブラジル原産の草本。
・E. comosaはアルゼンチン、ブラジル、コロンビア、ベネズエラ原産の草本。


    ┏━━━Section Brasilienses
    ┃        
┏┫    ┏━E. heterodoxa
┃┃┏┫
┃┗┫┗━E. lagunillarum
┫    ┃
┃    ┗━━E. comosa

┗━━━━Section Crepidaria

③Section Crepidaria
Section Crepidariaは基本的に北米原産で、木本が多いのですが、一部多肉質となるものもあります。多肉質の茎を持つ種は、あまり高度に多肉化せずにブッシュ状となります。

・E. cymbiferaはメキシコ原産の棒状の多肉植物です。
・E. lomeliiはメキシコ原産の棒状の多肉植物です。
・E. bracteataはメキシコ原産の多肉植物です。
・E. calcarataはメキシコ原産の木本です。
・E. finkiiはメキシコ原産ですが、情報がありません。
・E. personataはコスタリカ、ホンジュラス、メキシコ、ニカラグア原産で、細長い棒状の植物です。論文では"Pencil-stem"と表現されています。
・E. tithymaloidesはフロリダ、メキシコから熱帯アメリカの原産で、2m前後の低木です。庭木として植栽されます。


    ┏━━━━━Section Brasilienses
┏┫
┃┗━━━━━Section Stachydium

┃                ┏━E. cymbifera
┃            ┏┫
┃            ┃┗━E. lomelii
┃        ┏┫
┫        ┃┗━━E. bracteata
┃    ┏┫
┃    ┃┃┏━━E. colligata
┃    ┃┗┫
┃┏┫    ┗━━E. calcarata
┃┃┃
┗┫┗━━━━E. finkii
    ┃
    ┃┏━━━━E. personata
    ┗┫
        ┗━━━━E. tithymaloides

④Section Nummulariopsis
⑤Section Portulacastrum
⑥Section Calyculatae

Section Nummulariopsisは分岐の基部は北米原産ですが、その大半が中・南米原産です。基本的に草本のようです。Section PortulacastrumはここではE. germainiiのみですが、中・南米原産の草本です。Section CalyculataeはここではE. xylopodaとE. calyculataを解析していますが、北米原産の木本です。
Section Calyculataeが分岐の基部にありますから、北米から分化が始まったような気もします。しかし、分布を拡大しながら種分化した場合、元の地域で絶滅が起きた可能性もあります。そうなると、群のもともとの起源地域はわからないということになります。Section Nummulariopsisの起源地域は北米で中・南米へ分布を拡大したように思えます。しかし、Section Portulacastrumは中・南米原産ですから難しいところです。あるいはアメリカ大陸を縦横無尽に南北に分布を拡大してきたのかもしれません。


Section Nummulariopsis
・E. caespitosaはアルゼンチン、ウルグアイ原産の草本。
・E. portulacoidesはアルゼンチン、ボリビア、チリ、ウルグアイ原産の草本です。
・E. elquiensisはチリ原産。
・E. elodesはブラジル原産の草本です。
・E. peperomioidesはブラジル原産の草本です。
・E. thinophilaはチリ原産の塊根性植物です。
・E. papillosaはアルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ原産の草本です。
・E. telephioidesはフロリダ原産の草本です。
・E. rosescensはフロリダ原産の草本です。

Section Portulacastrum
・E. germainiiはチリ原産。一見してスベリヒユPortulaca様の多肉質の草本。

Section Calyculatae
・E. calyculataはメキシコ原産の木本。
・E. xylopodaはメキシコ原産の木本。


            ┏Section Brasilienses
        ┏┫
        ┃┗Section Stachydium
    ┏┫
    ┃┗Section Crepidaria
    ┃
    ┃                                    ┏━E. caespitosa
    ┃                                ┏┫
    ┃                                ┃┗━E. portulacoides 1
    ┃                            ┏┫
    ┃                            ┃┗━━E. portulacoides 2
    ┃                        ┏┫
    ┃                        ┃┗━━━E. portulacoides 4
    ┃                        ┃
    ┃                    ┏┫    ┏━━E. portulacoides 3
    ┃                    ┃┃┏┫
    ┃                    ┃┗┫┗━━E. sp. 1
    ┃                    ┃    ┃
    ┃                ┏┫    ┗━━━E. elquiensis
    ┃                ┃┃
    ┃                ┃┃┏━━━━E. elodes
    ┃            ┏┫┗┫
    ┃            ┃┃    ┗━━━━E. peperomioides
    ┃            ┃┃
    ┃        ┏┫┗━━━━━━E. thinophila
    ┃        ┃┃
    ┃    ┏┫┗━━━━━━━E. papillosa
┏┫    ┃┃
┃┃┏┫┗━━━━━━━━E. telephioides
┃┃┃┃
┃┗┫┗━━━━━━━━━E. rosescens
┃    ┃
┫    ┗━━━━━━━━━━E. germainii
┃                  (Section Portulacastrum)

┃┏━━━━━━━━━━━E. xylopoda
┃┃              (Section Calyculatae)
┗┫
    ┗━━━━━━━━━━━E. calyculata
                      (Section Calyculatae)

⑦Section Euphorbiastrum
⑧Section Mesophyllae
⑨Section Lactifluae

Section Euphorbiastrum、Section Mesophyllae、Section Lactifluaeは近縁です。基本的に中・南米原産で低木が多いようです。

Section Euphorbiastrum
・E. pteroneuraはメキシコからグアテマラ原産で、「破魔の矢」あるいは「旋風キリン」と呼ばれています。幹は棒状で分岐する多肉植物です。
・E. hoffmannianaはコスタリカ原産の木本?です。
・E. dussiiはカリブ海のウィンドワード諸島原産。
・E. weberbaueriはエクアドル、ペルー原産の、分岐する棒状の多肉植物。
・E. laurifoliaはコロンビア、ボリビアのアンデス山脈原産の木本です。

Section Mesophyllae
・E. sinclairianaはボリビア、ブラジル、ケイマン諸島、コロンビア、コスタリカ、キューバ、ドミニカ共和国、エクアドル、ハイチ、ホンジュラス、ジャマイカ、メキシコ、プエルトリコ原産の木本?

Section Lactifluae
・E. lactifluaeはチリ原産の灌木。



                         ┏━E. pteroneura
                     ┏┫
                     ┃┗━E. hoffmanniana
                 ┏┫
                 ┃┗━━E. dussii
             ┏┫
             ┃┗━━━E. weberbaueri
         ┏┫
         ┃┗━━━━E. cestrifolia
     ┏┫
     ┃┗━━━━━E. laurifolia
┏ ┫
┃ ┗━━━━━━E. sinclairiana

┗━━━━━━━E. lactiflua

⑩Section Cubanthus
⑪Section Tanquahuete

Section Cubanthusはカリブ海地域の島嶼部に分布します。Section Tanquahueteは北米原産ですが、Section Cubanthusとは木本であることは共通します。

Section Cubanthus
・E. umbelliformisはキューバ、ドミニカ共和国、ハイチ原産。
・E. gymnonotaはバハマ原産の木本。
・E. puniceaはジャマイカ原産の木本。「ジャマイカ・ポインセチア」の名前で知られる。
・E. cubensisはキューバ原産。
・E. podocarpifoliaはキューバ原産の木本。赤い目立つ花を咲かせる。
・E. helenaeはキューバ原産の木本。赤い目立つ花を咲かせる。
・E. muniziiはキューバ原産。

Section Tanquahuete
・E. tanquahueteはメキシコ原産の、高さ10mになる。


            ┏━E. umbelliformis
        ┏┫
        ┃┗━E. gymnonota
    ┏┫
    ┃┃┏━E. punicea
    ┃┗┫
    ┃    ┗━E. cubensis
┏┫
┃┃    ┏━E. podocarpifolia
┃┃┏┫
┃┗┫┗━E. helenae
┫    ┃
┃    ┗━━E. munizii

┗━━━━E. tanquahuete

明日は、続けてOld World Clade Iについて解説します。


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いまいち人気はありませんが、私はユーフォルビアが好きでチマチマ集めています。しかし、ユーフォルビアは非常に多様で、一見して同じユーフォルビアに見えない種類が含まれています。ユーフォルビアとはどのような植物なのでしょうか?

ユーフォルビアは日本にも生えている雑草だったり、メキシコのポインセチア、南米では大木、アフリカではサボテンの様な多肉植物、マダガスカルの花キリン、ヨーロッパの観賞用のカラーリーフ、もちろんアジアやオーストラリアにも自生しています。つまりは世界中に広く分布しています。
そして、その生態も様々です。ユーフォルビアは乾燥地に生えるものが多いのですが、アジアやヨーロッパに自生するものは多肉植物ではなくその多くは草本です。乾燥に対応して水分を蓄えるために多肉質になった種でも、サボテンのように茎が太ったものだけではなく、塊根が発達したもの、塊根からサボテンのような多肉質の茎を伸ばすものもあります。とにかく、ユーフォルビアはあらゆる可能性を追及した様な植物です。
考えて見ると、例えばサボテンも様々な形態です。木のようなモクキリン、森林サボテン、ウチワサボテン、ハシラサボテン、さらにはAstrophytum caput-medusaeやAriocarpusの様な特殊化したものもあります。しかし、これらは同じサボテン科ですが、所属する属は別々です。しかも、ハシラサボテンと言っても沢山の属にわかれています。では、ユーフォルビアと言えば、なんと1属、ユーフォルビア属だけで成立しているのです。形がどれだけ異なっても、やはりユーフォルビア属の一部です。とても不思議に思います。
ただし、ユーフォルビア属はCyathiumという特徴的なカップ状の花が共通します。この構造は発生学的には花と花序の中間と見なされるそうです。難しいのは、この花の構造とユーフォルビア属内の分類がうまくリンクせず、曖昧であるということです。


私は最近、多肉植物の論文を探して紹介する記事を書いています。そこで、ユーフォルビアについても論文を探してみました。しかし、ユーフォルビア属は巨大な分類群で、しかも世界中に分布し形態も様々なので、調べると沢山の論文がヒットします。あまりに多いので、逆に目当ての内容の論文を探すのに難儀する位です。
そんなこんなで見つけたのが、2013年に発表された『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文です。この論文を紹介しますが、なんと言っても約2000種を含むと言われるユーフォルビア属そのものを解析したものですから、その内容も盛りだくさんです。とてもではないですが、一つの記事に収まらりません。というわけですので、いくつかに分割して記事にしようかと思います。

ついでに述べておきますが、以前「ユーフォルビア属の分類」と称して、3つの記事を書いたことがあります。しかし、この記事はNCBI(アメリカ国立生物工学情報センター)のTaxonomy browserに集積されたデータを吸いだしただけで、特に根拠を示しておりませんでした。ですから、その根拠を示すとともに、私の解説も適宜しながら進めさせていただきます。


さて、まずは序文ではこの論文がユーフォルビア661種を調べたものであること、核リボソームの遺伝子であるITSと葉緑体の遺伝子であるmatK、ndhFを解析したことが述べられております。本論から外れるので、テクニカルな話は割愛させていただきます。ここでは、とりあえず見取図的な大まかな分子系統をお示しします。本日は、Subgenus. Esula、Subgenus. Rhizanthium、Subgenus. Chamaesyceを解説します。

┏━━━━━━★Subgenus. Esula

┫┏━━━━━★Subgenus. Rhizanthium
┃┃
┃┃┏━━━━★Subgenus. Chamaesyce
┗┫┃
    ┃┃    ┏━━Pacific Clade
    ┗┫┏┫
        ┃┃┗━━New World Clade
        ┗┫
            ┃┏━━Old World Clade I
            ┗┫
                ┃┏━Old World Clade II①
                ┗┫
                    ┗━Old World Clade II②


エスラ亜属 Subgenus. Esula
エスラ亜属は約480種を含みます。

ユーフォルビアとは日本語でトウダイグサと呼びます。つまりは、ユーフォルビア属=トウダイグサ属なのです。この、トウダイグサは「灯台草」ではなくて「燈台草」です。この場合の「燈台」とは、背の高い台に油を注いだ皿を置いて、明かりを灯す器具のことを示します。時代劇でよく見かけるやつです。このトウダイグサの命名のきっかけは、トウダイグサE. helioscopiaから来ています。トウダイグサは本州以南の日当たりの良い荒れ地や畑地に生える二年草です。椀状の苞葉から黄色い花が出る形状を燈台に見立てているということです。トウダイグサ属の命名に関わる「トウダイグサ」はエスラ亜属に属します。

そういえば、最近園芸店で良く見かける草花として販売されるユーフォルビアは大抵エスラ亜属です。栽培されるのは主にヨーロッパ原産種で、花壇に植栽される花、あるいはカラーリーフで、多肉植物ではありません。有名な種類は、E. cyparissias、E. polychroma、E. myrsinites、E. amygdaloides、E. characiasなどがあります。

この論文では、4種類のエスラ亜属を解析しています。ずいぶん数が少ないのですが、これは各分類群の位置関係を調べるためですから、仕方がないことです。また、エスラ亜属はまとまりのある分類群ですから、沢山調べる必要性はないのかもしれません。
簡単に種の解説をします。
・E. orthocladeはマダガスカルの草本?のようですが、詳細はよくわかりません。
・E. aphyllaは「糸キリン」の名前で知られる棒状の茎を持つ多肉植物で、カナリア諸島原産です。海岸にも生えることから、耐塩性があります。
・E. helioscopiaは燈台草のことです。雑草。
・E. hirsutaは地中海沿岸に生える草本です。地中海沿岸とは必ずしもヨーロッパだけを示すわけではありませんから、トルコや北アフリカにも広く分布します。

        ┏━E. orthoclade
    ┏┫
┏┫┗━E. aphylla
┃┃
┫┗━━E. helioscopia

┗━━━E. hirsuta

リザンチウム亜属 Subgenus. Rhizanthium
リザンチウム亜属は、園芸店でお馴染みの多肉ユーフォルビアを沢山含んでいます。ホリダ、オベサ、タコものとも呼ばれるMedusoid、その他コーデックスもあります。約200種類あると言われています。この論文ではたった4種類を調べただけですから、今後リザンチウム亜属の詳細を調べた論文をもし見つけたら今後記事にしたいと思います。

代表的な種は、サボテンに似たホリダE. polygona var. horrida、勇猛閣E. ferox、紅彩閣E. heptagona、オベサE. obesa、バリタE. meloformis subsp. valida、笹蟹丸E. pulvinata、瑠璃晃E. susannaeなど、あるいはタコものとも言われる孔雀丸E. flanaganii、闘牛角E. schoenlandii、閻魔キリンE. esculenta、荒天竜E. caput-medusae、E. deceptaなど、さらにはコーデックスの鉄甲丸E. bupleurifolia、E. tricadenia、E. silenifolia、鬼笑いE. ecklonii、鬼縮E. tuberosaなどが知られています。他にも玉鱗宝E. globosa、式部E. clava、逆鱗竜E. clandestina、昭和キリンE. bubalina、鬼棲木E. hamata、柳葉キリンE. monteiroi、E. loricata、E. multifolia、E. gariepina、E. lignosa、E. cuaneta、E. bongensis、E. longituberculosa、E. balsamifera、E. socotrana、E. platycephalaがあります。

この論文で扱われたリザンチウム亜属は4種類です。簡単に種の解説をします。
・E. gariepinaは「鬼ヶ島」と呼ばれることもある、アンゴラやナミビア、南アフリカ原産の叢生する多肉植物です。
・E. bongensisは南スーダンからザンビア原産の塊根性の多肉植物です。
・E. hadramauticaはアラビア半島南部、エチオピア、ソマリア原産の、棍棒状の幹から縮れた葉を出す多肉植物です。
・E. horridaは南アフリカ原産のサボテンのような多肉植物です。ホリダは現在ではE. polygona var. horridaとされています。

        ┏━E. gariepina
    ┏┫
    ┃┗━E. bongensis
┏┫
┫┗━━E. hadramautica

┗━━━E. horrida

カマエシケ亜属 Subgenus. Chamaesyce
カマエシケ亜属は約600種を含みます。ニシキソウの仲間で世界中に自生します。日本ではコニシキソウE. maculataやその近縁種が雑草として良く見られますが、ポインセチアE. pulcherrimaもカマエシケ亜属です。他にはカラーリーフとして栽培されるE. cotinifolia、花壇に植えられるハツユキソウE. marginataが有名です。

この論文で扱われたカマエシケ亜属は7種類です。簡単に種の解説をします。
・E. tannensisはオーストラリアやニューカレドニア、バヌアツ原産です。詳細は不明。
・E. planticolaはオーストラリア原産詳細は不明。
・E. aequorisは南アフリカ原産で、叢生して分岐する棒状の多肉植物です。
・E. spineaは「魔針殿」とも呼ばれる南アフリカとナミビア原産の多肉植物で、叢生して先端が尖ります。
・E. cotinifoliaはメキシコから熱帯アメリカ原産で、観葉植物として育てられる低木。多肉植物ではありません。
・E. guiengolaはメキシコ原産で、花を目的に栽培されます。茎はやや多肉質かもしれません。
・E. plagianthaはマダガスカル原産の木本。松のような細長い葉を伸ばします。

        ┏━E. tannensis
    ┏┫
    ┃┗━E. planticola
┏┫
┃┃┏━E. aequoris
┃┗┫
┫    ┗━E. spinea

┃    ┏━E. cotinifolia
┃┏┫
┗┫┗━E. guiengola
    ┃
    ┗━━E. plagiantha

本日はここまでです。明日はPacific CladeとNew World Cladeを解説します。


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人は見たいものしか見ないとは、なるほど上手いことを言ったものです。私は割とアクティブに園芸店を巡ってきましたが、今まであまりダシリリオンを目にしたことはありませんでした。しかしある時、園芸店の入荷情報をチェックしていたら、ダシリリオンが入荷したというお知らせがありました。調べて見ると中々面白い植物のようです。早速、購入しましたが、それから1年と立たずにダシリリオンをさらに2種類見かけて購入するに至りました。ここでふと思ったわけです。今まで行った園芸店で、本当にダシリリオンは売っていなかったのだろうかと。興味のある多肉植物はそれなりに詳しく目がいきますが、知らない多肉植物は目に入っても素通りしていただけなのではないかと。一度、ダシリリオンに興味を持ち入手していますから、私のダシリリオンに対する感度が上がっただけかもしれません。見ているがその実は見えていなかった、そんな気がして少し気恥ずかしくなります。

DSC_1691
Dasylirion longissimum名義のダシリリオン。
シマムラ園芸で購入。

DSC_1695
Dasylirion quadrangulatum名義のダシリリオン。
五反田TOCのビッグバザールで購入。Ruchiaさんの販売している実生苗。
ともに、古い葉が少し枯れ混んだので、まだ小さな内は乾かし過ぎないようにした方がよさそうです。
まだ何者かわからない苗ですが、太い幹を持つコーデックスになります。それまでに何十年かかるかわかりませんが…


ここで気になる情報に気付きました。 国内の販売サイトでM's plantsというアガヴェなどの多肉専門店の解説では、Dasylirion longissimumの名前で販売されているダシリリオンは、実はDasylirion quadrangulatumであるというのです。具体的にはD. longissimumはトゲがあり、D. quadrangulatumにはトゲがないということです。その専門店も種子に記載された名前で販売していますが、こういう風に言われていますよという情報を教えてくれているわけです。
私の所有するダシリリオンも、間違いなのでしょうか?
しかし、国内ではまったく情報がありません。海外ではどうなのでしょう。

海外の情報を探ってみましたが、日本国内とは異なりこの問題は話題となっているようです。海外でも混乱しているみたいです。というよりも、海外で混乱状態なので、海外の種子を購入している日本国内でも同じ混乱が連鎖的に起きているといった方が正しいようです。
海外の趣味家のフォーラムでは、世界中の多肉植物ファンが盛んにやり取りをしています。そのフォーラムの中で、D. quadrangulatumの葉にはトゲがなく断面は四角形で、D. longissimumの葉にはトゲがあり断面は四角形ではないとしています。また、D. longissimumは灰色がかるという表現をされていますが、これは青白いということでしょう。

そもそも、D. quadrangulatumとD. longissimumはどうやら混同されてきたようです。海外の"LLIFLE"というサイトでは、2001年にColin WalkerがD. longissimumとD. quadrangulatumは同種であるとしたとあります。しかし、別種であるという意見もあり、論争があったようです。今でもD. longissimumとD. quadrangulatumは同種であると書いてあるサイトがあるのは、このことが原因なのでしょう。ただし、それぞれの分布域は重ならないともあります。


また、アリゾナ大学のHPを見ていたら、D. quadrangulatumはトゲがないため、植栽に向くとありました。やはり、ここでも国内の情報とは逆になっています。

"World Flora Online"というサイトでは、それぞれの詳細情報が記述されていました。
まずは、D. quadrangulatumですが、葉の基部はスプーン型で耳状のフラップがあり、葉は80~90cmくらいでトゲはないが、葉縁は細かい鋸歯状とのことです。断面は基部では菱形で先端では正方形です。葉に光沢はないそうです。
対するD. longissimumは、葉の基部はスプーン型ですが耳状のフラップはありません。葉は80~140cmくらいで、葉の基部にはトゲがあり、やはり葉縁には弱い鋸歯があります。葉は時々光沢があるそうです。


情報を色々探っていくと、どうやらその元となった論文があるみたいです。1998年に発表されたのは、アメリカの植物学者であるDavid J BoglerによるThree new species of Dasylirion (Nolinaceae) from Mexico and a clarification of the D. longissimum complex』という論文です。混乱するD. quadrangulatumとD. longissimumを再定義しているらしいのですが、有料の学術雑誌なので内容はまったくわかりません。非常に残念です。しかし、2017年に発表された『La Familia Nolinaceae en el. estado de Nuevo Leon』という論文では、1998年の論文も資料の1つとして参照としながら、D. quadrangulatumとD. longissimumのややこしい事情も解説しています。しかし、この論文はスペイン語で書かれているため、まったく読めませんでした。仕方ないので機械翻訳しましたが、専門用語が多いせいか翻訳がうまく行かなくて割とめちゃくちゃな文章でしたので、解読には大変難儀しました。

ここからは論文の内容を抜粋して紹介します。ただし、論文では色々省略して論旨だけを淡々と書いているせいかわかりにくいので、私が情報を少し足しています。
フランスの植物学者であるCharles Antoine Lemaileは1856年にD. longissimumを命名しましたが、地域情報や標本なしの栽培植物に基づいているらしく、命名に問題があるようです。さらに、アメリカの植物学者であるSereno Watsonは、1879年にD. quadrangulatumを記述しており、これは不思議なことにLemaileのD. longissimumの記述に良く適合します。
イングランドの植物学者であるSir Joseph Dalton Hookerは、1900年にD. longissimumとD. quadrangulatumの両種を認識しており、詳細な説明とイラストを残しています。また、アメリカの植物学者であるWilliam Treleaseは、1911年にD. longissimum Nomen Confusem、つまりは「混同名」を宣言しました。
しかし、アメリカの植物学者であるDavid J Boglerは1994年にD. longissimumは2種類あることを資料と個体群からレビューしました。そこで、D. quadrangulatumを種として復元し、混同名をD. longissimumに宣言して、Querétaro、Hidalgo、San Luis Potosiの個体群を新種のD. treleaseiと命名しました。しかし、1998年にBoglerはD. treleaseiを破棄し、D. longissimumを復元しました。

というわけで、D. longissimumとD. quadrangulatumは別種であり、それぞれの学名は有効なものとなっております。

さて、それでは私の入手個体はどうなのでしょうか? D. longissimum名義でも実際に販売され普及しているのはD. quadrangulatumであるというのは、ヨーロッパ、アメリカ、日本においても実情は同じです。シマムラ園芸で購入したD. longissimumはD. quadrangulatumの可能性が高そうです。輸入種子がそうなっている以上は、そのままの名前で売るならそうなるでしょう。
では、RuchiaさんのD. quadrangulatumは、逆にD. longissimumなのでしょうか? しかし、外見的特徴ではD. longissimumらしさはありません。まだ幼弱な小苗ですから、特徴が出ていない可能性もありますが、現状ではD. quadrangulatumの名札通りな気もします。しかし、そうなるとRuchiaさんはD. quadrangulatumをちゃんと認識出来ていることになります。すごいですね。

しかし、なんと言ってもまだ苗ですから、まだまだこれからです。5年10年と育てて、じっくり観察していきたいと思います。


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パキポディウム・サウンデルシイはモザンビーク、ジンバブエ、南アフリカ、スワジランドに分布するパキポディウム属の一種です。「白馬城」という名前の方が有名かもしれませんが、パキポディウムの中ではあまり流通していない種類です。やはり、パキポディウム属と言えばマダガスカル原産種がメインで、アフリカ大陸産のパキポディウムは人気はいまいちかもしれません。まあ、アフリカ大陸産でも、P. succulentumやP. bispinosumは最近園芸店でも実生苗を見かけるようになってきましたが、白馬城は残念ながら見かけませんね。私は昨年冬に五反田TOCで開催されたビッグバザールで偶然入手しました。別にパキポディウムを買いに行ったわけではないのですが、たまたまパキポディウムの苗が沢山あったのでついつい買ってしまいました。

DSC_1686
細かいトゲが枝に出る

DSC_1687
トゲは2本セットで長く伸びる。

白馬城の学名は1892年に命名されたPachypodium saundersii N.E.Br.です。1973年のにはPachypodium lealii subsp. saundersii (N.E.Br.) G.D.Rowley、つまりレアリイの亜種とする意見もありましたが、現在では認められておりません。ただし、レアリイと白馬城が近縁であることは、遺伝子解析の結果から正しいとされています。

他のアフリカ大陸産のパキポディウムであるP. succulentumやP. bispinosumとはトゲの付きかたが異なり、むしろマダガスカル原産パキポディウムに近く見えます。ただし、他のアフリカ大陸産と枝の出方は似ています。もしかしたら、南アフリカ南部産パキポディウムとマダガスカル原産パキポディウムをつなぐ存在なのかもしれませんね。



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ウンカリナ・ロエオエスリアナはマダガスカル原産の塊根植物で、一般に「ウンカリーナ・ルーズリアナ」の名前で流通しているみたいです。国内でロエオエスリアナはウンカリナ属唯一の普及種となっています。
 
DSC_1681
ロエオエスリアナは最大2mほどになるそうですが、我が家の個体はまだ高さ10cm位の苗です。

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塊根は地下で育ちますが、鉢底に着いてしまうと良くないので長い鉢に植え替えました。

DSC_1683
葉は矢じり型でビロードの様な毛に被われます。

ロエオエスリアナはマダガスカル南西部、Tolanaro地区ToliaraあるいはAnosyの2箇所の極狭い地域に自生します。海抜100~500mの石灰岩地に生える熱帯性の低木です。
生息地は狭い様ですが、観賞用に普及しており、簡単に増やすことが出来ます。種子の発芽率はあまり高くないようですが、種子は容易に得られるとのことです。

ロエオエスリアナは乾燥地の植物ですが、乾かしぎみにして育てると葉が直ぐに落ちてしまいます。乾かさないで、多肉植物として育てない方が良く育ちます。早く育てようと思えば、温かい季節だけ地植えすると良いそうです。冬は寒さに弱いので、抜き取ってそのまま植えないで新聞紙などでくるんで暖かいところに置いておけばいいそうです。私は早く育てたいとは思わないので、鉢栽培でゆっくり育てていきます。

ロエオエスリアナの学名は1996年に命名されたUncarina roeoesliana Rauhです。Rauhは国際的に著名なドイツの生物学者、植物学者、作家のWerner Rauhのことです。Rauhは毎年のようにアフリカや中南米を調査し、マダガスカルの多肉のについての著作があります。

私は"Uncarina roeoesliana"を「ロエオエスリアナ」とラテン語読みしますが、一般には「ルーズリアナ」という名前で流通しています。"roeoesli"はどう考えても「ルーズリ」とは読まないわけで、何やら不思議です。また、"roseoesliana"と誤記されているのを見たことがありますから、そこから「ローゼリアナ」→「ルーズリアナ」と変化した可能性もあります。
ちなみに、実はこの"roeoesliana"は、スイスの植物学者でマダガスカルのパキポディウム属の研究で知られる
Walter Röösliに対する献名です。ですから、この"ösli"を「ルーズリ」と読んだのかもしれません。ただし、この"ö"は"o"とはまったく別のものでOとEの中間、一般には「エー」と発音します。ですから、"ösli"は「レーズリ」が正しいので、人名の発音によるのならば「レーズリアナ」とすべきでしょう。

ここで一つ、基本的にどうでもよくて、かつ大変つまらない話をします。学名の読み方は学者でも色々です。おそらくは学会単位で派閥があり、動物系学会では英語読み、植物系学会ではラテン語読みします。正直なことを言ってしまうと、学名は生物界の情報を収集・整理・分類するためのもので、基本的に書き文字の表記のためのものです。ですから、そもそも読み方の正解はないわけで、その正統性の主張なんてずいぶんと馬鹿らしいと思ってしまいます。
私個人はラテン語読みが好みです。これは、基本的な法則がわかっていれば誰でも読むことが出来るからです。例えば、人名や地名から来ている学名は由来する元々の名前に遡って発音したくなりますが、実際のところは由来がわからなかったり、著名人ならいざ知らずあまり有名ではない学者やアマチュアの発見者に対する献名、18世紀とか古い時代の人名の発音など、発音が不明なケースは非常に多いのです。さらに、アフリカや南米などの地名の読み方、あるいは現地の人の呼び方から来ていたりする場合は、まったく読み方がわからないパターンもあります。ですから、それらを元の意味を考慮せずに読めるラテン語読みは非常に便利です。

さて、最大の問題は英語読みでしょう。英語ではない学名を英語読みするというのは、そもそも意味がわかりませんが、動物系学者は使用しています。しかし、基本的に学会に関係する学者しか読み方がわからない慣習みたいなものですから、英語読みは我々アマチュアには縁のないものです。閉じた学術世界でのみ通じる暗号なので、一般には知る方法もありません。その様なものを我々アマチュアは使う必要性は特にないように思えます。
個人的には、科学とは法則性を見つけ出し、そこから導きだされた原理・原則にのっとるものですから、ただの慣習を科学とは呼ばないのでは?という疑問があります。

しかし、既に述べましたように、学名の読み方なんてどうでもいいことです。各人が読みたいように読めばいいのです。私はラテン語読みしますが、それも所詮はただの好みの問題に過ぎません。もちろん、英語読みが好みならそれも大いに結構。ですから、他人様に対して、ラテン語読みしなさいとは口が裂けても言えません。実はということでもありませんが、園芸店や生産者さんで我々が多肉植物を購入した時に、挿してある名札に学名をカタカナで書いてあったりしますが、ある意味これが一番普及している読み方となります。まあ、別にこれでいい気もしますが。何より普及していますから、他の人に一番通じやすい読み方ですからね。私のように面倒なことをぐちゃぐちゃ考えるのも、大概間抜けな話かもしれません。


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プンゲンスは南アフリカ原産の硬葉系ハウォルチアです。この場合、"pungens"とは「突き刺す」という意味ですが、その名の通り葉の先端は鋭く尖ります。

DSC_1671
硬葉系なので、葉はとても硬い。

DSC_1672
若い時はHaworthiopsis viscosaの様に、積み重なります。生長とともにねじれていきます。

DSC_1673
やがてぐるぐる回りながら、螺旋状に育ちます。
5列あるいは3列といわれますが、この個体は3列が旋回しているようです。


プンゲンスは南アフリカの東ケープ州、LangkloofとJoubertinaのフィンボス(地中海性気候の灌木地帯で、冬に雨が降る)の岩の多い斜面に自生します。
自生地のプンゲンスはよく日を浴びて黄色くなっていますね。葉の先端は赤みを帯びてくるようです。


プンゲンスの学名は、はじめて命名されたのは1999年と、ハウォルチア系では意外と新しく発見された種類みたいです。最初はHaworthia pungens M.B.Bayerとされ、ハウォルチアとされました。2014年にはHaworthiopsis pungens (M.B.Bayer) Boatwr. & J.C.Manningとされました。これが、現在学術的に認められている学名です。ハウォルチオプシス属は2013年の命名されたHaworthiopsis G.D.Rowleyですから、ハウォルチオプシス属が出来てから結構早いですね。
2013年にはTulista pungens (M.B.Bayer) G.D.Rowleyも提唱されましたが、現在認められておりません。




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7月は急激に暑くなり、多肉もダメージを受けたものがちらほらありました。しかし、ダメージを受けたものも致命的ではなかったので、皆さん鋭意回復中です。
8月に入り強光にも慣れたのか、休眠中のもの以外は元気です。暑い中でも育っているのは、夏型をはじめ耐暑性があるのでしょうか?


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ちょうどリコリスが咲き始めました。葉がない状態で、いきなり花だけ咲くのである種異様な感じがします。

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Aloe somaliensis
7月にダメージを受けましたが、現在は回復して美しい葉色です。古い葉は斑が甘いので、わりと遮光強めの環境で育てられた様な気がします。新しい葉はもう少し、日照に強いと嬉しいのですが…


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孔雀丸 Euphorbia flanaganii
枝が枯れて坊主になりましたが、短期間で枝が生え揃いました。しかし、強光下では枝があまり伸びませんね。


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Dischidia vidalii(=Dischidia pectinoides)
実がはじけ、種が飛散しています。綿毛が付いているようで、台風で吹き飛んでしまいました。

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Euphorbia phillipsiae
ソマリアものですが暑い最中、なぜかトゲが出ています。


DSC_1662
勇猛閣 Euphorbia ferox
こちらは大変元気で、新トゲを出し続けています。強光が大好き。


DSC_1661
貴青玉錦 Euphorbia meloformis cv.
見た目に反して大変丈夫。遮光無しでも日焼けもなし。


DSC_1659
Euphorbia meloformis subsp. valida
花茎が暴れています。元気があって大変よろしい。


DSC_1664
Euphorbia polygona var. horrida
良いトゲが出ています。この個体は3本トゲ。なぜか、3本のトゲは一気に生え揃うことはなく、時間差で出ます。

というわけで、8月の多肉事情でした。
しかし、こうも暑いと、雑草取りすら辛くて作業が捗りません。最近は引きこもりがちなので、早く涼しくなって欲しいものです。


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アロエ・ペグレラエは南アフリカ原産のアロエです。葉の枚数が増えると、葉が内側に巻いた様な独特の非常に美しい姿となります。

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昨年の冬、千葉のイベントで入手しました。アロエ苗が投げ売りされていたので、せっかくだから一鉢購入。
右下の葉は二列生(葉が左右に並ぶ)の痕跡があります。まだ若い個体です。


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2022年8月の姿。だいぶ葉の枚数が増えてきました。生長は遅いと言われますが、苗の頃は早いみたいです。

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まだ、葉が少ないので、ペグレラエらしさはありません。

DSC_1677
トゲは強いので注意が必要です。

ペグレラエは南アフリカのNorth West州のMagaliesbergとWitwatersbergに分布します。斜面に生えるらしいです。自生地では、Aloe marlothiiやAloe davyanaと自然交雑が起きているようです。
野生の株は非常に美しく生長が遅いため、違法採取が行われており、また開発に伴う環境破壊により急速に個体数を減らしています。絶滅危惧種に指定されており、Witwatersrand国立植物園では絶滅危惧植物プログラムの優先事項として、ペグレラエの保護活動が行われているそうです。
日本国内ではペグレラエは、実生苗がある程度は販売されているみたいですから、入手困難とまではいかないでしょう。しかし、違法採取かも知れない現地球には手を出さないことも重要です。

ペグレラエの学名は1904年に命名されたAloe peglerae 
Schönlandです。ペグレラエの名前は植物学者・自然学者のAlice Marguerite Peglerに対する献名です。Schönlandはドイツ出身のSelmar Schönlandのことです。かのPole Evansが始めた南アフリカの植物調査で主導的役割を果たしました。ちなみに、南アフリカ科学振興協会の創設メンバーとのことです。
また、Schönlandは、Euphorbia schoenlandiiやBrachystelma schonlandianumなどの植物に献名されています。


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最近、多肉植物について書かれた学術論文を少しずつ記事にして紹介しています。残念ながら興味を覚える方は少ないようで、あまり受けは良くないみたいですが、懲りずに論文を探しては読んでいます。そんな中、パキポディウムの進化と分類について書かれた論文を見つけましたのでご紹介します。本日は2013年に発表された『Phylogeny of the plant genus Pachypodium (Apocynaceae)』という論文を簡単に解説させていただきます。

パキポディウム属はアフリカ南部とマダガスカルに分布します。この論文では21種類のパキポディウムを調べています。調べたのはリボソームDNAのITS領域と葉緑体DNAのtrn LF領域で、パキポディウム属の系統関係を調べる目的の研究です。
結論はパキポディウムは5つのグループにわかれていることが明らかになったということです。過去に花の構造や形態、分布等の情報からパキポディウム属の分類がなされてきましたが、この論文の解析結果とおおよそ一致していましたが、異なる部分もありました。

今までの分類体系では、まずマダガスカル産のNesopodium亜属とアフリカ大陸産のPachypodium亜属に分けられます。旧・分類体系を示します。この時、"Subgenus"は「亜属」、"Section"は「節」、"Series"は「列」と日本語では訳されるようです。

旧・分類体系
★Subgenus Nesopodium
1, Section Gymnopus
1-1, Series Romasa
    P. brevicaule subsp. brevicaule
    P. brevicaule subsp. leucoxantum
    P. rosulatum subsp. bemarahense
    P. rosulatum subsp. bicolor
    P. rosulatum subsp. cactipes
    P. rosulatum subsp. gracilius 
    P. rosulatum subsp. makayense 
    P. rosulatum subsp. rosulatum
1-2, Series Densiflora
    P. densiflorum
    P. eburneum
    P. horombense
    P. inopinatum
2, Section Leucopodium
2-1, Series Contorta
    P. decaryi
    P. rutenbergianum
    P. sofiense
2-2, Series Ternata
    P. geayi
    P. lamerei
    P. mikea
2-3, Series Pseudoternata
    P. ambongense
    P. menabeum
3, Section Porphyropodium
    P. baronii
    P. windsolii
★Subgenus Pachypodium
    P. bispinosum
    P. namaquanum
    P. saundersii
    P. succulentum

遺伝子解析の結果をまとめたものが、下の分子系統になります。まずは、Section Gymnopusを見てみます。ここからは、論文の解析結果を見ながら、私の個人的な考えをお示しします。というのも、論文では試験方式やデータの処理法方などが議論され、必ずしも分類体系の提唱はされていないからです。ですから、その結果を見た我々が解釈する必要があるのです。

分子系統
        ┏━Section Gymnopus①
    ┏┫
    ┃┗━Section Gymnopus②
┏┫
┃┗━━Section Porphyropodium

╋━━━Section Leucopodium

┣━━━Section African①

┗━━━Section African②

Section Gymnopus①の詳細を見ると、まず気がつくのはP. densiflorumのまとまりのなさです。P. densiflorumは8個体を見ていますが、分布域が広いのが特徴です。P. horombenseに遺伝的に近縁とみられるP. densiflorum6は、実際に採取された地点がP. horombenseの採取された地点に近い個体です。また、P. inopinatumに遺伝的に近縁とみられるP. densiflorum7やP. densiflorum8は、やはり採取地点が近い関係にあります。これをみる限り、本来のP. densiflorumはP. densiflorum1~5であって、P. densiflorum6はP. horombenseのdensiflorumタイプでP. densiflorum7やP. densiflorum8はP. inopinatumのdensiflorumタイプなのではないかと疑わせます。
次はP. brevicauleです。P. brevicaule subsp. brevicauleと白花種のP. brevicaule subsp. leucoxantumの遺伝的位置は近くありません。P. brevicaule subsp. brevicauleはP. densiflorum系統であり、P. brevicaule subsp. leucoxantumはP. inopinatum系統です。
次はP. rosulatum subsp. bicolorですが、他のP. rosulatum系とは乗っている枝が異なり、むしろP. densiflorumやP. brevicauleと近縁に見えます。P. rosulatum系統とするのは無理があるのではないでしょうか? 分布を見ると、P. rosulatum subsp. bicolorはマダガスカル中部で、どちらかと言えばp. densiflorumやP. brevicaule subsp. brevicauleに近く見えます。

Section Gymnopus①
        ┏━━━P. eburneum1
        ┃
        ┃┏━━P. eburneum2
        ┃┃
        ┃┣━━P. brevicaule subsp. brevicaule1
        ┃┃
        ┃┣━━P. brevicaule subsp. brevicaule2
        ┃┃
        ┃┣━━P. brevicaule subsp. brevicaule3
        ┃┃
    ┏╋┫┏━P. densiflorum1
    ┃┃┃┃
    ┃┃┣╋━P. densiflorum2
    ┃┃┃┃
    ┃┃┃┗━P. densiflorum3
    ┃┃┃
    ┃┃┣━━P. densiflorum4
    ┃┃┃
    ┃┃┗━━P. densiflorum5
    ┃┃
    ┃┃┏━━P. densiflorum6
    ┃┃┃
┏┫┗╋━━P. horombense1
┃┃    ┃
┃┃    ┣━━P. horombense2
┃┃    ┃
┃┃    ┗━━P. horombense3
┃┃
┃┃    ┏━━P. densiflorum7
┃┃    ┃
┃┃┏╋━━P. densiflorum8
┃┃┃┃
┫┣┫┗━━P. inopinatum
┃┃┃
┃┃┗━━━P. brevicaule subsp. leucoxantum
┃┃
┃┗━━━━P. rosulatum subsp. bicolor

┃┏━━━━P. rosulatum subsp. gracilius
┣┫
┃┗━━━━P. rosulatum subsp. gracilius

┣━━━━━P. rosulatum subsp. cactipes

┗━━━━━P. rosulatum subsp. makayense

次にSection Gymnopus②を見てみましょう。P. rosulatum subsp. rosulatumは5個体が非常によくまとまっています。分布はマダガスカル北部です。しかし、Section Gymnopus①のP. rosulatum subsp. makayenceやP. rosulatum subsp. gracilius、P. rosulatum subsp. cactipesはマダガスカル南部に分布し距離があると言えます。この、マダガスカル南部に分布するP. rosulatumの亜種たちは、P. rosulatum系統とするべきではなく、それぞれ独立種とする方が自然に思えます。
また、旧・分類体系のSeries RomasaやSeries Densiflora は、分子系統ではまったく意味をなさない分類となっています。なぜなら、P. rosulatum系がまとまりがないことや、P. brevicaule系はP. rosulatum系ではなくP. densiflorum系に近縁だからです。

Section Gymnopus②
┏━━━Section Gymnopus①

┃    ┏━P. rosulatum subsp. rosulatum1
┃┏┫
┫┃┗━P. rosulatum subsp. rosulatum2
┃┃
┃┣━━P. rosulatum subsp. rosulatum3
┃┃
┗╋━━P. rosulatum subsp. rosulatum4
    ┃
    ┣━━P. rosulatum subsp. rosulatum5
    ┃
    ┗━━P. rosulatum subsp. bemarahense

Section Porphyropodiumは、赤い花を咲かせるパキポディウムです。マダガスカル原産のパキポディウムは基本的に黄花ですから少し違います。外見上はSeries Gymnopusとは葉の形がまったく違います。ただし、Section GymnopusとSection Porphyropodiumは姉妹群です。マダガスカル原産のパキポディウムは、一応は遺伝的にアフリカ大陸産のパキポディウムと区別できることになります。
P. windsoriiはP. baroniiの変種とする考え方もありますが、この結果からだけでは近縁であることしかわかりません。

Section Porphyropodium
┏━━━Section Gymnopus

┫    ┏━P. baronii1
┃┏┫
┗┫┗━P. baronii2
    ┃
    ┃┏━P. windsorii1
    ┗┫
        ┗━P. windsorii2

Section Leucopodiumはどちらかと言えば、縦長に育つタイプです。P. lamereiは7個体を調べていますが、割とまとまっています。P. mikeaはP. lamereiと同じ枝に乗っていますが、P. lamereiとほぼ同種とすべきか、P. lamereiから進化した種類とすべきかはわかりません。とても近縁であることはわかります。
P. lamerei、P. mikea、P. menabeum、P. geayiは姉妹群です。P. lamerei、P. mikea、P. geayiはマダガスカル南部、P. menabeumはマダガスカル中部、P. ambongenseはマダガスカル北部に分布します。
旧・分類体系では、P. decaryi、P. rutenbergianum、P. sofienseはSeries Contrtaとされていますが、分子系統でもこれは支持されています。ただし、それ以外のSeriesは支持されません。P.rutenbergianumとP. sofienseはマダガスカル北部、P. decaryiはマダガスカル最北端に分布します。

Section Leucopodium
                ┏P. lamerei1
                ┃
                ┣P. lamerei2
                ┃
            ┏╋P. lamerei3
            ┃┃
            ┃┣P. lamerei4
            ┃┃
        ┏┫┗P. mikea
        ┃┃
        ┃┃┏P. lamerei5
        ┃┃┃
        ┃┗╋P. lamerei6
        ┃    ┃
    ┏┫    ┗P. lamerei7
    ┃┃
    ┃┃┏━P. menabeum1
    ┃┃┃
    ┃┣╋━P. menabeum2
    ┃┃┃
┏┫┃┗━P. menabeum3 
┃┃┃
┃┃┗━━P. geayi
┃┃
┫┗━━━P. ambongense

┃        ┏━P. decaryi1
┃    ┏┫
┃┏┫┗━P. decaryi2
┃┃┃
┗┫┗━━P. decaryi3
    ┃
    ┣━━━P. rutenbergianum
    ┃
    ┗━━━P. sofiense

Section Africanはアフリカ大陸産のパキポディウムです。
Section African①のP. bispinosumとP. succulentumは近縁で、分布も南アフリカ南部に重なります。P. namaquanumも近縁で、南アフリカとナミビアの国境付近とナミビアの一部に分布します。相対的にはSection African①に所属する種は分布も近いと言えます。
Section African②に所属するP. lealiiとP. saundersiiは分布域が大きく離れています。P. saundersiiは南アフリカ、ジンバブエ、モザンビークの国境付近に分布しますが、P. lealiiはナミビア北部、ボツワナ北部、ナミビアとアンゴラの国境付近に分布が点在します。P. lealiiは分布が点在していてそれぞれが離れていますから、もともとは広い分布域を持っており、徐々に分布が狭くなり残ったのが、現在の点在する分布なのでしょう。

Section African①
    ┏━P. bispinosum
┏┫
┫┗━P. succulentum

┗━━P. namaquanum

Section African②
┏━P. lealii

┗━P. saundersii


いかがだったでしょうか? 意外だった、あるいは実際に育てている実感として近いと思った方もおられるかもしれません。私自身、最新の科学の知見に詳しいわけではなく、勉強しながら論文を探しています。しかし、科学は最新の情報が、あっという間に古臭くなったりしますから、最新情報を追いかけるのは素人の私には難しい部分があります。この記事も、来年頃にはいつの話をしているのか、ずいぶんと古い知識を語っているなぁと評されるかもしれませんね。
それはそうと、実は論文はそのほとんどが一般に公開されており、誰でも読むことが出来ます。研究者は最新の論文を読んで情報を得ますから、科学の発展のためには直ぐに読めることは重要です。そして、科学者か論文を書いた時に、読んで参考とした論文名を最後に一覧の形で表記します。この時にどれだけ多くの論文で引用されたかが、論文の価値を決めます。引用されるということは、多くの研究者が読んで重要と認めた論文という意味ですからね。
しかし、残念ながら一部の論文は、というか一部の論文の掲載紙は有料です。買えばいいじゃないかと思われるかもしれませんが、タイトルと数行の要約では本当に知りたい内容であるかわかりませんから、購入して読んでみて初めて要不用がわかるわけです。流石に手当たり次第とはいかないもので、手に入る論文だけですが、今後も懲りずに紹介出来ればと考えております。


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多肉植物は手持ちの維持だけで長く離れていたので知らなかったのですが、ここ何年か多肉ブームがあったようです。すでにブームの最盛期は過ぎたようですが、多肉人口自体は増えたようです。最近は現地球だけではなく実生苗も園芸店やイベントで沢山並ぶ様になりました。
昨年はパキポディウムの小苗をじわじわ集めたりしましたが、元より全種類集めようという意図はありません。昔入手した実生デンシフロラムを長く育てていましたから、パキポディウム自体に愛着があります。園芸店やイベントでパキポディウムの可愛らしい苗を見ると、ついつい買ってしまうのです。そんなこんなで、去年入手したのが「魔界玉」こと"Pachypodium makayense"です。
マカイエンセは国内ではそれほど流通していないようで、園芸店では見かけないパキポディウムです。私は五反田TOCのビッグバザールで入手しましたが、特に探していたわけではないにも関わらずたまたま目に入ったもので、なんとも非常に幸運でした。

DSC_1649

魔界玉はマダガスカル南部のTulear州のMakay山に分布します。
このMakay山から、"魔界"玉と命名されたのでしょう。

DSC_1650
トゲは赤味を帯びます。新しいトゲはより赤味が強いのですが、古いトゲの色が抜けただけなのかもしれません。強光で赤味が増したら面白いのですがね。まだ、よくわかりません。

DSC_1651

意外にもパキポディウムには毒があるようですが、パキポディウム属はキョウチクトウの仲間ですから、良く考えたら当たり前のことなのかもしれません。

魔界玉の学名は2004年にはじめて命名されましたから、かなり新しい種と言えます。この時は独立種と考えられ、Pachypodium makayense Lavranosとされました。しかし、同年にロスラツムの亜種、つまりはPachypodium rosulatum subsp. makayense (Lavranos) Lüthyとされ、これが現在の正式な学名です。
しかし、遺伝子解析の結果では、魔界玉はP. rosulatum subsp. rosulatumよりもP. densiflorumやP. brevicauleと近縁とされています。今後、パキポディウム属の分類は大きく変わる可能性があります。

多肉ブームで現地球が沢山輸入されましたが、最近では国内実生苗も沢山売られています。多肉植物に力を入れている園芸店では、P. succulentumやP. bispinosumあたりはカクタス長田さんの実生苗がミニ多肉としてあったりします。五反田TOCのビッグバザールでは、P. inopinatumが沢山あって驚きました。他にもP. makayenseや新種のP. enigmaticumまで実生苗が販売されていて驚きます。流石にP. saundersiiやP. windsoliiあたりは少ないものの、入手可能です。園芸店の入荷情報をチェックして、P. brevicalyx、P. brevicaule subsp. leucoxantumあたりは入手しました。何の気なしに園芸店を覗いて見つけたのは、P.
 eburneum、P. densiflorum、P. horombense、P. rosulatumあたりです。他にも縦長に育つタイプのパキポディウムは販売されていますが、いまいち食指が動きません。当分は手持ちの管理に専念することとします。
そういえば、パキポディウム属の分類を調べた面白い論文を見つけましたから、明日の記事にする予定です。



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Fouquieriaはかつて私の憧れだった植物です。私が学生の頃、当時の最新の園芸書に記載されたFouquieriaの写真、おそらくは現地球ですが、そのあまりの美しさに驚きました。しかし、当時は国内でFouquieriaは販売されておらず、今にして想えば海外のナーセリーから個人輸入するしかない時代でした。まだ学生だった私は個人輸入なんて思い付かず、写真を見て嘆息するに留まっていました。その後は園芸趣味から離れていたのですが、近年の多肉ブームでFouquieriaも園芸店やイベントでちらほら見かけるようになりました。私は育っていく過程や、育て方の試行錯誤が楽しい方なので苗が好ましいのですが、最近の多肉ブームではどうやら現地球が多かったみたいです。しかし、ここ2年ほどは国内実生苗も少しずつ手に入るようになりました。大変喜ばしいことです。
そんな中、一番最初に入手したFouquieriaの苗が、Fouquieria diguetiiです。
そういえば、Fouquieriaはフーキエリアとかフォーキエリアとか読み方は本やサイトによりまちまちですが、私の個人的な好みで、以降はラテン語読みで'Fouquieria"は「フォウクィエリア」、"diguetii"はディグエッティーではなく「ディグエティイ」でいかせていただきます。

ディグエティイはメキシコ原産のフォウクィエリアの仲間です。P
alo Adánと呼ばれ、バハ・カリフォルニア半島の南側やソノラ砂漠に自生する、乾燥地に生える灌木です。ディグエティイは赤い筒状の大変目立つ花を咲かせますが、ハチドリが蜜を吸いに来て受粉する鳥媒花ということです。

DSC_0044
購入時。

DSC_1645
最近のディグエティイ

DSC_1646

育て方は自分でも良くわかっていない部分があり、試行錯誤中です。
乾燥地の灌木なので、昨年は乾かし気味にしていましたが、葉が枯れてポロポロ落ちてしまいました。まあ、直ぐに新しい葉は出てきますが長持ちしません。新しい葉が出ては枯れるを繰り返しました。そんな状態ですから、ほとんど茎は伸びませんし太くもなりません。
そんなことがありましたから、今年は水やりをほぼ毎日行っています。ただし、暑すぎるせいかそれでも乾上がってしまうみたいで、育ちはいまいちでした。仕方がないので、ハウォルチアの遮光棚に置いたところ、綺麗な葉が出てきました。とは言うもののでやはり日照不足らしく、他のフォウクィエリアは枝が伸びるもののトゲが出ないので、これは徒長が疑われます。ディグエティイは枝は伸びていませんが、やはり日照不足なのかもしれません。
他の方はどうやっているのだろうと気になってフォウクィエリアを検索すると、なんと腰水栽培している人もいるようです。ちゃんと日に当てていれば徒長はしないようです。私は根腐れが怖くて出来ませんが。しかし、砂漠の植物だろうになぜこんなに乾燥に弱いのか不思議です。フォウクィエリアは乾燥地の植物の癖に根がやたらに繊細だったりするわけで、どうやって自生地で乾燥に耐えているのでしょうかね? どうにも不思議です。
対策となるかはわかりませんが、、乾きにくくするだけなら、普通の花木を鉢栽培するみたいに、大きい鉢に用土たっぷりで植えて乾きにくくしてしまえばいいだけのことかもしれません。

フォウクィエリア属は1823年に命名されたFouquieria formosaがはじめてですが、同じく1823年にBronnia spinosa、後のFouquieria fasciculataが命名されたいます。まあ、F. fasciculataは1819年にCantua fasciculataが最初の命名でした。
ディグエティイの学名は1925年に命名されたFouquieria diguetii (Tiegh.) I.M.Johnst.です。面白いことに、ディグエティイの初命名は1899年のBronnia diguetii Tiegh.Bronnia thiebautii Tiegh.です。同年に同じ命名者に命名されていますから、2種類あると考えられたのかもしれません。種小名は命名が早いものが受け継がれますが、"diguetii"と"thiebautii"は命名はおそらく同時ですが、なぜ"diguetii"が選ばれたのかはわかりません。また、1903年に命名されたFouquieria peninsularis Nashは、ディグエティイと同種とされ、現在は異名(シノニム)とされています。


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ザミア・フルフラケアZamia furfuraceaの花芽があがってきました。花芽が伸びはじめてから咲くまでを記事にしようと思っていましたが、中々咲かないのでまだ咲きませんが記事にします。

DSC_1557
フラッシュも一段落し、新葉が美しい季節です。良く見ると塊根の先端が膨らんでいます。まさか、また新芽かと思いきや…

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これは蕾ですね。小苗を入手してから10年以上育てていますが、初めてのことです。植え替えした方が生長が早いのは知っていますが、5年おきくらいのタイミングでしか植え替えをしないので生長は遅いでしょうけど。

DSC_1556
7月16日。まだまだ小さい。

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7月24日

DSC_1655
8月6日。だいぶ膨らんで、茎が伸びてきました。
しかし、茎はまだ伸びる感じですから、まだまだ咲きません。とは言うものの、交配相手がいないので咲いても種は取れませんけどね。

そういえば、ソテツと言えばクロマダラソテツシジミという名前の、ソテツの若葉を食害するシジミ蝶がいます。もともとは東南アジア原産でしたが、2007年くらいから関西でも定着したみたいです。しかし、温暖化の影響かいつの間にやら、最近では神奈川、東京、埼玉、千葉あたりでも発見されています。私の所有ソテツたちもいつかやられないか心配です。
しかし、昆虫マニアの人達がその蝶を探しているみたいですが、どうやらソテツとヤシの区別がついていないらしく、近所のソテツ(どう見てもヤシ)では見られないとか書いてありました。まあ、そりゃあヤシにはつかないでしょうね。興味がない人には同じようなものなのでしょうか?




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昔は今の様に多肉植物は沢山売られていませんでしたから、私もサボテンを集めたりしていました。枯らしたり引っ越したりして置き場がなかったりと、まあバタバタして今では極少数を維持するだけになりました。その後は公私で忙しく、永らく園芸店からも足が遠退いていました。しかし、最近知らない間に多肉ブームがあったらしく、図鑑でしか見たことがない珍しい多肉植物が売られるようになり、3年前くらいから多肉植物を再開したわけです。時代はベンケイソウ科やアガヴェ、コーデックスが流行りですが、サボテンも地味に今まで見なかった様な種類が売られていたりします。私もギムノカリキウムの平たく育つものは、見かけるとついつい購入してしまいます。
そんな中、園芸店ではまず見かけないギムノカリキウムをイベントで入手しました。それが、プロチャズキアナムです。個人的な話で申し訳ないのですが、私は学名はラテン語読みが好みなので、以降は「プロカズキアヌム」と記述させていただきます。

さて、プロカズキアヌムは1999年に発見されましたから、割と新しい種類です。いや、20年以上前だろうと思うかもしれませんが、サボテンの学名の命名自体は1753年から始まっていますから、まだ新種が見つかるということに驚きがあります。それはそうとして、プロカズキアヌムの学名は最初は1999年に命名されたGymnocalycium prochazkianum Šormaです。しかし、海外含めてプロカズキアヌムはあまり情報がありません。仕方がないので、プロカズキアヌムの原産地の情報を探すために、採取情報が記載されているフィールドナンバーを探してみました。そこで、プロカズキアヌムを命名したŠormaが採取したとおぼしき採取個体の情報を見つけました。

Field number: VS 141
Collector: Vladimír Šorma
Species: Gymnocalycium prochazkianum
Locality: Quilino, Cordoba, Argentina
Altitude: 600m


このVS141が1999年にプロカズキアヌムが命名された際の個体かもしれませんね。
ここで、一旦私の所有個体を紹介します。


DSC_1656
Gymnocalycium prochazkianum

DSC_1657
Gymnocalycium prochazkianum
                                         subsp. simile VoS1417

下の個体はプロカズキアヌム亜種シミレですが、フィールドナンバー付きです。ともに、白い粉をまとった暗い色合いで平たい特徴は同じです。
そういえば、プロカズキアヌムには亜種があり、2006年に命名されたGymnocalycium prochazkianum subsp. ivoi Halda & Milt、2013年に命名されたGymnocalycium prochazkianum subsp. simile 
ŘepkaGymnocalycium prochazkianum subsp. simplex Řepkaがあります。

私の所有するプロカズキアヌム亜種シミレのフィールドナンバーは"VoS1417"ですが、これが不思議と情報がありません。ただ、フィールドナンバーを収集して検索できるサイトはいくつかありますが、すべてのフィールドナンバーが登録されている訳ではありませんから、こういうこともあります。しかし、VoSナンバーは"VoS00-0001"の様な形式が通常な気がしますから、何かおかしな感じもします。よくよくVoSナンバーの一覧を調べてみたのですが、"VoS13-1417"を見つけました。

Field number: VOS 13-1417
Collector: Volker Schädlich
Species: Gymnocalycium prochazkianum
Locality: South of Orcosuni, Cordoba, Argentina
Altitude: 743m
Date: 2013

おそらくはこれが正式なフィールドナンバーでしょう。以前、私の入手した他のサボテンでもやはりこのようにフィールドナンバーは略されるものがありましたから、まぁまぁあることなのかもしれません。しかし、いざ情報を探す段となった時に、このように略されてしまうと困ってしまいますね。
ちなみに、フィールドナンバーのデータでは、亜種シミレという記載ではありません。どうしてでしょうか? これは、簡単な話で採取時点の学名が記載されるからです。採取されたのが2013年で、亜種シミレが命名されたのも2013年ですから、採取時点では亜種シミレという学名は存在しなかったのでしょう。こういうことは良くあることなので、注意が必要です。学名が変更になった場合でも、フィールドナンバーは採取時点の学名で登録されていますから、現在ではまったく異なる学名であることは珍しくありません。

さて、ここまでプロカズキアヌムについて調べてきましたが、実のところG. prochazkianumという学名は現在認められておりません。プロカズキアヌムは2002年にはGymnocalycium valnicekianum subsp. prochazkianum (Šorma) T.Hill & Amerh、2013年にはGymnocalycium mostii subsp. prochazkianum (ŠormaG.J.Charlesと紅蛇丸Gymnocalycium mostiiの亜種とする意見もありました。
しかし、現在ではプロカズキアヌムは紅蛇丸Gymnocalycium mostii (Gürke) Britton & Roseと同一種とされています。G. mostiiは現在は亜種や変種が認められておりません。ただし、明らかに特徴の異なるプロカズキアヌムが亜種や変種扱いされていないのは、不自然にも感じます。G. bicolorや黒豹玉G. mostii var. kurtzianumなども、G. mostiiに集約されている状態ですから、これから整理がされていく可能性はあるように思えます。


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4月に東京五反田TOCで開催された、春のサボテン・多肉植物のビッグバザールに行った際に、サピニーという名前のユーフォルビアの苗を入手しました。購入したブースの生産者さんは、大変状態の良い優れた苗を毎回持ってきてくれますから、ついつい私も毎回購入してしまいます。
さて、そんなサピニーですが、ネットで現在地してみても恐ろしいほど情報がありません。多少、販売情報はあるようですが、私の購入した苗と同サイズのサピニーが数倍の値段で売られていたりします。なんか怪しいですね。
あと、海外のネット上のフォーラムでは、サピニーは海外でも非常に珍しいみたいですね。中々ヨーロッパでも入手は困難なようです。
個人的に「サピニー」より「サピニイ」のほうがしっくりくるので、これより「サピニイ」表記で行きます。

DSC_1647
まだ小さい苗ですが、高さ1mほどになるそうです。

DSC_1648
トゲのある木質の茎がありますが、まだトゲは出ていません。

ネットでサピニイの画像を探していたら、ふと"猛毒三兄弟"こと、Euphorbia poissonii、Euphorbia venenifica、Euphorbia unispinaと似ている様な気がしました。そこで、分布を調べてみたら面白いことがわかりました。ポイソニイは西アフリカのギニア湾沿い、ユニスピナはギニア湾沿いから東に長くチャド・スーダンまでの西アフリカから東アフリカ、ベネニフィカは東アフリカ、サピニイは中央アフリカとなっています。分布が広いユニスピナ以外は、一部重なりながらも分布がアフリカの東部・中央部・西部にわかれているのが、分布域を拡げながら進化した様子が見受けられます。
ここで、2013年に発表された『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文を見てみます。この論文では遺伝子を解析していますが、サピニイの分子系統は以外の通りです。

             ┏━━E. sudanica
         ┏┫
         ┃┗━━E. venenifica
     ┏┫
     ┃┗━━━E. unispina
 ┏┫
 ┃┗━━━━★E. sapinii
 ┫
 ┗━━━━━E. resinifera

ユーフォルビアの全種類を調べた訳ではありませんから、ポイソニイは入っていませんがおそらくは近縁でしょう。また、調べていないだけで、他にも近縁種があるかもしれません。
さて、一番根元にあるレシニフェラは普通の柱サボテン様の多肉ユーフォルビアで、サピニイやポイソニイには似ていませんね。もしかしたら、レシニフェラ(の祖先)からサピニイ(の祖先)が進化した時に、サピニイやポイソニイの様な形態に進化したのかもしれません。
しかし、不思議なこともあります。レシニフェラはモロッコ原産ですが、この仲間がモロッコからモーリタニアやマリに分布を拡げながら進化したとすると、モーリタニアからギニア湾を通って東アフリカに達するスダニカがレシニフェラに近縁な様にも思えます。しかし、レシニフェラに一番近縁なのは中央アフリカ原産のサピニイです。地理的にずいぶん離れています。どういうことなのでしょうか?
考えられるのは2つ。1つは、
マリにも分布するポイソニイがレシニフェラとサピニイの間を埋めている可能性です。もう1つは、レシニフェラ自体がサピニイの祖先と別れたときには、モロッコではない地域に分布しており、レシニフェラに進化した際にモロッコ原産となった場合です。この謎はすべての近縁種を調査してはじめてわかるのでしょう。今後の研究に期待。

サピニイの学名は1908年に命名されたEuphorbia sapinii De Wild.です。De Wild.はベルギーの植物学者・菌類学者の
Émile Auguste Joseph De Wildemanのことです。De Wildemanはコンゴの植物相の研究で知られています。サピニイの名前は中央アフリカで植物の収集をしていたフランスの植物学者である、Adolphe Sapinに因んで命名されました。



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ツリスタ属については割としつこく記事にしていますが、ついに全種類コンプリートしました。あまり販売されていないので、あちこち探し回ってようやくのことです。とはいっても、たったの4種類なんですけどね。結局、最後に入手したのがキンギアナでした。
ツリスタ属はハウォルチア属から分離したグループで、アロエ属から独立したGonialoe(千代田錦)やAristaloe(綾錦)、さらにAstrolobaと近縁です。

アロエ類の系統図
┏━━━━━━━━Aloidendron属

┫    ┏━━━━━━Kumara属
┃┏┫
┗┫┗━━━━━━Haworthia属
    ┃
    ┃┏━━━━━━Aloiampelos属
    ┃┃
    ┗┫┏━━━━━Aloe属
        ┃┃
        ┗┫    ┏━━━Astroloba属
            ┃    ┃
            ┃┏┫┏━━Aristaloe属
            ┃┃┃┃
            ┃┃┗┫┏━Gonialoe属
            ┃┃    ┗┫
            ┗┫        ┗━★Tulista属
                ┃
                ┃┏━━━Haworthiopsis属
                ┗┫
                    ┗━━━Gasteria属

キンギアナは南アフリカ原産ですが、非常に稀な植物で絶滅危惧種に指定されています。キンギアナの分布はMossel湾付近の狭い範囲で、岩の多い丘や斜面あるいは草原に生えます。違法採取や過放牧、農地開発など生息地の破壊により減少しています。

DSC_1642
遮光強目なので、本来の明るい色は出ていません。今年は日差しが強すぎるため、加減が難しい感じがあります。

キンギアナの特徴はなんと言っても、その明るい葉色です。ツリスタ属は強光で赤くなる傾向がありますが、キンギアナは明るい黄緑色です。キンギアナはツリスタ属らしく大型になり、18cm位になるそうです。
キンギアナは「king」+「-iana」ですが、king=王ではありません。「-iana」は人名につける女性詞ですから、この場合はKing夫人に献名されたということです。

キンギアナの学名は2017年に命名されたTulista kingiana (Poelln.) Gideon F.Sm. & Moltenoです。キンギアナは初めて命名されたのは1937年のHaworthia kingiana Poelln.ですが、1997年にはプミラの変種とされHaworthia pumila var. kingiana (Poelln.) Haldaとする意見がありました。
また、2001年に命名されたHaworthia zenigata M.Hayashi、2016年にツリスタ属とされたTulista opalina var. zenigata (M.Hayashi) Breuerの系統も現在はキンギアナと同種とされているようです。



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フォリオロサは南アフリカ原産のアストロロバです。しかし、アストロロバ自体知らないという人もいるかもしれませんが、常にマイナーなグループでかつて流行したことすらないので仕方がないことなのでしょう。そんなアストロロバですが、存在自体は昔から知られています。アロエの仲間として、アロエ属、ハウォルチア属、ガステリア属、アストロロバ属がありますよというのが、昔から図鑑に載ってた情報です。近年、アロエ属が5属に、ハウォルチア属が3属に分裂しましたが、アストロロバ属は基本的に同じです。アストロロバ属の最近のトピックは、ポエルニッチア属とされることもあるルブリフロラが、遺伝子解析によりやっぱりアストロロバ属でしたということ位ですかね。
さて、個人的にはアストロロバは大いに気に入っているわけですけれど、園芸店ではまずお目にかかれないレア多肉です。とはいっても、輸入が規制されているだとか、国内で増やせないとか栽培が難しいとか、そういう理由ではなく単純に人気がないだけです。まさに、購入する人がいなければ販売されないという、市場経済の基本原理に則ってますね。残念ながら。
しかし、そんな中、イベントで偶然見つけたアストロロバであるフォリオロサを本日はご紹介します。

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フォリオロサは南アフリカの東ケープ州Nama Karooに分布するアストロロバです。ネットではフェリオサとかフォリオサとか呼ばれることもあるようです。また、「多宝塔」とか「奔竜」という名前もあるようですが、まったく使われていません。
フォリオロサはアストロロバの中では小型で、葉はとても小さくてヒモの様に細長く育ちます。私の株は名札にわざわざ"小型"と表記してあったくらいなので、フォリオロサの中でも特に小さいタイプなのでしょうか? これからが楽しみです。

フォリオロサの学名は1947年に命名されたAstroloba foliolosa (Haw.) Uitewaalです。古い時代に命名されたハウォルチアやガステリアなどのアロエ類は最初はアロエ属とされましたが、アストロロバも同様に最初はアロエ属でした。フォリオロサの学名の変遷を年表にしてみました。

1804年 Aloe foliolosa Haw.
1811年 Apicra foliolosa (Haw.) Willd.
1812年 Haworthia foliolosa (Haw.) Haw.
1947年 Astroloba foliolosa (Haw.) Uitewaal.
1987年 Astroloba spiralis subsp. foliolosa
                               (Haw.) L.E.Groen
2013年 Tulista foliolosa (Haw.) G.D.Rowley

様々な学名が提唱されましたが、現在学術的に認められているのは、Astroloba foliolosaです。2013年のG.D.Rowleyのツリスタ属とする意見は当てずっぽうではなく、アストロロバ属とツリスタ属が遺伝的に近縁であることからツリスタ属の範囲を広くとった訳ですが、そうなるとGonialoeやAristaloeもツリスタ属に含めなくてはいけなくなるため、やや大味な分け方になるような気もします。アストロロバ属は非常に良くまとまった分類群ですから、独立した群としたほうが自然だと私は思います。



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蒼角殿は不思議な球根植物です。緑色の巨大な球根から、モジャモジャした鞭の様な葉(正確には茎で葉はないらしい)と長い蔓を伸ばします。アフリカの自生地では蔓が岩場を這うように伸びるため、"climing onion"、つまり「登攀タマネギ」という愉快な名前で呼ばれているようです。

DSC_1652
分球しましたが、左は蔓が真夏なのに出ていますが、右は休眠中。冬型とされますが蔓は真夏に出たりもします。同じ環境で並べて育てていても、春~夏は何故か蔓が出たり出なかったりします。不思議ですね。

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DSC_1654
3つに別れたので、一つは独立させました。こちらも蔓が伸びてます。

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冬に目立たない緑の花が良く咲きます。

DSC_0992
結実。増やす予定もないので、採種はしませんでした。

ボウィエアは南アフリカの東ケープ州からリンポポ州、ジンバブエ、ザンビア、タンザニア、ウガンダ、ケニア、モザンビーク、マラウイ、アンゴラで確認されています。

蒼角殿の学名は1867年に命名されたBowiea volubilis Harv. ex Hook.f.です。
しかし、このBowiea属にはBowiea myriacantha(=Aloe myriacantha)やBowiea africana(=Aloe bowiea)など、現在ではアロエ属とされているグラスアロエを含んでいました。というより、Bowiea myriacanthaやBowiea africanaは1824年にHaworthにより命名されたものの、5年後の1829年にはアロエ属となり、一度は消滅したようです(Bowiea Haw.)。その後、1867年に蒼角殿の学名としてBowiea volubilisとして復活したわけです(Bowiea Harv. ex Hook.f.)。
今ではBowiea属は蒼角殿1種類のみですが、Bowiea属自体が蒼角殿のために創設された属です。そんな経緯のためか、1911年にOphiobostryx volubilis (Harv. ex Hook.f.) Skeels、1918年にSchizobasopsis volubilis (Harv. ex Hook.f.) J.F.Macbr.が提唱されましたが、現在では認められておりません。しかし、一度使われたBowiea 属を再利用していますから、属名を変更するのは割りと合理性があるような気もしますが…

そういえば、蒼角殿にはガリエペンシスとキリマンドスカリカという仲間がいます。ガリエペンシスは1983年にBowiea gariepensis van Jaarsv.と命名されましたが、1987年(publ 1988)にはBowiea volubilis subsp. gariepensis (van Jaarsv.) Bruyns.とされ現在ではこれが正式な学名です。ガリエペンシスは白花で蔓の色合いも異なり、別種に見えるのですがね。キリマンドスカリカは1934年にBowiea kilimandscharica Mildbr.と命名されましたが、現在ではBowiea volubilis var. volubilisと同種とされているようです。キリマンドスカリカは球根が小さいタイプです。
あと、大蒼角殿という名前も聞いたことがありますから調べて見ましたが、蒼角殿の大きいやつだとか、ガリエペンシスのことだとか色々言われているみたいです。どうやら、最近ではガリエペンシスを大蒼角殿の名前で販売しているようです。




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瑠璃晃は南アフリカ原産のユーフォルビアです。実際には「瑠璃晃」ではなくて、「スザンナエ」あるいは「ドラゴンボール」なんて名前で売られていたりします。瑠璃晃はトゲはなくイボが沢山ありますが、このイボは色々なタイプがあり、太さや密度、先端のとがり具合まで様々で多様性があります。
私もそんな瑠璃晃を育てていますが、鉢が窮屈になったので4月末に植え替えましたが、根が硬く長いため少し浮き上がった様な感じになってしまいました。仕方がないので、5月中頃に深い鉢に再度植え替えました。まあ、本来はこうもコロコロ植え替えないほうがいいわけで、生長に悪影響を与える可能性大です。しかし、我が家の瑠璃晃は意にも介さない風情です。強いですね。


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4月末。いかにも窮屈そうです。右はインターテクスツム。

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年の量がすごいです。

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実は少し浮いています。

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5月中頃に再度植え替え。

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現在の様子。

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強光を浴びて良い色合いになっています。

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そういえば、花は小さいものの結構派手に咲きます。

DSC_1621
開花後、一部の花柄が枯れないで残りましたが、何故か花柄の先端から子を吹いています。奇妙な増えかたですね。

DSC_1622
そして、再度植え替えてから1ヶ月半で鉢底から根がはみ出てきました。わざわざ縦長の鉢に植えたのに、根の生長がとても早いみたいです。

瑠璃晃と言えば、次々と子を吹いて群生するものです。しかし、我が家の瑠璃晃はほとんど子を吹かず、ほぼ単頭です。おそらくは強光と乾燥しすぎることが原因の様な気がします。しかし、面白いので子はある程度のサイズになったら外して、単頭でどこまで大きくなるか試してみるつもりです。現在、ちょうど直径6cmです。

瑠璃晃は1929年に命名されたEuphorbia susannae Marlothです。Marlothはドイツ語生まれで南アフリカで働いた
Hermann Wilhelm Rudolf Marlothのことです。海外のサイトを見ると、"suzannae"ではなくて"susannae"だから気を付けようみたいなことが書いてあったりします。海外では間違われやすいのでしょうか?



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最近、多肉植物栽培の大先輩とお知り合いになりまして、色々と教えていただいております。私自身はと言うと、ブログではあれやこれやと情報をひけらかしてはいますが、何せ経験が浅いもので表面的な知識ばかりで頭でっかちな部分がたぶんにあります。実際の経験豊かな先輩方にご指摘いただけると、私も非常に嬉しく勉強になります。そんな中、ラウリンソニーについて何か情報はありませんかというリクエストをいただきました。ラウリンソニーとは一体どのような植物なのでしょうか?

さて、ラウリンソニー、つまりG. rawlinsoniiはガステリア属の一種ですが、茎が長く伸びて一見してガステリアとは思えない非常に変わった姿をしています。私も図鑑で見たことはありますからその存在自体は知っていましたが、実際に見たことはありません。大型園芸店や即売会でも、まずお目にかかれないレア多肉です。
私自身、ガステリア属にかなりの興味がありますから、最近は色々と調べものをしています。そんな中、ガステリア属について書かれたいくつかの面白い論文を見つけました。そこでは、G. rawlinsoniiの立ち位置は中々面白いように思えます。

論文
2005年に出された『Taxonomy implication of genomic size for all species of the genus Gasteria Duval (Aloaceae) Plant Systematics and Evolution』という論文をまず紹介します。この論文は簡単に言うと、ガステリア属の核DNA(ゲノム)のサイズを測定しましたよというものです。種によってゲノムのサイズが異なり、面白いことにG. rawlinsoniiがもっとも小さく、次に内陸部に自生する13種がG. rawlinsoniiより大きく、さらに沿岸部に自生する5種、そして一番ゲノムサイズが大きいのはG. batesianaということです。著者はゲノムサイズが小さいG. rawlinsoniiがもっとも原始的で、そこから内陸部→沿岸部→北東部(G. batesiana)という風に分布を拡大しながら進化したのではないかと考えているようです。筆者の一人はvan Jaarsveldですが、この論文の前まではG. batesianaがもっとも原始的と考えていたそうです。
しかし、残念ながら2021年に出されたPhylogeny of the Southern African genus Gasteria duval (Asphodelaceae) based on Sanger and next generation sequencing data』という論文を読むと、2005年の論文の考察は否定されています。こちらの論文は遺伝子解析の結果ですから、より正確なはずです。2021年の論文では、西部に分布するG. pillansiiがもっとも原始的で、そこから東部に向かい最先端にいるのがG. batesianaということになりました。結果的にG. rawlinsoniiはG. bicolorともっとも近縁で、G. nitidaと合わせた3種類が非常に近いグループを形成しているそうです。
まあ、2005年の論文を最初に読んだ時に、ゲノムサイズにそれほど大きな差はない様に見えました。差はありますが、非常に僅差です。G. batesianaは他のガステリアと差ははっきりあるように見えましたが、その他は微妙なところです。これは、根拠のない憶測ですが、ガステリア属の分布拡大の最前線にいるG. batesianaは適応のためにゲノムが複雑となりサイズが巨大化し、逆にG. rawlinsoniiは環境適応が完了したのでいらないゲノムを捨てたのかもしれません。

自生地
G. rawlinsoniiは南アフリカの東ケープ州Baviaanskloof山とKouga山でのみ見られるそうです。標高300~700mのミネラルの少ない日陰の多い断崖に生えます。岩の割れ目に根を伸ばして、長い茎を下に垂らして育ちます。最大1~2m程度まで伸びるということです。
しかし、本当に切り立った崖に張りつくように育ち、採取もまったく不可能なため、今のところ絶滅の心配はないようです。海外のサイトでは「自然によって十分に保護されている」という面白い書かれ方をしていました。
そういえば、土壌は弱酸性で意外と腐植土が豊富と言われています。しかし、この弱酸性というのは曲者で、酸性土壌とは別物だったりします。何せ"弱"とありますから、ほぼ中性付近と考えた方が良いでしょう。変に酸性土壌にしようとすると、上手くいかないかもしれません。
G. rawlinsoniiの生える崖にはBulbine cremnophila、Cyrtanthus montanus、Cyrtanthus labiatus、Haworthia gracilis var. picturara、Haworthiopsis viscosa、Plectranthus verticillatus、Othonna lobata、Cotyledon tomentosa、Adromischus cristatus var. zeyheri、Delorperma esterhuyseniae、Albuca cremnophilaなどが見られるとのことです。
ガステリア属は葉挿しで増やせますが、ラウリンソニーは葉挿しがあまり上手くできないと良く言われます。まったく出来ないわけではないようですが、難しいようです。これは、断崖に生えるため、取れた葉が活着出来ないからではないかと言われているみたいです。


育て方の謎
G. rawlinsoniiは国内ではまったくと言っていいほど情報がないため、海外のサイトを色々と閲覧しましたが中々育て方について参考となりそうな記事は見つけられませんでした。
ただ、G. pillansiiは茎が長く育ちますが、根元の古い葉はやがて枯れ落ちます。しかし、どうやら下葉の残り具合は様々なようです。何が違うのでしょうか?
それから、G. rawlinsoniiの沢山の写真を見ていて気が付いたのですが、仕上がりが綺麗な株は地植えが多い様な気がします。ここに育成のヒントがあるのかもしれません。もしかしたらですが、地植えだと根詰まりや土壌の酸性化が起きないため生長が早く、下葉が落ちる前に長く伸長しているのかもしれません。生長が緩やかだと、長く伸びる前に下葉が古くなってしまいますからね。原因がこれらの場合、鉢植えでは植え替えをこまめに行えばある程度は解決出来そうです。
あと、意外にも葉はやたらに深い緑色であることに気が付きました。思ったより強く遮光しているのでしょうか?  あまり遮光すると貧弱に育ってしまうかもしれませんから、これはこれで中々加減が難しそうです。
そういえば、Aloidendron dichotomum(=Aloe dichotoma)では、遮光して水多目で育てると下葉があまり落ちないで育ちますが、無遮光で乾燥させて育てると下葉は直ぐに落ちて常に先端の方だけに葉があるようになります。これも似たような現象かもしれません。

二列生
今回、G. rawlinsoniiについて海外のサイトをあちこち閲覧していた時に、やたらと"葉はdistichousである"と書かれていました。最初何のことだろう?と思いましたが、日本語では「二列生」と訳すようです。意味は、葉が互い違いに出て、左右に並ぶことだそうです。「ガステリア属の幼若植物は二列生だが、成熟するとロゼットを形成する種が多い」の様に使えます。大変便利な言葉ですね。

学名
ラウリンソニーの学名は1976年に命名されたGasteria rawlinsonii Oberm.です。Oberm.は南アフリカの植物学者であるAnna Amelia Mauve (旧姓 Obermeyer)のことです。南アフリカとローデシア(ジンバブエ)で採取した4000以上の植物をカタログ化したことで知らています。


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最近、「アロエ・プリカティリス」の名前で、まったくトゲがなく青白いアロエを目にします。"乙姫の舞扇"の名前もありますが、その名前の通り、葉は旋回しないで左右にきれいに別れて並びます。国内では割りと珍しい多肉植物でしたが、最近では実生苗が出回っていて入手は容易になってきました。
プリカティリスは2013年にアロエ属から独立し、クマラ属Kumaraとなりました。クマラ属はKumara plicatilis(乙姫の舞扇)とKumara haemanthifolia(眉刷毛錦)の2種類のみからなる分類群です。プリカティリスがアロエから分離した経緯は以下の記事をご参照下さい。

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Kumara plicatilis

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"fun aloe"の名前の通り扇状。"plicatilis"も「折り畳むことが出来る」という意味ですから、扇の様な見た目から来ているみたいですね。

プリカティリスは南アフリカの西ケープ州のいくつかの山に自生し、幹は高さ3~5mになります。プリカティリスの自生地はFranschhoekとElandskloofの間の地域に限定され、17の個体群がそれぞれ10km以上離れて点在するそうです。プリカティリスは水はけの良い弱酸性の岩の多い斜面に生えます。
プリカティリスはフィンボス(南アフリカの灌木植生地域。地中海性気候で冬に雨が多い海岸から山岳までの地域)に生えますが、プリカティリス以外のアロエはほとんど生えません。例外はAloiampelos commixtaやKumara haemanthifoliaです。また、海外の松やアカシアが侵入しているそうですが、それほど増えておらず現状においては、問題になってはいないようです。プリカティリスの最大の脅威は園芸用の採取ですが、それほど盛んではないのか個体数の減少は見られていません。
フィンボスではどうやら山火事が起きるみたいですが、プリカティリスの幹は燃えにくいとされています。環境に対応しているということなのでしょう。

そういえば、プリカティリスは挿し木で増やせるらしいのですが、その事と関連して面白い報告があります。Werner Voigtが2009年に、Goudiniのプリカティリスがケープハイラックスという動物による食害を受けている事を報告しています。ハイラックスはプリカティリスの幹に登り、枝を噛み砕いて水分の豊富な中を食べるそうです。この時に地面に落ちた先端部分は直ぐに根付くそうです。

プリカティリスの花には蜂や甲虫などの昆虫、さらにはタイヨウチョウが蜜を吸いにきて受粉します。昆虫とタイヨウチョウという組み合わせは、アロエ属とクマラ属の共通点ですね。

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いつの間にやら根がはみ出していました。来年は植え替えしないといけませんね。

育てた感想としては、プリカティリスは非常に丈夫で、遮光しなくても日焼けしないし、乾燥にも恐ろしく強い植物だということです。調べたところ、pH5.5~6.5という酸性土壌で育つという情報もありました。普通、酸性土壌と言った場合でも実際は弱酸性のpH6.5から中性が普通ですから、ここまで酸性に耐えられることは珍しく感じます。しかし、私は何も考えないで、適当な用土で植えていて実際に育っているわけですから、そこまでうるさくはないのでしょう。

プリカティリスの学名は2013年に命名されたKumara plicatilis (L.) G.D.Rowleyです。プリカティリスがはじめて命名されたのは1753年に命名されたAloe disticha var. plicatilis L.でした。A. distichaは現在のGasteria distichaのことです。しかし、1768年にAloe plicatilis (L.) Burm.f.と独立しました。つまりは、クマラ属になるまで200年以上アロエ属だったわけです。
これはまったくの余談ですが、Aloe distichaと命名された多肉植物は3種類あります。一つ目は1753年のAloe disticha L.で現在のGasteria disticha (L.) Haw.、二つ目は1768年のAloe disticha Mill.で現在のAloe maculata All.、最後に1785年のAloe disticha Thunb.で現在のGasteria carinata var. thunbergii (N.E.Br.) van Jaarsv.です。混乱の元なので、一応記しておきました。
プリカティリスは異名が沢山ありますが、アロエ属とされた異名は1782年にAloe linguiformis L.f.、1784年にAloe tripetala Medik.、1785年にAloe lingua Thunb.、1796年にAloe flabelliformis Salisb.が命名されています。ここでもややこしいことに、Aloe linguiformis Mill.がGasteria distichaの異名だったり、Aloe linguiformis DCがGasteria carinataの異名だったり、Gasteria distichaやGasteria carinataがかつてはAloe linguaの別の変種扱いされてきたり、なんとも複雑な経緯を辿っています。
また、プリカティリスは現在は存在しないリピドデンドルム属とされたことがあります。1811年に命名されたRhipidodendrum distichum Willd.あるいは1821年に命名されたRhipidodendrum plicatile (L.) Haw.です。リピドデンドルム属はそもそもは、Rhipidodendrum dichotomumつまりはAloidendron dichotomum(=Aloe dichotoma)とプリカティリスのために創設された属名だったりします。



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最近、ガステリアが気になって仕方ありません。まったくもって、すっかり流行りから外れた感のあるガステリアですが、だからといってその美しさや素晴らしさが減衰したなんてことはありません。そんなこんなで、じわじわガステリアを集めはじめていますが、最近記事にするようになってからは、論文も少し読んだりしています。そんな論文ですが、中々面白いことが書いてあり、特にガステリア・ピランシーの立ち位置が意外と重要かもしれないと考えさせられました。
ガステリア・ピランシーは南アフリカ西部に分布する大型のガステリアです。しかし、遺伝子解析の結果から、ピランシーはガステリア属の中でも系統的には原始的とされています。


DSC_1615
ピランシーの苗。

2021年に出た『Phylogeny of the Southern African genus Gasteria duval (Asphodelaceae) based on Sanger and next generation sequencing data』という論文では、何とガステリア属29種の遺伝子を解析して、系統関係を推測しています。シークエンス解析という遺伝子の配列を読む技術があるのですが、その中でもサンガー法という方法があり、そのサンガー法と新しいシークエンス技術で解析した論文です。ここでは、細かい技術的な話や系統解析の議論は省略して、最終的な結論のみを示します。種と種の関係性と、進化の道筋を示した分子系統です。

南アフリカを大まかに北西部、南西部、南部、南東部、北西部に分けると、それぞれの産地のガステリアは遺伝的に近いことが分かりました。面白いのは、ガステリア属は南アフリカの北西部で生まれて、①→②→③→④→⑤と西から東へ分布を拡げながら東進して様々な種に別れたように見えるのです。この系統の根元にある①北西部産ガステリアとはGasteria pillansiiのことです。

ガステリア属の分子系統
┏━━━━①北西部産ガステリア
┃                    (G. pillansii)
┫┏━━━②南西部産ガステリア
┃┃
┗┫┏━━③南部産ガステリア
    ┃┃
    ┗┫┏━④南東部産ガステリア
        ┗┫
            ┗━⑤北東部産ガステリア


②南西部産ガステリア
┏━━━━━━G. vlokii

┫    ┏━━━━G. koenii
┃┏┫
┃┃┗━━━━G. brachyphylla
┗┫
    ┃    ┏━━━G. thunbergii
    ┃┏┫
    ┃┃┗━━━G. carinata 
    ┗┫                      var. glabra
        ┃
        ┃┏━━━G. retusa
        ┗┫
            ┃┏━━G. carinata
            ┗┫
                ┃┏━G. langebergensis
                ┗┫
                    ┗━G. disticha

③南部産ガステリア
④南東部産ガステリア
⑤北東部産ガステリア
    ┏━━━━━━━③G. bicolor                          
┏┫                                         
┃┗━━━━━━━③G. rawlinsonii                 
┃                                             
┫┏━━━━━━━③G. nitida 
┃┃
┃┃         ┏━━━━④G. excelsa
┃┃     ┏┫
┃┃     ┃┗━━━━④G. pulchra
┃┃     ┃
┃┃┏ ┫ ┏━━━━④G. ellaphieae                         
┃┃┃ ┃ ┃ 
┃┃┃ ┃ ┃    ┏━━④G. polita
┗┫┃ ┗ ┫┏┫
    ┃┃      ┃┃┃┏━④G. acinacifolia
    ┃┃      ┃┃┗┫
    ┃┃      ┗┫    ┗━④G. barbae
    ┃┃          ┃
    ┃┃          ┃┏━━④G. armstrongii
    ┗┫          ┗┫
        ┃              ┃┏━④G. glauca
        ┃              ┗┫
        ┃                  ┗━④G. glomerata
        ┃
        ┃    ┏━━━━⑤G. croucheri
        ┃┏┫
        ┃┃┗━━━━⑤G. loedolffiae
        ┗┫
            ┃┏━━━━⑤G. tukhelensis
            ┗┫
                ┃┏━━━⑤G. batesiana
                ┗┫                      var. batesiana
                    ┗━━━⑤G. batesiana
                                               var. dolomitica

論文の内容はここまでとして、ピランシーの自生地の情報を調べて見ました。
ピランシーは"Namaqua gasteria"の名前の通り、ナマクアランドに生えます。分布で言うと、南アフリカとナミビア最西端です。ピランシーはアフリカ西岸に生える唯一のガステリアで、また冬に雨季がある地域なんだそうです。夏は40℃に達します。
ピランシーはナマクアランドの海岸の断崖から標高1000mまで見られ、低木の下や岩陰に生えます。pHは6.8~7.8ですから、どちらかと言えば弱アルカリ性で育つと言えます。
自生地では、根元から子を吹いて約150個体が密集して1mほどの塊となるそうです。
Clanwilliamの南では、Diospyros ramulosa(柿の仲間)やMontinia caryophyllacea(乾燥地の低木)の陰にピランシーは生え、Lampranthus thermarum(マツバギクの仲間)やTylecodon paniculatus("阿房宮")、Tylecodon reticulatus("万物想")、Cotyledon orbiculata、Stapelia hirsuta、Prenia pallensがともに生えます。
Port Nolloth地域のOograbies山では、ピランシーはTylecodon racemosusやTylecodon similis、Tylecodon schaeferianus("群卵")、Haworthia arachnoidea、Crassula hemisphaerica("巴")、Crassula columella、Conophytum stephaniiなどが生える、世界有数の多肉植物の産地に生えます。しかし、これだけ分布域が広く、しかも個体数が多いためまったく保護の必要はないとのことです。


ピランシーの学名は1910年に命名されたGasteria pillansii Kensitです。Kensitは南アフリカの植物学者、分類学者のHarriet Margaret Louisa Bolusです。Kensitは旧姓で、一般にはL.Bolusの略名で知られているかもしれません。L.Bolusはアフリカ多肉植物協会の副会長や南アフリカ王立協会のフェローなど歴任し、大変な業績のある人物のようです。
また、ピランシーには1929年に命名されたGasteria neliana Poellnという異名があります。
ピランシーには変種があり、2007年に命名されたGasteria pillansii var. hallii van Jaarsv.と、1992年に命名されたGasteria pillansii var. ernesti-ruschii (Dinter & Poelln.) van Jaarsv.があります。var. ernesti-ruschiiは1938年に命名された時はGasteria ernesti-ruschii Dinter & van Jaarsv.でしたが、現在はピランシーの変種となりました。
G. pillansii var. halliiは、Port Nolloth近くのOograbies山、G. pillansii var. ernesti-ruschiiはナミビア極北から知られています。



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レイストネリはナミビアとアンゴラのごく狭い地域に自生するユーフォルビアです。見た目からして地味なためか、基本的に売っていませんし、ネットの情報も国内だとほぼありません。海外のサイトでは多少の情報はありますが、それでもあまりないようです。
海外のサイトの情報だと、ナミビア北西とアンゴラ南西のKunene川付近に自生するとあります。もう少し詳しい情報はないかと調べていたら、1998年に出た『Euphorbia leistneri (Euphorbiaceae), a new species from the Kaokoveld (Namibia)』というレイストネリについて書かれた論文を発見しました。著者はR.H.Archerとあります。レイストネリは1998年に命名されたEuphorbia leistneri R.H.Archerですから、この論文がレイストネリが命名され世界に知られた第一報ということになります。ということで、この論文を簡単に紹介していきたいと思います。

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Euphorbia leistneri

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徐々に木質化していきます。

南アフリカのプレトリア国立植物園にある低木状ユーフォルビアであるE. leistneriは、ナミビアのKaokoveld北部のEpupa滝の近くで1976年にO.A.Leistner博士により収集されました。ただし、これはE. monteiroi(柳葉キリン)と間違われていたようです。レイストネリの名前は発見者のLeistner博士に対する献名です。

レイストネリの特徴は、まばらに枝分かれする低木です。葉は時計回りに螺旋状に10~20枚で、緑色の楕円形で25~30mm × 70~90mm。茎は細かい赤みを帯びた淡い緑色、葉の付け根に色素沈着があります。現地では12月から1月に開花し4月に種子を採取したとあります。花の特徴は分類学上では大変重要なので長々と解説してありますが、ここでは割愛させていただきます。

Kaokoveldは人里離れた山岳地帯で、116種の固有種あるいは固有種に近い植物が生えています。レイストネリはKunene川のEpupa滝の近くの狭い地域に非常に稀です。1997年の調査では200平方メートルの狭いエリアでしか見つからず、地元の住民に聞いても他では見たことがないとのことです。論文ではKunene川の両岸の更なる調査が必要としています。


現在、Kunene川では水力発電計画により自生地が消滅する可能性があり、今後地球上から野生のレイストネリが失われてしまうかもしれません。大変悲しいことですが、役に立たない植物より地元の人々の生活を優先するのは仕方のないことです。特にそれを遠く離れた便利な生活を享受している先進国の人間が批判することほど、地元の人々からしたら傲慢かつこれ程お門違いな話はないでしょう。もし、どうにかしたいのであれば、現地に行って保護活動をして、現地の人々が発電所開発で享受出来たはずの恩恵を、別の手段で代替するしかありません。まあ、そんな人はいませんから、どうにもならないでしょうね。


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7月初めに新羽駅(横浜)近くにあるヨネヤマプランテイションで開催されたBIG多肉植物即売会で、ゴットレベイという原種花キリンを購入しました。モジャモジャと絡み付くような細長い葉と、鮮烈な赤い花で花キリンとしても非常に特徴的です。

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購入時。細長い葉と赤く花が特徴。

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植え替えましたが、ようやく新しいトゲが出てきました。雨に当てない無遮光栽培。

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神代植物公園の大温室のゴットレベイの大群生株。ここまで育てるのに、どれくらいの年数がかかっているのでしょうね。右側から塊根性のウリ植物Xerosicyosの蔓が伸びてきて絡み付いていますが、蔓を少しカットするか空いている方へ誘引してあげて欲しいですね。

そういえば、ゴットレベイは花キリンですから、やはりマダガスカルの原産です。野生株は園芸用に採取されておりますが、現在個体数は問題ないレベルのようです。
ゴットレベイの学名は1992年に命名されたEuphorbia gottlebei Rauhです。Rauhはドイツの生物学者、植物学者、作家のWerner Rauhです。Rauhはアナナス科と多肉植物の専門家で、アフリカや中南米へ毎年のように調査に訪れ、アナナスやマダガスカルの植物についての本を出版しています。


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臥牛と言えばガステリアの代表格です。ガステリア自体はあまり販売していませんが、臥牛の美しい品種はまだ見る方です。そんな臥牛の学名と言えば、Gasteria nitida var. armstrongiiとして知られています。しかし、最新の論文では臥牛はニチダの変種ではないとされています。どういうことなのでしょうか?

臥牛はニチダの変種であり、ネテオニーの可能性があると言わることもあります。ネテオニーとは日本語では幼形成熟ですが、例えば昔流行ったウーパールーパーなるサンショウウオがありましたが、あれは幼生のまま育って成熟したメキシコサラマンダーです。同様に、ニチダは幼体のうちは左右に葉が並びますが、育つと葉は旋回してアロエの様なロゼットを形成します。しかし、臥牛の葉は旋回しません。よって、臥牛はニチダの幼体のまま育ったものだと言うのです。
なぜ、その様に言われるのかは定かではありませんが、ニチダとアームストロンギイは分布域が重なり、Gamtoos river付近では混在するからかもしれません。

最新の遺伝的解析による分子系統を示します。2021年に出たPhylogeny of the Southern African genus Gasteria duval (Asphodelaceae) based on Sanger and next generation sequencing data』という論文です。
G. nitidaはG. rawlinsonii、G. bicolorと近縁とされます。しかし、アームストロンギイは必ずしもニチダに近縁ではないため、G. armstrongiiとして独立種とされています。そのG. armstrongiiは、G. glaucaやG. glomerataと近縁であり、G. polita、G. acinacifolia、G. barbaeと姉妹群を形成しています。


    ┏━━━━━━━G. bicolor                          
┏┫                                         
┃┗━━━━━━━G. rawlinsonii                 
┃                                             
┫┏━━━━━━━★G. nitida 
┃┃
┃┃         ┏━━━━G. excelsa
┃┃     ┏┫
┃┃     ┃┗━━━━G. pulchra
┃┃     ┃
┃┃┏ ┫ ┏━━━━G. ellaphieae                         
┃┃┃ ┃ ┃ 
┃┃┃ ┃ ┃    ┏━━G. polita
┗┫┃ ┗ ┫┏┫
    ┃┃      ┃┃┃┏━G. acinacifolia
    ┃┃      ┃┃┗┫
    ┃┃      ┗┫    ┗━G. barbae
    ┃┃          ┃
    ┃┃          ┃┏━━★G. armstrongii
    ┗┫          ┗┫
        ┃              ┃┏━G. glauca
        ┃              ┗┫
        ┃                  ┗━G. glomerata
        ┃
        ┃    ┏━━━━━G. croucheri
        ┃┏┫
        ┃┃┗━━━━━G. loedolffiae
        ┗┫
            ┃┏━━━━━G. tukhelensis
            ┗┫
                ┃┏━━━━G. batesiana
                ┗┫                     var. batesiana
                    ┗━━━━G. batesiana
                                             var. dolomitica

私が学名の根拠としている『The World checklist of Vascular Plants』によると、臥牛はGasteria nitida var. armstrongiiとなっています。しかし、その根拠は2003年の『Plants of Southern African  : an annotated checklist.』と『World Checklist of Seed Plants Database in Access G』によります。
しかし、これらは最新情報に改定を繰り返しますから、次の改定では学名が変わるかもしれませんね。
ニチダの学名は1817年に命名されたAloe nitida Salm-Dyckが最初ですが、1827年にはGasteria nitida (Salm-Dyck) Haw.となり、これが現在認められている学名です。1830ににはHaworthia nitida (Salm-Dyck) G.Donも提唱されましたが、認められておりません。
臥牛の学名は1912年に命名されたGasteria armstrongii 
Schönlandですが、1992年にはGasteria nitida var. armstrongii (Schönland) van Jaarsv.とされました。果たして最新の研究結果からG. armstrongiiが認められるのでしょうか。その場合、昔の学名に戻ることになりますね。

DSC_1614
Gasteria armstrongii GM07c-5
フィールドナンバー付き。典型的な臥牛ではありませんが、これはこれで個性的。


臥牛はJeffreys Bayと東ケープ州のGamtoos riverに分布します。臥牛はガステリアの自生地に多い崖地ではなく、小石が多い平坦あるいは丘陵地に自生するようです。自生地には、Pachypodium bispinosum、Boophone disticha、Bergeranthus glenensis、Euphorbia gorgonis、Freesia alba、Crassula tetragona subsp. acutifoliaが見られるとのことです。
しかし、臥牛は野生株は絶滅危惧IA類という最も高いレベルの危機に瀕しています。臥牛は平坦地に生えることから採取しやすく、園芸的に人気があるため盗掘の被害にあっているそうです。また、平坦地ということで、農業用地として開拓されてしまうことにより、自生地が失われています。人の生活圏と生息地が重ってしまうと、生息地が失われて危機に瀕するというのはよくある話ですが、多肉植物好きとしてはとても悲しく思います。





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フィリプシオイデスは、最近少しずつ国内でも販売されるようになってきた、ソマリア原産のユーフォルビアです。去年の冬にあった千葉のイベントで入手しましたが、購入時はトゲが弱くあまり特徴が分からない雰囲気でしたが、最近になってようやく良いトゲが出てきました。しかし、標高1300~1500mに生えるソマリアものですから、これからの暑い季節は苦手でしょうね。

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2021年12月。購入時。
蕾付きでしたが、全体的にトゲは弱いみたいです。


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花はとても小さいので、接写はこれが限界です。

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2022年7月。良いトゲが出てきました。子吹きもして、これからが楽しみです。

フィリプシオイデスの学名は1992年に命名されたEuphorbia phillipsioides S.Carterです。S.Carterはイギリスのユーフォルビア、モナデニウムを専門とする植物学者のSusan Carter Holmesです。Carterは国際ユーフォルビア協会(IES)の会長です。
そういえば、フィリプシオイデスの"-oides"は「~に似た、~の様な、~状の」という意味です。これは、「phillipsi + oides」、つまりEuphorbia phillipsiae(=Euphorbia golisana)に似ているという意味となります。フィリプシオイデスもフィリプシアエも同じソマリア原産で分布も同じです。フィリプシアエは1903年の命名ですが、どうやらフィリプシオイデスと混同され勝ちだったようです。それから89年後にようやく区別されました。

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Euphorbia phillipsiae
フィリプシアエのトゲは赤く、トゲが白いフィリプシオイデスとは異なります。しかし、トゲの形や生えかたは同じです。



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アロエ・ボウィエアは南アフリカ原産のアロエです。あまりアロエっぽさがない外見のボウィエアですが、記事を遡って調べてみたら、ちょうど2年前の今頃に入手したようです。入手した頃に一度記事にしておりますが、実際に栽培した所感を含め、改めて記事にしてみました。

かつてのボウィエアの記事はこちら。

アロエ・ボウィエアは一見して球根植物というか、最近流行りのケープバルブのように見えなくもありません。私もはじめて見た時に、根元はずんぐりして葉は先端が細長く伸びる姿を見て、まるでエアープランツ(Tillandsia)の様だと思いました。
それから2年間育てた結果わかったことは、強光や乾燥には耐えられるものの、そういう育て方では綺麗に育たないということです。どうもあまり強光に当てると細い葉先が枯れ混んで、アロエ・ボウィエアらしいアロエとしては風変わりな姿を観賞出来なくなります。去年はそれで失敗しましたから、今年はハウォルチアやガステリアと同じ棚で遮光気味に管理しております。葉は完全回復とはまだ言えませんが、大分良くなりつつあります。


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2022年1月。
葉先が枯れてしまいました。ボウィエアは細い葉が長く伸びるのが特徴なので、ややみすぼらしく見えます。


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2022年7月。
4月に外に出して、ハウォルチアやガステリアと並べて育ててきました。たった3ヶ月ですが、長い葉が伸びてきて少し見られるようになってきました。


アロエ・ボウィエアの学名は1829年に命名されたAloe bowiea Schult. & Schult.f.です。
最初に命名された学名はBowiea africana Haw.でした。ボウィエア属からアロエ属に移動する際、普通は種小名は引き継ぎますが、何故かAloe africanaにはなりませんでした。これは、1768年にAloe africana Mill.というアロエがすでに命名されていたからです。同じ名前は認められませんから、新たにbowieaという種小名がつけられたわけです。


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最近、ハウォルチオプシスやらアストロロバやら、いわゆるアロエ類に興味があります。詳しく知りたくなり、アロエ類についての論文を読んで紹介したりしました。

アロエ類と言えば当時ながらアロエ属とハウォルチア属、さらにはツリスタ属、アストロロバ属、ハウォルチオプシス属と手を広げてきました。そうなると、俄然ガステリア属にも興味が湧いてくるのは自然の摂理というものでしょう(?)。
さてそんな中、エラフィエアエというガステリアを入手しました。白点が密に入る、いかにもガステリアらしい美しい種類です。どのような植物なのでしょうか?

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Gasteria ellaphieae
エラフィエアエは画像の様に多肉質の平たい葉が左右に伸びていますが、生長すると葉が旋回してロゼットを形成するようです。これからの生長が楽しみです。


エラフィエアエの原産地は南アフリカの東ケープ州にあるKougaダム地域とのことです。私がおやっと思ったのは、先週記事にした「白雪姫」ことGasteria glomerataもやはりKougaダムと関係があるからです。そういえば、エラフィエアエの学名の命名は1991年のGasteria ellaphieae van Jaarsv.ですが、グロメラタもやはり1991年にvan Jaarsveldに命名されています。エラフィエアエ自体はvan JaarsveldがKouga地域でAloe pictifoliaを探していた時に偶然発見したようですが、この時にグロメラタも発見されたのかもしれませんね。
エラフィエアエもグロメラタと同様に、切り立った崖の斜面に生えるそうです。そして、やはりタイヨウチョウによって受粉されるというところも同様です。


グロメラタの記事はこちら。
何でも、エラフィエアエの自生地には竜城Haworthiopsis viscosaやHaworthia isabellaeが生えるということです。この様な自生地にともに生える植物の情報は興味深くもっと知りたいのですか、調べてもあまり出てこないのが現状です。いちいち論文で確認を取るのは中々手間がかかりますから難しいところです。(※古い論文は紙の出版物ですから、デジタル化されていません。ネットで探してもないことも良くあります)

しかし、ガステリア自体は昔から流通していますが、実際にはそれほど販売していませんね。要するに人気が今一つなのでしょう。ビッグバザールでも見かけたガステリアは流麗な斑入り品種、臥牛系交配種や選抜品種、あるいは恐竜ぐらいだったような気がします。ちなみに恐竜はピランシーのことだったり、ピランシー系交配種も恐竜と呼んだりもするらしく、あやふやすぎていまいち手が出せません。
ガステリアは日本でも長い歴史があり、ガステリア・ファンにより優れた品種が沢山作られてきました。しかし、私は何だかんだ言っても原種が好きなので、かつての流行にも乗れないでいます。原種はあまり入手出来ないでいますが、イベントなどでの一期一会を楽しみにしていますから、ネット販売品をかき集めたりはせず、ゆっくり集めていきたいと思っております。まあ、ネット販売品は明らかに名前が違っていたり、最近では徒長していたり腐りかけていたり、怪しげなものが多すぎることもありますけどね。いくつかの販売サイトは、記事を書くための情報収集としてサイトを見ようとしたらウイルスソフトが詐欺サイトと判断して警告を出してくる始末です。何とも困ったことです。



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以前、池袋の鶴仙園に行った降り、サボテンハウス(?)の端の方にミニ多肉があり、良く見るとユーフォルビアでした。中にEuphorbia richardsiaeがあり、これははじめて見ました。さらに"オンコクラーダ"なるユーフォルビアもあり、悩みつつも購入しました。
さて、かつてユーフォルビア属の分類を調べた事があり、こういう棒状のユーフォルビアは結構種類があり、どれも良く似ていることが分かりました。ですから、見分けがつかないのにコレクションするのもどうかという思いがあり、手を出してきませんでした。しかし、実際に育てて見ないとわからない部分もあると思い直して、購入に至りました。


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調べて見ると、ユーフォルビア・アルアウディイの亜種オンコクラダであることが分かりました。しかし、基本種のアルアウディイと亜種オンコクラダの違いは何かというといまいち分かりません。オンコクラダは枝が節毎に膨れるので、そこが違いなのでしょうか?
私の入手した株も良く日に当てて育てれば膨れるのでしょうか? まだ分かりません。

そういえば、オンコクラダはマダガスカル原産みたいです。ここで一つ思い付いたのは、このように棒状の形態に特殊化した多肉ユーフォルビアはマダガスカル島の固有なのではないかということです。例えば、花キリンの仲間、つまりユーフォルビア亜属ゴニオステマ節は基本的にマダガスカル原産の固有種です。オンコクラダの形態は類似種含めて、マダガスカル島で特殊化したものなのでしょうか。調べてみました。

ユーフォルビア属の分類の記事はこちら。

オンコクラダはユーフォルビア亜属デウテロカリィ節です。デウテロカリィ節はアルアウディイ、アルアウディイ亜種オンコクラダ、ケドロルム(E. cedrorum)があります。ケドロルムもマダガスカルの固有種です。なるほど、まさにマダガスカルで特殊化した様に見えます。しかし、棒状ユーフォルビアはデウテロカリィ節だけではありません。有名種はユーフォルビア亜属ティルカリ節に含まれます。

ティルカリ節と言えば、緑珊瑚=ミルクブッシュ(E. tirucalii)や形は異なりますが近縁のトナカイ角=銀角珊瑚(E. stenoclada)、硬葉キリン=ヘラサンゴ(E. xylophylloides)が有名です。ミルクブッシュは東アフリカ原産とも言われますが、生け垣などとして各地で植えられたため、世界中で野生化しており、必ずしも東アフリカ原産とは言えないようです。原産地不明とする方が良いでしょう。ヘラサンゴ、トナカイ角はマダガスカル原産です。他のティルカリ節であるE. analalavensis、E. arahaka、E. kamponii、E. enterophora、E. fiherensisはやはりマダガスカル原産です。しかし、E. gregariaは南アフリカ・ナミビア原産、ヘラサンゴに似たE. enterophoraはソコトラ島原産で、マダガスカル原産ではありません。各地で棒状に進化した可能性もありますが、マダガスカルで棒状に進化した後、各地に広がったとする方が自然です。もちろん、アフリカ大陸で棒状ユーフォルビアが誕生して、マダガスカル島に伝播して急激に種分化した可能性も存在します。

さて、外見が似ているからと言って近縁であるとは、必ずしも言えません。しかし、ともにほとんどがマダガスカル固有種であることから、デウテロカリィ節とティルカリ節は近縁である可能性は大でしょう。そういえば、ユーフォルビア亜属ブラジリエンセ節には夜光キリン(E. phosphorea)という棒状ユーフォルビアがあり、節の名前の如くブラジル原産です。さらに、ブラジリエンセ節には夜光キリンの他にも、E. attastomaやE. sipolisiiがありやはりブラジル原産です。しかし、外見上はデウテロカリィ節やティルカリ節とは、やや雰囲気が異なります。近縁関係は不明ですが、南米で特殊化したユーフォルビアかもしれません。


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生長を開始して先端が枝分かれしました。

アルアウディイのとオンコクラダの学名は1903年に命名されたEuphorbia alluaudii DrakeEuphorbia oncoclada Drakeとされました。しかし、オンコクラダは1976年にアルアウディイの亜種Euphorbia alluaudii subsp. oncoclada (Drake) F.Friedmann & Cremersとなりました。

そういえば、ミルクブッシュを緑珊瑚という風に、この手の棒状のユーフォルビアを◯◯珊瑚と呼んだりします。私は勝手に珊瑚系ユーフォルビアなんて呼んでいます。オンコクラダは私が入手したはじめての珊瑚系ユーフォルビアです。これからどう育つのか楽しみです。



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先週、Gasteria glomerataについての記事をまとめました。その記事のコメント欄で、Gasteria batesiana var. dolomiticaについてリクエストがありました。
調べてみますと中々面白いガステリアであることは分かりました。しかし、私自身はドロミチカを育てておりませんから、写真もないし記事としてはややつまらないのではと思いまして、ガステリアについて書かれた論文の軽い紹介も含め一つの記事とさせていただきます。

バテシアナとドロミチカ
さて、ドロミチカの基本情報の紹介です。しかし、ドロミチカはバテシアナの変種ですから、バテシアナについても解説します。そういえばバテシアナは「春鶯囀」なる名前がつけられていますね。
ここで一つ注意しなければならないことがあります。Gasteria batesianaは、Gasteria batesiana var. batesianaのことを言っている場合と、G. batesiana var. batesianaとG. batesiana var. dolomiticaを合わせた総称のことを言っている場合があります。学術的には単にGasteria batesianaと書いた場合は変種も全て含めた総称ですが、園芸的・あるいは趣味家がGasteria batesianaと書いた場合はvar. batesianaのことを言っています。ですから、園芸的には、春鶯囀=G. batesiana var. batesianaと、G. batesiana var. dolomiticaがあって区別しますが、var. batesianaは省略されて単にG. batesianaと表記されてしまいます。実にややこしいですね。
ですから、ここで言うバテシアナはvar. batesianaとvar. dolomiticaを合わせた解説と思って下さい。

分布域
バテシアナの分布はKwaZulu-Natal北部のTukhela (Tugela) riverの北部からLimpopo州のOlifants riverまでの内陸部の断崖の東側に自生します。実はバテシアナはガステリア属の中で最も北に自生する種であることが知られています。その中でもドロミチカはMpumalangaの切り立ったドロマイトの崖に自生しますが、ドロミチカはバテシアナの中でも自生地は最北端にあるとのことです。

ドロマイトについて
ここで一つドロマイトについて、考えたいことがあります。ドロマイトは苦灰石あるいは白雲石と呼ばれますが、苦灰石の苦(苦土)=マグネシウム、灰(石灰)=カルシウムを示しています。つまり、ドロマイトはマグネシウムとカルシウムを含んだ鉱物であるということです。ドロマイトはカルシウムを含むためアルカリ性ですが、このアルカリ性かつマグネシウムを含むという特徴はかなり重要なことに思えるのです。

畑に野菜などを作る時に石灰を撒きますが、あれは酸性に傾きすぎた土をアルカリ性で中和するためです。別に土をアルカリ性にしているわけではありません。微生物の働きで酸が出来ます。さらに、植物の根からも酸が出ますから、土はやがて酸性が強くなり、植物の栽培に適さなくなります。ですから、石灰を撒くわけです。
ただし、水田に鉄分とケイ素補給のために撒く「ケイカル」を畑に撒くと、土は何年もアルカリ性になります。しかし、土がアルカリ性だと何故か作物の出来がいまいちとなり勝ちでした。その原因は、アルカリ性だとマグネシウムの吸収が悪くなるためと考えられています。

現在戦火に見舞われているウクライナは昔から優れた穀倉地帯として有名ですが、土壌はアルカリ性です。何故、作物が育つのでしょうか。それは土壌にマグネシウムが豊富に含まれているからです。日本の土壌はミネラルが余りありませんから、マグネシウムを畑に撒けばアルカリ性でも問題なく作物は育ちます。話をまとめると、土壌がアルカリ性だとマグネシウムの吸収を阻害するものの、マグネシウムが豊富なら問題はないということです。

よって、ドロマイトはアルカリ性ですが、マグネシウムを含むためドロミチカは生育できるのではないかということです。ドロミチカの栽培はアルカリ性にした方が良いかは分かりませんが、もし石灰を撒いてアルカリ性にするならば、マグネシウムもあった方が良いいと思います。やはり、ただの石灰ではなくマグネシウムが豊富な苦土石灰が良いのではないでしょうか? 苦土石灰は苦土=マグネシウム、石灰=カルシウムですが、これは苦灰石(ドロマイト)と同じですね。調べたところ、なんと苦土石灰はドロマイトを粒状に加工したものとのことです。苦土石灰を与えることが、ドロミチカの生育にプラスになるかもしれません。


保全状況
学術調査によるとバテシアナは自生地では非常に希な植物とのことです。しかし、現地ではバテシアナは薬用植物として利用されています。詳細は書かれていませんでしたが、ただの薬草ではなく呪術的な意味合いがあるようです。アフリカには呪術医(ウイッチドクター)がおり、未だに幅を利かせていますからね。まあ、それでもバテシアナは崖に生えますから、採取できない高さにあるものは無事とのことです。いずれにせよ、珍しい植物であることは間違いありません。

新しい論文
ガステリア属は見分けるべき特徴が少なく、皆良く似ているため、学者泣かせの植物です。生長に伴い葉の形が変わったりもしますから、その分類や系統関係の推測はさらに難しいものとなっています。
2021年に出た『Phylogeny of the Southern African genus Gasteria duval (Asphodelaceae) based on Sanger and next generation sequencing data』という論文では、何とガステリア属29種の遺伝子を解析して、系統関係を推測しています。ただし、この論文は100ページを超える大部なもので、まだ全てを読めてはいません。とりあえず、バテシアナについてのみ見てみると、以下の様な系統となっています。


        ┏━━G. batesiana
    ┏┫            var. dolomitica
    ┃┗━━G. batesiana
┏┫                var. batesiana
┃┗━━━G. tukhelensis

┃┏━━━G. croucheri
┗┫
    ┗━━━G. loedolffiae

この系統図を見た時に、おやっと思いました。南アフリカの東側のガステリアの分布と、分子系統がぴったり合っているからです。南アフリカのガステリアは東側では、G. loedolffiae→G. croucheri→G. tukhelensis→G. batesiana→G. batesiana var. dolomiticaという順番で北東に並ぶように分布します。どうやら、南アフリカの南端から東側にガステリア属が分布を拡げたようです。現在、その最先端がドロミチカと言えるのかもしれません。

鳥媒花
ガステリア属は鳥に花粉を運んでもらう鳥媒花です。それは、ドロミチカも同様です。花粉を運ぶのは、蜜を吸いにくるタイヨウチョウです。ちなみに、タイヨウチョウは南アフリカに21種類いるそうです。

面白い増えかた
ドロミチカは葉先が土に触れると、なんと葉先から子を吹く性質があります。葉が反り返る形状からして、地面に葉先が触れる事が多いのかもしれません。根元からのみ子吹きするよりも、少し離れた場所に新しい株が定着すれば、分布を拡大するに当たって有利なのでしょう。

学名
バテシアナの学名は1955年に命名されたGasteria batesiana G.D.Rowleyです。ドロミチカは1999年に命名されたGasteria batesiana var. dolomitica van Jaarsv. & A.E.Wykです。命名者はともに南アフリカの植物学者であるErnst van JaarsveldとAbraham Erasmus van Wykです。 



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かつて硬葉系ハウォルチアと呼ばれていたハウォルチオプシス属は、そのほとんどの種が地味というか、大変渋い存在です。硬葉系の名の如く葉は非常に硬く、ほとんどの種は軟葉系ハウォルチアとは異なりオブツーサの様な美しい透明の窓はありません。葉にはイボがあるものが多くざらざらしており、暗い色彩だったりします。個人的には好きで、今後は軟葉系よりも硬葉系を集めたいと思っています。
しかし、ハウォルチオプシス属は軟葉系ハウォルチアと比べたら人気が今一つなせいか、入手しやすいとは言えない状況です。アテヌアタ交配種の"十二の巻"や、最近普及しているアテヌアタ(H. attenuata)の選抜品種である"特アルバ"は目にしますが、それ以外の種は普通の園芸店では難しいところです。"五重塔"(H. tortuosa)や"竜城"(H. viscosa)あたりは、もしかしたら目にすることはあるかもしれません。そんな中、"スカブラ"(H. scabra)は私もはじめて見掛けましたので驚きつつも購入しました。

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Haworthiopsis scabra
スカブラは実にハウォルチオプシスらしい存在です。細かいイボに覆われて葉の表面はざらつき、葉は尖りコンパクトなロゼットを形成します。地味ではありますが、非常に整った美しい多肉植物だと思います。

さて、スカブラの学名は2013年に命名されたHaworthiopsis scabra (Haw.) G.D.Rowleyです。最初に命名されたのは1819年のHaworthia scabra Haw.ですが、1829年にはAloe scabra (Haw.) Schult. & Schult.f.とされました。ハウォルチアは1809年にHaworthia Duvalが創設されるまでは、アロエ属であったことは珍しいことではなく良くあることです。しかし、ハウォルチア属として命名後にアロエ属とされるのはやや珍しく感じます。まあ、スカブラは質感的に小さいアロエっぽさがまったく無くはないのですが、これは当時のアロエ属の定義が異なっていただけでしょう。当然ながら現在スカブラはアロエではなくてハウォルチオプシスです。
さて、G.D.Rowleyが2013年にスカブラをハウォルチオプシス属とした時に、スカブラに3変種を認めました。つまり、Haworthiopsis scabra var. morrisiae (Poelln.) G.D.RowleyHaworthiopsis scabra var. lateganiae (Poelln.) G.D.RowleyHaworthiopsis scabra var. starkiana (Poelln.) G.D.Rowleyです。さらに、2016年にはHaworthiopsis scabra var. smitii (Poelln.) Gildenh. & Klopperが認められました。しかし、同じく2016年のHaworthiopsis scabra var. johanii (M.Hayashi) Breuerは異名とした認められておりません。まあ、今後変わるかもしれませんが。
それはそうとして、この変種たちの特徴はなんでしょうか? いまいち分かりません。スタルキアナは"風車"の名前で流通していましから分かります。風車はイボがなく肌がツルツルしているタイプです。よく日に当てると、黄色くなります。
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風車(ダルマ型)
Haworthiopsis scabra var. starkiana

変種スタルキアナ以外の変種については、ネット検索して出てきた画像が正しいのか良く分かりませんが、それが正しいとすると以下の通りです。
・変種ラテガニアエは葉が長くザラザラしない。
・変種スタルキアナは葉が短くザラザラしない。
・変種スミティイはイボはあるがツルツル。
・変種モリシアエは情報がなく良く分かりません。

変種のスタルキアナは"風車"と呼ばれますが、これは葉が螺旋状に渦巻くことに由来します。スタルキアナと同様、スカブラの葉もやや螺旋状に育ちます。その程度は個体差がありますが、それはスタルキアナも同様です。ネットでは"強螺旋"だとか、"トルネード型"なんて言われているみたいです。スカブラ系は個体差は大きいので、タイプの違いをコレクションすることも、また楽しいかもしれませんね。



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夏のサボテン・多肉植物のビッグバザールで、Fouquieria ochoterenaeを入手しました。Fouquieriaはメキシコ原産の乾燥地に生える灌木です。

過去にフォークィエリアの種類についてまとめた記事はこちら。

何故かこのFouquieria ochoterenaeをオコチョロ(ocotillo)と勘違いしてしまっていました。一般的にオコチョロとはFouquieria splendensのことで、尾紅寵(おこちょう)とも呼びます。しかし、オコチョロで調べると、メキシコの砂漠に生えるFouquieriaの灌木をオコチョロと呼ぶという解説に行き当たりました。よくよく調べるとFouquieria自体が"ocotillo family"などと呼ばれていることが分かりました。要するに、地元ではFouquieriaの種を区別せずにまとめて"ocotillo"と呼んでいるらしいのです。
ですから、オコチョロ(ocotillo)とはFouquieria属の灌木の呼び名で、尾紅寵はFouquieria splendensの園芸名ということなのでしょう。
さて、どうもそういうことらしいので、我が家の"ocotillo family"を紹介します。


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Fouquieria ochoterenae
ビッグバザール購入品。生長は早いみたいです。

学名は1942年に命名されたFouquieria ochoterenae Mirandaです。

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Fouquieria formosa
今年の夏のヨネヤマプランテイションのイベント購入品。まだ、良く分かりませんが、葉質的には丈夫そうです。

学名は1823年に命名されたFouquieria formosa Kuntです。

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Fouquieria macdougalii
去年の秋のヨネヤマプランテイションのイベント購入品。丈夫みたいですが、育ちはいまいち。
学名は1903年に命名されたFouquieria macdougalii Nashです。1911年に命名されたFouquieria jaboncillo Loesは、現在はマクドウガリィと同種とされています。


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Fouquieria diguetii
2年前に入手しましたが、乾かしぎみにし過ぎて中々育ちません。
ディグエティイが最初に命名されたのは1899年で、Bronnia diguetii Tiegh.Bronnia thiebautii Tiegh.の2種類あるとされました。しかし、この2種は同種として、1925年のFouquieria diguetii (Tiegh.) I.M.Johnst.となりました。また、1903年に命名されたFouquieria peninsularis (Tiegh.) Nashは、現在は異名とされています。

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Fouquieria colummaris
観峰玉の苗。夏のビッグバザールで入手しました。葉ダニにやられて現在回復中。
観峰玉が最初に命名されたのは1863年のIdria colummaris Kelloggです。しかし、1885年にイドリア属からフォークィエリア属になり、Fouquieria colummaris (Kellogg) Kellogg ex Curranとなりました。1886年に命名されたFouquieria gigantea Orcuttは、現在は異名とされています。

フォークィエリアの育て方は、実のところ私にも良く分かっていない部分があります。実際のところ、ユーフォルビアと同じ管理をすると葉がポロポロ落ちてしまうので、どうやらあまり乾かしすぎない方が良いみたいです。さらに、私が育てているのは小さい苗ですから、ことさら乾燥には耐えられないのでしょう。しかし、それでも新しい葉は直ぐに出てきますから、丈夫ではあるみたいです。我が家の"ocotillo family"の中では古株のディグエティイはそんな経緯でここまできたものですから、あまり生長していません。今年から始めた新しい管理方法で上手く育ってくれればいいのですが…


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最近、ホームセンターなどで"インコンスタンチア"という多肉ユーフォルビアを売っていたりします。私もホームセンターで入手しました。外見上は紅彩閣とか勇猛閣に良く似ています。ネット上でも、あまり情報はないようです。
そんな折り、2012
年に発表された『Normenclature and typification of southern African species of Euphorbia Bothalia』という論文を読んでいたところ、蒼蛮閣が自然交雑種であるとあり、前にその事を記事にしました。そして、この論文にはインコンスタンチアについても記述がありましたので、ついでに記事にしてみました。

蒼蛮閣についての記事はこちら。

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インコンスタンチア
学名は一般的にEuphorbia inconstantiaとされています。論文によると、インコンスタンチアは紅彩閣とポリゴナの交雑種とされています。この論文を承けて『The World Checklist of Vascular Plants』において、インコンスタンチアの学名はEuphorbia ×inconstantiaとされるようです。自生地で自然におきた属内交雑種ですね。
さて、ではその交雑親を見てみましょう。


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紅彩閣 Euphorbia heptagona
紅彩閣の学名はヘプタゴナです。しかし、紅彩閣はE. enoplaとされることが多く、一般的にエノプラという名前で売られています。
エノプラの命名は1860年ですが、ヘプタゴナの命名は1753年です。命名は早い方が優先ですから、ヘプタゴナが正式な学名となり、エノプラは異名(シノニム)です。
ちなみに、紅キリンE. aggregataがエノプラの名前で売られることがあったみたいですが、あまり似ていません。

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紅キリン Euphorbia aggregata
紅キリンは関係ありません。

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ポリゴナ Euphorbia polygona
ホリダE. polygona var. horridaはよく売っていますが、ポリゴナはあまり見ませんね。現在ではホリダはポリゴナの変種とされています。
私のポリゴナは生長点が傷付いたため生長が止まりましたが、その代わりにやたらと仔吹きしています。

そう言われて見れば、インコンスタンチアのトゲは、形は紅彩閣ですが、ホリダのトゲの様に節くれだっています。自然交雑種というのも、割りと納得かもしれませんね。


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鶴仙園に行ったおり、非常に美しく蒼白いハウォルチアを入手しました。硬葉系ハウォルチアのヘレイです。さらに先日、横浜に行った際に大型ホームセンターで今井カクタスさんのヘレイがあったので入手しました。タイプは異なりますが、その美しさはやはり共通しています。
いったいどのような多肉植物なのでしょうか。少し調べても見ました。

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Haworthiopsis glauca var. herrei
整然として長く伸びる葉は、蒼白く非常に美しいものです。


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Haworthiopsis glauca var. herrei RIB0217
フィールドナンバー付きのヘレイ。葉は短くイボが目立つタイプ。野生株でも葉の形や長さは様々。葉の長い野生株もあります。

一般的な濃く深い緑色の植物は日陰に耐えられる性質があることが多く、それは逆に言うと強光にあまり強くない可能性があります。対して、淡い青白い色の植物は強光に強い可能性が高いのです。しかし、この場合、ヘレイはどうなんでしょうね? 硬葉系ハウォルチアは軟葉系ハウォルチアよりも、日照が強目な方が良い傾向がありますが、それでも真夏の直射日光には耐えられません。ヘレイは色的に硬葉系の中でも日照に強そうですがどうでしょうか。日照不足だと徒長するだけではなく、特徴である青白い色がきれいに出ないこともあります。青白い植物は強い光を当てれば当てるほど、太陽光線から身を守るためにワックス成分などを出して白くなります。しかし、これからの季節、ヘレイはどの程度まで日を当てるか悩みどころです。

耐寒性はどうでしょうか。とりあえず、海外のサイトでは、USDAゾーンは10a~11bとありますから、せいぜいマイナス1.1℃までしか耐えられないみたいです。あまり耐寒性は期待出来ませんね。とは言うものの、我が家のオブツーサや竜鱗は、マイナス5℃にも耐えますから、慣らせばいけるのかもしれません。

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花茎が思ったより長く伸びました。

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花はハウォルチアの仲間に典型的な緑線入り。

ヘレイの学名は2013年に命名されたHaworthiopsis glauca var. herrei (Poelln.) G.D.Rowleyです。最初に命名されたのは1929年のHaworthia herrei Poelln.ですが、1976年にはグラウカの変種Haworthia glauca var. herrei (Poelln.) M.B.Bayerとなり、最終的にハウォルチオプシスとなったわけです。
ヘレイの異名は沢山あります。
Poelln.が1937年にヘレイを複数種に分けています。つまり、Haworthia eiyae Poelln.Haworthia jacobseniana Poelln.Haworthia armstrongii Poelln.Haworthia jonesiae Poelln.です。当然ながら、現在これらは異名とされています。
そういえば、
 鷹の爪Haworthiopsis reinwardtii (Salm-Dyck) G.D.Rowleyの変種とする考え方もありました。1997年命名のHaworthia reinwardtii var. herrei (Poelln.) Haldaです。この時代はまだ鷹の爪はハウォルチオプシスではなくてハウォルチアでしたが。



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グロメラタは南アフリカ原産のガステリアです。色や模様、形にしろガステリアとしては全体的にのっぺりとしていますが、それが逆にガステリアとしては特徴的です。白っぽいからか「白雪姫」なる名前もあるようです。私は見かけた時に、あまりにもかわいらしいので衝動買いしてしまいました。

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グロメラタはというか、一般的にガステリアはやや遮光気味に育てます。それは、ガステリアの多くの種で見られる深く濃い緑色からも、強光に対する耐性のなさを予感させます。しかし、グロメラタはガステリアとしては異様に色白です。他のガステリアと比べてある程度は強い日照が必要なのではないかと、心配してしまいます。とりあえずは他のガステリアと並べて育てますが、しばらくは生育具合を注視していきたいと思います。

最近、Euphorbia clivicolaは自生地の環境破壊により絶滅が危惧されているという記事を書きました。多肉植物好きとしては、これは大変残念に思います。そんなこともあり、最近では自生地の状況が気になって仕方がありません。さて、グロメラタは果たしてどうなのでしょうか。
海外のサイトを見ていたら情報がありました。南アフリカのケープ州南東部にある、Kougaダムの一部であるKouga riverの下流に限定されるとのことです。しかし、グロメラタは標高500~700mの垂直な断崖に生えるため、自生地は人に脅かされる心配はないということです。アフリカでは多肉植物の自生地に人が住んでいますから、大なり小なり影響を受けており、こういう例は幸運な部類でしょうね。そういえば、かつてGasteria baylissianaの情報を調べたことがありますが、やはり似たような急峻地に生えるとありました。ガステリアは崖地に生えがちなのでしょうか? もう少し勉強する必要がありそうです。

そういえば、ガステリア属は鳥に受粉してもらうために、花が特殊化したということを最近論文を読んでいて知りました。グロメラタはタイヨウチョウが受粉を行うそうです。タイヨウチョウはメタリックな色彩が大変美しい小型の鳥ですが、花の蜜を吸うことに特化した鳥なんだそうです。


グロメラタの学名は1991年に命名されたGasteria glomerata van Jaarsv.です。van Jaarsv.は南アフリカの植物学者のErnest Jacobus van Jaarsveldのことです。


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はっきりしない梅雨明けの後、急な強光でユーフォルビアが日焼けしたりしましたが、元気なものは元気です。パキポディウムはまだ苗ばかりですが、動きが遅くて心配させられましたが、ようやく動き始めました。そんな、多肉たちの近況をレポートします。

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Euphorbia caput-medusae
枝なしの苗でしたが、はじめて枝が出たり花が咲いたり忙しい模様。


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Euphorbia sapinii
ずっと葉が一枚で心配していましたが、最近の猛暑でも平気そうでした。葉が寝てきたのでおやっ?と思いましたが、2枚目の葉が伸びてきたようです。よかった。


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Aloe spectabilis
去年の冬にあった千葉のイベントで、ラフレシアリサーチさんが配っていたおまけの抜き苗。冬の植え付けでしたが直ぐに根付きました。暖かくなって、いよいよ葉が旋回し始めました。まだ苗で小さいのですが、かなりの大型になる種のようです。


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Euphorbia primulifolia var. begardii
ずっと花が咲き続けています。たしか、5月中旬位から葉がない状態で咲きはじめて、葉が出ても咲きっぱなしです。


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Euphorbia leistneri
去年は前年の古い葉が落ちないで新葉も出なかったので心配でしたが、今年は新しい葉が次々と伸びて一安心しました。


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Euphorbia procumbens
地味に開花中。

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Dischidia vidalii
(=Dischidia pectinoides)
開かない花が沢山咲き続けてきましたが、勝手に結実したようです。

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Fouquieria colummaris
観峰玉の苗ですが、ハダニが出てすっかり葉をやられてしまいましたが、新しい葉が沢山出てきました。弱そうな雰囲気でしたが、意外と丈夫なのかも。


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Pachypodium enigmaticum
葉が中々出なくてやきもきしましたが、ようやく葉が出揃ってきました。


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Pachypodium makayense
脇芽ばかり伸びて上が坊主状態が続いたので、生長点をやられたのかと思いましたが、どうやら無事な様子。


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Pachypodium eburneum
去年はパキポディウムの苗を結構買いましたが、春先からの動きが悪くてもやもやし通りでした。エブルネウムもようやく動き始めました。


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Pachypodium rosulatum
ロスラツムは大変元気。

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Pachypodium breviacalyx
ブレビカリクスは動きは遅かったものの、葉が出てからは早いみたいです。


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Pachypodium horombense
ホロンベンセは葉の勢いがすごい。


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Pachypodium brevicaule subsp. leucoxantum
白花恵比須笑いは大分生長しましたが、葉の出はいまいち。今年は植え替えたので、今後の生長に期待。


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Pachypodium cactipes
太るばかりのカクチペスですが、今年の葉の伸びはいまいち。


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Pachypodium saundersii
白馬城はマダガスカル原産パキポディウムとも他の南アフリカ原産パキポディウムとも違った独特の雰囲気がありますね。動き始めてからは早いみたいです。


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Pachypodium succulentum
どうにも、鉢が変形するレベルで根詰まりをおこして葉が落ちてから、あまり良くない感じはあります。植え替えたので、まあこれからでしょう。


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Pachypodium windsolii
ウィンドソリィ(ウインゾリー)は動きも早く、生長も勢いがあります。それにしてはお高いのは何故なのか?


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Pachypodium rosulatum var. drakei
葉ばかり伸びますが、将来どのような形に育つのでしょうか?ちなみに、最近ではドラケイはロスラツムの変種ではなくて同種とされているようです。

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Pachypodium bispinosum
地下部分が太りすぎて根詰まりしていないか、やや心配です。


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Pachypodium brevicaule
神代植物公園の多肉植物展で入手した恵比須笑いですが、非常に元気です。


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Pachypodium densiflorum
デンシフロルム自体が丈夫なのとでかいこともあり、非常に元気です。花も春先からずっと咲き続けています。


そういえば、パキポディウムと言えば、マダガスカル原産の種をロスラツムにまとめる考え方もあるようです。よく言われるのは、グラキリウス、カクチペス、エブルネウム、マカイエンセ、イノピナツム、場合によってはブレビカウレあたりはロスラツムの変種扱いされたりします。しかし、現状ではロスラツム系は変種ではなくて亜種扱いが、どうも認められる傾向みたいです。分子系統を調べた論文もありますから、そのうち記事にしてみようかと考えています。


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先日、なにやら"クラビコーラ"なる名札が付いたユーフォルビアを入手しました。どうやら、"クラビコーラ"ではなく、クリビコラ(Euphorbia clivicola)が正しい名前のようです。原産地は南アフリカのKuwZulu-Natal、Northen Provinces、スワジランドの限られた地域だそうです。
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Euphorbia clivicola
入手時の写真ですが、園芸店で手に取った時に大きさの割りに安いなあとまず思いました。しかし
、少し調べると生長は遅いみたいですね。このサイズでも結構育てるのに結構時間がかかっていそうです。
帰宅してからまじまじと眺めると、のっぺりとしていて妙にメリハリがないというか、何だか雑な雰囲気でしたね。
どうやら、地下の大きい塊根から無数の枝を伸ばすタイプのようです。ネット検索で出てくる海外の株は、生育して沢山の枝が密集して広がり、まるで巨大なタコものユーフォルビアのようです。ちゃんと育てれば素晴らしいユーフォルビアになる可能性を秘めた種類のようです。

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地下がどうなっているのか気になって、植え替えがてら見てみることにしました。すると、根はかなり太く強い感じでした。まあ、根の量が多いので鉢はギチギチでした。
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植え替え後。右に置いた元の鉢がえらく小さく見えますね。根が太るタイプなので大きめの鉢に植えました。

クリビコラの学名は1951年に命名されたEuphorbia clivicola R.A.Dyerです。R.A.Dyerはイギリスの植物学者のTurner Thiselton Dyerのことです。Dyerは進化論で知られるチャールズ・ダーウィンと、植物分類で著名なジョージ・ベンサムの推薦でイギリス王立協会のフェローに選ばれたそうです。

最後に大変残念な情報です。
クリビコラの原産地の保全状況は非常に悪化しており、南アフリカでは絶滅危惧種に指定されています。1986年にパーシーファイフ自然保護区に1500個体ありましたが、1996年には165個体、2005年には58個体、最近の調査ではたったの10個体しか発見出来ませんでした。クリビコラはポロクワネ郊外の都市部にも自生しており、1986年には都市部に3000個体ありましたが、2005年には651個体だそうです。
自然保護区のクリビコラはアンテロープ(レイヨウ)の踏みつけや害虫、火災により減少しています。都市部のクリビコラは廃棄物の投棄やネズミの害によるものとされています。
クリビコラは多肉ユーフォルビアには珍しく雄株・雌株に分かれていない両性花だそうです。この場合、一株で種子が採れますから、生育が遅いとは言うものの繁殖は難しくないでしょう。ですから、増やすのは簡単ですから栽培品はいくらでも増やせます。しかし、栽培品と自生株は異なります。自生株は産地ごとに外見的ないし遺伝的な特徴が大なり小なり違いがあります。しかし、栽培品は産地を無視して育生されがちですから、栽培品を自然に還すことはよほど慎重でなければなりません。例えば、研究機関の栽培室で産地情報が正式に記載された系統が維持されているならば野生に還すこともできるかもしれませんが。
それと、意外にも原産地からの輸入株であっても、由来が確実とは言えないようです。自生地のナーセリーでは、園内に来る蜂などによって野生株(別種を含む)との交雑がおきているそうです。ましてや我々栽培家の育生株は、その多くは様々な産地由来の個体が交配されてきて、しかも園芸的価値が高い個体が選抜されてできたものです。野生株とはまったくの別ものでしょう。
クリビコラは野生株の園芸上の価値が高いわけではありません。ですから、盗掘による被害はないのでしょう。しかし、逆に価値がない植物は、悲しいかな中々保護対象にはなりません。自然保護区にあっても、保護活動の対象でなければ元通りにはなりません。保護活動には人も金もかかりますから、簡単には出来ません。例えば、クジラの保護活動なら億単位の寄付金が集まりますが、役に立たない地味なクリビコラの保護活動に寄付金を出す人はいませんからね。ゴリラの保護活動ですら資金が集まらず、ゴリラの研究者が観光客向けのゴリラ観察ツアーを開催して、そのお金でレンジャーを雇って保護活動しているくらいです。地味な植物となればなおのこと、その程度の資金さえ集められないでしょう。本当に難しい問題です。



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2014年に出た『
A Molecular Phylogeny and Generic Classification of Asphodelaceae Subfamily Alooideae : A Final Resolution of the Prickly Issue of Polyphyly in the Alooids?』という論文の紹介です。昨日は、アロエ属、ハウォルチア属、クマラ属について解説しました。今日はその続きです。

アストロロバ属とツリスタ属
アストロロバ属は硬葉系ハウォルチア=ハウォルチオプシスの縦長に変形したパターンに見えますから、ハウォルチオプシスの中から出てきたグループに思えます。同様にツリスタ属もハウォルチオプシスの中の1グループに思えます。しかし、実際にはアストロロバもツリスタもハウォルチオプシスとは近縁ではあるものの、ハウォルチオプシスと姉妹群を形成するのはガステリア属であり、アストロロバとツリスタは旧アロエ属のゴニアロエ属やアリスタロエ属と姉妹群を形成することが分かりました。
ガステリア属やアストロロバ属は非常によくまとまったグループです。対してゴニアロエ属やアリスタロエ属は、やや不確実とみられています。ポエルニッチア属をアストロロバ属に含めるという考え方と同様に、ゴニアロエ属とアリスタロエ属をツリスタ属に含めるべきであるという意見もあるようです。
アストロロバ属の花は特異的で、他グループと明らかに異なるます。さらに、ポエルニッチア属とされることもあるAstroloba rubrifloraは、アストロロバとしては特異的な花ですが、鳥媒花として特殊化したアストロロバとされます。
ハウォルチオプシス属は3つのグループがあるように見えます。コエルマニオルムは葉緑体と核の遺伝子解析結果が異なり、やや混乱した結果です。しかし、花の構造の類似性からハウォルチオプシス属に含めるとしています。


    ┏━━━━Gasteria
    ┃
┏╋━━━━Haworthiopsis①
┃┃
┃┗━━━━Haworthiopsis②

┫┏━━━━Haworthiopsis koelmaniorum
┃┃
┃┃        ┏━Tulista
┃┃    ┏┫
┗┫    ┃┗━Gonialoe
    ┃┏┫
    ┃┃┗━━Aristaloe
    ┗┫
        ┗━━━Astroloba

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Astroloba spiralis

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Haworthiopsis koelmaniorum

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Tulista kingiana

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Tulista minor(=Tulista minima)

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Gonialoe variegata(=Aloe variegata)

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Aristaloe aristata(=Aloe aristata)

ガステリア属
ガステリア属は非常にまとまりのあるグループです。花は赤系統で、まさにgaster=胃のような形の花が咲きます。ガステリア属の特異的な花は、受粉を鳥が行うために特化した形のようです。植物分類学では花の形態を指標としてきましたが、アロエ類の分類には使えないようです。アロエ属は鳥と昆虫が受粉しますが、ハウォルチア属は昆虫による受粉へ、ガステリア属は逆に昆虫媒花から鳥媒花に回帰したグループです。
ガステリア属は最近手をだし始めたばかりですが、手持ちのG. carinataやG. pillansiiは分子系統の根元にあり、あるいはやや原始的な種なのかもしれません。根元から先の分類は、一例に並んでいてあまり系統関係をみれていないようです。短期間に進化した可能性があります。

ガステリア属の分子系統
                ┏━Gasteria disticha
            ┏┫
            ┃┗━Gasteria polita
        ┏┫
        ┃┗━━Gasteria doreeniae
        ┃
        ┃┏━━Gasteria obliqua
        ┣┫
        ┃┗━━Gasteria rawlinsonii
        ┃
        ┃┏━━Gasteria glauca
        ┣┫
        ┃┗━━Gasteria glomerata
        ┃
        ┃┏━━Gasteria pulchra
        ┣┫
        ┃┗━━Gasteria tukhelensis
        ┃
        ┣━━━Gasteria acinacifolia
    ┏┫ 
    ┃┣━━━Gasteria nitida var. armstrongii
    ┃┃
    ┃┣━━━Gasteria batesiana
    ┃┃
    ┃┣━━━Gasteria ellaphieae
    ┃┃
┏┫┣━━━Gasteria excelsa
┃┃┃
┃┃┗━━━Gasteria vlokii
┃┃
┫┃┏━━━Gasteria carinata
┃┗┫
┃    ┗━━━Gasteria croucheri

┗━━━━━Gasteria pillansii


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Gasteria pillansii

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Gasteria glomerata

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Gasteria ellaphieae

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Gasteria vlokii

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Gasteria carinata

ハウォルチオプシス属
ハウォルチオプシス属はガステリア属の姉妹群です。葉緑体の遺伝子解析ではH. koelmaniorumはアストロロバ属やツリスタ属に近縁な様にみえますが、核の遺伝子解析ではH. venosaに近縁となっています。今後、さらに詳細な解析が必要でしょう。
白いイボを持つH. fasciataやH. attenuataから、白いイボを持ち縦長に伸びるH. reinwardtii(鷹の爪)やH. coarctata(九輪塔)が進化してきたのではないかと思っていましたが、必ずしもそうではないことが分かりました。それどころか、非常によく似たH. fasciataとH. attenuataは、葉緑体の遺伝子解析でも核の遺伝子解析でも、ハウォルチオプシス属の中ではそれほど近縁ではないことが分かりました。個人的には大変な驚きです。

ハウォルチオプシス属の分子系統
┏━━━━━━━Gasteria

┃                    ┏━Haworthiopsis reinwardtii
┃                ┏┫
┃                ┃┗━Haworthiopsis nigra
┃            ┏┫
┃            ┃┗━━Haworthiopsis coarctata
┃        ┏┫
┃        ┃┗━━━Haworthiopsis glauca
┃    ┏┫
┃    ┃┣━━━━Haworthiopsis bryunsii
┃    ┃┃  
┃┏┫┗━━━━Haworthiopsis sordida
┃┃┃
┃┃┃┏━━━━Haworthiopsis fasciata
╋┫┗┫
┃┃    ┗━━━━Haworthiopsis longiana
┃┃
┃┗━━━━━━Haworthiopsis limifolia

┃┏━━━━━━Haworthiopsis venosa
┗┫
    ┗━━━━━━Haworthiopsis attenuata


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Haworthiopsis reinwardtii f. kaffirdriftensis

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Haworthiopsis fasciata

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Haworthiopsis attenuata

最後に
ここまで長々とアロエ類の分類について、論文の内容を私の要らん感想を交えながら解説してきました。しかし、実を言えばこの論文が最終的な解答ではないのかもしれません。この論文では5つの遺伝子を調べていますが、遺伝子によっては種の系統関係が異なる結果となっています。遺伝子解析も万能ではありません。もっと沢山のデータを蓄積し、過去のデータとの整合性を高める努力が必要です。現在でも研究は進行しているのでしょうし、最新情報に更新され続けていくのでしょう。この論文も議論があるのでしょうし、再試験によるチェックも受けるでしょう。
しかし、種同士の関係性はまだしも、全体的な属同士の系統関係はほぼ判明したと言っても良いのではないでしょうか。部分的に怪しい部分はありますが、かつての分類体系に戻ることはないでのしょう。

さて、遺伝子解析によるアロエ・ハウォルチアの分類について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか? いいや、こんなものは認めんという方もおられるかもしれませんが、一つの考え方として提示させていただきました。善かれ悪しかれ、興味を持っていただけたのでしたら誠に幸いです。
これからも、面白い論文を見つけましたら、ぼちぼち紹介していきたいと思います。




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かねてより、私のブログでことあるごとに、アロエ属やらハウォルチア属やらが再編されて、ゴニアロエ属だのクマラ属だのハウォルチオプシス属だのツリスタ属が分離して云々と聞かれてもいないのにうるさく書いてきました。しかし、いったい何の根拠があってそんなことを言っているのか疑問に思う方も、もしかしたらおられるかもしれません。まあ、どうでも良いと言われてしまいそうですが…

遺伝子を調べる
私がその根拠としているのは、2014年に出た『A Molecular Phylogeny and Generic Classification of Asphodelaceae Subfamily Alooideae : A Final Resolution of the Prickly Issue of Polyphyly in the Alooids?』という論文です。適当に訳すと「ツルボラン科アロエ亜科の分子系統学と一般分類 : アロエ類における多系統の厄介な問題の最終的な解決?」といったところでしょうか。要するにアロエ類(アロエやハウォルチア、ガステリアなどの仲間の総称)の遺伝子を調べて、その近縁を解析しているわけです。

内容について見てみましょう。冒頭は解析した遺伝子について述べられています。遺伝子解析というと全ての遺伝子を調べる様に思えますが、実はそうではなくて特定の遺伝子の配列のみを調べるのです。この論文では、光合成に関わる葉緑体の4つの遺伝子と、細胞核の1つの遺伝子を解析しているようです。1つの遺伝子では不確実ですが、複数の遺伝子解析の結果が符合すれば確実性が増します。もしかしたら、調べる対象の得手不得手をカバーする目的もあるのかも知れません。


吸収された分類群
アロエ類は伝統的にアロエ属、ハウォルチア属、ガステリア属、アストロロバ属に分けられてきました。さらに、ロマトフィルム属とコルトリリオン属、さらにポエルニッチア属を認める考え方もあります。

1, ロマトフィルム Lomatophyllum
ロマトフィルムは1811年に命名されました。マダガスカル周囲の島嶼部に分布し、果実が多肉質であることでアロエから区別されました。調べた限りではロマトフィルム属とされたことがあるのは28種類でした。しかし、そのうち3種類はドラセナ(Dracaena)で、6種類は同一種とされています。現在ではアロエ属とされています。


2, コルトリリオン Chortolirion
コルトリリオンが最初に命名されたのは1908年です。コルトリリオンは一見して球根植物の様な外見をしています。花はハウォルチアに良く似ていて、19世紀に命名された種は、実際にハウォルチアとされました。
が確認したコルトリリオンは6種ですが、現在は全てアロエ属とされています。調べた限りではChortolirion angolenseはAloe welwitschii、Chortolirion subspicatumはAloe subspicata、Chortolirion latifoliumはAloe jeppeae、Chortolirion bergerianum=Chortolirion stenophyllum=Chortolirion tenuifoliumはAloe bergerianaとされているようです。

アロエの分子系統
ロマトフィルムやコルトリリオンは、アロエ属の中に組み込まれています。L. anivoranoensisのとなりにA. haworthioidesがありますが、となりに書いてあるから、より近縁というわけではありません。A. haworthioidesなどは兄弟姉妹みたいなもので、今はまだ誰が兄で誰が弟かは分かりません。さらに細かく調べれば、それも分かるかもしれません。アロエ属に絞って解析した論文があるかもしれませんから、見つけたらまた記事にします。
※アロエ属全種類を調べてはいません。
                        ┏ ━Aloe nubigena
                        ┃
                    ┏╋━Aloe kniphofioides
                    ┃┃
                    ┃┗━Aloe ecklonis
                    ┃
                    ┣━━Aloe fouriei
                    ┃
                    ┣━━Aloe challisii
                    ┃
                    ┣━━Aloe vossii
                    ┃
                ┏╋━━Aloe verecunda  
                ┃┃
                ┃┣━━Aloe ferox
                ┃┃
                ┃┣━━Aloe thraskii
                ┃┃
            ┏┫┣━━Aloe excelsa
            ┃┃┃
            ┃┃┣━━Aloe arborescens
            ┃┃┃
            ┃┃┗━━Aloe saundersii
            ┃┃
            ┃┗━━━Aloe petricola
            ┃
            ┃┏━━━Aloe reynoldsii
            ┃┃
            ┃┣━━━Aloe striata
            ┣┫
            ┃┣━━━Aloe kouebokkeveldensis
            ┃┃
            ┃┗━━━Aloe buhrii
            ┃
            ┃    ┏━━Aloe brevifolia
            ┃┏┫
            ┃┃┗━━Aloe lineata
            ┣┫
            ┃┗━━━Aloe chabaudii
            ┃
            ┃┏━━━Aloe succotrina
            ┃┃
        ┏╋┫┏━━Aloe glauca
        ┃┃┃┃
        ┃┃┗┫┏━Aloe microstigma
        ┃┃    ┗┫
        ┃┃        ┗━Aloe pictifolia
        ┃┃
        ┃┃┏━━━Aloe spicata
        ┃┣┫
        ┃┃┗━━━Aloe lutescent
        ┃┃
    ┏┫┣━━━━Lomatophyllum anivoranoensis
    ┃┃┃                  (=Aloe anivoranoensis)

    ┃┃┣━━━━Aloe haworthioides
    ┃┃┃
    ┃┃┣━━━━Aloe comosa
    ┃┃┃
    ┃┃┣━━━━Aloe rupestris
    ┃┃┃
    ┃┃┣━━━━Aloe angelica
    ┃┃┃
    ┃┃┣━━━━Aloe vryheidensis
    ┃┃┃
    ┃┃┣━━━━Aloe hereroensis
    ┃┃┃
    ┃┃┗━━━━Aloe munchii
    ┃┃
┏┫┗━━━━━Chortolirion angolense
┃┃                                  (=Aloe angolense)

┃┃┏━━━━━Aloe chortolirioides
┃┃┃
┃┃┣━━━━━Aloe propagulifera
┃┃┃
┃┃┣━━━━━Aloe alooides
┃┃┃
┃┣╋━━━━━Aloe albida
┫┃┃
┃┃┣━━━━━Aloe perfoliata
┃┃┃
┃┃┣━━━━━Aloe dewinteri
┃┃┃
┃┃┗━━━━━Aloe arenicola
┃┃
┃┗━━━━━━Aloe melanacantha

┗━━━━━━━Aloe pearsonii

3, ポエルニッチア Poellnitzia
ポエルニッチアは最初に命名されたのは1940年です。ポエルニッチアはただ1種類のPoellnitzia rubrifloraがあり、赤系統の花を咲かせます。アストロロバに良く似ていますが、アストロロバはみな白花ですから、ルブリフロラ(rubri=赤い、flora=花)は特異的です。2000年にルブリフロラをアストロロバとする意見があり、現在ではルブリフロラはAstroloba rubrifloraが正式な学名です。しかし、未だにポエルニッチアを認める立場の研究者もいるそうです。
この論文ではルブリフロラはアストロロバに吸収されています。何でも、ルブリフロラは鳥が受粉を行っており、花はそれに合わせて変化したもののようです。

DSC_0982
Poellnitzia rubriflora
=Astroloba rubriflora


アストロロバの分子系統
アストロロバはポエルニッチアを含め、非常によくまとまったグループです。アストロロバはツリスタ+アリスタロエ+ゴニアロエと姉妹群を形成します。
    ┏━━━Gonialoe
    ┃
┏┫┏━━Tulista
┃┗┫
┃    ┗━━
Aristaloe
┃       
┫        ┏━Astroloba corrugata
┃    ┏┫
┃┏┫┗━Astroloba herrei
┃┃┃
┗┫┗━━Astroloba foliolosa
    ┃
    ┗━━━Poellnitzia rubriflora
                   (=Astroloba rubriflora)


分離した分類群
既存の分類群に吸収されたというか、元の鞘に戻ったものがいる一方、分離されたものもあります。先ずはアロエ属から分離した、アリスタロエ属、ゴニアロエ属、クマラ属、アロイアンペロス属、アロイデンドロン属です。さらに、ハウォルチア属から分離したハウォルチオプシス属とツリスタ属があります。
近縁関係でいうと、クマラ属とハウォルチア属、アストロロバ属とアリスタロエ属とゴニアロエ属とツリスタ属、ハウォルチオプシス属とガステリア属はそれぞれグループを形成しています。
私が思うに、アロエ類の進化は葉が柔らかいアロイデンドロン属からアロエ属までと、葉が硬いアストロロバ属からガステリア属があるという風に理解しています。アロエ属には葉が柔らかいものと硬いものとがあり、アロエ属から別れたグループ(アストロロバ、アリスタロエ、ゴニアロエ、ツリスタ、ハウォルチオプシス、ガステリア)の葉はみな硬いということに、進化的な意味があるような気がします。

アロエ類の系統図
┏━━━━━━━━Aloidendron属

┫    ┏━━━━━━
Kumara属
┃┏┫
┗┫┗━━━━━━Haworthia属
    ┃
    ┃┏━━━━━━Aloiampelos属
    ┃┃
    ┗┫┏━━━━━Aloe属
        ┃┃
        ┗┫    ┏━━━Astroloba属
            ┃    ┃
            ┃┏┫┏━━Aristaloe属
            ┃┃┃┃
            ┃┃┗┫┏━Gonialoe属
            ┃┃    ┗┫
            ┗┫        ┗━
Tulista属
                ┃
                ┃┏━━━Haworthiopsis属
                ┗┫
                    ┗━━━Gasteria属


クマラ属とハウォルチア属
クマラ属とハウォルチア属は近縁です。ここでいうハウォルチアは軟葉系ハウォルチアのことで、硬葉系ハウォルチアと呼ばれたハウォルチオプシス属とツリスタ属を含みません。クマラ属はかつてアロエ属でしたが、アロエ属とは系統的に離れています。クマラ属とハウォルチア属はともにイボやトゲがないグループです。
顕花植物の分類は基本的に花の構造により行われてきました。しかし、ハウォルチア型の花はハウォルチア属、ハウォルチオプシス属、コルトリリオン属(=アロエ属)で共通していますから、これらは系統的に近縁と考えられてきました。しかし、分子系統解析の結果から、ハウォルチア型の花はそれぞれ独立して進化したことが分かりました。花の蜜成分の含有量においても、異なるという報告もあり、花の類似は収斂進化の結果なのかもしれません。ハウォルチア型の花は昆虫媒花の結果として進化したようです。
クマラ属はKumara plicatilis(=Aloe plicatilis)とKumara haemanthifolia(=Aloe haemanthifolia)がありますが、この2種を比較するとやや離れています。とは言うものの、
他のアロエ属と比較した場合には近縁ですから、この2種がまとまったグループであることは間違いないのでしょう。もしかしたら、過去に2種の間を埋めるような絶滅種がいたのかもしれません。

ハウォルチア属の分子系統
                    ┏━Haworthia bayeri
                    ┃
                ┏╋━Haworthia cymbiformis
                ┃┃
                ┃┗━Haworthia cooperi
                ┃
                ┃┏━Haworthia semiviva
                ┃┃
            ┏┫┣━Haworthia mucronata
            ┃┃┃
            ┃┗╋━Haworthia lockwoodii
            ┃    ┃
        ┏┫    ┣━Haworthia arachnoidea
        ┃┃    ┃
        ┃┃    ┗━Haworthia decipiens
        ┃┃
        ┃┗━━━Haworthia marxii
        ┃
        ┃┏━━━Haworthia mirabilis
        ┃┃
        ┃┣━━━Haworthia herbacea
        ┃┃
        ┣╋━━━Haworthia reticulata
        ┃┃
        ┃┣━━━Haworthia retusa
        ┃┃
        ┃┣━━━Haworthia mutica
        ┃┃
        ┃┗━━━Haworthia maculata
        ┃
        ┃┏━━━Haworthia truncata
        ┃┃
        ┣╋━━━Haworthia zantneriana
        ┃┃
        ┃┣━━━Haworthia vlokii
        ┃┃
    ┏┫┗━━━Haworthia outeniquensis
    ┃┃
    ┃┃┏━━━Haworthia chloracantha
    ┃┃┃
    ┃┃┣━━━Haworthia pygmaea
    ┃┃┃
    ┃┣╋━━━Haworthia variegata
    ┃┃┃
    ┃┃┣━━━Haworthia floribunda
    ┃┃┃
    ┃┃┗━━━Haworthia emelyae
    ┃┃
    ┃┗━━━━Haworthia wittebergensis
    ┃
    ┗━━━━━Haworthia blackburniae


DSC_0889
Haworthia mucronata

DSC_0848
Haworthia herbacea

DSC_0767
Haworthia arachnoidea

DSC_1423
Haworthia cooperi

DSC_0621
Kumara plicatilis
=Aloe plicatilis


記事が長くなったので、2つに分けます。


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去る昨年の12月、"クラビラマ"なる名札の付いたユーフォルビアについて記事にしました。この時の記事は単純に育ってきたぞ、というだけの内容でしたが、その後わかったことがありましたから記事にしました。


事の経緯は、2020年の2月にふらふらと多肉植物に引き寄せられて、ガーデンセンター横浜に遊びにいった時の事です。何やら見慣れない多肉植物があったので購入しましたが、上述の如く"クラビラマ"という名前のユーフォルビアでした。
調べると、これはEuphorbia curviramaであり、"蒼蛮閣"なる名前もあることがわかりました。まあ、その時は、"クラビラマ"というよりは、"クルビラマ"だよなぁなんて思ったりしましたが。

DSC_1548
蒼蛮閣 

しかし、2012年に発表された『Normenclature and typification of southern African species of Euphorbia Bothalia』という論文を見ていたら、中々面白いことが書いてありました。何でも、クルビラマは属内交雑種と考えられているとあります。これは、誰かが交配してできた園芸品種ではなくて、原産地で自然と交雑が起きているということのようです。交雑の親は、Euphorbia caerulescensEuphorbia triangularisとされています。これを根拠として、『The World Checklist of Vascular Plants』は、クルビラマの学名をEuphorbia ×curvirama R.A.Dyerとしています。「×」は交配を示す記号です。

いやはや、知らないことばかりで困ってしまいますね。いや、私が無知なだけかもしれませんが、探すと新しい論文が沢山出ていて目が滑ります。これからも、ちまちま情報を集めて記事にしていきたいと考えております。




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