ユーフォルビア・オベサ・ドットコム

アロエは巨大に育つものがあります。Aloe feroxやAloe marlothiiなどは高さ数メートルに育ち、数十センチメートルの花序を沢山出します。しかも、このような巨大アロエは蜜の量も非常に多く、蜜を求めて様々な生き物が訪れます。当然ながらアロエは受粉をしてもらうために蜜を求める生き物を利用するわけですが、この蜜は他の生き物にとっても重要です。アロエは大抵は赤・橙・黄色系統の花を咲かせる種類が多く、色で花を探す鳥類や赤系統の花を好むミツバチやマルハナバチに対するアピールなのかもしれません。蜜の量が多ければ、ネズミなどの小型の哺乳類も蜜を舐めに来るかもしれません。
アフリカには花の蜜を専門として生きるタイヨウチョウ(sunbird)が分布します。アメリカ大陸にはやはり花の蜜で生きるハチドリがいますが、タイヨウチョウもハチドリと同じく非常にカラフルで美しい鳥として知られています。そして、アロエにもタイヨウチョウが訪れることが知られていますが、その受粉への貢献度について詳しくはわかっていませんでした。

本日ご紹介するのは、Aloe feroxの受粉に貢献する鳥について調査した、Carolina Diller, Miguel Castaneda-Zarate and Steven D.Johnsonの『Generalist birds outperform specialist sunbirds as pollinators of an African Aloe』という論文です。論文は2019年と最近のものです。
内容に入る前に少し用語の解説をします。生物の世界では、何かに対し専門的に特化したスペシャリスト(specialist)と、様々なものに浅く広く対応したジェネラリスト(generalist)が存在します。例えば、ある食物Xを食べることに特化したスペシャリストに対して、ジェネラリストはスペシャリストほど上手くXを食べることが出来ないということは良くあります。ただし、スペシャリストはX以外の食物も食べることが出来ます。スペシャリストとジェネラリスト、どちらが有利かはわかりません。なぜなら、スペシャリストもジェネラリストも存在するからです。環境次第ではないでしょうか。また、スペシャリストと一口に言っても、必ずしもジェネラリストよりも効率的に上手く出来るとは限らず、単純にそのXに依存しているだけの場合もあります。
次に受粉を行う生物を花粉媒介者と言いますが、一般的にはポリネーター(pollinator)と呼びます。アロエには様々なポリネーターが訪れます。

論文ではAloe feroxを観察し、アロエにポリネーターが訪れたあとに
花の柱頭に着いた花粉を数えました。Aloe feroxは高さ5mになるアロエで、最大13本の総状花序を出し、1本の総状花序には約280個の花が咲きます。調査は2017年の開花期にあたる、8月の乾季に南アフリカのLower Mpushini Valley自然保護区において、Aloe feroxの大規模な500以上の大群落において実施されました。
Aloe feroxを訪れた鳥は、スペシャリストとしてアメジストタイヨウチョウ(Chalcomitra amethystina)、ジェネラリストとしてサンショクヒヨドリ(Pycnonotus tricolor)、ハタオリドリ(Ploceus spp.)、アカガタテリムク(Lamprotornis nitens)でした。ハタオリドリはフィールドの観察では種類の特定までは出来なかったようです。
観察期間中、アメジストタイヨウチョウが4回で24個の花に、サンショクヒヨドリは10回で92個の花に、ハタオリドリは5回で45個の花、アカガタテリムクは6回で69個の花に訪れました。
観察期間の12日間にAloe feroxを訪れたスペシャリストは77羽、ジェネラリストは242羽でした。スペシャリストはアメジストタイヨウチョウが71回、シロハラタイヨウチョウが6回訪れました。ジェネラリストはハタオリドリが79回、アカガタテリムクが65回、サンショクヒヨドリが60回、クロオウチュウ(Dicrurus adsimilis)が20回、チャイロネズミドリ(Colius striatus)で18回でした。


さて、実際にAloe feroxの柱頭に付着した花粉を調べると、面白い結果が得られました。スペシャリストが訪れてもAloe feroxにはあまり花粉は付かないというのです。ポリネーターが入らないように網を被せた花と違いが見られなかったのです。ポリネーターが訪れなくても、多少は自分の花粉が付いてしまうこともあるのですが、スペシャリストはそのレベルあったということです。逆にジェネラリストの訪れた花は、スペシャリストの訪れた花の倍以上の花粉が付いていました。つまりは、Aloe feroxにとって、スペシャリストであるタイヨウチョウよりもジェネラリストの方が優れたポリネーターであるということです。

スペシャリストの嘴は長く、ジェネラリストの嘴は短いからであると言われることがあるようです。しかし、今回の観察期間中の鳥を調べると、スペシャリストとジェネラリストの嘴の長さに差はありませんでした。違いは嘴の太さで、スペシャリストの嘴は細くジェネラリストの嘴は太いということです。今回の観察期間中では、ジェネラリストはスペシャリストよりも大型でした。ジェネラリストは蜜を吸うために、顔を花に突っ込みその時に頭で雄しべを押し広げていることが観察されました。逆にスペシャリストのタイヨウチョウは、小さい頭に細い嘴、長い舌を持つため、雄しべに触れないで蜜を吸うことが出来るのです。よって、Aloe feroxに対してタイヨウチョウは蜜泥棒ということになります。

以上が論文の内容となります。
蜜を餌とする専門のタイヨウチョウが、受粉に寄与しないという驚くべき論文でした。2点ほど補足説明をしましょう。
まず1つ目は、Aloe feroxとタイヨウチョウの目的が異なることです。Aloe feroxはポリネーターに受粉してもらうために蜜を準備しているわけですが、タイヨウチョウは受粉を助けるために花を訪れているわけではありません。タイヨウチョウからすれば、いかに効率的に蜜を得られるかが重要なのであって、Aloe feroxが受粉するか否かはどうでも良いことです。邪魔な雄しべに触れないで、素早く嘴を花に差し込んで蜜だけを抜き取る。正にスペシャリストの技です。この場合、タイヨウチョウの方が一枚上手と言えます。対して、ジェネラリストはタイヨウチョウのようにスマートに蜜を得られません。しかし、下手だから頭を花粉だらけにして、上手いことAloe feroxに利用されて、知らずに受粉の手助けをしているのです。
2つ目は、これはAloe feroxに対するタイヨウチョウのポリネーターとしての能力がないと言っているだけで、他の植物の花では異なるかもしれないということです。例えば、Gasteriaはタイヨウチョウをポリネーターとしています。この場合、タイヨウチョウは花の蜜に特化したスペシャリストですが、Gasteriaはタイヨウチョウに特化した一段レベルの高いスペシャリストです。不特定多数の花の蜜を利用するタイヨウチョウは、自分をターゲットにしたGasteriaに上手く利用されているのです。
野生の生き物は何も相手を思いやって行動しているわけではなく、あくまで自分の利益のために行動しています。ですから、Aloe feroxとタイヨウチョウの関係は、上手く噛み合わなかっただけで、Aloe feroxがへまをしたわけでもタイヨウチョウが上手く出し抜いたわけでもありません。この関係は偶然の産物と言えます。
実はスペシャリストの訪問を妨げたりジェネラリストを呼ぶ算段を用意している植物もあります。ではAloe feroxが無策であるのは何故なのか気になります。考えたこととして、小型のアロエは花の数が少ないため受粉は確実性が欲しいでしょうから、蜜泥棒対策は必要でしょう。しかし、数えきれないほどの花を咲かせるAloe feroxは、そのすべての花が受粉しなくても十分なのかもしれません。無駄が多いようにも感じられますが、スペシャリストを妨げたりすることにも相応のコストがかかります。要するに戦略が異なるだけではないでしょうか。大型だからコストをかけて花を沢山咲かせる戦略、小型だから花は少ないけれど蜜泥棒対策にコストをかける戦略という、サイズに合わせた現実的な戦略を講じているわけです。

植物とポリネーターの関係は非常に複雑で面白く感じます。この論文では蜂の影響を避けるため、蜂が活発に活動する時間帯は花に網を被せていました。では、蜂の受粉に対する貢献度はいかほどでしょうか? また、このような大型アロエでは、ネズミなどの小型哺乳類も蜜を求めて訪れます。小型哺乳類の多くは夜行性ですから、昼行性の鳥類とは競合しないでしょう。では、小型哺乳類はアロエとどのような関係を築いているのでしょうか? どうにも気になることが沢山出て来てしまいました。最近は忙しく中々じっくりと論文を探す時間が取れませんが、少しずつ調べていくつもりです。


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白雪姫というかわいらしい名前をつけられたガステリアがあります。その学名をガステリア・グロメラタ(Gasteria glomerata)と言います。最近ガステリア属について詳しく調べたこともあり、ガステリアについて書かれた論文を少しずつ読んでいます。白雪姫については以前記事にしていますが、白雪姫の発見に関する論文を見つけましたのでご紹介します。

本日ご紹介するのは、南アフリカのErnst van Jaarsveldによる『Gasteria glomerata van Jaarsveld sp. nov.』という1991年の論文です。この論文により白雪姫がはじめて学術的に記載されました。白雪姫が発見された際の環境がわかる興味深い論文です。

早速内容に入りましょう。
Gasteria glomerataは南アフリカのKougaダム地域に固有のガステリアで、Kougaダムでは2種類目のガステリアです※。自生地の地形は険しく環境は良くありません。わずかに酸性(pH6.4)の石英質砂岩土壌で栄養価は低く、標高500~700mの垂直な崖に生えます。G. glomerataは他の低木などの陰で育ち、密集した状態で群生します。ちなみに、自生地が同じG. ellaphieaeとの雑種は確認されておりません。

※Kougaダムで最初に発見された新種のガステリアは、Gasteria ellaphieaeです。G. glomerataと同じ1991年にやはりvan Jaarsveldにより先に記載されました。

 G. glomerataの自生地には多肉植物を中心とした他の植物も豊富です。例えばCrassula(C. cordata, C. cultrata, C. lactea, C. muscosa var. parvula, C. orbicularis)、Delosperma laxipetalum、Adromirchus(A. crirtatus var. schonlandii, A. inamoenus)、Cotyledon(C. tomentosa, C. velutina, C. woodii)、Aloe pictifolia、Haworthia(H. translucens, H. turgida)、Bulbine latifolia、Othonna(O. carnosa, O. lobata)、Senecio scaposusHaemanthus albiflosなどがあげられます。また、低木あるいはブッシュを作るPelargonium zonale、Portulacaria afra、Ficus burt-davyiiなどが自生します。

G. glomerataは二列性の矮性種で、密に群生します。花は明るい赤桃色です。論文ではG. glomerataはG. rawlinsoniiとG. baylissianaと関係があるのではないかとしています。この3種はロゼットを形成しない二列性で、春に花を咲かせ、ともに厳しい断崖に生え、ケープに特有の石英質砂岩土壌に限定的に分布します。G. baylissianaは密に群生する育ち方も同じ矮性ガステリアです。また、著者はG. nitida var. armstrongiiと一部類似性があるものの、生息環境が異なるとしています。

最後に著者は、G. glomerataは明るい日陰で腐食質が豊富な土壌で最もよく育ち、分枝しよく増えると述べています。

以上がはじめて白雪姫が新種として命名された論文の要約した内容となります。詳細な形態学的な内容は割愛させていただきました。
さて、白雪姫の学名が命名されて既に30年以上経ちましたが、その間にガステリア研究も進展が見られます。2021年に出た『Phylogeny of the Southern African genus Gasteria duval (Asphodelaceae) based on Sanger and next generation sequencing data』という論文では、遺伝子解析によりガステリア属の系統関係を調べています。以下が白雪姫G. glomerataと近縁なガステリアとの系統関係です。

     ┏━━━━G. excelsa
 ┏┫
 ┃┗━━━━G. pulchra
 ┃
 ┫ ┏━━━━G. ellaphieae                         
 ┃ ┃ 
 ┃ ┃    ┏━━G. polita
 ┗ ┫┏┫
      ┃┃┃┏━G. acinacifolia
      ┃┃┗┫
      ┗┫    ┗━G. barbae
          ┃
          ┃┏━━G. armstrongii
          ┗┫
              ┃┏━G. glauca
              ┗┫
                  ┗━★G. glomerata

この論文では残念ながらG. baylissianaは解析されていないため、G. glomerataとの関係はわかりません。しかし、意外な事実が見えてきます。
例えば、G. glomerataはG. rawlinsoniiとは特に近縁ではありません。最も近縁なのはG. glaucaとG. armstrongiiです。この論文ではG. nitidaとG. nitida var. armstrongiiは近縁ではないことが判明したため、G. armstrongiiとして独立しています。G. glomerataと異なり、G. armstrongiiは平地に分布します。ガステリア属では生息環境の類似性は、種の近縁性とは無関係である可能性が高いのでしょう。
また、面白いことに、同じ地域に分布しているG. ellaphieaeは、G. glomerataと割と近縁でした。
あと、上の系統図のガステリアは、おおよそ南アフリカ南西部の原産でした。分布が近い種類は近縁種であるという、考えてみれば当たり前の話がわかったのです。

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Gasteria glomerata

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Gasteria ellaphieae

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Gasteria baylissiana


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蒼角殿は南アフリカ、ジンバブエ、ザンビア、タンザニア、ウガンダ、ケニア、モザンビーク、マラウイ、アンゴラ原産の、モジャモジャしたつるを持つ球根植物です。1867年にHarv. ex Hook.f.により命名されました。

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蒼角殿 Bowiea volubilis Harv. ex hook.f.

蒼角殿には強心作用があるとされていますが、原産地ではある種の薬草として利用されてきた歴史があります。蒼角殿に含まれる有効成分を調べた論文もあるようですが、本日は蒼角殿の薬草としての利用について調査した論文をご紹介します。

本日ご紹介するのは、南アフリカの研究者であるL.J. Ramarumo、A. Maroyi & M.P. Tshisikhaweの『Bowiea volubilis Harv. ex Hook.f. subsp. volubilis : A therapeutic plant species used by the traditional healers in the Soutpansberg Region, Vhembe Biosphere Reserve, Limpopo Province, South Africa』です。2019年に発表された新しい論文です。

論文は南アフリカのLimpopo州Vhembe自然保護区、Soutpansberg地域の伝統的なヒーラーによるB. volubilisの治療への利用を調査したものです。調査はヒーラー133人に対するインタビューにより収集されました。
身近にある植物を薬草として利用は、太古の昔から行われています。世界の人口の80%以上、特に農村地域では健康のために薬草に依存しています。アフリカ南部では4000種類以上の植物が、病気に対して治療薬として利用されているそうです。

B. volubilisは発疹、幼児の駆虫薬。肝感染症、骨盤痛、幼児の黄疸などに使用されました。その薬草としての加工方法も目的により異なります。例えば、発疹にB. volubilisを使用する際は、新鮮な球根をみじん切りにして汁を絞り、これをボディーローションとして1日2回、5日間患部に使用します。肝感染症には、新鮮なB. volubilisの全体を茹でて、Momordica(M. boivinii、M. balsamica、M. cardiospermoides、M. foetida、M. repens)の新鮮な根と一緒に煎じます。これは、1日3回、2ヶ月間薬湯として飲まれます。骨盤痛には、茹でて刻んだ新鮮な球根と、Artabotrys monteiroaeの煎じ薬をトウモロコシ粉と混ぜて粥を作ります。粥として1日2回を1週間食べます。

このように、B. volubilisの利用法についての調査により、薬草としての可能性はあります。しかし、残念ながらB. volubilisの持つ薬理作用に関してはあまりわかっていません。抽出された個別成分の研究はあるようですが、植物そのものが漢方薬のように効果があるかは検証されていません。しかし、B. volubilisが様々な生理活性物質を含んでいることは確かなので、今後の研究に期待したいところです。


最後に、問題はB. volubilisがこのように生薬として様々な用途で利用されるため、個体数が減少して将来的に野生状態での絶滅の可能性があるということです。著者らは栽培の必要性を訴えています。

以上が論文の内容となります。
個人的に驚いたのは、意外にも用途に合わせて加工方法が異なり、他の薬草と合わせて調合されるなど調合方法が複雑なことです。薬草としての長い歴史的な経緯を感じさせます。
また、著者らは栽培の必要性を訴えていますが、栽培した時に野生株と比較して薬効成分が減少しないかは気になるところです。実際にその点を重視して調べた論文もあるようです。Bowiea volubilisの実際の薬理作用についても気になります。今後も注視して行きたいと考えております。


おまけ
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1867年の『Botanical Magazine』に掲載されたBowiea volubilisの図表。この論文によりB. volubilisは正式に新種として記載されました。



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10月に入り涼しくなったどころか、急に寒くなったりしてやや多肉植物たちが心配になりました。しかし、最近ではまた暑くなったりしておかしな感じですね。
それでも、陽光が柔らかくなったせいか、ハウォルチアなどは葉色が美しい時期です。生長が楽しみな季節ですが、そろそろ冬支度も考えなくてはなりません。実は色々考えてはいるのですが忙しくて時間が取れず、一向に進まずまったく持って困ったものです。


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オブツーサ
ホームセンターの安売り品でしたが、もう10年ほど雨ざらしの半野良オブツーサ。冬も戸外なので増えては減ってを繰り返しています。


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Euphorbia bongolavensis
他のユーフォルビアと同じように育てていたら、葉が少なくなってしまいました。そこで、遮光下であまり乾かさないように管理したら、葉もきれいに生え揃いました。

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Astroloba spiralis 
=Astroloba pentagona
=Astroloba spirella
Astroloba hallii nom. nud.
葉色も良く非常に元気です。炭化鶏糞が効いたのでしょうか。

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Astroloba rubriflora
Poellnitzia rubriflora
生長は遅いのですが、これでもだいぶ生長しました。割ときれいに育っています。


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Aristaloe aristata
=Aloe aristata
今年の春に親株を植え替えた際に、小さな子が付いていたので外して移植しましたが順調に育っています。片方は小さいながらもロゼットを形成し始めました。


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Gymnocalycium vatteri
現在の主流のバッテリーはイボが大きく扁平で強棘ですが、こちらはイボが目立たず一本棘の古いタイプです。


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新鳳頭
何故か地中に潜っていきます。不思議。



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Euphorbia robecchiiはエチオピア、ケニア、ソマリア、タンザニア原産のユーフォルビアです。
購入時だけ何故か名札にはEuphorbia robechchiiとありました。少し検索すると"robechchii"という名前で販売されていることが多いようです。どうやら、販売されている種子に"Euphorbia robechchii"とラベルされているようで、生産者さんも種子の情報通りに名前を書いているのでしょう。
さて、学名は1897年に命名されたEuphorbia robecchii Paxです。Paxはドイツの植物学者のFerdinand Albin Paxのことです。異名としては、1911年(publ. 1912)に命名されたEuphorbia pimeleodendron Paxや、1916年に命名されたEuphorbia ruspolii Chiov.が知られています。
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Euphorbia robecchii

しかし、Euphorbia robecchiiを調べてもあまり情報がありません。まあ、園芸的に重要ではないので仕方がないことです。要するに流行りではないのでしょう。とは言うものの、これだけの内容だと記事としてはあまりにも寂しい気がしますから、論文を漁ってみました。すると、いつもとは毛色の異なる面白い論文がありました。
本日ご紹介するのは、スイスのB.P.O.Ballyの1954年の論文『TREE-EUPHORBIA AS TIMBER TREES』です。今から70年近く前の貴重な写真もありましたから、せっかくなので掲載しました。

早速内容に移りましょう。
熱帯アフリカに自生する大型のユーフォルビアは、幹が木質化して樹木のように育ちます。このような大型のユーフォルビアはいわゆる「燭台の木」(Candelabrum Trees)と呼ばれますが、経済的な価値はないと考えられています。

しかし、現地では昔からユーフォルビアを様々な用途で利用されてきました。乾燥させた枝は火を運ぶのに使われました。「燭台の木」の枝は一度火が着くと、何時間もくすぶり続けるということです。また、キクユ族(Kikuyu)は「燭台の木」の髄を強壮剤や肥育剤として利用します。乳液は水で薄めて人や牛の駆虫薬として使用されます。ただし、ユーフォルビアの乳液には大なり小なり毒性がありますから、危険性は当然ながらあります。その毒性を利用して、実際に矢毒や漁にも利用されているくらいです。

乳液にはゴムの原料となるラテックスが含まれています。第二次世界大戦中、日本のアジア侵攻によりヨーロッパではゴム不足となりました。そのため、代替品としてユーフォルビアからゴムを得ようと分析されたことがあります。しかし、ゴムの含量には問題ありませんでしたが、ゴムだけを分離する事が当時は技術的に困難だったとのことです。

しかし、経済的に重要なユーフォルビアが2種類あります。ひとつはエリトリアに膨大な個体数を誇るEuphorbia abyssinicaです。
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Euphorbia abyssinica
アビシニカは高さ40フィート(約12.2m)に達し、太く真っ直ぐな材が取れます。イタリア人は「柔軟で平行な繊維」を持つE. abyssinicaの材がマッチ製造に適していることを発見し、国内消費用だけではなく、輸出用のマッチも製造していました。また、材の削りかすやおが屑などの廃棄物をパルプ化して、強い茶色の紙が作られています。
ただし、残念なことにE. abyssinicaは非常に生長が遅く、伐採後の植樹がなされていないため、いずれ資源が枯渇するのは時間の問題です。

ソマリアの沿岸地域では背が高くなるEuphorbia robecchiiが豊富に生えています。幹は木質化しますが、上部で枝分かれした枝も木質化するため、一見して普通の樹木のように見えます。
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Euphorbia robecchii

川のほとりに沿ってイタリア人の運営する巨大なバナナのプランテーションがあり、その運搬のために木箱が必要でした。しかし、アフリカで木材を得るのは困難でしたから、E. robecchiiの材が用いられました。


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切り出されたE. robecchiiの幹

Euphorbia robecchiiの乳液は刺激性が高く毒性が強いことが知られています。極少量でも炎症を引き起こし、皮膚に水ぶくれが出来ると言います。そのため、E. robecchiiを伐採する前に火で樹皮を焦がして、乳液を取り除く必要があります。


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E. robecchiiの材から作られた木箱

E. robecchiiの材は乾燥させてからカットし、木箱を作ってバナナを詰めます。木箱に入ったバナナは船で運ばれて行きます。
E. robecchiiはソマリアだけではなく、ソマリランドやタンザニアにも広く分布する事から、資源として有望です。

以上が論文の要約となります。もちろん、現在はこのような使われ方はしていないでしょう。しかし、現地の古くからの民間利用は今でもなされているのでしょう。
この論文は著者の意図したことではないでしょうが、結局はヨーロッパ諸国が植民地でいかに金を儲けるか、産業利用の可能性についての内容となっています。まあ、著者はあくまで研究者ですから、ただありのままを報告しているに過ぎませんから、実際にはプランテーション経営やユーフォルビアの産業利用とは縁がないとも言えます。
しかし、これは実際にあったことで、小さなことですが歴史の1ページであることは間違いありません。この論文が電子ファイルとして保存されていることを今は喜ぶべきなのでしょう。


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土・日に仕事があり少し疲れています。土曜日は筑波まで、電車とバスを乗り継いで2時間以上かかりました。とはいえ、土曜日はまあこれは以前からわかっていたからいいのですが、日曜日は急なものでしたからさすがに疲れ気味です。まあこれは緊急なトラブル対応で、そうそうあることではないのでまあ仕方がないでしょう。度々あるようでは困りますが…
というわけで、日曜日は都内に仕方がないので行きましたが、午前仕事でしたから西武池袋の鶴仙園に寄って帰りました。先月末にイベントで来たばかりでしたから、今月は行く予定はありませんでしたが、近くに来たのも何かの縁です。さて、今回はどのような多肉植物があるでしょうか? 

西武池袋の屋上では、なにやらハロウィンの飾りがありました。屋上には飲食店が多数出ていますから、時間帯が昼なこともあり結構な賑わいでした。
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大きなカボチャがゴロゴロ転がっています。

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私はそんな賑わいを後目に、鶴仙園に真っ直ぐ向かいます。今日は疲れたので早く家に帰りたい一心でしたが、多肉植物には逆らえません。
さて、前回来てからそれほど時を経ていないため、それほど変わりありません。ただ、塊根性のモナデニウムが数種類あったりして少し驚きましたが、それなりにいいお値段でした。どういう訳か硬葉系ハウォルチア(=Haworthiopsis)はほとんどありませんでした。軟葉系は相変わらず充実していましたが…
今回はギムノカリキウムの苗が結構入っていましたから、2つほど購入しました。サボテンは安くていいですね。まあ、普及しているからでしょうけど。
あと、珍しいことに、かつて硬葉系ハウォルチアとされていたTulistaの原種が何鉢かありました。T. kingianaやT. marginataの小さな苗が、手が出ないお値段で販売されていました。まあ、どうやらかなり特殊な珍しいタイプみたいですから、仕方がないのでしょう。私はそれなりに大型なのに安く売られていたスパルサを購入しました。
というわけで、今回は10分くらいで退散しました。買わなくてもゆっくり見られたら目の保養になるのですが、さすがに疲れました。
今回の購入品は以下の通りです。

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大型鬼胆丸 実生
Gymnocalycium gibbosum v. nigrum
九紋竜G. gibbosumの変種。
G. borthii var. brachypetalumとされることの方が多いみたいです。
学術的にはG. gibbosum subsp. gibbosumに含まれるとしていますが、割と外見は異なります。このように、九紋竜には現在は認められていない変種が沢山あり、それぞれ特徴的ですからコレクションしたくなります。


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フェロシオール
碧厳玉G. catamarcenseの強棘タイプを変種ferox、さらに強い棘のタイプを変種ferociorと呼ぶみたいです。ただ、碧厳玉はかつてG. hybopleurumと呼ばれていたため、現在でもこの名前で流通しています。フェロシオールはG. hybopleurum var. ferociorと表記されることが多いようです。
しかし、イギリス王立植物園のデータベースによると、G. catamarcenseはG. pugiocanthumの異名で、G. hybopleurumはG. monvillei subsp. monvilleiの異名、G. hybopleurum var. feroxはG. castellonosii subsp. castellonosiiの異名とありました。そもそも、G. hybopleurum var. ferocior自体データベースに情報がありません。いったい何がどうなっているやら、さっぱりわかりません。今後、じっくりと調査する必要がありそうです。

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Tulista (Haworthia) pumila sparsa Lemoenpoort
かつてハウォルチアだったため、括弧でハウォルチアと表記されています。さて、プミラには
変種ohkuwaeと変種sparsaがありますが、既に変種ohkuwaeは入手済みでしたから、プミラはこれでコンプリートです。
ツリスタ属で未入手は、現在はT. minorに含まれているT. opalinaくらいですかね。まあ、細かい地域の違いやタイプを気にし始めたらキリがありませんが…


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鶴仙園のカッコいいラベル付き。



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いよいよ、ガステリア属の種類についての記事は、19世紀篇、20世紀篇と来て本日の21世紀篇で終了です。21世紀に入ると、南アフリカのvan Jaarsveldの一強時代となります。驚くべきことに、20年間に9種類の新種のガステリアが命名されており、そのすべてにvan Jaarsveldが関わっているのです。では、21世紀に命名されたガステリア属を見ていきましょう。

①Gasteria polita van Jaarsv., 2001

②Gasteria doreeniae
        van Jaarsv. & A.E.van Wyk, 2004


③Gasteria tukhelensis
                             van Jaarsv., 2005


④Gasteria barbae van Jaarsv., 2014

⑤Gasteria loedolffiae
                        van Jaarsv., 2014


⑥Gasteria koenii van Jaarsv., 2017

⑦Gasteria langebergensis
                   (van Jaarsv.)
              van Jaarsv. & Zonn., 2019

Homotypic synonym
Gasteria disticha var. langebergensis
                                van Jaarsv., 2007


⑧Gasteria visserii van Jaarsv., 2020

⑨Gasteria camillae
              van Jaarsv. & Molteno, 2020



ここ3日間の記事で、ガステリア属全26種の学名を、その命名年ごとに19世紀8種、20世紀9種、21世紀9種についてまとめてみました。18世紀はガステリア属はまだありませんからアロエ属とされており、1809年にDuvalによりガステリア属が創設されてからは19世紀はアロエ属かガステリア属かという駆け引きがあった模様です。しかし、20世紀前半は無風状態でしたが、後半はvan Jaarsveldの独断場と化します。1753年に後のGasteria disticha、つまりはAloe distichaが命名されていますからそこから数えて約270年、ガステリア属が1809年に創設されてからと考えても200年以上の歴史があります。そう考えるとここ30年あまりのvan Jaarsveldの活躍には目を見張るものがあります。
そのvan Jaarsveldは1987年にGasteria vlokiiを命名して以来、実に12種2亜種6変種を命名し認められています。ガステリア属26種類のうち12種類ですから、半分近くがvan Jaarsveldの命名しました。大変な速さで新種が見つかっています。

しかし、これだけ古くから知られており、しかも南アフリカに固有という条件で、21世紀に入ってから新種が発見されるペースが加速することは珍しく感じます。考えてみればガステリア属は急な崖に生えるものが多く、いまだに調査が及んでいない地域は沢山ありそうです。しかも、何故かガステリアは内陸部や隣国では見つからず、南アフリカにU字型に分布します。これからも、新種が発見される可能性が高いのではないでしょうか? 引き続きvan Jaarsveldの活躍と、21世紀の新世代の植物学者たちの研究に期待したいですね。



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昨日は19世紀に命名されたガステリア属についてまとめました。本日は20世紀篇です。
19世紀のガステリアは異名が非常に多く、それなりに混乱していたことがうかがえます。ガステリア属を採用するか、それとも今まで通りアロエ属のままにしていくのかという論争もあったのでしょう。しかし、20世紀に入るとガステリア属は定着し、もはやアロエ属の所属と考える学者は現れません。

20世紀に命名されたガステリア属は9種類です。19世紀と比較すると異名が少なく、異名が多いのは19世紀にアロエ属として命名されているGasteria brachyphyllaだけです。
では、20世紀に命名されたガステリア属を見ていきましょう。


①Gasteria pillansii Kensit, 1910

変種ピランシイ
Gasteria pillansii var. pillansii
Heterotypic synonym
Gasteria neliana Poelln., 1929

変種エルネスティ-ルスキイ
Gasteria pillansii var. ernesti-ruschii
        (Dinter & Poelln.) van Jaarsv., 1992
Homotypic synonym
Gasteria ernesti-ruschii
                Dinter & Poelln., 1938

変種ハリイ
Gasteria pillansii var. halii
                    van Jaarsv., 2007


②Gasteria rawlinsonii
                      Oberm., 1976


③Gasteria baylissiana
                           Rauh, 1977


④Gasteria vlokii
                   van Jaarsv., 1987


⑤Gasteria ellaphieae
                    van Jaarsv., 1991


⑥Gasteria glomerata
                    van Jaarsv., 1991


⑦Gasteria brachyphylla
      (Salm-Dyck) van Jaarsv., 1992
Homotypic synonym
Aloe brachyphylla Salm-Dyck, 1840

変種ブラキフィラ
Gasteria brachyphylla
                     var. brachyphylla
Heterotypic synonym
Aloe pseudonigricans Salm-Dyck, 1817
Gasteria nigricans
                 var. marmorata Haw., 1821
Aloe subnigricans Spreng., 1825
Gasteria subnigricans Haw., 1827
Gasteria subnigricans
                      var. glabrior Haw., 1827
Gasteria fasciata var. laxa Haw., 1827
Aloe subnigricans
       var. canaliculata Salm-Dyck, 1840
Gasteria nigricans
                  var. platyphylla Baker, 1880
Gasteria nigricans
                     var. polyspila Baker, 1880
Gasteria transvaalensis Baker, 1889
Gasteria angustiarum Poelln., 1937
Gasteria triebneriana Poelln., 1938
Gasteria joubertii Poelln., 1940
Gasteria vlaaktensis Poelln., 1940

変種バイエリ
Gasteria brachyphylla
                  var. bayeri van Jaarsv., 1992


⑧Gasteria batesiana
                     G.D.Rowley, 1995


変種バテシアナ
Gasteria batesiana var. batesiana

変種ドロミティカ
Gasteria batesiana var. dolomitica
        van Jaarsv. & A.E.van Wyk, 1999


⑨Gasteria glauca
                          van Jaarsv., 1998



時代が変わりガステリアの研究者も代わりました。もはや、19世紀を主導した研究者たちは見られません。
さらに、19世紀は8種類が命名されているのに対し、20世紀は9種類が命名されていますから、一見してガステリア研究は活発に見えますが、それは実のところ見かけだけのことです。なぜなら、20世紀前半で命名されたのはGasteria pillansiiのみで、しかも活動していたのはPoellnitz、
Schönland、Alwin Bergerくらいで、命名された学名の数も少なく19世紀ほどの熱気は感じられません。
しかし、20世紀後半はその様相はガラリと変わります。1976年から1995年までの19年間に残りの8種類が命名されているのです。このガステリアの命名ラッシュを主導したのはvan Jaarsveldです。1990年代以降はまさにvan Jaarsveldの時代と言えます。21世紀になってもvan Jaarsveldは活発に研究し、20世紀以上のペースでガステリアの新種を発見していくのです。

明日はいよいよ21世紀篇です。もはやガステリア属の第一人者となったvan Jaarsveldが大活躍します。

20世紀のガステリア属に関する代表的な命名者たちは以下の通り。

☆Poelln.=Karl von Poellnitz(1896-1945年)ドイツの植物学者。
Schönland.=Selmar Schonland(1860-1940年)ドイツ出身で南アフリカで活躍した植物学者。
☆A.Berger=Alwin Berger(1871-1931年)ドイツの植物学者・園芸家。
☆Kensit=Harrit Margaret Louisa Bolus née Kensit(1877-1970年)南アフリカの植物学者。L.Bolusと表記されることが多い。
☆Oberm.=Anna Amelia Mauve、旧姓Obermeyer(1907-2001)南アフリカの植物学者。
☆Rauh=Werner Rauh(1913-2000年)ドイツの植物学者・生物学者・作家。
☆G.D.Rowley=Gordon Douglas Rowley(1921-2019年)イギリスの植物学者。
☆van Jaarsv.=Ernst Jacobus van Jaarsveld(1953- )南アフリカの植物学者。



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ガステリアは赤系統の特徴的な花を咲かせるアロエ類(アロエ属やハウォルチア属などをまとめたグループ)です。属名のガステリア(Gasteria)は胃(garter)から来た名前で、花がちょうど胃袋のような形をしています。ガステリアは花の蜜を求めて訪れるタイヨウチョウにより受粉する鳥媒花です。
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ガステリアの花

ガステリアは1753年に設立されたアロエ属(Aloe L.)に含まれていましたが、1809年にDuvalによりガステリア属(Gasteria Duval)として独立しました。1866年にはプティアス属(Ptyas Salib.)も提唱されましたが、これは現在認められていない属名です。
2022年現在、学術的に認められているガステリアは26種類です。

本日は19世紀にガステリア属として命名された8種類について、異名を含め一覧としました。ガステリア属が創設される前はアロエ属でしたから、初命名は18世紀だったりしますが、ガステリア属が19世紀はじめに創設されましたからガステリア属としての命名は19世紀からということになります。しかし、19世紀に命名されたガステリアは異名が非常に多いですね。
異名は現在の正式な学名につながるHomotypic synonymと、正統性が認められないHeterotypic synonymがあります。
先に命名された学名を優先するという「先取権の原理」がありますから、一番はじめに命名された学名の種小名に正統性があります。ですから、もし属が変更になっても、種小名は基本的にはじめに命名されたものが受け継がれます。
しかし、19世紀のガステリア属の命名者を見てみると、Duval、Haworth、Bakerとアロエ属やハウォルチア属でもお馴染みの学者ばかりですね。

①Gasteria carinata
                (Mill.) Duval, 1809

Homotypic synonym
Aloe carinata Mill., 1768

変種カリナタ
Gasteria carinata var. carinata 

Heterotypic synonym
Aloe tristicha Medik., 1786
Aloe linguiformis DC, 1801
Aloe lingua var. angulata Haw., 1804
Aloe lingua var. multifaria Haw., 1804
Aloe carinata var. subglabra Haw., 1804
Gasteria angulata (Haw.) Duval, 1809
Aloe carinata Kew Gawl., 1810
Aloe excavata Willd., 1811
Aloe angulata Willd., 1811
Aloe angulata var. truncata Willd., 1811
Gasteria glabra Haw., 1812
Aloe leavis Salm-Dyck, 1817
Aloe pseudoangulata Salm-Dyck, 1817
Aloe subcarinata Salm-Dyck, 1817
Gasteria subcarinata
               (Salm-Dyck) Haw., 1819 
Aloe sulcata Salm-Dyck, 1821
Aloe glabra (Haw.) Salm-Dyck, 1821
Gasteria laetepunctata Haw., 1827
Gasteria parva Haw., 1827
Gasteria strigata Haw., 1827
Gasteria undata Haw., 1827
Gasteria sulcata
                (Salm-Dyck) Haw., 1827
Gasteria angulata (Willd.) Haw., 1827
Gasteria leavis (Salm-Dyck) Haw., 1827
Gasteria excavata (Willd.) Haw., 1827
Gasteria humilis Poelln., 1829 
Aloe pusilla Schult. & Schult.f., 1829
Aloe umdata Schult. & Schult.f., 1829
Aloe laetepunctata
         (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
Gasteria pallescens Baker, 1880
Gasteria porphyrophylla Baker, 1880
Gasteria parviflora Baker, 1880
Gasteria disticha var. angulata
                        (Willd.) Baker, 1880
Gasteria carinata var. parva
                       (Haw.) Baker, 1896
Gasteria carinata var. strigata
                       (Haw.) Baker, 1896
Gasteria trigona var. kewensis
                        A.Berger, 1908
Gasteria carinata var. falcata
                        A.Berger, 1908
Gasteria carinata var. latifolia
                        A.Berger, 1908
Gasteria bijliae Poelln., 1937
Gasteria schweickerdtiana
                             Poelln., 1938
Gasteria patentissima Poelln., 1940
Gasteria carinata var. glabra
          (Salm-Dyck) van Jaarsv., 1998


変種レツサ
Gasteria carinata var. retusa
                         van Jaarsv., 1992

Homotypic synonym
Gasteria retusa
       (van Jaarsv.) van Jaarsv., 2007

変種ヴェルコサ
Gasteria carinata var. verrucosa
                (Mill.) van Jaarsv., 1992

Homotypic synonym
Aloe verrucosa Mill., 1768
Gasteria verrucosa (Mill.) Duval, 1809

Heterotypic synonym
Aloe acuminata Lam., 1783
Aloe recemosa Lam., 1783
Aloe verrucula Medik., 1784
Aloe carinata DC., 1801
Aloe intermedia Haw., 1804
Aloe lingua Kew Gawl., 1810
Gasteria intermedia
               (Haw.) Haw., 1812
Aloe verrucosa var. striata
                     Salm-Dyck, 1817
Gasteria repens Haw., 1821
Gasteria intermedia var. asperrima
                               Haw., 1821
Aloe verrucosa var. latifolia
                      Salm-Dyck, 1821
Aloe subverrucosa Salm-Dyck, 1821
Aloe subverrucosa var. grandipunctata
                               Salm-Dyck, 1821
Aloe subverrucosa var. parvipunctata
                               Salm-Dyck, 1821
Aloe intermedia var. asperrima
                               Salm-Dyck, 1821
Gasteria subverrucosa
                  (Salm-Dyck) Haw., 1827
Gasteria intermedia var. laevior Haw., 1827
Gasteria intermedia var. longior Haw., 1827
Aloe repens Schult. & Schult.f., 1829
Aloe scaberrima Salm-Dyck, 1834
Gasteria var. intermedia
                           (Haw.) Baker, 1880
Gasteria subverrucosa var. marginata
                                 Baker, 1880
Gasteria radulosa Baker, 1889
Gasteria verrucosa var. scaberrima
                     (Salm-Dyck) Baker, 1896


②Gasteria obliqua
               (Aiton) Duval, 1809

Homotypic synonym
Aloe maculata var. obliqua
                     Aiton, 1789
Aloe obliqua (Aiton) Haw., 1804

Heterotypic synonym
Aloe maculata Thunb., 1785
Aloe lingua Kew Gawl., 1806
Aloe nigricans var. fasciata
                      Salm-Dyck, 1821
Gasteria bicolor Haw., 1826 publ. 1827
Gasteria picta Haw., 1827
Gasteria retata Haw., 1827
Gasteria maculata Haw., 1827
Gasteria formosa Haw., 1827
Gasteria maculata var. fallax
                         Haw., 1827
Gasteria fasciata
                      (Salm-Dyck) Haw., 1827
Aloe formosa
           (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
Aloe dictyodes Schult. & Schult.f., 1829
Aloe boureana Schult. & Schult.f., 1829
Aloe bicolor 
            (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
Aloe vittata Schult. & Schult.f., 1829
Aloe guttata Salm-Dyck, 1834
Aloe quadrangularis Da Pare, 1835
Aloe macchiata Da Pare, 1835
Aloe zeyheri Salm-Dyck, 1836
Aloe marmorata Steud., 1840
Aloe planifolia Baker, 1869
Gasteria variolosa Baker, 1873
Gasteria colubrina N.E.Br., 1877
Gasteria planifolia (Baker) Baker, 1880
Gasteria marmorata Baker, 1880
Gasteriazeyheri (Salm-Dyck) Baker, 1880
Gasteria spiralis Baker, 1880
Gasteria spiralis var. tortulata Baker, 1880
Gasteria maculata var. dregeana
                A.Berger, 1908
Gasteria lingua
            (Kew Gawl.) A.Berger, 1908
Gasteria caespitosa Poelln., 1937
Gasteria chamaegigas Poelln., 1938
Gasteria salmdyckiana Poelln., 1938
Gasteria liliputana Poelln., 1938
Gasteria longiana Poelln., 1938
Gasteria longibracteata Poelln., 1938
Gasteria herreana Poelln., 1938
Gasteria kirsteana Poelln., 1940
Gasteria loeriensis Poelln., 1940
Gasteria multiplex Poelln., 1940
Gasteria biformis Poelln., 1940
Gasteria bicolor var. liliputana
              (Poelln.) van Jaarsv., 1992
Gasteria bicolor var. fallax
               (Haw.) van Jaarsv., 2007


③Gasteria pulchra
               (Aiton) Haw., 1812

Homotypic synonym
Aloe pulchra (Aiton) Jacq., 1804

Heterotypic synonym
Aloe obliqua DC, 1802
Gasteria poellnitziana
                 H.Jacobsen, 1954


④Gasteria acinacifolia
                  (J.Jacq.) Haw., 1819

Homotypic synonym
Aloe acinacifolia J.Jacq., 1813


Heterotypic synonym
Aloe acinacifolia J.Jacq., 1813
Aloe acinacifolia var. minor
                         Salm-Dyck, 1817
Gasteria nitens Haw., 1819
Aloe acinacifolia var. nitens
                         (Haw.) Haw., 1821
Gasteria venusta Haw., 1827
Gasteria ensifolia Haw., 1825
Gasteria candicans Haw., 1827
Gasteria pluripunctata Haw., 1827
Gasteria  linita Haw., 1827
Aloe ensifolia
        (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
Aloe candicans
        (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
Aloe venusta
        (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
Aloe nitens
        (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
Aloe pluripunctata
        (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
Gasteria fuscopunctata Baker, 1880
Gasteria acinacifolia var. nitens
                            (Haw.) Baker, 1880
Gasteria acinacifolia var. ensifolia
                        (Haw.) Baker, 1880
Gasteria acinacifolia
     var. pluripunctata (Haw.) Baker, 1896
Gasteria acinacifolia
              var. venusta (Haw.) Baker, 1896
Gasteria huttoniae N.E.Br., 1908
Gasteria lutziii Poelln., 1933
Gasteria inexpectata Poelln., 1938


⑤Gasteria disticha (L.) Haw., 1827
Homotypic synonym
Aloe disticha L., 1753
Ptyas disticha (L.) Salib., 1866


変種ディスティカ
Gasteria disticha var. disticha

Heterotypic synonym
Aloe linguiformis Mill., 1768
Aloe lingua var. crassifolia Aiton, 1789
Aloe lingua var. angustifolia Aiton, 1789
Aloe nigricans Haw., 1804
Aloe obliqua Jacq., 1804
Aloe lingua var. latifolia Haw., 1804
Aloe lingua var. longifolia Haw., 1804
Gasteria nigricans (Haw.) Duval, 1809
Gasteria longifolia (Haw.) Duval, 1809
Gasteria angustifolia (Aiton) Duval, 1809
Aloe obscura Willd., 1811
Aloe longifolia (Haw.) Haw., 1812
Gasteria latifolia (Haw.) Haw., 1812
Aloe nigricans
           var. crassifolia Salm-Dyck, 1817
Gasteria denticulata Haw., 1819
Aloe obtusifolia Salm-Dyck, 1821
Aloe conspurcata Salm-Dyck, 1821
Aloe angustifolia
           (Aiton) Salm-Dyck, 1821
Gasteria mollis Haw., 1821
Gasteria nigricans
        var. crassifolia (Aiton) Haw., 1821
Gasteria disticha var. major Haw., 1827
Gasteria disticha var. minor Haw., 1827
Gasteria obtusifolia Haw., 1827
Gasteria conspurcata
           (Salm-Dyck) Haw., 1827
Gasteria crassifolia
           (Salm-Dyck) Haw., 1827
Aloe mollis
      (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
Aloe crassifolia
   (Salm-Dyck) Schult. & Schult.f., 1829
Aloe retusifolia Haw. ex Steud., 1840
Gasteria disticha var. angustifolia
                        Baker, 1880
Gasteria disticha var. conspurcata
                  (Salm-Dyck) Baker, 1880
Gasteria platyphylla Baker, 1880

変種ロブスタ
Gasteria disticha var. robusta
                        van Jaarsv., 2007


⑥Gasteria nitida
          (Salm-Dyck) Haw., 1827

Homotypic synonym
Aloe nitida Salm-Dyck, 1817
Haworthia nitida
            (Salm-Dyck) G.Don, 1830

変種ニティダ
Gasteria nitida var. nitida

Heterotypic synonym
Aloe nitida var. major Salm-Dyck, 1817
Aloe nitida var. minor Salm-Dyck, 1817
Aloe nitida var. obtusa Salm-Dyck, 1817
Aloe trigona Salm-Dyck, 1821
Haworthia nigricans Haw., 1824
Gasteria obtusa (Salm-Dyck) Haw., 1827
Aloe decipiens (Haw.)
              Schult. & Schult.f. 1829
Gasteria beckeri 
Schönland, 1908
Gasteria stayneri Poelln., 1938


変種アルムストロンギイ
Gasteria nitida var. armstrongii
        (
Schönland) van Jaarsv., 1992
Homotypic synonym
Gasteria armstrongii 
Schönland, 1912

⑦Gasteria croucheri
              (Hook.f.) Baker, 1880

Homotypic synonym
Aloe croucheri Hook.f., 1869

亜種クロウケリ
Gasteria croucheri subsp. croucheri

Heterotypic synonym
Gasteria disticha var. natalensis
                     Baker, 1880

亜種ポンドエンシス
Gasteria croucheri subsp. pondoensis
           N.R.Croch, Gideon F.Sm.
                       & D.G.A.Styles, 2011

亜種ペンドゥリフォリア
Gasteria croucheri subsp. pendulifolia 
             (van Jaarsv.) Zonn.

Homotypic synonym
Gasteria pendulifolia van Jaarsv., 2001


⑧Gasteria excelsa Baker, 1880


本日は19世紀に命名されたガステリア属をご紹介しました。明日は20世紀に命名されたガステリア属をご紹介します。
しかし、19世紀と一口に言っても実に長く、命名者も様々です。19世紀初頭はHaworthやDuvalが活躍しています。Haworthは当初はガステリアをアロエ属としていますが、Duvalがガステリア属を創設すると、歩調を合わせるようにHaworthもガステリア属を使用し始めます。しかし、1920年代から活躍するSalm-DyckやSchult. & Schult.f.は、ガステリア属を認めずアロエ属としています。19世紀中頃はSteudやBakerが、やはりアロエ属とする立場です。しかし、Bakerは19世紀後半ではガステリア属を認める立場となっています。結局のところ、19世紀のガステリア属の正式に認められている学名の命名者は、Duval、Haworth、Bakerの3人だけでした。ガステリア属を認めるか否かが重要な分岐点でしたね。

19世紀のガステリア属に関する代表的な命名者たちは以下の通り。

☆Haw.→Adrian Hardy Haworth (1767-1833年)イギリスの昆虫学者・植物学者・甲殻類学者。
☆Duval→Henri August Duval(1777-1814年)フランスの植物学者。
☆Salm-Dyck→Joseph Franz Maria Anton Hubert Ignatz Furst und Altgraf zu Salm-Reifferscheidt-Dyck(1773-1861年)ドイツのアマチュア植物学者。
☆Schult.→Joseph August Schultes(1773-1831年)オーストリアの医師・博物学者。
☆Schult.f.→Julius Hermann Schultes(1804-1840年)オーストリアの植物学者。Joseph August Schultesの息子。
☆Kew Gawl.→John Bellenden Kew、元John Gawler(1764-1842年)イギリスの植物学者。
☆Steud→Ernst Gottlieb von Steudel(1783-1856年)ドイツの医師・植物学者。
☆Baker→John Gilbert Baker(1834-1920年)イギリスの植物学者。


ちなみに、G. nitida var. armstrongiiについては、armstrongiiはG. nitidaの変種ではない可能性が出てきました。2021年に出た『Phylogeny of the Southern African genus Gasteria duval (Asphodelaceae) based on Sanger and next generation sequencing data』という論文では、遺伝子解析により別種とすべき結果が得られています。今後、armstrongiiは独立するかもしれません。



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最近、アロエ属についてアロエ属から分離したり統合されたりした経緯を簡単にまとめました。その記事の中でも触れましたが、Aloe bowieaについてはBowiea africanaやChamaealoe africanaとも呼ばれたことがあります。BowieaやChamaealoeからアロエ属に統合されても、アロエ属の中で独特の地位を占めるとされることがあります。

本日、ご紹介する論文はGideon F. Smithが1990年に発表した『Nomenclature notes on the subsection Bowiea in Aloe (Asphodelaceae : Alooideae)』です。早速、内容に入りましょう。

Chamaealoe A.BergerはAloe L.の異名です。つまり、かつてChamaealoe africana (Haw.) A.Bergerと呼ばれた種は現在Aloe bowiea Schult. & Schult.f.とされており、Aloe section Graminialoe Reynolds(=アロエ属グラミニアロエ節)に含まれるとされています。 

DSC_1607
Aloe bowiea
=Chamaealoe africana
=Bowiea africana


現代のアロエ属の分類に関しては、アフリカとマダガスカルのアロエ研究を生涯の仕事としたG. W. Reynoldsに負うところが大です。その後、アロエ属の属下分類は、Reynoldsの分類を基礎として改訂されていきました。アフリカ南部のアロエ属は、H. F. GlenとD. S. Hardyにより改訂されています。
Aloe bowieaはChamaealoeからアロエ属に移されましたが、Aloe bowieaのアロエ属内の分類はまだ明らかではありません。著者はAloe bowieaをSection Graminialoe Subsection Bowieae(グラミニアロエ節ボウィエアエ亜節)としてアロエ属の分類に組み込むことを目指しております。

アロエ属(Aloe L.)は1753年にCarl von Linneが設立しましたが、1786年にMedikusが細分化に失敗(Catevala Medik., Kumara Medik.)した後、1804年にHaworthがより自然な単位に分ける試みを行いました。Haworthは現在のHaworthiaやGasteriaに相当するグループに、アロエ属の属以下の分類としてGrandiflora、Parviflora、Curvifloraを考えました。その5年後の1809年に、DuvalはHaworthiaとGasteriaをアロエ属から分離しました。
1834年にSalm-Dyckは栽培した植物のカタログを出版しました。その中ではHaworthの考え方を支持し、アロエ属の属下分類としてParvifloraとGrandifloraを説明しました。GrandifloraはTubo recto(=アロエ)とTubo curvato(=ガステリア)に分類しました。Parvifloraは14節(Section)に分け、ボウィエアエ節(Section Bowieae)は、Aloe bowieaが初めてBowiea africanaとしてですが記載されました。これは、1824年のBowiea Haw.に基づきます。Bowiea Haw.の2種類目は1827年にHaworthによりBowiea myriacanthaと記載されました。しかし、1829年にこのBowiea Haw.の2種はアロエ属に移されました。
1836年にSalm-DyckはBowiea Haw.を支持し、Aloe myriacanthaも含めるべきであると主張しました。しかし、Baker(1880年, 1896年)はBowieaをアロエ属の同義語としてDuvalの分類を受け入れ、Salm-Dyckの節(Section)を亜属(Subgenus)に置き換えました。Aloe bowieaとAloe myriacanthaはアロエ属Eualoe亜属の中の1グループであるAcaulesに含めました。
Aloe bowieaとAloe myriacanthaは明らかに関連性はありますが、しかし互いの特徴は異なります。そのため、Aloe bowieaは1905年にChamaealoe africana、Aloe myriacanthaは1933年にLeptaloe myriacanthaとする意見もありました。Leptaloeは短命な属名で、1947年にReynoldsはアロエ属の同義語としました。しかし、1915年のMarloth、1941年のGroenewald、1950年のReynoldsはChamaealoeを支持しました。ただし、その後は1973年のObermeyer、1983年のSmithはChamaealoe africanaはAloe bowieaの同義語であるとしています。


Aloe bowieaは1973年のObermeyerや1981年のCourtによると、Anguialoe節との花の形態学的な類似性を示します。しかし、この節のアロエはAloe vryheidensis以外は木質化しますが、Aloe bowieaは非常に小型です。
Aloe bowieaは形態的にはGraminialoe節と類似します。Graminialoe節とAloe bowieaは、細い線形の直立した多肉質の葉を持ちます。Aloe bowieaは密集したロゼットを作り、他のGraminialoeと同様に肉質の根を持ちます。しかし、グラスアロエの中でもAloe bowieaの花は独特の緑がかる白色花で、総状花序に分散します。葯と花柱の配置も異なります。このように、Aloe bowieaは既存の属下分類に当てはまらないため、Graminialoe節の中でも独立したBowieae亜節(Subsection Bowieae)を提案しています。Graminialoe節Graminialoe亜節(Section Graminialoe Subsection Graminialoe)との相違点は上記以外にもあり、私の記事では示しませんが論文では一覧表をあげています。


Reynoldsのアロエ属の分類が示された後、Graminialoe節であるAloe modestaとAloe ioconspicuaが記載されました。しかし、それらとAloe bowieaは緩く細長い総状花序と、地下の球根状の膨らみがないことで区別出来ます。Aloe modestaはAloe bowieaよりも短い総状花序を持ち、小花柄が密集します。Aloe ioconspicuaは密集した円筒形の総状花序と無柄の花を持ちます。
上記のように、Bowiea亜節とGraminialoe亜節は肉眼でも容易に区別可能です。

以上が論文の簡単な内容紹介となります。やはり、アロエ属とされたとは言え、Aloe bowieaはアロエ属の中でも独立した存在と考える向きがあるようですね。グラスアロエを含む小型アロエはあまり詳しくないため、これから少しずつ調べていくつもりです。


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ギムノカリキオイデスはエチオピア原産のユーフォルビアです。名前の通りまるでサボテンのGymnocalyciumの様な姿をしています。一般に栽培難易度は高く、自根での栽培は困難とされているようです。ですから、一般的には他のユーフォルビアに継木して育てます。ギムノカリキオイデスは継木で育てると、生育は良く普通に育てることが出来ます。
私の入手したギムノカリキオイデスは、おそらくは継木株由来のカキコで、干からびた貧弱な根しかありませんでした。今年の6月の五反田TOCのビッグバザールで購入しましたが、しばらくは発根管理していて最近ようやく根が多少張ったかな? くらいの感覚です。おそらくは、これからは根の状態に右往左往させられる予感がないではないと言ったところでしょうか。


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Euphorbia gymnocalycioides

しかし、ギムノカリキオイデスは何故そこまで難易度が高いのか気になります。とりあえずは、ギムノカリキオイデスに関する論文を漁ってみました。というわけで本日ご紹介するのは、ギムノカリキオイデスを新種として初めて報告したM. G. Gilbert & Susan Carterの1984年の論文『A Cactus-like Euphorbia from Ethiopia』です。

1929年にChiovendaは、Euphorbia turbiniformisを記述する際に、2つの標本を引用しました。それは、ソマリアの北東海岸近くと、もうひとつはエチオピア南部のSidamo地方です。ソマリアの標本は1966年にBallyがレクトタイプ(正模式標本が指定されていない、正模式標本が行方不明、正模式標本が複数種含まれていた場合に選出される選定基準標本)としたものと特徴はほぼ一致します。レクトタイプの標本は1924年の採取でしたが、1969年にタイプ標本の採取地の南南西150km地点でLarvanosにより再発見されて1971年に報告されました。Ballyがソマリアの標本をE. turbiniformisのレクトタイプとして指定しましたが、エチオピアの標本(=後のE. gymnocalycioides)には名前がありませんでした。しかし、1982年にエチオピアの植物収集のための遠征隊により再発見されましたが、残念ながら持ち帰った植物は枯れてしまいました。1年後、別の遠征隊が同じ地域を訪れ4個体の植物を持ち帰りました。それらはすべて栽培に成功し、そのうち1個体が開花しました。その開花個体の情報に基づいて論文は書かれたとのことです。

 E. gymnocalycioidesは標高1350mのAcacia-Commiphoraのブッシュがある地域で発見され、開けたキツネノゴマ科の特にBarleriaの低木の下で育ちます。同じような環境でEuphorbia actinocladaがみられ、ブッシュのある地域ではEuphorbia glochidiataがみられました。
この地域の降水量は4~5月と11~12月にピークがあるはっきりとした二峰性でした。栽培するにあたっては、春・秋型として扱うのが最善かもしれません。多くの東アフリカの多肉植物と同様に、夏に休眠期間があります。

E. gymnocalycioidesはE. turbiniformisとは明らかな別種ですが、この2種は特徴から見て近縁と考えられます。また、E. gymnocalycioidesはアフリカ北東部やソマリアに、特徴の類似したユーフォルビアが分布します。Euphorbia columnarisやEuphorbia phillipsiae、Euphorbia mosaica、Euphorbia horwoodiiはE. gymnocalycioidesと特徴に連続性があるとしています。つまり、似ている部分と異なる部分があり、上記の種の間で遠近があるということです。E. gymnocalycioidesはトゲを失う方向性に向かったものということになります。

さて、とりあえず論文を読んだ感想てしては、ギムノカリキオイデスは高地性で、夏に暑がるタイプのようです。ソマリアものと同じ扱いということでしょう。しかし、私もソマリアものはE. columnarisやE. phillipsiae、E. phillipsioidesなどはなんだかんだで育てていますが、実のところ育て方はよく分かりません。日本で夏に涼しくというのは難しいので断水したくなりますが、ユーフォルビアは完全断水をすると根にダメージがあるため、断水はしたくないですね。E. phillipsiaeあたりは少し遮光するだけで夏を越しますし、E. phillipsioidesは遮光し過ぎると形が崩れやすいのであまり遮光しない方が良いみたいです。このように、一口にソマリアものと言えど結構育て方に違いがありますから、ギムノカリキオイデスについても悩みどころです。とりあえずは、真夏だけ強目に遮光する形にしようと考えています。


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先日、「解体と統合のアロエ属」と称しまして、アロエ属から分離独立したり吸収統合された多肉植物が沢山あるという記事を書きました。
しかし、それは公的なデータベースを漁っただけですから、細かい事情やことの経緯はよくわかりません。特に気になっているのは、Aloe albifloraとAloe bowieaです。双方ともアロエ属ではないとされていた時期があります。A. albifloraはGuillauminia albifloraとされていましたが、現在はアロエ属とされています。いかなる経緯があったのか気になりましたので、少し調べてみました。本日、ご紹介する論文は1995年にGideon F. Smithらにより発表された『The taxonomy of Aloinella, Guillauminia and Lemeea (Aloacaea)』です。

アロエ属には14の異名(※1995年当時)があり、そのうち2属はマダガスカル原産種に対するものでした。それは、AloinellaGuillauminiaです。どちらの属名も広く受け入れられているとは言えず、世界規模で属を改訂したGilbert Westacott Reynolds(1958, 1966年)によりアロエに含まれることとなり、AloinellaとGuillauminiaは異名となりました。Reynoldsは1930年から1966年までの30年以上に渡りアロエ属の権威でした。

しかし、Heath(1993, 1994年)は、特に裏付けもなくAloinellaとGuillauminiaを復活させました。Aloinellaは同属として、Lemeea P.V.Heathと命名されました。A. haworthioides、A. boiteaui、A. parvulaをLemeeaに、A. bakeri、A. bellatula、A. calcairophylla、A. descoingsii、A. rauhiiはGuillauminiaとされました。

DSC_1815
Aloe haworthioides
=Aloinella haworthioides
=Lemeea haworthioides


DSC_1816
Aloe parvula
=Lemeea parvula


著者らはHealthの意見には反対です。なぜなら、属はその他の種よりもお互いに共通する多くの特徴を有している必要があるためです。この場合は、LemeeaやGuillauminiaがアロエ属とは明確に分離出来る特徴を持つ、つまりはLemeea内やGuillauminia内で共通する特徴を多く持ち、それがアロエ属とは共通していないことが求められているわけです。しかし、LemeeaやGuillauminiaはその特徴を抽出すると、アロエ属に含まれてしまう特徴ばかりでした。それぞれ固有と考えられている特徴も、調べてみると同じ特徴を有するアロエが見つかりました。

これらのことから、著者らはLemeea(incl. Aloinella)とGuillauminiaをアロエ属から分離することを認めません。もし、Healthの主張が認められるならば、アロエ属は細かい特徴ごとに非常に細分化されてしまい、LemeeaやGuillauminia以外の属の復活と、新たに沢山の新属を設けなければならなくなります。アロエ属という分類群の安定のためにも好ましくないとしています。

以上が論文の内容となりますが、結局はHealthの主張は認められておりません。しかし、近年の遺伝子解析の進歩により、結局アロエ属は解体されることになりました。それでも、アロエ属から独立したのはA. aristataやA. variegata、A. dichotomaなどであり、LemeeaやGuillauminiaではありませんでした。つまりはGideon F. Smithらの主張通り、LemeeaやGuillauminiaはアロエ属に含まれてしまうことが確定的となりました。



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女王錦Aloe parvulaはマダガスカル島に固有の小型アロエです。A. parvulaは1908年にドイツの植物学者であるAlwin Bergerにより命名されました。
2004年にイギリス王立植物園が発行している『Curtis's Botanical Magazine』にある「505. ALOE PARVULA : Aloacaea」という論文というか報告書を見つけましたのでご紹介します。生息環境について記されておりますから、栽培のヒントになるかもしれません。著者は王立植物園のDavid Du Puyです。

DSC_1817
Aloe parvula

早速、内容を紹介します。
Aloe parvulaは絶滅危惧種で、マダガスカルの中央台地の標高1400~1800mの、より乾燥した西部に位置するItremo山塊に限定的に分布します。この山塊にはロゼットを形成する小型アロエが3種類自生していますが、A. parvulaはその1種です。他の2種はAloe bellatula ReynoldsとAloe haworthioides Bakerです。これらのアロエは剛毛や結節で覆われた柔らかい多肉植物で、むしろHaworthiaに似ています。A. parvulaは生長が遅い種ですが、黄色の色素を欠くためサンゴのような真っ赤な美しい花を咲かせます。また、A. parvulaは自生地では種子が出来にくく、増殖が良くありません。

A. parvulaは石英の岩だらけで、酸性石英砂利の浅い土壌が蓄積する岩のくぼみや隙間、あるいは泥炭質土壌が蓄積する苔むした草地で頻繁に発生します。A. parvulaの生える土壌はXerophytaやAngraecum、Pachypodiumなどの他の多肉植物の根により固定されています。岩の隙間には水分が集まるものの、冬の乾季には雨は降りませんが標高が高いため時々雲からの水分で結露します。冬には10℃を下回ることがあります。乾季は5月から11月にかけて7~8ヶ月続きます。花は雨季の間の、特に1月から3月に頻繁に開花します。また、雨季でも泥炭が乾燥する期間があります。自生地には低木も生えないため、直射日光にさらされています。

A. parvulaは嫌石灰植物(calcifuge)で、堆肥や水の石灰を嫌います。論文では雨水を与えるべきであるとしていますが、これは雨ざらしにするという意味ではなく、水道水が硬水でありカルシウムが多いヨーロッパを念頭に言っているのでしょう。ヨーロッパでも雨水は弱酸性です。また、日本ではほとんどの地域は軟水ですから、普通に水道水をあげても問題はないでしょう。
冬季は乾燥させて、月に1度くらい水をあげれば、水分不足で過度に縮むことを防ぐことができると言います。また、最低気温は約10℃までですが、乾燥させれば5℃程度までは耐えられます。しかし、耐霜性は弱いみたいです。



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ウンカリナ属はゴマ科の塊根植物です。最近では小型種のUncarina roeoeslianaをたまに見かけます。私もU. roeoeslianaの苗木を育てています。そんな中、Uncarinaは何種類あるのか気になりましたので、調べてみることにしました。
調べた結果、現在学術的に認められているUncarinaは14種類であることが判明しました。というわけで、Uncarinaの異名を含むリストは以下の通りです。

Uncarina leptocarpa
         (Decne.) Ihlen f. & Straka, 1962
異名
Harpagophytum leptocarpum Decne., 1865
Uncarina leptocarpa (Decne.) Kuntze, 1891

②Uncarina abbreviata
            (Baill.) Ihlen f. & Straka, 1962
異名
Harpagophytum abbreviata Baill., 1887

③Uncarina grandidieri
                     (Baill.) Stapf, 1895
異名
Harpagophytum grandidieri Baill., 1887
Harpagophytum  dimidiatum Baill., 1887
Uncarina grandidieri (Baill.) Kuntze, 1891
Uncarina didieri (Baill.) 1895
Uncarina dimidiata
                 (Baill.) Ihlen f. & Straka, 1962


④Uncarina peltata
                      (Baker) Stapf, 1895
異名
Harpagophytum peltata Baker, 1890
Uncarina peltata (Baker) Kuntze, 1891


⑤Uncarina leanarii Humbert, 1962
変種があります。
Uncarina leanarii var. leanarii
Uncarina leanarii var. rechbergeri, 1995


⑥Uncarina perrieri Humbert, 1962

⑦Uncarina sakalava Humbert, 1962

⑧Uncarina stellulifera Humbert, 1962

⑨Uncarina platycarpa
                               Larvanos, 1996


⑩Uncarina roeoesliana Rauh, 1996

⑪Uncarina turicana Larvanos, 1999

⑫Uncarina decaryi
                Humbert ex Ihlenf., 2002


⑬Uncarina ankaranensis Ihlenf., 2004

⑭Uncarina ihlenfeldtiana
                                Larvanos, 2004

以上が現在ウンカリナ属の学術的に認められている種類です。ウンカリナ属自体は1895年にオーストリア出身でイギリスの王立植物園で活動したOtto Stapfが命名したUncarina Stapfです。しかし、ウンカリナ属で初めて学術的に記載されたのは、1865年のHarpagophytum leptocarpum Decneですが、初めはハルパゴフィツム属とされました。Decneは現在のベルギー生まれのフランスの植物学者であるJoseph Decaisneです。さらに、1891年にドイツの植物学者であるCarl Ernst Otto Kuntzeにより、Uncarina leptocarpa (Decne.) Kuntzeとされました。しかし、ここに2つの謎があります。ひとつは、1891年にKuntzeによりUncarinaが命名されているはずですが、StapfがUncarinaを命名したのは1895年です。StapfがUncarinaを命名する前より4年前にUncarinaとされているのは何故でしょうか? また、このKuntzeの命名したUncarina leptocarpaは認められず、1962年にIhlen f. & StrakaによりUncarina leptocarpa (Decne.) Ihlen f. & Strakaという同じ学名が付けられているのは何故でしょう? 気になりますから詳しく調べてみるつもりです。
ちなみに、ハルパゴフィツム属はゴマ科の地面を這う植物です。ハルパゴフィツム属は1840年に創設されたHarpagophytum DC. ex Meisn.です。ハルパゴフィツムで有名なのはHarpagophytum procumbens (Burch.) DC. ex Meisn.です。H. procumbensライオンゴロシという名前で呼ばれており、鉤爪のある禍々しい果実で有名です。ウンカリナ属も鉤爪に被われた果実がなります。


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最近、ザミアZamiaという名前のソテツが園芸店に出回るようになりました。主に見かけるのは、Zamia pumilaとZamia floridanaです。しかし、実はこの学名は間違っており、Zamia pumilaは国内では基本的に販売されておりません。Z. pumilaの名前で販売されている、葉か肉厚で判別の先端が丸みを帯びているソテツはZamia furfuraceaです。このことについて書いた記事は、私の書いた記事の中では人気があります。たまに、正しいフルフラケアの名前で売られることもありますから、混乱している人も多いのでしょう。記事では海外のサイト等を参照としていましたが、最近フルフラケアについて書かれたいくつかの論文で写真を確認しましたから、やはり私の推測は正しかったようです。
お次はZ. floridanaですが、こちらもやはり学名は誤りです。Zamia integrifoliaが正しい学名です。学名は国際命名規約により、先に命名された学名を優先するという「先取権の原理」があります。Z. integrifoliaはZ. floridanaの79年前に既に命名されていますから、どう考えてもZ. integrifoliaが正しい学名です。詳しくは以下の記事をご参照ください。
さて、実はというわけではないのですが、私はフロリダナ、ではなくインテグリフォリアの苗を育てています。ところが、遮光せずに外に出したところ、1枚しかない葉が日焼けして丸坊主になってしまいました。仕方がないので、ハウォルチアの棚に避難させていたところ、立て続けに3枚の葉が伸びてきました。葉をやられたからでしょうけど、春から夏にかけて新葉を出さなかったのにとは思いましたけど。しかし、やはり日照が足りない様にも感じました。というのも、新しい葉が、以前より大きくなったからです。葉が大きくなると生長しただけに思えますが、それだけではありません。一般論ですが、日向で植物を育てると葉は厚く小さくなり、日陰では葉は薄く大きくなる傾向があります。これは一応理屈があり、強い光が当たると厚みのある葉でも内部まで光が入ってくるので、葉の内部でも光合成出来ますから葉は分厚くなります。逆に弱い光では厚みのある葉では内部まで光が到達しないので、葉の内部では光合成が出来ません。そうなると、厚みのある葉は無駄が多いので薄い葉を出すことになりますが、光合成できる細胞が減ってしまいますから、葉の面積を大きくする事で対応するのです。ですから、葉が大きくなったので日照不足を心配してしまうのです。

DSC_1787
Zamia integrifolia

そんな悩みを抱えていた昨今、何気なくザミアの論文を検索してみたところ、なんとザミアの育て方に関する論文を発見しました。いやはや、なんでも探せばあるものですね。さて、そんなことで、本日ご紹介する論文は2004年に発表されたF. C. Almira, A. E. Dudeck, and B. Schutzmanの『Effects of Varying Shade and Fertilizer on the Growth of Zamia floridana A. DC. B. Dehgan』です。タイトルを見ておや?と思った方もおられるでしょうが、この論文ではZamia floridanaとなっています。まあ、古い論文では異名がまかり通ることは割とある話です。しかし、イギリス王立植物園が主宰する『
Plants of the World Online』ではZamia integrifoliaが正しい学名であるその根拠を、ニューヨーク植物園が2012年に出版した『The world list of Cycad.』をもって承認しています。論文が出された2004年当時はZamia floridanaとされることがポピュラーだったのかもしれませんね。さて、前置きが長くなりましたが、早速内容を見てみましょう。

ソテツ類は世界中で絶滅の危機にさらされています。当然、開拓や開発による自生地の消滅も問題ですが、残念なことに盗掘による個体の減少も頭の痛い問題となっております。ですから、環境保護だけではソテツ類の野生個体の減少を止めることは難しいと考えられています。そのため、ソテツが簡単に入手可能となって採取の被害を抑えるという考え方は昔から繰り返し主張されており、ソテツの人工繁殖を効率的に行い大量に流通させることが目指されており、実際にそのような論文も出されているようです。しかし、増やすことは研究されているものの、増やしたソテツをどのように育てるかは研究されて来ませんでした。流通させるためには繁殖だけでは駄目で、園芸農場で育成する必要がある以上は育て方も重要です。
若い
ソテツは自然状態では親植物などの陰で育つ個体が多く、直射日光が当たるオープンな環境では実生を見かけません。若い苗のうちは遮光が必要である可能性があります。また、ソテツの栄養要求性はまったくの不明です。このような背景があるため、論文ではZ. floridana(=Z. integrifolia)をモデルとして使用し、遮光と肥料の効果について検証しています。

ザミアは1歳の苗木を用い、条件を揃えるために根を切除してから新たに出根させた後、3ヶ月育成しました。遮光の条件は30%と50%と無遮光です。苗木には隔週で、20-20-20の液肥(Peters溶液)、あるいは18-6-12の置肥(Osmocote顆粒)、16-8-12の置肥(Sierraタブレット)を与えられました。この3つの数字の組み合わせは、肥料の成分比で、一般的にN-P-K、つまりは窒素-リン-カリウムを示します。園芸店で販売している化成肥料にも、この構成比は書かれています。試験の評価方法は、試験開始から8ヶ月後、冬が始まる前に葉のサイズや枚数、塊根のサイズ、地上部と根の重量が測定されました。
結果として遮光は効果的です。ただし、50%遮光は葉の長さは最大でしたが、葉の枚数は30%遮光が最大でした。葉のサイズは日陰への適応ですから、あまり好ましい結果ではないでしょう。しかし、葉の枚数は生長に従い増えますから、30%遮光が条件としては最適ということになります。
肥料はその種類に関わらず効果的でした。個人的にはソテツ類は生長が遅いため、それほど肥料の恩恵は受けないのではないかと考えていました。しかも、ソテツ類はマメ科植物と同様に根粒があり、空気中の窒素を固定して栄養源にできますから、肥料要らずと勘違いしていました。下手に肥料なんてあげたら腐るかもしれないなんて思っていましたが、どうやら肥培に努めた方が良いみたいです。



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最近では多肉植物に力をいれている園芸店では、パキポディウムの実生苗も見かけるようになって来ました。しかし、流石にまだビッグバザールで見かけるマカイエンセやイノピナツムなどは販売されていません。本日ご紹介するエニグマティクムも同様で、まだそれほど流通していないパキポディウムです。私も園芸店の多肉植物即売会では見かけたことはありませんでしたが、2021年11月に開催されたサボテン・多肉植物のビッグバザールで入手しました。エニグマティクムはパキポディウムの中でも発見が遅く、学名は2014年に命名されたPachypodium enigmaticum Pavelka, Prokes, V.Vlk, Lavranos, Zidek & Ramav.です。また、エニグマティクムはちょっと珍しい発見の経緯がありました。何か資料はないかと探っていたところ、エニグマティクムの命名者らの書いた論文を見つけました。Peter Pavelka, Borivoj Prokes, Vitezslav Vlk, John J. Lavranosによる『Pachypodium enigmaticum -a new species in the Densiflorum complex』です。
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Pachypodium enigmaticum
まだ小さい苗です。


早速、論文の内容に入りましょう。
著者らは2003年から8回もマダガスカルでパキポディウムの調査を実施しました。目的の1つは、Pachypodium densiflorumの分布と変動を探ることにありました。P. densiflorumは中央高地の広大な地域に分布しています。
2003年に著者らは、マダガスカルで園芸農園を営むAlfred Razafindratsiaeから、葉が無毛のP. densiflorumを購入しチェコ共和国に持ち帰りました。しかし、驚いたことに、P. densiflorumとおぼしきパキポディウムは、初秋に直径62mmに達する非常に大きな黄花を咲かせたのです。著者らも知らないパキポディウムであり、入手の経緯からして野生個体が存在するのか疑わしいようにも思われました。Razafindratsiaeは野生個体が由来であると主張していましたが、実際にP. densiflorum × P. brevicauleの交雑種は自然界でも発生しているため、交雑の可能性も考えたようです。著者らはP. densiflorumの分布域の西側の境界を3週間かけて探索し、ついにRazafindratsiaeの農園のパキポディウムと同一の個体群を発見しました。そのため、Alfred Razafindratsiaeの農園のパキポディウムの起源は野生個体であり、新種であることが判明しました。種小名の"enigmaticum"は、農園で栽培されている間、このパキポディウムが謎であったことから命名されました。著者らはこの地域を5回訪れましたが、それ以外の地域では発見されておりません。

P. densiflorumは分布が広いため、形態が変化しやすいようです。花が咲くまではP. enigmaticumとP. densiflorumは区別が難しく、日本国内ではP. enigmaticumと偽ったP. densiflorumが流通したこともあるみたいです。著者らはP. enigmaticumの特徴を炙り出すために、良く似たP. densiflorumの特徴をまとめています。著者らの本来の目的がP. densiflorumの分布と変動を探ることにあったわけですから、著者ら以上にP. densiflorumの特徴を述べられる人物は稀でしょう。
さて、P. densiflorumは花色も非常に多様で、北部の個体群は黄色、Itremoの中央部ではオレンジ色、南端のAmbalavao周辺に向かって再び黄色になります。花のサイズも北部では約3.0~3.5cm、Itremoでは2.0~3.0cm、南部では約2.0cmに達します。葉の毛は北部では少なく、Itremoの中央部では葉は楕円形あるいは狭い倒卵形で密に毛があり、南部では葉は倒卵形で毛があります。
P. enigmaticumの花は非常に大きく形状も異なります。P. eburneumやP. graciliusの花は花冠筒はカップ状で雄しべはカップの奥にあります。しかし、P. enigmaticumはは花冠筒が非常に細く(通常3mm)、かつ非常に長く(最大3.5cm)、雄しべは突出します。開花時期も異なり、野生のP. densiflorumやP. brevicauleは10月から12月に開花しますが、野生のP. enigmaticumは6月から7月に開花します。著者らは基本的には花の構造により、P. enigmaticumを新種と考えました。花の構造による分類は植物学の基本ですから、オーソドックスな記載と言えます。

その他の可能性として、P. densiflorum以外のパキポディウムとも比較しています。P. enigmaticumの産地はP. brevicauleと似ており、特に若い苗の頃は茎の形状や葉に毛がないなど良く似ています。しかし、P. brevicauleの花は最大でも3.0cmほどで、花の構造が異なり雄しべは突出しません。
また、その他のパキポディウムと比較しても、類似した種はありません。自然状態では開花時期、生息地、花の構造、さらには花粉媒介者も異なり雑種は見つかりませんでした。

Lüthyによる分類法 : Nesopodium亜属、Gymnopus節、Densiflora列
Holotype : 2003年にAlfred Razafindratsiaeが収集
分布 : マダガスカルの固有種。標高920mのMandoto地区。


以上がエニグマティクムの論文の簡単な紹介でした。まさか、ファームで新種が発見されるとは驚かされますが、まさに原産地ならではの話でしょう。
しかし、私が育てているエニグマティクムはまだ小さい苗ですから、まだまだ花は咲きそうにありません。何年先かわかりませんが、その巨大な花を咲かせてくれる日を楽しみにしています。



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硬葉系ハウォルチアと呼ばれてきたHaworthiopsisを少しずつ集めています。しかし、残念ながら人気は今一つであまり販売されておりません。私は主にイベントで購入しています。年に数回、五反田TOCで開催されるサボテン・多肉植物のビッグバザールでは、Ruchiaさんのブースは硬葉系ハウォルチアやツリスタがあるため、毎回楽しみにしています。そんな中、ニグラHaworthiopsis nigraが販売されており、気にはなっていました。しかし、ついついツリスタやユーフォルビア苗に手を出してしまい、毎度帰宅してからやはり購入すべきであったと後悔していました。ニグラ自体は基本的に園芸店で見かけませんから、こういう時じゃないと中々手に入りませんからね。というわけで、先月開催された秋のサボテン・多肉植物のビッグバザールで、ついにニグラを購入しました。しかも、フィールドナンバー付きです。早速、調べてみました。
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Haworthiopsis nigra IB 12484

とりあえず、フィールドナンバーについて調べます。"IB 12484"とありますが、IBとは採取人のIngo Breuerの略です。Ingo Breuerはドイツの研究者であり、Eden Plantsの主宰者とのことです。登録されているIB 12484の情報は以下の通り。

Field number: IB 12484
Collector: Ingo Breuer
Species: Haworthia nigra
Locality: Deeside, 3km North of Whittlesea
Altitude: 1035m
Date: 17-Oct-03

登録されている学名はハウォルチア・ニグラとなっていますが、ニグラがハウォルチアからハウォルチオプシスとされたのは2013年のことですから、採取された2003年当時はハウォルチアで間違いないわけです。

さて、ニグラの学名は2013年に命名されたHaworthiopsis nigra (Haw.) G.D.Rowleyです。ニグラの命名の歴史は以下の通りです。
1824年 Apicra nigra Haw.
1829年 Aloe nigra
                        (Haw.) Schult. & Schult.f.
1880年 Haworthia nigra (Haw.) Baker
1891年 Catevala nigra (Haw.) Kuntze.
1997年 Haworthia venosa
                        subsp. nigra (Haw.) Halda
1998年 Haworthia viscosa
                        subsp. nigra (Haw.) Halda
2013年 Haworthiopsis nigra
                               (Haw.) G.D.Rowley


また、ニグラには2013年に命名されたHaworthiopsis nigra var. diversifolia (Poelln.) G.D.Rowleyという変種があります。
1937年 Haworthia diversifolia Poelln.
1938年 Haworthia schmidtiana
          var. diversifolia (Poelln.) Uitewaal
1948年 Haworthia nigra
          var. diversifolia (Poelln.) Uitewaal
2013年 Haworthiopsis nigra
      var. diversifolia (Poelln.) G.D.Rowley


変種ディヴェルシフォリアが出来たことで、変種ディヴェルシフォリアと基本種と区別するために自動的に変種ニグラが出来ました。つまり、Haworthiopsis nigra var. nigraです。この変種ニグラの異名は以下の通りです。
1929年 Haworthia schmidtiana Poelln.
1937年 Haworthia schmidtiana
                        var. suberecta Poelln.
1938年 Haworthia schmidtiana
                        var. elongata Poelln.
              Haworthia schmidtiana
                        var. pusilla Poelln.
1939年 Haworthia ryneveldii Poelln.
1948年 Haworthia nigra var. elongata
                                 (Poelln.) Uitewaal
              Haworthia nigra var. schmidtiana
                                 (Poelln.) Uitewaal
1983年 Haworthia nigra f. angustata
                                   (Poelln.) Pilbeam
2013年 Haworthiopsis nigra
                         var. elongata
                              (Poelln.) G.D.Rowley
              Haworthiopsis nigra var. nigra


ニグラは割と姿に多様性がありますから、亜種や変種が多いですね。別種とされたものも見受けられます。様々なタイプを集めるのも楽しいでしょう。



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パキポディウムはマダガスカル島の原産種が多いのですが、そのほとんどが黄色い花を咲かせます。しかし、マダガスカル島には赤い花を咲かせるパキポディウムが2種類あります。Pachypodium baroniiとPachypodium windsoriiです。実はこの2種は他のマダガスカル島産パキポディウムと分類学的に異なるグループです。P. rosulatum系のgraciliusやcactipes、P. brevicaule、P. horombenseなどはGymnopus節、P. baroniiとP. windsoriiはPorphyropodium節となっているようです。さて、去年はパキポディウムの苗をいくつか購入しましたが、その中にはPachypodium windsoriiの苗もありました。というわけで、P. windsoriiについて少し調べてみました。

パキポディウムの分類については、過去に記事にしましたのでこちらもどうぞ。
先ほどから、私はPachypodium windsoriiと表記していますが、一般的にはPachypodium baronii var. windsoriiと表記されます。どちらが正しいのかは微妙なところで、常に変わる可能性があります。しかし現在のところ、学術的に認められている学名はPachypodium windsoriiです。
まとめますと、はじめて学名がつけられたのは1916年のPachypodium windsorii Poiss.です。Poiss.はフランスの植物学者であるHenri Louis Poissonのことです。Euphorbia poissoniiはPoissonに対する献名です。しかし、1949年にPachypodium baronii var. windsorii (Poiss.) Pichon.とされました。Pichonはフランスのキョウチクトウ科を専門とする植物学者である、Marcel Pichonのことです。

さて、ではなぜウィンドゥソリイはバロニイ変種ではなく、独立種とされたのでしょうか。イギリス王立植物園が主宰する『Plants of the World Online』によると、2004年に出版された『Bradleya. Yearbook of British Cactus and Succulent Society』に掲載された、Jonas M.
Lüthyの「Another look at the Pachypodium of Madagascar.」という論文を根拠としているようです。タイトルはマダガスカルのパキポディウムをもう一度見てみよう、といった感じでしょうか? 内容的には既知のパキポディウムについて、過去の知見からそれぞれの特徴と類似、現状の問題などを挙げたもので、総説的な雰囲気です。どうも購入しないと全文は読めないらしく、見出しを読んだだけですから詳しくはわかりません。しかし、P. baroniiとP. windsoriiがそれぞれ独立種とされていることは間違いないようです。
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昨日の11月に購入。何故か葉が1枚だけ落ちないで冬を越しました。

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2022年10月。あまり変わっていないような気もしますが少し膨らみました。葉は光沢が強く、Gymnopus節とは雰囲気が異なります。

ウィンドゥソリイはマダガスカル島の極北にあるWindsor城山塊にのみ知られていました。P. windsoriiの種小名はこのWindsor城から来ているようですね。しかし、2005年にBeantely山塊とAmboaizamikono山塊で、新たに自生地が発見されました。
自生地は石灰質の階段状あるいは急な斜面で育ちます。森林伐採や山火事により生息が脅かされているそうです。



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玉鱗宝Euphorbia globosaは南アフリカ原産のユーフォルビアです。玉を重ねるように育ち独特の姿となります。先月五反田TOCで開催された秋のサボテン・多肉植物のビッグバザールで購入しましたが、ユーフォルビアの中ではやや珍しい部類と言えます。しかし、玉鱗宝自体を見たのは初めてではなく、何度か園芸店で見かけていました。しかし、どうも玉鱗宝は徒長しやすいらしく、新しい球が針のように細長くなってしまっていました。そのため、なかなか手が出せずにいたのですが、ようやく徒長していない玉鱗宝を入手することが出来ました。
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玉鱗宝
Euphorbia globosa

そういえば、Euphorbia pseudoglobosaという玉鱗宝と似た育ち方をする種類もあります。"pseudo-"はラテン語で「偽の」という意味ですから、玉鱗宝Euphorbia globosaに似ているという意味ですね。しかし、E. pseudoglobosaは、玉鱗宝ほどきれいな球形にはなりません。表面に凹凸が少なくツルツルした玉鱗宝と比べて、E. pseudoglobosaはイボが目立ちます。見分けるのは難しくありません。
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Euphorbia pseudoglobosa

玉鱗宝の学名は、1826年に命名されたEuphorbia globosa (Haw.) Simsです。玉鱗宝はユーフォルビアでは珍しく、初めて命名された時はユーフォルビアではありませんでした。初めて命名された時は、1823年のDactylanthes globosa Haw.でした。このDactylanthesは現存しない属名ですが、Dactylanthes hamata(=Euphorbia hamata)、Dactylanthes patula(=Euphorbia patula)、Dactylanthes tuberculata(=Euphorbia tuberculata)を含んでいました。また、1859年にはMedusea globosa (Haw.) Klotzsch & Garcheという学名がつけられたこともあります。Meduseaもまた現存しない属名で、主にタコものユーフォルビア(メドゥソイド)を含んだグループでした。
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花は特徴的です。

1906年にはEuphorbia glomerata A.Bergerと命名されましたが、これは認められておりません。しかし、属名の変更ならいざ知らず、A.Bergerの命名より83年も前に命名された玉鱗宝にわざわざ新たに学名をつけたのは何故なのでしょうか? 今から100年以上前の話でインターネットもありませんから情報が得にくかったのかもしれません。この場合、最低1959年のMedusea globosaとした論文を読んでいる必要がありますが、印刷された関係論文をすべて集めるのは中々困難だったことは想像に固くありません。まあ、単純に別種と考えて新たに命名しただけの可能性もありますが、このような経緯は学名からだけではわかりませんからどうにも気になってしまいます。1906年のA.Bergerの論文を読めばいいだけなのですが、古いもの故に誰かが紙の印刷物を電子ファイルにして公開してくれていないと読むことは出来ません。

E. 
glomerataの情報はイギリス王立植物園によるもので、その記載は"Sukkul. Euphorb.:104(1906)"によるものです。一応、期待しないで探してみたところ、なんと当該論文が画像ファイルでアップされていました。親切な人ありがとう。学術誌のタイトルは"Sukkulenta Euphorbien"で、Alwin Bergerが執筆しているもののようです。内容はドイツ語なので良くわかりませんが、とりあえず104ページを見てみます。すると、何故か見出しは太字で"E. globosa Sims"とあります。なんだ、A.Bergerは玉鱗宝についてよく知っているじゃあないですか。しかも、その後ろに"Dactylanthes globosa Haw."、"E. glomerata Hort."とありました。学名の変遷までばっちり抑えています。しかし、良く見るとE. glomerata Hort.とあります。これは、Hort.が命名したE. glomerataを異名として、A.Bergerが記載したように見えます。では、なぜ一般的にはE. glomera Hort.ではなく、E. glomera A.Bergerとされているのでしょうか。大変不思議です。もしかしたら、Hort.の記載に何か問題があったのでしょうか? わかりませんが、A.Bergerがこの学術誌を正式な形で報告したということに意味があるのかもしれませんが、憶測ばかりで何もわかりません。私はここでギブアップです。

さて、当該論文には1906年当時の玉鱗宝の写真が記載されています。こういうものは滅多に目にするものではないでしょう。せっかくですから当時の写真を掲載してみました。

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Sukkulenta Euphorbien,1906 : Alwin Berger
大型の株です。100年以上前の現地球でしょうか?




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アロエ属は現在使用されている二名式学名の創始者であるCarl von Linneにより、1753年に命名された由緒正しき属名です。しかし、アロエ属の歴史を辿ると、アロエ属だったものがアロエ属ではなくなったり、逆にアロエ属ではなかったものがアロエ属となったりと、アロエ属はかなりの変化を経験して来ました。ただし、全種類のアロエを調べたわけではありませんし、一時的にアロエ属だったものに関してはほとんど調べられておりません。しかし、それでも思いもよらぬ種類がアロエとされたり、アロエ属から分離したものの後に消失した属名の多さなど、その多様な有り様にめまいがするほどです。

先ずは、アロエ属と関係する属名の年表を示します。
1753年 Aloe L.
              Agave L.
1767年 Dracaena Vand. ex L. 
1786年 Catevala Medik.
              Kumara Medik.
1809年 Haworthia Duval
              Gasteria Duval
1811年 Lomatophyllum Willd.
              Rhipidodendrum Willd.
1813年 Phylloma Ker Gawl.
1821年 Pachidendron Haw.
1824年 Bowiea Haw.
1834年 Urginea Steinh.
1838年 Drakaina Raf.
1840年 Tulista Raf.
1866年 Busipho Salib.
1883年 Notosceptrum Benth.
1905年 Chamaealoe A.Berger
1908年 Chortolirion A.Berger
1933年 Leptaloe Stapf
1939年 Aloinella (A.Berger) Lemee
1947年 Astroloba Uitewaal
1956年 Guillauminia A. Bertrand
1993年 Lemeea P.V.Heath
2013年 Aloidendron (A.Berger)
                         Klopper & Gideon F.Sm.
              Aloiampelos
                         Klopper & Gideon F.Sm.
              Haworthiopsis G.D.Rowley
2014年 Gonialoe (Baker) 
                          Boatwr. & J.C.Manning
              Aristaloe Boatwr. & J.C.Manning

アロエ属の分離と吸収にはいくつかのパターンがありますから、いくつかの種類を例に挙げて解説します。
①古典的なアロエ類
1753年にアロエ属は誕生しましたが、この時アロエ属はあれもこれもといった状態で、様々な特徴を持つ多様な種を含むグループでした。しかし、アロエ属があまりにも様々なグループを含んでいたため、1809年に広義のHaworthiaとGasteria、1947年にはAstrolobaが独立し、アロエ属から分離しました。これらは、形態的にも生態的にも異なり、しかもHaworthia、Gasteria、Astrolobaはそれぞれの属内において非常によくまとまったグループでした。後に遺伝子解析でも支持された、妥当性のある自然な分離と言えます。
また、2013年にはHaworthiaが、Haworthia(狭義)、Haworthiopsis、Tulistaに分割されました。

DSC_0848
Aloe herbacea→Haworthia herbacea

DSC_1804
Aloe viscosa→Haworthiopsis viscosa

DSC_0788
Aloe pumila→Tulista pumila

DSC_1420
Aloe carinata→Gasteria carinata

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Aloe foliolosa→Astroloba foliolosa

②遺伝子解析によるアロエ属の分解
2013年に広義のアロエ属からAloidendronとAloiampelosが分離しました。さらに、翌2014年にはGonialoeとAristaloeが分離しました。AristaloeやGonialoeはAstrolobaやTulistaに近縁で、Kumaraは狭義のHaworthiaと近縁です。狭義のアロエはAloiampelosとは近縁ですが、他の旧アロエ属とはそれほど近縁ではありませんでした。

┏━━━━━━━━Aloidendron属

┫    ┏━━━━━━Kumara属
┃┏┫
┗┫┗━━━━━━Haworthia属
    ┃
    ┃┏━━━━━━Aloiampelos属
    ┃┃
    ┗┫┏━━━━━Aloe属
        ┃┃
        ┗┫    ┏━━━Astroloba属
            ┃    ┃
            ┃┏┫┏━━Aristaloe属
            ┃┃┃┃
            ┃┃┗┫┏━Gonialoe属
            ┃┃    ┗┫
            ┗┫        ┗━Tulista属
                ┃
                ┃┏━━━Haworthiopsis属
                ┗┫
                    ┗━━━Gasteria属

DSC_0145
Aloe broomii 

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Aloe plicatilis→Kumara plicatilis

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Aloe variegata→Gonialoe variegata

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Aloe aristata→Aristaloe aristata

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Aloe striatula→Aloiampelos striatula

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Aloe dichotoma→Aloidendron dichotomum

Lomatophyllum
Lomatophyllumは1811年に命名された昔からある属で、アロエ属に似た多肉植物です。一般的なアロエ属とは異なり、果肉のある果実をつけます。ただし、LomatophyllumにはDracaenaの一部が含まれていました。それらはやがてDracaenaとされ、本来のLomatophyllumのみとなりました。しかし、Lomatophyllumは種類が統合される傾向があり、例えばLomatophyllum purpureum=Lomatophyllum saundersii=Lomatophyllum rufocinctum=Lomatophyllum aloiflorum=Lomatophyllum marginatum=Lomatophyllum borbonicumとなっています。さらに、L. purpureumはDracaena marginata、Dracaena dentata、Dracaena foetidaなど、ドラセナ属とされることもありました。
しかし、Lomatophyllumは遺伝子解析の結果から、狭義のアロエ属に含まれてしまうことがわかりました。L. purpureumも現在ではAloe purpureaとされているようです。

④Chortolirion
一見して球根植物のような見た目の、Chortolirionも実はアロエ属に含まれることになりました。Lomatophyllumと同様に遺伝子解析の結果、狭義のアロエ属の一員となりました。Chortolirionは、初め広義のHaworthiaでしたがやがてChortolirionとなり、最終的にアロエ属となる経緯をたどりました。

⑤議論があったアロエ
アロエ属は一般的に赤・橙・黄色系統の花を咲かせます。しかし、Aloe albifloraは白い花を咲かせます。このことから、Aloe albifloraはアロエではない可能性があるとして、Guillauminia albifloraという学名がつけられたことがあります。Guillauminiaは6種類あるとされました。しかし、Guillauminiaは現在認められておらず、今は存在しない属名です。Guillauminiaはアロエ属6種からなる小さなグループでした。

Aloe bowieaは、Chamaealoe africanaあるいはBowiea africanaと呼ばれたことがあります。現在ではアロエ属となり、Chamaealoeは存在しない属名です。しかし、Bowieaは蒼角殿Bowiea volubilisとして属名が残っています。ただし、気を付けなければならないのは、Bowiea africanaのBowieaは1824年にHaworthが命名した属名ですが、Bowiea volubilisのBowieaは1867年にHarv. ex Hook.f.の命名した属名ですから実は起源が異なるはずですが、何故か混同されているように見えます。
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Aloe bowiea
=Chamaealoe africana
=Bowiea africana


DSC_1653
Bowiea volubilis

⑥現存しない一時的な学名
アロエ属にかつて命名されていたCatevala、Pachidendron、Urginea、Drakaina、Busipho、Notosceptrum、Leptaloe、Aloinella、Lemeeaといった属名がありますが、どれも現在では使用されておりません。

女王錦Aloe parvulaは、Lemeea parvulaと命名されたこともあります。
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Aloe parvula=Lemeea parvula

Aloe alooidesは、初めはUrginea alooidesと命名された後にNotosceptrum alooidesとなり、最終的にアロエ属となりました。実はこのUrgineaは160種類程度を含んだかなり大きな属でした。しかし、現在このUrgineaはほとんどがDrimiaとなり、その他にもAloe、Albuca、Schizocarphus、Fusifilum、Austroneaなどを含んだ雑多なグループでした。NotosceptrumはAloeやKniphofiaからなる小さなグループでした。

Aloe myriacanthaは、初めはBowiea myriacanthaと命名された後にアロエ属となり、最終的にLeptaloe myriacanthaとされましたが、結局はアロエ属とされています。Leptaloeは10種類ほどのグループで、すべてアロエ属からなっています。

Aloe purpureumはLomatophyllum purpureumとされていたこと、あるいはDracaenaとする意見があったことを示しました。しかしA. purpureumは、さらにPhyllomaやDrakainaといった属名とされたこともあります。Phyllomaはアロエ属4種類からなる小さなグループでした。Drakainaというドラセナに似た属名は、Aloe purpureumとDracaena dracoの2種類からなる奇妙なグループでした。

Aloe haworthioidesは、Lemeea haworthioidesやAloinella haworthioidesと命名されたこともあります。AloinellaはA. haworthioidesのためだけに創設されたグループでした。
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Aloe haworthioides
=Lemeea haworthioides
=Aloinella haworthioides


Aloe feroxは、Pachidendron feroxやBushipho feroxと呼ばれたこともあります。Pachidendronはアロエ属5種類からなる小さなグループでした。BushiphoはA. feroxのためだけに創設されたグループでした。

Aloe humilisはCatevala humilisと命名されたことがあります。Catevalaは約60種類程度を含むグループで、アロエ属や広義のハウォルチアが混ざっていました。
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Aloe humilis=Catevala humilis

Aloe dichotomaはAloidendron dichotomumとなりアロエ属から分離しましたが、広義のアロエ属だった1811年にRhipidodendrum dichotomumとされたことがあります。Rhipidodendrumは現在のKumaraとA. dichotomumの3種類からなるグループでした。
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Aloidendron dichotomum
=Aloe dichotoma
=Rhipidodendrum dichotomum


⑦アロエとされたことがあるアガヴェ
Agave americana、つまりはあの巨大に育つことで有名なアオノリュウゼツランですが、実に不思議なことにAloe americanaと命名されたことがあります。
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アオノリュウゼツラン
Agave americana
=Aloe americana


⑧存在しないアロエ
詳細は不明ですが、「廃止」となったアロエも存在します。他のアロエなどの異名ですらなく、学名自体が廃止となったAloe asperaやAloe browniiといったものがあります。詳しい調べていませんが、廃止となった学名はこの他にもけっこうありそうです。
もしかしたら、記載情報から実際の植物にたどり着けない場合というのはまず第一に考えられます。古い記載では情報が曖昧で標本もなく、スケッチのみというパターンは実際に存在します。まあ、他にも理由はあるのかもしれません。


⑨交雑種
かつてはアロエ属であった自然交雑種も存在します。例えば、Aloe × bicarinataは現在、× Astrolista bicarinataとされています。× AstrolistaはAstroloba × Tulistaを示しています。
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× Astrolista bicarinata
=Aloe × bicarinata

 
のブログは多肉植物がメインですが、内容的には学名の来歴を追った部分が他サイトとの違いかなあと思っています。実のところ大した情報ではありませんが、そんなことでも続けていれば色々と見えてくるものがあります。例えば、ハウォルチアは昔アロエだったものが多いこととか、アロエは意外に現在無効な属名があることとか、そんなことです。これからも、論文を含め気になることが出てきましたら記事にする予定です。


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私はユーフォルビアをチマチマ集めたりしていますが、ユーフォルビア属と近縁とされるモナデニウム属にはあまり興味がありませんでした。というのも、ユーフォルビア属自体があまりにも多様で種類が多いため、モナデニウム属まで手が回らないためです。そのため、モナデニウムを調べたりもしないので、あまりイメージがありませんでした。しかし、2013年に発表された『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文を紹介する記事を書いた時に、モナデニウム属がユーフォルビア属に含まれているということを書きました。私も論文を読んで初めて知ったのですが、その際に論文に出てくる旧モナデニウム属の種類を調べたところ、その多様な姿に驚かされました。

以前の記事はこちら。
しかし、その時の論文が初めてモナデニウム属がユーフォルビア属に含まれることを明らかにした論文であるかはわかりません。まだちゃんと読んでいないのですが、2006年のPeter Burynsらの『A New Subgeneric Classhfication for Euphorbia (Euphorbiaceae) in Southern Africa Based on ITS and psbA-trnH Sequence Data』において既に述べられているみたいです。他にも根拠論文はあるかもしれませんから、もう少し調べてみるつもりです。

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幹だけではなく、葉裏の葉脈にもトゲがあるのは面白く感じます。

以前、園芸店に鉢を買いに行った際、変わった多肉植物を見つけました。手に取ると、なんとモナデニウムで、ラベルには"Monadenium magnificum"とありました。私の古いイメージではモナデニウムはM. schubeiの様な姿を想定していたので、なにやら驚いた記憶があります。私にとっては初めてのモナデニウムですが、これは非常に面白い植物だと思いました。

2013年の『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』では、E. magnificaの遺伝子解析による分子系統は以下の通りです。近縁種はタンザニア原産です。

            ┏━E. magnifica
        ┏┫
        ┃┗━E. neoarborescens 2
    ┏┫
    ┃┗━━E. neoarborescens 1
┏┫
┃┗━━━E. spectabilis

┗━━━━E. neococcinea


E. magnificaは高さ1.5~2メートルくらいになるそうですから、旧モナデニウムの中ではかなり大型になります。一応は低木扱いとなるみたいです。塊根性。

さて、上の方で述べた通りモナデニウム属はユーフォルビア属に変更となりました。学名は1940年にMonadenium magnificum E.A.Bruceでしたが、2006年にはEuphorbia magnifica Burynsとなりました。良く見ると種小名の語尾も変更されています。ラテン語では、"-um"は単数形で"-a"は複数形らしいのですが、文法上のことでしょうから残念ながら私にはさっぱりわかりません。
しかし、モナデニウム属は個性的ですから、学術的にはユーフォルビア属でもやはり区別しておきたい思いがあります。ラベルには"Monadenium magnificum"の学名を記入しています。まあ、ユーフォルビア属に変更となったことを理解していればいいことだけですから、ラベルはわかりやすさ優先です。
しかし、学名は統合したり分離したりすることもありますから、元のラベルの表記は残しておかないと、後々訳がわからなくなるかもしれません。


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かつてのHaworthia sensu lato(広義のハウォルチア属)は2013年に分割され、Haworthia sensu stricto(狭義のハウォルチア属)、Haworthiopsis、Tulistaになりました。その中でもツリスタ属はたった4種類から構成されています。その4種類とはTulista marginata、Tulista pumila、Tulista kingiana、Tulista minorです。ただし、Tulista minorはTulista minimaと呼ばれることもあります。
ここからが本題です。私には以前から疑問に思っていたことがあります。それは、T. minorとT. minimaのどちらを選択するべきかということです。どうやら、近年ではT. minorで統一する流れのようですが、その根拠が今一つわからなかったのです。なぜならば、T. minorもT. minimaも、1789年にAloe margaritiferaの変種として、スコットランドのWilliam Aitonにより命名されました。本来ならば、先に命名された種小名が優先されますが、この場合は同時に命名されています。どちらを優先すべきなのでしょうか? なぜ、T. minorが認めているのでしょうか?
しかし、なんとその答えが書かれた論文を見つけました。是非ご紹介したいのですが、その前にT. minorとT. minimaの命名年表を下記に示します。


1789年 Aloe margaritifera var. minor Aiton
              Aloe margaritifera var. minima Aiton
1809年 Haworthia minor (Aiton) Duval
1812年 
Haworthia minima (Aiton) Haw.
1821年 Apicra minor (Aiton) Steud.
1829年 Aloe minor (Aiton) Schult. & Schult.f.
1891年 
Catevala minima (Aiton) Kuntze
1997年 
Haworthia pumila subsp. minima
                                     (Aiton) Halda
2014年 
Tulista minima
              (Aiton) Boatwr. & J.C.Manning

2018年 Tulista minor
              (Aiton) Gideon F.Sm. & Molteno

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Tulista minor

さて、今日ご紹介する論文は、Gideon F. Smith, Estrela Figueiredo & Steven Moltenoによる2018年の『A new combination in Tulista, T. minor (Alooideae, Asphodelaceae)』です。
1789年にAloe margaritifera var. minorとAloe margaritifera var. minimaを命名したAitonは"minor"と"minima"を別種と認識していました。しかし、どうやら同じ論文の中で命名されたようです。この場合、先に命名された学名を優先するという「先取権の原理」ではどちらを優先すべきか判断出来ません。フランスのHenri August Duvalが"minor"をハウォルチアとしたのは1809年、イギリスのAdrian Hardy Haworthが"minima"をハウォルチアとしたのは1812年ですから、ハウォルチアへの移行は3年の差があります。著者はこの事を重視しているようです。調べたところ、どちらかに正式な学名とすることを初めて公表した著者の意見が優先されるそうです。これは「第一校訂者の原理」と呼ばれます。"minor"の場合はDuvalが第一校訂者となります。よって、ツリスタ属に変更する場合でも、その基礎となる種小名は"minor"となります。

話をまとめます。著者らが主張する学名に使われる種小名"minor"は、1789年にAitonによりAloe margaritifera var. minor Aiton(※Basionym)と命名されました。1809年にDuvalによりHaworthia minor (Aiton) Duval(※Homotypic synonym)とされましたが、著者らはDuvalを第一校訂者として、H. minorを根拠とする
Tulista minor (Aiton) Gideon F.Sm. & Molteno, comb. nov.(※comb. nov.=所属が変更された)としました。ちなみに、他にも種小名"minor"を使用した異名(Homotypic synonym)として、1821年のApicra minor (Aiton) Steudel、1829年の Aloe minor (Aiton) Schult. & Schult.f.が知られています。
また、正統性がなく無効とされる異名(Heterotypic synonym)として、1789年の
Aloe margaritifera var. minima Aiton、 1812年のHaworthia minima (Aiton) Haworth、2014年のTulista minima (Aiton) Boatwright & J.C.Manningが知られています。

補記1 : 同じ著者らの2017年の論文では、ツリスタ属はT. opalinaを含め5種類としていました。しかし、今回ご紹介した2018年の論文ではツリスタ属は4種類とし、T. opalinaを認めるかは議論のあるところであるとしています。T. opalinaを認めるか否か、2017年から2018年の1年で情勢が変わったのかもしれませんね。

補記2 : "minor"は「ミノー」と読むことが一般的ですが、ラテン語の読み方では「ミノル」です。個人的な好みでラテン語読みにこだわっている関係上、「ミノル」と読ませていただきました。
そういえば、"minima"は「小さな」、"minor"は「より小さな」という意味です。初めに"minor"と"minima"を命名したAitonは、大小2つの個体を見て、大きい個体は他種より小さいから"minima"として、それより小さい個体を"minor"と命名したのでしょうかね? 名前のミステリーはまだ未解決かもしれません。



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個人的にツリスタ属が好みでチマチマ集めていますが、現在ツリスタ属は4種類なので全種類簡単に集まりました。あとは変種やフィールドナンバー付きを集めるくらいです。Haworthia pumilaとHaworthia marginataは、2013年にGordon Douglas RowleyによりTulista pumilaとTulista marginataとされました。しかしその後にGideon F.Sm & Moltenoにより2017年にはTulista kingiana、2018年にはTulista minorがツリスタ属に追加されました。そのため、海外のサイトではT. marginataやT. pumilaはツリスタ属としていても
、T. minorやT. kingianaはハウォルチア属としていることもあります。国内では残念ながらツリスタ属自体に対する認識がそもそもあまり無いのが現状で、4種類すべてがハウォルチア属としていることが多いように思われます。

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Tulista kingiana

さてそんな中、今年の7月初めにT.kingianaを入手したことにより全4種類が集まりましたが、その都度学名などの情報を調べて記事にしました。この時、学名の情報はイギリス王立植物園のデータベースを参考としましたが、その根拠は特に意識していませんでした。しかし、最近多肉植物の論文を漁っているため、キンギアナをツリスタ属とした論文を見つけました。早速読んでみたところ、何やら意外なことが書かれており、単純に属名の変更というどちらかと言えば地味な論文にしては面白い内容でしたのでご紹介します。

ご紹介する論文は2017年のGideon F. Smith, Estrela Figueiredo & Steven Moltenoによる『A new combination in Tulista, T. kingiana (Asphodeloideae, Xanthorrhoeaceae / Alooideae, Asphodelaceae)』です。早速簡単にご紹介しましょう。
2003年のTreulein et al.や2013年のGrace et al.、2014年のManning et al.によるアロエ類の系統発生研究により、Haworthia s.l.(sensu lato=広義の)は3分割されることが示されました。Haworthiaは、Haworthia s.s.(sensu stricto=狭義の)、Haworthiopsis G.D.Rowley、Tulista Rafinesqueの3グループが確立され広く受け入れられました。
このうち、Tulistaは5種類を含むと考えられています。つまり、T. marginata (Lamarck, 1783) G.D.Rowley, 2013、T. minima (Aiton, 1789) Boatwr. & J.C.Manning, 2014、T. opalina (Hayashi, 2001) Breuer, 2016、T. pumila (Linnaeus, 1753) G.D.Rowley, 2013です。しかし、5番目の種であるHaworthia kingiana Von Poellnitz, 1936については、ツリスタ属として命名はされていますが、その学名が有効ではないと言います。どういうことなのでしょうか?
2013年のG.D.Rowleyや2016年のBreuerの論文では、H. kingianaをツリスタ属としました。しかし、これらはVon Poellnitzの1936年の報告を引用してそれを基に命名しました。しかし、Von Poellnitzの1936年の報告は国際命名規約(ICN)に乗っ取ったものではありませんでした。つまり、G.D.RowleyやBreuerにより命名されたTulista kingianaは、引用元に誤りがあるため正式には認められないというのです。これは、ICNの第41.5条に基づいて有効ではないとされるそうです。
そこで著者はHaworthia kingianaが規約に乗っ取り正式に報告されたVon Poellnitz, 1937を引用して、Tulista kingiana (Poelln.) Gideon F.Sm. & Molteno, comb. nov.として新たに記載しました。
※comb.nov.=combination nova、他の所属になったことを示す。
学名の根拠となった元になった学名(Basionym)は、Haworthia kingiana Von Poellnitz, 1937で、Tulista kingiana (Poelln.) G.D.Rowley, 2013やTulista kingiana (Poelln.) Breuer, 2016は規約に従わない無効名です。

ここまでが論文の内容です。私はG.D.Rowleyが2013年にツリスタ属を復活させた時に、T. kingianaは含まれていなかったものだと勘違いしていましたが、実は命名自体はされていたわけです。しかし、このような経緯は学名を調べただけではわかりませんから、個人的には非常に面白い話でした。


補記 : 論文ではツリスタ属は5種類としていますが、現在学術的に認められているツリスタ属は4種類です。T. opalinaはT.minorの異名とされています。しかし、将来的にT. opalinaが認められる可能性はあります。
また、T. minimaは現在ではT. minorが正しい学名となっています。これについては個人的に前々から頭を悩ます問題でした。T. minorが正式な学名であることは知っていますが、その理由や根拠となると全く説明出来ないのです。そんな中、そこら辺について書かれた論文を見つけましたので、私が何にそんなに悩んでいたのかを含め明日ご紹介したいと思います。



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本日は2013年に発表された論文『Gymnocalycium mostii aggregate : Taxonomy in the northern part of its distribution area including newly described taxa』をご紹介します。著者はチェコの植物学者であるRadomír Řepka & Peter Kouteckyです。
論文の趣旨は、Gymnocalycium prochazkianum、Gymnocalycium simile、Gymnocalycium simplexの3種について、その形態や分布、ゲノムサイズの調査により、3種の関係性を考察しています。

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Gymnocalycium prochazkianum

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Gymnocalycium prochazkianum
                                    subsp. simile
            (=G. simile)


ここで、タイトルにあります"Gymnocalycium mostii aggregate"、つまりは「ギムノカリキウム・モスティイ集群」とは何かという話をしましょう。G. mostiiとはいわゆる「紅蛇丸」のことですが、現在G. mostiiには亜種や変種が認められておりません。つまりは、黒豹丸G. mostii var. kurtzianumも、ただのG. mostiiと同一視されています。さらには、G. bicolorやG. prochazkianum、G. simile(G. prochazkianum subsp. simile)、G. simplex(G. prochazkianum subsp. simplex)も、現在ではG. mostiiに集約されてしまっているのです。気を付けなければならないのは、紅蛇丸と言った場合はG. mostiiのことですが、G. mostiiと言った場合は紅蛇丸を示すとは限らないことです。単にG. mostiiと言った場合には、G. bicolorやG. prochazkianumなども含んだ学名だからです。ただ、その場合のG. mostiiはかなりの変異幅を持っていますから、「集群」という表現となっているのでしょう。しかし、研究者は論文でもG. prochazkianumやG. bicolorの学名を使用しています。やはり、不便なのでしょうか? 必ずしもG. mostiiとする統一見解があるわけではないのかもしれません。まあ、学名なんてそのうち変わるかもしれませんけどね。
※集群 : 亜属内の何らかの集合。

さて、内容に入る前にギムノカリキウム属について、簡単に解説します。2011年の論文でPablo H. Demaioはギムノカリキウム属を7つの亜属に分けました。その1つであるScabrosemineum亜属は共通する種子の特徴があるそうです。この特徴はG. mostiiグループにも見られますが、種子の色や葯やフィラメントの色の違いにより、G. mostiiグループは8つに分けられるとされます。
G. mostii sensu stricto
        ※狭義のG. mostii
G. mostii f. kurtzianum
G. mostii var. miradorense
G. mostii subsp. valnicekianus
G. bicolor nom.inval.
        ※nom.inval.=規約に従わない無効名
    =G. mostii subsp. bicolor
G. genseri nom.nud.
        ※nom.nud.=裸名
G. prochazkianum
    =G. mostii subsp. prochazkianum
G. bicolor var. simplex nom.prov.
       ※nom.prov.=正名がつくまで有効な学名

G. mostiiグループはアルゼンチンのコルドバ州とサンティアゴ・デル・エステロ州に分布します。
G. bicolor var. simplexは"Northern bicolor"とも呼ばれ、G. bicolor(s.str.)やG. prochazkianumとは形態が異なります。しかし、種子リストではG. prochazkianumとG. bicolor var. simplexの中間的な移行形態も見られるそうです。

さて、論文では形態的な比較もしており、例えば全体のサイズはprochazkianum<simile ≦simplex、稜の数はp
rochazkianum<simile <simplex、トゲの数はprochazkianum<simile<simplex、トゲの長さはprochazkianum<simile<simplex、果実のサイズはprochazkianum>simile >simplexなど、G. simileはG. prochazkianumとG. simplexの中間的な特徴を示し、G. simileの交雑により誕生した可能性を示唆しています。ただし、種内の特徴の変動幅を見た場合、意外にも交雑を疑われるG. simileよりG. prochazkianumの方が変動幅が高いことがわかりました。
次にG. prochazkianumは太く長い貯蔵根があり、G. simileも似たような根を持つことがありますが、G. simplexはわずかに肥厚することはありますが根は分岐します。

自生地ではG. simplexは平らな球形から半球形で土壌に1/2ほど埋まりますが、古い個体は完全に地上に露出します。G. prochazkianumは古い個体でも最大3/4は土壌に埋まります。G. simileは自生地の集団により、土壌に埋まったり露出したりします。
また、種子の形状ではG. simileとG. simplexはほぼ同じなんだそうです。


ここで、ゲノムサイズの解析について解説します。どうやらフローサイトメトリーにより解析を行ったようです。フローサイトメトリーはフローサイトメーター(FACS)という機器を用います。これは細胞にレーザーを当てて、その特徴を分析する機器です。FACSが優れているのは、数千~数万という細胞を短時間で解析可能であることです。
このFACSを用いた解析では、G. prochazkianum、G. simile、G. simplexは、すべて二倍体であることがわかりました。Scabrosemineum亜属は基本的に二倍体ですが、四倍体も知られていたため確認したみたいです。これは異なる倍数体同士では交配しない可能性があるため、同じ二倍体であることが交雑可能性の否定的要素の除外として重要だったみたいですね。


分布域を比較すると、G. prochazkianum、G. simile、G. simplexのそれぞれ離れており、連続していません。3種の中ではG. prochazkianumが最南端に分布します。
①G. prochazkianumはアカシアが優勢である低木地帯に生えます。低木により遮光される環境に育つことがあります。土壌は瓦礫地で花崗岩と花崗岩の崩壊物からなり、非常に低栄養で強く乾燥します。G. prochazkianumはこの極端な環境によく適応しています。太く長い貯蔵根は環境への適応により発達したのかもしれませんね。
②G. simplexはG. prochazkianumよりも北に分布し、比較的大きな分布域を持ちます。花崗岩の崩壊による砂質の土壌に育ちます。G. simplexはあまり埋まらず、直射日光にさらされます。G. simplexはG. prochazkianumと同様に栄養素の乏しい土壌です。
③G. simileはG. prochazkianumとG. simplexの生息域の間に分布し、生息域は繋がっておりません。石の多い斜面の低木地帯に生えるためG. prochazkianumに地質学的条件は似ています。岩石は花崗岩質で、花崗岩が崩壊して出来た砂質の土壌でも育ち、生態学的にはG. simplexに似ています。


ここまでの内容の結論としましては、G. simileはG. prochazkianumとG. simplexの自然交雑種である可能性が高いということです。
考えたこととして、これはただの雑種ではないかもし知れないということです。通常は雑種を防ぐ生態的あるいは発生学的な防壁があり、近縁種が混ざって生えていても、交雑は起きません。もし雑種が出来ても不捻と言って、雑種には発芽可能な種子が出来ないことが多いようです。しかし、ギムノカリキウム属は簡単に雑種が出来てしまい、雑種でも種子を作り増えることが出来ます。どうも自然交雑がギムノカリキウム属の進化に深く関わっているように思えます。交雑しても地理学的な隔離があれば、独立種としての道筋を辿るのではないでしょうか。そもそも、ギムノカリキウム属は短期間に進化したらしく、遺伝子解析による分離がいまいちなグループです(Demaio, 2011)。自然交雑が進化の起爆剤となっているのかもしれません。


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ダシリリオンはそもそもあまり流通していませんが、最近では実生苗がまれに販売されることもあります。そんな中、もっとも流通しているDasylirion longissimumは、じつはDasylirion quadrangulatumであるという記事を最近書きました。そもそもが海外での混乱がそのまま日本に波及した形なのですが、国内でそのことが話題に挙がることはないみたいですので、気にはなっています。

私は先ずDasylirion longissimumという名札が付いたDasylirion quadrangulatumを入手した後、正しい名札が付いたD. quadrangulatumを入手したので、結局はD. quadrangulatumを2株入手しただけでした。残念。
しかし、基本的にD. longissimum(本当はD. quadrangulatum)以外のダシリリオンはまあ見ないわけです。五反田TOCで開催されたサボテン・多肉植物のビッグバザールで、明らかD. quadrangulatumではないダシリリオンを見つけたので購入しました。それが、ダシリリオン・ベルランディエリです。


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葉は青白くトゲがあります。葉の断面が平たいことに注意。

ベルランディエリは葉の長さは120cmになり、葉はワックス状で青くトゲは不規則につきます。花茎は3.5メートルになるそうです。マイナス14℃に耐えるそうですから、ある程度のサイズになれば完全戸外栽培も可能でしょう。ベルランディエリは非常に美しい葉色を持ちますから、これからの生長が楽しみです。

ベルランディエリの学名は1879年に命名されたDasylirion berlandieri S.Watsonです。S.Watsonはアメリカの植物学者であるSereno Watsonです。種小名はフランスの植物学者であるJean-Louis Berlandierに対する献名です。Berlandierは1943年にメキシコのeast of MonterreyではじめてDasylirion berlandieriを発見しました。

ダシリリオンについては以下の記事もご参考までに。

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以前、笹蟹丸と紅キリンの関係について記事にしました。

この記事では、笹蟹丸Euphorbia pulvinataと紅キリンEuphorbia aggregataは同種であり、E. aggregataという学名はE. pulvinataの異名であるというものでした。
これは、海外のサイトを色々探った時に出てきた情報です。園芸サイトだけではなく、学術的な植物のデータを収集しているような幾つかのサイトでも、やはり2種は同種であるとありました。最終的には、『GBIF』(Global Biodiversity Information Facility)という学術的な情報に基いて、学名を収集しているサイトの情報を確認しました。
しかし、『World Checklist of Vascular Plants』というイギリス王立植物園が主宰するサイトの情報においては、E. pulvinataとE. aggregataはそれぞれ別種とされています。このサイトの情報は、正式な学名と異名について、出されている学術論文を参考にして検討する学術雑誌を出しており、新しい情報があれば改定されたりします。GBIFもWorld Checklist of Vascular Plantsを根拠としていますから、GBIFは情報が古いのかもしれません。

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笹蟹丸
Euphorbia pulvinata Marloth, 1910

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紅キリン
Euphorbia aggregata A.Berger, 1907 publ. 1906


ここで、疑問が湧きます。では、E. pulvinataとE. aggregataが同種であるという情報はどこから来たのでしょうか? 調べたところ、2012年に南アフリカの植物学者であるPeter Vincent Bruynsによる『Nomenclature and typification of southern African species of Euphorbia』という論文から来ているようです。驚いたことに、実は既に読んだことがある論文でした。World Checklist of Vascular Plantsでもこの論文を根拠としているユーフォルビアもありますから、内容をチェックしたことがあったのです。この論文の内容は、南アフリカに分布するユーフォルビアの種類と学名の妥当性を検討するというものです。問題のE. aggregataは"除外された名前"とされています。一体どういう意味なのでしょうか?
この論文においてE. aggregataは、E. pulvinataやE. feroxと同種ではないかを確認する必要があるとあります。あるいは、E. aggregataはカルー東部の広い範囲に分布し、E. pulvinataやE. feroxとの中間体である懸念を指摘しています。果たしてこの擬義が如何にして解消されたのかは私にはわかりませんが、とにかくこの論文のE. aggregataに関する記述は認められていません。その根拠を探して論文を探してみましたが、残念ながら見つけられませんでした。様々なサイトではE. aggregataについて異名の疑いを示してはいるものの、現在ではE. aggregataを承認する形となっています。

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勇猛閣
Euphorbia ferox Marloth, 1913

それでも気になるのは、やはりその根拠です。Bruynsの論文の当該部分を否定するならば、当然ながら議論があるはずです。しかし、よくよく考えて見ると、Bruynsの"懸念"が何らかの根拠に基づいているのか、その考え方の妥当性自体に誤りがないのかはわかりません。そもそもこの懸念が議論に値するものであるのかどうかすらわかりません。単純に妥当性なしとされただけのことかもしれません。とはいえ、それも確証はないため気になっている部分ですから、今後も論文の調査は行っていくつもりです。



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本日はヴロキイという名前の南アフリカ原産のガステリアをご紹介します。
ヴロキイは東ケープ州のHankey郊外のKouga地方に自生します。自然保護区の岩肌に生えるために保護の必要はないそうです。標高1000-1500メートルの石英質砂岩地の、ミネラル分が少ない砂質の腐食土壌がたまった岩の割れ目や隙間に生えます。pH4.1という非常に強い酸性条件で育つようです。生息地にはSenecio crassulifolius、Crassula atropurpurea、Crassula ericoides subsp. tortuosa、Adromischus maculatusなどが生えるそうです。

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Gasteria vlokii

ヴロキイは1984年に南アフリカの植物学者であるJan Vlokが、Waboomsbergの1946メートルの岩肌で発見しました。高地の湿ったフィンボス(夏に乾燥する冬の降雨地域)ではじめて発見されたガステリアということで、驚きをもって受け止められました。
ヴロキイは南アフリカの植物学者であるErnst van Jaarsveldが1987年にGasteria vlokii van Jaarsv.と命名しました。vlokiiは発見者であるJan Vlokに対する献名です。

ガステリア属は南アフリカ原産ですが、種類ごとの分布が近いものは遺伝的にも近縁であることがわかりました。以下に示すのはガステリアの遺伝子解析の結果です。ヴロキイは南アフリカ南西部のガステリアと近縁です。


┏━━━━━━━━━━G. pillansii

┃    ┏━━━━━━━━G. vlokii
┃    ┃
┃┏┫    ┏━━━━━━G. koenii
┃┃┃┏┫
┫┃┃┃┗━━━━━━G. brachyphylla
┃┃┗┫
┃┃    ┃    ┏━━━━━G. thunbergii
┃┃    ┃┏┫
┃┃    ┃┃┗━━━━━G. carinata 
┃┃    ┗┫                      var. glabra
┗┫        ┃┏━━━━━G. retusa
    ┃        ┗┫
    ┃            ┃┏━━━━G. carinata
    ┃            ┗┫
    ┃                ┃┏━━━G. langebergensis
    ┃                ┗┫
    ┃                    ┗━━━G. disticha
    ┃
    ┃    ┏━━━━━━━G. bicolor                          
    ┃┏┫                                         
    ┃┃┗━━━━━━━G. rawlinsonii                 
    ┃┃                                             
    ┗┫┏━━━━━━━G. nitida 
        ┃┃
        ┃┃         ┏━━━━G. excelsa
        ┃┃     ┏┫
        ┃┃     ┃┗━━━━G. pulchra
        ┃┃     ┃
        ┃┃┏ ┫ ┏━━━━G. ellaphieae                         
        ┃┃┃ ┃ ┃ 
        ┃┃┃ ┃ ┃    ┏━━G. polita
        ┗┫┃ ┗ ┫┏┫
            ┃┃      ┃┃┃┏━G. acinacifolia
            ┃┃      ┃┃┗┫
            ┃┃      ┗┫    ┗━G. barbae
            ┃┃          ┃
            ┃┃          ┃┏━━G. armstrongii
            ┗┫          ┗┫
                ┃              ┃┏━G. glauca
                ┃              ┗┫
                ┃                  ┗━G. glomerata
                ┃
                ┃    ┏━━━━G. croucheri
                ┃┏┫
                ┃┃┗━━━━G. loedolffiae
                ┗┫
                    ┃┏━━━━G. tukhelensis
                    ┗┫
                        ┃┏━━━G. batesiana
                        ┗┫            var. batesiana
                            ┗━━━G. batesiana
                                            var. dolomitica


ヴロキイは花の形状からは、G. glauca、G. ellaphieae、G. nitidaと近縁とされてきましたが、遺伝子解析の結果からは支持されません。

世の中には多肉植物ブームなるものが、私が知らない間にあったらしいです。しかし、その時の一時の過熱はなくなったものの、どうも多肉人口が増えたせいか多肉植物自体は以前より今の方が色々入ってきているように思います。そんな中でも、何故かガステリアは見かけません。もちろん、臥牛や恐竜は見かけますけど、それ以外の種類、しかも原種となると中々厳しいところです。私もチマチマ集めてはいますが、ガステリアは現在8種類のみです。先日のビッグバザールでも、ガステリアはほぼありませんでした。しかし、ガステリアは非常に美しいので、もう少し流行って欲しいところですね。


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硬葉系ハウォルチアはハウォルチア属のHexangulares亜属とされてきました。しかし、硬葉系ハウォルチアは2013年にGordon Douglas Rowleyによりハウォルチオプシス属とツリスタ属として、ハウォルチア属から独立しました。しかし、そのハウォルチオプシス属内部をどう分類するのかという問題も出てきました。また、遺伝子解析結果からは、思いもよらぬ難問が提出されました。そこで、本日はハウォルチオプシス属の新しい分類を提案している、2016年に発表された論文『A synoptic review and new iofrageneric classification for the genus Haworthiopsis (Xanthorrhoeaceae : Asphodeloideae)』をご紹介いたします。著者は近年のアロエ類研究を先導する、南アフリカのSean D.Gildenhuys & Ronell R.Klopperです。

Haworthia henriquesiiが2019年にハウォルチオプシス属とされましたが、論文は2016年ですからHaworthiopsis henriquesiiを含まない18種類について述べられております。
問題はコエルマニオルム(H. koelmaniorum)の立ち位置です。コエルマニオルムは分布はリミフォリア(H. limifolia)に近いものの、形態的にはテセラタ節(H. granulata、H. tessellata、H. venosa、H. woolleyi)に近いようにも見えます。しかし、下に示した遺伝子解析による分子系統では、ハウォルチオプシス属はガステリア属と姉妹群ですが、コエルマニオルムはむしろガステリア属よりもハウォルチオプシス属と離れて見えます。

            ┏━━━━━Gasteria
            ┃
            ┃        ┏━━Haworthiopsis
            ┃        ┃     Section Trifariae
            ┃    ┏╋━━Haworthiopsis
            ┃    ┃┃     Section Haworthiopsis
            ┃┏┫┗━━Haworthiopsis
            ┃┃┃         Section Haworthiopsis
            ┣┫┗━━━Haworthiopsis
            ┃┃             Section Virescentes
        ┏┫┗━━━━Haworthiopsis
        ┃┃                 Section Haworthiopsis
        ┃┣━━━━━Haworthiopsis
        ┃┃                 Section Limifoliae
        ┃┣━━━━━Haworthiopsis
        ┃┃                 Section Tessellatae
        ┃┗━━━━━Haworthiopsis
    ┏┫                     Section Attenuatae
    ┃┣━━━━━━Haworthiopsis
    ┃┃                     Section koelmaniorum
    ┃┃┏━━━━━Tulista
    ┃┃┃
    ┃┃┣━━━━━Aristaloe
┏┫┗┫
┃┃    ┣━━━━━Gonialoe
┃┃    ┃
┃┃    ┗━━━━━Astroloba
┃┃
┃┣━━━━━━━Aloe
┃┃
┫┗━━━━━━━Aloiampelos

┣━━━━━━━━Haworthia

┣━━━━━━━━Kumara

┗━━━━━━━━Aloidendron

ハウォルチオプシスを分割していますが、ガステリア属を含めて1つのグループを形成しています。同様にツリスタ属、アリスタロエ属、ゴニアロエ属、アストロロバ属を1つのグループとしています。要するに、①ハウォルチオプシス+ガステリア、②コエルマニオルム、③ツリスタ+アリスタロエ+ゴニアロエ+アストロロバという、3群に分けられるのです。ガステリア属は非常にまとまりのあるグループなので、独立した属とされています。このように、コエルマニオルムはハウォルチオプシスとすべきか微妙な立ち位置にいます。
さらに言うならば、Trifariae節、Haworthiopsis節、Virescentes節はまとまりがありますが、Limifoliae節、Tessellatae節、Attenuatae節は必ずしも単系統にはなっていません。ハウォルチオプシス属自体のまとまりのなさがうかがえます。
ただし、慎重にも論文ではさらに詳細な解析が必要であるとしています。完全決着などではなく、現時点においての評価ということなのでしょう。
では、論文におけるハウォルチオプシス属の分類と、私の各Sectionの解説を示します。

①Section Attenuatae
・H. attenuata
・白い結節(イボ)がつくタイプです。結節の大きさや密度、白さには個体差があります。
・アテヌアタは東ケープ州に分布します。
・日本では「十二の巻」という名前の白い結節があるハウォルチオプシスが昔から販売されており、これをファスキアタとすることが多いのですが、「十二の巻」はアテヌアタ系交配種です。最近、「特アルバ」の名前で販売されている結節が目立つタイプのハウォルチオプシスはアテヌアタです。同様に結節が細かくつき繋がらない「松の雪」はやはりアテヌアタです。このように、アテヌアタ系はよく見かけますが、ファスキアタは基本的に販売しておりません。たまに専門店に並ぶくらいです。ネットでは十二の巻をファスキアタの名前で販売されていることが多いので注意が必要です。

②Section Haworthiopsis
・H. coarctata, H. fasciata, H. glauca, H.longiana, H. reinwardtii
・白
い結節(イボ)がつくタイプです。結節の大きさや密度、白さには個体差があります。白い結節を持ちロゼットを作るファスキアタ、白い結節を持ち縦長に育つコアルクタタとレインワルドティイ、結節に白くならないか結節がないグラウカ、結節がない場合もあり葉が長くなるロンギアナからなります。
・Haworthiopsis節はすべて東ケープ州に分布します。
コアルクタタをレインワルドティイに含める考え方もあります。

③Section Limifolia
・H. limifolia
・遺伝子解析では独立して見えますが、他種との関係に対する解析が不十分とのことで暫定的にリミフォリア節を設定しています。
・リミフォリアはMpumalanga州とKuwaZulu-Natal州に分布します。

④Section koelmaniorum
・H. koelmaniorum
・コエルマニオルムはLimpopo州とMpumalanga州に分布します。Limpopo州に分布するハウォルチオプシスはコエルマニオルムのみです。

⑤Section Tessellata
・H. granulata, H. tessellata, H. venosa, H. woolleyi
・テセラタは北西州と自由州唯一のハウォルチオプシスです。テセラタは北ケープ州や西ケープ州、東ケープ州にも広く分布します。グラヌラタは北ケープ州と西ケープ州に分布します。ヴェノサは西ケープ州に固有です。ウォオレイは東ケープ州に固有です。
・Tessellata節は小型で窓のあるグループです。グラヌラタはヴェノサの亜種とされてきました。同様にウォオレイはヴェノサの亜種あるいは変種とされて来ましたから、販売苗のラベルではそのような表記が多いでしょう。

⑥Section Trifariae
・H. pungens, H. nigra, H. scabra, H. viscosa
・縦長に積み重なるタイプです。ヴィスコサやニグラは三方向に葉を出して積み重なります。プンゲンスは6あるいは3方向に積み重なります。スカブラはロゼットを形成します。
・プンゲンスは東ケープ州に固有です。スカブラとヴィスコサは東ケープ州と西ケープ州に分布します。ニグラは東ケープ州と西ケープ州、さらに北ケープ州にも分布します。

⑦Section Virescentes
・H. bruynsii, H. sordida
・Virescentes節は東ケープ州に固有です。
・ブルインシイは一見して軟葉系のHaworthia retusaに似ていますが類縁関係はなく、平行進化と考えられています。

ちなみに、ハウォルチオプシス全種類の変種や異名については下記の記事にありますので、ご参照して下さい。



さて、論文の内容につきまして簡単に解説してきましたが、実は私も読んでいてモヤモヤする内容でした。まず、Tessellatae節やLimifoliae節の関係がよく分からないことです。これはさらに詳しく解析をすればわかることでしょうから今後に期待します。次にHaworthiopsis節ですが、Trifariae節やVirescentes節と入れ子状になってしまっています。どうみても、単系統ではありません。結節があるなどの特徴から分けるのは間違いなのかもしれません。

2014年のJohn C. Manning & James S. Boatwrightの
A Molecular Phylogeny and Generic Classification of Asphodelaceae Subfamily Alooideae : A Final Resolution of the Prickly Issue of Polyphyly in the Alooids?』という論文では、12種類のハウォルチオプシスの遺伝子解析をしています。ここでもコエルマニオルムはハウォルチオプシスの中には収まっていないため、下記の分子系統には入っていません。この論文では、コエルマニオルムはツリスタ+アストロロバ+アリスタロエ+ゴニアロエと姉妹群とされ、むしろハウォルチオプシスからは近縁ではありません。

┏━━━━━━━Gasteria

┃                    ┏━H. reinwardtii
┃                ┏┫
┃                ┃┗━H. nigra
┃            ┏┫
┃            ┃┗━━H. coarctata
┃        ┏┫
┃        ┃┗━━━H. glauca
┃    ┏┫
┃    ┃┣━━━━H. bryunsii
┃    ┃┃  
┃┏┫┗━━━━H. sordida
┃┃┃
┃┃┃┏━━━━H. fasciata
╋┫┗┫
┃┃    ┗━━━━H. longiana
┃┃
┃┗━━━━━━H. limifolia

┃┏━━━━━━H. venosa
┗┫
    ┗━━━━━━H. attenuata

Haworthiopsis節は2つに別れます。ファスキアタとロンギアナは近縁です。残りのレインワルドティイ、コアルクタタ、グラウカは、Trifariae属のニグラと近縁です。他のTrifariae節はわかりません。Limifolia節はここでも独立しています。Tessellata節のヴェノサはアテヌアタと近縁に見えます。
ただし、この2つの論文は分離がいまいちだったり、調べた種類が少ないため、まだ確実なことは言えないでしょう。また、調べた遺伝子によっても、解析結果に若干の違いが出るようです。更なるデータの蓄積が必要でしょう。
というわけで、わかったようなわからないような結果です。はっきりしないのは残念です。しかし、コエルマニオルムはハウォルチオプシスとは近縁とは言えないという結果だけは共通します。将来、コエルマニオルムはハウォルチオプシスから独立するかもしれませんね。


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巨大な台風14号が日本列島を襲いましたが、予想に反して日本海を北上したため、関東地方は直撃を免れた模様です。しかし、これだけ距離が空いたのに中々の強風が吹きましたね。他の方のブログを拝見させていただくと、皆さん台風対策に余念がない様子で感心します。私はと言えば、情けのないことにサボテン・多肉植物のビッグバザールに行っただけで疲れはてて寝てしまい、ノーガードで台風を迎える羽目になりました。一応、多肉植物の棚はセメント・金属用接着剤で、コンクリートに固定していますから動かないはず…。まあ、ユーフォルビアの棚は園芸用ビニールを天井に張っただけなので飛んでいってしまうかもしれないとは思いましたが。
そんなことを言っている間に、なんとまた台風が直撃するという予報がありましたが、基本的に太平洋に進路をとったのでたいしたことはありませんでした。台風明けの多肉植物たちをご紹介します。

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フォウクィエリアたちは、他の多肉植物と比べて背が高くバランスが悪いので倒れる心配がありました。よりによって、端の方に置いていましたが、特に問題はありませんでした。

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台風の中、闘牛角Euphorbia schoenlandiiは開花しました。これでも、ユーフォルビアの中では大きめな花です。

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Aloe somaliensisは日焼けから回復して、本来の美しい葉を取り戻しました。来年は日焼けさせないように気を付けなければ。

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キリンドリフォリア系の花キリン類は皆元気です。葉色は赤くなっていますが、特に問題ありません。むしろ、変に遮光を強くすると、徒長する可能性が高いのでそちらの方が怖い。花キリン類は葉が日焼けして枯れ落ちても、強光に耐えられる新しい葉がすぐに生えてきますから、個人的には日焼けは怖くないのです。

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日々の多肉植物の様子を「多肉事情」などと称して度々記事にしていますが、ガステリアは生長が遅く見た目にあまり変化がないので登場しません。しかし、このGasteria carinataは若い個体なせいか、ぐんぐん伸びます。

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Euphorbia ×inconstantiaですが、根詰まりを起こしていたので植え替えました。しかし、根をやられていたので心配していましたが、残念ながら本体が枯れてしまいました。枝が生きていたので挿し木したのですが、どうやら生着したようです。

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フロリダザミアZamia integrifolia(異名:Z. floridana)は、日焼けで2枚しかない葉が枯れてしまい、小苗だしもうダメかと思いましたが、新しい葉が次々と出てきました。今年で3本目。他のソテツがフラッシュしていた時には、まったく動きがなかったのに不思議です。

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Euphorbia richardsiae
6月に鶴仙園さんで購入したミニ多肉ですが、もう既にミニ多肉のサイズではありません。しかし、リカルドシアエを検索すると、見た目が異なるものが数種類出て来ます。どれが正しいリカルドシアエなのかわかりません。それとも変異の幅に収まる話なのでしょうか?



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この3連休に鶴仙園西武池袋店で開催中の『FEHN』(FAR EAST HAWORTHIA NETWORK)に、昨日行って参りました。Plant's Workさんとのコラボで、沢山のハウォルチアが集まりました。

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こちらが最新のイベント情報です。

しかし、超巨大台風が去った後に、また直ぐに台風直撃の可能性とはひどい話です。しかも、多肉イベントの開催日に直撃予想とは、本当に台風許すまじといったところです。
さて、昨日は朝から怪しい天気でしたが、幸運にも午前中は雨に降られませんでした。開店する10時ちょいに池袋に到着しました。しかし、既に店内はかなりの混雑で、大変な賑わいでした。
宝石の様なピクタ系交配種がビッシリ並んでいたり、オリジナル交配系も様々です。ところどころ、フィールドナンバー付きの原種もあり、素晴らしい株を沢山見ることが出来ました。軟葉系はあまり詳しくありませんが、レース系も結構あったみたいです。
硬葉系ハウォルチアについては、見たことのないタイプがあり、n.n.(裸名)の名札が付いたものもありましたが、非常に気になりました。ニグラの大型タイプも目を引きました。他にも、フィールドナンバー付きのものもあって非常に面白かったです。

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H. venosa subsp. woolleyi
GM079 South of Kleinpoort 
Plant's Workさんのハウォルチアの購入品は、woolleyiです。名札では、ヴェノサ亜種 となっていますが、現在ではHaworthiopsis woolleyiが正式な学名です。woolleyiがハウォルチオプシスになり独立種とされたのは2013年と意外と最近の話です。
しかし、woolleyiははじめて見ましたから、入手出来たのは幸運でした。これだけでも来た甲斐がありました。

さて、じっくりとイベント株を見た後は、鶴仙園さんのハウォルチアを眺めます。以前来た時から大分期間が空きましたから、結構入れ替わっています。こちらも非常に面白いハウォルチアがありました。
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Haworthia marginata Just N. Ashtori
いわゆる、Tulista marginataですが、珍しいことに結節(イボ)がないタイプです。瑞鶴と呼ばれることもあります。こちらも販売しているのははじめて見ました。今回、ツリスタはTulista minor SwellensやTulista kingianaなど、思いの外ありましたね。

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Haworthia coarctata DMC06356
Farm Begelly, 12km S of Grahamstown IB5850
いわゆる九輪塔ですが、鷹の爪Haworthiopsis reinwardtiiの変種とする意見もあります。しかし、現在の正式な学名はHaworthiopsis coarctataです。

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Gymnocalycium ochoterenae v. cinereum 204B
久しぶりに来たのでサボテンも見ましたが、ついうっかり買ってしまいました。トゲが白い変種です。しかし、204Bとは何か?  おそらくはフィールドナンバーでしょうけど、前半が略されているのでなんだかわからないことになっています。これは調べるのが大変です。MAW 204bはOpuntia、ひねってKK 2046はRebutia…。これは困りましたね。

この他にも面白いハウォルチアは沢山あったのですが、今回は直前までイベントに気がつかなくて、資金も準備していなかったのでお安いものだけの購入です。まあ、秋のサボテン・多肉植物のビッグバザールでは、ワンコインの多肉植物を買ったりしたので、やや余裕がありましたからね。色々と見られて楽しかったです。こういう多肉植物のイベントは楽しいものです。また、何かイベントがありましたら、記事にしたいと思っています。


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先日、五反田TOCで秋のサボテン・多肉植物のビッグバザールが開催されました。私も参加して色々と珍しい多肉植物を見ることが出来て、非常に楽しい時間でした。しばらくは大人しくしているつもりでしたが、鶴仙園さんでイベントが行われるという情報を得てしまいました。なんでも、Plant's Workという山口県のハウォルチアで有名な生産者さんとコラボして、『FEHN』というハウォルチアのイベントを開催するというのです。
これは大人しくしている場合ではありません。目の保養を兼ねて、私もこれから朝イチで西武池袋9Fの鶴仙園へ行ってきます。

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鶴仙園さんのブログでイベントの告知をしています。詳細はこちらをどうぞ。

さて、告知だけではつまらないので、簡単にハウォルチアについて説明しましょう。
まずハウォルチアは「Haworthia」と書きますが、Haworthiaの命名者はフランスの植物学者であるHenri August Duvalですが、Haworthiaという属名はイギリスの植物学者・昆虫学者・甲殻類学者であるAdrian Hardy Haworthに対する献名です。読み方は「ハオルチア」、「ハオルシア」、「ハウォルチア」、「ハワーシア」など様々ですが、お好きな読み方でOKです。ちなみに私はハウォルチアが好みです。


そう言えば、ハウォルチアには軟葉系と硬葉系とがあります。軟葉系は名前の通りにさわった感じが柔らかいものが多く、透き通った「窓」と呼ばれる部分があるものと、柔らかい糸の様な「禾」(ノギ)があるレース系と呼ばれるものなどがあります。
硬葉系は名前の通り葉は非常に硬くカチカチです。「窓」を持つ種類もありますが、色はやや暗くざらざらした質感のものが多く渋い存在です。「結節」と呼ばれる白いイボを持つものもあります。
私の手持ちのハウォルチアを例として挙げます。
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軟葉系ハウォルチア(Haworthia)。
透き通った窓があります。


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軟葉系ハウォルチア(Haworthia)。
糸の様な禾があります。


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軟葉系ハウォルチア(Haworthia)。
短い禾と小さな窓が沢山あります。


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硬葉系ハウォルチア(Haworthiopsis)。
透き通った窓がありますが、葉は硬くカチカチです。

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硬葉系ハウォルチア(Haworthiopsis)。
暗い色合いとざらざらした質感です。


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硬葉系ハウォルチア(Tulista)。
白い結節に覆われます。


ちなみに、ハウォルチアは学術的に現在3分割されています。軟葉系ハウォルチアを「Haworthia」、硬葉系ハウォルチアは「Haworthiopsis」と「Tulista」に分けられました。ややこしいのは、単にハウォルチアと言った場合、軟葉系と硬葉系を含んだハウォルチ全体を呼ぶ「広義のハウォルチア」と、軟葉系ハウォルチアのみを示す「狭義のハウォルチア」の場合があることです。また、HaworthiopsisやTulistaも、売り場ではハウォルチアとして売られていますし、ラベルにもハウォルチア時代の古い名前で流通しています。
軟葉系と硬葉系はもともとは花が似ているから同じ仲間とされていたのですが、遺伝子解析の結果から兄弟ではなくて親戚くらいの関係に落ち着きました。血縁関係がないわけではありませんが、結局はただの他人のそら似だったみたいです。
これは、軟葉系ハウォルチアと硬葉系ハウォルチアが、虫に花粉を運んでもらうために進化した結果、花がたまたま似た形になったということです。これを収斂進化と呼びます。

イベントは2022年9月23日(金)~25日(日)の3連休の3日間です。本日が初日です。珍しいハウォルチアが沢山見られるでしょうから、興味がありましたら参加してみて下さい。もしかしたら、運命的な出会いがあるかもしれません。初心者歓迎とありますから、ハウォルチアを始める良い機会ですかね? Plant's Workの方も来られるみたいですから、色々と質問してみても良いかもしれません。
私もこれから支度をして池袋に向かいます。イベントの様子は明日記事にします。



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ポエルニッチア属は、かつてアストロロバ・ルブリフロラにつけられた旧・学名です。私もそのことについて何ら疑問を抱かなかったわけですが、アストロロバ属について調べていた際に衝撃的な論文を見つけてしまいました。Gideon F. Smithらが2018年に発表した『Proposal to conserve the name Astroloba against Poellnitzia (Asphodelaceae : Alooideae)』です。

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Astroloba rubriflora
          =Poellnitzia rubricflora

とりあえず、その内容に入る前に簡単にことの経緯を説明します。ルブリフロラは1920年にアピクラ属として命名されたアロエ類です。種小名はルブリフロラとヤコブセニアナ(ジャコブセニアナ)が命名されましたが、学名は先に命名された方が優先されますから、ルブリフロラが採用されます。下の年表はルブリフロラの学名の変遷を示したものです。現在では2000年に命名されたアストロロバ属の所属となっています。


1920年 Apicra rubriflora L.Bolus
1939年 Apicra jacobseniana Poelln.
1940年 Poellnitzia rubriflora

                    (L.Bolus) Uitewaal
1955年 Poellnitzia rubriflora
                          var. jacobseniana
                              (Poelln.) Uitewaal
1971年 Haworthia rubriflora
                                    (L.Bolus) Parr

1981年 Aloe rubriflora 
                             (L.Bolus) G.D.Rowley

2000年 Astroloba rubriflora (L.Bolus)
              Gideon F.Sm. & J.C.Manning
2013年 Tulista rubriflora
                             (L.Bolus) G.D.Rowley

さて、それではいったい何が問題かと言いますと、属名はアストロロバで良いのか? ということです。アピクラ属は現存しない属ですし、アロエやハウォルチアに関しては、遺伝子解析結果からも否定されています。Gordon Douglas Rowleyがルブリフロラを他のアストロロバと共にツリスタ属の所属としましたが、これは確かに遺伝子解析結果では近縁でしたが、アストロロバ属はまとまりのある群として独立させる意見が認められています。ここまでは問題ありません。
ポエルニッチア属は1940年にルブリフロラのためにオランダの植物学者であるAntonius Josephus Adrianus Uitewaalにより提唱されました。しかし、1947年に同じくUitewaalにより、アストロロバ属が提唱されました。Uitewaalはポエルニッチアとアストロロバを別属としました。アストロロバ属は白花で虫媒花ですが、ルブリフロラ(rubri=赤、flora=花)の名前の通り赤花で鳥媒花です。現在ではルブリフロラは鳥を引き付けるために特殊化したアストロロバと見なされています。しかし、その特殊性ゆえ、ルブリフロラをアストロロバから分離する考え方はいまだに健在のようです。しかし、遺伝子解析からはやはりアストロロバに含まれるという結果でした。
さて、次からが最大の問題です。良く考えたら、1940年に命名されたポエルニッチア属と1947年に命名されたアストロロバ属を比較した場合、ポエルニッチア属の方が早く命名されていますから、アストロロバ属は本来使用されるべき属名ではないというのです。つまりは、現在アストロロバ属とされている種はすべてポエルニッチア属とするのが正しいというわけです。私はポエルニッチア属はルブリフロラのためだけに創設されたため、ポエルニッチア属を基準とすべきとは考えませんでしたが、確かに言われてみればその通りです。何故そのことに気が付かなかったのか、私自身迂闊でした。では、今後はアストロロバ属を廃して、すべての旧・アストロロバをポエルニッチア属に移動させるべきなのでしょうか?

しかし、著者はこの考え方に否定的です。アストロロバ属は1947年の命名以降一貫して使用されてきましたし、非常にまとまりのあるグループです。論文をはじめとする世界的な文献においても定着しています。そのため、アストロロバ属をポエルニッチア属に置き換えることは、決して望ましいことではなく、命名学的な安定性の観点からも利益にはならないと述べています。やはり、ポエルニッチアという1種に対応する属名をすでに確立した学名であるアストロロバ属に対応させることは、不必要な混乱と不確実性を生じるとしています。
植物の学名はある程度は見直されており、チェックを受けています。最新のチェックでは、アストロロバ属は1995年の『World Checklist of Seed Plants』により承認されており、ポエルニッチア属は2011年の『World checklist of selected plant families published update Facilitated』によりアストロロバ属の同義語であるとしています。今後もこのように見直しは行われますから、著者の意見が認められるのか、それともアストロロバ属が消滅するのか、大変気になるところです。私も注視しついきたいと思っています。



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19日に五反田TOCで開催されました秋のサボテン・多肉植物のビッグバザールの続きです。昨日は多肉植物の流行り廃りや季節による変化をレポートしましたが、本日は購入品をご紹介します。今回は高いものは買いませんでしたから、点数は多目です。その代わり小さい苗ばかりですけどね。まあ、私は苗を育てるのが楽しい口なので、逆に嬉しい限りです。
※名前はラベル表記のまま


先ずはいつもお馴染みのラフレシアリサーチさんのブースです。今回は海外ソテツ苗もありましたが、私にとってはややいいお値段でしたから、見るだけに納めました。Gymnocalycium prochazkianum subsp. simileの手持ちとは異なるフィールドナンバー違いがありましたが、今回はパスさせていただきました。代わりにフィールドナンバーつきのベルクティイを購入しました。今回は変わったユーフォルビアは特にないみたいです。あと、珍しいことに、ウチワサボテンの節をばらして売っていました。
ラフレシアリサーチさんは毎回おまけがありますが、今回はアガヴェ2種類とウチワサボテンの節から1つ選べます。ウチワサボテンは育つと手に負えなくなりますから、アガヴェ苗を選びました。しかし、前におまけでもいただいたアガヴェも育てていますが、集めるつもりがないのにアガヴェ・ブームの影響かアガヴェが増えていく謎…
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Gymnocalycium berchtii TOM 6/481
初めてのTOM(
Tomáš Kulhánek)ナンバー。白い粉をまとうタイプみたいです。アルゼンチンの小型種。

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Agave leopoldii
おまけの抜き苗。実は自然交雑ではないかと言われているそうです。その場合の学名は、Agave ×leopoldiiとなります。アガヴェは丈夫で育てやすくていいですね。手がかからなくて。

次はまたまたお馴染みのRuchiaさんのブースです。結構、メセン類も出ていました。それはそうと、毎回ニグラ買えばよかったと帰宅後嘆いていましたから、今回はニグラを買いました。しかし、4系統位のニグラがあり、非常に迷いました。今回はIB(Ingo Breuer)ナンバーが付いた株を選びました。割と詰まった形です。それと、パキポディオイデスとグイラウミニアナの実生苗が並んでましたが、手持ちにありますから買いませんでした。結構、良さげな苗でしたけどね。それから、意外にもギムノカリキウムが沢山ありました。バッテリーや新鳳頭、天平丸など美しい株がありましたが、今回は変わった聞き覚えのない種類を購入しました。あと、ネオポリテリア?かなんかがありましたが、欲しかったものの育て方がよく分からないので、今回はパスしました。
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Haworthia nigra IB12484
ニグラは現在はハウォルチオプシスとなっています。非常に葉が詰まって小型に見えます。帰宅中にひっくり返してしまったので、少し土を被ってしまいました。


DSC_1772
帰って良く見たら、変なところから子株がはみ出しています。

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Gymnocalycium pseudquehlianum
聞いたことがない名前です。言うほど「偽のquehlianum」(pseudo+quehlianum)には見えませんが。ギムノカリキウムではpseudoと言えば、Gymnocalycium pseudo-malacocarpusでしょうか? Gymnocalycium pseudo-malacocarpusのフィールドナンバーつきの個体では、似ているタイプもないわけではありませんが、よくわかりません。

お次は以前、Euphorbia subapodaの苗を購入したブースへ。今回も多彩な品揃えで、高額なコーデックスから小苗まで揃ってます。少し他とはラインナップが異なり、色々な多肉植物が混ざって並べています。Euphorbia aeruginosa、黄刺紅彩閣などもありました。
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ユーフォルビア グロボーサ
玉鱗宝Euphorbia globosaですが、あまり見ないユーフォルビアです。しかし、玉鱗宝は大型園芸店で何度か見ていますが、球状に育ちますが細長くなってしまった徒長苗ばかりでした。今回は徒長していないので購入しました。カタツムリ付き。

 DSC_1767
花が咲いていますが、特徴的で変わった花です。

お次はハオルチアが沢山あるSucculent Connectionさん。流行りの大きな窓のある交配種は人気で、人だかりが出来ていました。私は人のいない端のほうで、ソルディダを見ていました。ソルディダは生長が遅いこともあり、基本的にかなり高額です。しかし、こちらのソルディダは小さな実生苗を選んで抜き苗にする売り方なせいか、かなりお安い感じでした。
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Haworthia sordida
準備された箸で抜きました。根の張りは良好です。現在はハウォルチオプシスです。


最後に大きなコーデックスを並べているブースです。そこら辺は私には縁がありませんが、床に多肉植物が入ったカゴが置いてあり、なんとユーフォルビアを安く販売していました。ワンコインとは中々太っ腹です。まあ、小さな苗ですけどね。
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ユーフォルビア・ペディラントイデス
Euphorbia pedilanthoidesという花キリンです。花は開かないタイプですから目立ちません。枝が細いためか、花が地味なためかはわかりませんが痩花キリンという名前もあるみたいです。


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ユーフォルビア・ラザフィンドラトシラエ
Euphorbia razafindratsiae。葉が縮れるタイプの花キリンです。種小名はもしかしたらマダガスカルで園芸農園を営む園芸家のAlfred 
Razafindratsiraに対する献名でしょうか? しかし、残念ながらこのE. razafindratsiaeは異名で、Euphorbia mangokyensisが正しい学名とされているようです。

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ユーフォルビア・アパリキアーナ
Euphorbia appariciana。見た瞬間、南米産のユーフォルビアであることがわかりました。独特の雰囲気があります。おそらくは、ユーフォルビア亜属New World Cladeのブラジリエンセス節なのでしょう。

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ユーフォルビア・ムランジーナ
Euphorbia mulanjeana。最近、ムランジーナという名前の巨大な塊根を持つユーフォルビアが急に販売されるようになりました。海外から大量に入ってきたのでしょうか? 


さて、急な大雨で多肉植物をばらまいた話は昨日しましたが、赤玉植えで根が張っているものはいいのですが、水はけの良い軽い用土に植えられていたものは、全部衝撃で抜けました。いずれにせよ植え替えるつもりでしたし、何より抜き苗を植え付けないといけません。しかし、植え替え中にまたもや鉄砲雨が来て、中止せざるをえませんでした。来週何とかします。とりあえず、抜き苗だけでも植えられたので一安心です。購入した花キリンは一度抜けてしまっていますから、台風の突風でまた抜けそうなので室内に取り込みました。
というわけで、今回はいくつか安い苗を買いました。ハウォルチオプシスはあまりなかったので、次回に期待します。しかし、まあ思いがけずソルディダが入手出来たのはラッキーでした。無いだろう思っていた花キリンもあってこれは嬉しい誤算です。次回のビッグバザールはいつ開催されるのかはわかりませんが、いずれにせよ冬型メインでしょう。私の好みの多肉植物はあまりなさそうですが、見学がてら様子をレポートしたいですね。以上、2022年・秋のサボテン・多肉植物のビッグバザールでした。



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待ちに待った秋のサボテン・多肉植物のビッグバザールが昨日開催されました。いつも通り五反田TOCでの開催です。今どんな多肉植物が流行っているのか、レポートしたいと思います。

直近のビッグバザールの記事はこちら?

さて、私は流行りのアガヴェもエケベリアも買いませんが、一応は目的を設定しておきましょう。今回は厳選したいと考えていますから、せっかくですからビッグバザールでしか入手が難しいものがいいですね。私のメインであるユーフォルビアは、園芸店で流通している基本的な種類はだいたい入手したので、今回は未入手の安い実生苗以外は買わないことにしました。まあ、手持ちにないユーフォルビアは、大抵は高額なコーデックスですから無理して買う必要はないでしょう。ただ、最近は花キリンが面白く感じてはいます。まあ、ビッグバザールではあまり見た記憶がありませんが。買うとしたら、やはりツリスタとハウォルチオプシスとなります。特にツリスタは種類が少なくあまり販売していませんから、注意して探したいと思います。最近ではタイプ違いや、フィールドナンバーの付いた顔つきが異なりものも気になっています。ハウォルチオプシスの中でもあまりにも人気がない白い斑点が付くタイプ、つまりはH. fasciataやH. attenuata、H. reinwardtiiあたりはあるでしょうか? 

さて、昨日は台風の影響であいにくの雨模様と思いきや、大変良く晴れて朝から蒸し暑い1日でした。懸念された台風14号が開催日に直撃しなくて幸いでした。
そう言えば、前回は開催時間前に到着して、はじめて開場まで並びました。今までは昼前の遅い時間に行ってやや品薄感がありましたから、前回は早く行って並べたての沢山の多肉植物を見ることが出来ました。というわけで、今回も開場より早く到着しました。とは言え、9時少し前に着いたため、既にとんでもない人数が並んでいました。今回も熱気で汗を拭きながら開場を待ちます。雨が降ったせいで湿度が高く、今回は中々つらい感じでした。

さて、9時ちょうどに開場しました。全体をぐるりと回りましたが、やはりアガヴェが多いですね。
園芸店でもアガヴェを見かける事が多くなりましたし、ずいぶんと扱われる種類も増えました。調べると、アガヴェ中心の販売イベントが都内などでちょくちょく開催されている模様です。ここ2回のビッグバザールでもアガヴェ専門のブースがありました。今回は普段はアガヴェを持ってこないところも、ある程度は並べているくらいアガヴェが目立っていました。人だかりが出来ていてまったく入れないブースがあり、何かと思って裏からのぞいてみましたが、アガヴェ専門店でした。ビッグバザールのアガヴェ人気は今回が最高潮のような気がします。これからもしばらくはブームは続くのでしょうか? まあ、コーデックスも相変わらず山のようにありましたが…

エケベリアなどのベンケイソウ科は、もともとビッグバザールでは少数派ですが、今回もある程度はありました。しかし、やはり少数派です。専門店が出店するか否かにかかっている気がします。
エケベリアなどのベンケイソウ科植物のブームはずいぶんと長く続いてます。一時の過剰な多肉ブームは治まった様ですが、エケベリアの勢いは落ちませんね。アガヴェとエケベリアが圧倒的です。

秋らしさと言えば、リトープスなどのメセン類は今回沢山ありました。前回はなかったので、まだ暑い日が続きますが多肉植物はすでに秋仕様なんですね。非常に美しいのですが、基本的に放置栽培気味の私には育てられそうにありません。残念ながら見るだけです。

そう言えば、今回はギムノカリキウムはいつもよりありました。バッテリーはわりにありましたね。まあ、3~4店ですが。サボテンではやはり相変わらずコピアポアが目立ちますが、今回はエリオシケなどのやや珍しいものもありました。流行っているのでしょうか?

ハウォルチアは相変わらず窓の大きい交配系は沢山ありました。結構人気があるようです。基本的に高額な硬葉系のソルディダがあちこちにあり、やや奇妙な光景でした。流行っては…いないと思います。大型の株は万単位のお値段ですが、今回初めて小さな苗があったので購入しました。全体的に硬葉系は非常に少なく、ツリスタとガステリアは壊滅的、アストロロバは皆無でした。残念。

ユーフォルビアはお目当てのブースにはありませんでした。しかし、高額の大型コーデックスを並べているブースで、何やらワンコインのユーフォルビア苗を床に並べていましたからいくつか購入しました。前回と同じく、パキポディオイデスや群星冠は割とありましたし、最近見かけるようになったグイラウミニアナもありました。あとは、蘇鉄キリンはちらほら見かけました。それ以外は高額な塊根ユーフォルビア位ですかね。

そんなこんなで、今回は安い値段のものを9点を購入しました。正味1時間ほどの滞在でした。いつもの様に2~3鉢をビニール袋に入れて縛り、それを紙袋に詰めて帰りました。しかし、最寄り駅から家への帰宅中にゲリラ豪雨に見舞われ、紙袋があっという間にふやけて購入した多肉植物を道路にぶちまいてしまいました。ビニール袋に入れて縛ってあったので、土をばらまかないで済みましたが、中はシェイクされてしまいました。台風の影響でしょうか?しかしその後、あっという間に雨は止み晴れ渡りました。まったくもっておかしな天気です。

DSC_1775
購入品。ユーフォルビア5、サボテン2、ハウォルチオプシス2、アガヴェ1でした。思いの外、ユーフォルビアがありました。珍しいこともあるものです。購入品については明日記事にします。



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ツリスタ属は2016年に認められた、割と新しい分類群です。遺伝子解析の結果からは、ツリスタ属はアストロロバ属やアロエ属から別れたアリスタロエ属・ゴニアロエ属と近縁である事がわかりました。さらに、ガステリア属やハウォルチオプシス属も近縁で、ここら辺も含めと私は好きでチマチマ集めています。そんな中でもツリスタ属は4種類と少なく、産地ごとの個体差が大きくコレクションする楽しみがあります。
本日は今年の五反田TOCで開催された春のサボテン・多肉植物のビッグバザールで入手したプミラの変種オウクワエについてです。


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Tulista pumila(ohkuwai) GM 602
Vrede, NW of Anysberg
非常にイボ(結節)が発達しているタイプです。プミラ系の最優美種です。ラベルにはohkuwaiとありますが、正確にはohkuwaeですね。


学名の後の"GM602"は採取情報がわかるフィールド・ナンバーというもので、「採取人+採取番号」の組み合わせからなっています。早速調べてみました。

Field number : GM 602
Collector : Gregorz Matuszewski
Species : Mammillaria meiacantha
Locality : Mexico, Coahuilauila
                          (Huachichil, 2050m)
Date : 2002

なんと、サボテンの情報が出て来てしまいました。ちなみに、"GM 602.1"と"GM 602.2"もありますが、やはり情報はサボテンでした。ただし、採取人のGregorz Matuszewskiは主に北米で活動しているみたいですから、南アフリカ原産のツリスタの採取人としては違和感があります。
とりあえず、"GM"と"Haworthia"で調べると新たな情報が出てきました。

Field number : GM 408
Collecter : J. Gerhard Marx
Species : Haworthia pumila
Locality : Western Cape, South Africa

もちろん、これは"GM 602"の情報ではありませんが、単に「GM」と言った場合にはGregorz Matuszewskiの場合とJ. Gerhard Marxの場合がある事がわかりました。残念ながら"GM 602"の情報は見つかりませんでした。まあ、単純に探し方が悪いだけという可能性もあります。しかし、そもそもフィールド・ナンバーを検索できるサイトは、フィールド・ナンバーを収集しているだけで、すべてのフィールド・ナンバーが登録されているわけではありません。普通に見つからないこともあります。
また、このフィールド・ナンバーからは、他の情報も読み取れます。植物の学名が"Haworthia pumila"となっていますね。当然ながら現在では"Tulista pumila"です。間違っているようにも思えますが、フィールド・ナンバーは採取時点での学名で登録されますから、これで問題ありません。むしろ、学名が変わる度に登録情報を訂正するのは、あまりにも大変です。


さて、では後半の"Vrede, NW of Anythberg"を調べてみましょう。Anythbergは南アフリカ南西部にある地名です。NWはNorth Westですから、Anythbergの町から北西部が採取地名です。北西部にはAnythberg国自然公園がありますが、Vredeは良くわかりません。

さて、ではGM 602を採取したJ. Gerhard Marxとは何者なのでしょうか? 調べてみると、どうやら南アフリカの芸術家とのことです。しかも、ハウォルチアのコレクターで、原産地に自生するハウォルチアの美しい図版を書いています。Gerhard Marxの作出した交配種もあるようです。また、Euphorbia suppressa MarxやEuphorbia audissoui Marxの命名者としても知られています。

さて、ツリスタ属ははじめて命名された時はアロエ属で、やがてハウォルチア属が創設されるとそちらに移り、最終的にツリスタ属となった経緯がありますから、学名(異名)は最低でも3つはあることになります。しかし、産地による個体差が激しいこともあり、それらを別種として命名したりしたこともあり、沢山の異名が付けられてきました。
先ずはプミラの来歴を見てみましょう。これは、変種を含んだプミラ全体の学名です。やはり、アロエ→ハウォルチア→ツリスタという経緯です。しかし、アピクラ属とする意見もありましたが、このアピクラ属は現在は存在しない属名です。また、Aloe arachnoidesの変種とする意見もありましたが、これは現在のHaworthia arachnoideaのことです。また、マキシマという種小名が出てきますが、プミラをマキシマと呼ぶことが結構あります。しかし、マキシマの初命名はプミラの命名の51年後です。学名は先に命名された種小名が優先されるルールですから、当然ながらマキシマは認められません。

1753年 Aloe pumila L.
1789年 Aloe arachnoides var. pumila (L.) Aiton
1804年 Aloe margaritifera var. maxima Haw.
1809年 Haworthia pumila (L.) Duval
              Haworthia maxima (Haw.) Duval
1821年 Apicra maxima (Haw.) Steud.
2013年 Tulista pumila (L.) G.D.Rowley

いよいよ、変種オウクワエの登場です。2016年にHaworthia sparsaとHaworthia ohkuwaeが、プミラの変種とされました。これにより、変種スパルサ、変種オウクワエ、変種プミラが誕生しました。変種プミラは変種スパルサと変種オウクワエが出来たことにより、その2変種と区別するために出来た名前です。これはプミラに限らず、変種が出来ると自動的に区別するための変種が出来る決まりとなっています。
先ずは基調種である変種プミラの来歴を見てみましょう。いや、先程プミラの学名は見たじゃないかと思われるかもしれませんが、3変種を含んだプミラ全体に対する学名でした。変種プミラは他の変種を含まないため、Tulista pumilaとTulista pumila var. pumilaは同じではないということです。変種プミラの異名は私が確認しただけで23もありました。さすがにすべて書くのも意味がなさそうですから、代表的な異名であるマルガリティフェラ系のみの来歴を見てみましょう。
1840年にはツリスタ属を提唱した
Constantine Samuel Rafinesqueの名前が見えます。この時、ツリスタ属は認められませんでしたが、2013年にGordon Dougles Rowleyがツリスタ属を復活させました。また、この他にも、semimargaritifera系、granata系、semiglabrata系、subalbicans系、papillosa系、corallina系が存在しました。

1753年 Aloe pumila var. margaritifera L.
1768年 Aloe margaritifera (L.) Burm.f.
1811年 Apicra margaritifera (L.) Willd.
1819年 Haworthia margaritifera (L.) Haw.
1840年 Tulista margaritifera (L.) Raf.
1891年 Catevala margaritifera (L.) Kuntze

変種スパルサと変種オウクワエの学名は、最初はハウォルチア属の独立種でしたが、やがてツリスタ属となりプミラの変種とされました。

2006年 Haworthia sparsa M.Hayashi
              Haworthia ohkuwae M.Hayashi
2016年 Tulista pumila var. sparsa
                             (M.Hayashi) Breuer
              Tulista pumila var. ohkuwae
                             (M.Hayashi) Breuer

そう言えば、入手時の名札には"Tulista ohkuwai"とありました。オウクワ"エ"ではなく、オウクワ"イ"です。ネットで検索しても、販売されているものはオウクワイが多いようです。これは、種小名が人名から来ていた場合、語尾が男性なら「-i」、女性なら「-ae」をつけるためです。しかし、人名の末尾が「-a」で終わる場合は、男女関係なく「-e」をつけることになっているため、"ohkuwai"は間違いで"ohkuwae"が正しい学名となります。



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私は多肉植物が好きで、色々育てたり調べたりしてブログに記事を書いたりしていますが、育てている多肉植物はそのほとんどがアフリカ原産です。アフリカ原産と言えば、多肉質のユーフォルビア(Euphorbia、オベサやホリダなど、ユーフォルビアは世界中に生えるが多肉植物は南アフリカとマダガスカルに多い)、パキポディウム(Pachypodium)、ハウォルチア(Haworthia, Haworthiopsis)、ガステリア(Gasteria)、アロエ(Aloe)、亀甲竜(Dioscorea elephantipes)、ボウィエア(Bowiea)などが私が育てている多肉植物です。その他にも、メセン(ConophytumやLithopsなど)、アデニア(Adenia)、オペルクリカリア(Operculicalya)、ガガイモ(Huerniaなど)、サンセベリア(Sansevieria)、クラッスラ(Curassula、アフリカ以外にも自生するが南アフリカに多い)など、アフリカは多肉植物の宝庫です。次いで多肉植物が多いのはアメリカ大陸です。サボテンは北米から南米まで分布しますし、アガヴェ(Agave)やフォウクィエリア(Fouquieria)、ディッキア(Dickia)、エケベリア(Echeveria)、シンニンギア(Sinningia、断崖の女王)もそうです。ということで、大抵の多肉植物はアフリカ大陸かアメリカ大陸原産ということになります。

しかし、多肉植物が生える砂漠や乾燥地帯は、アフリカや南北アメリカだけではありません。普段あまり意識されませんが、中央アジアには巨大な乾燥地帯と砂漠が存在します。中国北部の黄土地帯からモンゴルのゴビ砂漠、タリム盆地、タクラマカン砂漠からトルファン、さらにアラブ世界に至るシルクロード…、とてつもなく広大な乾燥地帯が広がっています。当然ながら乾燥地帯に適応した独特と植物も沢山自生しているわけです。ところが、何故か中央アジアの乾燥地帯の植物はあまり知られていません。私は興味がありましたから、少しずつ本を集めています。ということで、アジアの乾燥地帯の植物についての本の紹介と、アジアの乾燥地帯の植物についてのお話をさせていただきます。

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まず紹介するのは、2003年に研成社から出版された『砂漠化と戦う植物たち ━がんばる低木━』です。主に内蒙古など中国北部の乾燥地帯の植物について書かれています。アジアの乾燥地帯の植物は、サボテンの様に高度に多肉化した植物や、バオバブやパキポディウムの様な塊茎植物は基本的にはないようです。どちらかと言えビャクシン(柏槙)のような地面を這う針葉樹など、ブッシュ状となる低木が多いみたいです。
これは、個人的には色々な可能性があると考えました。アフリカやアメリカ大陸原産の多肉植物は、熱帯や亜熱帯、あるいは砂漠で進化した植物です。しかし、アジアの乾燥地帯の植物は温帯や亜寒帯の植物です。中国北部など緯度的には内蒙古は、日本で言えば東北地方から北海道あたりと同じですから、基本的に寒冷で多肉植物の生育する環境とは言えないでしょう。また、乾燥するとは言え、放置すれば草原となる程度の雨は降ったりします。むしろ、乾燥以外の部分が重要なのかもしれません。例えば、乾燥地帯のその多くはいわゆる土砂漠で、一般に黄土と言われている乾燥した黄色い土で覆われています。これが、嵐で巻き上げられて黄砂として降り注ぎます。本の表紙は「小葉錦鶏児」という低木が、根が1メートルも浮き上がってしまっても育つ様子を示しています。このように、地形が変わってしまうことがまず問題です。低く這うの植物が多いのは、低く表面積を広くとる植物は砂が押さえられて舞いにくくなりますし、這うタイプの樹木は根も縦よりも横方向に伸ばす傾向がありましたから、砂を大地に縛り付けることができているのでしょう。しかし、昔より砂嵐が増えているということです。実際に砂漠化した地域が拡大しているそうです。これは、自動車の走行により植物が踏みつけられ、しかもあちこちに轍が出来て、植物の生育が妨げられていることがあります。さらに、過放牧により砂漠化が進行していることも判明しています。

読んでいて私が気になった植物をご紹介します。先ずは、スナヤナギ(沙柳、Salix psammophila)です。スナヤナギは低木状の柳で、地面から放射状に叢生して茂みを作ります。若い株はまるでメキシコのocotillo(Fouquieria)の茂みのようです。次に四合木(Tetraena mongolica)というハマビシの仲間です。中国に1種類しかない仲間で非常に珍しい植物です。氷河期の遺存植物らしく、もはや環境に適応出来なくなっている可能性があります。高さ60センチメートル程の小さな茂みを作りますが、細い枝からは多肉質の小さな葉を出し、まるでCeraria namaquensisの様な枝振りで、Cerariaとは異なり低く育つ姿は非常に面白く見えます。


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次は1998年に中公新書から出版された『砂漠化防止への挑戦 緑の再生にかける夢』です。内蒙古の毛烏素砂漠で、砂漠の研究をしている研究者の記録です。砂漠の緑化は批判されることがあります。それは、元々あった砂漠という環境を破壊するからです。しかし、内蒙古では砂漠化は人為的に起きていますから、やはり人為的に砂漠化を防止しなければなりません。一度砂漠化してしまうと、土壌を大地に押さえつけていた植物が消えることにより、砂が舞って移動してしまい植物すら生えることが出来ない砂漠がどんどん広がってしまいます。人間の活動により砂漠化が起きて、その砂漠化により人間が住めなくなり、他の生物も住めなくなるわけですから、対策が必要です。
砂漠と一口に言っても様々な環境があります。流動砂丘は砂が常に動き回りますから育つ植物を選びます。
毛烏素砂漠では沙蒿というヨモギの仲間の植物が生えます。根が深く砂が移動してしまっても、根がむき出しになっても耐えられます。砂蒿が砂を固定すると、やがて他の植物も生えてきますが、そうなると沙蒿はお役御免でやがていなくなります。砂漠でも遷移がおきるわけです。砂が移動しなくなると、臭柏というビャクシンが生えてきます。地面を這うように、まさに砂地を覆うように放射状に枝を伸ばします。

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2007年に岩波ジュニア新書の『砂漠化ってなんだろう』です。ジュニア新書は児童向けというわけではなく高校生位を対象にしています。ある程度は持説が入ってくる岩波新書とは異なり、ジュニア新書は入門書ですからニュートラルなものが多いように思われます。本書も砂漠化の仕組みや砂漠植物の生態についての詳しい解説があります。また、塩害についての非常に詳しい解説もあります。
内蒙古ではまったく雨が降らないわけではないため、実験的に柵で家畜や車が入れない様にしただけで、猛烈な勢いで植物が生えてくるそうです。そういう意味において、砂漠化の拡大阻止は他の砂漠地域よりは簡単に出来そうです。ただし、中央アジアの乾燥地帯で厄介なのは、その塩分濃度の高さです。中央アジアは広くしかも盆地状なので、川があっても水が海まで到達しません。雨が降った時だけ出現する涸れ川(ワジ)が多いのですが、砂漠の塩分を溶かしながら流れ、やがて砂漠に消えます。このようなことが毎年続きますから、やがて川の終点に塩分が集積して塩の結晶が出来たりします。そのため、大なり小なりの耐塩性がないと、「青菜に塩」の如く萎れてしまい育ちません。

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次は研成社が1998年に出版された『シルクロードに生きる植物たち』です。近年、中国政府の人権侵害により大変な国際問題と化している新疆ウイグル自治区ですが、このかつてのシルクロードのど真ん中を植物学者が一周した記録となっております。

新疆の代表的な植物はギョリュウ(御柳、タマリクス、Tamarix chinensis)です。日本では江戸時代から知られており、高さ7メートル程になる樹木です。ギョリュウは非常に耐塩性が高く、塩腺という器官から塩分を排出出来ます。なんと、8%もの塩分を含む塩傷地でさえもギョリュウを栽培することに成功しているそうです。ギョリュウに限らず、新疆に生える植物は耐塩性が高いことが特徴と言えます。著者も塩が吹き出して白くなった大地に生える、多くの植物を観察しています。個人的に興味深いのはマオウ(麻黄、Ephedra)です。エフェドリンという成分を含み、麻黄湯などとして風邪のひき始めに使用したりします。マオウは一見して葉がなく、多肉質の棒状の茎を持つ緑色のブッシュです。実はマオウはソテツやイチョウと同じ裸子植物ですから、非常に古い時代に出現した植物の生き残りと言えます。一度、育ててみたい植物です。

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最後にトンボ出版より1996年に出版された中国天山の植物』です。フルカラーの贅沢な大型版の本で、天山山脈周辺の美しい風景を含む素晴らしい写真が満載です。天山山脈ですから高山植物の写真も沢山ありますが、天山山麓の塩生荒原や礫だらけのゴビ砂漠の砂漠植物も多く掲載されています。乾燥に耐えるために、葉を小さくあるいは完全に失った種が見られます。

美しい写真を見ていて、大変良いと感じたのはScorzonera muriculataです。高さ50センチメートル程度の多年草で、葉はほとんどなく、枝分かれしたトゲ状の緑色の枝が、非常に密に絡まる様子が美しい。実はキク科で黄色い小さなタンポポの様な花が咲き、やがて綿毛のついた種が出来ます。
次はLycium ruthenicum(黒果枸杞)というナス科の植物です。高さ20-150センチメートルの灌木で、白くトゲのある枝から多肉質の小さな葉を沢山出します。
次はIljinia regeliiは高さ50センチメートル程度のアカザ科の半灌木です。小さなソーセージ形の多肉質の葉を密に出す面白い植物です。
その他にも葉が退化した茎で光合成する多肉質の植物が沢山あります。アカザ科のAnabasis aphylla(無葉仮木賊)、Haloxylon ammodendronがなかなか面白い植物です。Anabasis aphyllaは高さ20センチメートル程度の半灌木です。茎は緑色の節があり非常に形良く叢生します。観賞価値が高そうな植物ですが、殺虫成分を含み食べると非常に毒性が高いと言います。Haloxylon ammodendronは高さ9メートルになる亜高木で、節のある細い茎が紐の様に伸びます。耐塩性が高く砂丘の固定を目的として植林されているそうです。

最後にAtraphaxis spinosaという高さ20-60センチメートルのタデ科の小灌木です。枝先には鋭いトゲがあり、丸く小さい多肉質の葉が茎に沢山出ます。カナボウノキの仲間(亜流木など)のミニチュアのようで面白い雰囲気です。

以上で中央アジアの乾燥地帯の植物についての話は終了します。しかし、以上で挙げさせていただいた植物はあまりに馴染みがないもので、ネットで検索しても画像が皆無というものが多いでしょう。ギョリュウやマオウは国内でも販売されていますが、それ以外は入手が不可能だと思われます。貴重な砂漠植物が盗掘されるようでは困りますから、輸入されないことは悪いことではありませんが、防砂を目的として苗を人工的に栽培されているものなどは、その園芸的な価値について一考しても良いのではないかと私は思いました。記事ではいくつかの中央アジアの乾燥地に生える多肉植物を少しご紹介しました。しかし、現在までほとんど知られおらず、一般向けの本も潤沢とは言いがたいと思います。昔から気にはなっている分野ですので、もう少し本を探ってみたいと思っています。




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中国天山の植物
建美, 清水
1996-03-20


Gymnocalycium esperanzaeは2011年に命名された、割と発見が新しいサボテンです。しかし、G. esperanzaeの命名者であるRadomír Řepkaが2012年に発表した『GYMNOCALYCIUM ESPERANZAE : A NOTHOSPECIES?』という論文では、交雑種の可能性があるという指摘をしています。

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Gymnocalycium esperanzae

論文では遺伝子解析をしていますが、その前にギムノカリキウムの分類について簡単に説明します。ギムノカリキウム属の分類は必ずしも統一見解があるわけではないようですが、ギムノカリキウム属全体の遺伝子を解析した2011年のPablo H.Demaioの論文『MOLECULAR PHYLOGENY OF GYMNOCALYCIUM (CACTACEAE) : ASSESSMENT OF ALTERNATIVE INFRAGENERIC SYSTEMS, A NEW SUBGENUS, AND TRENDS IN THE EVOLUTION OF THE GENUS』によると、以下の様な分子系統となっているようです。ギムノカリキウム属は7亜属に分けられています。今まではギムノカリキウム属は種子の特徴から分類されてきましたが、遺伝子解析の結果と一致していました。ちなみに、このDemaioの論文はŘepkaも参照としています。

            ┏━━Subgenus Gymnocalycium
        ┏┫
    ┏┫┗━━Subgenus Trichomosemineum
    ┃┃
┏┫┗━━━Subgenus Macrosemineum
┃┃
┃┗━━━━Subgenus Scabrosemineum

┫┏━━━━Subgenus Muscosemineum
┣┫
┃┗━━━━Subgenus Pirisemineum

┗━━━━━Subgenus Microsemineum

さて、それでは『GYMNOCALYCIUM ESPERANZAE : A NOTHOSPECIES?』の内容に戻ります。種子の特徴からは、G. esperanzaeはScabrosemineum亜属とされます。Scabrosemineum亜属の種子は0.6-1mmと小さく褐色、植物はしばしば大型で根はnapiform(かぶら状)とされています。
しかし、著者はG. esperanzaeは、G. bodenbenderianumとG. castellanosiiの自然交雑種ではないかと推測しています。G. castellanosiiはScabrosemineum亜属ですが、G. bodenbenderianumはTrichomosemineum亜属であり、驚くべきことにあまり近縁ではありません。G. castellanosiiとG. bodenbenderianumは広い分布域を持ちますが、その分布が重なる点にG. esperanzaeが生じているようです。
しかし、自然交雑は植物の進化において一般的なこと(Ellstrand et al.2008)であり、環境に適応して種分化の機会を生み出す力である(Anderson 1949, Arnold 1997, Rieseberg 1995, 1997, Rieseberg & Carney 1998)とする意見が多いそうです。サボテン科の進化には、自然交雑による倍数体化(遺伝子が重複)が重要とされています(Friedrich 1974, Pinkava 2002, Machado 2008, Mottram 2008)。ですから、G. esperanzaeはただの雑種ではなく、新種が生まれつつあるのかも知れないということです。交雑自体は割と新しく起きた可能性があります。

では、実際の①G. castellanosii(subsp. armillatum)、②G. esperanzae、③G. bodenbenderianumの特徴を比較してみましょう。

種                   ①                ②                ③
根                   枝分かれ    かぶら状    かぶら状
中央の棘       1-3本           0本              0本
若い棘           黒                黒                 褐色
雄しべ           ピンク        淡い緑色     淡い緑色
種子の形       丸~卵形    丸~卵形     帽子形
種子の色       黒                黒                 褐色
種子の光沢   +                  +                   +++    
種子の表面   少し凸状    少し凸状     平ら
Elaiosome    -                -                  +

G. esperanzaeの種子の特徴はG. castellanosiiと似ていますから、Scabrosemineum亜属とされたわけですが、根や棘、雄しべの色はG. bodenbenderianumに似ています。しかし、遺伝子解析の結果ではG. bodenbenderianum、G. ochoterenae、quehlianum、G. intertextumなどのTrichomosemineum亜属と近縁であることがわかりました。
つまり、伝統的な種子の分類ではScabrosemineum亜属なのに、遺伝子的にはTrichomosemineum亜属であるということです。面白いですね。
ちなみに、Elaiosomeとは種子に付いている蟻を呼ぶための栄養分のことです。これはサボテンに限らず植物の種子に広く見られるもので、蟻がElaiosomeを目的に種子を巣に運び込みます。種子は土中に入ることにより発芽しやすくなります。
生態的にはG. bodenbenderianumは砂質の平野部の低木の陰に生えますが、G. castellanosiiは低い丘の荒い砂利状に生えます。G. esperanzaeは丘や山の尾根、岩や砂利質など、G. castellanosiiに近いということです。

以上でGymnocalycium esperanzaeについての論文紹介は終了です。種子の特徴からはScabrosemineum亜属ですが、遺伝的にはTrichomosemineum亜属というちぐはぐさからは、確かに交雑を疑いたくなります。しかし、遺伝子解析も2種類の遺伝子をみただけですから、交雑を調査するための解析はしていません。ですから、まだこの結論は確実とは言えないでしょう。まだ、議論すべき点は残っているように思われます。


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2021年に開催された冬のサボテン・多肉植物のビッグバザールで、あまり見かけないギムノカリキウムを入手しました。ラベルには「Gymnocalycium esperanzae VoS 1791」とありました。どうやら輸入物ということですが、どう見ても実生苗ですから海外のファームで播種されたもののようです。あまり情報はないようですから、少し調べてみました。

DSC_1746

名札には「VoS 1791」とあります。これは、フィールド・ナンバーと言って、採取情報がわかります。調べてみましたが、"VoS"は採取人の名前の略で、この場合は「Volker Schädlich」の略です。VoSナンバーは略されがちですから、「VoS 1791」では調べても詳細はわからない可能性が高いので、Gymnocalycium esperanzaeのフィールド・ナンバーの一覧を見てみました。そしてヒットしたのが、"VoS 14-1791"です。

Field number: VOS 14-1791
Collector: Volker Schädlich
Species: Gymnocalycium esperanzae
Locality: Corral de Isaac, La Rioja, Argentina
Altitude: 519m
Date: 2014


フィールド・ナンバーを調べると、採取人や採取地点などの情報がわかります。場合によっては、高度や採取年月日も記載されています。

次にGymnocalycium esperanzaeの学名を調べてみました。学名は2011年に命名されたGymnocalycium esperanzae Řepka & Kulhánekです。命名者は正確には、Radomír Řepka & Tomáš Kulhánekのことです。どうやら、論文の記載に際して"TOM 09-436/1"(=RER 434)というフィールド・ナンバーの個体を元にしたようです。早速、調べてみました。

Field number: TOM 436.1
Collector: Tomáš Kulhánek
Species: Gymnocalycium esperanzae
Locality: W of Nuevo Esperanza, La Rioja, Argentina

エスペランザエという種小名は、"
Nuevo Esperanza"という地名から来ていることがわかります。

しかし、Gymnocalycium esperanzaeは産地によっては白い粉に覆われます。Gymnocalycium esperanzaeは生息域が狭い割に、個体差が大きいとされているようです。
このように色々と情報を漁っていたところ、エスペランザエに関する面白い論文を見つけました。その内容は明日、記事にする予定です。議論を呼ぶ内容で大変興味深いものです。



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昨日に続いて、ハウォルチオプシス属の学名と異名の紹介です。

⑭Haworthiopsis scabra
                (Haw.) G.D.Rowley, 2013
異名
Haworthia scabra Haw., 1819
→Aloe scabra (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
→Catevala scabra (Haw.) Kuntze, 1891

変種スカブラ
Haworthiopsis scabra var. scabra

異名
Haworthia tuberculata Poelln., 1931
→Haworthia scabra var. tuberculata
                              (Poelln.) Halda, 1997
Haworthia scabra var. johanii M.Hayashi, 2001
→Haworthia johanii (M.Hayashi) Breuer, 2010
→Haworthiopsis scabra var. johanii
                                     (M.Hayashi) Breuer, 2016

変種モリシアエ
Haworthiopsis scabra var. morrisiae
                        (Poelln.) G.D.Rowley, 2013

異名
Haworthia morrisiae Poelln., 1937
→Haworthia scabra var. morrisiae
                   (Poelln.) G.D.Rowley, 2013

変種スタルキアナ
Haworthiopsis scabra var. starkiana
                       (Poelln.) G.D.Rowley, 2013

異名
Haworthia starkiana Poelln., 1933
→Haworthia scabra subsp. starkiana
                        (Poelln.) Halda, 1997
→Haworthia scabra var. starkiana
                 (Poelln.) M.B.Bayer, 1999

変種ラテガニアエ
Haworthiopsis lateganiae
                     (Poelln.) G.D.Rowley, 2013
異名
Haworthia lateganiae Poelln., 1937
→Haworthia starkiana var. lateganiae
                 (Poelln.) M.B.Bayer, 1976
→Haworthia scabra var. lateganiae
                 (Poelln.) M.B.Bayer, 1999

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Haworthiopsis scabra

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Haworthiopsis scabra var. starkiana

⑮Haworthiopsis sordida
                  (Haw.) G.D.Rowley, 2013
異名
Haworthia sordida Haw., 1821
→Aloe sordida (Haw.)
              Schult. & Schult.f., 1829
→Catevala sordida (Haw.) Kuntze, 1891
→Haworthia scabra var. sordida
                                    (Haw.) Halda, 1997
→Haworthia scabra subsp. sordida
                                    (Haw.) Halda, 1997

変種ソルディダ
Haworthiopsis sordida var. sordida
異名
Haworthia agavoides
                  Zantner & Poelln., 1938
→Haworthiopsis sordida var. agavoides
   (Zantner & Poelln.) Breuer, 2016

変種ラブラニ
Haworthiopsis sordida var. lavrani
                   (C.L.Scott) G.D.Rowley, 2013

異名
Haworthia sordida var. lavrani
                                   C.L.Scott, 1981
→Haworthia scabra var. lavrani
                    (C.L.Scott) Halda, 1997
→Haworthia lavrani
              (C.L.Scott) Breuer, 2010

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Haworthiopsis sordida

⑯Haworthiopsis tessellata
                   (Haw.) G.D.Rowley, 2013

異名
Haworthia tessellata Haw., 1824
→Aloe tessellata
         (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
→Catevala tessellata (Haw.) Kuntze, 1891
→Haworthia venosa subsp. tessellata
                                 (Haw.) M.B.Bayer, 1982
→Haworthia venosa var. tessellata
                                        (Haw.) Halda, 1997

変種テセラタ
Haworthiopsis tessellata var. tessellata

異名
Haworthia engleri Dinter, 1914
Haworthia parva Haw., 1824
→Aloe parva (Haw.)
               Schult. & Schult.f., 1829
Haworthia pseudotessellata Poelln., 1929
Haworthia pseudogranulata Poelln., 1937
Haworthia minutissima Poelln., 1939
Haworthia tessellata var. coriacea
                              Resende & Poelln., 1942
Haworthia coriacea
               (Resende & Poelln.) Breuer, 2010

変種クロウシイ
Haworthiopsis tessellata var. crousii
        (M.Hayashi) Gildenh. & Klopper,2016
異名
Haworthia crousii M.Hayashi, 2001


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Haworthiopsis tessellata

⑰Haworthiopsis venosa
               (Lam.) G.D.Rowley, 2013
異名
Aloe venosa lam., 1783
→Haworthia venosa (Lam.) Haw., 1821
→Catevala venosa (Lam.) Kuntze, 1891
Aloe recurva Haw., 1804
→Apicra recurva (Haw.) Willd., 1811
→Haworthia venosa subsp. recurva
                            (Haw.) M.B.Bayer, 1976
→Haworthia recurva (Willd.) Haw., 1812 
→Catevala recurva (Willd.) Kuntze, 1891
Aloe tricolor Haw., 1804
→Apicra tricolor (Haw.) Willd., 1811
Aloe anomala Haw., 1804
→Apicra anomala (Haw.) Willd., 1811
Haworthia distincta N.E.Br., 1876

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Haworthiopsis veonosa

⑱Haworthiopsis viscosa
         (L.) Gildenh. & Klopper, 2016

異名
Aloe viscosa L., 1753
→Apicra viscosa (L.) Willd., 1811
→Haworthia viscosa (L.) Haw., 1812
→Catevala viscosa (L.) Kuntze, 1891
→Tulista viscosa (L.) G.D.Rowley, 2013
Aloe triangularis Lam., 1783

変種ヴィスコサ
Haworthiopsis viscosa var. viscosa

異名
Aloe triangularis Medik., 1784
Aloe rigida Ker Gawl., 1810
Apicra tortuosa Willd. 1811
Aloe pseudotortuosa Salm-Dyck, 1817
Haworthia pseudotortuosa Haw., 1819
Haworthia asperiuscula Haw., 1819
→Aloe asperiuscula
              (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
→Catevala asperiuscula
                        (Haw.) Kuntze, 1891

→Haworthia viscosa f. asperiuscula
                         (Haw.) Pilbeam, 1983
→Haworthiopsis viscosa
                        var. asperiuscula

                            (Haw.) Breuer, 2016
Haworthia concinna Haw., 1819
→Aloe concinna
            (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
Haworthia cordifolia Haw., 1819
→Aloe cordifolia
          (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
→Catevala cordifolia (Haw.) Kuntze, 1891
Haworthia indurata Haw., 1821
→Aloe indurata
       (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
Haworthia torquata Haw., 1826 publ. 1827
→Aloe torquata 
       (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
Aloe subtortuosa
               Schult. & Schult.f., 1829
Haworthia tortuosa Sweet, 1830
Haworthia beanii G.G.Sm., 1944
→Aloe viscosa f. beanii
                        (G.G.Sm.) Pilbeam, 1983
→Haworthiopsis viscosa var. beanii
                           (G.G.Sm.) Breuer, 2016
Haworthia viscosa f. subobtusa
                          (Poelln.) Pilbeam, 1983
Haworthia viscosa subsp. derekii-clarkii
                                              Halda, 1998


変種ヴァリアビリス
Haworthiopsis viscosa var. variabilis
          (Breuer) Gildenh. & Klopper, 2016

異名
Haworthia viscosa var. variabilis
                                         Breuer, 2003
→Haworthia variabilis
                         (Breuer) Breuer, 2010
→Haworthiopsis variabilis
                          (Breuer) Zonn., 2014


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Haworthiopsis viscosa

⑲Haworthiopsis woolleyi
              (Poelln.) G.D.Rowley, 2013
異名
Haworthia woolleyi Poelln., 1937
→Haworthia venosa subsp. woolleyi
                     (Poelln.) Halda, 1997
→Haworthiopsis venosa var. woolleyi
                    (Poelln.) Breuer, 2016

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Haworthiopsis woolleyi

以上がハウォルチオプシス属、全19種類です。異名が多いのは属名が変わったからだけではなく、同種に異なる学名がつけられたことが原因の1つです。それは、産地ごとの外見的な違いを別種と判断したこともあるのしょう。ただし、それが遺伝的に異なるとは限らず、環境が厳しいので育ちが悪いだけだったりもしますから、間違いも起こりやすくなります。また、記事を読んでいただけたならお分かりの様に、活発に命名されたのが1800年代と古いことがわかります。当然ながら現在と異なりネットで情報をやり取り出来ません。ですから、情報収集も不完全で遅くなります。例えば、イギリスの雑誌に発表された論文が、フランスやドイツ、アメリカに届くまでタイムラグがあります。しかも、紙の出版物ですから、世界中の学術誌をすべて収集は困難ですから、すべての論文を確認して命名することもまた困難となります。これらのことから、当時からあったであろう混乱が現在にまで及んでいたりします。非常に困った問題です。



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昨日に続いて、ハウォルチオプシス属の学名と異名の紹介です。

⑤Haworthiopsis glauca
              (Baker) G.D.Rowley, 2013
異名
Haworthia glauca Baker, 1880
→Catevala glauca (Baker) Kuntze, 1891
→Haworthia reinwardtii var. glauca
                                   (Baker) Halda, 1997
→Haworthia reinwardtii subsp. glauca
                                   (Baker) Halda, 1997

変種グラウカ
Haworthiopsis glauca var. glauca
異名
Haworthia carrissoi Resende, 1941

変種ヘレイ
Haworthiopsis glauca var. herrei
                        (Poelln.) G.D.Rowley, 2013
異名
Haworthia herrei Poelln., 1929

→Haworthia glauca var. herrei
                          (Poelln.) M.B.Bayer, 1976
→Haworthia reinwardtii var. herrei
                                 (Poelln.) Halda, 1997
Haworthia armstrongii Poelln., 1937
→Haworthia glauca f. armstrongii
                          (Poelln.) M.B.Bayer, 1976
Haworthia jacobseniana Poelln., 1937
→Haworthia glauca f. jacobseniana
                              (Poelln.) Pilbeam, 1983
Haworthia jonesiane Poelln., 1937
→Haworthia glauca f. jonesiane
                              (Poelln.) Pilbeam, 1983
Haworthia eiyae Poelln., 1937

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Haworthiopsis glauca var. herrei

⑥Haworthiopsis granulata
           (Marloth) G.D.Rowley, 2013

異名
Haworthia granulata Marloth, 1912
→Haworthia venosa subsp. granulata
                     (Marloth) M.B.Bayer, 1976
→Haworthia scabra subsp. granulata
                             (Marloth) Halda, 1997

変種スコエマニイ
Haworthiopsis granulata var. schoemanii
                      (M.Hayashi) Breuer, 2016
異名
Haworthia schoemanii M.Hayashi, 2003

⑦Haworthiopsis henriquesii (Resende)
         Gideon F.Sm. & Vasco Silva, 2019

異名
Haworthia henriquesii Resende, 1941


⑧Haworthiopsis koelmaniorum
                        (Oberm. & D.S.Hardy)
                Boatwr. & J.C.Manning, 2014
異名
Haworthia koelmaniorum
                              Oberm. & D.S.Hardy, 1976
→Haworthia limifolia var. koelmaniorum
                (Oberm. & D.S.Hardy) Halda, 1997
→Tulista koelmaniorum
       (Oberm. & D.S.Hardy) G.D.Rowley, 2013

変種ムクムルトリイ
Haworthiopsis koelmaniorum
                   var. mucmurtryi
               (C.L.Scott) Gildenh. & Klopper, 2016

異名
Haworthia mucmurtryi C.L.Scott, 1984
→Haworthia koelmaniorum var. mucmurtryi
                (C.L.Scott) G.D.Rowley, 1999
→Tulista koelmaniorum var. mucmurtryi
                (C.L.Scott) G.D.Rowley, 2013
→Haworthiopsis mucmurtryi
                           (C.L.Scott) Zonn, 2014

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Haworthiopsis koelmaniorum

⑨Haworthiopsis limifolia
           (Marloth) G.D.Rowley, 2013

異名
Haworthia limifolia Marloth, 1910


変種リミフォリア
Haworthiopsis limifolia var. limifolia

異名
Haworthia marlothiana Resende, 1940
Haworthia limifolia var. striata
                  Pilbeam, unknown publication
→Haworthiopsis limifolia var. striata
                               (Pilbeam) Breuer, 2016

変種ウボンボエンシス
Haworthiopsis limifolia var. ubomboensis
                           (I.Verd.) G.D.Rowley, 2013

異名
Haworthia ubomboensis I.Verd., 1941
Haworthia keithii
                  (G.G.Sm.) M.Hayashi, 2000

変種ギガンテア
Haworthiopsis limifolia var. gigantea
                (M.B.Bayer) G.D.Rowley, 2013
異名
Haworthia limifolia var. gigantea
                                      M.B.Bayer, 1962
→Haworthia gigantea
               (M.B.Bayer) M.Hayashi, 2000

変種グラウコフィラ
Haworthiopsis limifolia var. glaucophylla
                            (M.B.Bayer) Breuer, 2010
異名
Haworthia limifolia var. glaucophylla
                                            M.B.Bayer, 2003
→Haworthia glaucophylla
                             (M.B.Bayer) Breuer, 2010

変種アルカナ
Haworthiopsis limifolia var. arcana
            (Gideon F.Sm. & N.R.Crouch)
                                 G.D.Rowley, 2013
異名
Haworthia limifolia var. arcana
           Gideon F.Sm. & N.R.Crouch, 2001
→Haworthia arcana
       (Gideon F.Sm. & N.R.Crouch)
                                     Breuer, 2013


⑩Haworthiopsis longiana
                 (Poelln.) G.D.Rowley, 2013
異名
Haworthia longiana Poelln., 1937

→Haworthia pumila subsp. longiana
                                   (Poelln.) Halda, 1997

⑪Haworthiopsis nigra
                   (Haw.) G.D.Rowley, 2013
異名
Apicra nigra Haw., 1824
→Aloe nigra (Haw.)
               Schult. & Schult.f., 1829 
→Haworthia nigra (Haw.) Baker, 1880
→Catevala nigra (Haw.) Kuntze, 1891
→Haworthia venosa subsp. nigra
                                (Haw.) Halda, 1997
→Haworthia viscosa subsp. nigra
                                (Haw.) Halda, 1998

変種ニグラ
Haworthia nigra var. nigra
異名
Haworthia schmidtiana Poelln., 1929
→Haworthia schmidtiana
              var. elongata Poelln., 1938
→Haworthiopsis nigra var. elongata
                    (Poelln.) G.D.Rowley, 2013
Haworthia ryneveldii Poelln., 1939
Haworthia nigra f. angustata
                         (Poelln.) Pilbeam, 1983

変種ディヴェルシフォリア
Haworthiopsis nigra var. diversifolia
                   (Poelln.) G.D.Rowley, 2013
異名
Haworthia diversifolia Poelln., 1937

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Haworthiopsis nigra

⑫Haworthiopsis pungens
                   (M.B.Bayer)
       Boatwr. & J.C.Manning, 2014
異名
Haworthia pungens M.B.Bayer, 1999
Tulista pungens (M.B.Bayer)
                           G.D.Rowley, 2013

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Haworthiopsis pungens

⑬Haworthiopsis reinwardtii
      (Salm-Dyck) G.D.Rowley, 2013
異名
Aloe reinwardtii Salm-Dyck, 1821
→Haworthia reinwardtii
                (Salm-Dyck) Haw., 1821
→Catevala reinwardtii
             (Salm-Dyck) Kuntze, 1891

変種レインワルドティイ
Haworthiopsis reinwardtii var. reinwardtii
異名
Haworthia reinwardtii var. zebrina
                                      G.G.Sm., 1944
→Haworthia reinwardtii f. zebrina
                 (G.G.Sm.) M.B.Bayer, 1977

変種ブレビクラ
Haworthiopsis reinwardtii var. brevicula
                       (G.G.Sm.) G.D.Rowley, 2013
異名
Haworthia reinwardtii var. brevicula
                                         G.G.Sm., 1944
→Haworthia brevicula
                         (G.G.Sm.) Breuer, 2010

品種オリバケア
Haworthiopsis reinwardtii f. oliviacea
            (G.G.Sm.) Gildenh. & Klopper, 2016
異名
Haworthia reinwardtii var. oliviacea
                                          G.G.Sm., 1944
→Haworthia reinwardtii f. oliviacea
                                       M.B.Bayer, 1976
→Haworthia oliviacea
                        (G.G.Sm.) Breuer, 2010
→Haworthiopsis reinwardtii var. oliviacea
                            (G.G.Sm.) Breuer, 2019

品種カルムネンシス
Haworthiopsis reinwardtii f. chalumnensis
        (G.G.Sm.) Gildenh. & Klopper, 2016
異名
Haworthia reinwardtii var. chalumnensis
                               G.G.Sm., 1943
→Haworthia reinwardtii f. chalumnensis
          (G.G.Sm.) M.B.Bayer, 1976

品種カフィルドリフテンシス
Haworthiopsis reinwardtii f. kaffirdriftensis
         (G.G.Sm.) Gildenh. & Klopper, 2016  
異名
Haworthia reinwardtii var. kaffirdriftensis
                               G.G.Sm., 1941
→Haworthia reinwardtii f. kaffirdriftensis
         (G.G.Sm.) M.B.Bayer, 1976

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Haworthiopsis reinwardtii f. kaffirdriftensis

本日はここまで。異名が非常に多いため、どうしても記事が長くなってしまいます。明日に続きます。


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多肉植物は沢山の種類があり、様々な分類群に所属します。そのため、多肉植物の種類は何種類あるのか、膨大過ぎてよく分かりません。しかし、1つのグループ=属レベルならば、調べることも可能です。
というわけで、私は今までオペルクリカリア属(Operculicarya)やダシリリオン属(Dasylirion)、フォウクィエリア属(Fouquieria)、アストロロバ属(Astroloba)について、果たして何種類あるのかを記事にしてきました。最近、ハウォルチオプシス属(Haworthiopsis)について書かれた論文を読んでいたところ、硬葉系ハウォルチアと呼ばれていたハウォルチオプシス属は18種類と書かれていました。その程度の種類なら調べられますし、論文が書かれた2016年から6年経って種類数は変わったのか興味があります。ということで、果たしてハウォルチオプシス属は何種類あるのかを、記事にしてみました。

先ずは、ハウォルチオプシス属が誕生するまでの経緯を見てみましょう。
スウェーデンのCarl von Linneによって現在使われる二名式学名というシステムが作られたのが、1753年のことでした。このときはハウォルチオプシス属はまだ存在せずに、最初はアロエ属でした。その後、1809年にフランスのHenri August Duvalによりハウォルチア属が創設され、ハウォルチオプシス属もハウォルチア属とされました。日本ではあくまで園芸上での話ですが、ハウォルチア属を軟葉系と硬葉系に分けています。軟葉系は現在のハウォルチア属で、硬葉系は現在のハウォルチオプシス属とツリスタ属に相当します。
ちなみに、1786年にドイツのFriedrich Kasimir Medikusにより創設されたカテバラ属、1811年にドイツのCarl Ludwig Willdenowにより創設されたアピクラ属という属もありましたが、アロエ属やハウォルチオプシス属の一部からなるグループでしたが、現在では存在しない属名です。
1840年にオスマン帝国生まれでアメリカで活動した
Constantine Samuel Rafinesqueがツリスタ属を提唱しましたが認められませんでした。しかし、2013年にイギリスのGordon Douglas Rowleyはハウォルチア属を解体し3属に分けました。解体されたハウォルチア属は、ハウォルチア属、ハウォルチオプシス属、ツリスタ属となり、忘れ去られていたツリスタ属は79年の年月を経てついに日の目を見ました。このとき、ツリスタ属にはアストロロバ属やハウォルチア属の一部も含まれていたので、ハウォルチオプシス属はツリスタ属とされた異名を持つ種類も存在します。現在ではツリスタ属は4種類まで減少し、含まれていたハウォルチア属はハウォルチオプシス属とされました。この時、ツリスタ属からハウォルチオプシス属への移動は、南アフリカのJames Boatwright & John C. Manningや、同じく南アフリカのSean D. Gildenhuys & Ronell R. Klopperによるものです。この南アフリカの研究者たちは、遺伝子解析という新しい武器により、次々と新しい見解を公表しており目が離せません。

ハウォルチオプシス属の経緯
1753年 Aloe L.
1786年 Catevala Medik.
1809年 Haworthia Duval
1811年 Apicra Willd.
1840年 Tulista Raf.
2013年 Haworthiopsis G.D.Rowley

それでは、いよいよハウォルチオプシス属の種類を見ていきます。最初に言ってしまうと、現在学術的に認められているハウォルチオプシス属は19種です。最新の情報では、Haworthia henriquesiiが2019年にハウォルチオプシス属とされました。これからも、ハウォルチオプシス属は増える可能性はあるのでしょうか?
また、異名もすべてを網羅できているのかは分かりませんが、できただけ盛り込みました。あと、変種に対する異名も調べました。異名が多い種類では、場合によっては異名で流通している種もあるでしょうから、自分の育てているハウォルチオプシスは正式な学名か見比べて見ると異なるかもしれません。また、学名は変更されてきた経緯からわかります通り不変のものではなく、常に見直され改定を受けるものです。この記事の一覧も、やがて古くなり通じなくなるのでしょう。


①Haworthiopsis attenuata
                     (Haw.) G.D.Rowley, 2013
異名
Aloe attenuata Haw., 1804
→Apicra attenuata (Haw.) Willd., 1811
→Haworthia attenuata (Haw.) Haw., 1812
→Catevala attenuata (Haw.) Kuntze, 1891
→Haworthiopsis attenuata (Haw.) 1997


変種アテヌアタ
Haworthiopsis attenuata var. attenuata

異名
Aloe redula Ker Gawl., 1807
Aloe subulata Salm-Dyck, 1822
→Haworthia subulata (Salm-Dyck) Baker, 1880
→Catevala subulata (Salm-Dyck) Kuntze, 1891
Haworthia clariperla Haw., 1827 publ. 1828
→Haworthia attenuata f. clariperla
                        (Haw.) M.B.Bayer, 1976
Aloe clariperla Schult. & Schult.f., 1829
Aloe subattenuata
        Salm-Dyck ex Schult. & Schult.f., 1830
→Haworthia subattenuata
(
Salm-Dyck ex Schult. & Schult.f.) Baker, 1880
→Catevala 
subattenuata
(Salm-Dyck ex Schult. & Schult.f.) Kuntze, 1891
Haworthia tisleyi Baker, 1880
→Catevala tisleyi (Baker) Kuntze, 1891
Haworthia argyrostigma Baker, 1896
Haworthia britteniana Poelln., 1937
Haworthia attenuata f. caespitosa
                  (A.Berger) Pilbeam, 1983

変種グラブラタ
Haworthiopsis attenuata var. glabrata
                (Salm-Dyck) G.D.Rowley, 2015

異名
Aloe glabrata Salm-Dyck, 1834
→Haworthia glabrata
                       (Salm-Dyck) Baker, 1880
→Catevala glabrata (Salm-Dyck) Kuntze, 1891
→Haworthia attenuata var. glabrata
               (Salm-Dyck) M.B.Bayer, 2012
Aloe redula Jacq., 1804
→Apicra redula (Jacq.) Willd., 1811
→Haworthia redula (Jacq.) Haw., 1812
→Catevala redula (Jacq.) Kuntze, 1891
→Haworthia pumila subsp. redula
                                  (Jacq.) Halda, 1997
→Haworthia attenuata var. redula
                          (Jacq.) M.B.Bayer, 1999
→Haworthia attenuata var. redula
                         (Jacq.) G.D.Rowley, 2015
Aloe rugosa Salm-Dyck, 1834
→Haworthia rugosa (Salm-Dyck) Baker, 1880
→Catevala rugosa (Salm-Dyck) Kuntze, 1891

DSC_1547
Haworthiopsis attenuata

②Haworthiopsis bruynsii
          (M.B.Bayer) G.D.Rowley, 2013

異名
Haworthia bruynsii M.B.Bayer, 1981
→Haworthia retusa var. bruynsii
                    (M.B.Bayer) Halda, 1997


③Haworthiopsis coarctata
                     (Haw.) G.D.Rowley, 2013

異名
Haworthia coarctata Haw., 1824
→Aloe coarctata
                     (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
→Catevala coarctata (Haw.) Kuntze, 1891
→Haworthia reinwardtii var. coarctata
                                           (Haw.) Halda, 1997
→Haworthia reinwardtii subsp. coarctata
                                           (Haw.) Halda, 1997
→Haworthiopsis reinwardtii var. coarctata
                                           (Haw.) Breuer, 2016

変種コアルクタタ
Haworthiopsis coarctata var. coarctata
異名
Haworthia greenii Baker, 1880
→Catevala greenii (Baker) Kuntze, 1891
→Haworthia coarctata var. greenii
                                  (Baker) M.B.Bayer, 1973
→Haworthia coarctata f. greenii
                                  (Baker) M.B.Bayer, 1999
→Haworthia reinwardtii var. greenii
                                          (Baker) Halda, 1997
→Haworthiopsis reinwardtii var. greenii
                                         (Baker) Breuer, 2016
Haworthia peacockii Baker, 1880
→Catevala peacockii (Baker) Kuntze, 1891
Haworthia chalwinii Marloth & A.Berger, 1906
→Haworthia coarctata f. chalwinii
               (Marloth & A.Berger) Pilbeam, 1983
Haworthia fallax Poelln., 1932
Apicra bicarinata Resende, 1937
Haworthia resendeana Poelln., 1938
→Haworthiopsis resendeana
                   (Poelln.) Gildenh. & Klopper, 2016
Haworthia fulva G.G.Sm., 1943
Haworthia baccata G.G.Sm., 1944
Haworthia musculina G.G.Sm., 1948
Haworthia coarctatoides
                                 Resende & Viveiros,1948
Haworthia coarctata f. conspicua
                        (Poelln.) Pilbeam, 1983 

変種テヌイス
Haworthiopsis coarctata var. tenuis
                        (G.G.Sm.) G.D.Rowley, 2013

異名
Haworthia reinwardtii var. tenuis
                                              G.G.Sm., 1948
Haworthia coarctata var. tenuis
                         (G.G.Sm.) M.B.Bayer, 1973
Haworthia tenuis (G.G.Sm.) Breuer, 2010
Haworthia reinwardtii var. tenuis
                                (G.G.Sm.) Breuer, 2016

変種アデライデンシス
Haworthiopsis coarctata var. adelaidensis
                           (Poelln.) G.D.Rowley, 2013

異名
Haworthia reinwardtii var. adelaidensis
                                                     Poelln., 1940
→Haworthia coarctata subsp. adelaidensis
                               (Poelln.) M.B.Bayer, 1973
→Haworthia coarctata f. bellula
                                (G.G.Sm.) Pilbeam, 1983
→Haworthia coarctata var. adelaidensis
                               (Poelln.) M.B.Bayer, 1999
→Haworthia adelaidensis
                                     (Poelln.) Breuer, 2010

DSC_1798
Haworthiopsis coarctata

④Haworthiopsis fasciata
                    (Willd.) G.D.Rowley, 2013

異名
Apicra fasciata Willd., 1811
→Haworthia fasciata (Willd.) Haw., 1821
→Aloe fasciata (Willd.)
     Salm-Dyck ex Schult. & Schult.f., 1830
→Catevala fasciata (Willd.) Kuntze, 1891
→Haworthia pumila subsp. fasciata
                                      (Willd.) Halda, 1997

変種ファスキアタ
Haworthiopsis fasciata var. fasciata

異名
Aloe subfasciata
      Salm-Dyck ex Schult. & Schult.f., 1830
→Haworthia subfasciata
(Salm-Dyck ex Schult. & Schult.f.) Baker, 1880
→Catevala 
subfasciata
(Salm-Dyck ex Schult. & Schult.f.) Kuntze, 1891

変種ブロウニアナ
Haworthiopsis fasciata var. browniana
                (Poelln.) Gildenh. & Klopper, 2016

異名
Haworthia browniana Poelln., 1937
Haworthia fasciata f. browniana
                 (Poelln.) M.B.Bayer, 1976

DSC_1544
Haworthiopsis fasciata

どうやら記事が長過ぎるようで、文字入力時に変なタイムラグが発生するため記事を分割します。というわけで、続きます。しかし、異名が多い…



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逆鱗竜は南アフリカ原産の非常に丈夫なユーフォルビアです。ただし、引き締まった美しい姿を維持するのは中々困難なように思えます。
逆鱗竜はとにかく生長が早く、冬でも日中暖かいと生長を始めてしまいます。しかし、冬は日照が不足勝ちなので、節が伸びたようなだらしない姿になってしまいます。それだけならいいのですが、日照の多い真夏でも徒長してしまうので困っています。
一応、ホリダと同じように育てていますから、割と厳しめなはずなんですけどね。

DSC_1708
逆鱗竜の実生苗。こちらは真夏に徒長してしまいました。
幹の下部と比べて上部の鱗片が縦長になっています。無遮光で雨に当てない栽培ですが、週1回の水やりでもこうなってしまいました。それこそ、用土が完全に乾いたらではなく、限界まで水をやらない方がいいのかもしれません。


逆鱗竜の学名は1804年に命名されたEuphorbia clandestina Jacq.です。
分類学的には、ユーフォルビア属(Euphorbia)、アティマルス亜属(Subgenus Athymalus)、アンタカンタ節(Section Anthacanthae)、フロリスピナ亜節(Subsection Florispinae)、トレイシア列(Series Treisia)ということになります。トレイシア列と言えば、逆鱗竜
に良く似たE. bubalina(昭和キリン)、E. pubiplans、E. clava(式部)などが含まれます。

フロリスピナ亜節の分子系統(抜粋)
    ┏━━━━━━━━Series Meleuphorbia
    ┃
    ┃        ┏━━━━━E. pillansii
    ┃    ┏┫
    ┃    ┃┗━━━━━E. pseudoglobosa 2
    ┃┏┫
    ┃┃┃┏━━━━━E. pseudoglobosa 1
    ┃┃┗┫
    ┃┃    ┗━━━━━E. mammillaris 2
    ┃┃
    ┣┫    ┏━━━━━E. heptagona 2
    ┃┃┏┫
    ┃┃┃┗━━━━━E. heptagona 1
    ┃┣┫
┏┫┃┗━━━━━━E. susannae
┃┃┃
┃┃┃┏━━━━━━E. clandestina
┃┃┗┫
┃┃    ┗━━━━━━E. pubiglans
┃┃
┃┃┏━━━━━━━E. bubalina 2
┃┃┃
┃┣╋━━━━━━━E. bubalina 1
┃┃┃
┃┃┗━━━━━━━E. clava
┃┃
┃┗━━━━━━━━Series Rhizanthium

┗━━━━━━━━━Series Hystrix

メレウフォルビア列(Series Meleuphorbia)とされた、E. heptagona(紅彩閣)、E. susannae(瑠璃晃)、E. pillansii、E. pseudoglobosa(稚児キリン)も分子系統では近縁であるように見えます。とても不思議です。



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今年はとんでもない猛暑があり、しかもそれがあまりに急だったため、十分に日差しに慣れていない多肉植物たちは大なり小なりダメージがあったようにも思われます。しかし、ようやく9月に入り日差しも心持ち優しくなり、涼しい日も出てまいりました。多肉植物たちも立ち直り、またようやく生長を開始するものもあります。そんな9月の多肉植物たちをご紹介します。

DSC_1714
矢毒キリン Euphorbia virosa
今年初めて生長開始しました。矢毒キリンのゴツいトゲも、出始めは鮮烈に赤く美しいものです。


DSC_1715
スバポダ Euphorbia subapoda
スバポダは塊根性ですが、まだまだ貧弱なので埋めたまま太らせ中です。葉の勢いは大変良いので、これからが楽しみです。再来年、植え替え予定です。

DSC_1712
闘牛角 Euphorbia schoenlandii
花芽がちらほら出てきました。冬型と言われる闘牛角ですが、夏越しは上手くいった模様です。


DSC_1721
魔界玉 Pachypodium rosulatum
                             subsp. makayense
赤い幹肌が特徴の魔界玉ですが、葉が繁り過ぎて見えません。生育が盛んで嬉しい限りです。


DSC_1722
ブレビカリクス Pachypodium brvycalyx
ブレビカリクスは小苗にしては巨大な葉が出ています。まだ苗ですが、パキポディウムも種類によって違いが見えてきて面白いものです。


DSC_1720
エブルネウム Pachypodium eburneum
エブルネウムはどうにもシャキッとしない感じです。


DSC_1730
女王錦 Aloe parvula
女王錦は購入時、真っ赤で中々元に戻りませんでした。購入時、おそらくは相当の寒さに当てていたのではないでしょうか。現在では赤みは抜け、生長しています。


DSC_1728
インファウスタ Euphorbia infausta
Euphorbia meloformis系とされるユーフォルビアですが、赤い花が咲いています。

DSC_1723
ディオーン・スピロヌス Dioon spironus
大型ソテツのディオーン・スピロヌスですが、5月以来の再フラッシュです。生長が良いので、来年は植え替える予定です。


DSC_1731
ザミア・フルフラケア Zamia furfuracea
7月に花芽が出てきてからはや2ヶ月。花茎が伸びていますが、完成形はよく分かりません。


DSC_1748
そう言えば、いつも※欄で貴重なご意見を戴いている多肉植物の大先輩におすすめされていた炭化鶏糞を撒いてみました。どうにも、色が良くない多肉がいくつかあるので、炭化鶏糞にはかなり期待しています。焼いてあるため鶏糞特有の嫌な臭いもなく、カビが生えたりしないということです。

そう言えば、19日は祝日ですが、五反田TOCで秋のサボテン・多肉植物のビッグバザールが開催されます。私もフィールドナンバー付きの変わり種がないか見に行く予定です。面白いヘンテコな多肉植物があればいいのですが、さて今回はどうでしょうか? 当日の会場の様子をレポートしますからお楽しみに。



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パキポディウムには沢山の種類がありますが、その中でもロスラツム系は亜種が沢山あり一大グループを形成します。そんなロスラツム系の中でも亜種グラキリウスが人気で、現地球が盛んに輸入されています。最近では亜種カクチペスの実生苗も大型園芸店では、まれに販売されるようになりました。多肉植物の即売会に行けば亜種マカイエンセも入手は可能です。しかし、ロスラツムそのものである亜種ロスラツムは何故か話題に挙がりません。不思議です。まあ、単に流行りではないというだけかもしれませんけど。まあ、そんなロスラツムを入手した事もあり、とにかくそんなロスラツムについて少し調べてみました。

DSC_1718
Pachypodium rosulatum subsp. rosulatum

DSC_1719
やや縦長に育ちます。
ロスラツムの学名は1882年に命名されたPachypodium rosulatum Bakerです。マダガスカルのパキポディウムでは、一番早くに命名されました。

ロスラツムには亜種があります。
①カクチペスは1895年にPachypodium cactipes K.Schum.と命名されましたが、2004年にはロスラツム亜種のPachypodium rosulatum subsp. cactipes (K.Schum.) Lüthyとなりました。
②マカイエンセは2004年にPachypodium makayense Lavranosと命名されましたが、同年にロスラツム亜種のPachypodium rosulatum subsp. makayense (Lavranos) Lüthyとされました。
③グラキリウスは1934年にPachypodium rosulatum var. gracilius H.Perrierと命名されましたが、1999年にはPachypodium gracilius (H.Perrier) Rapan.、2004年にはPachypodium rosulatum subsp. gracilius (H.Perrier) Lüthyとされました。
④ビカラーは1997年にPachypodium bicolor Lavranos & Rapanarivoと命名されましたが、2004年にPachypodium rosulatum subsp. bicolor (Lavranos & Rapanarivo) Lüthyとされました。
⑤ベマラヘンセは2004年に命名されたPachypodium rosulatum subsp. bemarahense Lüthy & Lavranosです。

DSC_1581
Pachypodium rosulatum subsp. cactipes

DSC_1574
Pachypodium rosulatum subsp. makayense

また、ロスラツム変種ドラケイは、1907年にPachypodium drakei Costantin & Bois、1972年(publ. 1973)にはPachypodium rosulatum var. drakei (Costantin & Bois) Margr.とされました。しかし、現在はロスラツムと同種とされています。
DSC_1585
Pachypodium rosulatum var. drakei

また、かつてロスラツムの変種とされたことがあるものの、現在では独立種とされているパキポディウムもあります。
ホロンベンセは1922-1923年(publ. 1924)にPachypodium horombense Poiss.と命名されましたが、1973年にPachypodium rosulatum var. horombense (Poiss.) G.D.Rowleyとする意見もありましたが、現在では認められておりません。
また、イノピナツムは1996年にPachypodium inopinatum Lavranosと命名されましたが、1998年にPachypodium rosulatum var. inopinatum (Lavranos) G.D.Rowleyとする意見もありましたが、現在では認められておりません。


パキポディウム属の分子系統(抜粋)
            ┏━━━P. ebruneum
            ┃
            ┃┏━━P. brevicaule subsp. brevicaule
        ┏╋┫
        ┃┃┗━━P. densiflorum
        ┃┃
        ┃┗━━━P. horombense
        ┃
    ┏┫┏━━━P. inopinatum
    ┃┣┫
    ┃┃┗━━━P. brevicaule subsp. leucoxantum
    ┃┃
    ┃┗━━━━P. rosulatum subsp. bicolor
┏┫
┃┃┏━━━━P. rosulatum subsp. gracilius
┃┣┫
┃┃┗━━━━P. rosulatum subsp. cactipes
┫┃
┃┗━━━━━P. rosulatum subsp. makayense

┃┏━━━━━P. rosulatum subsp. rosulatum
┗┫
    ┗━━━━━P. rosulatum subsp. bemarahense

上の分子系統はロスラツムの近縁種の部分を抜粋し、簡略化したものです。亜種ロスラツムに最も近縁なのは亜種ベマラヘンセです。他のロスラツム亜種は異なる枝にありやや離れます。亜種マカイエンセ、亜種カクチペス、あるいは亜種グラキリウスは、もしかしたら分岐の根元にあるのかも知れず、一概にロスラツム系ではないとは言えないのかもしれません。しかし、素人目には独立種とした方が自然に思えます。さらに、亜種ビカラーに至っては、見てお分かりの通りブレビカウレ(恵比寿笑い)やデンシフロラム(シバの女王の玉櫛)に近縁に見えます。
2004年にLüthyにより、5種のパキポディウムがロスラツムの亜種とされました。それから18年たちました。そろそろ見直す時期に来ているようにも思えますが、どうでしょうかね? 



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フォウクィエリアをぼちぼち集めています。まあ、あまり熱心に探しているわけではなくて、イベントなどで苗があったら買うかもしれないくらいの勢いです。私の好きなユーフォルビアやギムノカリキウム、ハウォルチオプシスといった面々が最優先ですから、まあ後回しですね。あと、何故か私は現地球が少し苦手です。完成された現地球より、苗から育てたいという気持ちがあるからかもしれません。苗は現地球の様な迫力はありませんが、大抵の植物は苗の頃は生長著しいので、日々生長して変化していく様子を見る楽しみがあります。そんな中で、数年前はフォウクィエリアと言えば立派な現地球が売られることが多かったように思われます。しかし、最近では苗も少しずつ見かけます。特にFouquieria digdtiiやFouquieria macdougaliiはある程度は量産されているようで、苗が園芸店にもまれにですが並ぶようになりました。


Fouquieria macdougaliiは一般的には、「マクドガリー」と呼ばれているようです。例によってうるさい事を言いますが、この読み方について少し調べて見ました。私はラテン語読みで「マクドウガリイ」と読みますが、語源にさかのぼる派もいるそうなので、語源も調べて見ました。まあ、見た感じから人名だろうと思いましたがやはりそうで、砂漠植物の研究者であるD.T.MacDougalに対する献名でした。"MacDougal"は「マクドウガル」あるいは「マクドゥーガル」と読むのが一般的らしいので、語源にこだわるなら「マクドウガリー・マクドウガリイ」あるいは「マクドゥーガリー・マクドゥーガリイ」となります。

DSC_1716
Fouquieria macdougalii
葉の形がFouquieria diguetiiと異なり矢じり型で、葉柄が長く伸びます。

マクドウガリイはメキシコのソノラ砂漠に自生します。岩の多い平原や斜面、丘の中腹、溶岩地、メサ(卓状大地)、砂地といった様々な種類の土壌に生えます。
Fouquieriaを現地では"ocotillo"と呼ぶことから、Fouquieria属を"ocotillo family"と称することもあります。マクドウガリイは"Tree ocotillo"と呼ばれ、砂漠の代表的な灌木の一つです。現地ではBursera confusa、Olneya tesota、Cercidium praecox、Cercidium microphyllum、Prosopis velutina 等とともに砂漠の植生の主要構成メンバーなんだそうです。自生地にはサボテンも生えており、Lophocereus schottii、Stenocereus thurberi、Stenocereus alamosensisが見られます。

マクドウガリイの学名は1903年に命名されたFouquieria macdougalii Nashです。Nashはアメリカの植物学者であるGeorge Valentine Nashのことで、ニューヨーク植物園のキュレーターでした。Nashはバハマ、南フロリダ、ハイチで植物の調査を行いました。

そう言えば、フォウクィエリアは真っ赤な非常に目立つ花を咲かせますが、ハチドリによって受粉するそうです。そこで、思い出したのは、南アフリカではガステリアがタイヨウチョウにより受粉するということです。北アメリカとアフリカと大きく離れた場所で、それぞれの土地で花の蜜を主要な餌とすると鳥がいて、それぞれの土地でその鳥に受粉を依存する多肉植物がいるという偶然に驚かされます。フォウクィエリアとガステリア、ハチドリとタイヨウチョウはまったく近縁ではないことも自然の妙を感じさせますね。


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近所の書店に行ったところ、サボテンについて書かれた新刊が出ていたので購入しました。この手の本は趣味家か生産者さんが書いたりしがちですが、珍しく本書は研究者が書いたサボテンの本です。どうも、現在日本ではサボテンの研究者は著者位しかいないみたいです。
それはそうとして、早速読んでみることにしました。もしかしたら、研究者の書いた本なんて難しくて読めないと思ってしまいますが、誰でもわかるように書かれた本です。これは経験上ですが、ベレ出版の出す本は分かりやすい代わりに毎度薄味な内容が多い感じがします。まあ、これはその分野に関して素人でも読めるように書かれていることは分かりますから、一概に悪いことではありません。しかし、本書はベレ出版にしては割りと内容も詰まっていて、しかも分かりやすいので良い塩梅だと思います。
内容に移りましょう。本書はサボテンの基礎をまんべんなく学ぶことが出来ます。過去に出ているサボテンの本では、サボテンが水を貯蔵する仕組みやトゲとは何かといったトピックについては書かれていましたが、それらはあくまで「説」であって、実際に確かめられたものではなかったようにも思われます。しかし、さすがは研究者だけあって、実証的な説明がなされています。
DSC_1734

例えば、サボテンのトゲは葉が由来と言われたりします。しかし、木の葉サボテンでは葉とトゲの両方出ます。また、サボテンの種類によっては棘座(アレオーレ)をスライスして顕微鏡で観察すると、小さな葉が隠されていたりするようです。では、サボテンのトゲとは一体何者なのでしょうか?
また、サボテンの乾燥に耐える仕組みについても、非常に様々なことが判明していることがわかりました。組織の配置や仮導管の仕組み、根が乾燥に耐えるための仕組みなど、知らなかったことだらけでした。
個人的にはCAM植物に関する話は、非常に興味深く読ませていただきました。サボテンはCAM植物と言われ、乾燥に適応した光合成システムを持っています。(※CAM植物については過去に記事にしましたから、お時間があればぜひ読んでみて下さい。)

CAM植物は二酸化炭素をリンゴ酸の形で貯蔵出来ますが、どうやらサボテンではそれだけではないみたいです。詳細は本を読んでいただくとして、このように最新の科学による話題は尽きません。
その他にも、サボテンの本場メキシコに行った話もあります。今でもメキシコはあまり治安がよろしくないと言われますけど、著者も中々怖い目にあっているようです。私はメキシコと言えば、チワワ砂漠だとかサン・ルイス・ポトシだとか、憧れの地名が浮かびますけど、実際に行くとなると躊躇してしまいますけどね。
さて、本書はサボテン好きでも知らないような最新の知見が満載です。私は砂漠植物学、ひいては広く植物学全体に興味がありますが、面白いことが沢山書いてあって大変ためになりました。サボテン好きならば読んで損は無いと思います。




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2013年に発表された『A molecular phylogeny and classification of the largely succulent and mainly African Euphorbia subg. Athymalus (Euphorbiaceae)』という論文の紹介の続きです。今日はアンタカンタ節の残り3亜節、メデュセア、ブセウデウフォルビウム、ダクティランテスを紹介します。メデュセア亜節はいわゆる「タコもの」で、ユーフォルビアの中でも特に変わった姿をしています。

Subgenus Athymalusの分子系統
            ┏━━★Section Anthacanthae
        ┏┫
        ┃┗━━Section Balsamis
        ┃
    ┏┫┏━━Section Somalica
    ┃┃┃
    ┃┗┫┏━Section Crotonoides
┏┫    ┗┫
┃┃        ┗━Section Lyciopsis
┃┃
┫┗━━━━Section Pseudacalypha

┗━━━━━Section Antso

Section Anthacanthaeの分子系統

    ┏━━★①Subsection Medusea
    ┃
┏┫┏━★②Subsection Pseudeuphorbium
┃┗┫
┫    ┗━★③Subsection Dactylanthes

┃┏━━Subsection Florispinae
┗┫
    ┗━━Subsection Platycephalae

①Subsection Medusea
分子系統を見て感じるのは、種数の割に分岐が少ないことです。これは、メデュセア亜節が最近分岐したからかもしれません。論文はアティマルス亜属のそれぞれ節の関係性、あるいはアンタカンタ節の中の亜節の関係性を見ることを目的としていますから、種ごとの分離はいまいちとなることもあります。例えるなら、大きい定規で測ってみるものの、目盛りが大きすぎて細かい部分は測れないようなものです。
メデュセア亜節は、その姿から「タコもの」とか「メデュソイド」などと呼ばれます。

E. namaquensisは南アフリカ原産の亜低木で
太い幹から短い枝が伸びて枯れて残ります。E. namibensisはナミビア原産で、「蛮童子」と呼ばれます。太い幹から多肉質の枝を伸ばします。E. filiferaは南アフリカ原産で、「魔女の簪」と呼ばれます。太い幹から多肉質の枝を伸ばし、先端からは細長い葉を出します。E. caput-medusaeは南アフリカ原産で、「天荒竜」と呼ばれます。大型のタコもので、太く長い多肉質の枝を伸ばします。
DSC_1568
荒天竜 Euphorbia caput-medusae

E. restitutaは南アフリカ原産で、縦長に育ち細い多肉質の枝を伸ばします。E. fasciculataは南アフリカ原産で、「歓喜天」と呼ばれます。「闘牛角」と似ていますが、枯れ枝はやがて脱落します。E. schoenlandiiは南アフリカ原産で、「闘牛角」と呼ばれます。棍棒状に育ち、枯れた枝が長く残ります。
DSC_1497
闘牛角 Euphorbia schoenlandii

E. braunsiiは南アフリカ、ナミビア原産で、「仏面キリン」と呼ばれます。塊根から卵型の多肉質の枝が群生し、枯れた花柄が残ります。E. crassipesは南アフリカ原産で、「倶利伽羅玉」と呼ばれます。縦長に育つタコものです。E. deceptaは南アフリカ原産で、「緑鬼王」と呼ばれます。枝の短いタコものです。E. flanaganiiは南アフリカ原産で、「孔雀丸」と呼ばれます。細い多肉質の枝を伸ばす小型のタコものです。
DSC_0446
孔雀丸 Euphorbia flanaganii

E. hypogaeaは南アフリカ原産で、「螺髪竜」と呼ばれます。細長いイボに被われた縦長の多肉植物で、先端から葉を出します。E. procumbensは南アフリカ原産で、枝が長く伸びるタコものです。E. anbipolliniferaは南アフリカ原産で、小型のタコものです。E. breviramaは南アフリカ原産で、小型で枝が短いタコものです。E. haliiは南アフリカ原産で、縦長に育つ鱗片状の幹を持ちたす。葉は細長い鞭のようです。E. aridaは南アフリカ原産で、「白仏塔」と呼ばれます。タコものですが、下部が木質化して縦長に育ちます。E. davyiは南アフリカ原産で、「蛇鱗丸」と呼ばれます。小型のタコもので、塊根性です。E. esculentaは南アフリカ原産で、「閻魔キリン」と呼ばれます。太く枝を出す大型のタコものです。E. friedrichiaeは南アフリカ、ナミビア原産で、「白鬼塔」と呼ばれます。棍棒状の幹から尖った短い枝を伸ばし、枯れた後残ります。E. melanohydrataは南アフリカ、ナミビア原産で、「多宝塔」と呼ばれます。短い枝が密につきます。E. multicepsは南アフリカ原産で、「多頭キリン」と呼ばれます。本体が見えないほど丸い枝が密につきます。E. dregeanaは南アフリカ原産で、棒状で枝分かれしてブッシュ状となります。

                ┏━E. namaquensis 2
            ┏┫
            ┃┗━E. namibensis
        ┏┫
        ┃┗━━E. filiflora
    ┏┫
    ┃┗━━━E. caput-medusae 2
    ┃
    ┃┏━━━E. caput-medusae 1
┏╋┫
┃┃┗━━━E. restituta
┃┃
┃┃┏━━━E. fasciculata
┃┗┫
┃    ┗━━━E. schoenlandii

┃        ┏━━E. braunsii
┃    ┏┫
┃    ┃┗━━E. crassipes 1
┃┏┫
┃┃┗━━━E. decepta 2
┃┃
┃┃┏━━━E. flanaganii
┣┫┃
┃┣╋━━━E. hypogaea 2
┃┃┃
┃┃┗━━━E. procumbens
┃┃
┃┗━━━━E. albipollinifera

┃┏━━━━E. brevirama
┣┫
┃┗━━━━E. crassipes 2

┃┏━━━━E. hallii
┣┫
┃┗━━━━E. namaquensis 1

┣━━━━━E. arida

┣━━━━━E. braunsii

┣━━━━━E. clavarioides

┣━━━━━E. davyi 2

┣━━━━━E. davyi 1

┣━━━━━E. esculenta

┣━━━━━E. friedrichiae

┣━━━━━E. hypogaea 1

┣━━━━━E. melanohydrata

┣━━━━━E. multiceps 2

┃┏━━━━E. multiceps 1
┗┫
    ┃┏━━━E. decepta 1
    ┗┫
        ┗━━━E. dregeana

②Subsection Pseudeuphorbia
③Subsection Dactylanthes

プセウデウフォルビア亜節は高度に多肉化した低木です。
E. celataは南アフリカ、ナミビア原産で、塊根性でわずかに地上に枝を出します。E. quadrataは南アフリカ、ナミビア原産で、やや幹が太る低木です。E. hamataは南アフリカ、ナミビア原産で、「鬼棲木」と呼ばれます。幹が太り、多肉質の枝を伸ばす低木です。E. pedemontanaは南アフリカ原産です。E. gariepinaは南アフリカ、ナミビア、アンゴラ原産で、「鬼ヶ島」と呼ばれます。多肉質の枝は枝分かれしてブッシュ状となります。E. indurescensはアンゴラ原産です。E. monteiroiは南アフリカ、ナミビア、アンゴラ、ジンバブエ、ボツワナ原産で、「柳葉キリン」と呼ばれ、棍棒状の幹を持ち細長い葉を出します。
E. lignosaは南アフリカ、アンゴラ、ナミビア原産で、多肉質の枝は叢生します。

ダクティランテス亜節は、塊根あるいは地下根茎です。
E. bruynsiiは南アフリカ原産です。E. patulaは南アフリカ原産で、短い多肉質の枝が密集します。E. polycephalaは南アフリカ原産で、塊根から多肉質の枝を伸ばします。E. globosaは南アフリカ原産で、球状の多肉質の枝を重ねます。E. wilmaniaeは南アフリカ原産で、現在ではE. patula subsp. wilmaniaeとされています。「海蜘蛛」と呼ばれることもあります。E. pseudotuberosaは南アフリカ、ボツワナ原産で、やや多肉質の葉を出します。E. trichadeniaは南アフリカ、ナミビア、アンゴラ、ボツワナ、スワジランド、ジンバブエ原産で、塊根から葉を出します。
  
                ┏━━E. celata 1
            ┏┫
            ┃┗━━E. quadrata
        ┏┫
        ┃┃┏━━E. hamata 1
        ┃┗┫
        ┃    ┗━━E. pedemontana
        ┃
        ┃    ┏━━E. gariepina
        ┃    ┃
┏②┫┏╋━━E. indurescens
┃    ┃┃┃
┃    ┣┫┗━━E. monteiroi
┃    ┃┃
┃    ┃┗━━━E. lignosa
┃    ┃
┃    ┃┏━━━E. celata 2
┃    ┗┫
┃        ┗━━━E. hamata 2

┃                ┏━E. bruynsii
┃                ┃
┫            ┏╋━E. patula
┃            ┃┃
┃            ┃┗━E. polycephala
┃            ┃
┃        ┏╋━━E. globosa
┃        ┃┃
┃        ┃┣━━E. wilmaniae 1
┃    ┏┫┃
┃    ┃┃┗━━E. wilmaniae 2
┃    ┃┃
┗③┫┗━━━E. pseudotuberosa
        ┃
        ┗━━━━E. trichadenia


最近、ユーフォルビアの系統分類①~⑨という記事を書きましたが、情報が不足していました。その不満があった部分について、ユーフォルビアの系統分類⑩~⑫という形で追加で記事にすることが出来て、モヤモヤとしていた心残りが消えました。一安心です。しかし、また論文を見つけてしまったら記事にするかも知れないなんて考えていたら、なんと情報が少なかったカマエシケ亜属の系統分類について書かれた論文を見つけてしまいました。しかし、カマエシケ亜属は基本的に草本で多肉植物ではありません。世界中に分布しますが、主に雑草とされるものが多く、記事を書く私も楽しくありませんが、記事を読む方々もおそらくは楽しくはないでしょう。というわけで、カマエシケ亜属についての記事化は断念しました。
DSC_1732
日本の代表的なカマエシケ亜属のユーフォルビアであるコニシキソウ。コンクリートの隙間やひび割れから生えてくる、踏みつけに強い雑草。

多肉植物については、最近パキポディウム属とアロエ類(アロエ属、ハウォルチア属、ガステリア属等)、ユーフォルビア属の系統分類を調べた論文を紹介してきました。しかし、多肉植物はまだまだ沢山の種類があり所属する分類群も多岐にわたります。論文もそれぞれの分類群を調べたものがあります。もし、面白い論文を見つけましたら、また記事にしていきたいと思います。



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2013年に発表された『A molecular phylogeny and classification of the largely succulent and mainly African Euphorbia subg. Athymalus (Euphorbiaceae)』という論文紹介の続きです。今日は、アンタカンタ節についてですが、記事が長くなりすぎるため、2つに分けました。フロリスピナ亜節とプラティケファラ亜節についてですが、この2つは姉妹群である程度まとまったグループのようです。

Subgenus Athymalusの分子系統
            ┏━━★Section Anthacanthae
        ┏┫
        ┃┗━━Section Balsamis
        ┃
    ┏┫┏━━Section Somalica
    ┃┃┃
    ┃┗┫┏━Section Crotonoides
┏┫    ┗┫
┃┃        ┗━Section Lyciopsis
┃┃
┫┗━━━━Section Pseudacalypha

┗━━━━━Section Antso

Section Anthacanthaeの分子系統
    ┏━━Subsection Medusea
    ┃
┏┫┏━Subsection Pseudeuphorbium
┃┗┫
┫    ┗━Subsection Dactylanthes

┃┏━━★Subsection Florispinae
┗┫
    ┗━━★Subsection Platycephalae

Subsection Florispinaeの分子系統
Subsection Florispinaeは有名な多肉ユーフォルビアが沢山含まれます。ホリダや紅彩閣のようにトゲのあるもの、花柄が残りトゲのように見えるバリダ、トゲがなく高度に多肉化したオベサ、多肉化した茎から大きな葉を伸ばす鉄甲丸、塊根から多肉質の茎を出す稚子キリン、塊根から多肉質ではない葉を出すシレニフォリアなど形態は様々です。基本的には南アフリカ原産で、乾燥に耐えるために高度に多肉化しています。

E. pentagonaは「大王閣」と呼ばれ、南アフリカ原産です。トゲのあるサボテンのような多肉植物で、高さ3mになり叢生します。E. pulvinataは「笹蟹丸」と呼ばれ、レソト、スワジランド原産です。高さ1.5mの叢生してクッション状となります。紅キリンE. aggregataと笹蟹丸は同種とされる向きもありましたが、現在ではそれぞれ独立種とされているようです。
DSC_1726
笹蟹丸 Euphorbia pulvinata

E. meloformisは南アフリカ原産の、枯れた花柄が残りトゲのように見える球状の多肉植物です。E. meloformisの亜種あるいは変種として、有名なバリダはE. meloformisに吸収されました。ちなみに、「貴青玉」はE. meloformis系と言われる由来不明の交配種です。
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Euphorbia meloformis

E. cumulataは南アフリカ原産で、トゲのあるサボテンのような多肉植物で叢生します。E. mammillarisは「鱗宝」と呼ばれ、南アフリカ原産です。まばらにトゲのあるサボテンのような多肉植物で叢生します。ちなみに、鱗宝の白化個体を「白樺キリン(ミルクトロン)」と呼び、こちらの方がよく見かけます。
DSC_0671
白樺キリン(ミルクトロン) Euphorbia mammillaris cv.

E. obesa subsp. symmetricaは南アフリカの球状の多肉植物で、現在はオベサの亜種ではなくE. symmetricaとして独立しました。E. obesa subsp. obesaは南アフリカ原産の多肉植物です。この場合のsubsp. obesaはsubsp. symmetricaと区別するための名前ですが、subsp. symmetricaが亜種ではなくなった以上はsubsp. obesaも役目を終えました。現在はただのE. obesaです。
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Euphorbia obesa

E. feroxは「勇猛閣」あるいは「金碧塔」と呼ばれ、南アフリカ原産です。トゲのあるサボテンのような多肉植物ですが、トゲが強いことが特徴です。
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勇猛閣 Euphorbia ferox

E. jansenvillensisは南アフリカ原産で、トゲはありませんが、多肉質で叢生します。E. tubiglansと同種とされることもあるようです。E. polygonaは南アフリカ原産で、変種ホリダE. polygona var. horridaの方が有名です。大なり小なり白い粉に被われ、トゲのある太い幹を持つ多肉植物です。
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ホリダ Euphorbia polygona var. horrida

E. stellispinaは「群星冠」と呼ばれ、南アフリカ原産です。独特の先端が星形の花柄が特徴です。
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群星冠 Euphorbia stellispina

E. pillansiiは南アフリカ原産の多肉植物で、E. meloformis系交配種と呼ばれる「貴青玉」によく似ています。枯れた花柄が残りますが、先端で分岐します。E. pseudoglobosaは「稚児キリン」と呼ばれ、南アフリカ原産です。楕円を重ねたように育ち、塊根性です。
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稚児キリン Euphorbia pseudoglobosa

E. heptagonaは「紅彩閣」と呼ばれ、南アフリカ原産です。一般的にはE. enoplaと呼ばれていますが、E. heptagonaが正式な学名です。トゲがあり、叢生します。
DSC_0716
紅彩閣 Euphorbia heptagona

E. susannaeは「瑠璃晃」と呼ばれ、南アフリカ原産です。トゲはなく球状でやがて群生します。
DSC_1620
瑠璃晃 Euphorbia susannae

E. clandestineは「逆鱗竜」と呼ばれ、南アフリカ原産です。棍棒状のトゲのない多肉植物で、頂点から細長い葉を出します。E. pubiplans、E. bubalina(昭和キリン)、E. clava(式部)、E. multifolia、E. loricata(炉裡火)は共に南アフリカ原産で、逆鱗竜によく似ています。
DSC_0186
逆鱗竜 Euphorbia clandestine

E. bupleurifoliaは「鉄甲丸」と呼ばれ、南アフリカ原産です。鱗片状の多肉質の茎から葉を出します。
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鉄甲丸 Euphorbia bupleurifolia

E. tuberosaは「鬼縮」あるいは「羊玉」と呼ばれる塊根性植物で、南アフリカ原産です。E. sileniforiaは南アフリカの塊根植物で、細長い葉を出します。
DSC_0824
Euphorbia sileniforia

                                ┏━E. pentagona
                            ┏┫
                            ┃┗━E. pulvinata
                        ┏┫
                        ┃┗━━E. meloformis 1
                    ┏┫
                    ┃┣━━━E. cumulata
                ┏┫┃
                ┃┃┗━━━E. mammillaris 1
                ┃┃
                ┃┗━━━━E. meloformis 2
                ┃
                ┃┏━━━━E. obesa
                ┣┫                     subsp. obesa
                ┃┗━━━━E. obesa 
            ┏┫                          subsp. symmetrica
            ┃┗━━━━━E. ferox
        ┏┫
        ┃┗━━━━━━E. jansenvillensis 1
        ┃
    ┏┫        ┏━━━━E. polygona 2
    ┃┃    ┏┫
    ┃┃    ┃┗━━━━E. polygona 1
    ┃┃┏┫
    ┃┃┃┗━━━━━E. stellispina
    ┃┗┫
    ┃    ┗━━━━━━E. jansenvillensis 2
    ┃
    ┃        ┏━━━━━E. pillansii
    ┃    ┏┫
    ┃    ┃┗━━━━━E. pseudoglobosa 2
    ┃┏┫
    ┃┃┃┏━━━━━E. pseudoglobosa 1
    ┃┃┗┫
    ┃┃    ┗━━━━━E. mammillaris 2
    ┃┃
    ┣┫    ┏━━━━━E. heptagona 2
    ┃┃┏┫
    ┃┃┃┗━━━━━E. heptagona 1
    ┃┣┫
┏┫┃┗━━━━━━E. susannae
┃┃┃
┃┃┃┏━━━━━━E. clandestina
┃┃┗┫
┃┃    ┗━━━━━━E. pubiglans
┃┃
┃┃┏━━━━━━━E. bubalina 2
┃┃┃
┃┣╋━━━━━━━E. bubalina 1
┃┃┃
┃┃┗━━━━━━━E. clava
┃┃
┃┃    ┏━━━━━━E. tuberosa 2
┃┃┏┫
┃┃┃┗━━━━━━E. tuberosa 1
┫┗┫
┃    ┗━━━━━━━E. silenifolia

┃    ┏━━━━━━━E. multifolia
┃┏┫
┃┃┗━━━━━━━E. loricata 2
┣┫
┃┗━━━━━━━━E. loricata 1

┣━━━━━━━━━E. bupleurifolia

┗━━━━━━━━━E. oxystegia

系統の分岐を見ていると、思いもよらぬことがあります。例えば、勇猛閣E. ferox、大王閣E. pentagona、笹蟹丸E. pulvinataはトゲがあり叢生する生態の共通性から、近縁であることはわかります。しかし、やはり良く似た紅彩閣E. heptagonaとは特に近縁ではなく、E. obesaやE. meloformisの方が近縁という驚くべき結果でした。また、紅彩閣E. heptagonaは瑠璃晃E. susannaeと近縁というのも不思議ですね。

そう言えば、E. jansenvillensisは2個体を調べていて、それぞれの位置は離れているように見えます。しかし、良く見ると両個体とも分岐の根元にあり、実は近縁であることがわかります。これはむしろ図の配置とか書き方の問題です。
困惑するのは鱗宝E. mammillarisの立ち位置です。鱗宝も2個体を調べていますが、完全に異なる枝に乗っています。これは大変な驚きで、解析の分離が良くなかったという理由でなければ、鱗宝は2種類あることになります。

E. pillansiiはバリダというか、E. meloformis系交配種と言われる貴青玉に良く似ていますが、なんと稚児キリンと近縁とあります。共通点がないようにも思えますから、面白い結果です。


Subsection Platycephalaeの分子系統
半多肉植物で高さ9mまでの低木、あるいは塊根植物です。ボツワナとジンバブエから西アフリカとエチオピアまで、サハラ以南に分布します。
E. omarianaはエチオピア原産で、塊根性(?)です。E. platycephalaはマラウイ、タンザニア、ザンビア、ジンバブエ原産の塊根植物です。E. grantiiはブルンジ、ルワンダ、タンザニア、ウガンダ、ザイール、ザンビア原産の樹木です。

    ┏━E. omariana
┏┫
┃┗━E. platycephala

┗━━E. grantii


そう言えば、フロリスピナ亜節は形態的に4グループに分けられてきました。E. multifolia、E. loricata、E. bupleurifolia、E. oxystegiaはSeries Hystrixとされてきましたが、分子系統でもまとまったグループです。塊根性のE. tuberosaとE. sileniforiaはSeries Rhizanthiumですが、分子系統でも近縁です。外見的に良く似たE. clandestine、E. bubalina、E. pubiplans、E. clavaはSeries Treisiaですが、特徴の異なる旧来はSeries MeleuphorbiaとされたE. heptagona、E. susannae、E. pillansii、E. pseudoglobosaも分子系統では近縁です。それ以外の種はSeries Meleuphorbiaですが、同じ枝に乗っており、ある程度まとまったグループです。
というわけで、旧分類はおおよそは正しいみたいですが、異なる部分も出て来ているようです。

本日はここまでです。明日はタコものと呼ばれるSubsection Meduseaを中心にご紹介します。



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私はユーフォルビアが好きでチマチマ集めていますが、とにかくユーフォルビアは種類が多く多様なので、今一つ掴み所がないような気がしていました。ではユーフォルビアとは何かと聞かれると、具体的な種類を挙げてみだり、毒があります位しか言えないことに気が付きました。そこで、最近ではユーフォルビアについた書かれた論文を少しずつ読んだりしています。
先週、というか8月22日から30日までの9日間に渡り、ユーフォルビアについての論文の長い紹介をしました。この時紹介したのは、2013年に発表された『
Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文でした。

ただし、この論文はユーフォルビア節(柱サボテン状のユーフォルビア)を中心としたものでしたから、園芸店でよく目にするホリダE. polygona var. horridaや瑠璃晃E. susannae、オベサE. obesa、孔雀丸E. flanaganiiなどのユーフォルビアについては、わずか4種類を調べただけでした。ですからこの部分、つまりはリザンチウム亜属について調べた論文を探していました。
それが、2013年に発表された『A molecular phylogeny and classification of the largely succulent and mainly African Euphorbia subg. Athymalus (Euphorbiaceae)』という論文です。調べているのは、Subgenus Athymalus、つまりアティマルス亜属です。この場合のSubgenus Athymalus=Subgenus Rhizanthiumのことです。学者によりAthymalusだったりRhizanthiumだったりしますが、この論文ではAthymalusを採用しています。
さて、今日からこの論文の内容を何回かに分けて紹介しようと思います。「ユーフォルビアの系統分類」はその⑨の続きとして、その⑩というナンバリングから開始したいと思います。

では、実際の論文の内容を見てみましょう。
Subgenus Athymalusは約150種で、ほとんどが多肉植物ですが樹木もあります。旧世界の乾燥地に限定して分布します。ほとんどがサハラ以南のアフリカ原産で、マカロネシアと西アフリカ、いくつかはアラビア半島、マダガスカル、23種はアフリカの角付近に固有、72種は南部アフリカ原産です。そのうち、60種は南アフリカの固有種ということです。この論文では、Subgenus Athymalusのうち88種類について、核リボソームITSと葉緑体のndhF領域を分析しました。

Subgenus Athymalusの分子系統
            ┏━━Section Anthacanthae
        ┏┫
        ┃┗━━★⑥Section Balsamis
        ┃
    ┏┫┏━━★⑤Section Somalica
    ┃┃┃
    ┃┗┫┏━★④Section Crotonoides
┏┫    ┗┫
┃┃        ┗━★③Section Lyciopsis
┃┃
┫┗━━━━★②Section Pseudacalypha

┗━━━━━★①Section Antso

一応、用語を説明しておきますが、"Subgenus"は「亜属」のことで、ユーフォルビア属はEsula亜属、Athymalus(=Rhizanthium)亜属、Chamaesyce亜属、Euphorbia亜属にわかれます。"Section"とは「節」をあらわしますが、属の下には亜属、節、亜節、列、亜列と小分類があります。「列」は"Series"ですが、今回の論文では出てきません。

系統図を見るとわかりますが、Section Antsoが根元にあります。Section Somalica、Section Crotonoides、Section Lyciopsisは一つのグループを形成します。Section Anthacanthaeは非常に多様で、5亜節からなります。本日はAnthacanthae節以外について解説させていただきます。


            ┏━━━━━Section Anthacanthae
            ┃
            ┃                ┏E. larica
            ┃            ┏┫
            ┃            ┃┗E. masirahensis
        ┏┫        ┏┫
        ┃┃        ┃┗━E. rubrisemminalis
        ┃┃    ┏┫
        ┃┃    ┃┃┏━E. balsamifera
        ┃┃    ┃┗┫            subsp. adenensis
        ┃┗⑥┫    ┗━E. balsamifera
        ┃        ┃                    subsp. balsamifera
        ┃        ┗━━━E. meuleniana
        ┃
    ┏┫            ┏━━E. hamaderoensis
    ┃┃            ┃
    ┃┃        ┏╋━━E. marie-cladieae
    ┃┃        ┃┃
    ┃┃┏⑤┫┗━━E. socotrana
    ┃┃┃    ┃
    ┃┃┃    ┗━━━E. scheffleri
    ┃┃┃
    ┃┃┃            ┏━E. benthamii
    ┃┗┫        ┏┫
    ┃    ┃        ┃┗━E. crotonoides
    ┃    ┃┏④┫
    ┃    ┃┃    ┣━━E. caperonioides
    ┃    ┃┃    ┃
    ┃    ┃┃    ┗━━E. insarmentosa
    ┃    ┃┃
    ┃    ┗┫        ┏━E. cuneata
    ┃        ┃    ┏┫
    ┃        ┃    ┃┗━E. smithii
┏┫        ┃    ┃
┃┃        ┗③┫┏━E. bongensis
┃┃                ┃┃
┃┃                ┗╋━E. matabelensis
┃┃                    ┃
┃┃                    ┗━E. oatesii
┃┃
┃┃            ┏━━━E. acalyphoides
┫┃        ┏┫
┃┃        ┃┗━━━E. species
┃┃    ┏┫
┃┃    ┃┗━━━━E. hadramautica
┃┗②┫
┃        ┗━━━━━E. longituberculosa

┗━━━━━━①━E. antso


①Section Antso
E. antsoはマダガスカル原産の、半多肉質の樹木です。高さ4-15mとなり、時にわずかに塊茎状となります。

②Section Pseudocalypha
Section Pseudocalyphaはほとんどの種が北東アフリカとアラビア半島原産です。多肉植物を含みます。
E. acalyphoidesはアンゴラ、チャド、ジブチ、エリトリア、エチオピア、ケニア、サウジアラビア、ソマリア、スーダン、タンザニア、イエメンの原産です。一年草または亜低木ということです。E. speciesは何のことを言っているのか良くわかりません。"species"はそのまま「種」という意味ですから種小名としては違和感があります。E. hadramauticaはエチオピア、オマーン、ソマリア、ソマリア、イエメンの原産です。ケニアには移入された可能性があります。多肉質の亜低木で、多肉質の幹から波打つ葉を出し、まるでドルステニアのようです。E. longituberculosaは、確かにその名前で流通していますが、『World Checklist of Vascular Plants』ではヒットしません。おそらくは、E. longetuberculosaのことを言っているものと推測します。E. longetuberculosaはジブチ、エチオピア、ケニア、オマーン、ソマリア、イエメンの原産です。多肉質の茎から枝分かれする細い枝を伸ばします。

③Section Lyciopsis
Section Lyciopsisは高さ0.1-5mの低木が多く、北東アフリカとアラビア半島に分布します。
E. cuneataはベナン、チャド、ジブチ、エジプト、エリトリア、エチオピア、ケニア、ギニア、モザンビーク、ナイジェリア、オマーン、サウジアラビア、ソマリア、スーダン、タンザニア、トーゴ、イエメンの原産です。細い幹の樹木ですが、塊根があります。E. smithiiはオマーン原産の樹木です。E. bongensisはケニア、ルワンダ、スーダン、タンザニア、ウガンダ、ザンビアの原産の塊根植物です。E. matabelensisはアンゴラ、ボツワナ、ケニア、マラウイ、モザンビーク、ソマリア、タンザニア、ザンビア、ジンバブエ原産の樹木です。E. oatesiiはザンビア、ジンバブエ原産の塊根植物です。

④Section Crotonoides
Section Crotonoidesは高さ0.5-1.5mの一年草で、茎はたまに木質またはわずかに多肉質です。東アフリカ原産です。
E. benthamiiはアンゴラ、マラウイ、ナミビア、タンザニア、ザンビア、ジンバブエ原産の一年草です。E. crotonoidesはアンゴラ、ボツワナ、エチオピア、ケニア、マラウイ、モザンビークナミビア、南アフリカ、スーダン、タンザニア、ザンビア、ジンバブエ原産の一年草です。E. caperonioidesとE. insarmentosaはナミビア原産ですが、情報がありません。

⑤Section Somalica
0.2-8mの樹木で、東アフリカ原産です。
E. hamaderoensisはソコトラ原産ですが、情報がありません。E. marie-cladieaeはソコトラ原産の樹木です。E. socotranaはソコトラ原産の樹木です。E. scheffleriはエチオピア、ケニア、タンザニア、原産の樹木です。ソマリアでは移入された可能性があります。

⑥Section Balsamis
E. laricaはイラン、オマーン、イエメンの原産で、多肉質の棒状の茎を持つ植物(Pencil-stem)で、枝分かれして叢生します。E. masirahensisは調べたところ、現在ではE. laricaと同種とされているようです。E. rubrisemminalisはイエメンの亜低木で、Pencil-stemとされています。E. balsamifera subsp. adenensisは現在では、E. adenensisとして独立しました。オマーン、サウジアラビア、ソコトラ、ソマリア、スーダン、イエメン原産の半多肉植物です。幹が太る。E. balsamifera subsp. balsamiferaはカナリア諸島、モロッコ、西サハラ原産で幹が太る。E. meulenianaはイエメン原産の低木です。E. laricaとE. rubrisemminalisは良く似たPencil-stemですが、非常に系統的に近縁です。葉は非常に小さいのですが、葉の大きいE. balsamiferaやE. meulenianaから進化した可能性があります。

前の論文では園芸店で見る有名種がなかったことから、今回の論文はそこを紹介すると言っておきながら、今日の内容はどうにもそぐわない感じになってしまいました。しかし、切のいいところでまとめようとすると、どうしてもこうなってしまいます。どうか、ご容赦の程を。
明日はオベサやホリダ、バリダ、笹蟹丸などのお馴染みのユーフォルビアが登場します。



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あれは確か2020年のことだったと思いますが、園芸店でたまたま火星人を見かけました。「火星人」とは塊根植物の名前で、本当に火星人が出没したわけではありません。私が見た火星人は、水で膨らむタイプの種まきポットに植えられていて、3cmくらいの鉢に植えられていました。火星人自体はそれほど珍しくありませんが、火星人は巨大に育ちますから、塊根が1cmくらいの小苗は初めてだったので購入しました。まあ、ワンコインだったこともありますが…
まあ、とにかく種まきポットは水はけ等もろもろ良くないので、直ぐに植え替えました。しかし、何故か大量のネジラミが蔓延っており辟易しました。

DSC_0809
今年、植え替えましたが、これは植え替え前。何故か斜めに傾いてます。

DSC_0811
根詰まりの度合いが激しく、鉢を破壊しないと抜くことが出来ませんでした。抜く時に塊根を痛めて乳液が出てしまいました。しかし、塊根が太るのが早い。
あと、ネジラミは根絶していました。


DSC_1707
現在の様子。蔓が暴れていますが、あまり勢いはありません。もう少し遮光強めにした方がいいのでしょうか?

DSC_1706
しかし、火星人の画像を検索すると、塊根の形が縦長に育ったものと、丸く育ったものとがあります。この違いは何が原因でしょうか? 良くわかりません。

火星人はかつてはガガイモ科とされていましたが、現在はキョウチクトウ科に吸収されました。科以下については良くわかりません。NCBI Taxonomy browserでは、Asclepiadoidead、Asclepiadeae、Fockeeaeとされているみたいです。これは、果たしてガガイモ亜科、ガガイモ連、フォッケア(フォクケア)亜連でいいのでしょうか? いまいち自信がありません…
ちなみに、FockeeaeはFockea属とCibirhiza属からなります。

火星人の学名は1895年に命名されたFockea edulis (Thunb.) K.Schum.です。K.Schum.はドイツの植物学者でサボテンの研究で知られるKarl Moritz Schumannのことです。サボテン同好学会(後のドイツ・サボテン学会)の会長でした。
Fockea属とされるまでの経過は以外の通りです。

1794年 Pergularia edulis Thunb.
1819年 Echites edulis (Thunb.) Thunb.
1842年 Chymocormus edulis (Thunb.) Harv.
1895年 Fockea edulis (Thunb.) K.Schum.


ちなみに、火星人には他にも異名があります。
1838年 Brachystelma macrorrhizum E.Mey.
1844年 Fockea cylindrica R.A.Dyer
1933年 Fockea glabra Decne.


Fockea属は1839年に創設されました。Chymocormus属も提唱されましたが、わずか3年差で早く命名されたFockea属が正式な属名となりました。
1839年 Fockea Endl.
1842年 Chymocormus Harv.
かつてFockea属と命名された種は18種類あるとされていたみたいですが、どんどん種が統合されて現在では6種類になりました。F. edulisは南アフリカ原産ですが、ほかの5種は南アフリカからケニアやタンザニアなどのアフリカ大陸東側に分布します。

一応、Fockea属の全種類の命名年と学名のリストを示します。
1839年 Fockea capensis Endl.
1893年 Fockea angustifolia K.Schum.
              Fockea multiflora K.Schum.
1895年 Fockea edulis (Thunb.) K.Schum.
1908年 Fockea comaru (E.Mey.) N.E.Br.
1916年 Fockea sinuata (E.Mey.) Druce




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