ユーフォルビア・オベサ・ドットコム

過去のサボテンの遺伝子解析の結果をまとめたPablo C. Guerreroらの2018年の論文、『Phylogenetic Relationship and Evolutionary Trends in the Cactus Family』を参照として、サボテン科植物の系統関係を見ています。昨日は原始的なサボテンであるコノハサボテンやウチワサボテン、マイフエニアに加え、玉サボテンや柱サボテンを含むサボテン亜科の一部の系統関係をご紹介しました。本日はサボテン亜科の残り、Core Cactoideaeについて解説します。

サボテン科の進化と分子系統①は以下のリンクから。

                     ┏━━Core Cactoideae
                     ┃
                 ┏┫┏━Cacteae
                 ┃┗┫
                 ┃    ┃┏Aztekium
           ┃    ┗┫
             ┏┫        ┗Geohintonia
       ┃┃
             ┃┗━━━Blossfeldia
         ┏┫
         ┃┗━━━━Maihuenioideae
     ┏┫ 
     ┃┗━━━━━Opuntioideae
 ┏┫
 ┃┗━━━━━━Pereskioideae
 ┫
 ┗━━━━━━━Leunenbergerioideae


Core Cactoideae
Core CactoideaeはCore Cactoideae IとCore Cactoideae II、さらにCopiapoaやFraileaからなります。しかし、分子系統を見ると分岐していません。これは、上手く分離出来ていないためです。そのため、Core Cactoideae I・IIとCopiapoa、Calymmanthium、Fraileaの関係性はよく分かりません。しかし、おおよその立ち位置としては、おそらくこのあたりなのでしょう。
さて、ではCore Cactoideaeの内容を見てみましょう。

    ┏━━Core Cactoideae I
┏┫
┃┗━━Core Cactoideae II
┫ 
┣━━━Copiapoa

┣━━━Calymmanthium
┃    
┗━━━Frailea
 
Core Cactoideae I
Core Cactoideae Iは、Rhipsalidae、Core Notocacteae、BCT cladeからなります。BCT cladeとはCereeaeやTrichocereeaeからなる巨大なグループです。

      ┏━━BCT clade
  ┏┫
  ┃┗━━Core Notocacteae
  ┫
  ┗━━━Rhipsalidae

リプサリスの仲間
Rhipsalidaeは森林サボテンの仲間ですが、岩や樹木に着生するものがあります。Rhipsalidaeには、RhipsalisやLepismium、Hatiora、Schlumbergera、Rhipsalidopsisが含まれます。

230911215654071~2
Hatiola

230911221604543~2
Rhipsalis

230911220651285~2
Lepismium

ノトカクタスの仲間
Core NotocacteaeはParodiaやEriosyceの仲間です。 NotocacteaeはParodia、Eriosyce、Neowerdermannia、Yaviaからなります。
YaviaはY. cryptocarpaからなる2001年に記載された単形属ですが、Blossfeldiaとされたこともあります。
ParodiaやEriosyceは、まとめられる傾向があり、沢山の属が吸収合併されました。NotocactusやEriocactus、Brasilcactus、Malacocarpus、WigginsiaはすべてParodiaに吸収されてしまいました。また、NeoporteriaやNeochilenia、Islaya、Horridocactusは、すべてEriosyceに吸収されてしまいました。

トリコケレウスの仲間
BCT cladeは、Reto Nyffelerの2002年の論文やRolando T. Barcenasらの2011年の論文を見ると、主に柱サボテンからなるグループです。UebelmanniaやCereus、BrowningiaなどからなるCereeaeと、EchinopsisやHarrisia、Oreocereus、Matucana、GymnocalyciumなどからなるTrichocereeaeからなります。近年にその特徴の共通点からTrichocereusやLobiviaがEchinopsisに吸収され、Echinopsisは巨大化しました。しかし、Boris O. Schlumpberger & Susanna S. Reinnerの2012年の論文では、遺伝的にEchinopsisがTrichocereeaeの柱サボテンの中のあちこちに現れることを明らかにしました。つまり、巨大化したEchinopsisはまとまりがないグループだったのです。現在、このあたりは整理中といった雰囲気がありますが、多少は改訂されているようです。この論文では大きく4つに分けられています。
1つ目のグループはReicheocereusで、かつてはEchinopsisやLobiviaとされてきました。2つ目のグループは狭義のEchinopsisを含みます。Echinopsis、Cleistocereus、Harrisia、Leucosteleなどからなります。3つ目のグループはOreocereus、Mila、Oroya、Haageocereus、Rauhocereus、Matucana、Espostoa、Loxanthocereus、Borzicactusなどからなります。このグループはやや混乱しており、将来的に改訂される可能性もあります。4つ目のグループは旧Echinopsisですが、かつてのTrichocereusやLobiviaからなるグループです。Denmoza、Acanthocalycium、Trichocereus、Chamaecereus、Soehrensia、Lobiviaなどからなります。

230911222043822~2
Arrojadoa(右上)、Borzicactus(右下)、Stenocereus(左)

ケレウスの仲間
BCT cladeのCereeaeは基本的には柱サボテンです。2011年のRolando T. Barcenasの論文では、CereusとMicrothocereusは近縁ですが、Pilosocereus、Coleophalocereus、Uebermannia、Browningia、Stetosoniaは上手く互いの系統関係を解析出来ていません。CereinaeとRebutiinaeに分ける場合、RebutiaやGymnocalycium、Uebelmannia、Aylostera、Browningia、Stetosonia、WeingartiaなどはRebutiinaeに含まれるようです。この場合のCereinaeはCereusやMelocactus、Arrojadoa、Cipocereus、Pilosocereus、Leocereus、Coleocephalocereus、Micranthocereusなどからなります。ここで、Maviana R. Fantinatiらの2021年の論文を見てみましょう。この論文の分子系統を以下に示します。若干、解析が甘い部分もありますが、大まかな傾向は分かります。ただ、この論文ではRebutiinaeはUebelmannia以外は含まれていません。Gymnocalyciumなどは、TrichocereenaeとされたりRebutiinaeとされたり論文により立ち位置が違います。

                      ┏
Arrojadoa
                  ┏┫
                  ┃┗━
Stephanocereus
                  ┃                  
                  ┃┏━Melocactus
                  ┣┫
                  ┃┗━Discocactus
              ┏┫
              ┃┃┏━Pilosocereus
              ┃┣┫
              ┃┃┗━Coleocephalocereus
              ┃┃
              ┃┗━━Microthocereus1
              ┃
          ┏┫┏━━Microthocereus2
          ┃┗┫
          ┃    ┗━━Xiquexique
          ┃
          ┃    ┏━━Cipocereus
      ┏┫┏┫
      ┃┃┃┗━━Mirabella
  ┏┫┗┫
  ┃┃    ┗━━━Cereus
  ┃┃
  ┃┃┏━━━━Brasilicereus
  ┃┗┫
  ┃    ┗━━━━Leocereus
  ┫
  ┗━━━━━━Uebelmannia


230911214051537~2
Coleocephalocereus

230911214539161~2
Pilosocereus

レブチアの仲間
ここまで登場しなかったRebutiaやGymnocalycium、つまりRebutiinaeを見ていきます。RebutiinaeはRebutiaやGymnocalycium、Uebelmannia、Aylostera、Browningia、Stetosonia、Weingartiaなどからなるとされています。ここでは、Stefano Mostiらの2011年の論文を参加に見ていきます。見てお分かりのように、ケレウスの仲間が2つに分かれていたりさしますから、やや不確実かも知れません。しかし、そもそもこの論文は、Rebutiaを解析することを目的としていますから、まずはその点を見てみます。さて、この論文では、Rebutiaは2つに分けられるとしています。Rebutia①ではWeingartiaやSulcorebutia、Cintiaと入り乱れており、これらを区別することが出来ません。ですから、現在ではWeingartiaやSulcorebutia、CintiaはRebutiaに統合されました。また、Rebutia②は明らかにRebutia①と近縁ではありません。これは、Rebutiaに吸収されていたAylosteraで、現在ではRebutiaから分離されています。
さて、やや不確実な解析結果ではありますが、大まかな傾向は分かります。GymnocalyciumやAylosteraはトリコケレウスやケレウスの仲間と近縁であると言うことです。また、RebutiaとBrowningiaは姉妹群のようです。


          ┏━━Rebutia①
      ┏┫
      ┃┗━━Browningia
      ┃
  ┏┫        ┏Rebutia②
  ┃┃    ┏┫
  ┃┃    ┃┗Cereeae①
  ┃┃┏┫
  ┫┃┃┗━Gymnocalycium
  ┃┗┫
  ┃    ┗━━Trichocereeae
  ┃
  ┗━━━━Cereeae②

最後に
本日はサボテン亜科のCore Cactoideae Iをご紹介しました。Core Cactoideae Iは多くの柱サボテンを含む巨大なグループです。完全に解明されたわけではありませんが、大まかな分類は分かります。思うに、かつては形態学的な類似のみが分類の指標でした。そのため、外見的に共通点があるエキノプシスやトリコケレウス、ロビビアなどが統合されたこともあります。しかし、遺伝子工学の発達により、現在では遺伝子解析による分類が当たり前のように行われ認められております。そのため、巨大化したエキノプシスは解体されることになりました。

さて、明日はCore Cactoideae IIをご紹介します。これで、サボテン科の分類は最後です。PachycereusやHylocereusが登場します。


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サボテンはサボテン科(Cactaceae)に分類されますが、大変種類が多く非常に多様です。樹木状のサボテンに見えないサボテンであるPereskiaなどは原始的な特徴を残しているのだろうと何となく予想しますが、柱サボテンや玉サボテンの関係などはまったく分かりません。現在、サボテンの分類はどうなっているのでしょうか。ここでは、過去のサボテンの遺伝子解析の結果をまとめたPablo C. Guerreroらの2018年の論文、『Phylogenetic Relationship and Evolutionary Trends in the Cactus Family』を参照として見ていきます。ただし、大まかな分類が示されているだけなので、詳細は随時私の知っている論文から情報を追加しました。

分子系統
以下に示す分子系統を見てみます。一番根元にあるのは樹木状サボテンです。そこからOpuntioideae、(ウチワサボテン亜科)、Maihuenioideae(マイフエニア亜科)が順次分岐しました。オプンチア亜科とマイフエニア亜科以外は、Cactoideae(サボテン亜科)です。サボテン亜科は柱サボテンや玉サボテン、リプサリスやクジャクサボテンまで含む巨大なグループです。
さらにサボテン亜科は、Aztekium + Geohintonia + CacteaeとCore Cactoideaeに分かれます。ここからは、それぞれについて見てみましょう。

                     ┏━
Core Cactoideae
                     ┃
                 ┏┫┏━Cacteae
                 ┃┗┫
                 ┃    ┃┏Aztekium
           ┃    ┗┫
             ┏┫        ┗Geohintonia
       ┃┃
             ┃┗━━━Blossfeldia
         ┏┫

         ┃┗━━━━Maihuenioideae
     ┏┫ 
     ┃┗━━━━━Opuntioideae
 ┏┫
 ┃┗━━━━━━Pereskioideae
 ┫
 ┗━━━━━━Leunenbergerioideae 

樹木状サボテン(コノハサボテン)
樹木状サボテンは一般的にPereskiaとされてきましたが、Leunenbergeriaが分離されました。2属で1つのグループを形成しているのではなく、それぞれ単独のグループを形成します。それぞれ、Leunenbergerioideae(レウネンベルゲリア亜科)と、Pereskioideae(コノハサボテン亜科)に大別されます。
Joel Lodeの2019年の論文では、そのあたりについてよくまとめられています。Leunenbergeriaは茎気孔が発達せず比較的急速に樹皮を形成しますが、Pereskiaは茎気孔が発達し樹皮形成は緩やかです。Pereskiaは茎で光合成をして茎から二酸化炭素を取り込んでいるわけですから、サボテン科の多肉植物化の始まりが示されていると言えます。分布も異なりLeunenbergeriaはメキシコ以北、Pereskiaは南米原産です。
また、コノハサボテン亜科はPereskiaからRhodocactusに4種類が移されました。


231018043113470~2
Leunenbergeria zinniiflora

Opuntioideae
いわゆるウチワサボテンの仲間ですが、Cylindropuntieae、Opuntieae、Tephrocacteaeからなります。ウチワサボテンは分布が近い種類同士で自然交雑しており、絡まり合うように遺伝子が混ざっています。Xochitl Granados-Aguilarらの2021年の論文では、ウチワサボテンは複雑に絡み合うように交雑している網状進化の様子が示されています。ウチワサボテンの種類の多さや分布の広さ、その多様性は盛んにおきている自然交雑によるものなのかも知れません。CylinderopuntieaeにはPereskiopsisのような大きな葉を持つ古いタイプのサボテンを含みます。
Opuntieaeはウチワサボテンの中でもっとも多様で広範囲に分布するグループです。約230種類のうち、約200種類からなるOpuntia属は、カナダからアルゼンチンまで分布します。OpuntieaeにはTacingaやConsolea、Salmonopuntia、Miqueliopuntia、Brasiliopuntiaを含みます。
Cylindropuntieaeは約70種類からなり、一般的に「chollas」と呼ばれる仲間です。このグループは、Cylindropuntia、Corynopuntia、Grusonia、Micropuntia、Pereskiopsis、Quiabentiaからなります。PereskiopsisやQuiabentiaは葉が多いサボテンです。
TephrocacteaeはTephrocactusやAustrocylindropuntia、Cumulopuntia、Maihueniopsis、Peterocactus、Punotiaからなります。

240202231910199~2
Cylindropuntia fulgida

Maihuenioideae
マイフエニア亜科はチリ、アルゼンチンの寒冷で半乾燥したパタゴニアに生える低木で、2種類が知られています。MaihueniaはC3植物であり、気孔はアレオーレに限定されるなど、サボテンの典型的な特徴を持ちません。

Cacteae
論文ではCacteaeは以下の分子系統のように分類されています。アストロフィツムとエキノカクタスは非常に近縁で、フェロカクタスも近いですね。マミラリア類(Mammilloyd)とラピカクタス、ツルビニカルプス、エピテランサは近縁です。Cacteaeは、Aztekium + Geohintoniaと姉妹群です。

              ┏━Mammilloyd
          ┏┫
          ┃┗━Rapicactus
          ┃
      ┏┫┏━Turbinicarpus
      ┃┗┫
      ┃    ┗━Epithelantha
  ┏┫ 
  ┃┗━━━Ferocactus
  ┫
  ┗━━━━Astrophytum,
                      Echinocactus
                     
さて、まずはAstrophytumからFerocactusあたりを見ていきます。これは、Mario Daniel Vargas-Lunaらの2018年の論文を参照しましょう。やはりここでも、AstrophytumとEchinocactusは近縁です。ただし、Echinocactusは分割されHomalocephalaが復活しています。さらに、金鯱(E. grusonii)はKroenleinia属として独立しましたが、遺伝的にはFerocactusに含まれます。ちなみに、GlandulicactusはFerocactusへ、EchinomastusはSclerocactusに分類されているようです。

次にフェロカクタスとマミラリア類をつなぐグループを見ていきます。このグループは、Rolando T. Barcenasらの2011年の論文を参照とします。TurbinicarpusはAriocarpusと非常に近縁で、Strombocactusも近縁です。さらに、EpithelanthaとThelocactusは近縁です。他にも、RapicactusやPediocactus、Lophophoraも近縁です。

次にマミラリア類を見ていきます。このグループは、Cristian R. Cervantesらの2021年の論文を参照とします。マミラリアの仲間はMammillaria、Ortegocactus、Neolloydia、Coryphantha、Escobaria、Pelecyphora、Encephalocarpusあたりが含まれます。しかし、マミラリア属は再編され大きく変わりました。実は遺伝的に見るとこれらの属は種類により入れ子状となっており、属ごとにまとまっていません。ですから、改めて近縁なグループごとに分ける必要があったのです。
Coryphanthaは分割され一部はPelecyphoraに吸収されました。EscobariaやEncephalocarpusは消滅し、やはりPelecyphoraに吸収されました。本来のMammillaria属とPelecyphora属をつなぐグループはCochemieaとしてまとめられました。Cochemieaは、Mammillariaの一部とOrtegocactus、Neolloydiaを含みます。
現在ではEncephalocarpus strobiliformis(松毬玉)はPelecyphora strobiliformisへ、Ortegocactus
macdougalliiはCochemiea macdougalliiとなっています。ちなみに、一部のCoryphanthaがPelecyphoraになりましたが、C. viviparaやC. hesteriなどのEscobariaとされることもあった微妙なラインのものです。

また、いくつかの論文を見たところ、LeuchtenbergiaやSclerocactusはおそらくCacteaeですが、立ち位置は論文によりやや違いがあります。


最後に
まだ途中ですが、記事が長くなったので本日はここまでとしましょう。と言うわけで、明日に続きます。
しかし、球状のサボテンではBlossferdiaが原始的な位置にあったことに驚きました。また、マミラリアの仲間はかなり改訂が進んでいます。今後はEchinocactusやFerocactusの改訂があるかも知れません。このように、サボテンもその分類は急速に整理されつつあります。それは、ここ20年くらいの遺伝子工学の発展によるものです。とはいえ、まだすべてが解析されたわけではありませんから、まだ分からない部分もあります。しかし、それも時間の問題でしょう。これからは、サボテンの名前は大幅な改訂を受けるはずです。長い間親しんだ名前は変わってしまい、属レベルですら消滅を免れないでしょう。



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早いものでもう3月も終わってしまいますが、最高気温はともかく最低気温はなかなか上がりません。植え替え含め、悩ましい季節です。さて、本日も我が家の多肉植物を少しだけご紹介しましょう。

240327050818613
Euphorbia primulifolia
プリムリフォリアが開花し始めました。咲き始めの花色は薄いのですが、徐々に濃くなっていきます。


240327051348779
Euphorbia ankarensis
アンカレンシスは、
冬の間は思い出したように開花を繰り返しています。なお、E. ankarensisは現在E. denisiana var. ankarensisとなっています。しかし、葉に毛がないため、変種アンカレンシスではなく、E. denisianaのような気もします。

240327050857084
Euphorbia neohumbertii
ネオフンベルティイは新しい葉を少しづつ展開し始めています。似ているE. viguieriとは分類学的にやや距離があります。と言うか、E. viguieriが他の花キリンから距離があると言うのが正しいのでしょう。

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Euphorbia gottlebei
ゴトレベイは枝分かれしないタイプの花キリンです。根元から叢生するはずですが、1本だとやや貧相な感じがします。


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土曜日は神保町で春の古本まつりに行く予定だったのですが、残念ながら忙しく行くことが出来ませんでした。しかし、昨日はシマムラ園芸で「JSS春の多肉市 in シマムラ園芸」と言う多肉植物の販売イベントが開催されたので行って参りました。
会場はシマムラ園芸の少し先の温室で、主催はNPO法人日本多肉植物の会です。さて、同じ会場で開催されたアガウェ主体の草乱祭とは異なり、こちらはアガヴェやエケベリア、ハウォルチア、メセン、サボテン、ケープバルブ、アロエなど幅広い多肉植物の取り扱いがありました。草乱祭より出店が少ないので、通路が広く人混みをかき分けなくて済みました。とは言え、出店数は18もありますから、十分に楽しめました。

さて、今回はNichi plantsさんから購入しましたが、
珍しいことに原種の硬葉系ハウォルチアも扱っていたので、安いこともありついつい手が伸びてしまいました。
240324115833631
H. reinwardtii f. chalmunensis
九輪塔系(H. coarctata)ではなく、鷹の爪系(H. reinwardtii)です。鷹の爪系は、変種kaffirdriftensisや星の林(var. archibaldiae)に続いて3つ目。何が違うのかはよく分かりませんが…

240324115837329
H. attenuata RIB 0060
Fish River, E of Humansdorp
松の雪のように結節が繋がらないタイプのアテヌアタです。なんとフィールドナンバーつきの野生由来株です。

240324115858731
Screenshot_20240324-120051
Screenshot_20240324-203200
名札にQRコードがついていました。パンフによるとQRコードを読み取ると採取地の情報が得られるとのこと。早速読み取ってみましたが、Jeffreys Bayの近くの赤い囲いのエリアがHumansdorpのようです。ハウォルチアではよく耳にするHankeyの真南ですね。2枚目は拡大した航空図です。E of Humansdorpですから、産地はHumansdorpの東側ですな。面白い試みです。ところで、下の方に丸い緑色の地形が沢山ありますが、何でしょうかね?

240324115840883
H. scabra var. morrisiae VA 6451
スカブラも気になる硬葉系ハウォルチアです。変種scabraや変種starkianaはありますが、変種モリシアエはあまり情報がない変種です。

さて、会場を一廻りした後は、シマムラ園芸の店舗の向かいます。今回の目的は実は春の多肉市ではなく、園芸資材の入手だったりします。
240324113909505
このデカいサイズの底が網になってるやつがなくて困っていました。アマゾンでは在庫があまりなく不安定みたいです。とりあえず5つ購入。

そう言えば、シマムラ園芸の温室内に小さいビニールハウスが建っていて、ビカクシダが並んでいました。詳しくありませんが、最近はビカクシダが人気で、種類によってはとんでもない値段で取り引きされているようです。まあ、バブルなのでしょう。シマムラ園芸は流行りに敏感ですね。あと、暖かくなってきたせいか、エケベリアなどのベンケイソウ科植物も大量にありました。アガヴェも大量にあり抜き苗も大量入荷したみたいです。とにかく、全体的に品数が豊富でしたね。私もうっかりユーフォルビアを買ってしまいました。


240324120229716
Euphorbia aphylla
Esula亜属のユーフォルビアです。Esula亜属は草本と言うか雑草が多く、日本の燈台草(灯台草じゃないよ!)やヨーロッパのカラーリーフなどが含まれます。アフィラはEsula亜属では珍しい多肉植物で、スペイン領のカナリア諸島の原産です。海岸沿いに生えるため塩分に強い塩性植物です。とても興味深い多肉植物ですね。

と言うわけで、JSS春の多肉市 in シマムラ園芸に行って参りました。珍しく私の趣味に合致したので、中々良い買い物が出来ました。シマムラ園芸の店舗の方も、たまに行くと面白いものがあったりします。今日は大変満足です。


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本日は野ざらしの多肉植物たちをご紹介しましょう。とはいえ、一応は雨避けしてありますが、冬の間は基本的に放置しています。水やりもしていないので乾ききっています。そろそろ水やりしたいところですが、最近また寒くなったので、しばらくは様子見ですかね。

240323143738450
怪魔玉
頭が重いので、直ぐに倒れてしまいます。明らかに鉢が小さいので、今年は植え替えます。

240323143758778
蘇鉄キリン
蘇鉄キリンは相変わらずうねっていますが、こちらはそろそろどうにかしないととは思っています。

240323143658299
Aristaloe aristata
綾錦の外した子株は外栽培です。綾錦自体はかなり丈夫で、野ざらしにされがちです。しかし、さすがに痩せてしまっています。

240323143723658
オブツーサ?
H. cymbiformis v. obtusaなのかH. cooperi v. truncataなのか不明ですが、一般的にはオブツーサの名前で流通しています。窓の先端部が平らで筋が上がって来ていないので、おそらくはH. cooperi系なのでしょう。

240323143809942
Haworthia cooperi
風が強いのでゴミが絡まってます。しかし、まったく水やりしていないのに元気ですね。花茎も上がってきました。


240323143704912
Haworthiopsis tessellata
竜鱗もカリカリに乾いています。土もカチカチなんで植え替えないといけませんね。


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日本では「菊水」の名前でお馴染みのStrombocactus disciformisは渋いサボテンですが、今でも人気種です。今ではすっかり普及種となっていますから、育てておられる方も多いでしょう。
このS. disciformisの由来は古く、はじめて命名されたのは1828年のことで、Mammillaria disciformisと命名されましたが、1922年にストロンボカクタスになりました。1924年にはStrombocactus turbiniformis、1996年にはStrombocactus jarmilaeが命名されましたが、現在はS. disciformisの同種とされています。さらに、1996年にはStrombocactus pulcherrimusが命名されましたが、現在はS. disciformisの亜種であるsubsp. esperanzaeとされています。このように、ストロンボカクタスの新種は記載されるものの、異名扱いかせいぜい亜種とされてきました。ところが、2010年に待望の新種であるStrombocactus corregidoraeが記載されました。明らかに菊水とは別種でしたから、実に182年ぶりの新種でした。
さて、本日はこの新種のストロンボカクタスについての話です。参照とするのは、Rolando T. Barcenasらの2021年の論文、『Chichimecactus (Cactoideae, Cactaceae), a new genus based on molecular characterisation of highly endangered Strombocactus species』です。

分子系統
論文の分子系統を見てみましょう。
まず驚くのは、ツルビニカルプスが2つに分かれることです。よく見たらTurbinicarpus②は、RapicactusとされるT. beguinii、T. subterraneus、T. mandragoraの3種でした。本来のツルビニカルプスはTurbinicarpus①ですね。
次に、アリオカルプスとツルビニカルプスは近縁で、S. disciformisその2属と近縁でした。ちなみに、ssp. disciformisとssp. esperanzaeは遺伝的にはきれいに分離されています。本題のS. 
corregidoraeは、興味深いことにS. disciformisと近縁ではあるものの、思ったより距離があり、同属とするのは困難に見えます。

                      ┏Ariocarpus
                  ┏
      ┃┗Turbinicarpus①
              ┏┫
              ┃┗━Strombocactus
              ┃            disciformis
          ┏┫
          ┃┗━━Strombocactus
          ┃                corregidorae
          ┃
      ┏┫┏━━Epithelantha
      ┃┗┫
      ┃    ┗━━Thelocactus
  ┏┫ 
  ┃┗━━━━Lophophora
  ┫                   
  ┗━━━━━Turbinicarpus②

特徴
Strombocactus corregidoraeは、S. disciformisより長く(18〜21cm)、幅があり(8〜13cm)、やや縦長になります。以下に①S. corregidorae、②亜種disciformis、③亜種esperanzaeで、それぞれの特徴を示します。

        ①   ②    ③

最大サイズ(cm) 
21×13 12×9   4.5×3.5
トゲ      持続的 脱落   脱落
トゲの数                 3~5        1~5       1~2

トゲの長さ(cm) 1.8~3.5  1.5     0.8~1.1
種阜       無           有          有


以上のようにS. corregidoraeの特徴はまとめられます。特に脱落しにくいトゲや、種阜がないことはS. disciformisと比較した時に特徴的です。種阜(strophile)とはエライオソームの1種で、種子に栄養分がついており、アリは種阜目当てで種子を運搬します。

良い図版がなかったので、原産地の画像のリンクを貼っておきます。

Strombocactus disciformis ssp. disciformis

https://www.inaturalist.org/photos/349020628

Strombocactus disciformis ssp. esperanzae
https://www.inaturalist.org/photos/59472790

Chichimecactus corregidorae
https://www.inaturalist.org/photos/334800540
円筒形に育つ様子
https://www.inaturalist.org/photos/275414627

新属の提案
著者らは、米国南西部からメキシコ北部の乾燥地に住んでいたChichimeca族にちなみ、新属Chichimecactusを提案しました。そして、Strombocactus corregidoraeをChichimecactus corregidoraeとして配置しました。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
著者らは新属
Chichimecactusを提案しましたが、これは現在学術的に認められています。つまり、Strombocactus corregidoraeは正式にストロンボカクタスから分離されました。この論文は2021年の掲載ですから、実に最近のことでした。
さて、華々しく新属が記載されましたが、ストロンボカクタス待望の新種は幻に終わりました。結局、ストロンボカクタスは1属1種のままです。いつか、菊水以外のストロンボカクタスも発見される時が来るのでしょうか?


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暖かくなってきと思ったら、また何やら寒さがぶり返したりしています。朝晩は寒くて敵いませんが、日中は暖かいせいか多肉植物たちも少しづつ動き始めています。そろそろ、外の多肉植物置き場を整理する頃合いですが、張っていたビニールが強風でビリビリに破れてしまったので、何とかしないといけません。まあそんなこんなですが、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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Euphorbia globosa
グロボサは育て方がよく分かりません。どういうわけか、ほぼ一年中花が咲いており、その間は生長しません。今年は室内に取り込むタイミングで花茎が枯れて、生長するかなと思ったらまた花が咲いてしまいました。さすがに生長が見られないのは困りますね。
種小名の「globosa」とはラテン語で「球状の」と言う意味ですが、割と見たままの名前です。

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Euphorbia pseudoglobosa
ついでに、「偽のグロボサ」と言う不名誉な名前のプセウドグロボサにも登場してもらいましょう。こちらはまったく開花せず、少しづつ玉を重ねています。徒長させないように厳しく育てていますから、花が咲かないのはそのせいかも知れません。


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Agave multifilifera
アガヴェは集めていないのですが、これは2022年の春のビッグバザールのオマケでいただいたものです。我が家に来た時の上の画像と比べると、下の今の姿は見違えるようですね。繊維が沢山出るタイプのアガヴェですが、葉は柔らかくみずみずしいので、植え替え時に葉が根元から折れやすくて難儀しました。

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Agave × leopoldii
レオポルディイもオマケです。こちらは2022年の秋のビッグバザールでいただきました。こちらの育ちはいまいちですね。そう言えば、レオポルディイは自然交雑種とされているようです。レオポルディイはムルティフィリフェラとは異なり、繊維質であまり多肉質ではありません。サイザル麻をとるようなタイプのアガヴェですね。


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2014年に金鯱(Echinocactus grusonii)がエキノカクタスから独立し、新属であるKroenleinia属に分類されました。つまり、Kroenleinia grusoniiです。しかし、2018年に行われたホマロケファラとエキノカクタス、フェロカクタスの遺伝的解析の結果では意外な事実が明らかとなっています。当該論文である2018年のMario Daniel vargas-Lunaらの『Homalocephala as a distinct genus in the Cacteae』を見てみましょう。参照とするのは分子系統だけで、以下の解説は私の考えなので悪しからず。

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Homalocephala texensis
『The Cactaceae Vol.3』(1922年)より。


遺伝的解析
この論文は、ホマロケファラ(Homalocephala)の分類をはっきりさせることを目的としているようですが、近縁と考えられるエキノカクタスやフェロカクタスなどとの比較がなされています。
ホマロケファラ、つまり綾波(Homalocephala texensis)は、1842年にEchinocactus texensisと命名され、1922年に新設されたホマロケファラ属となり独立しました。しかし、現在はエキノカクタス属に戻されています。
下の分子系統を見ると、ホマロケファラはエキノカクタスから明確に分離されています。意外にもエキノカクタスはホマロケファラやフェロカクタスより、アストロフィツムに近縁であることが明らかとなりました。もし、ホマロケファラをエキノカクタスに含めると言うのならば、アストロフィツムもエキノカクタスに含める必要がありますが、あまりに非現実的です。やはり、エキノカクタスからのホマロケファラの分離が好ましいようです。


          ┏━━Astrophytum
      ┏┫
      ┃┗━━Echinocactus
  ┏┫ 
  ┃┗━━━Homalocephala
  ┫
  ┗━━━━Ferocactus

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Echinocactus platyacanthus
The Cactaceae Vol.3』(1922年)より。
Echinocactus ingensとして記載。


エキノカクタスの解体
エキノカクタス属そのものの範囲も論文では異なります。この論文では、エキノカクタスに含まれるのはE. platyacanthus(広刺丸)とE. horizonthalonius(太平丸)だけです。E. parryi(神竜玉)やE. polycephalus ssp. polycephalus(大竜冠)、E. polycephalus ssp. xeranthemoides(竜女冠)はホマロケファラに含まれてしまいます。気になるE. grusonii(金鯱)はフェロカクタスに含まれることが明らかになっています。遺伝的に見ると、エキノカクタスはわずか2種類に縮小することになります。
また、論文では太平丸(E. horizonthalonius)は、ニコリー太平丸(ssp. nicholii)も調べていますが、ssp. horizonthaloniusとそれほど上手く分離出来ていません。外見上は異なっていても、遺伝的にはそれほどの違いはないと言うことかも知れません。ちなみに、現在ssp. nicholiiはssp. horizonthaloniusに含まれてしまいました。逆にssp. australisが2022年に新亜種として記載されています。

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Echinocactus polycephalus ssp. xeranthemoides
The Cactaceae Vol.3』(1922年)より。
Echinocactus 
xeranthemoidesとして記載。

現在の分類
現在の学術分類では、この2018年の論文の成果は反映されていません。しかし、将来的には大きく整理されるかも知れません。とりあえず、キュー王立植物園のデータベースを見てみます。

①Echinocactus

1, E. × diabolicus
2, E. horizonthalonius
3, E. parryi
4, E. platyacanthus
5, E. polycephalus
6, E. texensis

E. × diabolicusは、2006年にE. horizonthaloniusの亜種として記載されましたが、これはE. horizonthaloniusとE. platyacanthusの自然交雑種であるとされました。そのため、2020年に交雑種であることを示す「×」がつけられました。
分子系統でエキノカクタスに含まれるのは、E. horizonthaloniusとE. platyacanthusだけです。残りの3種類はホマロケファラです。

②Kroenleinia
1, K. grusonii

金鯱は2014年にクロエンレイニア属とされましたが、分子系統ではフェロカクタスです。ちなみに、金鯱をフェロカクタスとする意見も2021年に提出されています。

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Kroenleinia grusonii

最後に
この論文ではホマロケファラの立ち位置を確定させるためのものですが、思わぬ結果が示されています。ホマロケファラはエキノカクタスから分離されますが、エキノカクタス自体が分解されることが明らかとなったのです。また、副産物でKroenleiniaがフェロカクタスであることも判明しました。しかし、ホマロケファラは、エキノカクタス→ホマロケファラ→エキノカクタスと来て、遺伝的にはホマロケファラと行ったり来たりしています。この論文の結果を持って最終的な回答となるのでしょうか。しばらくは経緯を見守りたいと思います。


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さて、最後の五反田TOCビル開催のビッグバザールも終え、そろそろ植え替えをする頃合いです。しかし、まだ何も準備していませんから、3月中は無理そうです。忙しいため、4月から何とかします。さて、そんな中、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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Euphorbia paulianii
パウリアニイは枝分かれした少し変わった花茎を伸ばす花キリンです。春先に開花すると言いますから楽しみですね。

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Gasteria baylissiana
ツボミが膨らんでいましたが、ようやく開花しました。バイリシアナはガステリアの中でも、花に丸みがあって可愛らしいものです。


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Euphorbia crassicaulis
一般的にE. francoisii var. crassicaulisと呼ばれるタイプです。ただし、E. 
francoisiiは本来はE. decaryiであり、E. decaryiと呼ばれていたものはE. boiteauiであると改正されています。そのため、var. crassicaulisは、E. francoisiiではなくE. decaryiの変種となりました。その後、var. crassicaulisは独立し、E. crassicaulisとされています。

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Euphorbia francoisii var. crassicaulis f. rubrifolia
妙な名前ですが、裸名(nom. nud.)なのでしょうか? 上で示した通り、クラシカウリスは独立したため、この場合はE. crassicaulis f. rubrifoliaとなりますが、学術的に記載された名前ではありません。ちなみに、ルブリフロラとは、クラシカウリスのより葉が赤い(rubri=赤い、folia=葉)タイプを示しています。日照不足で緑色の葉が出てしまっていますけどね。


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多肉植物は水分を溜め込んでおり、大変みずみずしいので、一見して食べられそうな気もします。実際にウチワサボテンやアロエ、アイスプラントなどは食べられています。しかし、EuphorbiaやBoophone(=Boophane)には毒性があり注意が必要です。また、Pachypodiumはキョウチクトウの仲間ですから強い毒性がありますが、あまり知られていないかも知れません。さて、それ以外の多肉植物と言えば、食べられるかどうか、あるいは毒性があるか否かはあまり聞きません。
本日は南アフリカで野生の多肉植物を食べた家畜におこる謎の疾患「Krimpsiekte」を引き起こす原因に迫ります。参照とするのは、Christo J. Bothaの2013年の論文、『Krimpsiekte in South Africa: Historical perspectives』です。早速、見てみましょう。

Krimpsiekteと言う病
Krimpsiekteは1775年以来、家畜の病気として認識されてきました。症状は麻痺で南アフリカで最初に記録された家畜の病気の1つで、植物中毒が原因と考えられていました。Krimpsiekteはnentaあるいはritaなどと呼ばれてきました。正式な記録は1864年のBrowneのものが最初でした。
1884年にHutcheonはKrimpsiekteのヤギの第一胃液を濾して2頭のヤギに投与し、Krimpsiekteを発症することを確認しました。1887年には植物学者のMacOwanはマメ科植物のLesserita annularisがヤギのrita=Krimpsiekteの原因であると述べました。また、1899年にHutcheonはKrimpsiekteのヤギの肝臓を犬に与えてみました。ヤギの肝臓を食べた犬は2日以内にKrimpsiekteの急性症状を引き起こしました。これは、Krimpsiekteにより引き起こされた二次中毒のはじめての報告でした。

原因はチレコドンか?
1891年に獣医師のSogaが、ヤギにTylecodon ventricosusの葉を与えると、Krimpsiekteの症状を引き起こすことを発見しました。わずか2オンス(56.7g)の細断した葉をヤギに3日間与えると、4日以内に疾患の症状を引き起こし、6日以内に死亡しました。T. ventricosusを与えたヤギは8頭すべてがKrimpsiekteを発症し、うち6頭が死亡しました。1891年は、南アフリカではじめて家畜に対して有毒な植物を実験的に証明した、歴史的に重要な年です。

再現実験
しかし、Sogaの実験結果には懐疑的な見方もありました。なぜなら、実験がKrimpsiekteが起こる地域のヤギを使用して行われたことと、それまで毒性のあるベンケイソウ科の植物は知られていなかったからです。
その後、獣医外科のTomlinson、Borthwick、Dixonは、Krimpsiekteの起きていない地域のヤギにT. 
ventricosusを与えることにより、Krimpsiekteの発症を確認しました。nentaあるいはKrimpsiekteになったヤギの歴史的な写真を、1898年にBorthwickが撮影しました。

第二の犯人はコチレドン
1908年に政府の農学者・植物学者であるBurtt Davyと、植物標本館助手のMiss Stentは、Cotyledon orbiculataによる家禽中毒の疑いについて報告しました。Miss Stentは庭でC. orbiculataを間引き、刻んだ葉を家禽に与えました。翌日、6羽の雌鳥が死亡しました。また、Burtt Davyは、Arnold Theiler公も鶏の麻痺と死亡を確認したことを報告しました。Kehoeは1912年に、アンゴラ山羊にC. orbiculataを240g与えました。その後、ヤギはKrimpsiekteを思わせる症状を引き起こし、10日後に死亡しました。Tustinらの1984年の報告では、C. orbiculataを摂取した16頭のアンゴラ山羊の群れで中毒が発生し、そのうち6頭が死亡しました。
ナミビアのMaltahohe近くの農場でヒツジにKrimpsiekteと似た症状が起きました。1965年にTerblance & Adelaarは、
C. orbiculataをヒツジに与えその毒性を確認しました。C. orbiculataの半乾燥状態の茎と葉は、わずか1.0g/kgでヒツジにとっては致命的でした。蓄積効果もあり、1日あたり50mg/kgと言う少量の摂取でも、中毒を引き起こしました。

第二のチレコドン
1920年にCursonは、Tylecodon wallichii (Cotyledon wallichii)の毒性を証明しました。1926年にHenningは、T. wallichiiがヤギやヒツジ、馬、家禽に対して、非常に有毒であることを確認しました。体重36kgのヤギにT. wallichiiの葉7gを2回与え、これは0.39g/kgと言う少量でしたが、摂取4日後に症状があらわれ、その2日後に死亡しました。Henningは家畜が比較的短期間に大量の植物を摂取すると急性中毒を引き起こし、現場では「opblaas」と呼ばれることもあると指摘しました。長期的な摂取はよりKrimpsiekteらしい症状を引き起こします。また、Krimpsiekteのヤギや馬の肝臓や馬肉を犬に与えると二次中毒を引き起こすことを確認しました。

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Tylecodon wallichii『Carnegie Institution of Washington publication』(1924年)より。Cotyledon wallichiiとして記載。

新たなKrimpsiekte
その後、Kalanchoe lanceolataによりKrimpsiekteが引き起こされることが明らかとなりました。1983年にAndersonらがヒツジで、1997年にMasvingwe & Mavenyengwaは牛でKrimpsiekteの発症を確認しました。
冬季降雨地帯では、Tylecodon grandiflorusによるとされる牛の中毒が起きていました。1983年にAndersonらはT. grandiflorusをヒツジに与え、Krimpsiekteを再現しました。

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Kalanchoe lanceolata
『Carnegie Institution of Washington publication』(1924年)より。Kalanchoe paniculataとして記載。


毒性の正体
HenningはC. orbiculataの有毒成分は熱に安定で、30分間煮ても、120℃で15分間処理しても破壊されないことを指摘しました。1936年にSepeikaは、神経毒であるcotyledontoxinとジギタリス様作用を持つ配糖体が含まれることを示唆しました。それから約40年後、bufadienolide強心配糖体であるcotyledosideがT. wallichiiから単離されました。cotyledosideの投与は家畜にKrimpsiekteを引き起こすことが確認されています。
1985年にAndersonらは、C. orbiculataから4つの
bufadienolideを単離しました。tyledoside Cと、orbicuside A、B、Cでした。orbicuside Aをヒツジと投与すると麻痺や横臥を誘発しました。
T. grandiflorusはAndersonらによって徹底的に研究されました。6つの
bufadienolideが単離され、tyledoside A、B、C、D、E、F、Gでした。
K. lanceolataからは3つの
bufadienolideが単離されました。3-O-acetylhellebrigeninと、lanceotoxin A,Bです。

最後に
意外にもティレコドンやコティレドン、さらにはカランコエからも家畜に麻痺や死亡をもたらす強力な毒性を有していることが明らかになりました。少量でも作用しますから、草食のペット、例えばハムスターやモルモット、ウサギなどは危険かも知れません。カランコエなどは一般的に普及していますから、落ちた葉には気を付ける必要がありそうです。まあ、すべてのカランコエに毒性があるかは分かりませんけどね。
よく毒性を表す指標として、LD50なるものがあります。これは、半数致死量と言って、その量を与えたら半数は死ぬ量です。これを例えば体重60kgの人に当てはまると、Krimpsiekteを引き起こす成分は6〜
22mg程度とかなり強烈な毒性です。こんな身近に毒性植物があったことに驚きました。私もユーフォルビア以外の多肉植物も危ないかも知れないと警戒することにしました。


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最近は公私共にバタバタしており、多肉植物をじっくり見られる時間がすっかり減ってしまいました。そろそろ、植え替えだの外の多肉置き場の整備もしたいところですが、まったく手がつけられていません。困りましたがまあ仕方がありません。本日も少しだけ我が家の多肉植物たちをご紹介しましょう。

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Gymnocalycium pseudoquehlianum
プセウドクエフリアヌムとは聞き慣れない名前ですが、これはnom.nud.(裸名)です。命名の経緯もまったく不明です。1995年のMetzingらの論文では、貿易リストに登場する名前一覧にあります。正式に命名されていない園芸名のようなものなのかも知れません。

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Euphorbia delphinensis
デルフィネンシスは冬の間も目立たない小さな花をよく咲かせていました。しかし、
Euphorbia delphinensisで検索すると、普通の赤い花キリンっぽい花が出てきます。我が家のデルフィネンシスの花はなんか違うんですよね。冬の間は日当たりは悪かったのですが、花色ならともかく花の形は変わらんだろうと思案中です。

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Euphorbia erythrocucullata
エリスロククラタはひょろひょろしていて地味な花キリンですが、実は塊根性です。小さな鉢で育ったようで、塊根が絡まった感じになってしまっているため、今は埋めて伸ばしています。面白い花が咲くようなので楽しみにしています。

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Operculicarya pachypus
2021年の冬に開催された木更津Cactus & Succulentフェアで購入したパキプスです。非常に若い実生苗で幹は爪楊枝くらいの細さでした。実は購入時、O. borealisの名前で購入したのですが、後にブログなどで不明種であると訂正されたようです。輸入種子は名前が間違っていることは珍しくありませんから、こういうこともあります。
オペルクリカリア属の特徴を詳しく解説した論文がありましたから、比較したところ何とパキプスに該当することが分かったのです。パキプスの主な特徴は、葉軸に羽がある、小葉は5〜6mm(最大10mm)、毛はほとんどない、葉軸が目立たない、茎はジグザグに伸びるなどです。
しかし、パキプスは以前から法外に高額で、爪楊枝くらいの細さの実生苗でも園芸店では5000〜6000円くらいしましたから、当時2000円で入手できたのは僥倖でした。まあ、普及した今はもうそれほど高価ではないかも知れませんが…


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当ブログでは、多肉植物の名前についての話題がちょくちょく議題に上がります。ある種が分割されたり統合されたり、属名が変更になったりと言ったことはよくあることです。しかし、それだけではなく、命名規約上の問題もあります。現在の二名式学名は1753年のCarl von Linneから始まりますが、命名が古い種は基準となるタイプ標本がない場合があります。長い年月で行方不明になったり、第二次世界大戦により消失してしまったりと理由は様々です。このような場合、新たにタイプ標本を指定し直す必要があります。本日はそんなタイプ標本の再指定=レクトタイプ化に関するお話です。参照とするのは、D. L. Koutnik & Mary O'Connor-Fentonの1985年の論文、『Lectotypification of the genus Delosperma (Mesembryanthemumaceae)』です。早速、見てみましょう。

Mesembryanthemumの誕生
von Linneが1753年に「Species Plantarum」を出版した時、Mesembryanthemum属はわずか35種でした。1862年のSonderの「Capensis」では、293種に増加しました。現在、von Linneの言うところのMesembryanthemumは推定1200種あります。

※von Linneの言うところのMesembryanthemumは、後に分割されたため、現在のMesembryanthemumが1200種あるわけではありません。

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「Species Plantarum」

分離が始まる
N. E. Brownは、多くの種を集中的に研究した最初の現代的な研究者でした。1920年、1921年に、巨大なMesembryanthemum複合体から、別属に分離するプロセスを開始しました。属の分割は種子鞘(seed capsule)に基づいたものです。この分離するプロセスは現在も続いており、現在は100属以上となっています。
これらの属のほとんどは、1958年以前にはタイプ標本が指定されていませんでした。そのため、タイプ標本の再指定=レクトタイプ化が必要です。Delospermaもそのようなレクトタイプ化を必要としています。Delospermaは約163種からなり、現在著者により改訂中です。

タイプを再指定
1925年にBrownがMesembryanthemumからDelospermaをはじめて分離しました。しかし、この時にどの種がDelospermaに含まれるのかをBrownは示しませんでした。そこで、1925年以前にBrownにより記載され、Delospermaの最初の扱いでBrownに言及され、総称名の後に新属と印刷された3種類に限定しました。それは、D. herbeum、D. macellum、D. mahoniiです。このうち、D. herbeumは線状披針形の葉や小さな花からなる集散花序を持ち、雄しべは花の中心に集められるなど、典型的なDelospermaです。そのため、D. herbeumを代表的なDelospermaと判断します。また、D. herbeumはタイプ標本がBrownにより発見され、資料の一部として引用されています。

レクトタイプの混乱要素
Delospermaがレクトタイプ化されたかは、若干の混乱があります。Lavisは1967年にSection Delosperma(デロスペルマ節)と言う分類群を作りました。これは、「Delosperma属」と混同してはならず、Sectionの確立のためにレクトタイプと言う単語を使用することは明らかな間違いです。Section Delospermaのタイプは、Delosperma echinatum (Aiton) Schwantesですが、タイプとして問題があります。D. echinatumは1789年に命名されたMesembryanthemum echinatm Aitonに基づいており、これは1786年に命名されたD. echinatum Lam.と同名です。この種の正しい名前は、Delosperma pruinosum (Tunb.) Ingramですから、Delosperma echinatum Schwantesは非合法名です。

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Delosperma echinatum
『Monographia geneum aloes et mesembryanthemi』(1836年)より。Mesembryanthemum echinatumとして記載。


最後に
ややこしい話ですが、これはMesembryanthemumからDelospermaが分離された時に、属のタイプがないと言う問題を解決するための提案です。デロスペルマは日本では「マツバギク」の名前で知られていますが、ずいぶんと面倒くさい話があるものですね。
さて、この提案が採用されたか否かは、実はよく分かりません。まあ、これはただ調べられていないだけです。ただし、読んでいてよく分からない部分もあり、そちらの方が気になってしまいました。それは、Delosperma echinatumの学名についてです。著者らはD. echinatumをAitonの命名によるM. echinatum Aitonが由来である、Delosperma echinatum (Aiton) Schwantesとしています。そして、それは誤りで正しくはDelosperma pruinosum (Thunb.) Ingramとしました。しかし、現在のD. echinatumはAitonではなく、LamarkによるMesembryanthemum echinatum Lam.に由来するとされています。そもそも、Aitonの命名したD. echinatumがよく分からないため、どう解釈したものか悩みます。ちなみに、D. pruinosumは1791年に命名されたMesembryanthemum pruinosum Thunb.に由来します。対するD. echinatumは、1788年に命名されたMesembryanthemum echinatum Lam.に由来します。命名年を見れば、M. echinatumが優先されることが分かります。ということで、Delosperma echinatumが現在の正しい学名とされています。


 
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まだまだ寒い日が続きますが、多肉植物たちは春を感じているようで、花芽をつけるものもポツポツ出てきました。そんな我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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Gymnocalycium erinaceum WR726B
エリナケウムの花芽が膨らんできました。花が楽しみです。私の好きなユーフォルビアや硬花系ハウォルチアは、大抵の種類の花は地味ですからね。3年前の10月に鶴仙園さんで購入しました。

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Haworthiopsis koelmaniorum
コエルマニオルムも花茎が上がってきました。花は咲いても、ハウォルチアはだいたい同じようなものですが…。2022年の4月のビッグバザールで、グランカクタスさんから購入しました。

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Euphorbia hofstaetteri
ハナキリンのホフスタエテリにも花芽が出来ています。ホフスタエテリは下向きで筋模様が入る面白い花を咲かせます。去年の6月のビッグバザールで、錦玉園さんから購入しました。

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Aloe fleuretteana
フレウレテアナは今年の1月に都庁前で開催されたプレミアムバザールで、Baby leaf Plantsさんから購入しました。花芽つきでしたが、環境の変化で開花しないかなと思いましたが、どうやら咲きそうな雰囲気です。

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Gasteria glomerata
ガステリアはよく花芽の出来損ないのようなものを作りますから、どうせ咲かないだろうとたかをくくっていたのですが、いつの間にやら花茎が伸びてきました。ガステリアは鳥媒花なので、アロエ類の中では割と派手なので、私は結構楽しみにしています。


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チレコドン(Tylecodon)と言う多肉植物がありますが、コチレドン(Cotyledon)と名前が似ており、私個人としてはどっちだったか分からなくなったりしたこともあります。ずいぶんややこしい名前だと思っていましたが、その理由が書かれた記事を見つけました。なんでも、TylecodonはCotyledonのアナグラムだと言うのです。ただ似ているのではなく故意だったわけです。面白い話ですね。実に遊び心があります。それはさておき、その記事の主題はチレコドンの花粉媒介者(ポリネーター)を探ると言うものです。そちらの内容をご紹介しましょう。それは、Sarah Gessらの1998年の記事である『BIRDS, WASPS AND TYLECODON』です。Gess夫婦が息子さんを連れて調査に赴いたようです。

チレコドンは鳥媒花
TylecodonはCotyledonのアナグラムで、1978年にTolkenによりCotyledonから分離されたグループです。Tylecodonには約28種があり、そのうち16種がNamaqualandに分布します。Namaqualandの岩だらけの丘陵地帯でもっともよく知られているのは、「botterboom」と呼ばれているT. paniculatusです。この低木は高さ1mになり、紙のように剥ける樹皮と多肉質な葉を持ちます。花は晩春から夏にかけて咲きますが、緋色でしっかりとしており鳥により受粉する植物の特徴を持ちます。花の長さは約20mmで、蜜は雄しべの基部にある毛の房で守られており、鳥が蜜を吸うために毛の房を押し退ける必要があります。著者らはGoegap自然保護区で、数羽のタイヨウチョウが花を訪れるところを観察しています。

Tylecodon hallii
あまり馴染みがない種としては、Richtersveld北部とナミビアの隣接地域の固有種であるT. hallimiがあります。この植物はbotterboomの1/3以下のコンパクトな多肉低木です。黄色い釣り鐘型の直立した花を沢山咲かせます。花は約22mmですが、明らかに鳥を誘引するように設計されていません。著者らは1995年の9月に、Richtersveld国立公園を訪れ、この地域のミツバチとジガバチ(wasps)を調査しました。Gess夫妻は乾いた水路の土手沿いの植物を採取するのに熱中していましたが、息子のRobertは丘の斜面に惹かれました。息子からの電話により、T. halliiに小型のハナドロバチ(pollen wasp)が沢山訪れていました。その後に、夫のFredによりMasarina tylecodoniと命名された未記載種であることが明らかとなりました。Tylecodonの花に昆虫が訪れたと言う記録はないようですから、この発見は大変興味深いものでした。

花粉媒介の仕組み
T. halliiはハナドロバチに豊富な蜜と花粉を提供します。しかし、蜜は圧迫された花糸の下に隠されているため、容易に蜜にアクセスすることは出来ません。ハナドロバチは花冠と雄蕊の間に侵入し、ピッタリと押し付けられた形で、長い舌を伸ばして花の根元にある蜜を吸います。ハナドロバチは強引に花に侵入する際に、葯を押してしまい背中に大量の花粉を受け取ります。花粉を沢山つけたハナドロバチが、柱頭が外側に湾曲した花に入ると、背中についた花粉を柱頭で拭き取る形になります。従って、M. tylecodoniはT. halliiの花粉媒介者として適しています。
また、ハナドロバチは意図的に花粉を集めますが、それは葯から直接回収します。背中についた花粉から集めるわけではありません。

信頼出来る花粉媒介者
調査地で花を咲かせている植物は13科32種が採取され、28種のミツバチとドロバチが訪問していることが明らかになりました。しかし、T. halliiにはM. tylecodoniのみが訪問し、M. tylecodoniはT. halliiのみを訪れました。著者は1997年9月に再訪し、T. halliiとM. tylecodoniの間の特別な相利関係を観察しました。ハナドロバチは少数の近縁な植物だけに訪問することが多いのですが、これまでは単一の植物とのみ関連付けられたことがないので、M. tylecodoniが他の植物を訪問する可能性はあります。しかし、T. halliiはRichtersveldで最初に開花する植物であるため、M. tylecodoniは非常に信頼出来る花粉媒介者であることに変わりはありません。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
チレコドンは鳥媒花ですが、Tylecodon halliiは虫媒花だったと言うことです。多肉植物の受粉生物学は調べられていないものが多く、このような思わぬ発見はつきものです。受粉のメカニズムも中々巧妙です。ハナドロバチとの相利共生の歴史を感じます。
しかし、多肉植物の受粉については、調べられていないだけではなく、あまり記事にもなっていません。私は今後も多肉植物の受粉生物学について話題にしていきたいと思っています。


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3月は休日出勤しなくてはならなくなり、休日がポツポツ消えてしまいました。困ったことですが、仕方がありません。ビッグバザールと重ならなかっただけで、まあ良しとしましょう。と言うわけで、本日は五反田TOCビルで開催されたサボテン・多肉植物のビッグバザールに行って参りました。開場前に並ぶのは面倒なので、開催時間より少し経ってからの参戦です。今回のビッグバザールはどんな多肉植物が見られるでしょうか?

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今回のビッグバザールは会場がいつもと異なりました。角部屋でしたから、いつもよりも広い会場です。出店数がとても多かったので、会場を変えたと言うことでしょうか。とにかく、出店が多く混雑もありますが、一回りするだけで1時間かかりました。大変な熱気で、暑くて上着を脱いで見て回りましたが、疲れたので群衆をかき分けての2周目は遠慮して帰宅しました。多肉植物ブームはまだまだ続きそうです。
さて、今回も相変わらずアガヴェやエケベリアの専門店には人だかりが出来ていました。ハウォルチアの専門店もいくつかありました。サボテンもいつもに比べたら多く、ほぼサボテンだけのお店もありましたね。とは言うものの、私の買う店はいつも大体同じになってしまいますが…。
今回はCeraria pygmaeaの実生があちこちにありました。他はよく分かりません。何せ異様に人がいたので、あまりじっくりは見ていられなかったので。今回は会場の熱気に当てられて沢山購入してしまいました。せいぜい、2〜3株のつもりが失敗しましたね。置く場所もないのに困ったものです。

本日の購入品はこちらです。最近アロエばかり買っているので、アロエは無視して何か珍しいものはないか物色しました。ちなみに、名前は付いていた名札のママです。

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Euphorbia phillipsioides
かつて、E. sapiniiなどを購入したブースで購入。フィリプシオイデスは手持ちにありましたが、去年の灼熱にてお亡くなりになりました。よく育っていただけにショックでしたが、また見かけたので再度チャレンジします。E. phillipsiaeとよく似ていますが、E. phillipsioidesはあまり見かけませんね。


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実生 プルプシー
配置図を見たらラフレシアリサーチの名前がないので不参加かと思いきや、名字で記載されていたみたいです。と言うことでラフレシアリサーチさんのプルプシーです。
いわゆるFouquieria purpusiiですが、実生は初めて見ました。正直、かなりお高いのですが挿し木じゃないので仕方がありません。しかし、トゲが強いですね。


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E. fruticosa
購入したのは、かつてE. gymnocalycioidesなどを購入したブースのような気がします。国内のフルティコサはトゲが非常に弱い「inermis」と呼ばれるタイプみたいで、海外のものとは違うみたいです。この個体はトゲが強いので、「inermis」ではないような気もするので買ってみました。

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H. リミフォリア v. gideonii
ギデオニイはH. limifolia v. limifoliaの異名と言うか非正式名(nom.inval.)ですが、リミフォリアから分離されたH. gideoniiとする意見もあります。しかし、外見的には、あまりギデオニイっぽくない気もしますが…。

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Haw. coarctata var. tenuis
Haworthiopsis coarctata v. tenuisです。九輪塔のタイプ違いですね。イボイボ系は好きですが不人気極まるため見かけません。

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Euphorbia mahabokensis
名前は誤記で、E. mahabobokensisですね。グランカクタスさんから購入。マダガスカル原産種。これは、Euphorbia pyrifoliaグループのユーフォルビアで、「hedyotoides型分岐」と言う共通点があります。E. bongolavensisやE. hedyotoidesは持っていますから、これで3種類目です。 

以上が今回のビッグバザールの購入品です。正直買いすぎました。グランカクタスさんには今回は沢山ユーフォルビアがあったのですが、最後の方に見たので予算オーバーでした。残念。まあ、しかし割と面白いものが入手出来ましたし、大変満足です。次回から会場が変わりますが、どうなんでしょうね? 


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最近は妙に寒く、関東では急に雪が降ったりしました。3月に入ったのに寒くて敵いませんね。それはさておき、本日も我が家の多肉植物を少しご紹介しましょう。

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Gymnocalycium pungens
プンゲンスは大変トゲが鋭いサボテンです。どちらかと言えば強棘のサボテンのトゲはあまり鋭くなく、小さいトゲを持つサボテンのトゲの方が刺さりやすかったりします。しかし、プンゲンスは
強棘とまではいきませんが、まあまあ強いトゲですから少し珍しく感じます。まあ、「pungens」とはラテン語で「刺すような」と言う意味ですから、命名したFleisherもプンゲンスに刺されたのかも知れませんね。
プンゲンスは現在、
G. schickendantzii subsp. schickendantziiの異名となっているようです。

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Haworthiopsis pungens
こちらもプンゲンスつながりで、ついでに紹介します。硬葉系ハウォルチアのプンゲンスです。葉の先端が尖ります。硬葉系ですから非常に硬いのですが、トゲではなく葉の先端なので、刺さるような鋭さではありませんが、触ると普通に痛いですけどね。


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Aloidendron ramosissimum
ラモシシムムは生長は実にゆっくりしています。アロイデンドロンは太い根を持ちますが、本数は少なく普通のアロエと比べるとえらく貧相です。
かつてはAloe ramosissimaでしたが、2023年にアロエ属から分離されアロイデンドロンとなりました。Aloe dichotoma(=Aloidendron dichotomum)の亜種や変種と考えられたこともあります。遺伝的にはA. ramosisimumは、A. dichotomumやA. pillansiiと近縁なようです。


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Aloe peglerae
苗を入手してから丸2年で、少し見られる姿になりました。ペグレラエはそれなりのサイズになりますが、高さ数メートルに育つAloe marlothiiやAloe feroxのような木質の幹がある姿にはなりません。そのため、本来の花粉媒介者である鳥だけではなく、ネズミも登ってきて蜜を舐めたり花を食べたりするそうです。


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本日は今年の1月末に出版された新刊をご紹介します。大崎直太 / 著の『生き物の「居場所」はどう決まるか』(中公新書)です。植物の本ではありませんが、生態学に関する著作ですから、生物界すべてに関わる内容です。様々な仮説、自然の観察、実証実験を通して、生物の「居場所(ニッチ)」や「競争」に焦点を当てています。とりあえず、個人的に気になった「緑の世界仮説」についてのみ少し紹介しましょう。

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すべての動物の生命を支えているのは植物です。植物が草食動物を支え、その草食動物を肉食動物が食べるわけですから、植物の量がすべての動物の数を定めているはずです。しかし、野生の植物が草食動物に食べ尽くされることはありません。基本的に広大な森林などの植物の間に動物は住みます。すると、食べ尽くされない大量の植物があるのなら、果たして動物の数は植物の量が決めていると言えるのでしょうか?
自然界では天敵の存在により、動物は個体数が抑制されています。大量に卵を産むような動物は、そのほとんどが捕食者により捕食されてしまい、適正数に保たれます。有り余る植物があるのなら、植物食昆虫や草食獣には競争が存在しないはずです。これを、「緑の世界仮説」と呼びます。
しかし、著者はモンシロチョウの「繁殖干渉」と言われる現象を捉え、植食者にも競争の原理が働いていることを明らかとしました。さて、この繁殖干渉とは、同じ植物を餌とする複数種の動物が他種に対して繁殖行動を起こしてしまい、本来の繁殖行動が邪魔されてしまうことです。基本的には外来種や分布を広げた侵入種で確認されています。在来種と外来種、あるいは外来種の植物を巡る植食者同士の競争が見られます。しかし、そのような特殊な場合しか競争は起きないのかと考えてしまいますが、棲み分けをしている動物は、かつての競争の結果として棲み分けられているだけなのかも知れません。

後半の話の中心である繁殖干渉は動物だけではなく、植物にも起きている現象です。柱頭に他種植物の花粉がつき花粉管を伸ばしてしまえば、それだけで正常な受粉は阻害されてしまいます。これは、外来植物の話だけではなく、在来植物の分布が広がり近縁種と出会ってしまうと、やはり繁殖干渉は起きてしまうことがあるようです。植物においても、実は繁殖干渉は日常的な現象なのかも知れませんね。

さて、本書は生態学の基本から最新の動向までを扱っています。沢山の研究者が登場し、様々な学説とそれを支える実際の研究内容について解説されます。丁寧に順を追って話が進みますから、非常に学説の流れが分かりやすいことが特徴です。生態学は生物のあり方を調べるため、生物そのものを知るためにはもっとも重要な学問分野の1つです。難解な部分もありませんから、初学者含めお勧め出来る1冊です。

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そう言えば、10日は「3月のサボテン・多肉植物のビッグバザール」が開催されますね。五反田のTOCビルでの開催は今回が最後でしたっけ? 場所的には便利な立地でしたから、残念ではあります。新しい会場の埋立地の方は行きやすさ的にどうなんでしょうか。それはさておき、本日も我が家の多肉植物を少しご紹介しましょう。

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Aristaloe aristata
あまり顧みられない綾錦ですが、ハウォルチア的なアロエで実は非常に美しい植物です。
A. aristataは2014年にアロエ属から分離され、1属1種のArirtaloe属とされました。遺伝的にはアロエやハウォルチアに思った程には近縁ではなく、ゴニアロエやアストロロバ、ツリスタに近縁とされています。


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Gonialoe variegata
いわゆる千代田錦です。この冬は花が咲かず残念です。
千代田錦は綾錦と同じく2014年にアロエ属から独立しました。Aloe variegataは1753年のCarl von Linneの命名ですから、千代田錦はアロエ属の初期メンバーと言うことになります。1880年にBakerがGonialoe亜属に分類しましたが、その名前が新属にそのまま昇格したみたいですね。


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Aloiampelos striatula var. caesia
急生長したため倒れてしまい、妙な形で育っています。まあ、切ればいいだけの話ではありますが、幹を自立させるために太らせたいので、しばらくは伸ばしっぱなしにします。そもそも、「Aloiampelos」とは「つる状のアロエ」と言う意味ですから、自立しないのは正しい姿かも知れませんが、野生状態のようなブッシュを作るつもりはないので、自立してくれないと困るわけです。

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Gasteria baylissiana
バイリシアナが開花寸前です。小型のガステリアは花が可愛らしいのでお勧めしたいのですが、残念ながら昨今の多肉植物ブームとは無縁の存在であまり見かけません。


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生物は基本的にトレード・オフです。例えば、卵は大きなものほど子供の生存率が高く、小さい卵ほど子供の生存率は低くなります。これは、生まれてくる子供のサイズが異なり、卵が大きいほど1匹の子供に使われる栄養が多いことが原因です。しかし、実際のところ、大きい卵は少なく産卵され、小さい卵は沢山産卵されます。これは、少数の生存率を上げるのか、生存率が低くても数を揃えるのかと言うトレード・オフの関係にあります。一見して生存率が高い方が有利な気もしますが、生存率が低くくても数が多ければ最終的には生き残ることが出来るため、どちら一方が優れているわけではありません。
生物はアレもコレもと言うわけにはいきません。大きい卵を沢山生めば良いような気もしますが、生物の利用出来る資源や産卵に振り分けられるエネルギーは有限です。仮に100の栄養があった時に、栄養50の卵を2つ生むのか(50×2=100)、栄養2の卵を50個生むのか(2×50=100)と言う選択肢はありますが、栄養50の卵を50個生むこと(50×50=2500)は出来ないのです。ニワトリが鶏卵を一度に何十個も産むことを考えたら、非現実的な意見であることが分かるでしょう。これを、一般的にトレード・オフと言います。アレもコレもではなく、アレかコレかを選ばなくてはなりません。
植物でも資源をどの程度振り分けるのかは問題となります。特に生長と繁殖のバランスは重要でしょう。例えば、生長を優先するのか、繁殖(開花)を優先させるのかです。本日はサボテンのトレード・オフを検証したM. A. Lorenzaniらの2024年の論文、『Growing or reproducing? Assessing the existence of a trade-off in the globose cactus Gymnocalycium monvillei』をご紹介しましょう。

植物のサイズと資源分配
サボテンにおいて、トレード・オフについては調べられていませんが、サイズと繁殖の関係を調べた研究は行われています。いくつかのサボテンではサイズが大きくなるほど種子の数が増えることが確認されています。例えば、Pterocereus gaumeriやStenocereus thunberi、Lophocereus schottii、Escobaria robbinsorum、Ferocactus wislizeni、Coryphantha werdermannii、Lophophora diffusaなどで確認されています。

Gymnocalycium monvillei
著者らはアルゼンチンのコルドバのGymnocalycium monvilleiを調査しました。調査地の標高は1600mで、年間平均気温は13.9℃、年間降水量は800mmでした。雨は9月から4月の温暖な時期に集中します。G. monvilleiは自家不和合性で、ミツバチにより受粉します。花は1〜10個で雌雄同体です。
著者らは、G. monvilleiが生長する時期である9月から4月の生長を測定し、生産された果実を数えました。


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Gymnocalycium monvillei
Gymnocalycium multiflorumとして記載。
『Adissonia』(1918年)より。


サイズと種子を測定
G. monvilleiの直径は、2018年から2019年の1回目の調査では5.4〜17.9cm、2019年から2020年の2回目の調査では6.1〜17.9cmでした。生長率は0%〜27.8%で、25%は生長しませんでした。すべての個体は開花しましたが、1回目では5%、2回目では6.7%が種子を生産しませんでした。
G. monvilleiの直径は種子生産量および総種子重量に関係がありました。しかし、直径と平均種子重量には関係がありませんでした。さらに、生長と種子の数、平均重量、総重量とも関係がありませんでした。また、種子の平均発芽時間も直径や生長とは関係がありませんでした。


トレード・オフはない
結果として、G. monvilleiは生長と種子生産量の間にトレード・オフの関係はないことが分かりました。過去の報告では、植物の種類によりトレード・オフがある場合とない場合があります。サイズと種子量の相関は、Opuntia engelmanniiやMammillaria magnimamma、Harrisia portoricensis、Astrophytum ornatumで確認されています。Wigginsia sessilifloraはサイズの増加に伴い種子生産が減少すると言う報告もあります。サボテンでも種によりトレード・オフの関係があるものとないものがある可能性があります。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
G. monvilleiにおいては、生長と種子生産の間にトレード・オフの関係はありませんでした。個人的には個体ごとのコンディションに左右されているような気もしますが、はっきりしたことは言えません。ただ、あくまでも余力で賄えるだけの開花を行っているはずですから、やはりアレもコレもと言うわけには行かないのでしょう。
さて、論文中でWigginsiaの話がありましたが、過去に当ブログでも取り上げたことがあります。種子生産量は中型個体が多く、大型個体は種子生産が減少すると言う結果でした。ただし、大型個体の種子由来の実生ほど背が高いなど、異なる利点もあるようですから、単純に種子生産数だけで考えるべきではないのかも知れませんね。




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三寒四温で気温が不安定ですが、急に動き始める多肉植物も出てきました。我が家の多肉植物たちも早く外に出してやりたいものですが、今しばらくの辛抱です。さて、本日も我が家の多肉植物を少しだけご紹介します。

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Euphorbia venefica
葉が1枚落ちました。まだまだ小さなヴェネフィカです。E. poissoniiやE. unispinaと合わせて猛毒三兄弟と呼ばれ、強い毒性があります。
E. venenificaと呼ばれてきましたが、これは誤記で本当はE. veneficaが正しい学名です。また、E. unispinaと同種であると言う意見もあります。葉の形が異なると言われていますが、産地ごとの変異のほうが大きいことが判明しているようです。

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Euphorbia sapinii
サピニイは去年は葉が1枚しか出ず、がっかりしてしまいました。サピニイはE. poissoniiやE. veneficaと同じCylindrical Euphorbiaですが、あまり詳しく調査されていないそうです。

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Euphorbia razafindratsirae
葉はだいぶ落ちましたが、何故か花盛りです。まあ、地味ではありますが…


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Euphorbia tardieuana
トゲなし花キリンです。花が美しいタイプですが、花はまだ拝んでいません。原産地のマダガスカルではほぼ絶滅に近いと見なされているそうです。実に残念なことです。


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多肉質なユーフォルビアの中心地はアフリカ大陸ですが、南アメリカでも多肉質なユーフォルビアを見ることが出来ます。ただし、南アメリカの多肉質なユーフォルビアは、節を重ねたような不思議な形をしています。普段、南米ユーフォルビアはあまり見かけないでしょうから、あまりピンと来ない方もおられるかも知れません。本日は、そんな南米ユーフォルビアについての論文をご紹介しましょう。それは、Fernanda Hurbathらの2020年の論文、『Biography of succulent spurges from Brazilian Seasonally Dry Tropical Forest(SDTF)』です。

SDTFとは何か
乾燥した熱帯季節林(SDTF)は、メキシコ北西部からアルゼンチン北部、ブラジル南西部及ぶ東部に至る新熱帯地域に点在し、ブラジル東部にはCaatingaとして知られている最大の孤立したSDTFがあります。SDTFは南アメリカの生態系の中でもっとも脅威にさらされており、ほとんど研究されていません。
SDTFは5〜6ヶ月の乾季と非常に低い平均年間降水量が特徴で、植物は長期の水不足に耐えられるように適応しています。

SDTFのユーフォルビア
ユーフォルビアはSDTFの重要な構成要素であるにも関わらず、研究されず無視されてきました。新熱帯地域のユーフォルビア属の中では、多肉質で乾生植物であるのはSection Brasiliensisだけで、Section Euphorbia(ほとんどの多肉質なユーフォルビアを含むグループ)はアフリカの種と比べると強い乾生種はほとんどありません。
Section Brasiliensisに含まれる種、はトゲのない鉛筆状の多肉低木で、光合成をする緑色の茎を持つCAM植物です。このグループはブラジル東部のSDTFの岩の露出した、あるいは浅い土壌に生えます。Section Brasiliensisは、E. attastoma、E. holochlorina、E. phosphorea、E. sipolisii、E. tetrangularisの5種類からなります。

遺伝子解析
南アフリカのユーフォルビアの遺伝子を解析したところ、以下のような分子系統が得られました。

※南北アメリカ大陸で多様化したユーフォルビアの仲間であるNew World Cladeを解析したものです。Sectionで示されていますが、Sectionとは属と種類の間の分類カテゴリーで「節」と訳されます。

※※Section Stacydiumは中南米の原産の草本。Section 
NummulariopsisやSection Portulacastrumは大半が中南米原産の草本です。Section Crepidariaは北米原産で一部は多肉質となりますが、木本になるものが多いようです。

※※※Section 
Euphorbiastrumは中南米原産の木本ですが、多肉質なものもあります。Section Calyculataeはメキシコ原産の木本です。Section Lactifluaeは中南米原産の木本です。Section Tanquahueteはメキシコ原産の木本です。Section Cubanthusはカリブ海地域の島嶼部に分布する木本です。

              ┏━Brasiliensis
          ┏┫
          ┃┗━Stachydium
      ┏┫
      ┃┗━━Nummulariopsis
  ┏┫   +Portulacastrum
  ┃┗━━━Crepidaria
  ┫
  ┃    ┏━━Euphorbiastrum
  ┃┏┫
  ┗┫┗━━Calyculatae
      ┃   +Lactifluae
      ┃   +Tanquahuete
      ┗━━━Cubanthus

多様化の起源
Section BrasiliensisとSection Stacydiumは姉妹群で、分子系統から中新世中期頃に分岐したと考えられます。Section Brasiliensisは鮮新世後期に多様化し、Section Stacydiumは中新世後期に多様化したと考えられます。この推定は、大きな気候変動がこれらのグループの分岐と多様化に大きな影響を与えた可能性がを示します。
New World Cladeのほとんどは中新世の間に多様化しました。中新世は現在の新熱帯地方の地理的特徴の多くが定義されました。これには、アンデス山脈の隆起(約1200〜450万年前)やアマゾン河の起源(約1180万年前〜現在)などのほとんどの地形的変異を含みます。さらに、この時期は世界的に寒冷化と乾燥化し、大気中の二酸化炭素の急激な減少が起こりました。


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Euphorbia weberbaueri
Section Euphorbiastrumに属します。エクアドル、ペルー原産。


SDTFの孤立
ブラジル東部のSection Brasiliensisは、Section Stacydiumから分岐して以来、長く孤立していました。その後、鮮新世後期頃に多様化しました。SDTFの断片化した分布は、種は孤立し多様化は促進されます。ブラジル東部のSDTFは固有種の割合が高く、長い孤立が示唆されます。また、SDTFの孤立は、セラード(ブラジルのサバンナ)やアマゾンの熱帯雨林と隣接することにより起こります。セラードはブラジル中央を占めており、約1000万年前に起源を持つSDTFを隔離する障壁です。セラードは火災に適応した植物が進化しており、一般的に火災に耐性がないSDTFの多肉植物に対する抑止力になります。さらに、Section Brasiliensisのユーフォルビアは種子の分散力が弱く、分布がブラジル東部に限定されます。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
アフリカでよく見られる柱サボテンのようなユーフォルビアは、Section Euphorbiaです。しかし、新大陸ではSection Euphorbiaはあまり乾燥に適応出来ていないようです。むしろ、新大陸ではNew World Cladeと言う新たな分類群が進化しました。その中でも、Section Brasiliensisはブラジル東部の乾燥地(SDTF)に良く適応しています。遺伝子を用いた分子系統解析では、種ごとの分岐年代を計算出来ます。南アメリカで起きた地質学的イベントや気候変動と対応させれば、進化の原動力を推測することも可能となるのです。実は論文では、他のNew World CladeのSectionの進化も推測されていましたが、今回は長くなるため割愛しました。興味がありましたら、論文を参照して下さい。


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ぼんやりしていたら、いつの間にやら3月になってしまいました。色々とやらなくてはならないことが沢山あるのですが、まったく手がつけられていません。何かと時間が取れず困ってしまいます。さて、それはともかく、本日も我が家の多肉植物を少しご紹介します。

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Euphorbia caput-medusae
代表的なタコものユーフォルビアのカプトメデュサエです。タコものは高額なものが多いのですが、カプトメデュサエは実生苗が量産されたので、一時期は安価で入手出来ました。私も豆粒のような実生苗を入手して、数年経ちます。これでもだいぶ大きくなりました。

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Euphorbia tuberculata
こちらもタコものユーフォルビアのツベルクラタです。緑仏塔と呼ばれることもあるようです。現在、ツベルクラタは、度し難いことにカプトメデュサエの異名とされています。異なるようにも思えますが…

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Gasteria glomerata
こちらはホームセンターで「白雪姫」の名前で入手したグロメラタです。ダルマ型の特白選抜品種と言われているようです。
可愛らしい見た目ですが、意外にも中々綺麗に育ちません。

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Gasteria glomerata
こちらもホームセンターで入手したグロメラタです。こちらは原産地のものによく似た外見です。


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かつて、Sarcocaulonと言う多肉植物がありました。しかし、いつの間にやらSarcocaulonはMonsoniaに吸収されてしまったといいます。ですから、ネット上のブログや販売サイトでは、Sarcocaulonだった植物はMonsoniaの名前で呼ばれています。しかし、本当にSarcocaulonとMonsoniaは分けることが出来ないのでしょうか?

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Sarcocaulon rigidum
『The Flowering Plants of South Africa』(1921年)より。S. rigidumとは、現在のS. 
patersonii (=M. patersonii)のことです。

履歴書
先ずはモンソニアとサルコカウロンの命名の経緯を見てみましょう。
Monsoniaは1767年にCarl von Linneにより命名されました。つまり、Monsonia L.です。対するSarcocaulonは1826年にSweetにより命名されました。つまり、Sarcocaulon (DC.) Sweetです。始めはSarcocaulonに含まれていた種はMonsoniaとされましたが、Sarcocaulonが出来てからは、新種はSarcocaulonとして命名されました。1824年にDe CandlleがSarcocaulonをMonsoniに含むとする提案を行ったこともありました。最終的には、1996年にAlbersの提案によりSarcocaulonは一斉にMonsoniaに含まれることとなりました。

1996年の提案
調べてみると、1996年のF.Albersの論文、『The taxonomy status of Sarcocaulon (Geraniaceae)』により、SarcocaulonはMonsoniaに吸収されたことが分かりました。内容的には雄蕊群の個体発生や核型、化学成分の分析に基いています。さらに、SarcocaulonとMonsoniaの形態学的な違いは、Peralgonium属内でも見られる程度の違いに過ぎないと述べています。

違いはあるか?
1996年のAlbersの提案はそれなりに妥当性はあったようですが、反対意見もあります。1997年にR.O.Moffettは、『The taxonomy status of Sarcocaulon』と言う論文で、SarcocaulonとMonsoniaの違いを指摘しています。Sarcocaulonの特徴として、可燃性のワックスと樹脂が染み込んだ硬くて光沢がある樹皮を持つと言うことです。含まれる樹脂とワックスの量が非常に多く、乾かさないでも松明のように燃えるため、S. burmanniは「candle bush」、S. rigidumは「bushman's candle」と呼ばれています。

南アフリカ国立標本館
南アフリカ国立標本館のコレクションとそのデータベースであるPRECISは、1996年のAlbersの提案を採用しませんでした。L.L.Dreyerらの1997年のAlbersの提案に対する回答である『Sarcocaulon: genus or section of Monsonia (Geraniaceae)?』を見てみます。
国立標本館では、Albersの提案に対する科学的妥当性を認めますが、コレクションやPRECISに対し導入しないことを決定しました。その理由は以下の通りです。
①歴史的にSweet(1826年)に続いてKnuth(1912年)により、2つの個別の属であることと言う認識が広く受け入れられてきました。別属として維持することで、混乱を避けることが出来ます。
②Sarcocaulonは主にアフリカ南部の砂漠や半砂漠地域に限定されています。対照的にMonsoniaはアフリカ南部からアラビア半島およびインドまで、はるかに広く分布しています。
③SarcocaulonとPelargoniumに見られる多肉質でトゲのある茎は、環境により誘発された特徴である可能性があります。しかし、この特徴はMonsoniaでは見られず、Sarcocaulonの分布域に生えるMonsoniaにおいても見られません。
④SarcocaulonをMonsoniaの姉妹群として保存することにより、命名上の安定性が促進されます。

2003年のチェックリスト
一般的にはSarcocaulonは消滅して久しい扱いですが、現在のキュー王立植物園のデータベースでは、Sarcocaulonは復活しています。そして、その根拠としているのは、2003年に南アフリカ国立標本館による南部アフリカの植物種のチェックリストである『Plants of Southern Africa an annotated checklist. Strelitzia』です。Sarcocaulonの消滅は実は短い期間だけだったのかも知れません。

遺伝子解析
2017年にSara Garcia-Aloyらの論文、『Opposite trends in the genus Monsonia (Geraniaceae): specialization in the African deserts and range expantions throughout eastern Africa』により、MonsoniaとSarcocaulonの分子系統が考察されました。ちなみに、この論文ではSarcocaulonはMonsoniaに含まれるものとして解析しています。
解析結果はMonsoniaは7グループに分けられると言うことです。Sarcocaulonに相当するグループは非常にまとまりがあります。むしろ、Monsoniaは思いの外まとまりがありません。Sarcocaulonを含んだ大きなMonsoniaとするか、7グループを別属に分割するかと言うことになるような気がします。

サルコカウロンは何種類か
現在の復活したSarcocaulonの一覧を示して終わります。

1. S. camdeboense
 =M. 
camdeboensis
2. S. ciliatum
 =M. ciliata
3. S. flavescens
 =M. 
flavescens
4. S. herrei
 =M. herrei
5. S. inerme
 =M. inermis
6. S. marlothii
 =M. 
marlothii
7. S. mossamedense
 =M. 
mossamedensis
8. S. multifidum
 =M. multifida
9. S. patersonii
 =M. patersonii
 =S. rigidum
 =S. rigidum ssp. glabrum
 =S. rigidum f. parviflorum
10. S. peniculinum
 =M. peniculina
 =S. ernii
11. S. salmoniflorum
 =M. 
salmoniflora
 =M. apiculate
 =M. macilenta
    =S. lheritieri v. brevimucronatum
 =S. patersonii ssp. badium
 =S. patersonii ssp. curvatum
12. S. spinosum
 =Geranium spinosum
 =M. burmanni
 =S. 
burmanni
 =M. classicaulis
 =S. 
classicaule
 =S. 
spinosum v. hirsutum
13. S. vanderietiae
 =M. 
vanderietiae


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植物園に行くと言っていましたが、まだ行けていません。むしろ、3月は忙しくて無理みたいです。論文検索もほとんど出来ていないため、正直ネタ不足です。まあ、記事を書いている時間もとれないのですけどね。
さて、本日は青白い葉を持つ硬葉系ハウォルチアのヘレイをご紹介します。美しい植物ですが、割とタイプ違いがあるためコレクションする楽しみがあります。


 240227005603139
Haworthiopsis glauca var. herrei
葉が非常に長いタイプのヘレイです。全体的に大柄で、まばらに結節があります。


240227005539657
Haworthiopsis glauca var. herrei RIB0217
こちらは葉に丸みがあり短いタイプのヘレイです。結節ははっきりとしています。フィールドナンバーつき。


240227005616822
Haworthiopsis glauca var. herrei 
H. jonesiaeの名前で入手したヘレイ。全体的に小型で華奢な感じがします。結節はほとんど目立ちません。


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バハ・カリフォルニア半島はサボテンが非常に豊富なことで知られています。しかし、バハ・カリフォルニア沿岸に散在する小島にも、サボテンが沢山生えていることは、一般的にはあまり知られていないようです。さて、このような海洋に浮かぶ小島は、大抵は海鳥の繁殖地となっていることが多く、海鳥の糞が堆積しています。この蓄積して固まった鳥の糞を「グアノ」と呼び、かつては肥料の成分とするために、盛んにリン鉱石として採掘されました。と言うわけで、本日はこのグアノとサボテンの関係についてのお話です。本日、ご紹介しますのは、Benjamin T. Wilderらの2022年の論文、『Marine subsides produce cactus forests on desert islands』です。

グアノと鳥島
カリフォルニア湾には、オグロカモメやユウガアジサシ、アオアシカツオドリ、アメリカオオセグロカモメなどの海鳥が多く生息しています。場所によってはグアノが岩上に10cmも堆積しています。そのため、このような鳥島では、窒素やリンの濃度が高いため多くの植物は生えることが出来ないようで、植物の多様性は大幅に減少します。北アメリカ南西部では、エルニーニョやハリケーンにより降水量が多い年はグアノから窒素が流入し、土壌中の窒素は元の100倍に増加する可能性があります。しかし、カリフォルニア湾の鳥島では、サボテンが豊富で多様性が高くなっています。いくつかの島では、cardonと呼ばれるサボテンが高密度で生息します。cardonとはPachycereus pringleiのことで、カリフォルニア半島とソノラ本土のソノラ砂漠に広く分布する柱サボテンです。

240226012127846~2
Cardon
『Proceedings of the California Academy of Sciences』(1960-1968年)より。


同位体窒素の変動
グアノにはアンモニア態や硝酸態、あるいは尿酸の形で窒素が含まれます。これらは異なる速度で分解されます。窒素の原子量は14ですが、極わずかに原子量が15の同位体が存在します。グアノからはアンモニアが揮発し原子量14の窒素(14N)が多少失われるため、グアノは原子量15の同位体窒素(15N)の割合が増加します。自然環境下では、窒素同位体比が+25%を超えることは稀です。従って、植物そのものの15Nの割合を調べれば、グアノを栄養として取り込んだか否かが分かります。

鳥島のcardonは15N値が高い
San Pedro Martir島では、魚の15N値は平均+17.7%、海鳥の羽は平均19.7%でした。新鮮なグアノの15N値は平均14.8%でしたが、分解されて土壌中に残ったグアノの15N値は平均+32.4%に達しました。San Pedro Martir島のcardonは、15N値の平均は+30.3%でした。
また、鳥島ではないメキシコ湾の島の土壌の15N値は平均+15.0%、cardonでは+11.7%でした。バハ・カリフォルニア半島に生えるcardonの15N値は+8.13%、ソノラ本土に生えるcardonでは+11.2%でした。

鳥島の異様なサボテン密度
San Pedro Martir島のサボテン林の密度は、約2700本/haで、隣接する鳥島であるCholludo島では約23500本/haと言う桁違いに多くのcardonが生えています。バハ・カリフォルニアで約150本/ha、ソノラでは約60本/haですから、鳥島のサボテン密度は非常に高いものです。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
論文中のcardonとは
Pachycereus pringleiのことですが、日本では「武倫柱」の名前で知られている柱サボテンです。この論文では、武倫柱に対する鳥島のグアノの影響を調査しました。
鳥島であるSan Pedro Martir島の武倫柱の密度は1坪あたり0.9本、Cholludo島では1坪あたり8本にもなります。バハ・カリフォルニア半島の武倫柱は1坪あたり0.05本、ソノラ本土の
武倫柱は1坪あたり0.02本にしかなりませんから、いかにグアノが武倫柱の生育に影響を与えているかが分かります。
グアノに含まれる同位体窒素の割合により、
武倫柱はグアノ由来の窒素を大量に取り込んだことは明らかです。一般的に畑作では、肥料は与え過ぎると肥料焼けをおこして根をやられてしまうことが知られています。ですから、グアノの過剰な窒素やリン酸は植物には有害です。しかし、武倫柱は過剰な栄養素を取り込んで、異常な密度で生育することが出来るのです。


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最近忙しく、趣味に費やせる時間がありません。しばらくは、ブログも休みがちになるかも知れません。まあ、そんな感じですが、今日も我が家の多肉植物を少しご紹介しましょう。

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Euphorbia cap-saintemariensis
多肉質で葉が縮れるタイプの小型の花キリンです。冬の間は動きませんでした。E. decaryi系とされてきましたが、実際にはE. tulearensis系です。

240225015008595
神蛇丸 Euphorbia clavarioides var. truncata
意外に難しいと噂されている神蛇丸ですが、どうも上手く行きません。水を絞っていますが、何故か間延びしてしまいます。

240225015237303
Euphorbia viguieri var. capuroniana
ややトゲが強い印象のカプロニアナです。ただのヴィグイエリとの違いはまだ判然としません。

240225025425954
Euphorbia polygona var. noorsveldensis
去年はもう少し厳しく育てても良かったかも知れません。ノオルスヴェルデンシスはポリゴナ11変種の1つですが、違いはよく分かりませんね。


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しかし、アロエと言う植物は一般的であるにも関わらず意外と奥が深いもので、調べてみると知らないことばかりで驚かされることが多々あります。多肉植物の即売会などでも、見たことがない美しいアロエが何気なく販売されており、ついつい買ってしまい置き場所がなくて困っているくらいです。さて、と言うわけで本日はアロエの話題です。
アロエは似ているものも多く、分類が難しく混乱した経緯がある種も珍しくありません。また、ある種が他種に含まれてしまったりすることは、アロエに限らずですがよくあることです。しかし、そのことが問題を引き起こすこともあるようです。本日は
Gideon F. Smith & Ronell Klopperの2022年の論文、『Conservation status of the recently reinstated Aloe davyana, A. davyana var. subolifera, A. labiaflava (Asphodelaceae subfam. Alooideae), three maculate aloes emdemic to South Africa』を見ていきます。思わぬ問題が起きてしまいました。

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Aloe davyana
『Journal of South African botany』(1936年)より。Aloe verdoorniaeとして記載。

アロエの保全状況の評価
アロエの保全状況の評価は、1980年、1985年、1994年、1996年、1997年、1998年、2002年、2009年に実施されてきました。しかし、他種の異名に含まれたりして学名が変遷した場合、正確な評価が行われていない可能性があります。ここでは、学名が変遷した3種のアロエ、Aloe davyana var. davyana、Aloe davyana var. subolifera、Aloe labiaflavaの保全状況の評価を行います。

Aloe davyana var. davyana
Aloe davyanaは、1905年にSchonlandが記載して以来、大幅に変化しました。1987年にはGlen & Hardyが、Aloe greatheadii var. davyanaとしました。また、Reynolds(1950年)などにより、他の黄斑アロエを異名に含めるなど種の概念を拡張しました。
しかし、
2020年にSmithらが独立した種であることを示す証拠を提示しました。その他の黄斑アロエも、それぞれ独立しています。さらに、2021年にSmithらが、Aloe davyana var. suboliferaを復活させたことから、従来のAloe davyanaはAloe davyana var. davyanaとなりました。
しかし、Aloe davyanaは種の概念が変遷したため、これらの調査による種と対応していないものもあります。Aloe davyanaの初めての評価は、Glen & Hardy(1987年、2000年)に従いAloe greatheadii var. davyanaとして、2000年に実施されたRaimondoらのもので、軽度懸念としました。Aloe davyanaの最新の評価(Mtshaliら、2018年)では、異名としてAloe davyana var. subolifera、Aloe labiaflava、Aloe longibracteataが含まれています。

Aloe davyana var. davyanaは、南アフリカ中北東部の広い地域に分布し、草原とサバンナの低木地帯の両方の生息地の構成要素です。生息地の中心はGauteng州ですが、南アフリカでも人口の多い州です。金とプラチナの採掘により、大量の人口流入がありました。
このアロエは荒地でよく育ち、土壌を安定させて侵食を防ぐため、鉱山の尾鉱などで荒地に植えることが出来ます。
著作らは、Aloe davyana var. davyanaは分布域全体で一般的である、保護状況の観点からは軽度懸念であり、現時点では脅威にさらされていません。


Aloe davyana var. subolifera
Aloe davyana var. suboliferaは、1939年にGroenewaldにより記載され、Reynoldsら(1950年)により認められてきました。しかし、1987年にGlen & Hardyにより、Aloe greatheadii var. davyanaの異名とされました。
2020年にAloe davyanaが復活したことから、2021年には
Aloe davyana var. suboliferaも復活しました。Aloe davyana var. suboliferaは、長くAloe greatheadii var. davyanaの異名とされてきたため、保全状況は不明です。
変種suboliferaの分布範囲は、変種davyanaと比べて南アフリカ中北東部により限定されていますが、分布は重なります。非常に密な林分を形成することがあります。メトロポリスを含むShoshanguve市はその全体が変種suboliferaの分布範囲に含まれます。さらに、高速道路に隣接する地域にも生えています。都市化と人間の定住は分布に影響を与えています。また、いくつかの保護区にも分布しますが、狩猟や畜産に焦点を当てており、自然火災は意図的に防がれています。そのような状況では、低木が草原に侵入し生態系や植物の多様性に悪影響があるかも知れません。また、家畜による撹乱や過放牧は変種suboliferaの個体数の増加をもたらす可能性があります。著作らはAloe davyana var. suboliferaは、分布域が狭いにも関わらずその全域でよく見られることを発見しました。保護状況の観点からは軽度懸念であり、現時点では絶滅の危機に瀕していません。

Aloe labiaflava
Aloe labiaflavaは、1936年にGroenewaldにより記載されました。Reynolds(1950年)は、「Aloe labiaflavaはAloe davyanaとAloe longibracteaの交雑種である」と結論づけました。1987年のGlen & Hardyは、Aloe labiaflavaはAloe greatheadii var. davyanaの異名としました。
しかし、
2021年にSmith & Klopperは、Aloe labiaflavaは交雑種(nothospecies)ではないことを示し、独立した種として復活しました。Aloe labiaflavaも保全状況は不明です。
Aloe labiaflavaは他の2種より分布範囲が小さく、Mpumalanga西部のGemsbokspruit近くの狭い地域に限定されます。都市の拡大により約200個体が知られているだけです。絶滅危惧種に相当します。


最後に
以上が論文の簡単な要約となります。
分類学はただ名前をつけるだけではなく、生物の保全のためにも重要です。異なる種が混同されてしまえば、正確な分布や個体数の把握は意味をなさなくなります。実際に論文でも、いくつかの種が混同されており、そのすべてを含めた調査がなされていたことが指摘されています。種の混同は、絶滅危惧種を保護の必要がないものと誤認させてしまいます。A. davyanaは絶滅の可能性はないようですが、A. labiaflavaは絶滅危惧種であるにも関わらずただの雑種として捨て置かれる可能性がありました。種の保全とその把握のためにも、分類学的研究が進展して欲しいものですね。


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今週は天気が荒れがちです。先週は春の陽気でしたが、また冬に逆戻りですね。何やら雪が振るとか言っていますが、どうでしょうか? 今日も我が家の多肉植物の様子を少しご紹介しましょう。

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Euphorbia phillipsiae
フィリプシアエが開花を始めました。小さい花は長く咲き続けます。
異名のE. golisanaから、「ゴリサナ」とか「ゴイサナ」の名前で流通しています。ソマリアもの。


240222052605400
Euphorbia aerginosa
もっともポピュラーなユーフォルビアの1つです。開花しましたが、ユーフォルビアの中では花は少し大き目です。

240222052229971
Aloe calcairophila
Guillauminiaとされたこともある小型アロエ。葉が回転せず2列性のまま育つようです。マダガスカルの高地性種。


240222052040995
Tulista kingiana
やや怪しい色合いのキンギアナです。
ツリスタはハウォルチアから分離・独立しました。2013年にG. D. RowleyによりT. pumilaとT. marginataがツリスタになりましたが、T. kingianaは2017年にGideon F. Smith & Moltenoによりツリスタとされました。では何故、G. D. Rowleyは2013年にキンギアナをツリスタにしなかったのでしょうか? これは実に頭の痛い問題でしたが、これはすでに解決済みです。
そもそも、キンギアナは1937年にVon PoellnitzによりHaworthia kingianaとして記載されました。しかし、G. D. Rowleyは、PoellnitzのHaworthia kingianaを初めて記載した論文として、1936年の論文を参照として学名の変更を行いました。要するに参照として引用した論文が間違っていたため、これは有効な学名として認められなかったのです。そのため、2017年に新ためてGideon F. Smith &  Moltenoが、1937年のPoellnitzの論文を正しく引用しキンギアナをツリスタに変更したのです。


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ユーフォルビアは世界中に分布しますが、サボテンのような多肉質な種類のものは限られた地域に分布します。その多くは乾燥地への適応です。多肉質なユーフォルビアは、南北アメリカ大陸やオーストラリア、アジア地域にも分布しますが、その中心はアフリカ大陸です。特にアフリカ南部やアフリカ大陸東岸には豊富に分布します。しかし、アフリカの角の向岸であるアラビア半島や北アフリカのマカロネシア(Macaronesia)と呼ばれる島々にも多肉質なユーフォルビアは豊富です。普段あまり話題にならないこのような地域のユーフォルビアについて書かれた論文を見つけたのでご紹介しましょう。それは、A. Tahaらの2023年の論文ら『Comprehensive review of morphological adaptations and conservation strategies of cactiform succulents: A case study of Euphorbia species in arid ecosystems』です。

サボテン状ユーフォルビアの分布
稜(rib)を持つサボテン状ユーフォルビアはアフリカ大陸原産です。これらの植物はアフリカとアラビア半島のホットスポットで見られ、「Rand Flora」として知られる大陸全体に共通する古代植物相の生き残りです。これらの種は中新世の乾燥により湿潤地域に移動したため、その分布は2つの地域の境界付近にありました。結果として、マカロネシアと東アフリカ、アラビア半島南部の多肉質のユーフォルビアは、生態学的、地理的、系統学的な特徴を共有しています。

マカロネシアと中央アトラスを含む北西アフリカでは、このサボテン状ユーフォルビアはマカロネシア・グループであると考えられています。アラビア半島地域はSomaliaMasaii固有中央地域(SomaliaMasaii Center of Endemism)の一部でもあり、アラビア、アフリカ、地中海地域の植物が混在します。アラビア半島南西部のサボテン状ユーフォルビアは、約2300万年前の紅海開口後に出現したようです。これらの地域のサボテン状ユーフォルビアは、島、海岸地域、高地や高山など、海洋霧の影響を受ける地域でよく見られます。海洋霧は持続的に水分を供給する水資源です。

マカロネシアとアラビア半島のサボテン状ユーフォルビアの特徴
マカロネシアとアラビア半島のサボテン状ユーフォルビアの特徴は、腺(Glant)の数は5〜6個で付属器はなく、種子は無鉤形で、茎は柱サボテンのように稜(rib)があり、トゲは対になって互生します。単純な集散花序か緑色の茎につきます。シアチアは3つのセットを形成し、中央のシアチアは通常は雄性で始めに開花し、側方の2つのシアチアは両性です。

マカロネシア近辺のサボテン状ユーフォルビア
①E. resinifera
モロッコの固有種。トゲのあるサボテン状ユーフォルビア。通常は4本のribがあり、葉のない茎があります。主に石灰質カルスト台地に分布します。
230715093946951

②E. officinarum subsp. beaumieriana
=E. officinarum subsp. officinarum
モロッコの固有種。トゲのあるサボテン状ユーフォルビア。葉のない茎に、8〜13本のribがあります。海抜300mまでの大西洋岸に頻繁に見られます。通常は石灰質台地上に見られます。
※現在、亜種officinarumは、亜種beaumierianaとは区別されています。

③E. officinarum subsp. echinus
分布は非常に広く、モロッコとマカロネシアの飛び地をカバーしています。モロッコ南部の海抜1900m以上で、岩の多い場所で育ちます。


マカロネシアのサボテン状ユーフォルビア
①E. handiensis
カナリア諸島のFuerteventura島の固有種。海抜50〜300mに見られます。トゲのあるサボテン状ユーフォルビアです。葉のない茎には8〜14本のribがあります。崩積土で生育します。E. officinarum ssp. echinusと関係します。
230916135410420

②E. canariensis
カナリア諸島の固有種で、Lanzarote島を除くすべての島に分布します。海抜900mまでの岩の多い斜面、崖、溶岩に生育します。通常は高さ2〜4mで、4本のribがあります。
230617081132372

アラビア半島のサボテン状ユーフォルビア
※2000年以降にアラビア半島のサボテン状ユーフォルビアが複数種の新種が記載されました。せっかくですから、いくつかは画像のリンクを貼りました。

①E. madinahensis
サウジアラビアの固有種。高さ1.5mまでで、茎は3〜5本のribがあります。標高1050〜2350mの降水量の少ない花崗岩地に生えます。2007年に記載された絶滅危惧II(VU)。
https://guatemala.inaturalist.org/taxa/785985-Euphorbia-madinahensis

②E. saudiarabica
サウジアラビア南西部のQunfudhah-Djizan地域の固有種。高さ3mに達することもあり、3〜5本のribがあります。2007年に記載された絶滅危惧IB類(EN)。
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:77084100-1

③E. parciramulosa
イエメンとサウジアラビアの固有種。3〜4つのribがある、マカロネシア・ユーフォルビアの姉妹です。標高400〜2000mの低山の麓の、岩石と花崗岩の砂質土壌に生育します。

④E. taifensis
サウジアラビアの固有種。高さ10mに及び、3〜6(7)のribがあります。標高1700〜2100mのワジ(枯れ川)の石の多い土壌や、岩の多い斜面に見られます。2007年に記載されました。
https://www.inaturalist.org/observations/115071557

⑤E. collenetteae
紅海の島々や海岸沿いに生育します。茎は3〜8本のribを持ち、基部から枝分かれし高さ3〜4mになります。海抜75mまでの玄武岩質の露頭やサンゴ由来の土壌にも生育します。準絶滅危惧種への指定が提案されています。2007年に記載されました。

⑥E. cacturs
エリトリア、エチオピア、アラビア半島を含むSomaliaMasaii地域が分布の中心です。特にFayfa山脈、イエメン、オマーンのDhofar地域に生息します。標高2000mまでの岩の多い斜面や河原の石の堆積物にも生息します。3(まれに4または5)のribがあり、高さ1〜3mになります。

⑦E. inarticulata
アラビア半島の固有種。イエメンとサウジアラビアの固有種。茎は3〜5つのribがあり、高さ2mになります。標高300〜2000mの崖や石の多い場所に生育します。
https://www.inaturalist.org/taxa/1116311-Euphorbia-inarticulata/browse_photos

⑧E. fruticosa
イエメンの固有種。高さ約40cmで、茎は7〜10つのribがあります。ribは時として12本になります。標高1094〜2200mの崖や岩の多い平原に生えます。

⑨E. fractiflexa
イエメンとサウジアラビアの固有種。茎は3つのribを持ち、高さは最大2.5mになります。一般に標高150〜539mの海岸平野の岩の多い砂利や石の土壌に生育します。

https://www.inaturalist.org/taxa/1177654-Euphorbia-fractiflexa

⑩E. ammak
イエメンとサウジアラビアの固有種。高さ10mになる
2007年に記載されました。茎は通常4つのribを持ち、枝先は乱れることがあります。標高1000〜2500mの岩場に生育します。
https://uk.inaturalist.org/taxa/192176-Euphorbia-ammak

⑪E. momccoyae
オマーンのDhofar州の固有種。茎は5〜6つのribがあり、高さ1.25mで主茎から10〜30本の枝を出します。イエメンと国境を接するアラビア湾の海岸沿いの石灰岩の崖に生育します。インド洋の南西モンスーンの影響により、標高1000mまで見られます。2011年に記載されました。

https://www.inaturalist.org/observations/58404648

最後に
モロッコはアフリカ大陸のユーフォルビアの中心を考えると、アフリカ大陸の中では外れに位置します。E. officinarumやE. resiniferaは園芸的には珍しい種ではありませんが、面白いユーフォルビアです。モロッコに近いカナリア諸島を代表する2種のユーフォルビアは、かつて読んだ報告ではE. handiensisはE. officinarumと近縁ですがE. canariensisはアラビア半島経由で入ってきた種ではないかとされていました。さらなる研究が望まれます。
しかし、アラビア半島から沢山の新種が見つかっていることを初めて知りました。調査が未開拓な地域もまだまだあるのでしょう。これからも新種が見つかるホットな地域なのかも知れません。これは目が離せませんね。


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春一番が吹き荒れましたが、暖かい日が続きました。何やら週末はまた寒くなるみたいですね。

240219005351051
Tylecodon buchholzianus
ティレコドンは塊茎があり太るものが人気ですが、ブクホルジアヌスの繊細で密な枝も良いものです。去年の12月に入手しましたが、しかしまったく葉が出ませんなあ。

240219004329615
Euphorbia hedyotoides
ヘディオトイデスの小さな実生苗です。実は野生のヘディオトイデスは、本来埋まっている塊根の上部から、地面に水平に根を伸ばすそうです。塊根は埋めておいた方が早く大きくなると言いますが、ヘディオトイデスの場合は違いが顕著に出そうです。ですから、小さい内は埋めておいた方が良さそうですね。
そう言えばヘディオトイデスの枝は「hedyotoides型分岐」と言う面白い分岐の仕方をします。新しい枝を出す短枝と、長く伸びて分岐しない長枝を繰り返して生長します。


240219004817581
Astroloba spiralis
Astroloba spirellaとも言われますが、これは学術名ではありません。19世紀初頭にHaworthia spirellaとかAloe spirellaと呼ばれたことはありますが、Astrolobaとされずに消えた名前です。他にもA. pentagonaもA. spiralisの異名とされますが大型です。おそらく、A. halliiと呼ばれているものは、このA. pentagona系なのでしょう。ちなみに、A. halliiは裸名で学術名ではありません。


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Astroloba hallii
ハリーは、Astroloba hallii nom. nud.です。この"nom. nud."は「裸名」と言われ、学術的に認められていない正当に発表や記載がなされていない、いわゆるなんちゃって学名、というか学名ではなく「学名風」なだけのあだ名みたいなものらしいです。アストロロバ・ハリーはペンタゴナ系と同一とされているようです。他にも、1783年に命名されたAloe cylindracea Lam.はペンタゴナのことらしいです。
ペンタゴナは大型で、一見してスピラリスとは似ていません。また、ハリーはペンタゴナの白みが強い個体につけられた園芸名みたいなものなのかもしれません。ペンタゴナとハリーは色以外はよく似ています。


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あれは去年の秋のことでした。鶴仙園で行われたPlant's Workとのコラボイベントに行った時のことです。「Astroloba aspera」と言う名前の美しい多肉植物を購入しました。外見的にはアストロロバですが、どうも聞いたことがない名前です。どのような植物なのか、少し調べてみました。

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Astroloba aspera

配置のない名前
あまり情報がない、と言うかアストロロバ自体が情報のない植物です。調べても販売サイトばかりなので、まずはキュー王立植物園のデータベースを見てみましょう。

Astroloba aspera (Haw.) Uitewaal
Synonym of : Aloe aspera Haw.

おやおや、これはおかしいですね。Astroloba asperaはAloe asperaの異名だと言うのです。アロエには見えませんが…。とりあえず、Aloe asperaを見てみましょう。

Aloe aspera Haw.
This name is unplaced
Unplaced names are names that cannot be accepted, nor can they be put into synonym


まあ、何となく分かりました。
「配置されていない名前は受け入れられず、異名にも含めることが出来ない名前です。」
配置されていない名前とは、まあ要するに当てはまるものがないと言うことでしょう。その理由は、正しい名前が存在しないであるとか、タイプ標本が知られていないためどの種か鑑定出来ない、あるいは文字資料だけでは同一性を確立出来ないといったあたりでしょう。

何故、アロエなのか?
何故、アロエなのかと言うと、現在のハウォルチアやアストロロバはすべてアロエだったからです。アロエはCarl von Linneが現在の学名のシステムを作った1753年に作りました。つまり、「Aloe L.」です。その後、1809年にHaworthが「Haworthia Duval」を提唱し、1947年にUitewaalが「Astroloba Uitewaal」を提唱し、アロエから独立していきました。アストロロバはアロエ→ハウォルチア→アストロロバと言う経緯をたどりました。
現在、Astroloba asperaと呼ばれている植物が何者であるかは、実はまったく重要ではありません。一番始めに記載された名前であるAloe asperaとは何者かです。なぜなら、現在語られるAstroloba asperaとHaworthが記載したAloe asperaが、果たして同じ植物を指しているのか分からないからです。


Haworthの記述
では、初めにAloe asperaが記載された時、どのような表記がされていたのでしょうか。データベースでは以下のように書かれていました。

First published in Trans. Lin. Soc. London 7 : 6 (1804)


これは、1804年に出版された、「Transactions of the Linnean Society of London」の7号6ページに記載があると言うことです。とりあえず探して見ました。
240216225435728~2
この表記がAloe asperaの初めての記述となります。内容はまずラテン語で特徴が記してあります。ラテン語は分からないので、合っているかは分かりませんが、機械翻訳にかけてみます。
「アロエの葉は、三辺が円形の卵形で尖った緑色。上は凹面。下に非常に結節があり、茎は短い。」
やや怪し気な訳文ですが、意味は理解出来ます。また、簡単過ぎる気もしますが、よく特徴を捉えています。
また、下にある英語文は、「この種は栽培が難しく、おそらくヨーロッパでは長く生き残ることはないでしょう。」とあります。本格的な温室栽培が広まる前だったものかも知れません。なんせ、1804年の記述ですからね。
気になるのは中段です。おそらくは採取情報で、南アフリカでMassonが採取したと読めます。Massonと言えば、キュー王立植物園が派遣した公式では初めてのプラントハンターである、Francis Massonが思い浮かびます。Massonは1772年から南アフリカで植物採取を行い、1775年に帰国しました。この採取旅行により採取された標本をもとに、Haworthが新種として記載したのでしょうか。

問題点?
さて、この記載のどこに問題があるのでしょうか? とりあえず、標本があれば万事解決なのですが、Massonの標本は現存しないのでしょう。イラストがありませんから、ラテン語の特徴だけでは判別が難しいのかも知れません。

図版を探す
古い図版を探して見ました。Salm-Dyckが1836年に出版した、『Monographia geneum aloes et mesembryanthemi』の図版を見てみましょう。
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私のAstroloba asperaと言う植物に非常によく似ています。しかし、このような図版があるにも関わらず、タイプとして指定されていないのは少し不思議です。まあ、Aloe asperaは1804年ですから、Haworthの記述と同じ種であるかは分かりません。

A. corrugata?
そう言えば、2022年にアストロロバは何種類あるか調べた記事を書いたことがあります。その時はAloe asperaはAstroloba corrugataの異名と書きました。

しかし、Aloe asperaは「配置されていない名前」となっていますから、情報が更新されているようです。今回改めてAstroloba corrugataの情報を見てみると、以下のような記述ががありました。

Heterotypic Synonyms
Apicra aspera var. major Haw., 1819
Haworthia aspera var. major (Haw.) Parr., 1971


A. corrugataはA. asperaではなく、Apicra aspera var. majorを指すと言うのです。と言うことは、Salm-Dyckの図版も、A. asperaではなくA. aspera var. majorを指していたのかも知れません。ちなみに、Apicraとはハウォルチアなどを含んでいた今は現存しない属名です。Aloe asperaも1811年にApicra asperaとする意見がありました。

Astroloba corrugataとは?
Astroloba corrugataと言っても様々なタイプがありますが、ここではAstroloba asperaに似たタイプの野生個体の写真を探してみました。

https://www.inaturalist.org/photos/329261689

https://www.inaturalist.org/photos/245276813


Aloe asperaとは?
結局、Aloe asperaとは何かは分かりませんでした。おそらく、現在流通しているAstroloba asperaとはAstroloba corrugataのことであり、タイプとしてはApicra aspera var. majorにあたるのでしょう。しかし、Haworthの記述したAloe asperaとは何者だったのでしょうか? 今後もHaworthやUitewaalの記述を探してみます。何か分かりましたら、また記事にします。


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エキノプシスは割と庶民的なサボテンで、短毛丸などは庭先に放置された鉢でも花を咲かせていたりします。さて、どうもエキノプシスと言えばそのようなイメージだったわけですが、神代植物公園の大温室に行った時に意外な事実に遭遇しました。益荒丸と言う巨大な柱サボテンが植えられており、ネームプレートには「Echinopsis rhodotricha」とありました。驚くべきことに、この巨大な柱サボテンがエキノプシスだったのです。

DSC_0585
益荒丸 Echinopsis rhodotricha
エキノプシスに見えませんが、ネームプレートにはそうありました。


いつの間にやら全部Echinopsis
また、トリコケレウス属を調べていた時に、いくつかの種類がエキノプシスとされたことがあることを知りました。これは一体どういうことなのでしょうか? まず、トリコケレウスがエキノプシスに含まれるとした考え方に対する、いくつかのサイトの説明を見てみましょう。

「問題は1974年にH. friedrichが、EchinopsisとTrichocereusは種子や花により区別出来る違いはなく、区別して分類すべきではないことを発見しました。そして、Echinopsisの方が(命名が)早いため、TrichocereusはEchinopsisに折り畳まれます。サン・ペドロ(=Trichocereus)をEchinopsisの一部には呼ぶことも正しいのでしょう。」

「1974年にH. FriedrichはTrichocereusとEchinopsisの花は同じ種類であると結論付けました。彼の主張では、子房と花管にトゲはないが毛があり、開放型あるいは散在型の蜜腺と、2連の雄しべがあると言うものでした。結論は、Echinopsisが古い属であると言う事実により、Trichocereusのすべての種はEchinopsisに再分類されました。」


遺伝子解析
以上のように、1974年にTrichocereusはEchinopsisの一部であると言う意見が出されました。もし、サイズ以外の違いがないのなら、それは正しい意見と言うことになります。では、外見上の違いではなく、遺伝的な違いはどうでしょうか? ここでは、Boris O. Schlumpberger & Susanna S. Reinnerの2012年の論文、『Molecular Phylogenetics of Echinopsis (Cactaceae): Polyphyly at all levels and convergent evolution of pollination modes and growth forms』を見てみましょう。内容は省略して、遺伝子解析の結果だけ見てみましょう。

遺伝子を解析して分子系統を作成しています。とりあえず、Echinopsisを含むグループは4つに大きく分けられるようです。ここでは仮にA、B、C、Dとしました。また、現在のキュー王立植物園のデータベースの情報も加えました。

          ┏━━D
      ┏┫
      ┃┗━━C
  ┏┫ 
  ┃┗━━━B
  ┫
  ┗━━━━A

グループA
グループAは、E. famatimensisとE. bonnieaeが含まれます。
実はグループBとグループDにもEchinopsisが含まれるため、グループAに含まれる種はEchinopsisとすべきではありません。この2種はかつてはLobiviaとされてきましたが、本来のLobiviaとも系統的に遠い種です。現在はReicheocactusに分類されています。


グループB
グループBは非常に複雑ですから、以下に分子系統を示します。

          ┏━━B4
      ┏┫
      ┃┗━━B3
  ┏┫ 
  ┃┗━━━B2
  ┫
  ┗━━━━B1

B1はArthrocereusです。

B2はCleistocactus(C. bmaumannii、C. smaragdiflorus)、Espostoa、Weberbauerocereus、Yungasocereus、Cephalocleistocactus、Samaipaticereusからなります。
ただし、現在はCephalocleistocactusはCleistocactusに吸収されました。また、B2に含まれるEspostoa(E. guentheri)はVatricaniaとなっています。

B3はHarrisiaと、E. terscheckii、E. atacamensisからなります。
B3に含まれるEchinopsisは、現在では
Leucosteleとされています。

B4はすべてEchinopsisです。E. tubiflora、E. aurea、E. oxygona、E. calochloa、E. densispina、E. haematantha、E. chrysantha、E. breviflora、E. jajoana、E. marsoneriからなります。かつてLobiviaとされたものが多いようです。

Echinopsisと呼ばれる種は、この時点でB3とB4に含まれています。属は近縁でまとまりのあるグループですから、B4のみをEchinopsisとするか、B3とB4を合わせてEchinopsisとするかしかありません。後者の場合、HarrisiaはEchinopsisに吸収されてしまいます。著者らは前者の立場です。つまり、B4に含まれる種のみをEchinopsisと考えるのです。また、Harrisiaは遺伝的にまとまりがありますから、Harrisia以外のB3に含まれるEchinopsisにも新たな名前が必要となります。著者の
SchlumpbergerはLeucosteleを提唱し、現在は認められています。

グループC
グループCはOreocereusの仲間です。Oreocereus、Pygmaeocereus、Mila、Oroya、Haageocereus、Rauhocereus、Matucanaが含まれます。ただし、B2に含まれていたCleistocactusやEspostoaも含みます。つまり、CleistocactusとEspostoaは近縁ではない種で構成されていたと言うことになります。また、グループCのCleistocactusとMatucanaは単系統ではなく、まとまりがありません。グループC全体の見直しが必要です。
現在、PygmaeocereusはHaageocereusに吸収されました。グループCに含まれているCleistocactusは、Loxanthocereus(C. sextonianus)やBorzicactus(C. sepium)となっています。CleistocactusはグループBに含まれる方を指します。しかし、これでも整理が中途に思えます。


グループD
グループDも非常に複雑です。

              ┏━D5
          ┏┫
          ┃┗━D4
      ┏┫
      ┃┗━
━D3
  ┏┫ 
  ┃┗━━━D2
  ┫
  ┗━━━━D1


D1はDenmozaとAcanthocalycium、E. mirabilis、E. leucanthaからなります。しかし、B4を本来のEchinopsisとした場合、D1に含まれる種はEchinopsisではありません。
現在、E. 
mirabilisはSetiechinopsisとなり、E. leucanthaはAcanthocalyciumとなっています。私が植物園で見た巨大なEchinopsisはD1に含まれ、現在はAcanthocalyciumとされています。

D2はE. pachanoiとE. lageniformisからなります。旧Trichocereusです。
現在、E. pachanoiはTrichocereus macrogonus var. pachanoiとなっています。E. lageniformisはTrichocereus bridgesiiと呼ばれていましたが、データベース上ではEchinopsisのままです。

D3のE. saltensisやE. chamaecereus、E. schreiteriは、かつてLobiviaとされたこともありますが、現在は著者によりChamaecereusとされています。また、E. formosaやE. warteri、E. huascha、E. strgona、E. rowleyi、E. lobivioides、E. bruchii、E. candidens、E. angelesiae、E. hahnianaは、LobiviaやTrichocereusとされたこともありますが、現在は著者によりSoehrensiaとされています。
D3は本来のEchinopsisとは近縁ではなく、Lobiviaの姉妹群です。

D4にはE. pereziensis、E. bridgesii、E. sucrensis、E. caineana、E. mamillosaが含まれます。D4は元よりEchinopsisとされて来ましたが、本来のEchinopsisとは近縁ではなく、著者によりLobiviaとされています。
D5にはE. rojasii、E. calorubra、E. obrepanda、E. calliantholiacina、E. coronata、E. pojoensis、E. callichroma、E oligotricha、E. boyuibensis、E. subdenudata、E. cardenasiana、E. ancistrophora、E. chrysochete、E. schieliana、E. maximiliana、E. tegeleriana、E. hertrichiana、E. arachnacantha、E. tiegeliana、E. pentlandii、E. cinnabarina、E. ferox、E. lateritia、E. pugionacantha、E. backebergii、E. tacaquirensis、E. yuquinaが含まれます。D5はもともとLobiviaとされてきたグループです。
D4はよくまとまったグループであるため、D4とD5を別属とすることも可能なような気もしますが、著者らは合わせてLobiviaとしています。


最後に
よく見てみると、Echinopsisとされる種は、他の柱サボテンの属のあちこちに散在することが分かります。つまり、現在Echinopsisと言われている種は、まとまりがない雑多な寄せ集めでしかないと言うことです。また、グループDはEchinopsisと近縁ではなく、外見的類似により統合されてしまったことは明らかです。明確にLobiviaやTrichocereusは分離可能です。一方で、あちこちに現れるEchinopsisは、著者により新属とされました。
論文はすべてのEchinopsisとされる種の遺伝子を確認したわけではありませんから、名前がないものも多いでしょう。さらに、この論文の結果がすべて分類学的に反映されているわけでもありません。しかし、形態学的な分類が難しいEchinopsisが、分けられることが明らかとなりました。消滅したTrichocereusも復活し、Echinopsisとよく似た近縁ではない種も独立し、Echinopsisは大幅に縮小しました。最盛期は100〜150種と目されていたEchinopsisも、今や20種しかありません。
せっかくですから一覧を示して終わります。

Echinopsis albispinosa
Echinopsis aurea
Echinopsis breviflora
Echinopsis calochlora
Echinopsis chalaensis
Echinopsis chrysantha
Echinopsis clavata
Echinopsis cuzcoensis
Echinopsis densispina
Echinopsis haematantha
Echinopsis jajoana
Echinopsis lageniformis
Echinopsis marsoneri
Echinopsis oligotricha
Echinopsis oxygona
Echinopsis rauschii
Echinopsis rojasii
Echinopsis tacaquirensis
Echinopsis torrefluminensis
Echinopsis werdermannii



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先週は世界らん展日本大賞に行って参りましたが、行列と人混みで妙に疲れてしまいました。今週は人の少ない冬の植物園でも行って、のんびりと散策する予定です。
さて、日中は妙に暖かい日もあり、何やらすでに春の気配もあります。あまり寒くない冬でしたね。本日も我が家の多肉植物を少しご紹介しましょう。


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Euphorbia dichroa
ディクロアは根元から枝が吹いてきました。叢生するようですから、将来的には中々面白い姿になりそうです。そう言えば細長く伸びるユーフォルビアは何種類かありますが、これほど細くヒョロっとしたものはあまりないような気がします。枝は柔らかく、水が切れると少し倒れたりします。
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よく見ると美しい模様があります。

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Portulacaria namaquaensis
Ceraria namaquaensis
去年の11月に入手してから、かなり生長しました。
ほとんど暖房はかけていませんが、暖冬の影響か生長が止まりません。日照が弱いのでやや徒長気味かも知れませんが。
そう言えば、Ceraria属は遺伝的にはPortulacaria属と分離出来ないことが明らかとなっています。
Portulacaria属の方が命名が早いため、Ceraria属はPortulacaria属に吸収されました。そのため、Ceraria属はすべてPortulacaria属となっています。

240215001320540
Haworthia chloracantha var. denticulifera
クロラカンタは軟葉系ハウォルチアですが、軟葉系に期待されるような透き通った美しい「窓」はありません。しかし、硬葉系とも異なる独特の美しさがあります。この色も実に良いですね。変種デンティクリフェラ。

240215001614036
Haworthia chloracantha var. subglauca RIB 0099
こちらもクロラカンタですが、変種スブグラウカ(サブグラウカ)になります。フィールドナンバーつきで、非常に野趣溢れる姿です。こうなると、変種クロラカンタも欲しくなってしまいますね。

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皇帝
Tulistaの交配種の皇帝です。T. marginata系でしょうか。まだ小さいのですが、割と大型になり貫禄ある姿になります。育てるのに相当な年数がかかりますが、ゆっくり育てていきます。



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最近、トリコケレウスの誕生やその経緯について記事にしました。内容的にはSofia Albesiano & Roberto Kieslingの2012年の論文、『Identity and Neotypification of Cereus macrogonus, the Type Species of the Genus Trichocereus (Cactaceae)』を参照としました。しかし、この論文には続きがあり、Trichocereus peruvianusやTrichocereus pachanoiはTrichocereus macrogonusに含まれるというのです。一体どういうことなのか、内容を見て見ましょう。
ちなみに、トリコケレウスは、始めはケレウス属でトリコケレウス属とされ、最終的にエキノプシスとされました。ですから、同じ種でも複数の名前が出て来ますから、ご注意下さい。

Trichocereus macrogonus
=Cereus macrogonus
=Echinopsis macrogona

Trichocereus pachanoi
=Echinopsis pachanoi

Trichocereus peruvianus
=Cereus peruvianus
=Echinopsis peruviana

また、Trichocereusの命名の経緯を記事にしていますから、こちらを先に読んだ方が理解がしやすいと思います。


T. peruvianusとT. pachanoi
Britton & Rose(1920年)は、Trichocereus peruvianusとTrichocereus pachanoiという2種類の新種のトリコケレウスを記載しました。
T. macrogonusとT. peruvianusの密接な関係は、Backeberg & Knuth(1936年)を含む数人の著者により言及されていますが、Backebergの一部の著書ではこの意見を支持していません。Ritter(1981年)は、野外観察に基づきT. peruvianusをT. pachanoiの1種であることを提案しました。ただし、RitterはT. macrogonusには言及していません。
Madsen(1989年)は、E. pachanoiを詳細に説明し、T. peruvianusを異名として挙げています。この時のE. pachanoiの図は非常に明瞭で、その説明は、Cereus macrogonusを記載したSalm-DyckのC. macrogonusの説明と一致しています。


T. macrogonusとは?
Huntら(2006年)は、E. peruvianaとE. pachanoiを種として認識していましたが、E. macrogonaは「元の用途が不明または議論の余地がある名前」のカテゴリーにリストアップしました。Huntらによると、「E. macrogonaの現代の記述は、オリジナルから逸脱しており、その名前は誤って適用されている可能性がある」としています。しかし、その根拠は示されませんでした。もっともらしい仮説として、この判断がアマチュアの温室で栽培された植物を観察したものではないかというものです。つまり、栽培されている植物がSalm-Dyckの記述に対応していないだけではないかと言うのです。

トゲが異なると言う記述
トゲの有無とサイズが、T. peruvianusとT. pachanoiを区別する主な特徴であるとされています。しかし、T. pachanoiの最初の記述はタイプ標本で見られるように、トゲのないものから長さ1〜2cmで3〜7本まで多様性があります。Schultes & Hoffman(1979年)は、栽培されたT. pachanoiにはトゲはありませんが、野生条件下ではトゲが発達すると指摘しました。著者らも、T. pachanoiを比較的暗い場所から直射光が当たる場所に移動した際、同じ経験をしました。
標本や写真、参考文献、Britton & Roseの説明などを見ると、T. peruvianusは高さ2〜4m(最大5m)で、T. pachanoiは高さ3〜6m(最大7m)です。特徴を以下に示します。

T. macrogonus v. macrogonus
=T. peruvianus
古いアレオーレにもトゲは18〜20本あり、そのうち3〜4本はより強く頑丈で長さ約5cmになります。枝は直立あるいは斜上し、幹は太く直径16〜20cmになります。

240213214531251~3
Trichocereus peruvianus Britton & Rose
『The Cactaceae, II』(1920年)より。
T. peruvianusはこのBritton & Roseの著作において命名されました。


T. macrogonus v. pachanoi
=T. pachanoi
古いアレオーレにはトゲがないか少なく場合があり、3〜7本です。トゲは同じサイズで長さ約1〜2cmです。茎は直立し互いに平行になります。 茎は細く直径6〜11(〜15)cmとなります。

240213214523597~2
Trichocereus pachanoi Britton & Rose
『The Cactaceae, II』(1920年)より。
T. pachanoiはこのBritton & Roseの著作において命名されました。


T. macrogonusに含まれる
種が初めて記載された時の記述と、実際のTrichocereusを比較した結果、C. macrogonusはT. peruvianusと同種です。T. pachanoiは同種ではあるが、区別可能です。形態学的および遺伝的証拠による分類学的分析により、T. peruvianusとT. pachanoiとの間に密接な関係があることが確認されています(Albesiano & Terrazas, 2012年)。
一方でフィールドで植物を広く観察したRitter(1981年)やMadsen(1989年)が、それぞれT. peruvianusとT. pachanoiを認識していたことは注目に値します。これらは、別の2種ではなく、同一種内の変種としました。

T. macrogonusの履歴書
以上が論文の簡単な要約です。
初めてC. macrogonus=T. macrogonusを記載したSalm-Dyckの記述は、T. peruvianusの特徴とよく符合します。著者らはT. macrogonus=T. peruvianusであると主張します。さらに、T. pachanoiは形態学的にも遺伝的にもT. peruvianusと近縁ではあるものの、はっきりと判別出来ることからT. macrogonusの変種としました。ここで、T. macrogonusの異名についてまとめてみましょう。

T. macrogonus系
1850年 C. macrogonus
1909年 T. macrogonus
1920年 T. peruvianus
1931年 C. rosei
1956年 T. puquiensis
              (publ. 1957)
1957年 T. trichosus
1974年 E. macrogona
              E. peruviana
              E. puquiensis
              E. trichora
1981年 T. pachanoi f. peruvianus
              T. tacnaensis
1998年 E. peruviana ssp. puquiensis
2013年 T. macrogonus v. peruvianus
               (publ. 2012)
2014年 T. peruvianus ssp. puquiensis


T. pachanoi系
1920年 T. pachanoi
1931年 C. pachanoi
1956年 T. santaensis
              (publ. 1957)
1958年 T. schoenii
1974年 E. pachanoi
              E. santaensis
              E. schoenii
1981年 T. torataensis
2012年 T. macrogonus v. pachanoi
2022年 T. macrogonus ssp. sanpedro


現在の分類は著者らの主張通りとなっています。見てお分かりのように、エキノプシスに統合する動きがありました。現在はエキノプシスではなくトリコケレウスとされています。しかし、現在はトリコケレウス属自体が縮小しています。具体的には、T. macrogonus、T. spinibarbis、T. uyupampensis(=E. glauca=T. glaucus)のわずか3種類です。エキノプシスと言う肥大化したグループについても、気になっていますから、そのうち記事にする予定です。


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多肉植物にはトゲが生えているものもありますが、特にサボテンやユーフォルビアには強いトゲを持つものがあります。サボテンもユーフォルビアも、新しいトゲは美しいものが多いですよね。冬でも新しいトゲを出すものもありますから、少しトゲの写真を撮ってみました。

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Gymnocalycium ferocior
フェロキオル(フェロシオール)は良いトゲが出ています。冬は室内で植物用ランプをガンガン当てています。


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Gymnocalycium spegazzinii
天平丸も綺麗な黒いトゲが出ています。


240212235439262
Euphorbia handiensis
ハンディエンシスも強いトゲが出ています。

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Euphorbia polygona v. polygona
ポリゴナも新しいトゲが出てきました。このポリゴナはトゲが出たり出なかったりするタイプです。

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Euphorbia officinarum
大正キリンも元気に新しいトゲを盛んに出しています。そう言えば、大正キリンはE. echinusと国内では言われて来ましたが、正しくはE. officinarumが正しい学名と私も思っていました。しかし、現在ではE. echinusは、E. officinarum subsp. echinusとされているようです。



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Euphorbia knuthiiと言う塊根性ユーフォルビアがあります。この種小名は人名から来ているとされているみたいです。いわゆる献名ですね。本日はE. knuthiiの名前に関する話ですが、その前にE. knuthiiの簡単な紹介をしましょう。

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Euphorbia knuthii Pax.
狗奴子キリンと言う名前でも呼ばれています。

E. knuthiiの履歴書
E. knuthiiは南アフリカからモザンビークに分布する、多肉質の茎と塊根を持つユーフォルビアです。SchlechterがモザンビークのRessano Garciaで1897年に採取した標本がタイプ標本となっています。ドイツの植物学者であるFerdinand Albin Paxが、1904年にEuphorbia knuthii Pax.と命名しました。
1911年にイギリスの植物学者、分類学者であるNicholas Edward Brownが、Euphorbia johnsonii N.E.Brown.を新種として記載しましたが、後にE. knuthiiの異名扱いされました。しかし、ローデシアの植物分類学者であるLeslie Charles Leachにより、1963年にE. johnsoniiはE. knuthiiの亜種とされました。つまり、Euphorbia knuthii subsp. johnsonii (N.E.Br.) L.C.Leachです。この学名は現在でも有効です。
また、亜種johnsoniiが出来たことにより、今までE. knuthiiと呼ばれていた植物は、Euphorbia knuthii subsp. knuthiiとなりました。よって、E. knuthiiとは、亜種knuthiiと亜種johnsoniiを合わせたものを指しています。


「knuthii」は「Kunth」から?
ここからが、本題です。
某サイトには、「knuthii」とはドイツの植物学者であるCarl Sigismund Kunthに対する献名とありました。そして、何故か「Kunth」が「knuthii」になってしまったのだとありました。初めてその記事を読んだ時は特に疑問に思いませんでした。しかし、最近になり論文を読んでいたら「Knuth」と言う植物学者が登場したため、おやおやと思いました。ようするに、「Kunth」ではなく「Knuth」に対する献名なのではないかと言う、真っ当な疑問が湧いたわけです。


命名者の情報
E. knuthiiの命名者であるPaxは、サクラソウ科、トウダイグサ科、カエデ科を専門としていたようです。Paxは1858年生まれで1942年に没しています。
献名は知り合いか、その分野に貢献した研究者に対するものが多いように思われます。知り合いの場合、研究者なら分かりますが、標本を送ってくれた人に対するものもあり、命名者が本などに誰に対する献名かを記載してくれない限り、由来が分からないものもあります。
さて、ではCarl Sigismund Kunthはどうでしょうか? Kunthは1788年生まれで1850年に没しています。生没年からして、Paxと直接的なつながりはありませんよね。考えられるとしたら、南アフリカのユーフォルビア研究に多大な貢献をしているのかも知れません。しかし、Kunthはチリ、ペルー、ブラジル、ベネズエラ、中央アメリカ、西インド諸島といったアメリカ大陸を専門とした研究者でした。Paxが献名するようには思えません。


海外でも混乱
日本語のサイトでは他には情報がなさそうでしたから、海外の情報を見てみました。
海外では国内とは異なり、情報が直ぐに出てきました。
ただし、困ったことに、サイトにより異なる人物を挙げているのです。それは、以下の3人です。

①Paul Erich Otto Wilhelm Knuth
ドイツの植物学者、生態学者。1854年生まれ1900年没。
②Reinhard Gustav Paul Knuth
ドイツの分類学者、植物学者、昆虫学者。1874年生まれ1957年没。
③Fredrick Marcus Knuth
デンマークの分類学者。サボテンの収集と分類で知られる。1904年生まれ1970年没。

何れにせよ、Carl Sigismund Kunthは関係がなさそうです。

Paxの記載
では、E. knuthiiを初めて記載したPaxの記述を見てみましょう。Adorf Englerの『Botanische Jahrbucher fur Systematik』にPaxの記述があります。
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おそらく、上の段はラテン語で植物の特徴を記しています。下の段はドイツ語の説明でしょう。ラテン語もドイツ語も読めませんが、「knuthii」の語源については、残念ながら記されていないようです。なお、E. schinziiに近縁と書かれているようです。

論文の情報
すっかり、行き詰まってしまいました。仕方がないので、手当たり次第にE. knuthiiの情報を漁ってみました。すると、何やら興味深い論文を発見したのです。それは、Jose Manuel Sanchez de Lorenzo Caceresの2013年の論文、『Eponimos del genero Euphorbia L.』です。この論文はユーフォルビアの名前の由来を解説したものです。早速、E. knuthiiの項目を見て見ましょう。

★Euphorbia knuthii Pax.
「花の生物学の専門家であるドイツの植物学者、Paul Erich Otto Wilhelm Knuth(1854-1900)に因んでつけられました。」


どうやら、3人の候補の①が正しいようです。ついでに、E. johnsoniiについても見てみましょう。

★Euphorbia johnsonii(=E. knuthii)
「植民地資源を搾取し、明らかにこの植物を収集したモザンビーク会社の農業部長William Henry Johnson(1875-?)に捧げられています。」


最後に
ようやく決着です。このような情報は得るのは中々難しいですね。いくつかのサイトで情報が異なっていたように、根拠のないあやふやなものも多いのでしょう。この場合、命名者であるPaxと同年代に活躍したKnuthと言う植物学者が3人もいたことが、混乱のもとでした。さらに、国内のKunthであると言う情報は明らかに根拠のないただの類似にしか思えません。
ただし、誰に献名されたかは、命名者の生前の記述がない場合は、後の時代では当て推量となってしまいます。おそらくそうだろう、その可能性が高いといった根拠レベルのものもあります。今回のE. knuthiiに関しても、論文でもその根拠は示されていません。もしかしたら、PaxとP. Knuthに手紙のやり取りなど、個人的なつながりがあったのかも知れませんけど。
そう言えば、過去にも献名に関する記事を挙げたことがあります。しかし、インターネット上で誤った情報が流布されていることを注意喚起している論文もありました。献名については、私のような素人には基本的に情報が探し出せないと考えています。研究者が大学や博物館に収蔵されている資料を漁って初めて明らかになるものでしょう。似ているからと言って適当に由来をでっち上げるのは、差し控えるべきです。私もインターネット上の情報のあやふやさを思い知った次第です。


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引き続き、2024年・世界らん展日本大賞の写真をご紹介しています。

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Clctn. merrillianum
青い蘭として有名なクレイソケントロンです。今は、らん展の会場でも苗を購入出来ます。


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Den. petiolatum
面白い形のデンドロビウムです。あまり蘭ぽくない花ですね。

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Den. pseudoglomeratum
かたまって咲いていますが、実に目を引きます。

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Den. tetragonum fma. album
地味ですがこういうタイプの花は好きです。

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Den. ruppianum
こちらも変わった花の形のデンドロビウムです。


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 Cym. Enzan My Dream
シンビジュームですが、驚くような大輪です。


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Coel. cristata
らん展では
お馴染みの、大株のコエロギネ(セロジネ)です。クリスタタは一般的。

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Coel. formosum
何となくデンドロキルム感がありますが、知らぬ間にデンドロキルムはコエロギネに吸収されてしまったようです。


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Fdk. After Dark
フレッドクラーケアラで、カタセツム×クロウエシア×モルモデスの3属交配属だそうです。「黒い蘭」として話題になっているようです。

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Corybas neocaledonicus
コリバスは熱帯雨林の林床に生える地生蘭です。いかにも高湿度の環境を好みそうです。かなりのレアではないですかね?


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Ptst. collina
プテロスティリスは球根性の地性蘭です。どちらかと言えば山野草のような雰囲気です。


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Orcp. manabina
オーニソケファルスです。小さい花が大量に咲いていますね。

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Lyc. Cosmo-Borvileo
バルブが見えないくらい密に開花しています。リカステのイメージとは少し異なりますが、非常に美しいですね。


NHKの趣味の園芸ブースがあり、少し多肉植物の展示がありました。
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亀甲竜
まぁまぁのサイズですが、良い形ですね。面白いつるの仕立て方です。


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観峰玉
寸胴な形の観峰玉。

と言うことで、本日で世界らん展のご紹介は最後です。久しぶりのらん展でしたが、普段見れない蘭を沢山見ることが出来て良かったですね。ただ、やっぱりプリズムホールは狭いですね。展示より植物の販売スペースの方が広いくらいです。
そう言えば、販売スペースでは、蘭だけではなく熱帯植物も販売されていました。私は買いませんでしたが、珍しい蘭を購入出来る機会ですから、楽しみにしている方も多いのでしょう。しかし、公式グッズの種類が少なく販売スペースも狭く、1箇所なのはいただけませんね。出口もボトルネック構造で人が詰まりがちでしたから、もう少し考えた方が良いでしょうね。



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昨日に引き続き、開催中の世界らん展日本大賞の写真をご紹介しています。取り上げたのは、私が気になった極一部です。写真と実際に目にするとではかなりの違いがありますし、見ていると花の甘い香りが漂ってきたりと、中々楽しめました。

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Rth. Candy House
非常に目立つ配色の交配系カトレア。
カトレアは近縁属の間で複雑に交配されており、品種改良がもっとも進んだ蘭です。名前を聞いても、何を交配したものかよく分かりません。Rth.はリンカトレアンテのことで、リンコレアリア×カトレア×グアリアンテという3属交配属だそうです。


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C. Flame of Love
あまり派手さのないカトレアですが、深すぎず明るすぎない絶妙な色合いです。大きくバイカラーの派手なカトレアの中では異彩を放っていました。

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C. Cherry Bee
先端部だけ色づくカトレア。小型で可愛らしい一鉢。


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C. Final Blue
交配系カトレアのカトレアンテです。カトレア×グアリアンテとのことです。


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C. Sunset Glow
小型ですが沢山咲いていて目を引きました。


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Barkeria butterflier
バルケリア属は初めて見ました。長く伸びた花茎の先に固まって花が咲いていました。


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L. Maronii
レリアです。すっきりとした花ですね。

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Bc. Morning Glory
何となくブラサボラ感がありますが、Bc.はブラサボラ×カトレアと言うことです。ブラサボラは白花なので、赤系は新鮮です。


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Bc. Pretty Star
同じくブラサカトレアですが、こちらはカトレア感が強いですね。


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Ett. Volcano Tric
エピカタンテは、カトレア×エピデンドラム×グアリアンテの3属交配属。

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Comp. oberhansen
図鑑ではよく目にするコンパレッティアです。オンシジュームと似ていますが、オンシジュームは黄色系でコンパレッティアは赤色系です。

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Alcra. Donald Nalliday
奇抜な花を咲かせるアルクラですが、ブラッシア×ミルトニア×オンシジュームの3属交配属だそうです。


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Alcra. Marfitch
こちらもアルクラですが、ブラッシアとミルトニアの影響が強く出ていますね。面白い花です。


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Rdza. secunda
ロドリグエズィア(ロドリゲチア)です。面白い形の花ですが、撮影モードを間違えて暗くなってしまいました。


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Onc. × bockemuliae
ブラッシアっぽい雰囲気ですが、オンシジュームだそうです。


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Onc. leucochilum
こちらはやたらに花茎が長いオンシジューム。


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Phal. Happy Vivien
小型のファレノプシスです。非常に花が密集しています。


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Phal. Miura Dream(amabilis × OX Happy Girl)
面白い模様の入り方をしているファレノプシスです。


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V. lombokensis
ヴァンダはとにかく派手なイメージですが、花色は地味ですね。しかし、その存在感は実にヴァンダです。

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Ang. sesquipedale
アングレカムは好きな蘭です。長大な距を持ちます。ダーウィンが、この長い距に溜まった蜜を吸える、長い吻を持つ蛾がいると予言しました。そして、その41年後に長大な吻を持つキサントパンスズメガが発見されたのです。


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Den. polyanthum
今回の大賞花は下垂するタイプのデンドロビウムです。下垂するタイプは、花が下垂するものと茎が下垂するタイプとがあります。まあ、茎というか偽球根ですけど。

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大賞花は茎が下垂するタイプです。実に見事ですね。


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2月7日から開催されております、「世界らん展日本大賞」に行ってまいりました。新型コロナ下でここ数年は自粛していましたから、久しぶりのらん展です。新型コロナ前は東京ドームの開催でしたが、今は隣のプリズムホールでの開催です。
連休中は混みそうなので平日に行きましたが、恐ろしい混み具合でした。午前11時くらいに到着しましたが、入場出来たのは12時でしたね。このレベルの行列は初めてです。その理由はなんとなく分かります。展示ブースに行くまでの通路が狭すぎて、人が詰まっちゃうわけです。花の迷路みたいにしたかったようですが…。プリズムホールは狭いから、通路も拡げられなかったのでしょう。やはり、東京ドームで開催した方が良い気がします。

まずは入口の狭い花の道から。

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ここからは、入賞したものから、個人的に気になったものをピックアップしてご紹介します。
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Paph.(micranthum × In-Charm Space)
パフィオペディルムは割と好きですが、評価基準はよく分かりません。他の蘭は沢山花茎が出ているとか咲きそろっているとかでしょう。パフィオは正面を向いていて形が綺麗に開いているとかでしょうか?


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Phal.({Diane Sheena × Fortune Glad} × World Class) 
ファレノプシスですが、リップに模様がないため変わった見た目です。


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Lyc. Katsuragawa
大型のリカステですが、よく咲きそろっていますね。


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Max.(porphyrortele × schunkeana)
マキシラリアの赤黒い花。小さい花ですが目を引きます。


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Cym. Devon Wine
キンビディウム(シンビジューム)は、花茎が垂れ下がるアイスキャスケード系が一気に広がりました。しかし、これはお見事。


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Rmps. Lion's Splendor
レナノプシス(レナンテラ × バンドプシス)ですが、実に巨大です。

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Epi.(neoporpax × melanoporphyreum)
地味な色合いのエピデンドラムですが、よく咲いていますね。


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Lsz. Lava Burst
レオメセジアという名前は初めて聞きましたが、レオキルス×オンキディウム(オンシジューム)×ジゴセパルムの3属交配属ということです。以前はホウェアラと呼ばれていました。


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Paph. Shin-Yi's Pride
こういうパフィオは憧れます。しかし、大きくなりますし、上手く育てる自信はないですね。

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Den. Mtn's Butterfly Kisses
可愛らしい色合いのデンドロビウム。ぱっと目を引きますね。


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C. praestans fma. concolor
独特の質感のカトレア。そう言えば、カトレアはラン展では存在が大きいのですが、私はほとんど撮影していないことに気が付きました。私自身、見慣れすぎて格別に目を引かなくなってしまっているような気がします。


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以前、トリコケレウスを調べていた時に、その立ち位置の微妙さであるとか、分類の混乱を感じました。果たしてトリコケレウスとは何者なのか、調べてもよく分からないのが現状です。本日は、トリコケレウス属のタイプであるTrichocereus macrogonusの歴史を少し見て見ましょう。参照とするのは、Sofia Albesiano & Roberto Kieslingの2012年の論文、『Identity and Neotypification of Cereus macrogonus, the Type Species of the Genus Trichocereus (Cactaceae)』です。
Trichocereusは基本的にアンデスに分布し、エクアドルならペルー、ボリビア、チリ、アルゼンチン南東部を経て大西洋きしまで広がっています。Trichocereusは円筒形の茎を持ち、丈夫で稜(rib)があり、根本から枝分かれしています。20世紀初頭まではTrichocereusはCereusに含まれていました。

始まりはCereus
Cereus macrogonusと言う学名は、Salm-Dyck(1850年)により記述されました。花や原産地の情報はまったくありませんでしたが、種を特定出来るいくつかの特徴が記されています。
K. Schumann(1890年, 1897〜1898年)は、現在Pilosocereusとされているブラジル原産種にCereus macrogonusの名前を使用しました。Schumannはベルリン植物園に在籍し、Salm-Dyckから標本を受け取ったとされているため、オリジナルのC. macrogonusを持っていた可能性があります。ただし、Schumannの著作ではSalm-Dyckの説明とは特徴が異なります。このSchumannの誤認はBerger(1904年)により否定されました。Bergerは現在のTrichocereusにあたる植物に対する完全な説明を行いました。

トリコケレウス属の誕生
Berger(1905年)は、いくつかの亜属を作ることにより、後に行われたCereusの分離に重要な役割を果たしました。BergerはTrichocereus亜属として14種を認識しました。そのうちの1つが、Cereus macrogonus(=T. macrogonus)です。
Riccobono(1909年)は、Bergerの亜属の中でもTrichocereusを属レベルまで引き上げました。この時のTrichocereusには、T. macrogonusとT. spachianusからなっていました。
Britton & Rose(1920年)はTrichocereusを属として採用し、19種類に拡大し、C. macrogonus=T. macrogonusを属のタイプとして指定しました。この指定は以降のすべての著者に踏襲されています。同時に、T. pervianusとT. pachanoiについても記載しました。さらに、Schumannの説明するC. macrogonusとは、Cephalocereus arabidae(=Pilosocereus arabidae)を指していると指摘しました。Werdermann(1942年)も同様の見解を示しています。

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Cereus macrogonus
『Flora Brasiliensis v.4, pt.2』(1893年)より。
この図譜は正しいマクロゴヌスを示しているのでしょうか?


いくつかの情報
Schelle(1926年)は、C. macrogonusを説明し図を示しました。写真の解像度は低いのですが、5本程度の鈍い肋と頂端に花が咲く栽培された円柱状のサボテンで、Trichocereusの特徴を示しています。Borg(1937年, 1951年)は、T. macrogonusについての長い解説を行いました。その原産地はアルゼンチンとボリビアであるとしています。BorgはTrichocereusを接ぎ木の素材としての利用に注目していました。Rauh(1958年)は、ペルーのサボテンに関する著作でT. macrogonusについては言及していませんが、近縁種類をいくつか記載しています。

不鮮明なマクロゴヌス
Backeberg & Knuth(1936年)は、T. macrogonusについて言及していますが、以前から知られている情報だけでした。Backeberg(1966年)は、1941年のメモではペルーの野生のT. macrogonusを発見し1ページ以上の文書と鮮明な写真を報告したと述べています。しかし、奇妙なことに、同時にT. macrogonus=T. peruvianusという明確な異名を作りました。
さらに、Backeberg(1959年)は、Werner Rauhがペルー中央で見つけた植物の図を、T. macrogonusの野生型として示しました。栽培植物よりも強力なトゲがあります。また、ペルー北部産のT. santaensisや、ペルー南部産のT. chalaensis、T. peruvianus、T. pachanoiなどよく似た種が示されています。しかし、1941年のメモや、ペルーでの調査や野生のT. macrogonusの発見についての言及は見当たりません。

Krainz(1975年)は、T. macrogonusを説明し、栽培されたトリコケレウスの花の写真を示しました。しかし、同時にスペインの庭園で育てられている他の2枚の写真も掲載しましたが、その果実の特徴からするとPilosocereusに相当します。Schumannのように、様々なサボテンを混同していた可能性があります。さらに、KrainzはSchumannの情報に従い、Trichocereusをブラジル原産としました。

その後のマクロゴヌス
Cereus macrogonusと言う名前は、19世紀後半から20世紀初頭にかけて一貫して使用されてきました。最近では、Trichocereus macrogonusやEchinopsis macrogonaと言う名前が、植物学者により使用され続けています。Schelle(1929年)やBabkeberg(1959年)、Anderson(2001年, 2005年)などの出版物にはイラストも掲載されています。Hunt(1989年)はHausteinのイラスト(1983年)に言及しました。ブラジル原産と記されている以外は、著者らの種の同定と一致しています。参考文献のほとんどが、著しく光沢のある表皮と、優れた接ぎ木材料としての使用を強調しています。
Ostolaza(2011年)は、E. pachanoiとE. peruvianaを認識し、その違いはE. peruvianaのより強力なトゲと、含まれるアルカロイド濃度が高いことにより区別されます。

エキノプシス?
Friedrich(1974年)がTrichocereusをEchinopsisに含めました。しかし、Friedrichの意見は後の研究者たちに必ずしも共有されませんでした。
TrichocereusとEchinopsisは近縁ですが、ほとんどの種は形態学的に明確かつ明瞭に分けることが出来ます。

Trichocereus
高さ0.5〜12mで、枝の高さは中央の茎とほぼ同じです。茎は円筒形です。花は夜行性あるいは昼行性で、釣鐘状です。果実は果汁質です。幹は繊維質で硬く、エクアドルからアルゼンチン、チリにかけてアンデス山脈に生えます。

Echinopsis
高さ0.1〜0.3mです。茎は球形で円筒形にはなりません。ただし、E. leucantha complexとE. ayopayanaは通常1m、稀に1.5mに達し、茎は円筒形になります。花は主に夜行性で、漏斗状です。果実は半乾燥状態です。幹は繊維がなく、主に南アメリカ東部、一部はアルゼンチンとボリビアのアンデス山脈に生えます。


最後に
以上が論文の簡単な要約です。
トリコケレウスのタイプであるマクロゴヌスの混乱が見て取れます。
気になって、キュー王立植物園のデータベースを調べてみましたが、T. macrogonusは以下のような名前の変遷があったとしています。

1850年 C. macrogonus
1909年 T. macrogonus
1920年 T. peruvianus
1931年 C. rosei
1956年 T. puquiensis
              (publ. 1957)
1957年 T. trichosus
1974年 E. macrogona
              E. peruviana
              E. puquiensis
              E. trichora
1981年 T. pachanoi f. peruvianus
              T. tacnaensis
1998年 E. peruviana ssp. puquiensis
2013年 T. macrogonus v. peruvianus
              (publ. 2012)
2014年 T. peruvianus ssp. puquiensis


Trichocereus macrogonusが現在の正式な学名で、Cereus macrogonusは現在の学名のもとになったバシオニムです。さらに、Echinopsis macrogonaは、Homotypic Synonymです。
それ以外の学名は、Trichocereus macrogonus var. macrogonusのHeterotypic Synonymとなります。よく見るとT. peruvianusはT. macrogonus var. macrogonusの異名扱いです。変種macrogonusがあると言うことは、当然ながら他にも変種があると言うことになります。それは、Trichocereus macrogonus var. pachanoiとなります。
しかし、T. peruvianusやT. pachanoiがT. macrogonusと関連して整理されていますが、これは一体どういうことなのでしょうか? 実は本日の内容は論文の前半部分だけで、TperuvianusやT. pachanoiの話は後半に出て来ます。記事が長くなったので、続きはまたの機会としましょう。


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関東にも雪が降り、だいぶ冷え込みました。室内の最低気温も一桁だったかも知れません。窓際の多肉植物たちはさぞ寒かろうと思います。さて、そんな寒さの中ですが、本日も我が家の多肉植物たちを少々ご紹介しましょう。

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Pachypodium horombense
ホロムベンセは葉は落ちてはいるものの、かなり葉が残っています。パキポディウムの中でも丈夫で育てやすい部類です。

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Fouquieria columnaris
一度は葉をすべて落としたコルムナリスですが、どういうわけかまた葉が出てきました。雪が降ったくらいの低気温ですから、このタイミングで葉を出されてもとは思います。


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Fouquieria fasciculata
ファスキクラタは下の方の古い葉以外はほとんど落ちません。むしろ、盛んに生長していますが、日照が弱いので逆に困りますね。


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Haworthiopsis fasciata DMC 05265
私のお気に入りのファスキアタです。結節のパターンが非常に美しいですね。ファスキアタは自然と均整のとれた姿に育ちます。
本物のファスキアタは入手困難ですが、タイプ違いをあと何株か入手したいところです。


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スーパーゼブラ Haworthiopsis attenuata cv.
スーパーゼブラは結節が太く密な選抜品種です。だいぶ葉の枚数が増えて見られるようになってきました。
ちなみに、ラベルにはH. fasciataとありましたが誤りで、実際はアテヌアタです。「十二の巻」はアテヌアタ系交配種ですが、なぜかファスキアタの名前で流通してしまっています。そのため、国内のアテヌアタはファスキアタと呼ばれています。まあ、そもそもファスキアタとアテヌアタがあると言うこと自体が、あまり知られていないような気もします。2種の分け方は簡単で、アテヌアタは葉の内側にも結節がありますが、ファスキアタにはありません。



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本日は少し緩い話をします。当ブログでは今まで250本を超える学術論文の要約を記事にしてきました。しかし、一般に論文を読むことは、かなりハードルが高いようにも思われています。論文のほとんどは英語で書かれていますから、外国語の苦手な日本人には向いていないと言う面もあるでしょう。とは言え、私も格別に英語が得意なわけではなく、割と分からない単語も多く、調べ調べしながら訳しています。

専門用語が分からない
論文を読むにあたり、私にとって最大の問題は専門用語です。論文には日本語でも分からない用語が頻出しますから、用語の意味やニュアンスと言うか使い所が分からないと、文の意味が中々掴めません。前後の文脈にも影響しますから、いつも四苦八苦しています。

英語じゃないと分からない
サボテンや多肉植物の原産地は必ずしも英語圏ではないため、気になる論文が英語以外の場合もあります。例えば、マダガスカルはフランス語圏、メキシコはスペイン語圏なので、フランス語やスペイン語の論文もそれなりにあったりします。しかし、残念ながらフランス語やスペイン語はさっぱりなので、基本的に諦めています。機械翻訳を試してみたりもしましたが、どうも専門用語との相性が悪く、正しく訳せていないようです。ただ専門用語を誤訳しているだけではなく、前後の文脈も可怪しくなっていたりしますから、これは使えませんね。スペルを1つずつ訳していけば何とかなるかも知れませんが、流石に手間がかかり過ぎます。

論文は無料が好き
私は基本的に無料で公開された論文を読んでいます。これは、何も不正にダウンロードしたわけではなく、論文には有料のものと無料のものとがあると言うだけの話です。とは言え、有料のものは1本で数千円しますから、中々手が出ません。もしかしたら、著作権を思い浮かべ、ケチケチするなと思われるかも知れません。しかし、一般的には著作権者=執筆者ですが、学術論文ではまったく異なります。学術論文では出版社が著作権者なので、論文が売れても論文を執筆した研究者には一銭も支払われません。なぜなら、文芸雑誌は出版社が作家に依頼して書いてもらいますが、論文は研究者が出版社に載せていただけるようにお願いするからものだからです。研究者は学術雑誌に研究成果が掲載されることが絶対的な評価基準ですから、立場的には弱いのです。出版社は沢山送られてくる論文の中から良いものだけを選び掲載します。この時点で論文には競争があるのです。ちなみに、論文掲載が決まっても、研究者はかなりの額の掲載料を出版社に支払う必要があります。日本国内の研究では、1年に掲載料だけで23億円に達すると言う新聞記事を見たことがあります。研究とは実に金にならないものなのです。

公益性とインパクト・ファクター
論文が無料で公開されていることにも意味があります。特に医学系の論文では、広く公知されることが公共益になりますから、無料で公開されることは重要です。個人的には、大学や研究には公金=税金が投入されているのですから、研究成果を広く公開して欲しいと思っています。
さらに言えば、論文はできるだけレベルの高い雑誌に掲載されることが目指されます。一般にも有名なのは、ネイチャーやサイエンスですが、これらの雑誌のレベルはインパクト・ファクターにより決まります。インパクト・ファクターとは、掲載した論文がどれだけ他の論文で引用されたかを示す数字です。これは、その分野を研究するにあたり、根拠として引用した重要な内容を含むと判断された論文なわけです。

有料論文の高騰
学術世界は常に新しい知識でアップデートする必要がある、厳しい競争の世界です。大学院生や若手研究者も関連する分野の論文を沢山読む必要がありますが、有料論文が問題となります。読まなくてはならない重要な論文が有料だと、実験より論文に資金を吸い取られてしまいます。近年、論文の有料化とその高額化が進んでおり、若手研究者からは悲鳴があがっています。この点はかなり問題となっているようです。これからの時代は研究者個人ではなく、大学や国のサポートが必要となるのではないでしょうか。

最後に
学術論文は敷居が高く感じますが、内容は様々で必ずしも難解なものではありません。単純に生態や分布を調査したような論文は、誰でも割と読みやすい部類です。私はなるべく多肉植物全般を記事にしようとしていますが、論文の選択はやはり私の好みに左右されます。気になる多肉植物があるならば、ぜひ論文を読んでみることをお勧めします。
ちなみに、有料の論文はそれぞれの掲載誌ごとに購入するものもありますが、様々な雑誌の論文を購入出来るプラットフォームのようなサイトもあります。あるサイトでは論文1本の価格は10ドルか20ドル、あるサイトでは4980円となっていました。読んだだけで記事にしない論文もありますから、月に10本購入するだけで年間数十万円になってしまうでしょう。これは、ちょっと無理ですかね。また、掲載誌を定期購読したら論文1本あたりの単価は下がりますが、学術誌の種類が増えたため、あちこちの雑誌に掲載されますから、読みたい論文がその雑誌に掲載されるとは限りません。読みたい論文は山のようにあるのに、読めないものが多くフラストレーションが溜まります。これ以上、論文の有料化が進まないことを願っております。


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冬真っ盛りなのでサボテンや多肉植物もまだまだシーズンではありませんが、鶴仙園公式ブログで毎日入荷している多肉植物たちを見ていたら、居ても立っても居られなくなり、久しぶりに鶴仙園西武池袋店へ行ってきました。去年の11月のイベント以来の訪問です。調べたら去年の今頃にも行っていましたね。ブログの記事を確認すると、雪が降った後だとか書いてありました。さて、怪しげな天気模様でしたが、雪が降るかもなんて天気予報では言っていましたね。今が寒さの底かも知れません。

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実はフィールドナンバーつきのH. attenuataが2/1に入荷したので、気になっていたと言う部分はあります。しかし、あまり人気がない硬葉系だからまだあるかなと思ったりしましたが、残念ながらもうありませんでした。たった3日なのに、流石鶴仙園ですね。お客も実に目ざとい、と言うかお目が高い。
それはともかく、店舗前の多肉植物はほとんどなく、ダシリリオンなどの耐寒性がある大株くらいでした。店内はエケベリア、メセン、オトンナ、ガステリアは沢山入荷していました。あと、ケープバルブがいくつかありましたね。ハウォルチアは相変わらず圧倒的な数がありましたが、私の好きな硬葉系はほとんどありませんでした。サボテンの部屋も充実していましたが、入口の塊根性モナデニウムやコミフォラが目を引きました。あと、珍しいことに灌木のEuphorbia antsoがありましたが、置く場所がないのであきらました。サボテンと言うか、私の好きなギムノカリキウムは、相変わらずLB2178やデイドリーム、天平丸、瑞昌玉あたりは豊富でした。G. bicolorが少し気になりましたが、今回は購入せず。
と言うことで、本日の購入品はこちら。

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Euphorbia clivicola
クリビコラはすでに入手済みですが、去年急に弱ってしまいました。全体的に黄色くなってしまい、シワが寄っていたので根をやられている雰囲気がありました。抜いてみたら根が裂けて、黒いつぶつぶが露出していました。菌核菌というやつで寄生性のカビです。殺菌剤をまいて小康状態に持ち込みましたが、余談を許さない状況です。春に植え替えて根の様子を見てますが、駄目な可能性もあるため、苗を買ってみた次第です。


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H. chloracantha v. denticulifera
珍しく軟葉系ハウォルチアを購入しました。
ハウォルチアは、最近は硬葉系ばかりで軟葉系は買っていませんでした。しかし、去年の秋にタナベフラワーで開催されたSucculent Station宮崎台で、たにっくん工房のブースで購入したH. chloracantha v. subglauca RIB 0099が素晴らしい野趣的な姿で、すっかり気に入ってしまいました。硬葉系の持つ渋さがあるため、軟葉系の中でもH. chloracanthaは個人的には格別です。


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Haworthia tessellata 'mediate' IB 6776
いわゆる「竜鱗」ですが、こちらはフィールドナンバーつきです。この「mediate」の意味はよく分かりません。ラベルには、「old road between Steytlerville and Uitenhage」とありましたから、採取地の大まかな位置が分かります。
一般的過ぎて竜鱗自体があまり見かけないのですが、ご覧の通り非常に個性的で美しい硬葉系ハウォルチアです。もっと注目されても良いと思うのですがね。

と言うことで、久しぶりに鶴仙園に行ってきました。アテヌアタは残念でしたが、最近論文を読んで記事にしたコミフォラを沢山見れて良かったです。また、フィールドナンバーつきのH. tessellataは別格の美しさで、大変な驚きでした。たまには顔を出してみるものです。しばらくは多肉植物のイベントもあまりなく、あっても交通の便が極端に悪かったり、興味のないアガヴェ系イベントばかりです。3月のビッグバザールまでは引きこもりになりそうですから、どこか植物園を見に行こうかと思っています。
そう言えば、2月7日〜2月14日まで、「世界らん展日本大賞」が東京ドーム脇のプリズムホールで開催されますね。ちょうど三連休がありますから、良いタイミングですがめちゃくちゃ混みそうではあります。新型コロナの関係で行くのは何年ぶりですが、行けたら行くつもりです。


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本日は鶴仙園に行く予定です。まあ、久しぶりですが、時期的にはあまり私好みの多肉植物はないかも知れませんが。何か購入したら明日記事にする予定です。それはそうと、本日も我が家の多肉植物を少しご紹介します。

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新鳳頭
扁平に育っています。新鳳頭はあまり見かけないギムノカリキウムです。

瑞昌玉と同じくG. quehlianumとされています。

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Gymnocalycium pseudoquehlianum
正体不明のギムノカリキウムです。この名前は正式に命名された学名ではなく、どうやら裸名のようですね。つまり、「n. n.」、あるいは「nom. nud.」と表記した方が良さそうです。Detlev Metzingらの1995年のギムノカリキウムの種のチェックリストでは、由来不明とされています。

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Euphorbia tulearensis
トゥレアレンシスもだいぶ枝分かれして、混み合ってきました。この密な姿が魅力ですから、徒長させたくないものです。
去年は実生苗が大量に出回り、即売会では割と安価で入手できるようになりました。私の購入時の半額くらいになっています。

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Aloe somaliensis
ソマリエンシスはかなり遮光していても、夏に下葉が枯れがちになります。強光だけではなく、暑さも苦手な感じがします。

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Aloe bakeri
バケリはやや繊細ですが、問題なく育っています。去年の冬に入手して、植え替えせずに冬越ししましたが、根腐れして春に慌てて植え替えしました。野生絶滅種。


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サボテンはリプサリスなど一部を除き、南北アメリカ大陸およびその周囲の島嶼部に分布します。しかし、サボテンは乾燥地に良く適応した植物であるため、世界中の乾燥地域に侵入し外来種として猛威を振るっています。もちろん、これは初めは人間が移動させたものですが、競争がないことや天敵がいないなど有利な環境であっという間に増殖して手に負えなくなってしまったのです。砂漠の緑化になるような気もしますが、競合する元来自生していた他の植物やそれらを頼って生きている他の生物にとっては、サボテンはある種の災害のようなものです。
さて、現実問題として外来サボテンを駆除しようと言う動きはありますが、あまり上手くいってはおりません。特にウチワサボテンは厄介で、トゲがあるため重機で駆除したりします。しかし、節がバラけてしまい、バラけた節が根を張って直ぐに再生してしまいます。では一体どうしたら良いのでしょうか?

本日はアフリカに侵入したサボテンの駆除を目指した、I. D. Patersonらの2011年の論文、『Biological control of Cactaceae in South Africa』をご紹介します。如何なる成果が得られたのでしょうか。

①Pererkia aculeata
Pererkia aculeataはよく発達した葉と木質の茎と枝を持つ原始的な匍匐性サボテンです。P. aculeataは中央アメリカとカリブ海地域の一部、並びにブラジル南東部とアルゼンチン北部に自生します。

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Pererkia aculeata
『The Cactaceae I』(1919年)より。
Pererkia pereskiaとして記載。

アフリカへの侵入
1858年に南アフリカのケープタウン植物園で初めて記録され、ケープタウン周辺とGauteng州、Mpumalanga州、Limpopo州に帰化しました。また、東ケープ州とKwaZulu-Natal州の東海岸沿いにも帰化し、非常に侵入性が高く森林や海岸植生に豊富に生息しています。P. aculeataは繁殖しすぎて、固有の植生を消滅させています。1983年には農業資源保護法により雑草に指定され、2004年の生物多様性法により侵略的外来植物とされています。

防除方法
P. aculeataは在来の植生に絡み合って育つため、機械的に除去することは困難です。さらに、P. aculeataは千切れた破片からも再生するため、これは有効な方法ではありません。よって、生物学的防除がP. aculeataを防除する唯一の、経済的に実行可能かつ持続可能な方法です。

ハムシの放出
Phenrica gueriniと言うハムシの仲間を天敵として、KwaZulu-Natalでは少数を放出しましたが、P. aculeataの目立つ減少は見られませんでした。最近、より多くのハムシが放出されたことにより、KwaZulu-Natalの一部ではハムシが定着しました。

新たな天敵の発見
1984年から2007年までに、P. aculeataの自生地であるブラジル南部やアルゼンチン北部、ベネズエラ、ドミニカ共和国で8回の現地調査が実施されました。調査中に43種の昆虫がP. aculeata上で発見され、この内6種は一般的に見かけました。
・Loxomorpha cambogialisや、未記載種のPorphyrosela sp.と言う蛾は、宿主範囲が広く他の植物にも影響があるため使用出来ませんでした。
・Maracayia chlorisalisと言う蛾は非常に有効な天敵ですが、ドラゴン・フルーツが採れるHylocereusの害虫です。ドラゴン・フルーツはアフリカでも有望な新作物であり、この蛾の導入は利益相反を引き起こす可能性があります。しかし、効果が期待出来る天敵です。
・未記載のハチが発見されましたが、類似した幼虫が他の植物でも観察されたため、確認が必要です。
・Bruchophagus sp.と言うハバチは虫瘤を作りますが、必ずしもP. aculeataに強いダメージを与えているわけではないようです。
・ゾウムシの幼虫がブラジルで見つかりましたが、成虫が同定されておらず、宿主範囲も不明です。

今後
発見されたP. aculeataの天敵を採取し研究する必要があります。同時に新たな天敵の探索も行われる必要があります。また、南アフリカで栽培されるドラゴン・フルーツに対するM. chlorisalisの影響も調査するべきでしょう。また、一部地域ではP. gueriniが定着し、P. aculeataに対する大規模な被害が発生しています。P. guerini放出の評価を行う必要があります。


②Opuntia stricta
南アフリカにおけるOpuntia strictaの生物学的防除では、蛾とカイガラムシにより個体数を抑制することに成功しています。

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Opuntia stricta(左上)
『The Cactaceae I』(1919年)より。


コチニールカイガラムシ
クルーガー国立公園では、O. strictaのバイオマスが、Dactylopius opuntiae(コチニールカイガラムシ)の放出から6年で約90%減少しました。それ以来、サボテンの生息数は低いままです。ただ、雨が多い年にはコチニールカイガラムシは減少し、一時的にO. strictaは増加しました。しかし、コチニールカイガラムシは、サボテンの個体数を減らすだけではなく、平均サイズの大幅な減少を引き起こし、2005年以降はO. strictaの結実が見られませんでした。よって、O. strictaはコチニールカイガラムシにより完全に封じ込めることが出来ます。


③Cylindropuntia fulgida
Cylindropuntia fulgida var. fulgidaは、直立しよく枝分かれしたサボテンです。末枝は簡単に外れ、通る動物や人の服に付着します。果実のアレオーレから新しい花を咲かせるため、連結した果実が形成されます。この種はアリゾナ州のソノラ砂漠や、シナロア州ソノラ、バハ・カリフォルニア北部に自生します。一般には「chain-fruit cholla」あるいは「jumping cholla」と呼ばれています。

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Cylindropuntia fulgida
『The Cactaceae I』(1919年)より。
Opuntia fulgidaとして記載。


chain-fruit chollaの蔓延
chain-fruit chollaは、少なくとも1940年代には南アフリカに観賞用として輸入されました。現在は牧草地や自然保護区にも侵入し、家畜や小型アンテロープ、その他の小型哺乳類や鳥に至るまでに危害を与えています。時としてそれらの動物の死を招くこともあります。北ケープ州のダグラス周辺やLimpopo州などで蔓延しています。
農務省の補助金による防除は1970年代後半から実施されていますが、あまり成果がありません。侵入が多い特に価値の低い土地では、かかる費用は法外に高くなります。

分類上の疑義
このサボテンは分類上の混乱がおきており、最適な天敵の探索や使用を妨げています。長年に渡りC. rosea(=C. pallida)とされてきましたし、それ以前はC. tunicataと混同されてきました。
C. roseaにつくDactylopius tomentosusと言うカイガラムシを放出したものの、小型の植物を枯らすことはありましたが、大型の植物には効果はありませんでした。この時、このサボテンの正体について若干の疑問が生じたため、メキシコや米国のサボテンの分類学者と協議した結果、C. fulgida var. fulgidaであることが確認されました。これは、ダグラス近郊では化学物質による防除が行われていたため、連結する特徴的な果実が見られなかったからです。しかし、ジンバブエ近くでは管理されていないサボテンがあり、特徴的な連結する果実が確認されました。また、ダグラス近郊の古い写真からも、その連結する果実が確認されています。


生物型の違い
D. tomentosusを調査し、C. fulgida var. fulgida、C. fulgida var. mamillata、C. chollaから採取しました。コチニールカイガラムシは異なる生物型を持つものがあります。生物型の違いにより、成熟にかかる時間などが異なります。C. chollaから採取した「cholla」タイプが一番上手く定着しました。
「cholla」タイプのカイガラムシはダグラス近郊の農場で大規模なや放出されました。しかし、サボテンに対する被害は予想されたほどではありませんでした。カイガラムシの大量飼育中にC. imbricataにつくカイガラムシが混入した可能性があるため、新たに「cholla」タイプのカイガラムシを採取し、大量飼育が開始されました。


効果あり
2008年には大量放出され、4ヶ月後には大量のカイガラムシが定着し、サボテンの枝は落ちて小さいサボテンは枯死しました。放出場所から最大5mまでの拡散が確認されました。2009年には多くのサボテンが枯れ、その地域でカイガラムシがいないサボテンを見つかることは困難となりました。2010年にはカイガラムシは87ヘクタールを拡散しました。小さいサボテンは枯死し、大型のサボテンも枝が枯れ落ちました。現在、除草剤を撒く代わりにカイガラムシの散布が行われることが決定されました。C. fulgida var. fulgidaは完全に制御されていると考えられます。


④Cereus jamacaru
「queen of the night cactus」として知られるCereus jamacaru(ヤマカル柱)は、コナカイガラムシの仲間であるHypogeococcus pungensと、幼虫が茎に穿孔するカミキリムシの仲間であるNealcidion cereicolaを生物学的防除として利用しました。これらは、Harrisia martinii由来ですが、C. jamacaruに直ぐに定着しました。

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Cereus jamacaru
『The Cactaceae II』(1920年)より。


天敵の効果
カミキリムシは少数の場所でしか定着しませんでしたが、個体数が多くなると非常に効果的です。サボテンの構造組織が弱くなり植物全体が倒れたりします。
コナカイガラムシは南アフリカのC. jamacaruの分布域全体に広がり、ほとんどの地域では生物学的防除として効果的です。このコナカイガラムシは植物の異常生長を引き起こし、特に茎の先端が腫れてしまいます。節間が短くなりトゲの間隔が狭くなり、シュートが細くねじれながら増殖します。このコナカイガラムシに寄生された植物は、何れ枯れてしまいます。若い個体は開花するサイズに達する前に枯れますが、高さ数メートルになってからコナカイガラムシに寄生されると、枯れるまで最大4年かかる場合もあります。しかし、コナカイガラムシは蕾に集まるため、果実の生産量は著しく減少します。



最後に
以上が論文の簡単な要約です。
天敵を利用した生物学的防除は、思いの外効果的なようです。すべての植物には、その植物に特有の害虫がいると言う発想による外来サボテンの防除が目指されています。しかし、Pererkiaのように適切な害虫の選定段階のものもあります。コチニールカイガラムシのように実績のある害虫とは異なり、他の植物に対する悪影響も考慮する必要があります。
また、論文に取り上げられた例では、非常に上手くいっていますが、これからは少し注意が必要な場面も考えられます。これはマダガスカルの例なのですが、ウチワサボテンが蔓延してしまったことから、害虫のカイガラムシを放出しました。ウチワサボテンはほぼ壊滅状態になりましたが、ウチワサボテンが減少したためカイガラムシも減少しいなくなってしまいました。やがて、害虫がいなくなったことでウチワサボテンは再増殖をしてしまったのです。この話の教訓は、害虫を温存しておいて、外来植物が減少してきた時に害虫の再散布による追い打ちをかける必要があると言うことです。また、外来植物の再増殖に備える体制も必要です。常に監視し必要ならば介入すべきです。今後の外来サボテンの同行は注視していきたいですね。


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いよいよ寒くなって来ました。今年は暖冬だったので、ようやく冬らしい寒さです。我が家は風が強く、1月は強風が吹き荒れました。多肉植物置き場のビニールが吹き飛びそうになっていたので処分しました。強風ですっかり傷んでボロボロでしたからね。我が家は一部を除き、冬は室内栽培なのでまあ問題はありませんが困ったことです。本日も少し我が家の多肉植物をご紹介しましょう。

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瑞昌玉
昔からあるタイプの瑞昌玉です。何だか妙に盛り上がった形に育ちました。下の瑞昌玉と並べて育てていますから、原因がよく分かりません。
そう言えば、瑞昌玉や鳳頭は
Gymnocalycium quehlianumとも言われていますね。

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瑞昌玉
ホムセンで購入した瑞昌玉。最近、このようなトゲが張り付かないタイプを良く目にします。こちらは扁平に育っています。


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Euphorbia leistneri
レイストネリが完成に葉を落としました。花キリンのように最初から木質化せず、徐々に木質化していきます。当初はE. monteiroiと混同されていたユーフォルビアです。
レイストネリは非常に
分布が狭いようですが、水力発電のためのダム計画で自生地が消失する可能性があると言われていましたが、現在はどうなっているでしょうか?

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Gasteria pillansii
ピランシイはゆっくり生長中です。そう言えば、牛舌殿なる名前もあるようです。遺伝子解析の結果から、ピランシイは分子系統の根本にあり、原始的なガステリアとも言えるかも知れません。ガステリアはおそらく南アフリカ北西部あるいはアンゴラ南部が起源で、南アフリカ南部で一気に種分化し、現在は南アフリカ東部まで到達しています。

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白磁盃 Aloe pratensis
A. humilisとの交配種の場合もあるみたいです。そこで、A. pratensisの野生個体の画像を探しましたが、野生のA. pratensisはみな大きく育ちきったものばかりで、あまり比較対照としては相応しくないように思われます。とは言え、正直なところ明らかにA. humilisよりの外見に見えるわけで…。まあ、育っていけばやがて違いが見えてくるかも知れませんから、気長に待つことにしましょう。

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帝王錦 Aloe humilis
せっかくなので、比較のためにフミリスにも登場してもらいます。フミリスは大部葉が混んで来ましたね。


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Mesembryanthemumは由来の古い属名ですが、かつては巨大なグループでした。しかし、徐々に分割され、LampranthusやDelosperma 、Ruschiaを始めとしたグループとなり、現在は100種類程度になっているようです。私はまったくメセンに詳しくはないのですが、Mesembryanthemumの学名に関係する論文を見つけたのでご紹介します。メセンと言うより学名について興味があるのです。
と言うわけで、本日はGideon F. Smithの2020年の論文、『(274 5) Proposal to conserve the name Mesembryanthemum vanputtenii (Lampranthus vanputtenii) (Aizoaceae) with that spelling』をご紹介します。

Mesembryanthemum pittenii L.Bolusは1929年に発表された南アフリカ原産の多肉植物です。L.Bolus(1929)は「Compton(N.B.G. 916/22)」と「van Pitten(N.B.G. 1045/25)」と言うタイプ標本(シンタイプ)を挙げています。翌年、この種は新たに創設されたLampranthusに移され、L. pittenii (L.Bolus) N.E.Br.とされました。

1967年にL.Bolusは、コレクターの名前が正しく記載されていなかったと述べ、種小名を「vanputtenii」に変更しました。採取者はJoost van Puttenで、Lambert's湾の海岸近く住んでおり、彼の所有地はVan Putten's Vleiと呼ばれていました。

「pittenii」を正書法的に修正すると、「i」を「u」に変更されます。さらに、Brummit & Powell(1992)は、「van」を含む南アフリカの姓は、姓の不可欠な部分とみなすのが一般的であるため、この単語を保持すべきであると指摘しています。

L.Bolusが1967年の修正に続いて、修正された名前であるL. vanputteniiが、南アフリカのAizoa科の種の編集に採用されました。過去50年に渡り、L. vanputteniiと言う名前が広く採用されてきたことを考慮し、そのバシオニムであるM. vanputteniiを保存することを提案します。

以上が論文の簡単な要約です。
バシオニムとは正式に認められた学名のもとになった名前のことです。いわゆる異名の1つですが、実は異名にも2種類あります。例えば、緋花玉を例に取ると、正しい学名はGymnocalycium baldianumですが、これは1925年に命名されたものです。しかし、緋花玉は初めは1905年にEchinocactus baldianusと命名されているのです。これは、現在の学名に繋がる学名ですから、バシオニムにあたります。異名の種類としてはHomotypic Synonymと呼ばれます。
また、現在の学名に繋がらないものもあり、これをHeterotypic Synonymと呼びます。緋花玉では、1932年に命名されたEchinocactus sanguiniflorusや1995年に命名されたGymnocalycium rosea、2009年に命名されたGymnocalycium schreiteriなど、11のHeterotypic Synonymがあります。これらは、新種として記載されたものの、G. baldianumと同種であるとして異名になったものです。
何やら面倒くさい話ですが、命名法は重要です。しかし、種を分けるか否かは研究者だけではなく、我々趣味家からも批判がある不完全なものです。それでも、最新の研究成果を吸収しながら、徐々に積み上げられるものが学名です。近年、遺伝子解析による分子系統が盛んに行われていますから、過去にないスピードで分類が改訂される時代になりました。遺伝子解析は過去の分類法と比較すると非常に客観的ですから、研究の進んだグループでは、やがて分類とその学名は固定的となっていくでしょう。このように、Carl von Linneが2名式学名を考案してから約250年経って初めて機械的に種を決定可能となったわけですから、我々は非常に面白い時代に生きていると言えるでしょう。これからも、最新の研究成果を記事にしていこうと考えております。


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早いもので、年が明けたと思っていたら、いつの間にやら2月になってしまいます。寒い日が続きますが、まだまだ冬本番ですね。多肉植物たちも休眠するものが増えてきました。

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瑠璃塔 Euphorbia cooperi
瑠璃塔は去年初めて枝が出ました。特有の段が形成されますが、現在の環境下では中々綺麗に段が形成されません。難しいものですね。


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Euphorbia fuscoclada
こちらは花キリンのフスコクラダです。新しいトゲは美しいですね。2021年に記載されたばかりの新種です。今は目立ちませんが、良く日に当てると幹の赤味が強くなるようです。

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Aloe peglerae
ペグレラエは非常に美しいアロエですが、若いうちは生長は割と早い方です。苗を2年育てただけで、そこそこ見られる姿になりました。論文では生長は遅いと書かれていますが、かなり大型になりますから、そこまで育つには大変な時間がかかるのでしょう。

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春鶯囀 Gasteria batesiana
バテシアナは非常に格安で入手したものです。ガステリアの不人気さからあまり見かけませんが、古典植物的な風合いを持ち、独特の美しさがあります。ガステリアがもう少し流行ってくれたら、色々な種類が入手しやすくなるのですが…


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Haworthiopsis scabra var. scabra JDV 95/17 
硬葉系ハウォルチアのスカブラですが、フィールドナンバーつきの野性的な個体です。表面がざらつくだけで結節がない実に渋い見た目ですね。フィールドナンバーのJDVとは、採取者のJakobus (Kobus) D. Venterのこと。

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風車 Haworthiopsis scabra var. starkiana
硬葉系ハウォルチアのスタルキアナです。これは、特に葉が短く太いタイプです。良く日に当てると黄色くなりますが、上手く日照をコントロール出来ないため、あまり黄色くなりません。
現在はスカブラの変種とされていますが、H. starkianaと表記されることの方が多いかも知れません。しかし、スタルキアナはスカブラからざらつきを無くし、明るい色合いにしただけにも見えます。



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多肉植物ブームが長く続き、即売会などでは変わった植物も見かけるようになりました。最近は乾燥地の灌木であるコミフォラもたまに見かけます。聖書に出て来る没薬とはコミフォラの樹脂を固めたものですから、分布も中東や北アフリカが中心です。流通量が少なく生長が遅いこともあり、一般的に大変高価です。本日はこのコミフォラのお話です。と言うわけで、Emiru Birhaneらの2023年の論文、『Arbuscular mycorrhizal fungi improve nutrient status of Commiphora myrrha seedlings under drought』をご紹介します。

乾燥地の植物
没薬(Myrrh)の原料であるCommiphora myrrhaは、高さ4mになるトゲのある樹木で、主に標高250〜1300mのアカシアとコミフォラからなる低木地帯で見られます。このような乾燥地に生える樹木の苗木は、水分含量の低下や光合成速度の低下など、水不足により様々な反応を示します。植物の干魃への適応は、アーバスキュラー菌根菌(AMF)などの土壌微生物との相互作用や支援により強化されます。

菌根菌
アーバスキュラー菌根菌(AMF)は、リン酸塩や他の栄養素が不足している場合に、植物の生長を促します。AMFの共生は、乾燥条件下での植物組織内のリン、ケイ素、窒素、亜鉛、マグネシウム、銅、カルシウムの濃度を増加させ、実生の生長を促進します。また、AMFは気孔コンダクタンスと光化学系IIの効率を維持することにより、光合成効率を高めます。つまり、AMFは水と栄養素の獲得を増加させることで、樹木の苗木の定着を改善します。しかし、C. myrrhaに対するAMFの影響はまだほとんど知られていません。

実験
著者らはエチオピア北部のMekelle大学で、C. myrrhaの苗木を用いた試験を温室で実施しました。温室内の気温は、日中で平均27℃、夜間で平均22℃でした。
種子はエチオピア北西部の低地より採取され、20%過酸化水素水不足により殺菌され、その後に冷水に12時間浸漬されました。プラスチックトレイに滅菌した川砂を敷き種子を播種したところ、種子すべてが5〜15日で発芽しました。発芽後、個別にプラスチックポットに移植しました。
菌根菌はエチオピア北西部の乾燥したアカシア・コミフォラ林で、乾季に採取されました。菌根菌の種類は特定出来ませんでしたが、乾燥土壌100g中には約76個の胞子を含んでいました。この土壌をモロコシ(ソルガム)に与え増やしました。モロコシの根への菌根菌の定着率は60〜95%でした。
試験はAMFの有無と、与える水分量を4段階に分けて実施されました。


干魃耐性の強化
AMFの添加によりバイオマスの増加が認められました。細根はAMFにより長くなりました。AMFの効果は水分が少ないほど顕著でした。また、新芽と根の窒素濃度は、AMF接種により増加しましたが、水分量は影響を与えませんでした。リン濃度とカリウム濃度は、AMFと水分量が大きく影響を与えました。リンやカリウムなどの栄養素摂取量が強化されると、干魃耐性が高まります。菌根が植物の根が到達出来ない微細な土壌細孔にアクセス可能であり、水分や栄養素の取り込みを強化出来ます。
AMFの効果として葉の面積の維持が確認されました。より乾燥した環境では葉が小さくなる傾向がありますが、AMFの接種により葉があまり小さくならず大きい葉を展開出来るのです。このことにより、AMFは光合成効率の改善にも寄与していることが分かります。

最後に
以上が論文の簡単な要約となります。
論文ではAMFを採取したアカシア・コミフォラ林の表土と下層土を用いた試験も行っていましたが、今回は割愛させていただきました。
さて、当ブログはサボテンや多肉植物を中心としていますが、それらに留まらず植物学に関わる広範な記事もポツポツと書いていたりします。植物学ネタでは、植物にとって菌根菌は重要であると言うことを何度か記事にしています。ほとんどの植物は菌根菌と共生関係にあり菌と根の複合体である菌根を形成し、お互いに栄養素のやり取りをしています。
多肉植物でもWelwitschiaは菌根菌と共生関係を結んでいることが確認されており、Gymnocalyciumでは菌根菌と共生関係にあるとよく育ち、フザリウムと言う寄生カビの感染予防にもなっていることが確認されています。しかし、ほとんどの植物は菌根菌との関係について詳しいことは分かっていません。乾燥と菌根の関係は非常に興味深いもので、菌根菌の能力を計る意味でも有用だと感じます。今後も、多肉植物と菌根菌との関係についての研究がなされることを望みます。


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さて、本日は都庁前駅近くの住友ビルにある三角広場にて開催された、「サボテン・多肉植物のプレミアムバザール」に参加してきました。並ぶのは苦手なので、開場してからの参加です。
会場は広く、店舗数は非常に多いにも関わらず、余裕がある感じでした。しかし、会場はロープを張って区切っており、かなりの面積が空いていたので何かと思いましたが、おそらくは待機列のためでしょうか。1月のビッグバザールより店舗数はやや少ない感じでしたが、通路はビッグバザールより広いのでそこは良かったですね。混雑していましたが、ビッグバザールほどではない感じがします。

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出店傾向もやや異なります。お馴染みのグランカクタスやX-Plantsは参加しているみたいですが、ラフレシアリサーチやRuchiaは不参加のようです。
内容的には思ったよりバラエティー豊かな感じがしました。流行りのアガヴェも豊富でしたが、コーデックスが非常に多い印象です。あと、ビッグバザールよりサボテンを割と見かけましたね。

個人的にはいつもユーフォルビアとアロエばかりなので、少し変わったところもチャレンジしたいところです。しかし、1月のビッグバザールでは、結局ユーフォルビアを買う始末でした。今回は心を鬼にしてユーフォルビアは視界に入れないように努めました。まあ、今回はユーフォルビアはあまりなかったようですが。オトンナやティレコドンなどの冬型コーデックスも多く、気になりましたが今回はパスしました。
さて、今回の購入品は2点です。

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Adenia olaboensis
珍しくアデニアに手を出しました。と言うより、そもそもアデニア自体あまり見かけませんけどね。実生苗になると、普段見かけるAdeniaはA. glaucaくらいでしょうか。
グランカクタスにて購入。サイズの割にはそこそこしましたが、変に高騰しているOperculicaryaだのFouquieriaだのに比べたら現実的な価格です。
何やら面白い形の葉が出るみたいですから楽しみです。マダガスカル原産。

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Aloe fleuretteana
もう1点はアロエです。またアロエですが、大変美しいためどうしても我慢出来ませんでした。最近はビッグバザールでもお見かけするBaby leaf Plantsにて購入。今回は面白いものが多かったような気がします。しかし、アロエは安くていいですよね。マダガスカル原産。
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美しい斑が入ります。

さて、プレミアムバザールはこんな所でした。結局購入したのはお馴染みのお店ばかりでしたが、良い買い物が出来たので大変満足です。冬型はよく分からないのですが気になっているので、今回はかなり注目して見ました。しかし、もう少し勉強してからにします。
プレミアムバザールは明日も開催されますから、皆様も参加してみては如何でしょうか。入場料がタダなので、見るだけでも楽しめます。大江戸線は直通で会場に行けるため便利です。


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