ユーフォルビア・オベサ・ドットコム

本日はビッグバザールが開催されます。私も参加予定ですが、あまり時間が取れないので、一巡してすぐ帰る羽目になりそうです。たまにはゆっくりしたいところですが仕方がありません。

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皇帝
皇帝はなんと1ヶ月も咲き続けています。おそらく200輪以上咲いています。しかし、まだ咲くようです。

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ところが、流石に消耗して痩せてきてしまいました。これ以上は危険なので花茎はカットしました。

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Euphorbia silenifolia
シレニフォリアの新葉が沢山出てきました。しかし、生長が遅いですね。


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Zamia integrifolia
インテグリフォリアは今年は絶好調で、素晴らしい葉が出ています。一般的には、Z. floridanaの名前で流通しています。
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よく見ると新葉が出ています。

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Copiapoa hypogaea
黒王丸には興味がありませんが、ヒポガエアは可愛らしい感じがして好きですね。花芽があがっていますが、多分タイミングが合わなくて写真は撮れないでしょうね。今年は既に開花していましたが、やっぱり写真撮れないですね。


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Gonialoe sladeniana
スラデニアナは根がないカット苗として入手しましたが、発根しても色味が薄く生長も鈍いものでした。あれから1年半を過ぎて、ようやく色味が濃くなり素晴らしい葉が出てきています。今年は花も咲いたので、嬉しい限りです。



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サボテンも生物である以上は繁殖する必要があり、そのために花を咲かせます。しかし、一口にサボテンと言ってもその繁殖戦略は様々で、花粉媒介者も昆虫だけではなくハチドリやコウモリにより受粉するサボテンもあります。当ブログでは度々サボテンの受粉様式=受粉生物学をご紹介してきました。参照とするのは、Bruno Henrique dos Santos Ferreiraらの2020年の論文、『Flowering and pollination ecology of Cleistocactus baumannii (Cactaceae) in the Brazilian Chaco: pollinator dependence and floral larceny』です。本日の主役はブラジルとその周囲に分布するヒモ状のサボテン、Cleistocactus baumanniiです。

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Cleistocactus baumannii(右)
筒状の花に注目。
『The Cactaceae II』(1920年)より。


C. baumanniiは鳥媒?
サボテンはブラジルのCaatingaやChaco植生の重要な要素の1つです。サボテン科の中でも、南米のサボテンでは様々な系統で鳥媒が想定されています。Cleistocactusは鳥による受粉に極端に特化した例として挙げられますが、それは花の特徴から推測されたものでした。Cleistocactusの受粉の評価は2016年(Gorostiague & Ortega-Baes, 2016)に行われ、C. baumanniiはハチドリによってのみ受粉し、C. smaradigoflorusはハチドリとミツバチにより受粉する可能性が示されました。
C. baumanniiはアルゼンチンやブラジルでは、アオムネヒメエメラルドハチドリ(Chlorostilbon lucidus)だけが花粉媒介者であると考えられています。しかし、花を訪問する昆虫による盗蜜の影響を調査する必要があります。


盗蜜
盗蜜者(nectar robbers)は、受粉せずに花の資源(花蜜や花粉)を集める花への訪問者ですが、花を噛んだりして傷付けるなどイリーガルな方法を用います。この花の損傷は、本来の花粉媒介者の行動や、花粉の飛散距離に影響を及ぼし、結実や種子数、種子の発芽率を低下させる可能性があります。しかし、盗蜜により蜜が減少するため、本来の花粉媒介者が訪れなければならない花の数が増えるため、他家受粉が促進される可能性もあります。
花への訪問者は次のように分類されます。
①潜在的な花粉媒介者(potential pollinators)
②非花粉媒介者(non-pollinators)
③泥棒(thieves)
④強盗(robbers)
泥棒は花粉や柱頭に触れることなく、花に損傷を与えない訪問者を指します。強盗は花に損傷を与える訪問者でこれを一次強盗、一次強盗のつけた傷口を利用する訪問者を二次強盗としました。


C. baumanniiの開花
C. baumanniiは円柱柱状のサボテンで、約1.5mの枝分かれした枝を持ちますが、他の植物に支えられている場合はより高くなることもあります。明るいオレンジがかった赤い花を沢山咲かせます。研究地域ではC. baumanniiは雨期に激しく開花します。花は両性花で、昼行性、匂いはありません。花は自家不稔で、自家不和合性です。花筒の長さは平均48.19mm、直径の平均は9.25mmでした。花は1年を通じて開花し続けます。
C. baumanniiの花の寿命は約48時間です。午前6時には花冠と葯は既に開いているものの、柱頭はまだ受容性はありません。つまり、開花開始時には花は機能的に雄蕊的です。午前8時から柱頭は一部が受容状態となります。午前10時頃には葯に花粉はほとんどなくなり、翌日まで雌性期です。翌日の午後には柱頭は萎れはじめ、翌日には完全に閉じます。
C. baumanniiの花は葯と柱頭が同じ高さで並び、雌雄離熟(herkogamy)ではありません。柱頭が受容前に花粉が放出されることから部分的雄性先熟で、自家受粉を減らし柱頭が詰まるのを防ぐと考えられます。

花への訪問者
ブラジルのChacoにおいて、C. baumanniiの花には5種のハチ、2種のアリ、1種のチョウ、1種のハチドリ(C. lucidus)が訪れました。この内、ハチドリと2種のハチは頻繁に訪花し、ほとんどの月で見られました。
観察すると、ハチドリは花の前でホバリングし、クチバシを花筒に入れて、クチバシ上部と頭が葯と柱頭に接触させて採蜜していました。採蜜は2秒間続き、1つの植物につき1つの花だけを採蜜しました。
3種のハチは花粉を集めるために葯に着地し、葯と柱頭に接触しましたが、基本的に花粉泥棒でした。さらに、Xylocopa splendulaというハチは、すべての訪花で花筒に口器を突き刺して盗蜜しました。このハチは同じ植物の別の花を訪れるため、主要な蜜泥棒です。X. splendulaの残した穴には、他の種類のハチやアリが訪れ、二次的な蜜泥棒となっていました。また、このような盗蜜を受けた花は、柱頭に付着した花粉が少ないことが分かりました。さらに、X. splendulaは自家受粉と隣花受粉(geitonogamy)を促進し柱頭を詰まらせ、盗蜜により有効な花粉媒介者であるハチドリの訪問を減らしている可能性があります。


最後に
以上が論文の簡単な要約です。
観察によりC. baumanniiの花の花粉媒介者はハチドリであることが確認されました。さらに、ハチは有効な花粉媒介者ではなく、それどころか花粉泥棒であり蜜泥棒でもあると判明しました。自家受粉や同じ植物個体の別の花からの受粉を受ける隣花受粉も、ハチにより引き起こされ、蜜の減少によりハチドリの訪花も減ってしまいいいことがありません。論文中で柱頭が詰まると言っているのは、柱頭に沢山の自家受粉、あるいは隣花受粉してしまうと、花粉から花粉管が花柱に伸びて行きますが自家受粉はしないので受粉はせず、後に他家受粉の花粉がついても花粉管を伸ばす隙間がないということでしょう。
まとめると、
本来ならば植物の受粉が期待さるハチが、受粉を阻害する要因になっている可能性があるのです。植物と昆虫との関係も非常に複雑です。今後もサボテンや多肉植物の受粉生物学を見つけ次第取り上げていくつもりです。


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ちょっとだけ秋っぽい感じもあるこの頃ですが、多肉植物たちは生長を再開し始めました。生長が楽しみな季節です。さて、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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Euphorbia fimbriata
フィンブリアタの生長が著しいですね。しかし、フィンブリアタは他のユーフォルビアにも何回も重複して命名されたいわく付きの名前です。現在はE. mammillarisの異名扱いですが、太さなど特徴が異なるとよく言われます。ちなみに、E. mammillarisとは、白樺キリンとかミルクトロンと呼ばれている白いユーフォルビアの原種のことです。


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Euphorbia venefica
猛毒3兄弟の長男ヴェネフィカですが、新しい葉が出ています。E. venenificaと呼ばれて来ましたが、これは引用した研究者の誤記でしたが、何故か誤記の方で流通してしまいました。現在は訂正されています。E. poissoniiと似ていますが、トゲが発達するヴェネフィカとは異なります。


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Euphorbia cap-saintemariensis
カプサインテマリエンシスも特徴的な葉を次々と出しています。E. decaryiの変種とされてきましたが、現在では独立種です。


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Pachypodium windsorii
ウィンドゥソリイ(ウィンゾリー)が秋の成長期で、新しい葉を勢いよく出しています。パキポの中でも、特に葉色が濃く艶があって美しい種です。バロニイの変種とされることもありますが、現在は独立種です。というより、1916年に独立種として記載され、1949年にバロニイの変種とされましたから、元に戻っただけとも言えます。


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Dioon edule
エドゥレの赤銅色の美しい新葉が展開中です。エドゥレは2000歳を超える個体もある非常に長寿のソテツです。


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アデニアは割りと古くから塊茎植物として有名ですが、一般的に知られているのはAdenia glaucaやAdenia globosaなど一部に限られます。多肉植物ブームの昨今でもあまり見かけないのは、どちらかと言えば希少だからというより、それほど人気があるわけではないからでしょう。しかし、最近アデニアも面白いと思うようになり、少し調べてみようということになりました。以前、開発に伴いアデニアを移植しようという試みを記事にしてご紹介したことがありますので、そちらもご参照下さい。


アデニアの履歴書
アデニアは主に旧世界の熱帯や亜熱帯に分布するトケイソウ科植物です。塊茎や塊根を持ち、蔓性が一般的なようです。2024年8月時点で認められているアデニア属は105種類です。
アデニア属の経歴を見てみましょう。アデニア属が初めて命名されたのは1775年のことで、スウェーデンの探検家、博物学者、東洋学者であるPeter Forsskålによるものです。つまり、Adenia Forssk.です。Forsskålはvon Linneの弟子であり、アラビア探検中にイエメンでマラリアに罹患し客死しました。31歳でした。Forsskålの原稿は植物についてはForsskålの死から12年にあたる1775年に「Flora Aegyptico-Arabica」として出版され、その中でAdeniaは新属として記載されました。ですから、アデニア属の成立はForsskålの死後になされたのです。ここからは、アデニア属の異名(Heterotypic synonyms)を見ていきましょう。
1797年 Modecca Lam.
1820年 Kolbia P.Beauv., nom. illeg.
1821年 Blepharanthes Sm.
1822年 Paschanthus Burch.
1846年 Microblepharis M.Roem.
              Erythrocarpus M.Roem.
1861年 Clemanthus Klotzsch
1867年 Machadoa Welw. ex Benth. & Hook.f.
              Ophiocaulon Hook.f., nom. illeg.
1876年 Keramanthus Hook.f. 
1888年 Jaeggia Schinz
1891年 Echinothamnus Engl. 

このような異名が生まれる原因は様々ですが、おおよそのパターンは決まっています。新種が見つかった時に既存の属としないで新属を作ったり、既に命名されている種に対して改めて命名してしまったり、既存の属から分離させて新属を創設したりです。このように後にまとめられることはよくあります。また、提唱したものの、まったく認められず使用されてこなかったものもあるかも知れません。

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Adenia glauca Schinz, 1892
ボツワナ、南アフリカ北部州の原産。


アデニア研究最前線
さて、近年のアデニア属に対するアカデミアの興味は、どのようなものがあるでしょうか? 調べてみると、アデニアはどうも有毒なようです。その成分については昔から調べられているのですが、近年では何かに使えないかと研究がなされています。毒性があるということは、何かしらの生理活性があるということです。用法用量を工夫すれば、薬となるかも知れません。
例えば、YESSO Bogui Florianらの2022年の論文では、Adenia lobataの抽出物がラットの貧血に有効であったとしています。この抽出物のLD50(半数致死量)は5000mg/kgなので、人体には無害だとしています。
次にPacome Kouadio N' Goらの2021年の論文では、Adenia lobataがコートジボワールで伝統的に様々な慢性疾患や頭痛・歯肉炎の痛みの緩和、分娩の促進のために広く利用されていることが示されています。アデニア抽出物の抗炎症作用が試験され、伝統医学に科学的な根拠を与えました。
ピンポイントな研究もあります。例えば、Shashikala R. Inamdarらの2021年の論文では、Adenia hondala由来の成分が大腸がんと結合し増殖を阻害し、がん細胞にアポトーシス(自死)を引き起こすとしています。

もちろん、毒性も研究されております。例えば、Massimo Bortolottiらの2021年の論文では、Adenia kirkiiよりキルキリンなる植物毒素を分離しています。キルキリンはタンパク質を合成するリボソームに不可逆的な損傷を与え細胞死を引き起こします。
実はこの手の毒性だの薬理作用だのといった論文は山のようにあり、割りと新しいものをチョイスしました。というか、あまりに沢山あるため調べるのを止めました。期待されているということなのでしょう。

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Adenia olaboensis Claverie, 1909
マダガスカル原産。2変種からなり、var. olaboensisとvar. parvaがあります。


150年ぶりの再発見
Neil R. Crouchらの2016年の論文によると、Adenia natalensisが南アフリカのKwaZulu-Natalの、Tugela川下流域で再発見されました。A. natalensisは1860年代初頭に採取され、William Tyrer Gerrardによる2つのコレクションのみが知られており、原産地は「Natal」あるいは「Natal, Zulu-land」とだけ記録されていたものです。実に150年ぶりの再発見でした。しかし、この論文では、知られていないA. natalensisのメス個体は発見されませんでした。
この発見には続報がありました。Neil R. Crouch & David G. A. Stylesの2021年の論文では、Mngeni川水系の3箇所でもA. natalensisを発見し、開花し結実したメス個体を初めて発見しました。これにより、A. natalensisの雌雄異株についての完全な説明が可能となりました。

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Adenia kirkii (Mast.) Engl., 1891
ケニア、タンザニアの原産。1871年にModecca kirkii Mast.と記載され、後にアデニアとされました。キルキリンという毒素を含みます。


新種の発見
アデニア属も新種が発見されています。新しいものだと、Veronicah Mutele Ngumbauの2017年の論文では、ケニアとタンザニアの海岸林に生息する新種のAdenia angulosaについて説明しています。A. gummiferaに似ているとしています。また、Marc Pingnalらの2013年の論文では、コモロ諸島のMayotte島から新種のAdenia barthelatiiを説明しました。マダガスカルのアデニアに近縁なようです。
 
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Adenia globosa Engl., 1891
エチオピア、ソマリア、ケニア、タンザニア原産。現在は3亜種、subsp. globosa、subsp. curvata、subsp. pseudoglobosaに分けられます。


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台風の進路がめちゃくちゃで、すっかり翻弄されてしまいました。雨はすごかったものの、風がなかったので多肉植物の被害がなくてほっとしました。さて、本日も我が家の多肉植物たちを少しだけご紹介しましょう。

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Gymnocalycium ferocior
フェロキオルに良いトゲが出ています。まあ、まだ小苗ですが。


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H. fasciata fa. vanstaadensis
ファスキアタの矮性種が開花しました。

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矮性ゆえか花は小型。花弁の先端はよく開く方です。

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H. venosa
硬葉系のヴェノサが開花しました。

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随分と子株が増えました。
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花は全体的に白く、先端は非常に狭いですね。

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Aloe thompsoniae
トンプソニアエが非常に元気です。勢いがあります。小型種ですが花が美しいタイプなので、花が楽しみです。


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Euphorbia razafindratsiae
ラザフィンドラトシラエが開花しました。この個体は生長が鈍く、しばらく動きがありませんでしたが、今年は根元から分岐するなど非常に元気です。

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花は緑色。


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台風が来る来る言ってなかなか来ませんね。おかしな天気が続いていますが、雨が止んだ隙に少し撮影しました。というわけで、今日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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Euphorbia hedyotoides
今年は随分と生長しました。よく見ると開花しています。

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初めての開花です。ユーフォルビアの花は地味ですが、ヘディオトイデスはことさら地味ですね。

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H. coarctata IB 5850
九輪塔が咲きました。本体に比べて花茎が短いですね。

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花はスタンダードなタイプ。

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Euphorbia cylindrifolia
キリンドゥリフォリアは室内に取り込んだ冬の間に、うっかり枝を折ってしまいました。そのままにしておいたら根付いたのですが、何故かやたらに花が咲きます。

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Aloe florenceae
マダガスカル原産の小型アロエ、フロレンケアエ(フローレンシー)ですが、新しい葉が勢いよく出ています。この怪し気な青白い雰囲気がたまりませんね。


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Astroloba rubriflora
青白い繋がりでルブリフロラ。だいぶ育ったのですが、なかなか花が咲かないですね。

 
    
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エピジェネティクスとは簡単に言うと、遺伝子を変えずにその発現を制御し、その制御が次世代に伝わりうる仕組みのことです。最近、そのエピジェネティクスに関心があり、岩波新書から出ている入門書を読み、書評の形で記事にしました。(以下、リンク参照)



しかし、エピジェネティクスのメカニズムはともかくとして、挙げられた実例の多くは動物でした。著者の関心も癌などの疾患との関連に注目しているようですが、植物のエピジェネティクスに関しては軽く触れる程度でした。そこで、改めて植物のエピジェネティクスを調べてみました。すると、近藤洋と竹能清俊の2008年の論文、『花成とエピジェネティクス』が見つかりました。簡単に内容を見ていきましょう。

バーナリゼーション
バーナリゼーション(春化)とは、種子や芽生えの時期の低温の有無が、後に成熟した個体の花成の有無に影響を与えることです。「冬の記憶」とも称されるこの現象は、典型的なエピジェネティクスです。これは、種子や芽生えの時に受けた低温が記憶され保持されることと考えることが出来ます。モデル植物であるシロイヌナズナでは、FLC遺伝子が花成を抑制する因子として働きます。その発現は長期間の低温により抑制され、低温が解除されても維持されます。このことは、FLCの発現がエピジェネティクスのメカニズムであるDNAのメチル化やヒストン修飾により制御されている可能性があります。

脱メチル化による花成
バーナリゼーションがエピジェネティクスの制御を受けているか、まずはDNAのメチル化の観点から検討されました。シロイヌナズナにメチル化を解除する脱メチル化剤を施すと、花成が誘導されることが明らかとなりました。この時、実際にFLC遺伝子の発現が低下していました。つまり、FLC遺伝子がDNAのメチル化により制御されていることが示唆されたのです。シロイヌナズナ以外のバーナリゼーションによる花成がおこる植物でも、脱メチル化剤により花成が誘導されるためある程度は普遍性があるようです。

光周的花成
多くの植物は誘導的光周期(短日、長日)により速やかに花成が誘導され、誘導された花成状態は誘導的光周期以外の環境に置かれると持続しません。そのため、光周的花成にエピジェネティクスによる制御が働くとは考えられていませんでした。しかし、絶対的短日植物であるシソ(紫蘇)の光周的花成においては異なります。短日処理を受けたシソは誘導的光周期以外の環境に置かれても、花芽を形成し続けるなど花成状態が長く続きます。このような安定した花成形成が低温にゆるバーナリゼーションと似ているため、両者に共通する制御機構が想定されることから、著者らは光周的花成にエピジェネティクスが関与するのかを検討しました。

光周的花成とエピジェネティクス
脱メチル化剤をシソの種子あるいは茎頂に処理すると、長日条件でも花成は誘導されました。茎頂に脱メチル化剤を処理した場合に、処理された部位より下の茎にも花芽が形成されました。このことは、脱メチル化剤の作用を受けた部位で、輸送可能な花成刺激が生成されたことを示します。つまり、これらのことからシソの光周的花成にエピジェネティクスが関与することが示唆されました。

次世代に伝わるか?
DNAの脱メチル化により誘導された形質は、次世代に遺伝しうることが知られています。しかし、哺乳類のDNAのメチル化は配偶子形成の時にリセットされるため、メチル化状態は遺伝するとは限りません。対する植物はDNAのメチル化により誘導された形質が遺伝するため、植物にはDNAのメチル化のリセット機構がないとされてきました。しかし、脱メチル化剤で誘導したシロイヌナズナの花成の抑制状態は遺伝しないため、少なくともエピジェネティクスな制御を受ける遺伝子に関してはリセット機構があるものと考えられます。しかし、脱メチル化剤は同時に、シソの栄養生長の抑制をもたらしますが、この栄養生長の抑制は次世代に伝わることが確認されています。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。とはいえ、論文的には遺伝子の詳細な分析によるメカニズムの話が重要であり、論旨を証明する根拠なのですが、この記事では省きました。気になる方は、J-STAGEで一般にも公開されていますから、PDFをダウンロードしてみて下さい。論文は日本語で書かれた短いものです。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/plmorphol1989/19and20/1/19and20_1_15/_article/-char/ja/

さて、今回は植物のエピジェネティクスの例を1つご紹介したのですが、他にも植物のエピジェネティクスに関する論文は沢山出ているようです。まだ、日本語の論文しか検索していませんが、時間があれば海外の論文も検索してみるつもりです。


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台風が来ているため、撮りためた写真でお送りします。鉢が転がりそうなのでサギソウを室内に取り込みましたが、ちょうど花が咲いています。

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サギソウ Pecteilis radiata
湿地に生える球根性の蘭。


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天平丸 Gymnocalycium spegazzinii
天平丸が元気です。南米病にビビってなかなか手が出ないでいましたが、安売りしていたので去年の夏につい買ってしまいました。しかし、この素晴らしいトゲには感心しています。


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Euphorbia millotii
ミロティイの新葉が展開しています。日が強いため、新しい葉は小型です。

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古い葉は焼けていますが、花キリンは芽と幹にダメージがなければ問題ありません。環境に合った新しい葉が出ますからね。

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Euphorbia viguieri var. caproniana
変種カプロニアナも元気です。葉が非常に大きいですね。


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Dioon edule
エドゥレが今年2回目のフラッシュです。購入時は2枚だった葉はこれで6枚になりました。エドゥレは非常に生長が遅いソテツですから、葉が増えてもなかなか大きくなりません。

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密に詰まっています。エドゥレの葉はその青白い色合いや整然と揃った小葉など、非常に美しいソテツです。大事に育てたいものです。


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以前、CAM植物について簡単にまとめた記事を書いたことがあります。CAMとは光合成の方法の1つで、蒸散を抑えるために夜間に二酸化炭素を取り込み、リンゴ酸に変換して貯蔵する仕組みです。CAMという名前は、ベンケイソウ型有機酸代謝(Crassulacean Acid Metabolism)の略ですから、エケベリアやセダムなどのベンケイソウ科植物に典型的に見られ、乾燥に強いシステムですからパイナップル科植物やサボテンなどに広く見られます。
しかし、その時の記事の内容的は、あくまでも一般的に言われていることをまとめただけに過ぎないものでした。(以下、リンク)


そこで、今回は科学者によるCAMの概観とこれからについて見ていきたいと思います。参照とするのは、Kevin R. Hultineらの2019年の論文、『New perspective on crassulacean acid metabolism biology』です。

CAM植物の特徴
CAMは維管束植物の38科400属以上見つかっており、60以上の独立した進化の起源を持ちます。CAMの起源は、過去に起きた乾燥化と大気中の二酸化炭素の減少に相関しており、地球規模の気候変動に対する進化的対応の代表的な事例です。また、CAMは茎や葉の多肉質化、水の捕捉と貯蔵、厚いクチクラとワックス沈着、低い気孔密度、高い気孔応答性などの共通の適応形質と共に進化し、これらの特徴により水の利用が限られている、あるいは断続的な厳しい環境に生息出来ます。

CAMへの進化
CAMは38科の植物で知られており、その広い系統の中の分布から、CAMは独立して複数回に渡り発生したと考えられています。最古のCAMについては、証拠が化石に残らないためよくわかりません。陸生植物のCAMは乾燥が主な要因と考えられています。それは、日中の高温と相対湿度の低ささらされる砂漠に生える多肉植物でよく見られるからです。ただし、CAMは二酸化炭素を有機酸に変換し、炭素を濃縮するメカニズムですから、利用可能な二酸化炭素が少ない環境に対する適応も想定されます。例えば、Isoetes (ミズニラ属)などの原始的な水生植物はCAM植物なのは、水中の二酸化炭素の拡散係数が低いために、CAMに進化したと考えられます。陸生植物のCAMは、大気中の二酸化炭素濃度が低下し、CAMやC4という光合成経路が有利になった更新世の氷河期に反応したものと考えられます。

CAM研究
CAMの古典的なモデルは、気孔の反転と4段階のガス交換、および生化学的活性により定義されます。しかし、これはCAMの多様性と複雑性を否定するものです。CAMに関する最近の理解の進歩は、「弱い」、「通性」、「中間」のCAM植物の限界に関する研究から得られています。多くのCAM植物がCAMをC3やC4と共に発現し、その発現は発育の段階により変化することが多く、旱魃や塩分にさらされると通性で変化することもあります。

CAMの利用
CAM植物の中でも、旧世界のユーフォルビアと新世界のサボテンの茎が多肉質な種は、密猟や地球規模の気候変動により前列のない脅威にさらされています。しかし、多くのCAM植物は将来的な食料、飼料、繊維、バイオ燃料、医薬品とされる可能性がある高い農業的価値を持ち、しかも乾燥に強い作物です。少数のCAM植物製品は、テキーラ(Agave)やパイナップル、アロエ、バニラ、果実(ウチワサボテン)など、世界的に取り引きされています。しかし、これらの種は伝統的に過小評価されており、農業的改良のための投資はほとんど行われていません。これらのCAMは、遺伝学の進歩により遺伝的改良が促進されることが期待されています。中でもAgaveはバイオ燃料の原料として高く注目されています。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
一応ですが、CAMについて簡単に解説しましょう。
日中に二酸化炭素を取り込もうと気孔を開くと、高温と乾燥により水分が失われてしまいます。しかし、CAM植物は気温が低い夜間に二酸化炭素を取り込みます。取り込んだ二酸化炭素は、リンゴ酸の形で濃縮・貯蔵されます。気体は貯蔵が難しく場所をとりますから、リンゴ酸という液体に変換するのは理にかなっています。また、貯蔵が出来るため、夜間でも暑い日には、気孔を閉じて二酸化炭素の取り込みをしないこともあります。
論文の内容についてですが、驚くべきことにCAMは複数回、独立して進化したことが示されています。つまり、植物が進化の過程で1回だけCAMを獲得し、その子孫がCAMというわけではないのです。CAMは様々なグループのあちらこちらで、それぞれ獲得されました。それなりに複雑なシステムですから、共通祖先が獲得したわけではないのことに驚かされます。洋蘭の仲間であるDendebiumでは、属内で複数回のCAMの進化があったことが報告されているそうです。
さて、CAMの研究は何をもたらすのでしょうか。まずは、希少植物の保全が挙げられます。その植物の生態や生理などを理解することは、保全計画には欠かせません。詳しい調査もなしに似た環境に植栽しても上手くいかないケースが度々見られます。やはり、事前の研究は必須なようです。次はやはり作物として利用です。CAM植物は乾燥に強いため、通常の作物が育ちにくいような環境でも栽培出来ます。例えば、トウモロコシは主に家畜の飼料として莫大な量が生産されていますが、バイオ燃料への利用がよく言われています。しかし、米国では地下水を汲み上げて強引に生産しているため、地下水の著しく減少を招いているそうです。CAM研究により、地下水を利用しないAgaveなどを利用したバイオ燃料の開発や、CAM回路自体を組み込んだ作物も将来的には可能となるかもしれません。論文では、CAMの進化は①乾燥化、②二酸化炭素の減少、③植物育種となっており、ヒトによる開発を第三のCAMの進化イベントと捉えているようです。CAM利用に関する、その期待の大きさが分かりますね。



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いよいよ台風が来ます。前回は肩透かしでしたが、今回は直撃しそうです。しかし、何やらふらふらしていていつ来るのやら。困ったものです。それはそうと、本日も我が家の多肉植物を少しご紹介しましょう。

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龍尾閣 Euphorbia griseola
龍尾閣の新芽が勢いよく伸びています。E. richardsiaeの名前で入手したユーフォルビアですが、特徴的にグリセオラでした。


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H. limifolia var. glaucophylla
グラウコフィラが開花しました。

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変種グラウコフィラは実に個性的です。
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花は典型的な色合いですが、根元が膨らみ先端がすぼまる形です。花弁の開き方が特徴的。

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Euphorbia erythrocucullata
塊根性花キリンのエリスロククラタも急成長しています。古い葉は焼けていますが、まあ問題ありません。塊根はまだ地下で養成中。

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グングン伸びています。面白い花を咲かせるようですから、楽しみですね。

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Gymnocalycium erinaceum WR 726B
エリナケウムが盛んにトゲを出しています。あまりギムノカリキウムらしくない姿ですが、種小名も「禾状トゲの」という意味ですから、まあ見たまんまです。ちなみに、「ハリネズミ」という意味であるとしているサイトが沢山ありますがこれは誤りのような気がします。ハリネズミはErinaceus属ですが、その見た目からラテン語のErinaceusがつけられただけで、元来ラテン語にハリネズミという意味はないように思われますが。

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Aloe erinacea
エリナケアもやはり外見から命名されました。そういえば、栽培されているエリナケアをウェブ上で探すと、徒長しているものが多いことに気が付きました。私は早く育てる意味がないため、非常に締めて作っていますからなかなか大きくなりません。しかし、それ故に整った姿をキープしています。



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エピジェネティクスとは、一般的に「遺伝子の配列を変えずに遺伝子を制御」する仕組みと言われていますが、これだけだと何だかわかりませんね。初めてこの言葉を聞いたのは、某ネット掲示板の書き込みで、確か「その世代が獲得した特徴が子孫に伝わる仕組み」のように言われていたように記憶しています。しかし、それはラマルクの進化論のように聞こえて、首を傾げたものです。一体どういうことなのでしょうか。まあ、知らないのなら調べたら良いではないかということで、手軽に読める新書を手にとってみました。本日は、2014年に刊行された、仲野徹 / 著、『エピジェネティクス -新しい生命像をえがく』(岩波新書)をご紹介します。

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まず、読んで直ぐに少しだけ知っている話だと気が付きました。要するにこれは、ヒストンのメチル化に関係する話ですね。それがエピジェネティクスと呼ばれていることを知りませんでした。とはいえ、私の知識はえらくぼんやりしていて、具体例と言われるとよくわかりません。一体どういうことなのでしょうか?

エピジェネティクスの仕組みは、簡単にいうとDNAやDNAを折りたたむヒストンというタンパク質がメチル化やアセチル化などの修飾・脱修飾をされると、その遺伝子がオンになったりオフになったりするということです。遺伝子は生きている間に変わりませんが、このスイッチのオン・オフは変わりうるものです。そして、そのオン・オフは次世代に伝わる可能性があります。しかし、エピジェネティクスはどうもそれほど万能なものではないようです。なぜなら、受精の際に遺伝子は脱メチル化され、一度リセットされるからです。ですから、必ずしもスイッチのオン・オフが次世代に伝わるとはいえないようです。正確には、この時にリセットされないでオン・オフが保存されるものもあるということです。

エピジェネティクスは遺伝子に依存しない仕組みのように捉えられる向きもあるようです。どちらかと言えば、遺伝子を制御する仕組みの一部と考えた方が自然かも知れません。遺伝子自体は変わりませんから、ラマルクの用不用説とも異なりますね。また、エピジェネティクスの制御は、ある遺伝的な現象に対し、それを主体的に制御しているのか、一部が関連するだけなのか、全く関与していないのか、かなり温度差があるようです。重要ではあるものの、すべての事象を説明しうるものではないということです。

エピジェネティクスの具体例としては、植物では春化現象が挙げられます。秋まき小麦を低温で処理(春化処理)すると、春まき小麦になるという現象です。これは、悪名高きルイセンコが見つけた現象です。観察された現象自体は正しいものの、解釈が間違っていました。春化処理するとその獲得形質は遺伝するとし、遺伝学や進化論を歪めてしまいました。これは、遺伝ではなく、エピジェネティクスの変化によるものだったのです。また、植物は受精の際の脱メチル化が動物のように広範に起きないとされているようです。


ここで、ラマルクの用不用説との違いを明確にしておきましょう。よくある用不用説の例として、キリンの首の長さに対する説明があります。曰く、高い場所にある枝についた葉を食べるために首を伸ばしていたら、世代を重ねる毎に徐々に首が長くなったというものです。エピジェネティクスで考えた場合、首の周囲の筋細胞のエピジェネティクスの変化でしかなく、生殖細胞のエピジェネティクスは変わっていないため、次世代には伝わりません。エピジェネティクスは生殖細胞に起きている必要があるのです。例として挙げると、飢饉が起きていた時に生まれた子供は、将来的に糖尿病などの生活習慣病になりやすいという調査の結果があります。これは、低栄養に耐えられるようにエピジェネティクスが変化した例です。この場合、生殖細胞を含めたすべての細胞にエピジェネティクスの変化があるため、次世代に伝わる可能性があります。さらに言えば、エピジェネティクスは用不用説の想定する新たに獲得した形質などではなく、既存の遺伝子が働くか働かないかというものですから、まったく異なりますね。

読んでいて驚いたのは、遺伝的には問題がなくてもメチル化の違いにより発病する病気があるなど、思いの外様々な部分に影響を及ぼしていることです。しかし、分かっている部分はまだまだ少ないようで、はっきりとしないモヤモヤした部分が残りました。エピジェネティクスが一部の病気に関わるため、例えば癌については研究が進行中です。もちろん、メチル化の制御が癌治療に有用な可能性があるからです。しかし、それも始まったばかりで、その他のエピジェネティクスについてはこれからの分野のようです。エピジェネティクスが関係していることは分かっていても、それがどれだけの重要性があるのかすら解明が難しいのです。実際にエピジェネティクスの関連が言われている現象でも、エピジェネティクスを確実に証明することはなかなか困難なようです。まあ、エピジェネティクスは仕組みの一端なのですから、エピジェネティクス以外の仕組みも合わせて理解しないと意味がないのかも知れません。
本書では植物のエピジェネティクスは扱いが少ないのですが、これは著者の専門外であるからなのか、植物のエピジェネティクス研究が進んでいないからなのかは、よくわかりません。ただ、医学研究などと比べると重要性は下がるため、それほどの進展はないであろうことが予想されます。植物のエピジェネティクスはかなり複雑なようですから、研究も難しそうです。本書によりエピジェネティクスに興味が湧きました。何か良い論文がないか調べてみます。そのうち、ブログで取り上げるかも知れません。


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.何やらまた台風が来ていますね。直撃する可能性が高そうですから、私も台風対策をしないとまずそうです。さて、本日も我が家の多肉植物たちを少しだけご紹介しましょう。

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Gymnocalycium prochazkianum subsp. simile VoS 1417
鳥についばまれてしまいました。トゲが虫に見えるのでしょうか? 以前も同じことがありましたが、困ったものです。


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Gymnocalycium intertextum
こちらは流石に鳥についばまれないであろうインテルテクスツムです。そういえば、学名の読み方ですが、私は個人的な好みでラテン語読みしていますが、一般的には英語読みとラテン語読みがチャンポンになっていたりします。この場合、英語読みだとインターテクスツムですね。


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Aloe bowiea
ボウィエアが開花しました。株が充実していますから、よく開花します。

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アロエは一般的に鳥媒花ですから、アロエの花は鳥にアピールするために赤や橙などの暖色系です。しかし、ボウィエイはご覧の通り緑色からクリーム色です。虫媒花、しかもこの地味さは蛾媒っぽいですね。雄しべや雌しべが飛び出していますから、花に潜り込むような小型の蜂は関係がなさそうです。筒状で口が狭いため、蛾の長い口吻を差し込む時に受粉するのでしょう。

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Euphorbia iharanae
イハラナエが非常に元気です。イハラナエは非常に丈夫で生長は早いようです。ちなみに、イハラナエはE. viguieri系ではなくE. neohumbertii系の花キリンです。

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葉には産毛が生えており、美しい模様があります。

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Euphorbia hofstaetteri
ホフスタエテリが活発に生長しています。

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よく見ると、根元から分岐し始めました。

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Operculicarya pachypus
パキプスは勢いがあります。まあ、おかしな形に育ちましたけど。とはいえ、パキプスは乾燥地の灌木に過ぎないので、盆栽よろしく切り戻せばいいだけです。

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ロングポットに植えてから、生長が良くなり幹も太くなりました。ポットの底から根がはみ出しているくらいですから、根もよく張っているのでしょう。


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気が付けばもう8月も終わってしまいます。今年の夏はあまりに暑くてやる気が起きず、庭や多肉植物関連のことが何も出来ませんでした。涼しくなるこれからバタバタ忙しくなりそうです。本日も我が家の多肉植物を少しご紹介します。

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Euphorbia granticola
グランティコラの実生苗ですが、今年は一気に生長しました。特徴があらわれてきました。


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Euphorbia alluaudii
アルアウディイはあまり元気がありませんでしたが、今年は生長してくれました。割と乾燥に強いタイプです。


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闘牛閣 Euphorbia schoenlandii
闘牛閣は非常に元気です。やはり闘牛閣はなるべく太く育てたいものですね。こう見えてタコものユーフォルビアの仲間です。


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Aloe pseudoparvula
「偽のパルヴラ」という不名誉な名前のプセウドパルヴラですが、少し特徴が見えてきました。とはいえ、今年6月のビッグバザールで購入したばかりですから、まだまだこれからです。


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Aloe parvula
パルヴラは2022年に入手しましたが、見違えるように生長しました。しかし、まだ当時の葉が少し残っていますね。プセウドパルヴラとあまり似ていないようにも見えますが、小さな苗のうちは区別がつかないくらい似ていました。

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根がはみ出してきました。来年は植え替えないといけませんね。


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去年の8月にサボテンの新種について調べた記事をあげました。論文が出たばかりで、まだ新種として認定されていないものもありました。ということで、去年の記事を振り返ります。現在ではどうなっていますでしょうか。また、あれからの1年間で新たに発表された新種のサボテンはあるのでしょうか。以下、去年の記事のコピーです。変わった部分は【追記】としています。いくつかの新種には画像リンクを貼りました。

1753年にCarl von LinneがサボテンをCactus属と命名した時には、すでにヨーロッパでもサボテンが栽培されていました。それから、沢山のサボテンが命名されてきましたが、未だに新種のサボテンが見つかっています。最近見つかったサボテンはなんだろうかと思って、少し調べてみました。と言っても、すべての新種を調べた訳ではなく、検索してすぐに出てきたものだけです。しかし、それでも2010年以降に限っても、それなりの種類は見つかりました。主に論文のAbstractだけをサラッと読んだだけですから、あまり詳しい内容は分かりません。ですから、簡単に見ていきましょう。

2011年
【追記】メキシコのTamaulipas州からマミラリアの新種、Mammillaria cielensisが記載されました。しかし、現在はM. zubleraeの異名となっています、

2012年
★アルゼンチンのブエノスアイレス州からウチワサボテンの新種、Opuntia ventanensisが記載されました。しかし、現在ではOpuntia fragilisの異名とされています。

2013年
★ペルー南部からボルジカクタスの新種、Borzicactus hoxeyiが記載されました。しかし、2014年にLoxanthocereus属になり、Loxanthocereus hoxeyiとなりました。

2014年
★ペルー北部からエスポストアの新種、Espostoa cremnophilaが記載されました。
★メキシコのオアハカ州からウェベロケレウスの新種、
Weberocereus alliodorusが記載されました。【追記】2018年にSelenicereus alliodorusとする意見もありましたが、認められておりません。
★メキシコのタマウリパス州からマミラリアの新種、
Mammillaria huntianaが記載されました。しかし、現在ではM. roseoalbaの異名とされています。
【追記】メキシコのZacatecasからオプンチアの新種、Opuntia gallegianaが記載されました。
【追記】米国のアリゾナ州からオプンチアの新種、Opuntia diploursinaが記載されました。
【追記】米国のカリフォルニア州からキリンドロプンティアの新種、Cylindropuntia chuckwallensisが記載されました。
【追記】ブラジルのリオデジャネイロ州からリプサリスの新種、Rhipsalis flagelliformisが記載されました。


2015年
★アルゼンチンのコルドバ州からギムノカリキウムの新種、Gymnocalycium campestreが記載されました。
https://identify.plantnet.org/k-world-flora/species/Gymnocalycium%20campestre%20%C5%98epka/data
★メキシコ中央部でツルビニカルプスの新種、
Turbinicarpus heliaeが記載されました。 しかし、2021年にKadenicarpus属になり、Kadenicarpus heliaeとされています。
【追記】メキシコ中部からオプンチアの新種、Opuntia delafuentinaが記載されました。
【追記】メキシコのバハ・カリフォルニア州で、7種類のウチワサボテンの新種が記載されました。それは、Opuntia clarkiorumCylinderopuntia libertadensis
Cylinderopuntia waltoniorumCylinderopuntia cedrosensisCylinderopuntia alcahes var. gigantensisCylinderopuntia alcahes var. mcgilliiCylinderopuntia ganderi var. catavinensisです。このうち、3つの変種は2019年に新種を記載した著者自身により亜種に変更されています。

2017年
★エルサルバドルでディソカクタスの新種、Disocactus salvadorensisが記載されました。
★メキシコのCoahuila州からウチワサボテンの新種、
Corynopuntia deinacanthaCorynopuntia halophilaが記載されました。しかし、2018年に2種類ともGrusonia属になり、Grusonia deinacanthaGrusonia halophilaとされています。実は、Corynopuntia属は消滅し、すべてGrusonia属となっています。
【追記】ドミニカ共和国南西部のPedernales州からレプトケレウスの新種、Leptocereus demissusが記載されました。
【追記】ハイチからケレウスの新種、Cereus haitiensisが説明されました。しかし、この名前は非合法名(nom. illeg.)とされ、認められませんでした。これは、1926年にすでにC. haitiensisが命名されていたため、名前が重複してしまうことからと考えられます。ちなみに、現在ではSerrulatocereus serruliflorusの異名となっています。


2018年
★メソアメリカ地域からデアミアの新種、Deamia montalvoaeが記載されました。
★メキシコのオアハカ州からテロカクタスの新種、
Thelocactus tepelmemensisが記載されました。
https://www.thelocactus.cactus-mall.com/Species_Files/tepelmemensis.html
【追記】メキシコ原産のStenocereus griseus複合体から、Stenocereus huastecorumが分離されました。しかし、未だに未記載種となっています。
【追記】キューバ西部のPinar del Rio州のカルスト石灰岩の崖からレプトケレウスの新種、Leptocereus assurgens var. albellusLeptocereus chrysotyriusが記載されました。L. 
assurgens var. albellusは、2020年にL. assurgens subsp. albellusとなっています。また、同じく2020年にL. albellusとする意見もありました。同じく2020年にL. chrysotyriusはL. assurgens subsp. chrysotyriusとされました。

2019年
★メキシコ南部からケファロケレウスの新種、Cephalocereus parvispinusが記載されました。
https://inaturalist.ca/taxa/1133501-Cephalocereus-parvispinus
★メキシコのヌエボレオン州からツルビニカルプスの新種、
Turbinicarpus boedekerianusが記載されました。
https://uk.inaturalist.org/taxa/858375-Turbinicarpus-boedekerianus

2020年
★ペルーからリマンベンソニアの新種、Lymanbensonia choquequiraensisが記載されました。
★メキシコのハリスコ州からアカントケレウスの新種、
Acanthocereus paradoxusが記載されました。
★メキシコのシナロアからコケミエアの新種、
Cochemiea thomasiiが記載されました。【追記】2021年にMammillaria thomasiiとする意見もありましたが、認められておりません。
★メキシコからマミラリアの新種、
Mammillaria breviplumosaが記載されました。しかし、現在ではM. sanchez-mejoradae subsp. breviplumosaの異名とされています。
★分類が曖昧だったEchinocereus pulchellus複合体が整理され、
Echinocereus acanthosetusEchinocereus sharpiiが新種として分離されました。
【追記】ドミニカ共和国のアンティル諸島原産のLeptocereus weingartianus複合体から、新種のLeptocereus velozianusが分離されました。また、2021年にNeoabbottia velozianaとする意見もありましたが認められておりません。


2021年
★メキシコのハリスコ州南部からアカントケレウスの新種、Acanthocereus atropurpureusが記載されました。
★メキシコのバハ・カリフォルニア半島からウチワサボテンの新種、Opuntia sierralagunensisOpuntia caboensisが記載されました。
★ドミニカ共和国やハイチに自生するPilosocereusはP. polygonusとされてきましたが、新種のPilosocereus brevispinusPilosocereus excelsusPilosocereus samanensisに分解されました。

2022年
★ニカラグアからデアミアの新種、Deamia funisが記載されました。
★メキシコのサン・ルイス・ポトシ州からマミラリアの新種、Mammillaria morentinianaが説明されました。しかし、キュー王立植物園のデータベースにはまだ記載がありません。新種であるか否か、正式に審査されるのはこれからのようです。【追記】現在、M. morentianaはThe International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024.により新種として認定されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/1433006-Mammillaria-morentiniana
★分類が曖昧だったMammillaria fittkaui複合体を分析し、ハリスコ州原産のMammillaria arreolaeを新種として説明しました。しかし、こちらもまだキュー王立植物園に記載はありません。【追記】現在、M. arreolataはThe International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024.により新種として認定されました。
https://uk.inaturalist.org/taxa/1427658-Mammillaria-arreolae/browse_photos
【追記】メキシコのBajioからステノカクタスの自然交雑種であるStenocactus × irregularisが記載されました。

2023年
★ペルーからウチワサボテンの新種、Cumulopuntia mollispinaが説明されました。【追記】現在、C. mollispimaはThe International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024.により新種として認定されました。
★ブラジルからパロディアの新種、Parodia flavaが説明されました。【追記】まだ未記載種のようです。
★ブラジルのリオグランデ・ド・スル州西部からパロディアの新種、Parodia hofackerianaが説明されました。【追記】現在、P. hofackerianaはThe International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024.により新種として認定されました。また、2023年にNotocactus hofackerianusとする意見もありましたが認められておりません。ちなみに、NotocactusはParodiaに吸収され、属としては消滅しました。
【追記】ホンジュラスのCelaque山国立公園からアカントセレウスの新種、Acanthocereus lempirensisが記載されました。
https://uk.inaturalist.org/taxa/1491587-Acanthocereus-lempirensis
【追記】ブラジル東部の半乾燥地からタキンガの新種、Tacinga
 paiaiaが説明されました。まだ、未記載種のようです。
【追記】メキシコのGuanajuatoからマミラリアの新種、Mammillaria monochrysacanthaが記載されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/1500362-Mammillaria-monochrysacantha
【追記】ケレウス属の遺伝子を解析し、ブラジルのミナスジェライス州とバイーア州原産のCereus ingensと、ブラジル北部原産のCereus gerardiが分離されました。しかし、まだ未記載種のようです。

2024年
2024年に公表された新種は、まだ未記載種となっています。これから、審査されることになります。
【追記】ブラジル北東部のCeara州からタキンガの新種、Tacinga mirimが説明されました。いままで、より大型のT. palmadoraと混同されてきました。
【追記】コロラド州西部からスクレロカクタスの新種、Sclerocactus dawsoniaeが説明されました。S. glaucusより小型でトゲが少なく、遺伝的にも異なります。
https://guatemala.inaturalist.org/taxa/1551384-Sclerocactus-dawsoniae
【追記】メキシコのBajio地域からマミラリアの新種、Mammillaria ariasiiが説明されました。M. hahnianaに似ています。
https://www.inaturalist.org/taxa/1543654-Mammillaria-ariasii/browse_photos
【追記】メキシコのSan Luis Potosi州からオプンチアの新種、Opuntia fortanelliが説明されました。
【追記】ユーベルマニア属の分子系統解析により、Ubelmannia nudaが分離されました。ブラジルのGerais州の原産で、遺伝的にはU. pectiniferaに近縁です。半地下生など珍しい特徴を持ちます。
https://www.cactuspro.com/forum/read.php?1,921125

最後に
以上が調べた限りの最近の新種のサボテンです。検索が不十分だったのでいくつか追加しました。また、2024年にも、8月までで既に5種類もの新種のサボテンが発表されています。しかし、まだ確認段階で正式に認められるのは来年以後になるでしょう。園芸的に見るならば、ユーベルマニアの新種はかなりインパクトが大きく感じます。今後、園芸市場に出回るでしょうか?
さて、今年に発表された種は、これから検証されて、将来的に正式にデータベースに記載されていく可能性があります。せっかく調べたのですから、これからは毎年チェックしていきたいですね。



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鶴仙園に行ったりして疲れてしまい、相変わらずぐうたらしていますが、多肉植物たちの写真は撮りました。少しだけご紹介しましょう。

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Euphorbia brachyphylla
7月に横浜のヨネヤマプランテイションのイベントで購入したブラキフィラですが、生長が始まりました。

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新しいトゲと葉が出ています。トゲは平たい面白い形です。

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Euphorbia delphinensis
デルフィネンシスが相変わらず開花しています。

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よく見ると結実しています。
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どうやら、雌雄同株のようです。

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Euphorbia gorgonis
ゴルゴニスも相変わらず結実していますが、よく見るとやはり雌雄同株のようです。


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Gymnocalycium prochazkianum subsp. simile VoS 1417
プロカズキアヌム亜種シミレがパンパンにふくれています。新しいトゲも出て調子が良さそうですね。

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紅彩ホリダ
紅彩閣×ホリダの交配種と言われる紅彩ホリダです。個人的には好きなんですが、人気がないらしく検索かけても、ほとんど情報がありません。普及種ですが、育てている人はあまりいないようです。


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Haworthiopsis fasciata var. browniana
ファスキアタ変種ブロウニアナが開花しています。花は随分とスリムです。蛾媒なのでしょうか? あと、花の開き方がハウォルチアにしては激しいですね。


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所用があって都内に出ることになったため、ついでに西武池袋の屋上にある鶴仙園へ行って参りました。5月以来ですから、3ヶ月ぶりのことです。台風一過の蒸し暑さの中ですが、どんな多肉植物があるのか楽しみです。

さて、本日の鶴仙園はという前に、西武池袋は全面改装のため、屋上に直通で行けずにパズルゲームのようにエスカレーターを乗り継いで向かいました。
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めちゃくちゃややこしいですね。

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なんとか、屋上に到達しましたが、公式ブログにある通りパキポディウム苗が大量に並んでいました。また、ユーフォルビア・コーナーがあり、普及種から高額な塊根まで沢山のユーフォルビアがありました。とはいえ、普及種は大抵は手持ちにあり、塊根は懐具合からちょっと遠慮しました。サボテンも見ましたが、私の好きなギムノカリキウムに変わったところはあまりなく、いつも通りといったところです。ハウォルチアは相変わらず大量にありましたが、軟葉系ばかりです。私の好きな硬葉系は、H. sordidaとH. nigraくらいでしたね。私の手持ちのニグラは小型のタイプですが、異なるタイプがあったので購入。あと、リミフォリアの変種があったのでこれも購入しました。

以下、購入品です。
240818134926276
H. nigra BK596 ハマー4
このニグラはルチアさんの株ですよね。しかし、この「BK596」はフィールドナンバーでしょうか? ハウォルチアでBKは聞いたことがありませんね。「ハマー4」はもっとわかりませんけどね。


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H. limifolia v. ubomboensis
南アフリカではなくスワジランドのUbombo山の原産のリミフォリア変種です。非常に独特の外見ですね。リミフォリアには見えません。


西武池袋の食品売り場(菓子・惣菜)が何故か7階に移動するらしいという話を聞いたので、調べてみたところ衝撃の事実を知ってしまいました。なんと、全面改装で、鶴仙園のサービスを終了するというのです。まさかの、これが最後の鶴仙園かと唖然としてしまいました。しかし、鶴仙園のHPやブログにはそんな話はありません。よくよく西武池袋のHPを見ると、西武百貨店としてのサービス(アプリ、領収書など)が終了するだけで、閉店はしないのでは?という感じがします。鶴仙園のHPのお知らせでも、同じ文面でした。実際に鶴仙園の店員さんに聞いたところ、池袋の鶴仙園は営業を継続するとのこと。いやはや、焦りました。隣の観葉植物のお店は既に空になっていましたが、なんとそちらのスペースも鶴仙園の販売スペースとなるということです。かなり、広くなりますね。心配から一転して、逆に楽しみになりました。秋口になり少し涼しくなったらまた訪れるとしましょう。


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台風7号が大暴れしましたが、風は言われていたより大したことはなく、多肉植物たちにこれといった被害はありませんでした。お手製の雨よけが飛んでいくかも知れないとだいぶ心配していましたから、一安心です。さて、そんな台風一過の青空の下で撮影した、我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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矢毒キリン Euphorbia virosa
矢毒キリンの美しい新トゲが出ています。


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グロエネフィカ
交配種のグロエネフィカが次々と開花しています。


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Aristaloe aristata
1ヶ月以上咲き続けていたアリスタタの花が、いよいよ終わりの雰囲気です。

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と思ったのですが、花茎が分岐してまだ咲くみたいです。
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2014年にアロエから独立し、1属1種のアリスタロエになりました。ハウォルチア・ライクの美しいアロエ類です。

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Aloe bergerii
正体不明の謎アロエに蕾が出てきました。これで正体が分かるかもしれません。


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H. tessellata IB 6776
テセラタが開花しました。実は1度花茎が萎れてしまったので、今年2本目の花茎でした。

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フィールドナンバー付きですが、何ともいえない渋さがあります。
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花はかなり大型で、緑色が強いですね。非常に個性的です。


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サボテン栽培は日本でもそれなりに歴史がありますから、昔からサボテンの本は沢山出版されています。しかし、サボテン以外は単に「多肉植物」と称されがちで、なかなか単体では扱われて来ませんでした。ハウォルチアやエケベリアは近年の多肉植物ブームが起因となって本がでているようですが、私の好きなユーフォルビアについてはまだありませんでした。アガヴェとかエケベリアが好きな人は沢山いますが、ユーフォルビア好きで集めている人は、比べると少し珍しいかも知れません。ユーフォルビアはその種類の多さや多様性の高さなどは、多肉植物の中でも唯一サボテンに匹敵しますが、何故かそれほどの人気がありません。しかし、近年では、沢山の種類のユーフォルビアを見かけますし、珍しいユーフォルビアも流通してきました。これは、ユーフォルビア・ブームが来る前兆でしょうか? と言うことで、全ユーフォルビア・ファン待望のユーフォルビア本が出版されたので、簡単にご紹介しましょう。

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日本中のユーフォルビア・ファンが待ち望んでいたその本は、今年の7月に出版された靍岡秀明 / 著、『12か月栽培ナビNEO 多肉植物 ユーフォルビア』(NHK、趣味の園芸)です。靍岡秀明さんと言えば鶴仙園、私もお世話になっております。
さて、この趣味の園芸のシリーズは月ごとの栽培方法を指南するものですが、ユーフォルビアはどのような栽培が適しているのでしょうか。私などは、何となく試し試しというか、だましだまし栽培してきましたから、俄然プロの栽培方法には興味があります。細かい月ごとの管理が、春秋型、夏型、冬型で示されますが、正直そこまで細かく意識していなかったので、非常に参考になります。さらに、植え替えや挿し木、接ぎ木、受粉から種まき、さらには傷んだ株の仕立て直しまで、初心者が知りたい情報は大抵含んでいると思われます。
やはりと言うか、前半にあるユーフォルビア図鑑の個体の素晴らしさには圧倒されます。しかし、ユーフォルビアは種類も多く、その生活型や形態があまりにも異なるため、そのすべてが同じ属であることに改めて驚きを覚えます。ユーフォルビアを一冊の本にまとめるのは大変ですよね。

サボテンを栽培している人は昔から沢山いて、その栽培方法については割と一般化していると思います。しかし、ユーフォルビアに関しては、昔から普及種は売られていましたが、集めているのは一部の好事家くらいで、栽培方法などは個々で見つけていく雰囲気でした。ウェブ上の情報は割と怪しいものばかりですから、私も探りながらの栽培で困っていました。ですから、本書はすべてのユーフォルビア・ファンにとっての福音となるはずです。私個人としても、ユーフォルビアがより盛り上がって欲しいと考えております。まあ、ユーフォルビア・ブームが来たら珍しい種類も流通するだろうという、棚ぼたを期待してのことですが。まあ、それはさて置き、良書ですからおすすめ致します。


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本日も特にこれといった話題はありませんが、我が家の多肉植物たちを少しご紹介します。

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Euphorbia hedyotoides
この暑い中でもヘディオトイデスは実に元気です。葉が細長いユーフォルビアは何種類か育てていますが、その中でもヘディオトイデスが一番細い葉を持ちますね。

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短枝と長枝を繰り返す「ヘディオトイデス型分岐」が見られます。枝分かれは常に短枝から出て、長枝は枝分かれしません。

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Euphorbia sapinii
サピニイにようやく葉が出てきました。長らく坊主だったので心配でしたから、ほっとしましたね。


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魔界玉 Pachypodium makayense
魔界玉は葉焼けしつつも、勢いがあります。

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本体はほとんど見えませんが、赤味があるトゲが特徴的ですね。

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Euphorbia makayensis
こちらは、花キリンのマカイエンシスです。今年の生長は良好ですが、乾燥に弱く葉がすぐに巻いてしまいます。

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マカイエンシスの美しい新トゲ。

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Euphorbia woodii
タコものユーフォルビアの珍品、ウォオディイ(ウーディー)です。まだまだ小さいのですが、生長は旺盛で、かつ大変引き締まっています。将来が楽しみです。

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鉄甲丸 Euphorbia bupleurifolia
鉄甲丸が開花し始めました。暑さに弱いようなことも言われますが、実際には極端な乾燥を嫌うだけです。水切れに注意していれば、真夏でも盛んに葉を出して開花もします。



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8月はあまりの暑さに参ってしまい、イベントはすべてパスしました。まあ、馴染みのあるイベントはなかったので特に問題はありません。新しいイベントを開拓する元気がないだけです。しかし、都内に出なくてはならない用事が出来たため、西武池袋の鶴仙園に寄ってみる予定です。まあ、そんなこんなで、本日も我が家の多肉植物を少しご紹介しましょう。

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Euphorbia boiteaui
一般的にはE. decaryiと呼ばれている花キリンです。挿し木苗が流通していますが、この株は珍しいことに実生苗です。ちなみに、一般的にE. francoisiiと呼ばれている花キリンがE. decaryiとなっています。ボイテアウイは年間降水量が730mmの半乾燥地に生え、フランコイシイ(=デカリイ)は1600mmを越える湿潤地に自生します。


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Euphorbia guillauminiana
グイラウミニアナは暑さ知らずで、よく生長しています。グイラウミニアナはマダガスカルでも降水量が多い地域の原産ですから、他の花キリンよりも水切れを嫌います。


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孔雀丸 Euphorbia flanaganii
孔雀丸は久しぶりに調子が良さそうです。タコものユーフォルビアはみな近縁なグループですが、日照に対する好みは種ごとにまったく異なります。ゴルゴニスが日照を好むため、孔雀丸も以前は同じ環境に置いていましたが、どうしても生長不良になっていました。今年は遮光を強くしたため、枝の勢いも数も良好です。


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Euphorbia pachypodioides
パキポディオイデスは当初は育て方が分からず、他のユーフォルビアと同じ管理していたため、葉が直ぐに落ちてしまい、常に葉が1〜2枚しかない貧相な外見でした。植え替えをしてみると根が細く繊細で、とても乾燥に強いようには見えません。調べてみると、パキポディオイデスは年間降水量が1600mmを越える地域の原産なので、それなりに湿潤な環境を好むようです。


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貴青玉錦 Euphorbia melofolmis cv.
メロフォルミス系の交雑種らしき貴青玉の斑入り品種。ユーフォルビアの班入りはあまりにも整然と入るため、作り物のように見えますね。

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Haworthia maraisii var. notabilis JDV 87/197
マライシイ変種ノタビリスが開花しました。
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流石に暑いようで顔色はあまりよくありません。
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花は典型的な配色。

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今年の植え替えでは、どうにも調子が悪そうな多肉植物がいくつかありました。様子を見ていましたが、いくつかは復活の兆しがあります。忙しさにかまけて十分に手入れ出来ない私のせいではありますが、なんとか完全復活して欲しいものです。

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Euphorbia poissonii
ポイソニイは去年、急に調子を落としてしまいました。理由がわかりませんでしたが、今年植え替えたところ、根か寄生性のカビにやられていました。このカビはある程度広まってしまったようですが、殺菌剤がよく効くようで、ポイソニイも危機は脱したようです。ただ、ユーフォルビアは根をやられるとなかなか復活しない場合が多いため、カビは駆除出来ても生長が止まってしまいがちです。

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飛竜 Euphorbia stellata
飛竜は中々上手くいきません。購入時にあった脇の太い塊根が腐り、今でも深い傷跡が残ります。その後はそれ以上、腐敗は進行しませんでしたが、例によって寄生性のカビが感染してしまったようです。こちらも殺菌剤で治療中です。この寄生性のカビは、塊根ではない太い根に感染し、黒い菌核を作ります。今のとこユーフォルビアだけで、何故か同じユーフォルビアである花キリンには感染しないようです。

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Euphorbia magnifica
おそらくですが、根詰まりと言うか根腐れを起こしてしまいました。冬の間に下から枯れていったので、水やりを中止したらそれ以上は進行せず、先端だけ生きている状態で春を待っていました。その状態で少し根が出ていましたから、切断して植え込みましたが、どうやら大丈夫なようです。購入時に小さな鉢にミッチリ根が詰まっており、カチカチに固まってしまっており、ほとんどほぐせませんでした。仕方なくそのまま植え込みましたが、やはり塊部分が過湿になっていたのでしょう。

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Euphorbia gymnocalycioides
ギムノカリキオイデスは、今年の植え替えでは根がほとんどありませんでした。冬の間の植物用ランプが強すぎたようで、やや焼け気味の色合いでした。しかし、室内で様子見していたところ、色合いも良くなり触ってもぐらつかなくなりました。ちゃんと根を張ったようですね。

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大型鬼胆丸
すっかり縮んでしまいましたが復活しました。まあ、根には問題かなかったので、去年厳しくしすぎただけのようです。
一般的に大型鬼胆丸はGymnocalycium gibbosum var. nigrumとされており、というか変種ニグルムの中でも大型のタイプを大型鬼胆丸と呼んでいるらしいです。では、大型ではない鬼胆丸はというと、Gymnocalycium gibbosum var. brachypetalum、あるいはGymnocalycium brachypetalumと呼ばれます。しかし現在では変種ニグルムも変種ブラキペタルムも、
Gymnocalycium gibbosum subsp. gibbosumに含まれてしまっているようです。

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Aloe humilis
小さい鉢に植えられていたので、根詰まりからの過湿で弱っていたので植え替えました。現在は新しい葉を盛んに出しており、完全に復活したようです。

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Haworthia arachnoidea
アラクノイデアは育ちすぎて、葉で鉢に蓋をした形となってしまい、水分がまったく蒸発しない状況になってしまいました。根腐れを起こし、葉も全体的に軟弱になりましたが、植え替え後しっかり根を張ったようです。中央の新しい緑色の葉はしっかりしており、周囲の色味の悪い古い葉はぐにゃぐにゃしています。まあ、ハウォルチアは強いので多分大丈夫だろうとは思っていました。


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暑い日が続きます。水をまくだけで全身汗だくで、写真を撮るだけでも疲れてしまいます。日中に撮影していると、スマホが過熱してしまいカメラが強制停止してしまうため、夕方の明るいわずかな時間に慌てて撮影しました。

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亀甲竜 Dioscorea elephantipes
亀甲竜が早くもお目覚めです。暑くよく日に当たる場所に置いたせいかもしれません。

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恵比寿笑い Pachypodium brevicaule
恵比寿笑いは、パキポディウムの中でも非常に元気です。葉が繁りすぎて本体が見えませんね。

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塊茎がよく発達しています。少し窮屈かも知れません。

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Uncarina roeoesliana
ロエロエスリアナの葉は大変勢いが良いですね。しかし、何故か花は咲かず…。

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露出させた塊根部がひび割れを起こしています。塊根の生長は順調なようです。

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Euphorbia mlanjeana
ムランジェアナがようやく動き始めました


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Pachypodium densiflorum
デンシフロルムの2番花が咲いています。今年は3番花はあるでしょうか?



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本日はちょっと変わったサボテンの論文を見つけましたので、ご紹介します。それは、N. B. Englishらの2021年の論文、『Age-growth relationships, temperature sensitivity and palaeclimate-archive potential of the threatened Altiplano cactus Echinopsis atacamensis』です。ボリビアに自生する絶滅危惧種である柱サボテン、Echinopsis atacamensis var. pasacanaについて様々な視点から研究を行っています。

pasacanaについて
南部Altiplanoでは、長寿の柱サボテンであるpasacana=Echinopsis atacamensis var. pasacanaが自生します。南Altiplanoのpasacanaは海抜2000〜4000mの、寒く(年間平均気温-0.6〜16.4℃)、乾燥した(年間降水量200mm)生息地に適応しており、地元の木材としての価値もあり絶滅危惧あるいは準絶滅危惧種と考えられています。
サボテンの生長に関して、従来は写真撮影や測定を繰り返し数年〜数十年にわたり行われてきました。しかし、pasacanaの自生地は遠隔地にあるため調査は困難で、その生態などについてほとんど知られておりません。

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Trichocereus pasacana
「The Cactaceae」(1922)より。


棘に刻まれた過去
著者らが開発したサボテンのトゲの放射性炭素同位体の測定手法により、1950年代以降のサボテンの樹齢を正確に判定することが出来ます。また、トゲの中の酸素同位体比はサボテンの茎の水分量と関係します。サボテンの茎の水分の貯蔵は、温度や降水量の変化に反応します。サボテンのトゲは降雨と旱魃による茎の膨張と収縮を記録しています。従って、サボテンのトゲは生長中の気候変動を反映しているのです。

pasacanaの樹齢
ボリビアのウユニ塩湖にあるPescado島に自生する2個体のpasacanaのトゲを解析しました。1個体は約70年にわたり年平均5.8cm生長し、もう1個体は約50年にわたり年平均8.3cm生長しました。Pescado島でもっとも背が高いpasacanaは高さ8.3mでしたが、計算上ではその樹齢は308〜430年と推定されます。また、生長率から生存曲線を描くと、1993年、1965年、1943年、1904年、1862年付近で生存率はピークとなっていました。

Altiplanoの過去
pasacanaのトゲの酸素同位体と放射性炭素同位体の比を測定すると、1953年〜2011年の間の変動は41.6〜62.5%と極端でした。しかし、降水量はその間に約6%の変動しかありませんでした。北米の柱サボテンでは、酸素同位体比は降水量と相関します。しかし、Altiplanoでは南米夏季モンスーン(SAMS)により、水の供給は安定しています。サボテンはCAM植物ですが、水分の蒸発を抑えるために夜間に気孔を開きます。そのため、蒸散は主に夜間に起こり、蒸散速度は夜間の気温と蒸気圧差により制御されます。標高約4000mの夜間の気温は冷涼ですから、気温のわずかな上昇が蒸気圧差に影響を与えます。そのため、夜間気温の高い年には、茎の水分が蒸発しトゲの酸素同位体比が上昇します。

最古のサボテン記録
この研究では462本のpasacanaの高さを測定しましたが、pasacanaが154cm、つまり約50〜60歳に達すると急激に死亡率が低下することが分かりました。降水量の増加や低気温が長く続いたり、深刻な旱魃がなかったりした場合に、新しい実生の加入が起きると考えられます。人口統計学的には、pasacanaは成熟するのに、つまりは腕が追加されるのに約100〜150年かかり、北米の柱サボテンより生長は遅いことが分かりました。また、約400歳に達する非常に長寿なサボテンで、これまでに推定された最古の記録となります。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
樹木の放射性炭素同位体による年代測定は盛んに行われていますが、年輪を作らないサボテンの放射性炭素同位体による年代測定は初めて聞きました。トゲは確かに作られた時の環境に影響を受けていますから、言われてみれば納得です。
しかし、推定年齢はなんと400歳に達する可能性があると言うことに驚きます。巨大な柱サボテンであるSaguaro(弁慶柱)などは、あまり背が高くなると倒れるイメージでしたから、樹木のような長寿は予想だにしていませんでした。
さて、論文では古代の海洋気候などと関連付けた壮大な考察が続きますが、そこら辺は私の専門外と言うか、あまり興味がないので割愛させていただきました。
最後になりますが、pasacanaの学名の変遷を簡単におさらいしましょう。
Echinopsis atacamensis var. pasacanaは、2021年にLeucostele atacamensis subsp. pasacanaとなっています。このpasacanaの歴史は、1885年のPilosocereus pasacanusから始まり、1894年のCephalocereus pasacanus、1920年のTrichocereus pasacana、1959年のHelianthocereus pasacanus、1974年のEchinopsis pasacana、1980年のTrichocereus atacamensis var. pasacanus、1996年のEchinopsis atacamensis subsp. pasacana、2012年のTrichocereus atacamensis subsp. pasacanusなど沢山の異名があります。複数種だと思われていたのではなく、どの分類群に該当するのかはっきりしなかったようですね。


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本日はあまり多肉植物に動きがないため、適当に撮影しました。何となく、硬葉系ハウォルチアを少しだけご紹介します。

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Haworthiopsis limifolia
普通のリミフォリアです。この場合、H. limifolia var. limifoliaと言うことになるのでしょうか? 勢いはあるのに、何故か花が咲きません。不思議。


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Haworthiopsis limifolia var. stolonifera
変種ストロニフェラは色合いが明るいだけで、だいぶ雰囲気が変わりますね。明るい色ですが、実に元気で育て方に特別な違いはなさそうです。現在は変種リミフォリアの異名とされています。


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Haworthia gideonii
ギデオニイは葉が薄いみたいで、乾燥で葉が巻いてしまいました。流石に置き場所を変えて遮光を強くしました。ちなみに、H. gideoniiと書きましたが、明らかにH. limifolia系です。しかし、ギデオニイはキュー王立植物園のデータベースにはないよくわからない名前です。Haworthia Updateと言うサイトでは、「
Haworthia gideonii Breuer(2010)、nom inval.(非公式名)」とありました。一般的にもnom. nud.(裸名)とされていますし、まあ現状は渾名のようなものかも知れません。原産は南アフリカのKomatipoortと言うモザンビークとの国境付近とのこと。小型の暗色のタイプのようですね。

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Haworthiopsis limifolia var. glaucophylla
変種グラウコフィラは明るい色合いと、結節がない滑らかな肌が特徴です。4月にホムセンで買った時には根がほとんどありませんでしたが、復活し花茎を伸ばしています。


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Haworthiopsis fasciata var. browniana
変種ブロウニアナは7月にホムセンで購入しましたが、早くも花茎を伸ばしています。ファスキアタの結節が目立たない変種ですが、思った以上に美しいですね。


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Gymnocalycium friedrichii LB 2178
タイミングが合わなくて、なかなか開花した写真が撮れません。そういえばLB 2178は有名ですが、情報を調べたことがなかったような気がします。と言うことで調べてみました。

Field number : LB 2178
Collector : C. A. Ludwig Bercht
Species : Gymnocalycium friedrichii
Locality : Agua Dulce, Alto Paraguay, Paraguay


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怪竜丸
怪竜丸に蕾がつきましたが、タイミングが合わなさそうなので、室内に入れてシャッターチャンスを狙いましたがなんかイマイチですね。ちなみに、怪竜丸はG. basiatrumに比定されているようです。



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久しぶりにダーウィンに関する新書が出版されました。2024年7月の新刊、鈴木紀之 / 著、『ダーウィン 「進化論の父」の大いなる遺産』(中公新書)です。実は進化生物学に関する本は割とでていますが、ダーウィンその人、あるいは「ダーウィンの進化論」についてはあまり語られません。本書では珍しくダーウィンの植物に関する本についても取り上げられていますから、今回記事にしてみました。

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種の起源
ダーウィンと言えば進化論を世に問うた「種の起源」が有名で、一般的に解説されるのも大抵はこの本です。しかし、意外にも大きな理論はともかく、詳細は語られないことが多いように思われます。本書ではそこに至るまでの道筋となる研究が示されます。
ダーウィンが進化論の問題点をまとめて議論している章もあり、大変興味深く読みました。なぜなら、意外にもこの時点の議論で、現代のウェブ上の進化論否定論者の批判の多くに対し、すでに回答しているからです。今日でも、ウェブ上などではラマルクやその他の進化論を批判することにより、ダーウィンの進化論を否定すると言う不可思議な言説が目立ちます。結局のところ、ダーウィンの進化論については実はよく知らないのでしょう。いみじくも、ダーウィンその人による「知識より無知のほうがより多くの自信を生み出すものだ。」と言う戒めは、未だに通用する考えでしょう。

性淘汰
本書では珍しいことに「人間の由来と性淘汰」が取り上げられています。進化論は当時のキリスト教下のヨーロッパ世界に対する重大な挑戦でした。しかし、「種の起源」では慎重に避けられていた人間の進化について、ついに語られる時が来たのです。しかし、「人間の由来と性淘汰」は、やはりダーウィンの実に独創的な理論である性淘汰について語られることが重要です。しかし、性淘汰は進化論の同士であるウォレスにすら批判されるなど、当時は理解されない理論でした。性淘汰が学術的に認められたのは、「人間の由来と性淘汰」が出版されてから約100年後であったことを思うと、ダーウィンはあまりに先駆的過ぎたのでしょう。

ダーウィンと植物
植物については専門家ではないとダーウィン自身が述べていますが、実際には6冊もの植物を研究した本を書いています。ダーウィンの植物研究についてはほとんど語られませんが、非常に重要な内容を含んでいます。
「ランの受精」では、花粉媒介者の役割りについて言及されます。実は当時の花に対する理解としては、人々を楽しませるために神が創造したとされており、花を訪れる昆虫の働きは注目されていませんでした。「ランの受精」では他家受粉のメリットについても説明されますが、「植物の受精」において自家受粉のデメリットについて徹底的に実験し検証しています。
また、「植物の運動力」では、芽の光に対する屈曲を実験により確認しています。この光の屈曲は、植物ホルモンの働きとして教科書に載る重要な現象です。ダーウィンが植物ホルモンを見つけたわけではありませんが、当時の権威の説く常識に真っ向から対立する考え方でした。後にダーウィンの方が正しいことが明らとなりましたが、徹底した実験と観察により証明するダーウィンの真骨頂ですね。


最後に
本書はダーウィンの著作について、一通り解説しています。珍しいことです。ちゃんと、ダーウィンの行った実験を1つずつ丁寧に解説された本は、実はそれほどないような気もします。ダーウィン本と言えば、その生涯や場合によってはゴシップ、あるいは社会ダーウィニズムなどへのダーウィンには責がないことへの悪影響などを綴るものもありますが、それらは個人的には偉人伝以上の価値はないと感じてしまいます。本書はあくまでも科学的な見地から解説し、科学的な価値や影響を示しています。残念なことに流言飛語に満ち誤解されたダーウィンの進化論について、正しく学べる良い機会です。皆様もこの機会に手にとってみては如何でしょうか?


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サボテンが水を蓄えて多肉質な面白い姿をしているのは、当然ながら乾燥地の厳しい環境に適応した結果です。しかし、環境の厳しさとサボテンに種ごとの特徴との関係性は、あまり詳しくは分かっていないようです。そこで、6種類のギムノカリキウムについて、それぞれの自生地の降水量と形態的な特徴との関係を調査した論文をご紹介しましょう。それは、Solana B. Perottiらの2022年の論文、『Biomass Partitioning and Morphoanatomical Traits of Six Gymnocalycium (Cactaceae) Species Occurring along a Preciptatiom Gradient』です。

ギムノカリキウム属と降水量勾配
ギムノカリキウム属は南アメリカ南部原産のサボテンで、約50種が含まれます。アルゼンチン北西部の山岳地帯にもっとも豊富に生息しています。この地域は気候が非常に不均一で、湿潤した環境から非常に乾燥した環境まで様々な生態系があります。本研究の目的は、降水量勾配に沿って分布する6種のサボテンが、バイオマス分配(茎や根、トゲなどのどこに資源をどの程度分配するか)と、形態・組織学的な特徴の点でどのように異なるのかを分析することです。

生息地域の環境
調査はアルゼンチンのCatamarca州において実施されました。乾燥地帯としてMonte ecoregionから、G. pugionacanthumとG. marianaeを採取しました。半乾燥地帯としてSan Fernando del Valle de Catamarca市近郊から、G. stellatumとG. hybopleurumを採取しました。亜湿潤地帯としてEl Rodeoから、G. oenanthemumとG. baldianumを採取しました。
この乾燥地帯は年間平均降水量は380mmで平均気温は16.3℃、半乾燥地帯の年間平均降水量は460mmで平均気温は19.7℃、亜湿潤地域の
年間平均降水量は500mmで平均気温は17.4℃でした。
属下分類は、乾燥地帯のG. 
pugionacanthumはScabrosemineum亜属、G. marianaeはGymnocalycium亜属で、半乾燥地帯のG. stellatumはTrichomosemiuneum亜属、G. hybopleurumはScabrosemineum亜属で、亜湿潤地帯のG. oenanthemumはScabrosemineum亜属、G. baldianumはGymnocalycium亜属です。

形態学的な特徴
もっとも乾燥した地域に分布するG. pugionacanthumは、非常に粗くて長く太いトゲを持ち、地下茎がもっとも長いと言う特徴がありました。さらに、乾燥地に分布するG. marianaeは高い密度のアレオーレとトゲを持っていました。
半乾燥地に分布する
G. hybopleurumは、全長のほぼ半分に達する長さの紡錘根(napiform root)を持ち、中程度の密度のアレオーレ、多数の大きく幅広いトゲを持つものの、G. pugionacanthumやG. oenanthemumと比較すると少ないものでした。G. stellatumは稜(rib)がもっとも多く、地下茎は地上部の2倍に達し、トゲの数は少なく高密度のアレオーレを有していました。
G. oenanthemumは全長のほぼ半分に達する長さの主根を持ち、長くて幅広いトゲは数が多いものの、アレオーレの密度は低いものでした。G. baldianumも長い主根があり、地上部の方が短く、もっとも高密度のアレオーレを持っています。

環境とバイオマスの分配
以上のようにバイオマスをどこに振り分けるかは異なります。G. baldianumはトゲに対する割り当てが少なく、逆にG. pugionacanthumはより多く割り当てました。特に乾燥した環境に自生するG. pugionacanthumは、主根に多くを割り当てています。しかし、湿潤な環境に自生するG. baldianumは、乾燥した環境に自生するG. marinaeよりも、主根へより多くバイオマスを割り当てていました。

組織学的な特徴
表皮は種の間で、もっとも変化に富んだ組織でした。G. pugionacanthum、G. hybopleurum、G. oenanthemum、G. stellatumは、陥没した気孔と楕円形の肥厚またはクチクラの外縁を示しました。G. pugionacanthumやG. stellatumは大きなイボ状の突起、または乳頭状突起を示しますが、G. hybopleurumやG. oenanthemumはより小さいものでした。対照的に、G. marinaeやG. baldianumでは、気孔は表皮細胞と同レベルであり非常に豊富で、薄いクチクラと表皮を持っています。G. pugionacanthumは最高値の厚いクチクラと表皮、皮下組織を持ち気孔は陥没し、その特徴は乾燥した環境と一致します。

結論
著者らは環境と形態学特徴、あるいは組織学的特徴が関係していることを想定しました。しかし、実際には特徴は系統関係と関連があるように見えます。つまり、同じ亜属内の種は類似しているのです。
皮下組織の層数と細胞壁の厚さは、乾燥に対する形態と考えられています。そのため、G. pugionacanthumとG. stellatumがもっとも乾燥環境に適していると考えられます。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
著者らの想定した降水量と形態的特徴は、必ずしも相関はありませんでした。むしろ、系統関係が意味を持っているようです。これはなかなか意味深で、各種が各々で乾燥に耐えるべく進化したと言うより、各亜属が別々に乾燥に適応していった可能性を示唆するからです。
また、著者らは乾燥地帯に自生するG. pugionacanthumと、半乾燥地帯に自生するG. stellatumがもっとも乾燥に強い可能性を示しました。これはどう捉えたら良いのでしょうか。例えばですが、各種の自生地は、乾燥に耐えられる極限であるとは言えないとするのはどうでしょう。乾燥に対する耐性は、ある程度の幅があるはずです。ある一定以上の乾燥耐性があれば、割りと場所を選ばない可能性もあります。つまりは、単純に種分化する道筋で様々な環境と出会っただけで、様々な環境に出会ったからその環境に適応したわけではないと考えてはいかがでしょうか? G. pugionacanthumはその環境でもっとも上手くやれる能力があると言うだけのことです。まあ、これはただの思いつきに過ぎません。まだ、分からないことが沢山ありますから、様々な可能性がありそうです。今後の研究に期待しましょう。


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猛暑が続き私はあまり元気がありませんが、多肉植物たちは大変元気です。本日も多肉植物が開花したりしましたから、少しご紹介しましょう。

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グロエネフィカ
交配種のグロエネフィカが開花しています。E. groenewardii × E. veneficaと言う面白い組み合わせの交配種です。

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花は筒状。

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大正キリン
大正キリンが開花しました。しかし、大正キリンの学名は、一般的にはE. echinusと言われてきましたが、実はE. officinarumが正しく、E. echinusは異名となりました。しかし、近年ではE. officinarumは3亜種に分割されたようで、"echinus"の名前は亜種として復活したようです。この内、稜(rib)が少ない(5〜8本)ものが亜種echinusの特徴とされるようです。一般的に国内で普及している大正キリンは、おそらくはE. officinarum subsp. echinusなのでしょう。


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Euphorbia gorgonis
ゴルゴニスが結実しました。一般的にユーフォルビアは雌雄異株なので、結実しないはずですが…。ちょうど花が咲いているタコものユーフォルビアはありません。何と交配したのでしょうか? 近くにあるのはE. handiensisで、確かにずっと開花しています。他だと花キリンがいくつか開花していますが、果たして受粉するでしょうか? まあ、ユーフォルビアは稀に雌雄同株もあるようですから、必ずしも他家受粉とは限りませんが。


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Euphorbia rossii
ロシイは植え替えの効果か元気です。この暑い最中、開花し始めました。

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花は割と目立ちません。
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塊根は荒れた感じで実に良いですね。

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Aloiampelos striatula var. caesia
とんでもない形に育っているストリアツラ変種カエシアです。以前は棒で支えていましたが、根本が樹木化してきたので自立しましたが、頭が重いのでこうなります。

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根本から新しい芽が出てきました。藪状に育つアロイアンペロスですが、これからどのように育つが楽しみです。


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アロエやハウォルチアなどの仲間をまとめてアロエ類と呼びますが、本日はその中でも特に小さい連中をご紹介しましょう。

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Aloe descoingsii
一般的に最小のアロエと呼ばれているデスコイングシイです。理由はわかりませんが、何故か「ディスコイングシー」と読まれているようです。その方が言いやすいからでしょうか。
さて、
デスコイングシイは小さいだけで、外見的にはアロエらしいアロエです。葉には厚みがあり幅が広く、全体的に斑点があり葉縁には鋸歯があります。異なるのは、全体的に小型で、葉が幅と比べて異様に短いため、寸詰まりな外見となります。有名な割りにあまり見かけないアロエです。

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Aloe haworthioides
こちらも最小のアロエと呼ばれることがあるハウォルチオイデスです。群生して密集した塊になります。ハウォルチオイデスは、外見的にはアロエらしさはありません。あまり多肉質でもなく、葉は細長く鋸歯もありません。毛に覆われる姿はどちらかと言えばハウォルチアで、学名も「ハウォルチアに似た」と言う意味です。
ハウォルチオイデスの葉はデスコイングシイよりも長いのですが、全体的に貧相で葉の幅がほとんどないため、肉質なデスコイングシイよりも小さいように感じるのかも知れません。ちなみに、ハウォルチオイデスは偽物もあるようで、
もっと多肉質で鋸歯のあるアロエらしい姿をしています。どうやらハウォルチオイデスの交配種らしいのですが、無責任にも誤った名前で販売している人がいるようです。

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Aloe 
calcairophila
カルカイロフィラは葉は長いのですが、草体は非常に小柄です。カルカイロフィラは葉が回転しないで育ちます。アロエやハウォルチアなどのアロエ類は、小さなうちは2列性ですがやがて回転し始めます。アロエ類で生涯に渡り2列性と言うのは、割と珍しい部類です。アロエ類ではGasteria nitida v. armstrongiiなど、ガステリアは回転しないものもあります。そういえば、Kumaraは2種類とも2列性ですね。


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Haworthia parksiana
こちらは最小のハウォルチアと呼ばれるパルクシアナです。非常にコンパクトで整った美しいハウォルチアです。葉の長さ、幅、厚み共に小さいですね。

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H. nigra IB 1284
硬葉系ハウォルチア、つまりはハウォルチオプシスの最小は何でしょうか? 聞いたことがありません。硬葉系と軟葉系を区別せず、単に「最小のハウォルチア」としているからかもしれません。硬葉系ではニグラは小さい方だと思います。
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ニグラにはタイプ違いが沢山あり、サイズは様々です。右側はH. beanii IB 284ですが、現在ではニグラの異名となっていますから、タイプ違いと言うことになります。サイズ感が違いますね。

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H. woolley GM 079
ウォオレイ(ウーレイ)ですが、小柄なタイプのようで小さいままです。
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ウォオレイはヴェノサの亜種や変種とする考えもありましたが、今は独立種です。右側はH. venosaですが、やはりサイズ感の違いに驚きます。

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H. fasciata fa. vanstaadensis
矮性のファスキアタです。葉が短く詰まった外見となります。

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通常のファスキアタと比較すると、小ささが分かります。右側はH. fasciata DMC 05265。

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H. attenuata f. tanba
こちらは矮性のアテヌアタです。

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十二の巻系のスーパーゼブラと比べると、やはり葉は短いですね。

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H. scabra var. morrisiae VA 6451
こちらのモリシアエは割と小型です。花茎の細さからして、大きくならないでしょう。

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右側のH. scabraもダルマ型なので葉は短いのですが、全体的に大柄に見えます。

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H. viscosa
ヴィスコサも割と小型ですね。最近、ヴィスコサ系交配種の五重の塔(H. tortuosa)をH. viscosaの名前で販売するのが流行っているようです。皆様、お気をつけ下さいね。

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右側はH. rynveldiiですが、現在はH. viscosaの異名です。つまりはただのタイプ違いと言うことになりますが、えらく違いますね。

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H. jonesiae
ヨネシアエ(ラテン語の"jo"は"ヨ"と読みます)は、それほど小さくもありませんが、実は小さい部類です。と言うのも、ヨネシアエは現在ではH. glauca v. herreiの異名だからです。

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右側がH. glauca v. herreiですから、ヨネシアエは小型で華奢に見えます。まあ、変種ヘレイはかなりのバリエーションがありますから、右側のヘレイが典型的と言うわけでもありません。

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H. coarctata var. tenuis
テヌイスも葉は短く小さいですね。

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右側のH. coarctata IB 5850と比べると如何に小さいか分かります。

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Astro foliolosa
フォリオロサの小型のタイプです。アストロロバもアロエ類の一員です。

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Astroloba aspera
アスペラも小さいですね。ちなみに、アスペラは現在は存在しない名前で、おそらくはA. corrugataの1タイプのような気がします。1804年にHaworthが命名したAloe asperaが何だったのか、調べてもよくわからないのです。
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並べてみると、サイズ感は似ています。


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あまりにも暑い日が続くせいで、花キリンの一部は乾きすぎて葉が巻いてしまいます。塊根性ではなく葉が薄いものは、週1回の水やりでは厳しすぎるようです。

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Euphorbia f. rubrifolia
ルブリフォリアが開花しています。学名がおかしな感じですが、これは購入時のラベル情報です。一応説明しておくと、これはE. francoisiiと呼ばれてきた花キリンの仲間です。しかし、
E. francoisiiは誤りで、正しくはE. decaryiであるとされています。今までE. decaryiと呼ばれてきた花キリンはE. boiteauiとなっています。さらに、E. francoisiiからE. crassicaulisが分離され、別種となったのです。と言うことで、これはE. crassicaulisの葉が赤いタイプです。名前がコロコロ変わるので、何のforma.とするかで困ってしまったのかも知れません。

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Euphorbia crassicaulis
購入時のラベルはE. francoisii var. crassicaulisでしたが、上記のように現在は独立種です。

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草体は赤味がかりますが、花は薄緑色です。
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実生苗なので塊根があります。

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Euphorbia paulianii
パウリアニイの新葉と新トゲが美しいですね。

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幹の螺旋状の回転が始まりました。

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Gymnocalycium ochoterenae var. cinereum
キネレウムは実に均整の取れた姿です。 


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Haworthiopsis reinwardtii f. chalumnensis
鷹の爪系のカルムネンシスが開花しました。

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結節が目立ちますね。
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花は先端に近い半分だけ緑色のラインが入っています。全体的に白っぽいですね。
 
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Haworthiopsis scabra
スカブラも開花しました。

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よく日を浴びているので、実に良い色合いとなっています。
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花は典型的な形状・配色ですが、やや根元が赤味がかるようです。


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サボテンと言えば、何と言ってもそのトゲが特徴でしょう。トゲのない烏羽玉(Lophophora williamsii)や兜丸(Astrophytum asterias)などもありますが、もっとも原始的なPereskiaやLeuenbergeriaでもトゲがあるのですから、やはりサボテンはそのトゲなくして語れません。このさて、このサボテンのトゲは、やはり研究者も気になるようで、様々な角度から研究が行われています。サボテンのトゲの役割は身を守るためであろうことは直感的に分かりますが、どうもそれだけではないようです。と言うことで、本日はNayla Lujan Aliscioniらの2021年の論文、『Spine function in Cactaceae, a review』をご紹介しましょう。タイトルの通り、過去に行われたサボテンのトゲの研究を調べレビューしています。

棘の種類
サボテンは約1850種類と種数が豊富で、トゲの形態も多様性があります。棘のサイズもばらつきがあり、数mmから20cmまであります。棘は集合しているとより効果的に防御できます。棘のほとんどは針状で、断面は円形で、片側が平らになっていたり鉤状となる場合もあります。また、種により複数種の棘を持つものもあります。例えば、Oreocereus属には通常の防御棘と毛状の棘があります。刺座(アレオーレ)から生える棘の配置はパターンがあり、1つは櫛状の配置で棘は2列に並びすべて同じ大きさです。もう1つは、中心の棘、より長い棘、放射状の棘への分化です。

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Oreocereus celsianus
Pilocereus brunnowiiとして記載。
『The illustrated dictionary of gardening』(1895年)より


棘の機能
サボテンの棘の主たる機能、おそらくはより古いものは植食者に対する防御です。サボテン科は約3000万年前の地球規模の乾燥化に関連して誕生したと考えられています。乾燥した環境では、多肉質な組織は水源となります。そのような状況で、サボテンは物理的な防御として棘を発達させた可能性があります。
現在のサボテンの棘の機能の多様性は、サボテン科の進化的な放散により機能が増加したことをあらわれています。1986年にGibson & Nobelは、防御から体温調節、紫外線からの保護機能を提案しました。


文献探索
サボテンの棘の機能について書かれた論文を調査したところ、24件の研究が見つかり、39種のサボテンが分析されていました。これらの論文において、棘の機能は抗草食防御が5件、抗寄生植物防御が2件、栄養分散が3件、体温調節が11件、集水作用が4件でした。研究のうち9件は野外で実施され、8件は実験室で、7件は野外と実験室の両方で実施されました。
調査されたサボテンはそのほとんどが北米と中米(主に米国とメキシコ)で31種類にのぼり、南米では8種類に過ぎませんでした。南米には非常に過酷な、乾燥した砂漠から熱帯雨林、海抜0mから4000mを超える高さまで生息するサボテンが豊富に存在します。サボテン科はその棘が重要であるにも関わらず、棘の機能を理解するためのモデルとされたのはごく一部に過ぎません。


抗草食防御
草食動物に対する防御は、サボテン科の進化における棘の最初の機能である可能性が高いでしょう。しかし、その機能を分析した研究は少ししかありませんでした。2009年にNassar & Lev-Yadunは、ウチワサボテンの棘密度は、草食動物が食べやすい上部では高いことを発見しました。2018年にCrofts & Andersonは、サボテンの棘が草食獣の皮膚を突き刺すため、草食獣は棘の少ない新しい枝を好むことを観察しました。また、サボテンに限らず棘のある植物は、大型草食動物による採食に長期間さらされると、棘が増えることが知られています。

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ウチワサボテン(筑波実験植物園にて)

温度調節
1970年にGibbs & Pattenは、トゲが極端な高温から茎を保護し、日照のエネルギーの多くを反射および吸収していることを発見しました。2017年にDreznerは、温度が上がるとトゲの長さが長くなることを示しました。2002年のNobel & Bobichは、トゲの密度は高度が高いほど増加し、低温から茎を保護していることが分かりました。

霧収集システム
サボテンには効率的な霧収集システムを発達させたものがあります。水分はトゲの先端で凝集し、基部に移動して茎に入り貯蔵されます。いくつかの研究では、水分がトゲを伝い茎に取り込まれることが明らかとなっています。ただし、疎水性のトゲを持つ持つ種もあり、その場合は水分がトゲの表面で凝集することはありません。

抗寄生植物防御
チリにはTrichocereus chiloensisとEulychnia acidaに寄生するヤドリギである、Tristerix aphyllusが知られています。寄生植物の種子はサボテンを止まり木にする鳥の糞により散布されます。T. chiloensisは、鳥が止まり木として利用しにくくするために、大きなトゲを発達させました。現在、サボテンのヤドリギは他に知られておらず、抗寄生植物防御が確認されているのはこれだけです。

サボテンのヤドリギの画像(リンク)
https://chileanendemics.rbge.org.uk/taxa/tristerix-aphyllus-miers-ex-dc-barlow-wiens

栄養分散
ウチワサボテンの中には、トゲが動物の皮膚に引っかかり、動物の移動により分布を広げます。しかし、栄養分散の研究では、トゲを介した分散能力は示しましたが、分散そのものは評価されていません。

考えられる機能
実証されていない機能についても、いくつかの言及があります。2001年にAndersonは、トゲがカモフラージュとして機能し、草食動物から保護される可能性を提案しました。また、トゲは花粉媒介者に簡単に認識されるため、受粉の可能性が高まるかも知れません。

その他のトゲのトピック
資源割り当てと言う観点からトゲを分析した研究は、非常に少ないようです。トゲは光合成組織ではないため、コストがかかります。また、茎に陰を作ることから、光合成能力を低下させます。一部の種では、遮光作用として重要となるものもあります。

未解決なトゲのトピック
トゲがない、あるいはトゲが少ない種を分析した研究は見つかりませんでした。例えばLophophoraやAstrophytumはトゲが減少しています。Lophophoraはアルカロイドを蓄積しており、物理的防御と化学的防御のtrade-offの関係を示しています。

最後に
サボテンと言えば何と言ってもそのトゲが目立ちますが、意外にもその機能はまだ明らかとなっていない部分がまだまだあるようです。むしろ、良いトゲを出させるために心血を注いでいる趣味家の方が詳しい部分もありそうですね。それはそうと、今回の論文は末尾に「a review」とあります通り、過去の論文を探して概観したものです。私がまだ読んでいない面白そうな論文がいくつも取り上げられていましたから、機を見て記事にしたいと思います。


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気付けばもう8月で、あっという間に時間が過ぎてしまいます。暑くて何に関してもイマイチやる気が出ません。今月は私の行きたいようなイベントもなさそうなので、しばらくは大人しくしています。

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Zamia furfuracea
フルフラケアのコーンが伸びています。

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よく見たら、一部開花(?)していました。ソテツは基本的に雌雄異株なので、1株だけでは結実しません。

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Euphorbia quadranguralis
クアドラングラリスもこの暑さの中、ぐんぐん生長しています。


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Gymnocalycium damsii subsp. evea var. torulosum VoS 03-040
フィールドナンバー付きのダムシイですが、良い色合いです。選抜品ではなく野生個体由来とは思えない美しさです。しかし、亜種と変種が並ぶ奇妙な学名ですが、これはフィールドナンバーの登録情報となります。亜種エヴェアだか変種トルロスムか分からなかったので併記したのでしょうか? ちなみに、現在G. damsiiはG. anisitsii subsp. damsiiとされているようで、亜種エヴェアも変種トルロスムもG. anisitsii subsp. damsiiの異名となっています。

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Euphorbia susannae
スサンナエは割と徒長しやすいらしく、検索すると細長く徒長したものが散見されます。おそらく、室内栽培で日照不足なのでしょう。しっかり日に当て、雨よけして育てるだけで徒長は防げます。


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Euphorbia tortirama
トルティラマは枝が沢山出て勢いがあります。植え替えた効果でしょうか?


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Operculicarya sp.
植え替え後、非常によく育っています。しかし、O. hyphaenoidesの名前で入手したオペルクリカリアですが、特徴が異なるためsp.表記としています。どうやら、オペルクリカリア属は輸入種子の名前が割といい加減みたいですね。


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Euphorbia delphinensis
何故かE. delphinenseとされがちなデルフィネンシスですが、ちらほら開花しています。

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花は小さいのですが、実に可愛らしい感じがします。


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嵐が去ってBuddlejaが倒れたりしましたが、特に多肉植物に被害はありませんでした。硬葉系ウォルチアは次々と花茎を伸ばしていますから、少し心配しましたが。まあ、水やりができなかったので、鉄甲丸(Euphorbia bupleurifolia)が乾きすぎて新しい葉が縮れてしまったのは遺憾でした。多肉植物は基本的に雨よけしていますから、思わぬ誤算です。

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Euphorbia aphylla
この暑さの中、アフィラが急激に伸びています。カナリア諸島の海岸沿いの岩場に自生していますから、厳しい環境に耐えるために非常に強いのかも知れません。

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全体的に産毛に覆われていますが、生長中の先端部は特に密に生えています。

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Aloe saundersiae
サウンデルシアエが開花しました。

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一見してDychiaのように見える小型アロエです。
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可愛らしい花です。アロエにしては短い花ですが、この淡い色合いと相まって鳥媒花らしからぬ感じがしますね。虫媒花なのでしょうか?

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Aristaloe aristata
開花から2週間以上、経ちましたがまだ開花が続いています。

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この花筒の長さはいかにも太陽鳥に特化しているように見えますね。

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Euphorbia geroldii
ゲロルディイは植え替え後は中々花が咲きませんでしたが、最近はよく開花します。

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花キリンの中でも大きく丸みがあります。

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Haworthiopsis longiana
大型の硬葉系ハウォルチアのロンギアナが開花しました。

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花穂にはまだ沢山の蕾があります。
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花もやや大柄に見えます。花色はハウォルチアに典型的な配色。

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Euphorbia waringiae
ワリンギアエが非常に元気です。新しい葉を次々と出しています。

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Euphorbia suzannae-marnierae
スザンナエ-マルニエラエはよく開花します。新しい葉も出て、今後の生長が楽しみな花キリンです。


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サボテンの受粉システムは種により様々ですが、本日はアリオカルプス属に焦点を当てます。アリオカルプスの花は雌雄離熟、つまり柱頭と葯の位置が離れており、自家受粉しにくい構造になっています。では、アリオカルプスは自家不和合性なのでしょうか? と言うことで、本日はConcepcion Martinez-Peraltaらの2014年の論文、『Haw common is self-incompatibility across species of the herkogamous genus Ariocarpus?』をご紹介しましょう。

自殖を防ぐシステム
植物の有性生殖システムは花の様々な異系交配を促し、近交弱勢や適応度の低さなど自殖の悪影響を軽減すると考えられています。雌雄離熟(herkogamy)や雌雄異熟(dichogamy)は、性別を空間的・時間的に分離しますが、必ず自殖を防ぐことが出来るわけではありません。
自家不和合性(Self-incompatibility)は、自家花粉の遺伝的な認識と抑制が非常に効果的であり、もっとも効果的な自家受粉を防止するメカニズムです。少なくとも被子植物の約60%は、何らかのタイプの自家不和合性を備えています。もっとも一般的なタイプの自家不和合性は、配偶体自家不和合性(gametophytic self-
incompatibility)=GSIであり、認識は雌蕊と花粉管の相互作用によります。GSIでは花粉管の阻害が起きます。
近年、サボテンの生殖システムに関する研究は増加していますが、自家不和合性などの問題はほとんど注目されていません。自家不和合性が確認されているのは、Schlumbergera、Hatiora、Echinopsis、Hylocereus、およびSelenicereusの一部です。
自家不和合性から自家和合性に移行し自家受粉率が高まる現象は、被子植物の中でもよく見られます。これらの移行は、花粉媒介者や交配相手の不足により促進されます。

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Ariocarpus retusus
『The Cactaceae Vol. III』(1922年)より。


アリオカルプスの受粉試験
著者らは7種のアリオカルプスを、それぞれの自生地で受粉試験を行いました。成り行きに任せた自然受粉と、人工的に他家受粉あるいは自家受粉させた花を、48時間後に回収しました。同様に受粉から5〜6ヶ月後に果実を回収しました。
自然受粉あるいは人工的な他家受粉では子房に到達する花粉管が多く、自家受粉では柱頭の途中で花粉管は阻止されており、アリオカルプス属は自家不和合性であることが示されました。うち、6種類は子房にも花粉管が観察されたため、一部の遺伝子は自家和合性です。1種類は子房に自家受粉の花粉管が観察されませんでしたが、自家受粉でも果実は2%結実しました。A. kotschoubeyanusとA. agavoidesは子房に到達する自家受粉の花粉管の割合が高く、結実率も高いものでした。A. retususおよびA. trigonusは、子房に自家受粉の花粉管が到達する割合が低く、A. scaphirostrisは子房に自家受粉した花粉管はなく厳密な自家不和合性であることが分かりました。

自家不和合性から自家和合性へ
アリオカルプスでは、そのほとんどが自家不和合性であるものの、一部の遺伝子は自家受粉が可能であることが示されました。このパターンは疑似自家不和合性あるいは部分的自家不和合性として説明されます。これは、厳密な自家不和合性から自家和合性への移行を表している可能性もあります。自家和合性をもたらす突然変異は自然の集団でも比較的頻繁に起こるようです。進化論的観点からは、花粉や配偶者が制限されている環境では、部分的な自家和合性が発達する可能性があります。配偶者が少ない環境では種子が減少し、局所的な絶滅のリスクが高まるため、自家和合性が選択されるかも知れません。アリオカルプスの中でも、A. kotschoubeyanusは花粉制限されており、子房に到達する花粉管が多く、部分的自家不和合性が促進されている可能性があります。

最後に
アリオカルプスは基本的には自家不和合性であることが確認されました。自家受粉では花粉管が拒絶されるためですが、厳密な自家不和合性であるA. scaphirostris以外では稀に自家受粉により結実することもあるようです。さらに、A. kotschoubeyanusでは自家受粉による結実率が高く、自家不和合性から自家和合性への移行が起きている可能性があります。

さて、自家不和合性は植物では非常に一般的な性質です。なぜ、自家不和合性と言うシステムが選択されたのでしょうか。これは、「選択」と言う語感とは異なり植物が自身で選んだのではなく、自然選択により自家不和合性の方が有利だったのでより生き残ったと言うだけのことなのでしょう。他家受粉では、異なる遺伝子が混ざることにより遺伝子に多様性が生まれ、より環境や生存に適応的になります。それにより、様々な環境に適応するだけではなく、病原菌に対する耐性が異なる場合もよくあることです。しかし、厳しい環境に自生する植物では、水や栄養などの資源が不足するなど、他の植物では有利なシステムが不利になる、あるいはあまり意味がない場合もあります。本日ご紹介した論文では、A. 
kotschoubeyanusが受粉のシステムが変更される過程を観測しているのかも知れません。しかし、例えばOpuntia macrocentraは、自生地により自家不和合性の個体群と自家和合性の個体群が存在することが明らかとなっています。もしかしたら、アリオカルプスも個体群によっては、より進行した自家和合性への適応を持っていることも考えられます。まだサボテンの自家不和合性に関する研究は少ないようですが、これからの研究の進展を待ちたいと思います。


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早いもので、いつの間にやら7月ももうお終いです。あまりにも暑いので外出する気にならず、園芸店に行くのも面倒です。7月8月は近隣で行けそうな多肉植物のイベントもほとんどなさそうですし、9月のビッグバザールまでは大人しくしている予定です。さて、本日は暑い最中の多肉植物たちを少しだけご紹介しましょう。

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Haworthia parksiana
最小のハウォルチアと言われるパルクシアナが開花しました。

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謎のパークス氏に対する献名と言われていましたが、実際には公園=Parkで栽培されていた個体から発見されたと言う経緯から来ています。
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花茎も非常に細く、花も大変な小ささです。

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Zamia integrifolia(異名: Z. floridana)
フロリダソテツの今年2回目のフラッシュです。良い葉が出ています。去年はどういうわけか、新芽をシャクトリムシに食害されてしまいました。ソテツには毒があるはずなのに平気なのでしょうか? ソテツを専門とするソテツシジミなら分かるのですが…

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Pachypodium rosulatum
何の変哲もないロスラツムです。葉の勢いは良好です。


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Pachypodium drakei
ドラケイもロスラツムに負けずに葉を盛んに出しています。
ドラケイは1907年に命名されましたが、1972年にロスラツムの変種とされました。しかし、現在では亜種ロスラツム(ssp. rosulatum)に吸収されてしまいました。と言うわけで、ドラケイはいなくなったのですが、外見は異なります。まず、葉や茎が細長く、葉の先端は尖りません。ロスラツムと比べると大型になり、高さ2〜3mになります。


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Gymnocalycium schroederianum
「須黒玉」と呼ばれるギムノカリキウムです。非常に勢いがあります。


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Euphorbia debilispina
デビリスピナを盆栽風と言うか、根上がりにしてみました。

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塊根性ではありませんが、ユーフォルビアには珍しく荒れた樹皮を持っています。

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Euphorbia persistens
ペルシステンスが非常に強烈なトゲを出しています。しかし、現在ペルシステンスはE. clavigeraの異名となっていますが、特徴が異なると言う人もいます。まあそもそも、こういう捻れる系ユーフォルビアの違いがよくわからないので、私には何とも言えませんね。



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昔、神保町に行った折、今は無き鳥海書房の別館で入手したサボテンの本が出てきたので、せっかくですからご紹介しましょう。昭和37年に出版された、伊藤芳夫 / 著、『サボテン -その神秘な花-』(保育社カラーブックス)です。

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題名の通りサボテンの花に着目した本で、ふんだんにカラー写真が使われています。内容的には南米ものの花サボテンについて、その特徴や発見の経緯などを豊富な知識で縦横無尽に語っています。
南米ものの花サボテンと言えば、その代表格はRebutiaやLobivia、Echinopsisあたりでしょう。本書でもこの3属が中心です。しかし、花サボテンですから、何と言ってもその花を見たいところですが、カラーブックスですから実に美しい花を沢山見ることが出来ます。また、著者の長きにわたる属間交配の試みと、作出された新品種の紹介もありました。

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私が感心したのは「駄物礼賛の弁」と言う論です。曰く、初心者はいたずらに高級品に憧れず、作りやすく美しいものから始めた方が良いとのこと。サボテンの大家とされる人も、みな駄物から入ったのだと。まさに至言です。駄物と言ったところで、難物ではない限りは普及してしまえば駄物扱いされる定めなのですから、珍しさではなくそのサボテンが持つ美しさで評価すべきでしょう。近年、SNSなどで、密輸品と思しき黒王丸を初心者が徒長させたりする姿を見るのは、大変悲しいことです。
さて、本書の最後はサボテン全般に関する話で終わります。日本のサボテン栽培の歴史や、育て方、実生や接ぎ木の方法などが実に簡潔にまとめられています。栽培関係の話などは、現在でも通じる内容です。花サボテンは現在でもどちらかといえば脇役で、あまり言及されないことは非常に残念です。花サボテンに関する最高峰の本が昭和37年の本と言うのは困りものですが、それだけ素晴らしい本でもあると言うことでもあります。とはいえ、本書は入手が容易な部類ではありませんから、新たに花サボテン中心の良い本が欲しいところですね。


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ギムノカリキウムはいくつか開花しましたが、気がついた時にはしぼんでいて、何故かタイミングが合わず写真を撮れていません。と言うわけで、本日は特にこれといった花がないので、適当に多肉植物を見繕ってご紹介しましょう。

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Euphorbia primulifolia
プリムリフォリアの葉が生え揃いました。プリムリフォリアは葉が大きく波打ちます。まさに、「primula+folia」=「サクラソウの葉」ですね。

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塊根は葉に隠れて見えません

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Euphorbia begardii
プリムリフォリアの変種とされてきたベガルディイですが、現在は独特種です。葉は小型で波打たず、つるつるしていますから、あまりプリムリフォリアには似ていません。

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塊根はこんな感じ。

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Euphorbia subapoda
こちらもいかにもなプリムリフォリア系のスバポダです。ベガルディイよりもプリムリフォリアに似ていると言うか、中間的な雰囲気があります。

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塊根はまだ小さいので特徴はよくわかりません。

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Euphorbia knobelii
実生から育てた閃光閣ですが、初めて枝が出ました。


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Pachypodium densiflorum
実は一度花が咲いた枝ですが、花が枯れた後にまた花芽がついています。小さいうちは開花すると花茎は枯れますが、株が充実すると花茎が枯れないで同じ枝が開花を繰り返すようになります。

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一応、10号鉢に植えられたサイズです。国内実生株。

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Euphorbia pseudoglobosa
プセウドグロボサは今年の植え替えで、初めて塊根を露出させました。塊根にダメージが来ないか心配しましたが、どうやら問題なさそうです。


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Gymnocalycium pungens
プンゲンスは今までより長いトゲが出ています。これは将来が楽しみですね。そういえば、プンゲンスはG. schickendantzii ssp. 
schickendantziiに含まれてしまうことになりました。花咲かないかな。


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植物の繁殖形式は種によって異なりますが、そのすべてが明らかとなっているわけではありません。例えば、園芸的に著名なサボテンですら、実際に調査されたのは極一部です。当ブログにおいても、サボテンの繁殖に関する論文はそれなりの数を取り上げて来ました。しかし、まだ取り上げていない論文が沢山あります。と言うことで、本日はチワワ砂漠に広く分布する紫色のウチワサボテン、Opuntia macrocentraについて見ていきましょう。参照するのは、L. Eder Ortiz-Martinezらの2022年の論文、『Variability in mating strategies in a widespread cactus in the Chihuahuan Desert』です。

繁殖戦略
サボテン科の中ではウチワサボテン属(Opuntia)が最も成功し広範囲に分布する属です。ウチワサボテンはクローン性と多様な有性生殖システムを持ち、高い繁殖能力と分散能力を兼ね備えています。しかし、ウチワサボテン属のうち、繁殖に関する研究がされているようはわずか15%に過ぎず、しかもそのほとんどは1つの個体群のみの結果に基づいています。
多くの植物で自殖あるいは異系交配率が、集団間で大きな変動を示す証拠が増えています。そのため、単一の集団の研究に基づいて繁殖システムを一般化することは問題があります。
花粉媒介者(pollinator)による受粉は、場合によっては不確実で非効率的となることもあります。花粉媒介者の訪問頻度の変化は、花粉媒介者が豊富な状況では異系交配による遺伝的変異が起き、花粉媒介者が貧弱な状況なら自家受粉による生殖の保証との間にtrade-offを引き起こし、植物の交配システムの変異を促進する可能性があります。
花粉の量的あるいは質的な制限は自家不和合性でより起きやすく、自家不和合性から自家和合性への進化などの生殖システムの変化につながる可能性があります。Ariocarpus kotschoubeyanus(黒牡丹)は、厳密な自家不和合性であるAriocarpus属の中で唯一の自家和合性種です。A. 
kotschoubeyanusの自家和合性の進化は、花粉の制限、個体群密度の高さ、花粉媒介者の少なさの相互作用により説明されます。

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Opuntia macrocentra(下)
花はapproach herkogamyではないことに注意。
『The fantastic clan. The cactus family.』(1932)より


紫色のウチワサボテン
紫色のウチワサボテン(purple prickly pear)と呼ばれるOpuntia macrocentraは、チワワ砂漠とソノラ砂漠に広く分布するサボテンです。研究にはチワワ砂漠内で708km離れた2つの個体群を観察しました。1つは米国ニューメキシコ州立大学チワワ砂漠放牧地研究センター(CR)内にあり、もう1つはメキシコのDurango州Mapimi生物圏保護区(MBR)内にあります。この2つの個体群は、個体数が均衡していることが明らかとなっています。
MBRの個体群は密度、種子生産、新規加入率(recruitment rate)が低くなっています。CR個体群は混合交配システムと自律的な自家受粉、花粉媒介者の多様性の低さ(2種の蜂)、花粉媒介者の訪問頻度の低さが特徴です。しかし、MBRのO. macrocentraの生殖システムは不明です。


花への訪問者
MBRのO. macrocentraは昼行性で、ほとんどの花は1日(9:00〜20:00)しか咲かず、12:00〜13:00の間に最も花が開きます。10%未満の花は19:00に開き、夜間は閉じて、翌14:00頃まで咲くものもありました。
O. macrocentraの中から32個体を選び、5日間にわたり開花中の花を訪れる花粉媒介者を調査しました。

22時間の観察中にO. macrocentraの花には、287回の訪問者がありました。訪れたのは、8種類のハチとチョウ、ハエでした。一般に訪問頻度が高いのは、12:00〜15:00の間でした。この内、Diadasia rinconisとLasioglossum sp.の2種類のミツバチは、O. macrocentraの花への訪問の約70%を占めており、花粉媒介者であると考えられました。D. 
rinconisは大量の花粉を付着させる行動が観察されており、主な花粉媒介者であると考えられます。D. rinconisはチワワ砂漠の少なくとも17種類のウチワサボテンの主な花粉媒介者で、このハチはウチワサボテンと共進化したと考えられています。

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Opuntia macrocentra
『Transaction of the Texas Academy opsis Science』(1929-1937)より


異なる交配システム
人工受粉の結果から、MBRのO. macrocentraは絶対的異系交配であり、自家受粉しない自家不和合性であることが示唆されました。自家和合性および自殖性のCRの個体群と異なる交配システムが存在することが明らかとなったのです。
MBRとCRの個体群では、花の特徴が一部異なります。さらに、MBRの花は1日以上開花するものもあります。これは、一部の自家不和合性のサボテンに見られる特徴で、不十分な受粉率によるリスクを最低限とし、交配の機会を増やします。
MBRの個体群には雌雄離熟(※1)が確認されました。これはCRの個体群には存在しません。MBRの個体群では、柱頭が花糸の2倍以上の長さがあり突き出しています。つまり、近接性雌性受粉(※2)です。


※1 ) 雌雄離熟(herkogamy)とは、柱頭と葯の位置が離れていること。
※2 ) 近接性雌性受粉(approach herkogamy)とは、柱頭が葯の高さより上にあること。花を訪問した昆虫は花粉に触れる前に柱頭に接触する。


最後に
以上が論文の簡単な要約です。
同種のウチワサボテンでも、異なる個体群では繁殖システムが異なることが示されました。確かに、過去に読んだ論文では、1つの地域に生える個体群のみを調査したものばかりでした。しかし、この論文を前提とすると、1つの地域の個体群で、その種を代表してよいものか怪しくなってきました。繁殖システムの調査は、純粋に生物学的な資料の積み重ねだけではなく、植物の保護を考える上でも重要です。自生地で減少しているサボテンや多肉植物についての、このような地道な研究が増えることを願っております。


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今年の植え替えもそろそろ一旦終了ですかね。後は秋口に残りのサボテンを植え替えるのと、随時購入品を植え替えるくらいでしょうか。まあ、何だかんだで、今年の植え替えは今回で190鉢になりました。

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赤城 Ferocactus macrodiscus
赤城の勢いがないので植え替えます。

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根はまあ問題なし。
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植え替え後。同じ7号鉢に植えました。しかし、こういう形のサボテンは植えにくいですね。トゲが刺さらないのは良いのですが、真っ直ぐ綺麗に植えるのに難儀しました。

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Copiapoa hypogaea
色々失敗して団子になってしまったヒポガエア。しかし、手をかけていた時より、放置気味にしてからの方が好調なのはよくある話です。

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根は普通。
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植え替え後。プレステラ90に植えました。よく開花する丈夫なサボテンですが、水を切らないとすぐに間延びしてしまいます。

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獅子王丸
実生から育てた獅子王丸。用土がカチカチなので植え替えます。
獅子王丸は古い本を見ると鬼雲丸(Notocactus  mammulosus)の変種pampeanusとされています。鬼雲丸は非常に変異が多く、別種のような異なるタイプが沢山あります。しかし、変種はなくなりすべて異名となっています。さらに、現在ではノトカクタスはパロディアに吸収されたため、Parodia mammulosaとなっています。

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実生が育っています。
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根は非常に良いですね。半分くらい切りました。
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植え替え後。プレステラ120に植えました。最近はすっかり生長が鈍っていたので、復活して欲しいものです。

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純緋玉
こちらも実生から育てている純緋玉。
国内で栽培される純緋玉はG. oenanthemumと言われていますが、実際はG. tillanumかも知れないらしいとのこと。

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根は良さそうです。やはり半分くらい切りました。
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植え替え後。プレステラ90に植えました。まだ未開花なので、早くその「純緋」の花を拝みたいものです。


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あまりにも暑くて、外作業をする気になりません。ちょっと、写真撮りに行くだけで滝のような汗をかいてしまいます。さて、そんな猛暑の最中ですが本日も我が家の多肉植物たちを少しだけご紹介しましょう。

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Euphorbia gorgonis
「金輪際」などと言う名前もあるゴルゴニスですが、タコものユーフォルビアの中でも強光に強い種類です。そのため、日照はガンガン当てて、間延びしないように締めて育てていたら枝が枯れてしまいました。一応、開花中。


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Euphorbia globosa
「玉鱗宝」と言う名前もあるグロボサが、開花中です。まあ、グロボサはいつも咲いているわけですが。


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Haworthia tuberuclata v. subexpansa
ツベルクラタ変種スブエクスパンサが開花しましたしました。
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現在はHaworthiopsis scabra v. scabraの異名となっていますが、非常に個性的な姿です。
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花はほぼ白色でした。珍しいですね。花弁の内側に緑色のラインが入っていて、先端ではやや赤味がかるようです。

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Euphorbia sepulta
ソマリアもののセプルタが、暑さに負けず元気です。陵(rib)が増えて、仔を吹いています。


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Euphorbia boiteaui
いわゆるE. decaryiです。挿し木苗ですが、地下茎を取り除きじっくり育てています。

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疑似塊根が出来ています。ちょっとだけ、見られるようになってきました。

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Adenia kirkii
キルキイが沢山の蔓を伸ばしています。
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どうやら、葉の形と色は日照の強さにより変わるようです。日照が弱いと葉の幅は広く斑は少なく、日照が強いと幅は狭く斑が多くなります。


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一般的に植物の生育には適していないであろう乾燥地にも、驚くほど多様な植物が自生しています。これらの乾燥地に生える植物は、何かしらの乾燥への適応が見られます。我々が園芸植物として栽培しているサボテンや多肉植物、あるいは塊茎・塊根植物などは、体内に水分を溜め込むことにより乾燥地に適応しています。さて、このような乾燥地への適応は、どのようにして起きているのでしょうか? 当ブログでも、生態学的な見地から乾燥地への適応に迫った論文は、過去にいくつかご紹介しています。今回は視点を変えて、解剖学的な見地から塊根の成立を考えてみます。ご紹介するのは、Y. V. Aviekin, N. V. Nuzhyna, M. M. Gaidarzhyの2023年の論文、『Metamorphosis differences of caudiciform plants as an adaptation to arid conditions』です。日本では「火星人」の名前でお馴染みの塊根植物、Fockea edulisの多肉化の謎に迫っています。

キョウチクトウ科とCaudex
キョウチクトウ科(Apocynaceae)には約366属5000種以上が含まれ、5亜科に分けられます。多年生の多肉植物のグループは、Asclepiadoideae亜科、その中でもStapeliinae亜族に集中しています。このグループには30属以上が含まれ、Stapelia、Huernia、Hoodia、Pseudolithos、Orbea、Quaquaなどがあります。これらの植物の特徴は多肉質な茎を持つことで、サボテンやユーフォルビアに類似しています。樹木性、あるいはpachycaul(塊根)を持つグループは、Apocynoideae亜科のPachypodium属に代表されます。Pachypodium型のpachycaulは、Adansonia、Cyphostemma、Dendrosicyos、Dorstenia、Fouquieria、Moringaなど他属にもあります。このような多肉植物の形態を、「塊茎様多肉植物」(caudex-like succulents)と呼びます。これは、1948年にG. Rowleyにより初めて使用されました。
これらの植物は、皮層の柔組織(※1, ※2, cortex parenchyma)の生長に加え、形成層(※3)の機能により形成される「多汁質材」(juicy wood)も特徴です。形成層は導管要素(※4, tracheal element)に加え、多数の薄壁木部柔細胞(thin-walled xyleum parenchyma cells)を形成します。これらの柔細胞には皮層の柔細胞と同様に水と栄養が蓄積します。

※1 ) 皮層は茎や根の表皮と中心柱の間にある組織。主に柔細胞からなる。
※2 ) 柔組織は柔細胞からなる組織で、茎や根の皮層や髄、葉肉や果肉、地下茎をなど植物体の多くを占める。
※3 ) 形成層は茎や根の維管束の木部と師部の境にある分裂組織。細胞分裂し内側に木部、外側に師部を作り、茎や根の二次肥大生長を行い年輪を形成する。
※4 ) 導管は維管束の木部の主要部位で、根が吸収した水分を枝葉に送る。

Fockea edulis
Fockea edulisは1794年にC. ThunbergによりPergularia edulis Thunb.として記載され、1893年にK. SchumanによりFockea属が割り当てられました。F. edulisはFockea属6種類のうちの1つで、南アフリカの西ケープ州や東ケープ州の乾燥地帯、レソト王国の南部に分かれて分布します。F. edulisは多肉質な多年生半低木で、高さ0.5m、直径1mになる巨大な塊茎(tuber)を持ちます。塊茎は灰緑色で樹皮が割れて皺や突起があります。

植物のライフサイクル
Vasilivら(1978)によると、植物のライフサイクルは、潜伏期(latent)、前生殖期(pregeneration)、生殖期(generation)、老年期(senile)からなります。さらに、前生殖期は、実生(seedling)、幼植物(juvenile)、未成熟植物(immature)に分けられます。
研究はキエフ大学の植物園のコレクションから育った、F. edulisの実生、幼植物、未成熟植物を使用しました。


実生 seedling
F. edulisの種子は播種後8〜9日に発芽し、11〜13日目に種皮から実生が出てきます。子葉は多肉質ではありませんが、胚軸(※5, hypocotyl)は肥厚し円筒形で目立ちます。葉緑体は表皮に接する柔細胞にあります。
皮層の柔組織の厚みには、維管束(vascular bundles)の隣に不明瞭な乳液管(※6, latex duct)があります。また、F. edulisの実生には二次的な維管束が17〜18本あります。師管部(phloem zones)はあまり発達しておらず、一次木部の真上に位置します。


※5 ) 胚軸とは胚の主根(幼根)原基と子葉の付着部をつなぐ軸の部分。
※6 ) 乳跡(latex trace)は乳液を含んだ樹木、特にキョウチクトウ科の樹木の材に見られる、裂け目状の通路のこと。その起源は葉や脇芽に進入する維管束とされる。誤ってlatex canal、latex ductとも呼ばれることがある。

幼植物 juvenile plants
6〜7週の生長後、幼植物の兆候を示します。茎の上部は直交異方性(※7)で、断面は丸みを帯び草状(grassy)です。表皮層は壁が厚くなった立方体の細胞で、一部の表皮細胞は単純な被覆毛突起を有します。表皮の下には周皮(※12)が見られ、木質化した細胞壁を持つコルク組織細胞(※8, phellem cell)が1層と、単層のコルク形成層(※9, phellogen)、および葉緑体を持つ円筒形で薄壁のコルク皮層細胞(※10, phelloderm cell)の層で構成されます。
断面を見ると二次外皮(secondary integuments)の形成と表皮のほぼ完成な剥離が明確です。茎の基部の周皮は上部と比べて厚みが3倍あり、細胞層の数が多いだけではなく細胞のサイズも大きくなっています。皮層の柔組織はより発達し、10〜12層の大きな薄壁の等直径細胞からなります。実生と比べてサイズが大きい木部導管要素の増加により、維管束の面積が増加しています。維管束には茎の上部と比較してはるかに面積が大きい内部師部(※11)の領域があります。髄は他の部位と比較すると大幅に発達しています。


※7 ) 直交異方性(orthotropic)とは、互いに直交する3つの面に対して、弾性特性が鏡対称であること。
※8 ) コルク組織は細胞壁にコルク質を沈着した組織。
※9 ) コルク形成層は二次肥大生長を行う、茎や根の皮層に出来る後生分裂組織。分裂によりコルク組織を形成する。

※10 ) コルク形成層は、外側にコルク組織、内側にコルク皮層を形成する。
※11 ) 師部は維管束を形成する師管を中心とする部分。師管、師部繊維、師部柔組織、伴細胞からなる。同化物質(光合成産物など)の移動を行う。

未成熟植物 immature plants
F. edulisは発芽後11〜12週で成体と同様の特徴を獲得し未成熟植物に達します。幼植物と比較すると、すべての栄養器官な顕著に発達しています。茎の上部は幼植物と比較して10倍以上増加しますが、直径は2倍に過ぎません。未成熟植物では茎の上部が徐々に生長する多年生の木質部分と、植生サイクルの初めに再生する一年生の草本部分からなります。やがて、茎の木質化した部分が分岐し追加のシュートを形成します。木質化した部分の周皮(※12, periderm)の厚みは、草本部分と比較すると5倍に増加します。これは、木質化した6〜7層の細胞からなるコルク組織によります。
茎の基部は著しく発達し長さは幼植物の約2倍、直径は約4倍以上になります。表面はザラつきますが、これは周皮が厚くなり割れているからです。周皮の構造は変わりませんが、コルク組織は細胞が大きく11〜13層に増えているため厚さほぼ2倍になっています。幼植物と比較すると、皮層の柔組織の厚さは4倍以上なっています。


※12 ) 周皮は木本植物の肥大生長する茎や根の表皮下に形成される組織。コルク層、コルク形成層、コルク皮層からなり、表皮が剥離すると代わりに茎や根を保護する。

他のCaudexとの比較
以前に研究したPetopentia natalensisでは、苗木の胚軸に顕著な肥厚は見られず、活発な発達は発芽後2〜3週間に始まります。胚軸の形態は異なりますが、その発達は皮層と髄の一次肥厚の結果として起こり、同様の構成を示します。
Adenium obesumの実生の胚軸には、F. edulisやP. natalensisとは異なり、二次被覆組織が確認されています。これは、A. obesumがより厳しい環境への適応と考えられます。
これらの3種類の幼植物には、第一胚軸節(first hypocotyl internode)間の皮層と髄が活発に一次肥厚するため、多肉質の基部が形成されます。F. edulisやP. natalensisは多肉質ではない蔓を出しますが、A. obesumは茎の上部はより多肉質です。しかし、まだそれほど顕著ではありません。
未成熟植物では、茎の上部と基部が共に大きくなり、周皮が発達し根系にも顕著な変化が見られます。F. edulisやP. natalensisの茎の上部と基部は、最初の子葉節(cotyledon node)の領域で簡単に判別出来ます。A. obesumでは、維管束形成層(intervascular cambium)により通導要素の連続的なリングが形成されます。
F. edulisの太く多肉質な「ラディッシュ様の根(radish-like root)」は、木部柔組織の生長により形成されますが、P. natalensisは典型的な二次根構造が形成され、中央の大部分が木部導管(vessel xylem)により占められ柱状構造を形成します。強力な木部柔組織により「ラディッシュ様の根」が形成される点において、F. edulisとA. obesumは共通しています。

収斂適応
異なる分類群に属する3種類の植物は、茎の基部と髄の複合的な肥厚と言う形で、乾燥した気候条件への収斂適応(convergent adaptation)が見られます。この適応は多肉質の基部の大部分が土壌により保護され、水の輸送と蓄積にかかるエネルギーコストが削減されます。さらに、F. edulisとA. obesumは多肉質の根も形成します。このような根の変形は多くの多肉植物に見られ、特に原始的なサボテン(Pereskia, Pereskiopsis)で研究されてきました。J. Mauseth & J. Pateによると、研究された多くの多肉質に変形した根は、その水と栄養を貯蔵する機能は発達した木部柔組織によるものです。さらに、このような変形した根を持つ多肉植物は、ほぼすべての大陸の乾燥地域および半乾燥地域で発見されています。よって、主根の変形による多肉質化は、乾燥条件に対する収斂適応であることが分かります。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
解剖学的に実生からの生育を観察することにより、植物の多肉質化の様子を解き明かそうと言う意欲的な論文でした。異なる分類群の植物にも類似した形状の塊根・塊根が見られます。それらは、組織の発達の仕組みも基本的には同じです。乾燥した環境に適応するために結果的に類似したのは、組織の構成は同じですから、肥厚させて水分を貯蔵させるには同じ手段を取らざる得ないからなのでしょう。進化とは、何も無いところから何かを新たに生み出すというより、既存の構造を変形・転用させることだったりします。乾燥に対する進化は明らかにパターンがあり、葉や幹、根を肥大させます。ですから、まったく異なる分類群の異なる自生地の植物でも、サボテンとユーフォルビアのように驚くほど類似してくるのです。これらは収斂進化による適応、つまりは収斂適応と言えるでしょう。


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暑い日が続きますが、多肉植物たちは割りかし元気です。まあ、私が育てている多肉植物に
冬型はほとんどありませんから、遮光が適正ならばそれほど暑がりません。


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Gonialoe sladeniana
スラデニアナが開花中です。しかし、風で花穂が壁に擦れて、先端の蕾が取れてしまいました。

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基本的にはアロエ的な花ですが、G. variegataと比べると淡い色合いです。

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リップマンジャー
小型の四季咲き花キリンです。冬の間はやや日当たりが悪い場所にあったせいか、やや不調です。最近、ようやく花が咲き始めました。


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皇帝 Tulista cv.
皇帝も開花しました。ツリスタの花は初めてです。花茎は思ったより分岐するようです。

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ハウォルチア的な花ですが、やや詰まったように咲いていますね。

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Haworthia chrolacantha v. denticulifera
クロラカンタ変種デンティクリフェラも開花しました。撮影しようと棚から取り出したところ、ぶつけて花茎が折れてしまいました。しまったなあ。

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Euphorbia moratii
モラティイも開花中。大変丈夫で育てやすく、よく開花する花キリンです。しかし、E. moratiiで調べるとこんなに葉は波打っていないわけで、正体不明な花キリンです。画像検索するとE. decaryi(実際はE. boiteaui)やE. ambovombensisが出てきますが、ご覧の通り花が上向きに咲きますから違いますよね。E. cap-saintemariensisが花を含め一番似ているようですが、なんか育ち方が違うので微妙です。
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妙に寸胴に育っています。塊根と言うより、茎全体が太っています。葉が異様に詰まったように密につくのも特徴です。また、不思議なことに、小苗の時にはクリーム色の花を咲かせましたが、今の花はピンク色がかっています。

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Euphorbia geroldii
ゲロルディイが植え替え後、初めて開花しました。花キリンの中でも屈指の美しさです。


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Astroloba spiralis
花茎が出たのは初めてでしたから楽しみにしていましたが、残念ながら萎れてしまいました。


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大型鬼胆丸
何やらすっかりしぼんでしまっていた大型鬼胆丸ですが、植え替え後に甘やかしていたら復活しました。あまり厳しくしてはいけないようです。まあ、まだ小さな苗と言うこともありますが。


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Haworthiopsis longiana
ロンギアナに花茎が伸びて来ました。蕾の数がすごいですね。花茎はどれほど長く伸びるでしょうか? 楽しみです。



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長く続いた筑波実験植物園の記事も今回でラストです。乾燥地の植物を集めたサバンナ温室に長く居すぎたせいで、時間がなくなってしまいました。時間がないため、熱帯雨林温室は今回は行きませんでした。まて次回と言うことにしましょう。帰りは行きと順路を変えました。ゆっくりとはしていられないので、あちこち見られなかったのは心残りです。

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奇怪に枝を伸ばす樹木。地面に擦っていますが、気にせず枝を伸ばしていますね。

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ちょうどハンゲショウ(Saururus chinensis)が見頃でした。ハンゲショウはアジアの水辺に生えるドクダミの仲間です。小さい穂が花で、葉の一部が白く色付きます。
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それほど目立つ植物ではありませんが、一面見渡す限りのハンゲショウは見事でした。

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サワギキョウ(Lobelia sessifolia)が咲いていました。

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コウホネらしき植物。花はどうでしょうか?
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ちょっと開花していました。オゼコウホネ(Nuphar pumila v. ozeensis)と言う変種のようです。

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そういえば、あちこちにホタルブクロが咲いていましたね。

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エチゴトラノオ(Pseudolysimachion ovatum ssp. martimum)の可愛らしい花。

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オウゴンオニユリ(Lilium lancifolium v. flaviflorum)が見頃でした。

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こちらにもホタルブクロ。

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一見して食べられそうな赤い実があちこちになっていました。しかし、キンギンボク(ヒョウタンボク)の実には毒があるとのことです。
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警告標識がありました。

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ユウスゲ(キスゲ、Hemerocallis citrina v. vespertina)の儚げな花が咲いていました。
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まるで透かしのような繊細な花ですね。

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雰囲気の良い水辺。今度はゆっくり散策したいものです。

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何やらデカくて派手なキノコ。キタマゴタケかな?

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と言うことで、筑波実験植物園に行って来ました。植物のラインナップや充実ぶりは、さすが国立科学博物館の関連施設と言ったところでしょうか。しかし、今回は時間配分に失敗しました。次回はもう少しゆっくり見たいですね。まだ、回っていない場所が沢山あります。夏場はしんどそうなので、秋口に涼しくなってきたらまた来ましょうか。


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本日はこの前行ってきたヨネヤマプランテイションの多肉植物BIG即売会と、そのままハシゴしたコーナン港北インター店での購入品を植え替えました。ついでに葉が枯れた亀甲竜も植え替え。今年の植え替えは今回で186鉢になりました。

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ブロウウィンギアナム
「ブロウウィンギアナム」と言う怪しげな名前で売られていた硬葉系ハウォルチア。おそらくは、Haworthiopsis fasciata var. browniana。この手の「-ana」と「-anum」と言う間違いは良くあることですが、困ったものです。

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根の状態は非常に良好でした。
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植え替え後。結節があまり目立たないため、硬葉系の渋さがよくあらわれています。手持ちのH. fasciataはこれで3タイプになりました。

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Operuculicarya hyphaenoides
ヒファエノイデスとありますが、特徴的には異なります。ラベルによると去年の8月に播種していますから、まだ実生1年です。種類の判別は肥培してもう少し育ってからにします。

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塊根は先端が曲がりくねっています。鉢底に当たってしまっていたようです。
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植え替え後。まだ小さいのでプレステラ90にとりあえずは植えましたが、来年はロングポットに植え替えて本格的に育成を開始します。

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Euphorbia brachyphylla
ブラキフィラは葉が細い花キリンです。E. rossiiにも似ていますが、トゲの特徴が違うことは分かります。また、
E. rossiiは根元から分岐しますから、枝の出方も違いますね。
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根は豊富でしたが、鉢が小さかったようです。E. rossiiとは異なり塊根がありません。根元のトゲのない棒状の茎は実生の証ですから、挿し木苗ではありません。塊根性ではないことは明らかです。
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植え替え後。周年性ならそのうち咲きますが、ブラキフィラはどうでしょうか?

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Aloiampelos gracilis
グラキリスはいかにも窮屈そうです。

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根はパンパンに張っていました。
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植え替え後。プレステラ120に植えました。これぐらいがちょうどいいバランスですよね。根が良いので今年の生長はかなり期待出来ます。

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亀甲竜 Dioscorea elephantipes
亀甲竜は今回の購入品ではなく、10年以上ちまちま育てているものです。6月末まで葉が枯れませんでしたが、ようやく葉が落ちたので植え替えます。

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根はキツキツのパンパンでした。プレステラ120でも小さいようです。
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植え替え後。先日、ヨネヤマプランテイションで試しに購入したプレステラ150に植えてみました。プレステラ150はサイズに比べて相対的に厚さがないので、手で持った時にややフニャフニャしますが、別に頻繁に移動させるわけではありませんから特に問題ありません。どうせ、根が張ってパンパンになりますし。
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しかし、500円玉くらいだった亀甲竜もずいぶんと育ちました。
 

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これはいつもの事ですが、ヨネヤマプランテイションに行った際は、コーナン港北インター店にも寄ることにしています。毎度、それほど珍しいものがあるわけではありませんが、とにかく広くて数があるため、それだけで楽しみではあります。しかしまあ、その実態は巨大なホムセンに過ぎませんから、ヘタってる多肉植物も多かったりします。購入の際は注意が必要です。

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さて、今回のコーナン港北インター店は、正直イマイチでしたね。いつもの売り場はあまり変わっておらず、レジの後ろの方に多肉植物売り場が追加されていたくらいです。それでもせっかく来たのですから、1つ買って帰りました。

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ブロウウィンギアナム
何やら聞いたことがない名前です。検索しても出てきません。まあハウォルチアと言うかハウォルチオプシスなのは間違いありません。しかし、Haworthia browingianumやらHaworthiopsis 
browingianumで調べてもヒットしません。外見的な特徴をよくよく見てみると、どうもH. fasciataに見えます。
キュー王立植物園のデータベースでH. fasciataを検索すると、変種としてvar. brownianaがあることが分かりました。ウェブ上ではf. 
brownianaとされているものです。まあ、これでしょうね。随分とマニアックなものをと言う気もします。

そういえば、昨日のヨネヤマプランテイションの多肉植物BIG即売会の記事で書き忘れたのですが、新しく出たプレステラも買っていました。私は基本的にプレステラのロングを使っていますが、サイズは90と105、120です。新しいサイズは150と180ですね。アマゾンで試しに買おうとしましたが、30個だの50個だのと妙にセット売りなので躊躇していました。単純に試しに欲しかっただけなので、使わないかも知れないものをそんなにいりませんからね。

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一番小さいのがプレステラ90ですから、かなり巨大。少しだけ背が高くはありますが、なんだかずんぐりして見えます。オペルクリカリアなどの長く伸びる塊根向きではないようです。アガヴェなどは生長に従って使えるので便利かも知れません。



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さてさて、この三連休に横浜の新羽駅近くにあるヨネヤマプランテイションにて、「多肉植物BIG即売会」が開催されましたので、早速行ってまいりました。今年は4月にも開催されましたから、今年はこれで2回目の開催です。しかし、ここ3回のBIG即売会は、個人的にはやや期待外れ感がありました。今回はどうでしょうか?

思ったより早く着いたのですが、イベント仕様で室内売り場は本来の開店前から開いていました。店内はそれほどの混雑はありませんでしたが、9時半前なのに沢山の人が来ていました。
さて、今回の多肉植物BIG即売会は割と規模が大きく、多肉植物の量も種類も豊富でした。パキポディウム苗やらアガヴェ、エケベリアといったお馴染みの多肉植物も沢山ありましたが、今回はサボテンも沢山あり晃山などやや珍しいものも並んでいました。ユーフォルビアではE. pachypodioidesやE. guillauminiana、E. tulearensisあたりは沢山並んでいました。ここらへんは、最近のイベントではお馴染みですから、もはや普及種ですね。変わったところでは、Fockea multifloraが並んでいました。珍しいですね。しかし、すぐに手に終えなくなりそうなので、今回は見送りました。

と言うわけで、ここからは購入品。
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Aloiampelos gracilis
以前、ここでA. tenuiorを購入しましたが、今回はグラキリスが売っていました。アロイアンペロスはこれで3種類目です。アロイアンペロスはアロエから独立した藪を作る植物です。ただ、アロイアンペロスはなんだか頼りないヒョロヒョロしたアロエっぽい多肉植物に過ぎないので、観賞価値はイマイチですけどね。

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ユーフォルビア ブラキフォラ
Euphorbia brachyphyllaです。一見してE. rossiiかと思いましたが、トゲが違いますね。今回初めて見た多肉植物ですが、まあ要するに花キリンです。

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Operuculicarya hyphaenoides
ヒファエノイデスとありますが、それっぽくありません。ヒファエノイデスは葉が巻いて表面がボコボコしていて特徴的ですからね。しかし、何かと言われるとよくわかりません。
さて、過去にオペルクリカリア属の見分け方を示した記事を書きましたから、記事を参考に今回のオペルクリカリアを鑑定してみましょう。


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当てはめて見ると、葉軸に翼があり葉に毛が生えていないため、O. pachypusかO. decaryiが該当します。しかし、この2種は葉に丸みがあるあり、あまり似ていません。小葉は小さいのですが、まだ苗なのでこれが最大サイズではないと考えた場合はO. capuroniiが該当します。まあ、しかし日照をガンガン当てていけば、葉の形は変わるかも知れません。今は保留としておきます。

ヨネヤマプランテイションは20分くらいで引き上げて、そのままバスでコーナン港北インター店へ向かいました。これも毎度のことです。まあせっかくここまで来たのですから、ついでと言うやつです。明日に続きます。


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さて、本日も我が家にも多肉植物たちの様子を少しご紹介しましょう。

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Aristaloe aristata
綾錦がいつの間にか、ちらほら咲いていました。綾錦はアロエ属から独立し、1属1種の単型属であるアリスタロエとなっています。


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H. limifolia v. gideonii
リミフォリア変種ギデオニイが開花しました。

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花は典型的な配色ですが、ややすぼまったような形ですね。

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Euphorbia bupleurifolia
鉄甲丸が開花しました。目立たない花色ですが、ユーフォルビアとしては大きい方です。


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Pachypodium rutenbergianum(中央奥)
Pachypodium windsorii(中央手前)
人気が皆無なルテンベルギアヌムは、高さ9mにもなる最大のパキポディウムですが、栽培している限りはヒョロヒョロ伸びるだけです。それでは面白くないので、伸びたら切り戻して盆栽的に仕上げるつもりです。
ウィンドゥソリイ(ウインゾリー)は、去年出た葉は黄色くなりましたが落ちずに残りました。しかし、今年は良い葉が出ています。生長が期待出来ますね。そういえば、最近ウィンドゥソリイの人気がにわかに高くなっているようです。よく理由が分かりませんが、グラキリウスだのパキプスだのの現地球が人気になりましたが、業者の次の目玉商材がウィンドゥソリイなのかも知れません。


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Pachypodium brevicalyx
ブレビカリクスの葉がなかなか出てきません。ちょっと心配です。ブレビカリクスは現在はデンシフロルムの異名となり同一種扱いとなっていますが、デンシフロルムよりも全体的に粗大な感じがします。


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Euphorbia lophogona
花キリン特有の花から次の花が出るふしぎな咲き方です。こういう咲き方は、花茎が分岐して上向きに開花するタイプの花キリンに多い気がします。


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久しぶりに植え替えの記事となります。今年の植え替えは今回で181鉢になりました。しかし、最近は多肉植物の論文の記事を書けていません。あまり良い論文を見つけ出せていないのと、今読んでいる論文が割とややこしい内容で、なかなか進まないためです。と言うわけで多肉植物の論文については、しばらくありません。あしからず。

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Euphorbia stellata
飛竜ですが、ここ数年はあまり上手くいっていません。今年も古い枝が枯れてしまいました。2020年1月にオザキフラワーパークにて購入。

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根はとても多いようにまえますが、主根から出る根は少なく、地際から出ているものばかりです。これらの根は植え込む際に邪魔になるため、カットしてしまいます。
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スッキリしましたが、勢いはないですね。
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植え替え後。冬の間に過湿になっているような気がします。置き場所を考え直します。

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Euphorbia makallensis
やや日焼け気味のマカレンシスですが、去年の生長は順調でした。根の状態はどうでしょうか? 2020年3月にプロトリーフにて購入。

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根の勢いは良好です。
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植え替え後。そのままプレステラ90に植えました。根の量からするとワンサイズ鉢を大きくしても良かったかも知れません。

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Euphorbia confinalis ssp. rhodesica
非常に美しいユーフォルビアの、コンフィナリス亜種ロデシカです。2022年4月のビッグバザールにて購入。

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根はかなり太く木質化していました。しかし、少しネジラミがいたので、根を洗いました。
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植え替え後。古い鉢はネジラミの感染源になりかねないので捨てました。

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Euphorbia suzannae-marnierae
スザンナエ-マルニエラエの名前で流通しているアンボボンベンシスです。最近、本物とおぼしきスザンナエ-マルニエラエも見かけるようになりましたが、どう見てもアンボボンベンシスにしか見えませんよね。スザンナエ-マルニエラエは葉が細長く、花が明るい色合いなので割と違いははっきりしています。2023年5月の木更津C & Sフェアにて購入。

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塊根はまだまだですね。しかし、根の張り具合は良さそうです。
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植え替え後。まだ小さいので塊根は出しません。

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Euphorbia viguieri
噴火竜も植え替えます。今年、初めて花が咲きましたが、たった一輪だけと言う侘しいものでした。2020年6月に鶴仙園にて購入。

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根は凄まじい量でした。
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植え替え後。うっかり同じ鉢に植えましたが、鉢増しすべきでしたね。


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6月に行った筑波実験植物園ですが、実はまだ少しだけ続きます。今回はいよいよ温室から出て研修展示館に向かいます。

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道すがら、公開していないバックヤード的な温室がありました。立ち入ることは出来ませんが、沢山の植物が栽培されている様子が分かります。

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研修展示館の隣にある小さい水生植物温室に入ります。入って右側はマングローブ林が再現されており、ヒルギが植えられていました。

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左側には水生植物の池があります。
こちらは、Ottelia cordataと言う東南アジア原産のトチカガミの仲間だそうです。


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ガガブタ Nymphoides indica
ガガブタは毛の生えたような面白い花がを咲かせます。名前はよく聞きますが実際に花を見たのは初めてです。


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Cyrtosperma johnstony
赤黒い葉柄が目立つ大型のサトイモ科植物です。サトイモ科植物は水辺に生えるものが割と多い植物です。

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よく見ると、赤い毛に覆われていました。毛の生え具合がそのまま模様となっているようです。

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ショウジョウヤシ
緋色が鮮やかなヤシです。名前は猩々緋から来ているのでしょう。


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水生植物温室は研修展示館に繋がっています。一階には、いくつか展示がありました。

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ラフレシアの模型。ラフレシアは木性つる植物に寄生しますから、植物園といえど簡単に栽培出来ないでしょうね。そもそも、人工的に栽培出来るのか分かりませんが。

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ショクダイオオコンニャク
こちらも模型。神代植物公園にしろ筑波実験植物園にしろ、開花期間中に行っていないので、実際に咲いているところを見たことはありません。


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こちらは、ホルマリンかアルコールかわかりませんが、浸漬された標本です。光合成しないマヤランと言う蘭で、地下で育つそうです。どうやらとても珍しい植物のようです。生態上、発見しにくいだけかも知れませんが。

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二階は研究室で、ガラス越しに見学出来ます。

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このように、絶滅の可能性のある植物が培養器を中で維持されています。植物園が研究施設でもあることを実感しました。


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本日もまた我が家の多肉植物たちを少しだけご紹介します。

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ちょうどリアトリスが咲いていました。

240622173543741
Dioon edule
エドゥレの新葉が展開中です。スピヌロスムはすでに新葉の展開は終えていますから、エドゥレは割と遅めでした。


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皇帝 Tulista cv.
皇帝に初めて花茎が伸びて来ました。ツリスタはどういうわけか花茎が途中で駄目になってしまいがちで、花を見た記憶がありません。無事に開花して欲しいものです。


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魔天竜
小さい実生苗ですが良いトゲが出ていますね。生長が楽しみなギムノです。


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Euphorbia handiensis
剣光閣が盛んに開花しています。剣光閣はあまり見かけないユーフォルビアですが、とても丈夫で育てやすいユーフォルビアです。


240629175309779
Fouquieria splendens
スプレンデンスも勢いのある葉が沢山出て、見違えるようです。


240629175206113
Euphorbia bupleurifolia
鉄甲丸は葉が繁っています。夏に弱いと言われますが、実際には水切れに弱いだけな気がします。


240629175150502
H. tessellata IB 6776
テセラタの花茎は駄目になってしまいました。ハオではよくあることですが残念ですね。


240629174550311
Euphorbia lophogona
ロフォゴナはようやく外環境に慣れてきたみたいで、ピンクの花が咲いています。


240629175001342
Haworthia chloracantha v. subglauca RIB 0099
クロラカンタ変種スブグラウカですが、相変わらず野趣あふれる素晴らしい姿を見せてくれています。


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昨日に引き続き筑波実験植物園の熱帯林の温室(熱帯資源植物温室)にいます。

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Pandanus utilis
マダガスカル原産のビヨウタコノキです。気根が沢山出ています。


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Cocos nucifera
ココヤシはちょうど実がついていました。分かりにくいので下に拡大した写真を追加。
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Etlingera elatior
トーチジンジャーです。花は生食出来るそうです。


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Clusia hilariana
白く丸い蕾が面白いクルシアはあまり馴染みがない植物ですが、フクギ属(Garcinia)やテリハボク属(Calophyllum)あたりと近縁みたいですね。

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下向きに開く花は、多肉質でしっかりとしています。

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Durio zibethinus
ドリアンはなかなかの高さですが、実はありません。何やら温室栽培だと実がつきにくいらしいですね。


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Ravenalia madagascariensis
オウギバショウ、あるいはタビビトノキと呼ばれます。板橋区立熱帯環境植物館で初めて見ましたが、こちらの方が圧倒的に巨大です。

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全体を撮ろうとしましたが、逆光で上手く撮れませんでした。しかし、たまたまですがちょっとエキゾチックな感じに。

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Heliconia caribaea
ちょうど開花していました。見上げる高さの、オウムバナの仲間です。


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Carludovica palmata
パナマソウは以前から気になっていた植物です。古い分類体系であるクロンキストや新エングラーでは、パナマソウはパナマソウの仲間と言う謎の説明があったせいですが…。


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Mesua ferrea
セイロンテツボクです。テツボクは鉄のように硬いと言われていますが、材が水に沈むことでも有名です。


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Angiopteris evecta
ナンヨウリュウビンタイの巨大な葉が通路にまで伸びていました。

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根元の塊茎も抱えるような大きさでした。周囲には子株がいっぱい育っています。

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巨大なAnthurium?Philodendron? ネームプレートはありませんでした。
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ちょうど花穂が出ていました。

これで、温室は終了です。まあ、実際にはこの熱帯林は、熱帯資源植物温室で熱帯雨林温室は別にあるのですが、時間がなくて見れませんでした。残念。


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