ユーフォルビア・オベサ・ドットコム

セダムやエケベリアを含むベンケイソウ科は、遺伝子を解析するとかなり入り組んだ様相を示し、旧・分類体系が通用しない可能性が出てきました。しかし、ベンケイソウ科は種類が多く、完全な系統分類を確定させることは恐ろしく困難でしょう。そんな中、新たに分離された新属も誕生しています。2016年に提唱されたChaloupkaea、2023年のJeronimoa、Chazaroa、Quetzalcoatliaといったベンケイソウ科の新属です。実は2023年の3属はすでに記事にしています。ということで、本日は残りのChaloupkaeaについて見ていきましょう。ちなみに、Chaloupkaeaは主にトルコに分布する小型のベンケイソウ科植物です。

新属・ジェロニモアについては以下の記事をどうぞ。

新属・チャザロア、ケツァルコアトリアについては以下の記事をどうぞ。

本日、参照とするのはJosef Niederleの2016年の論文、『Chaloupkaea (Crassulaceae)』です。非常に簡潔な内容、というかあまりにも説明がなく簡潔すぎるので、私の解説というか感想も併記します。まあ、私にも経緯がよくわからないため、理解出来ているのは怪しい気もしますが…


進化が完全な単系統ではなく、本質的に側系統的です。よって、't Hart(1995)が、Rosularia属の黄色い花を咲かせる小アジア種について、Prometheum属に組み換えた単系統的なアプローチを拒否します。Chrysanthae Eggli, 1988は、Sedum L.に属する分類群から分離されます。

(解説): この段落は非常に分かりにくい話です。理解出来る範囲ですと、1988年に提唱されたRosularia属内分類のSection Chrysanthae Eggliについて、独立属としますということです。さらに、このSectionのタイプであるRosularia chrysanthaについて、1995年に't HartがPrometheum chrysanthaとしましたが、著者はその提案を拒否しました。なぜなら、それは単系統的なアプローチであり、側系統的に理解すべきだからです。


よく引用されるRosularia chrysantha (Boiss.) Takht, 1953は出版されておらず、Rosularia chrysantha (Boiss. & Heldr.) Mulkidzhanjan, 1953を適切に引用する必要があります。第二に、有効な出版場所が参照に含まれていませんでした。よって、この組み合わせは命名規約に従っていません。1958年に発行されたTakhtadjianの出版物のみが有効です。

(解説): これは命名規約の話です。属名を変更する際は必ず最初に命名された名前と、命名された時の文献を引用する必要があります。その際に、異なる文献を引用してしまった場合、命名の変更は認められません。そもそも、Rosularia chrysanthaは初めて命名されたのは1849年で、Umbilicus chrysanthus Boiss. & Heldr.でした。1958年にRosularia chrysantha (Boiss. & Heldr.) Takht.とされました。Rosularia chrysantha (Boiss.) Takhtは誤りで、誤引用ということになります。ただ、1958年のTakhtadjianが有効という意味と、Mulkidzhanjanについてはよく分かりません。


Takhtajian(1958)によりRosularia chrysanthaと特定された植物は、無毛のロゼットと、細長い釣鐘型の黄色い花を持ちます。それは、Rosularia lipskyiだったかも知れません。EggilihoがRosularia aizoonを決定したのは、ありそうもないことのように思えます。

(解説): この段落の始めの文は、私には判断できかねますが、そのままの意味です。しかし、後半はよく分かりません。脈絡もなくRosularia aizoonが急に出てきたのも困りますが、命名者でもないEggilihoの決定とは何かが分かりません。しかし、調べるとRosularia aizoonは、1995年に't HartがPrometheum aizoon (Fenzl) 't Hartを提唱しましたが、これを発表した出版物の発行者がH. 't Hart & Eggliということでした。つまり、発表したのは't Hartですが、共同出版者のEggliが決定したのはありそうもないということでしょうか。ただし、それがなぜありそうもないのかは釈然とはしません。
しかし、よくよく見ると、「Takhtajian(1958)によりRosularia chrysanthaと特定された植物」をRosularia aizoonとしたことに、Section Chrysanthaeを提唱したEggliが賛成しないだろうという意味かも知れません。この場合はどうでしょうか。著者が疑うRosularia lipskyiは現在もRosulariaです。これは、果たしてSection Chrysanthaeを提唱したEggliが誤るだろうか?という疑問でしょうか。

最後に
以上が論文の内容です。
あまりに簡潔過ぎて、私にもイマイチよく意味が分からない部分がありました。また、これはチェコの論文で英語ではないため機械翻訳にかけただけですから、精度もなかなか怪しいところです。
この論文は新属を提唱していますが、何故かその旨を示す文章がありません。最後に新属による新しい組み合わせの一覧が示されるだけです。本当に簡略というか省エネ論文ですね。一応、新しい組み合わせの名前を示しておきましょう。


Chaloupkaea aizoon (Fenzl) Niederle, 2016
Basionym: Umbilicus aizoon Fenzl, 1842
≡Rosularia aizoon (Fenzl) A.Berger, 1930
≡Prometheum aizoon (Fenzl) 't Hart, 1995

https://inaturalist.lu/taxa/962952-Chaloupkaea-aizoon/browse_photos

Chaloupkaea bonorum-hominum (Niederle) Niederle, 2016
Basionym: Rosularia bonorum-hominum Niederle, 2015

Chaloupkaea chrysantha (Boiss. & Heldr.) Niederle. 2016
Basionym: Umbilicus chrysantha Boiss. & Heldr., 1849
≡Rosularia chrysantha (Boiss. & Heldr.) Takht., 1958
※Rosularia chrysantha (Boiss. & Heldr.) Takht., 1953, no basyonim ref.
≡Prometheum chrysanthum (Boiss. & Heldr.) 't Hart, 1995

https://mexico.inaturalist.org/taxa/962949-Chaloupkaea-chrysantha

Chaloupkaea gigantea (Eggli) Niederle, 2016
Basionym: Rosularia serpenticum (Wederm.) Muirhead var. gigantea Eggli, 1987
≡Prometheum serpenticum (Wederm.) 't Hart var. giganteum (Eggli) 't Hart, 1999
≡Rosularia gigantea (Eggli) Niederle, 2015

Chaloupkaea muratdaghensis (Kit Tan) Niederle, 2016
Basionym: Rosularia muratdaghensis Kit Tan, 1989
≡Prometheum muratdaghense (Kit Tan) 't Hart, 1999

Chaloupkaea pisidica (Niederle) Niederle, 2016
Basionym: Rosularia pisidica Niederle, 2015

Chaloupkaea rechingeri (C. -A. Jansson) Niederle, 2016
Basionym: Rosularia rechingeri C. -A. Jansson, 1966
≡Prometheum rechingeri (C. -A. Jansson) 't Hart, 1995

Chaloupkaea serpentinica (Werderm.) Niederle, 2016
Basionym: Umbilicus serpentinicus Werderm.,  1939
≡Rosularia serpentinica (Werderm.) Muirhead, 1972
≡Prometheum serpentinicum (Werderm.) 't Hart, 1995


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植え替えの準備をしなければいけませんが、うっかりしていてアレもコレも足りません。買いに行く時間もなさそうですから、割高ですがアマゾンで買ってしまいますかね。まあ、仕方がありません。というわけで、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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Euphorbia ramena
ラメナは葉はすべて落ちましたが、冬の間は花がずっと咲いていました。


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Euphorbia razafindratsira
なかなか生長が思わしくなかったラザフィンドゥラトゥシラですが、去年は良い生長具合でした。冬の間もちらほら開花していましたが、新葉も出てきましたね。


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H. tessellata IB 6776
非常に美しいフィールドナンバーつきのテセラタです。花茎の伸びがゆっくりで時間がかかりましたが、ようやく開花しました。
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花は強い緑色のラインが目を引きますね。

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鉄甲丸 Euphorbia bupleurifolia
鉄甲丸も新葉を展開中です。


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Commiphora pseudopaolii
プセウドパオリイの伸びがいいですね。しかし、どうにも形が悪いのが気になります。今年は植え替えをしますから、来年はバッサリ剪定することにしましょう。


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2月に行った筑波実験植物園の記事の続きです。前回に引き続きサバンナ温室で多肉植物を見ています。本日はサボテンがメインですね、

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刈穂玉 Ferocactus gracilis
言わずと知れた刈穂玉ですが、何か妙なものがくっついています。


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どうやら、このPilosocereus?の花殻のようですね。

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Sulcorebutia rauschii
最近、園芸店でも見かけるようになったスルコレブチアです。しかし、現在はスルコレブチアはウェインガルティアに吸収されたため、スルコレブチア属は消滅してしまいました。現在はWeingartia canigueraliiの1タイプという扱いのようです。


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赤鳳 Ferocactus stainesii
フェロカクタスの中でも、やや渋い存在の赤鳳です。良いサイズですね。なお、現在はF. pilosusとされているようです。


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Agave utahensis var. eborispina
最近人気のエボリスピナ。


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笹の雪 Agave victoriae-reginae
どうやら、新しく植えられたらしい、非常に美しい笹の雪です。このような美品を見てしまうと、ついつい欲しくなってしまいます。


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Euphorbia punicea
ジャマイカ・ポインセチアと呼ばれる樹木性のユーフォルビア。前回来た時には花はなかったので、花は初めて見ます。ジャマイカ原産。
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ポインセチア同様、赤く大きな苞が非常に目立ちます。かなりの量の蜜が出ているみたいですが、蜜源植物として重要かも知れません。花粉媒介者が気になりますね。

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サンゴアブラギリも開花中。

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Pseudobombax ellipticum
プセウドボムバクスが開花しています。見上げないとわからないため、何気なく歩いていると見過ごしてしまいそうです。
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花糸で構成された刷毛のような花です。

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ドラゴンフルーツ Hylocereus undatus
樹木状に見えますが、樹木に絡みついているだけです。ドラゴンフルーツは扱い的には登攀植物でいいのでしょうか? ちなみに、
HylocereusはSelenicereusに吸収されたため、ドラゴンフルーツの学名もSelenicereus undatusとなっています。


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3月も半ば過ぎて、多肉植物たちも生長が始まるものも出てきました。外に出してやりたいところですが、最低気温がまだ氷点下近くまで下がる日もあるようですからもう少しの我慢です。さて、本日も我が家の多肉植物たちの様子を少しご紹介しましょう。

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Pachypodium densiflorum
デンシフロルムが開花しました。

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まだ花茎は2本しか出ていません。これからが本番です。

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Euphorbia bongolavensis
ボンゴラベンシスは新しく新葉が展開中です。毎年、ボンゴラベンシスは冬の間はすべて葉が落ちますが、春を感じているのでしょう。


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Euphorbia ankarensis
アンカレンシスも開花しています。まあ、特徴的にはE. denisianaっぽいわけですが。


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Commiphora mildbraedii
コミフォラも葉を出しています。特にミルダブラエディイは枝もぐんぐん伸びて勢いがあります。


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2月に行った筑波実験植物園の続けです。今回からサバンナ温室に入ります。去年の6月以来のサバンナ温室ですから、開花していたり変わっている部分もあるでしょう。

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丁度、サボテンやアガヴェの入れ替えやら、ウチワサボテンの枝の整理をしていました。枯れたら新しく植えるというより、普通に入れ替わりがあるようです。

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大きなアガヴェが植えられるのか、抜かれたのか分かりません。

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松笠団扇 Tephrocactus articulatus var. inermis
現在、T. articulatus(武蔵野)には変種は存在しないということになっているようですから、武蔵野のトゲがほとんどない変種未満の変異幅という扱いなのかも知れません。


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Opuntia debreczyi
小型のウチワサボテンですが、新しく植えられたものでしょう。そういえば、O. debreczyiはO. fragilisとO. polyacanthaの交雑種と考えられているようで、現在はOpuntia × debreczyiという交雑を示す学名となっています。

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大丸盆 Opuntia robusta
生長しすぎて倒れた大丸盆ですが、以前来た時には下敷になっていたのがラベルがありませんでしたが、新しいラベルがありました。


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王冠竜 Ferocactus glaucescens
ちょっとピンボケ。王冠竜に蕾が出ています。


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アガヴェも花茎を伸ばしています。

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朱雲 Melocactus matanzanus
ちょっと日焼け気味のメロカクタス。


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獅子頭 Thelocactus lophothele
平べったく育った獅子頭。現在ではT. rinconensisにまとめられているようです。


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翠冠玉 Lophophora diffusa
翠冠玉はなかなか自生地風でいいですね。そういえば、烏羽玉(L. williamsii)は幻覚作用のあるメスカリンを含みますが、翠冠玉や銀冠玉(L. fricii)はメスカリンを含みません。銀冠玉を烏羽玉の変種とする考えもありましたが、メスカリン一つ取ってみても違いがあるわけです。


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玉翁 Mammillaria hahniana
玉翁が開花しています。マミラリアは花冠のように開花するので楽しいですね。しかし、マミラリアは夏の蒸れに弱く、個人的には苦手です。マミラリアは群生しますから余計に蒸れやすく、しかも白毛を美しく保つとなると、私には無理ですね。

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満月 Mammillaria candida var. rosea
満月も開花中。コンパクトに群生しておりかわいらしいですね。満月は変種ロゼアとされがちですが、現在はM. candida(雪白丸)のタイプ違い程度の扱いのようです。


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1月に東京農業大学のバイオリウムという温室で、コーンが出ている立派なZamia integrifoliaを見ました。改めてZ. integrifoliaを調べて見ると、2016年に再分類が提案されており、どうやら最近その考えが採用されたようです。記事にしましたので、以下のリンクをご参照下さい。


さて、Z. integrifoliaの情報をいろいろ漁っていたところ、蘇鉄を食害するシジミチョウに関する論文を見つけました。それは、Melissa R. L. Whitakerらの2020年の論文、『Localized overabundance of an otherwise rate butterfly threatens endangered cycads』です。日本でも蘇鉄を食害するクロマダラソテツシジミ (Chilades pandava、Luthrodes pandava)が北上し関東まで進出してきましたが、論文の主役はアタラマルバネシジミ (Eumaeus atala)です。

シジミチョウの消失と再生
Eumaeus atalaというシジミチョウは、南フロリダやバハマ諸島、キューバ原産で、幼虫はZamia属の蘇鉄を食べます。かつては、フロリダで「もっとも目立つ昆虫」と呼ばれるほど一般的でしたが、唯一の食樹であるZamia integrifoliaの過剰採取が原因で、1900年代初頭に急激に減少し1930年代には絶滅したと考えられてきました。しかし、1959年にマイアミ南部で小規模な個体群が発見されました。それ以来、草の根的な保護活動により、2001年以降はフロリダ州全体で300を超える個体群が記録されています。

E. atalaの激増の謎
フロリダ州にある研究施設であり保護庭園であるMontgomery Botanical Centerには、E. atalaの大規模で永続的な個体群が生息しています。ピークシーズンには49ヘクタールの敷地内に1日で300匹を超えるE. atalaの幼虫が見つかりました。E. atalaの希少性とフロリダ州全体での再導入の進展からすると、ここまで繁殖している理由を調査する必要があります。

モンゴメリー・ボタニカルセンター
Montgomery Botanical Centerでは1932年から蘇鉄が栽培されており、新たな種が追加され続けそのコレクションは豊富で、2020年には235種の蘇鉄を栽培しています。そのうち、55種のZamiaは2838本ありました。
センターのスタッフによると、E. atalaは常に敷地内に少数存在し、季節的な増減のサイクルがあります。しかし、過去約10年間でE. atalaは繰り返し大発生し、繁殖期はより長くより頻繁になっています。E. atalaの卵と幼虫は20種以上の蘇鉄から見つかりました。

E. atalaの幼虫は群れで蘇鉄の葉を食べ、生長の遅い蘇鉄に深刻なダメージを与え、大型の蘇鉄の葉を完全に枯らしてしまうこともあります。センターのスタッフは、Z. integrifoliaを毎日検査し、手作業で卵や幼虫、蛹を取り除いています。その他のZamiaからも定期的に取り除かれます。回収したE. atalaはフロリダの他の場所の教育機関や保護活動、研究者に送られます。2019年にはセンターで2000匹を超えるE. atalaが回収され、1週間で約4〜8時間もの採取作業が必要でした。

爆発的な増殖の謎
Montgomery Botanical CenterにおけるE. atalaの豊富さは、まず敷地内にある宿主植物の豊富さに起因します。2020年、センター内には431本のZ. integrifoliaがあります。不思議なのは、センターの周辺ではE. atalaを沢山見ることがないことです。センターの周辺の住宅や公共の庭園にはZ. integrifoliaはよく見られ、近くの道路の中央分離帯や公園などに大規模に植栽されているからです。Coral Gables公共事業局によると、センターから半径11km圏内の公共スペースには、少なくとも220本のZ. integrifoliaが植栽されています。センターから1km以内にあるFairchild Toropical Gardenには、201本のZ. integrifoliaが植栽されています。E. atalaはこれらの地域でも少数ながら見られますが、センターのように爆発的な増加は聞いたことがありません。よって、宿主植物の豊富さが唯一の要因ではないのかも知れません。

なぜ増えたのか?
E. atalaの幼虫はZ. integrifolia以外の外来蘇鉄も食べるめ、宿主植物の多様性が影響している可能性があります。センターには2020年には55種のZamiaが栽培されており、フロリダ州のどの地域よりも多様性があります。種類の違いにより植物資源が一年中利用可能となるならば、継続的に繁殖出来るかも知れません。E. atalaの一齢幼虫は若くて柔らかい葉を必要とするため、若い葉に優先的に産卵します。ほとんどのZamiaが1年に1回しか葉を出さないことが、歴史的にE. atalaの繁殖周期の制約となってきた可能性がありますが、食草の多様性が高まれば新鮮な若い葉が周年利用可能になるかも知れません。
他の要因としては、成虫の蜜源やねぐら、気候変動、宿主植物の質の不均一性などが挙げられます。しかし、センター付近の家庭菜園や公共スペースには蜜源植物が豊富にあり、蜜源植物の制限が個体数の制約である可能性は低いと言えます。次に低温が与える影響はありますが、フロリダでは最低気温が上昇しています。しかし、センターだけではなく、それはフロリダ全体でも同じはずです。次に灌漑や施肥などは、植物の組織内の水分や栄養素、毒素の比率を変えてしまい、植物の栄養価に劇的な変化をもたらしている可能性があります。おそらく、センターのZamiaは栄養価が高く、化学的な防御力が低いと考えられます。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
植物の保護施設で希少なシジミチョウが大発生するという、不可思議な現象についての話でした。その原因は、単純に食草が豊富であるというだけでは片付けられないようです。しかし、希少なシジミチョウが希少な蘇鉄を食害しているわけで、単純な駆除が出来ないのは困りものです。とは言え、蘇鉄も希少なため、センターの役割からして、放置も出来ません。
さて、本題のシジミチョウの爆発的な増加は、センターに特有の現象です。その理由を考察していますが、はっきりしません。まず、食草の多様性による周年性が指摘されていますが、これはある意味ありうる話かも知れません。とは言え、蘇鉄の新葉の展開は種に限らず春先になるでしょうから、種の多様性はあまり関係がないような気がします。論文では新しい葉は1年に1回とありますが、生育環境が良ければ夏〜秋にかけて追加で新葉が出ることもあります。ですから、最後に指摘されている「灌漑や施肥」はいかにも影響がありそうですね。


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先日開催されたサボテン・多肉植物のビッグバザールの購入品がスッポ抜けたので植え替えをしました。1鉢だけというのもあれなんで、ついでに鉢が小さいものも植え替えました。去年の秋以降の購入品で、まだ植え替えていないものです。

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Euphorbia attastoma
先日、BBで購入したアタストマが帰宅時の振動でスッポ抜けました。根が少ないのもありますが、軽石の下の用土が軽いのも原因かも知れません。まあ、何れにせよ、急いで植え替えてしまいます。

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根が少ないですね。
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植え替え後。しばらくは根を育てるのに専念します。

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Euphorbia pteroneura
こちらはプテロネウラですが、やはり用土が同じなので植え替えてしまいます。

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根はアタストマよりありました。
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植え替え後。こちらもしばらくは養生します。

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Euphorbia cuneata var. pumilans
鉢が小さい上にこの細い茎ですから、乾燥でよく葉が落ちないものだと思っていました。
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しかし、抜いてみると、塊根がありました。なるほど、塊根があるから乾燥に耐えることが出来たわけですね。
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植え替え後。塊根は埋めて太らせていきます。

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Euphorbia cryptospinosa
クリプトスピノサも鉢が小さいので植え替え。
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根はなかなか発達していました。
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植え替え後。これからどう育つか楽しみです。

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Euphorbia alluaudii subsp. oncoclada
オンコクラダも植え替え。やはり、鉢が小さいですね。
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根はかなり多く問題ないようです。
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植え替え後。最近はPencil-Stemのユーフォルビアも入手しやすくて、いい時代になりました。


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2月に筑波実験植物園に行ってました。去年に続き2回目の訪問です。今回は温室に到着したところからです。まずは、サバンナ温室へ向かいます。

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手前の熱帯資源温室ではなく、奥にあるサバンナ温室から見ていきます。サバンナ温室は以前行っており前回来た時に詳しく見ましたから、今回は開花しているものなどを中心に見ていきます。まずは、温室前のドライガーデンから。

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笹の雪 Agave victoriae-reginae
美しい笹の雪。アガヴェ人気は強刺タイプが主導していますが、最近は笹の雪も苗が出回るようになりました。


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Agave lophantha
ロファンタと言えば派手な覆輪で有名ですが、あれは選抜品種なんでしょうね。こちらは、うっすらと中央に淡い中斑が入ります。


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Yucca carnerosana
名札がよく見えなかったのですが、カルネロサナでしょうか。

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Cyrtanthus mckenii
温室の入り口脇にいくつかの鉢植えが置いてあります。前に来た時とは違うため、花期に合わせて変更しているのでしょう。
それはそうと、昔の観葉植物の図鑑(山渓カラー名鑑・観葉植物、1991年)は海外の植物園などの写真が使われていて、国内ではまったく流通していない植物ばかりでした。キルタンツスも載っていましたが、最近では一般にも流通し玄関先に鉢植えが置かれていたりします。南アフリカ原産。


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Moraea polystachya
アフリカ南部に分布するアヤメ科植物。まだ咲き始めでアヤメ科植物らしい特徴的な花の形はまだ分かりませんが、もともとIris属だったくらいですから開けば実にアヤメ的な花です。


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Lachenalia bulbifera
いわゆるケープバルブになるのでしょうか?アルブカなどに近縁な仲間。


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Androcymbium ciliolatum
これは初めて見た植物です。知りませんでした。花束のようにみっしり詰まって咲いています。現在はコルチカム(イヌサフラン)属とされているようです。つまり、Colchicum capense ssp. ciliolatumです。南アフリカ原産。

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Mandragora officinarum
いわゆるマンドラゴラ。実は1753年にCarl von Linneが命名した由緒ある学名です。花は初めて見ました。イタリアやバルカン半島あたりの原産。

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えびす笑い Pachypodium brevicaule
ここからは、温室の入り口の小スペースの植物です。主に多肉植物の鉢植えがありました。
まずは恵比寿笑い。開花が始まっています。

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パキポディウムに典型的な花。

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Haworthia cooperi
「青雲の舞」と名札にありましたが、そんな名前があることを初めて知りました。

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開花中。そういえば、我が家のH. cooperiは屋外で開花していますね。

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雷神 Agave potatorum
雷神がコンパクトな形で非常に美しいですね。
入り口の小スペースの植物もここまで。次回から温室を本格的に見ていきます。


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本来ならば植え替えは4月からなのですが、トラブルがあったので急遽植え替えをします。購入時の鉢や用土に難があった2鉢と、根詰まりの2鉢を緊急植え替えです。現状、今のままでは困りそうなものだけです。

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Cycas debaoensis
デバオエンシスの葉がカリカリに枯れてしまいました。雪が降る前までは暖かかったので、乾きやすくて干からびてしまったようです。用土は保水力か高そうでむしろ排水に難がありそうでしたが、なんといっても鉢が小さいのが問題です。これはプラステラではなく、よく小さなハオルチアとか多肉植物の苗が植えてあるやつです。
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葉は枯れましたが、葉柄は生きてる雰囲気があります。
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というわけで、抜いてみましたが根は健全でした。種子はすでに取れています。
250308114527428
サンゴ根もありました。
250308120306072
植え替え後。蘇鉄はこれくらいの土量は必要でしょう。復活してくれるといいのですが…

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Ibervillea tenuisecta
イベルヴィレアも元気がありません。つるも枯れがちです。
250308113842447
この細粒の鹿沼が、どういうわけかものすごく乾きやすくて困っています。
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地下はかなり発達していました。割りとマンドラゴラでしたね。しかし、抜いたところ揮発性の怪し気なニオイが…。要するにネジラミが満載でしたから、流水で洗いました。しかし、流石に水が冷た過ぎてつらくて、すべて取りきれたか不安です。一応は殺虫剤をかけましたが、効果があるのかは分かりません。
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植え替え後。少し塊根を出しました。古い鉢は捨てました。

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Uncarina roeoesliana
ロエオエスリアナは去年初めてロングポットに植え替えましたが、ポットがボコボコに歪んでしまいました。
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これはひどい。根の生長が予想より激しいみたいです。
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地上部分より地下の方が発達していました。1年でここまで育つとは驚きです。
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植え替え後。ロングポットでも長さが足りないので、根を少し出さざるを得ませんでした。妙にマンドラゴラ感がありますね。

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Operculicarya pachypus
パキプスはロングポットに植えて2年ですが、やはりボコボコに変形しています。

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嫌な予感はしていましたが、鉢から抜くことが出来ませんでした。仕方がないので、ポットをハサミで切り開いて何とか抜けました。
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塊根はエグい太さ。パワータンクとか言いますが、これは芋感が強いですね。
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鉢底で根が巻いてしまっています。しかし、塊根が巻いてしまう前で良かったのかも知れません。
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植え替え後。ロングポットはもう諦めて、Richellの7号鉢に植え替えました。根域はだいぶ広くなりましたね。
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塊根の分岐点まで露出させました。Richellの7号鉢でもあまり深さに余裕がないため、浅植えして鉢底までの長さを稼ぐ作戦です。塊根はツルツルしていてオペルクリカリアらしさがなくてダサい感じがしますが、年数が経てばたぶんどうにかなるでしょう。


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さあ、ビッグバザールです。昨日はしばらく続いた悪天が嘘のように晴れ渡りました。例によって10時過ぎにTOCビルに到着したものの、まだ待機列が解消されていませんでした。開場前はどれだけ並んでいたのか想像するだけで恐ろしいですね。しかし、会場に入ると身動きが取れないほどではなく、一部の人気店を除いてスムーズに見て回ることが出来ました。しかし、現在公私ともに忙しく、疲労が抜けず基本的にぼんやりしていました。ですから、あまり熱心にというほどではなかったです。
さて、内容的にはいつもと変わりません。アガヴェの専門店には人集りが出来ており、ハウォルチアの専門店も人気です。今回は時期的なものなのかエケベリアも割と見かけました。あと、サボテンも以前と比べるとあちこちにあり、サボテン人気も出てきているようです。個人的に好きな硬葉系ハウォルチアもあちこちにあり、一時期は壊滅状態だったガステリアも豊富でしたね。今回は最近気になっているアデニアはイマイチでしたから、花キリンを探しました。花キリンはかなり豊富でしたが、手持ちにあるものばかりでした。しかし、私が入手した頃と比べるとずいぶん安くなりましたね。さて、一回りした頃合いで、Pencil-Stemのユーフォルビアを見つけたので、2種類購入しました。E. sipolisiiやE. alluaudii ssp. oncocladaもありましたから、好きな人には堪らないでしょうな。

というわけで、本日の購入品です。今回は安く済みました。いつもは買いすぎなので、この位が丁度良い気がします。購入品はどちらも新大陸産のNew World Cladeで、より一般的なマダガスカル産のOld World CladeのSection TirucaliiやSection Deuterocaliiではありません。Pencil-Stemのユーフォルビアはまだ珍しい方ですが、最近見かけるようになってきましたから、流行り始めているのかも知れません。

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Euphorbia attastoma
Section Brasiliensesは、E. sipolisiiに続いて2種類目です。ブラジル原産。

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Euphorbia pteroneura
Section Euphorbiastrumは、E. weberbaueriに続いて2種類目。この仲間は基本的に木本が多いため、多肉植物は珍しい部類です。メキシコからグアテマラの原産。

今回はささやかですが、こんなところです。しかし、なかなか面白いものを入手出来ました。次のBBは5月ですが、その前の4月には木更津Cactus & Succulentフェアが開催されます。これからのイベントが楽しみですが、その前に今年の植え替えの準備をしないといけません。今年も大量の植え替えをしないとならないでしょう。まあ、ぼちぼち頑張ります。


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なんでこんなに忙しいんだという位、バタバタしています。とは言え、疲れただの時間がないだの騒いではいるものの、9日のビッグバザールには行くつもりです。また、3/16から3/23まで筑波実験植物園で「つくば蘭展」が開催されます。できるなら行きたいのですが、体力気力が保つか分かりません…。

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Adenia venenata
ヴェネナタの葉が生え揃いました。去年の11月のビッグバザールで入手しましたが、その頃は落葉した状態でした。

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Agave multifilifera
ムルティフィリフェラは繊維が出てきてそれっぽくなってきました。2020年4月のビッグバザールで入手しましたから、もう5年目になります。最初は小さな抜き苗でしたから、これでも育ったほうです。

購入時の様子は以下の記事をご参照下さい。



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Euphorbia flanaganii
いわゆる孔雀丸です。強光に当てると太く短い良い枝が出ますが、枝の寿命が短くなります。遮光して育てると間延びしますが枝の寿命が伸びるので、こちらの方が良いのかも知れません。


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Euphorbia aphylla
「糸キリン」という名前もあるようです。アフィラはカナリア諸島の原産ですが、海沿いに生えるため耐塩性が高いとされています。このような塩生植物は少なく、植物の2%程度しか存在しないようです。



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どういうわけか無闇に忙しく、連休中も遊びに行くどころではなかったのですが、隙を見て朝イチで筑波実験植物園へ行って参りました。しかし、時間がないため、わずか90分ほどの滞在で帰宅しました。筑波実験植物園には去年の6月に行きましたが、残念ながら熱帯雨林温室はタイムオーバーで見られませんでしたから、今回は熱帯雨林温室が目的です。その前に少し冬の園内を散策しました。

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つくば植物園という気安い名前もあります。

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巨大な蘇鉄と再会。

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植物画コンクールの展示がありました。
こちらは、ドラゴンフルーツ(Hylocereus undatus)。実は花が美しいサボテンです。枝と、花、果実、種子がわかる良い絵です。


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Alluaudia procera
プロケラの絵は珍しいですね。華はありませんが、実に奇妙な植物で目を引きます。


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Cereus hildmannianus(鬼面角)
小学生の部の国立科学博物館長賞受賞作。ゴツい枝から大輪の花を咲かせます。しかし、よく特徴を捉えていますね。

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冬の植物園は淋しい感じがします。

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梅が咲いていました。
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春まであと一歩です。

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テオシント
時期的に枯れていますがこれは重要な植物で、テオシントはトウモロコシの祖先と考えられている植物です。トウモロコシは日本ではスウィートコーンや爆裂種(ポップコーン)しか見ませんが、海外では甘くないトウモロコシが一般的です。トウモロコシは小麦や米よりも生産量が多い穀物ですが、その多くは家畜の飼料とされます。日本の畜産物は海外から輸入されたトウモロコシなどの飼料に依存しているため、それを考慮すると食糧自給率は非常に低くなります。

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「垣根」を展示しています。様々な樹種による垣根が延々と続いており、実際に垣根を作る時の参考になります。

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イスノキ Distylium racemosum
イスノキはムシコブ(虫癭)が必ず出来る面白い樹種です。


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侘しい枯れたひょうたん。

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Triticum aestivum
雑草に見えますが、普通小麦(パン小麦)です。

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圃場があり様々な野菜が育成展示されていました。

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ミツマタ
開花まであと一歩といったところ。樹皮の繊維が丈夫なため、お札に使われています。

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何やらピンのようなものが沢山幹に挿してあります。イタズラかと思いましたが、ナラ枯れの予防措置をしているとのこと。筑波実験植物園でも2021年にナラ枯れ現象が発生し、原因であるカシノナガキクイムシの穿入孔に薬剤を注入しているそうです。このピンはチェックのためのものでしょうか。

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鬱蒼とした林内を進みます。

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前回は行けなかった絶滅危惧植物温室です。

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しかし、残念ながらシーズンではないようで閑散としていました。

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Garanthus alpinus(上)とGaranthus woronowii(下)
ウォロノウィイが開花中でした。スノードロップの仲間。

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さて、そんなこんなで、ようやく温室に到着。まずは、サバンナ温室の多肉植物たちがどうなっているか見てみましょう。長くなったので本日はここまで。次回に続きます。


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フロリダの代表的な蘇鉄と言えば、Zamia floridaです。しかし、フロリダナは実はZamia integrifoliaで、フロリダナは異名であるという話をたびたびしてきました。


さて、最近フロリダナ改めインテグリフォリアの学名を確認したところ、なんとインテグリフォリアが5変種に再分類されていることに気が付きました。ということで、本日ご紹介するのはDaniel B. Wardの2016年の論文、『Key to the flora of Florida - 32, Zamia (Zamiaceae)』です。フロリダに分布するザミアを分類しています。

フロリダのザミア
現在、フロリダには2種類のザミアが分布しています。1つはZamia furfuraceaで、南フロリダでは玄関先や庭に植栽され、「Cardboard Palm」(段ボールヤシ)と呼ばれている外来種です。栽培個体ではないZ. furfuraceaは2000年頃に初めて確認されました。もう1つは様々な時期に複数の学名がつけられており、Zamia pumila、Zamia integrifolia、Zamia floridanaの名前があります。

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Zamia furfuracea

ザミアの歴史
ザミアは17世紀から認識され、17世紀末からオランダで、おそらくはヨーロッパの他の地域でも、栽培されてきました。現在の国際植物命名規約 (I.C.B.N)に基づく学名は、1762年にCarl von Linneにより命名されたZamia pumilaでした。しかし、von Linneのもとに標本はなく、ライデンとアムステルダムで栽培された植物に関する記憶とメモ、他の著者の記述しかありませんでした。von Linneは種自体については、「pumila」あるいは「矮性(dwarf.)」という説明しかしませんでしたが、von Linneがオランダにいた時に知っていた大きな蘇鉄と比較したことは間違いありません。その大きな蘇鉄をvon LinneはZamia frondibus pennatis(1937)と命名し、Linne filius(Linneの息子)はZamia furfuraceaと命名しました。
Z. pumilaという名前は、個人の解釈により様々に使われてきました。1908年にEckenwalderがZ. pumilaを「伝統的に知られている一般的な西インド諸島の蘇鉄」と定義しました。このことにより、西インド諸島の蘇鉄は単一の種ということになってしまいました。タイプはJan Commelijn(1697)の図版により、細長い卵形の先細りの小葉を持つ植物で、先端は鋭く葉縁には間隔の広い鋸歯があるとしています。
しかし、Commelijnの図版に対応する標本は稀で、北米の植物標本館(オンラインによる)では見つかりませんでした。イギリスのキューガーデンにはZ. pumilaと特定される古い標本がありますが、ライデン植物園からきたようです。この標本はCommelijnの図版と特徴がよく一致します。
Commelijnは「Insulae Hispaniolae」(ドミニカ共和国、ハイチ)からきたと述べています。しかし、現在西インド諸島からはそのような特徴の蘇鉄は知られていません。しかし、Eckenwalderによりタイプに指定されたCommelijnの図版は、既知の植物の形態学的な実在により確認されており、フロリダで知られているあらゆる植物とも異なるため、Zamia pumilaという名前は適用不可能です。

インテグリフォリアとフロリダナ
Z. pumilaのタイプがフロリダが起源ではないことは明らかですが、Zamia integrifoliaとZamia floridanaはフロリダの標本に基づいて分類されています。1789年に命名されたZ. integrifoliaはフロリダ半島で栽培された植物に基づき、1868年に命名されたZ. floridanaはフロリダ半島の西海岸で収集された標本に基づいています。この2つのタイプ標本は非常に似ているため、両者の間に違いを見いだせず、単一の種を示しているとされました。
フロリダの蘇鉄に使われる名前には論争があり、先取権の原理により命名がより早いZ. integrifoliaが優先されるように見えます。しかし、Z. integrifoliaはLinne filiusが既存の利用可能な名前であるZ. pumilaを同義語として引用したため、現代の規定においては誤りであると考えられました。命名規約は同義語として引用された古い名前が、新しい分類群に使用されるべきであった場合、新しい名前は不要であり不当と規定しています。さらに、発表時に違法であった名前は、特別な措置がない限りは後に合法とはならないと規定しています。
ただし、命名規約は常設の委員会に訴えることで、規則を無効とすることを許可しています。分類学者であるD. W. Stevenson & J. L. Reveal(2011)は、種子植物特別委員会に請願しZ. integrifoliaという名前を保存するように求めました。その正当性は、Z. integrifoliaはZ. floridanaより頻繁に使用されており、その名前を保存することにより安定性が確保出来るというものでした。委員会は請願を支持し、Z. integrifoliaが正しい名前となりました。


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Zamia integrifolia

インテグリフォリアの多様性
フロリダで観察されるZ. integrifolia sensu lato(広義のインテグリフォリア)には、分類学上の注目を集めるほどの多様性があります。J. K. Small(1933)は、フロリダの蘇鉄をZ. integrifolia sensu stricto(狭義のインテグリフォリア)、Z. angustifolia、Z. silvicola、Z. umbrosaの4種に分けました。
Z. angustifolia(1789)は正当な名前で、バハマ諸島や西インド諸島の蘇鉄に正しく適応されています。しかし、SmallはZ. integrifoliaをフロリダの蘇鉄に使用してしまいました。Z. angustifoliaのコーンは短く尖った頂端を持つ暗褐色から黒色のコーンを持ち、対するZ. integrifoliaは頂端か切形か鈍く赤褐色のコーンを持ちます。Smallはコーンを観察しないで識別したようです。Z. angustifoliaと識別出来る蘇鉄は、フロリダでは知られていません。

著者は観察結果から、形態学的変異は集団内では一貫していることを確信しました。中間種も見られますが、集団全体の大部分は、数個の明確に異なる形態型に割り当てることが出来ます。これらのグループは変種として認識されます。

①変種インテグリフォリア
Zamia integrifolia var. integrifolia
Z. integrifoliaの典型は、1789年にLinne filiusが使用したタイプに基づいているいます。使用した資料(生きた植物)は、26枚の小葉と雄花を持つ1枚の葉で表されています。小葉の幅は狭く約8mmで、一様にわずかにヘラ状です。この形状は広く普及しているフロリダのザミアでは稀です。
キューガーデンの植物の正確な起源は記録されていませんが、推測することは出来ます。入植者のAndrew Turnbullにより、1767年にザミアがCharlestonのアレクサンダー・ガーデンに、後にキューガーデンのAitonに寄贈されました。Turnbullに馴染み深いSt. Augustine近郊は長年に渡る撹乱により植生は痕跡もありません。しかし、New Smyrnaのすぐ西にあるTurnbullが農奴を使って藍を育てていた畑の近くには、薄い砂地の森がありザミアが現在も繁茂しています。この植物はZ. integrifolia var. integrifoliaのtopotype(同地基準標本)として役に立つかも知れません。

②変種ウンブロサ
Zamia integrifolia var. umbrosa
       (J. K. Small) D. B. Ward, comb. nov.

Zamia umbrosa(1921)はフロリダの蘇鉄に命名された正当な名前です。この名前は一般的に無視されるか、Z. integrifoliaの異名とされてきました。
植物のコレクターが、フロリダに2つのザミアが存在することに気がついたのは20世紀初頭でした。H. J. Webber(1901)によると、1つは「フロリダ半島南部」と記載されたZ. floridanaで、もう1つは「フロリダ半島中部、特に東海岸」のZ. pumilaでした。これらは小葉の幅で区別され、3〜7mmと8〜16mmでした。明らかにWebberの分類は、現在のZ. integrifoliaとZ. umbrosaを表しています。
S. J. Newell(1989)による葉の測定による研究では、フロリダのザミアは5つの集団があるとしています。Z. umbrosaの判別は、小葉の先端と突起にあります。突起は「teeth」(歯)または「callous bumps」(角質隆起)と呼ばれています。しかし、この「teeth」は、被子植物で見られる構造とは異なり、葉脈が突出した先端部です。葉脈が葉軸がから出て葉身に入ると、葉脈同士は接続しなくなり葉縁まで平行に続きます。

③変種ブロオメイ
Zamia integrifolia var. broomei
               D . B.  Ward, var. nov.

野生で時々見られるZ. integrifoliaは、より普及している典型的なタイプの半分程度の幅が狭い小葉が特徴です。このタイプは、フロリダ半島北西部のDixie、Gilchrist、Levy、Alachuaの各郡のSuwannee川下流域でよく見られます。幅の狭い小葉をまばらに生やすこのタイプは、栽培されることは稀です。

④変種フロリダナ
Zamia integrifolia var. floridana
    (A. DC.) D. B. Ward, comb. et stat. nov.
フロリダ半島西部ではvar. integrifoliaとは異なる特徴を持つ、おそらく生息地が異なるタイプが見つかりました。より大きな球果を持ち、長さ18cm、直径8cmに達します。このような球果を持つ個体群は、ネイティブ・アメリカンの作った貝塚でのみ発見されています。典型的なZ. integrifoliaが砂地に生えるのとは対照的です。
このタイプを収集したGilbert Hulseは1830年代初頭に、フロリダ半島西海岸のTampa湾の先端にあるFort Brookeに駐在していました。Fort Brookeは牡蠣などの殻からなる広大な貝塚がありました。HulseはJohn Torreyに送った植物について、「カキ殻のベットの上」で発見されたと述べています。
しかし、フロリダ湾岸沿いに巨大な貝塚を築いたCalusa族が、西インド諸島からフロリダでは見られない品種を持ち込んだ可能性を否定するのは困難です。Calusa族はフロリダと西インド諸島の間で交易を行っていました。

この大きな球果を持つタイプに新しい名前をつけるよりも、同じであるかは不明ですが、由来のわかる名前を残し変種floridanaとする方が望ましいと思われます。

⑤変種シルビコラ
Zamia integrifolia var. silvicola
  (J. K. Small) D. B. Ward, comb. et stat. nov.

Zamia silvicola (1926)は正当な名前ですが、フロリダの蘇鉄に適用されるかは不明です。Smallは正確な出典を明らかとせずにこの種を記述し、Eckenwalderはシトラス郡の「Spanish Mound」(現在のCrystal River考古学州立公園)のコレクションをホロタイプとして特定しました。しかし、Smallは「フロリダでもっとも丈夫なザミア」と述べ、それは長さ12〜17cmと比較的長く、10〜15mmと幅が広い小葉を持ちます。このSmallの説明に一致する植物は野生でも栽培下でも知られています。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
論文はフロリダ半島のザミアの判別を目的としています。フロリダにはインテグリフォリア=フロリダナとフルフラケアという2種類のザミアが見られます。フルフラケアはメキシコ原産で栽培品の逸出ですから、本来の野生のザミアはインテグリフォリア=フロリダナだけということになります。しかし、著者は観察から、フロリダのザミアがいくつかの変種に分けられると主張しています。しかし、外見的特徴や分布からの推察であり、将来的な分子系統解析による確認が望ましいような気がします。また、変種フロリダナが記載されましたが、必ずしも今までZ. floridanaと呼ばれてきたザミアを示しているとは限らないようです。


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さて、春めいた気温が続きましたが、なんと急に気温が下がり関東でも雪が降りましたね。しかし、そろそろ多肉植物たちの植え替えの準備をしなければなりません。今年もバタバタする羽目になりそうです。さて、そんなこんなで、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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Euphorbia splendens cv.
斑入り花キリンが開花しています。おそらく矮性品種でしょう。
旧・ミリイ系の花キリンは種の判別が難しくて、私自身未だに詳細がわかっていません。しかし、2021年の論文(Haevermans et. al., 2021)によると、E. miliiは葉の先端を切断したようなものに限定し、一般的に栽培される花キリンをE. splendensとしています。つまり、様々な花色の品種が作られている花キリンは、E. miliiではないということになります。ということで、私の育てているスプレンデンスは、実はミリイなのでしょうか?

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Euphorbia ambobombensis
アンボボンベンシスらしき花キリンが開花しました。
E. suzannae-marnierae名義の花キリンですが、おそらくはアンボボンベンシスです。E. suzannae-marnieraeで検索すると、国内ではアンボボンベンシスらしき花キリンが沢山出てきます。おそらく、スザンナエ・マルニエラエの名前で種子が流通しているのでしょう。

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Euphorbia suzannae-marnierae
こちらがおそらく正しいスザンナエ・マルニエラエ。葉の細さが違いますね。

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Euphorbia rossii
ロシイもいつの間にやら開花中。花はシャープですが目立ちません。葉がE. gottlebeiのように細長く、しかも塊根も出来る属性過多な花キリンです。


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1月に行った東京農業大学のバイオリウムの記事です。バイオリウムの記事は、長々とひと月もかかってしまいましたが本日で最後となります。

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ベンチの周りにオペルクリカリアの鉢が配置されています。こちらは、Operculicarya decaryi。まあ、ただの砂漠の灌木です。そういえば、オペルクリカリアはマダガスカルの植物でしたね。

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Operculicarya pachypus
コーデックス・ブームを牽引してきたパキプスです。なかなか良いサイズです。

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幹は良い具合です。

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Uncarina leandrii
そういえば、ウンカリナもマダガスカルの植物でしたね。現在、野生のウンカリナの種子を散布しているのは飼われている牛で、本来の種子散布者が存在しません。おそらくですが、ウンカリナは踏み付け種子で、果実が足に絡みついて踏まれると種子が徐々に出てきくる仕組みです。ウンカリナと近縁のHarpagophyum (※ライオンゴロシ)はトゲだらけの果実を持ちますが、これはダチョウの足に絡みつくための構造です。では、本来の種子散布者はと言うと、まあ以下の記事を読んでみて下さい。

※ ) ライオンゴロシのトゲトゲの果実について、ライオンが踏んでしまい足の裏に刺さり、取るために咥えようとして口に刺さり、餌が食べられなくなり死亡するという説が流布していますが、ただの言い伝えでしょう。「ライオンゴロシは死んだライオンの血肉を糧に育つ」と続きますが、どう考えてもファンタジーですよね。


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Uncarina grandidieri
グランディディエリはずいぶんと塊茎が発達しています。そして、ウンカリナは2本分の枝が出やすいという特徴もバッチリです。

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幹肌の荒れ具合が面白いですね。カラカサタケみたいです。

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Uncarina roeoesliana
小型種とされるロエオエスリアナも巨大。我が家のロエオエスリアナは根が鉢を歪ませるほどですが、この小さな鉢で窮屈ではないのでしょうか?

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ワオキツネザルはマダガスカル原産の原猿類。清掃中のため、キツネザルの注意がそちらに向いてしまい、なかなかこちらを向いてくれませんでした。
そういえば、ワオキツネザルがマーキングする木には好みがあり、ウンカリナが一番良いとのこと。過去に記事にしていますから、以下のリンクからどうぞ。



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Pachypodium geayi
ゲアイが何やら沢山ありますね。

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Commiphora sp.
コミフォラの樹皮がめくれています。コミフォラは薄く剥がれる樹皮を持つ種類が結構あります。まあ、それ以外の特徴を加味しても、コミフォラの種の判別は植物学者でも難しい部類です。

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Adenia stylosa
我が家にもあるスティロサですが、幹が木質化して実に立派です。我が家のスティロサは、まだ幹が緑色なので将来こうなるのかと興味深く見ました。


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Aloe descoingsii
最小のアロエの1つとされるデスコイングシイです。花茎が伸びています。バイオリウムのデスコイングシイは、割りと大型のタイプのようですね。


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Decarya madagascariensis
「ジグザグの木」と呼ばれるデカリアですが、カナボウノキ科の植物です。面白いことに、DidiereaはAlluaudiaよりDecaryaの方が近縁だったりします。

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Aloe deltoidedonta
やはりマダガスカル原産のアロエ。ストレス・カラーで真っ赤で良い感じですね。


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Alluaudia humbertii
フンベルティイもこれだけ育つと、普通の灌木のようです。

ということで、東京農業大学のバイオリウムでした。バイオリウムの温室自体はそれほどの規模ではありませんが、そのほとんどが多肉植物なので、おそろしく濃密な体験でした。普通の植物園の多肉植物の展示は、ただの1コーナーに過ぎませんからね。さて、内容的にはマダガスカルの植物が豊富でした。やはり、マダガスカル原産のキツネザルがいるからでしょうか? まあ、これだけマダガスカル原産の多肉植物を一度に見ることはありませんから、マニアックではありますが私の満足度は最高レベルです。そもそも、マダガスカルに花キリンやアデニア、Pencil-Stemのユーフォルビアなど、私の好きな多肉植物の楽園です。しかし、残念ながら季節的に葉がないものも多く、花もあまり見られませんでした。暖かい時期に、再度訪れたいものです。


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なんとなくソテツ類の苗が気になったので、本日は我が家のソテツ苗をご紹介しましょう。我が家では苗じゃない蘇鉄は、Cycas revolutaとZamia furfuraceaだけで、あとは未熟な苗に過ぎません。蘇鉄は生長が遅いので、私が生きている間にコーンを見ることが出来るか分かりません。

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Zamia integrifolia
インテグリフォリアはずいぶんと葉が増えて、小葉の多い充実した葉が出ています。しかし、東京農業大学のバイオリウムで、分頭してコーンが沢山出ている充実した株を見ましたから、まだまだこれからですね。

バイオリウムのインテグリフォリアの記事は以下のリンクからどうぞ。



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葉は増えましたが、塊根はなかなか大きくなりません。そういえば、インテグリフォリアはZ. floridanaと呼ばれてきましたが、正しくはインテグリフォリアだったという話はたたびたびしています。しかし、なんと2016年にインテグリフォリアは5変種に分けられることになり、その1つがZ. integrifolia var. floridanaとなりました。つまりは、Z. floridanaはZ. integrifoliaの異名ではなく、Z. integrifolia var. floridanaの異名となったということです。詳細について調べていますからそのうち記事にします。お楽しみに

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Dioon edule
エドゥレは生長が遅いことで知られる蘇鉄です。入手してから3年目ですが、葉はかなり充実してきました。

エドゥレについては、過去に記事にしていますからそちらもどうぞ。入手時の初々しいエドゥレの画像もあります。


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Cycas cairnsiana
カイルンシアナはオーストラリア原産の青みがかる美しい蘇鉄です。まだ入手したばかりで植え替えもしていません。せっかく入手したので、そのうち詳しく調べてみます。

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Dioon spinulosum
スピヌロスムは割りと生長が早い蘇鉄です。とは言え、葉ばかり増えるのは他と同じ。非常に大型になる蘇鉄です。スピヌロスムの原産地を探検した100年以上前のレポートを記事にしたことがあります。以下のリンクからどうぞ。

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Cycas debaoensis
中国原産の希少蘇鉄であるデバオエンシスです。育つと3回羽状複葉となり、一見して蘇鉄には見えません。まあ、まだまだ小苗なので特徴ははっきりしませんが。デバオエンシスは詳しく調査されています。過去に記事にしていますからそちらもどうぞ。


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1月に行った東京農業大学のバイオリウムの記事の続きです。いよいよ終盤です。今回は私の好きな花キリンやアデニアがメインです。基本的にマダガスカルの雰囲気。

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Euphorbia beharensis var. guillemetii
E. guillemetiiとされたこともありましたが、現在ではE. beharensisの異名となっています。グイレメティイはベハレンシスよりトゲが短いようですが、それが種を分けるほどの特徴であるかは別問題です。マダガスカル原産。

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スマホが過熱してしまいカメラのシャッター速度が遅いので、ズレてしまいました。

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Euphorbia gottlebei
今回行ったバイオリウムの写真の中では、これがベストショットですかね。日の当たり具合もたまたまですが良くて、まるで海外の野生植物のグラビアのような写り具合です。名札の「Euphorbia gottelebei」は誤記。マダガスカル原産。


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Euphorbia fianarantsoae
これは見事なフィナラントゥソアエですね。我が家の個体はなぜかあまり綺麗に育ちません。マダガスカル原産。


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Adenia perrieri
巨大なペリエリ。ペリエリを検索するとよく壷形の植物がヒットしますが、実際にはこんな感じです。マダガスカル原産。


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緑の太鼓 Xerosicyos danguyi
緑の太鼓はつる植物ですが、枝は硬く直線的に伸びるため巻き付いたりせず、巻きひげもありません。乾燥地の塊根植物によくある地面に放射状につるを這わせるタイプと思っていました。しかし、これだけ木質化した幹が伸びるなら、葉を他の植物に引っ掛けて登攀するのかも知れません。マダガスカル原産のウリ科植物。


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Euphorbia stenoclada
「トナカイ角」と呼ばれるマダガスカルのユーフォルビア。一見して違う植物に見えますが…

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葉を見れば一目瞭然。実はマダガスカルのPencil-Stemのユーフォルビアで、Section Tirucalliに属しミルクブッシュに近縁です。
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松柏のような荒れた幹肌。

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Cyphostemma laza
ブドウ科の塊茎植物。巨大に育っています。やはりマダガスカル原産。


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Xerophyta dasylirioides
あまり聞き慣れない植物ですが、なんとタコノキ目の植物とのこと。マダガスカルの乾燥地に生えるようです。美しい花を咲かせる植物とのことで、いつか見てみたいものです。


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Adenia olaboensis
アデニアはつる植物が多いのですが、オラボエンシスは割りと樹木性が強いタイプです。我が家のオラボエンシスは、まだほとんど木質化していない小苗です。しかし、時期的に塊根植物は葉がないものが多く、見分けがつけにくいですね。マダガスカル原産。


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Aloe cyrtophylla
キルトフィラが赤くなっています。日を当てると赤くなるタイプのアロエは、寒さも相まってこの時期は一番美しい季節です。名札の「Aloe cytophylla」は誤記でしょう。マダガスカル原産。


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Adenia digitata
ディギタタはアフリカ大陸に広く分布するアデニアです。塊根を見た限りではつる性が高そうです。



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今年の1月に東京農業大学のバイオリウムという施設に行って参りました。沢山の植物が見られましたが、何気なくリプサリスが開花していました。リプサリスは小型の着生サボテンですが、その小さな花を見た時に花粉媒介者が気になりました。たぶん虫媒花、まあ蜜蜂だろうとは思いました。しかし、所詮は私の憶測などは意味がありませんから、調べてみることにしました。
というわけで、本日はリプサリスの花粉媒介者を調べたCristiane Martins & Leandro Freitasの2018年の論文、『Functional specialization and phenotypic generalization in the pollination system of an epiphytic cactus』をご紹介しましょう。その前に簡単に用語を解説しておきます。生態学にはジェネラリストとスペシャリストという概念があります。植物の受粉に関する場合なら、ジェネラリストは様々な花粉媒介者の訪問を受けて受粉する植物や、様々な種類の花を訪問する花粉媒介者を指します。スペシャリストは特定の花粉媒介者に対して特殊化した花を持つ植物や、特定の植物に特化した花粉媒介者がそれにあたります。


ジェネラリストはスペシャリストに向かうか?
受粉システムがスペシャリストに向かう傾向があるという見解がありますが、ジェネラリストが一般的であるという研究から異議を唱えられてきました。植物と花粉媒介者の相互作用は、植物と花粉媒介者の一対一の関係による絶対的スペシャリストという極端の場合から、特定の花粉媒介者に依存しない条件的ジェネラリストまで勾配があるという理解に至っております。

サボテンの受粉生物学と着生サボテン
サボテン科には約1500種が含まれ、その花序や受粉システムも多岐に渡ります。サボテンの受粉には、蜂や蝶、蛾、コウモリ、ハチドリなど、様々な動物と関係を結んでいます。サボテン科のほとんどは他家受粉であり、有性生殖のために花粉媒介者に依存しています。
「サボテン」と聞くと砂漠や半乾燥地帯の柱サボテンを思い浮かべますが、新熱帯の湿潤林では着生サボテンが重要な構成要素となっています。着生サボテンはサボテン科の約10%を占め、ヒロケレウス連(Hylocereeae)とリプサリス連(Rhipsalideae)に限定されています。着生サボテンの受粉生物学に関する知識は乏しく、逸話的な報告や、Weberocereus tunillaのコウモリによる受粉(Tschapka et.al. 1999)に限られています。

リプサリスについて
リプサリスは37種から構成され、86%がブラジルの固有種です。リプサリスには3つの亜属、Rhipsalis、Erytrorhipsalis、Calamorhipsalisからなります。Rhipsalis neves-armondiiはブラジルの太平洋岸森林に生息するCalamorhipsalis亜属の着生種で、花はリプサリスで最大ですが長さ2cm未満です。果実は紫色の液果で様々な鳥を引き寄せます。

R. neves-armondiiの調査
この研究は、2014年の3月と4月に、ブラジル南東部のSerra dos Orgaos国立公園(PARNASO)の大西洋岸森林の標高約1000mの残存地において実施されました。PARNASOはリプサリスの多様性がもっとも高く少なくとも18種類が確認されている大西洋岸森林の中にあります。気候は熱帯性中温帯で、夏は穏やかで、冬の乾季は短いものです。R. neves-armondiiの開花は雨季の終わりの3月と4月におこり、周囲で確認された10種類のリプサリスのうちこの時期に咲いたのはR. neves-armondiiだけでした。

Rhipsalis neves-armondiiの花(外部リンク、rhipsalis.com)
https://www.rhipsalis.com/species/neves-armondii.htm

花粉媒介者
R. neves-armondiiの花を訪れたのは主に蜂で、3科14種の蜂が確認されました。R. neves-armondiiの花にはアンドレニアエ科、ミツバチ科、ハナバチ科の蜂が訪花したため、ジェネラリストによる受粉システムが示唆されます。R. neves-armondiiの花の表現型は花粉や蜜に容易にアクセス出来るため、様々な花粉媒介者が収集可能であると考えた場合はジェネラリストとして分類されます。しかし、その訪問頻度はそれを裏付けているわけではありません。柱頭と葯に触れたのは3種類の在来性の小型ハチとセイヨウミツバチ(Apis millifera)のみで、その訪問頻度の高さから少数種類のハチに依存しており、生態的、機能的に特殊化を伴う受粉システムを示しています。花の資源にアクセスするための障壁がないことが、ジェネラリストとしての指標ではない可能性を示唆しています。

自家受粉
花にネットをかけて花粉媒介者から断絶したり、人工的に自家受粉させたりしましたが、R. neves-armondiiは自家不稔性で絶対的他家受粉でした。人工的な自家受粉による種子は、無視できるほど少ないものでした。ネットをかけた自発的な自家受粉では種子は出来ませんでした。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
自家受粉しないための仕組みとして、例えば雄蕊と雌蕊の高さが違う(雌雄離熟)、雄蕊より雌蕊の成熟時期が異なる(雌雄異熟)、雄花と雌花がある(雌雄異花)など様々な段階があります。しかし、R. neves-armondiiの花は雄蕊も雌花も短く、両性花であり、雌雄同熟です。非常に単純な形態の花ですから、形態学的な自家受粉の回避ではないようです。内部に何かしらの仕組みがあるのでしょう。

メインのジェネラリストとスペシャリストの話はわかりにくいのですが、この場合は絶対的ではないためどうしても相対的な説明になってしまうからでしょう。絶対的なスペシャリストでは、花の形状が特殊化し特定の花粉媒介者しか訪問出来ません。対するR. neves-armondiiの花はあまりにも一般的な形状です。サイズや日中に開花することから、蜂をターゲットにしていることは分かりやすい話です。ただし、一般的な形状であるからこそ、受粉に関与しない、あるいは非効率的な花粉媒介者も訪問することになります。論文を読む限りは、絶対的ではないもののスペシャリストの傾向はあるようですが、特殊化していないがゆえにスペシャリストであることがマスクされてしまっているのかも知れませんね。


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三連休はなんだかんだで忙しく、あちこち行きたかったのですがどうにも無理でした。仕方がないので、空いた時間に筑波実験植物園に90分ほど滞在するという弾丸ツアーを開催しました。まあ疲れたわけですが、そのうち記事にします。さて、本日も我が家の多肉植物たちをご紹介しましょう。

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Euphorbia geroldii
ゲロルディイが満開です。去年の暖かい時期にはこんなに咲きませんでしたが、なぜかこの寒い最中に咲いています。

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ゲロルディイの花は大きく形も良いですね。

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Fouquieria splendens
スプレンデンスは去年は暖かい時期にイマイチで、休眠がちでした。しかし、冬の間はフォウクィエリアで一番調子が良さそうです。

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Euphorbia moratii
葉が茂り過ぎて何だかよくわからないのは、周年そうです。以前は水やりが困難でしたが、今はプラステラ120に植え替えてので余裕です。

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Gonialoe sladeniana
スラデニアナは冬の間も新しい葉が出ています。肉厚で良い葉ですね。


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相変わらず今年の1月に行った東京農業大学のバイオリウムの記事です。本日はソーセージノキや海外の珍しい蘇鉄、花キリンなどを見ていきます。

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ソーセージノキ Kigelia pinnata
ソーセージノキは新宿御苑でも見ましたが、こちらの方が巨大です。重さ5〜10kgにもなる巨大なソーセージのような形の実をつけます。そういえば、新宿御苑のソーセージノキはK. africanaでしたが、こちらはK. pinnataです。調べてみると、Kigelia属はK. africanaの1種類からなる単型属で、亜種としてssp. africanaとssp. moosaがあるそうです。K. pinnataはssp. africanaの異名とのことです。

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白いコルク層が発達した太く立派な幹。まだ特徴的な果実を見たことがありませんが、このサイズなら流石に結実するでしょう。いつか見てみたいものです。

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オオバシダソテツ Stangeria eriopus
一見して大型のシダに見えますが、南アフリカ原産の蘇鉄の仲間。ラベルでは種小名が「eryopus」となっていましたが、これはただの誤記でしょう。学名は現在では話者がいないラテン語が中心だったりしますから、スペルミスは仕方がありません。私もよく間違っています。
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コーンが出ていました。日本で蘇鉄といえば、日本の蘇鉄を含むCycasや、最近流通しているZamiaやDioonが少しあるくらいです。スタンゲリアは非常に珍しいですね。

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こちらは別個体のS. eriopus。蘇鉄の中でも、小葉に中央脈と平行脈があるのはスタンゲリアだけの特徴です。
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こちらもコーンが出ていました。スタンゲリアはS. eriopusの1種類からなる単型属です。

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Sansevieria perrotii var. katana
一見してVandaかと思いましたが、なんとサンセヴィエリア(サンスベリア、サンセベリア)とのことです。一般的に流通しているサンセヴィエリアは地下茎や匍匐茎ですが、このように茎が立ち上がる種は東アフリカに多いそうです。
それはそうと、サンセヴィエリアは遺伝的にはドラカエナ(ドラセナ)に含まれることが明らかとされており、S. perrotiiも2018年にDracaena perrotiiとされているようです。

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Euphorbia cylindrifolia
キリンドゥリフォリアがえらい茂りようです。いったいどういう形なのかよくわかりません。

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こちらもキリンドゥリフォリアですが、塊根が見えますね。

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Euphorbia cap-saintemariensis
カプサイシンテマリエンシスも枝が長く伸びています。こちらも塊根性の花キリンです。

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Euphorbia francoisii(E. decaryi)
フランコイシイは異名で、デカリイが正しい名前です。名札にも()で表記がありました。


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Euphorbia decaryi
こちらは旧・デカリイでしょうか? 要するにE. boiteaui。


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Euphorbia decaryi var. spirosticha(E. spirosticha)
スピロスティカは茂り過ぎて何だかわからない状態です。


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Euphorbia decaryi var. durispina
ドゥリスピナも葉しか見えませんね。ドゥリスピナは由来不明の植物として、E. decaryi var. durispinaの名前で園芸市場に流通していましたが、後に自生株と思われる個体が発見され2021年に論文になり新種として発表されました。私が当該論文を記事にした2023年当時はまだ正式に新種として記載されていませんでしたが、新たに確認したところ「Euphorbia durispina Haev. & Hett., 2021」として記載されました。つまりは、「The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2025」が更新されていたわけです。何が変わったのか確かめるのが楽しみですね。


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もう、2月も後半で日も長くなってきましたが、寒波が来ているそうで今が寒さの底かも知れません。3月になれば三寒四温で徐々に暖かくなりますから、多肉植物たちももう少しの辛抱です。では、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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Haworthia beanii IB 284
ベアニイはH. viscosa v. viscosaの異名となっていますが、非常に大型です。一般的に連想するヴィスコサとはあまりにもかけ離れた姿に驚きます。

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Euphorbia silenifolia
一応、難物とされているらしいシレニフォリアです。入手よりすでに5年経ちますが、外見的な変化が乏しいですね。根があまり強くない気がしますが、上手く管理していれば一年中葉を出します。


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Euphorbia begardii
E. purimulifolia var. begardiiとして購入しましたが、2021年に独立種となりました。ベガルディイはほとんど葉がありませんが、秋の終わり頃に早々と落葉したE. purimulifoliaと比べると保った方です。


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Haworthia chloracantha var. denticulifera
クロラカンタ変種デンティクリフェラは非常に元気です。クロラカンタ系は、軟葉系ハウォルチアの中では硬葉系ハウォルチアや小型アロエに似た風格があります。あまり見かけませんが集めたくなりますね。


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Haworthia chloracantha var. subglauca RIB 0099
こちらもクロラカンタ系の変種スブグラウカ。フィールドナンバーつきで、特有のワイルドさが非常に良いですね。


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本日も1月に行った東京農業大学のバイオリウムの記事です。写真を撮りまくったせいでスマホが加熱してしまい、シャッター速度が落ちてブレるはズレるは、終いには強制シャットダウンする始末です。シャッター速度が遅いので、何も写っていない写真が沢山ありました。せっかく行ったのにもったいない話です。本日は一番奥の蘇鉄の鉢植えを中心に見ていきましょう。

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Haworthiopsis reinwardtiiでしょうか。ワイルドな仕上がりです。

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Haworthia tortuosa
トルトゥオサは実は由来のよくわからない植物で、H. viscosa系の交配種が疑われていますが、それも確かな話ではありません。明らかに硬葉系ハウォルチアの交配種ということで、現在の学名はHaworthiopsis × tortuosaとなっているようです。


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Poellnitzia rubriflora
ポエルニトゥズィア(ポエルニッチア)は、特殊化したアストロロバです。結節がなく白い粉を吹き、花は赤く鳥媒花と、ことごとくアストロロバらしさがありませんが、遺伝的には明らかなアストロロバです。特徴の違いからポエルニトゥズィアとされてきましたが、現在はAstroloba rubrifloraとなっています。


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Haworthiopsis viscosa
3方向に揃った典型的なヴィスコサです。しかし、よく育っていますね。


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Gasteria excelsa
シャッター速度が落ちているせいで、撮影位置がズレてしまいました。ガステリアは思いのほか大型になるものもあります。エクケルサも大型種ですね。しかし、ガステリアは生長が遅く、見られるようになるまでにかなりの時間がかかります。我が家のエクケルサはプレステラ90のサイズで、まだ2列性のままです。

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亀甲竜(Dioscorea elephantpes)もなかなか立派。丸みがあり膨らんだ形が、少し珍しいですね。

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リクガメがいたので、亀甲竜の下に写真を置いておきます。

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Macrozamia miquelii
ラベルには「ホソバオニザミア」とありました。オーストラリア原産の蘇鉄。細長い小葉と暗い葉色が美しいですね。


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Zamia floridana
ザミアの中では普及種のフロリダナです。小型種ですが、分頭して立派な株ですね。ちなみに、フロリダナの名前で流通していますが、現在はZ. integrifoliaが正しい学名です。そこら辺はかなり込み入った事情がありますから、以下の過去記事をご参照下さい。




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コーンが出ています。

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Ceratozamia hildae
笹のようなメキシコ原産の蘇鉄。「bamboo cycad」という名前は正に見た目通り。ラベルには「pollination 99」、「planted 00」とありましたから、1999年に受粉して2000年に出来た種子を播種したということでしょうか。つまりは今年で25歳の個体です。違法採取により自生地では減少しているかなりの希少種のようですから、実生で繁殖する努力は重要なことです。

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塊茎はこんな感じ。
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笹の葉のような葉。

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Dioon merolaeでしょうか? ラベルがほぼ消えかけていて少しあやふやです。ディオーンはメキシコ原産の蘇鉄です。

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Cycas apoa
ラベルには「ニューギニアソテツ」とありましたが、ニューギニア島の固有種です。

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幹はなかなか立派です。

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葉はすらりとしていて涼し気ですね。

バイオリウムももう終盤です。後はキツネザルの飼育スペースの前だけです。しかし、残念なことにキツネザルの飼育スペースは清掃中で、キツネザルはあまり見れませんでした。ということで続きます。


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植物は程度の差はあれど、そのほとんどが有毒です。なぜならば、植物は動けないため、昆虫やカビなどの外敵と戦うために有毒な化学物質を作るからです。そのため、野生の植物は苦味や渋味が強いことが一般的です。一部の植物は幻覚作用を持ち、大麻やケシ、コカノキなどが知られています。そして、それらの植物は宗教的儀式などで古代から使用されてきました。この幻覚作用をもたらす物質もまた、害虫に対するものであるとされるものがあります。
さて、前置きが長くなりましたが、本日は幻覚作用で有名なペヨーテ(Lophophnra williamsii)、日本では烏羽玉の名前で知られるサボテンの話題です。参照とするのは、S. Sreeremyaの2019年の論文、『Spineless Cactus as Hallucinogen』です。難解さがまったくない割りと気軽な内容ですから、さらっと読んでましょう。

ペヨーテとは?
Lophophora williamsiiは「peyote」あるいは「peyotl」として知られるサボテンの1種で、メキシコ中部から米国のテキサス北部の砂漠に自生します。伝統的な利用は古く、5700年以上に渡りインフルエンザや関節痛、歯痛、腸疾患、糖尿病、蛇やサソリの毒、皮膚病、失明、神経衰弱、ヒステリー、喘息の治療に広く利用されてきました。ペヨーテはメスカリンの幻覚作用により、ネイティブ・アメリカン教会の儀式でも使用されています。

※ネイティブ・アメリカン教会(アメリカ先住民教会)とペヨーテの関係については以下の過去記事をご参照下さい。

その利用
ペヨーテは米国では宗教的目的以外では禁止されていますが、英国では生体、あるいは乾燥した植物が合法的に販売されています。主に生、あるいは乾燥した植物をカプセルやお茶として摂取されます。ペヨーテの摂取でほとんどの使用者が経験するのは、幻覚、意識と知覚の変化、「呼吸圧」や筋肉の緊張などの身体的反応、苦味による吐き気や嘔吐です。
使用方法を詳しく見てみましょう。根から切り離された「ボタン」(peyote button)を乾燥させます。ボタンは噛むか、水に浸して液体を摂取することもできます。ボタンは粉末に挽いて、大麻やタバコなどの葉と一緒に吸うこともあります。
成分のメスカリンは、粉末や錠剤、カプセル、あるいは液体として経口摂取されます。使用者は300〜600mg(ボタン3〜6個分)を摂取します。効果は投与後、1〜3時間以内に現れ、10〜12時間で徐々に消えていきます。
メスカリンはサイズ、環境、来期感、性格、薬物使用歴により、使用者間で異なる知覚、認知、感情を生み出します。メスカリンの唯一の長期的効果は、妄想性統合失調症に類似した長期精神病状態です。

身体的影響
①しびれ、緊張、不安、反射神経の急速化、筋肉の痙攣と脱力、運動協調障害、めまい、震え、瞳孔の拡大。
②血圧と心拍数の上昇。
③激しい吐き気と暴力。
④食欲不振。
⑤体温の上昇と発汗。
⑥悪寒と発汗。

心理的影響
①鮮明な心象とぼやけた歪んた視界。
②共感覚。音楽を見たり、色を聞いたりする。
③空間と時間の知覚の変化。
④喜び、高揚感、パニック、極度の不安、恐怖。
⑤身体感覚の歪み。体が重く感じたり、無重力感がある。
⑥感覚の強調。より明るい色彩、より鮮明な視覚、増強された聴覚、際立つ味覚。
⑦集中や注意力の維持。集中や思考の困難。
⑧現実感の喪失、過去の経験と現在の融合。
⑨些細な考えや経験、物への執着。


最後に
以上が論文の簡単な要約です。
過去の情報をまとめた非常に読みやすい論文でした。ペヨーテを摂取した時の詳しい状態が述べられています。ペヨーテの使用による副作用や後遺症についてはよくわかっていません。これは副作用や後遺症が少ないからではなく、一般的に流通しているドラッグより流通量や患者数が少なく、研究されることも稀だからでしょう。大抵の向精神薬は何らかの副作用や後遺症がありますから、ペヨーテもまた何かしらの副作用や後遺症があるはずです。ネイティブ・アメリカン教会もペヨーテを使用していますが、使い方も慣れているでしょうし、麻薬中毒患者のように常習していない儀式的な使用だからそれほどの問題は起きないのかも知れません。使い方を誤れば怖いのは、ペヨーテもその他のドラッグと同じです。以下の過去記事では、ペヨーテにより急性中毒により救急搬送された例を取り上げています。



日本ではペヨーテの成分であるメスカリンは違法ですが、植物自体は違法ではありません。園芸目的で一般的に栽培されています。いくら栽培されているとは言え、大量生産されているわくではありませんから、継続的な摂取は非常に困難でしょう。まあ、日本で危険をおかしてまでペヨーテを摂取しようとする人はいないでしょう。


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2月もいつの間にやら、半ばを過ぎてしまいました。相変わらず忙しく、記事を書く時間がなかなかとれません。気になるイベントもないので、本来はあちこち行きたいところですが難しいですね。ということで、本日も我が家の多肉植物を少しご紹介しましょう。

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Euphorbia neorubella
ネオルベラが開花しました。Monadenium rubellum名義で流通しているユーフォルビアです。モナデニウム属がユーフォルビア属に吸収されたため、現在モナデニウムはすべてユーフォルビアとなりました。しかし、旧・モナデニウムはSection Monadeniumとしてまとまりのあるグループとされています。

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小さいのですが紅色でかわいらしい花です。

250216175333865
Pachypodium brevicaule
いわゆる「恵比寿笑い」と呼ばれるパキポディウムです。かなり育ちましたが、何より塊茎の厚みが増しました。
250216175414625
これは花芽でしょうかね? まだわかりません。

250216175924557
Haworthiopsis koelmaniorum
コエルマニオルムが開花しています。

250216175907405
緑色が強い花です。

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Adenia karamanthus
カラマントゥスはアデニアの中でも特に元気です。冬の間にずいぶんと葉が増えました。


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Aloe pseudoparvula
プセウドパルブラは去年の6月のBBで入手しましたが、冬まで短い期間に大変充実しました。非常に美しいアロエです。


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本日も東京農業大学のバイオリウムに行った時の記事です。ようやく折り返し地点まで来ましたが、なんと温室に入ってから2時間近く経過しています。見るべきものが多すぎて、なかなか進めません。

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右手にホリダと言うか、Euphorbia polygona系の鉢植えなどユーフォルビアが並んでいました。ここが突き当たりで、右に曲がります。

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Euphorbia grandidens
ダイシキリン(大歯麒麟)と呼ばれる南アフリカ・モザンビーク原産のユーフォルビア。高さ10mほどの樹木状になります。新宿御苑でも見ましたが、「スミダノユキ」とありました。まあ、和名というより園芸名みたいなものなのでしょう。


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Euphorbia ingens
チュウテンカク(沖天閣)と呼ばれる大型のユーフォルビア。アフリカ中央部〜南部に広く分布します。今まで見たチュウテンカクの中では最大クラスです。


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面白い花が開花していました。おそらくVeltheimiaという球根植物。少しアロエの花に似ていますね。

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Aloe ramosissima
2013年にアロエ属から分離しアロイデンドロン属となりました。現在の学名は、Aloidendron ramosissimumです。アロイデンドロンは樹木状に育つ巨大なアロイ類です。ラモシシムムは低い位置から分岐が始まるアロイデンドロンども珍しいタイプです。そういえば、近年少し苗が流通し始めているようです。今まで見た中では、筑波実験植物園の個体がなかなか見応えのあるサイズでした。


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Aloe graminicola
エチオピア、ケニア原産のアロエ。現在はA. lateritia v. graminicolaとされているようです。しかし、A. lateritiaを検索すると斑が縞状に入るアロエが出てきますが、A. lateritia v. graminicolaだと検索結果が不安定でよくわかりません。

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Aloe striata
慈光錦とも呼ばれる南アフリカ原産のアロエ。そういえば、ミニ多肉植物として苗が一時期流通していたことがありましたね。


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Haworthia truncata
いわゆる玉扇と呼ばれる有名なハウォルチア。石がゴロゴロしているような場所では、隠蔽効果があります。窓のあるハウォルチアは、窓だけ地上に露出させて、葉のほとんどが地中に埋まります。


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Haworthia maughanii
万象も同じ雰囲気の展示。現在は、H. truncata v. 
maughaniiとされているようです。よって、玉扇はH. truncata v. truncataを指します。

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Haworthia picta
派手なピクタも白い石の中では目立ちませんね。そういえば、ピクタはH. emelyae v. emelyaeの異名扱いになっていますね。

250118114210687
十二の巻 Haworthia attenuata
十二の巻をアテヌアタとしているのは珍しいことですが、正しい理解だと思います。伝統的に十二の巻=ファスキアタとされてしまっており、筑波実験植物園や新宿御苑でも十二の巻をファスキアタとしていました。ただし、十二の巻はアテヌアタにしては葉に丸みが強く、整った草姿はアテヌアタらしくはありません。結局、十二の巻は由来不明の交配種なのでしょう。


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Haworthia attenuata
こちらはアテヌアタらしいアテヌアタ。


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Aloe humilis
一般的に流通しているフミリスは結節が過剰ですが、おそらく選抜品種なのでしょう。しかし、このフミリスはあまりにも結節が少なく、フミリスらしくはありません。



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寒い最中で雪が降るだとか寒波がくると言われていますが、室内の多肉植物の一部は早くも春を感じているようです。本日はそんな我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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Pachypodium densiflorum
デンシフロルムの花茎が伸びてきました。今年は例年より早く感じます。


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H. tessellata IB 6776
テセラタも花茎を伸ばし始めました。テセラタより早くコエルマニオルムはすでに咲きそうなのですが、咲いたらまた記事にします。


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Euphorbia micracantha
怒竜頭と呼ばれる塊根性ユーフォルビアも、枝をグングン伸ばしています。ミクラカンタは2022年に飛竜(E. stellata)の亜種である、E. stellata subsp. micracanthaとされています。飛竜とは枝が扁平か角柱かという違いがあります。

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Euphorbia phillipsioides
フィリプシオイデスが開花しています。フィリプシオイデスは咲き始めたらかなり長い期間咲き続けます。


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Euphorbia geroldii
トゲなし花キリンのゲロルディイも開花し始めました。日照不足か花色は優れませんが、ゲロルディイの花は大きく美しいので嬉しく感じます。


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1月に行った東京農業大学のバイオリウムの記事の続きです。バイオリウムの植物は半分以上が多肉植物ですが、すでに多肉植物ゾーンに入っています。本日はディディエレア科やアロエ、ユーフォルビアなどマダガスカルの固有種が集められている場所でした。

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Euphorbia leucodendron
レウコデンドロンはE. alluaudiiと同種とされます。マダガスカルのPencil-StemのユーフォルビアはSection Tirucalliが多いのですが、E. alluaudiiはSection Deuterocalliです。E. hedyotoidesを含むSection Denisophorbiaや花キリンの仲間であるSection Goniostemaの姉妹群です。

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Alluaudia humbertii
アルアウディアはマダガスカルの乾燥地帯に生えるトゲだらけの灌木です。フンベルティイは初めて見ました。枝が繊細ですね。


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Didierea trollii
アルアウディアと同じディディエレア科のディディエレアです。トロリイは太い枝が特徴的ですね。筑波実験植物園でも見ました。

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Euphorbia xylophylloides
いわゆるヘラサンゴと呼ばれる奇妙なユーフォルビア。こちらはSection Tirucalliです。


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Aloe vaombe
マダガスカル原産の巨大アロエ。高さ5mほどになるそうです。


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Aloe deltoideodonta var. ruffingiana
変種ルフィンギアナは、現在は亜種esomonyensisとされているようです。


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Alluaudia comosa
コモサはなかなか良い太さです。

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トゲはかなり強いですね。

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Dracaena draco
いわゆるリュウケツジュ。まだまだ幼樹です。マカロネシアに生える威容は温室では再現は難しいようです。なかなか枝分かれしないようで、筑波実験植物園のリュウケツジュは巨大でしたが、まったく迫力はありませんでしたね。


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Encephalartos trispinulosus
ミツトゲオニソテツと呼ばれるエンケファラルトス。青白い葉が美しい蘇鉄です。
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幹は丸くてかわいらしいですね。

バイオリウムの温室の通路の突き当たりまで来ました。あとは、一番奥とベンチのあるキツネザルの飼育スペースの正面が残るのみです。


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サボテンの中でも小型で着生するリプサリスは特殊な存在です。サボテンは基本的に南北アメリカ大陸の原産ですが、リプサリスはそれすら逸脱していますから、サボテンの進化や生態を考える上でも面白い存在です。
さて、今年の1月に東京農業大学のバイオリウムに行った際、リプサリスやハティオラが吊り鉢で吊るされていました。しかし、皆よく似ており、一見しただけでその分類が厄介なことは容易に察せられます。さらに言うならば、リプサリスの進化や近縁属との関係が気になります。ということで、リプサリスについて少し調べて見ました。本日はその分類について見ていきましょう。参照とするのは、Alice Calventeらの2011年の論文、『Molecular phylogeny of tribe Rhipsalideae (Cactaceae) and taxonomic implications for Schlumbergera and Hatiora』です。リプサリスとその近縁属を遺伝子解析による分子系統を示しています。

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Rhipsalis

リプサリスの旧分類
サボテン亜科内の分類は長年にわたり大幅な変更がなされており、リプサリス連(Rhipsalideae)にも影響を及ぼしています。リプサリス連とヒロケレウス連(Hylocereeae)には絶対着生サボテンが含まれるため、密接に関係していると考えられてきました。そのため、リプサリス連だったいくつかの属がヒロケレウス連の属に統合されたため、属レベルの分類に不確実性が生じてしまいました。いくつかの属はその分類をめぐり議論となっています。ここで、過去の代表的なリプサリスの分類を見ていきます。

①Britton and Rose(1923)
すべての着生サボテンを、玉サボテンや柱サボテンとともにケレウス族(Cereeae)としました。リプサリス亜族(Rhipsalidanae)にはErythrorhipsalis、Rhipsalidopsis、Pfeiffera、Acanthorhipsalis、Pseudorhipsalis、Lepismium、Hatiora、Rhipsalisが含まれ、エピフィルム亜族(Epiphyllanae)にはZygocactus、Epighyllanthus、Schlumbergera、Epiphyllum、Disocactus、Chiapasia、Eccremocactus、Nopalxochia、Wittiaが含まれます。

②Buxbaum(1970)
リプサリスの仲間を、NyctocerinaeやHylocereina、Epiphyllinae、Disocactinaeと共にヒロケレウス族(Hylocereeae)に配置しました。リプサリス亜族をPfeifferae(Pfeiffera、Acanthorhipsalis)、Schlumbergerae(Erythrorhipsalis、Hatiora、Rhipsalidopsis、Schlumbergera、Zygocactus)、Rhipsales(Rhipsalis、Lepismium)に分割しました。

③Barthlott and Taylor(1995)
Rhipsalis属(Rhipsalis亜属、Erythrorhipsalis亜属、Calamorhipsalis亜属、Epallagogonium亜属、Phyllarthrorhipsalis亜属)、Hatiora属(Hatiora亜属、Rhipsalidopsis亜属)、Schlumbergera属、Lepismium属(Lepismium亜属、Pfeiffera亜属、Ophiorhipsalis亜属、Acanthorhipsalis亜属、Lymanbensonia亜属、Houlletia亜属)からなります。


④Doweld(2001)
Rhipsalidanaeを2つの亜族で分けます。

RhipsalidinaeはNothorhipsalis(=Houlletia)、Lepismium、Erythrorhipsalis、Rhipsalis(Calamorhipsalis亜属、Phyllarthrorhipsalis亜属、Cereorhipsalis亜属、Rhipsalis亜属)、Hatioraからなります。
RhipsalidopsidinaeはEpiphyllanthus、Rhipsalidopsis、Epiphyllopsis、Rhipsaphyllopsisからかなります。
さらに、Barthlott and Taylor(1995)によりRhipsalideaeに分類されていたいくつかの仲間をHylocereeaeに移動し、3亜属に分けました。それは、Pfeifferinae(Pfeiffra、Acanthorhipsalis、Lymanbensonia)、Schlumbergerinae(Schlumbergera、Schlumbergopsis、Pseudozygocactus、Schlumbergeranthus、Schlumberphyllum、Schlumsocactus)、Hylorhipsalidinae(Ophiorhipsalis、Hylorhipsalis)です。

⑤Huntら(2006)
Barthlott and Taylor(1995)と同じ分類を採用しましたが、Lepismium亜属のPfeiffraやAcanthorhipsalis、Lymanbensonia、さらにはHoulletiaの一部をRhipsalideaeから除外しました。

⑥Nyffeler(2002)
サボテン科全体の分子系統(Nyffeler, 2002)では、RhipsalideaeとHylocereeaeは分けられることが示唆されました。この枠組みは。Hylocereeaeの近縁種として出現したPfeiffra(Acanthorhipsalisを含む)を除き、Barthlott and Taylor(1995)によるRhipsalideaeの構成を裏付けています。

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Hatiora

分子系統による分類
分子系統による分類では、Rhipsalideaeの単系統性が裏付けられました。また、これらの属分類はHuntら(2006)の分類と概ね一致しています。違いは側系統が示唆されていたHatioraとSchlumbergeraです。かつてRhipsalidopsisに含まれていたHatiora①はSchlumbergeraに移され(※1)、HatioraはHatiora②の3種類に縮小されます。
 
━━Calymmanthium substerile

┣━━━Pfeiffra

┃  ┏Hatiora①
┃    ┏┫
┃ 
┃┗Schlumbergera
┫    
   
┃    ┣━Hatiora②

┃┏┫
┃┗━Lepismium
┗┫
 ┗━━Rhipsalis

※1 ) ハティオラ①(H. rosea、H. gaertneri)は現在ではRhipsalidopsisに相当します。スクラムベルゲラにはHatiora epiphylloidesが含まれますが、現在ではSchlumbergera luteaとされています。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
リプサリスやハティオラ、スクラムベルゲラ(シュルンベルゲラ)、レピスミウムの遺伝子解析を分子系統しました。この論文以前は外見的特徴による分類であり、分子系統もサボテン科全体の分類を明らかとするためのものでした。各属の関係性が明らかとなっただけではなく、リプサリスの属内分類も明らかとしています。
リプサリスは主に5群からなるようです。分子系統の根元にある起源的な「floccosa group」は、R. dissimilis、R. floccosa、R. trigonaからなります。次に分岐したのはCalamorhipsalis亜属で、R. puniceodiscus、R. neves-armondiiからなります。次に3つの群に分岐しています。1つはR. paradoxa、2つ目はErythrorhipsalis亜属でR. cereuscula、R. pulchra、R. pilocarpa、R. clavataからなります。3つ目は「Core Rhipsalis」でR. lindbergiana、R. olivifera、R. crispata、R. micrantha、R. elliptica、R. russellii、R. cereoides、R. pachyptera、R. teres、R.

baccifera、R. mesembryanthemoidesからなります。とはいえ、全種類を解析したわけではないでしょう。属内分類はまだすべてが明らかになったとは言えないかも知れませんね。


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一部の多肉植物は外に出しっぱなしです。しばらく水を切っていましたが、2ヶ月ぶりくらいに水をやりました。というわけで、屋外の多肉植物の様子を見てみます。

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オブツーサも水を切っているため、痩せて透明感がありませんね。しかし、非常に丈夫なため、霜が降りた程度ではびくともしません。

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ソテツキリンの葉は紅葉していますが、まだ枯れていません。ソテツキリンは耐寒性が強いので、氷点下でも平気です。

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Euphorbia antisyphilitica
いわゆるキャンデリラソウと呼ばれる、北米の乾燥地に生えるユーフォルビアです。USDAゾーンを確認するとマイナス9度まで耐えられるようですから、今年は屋外での越冬を試してみました。現状、割りと平気そうです。


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Haworthia cooperi
少し混みすぎている感じはありますが、こちらも元気。

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株分けした個体は根詰まりしていないせいか、非常に元気。
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なんと開花中でした。

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ハウォルチアやガステリアは屋外で放置していますが、見たところダメージはなさそうです。春まであと一歩、頑張って欲しいですね。


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1月に行った東京農業大学のバイオリウムの記事の続きです。入り口から左側の通路を進んでいますが、通路の右側、つまり温室の中央部を見ていきましょう。手前にはアロエ、奥にはディディエレア科植物が沢山ありました。

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Aloe capitata var. quartziticola
マダガスカル原産のアロエ。まあまあのサイズ。花茎の跡がありますね。


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Erythrophysa aesculina
マダガスカル原産の乾燥地の灌木。

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幹肌はなかなか良い荒れ性。別にコーデックスという風ではありませんが、なぜかそんな扱いをされているような気がします。
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ムクロジ科植物ですが、遺伝子解析によりカエデ科やトチノキ科もムクロジ科に含まれることになりました。旧・ムクロジ科、要するにムクロジ亜科はリュウガンやレイシ、ランブータンなどを含む巨大なグループです。

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なかなか良いサイズのAlluaudiaですが、名前がわかりません。
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枝が繊細なのでA. proceraではないでしょう。A. humbertiiでしょうかね?

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トゥアールソテツ Cycas thouarsii
ケニア、タンザニア、モザンビーク、マダガスカル原産の大型の蘇鉄。分布がマダガスカルとアフリカ大陸の海を挟んだ両側というのは、種子が海流散布されているのでしょうか。海岸沿いにも生えて種子は水に浮くそうですがどうでしょうかね?

250118112507010
根元から脇芽が出ていました。

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Lomatophyllum sp.
あまりロマトフィルム感が薄いのですが、ロマトフィルムとのこと。株立ちしているからでしょうか。ロマトフィルムは通常のアロエとは異なり、果実はジューシーな果肉を持ちます。しかし、近年の遺伝子解析によりロマトフィルムとされてきた種同士は必ずしも近縁ではないことが明らかとなりました。そのため、ロマトフィルム属はアロエ属に吸収されてしまいました。では、なぜロマトフィルムが漿果を持つのでしょうか。ロマトフィルムの分布するマダガスカル周辺の小島の環境に適応した収斂進化なのかも知れませんね。


250118112603321
Aloe rauhii
マダガスカル原産の小型アロエ。美しい斑が入ります。ラウヒイはワシントン条約(CITES)の付属書Iに記載されている、国際的な取り引きが規制されている植物です。検索して出てくる画像はかなりバリエーションがあり、変異幅が大きいのか雑種が混じっているのかはわかりません。

250118112716145
特徴的な幹を持つ灌木。ボトルツリーでしょうか?
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葉はあまりボトルツリーらしくありませんが、どうでしょうね?

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Aloe helenae
マダガスカル原産の高さ4mになる大型アロエ。長い葉が特徴と言いますが、それほどでもありませんね。



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いよいよ寒くなってきましたが、関東でも雪が降るとか降らないとか怪し気な感じではあります。2月は忙しく身動きが取れなさそうです。それはそうと、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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Euphorbia bongolavensis
ボンゴラベンシスはほぼ葉が落ちました。寒さに敏感なようです。あまり大きくせず、枝が密に混んだコンパクトな樹形にしたいのですが、上手くいくでしょうか?

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Euphorbia debilispina
去年のデビリスピナはなかなか良い生長具合でした。根上がり風に仕立てていますが、特に問題はないようです。

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Gymnocalycium pseudoquehlianum
プセウドクエフリアヌムはやや日焼け気味です。しかし、プセウドクエフリアヌムは由来不明のサボテンで、原産地なども不明です。正式に記載されておらず、おそらく園芸名のようなものでしょう。つまりは、nom. nud.です。G. artigasに似ているような気もします。

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Pachypodium windsorii
ウィンドゥソリイは乾かし気味なせいか葉がすべて落ちました。パキポディウムの実生は個体差が割りとあるため、様々な形の苗が出現します。この個体は下部から枝が出るタイプのようです。


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Astroloba foliolosa
小型タイプのフォリオロサです。アストロロバはアロエに近縁な面白い植物ですが、まったく人気がなく販売されることも稀です。最近はBBでも見かけませんね。


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1月に東京農業大学のバイオリウムに行って来ましたが、本日もバイオリウムの温室を記事にします。入って左の壁際にサボテンが地植えされていました。

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Dasylirion longissima
ダシリリオンはなぜか植物園では見かけませんが、バイオリウムのダシリリオンは良いサイズですね。ちなみに、「longissima」という種小名は誤りで、正確には「longissimum」ですね。しかし、このロンギシムムという名前はいわく付きで、本当にロンギシムムかどうかは確認しなければなりません。
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D. longissimumは葉の根元には鋸歯があり、全体的に葉縁に弱い鋸歯があります。根元はよく見えませんが、鋸歯は見受けられません。おそらくは、この植物はDasylirion quadrangratumであると考えられます。実はこの2種は標本がなかったことから混同されてきた歴史があり、海外でもD. quadrangratumはD. longissimumの名前で流通しています。そのため、海外からD. longissimumの種子や苗を取り寄せると、基本的にD. quadrangratumが届くことになります。

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キリンウチワ Pereskiopsis velutina
一見してサボテンに見えませんが、サボテンの仲間です。とはいえ、コノハサボテンではなく、なんとウチワサボテンの仲間です。ちなみに、名札に誤りがあり、「Peireskiopsis」となっていましたが、ただの誤記でしょう。さて、P. velutinaはP. diguetiiと同種とされ、現在はP. diguetiiが正しい学名です。

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Calibanus hookeri
非常に丈夫で日本でも屋外で放置されても平気です。ちなみに、カリバヌス属はベアウカルネア属に吸収されて今は存在しません。ということで、現在はBeaucarnea hookeriとなっています。過去にそのあたりを記事にしていますから、以下のリンクをご参照下さい。


250118111737721
塊茎はひび割れています。生長は非常に遅いと聞きます。

250118111744104
晃山 Leuchtenbeigia principis
晃山は1属1種の珍種です。サボテンらしからぬ形状から、「Agave cactus」なる呼び名もあるそうです。最近は割りと流通してきたようで、大型園芸店でもたまに見かけるようになりました。しかし、この晃山はトゲが暴れていて、実にワイルドですね。


250118111808377
金鯱 Kroenleinia grusonii
大型温室ではお馴染みの金鯱です。なかなか良いサイズでした。金鯱は長らくEchinocactusでしたが、2014年に新属であるKroenleiniaとして独立しました。しかし、遺伝子解析による分子系統では、金鯱はFerocactusであることが確認されています。今後、名前が変更される可能性があります。

250118111818094
すでに開花年齢のようです。
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生長点が潰れたのか、激しく分頭しています。

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ホホバ Simmondisia chinensis
ホホバは化粧品などに利用されるメキシコの乾燥地の灌木です。筑波実験植物園でも見ましたね。

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ホホバの葉。

250118111940095 
サボテンの骨格。柱サボテンは枯れてもこのような材が残るため、現地では建築にも使われていました。

250118112135555
Euphorbia milii
ハナキリンが咲いていました。まあ、ミリイ系は一年中咲いていますけどね。


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Euphorbia milii var. longifolia
ミリイの変種です。「longifolia」、つまりは「長い葉」ですから、葉の形が違います。また、全体的に細長く育つ感じがします。ちなみに、変種ロンギフォリアは2020年にEuphorbia betrokanaとして独立種となりました。ミリイ系ハナキリンは皆よく似ているため、まとめられる傾向がありましたが、近年では徐々に再分類されているようです。

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変種ロンギフォリア=ヴェトロカナの花。

いよいよ多肉植物が増えてきました。なんとここからは、基本的にすべて多肉植物です。これはたまりませんね。というわけで続きます。


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高度に多肉質となる多肉植物と言えばサボテンやユーフォルビアが代表的ですが、現在はキョウチクトウ科に含まれることとなった旧・ガガイモ科植物もサボテン様の外見となるものがあります。現状、私はコレクションという意味合いではあまり興味がないのですが、その存在自体は気になります。というわけで、本日は旧・ガガイモ科の中からスタペリアを取り上げましょう。参照とするのは、Colin C. Walkerの2020年の記事、『Stapelia engleriana the "iceberg" species from southern Africa』です。著者が育てているStapelia englerianaについて解説しています。

Stapeliaについて
スタペリア属はアフリカに28種類があります。アンゴラ南部、ザンビア南部、モザンビークにも分布しますが、特にナミビアと南アフリカ、ボツワナ、ジンバブエは多様性が高くなっています。広く分布する種もありますが、ほとんどは非常に限られた地域に自生します。
スタペリアの特徴は、多肉質な4稜の茎を持ち、普通は直立し、細かい毛が生えていますが稀に毛がないものもあります。スタペリアの花は直径2cmのS. similisから、巨大なS. giganteaまであります。S. giganteaの中には最大40cmに達する巨大な花を咲かせるものもあり、すべての顕花植物の中でも大きな部類です。

Stapelia englerianaの履歴
Stapelia englerianaは、ドイツのコレクターであるRudolf Schlecher(1872-1925)が、ベルリンのDahlemにある植物園・博物館で見つけた生きた植物に基づいて初めて記述されました。S. englerianaの名前は、当時の館長であるAdorf Englerに捧げたものです。Schlecherはアフリカを広く旅しましたが、野生のS. englerianaを採取していないようです。現在、S. englerianaは南アフリカの西ケープ州に広く分布していることが知られています。

250202230134738~2
Stapelia engleriana
『The Flowering plants of South Africa』(1932)より。


Stapelia englerianaの特徴
S. englerianaは開花していない時でも、確実に判別出来る特徴的な種です。茎はかなり太く断面は短い結節のある4角形です。この植物に特有なのは、茎が匍匐性から根茎性であることです。この特徴は同じ旧・ガガイモ科のStapeliopsis saxatilisにのみ見られます。この特徴から、著者は「iceberg」(氷山)のスタペリアと表現しました。これは、植物の大部分が地下に隠されているという意味です。花もスタペリアの中では特有です。花は直径2cmと小型ですが、下向きの花の裂片が折り畳まれているため、ボタンのように見えます。このような特徴の花の花粉媒介者は何者で、どのように受粉するのか気になりますが、今のところ文献上では不明です。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
スタペリアと言えば、星型の奇妙な毒々しい花が特徴です。しかし、S. englerianaは花弁が反り返り、スタペリアの中でも独特の花を咲かせます。著者が言うように、この独特の形状は受粉に何らかの影響があるのでしょうか? そもそも、スタペリアの基本的な受粉様式も私は知らないので、少しずつ調べていきたいと思います。

最後にS. englerianaの名前の変遷に触れておきましょう。1905年に初めて命名された名前がStapelia engleriana Schltr.でした。1982年にはTromotriche engleriana (Schltr.) L. C. Leach、2017年にCeropegia engleriana (Schltr.) Bruynsという名前も提案されています。


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いつの間にやら2月になってしまいました。東京でも雪が降るかもなんて言っていましたが、結局は降りませんでした。2月が寒さの底でしょうから、多肉植物たちも今月を乗り越えればといったところですね。さて、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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Adenia venenata
去年の11月のBBで入手しましたが、葉がない状態でした。真冬にも関わらず新しい葉が出てきました。アデニアは寒さに弱い傾向にありますから、今年は暖冬なのでしょう。


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Gasteria disticha
胡蝶蘭を育てていると、花茎から新しい個体が出来ることがあります。ガステリアでも同じことが起きたので、挿し木してみました。しかし、芽がまだ小さいうちに外してしまったのでなかなか根付きませんでしたが、ようやくしっかりしてきました。


250202234119680
Euphorbia sipolisii
多肉質なユーフォルビアと言えばアフリカ原産ですが、シポリシイを含むSection Brasiliensisは南米原産です。あまり見かけないタイプのユーフォルビアですが、仲間を集めたくなりますね。

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Euphorbia columnaris
ソマリアもので希少なコルムナリスですが、難物としても有名です。通常は接ぎ木で維持されます。2022年4月のBBで入手してから3年間、自根で維持してきました。しかし、育った感じがあまりありませんが、しぼんだりもしていません。まあ気長に付き合っていきます。


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Gymnocalycium damsii var. torulosum VoS 03-040
陽に当てすぎて赤くなってしまいました。場所を移動して様子見していましたが、新しいトゲを出しているのでとりあえずは一安心です。


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1月に行った東京農業大学のバイオリウムの記事の続きです。まだ、全体の1/4も進んでいません。本日は入って左側の壁側に吊るされた着生サボテンを見ていきます。

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Rhipsalis sp.
着生サボテンのリプサリスの仲間が沢山吊るされていました。リプサリスはアメリカ大陸以外にも分布を広げた変わったサボテンです。実は着生サボテンに関してはあまりよく知らないため、リプサリスを含めて今度詳しく調べてみます。


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垂れ下がるリプサリス。ブラジルなどの密林では、リプサリスなどの着生サボテンが樹木に沢山着いてます。

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猿恋葦 Hatiora salicornoides
有名な着生サボテンの珍種です。サボテン要素があまりにも無くて驚きます。ちなみに、名札には「Hatiora sarcoinioides」とありますが、これは誤りで正しくは「Hatiora salicornoides」です。詳しくは知りませんが、誤った名前の方で流通しているそうです。


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リプサリスが沢山吊るされていましたが、名前がわかりません。外見的によく似た種が多いので、詳しくない私では残念ながら判別出来ません。

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リプサリスの小さな花。

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こちらには実がありました。リプサリスは実も見どころの1つです。

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こちらもリプサリス。多毛で特徴的です。Rhipsalis pilocarpaでしょうか。
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リプサリスにしては大型で美しい花です。

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Zamia furfuracea
フルフラケアが分頭しています。フルフラケアはなぜか誤ったZamia pumilaというまったくの別種の名前で呼ばれがちです。バイオリウムと神代植物公園は正しい名前でしたが、残念ながら新宿御苑では誤った名前でした。ちなみに、本物のZ. pumilaは行った植物園では見たことがありません。

 
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モクキリン(杢麒麟) Pereskia aculeata
ペレスキアはサボテン科植物の現存するもっとも起源的な属の1つです。しかし、2013年にペレスキアからLeuenbergeria属が分離され、こちらの属の方がより起源的であることが分かりました。
ペレスキアやレウエンベルゲリアと言った、いわゆるコノハサボテンの仲間はサボテンの進化を考える上でとても重要です。人気があるとは言い難いコノハサボテンですが、研究機関の付属施設としては教育的な意味合いもあり割りと大切な展示です。

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サボテン科植物には見えません。

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トックリラン Beaucarnea recurvata
トックリランは剪定されていました。背が高くなりますからね。仕方がありません。

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しかし、塊茎は樹皮が荒れ味がある形。そういえば、トックリランと言えば筑波実験植物園の群生展示が見事でした。

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大型のアガヴェ。まあ、流石にA. americanaではないでしょう。

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ちょうどアガヴェの花が終わったところでした。

さて、バイオリウムはまだ続きます。次回からはユーフォルビアやアロエ、ディディエレア科の多肉植物が登場します。


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本日は花キリンの花を接写してみました。種類によりますが、花キリンは冬でも花を咲かせ続けますからね。タイミング悪くまだ蕾のものもありましたが、とりあえず咲いているものだけです。

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Euphorbia gottlebei
ゴトレベイは冬の間はずっと咲き続けています。この混じり気なしの鮮烈な赤色は、原種の花キリンの中でも目を引きます。

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Euphorbia lophogona
ロフォゴナは外見のゴツさとは逆に、花は淡いピンク色でかわいらしい感じです。花も大型です。蕾が沢山出ていますから、まだまだ花を楽しめそうです。

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Euphorbia makayensis
マカイエンシスも目立たない花を咲かせ続けています。苞は小さいのですが、逆に腺体が非常に目立ちます。

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Euphorbia delphinensis
デルフィネンシスは非常に小さく目立たない花を咲かせます。一年中咲き続けるタイプのようです。日照が強いと赤味が強くなりますが、冬は赤味が抜けています。

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リップマンジャー
ミリイ系の園芸品種であるリップマンジャーです。超小型種で沢山の花を咲かせます。周年開花するタイプです。

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Euphorbia decaryi
デカリイも開花中。まあ周年開花するタイプですから、それほど有り難みはありません。


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本日も東京農業大学のバイオリウムに行った記事です。なんと、まだ最初の角を曲がったところにいます。わずか数メートルの距離ですが、気になる植物が多すぎてなかなか進めません。

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Euphorbia geroldii 
トゲナシハナキリンのゲロルディイです。ハナキリン屈指の美しい花を咲かせますが、残念ながら花期ではありませんでした。マダガスカル原産。


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リュウビンタイがこんなところにもありました。

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名札がない蘇鉄。
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幹も立派。分岐しています。まあ、しかし写真だけを頼りに種別判定するのはなかなか厳しそうです。

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こちらはラフレシアの模型。

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ロウソクノキ Parmentiera cereifera
円柱状の黄色い果実からついた名前とのこと。新宿御苑でも植栽されていましたが、まだ花や果実は見たことがありません。パナマ原産。


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Ceratozamia hildae
一見して笹のように見えますが、メキシコ高地産の蘇鉄です。

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塊茎は平べったいタイプ。

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Bowenia serrulata
こちらはオーストラリア原産の希少蘇鉄。2回羽状複葉を持つ唯一の蘇鉄。ボウィエア属は2種からなる面白い蘇鉄です。

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葉は革質。
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塊茎は埋まり気味。

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見上げたらアナナスが大量に吊ってありました。

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何やらゲロルディイが大量に生えてますね。花期はさぞ華やかなことでしょう。

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Vanilla planifolia
プラニフォリアはもっとも一般名なヴァニラです。
ヴァニラはあちこちの温室で見かけていますが、未だに花は見たことがありません。中南米の原産。

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吊り鉢のアナナス。カラフルな蕾を伸ばしています。

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ミニ胡蝶蘭が開花中。

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Dendrobium nathanielis
風変わりなデンドロビウム。アッサムからマレー半島の原産。


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Haematoxylum campechianum
説明文にはロッドウッド、カンペシアボクとありましたが、他にもアカミノキ、ブラッドウッドという名前もあるようです。樹液はマヤ族が染料として利用してきました。色素成分のヘマトキシリンは、現代でも病理学や解剖学などで細胞核を染めるために利用されています。パナマ原産でマメ科ジャケツイバラ亜科。


さて、次回からは本格的に多肉植物ゾーンに入ります。というより、バイオリウムの温室はほとんど多肉植物と言っても良いぐらい多肉植物だらけです。ということで、まだまだ続きます。


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アロエはその多くの種が赤色〜黄色の花を咲かせます。それは鳥に対するアピールであり、実際にアロエの花には蜜を吸いに沢山の鳥が訪れます。つまり、アロエは鳥により花粉が運ばれて受粉する鳥媒花であるということです。しかし、小型のアロエの中には、地味で目立たない花を咲かせるものもあり、一見して鳥媒花には見えません。私の育てているAloe bowieaも緑色の小さな花をつけますから、とても気になっています。さて、アロエの受粉生物学はAloe feroxやAloe marlothiiなど大型のアロエを中心に行われており、小型アロエについてはまだまだ研究が不足しているように思われます。そこで、小型アロエの受粉生物学の嚆矢である、A. L. Hargreavesらの2008年の論文、『Aloe inconspicua: The first record of an exclusively insect-pollinated aloe』をご紹介しましょう。

アロエは花粉媒介者
アロエの多くは鳥媒花ですが、アロエの花には様々な昆虫が訪れます。もっとも一般的なのは蜂で、その一部は鳥媒花であるアロエの受粉にも貢献していますが、受粉には関係しない花粉泥棒もいます。これまでの研究では、ミツバチはアロエの花粉媒介者としては不十分であることが分かっています。しかし、過去の研究は鮮やかで大きな花を持つ「典型的」なアロエのみが対象とされてきました。
一部のアロエには、昆虫による受粉を示唆する形態学的な特徴があります。それは、Aloe albida、Aloe bowiea、Aloe minima、Aloe myriacantha、Aloe parviflora、Aloe saundersiae、Aloe inconspicua、Chortolirion angolense(=A. welwitschii)です。これらの種は高さ50cm 以下と小型で目立たず、長さ2cm未満の小さな淡い色の単花序をつけます。

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Aloe bowiea
ボウィエアの花は緑色で目立ちません。

Aloe inconspicuaの特徴
Aloe inconspicuaはKwaZulu-Natal州中部のいくつかの地域でのみ知られる小型のアロエです。高さ15cmになり、葉は多肉質ではありますが、周囲の草との区別は容易ではありません。花は高さ8〜12cmの単一の花序で、最大50個の白緑色の花が下から咲いていきます。花は雄蕊が長く、6つの葯が裂開するまで柱頭は開きません。また、花に香りはありません。

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Haworthiopsis limifolia var. glaucophylla
ハウォルチアやハウォルチオプシスの花は、小型で白色系です。


Aloe inconspicuaは自家不和合性か?
A. inconspicuaの自家不和合性の程度と、花粉媒介者への依存度を評価するため、花を布で遮断しました。実験は、①1m以上離れた植物の花粉による人工受粉、②自家花粉による人工受粉、③布で遮断し人工受粉なし(自然な自家受粉)の3群を行いました。
結果は③の人工受粉しない自家受粉では結実は見られませんでした。②の人工受粉による自家受粉ではわずか4%の結実率で、①の他家受粉では72%の結実率でした。また、自家受粉による果実には平均4個の種子がありましたが、他家受粉による果実には平均15個の種子が見られました。A. inconspicuaは大部分のアロエと同じく、自家不和合性であると考えられます。

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Aloe saundersiae
淡い色合いのサウンデルシアエの花。

花粉媒介者を探る
A. inconspicuaは開花より3日間咲き続けます。観察によると、採蜜性の鳥であるタイヨウチョウは訪花しませんでした。また、夕方に蛾を観察しましたが、やはりA. inconspicuaの花を訪れませんでした。観察期間中、A. inconspicuaの花を訪れたのは、ミツバチ(Amegilla fallax)がほとんどであり、稀に小型の蜂の訪花も観察されました。ミツバチや小型の蜂の体には大量の花粉の付着を観察しました。
観察結果からA. inconspicuaの有効な花粉媒介者はミツバチであると考えられます。A. inconspicuaが鳥媒花ではないことは、観察によるものだけではなく、花蜜量が平均0.097μLと極めて少量であることからもうかがえます。


最後に
以上が論文の簡単な要約です。
鳥媒花とされてきたアロエの中で、初めて虫媒花であるアロエの存在を証明した重要な論文です。アロエ類の進化を考えた場合、もっとも起源的なグループは樹木状のアロエであるAloidendronとされています。このAloidendronからAloiampelos、Kumara、Gonialoe、Aristaloeといったアロエ属から独立したグループとGasteriaは、おそらく鳥媒花でしょう。つまり、アロエ類の起源は鳥媒花であり、虫媒花はそこからの派生であると考えられます。虫媒花はHaworthia、Haworthiopsis、Tulista、Astroloba(A. rubrifloraは鳥媒花)ですが、アロエ属はその一部の種が虫媒花へ移行したのでしょう。分子系統的に見た場合、虫媒花へ移行したグループ同士は必ずしも近縁ではなく、それぞれ独立して進化したことがうかがえます。個人的な感想ですが、アロエ類の小型化が鳥媒花から虫媒花への移行をもたらしているような気がします。アロエ属は属内があまりに多様であるため、鳥媒花と虫媒花を内包しているのでしょう。


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本日も東京農業大学のバイオリウムに行った話です。バイオリウムの温室はそれほどの規模ではないものの、密度が高く多肉植物の比率が高いこともあり、なかなか進みません。思わぬ貴重な植物を見ることが出来ました。

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バオバブ Adansonia za
妙な種小名ですが、
現地では「ザー」と呼ばれており種小名はそこから来ているそうです。この個体はなんと実生30年生とのこと。マダガスカル原産のバオバブ。

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バオバブの苗もありました。

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Kalanchoe beharensis
「仙女の舞」の名前で知られる大型のカランコエ。神代植物公園でも見ましたが、見上げる高さに育ちます。大きな葉は表面がフェルト状で、「Velvet Elephant Ear」(ベルベットの象の耳)と呼ばれています。

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Kalanchoe synsepala
匍匐茎を伸ばした先に仔植物が出来て移動していくため、「Working Kalanchoe」(歩くカランコエ)と呼ばれているそうです。
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ちょうど開花中。

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謎のカランコエも開花中。

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カンナの仲間。名札がないので種は不明。
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Canna paniculataだかCanna indicaだか分かりませんが、開花中でした。
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イガイガした実もなっていました。

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コンテリクラマゴケ Selaginella uncinata
「レインボーファン」と呼ばれますが、光の当たり具合によっては虹色に輝いて見えます。鬱蒼とした場所にあったので、こんな感じですが。中国、ベトナムの原産。

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Typhonodorum lindleyanum
巨大なマダガスカルのサトイモ科植物。一見してバショウの仲間に見えます。「elephant ear」と呼ばれる由来である大きな葉が特徴。自生地では水に浸かることもあるようです。
サトイモ科植物なので地下に芋が出来ますがかぶれるため、水にさらして非常食とするようです。この水でさらしてデンプンを回収する方法は、東南アジアのサゴヤシや日本の栃の実などでも知られており、非常に古い時代から存在する方法です。


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リュウビンタイ Angiopteris lygodiifolia
温室にはつきもののリュウビンタイもなかなかのサイズ。


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温室ではよく見るタコノキの仲間。


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装飾的な革質の葉を持つシダ。

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Kalanchoe millotii
毛に覆われたマダガスカル原産の小型カランコエ。

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Kalanchoe bracteata
マダガスカル原産のシルバーリーフ。「Silver Teaspoons」(銀の匙)とも呼ばれますが、他のカランコエも同じ名前で呼ばれているようです。

さて、バイオリウムはまだまだ続きます。入り口から左折して、まだ突き当たりまで至っていません。バイオリウムは個人的に面白い植物が多く、写真ばかりとっていて本当に進みません。


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なんとなくリミフォリアか集まりつつあります。まあ、意識的に集めたのではなく、いつの間にやら増えてしまいました。こうなったら、すべての変種やタイプを集めても良いかも知れません。現在、リミフォリアの5変種中、まだ3変種しかありませんから、何れ手持ちにない変種arcanaと変種giganteaを入手したいものですね。

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Haworthiopsis limifolia var. limifolia
まずは基本種の変種リミフォリアから。変種striataや変種stoloniferaを含みます。


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Haworthia limifolia var. stolonifera Resende, 1943
変種ストロニフェラは現在は変種リミフォリアに含まれます。ハウォルチオプシスとされなかったため、表記する時はハウォルチアのままが正しいのです。


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Haworthiopsis limifolia var. glaucophylla (M. B. Bayer) G. D. Rowley, 2016
変種グラウコフィラは結節がなくやや白みががる葉が特徴です。グラウコフィラがハウォルチア時代に命名されたのは2003年ですから、割と新しい変種です。2010年にはBreuerにより独立種とする見解もあったようです。


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Haworthia gideonii Breuer, 2010. nom inval.
ギデオニィは非公式名です。リミフォリア系ですが、リミフォリアの名前がついていません。小型でより暗色のタイプのリミフォリアなのでしょう。

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Haworthiopsis limifolia var. ubomboensis (I. Verd.) G. D. Rowley, 2013
スワジランドのリミフォリア。おそろしく姿が異なるせいか、1941年に記載された時には独立種としてでした。ちなみに、変種keithiiを含みます。


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先週、東京農業大学のバイオリウムに行って来ましたが、前回はバイオリウムに併設された博物館を見て回りました。今回からはいよいよバイオリウムに向かいます。

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眠そうなスナネズミの脇の出入り口からバイオリウムの温室に入るようです。やはり、外から直に入ることは出来ないようです。

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一度、外に出ますが、Cymbidiumの花茎が伸びていました。丈夫ですね。

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屋外に少しアガヴェが並んでいました。

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農大No.1
有名な「農大No.1」と命名されたアガヴェ。1970年にカクタス長田の長田清一氏が東京農業大学の育種研究所に導入したとのことです。当時、名前が不明だったことから、日本多肉植物の会が農大から出た当時一番良いアガヴェということで、「農大No.1」と命名されたようです。現在はAgave titanotaに比定されました。

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Agave filifera ssp.
フィリフェラは「白糸の王妃」という名前で知られる、フィラメントを出すタイプのアガヴェです。しかし、バイオリウムのHPからダウンロード出来る植物の目録を見ると、「姫滝の白糸」となっていますね。姫滝の白糸はどうやら交配種とされているようで、ssp.がついているのはそういう意味なのでしょう。


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笹の雪 Agave victoriae-reginae
笹の雪は基本的にアガヴェに興味がない私でも、溜め息が出るような美しい植物です。

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吹上 Agave stricta
ストリクタ名義の吹上ですが、ストリアタかも知れません。


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温室に入ると湿度が高くムワッとした感じでした。左側に水辺があり、その前には食虫植物が並んでいました。
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マダガスカルウツボカズラ
Nepenthes madagascariensis

おそろしく小さいウツボカズラの実生。2024年の春に播種したそうです。マダガスカリエンシスはウツボカズラの中では難しい部類のようです。しかし、このサイズでもちゃんと捕虫器が出来ていることに驚きました。

250118105253291
ミミカキグサ Utricularia  bifida
ミミカキグサはタヌキモの仲間で、土中に袋がある食虫植物です。


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アシナガムシトリスミレ
Pinguicula moranensis
ムシトリスミレが開花中でした。
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葉がベタベタしており、虫がトラップされます。

250118105330632
ヤツマタモウセンゴケ
Drosera binata var. multifida
非常に分岐するタイプのモウセンゴケ。


250118105351000
Drosera paradoxa
こういうタイプのモウセンゴケは初めて見ました。


250118105406155
アフリカナガバモウセンゴケ
Drosera capensis
こちらのモウセンゴケは白花タイプとのこと。


250118105434577
ビカクシダが吊るされていました。

250118105445485
パパイヤ Carica papaya
なんとなくパパイヤの鉢植えがありました。
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よく見ると開花中。

バイオリウムはまだ入り口です。私は左回りで見学することにしました。左折すると、左側は水辺で右側は乾燥地帯となっています。次回は多肉植物も登場します。


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2月はこれと言ったイベントは無さそうなので、本当は植物園に行きたいところですが、忙しいので遠出はかなり厳しそうです。しばらくは大人しくしています。まあ、そんなわけで本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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Euphorbia opuntioides
三稜のまま育つオプンチオイデスですが、正月明けから一輪だけ咲いています。よく見ると、まだ花が咲きそうですね。

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Tulista pumila ohkuwae GM 602
プミラの変種オウクワエです。プミラ系の中では最優美なタイプでしょうね。

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Adenia glauca
今冬のグラウカはなかなか葉が落ちません。しかし、そろそろ寒さも厳しくなってきましたから、落葉する頃合いですかね。

250123003534340
Euphorbia paulianii
パウリアニイは葉が落ちません。茎の回転具合がはっきりしてきました。これからが楽しみな花キリンです。

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Pachypodium densiflorum
デンシフロルムはパラパラと葉は落ちるものの、まだ葉が残っています。そういえば、電気ストーブの後ろにデンシフロルムを置いていたら、真冬に開花して驚かされたこともありました。


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植物は自生地に住む人々と無関係に存在するのではなく、常に関わり合いながら存在してきました。特にその地域を象徴するような植物には、民族学的な関係の歴史や伝説があるものです。本日は「cardon」こと、Trichocereus atacamensisを取りあげます。一般に「cardon」と言えばメキシコに自生するPachycereus plingreiを指しますが、アルゼンチンのある地域では「cardon」と言えばTrichocereus atacamensisを指すということです。T. atacamensisの自生地における伝承をみてみます。ということで、参照とするのはMaria F. Barbarich & Marie E. Suarezの2018年の論文、『LOS GUARDIANES SILENCIOSOS DE LA QUEBRADA DE HUMAHUACA: ETNOBOTANICA DEL "CARDON" (TRCHOCEREUS ATACAMENSIS, CACTACEAE) ENTRE POBLADORES ORIGINARIOS EN DEPARTAMENTO TILCARA, JUJUY, ARGENTINA』です。

Humahuaca渓谷の自然と民族
「cardon」あるいは「pasacana」と呼ばれる柱サボテン、Trichocereus atacamensis(Echinopsis atacamensis)はアンデス地方の原産で、アルゼンチン北西部、ボリビア南西部、チリ北部を含むprepuna州に限定されます。アルゼンチンのJujuy州にあるHumahuaca渓谷では「cardon」は特徴的な要素で、東西の山脈により形成される南北に走る狭い回廊により構成されます。この地域は多様な民族があり、スペイン人が到着する数十年前にはインカ帝国の南端の一部でした。Humahuaca渓谷は草原と低木が優勢で、点在する低木と豊富な柱サボテンからなります。Jujuy州ではKolla族に属していると認識している人々は、先住民族の52.5%を占めています。

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Trichocereus pasacana
『The Cactaceae II』(1920)より。
T. pasacana=Leucostele atacamensis ssp. pasacana

Humahuaca渓谷のカルドン
Kolla族の協力者たちは、「cardon」という言葉を様々な意味で使用しました。「cardon」とはこの州に生息する直立あるいは燭台状の茎を持ち、大型の3種類の柱サボテンを指します。つまり、Trichocereus atacamensis、Trichocereus tarijensis 、Trichocereus terschekiiです。T. tarijensisは「cardon poco」、あるいは「poco」、「poco-poco」、T. terschekiiは「cardon de los valles」あるいは「pocoto」と呼ばれます。また、同様の生態や形態を持つ他の小型種を「cardonctions」と呼んでいます。逆にTrichocereus schickendgntziiやOreocereus trolliiは固有名詞がありません。地元住民は3種類のカルドンを明確に区別しています。T. atacamensisは直立しており、その大きさにより区別され、花が白いことからより優れているとされます。T. tarijensisはよりサイズが小さく赤い花を咲かせます。T. terschekiiは様々な場所で育ち、より多くの枝を持ちます。住民たちはT. atacamensisのトゲはより太く長いと述べています。また、標高や気候条件の違う産地ごとに特徴に違いが見られることを認識していました。

カルドンの物語
「cardon」には、人間の起源を持つという物語があります。その物語の大まかな概要は以下の如くです。Humahuaca族の王女とTukma(Tukman)の族長が恋に落ち、しかしそれはHumahuacaの社会には受け入れられませんでした。その時、族長は王女を探すために軍隊とともにHumahuaca渓谷にいました。しかし、呪いにより彼らは棒に変えられてしまい、その棒からcardonが芽生え聖地の守護者となり、その花の美しさは聖地の愛の美しさを表しています。
物語には複数のバリエーションがあり、呪いは王女の部族が族長に対して抱いていた憎しみから生じたという主張や、不適切な恋愛に対するPachamama (アンデスの古い神話の女神)からの罰であると主張する人もいます。また、これは呪いではなく、敵対した関係の中で、主人公たちを長命の植物に変えることにより、その愛を永続させることが出来たのだと信じている人もいます。さらに、改宗中に族長が王女を抱きしめたために、王女は花に族長はcardonの体になり、彼らの子供が渓谷のcardonになったという話もあります。族長が登場しない話もあります。それは、王女とその民が征服軍の脅威にさらされ、その土地から逃れPachamamaが、王女らをcardonに変えて守ったという話もあります。王女は年に1度だけ美しい花の姿で現れて世界を見つめます。


聖域の守護者
地元住民の語る物語の中でcardonは象徴的な役割を果たしています。太古の昔から今日に至るまで、その守護者としての役割は「antigales」など、神聖さを持つ場所で強調されます。「antigales」は先祖が住んでいた集落で、現在は遺跡がありその子孫たちにとって非常に重要です。この守護者としての主導的な神話や聖域だけにとどまりません。アルゼンチンからの独立のための戦いでcardonが重要であったと地元住民は誇らしげに語ります。

カルドンと自然
cardonはまだ幼植物の頃は、「churquis」(Prosopsis sp.、マメ科の樹木)や「airampos」(Opuntia spp.、ウチワサボテン)、または岩により守られます。逆にcardonは動物に隠れ場所を提供します。「choschori」(Octodontomys gliroides、マウンテン・デグー)のようなげっ歯類は巣穴を作り、果実を食べ、場合によっては茎も食べます。鳥も枝や枝と枝の間に巣を作ります。鳥はcardonの種子を運び、害虫を食べるため肯定的に捉えられています。家畜もcardonに関連しています。食糧や水が足りていない時には、ヤギやヒツジが小さなcardonを食べます。
cardon蛾(Cactoblastis bucyrus)は幼虫がcardonを食べる蛾で、過去20年で大幅に増加しています。都市化や大気汚染、農薬の使用の増加により鳥が減少によるものです。地元住民はcardonの健康状態は環境の状態を反映していると考えています。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
cardonは地元住民にとって馴染み深い植物であると同時に、自分たちの出自や信仰に関わる重要かつシンボリックな植物です。記事で紹介した他にも、異なるバージョンの物語もあり、大変興味深いフォークロアでした。多肉植物は人と関わりながら文化となっている例もありますから、今後も多肉植物との関わりについても調べてもいきたいと考えております。
最後に蛇足ですが、Trichocereus atacamensisの学名が変更されているようですから少し触れておきます。2012年にT. atacamensisは意外にもLeucosteleに移されました。さらに、2021年に亜種であるL. atacamensis ssp. pasacanaが命名されています。


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1月はこれと言ったイベントもありませんから、植物園に行こうかと考えていましたが、時期的に温室メインの植物園じゃないとあまり見るものがありません。近場はだいたい行ってしまい、後は千葉とか茨城、神奈川で、結構遠いので少し躊躇していました。しかし、※欄でバイオリウムをお勧めされたので、割と近いこともあり早速行ってみました。

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東京農業大学「食と農」の博物館へ到着。隣にバイオリウムがあります。ある意味話題の隈研吾氏のデザインとのこと。

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タイの闘鶏の巨大な像が目印。

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鶏像の隣にまずまず立派な蘇鉄(Cycas revoluta)。

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野良ユッカも見上げる高さに。

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隣にバイオリウムの温室がありますが、入り口がよく分かりません。博物館側から入るとみた。

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博物館の入り口前に鶏が飼育されていました。

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チャボはこじんまりとしていて可愛いですね。正式な名前は桂矮鶏というそうです。

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こちらは東天紅。日本三大長鳴鶏。

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入り口には𦥑が沢山。

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南極飯!という企画展示がありました。

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南極の動物の剥製。

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食品サンプル作りが沢山並んでいました。南極と言えば、岩波新書の『南極越冬記』(1958年刊)を思い出します。食は単純に栄養を摂取するだけではなく、日常の楽しみの1つとしても重要です。厳しく単調な生活では娯楽が少ないですからね。

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こちらはバー。

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南極に生える植物の標本もありました。

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ススキも南極では極小です。

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企画展示の裏手にも面白い展示がありました。『有用植物図説』という明治24年(1891年)の書物。このような貴重な資料も見ることが出来ます。
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単子葉類と茸。
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大根と蕪。

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タマムシの発色を再現したチタン製品とのこと。

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こちらは、東京農業大学で誕生した特別なマウスの標本。「かぐや」と命名されたので、竹から顔を出しています。母親の遺伝子だけで生まれてきたマウスですが、通常は出来ないことが分かり特別な方法を駆使しているそうです。

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2階に上がると、鶏の剥製が沢山。尾がとんでもなく長い尾長鶏。

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様々な卵。

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酒造も、日本の農耕に関する重要な文化の1つです。

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昔の古民家が再現されていました。他にも酒樽や美しい酒器なども展示されていました。

バイオリウムに行くと言っておきながら長々と博物館を見て回りましたが、次回からいよいよバイオリウムの温室に向かいます。


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いやはや、どうにも忙しく、特に2月からはバタバタしそうです。困るのは記事にする論文を探したり読んだりする時間がろくに取れそうもないことです。まあ、仕方がありませんね。というわけで、本日も我が家の多肉植物たちをご紹介しましょう。

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Ibervillea tenuisecta
メキシコ原産のウリ科植物。塊根が出来ます。

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冬でもつるを伸ばしています。

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Euphorbia heptagona
「エノプラ」の名前で販売される、いわゆる紅彩閣です。赤い新しいトゲが美しいですね。

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Euphorbia phillipsioides
いつの間にやら、フィリプシオイデスが開花直前です。蕾が沢山ついていますから、開花が楽しみです。


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Euphorbia fruticosa
フルティコサは開花してから長いですね。先始めは12月中頃でしたから、もう1ヶ月になります。


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Haworthiopsis sordida
ソルディダはこれでもだいぶ育ちました。これでも5cmくらいはあります。とはいえ、まだ貫禄はありませんね。



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昨日はアロエの命名について調査した、Estrela Figueiredo & Gideon F. Smithの2010年の論文、『What's in name: epithets in Aloe L. (Asphodelaceae) and what to call the next new species』をご紹介しました。その中では、末尾にアロエの種小名の一覧があり、名前の由来が記載されていました。ということで、せっかくですから我が家のアロエたちの由来をみてみました。

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Aloe tenuior Haw., 1825
=Aloiampelos tenuior (Haw.)
       Klopper & Gideon F. Sm. 2013
細い枝から。ラテン語の「tenuis」(細い)にちなむ。
藪状に育つアロエはアロイアンペロス属となりましたが、ヒョロヒョロと伸びるため茎は貧弱です。正に名前の通りです。


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Aloe gracilis Haw., 1825
=Aloiampelos gracilis (Haw.)
     Klopper & Gideon F. Sm. 2013

細い茎から。ラテン語の「gracilis」(細い)にちなむ。
やはりアロイアンペロスになったグリキリスですが、テヌイオルと同じく細い茎からの命名です。近縁種で同じ意味の名前は芸がありませんね。

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Aloe striatula var. caesia Reynolds, 1936
=Aloiampelos striatula var. caesia
   (Reynolds) Klopper & Gideon F. Sm. 2013

葉鞘に細い緑色の平行な線があることから。ラテン語の「striatus」(縞模様)にちなむ。

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Aloe albiflora Guillaumin, 1940
白い花が咲くことから。ラテン語の「albus」(白い)と「florus」(花が咲く)にちなむ。

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正に名前の通り白い花が咲くアロエです。アロエは暖色系が基本ですから、真白な花は珍しい部類です。

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Aloe aristata Haw., 1825
=Aristaloe aristata (Haw.)
     Boatwr. & J. C. Manning, 2014
禾のような葉の尖端から。ラテン語の「aristatus」(禾のある)ちなむ。
アリスタタはアリスタロエ属となりました。アリスタロエは1属1種の単系属です。葉は柔らかくトゲは禾状となるため、実にハウォルチア的です。


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Aloe bowiea Schult. & Schult. f., 1829
南アフリカのイギリス人園芸家で植物収集家であるJames Bowie(1789-1869)に対する献名。A. bowieaはBowieが収集しました。
James Bowieについては過去に記事にしておりますので、そちらもご参照下さい。


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Aloe pratensis Baker, 1880
牧草地にも生えることから。ラテン語の「pratensis」(牧草地に生える)にちなむ。
別に牧草地にだけ生えるわけではないみたいです。日本で流通しているプラテンシスは何だか雑種っぽい感じがします。


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Aloe thompsoniae Groenew., 1936
1924年にこの植物を採取した南アフリカのSheila Thompson博士(1930年代に活躍)にちなむ。
こちらは誤りで、著者らは後にトンプソニアエの由来を調べた論文を書いています。トンプソニアエの名前はThompson博士ではなく、動植物の収集家であるThompson夫人にちなみます。なお、Sheila ThompsonはThompson夫人の娘。過去に記事にしていますから、そちらもご参照下さい。


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Aloe fleuretteana Rauh & Gerold, 2000
マダガスカルの森林計画部長Fleurette Andriantsjlavo夫人にちなむ。


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Aloe sladeniana Pole-Evans, 1920
=Gonialoe sladeniana (Pole-Evans)
     Boatwr. & J. C. Manning, 2014

このアロエを発見した探検隊の財政的な支援者であり、イギリスの博物学者のWilliam Percy Sladen(1849-1900)にちなむ。
ゴニアロエとなったスラデニアナです。


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Aloe florenceae Lavranos & T. A. McCoy, 2004
発見者であるAlfred Razafindratsiraの妻Florence Razafindratsiraちなむ。
Razafindratsiraのファームから新種のパキポディウムであるP. enigmaticumが見つかったことがあります。


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Aloe calcairophila Reynolds, 1960
石灰地を好むことから。フランス語の「calcaire」(石灰)とギリシャ語の「philos」(友人)にちなむ。
アロエといっても様々で、A. parvulaなど嫌石灰植物もありますが、石灰岩地に生えるアロエもあります。


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Aloe haworthioides Baker, 1887
近縁であるハウォルチアに似ているから。ギリシャ語の「-oides」(似ている)に由来する。
A. aristataと同じくハウォルチア・ライクなアロエです。非常に小型で華奢なアロエです。


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Aloe humilis (L.) Mill., 1771
低成長の生息地から。ラテン語の「humilis」(適度に低い)にちなむ。
フミリスの名前の意味はよく分かりません。humilis自体は低いという意味ですから、標高とか海抜が低いということでしょうか? ニュアンスがイマイチ掴めません。


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Aloe dichotoma Masson, 1776
=Aloidendron dichotomum (Masson)
     Klopper & Gideon F. Sm. 2013

枝分かれを表す。ラテン語の「dichotomus」(二分法、二股)にちなむ。
ディコトマはアロエから独立しアロイデンドロン属となりました。A. feroxなどの巨大アロエは単頭で数メートルになりますが、アロイデンドロンは枝分かれして樹木状となります。


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Aloe variegata L., 1753
=Gonialoe variegata (L.)
      Boatwr. & J. C. Manning, 2014
斑入りの葉から。ラテン語の「variegatus」(斑入り)にちなむ。
非常に命名の起源が古いヴァリエガタですが、ヨーロッパでもっとも古くから知られているアロエの1つです。


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Aloe peglerae Schönland, 1904
南アフリカの植物学者・博物学者、植物と昆虫の収集家であったAlice M. Pegler(1861-1929)にちなむ。
ペグレラエは薄い蜜を大量に分泌することが知られており、多くのアロエと同様に鳥媒花です。しかし、ペグレラエはあまり背が高くならないせいか、鳥だけではなくネズミも蜜を舐めにくるそうです。


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Aloe plicatilis (L.) Burm. f., 1768
=Kumara plicatilis (L.) G. D. Rowley, 2013

扇形のロゼットから。ラテン語の「plicatilis」(折り畳める)にちなむ。
アロエからクマラ属となったプリカティリスですが、その名前には複雑な歴史があります。一言で説明するのは難しいので、以下の記事をご参照下さい。


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Aloe fragilis Lavranos & Röösli, 1994
傷みやすいロゼットから。ラテン語の「fragilis」(壊れやすい)にちなむ。
これは何を意味するのかはよく分かりません。葉が少し傷みやすい感じはしますか、わざわざロゼットというからには違うのでしょう。フラギリスには微妙に茎がありやや伸びながら育つため、綺麗なロゼットを維持出来ないということでしょうか?


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Aloe descoingsii Reynolds, 1958
フランスの植物学者でマダガスカルの植物多様性の専門家であるBernard M. Descoings博士(1931-)にちなむ。
最小クラスのアロエ。


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Aloe spectabilis Reynolds, 1937
外見的特徴から。ラテン語の「spectabilis」(派手な)にちなむ。
言うほど派手には見えませんが、何をもって派手と命名されたのでしょうか。スペクタビリスは高さ5mと巨大に育つからか、あるいは沢山の花を咲かせるからかも知れません。


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Aloe erinacea D. S. Hardy, 1971
トゲのある外観から。ラテン語の「erinaceus」(ハリネズミ)にちなむ。
見たまんまですね。エリナケアのトゲは硬いものの、見た目ほど痛くないトゲです。そういえば、Gymnocalycium erinaceaも同じ由来ですが、あちらはギムノカリキウムにしてはということでしょうか。


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Aloe parvula A. Berger, 1908
サイズが小さいことから。ラテン語の「parvus」(小さい)にちなむ。
小型アロエではありますが、アロエの中で格別に小さいわけではありません。

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Aloe pseudoparvula J. -B. Castillon, 2004
Aloe parvulaに似ていることから。ギリシャ語の「pseudo-」(偽の)にちなむ。
この「偽の」という名前を嫌う人もいますが、そっくりさんであることが分かりやすくて分類学的には良い名前のように感じます。


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Aloe saundersiae (Reynolds) Reynolds, 1947
Katherine Saunders(1824-1901)に対する献名。Katherine Saundersは、南アフリカのイギリス人コレクターで植物画家、ローデシアとモザンビークを探検したCharles James Renault Saunders(1857-1935)の母。
サウンデルシアエあまり多肉質ではないアロエです。献名だと名前に対するコメントが難しいですね。


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Aloe ramosissima Pillans, 1939
=Aloidendron ramosissimum
    (Pillans) Klopper & Gideon F. Sm. 2013

枝分かれが多いことから。ラテン語の「ramosus」(枝分かれした)の最上級の名詞。
ディコトマと同じくアロイデンドロンとなったラモシシマは、分岐が低い位置から始まります。


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Aloe bakeri Scott Elliott, 1891
キュー王立植物園のイギリス人植物学者、John G. Baker(1834-1920)にちなむ。
バケリは野生絶滅種のアロエです。開発により生息地ごと消滅しました。


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Aloe davyana Schönland, 1905
イギリスの植物学者で南アフリカで活動したJoseph Burtt Davy(1870-1940)にちなむ。

新宿御苑にて。

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Aloe branddraaiensis Groenew., 1940
南アフリカMpumalanga州のBranddraaiにちなむ。
神代植物公園にて。


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Aloe dorotheae A. Berger, 1906
ロンドンのMiss Dorothy Westheadにちなむ。
神代植物公園にて。


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Aloe arborescens Mill., 1768
樹木のようになることから。ラテン語の「arbor」(樹木)にちなむ。
こちらは我が家のアロエではなく、夢の島熱帯植物館の入り口近くのキダチアロエです。キダチアロエは「医者いらず」などと呼ばれ、昔から日本でも流通しているアロエです。Aloe veraが流行するまでは、アロエと言えばキダチアロエでした。屋外でも育ちますので、街路樹の根元などで野良キダチアロエはたまに見かけます。

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サボテンや多肉植物だけではなく、生物の分類やすべての研究分野において、学名というものは非常に重要なものです。野放図に各々が命名してしまえば、いったい何について研究しているのか誰にも分からなくなってしまいます。それは、我々趣味家も同じです。サボテンや多肉植物は希少なものが多く、将来的にあるいはすでに原産地では絶滅してしまった植物も、趣味家により維持されているものも少なくありません。希少な植物であるという意識と、正確な名前を維持する努力は必要でしょう。
さて、私も学名の命名法とその安定については興味があり、かなりの数の関係する記事を書いてきました。しかし、学名の由来となるとさっぱりで、単純にラテン語で特徴を示したものは分かりやすいのですが、人名由来となるとさっぱり分かりません。命名者が由来を記述していてくれたら分かりやすいのですが、学者でもない親戚に献名されていたりしたらお手上げです。というわけで、本日は学名の話です。取り上げるのは、Estrela Figueiredo & Gideon F. Smithの2010年の論文、『What's in name: epithets in Aloe L. (Asphodelaceae) and what to call the next new species』です。アロエの名前の由来について調査しています。

Aloe succotrinaの場合
学名は植物の過去と現在の分類や記述者の情報を反映しています。多くの場合、形態や地理などの情報も名前から得ることが出来ます。もちろん、その植物に常に適した名前であるとは限りません。しかし、不適切であっても名前を破棄する理由にはならず、その名前は維持される必要があります。
名前が分類学上、さらには地理的な混乱を引き起こした典型的な例として、Aloe succotrinaが挙げられます。この名前は混乱した複雑な歴史があり、200年以上にわたり誤った(由来による)名前が使われてきました。「succo trina」はソコトラ島に生息することを指すと考えられて来ましたが、実際には南アフリカにのみ自生する固有種です。「succotrina」、あるいは「socotrina」という名前は異名は、ソコトラ島固有種であるAloe perryiの葉から作られる「socotrine aloes」という薬の原料と考えられてきたから、あるいは汁が乾くと黄色くなることから「succus」(樹液)と「citrinus」(レモンイエロー)を組み合わせた合成語かも知れません。いずれにせよ、何人もの著者がA. succotrinaを誤った種と結びつけてきました。


Aloeの命名の傾向
収集したアロエの学名は933種あり、これは255年(※2010年時点)の期間に渡り命名されたものです。1851〜1860年はアロエの命名は少なく、発表された名前は1つだけ(A. microstigma)でした。最近の期間(2001〜2008年)と第一次世界大戦(1901〜1910年)および第二次世界大戦(1931〜1940年)の前の数十年はもっとも多く発表され、約300の名前が命名されました。
種小名は338がラテン語で78がギリシャ語、6がラテン語とギリシャ語の合成語でした。もっとも頻繁に使用されたのは、7回使用された「major」で、33の名前が複数回使用されています。残りのほとんどは地名や人名から派生したラテン語化されたものでした。
傾向としては、形態を示した名前がもっとも多く使用されていました。しかし、近年では形態学的特徴が使用されることは少なくなっています。これは、ラテン語の知識が失われつつあり人名や地名に基づき簡単に命名されがちであることや、外見的な特徴を示す名前がすでに使用されているからかも知れません。

生息地による名前
地理的な命名は3番目に多く、増えている命名法です。アロエ研究はヨーロッパに送られた資料に基づいていたため、標本には原産地の情報が欠けていることがよくありました。そのため、18世紀に使用された地理的な命名では、「africana」や「abbyssinica」、「arabica」など漠然としたものでした。過去10年間には地理的な命名の45%がマダガスカルに関連した名前です。

様々な名前
次のカテゴリーは他の分類群との関係性や類似性、分類群のステータスに基づく名前です。このカテゴリーで始めに登場したのは、1753年に発表された「vera」で、「真のアロエ」、つまりは商業的に真のアロエという意味でした。

16種類のアロエはその美しさ優雅さから命名されています。「amoena」、「bella」、「bellatula」、「coccinna」、「decora」、「elegans」、「elegantissima」、「grata」、「insignis」、「jucunda」、「lepida」、「pulcherrima」、「pulchra」、「speciosa」、「spectabilis」があります。ただ、このカテゴリーで利用可能な形容詞が不足している可能性があり、過去10年間で1つしか命名されていません。

アロエのアフリカでの呼び方は豊富であるのに対し、それが学名になることはほとんどありません。そのような一般名に基づく学名は6つしかなく、しかもアフリカ大陸由来のものは1つ(Aloe eru)しかありません。


形態以外の特徴による命名は少なく、過去30年記録されていません。例として、味を示すものや薬用(officinalis)、食用(edulis、esculenta)、有毒(venenosa)、石鹸(sapnaria)などです。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
種小名は植物では外見的な特徴や採取地からとられることが多いような気がしていました。しかし、africanaだのasiaticaだの大雑把な名前が古い時代のものだと気が付かされました。あと、外見的は特徴は、まあ被りますから使える名前が減っていくのは仕方がありませんね。しかも、「小さい」の意で命名したのに、後にさらに小さい種が発見されたりしますから、学名は必ずしもその特徴を効果的に示しているとは言えません。命名時には有意味であっても、やがて識別のための記号と化してしまうのでしょう。
さて、明日は実際のアロエの名前とその意味を見てみましょう。


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去年の12月に行った夢の島熱帯植物館の続きです。長く続いた記事も、本日が最終となります。建屋の周囲をぐるりと一回りして帰りました。

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巨大な切り株はマレーシアから運ばれてきたものだそうです。フタバガキ科の樹木をラワンと言いますが、日本ではラワンと言えば材の名前として流通していますね。「ショレア・アクミナティッシマ」と説明にありましたが、要するに「Shorea acuminatissima」のことです。2022年にRichetia属に移されました。

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椰子の根元に何かが絡みついています。いったい、何ものでしょうか? 気になりますね。

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2階のオーストラリア庭園から見えたカミヤツデらしき植物。

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薬草園は時期的に閑散としていましたが、アーモンド(Prunus dulcis)はまだ葉がありました。

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建物の裏に周ります。

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裏手の花壇に花が咲いていました。ウィンターセージ(Salvia semiatrata)でしょうか。メキシコの高山に生え、サボテンと一緒に生えるそうです。

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パンパスグラスがあったりします。

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海が一望出来るベンチがありました。船が沢山停留しています。

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1周回って正面に戻ってきました。立派なアコウ(Ficus superba)がありました。
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この寒い中、実が沢山ついています。
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太い幹からも直接実がなります。温室内のカカオと同じ幹生果ですね。幹生果は実に熱帯的ですが、アコウは南方系とはいえ紀伊半島以南まで自生します。
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ガジュマルやアコウなどのイチジク科植物の中には、気根を伸ばすものがあります。

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さて、反対側にもあった椰子に絡まる謎植物ですが、こちら側にもありました。
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すごい絡まりぶりです。
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実がなっていました。明らかにイチジク科植物ですが、近くにあるアコウかは分かりません。むしろ、椰子にもともと絡んだまま一緒に植栽されたような気もします。

というわけで、夢の島熱帯植物館へ行ってきた記録となります。熱帯植物を十二分に堪能しました。夢の島熱帯植物は、まず椰子が巨大でしたね。さらに、関連する植物が並んでいたりしますから、これは良い展示方法だと思いました。しかし、あらかじめ事前知識を必要としますから、詳しければより楽しむことが出来ます。冬でも加温温室のある植物園は暖かく緑に溢れています。皆様も植物園へ行ってみてはいかがでしょうか。


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本日は久しぶりに縞々バンドの硬葉系ハウォルチアを取り上げましょう。由来不明の「十二の巻」が代表的ですが、よく似たH. attenuataとH. fasciataは混同されますが、H. fasciataはあまり見かけません。しかし、このようなタイプのハウォルチア人気がありませんか、どうにも気になってついつい買ってしまうので、いつの間にやら増えてしまいました。

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十二の巻
由来がよく分からない十二の巻です。一般的にはH. fasciataとされていますが、実際にはH. attenuata系と推測されます。しかし、結節は明らかにH. attenuataの特徴を示しますが、葉の丸みはA. fasciataに似ていますね。園芸店や植物園でもH. fasciataの名前で十二の巻が販売・展示されているのは残念なことです。

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十二の巻
こちらは、ワイルドバンドの十二の巻。従来品とはバンドが異なるタイプが最近は沢山出回っています。

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特アルバ
特アルバは結節が目立つH. attenuataですが、ちゃんとH. attenuataとして販売されていますね。葉のシャープさはいかにもなH. attenuataです。

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スーパーゼブラ
スーパーゼブラは結節が密につまる選抜品種です。H. fasciataの名前で販売されますが、おそらくは十二の巻の選抜品種です。

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H. attenuata RIB 0060
こちらは野生から採取されたフィールドナンバーつきのH. attenuataです。野生個体は一般的に結節がつながりません。葉がシャープで、葉の内側にも結節があります。

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H. attenuata f. tanba
こちらはH. attenuataの矮性品種です。とはいえ、葉が太いため短く見えるだけで、意外と大きくなります。

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H. fasciata DMC 05265
こちらはフィールドナンバーつきの正真正銘のH. fasciataです。H. fasciataは葉の内側に結節がなく、H. attenuataよりも均整のとれた姿になります。割とレア。

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H. fasciata var. browniana
H. fasciataの変種ですが、画像検索で出てくる一般的なブロウニアナとはあまり似ていません。ブロウニアナの特徴はよく分かりませんが、結節がやや横長のような気がします。私の入手個体は結節が白くありませんが、結節が横長ですから一応特徴は一致しますね。

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H. fasciata fa. vanstaadensis
H. fasciataの矮性品種。こちらは全体的に小型。



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今年初の多肉植物のイベントはビッグバザールです。私にとってはもっとも寒い時期のイベントとなります。
さて、12日は天気が怪しく朝は非常に寒くなかなか布団から抜け出せませんでした。結局、五反田TOCに着いたのは10時半をまわっていましたが、流石に待機列は解消していたので、むしろちょうどよいくらいでしたね。

さて、今回のBBはどうだったでしょうか。特に目的を決めずに来たので、割りとぼんやり見て回りましたが、最近気になっているアデニアはあまりありませんでした。手持ちにあるので購入しませんでしたが、ガステリアが結構ありましたね。以前は滅多に見かけませんでしたが、多少は人気が出てきたのでしょうか? 傾向としては、エケベリアやアガヴェ、ハウォルチア、コーデックスが相変わらずメインです。小さなパキポディウム苗も沢山ありました。ユーフォルビアも非常に豊富で、私の手持ちにない種類ばかりでした。サボテンも以前と比べるとあちこちにありました。
そういえば、Echinoagaveが提案されていますが、前回のBBで上手く1株しかないA. albopilosaを入手しましたが、今回はどういうわけかあちらこちらで見かけましたね。とはいえ、すでに入手済ですから、今回は同じくEchinoagaveとされる吹上を探しました。吹上はおそらく5株ほどあったと思います。事前に配布された配置図が少し違うようでしたから店名はよく分かりませんでしたが、入って左側の窓際のブースで吹上を購入しました。ただの吹上ではなく、「姫吹上」とありました。姫とつくことからして、小型なのでしょう。まあ、そちらの方が私の好みですから良かったですね。次にラフレシアリサーチを覗いて、珍しいユーフォルビアを2つ購入。そういえば、珍しいことにラフレシアリサーチにEuphorbia antsoがありました。E. antsoを見たのはこれで2回目です。安かったのですが、欲しいかと聞かれるとただの灌木なので微妙な感じがします。温室に地植えとかならよさそうですけどね。

さて、そんなこんなで購入品です。名前はラベル表記のママです。

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白葉姫性吹上
吹上の矮性品種のようです。白葉とありますから、より白いタイプなのでしょう。
吹上については調べたのですが、よく分かりません。A. strictaあるいはA. striataとされますが、混同されているようです。日本ではほとんど問題視されていませんが、海外では結構議論になっているみたいですね。
海外のサイトでは、A. strictaの葉は黄緑色や緑色、灰緑色で断面は四角で丸みを帯びることもあり長さ35cm程度で鋭いトゲがあり、葉はやや湾曲しておりもっとも葉が密に詰まったアガヴェとのことです。A. striataの葉はやや平らで長さ60cm程度になり、尖端のトゲが長いようです。ただ、サイズなどには幅があり、花の特徴が最大の違いのようです。今度、詳しく調べてみることにしましょう。
さて、問題はまだあり、姫性とは何かです。矮性品種には昔からあるやや小型の「姫吹上」と非常に小型の「ナナ」がありますが、「ナナ」はA. stricta 'Nana'とされますが、特徴的にはA. striataのような気がします。「姫吹上」はよく分かりません。昔の吹上は大きかったとよく聞きますがこれは実はA. striataで、それより小型なA. strictaを姫吹上と命名したなんてことはないでしょうか? まあただの想像です。しかし、私の入手した個体は、A. striataっぽい雰囲気がありますが、まだ小さいため特徴は明らかではないかも知れません。


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Euphorbia mitriformis
何やら気になる外見のユーフォルビアでしたが、なんとソマリアものでした。要するに標高1000mを超える高地性です。なんとなく顔つきがE. phillipsiaeに少し似ていますね。


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怒竜頭 Euphorbia micracantha
とんでもない名前の塊根性ユーフォルビア。どうやら、2022年に飛竜(E. stellata)の亜種になったようです。飛竜の平たい枝に対し怒竜頭は角柱型の枝が出ます。しかし、名前を変更したBruynsは詳しい根拠もなく学名のリスト上で安易に名前を変更してきますから、どの程度正しいのかは分かりません。

というわけで2025年最初の多肉植物のイベント、新年のサボテン・多肉植物のビッグバザールでした。現状、1月2月は特にこれと言ったイベントは無さそうですから、どこか植物園に行くつもりです。次のイベントは3月のBBですかね? 


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