ユーフォルビア・オベサ・ドットコム

10月に行った東京農業大学のバイオリウム温室の続きです。季節的によく葉が茂り、名札が増えて情報量が増え、前回より見どころが増えています。


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カエンボク(火焔木) Spathodea campanulata
アフリカ中部に広く分布するノウゼンカズラ科の花木。ジャカランダ、ホウオウボクと合わせて世界三大花木とされますが、世界の侵略的外来種ワースト100とされています。



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スナバコノキ(砂箱の木、Hura crepitans)に着生する巨大なアスプレニウム。アスプレニウムはヤエヤマオオタニワタリ(Asplenium setoi)。ヤエヤマオオタニワタリは台湾、小笠原諸島、沖縄に分布します。
そういえば、スナバコノキは筑波実験植物園の個体が立派でしたね。幹にトゲがあるためか「猿が登れない」だとか、トウダイグサ科のせいか「毒の木」だとか、果実が爆発することから「ダイナマイトの木」だとか、果実の殻に羽根ペンで書いたインクを乾かすための砂を入れていたから「砂入れの木」だとか面白い名前があるそうです。



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インドシクンシ(印度使君子)
Quisqualis indica var. villosa

シクンシは東京薬科大学の薬用植物園でも見かけましたが、未だ花は見ていません。私も最近気が付いたのですが、いつの間にやらQuisqualis属はCombretum属に吸収されたようです。新しい名前はC. indicumとのことです。ちなみに、シクンシに変種は認められていないようです。
しかし、シクンシの名前は変わったわけですが、名札の名前を変えるべきか否かは難しいところではないでしょうか。というのも、学名がこれからも不変である保証はなく、変遷するかも知れないというのが1つです。その都度変えればいいようにも思えますが、名札を変える手間が面倒くさい以外にも問題をはらんでいます。例えばですが、Q. indica var. villosaの名前で植物を入手したとして、名前が変わったからと言って名札をC. indicumに変えたとしましょう。しかし、後にvar. villosaが認められて、var. indicumと区別されるべきだということになったらどうなるでしょうか。その植物はC. indicumという情報しかないため、それがvar. villosaであったということが分からなくなってしまうかも知れません。入手時の記録や、名札の名前の変遷がデータベースとしてあれば、施設側は問題はなさそうですが、私のような一般客は混乱するでしょう。出来れば異名として記載があれば最良ですが、どのように表記すべきかは本当に難しいですね。


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Euphorbia geroldii
トゲナシ花キリンと呼ばれるゲロルディイが咲き乱れています。冬に期待時には咲いていませんでしたが、これだけ生えていたらさぞ花期は豪奢なことだろうと思いましたが、素晴らしい光景です。

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花キリンですから目立つのは花弁ではなく苞です。しかし、ゲロルディイは花キリンの中でも花が大きく、苞の形が丸く色も目立つため、花キリンの中でも抜群に美しいですね。
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しかし、このゲロルディイは、花に斑が入っていますね。初めて見ました。


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トゥアールソテツ Cycas thouarsii
高さ10mとなる、大変優美な葉を持つ蘇鉄。
Madagascar cycadとは言われますが、マダガスカルだけではなくケニア、モザンビーク、タンザニア、コモロ諸島、アルダブラなどにも分布します。コモロ諸島では有毒の種子を毒抜きして食用とするそうです。

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Moringa drouhardii
マダガスカル原産のワサビノキ科の樹木。種子や葉は食用となるそうです。モリンガもボトルツリーと言われるそうですが、代表的なBrachychitonだけではなくAdeniumやAdansonia、Pachypodium lealii、Ceibaなど幹が太る樹木もボトルツリーと呼ばれることがあるようです。
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見上げる高さに葉があります。


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Adansonia gregorii
オーストラリア原産のバオバブ。説明としてバオバブがアフリカ大陸とマダガスカル、さらにはオーストラリアに分布するのはかつて地続きだったことの根拠の1つとありました。実はバオバブの進化に関する論文をちょうど読んでいるところなので、出来れば今年中に記事にしたいと思っています。

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さらに、アフリカとオーストラリアの関係と言えば、蘇鉄の分子系統解析をした論文を思い出しました。アフリカ大陸に分布するEncephalartosは、同じアフリカ大陸に分布するStangeriaにそれほど近縁ではなく、オーストラリアに分布するLepidozamia、Macrozamia、Boweniaに近縁だと言うのです。ペルム紀から三畳紀にかけて存在したパンゲア大陸では、アフリカ大陸とオーストラリアが後の南極大陸を挟んでつながっていました。南極大陸からはEncephalartosとオーストラリアの蘇鉄の共通祖先と考えられる化石が発見されています。共通祖先が後のアフリカ大陸と後のオーストラリアに分布を拡大し、やがてそれぞれの地で属分化が起こったというシナリオが考えられます。非常に興味深い研究です。


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最低気温がめっきり下がり、寒い日が続きます。多肉植物の室内への取り込みも本格的にやらないと、あっという間に降霜が始まってしまいます。本日も多肉植物たちを取り込みます。ユーフォルビアに加え、海外の蘇鉄類を取り込みました。


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海外の蘇鉄類と花キリンの仲間。


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花キリンの仲間とその他ユーフォルビア。


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Euphorbia bubalina
ブバリナが激しく開花しています。8輪も咲きました。株が充実しているのでしょうね。



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Euphorbia pseudoglobosa
プセウドグロボサはグロボサと異なり、出来た球の生長が止まらずに伸び続けたりします。ですから、きれいな玉にはならなかったりします。


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Pachypodium rutenbergianum
ルテンベルギアヌムは枝を伸ばしているところです。今年はよく枝が伸びました。枝は切り詰めて枝を増やしていく予定です。観葉植物のベンジャミナのように葉をわさわさと茂らせたいですね。



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そういえば、10月中頃に東京農業大学のバイオリウムに行きましたが、バオバブ(Adansonia digitata)の種子を売っていたので購入しました。しばらく忘れていたのですが、播種してみました。何でも、種子が非常に硬いため、色々な方法で軟らかくしたり削ったりする必要があるそうです。私は種子についていた説明書を見て、熱湯を使った方法を試しました。種子を約80℃のお湯に浸けるとのことですが、温度計がないので勘で沸騰前くらいのお湯にしましたが、まあいい加減なものです。種子を丼に入れて熱湯をたっぷり注いで、24時間放置。あとは、赤玉土に鹿沼土を混ぜた用土に播種し、腰水してラップを鉢に被せて放置です。
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バオバブの発芽には温度が必要らしく、夏に播種しないと成績が悪いとされているようです。普通は直ぐに発芽しますから、1週間経っても芽が出ないので駄目かもと思いましたが、2週間経ってようやく発芽しました。発芽は3つまいて1本だけですが、種子の鮮度などもありますから、良し悪しはわかりません。しかしまあ取り敢えずは良かったですね。


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一昨年から2010年以降のエケベリアの新種についての記事を書いています。去年は新たに命名された新種と、一昨年の情報に漏れがあったため追記しました。今年も、あれから1年で命名された新種の情報を追加します。追記した部分は【追記】と表記しています。また、去年の記事は誤記が散見されたため、修正しております。いくつかの新種には画像リンクを貼っておりますからご参照下さい。

実はサボテンや多肉植物も、毎年のように新種が発見されています。地球上のすべての土地が調査し尽くされているわけではないため、未踏の場所を調査したら新種は見つかるもののようです。さらに、詳しく研究されず、似た種類を1種類にまとめてしまっていたりもします。そのようなものは、最近になって再び研究されて整理され始めています。ここ10年ちょいの多肉植物の新種については、サボテン、アロエ、アガベ、セダムについて最近記事にしてまとめて来ました。本日はエケベリアの近年の新種について見てみましょう。論文を軽く漁っただけなので、すべての新種を網羅してはいないかも知れません。

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Echeveria whitei
『Addisonia』(1925年)より。


2010年
【追記】メキシコのJalisco、Nayarit、ZacatecasのSierra Madre山脈より、新種であるEcheveria perezcalixiiが記載されました。E. fulgensと似ていますが、葉は尖り透明な縁があるなど特徴が異なります。
https://www.inaturalist.org/taxa/546477-Echeveria-perezcalixii


2011年
★メキシコのMichoacanより、新種のEcheveria purhepechaが記載されました。


2012年
メキシコのSinaloaより、新種のEcheveria julianaが記載されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/1256793-Echeveria-juliana


2013年
★メキシコ西部のSierra de Manantlanより、新種のEcheveria yalmanantlanensisが記載されました。石灰岩の山塊Cerro de Grandeの固有種です。2023年に新属であるChazaroa属が提唱され、Chazaroa yalmanantlanensisに変更されました。 
https://www.inaturalist.org/taxa/1494949-Chazaroa-yalmanantlanensis


2014年
★メキシコのColima火山より、新種であるEcheveria muniziiが記載されました。E. fulgensに似ています。
★メキシコ西部Colimaの石灰岩地より、新種であるEcheveria cerrograndensisが記載されました。E. fulgensと近縁と考えられます。
https://inaturalist.nz/taxa/1141146-Echeveria-munizii
★メキシコのJaliscoより、新種のEcheveria marianaeが記載されました。E. novogaliciana、E. dactyliferaに似ています。


2015年
★メキシコのJaliscoより、新種であるEcheveria rulfianaが記載されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/1354116-Echeveria-rulfiana/browse_photos
【追記】メキシコのOaxaca州より、新種であるEcheveria longissima subsp. brachyanthaEcheveria nuyooensisEcheveria triquianaEcheveria uhlii subsp. coelestisが記載されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/275973-Echeveria-craigiana


2016年
★メキシコのMichoacanより、新種であるEcheveria pistioidesが記載されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/628717-Echeveria-pistioides
★メキシコのMichoacanより、新種であるEcheveria coruanaが記載されました。

https://inaturalist.laji.fi/taxa/1257392-Echeveria-coruana


2018年
★ペルーのLimaで、新種であるEcheveria deltoideaEcheveria fruticosaが記載されました。E. deltoideaはE. chiclensisと似ていますが、葉がより大きく幅広で平らな点が異なります。E. fruticosaは直立あるいは横臥する目立つ地上茎を持ちます。
https://www.inaturalist.org/taxa/1597266-Echeveria-fruticosa


2019年
★メキシコのMichoacanより、新種であるEcheveria michihuacanaが記載されました。
https://inaturalist.ala.org.au/taxa/1446671-Echeveria-michihuacana
★メキシコのGuerreroより、新種であるEcheveria xochipalensisが記載されました。
★メキシコのNevado de Colima火山より、新種であるEcheveria sonianevadensisが記載されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/953368-Echeveria-sonianevadensis/browse_photos
【追記】アルゼンチンより新種であるEcheveria argentinensisが記載されました。80年前にJujuy州の標高2700〜3600mで採取されE. peruvianaとされましたが、50年前に新種であると記録されたものの正式に記載されておりませんでした。また、Salta州で新種であるEcheveria saltensisが記載されました。ペルー原産のE. chiclensis var. cantaensisに似ています。
https://inaturalist.mma.gob.cl/taxa/1172257-Echeveria-argentinensis

https://www.inaturalist.org/taxa/1568823-Echeveria-saltensis


2020年
★エクアドルとペルーの国境より、既存種より2種の新種が分離されました。1つはEcheveria quitensisとされてきた中から、Echeveria cojitambensisが分離されました。もう1つはEcheveria cuencaensisと混同されてきたEcheveria tabaconasensisが分離されました。
https://inaturalist.lu/taxa/1413842-Echeveria-cojitambensis
★メキシコのSinaloaより、新種であるEcheveria coppiiが記載されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/1203812-Echeveria-coppii


2021年
★ペルーのTayacaja州より、新種であるEcheveria incaicaが記載されました。E. oreophilaに似ています。
★ペルーのCastrovirreyna州より、新種のEcheveria ostolazaeが記載されました。
★メキシコのGuerreroより、新種であるEcheveria islasiaeが記載されました。
★メキシコのDurangoより、新種であるEcheveria kristeniiが記載されました。E. dactyliferaおよびE. novogalicianaに似ています。



2022年
★メキシコのOaxacaのMixteca Atla山地より、新種であるEcheveria andreaeが記載されました。


2023年
Echeveria pringlei var. parvaを独立させ、Echeveria flammigeraを代替名として記載しました。


2024年
メキシコのMichoacanより、Echeveria sotoiが説明されました。E. gibbifloraに似ていますが、茎は細く背が高くなり、葉はより細く紫がかる灰白色にはならないことや、花のいくつもの細かい特徴が異なります。【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2025.により新種として記載されました。
★メキシコのMichoacanより、Echeveria coalcomanensisが説明されました。【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2025.により新種として記載されました。
★メキシコのJaliscoより、Echeveria cuevasiiEcheveria vazqueziiが説明されました。E. cuevasiiは亜低木状で中型のロゼットなどSeries NudaeのE. flammigeraと特徴を共有していますが、短枝が少なく葉が長く花序あたりの花が多いなど異なる特徴があります。E. vazqueziiはE. marianaeやE. novogalicianaと似ていますが、大きく無毛のロゼット、短い花序、Series Gibbifloraeに典型的な複数の花序からなる円錐花序を持ちます。
【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2025.により新種として記載されました。


2025年
【追記】2025年に報告された新種については、まだ論文が出ただけです。来年に正式に記載されることになります。
【追記】メキシコのJalisco州より、新種であるEcheveria machucaeが説明されました。E. flammigeraに似ていますが、茎や葉が大きく総状花序から時に萼片状の花序を持つなど特徴が異なります。また、E. multicaulis、E. pringlei、E. longisepalaとも比較されます。
【追記】メキシコのGuanajuato州より、新種であるEcheveria barbosaeが説明されました。
【追記】コロンビア北部の山岳地帯から、新種であるEcheveria oswaldianaEcheveria adrianaeEcheveria mutisiiEcheveria boyacaensisが説明されました。
【追記】メキシコのOaxaca州より、新種であるEcheveria altamiraeEcheveria apoalaEcheveria mazateca、Echeveria porfiriana、Echeveria yoloxensisが説明されました。



以上がエケベリアの新種たちです。意外と新種は見つかっていますし、これからも見つかる可能性が高そうです。エケベリアの分布の中心はメキシコのようですが、エクアドルやペルー、コロンビアでも新種が見つかっていますね。もしかしたら、メキシコ以外では調査が遅れているだけで、これからまだまだ新種が見つかるかも知れません。また、今は何と言っても遺伝子解析の時代です。エケベリアは形態学的によく似た種類が多いため、混同されている種類もありそうですから、遺伝子解析により大幅に改訂されてしまうかも知れません。これからのエケベリア研究は目が離せませんね。


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10月に行った新宿御苑の続きです。今回は花メインでどんどん進みます。


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キツネノゴマ科のパキスタキスです。一般的に栽培されるパキスタキスはPachystachys luteaなので、おそらくそうでしょう。ブラジル、ペルーの原産。
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黄色の部分は苞で、飛び出してくる白いものが花弁です。


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絶妙な色合いのハイビスカス。花も非常に大型でした。


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Nepenthes × mixta
ウツボカズラの自然交雑種。現在の学名はN. × northisiiで、組み合わせはN. maxima × N. northianaです。



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Kaempferia galanga
地面に張り付くような葉を持つバンウコンの仲間。インドではスパイスに、中国では漢方とします。ショウガ科。南アジア、東南アジア、中国南部の原産。



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Aristolochia gigantea
巨大な花を持つウマノスズクサ科植物。前回来た時も咲いていましたが、今回は沢山咲いていました。


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Dichorisandra thyrsiflora
Blue Gingerと呼ばれるツユクサ科植物。去年来た時はまだ蕾で咲いていなかったのでラッキーでした。オオタチカラクサという名前もあるようです。ブラジルの原産。

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非常の濃厚な紫色です。


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Curcuma zedocaria
夏ウコン、紫ウコンと呼ばれ、生薬とされるショウガ科のガジュツ(莪朮)です。アッサム、バングラデシュ、東ヒマラヤの原産。東京薬科大学の薬用植物園でも見ています。



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Zingiber zerumbet
ハナショウガ、シャンプージンジャーと呼ばれるショウガ科植物。食用となる他、シャンプーになるようです。南アジア、東南アジア、中国南部の原産。



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Tapeinochilus ananassae
クスダマジンジャー、マツカサジンジャーと呼ばれるショウガ科ではなくオオホザキアヤメ科植物。今回はずいぶんと色あせていますが、既に開花した後なのでしょう。以前、新宿御苑に来た時には、目が覚めるような赤色の花穂を見ることが出来ました。




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9月に行った東京薬科大学の薬用植物園の記事の続きです。灼熱の温室を出て、少し周囲を散策しました。珍しいことにヤマノイモ属(Dioscorea)が沢山ありましたから、本日はヤマノイモ属特集です。しかし、これほど沢山のヤマノイモを見たのは初めてです。そういえば、『栽培植物と農耕の起源』で知られる中尾佐助は、東南アジアでの調査中に様々な野生のヤマノイモを見つけ、すり下ろして食べてみたとのことですが、中には有毒なものもありそうですが、しかし昔の研究者は豪気な人も多かったように思います。


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ヤマノイモ(山の芋) Dioscorea japonica
一般的にヤマイモと呼ばれている芋ですが、ヤマイモは日本で食用となるヤマノイモ科食用の芋の総称です。一般的に売られているのは実は別種のナガイモ(D. polystachya)で、ヤマノイモは稀に自然薯という名前で販売されます。ヤマノイモはすり下ろすとナガイモより粘り気が強いのが特徴です。アッサム、中国、韓国、台湾、日本の原産。



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ナガイモ(長芋) Dioscorea polystachya
流通量が多いヤマイモと言えば、この長芋です。D. batatasの名前で知られていましたが、現在はD. polystachyaとされているようです。長芋はすり下ろすとやや水っぽいので、個人的には柵状に切って食感よく生で食べたり、火を通した方が美味しいような気がします。中国、韓国、台湾の原産。



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ダイジョ(大薯) Dioscorea alata
南アジア、東南アジア、ニューギニア島あたりの原産ですが、日本でも南方で栽培されており、沖縄では大薯をヤマイモと呼んでいるそうです。長芋より粘り気が強く、紫色のものもあります。


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ニガカシュウ(苦荷首烏) Dioscorea bulbifera
大きなムカゴがつくため、エアーポテトとか宇宙芋の名前で観賞用に園芸植物として販売されています。名前の通りニガカシュウの芋は苦いのですが、アフリカでは茹でて苦味を除去して食用としているそうです。アフリカ、マダガスカル、南アジア、東南アジア、中国、ニューギニア島、オーストラリア、韓国、台湾、日本の原産。


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ミツバドコロ Dioscorea hispida
南アジア、東南アジア、ニューギニア島、オーストラリア、台湾の原産。芋は食用とされますが、毒があるため水に晒して毒を除去するそうです。また、熱帯アメリカ原産のD. trifidaをミツバドコロと呼ぶこともあるようですが、基本的に葉は5裂します。



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アケビドコロ Dioscorea pentaphylla
南方では芋を食用とするそうです。芋は有毒ですが煮ることにより毒を除去するそうです。南アジア、東南アジア、ニューギニア島、オーストラリア、中国南部、台湾、沖縄北部の原産。



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ハリイモ Dioscorea aculeata
ヒマラヤ、東南アジア、ニューギニア島の原産。食用ヤムの1種。トゲドコロ(棘野老)という名前の方が一般的なようです。
ネームプレートには「D. aculeata L.」とあり、Syn.(異名)として「D. esculenta (Lour.) Burkill」とありました。しかし、D. aculeataは同じ名前の植物が3つもあります。von LinneによるD. aculeata L.はバングラデシュやインドの原産でこれは別種です。D. esculentaを指すD. aculeataは、「D. aculeata Roxb.」にあたります。そして、D. aculeata L.が認められた名前であるならば、当然ながら同名のD. aculeata Roxb.は認められません。ですから、ハリイモの学名は「Dioscorea esculenta」が正しいということになります。ハリイモやトゲドコロという名前の通り、ツタや根にトゲがありますが、まさに「D. aculeata var. spinosa」という異名があります。ちなみに、もう1つのD. aculeataは「D. aculeata Balb. ex Kunth」で、アフリカ原産のD. cayenensis subsp. cayenensisの異名です。



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Dioscorea kalkapershadii
バングラデシュやインド原産ですが、あまり情報が出てきません。珍しい種なのかも知れませんね。


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8月に行った神代植物公園の食虫植物展の続きです。ラン室から出て、ベゴニアの部屋、さらには熱帯スイレンを見ていきます。ここいら辺はただ見るだけです。


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ベゴニアのフローティングフラワー。花が大きく八重咲きなので豪華に見えます。


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何やらオシャレな空間です。


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いつ来ても満開ですね。


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ベゴニアの部屋から出て熱帯スイレンの部屋に入ります。こちらは部屋に入ると直ぐにある赤バナナ。
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よく見るとバナナはなっていましたが、まだ赤くありませんでした。


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様々な熱帯スイレンが咲いていました。


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'Ultra Violet'
花弁の数が非常に多いですね。2007年作出。


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'Pink pearl'
優しい色合いで先端が濃いタイプです。1947年作出。


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'White Pearl'
花弁の形がスッキリしています。黄色の花蕊が目立ちます。



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'Wood's Blue Goddess'
青みがかる花に紅色のクラウンのような花蕊が目立ちます。



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'Bull's Eye'
花弁が細く非常に枚数が多くなる品種。2007年作出。


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'St. Louis Gold'
スッキリした黄色いスイレン。1956年作出。


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'Rachel Presnell'
大菊のような花弁のスイレン。花の中央の花弁が短く盛り上がるため、そう見えるのでしょう。



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'June Alison'
非常に整った形の品種。1980年作出。



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多肉植物たちの室内への取り込みを始めています。大抵のユーフォルビアは寒さに弱いため、優先的に取り込みます。


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Aloe albiflora
アロエでは珍しい純白な花を咲かせるアルビフロラが開花しています。花茎がもう1本出ていますから、株が充実しているのでしょう。



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Euphorbia primulifolia
プリムリフォリアは葉がよく茂ってますが、新しい葉の生長が鈍ってきたため室内に入れます。


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Euphorbia begardii
ベガルディイも室内へ。プリムリフォリア系ですかが、葉は全縁で波打ちません。


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Euphorbia subapoda
スバポダはサイズが小さいため、葉は控え目です。やはり、プリムリフォリア系。


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Euphorbia caput-medusae
カプトメドゥサエは枝がよく出て、今年は良い感じです。



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11月1日に横浜市の港北区にあるヨネヤマプランテイションで開催された、多肉植物のイベントに行って参りました。その帰りに同じ港北区にあるコーナン港北インター店に寄るのは、毎度恒例となっています。何と、今回は三連休に合わせてコーナンでも多肉植物のイベントを開催するということです。どのような多肉植物が見られるでしょうか。


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巨大な鉢植え替えに植えられた椰子の木。


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飾り気がなさすぎるイベントのポスター。コーナンっぽいですね。


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イベント会場は外のテントです。


店舗の方の多肉植物はいつもより少ない感じでしたが、駐車場にテントを張って沢山の多肉植物が並べられていました。何とヨネヤマプランテイションのイベントよりラインナップが豊富でした。まあ、珍しいものはなく、半分はエケベリアでしたけどね。今回はバルサミフェラと格安の笹の雪苗を購入しました。


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Euphorbia balsamifera
バルサミフェラは何年か前に購入しましたが、菌核菌が感染してしまい根に深刻なダメージがありました。殺菌剤で菌は防除しましたが、新しい根がなかなか復活せず葉も拗れてしまいあまり出ません。菌核菌は他のユーフォルビアでも発生し、菌は消えても根が張らなくなりじわじわ弱って枯れてしまいました。ですから、結局は枯れてしまう可能性が高いのでまた買ったわけです。


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笹の雪 Agave victoriae-reginae
可愛らしい笹の雪の小苗です。アガヴェは集めていませんが、アガヴェの中でも格別な美しさがありますからいつか買おうと思っていました。あまり小苗は見かけないため、苗から育てたいのでなかなか食指が動きませんでしたが、今回実に小さな苗でしたから購入を決めました。


コーナン港北インター店のイベントは、色々な生産者の苗が並んだため、バラエティー豊かで見ていて楽しかったですね。店内では寄せ植えや苔テラリウムのワークショップも開催されていました。そういえば、店内にアロイドが並んでいましたが、ヨネヤマプランテイションもアロイドだらけでしたね。思い起こせば、オザキフラワーパークはかつてサボテンが並んでいたスペースはアロイドに占領されていましたから、時代はアロイドなのかも知れません。ビカクシダは種類や園芸品種が少ないこともあり、多少流行りましたが小ブーム程度でした。しかし、アロイドは種類が多く多様で、園芸品種も豊富です。タイなどでは盛んに品種改良が進行中です。どうも、アロイドブームはしばらく続きそうですね。現地球だの密輸だのと胡散臭い話だらけの多肉植物界とは異なり、それらとは無縁なアロイドブームは園芸としても健全でしょう。全くうらやましい限りです。


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この三連休は横浜市の港北区にあるヨネヤマプランテイションで多肉植物のイベントが開催されたので、昨日いって参りました。「多肉植物BIGフェア」というイベントですが、今年は4月と7月にも開催されています。掘り出し物があるかも知れませんから、毎度楽しみにしています。


今年開催されたイベントの様子は以下のリンクをご参照下さい。




先週の予報では雨でしたが、よく晴れました。9時くらいに新羽駅に到着しましたが、既に多肉植物ファンが沢山集まっていましたね。
さて、ラインナップですが、時期的にケープバルブが沢山ありました。また、PseudobombaxやOthonnaは沢山ありました。サボテンは亀甲兜や精巧殿の他、珍しく白星や姫春星、希望丸などマミラリア系が豊富でしたね。ユーフォルビアではE. tortiramaやE. micracanthaなんかもありました。蘇鉄はCycas revoluta苗、Zamia furfuracea苗、Enephalartos horrdus苗あたりがありました。しかし、今回は全体的に目新しさはありませんでしたね。それほど目を引くものはありませんでした。まあしかし、記念にピグマエアの小さな苗を購入することにしました。


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三連休の開催を告げるポスター。


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Ceraria pygmaea
ケラリア属はポルツラカリア属に吸収されたので、現在はPortulacaria pygmaeaとなっています。ちょっと前に少しブームがあって、五反田BBでも大量に出回りだいぶ安くなりました。最近は実生する人も増えましたから、割りと入手しやすくなりました。ポルツラカリアはスベリヒユ科でしたが、今はディディエレア科です。



さて、イベントは20分ほどで切り上げ、直ぐに横浜市営バスに乗りコーナン港北インター店を目指します。何とこの三連休はコーナン港北インター店でも多肉植物のイベントを開催しているとのことです。コーナンの様子は明日記事にします。


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ここ2年ばかり、2010年以降に発見されたセダムについての記事を書いています。ということで、今年もセダムの新種2025をお届けします。
本日はあれから1年経って、当時は論文が出ただけで正式に記載されていなかった新種がどうなったのでしょうか。答え合わせの時間です。さらには去年の記事からは漏れていた種も追記しました。新たな情報には【追記】と表記してあります。あと、いくつかスペルミスもあったので修正したのと、いくつかの種には画像のリンクを貼りました。

Sedumは丈夫で育てやすく、寄植えやグランドカバーなど用途の幅も広く、その種類も非常に沢山あります。しかも、近年に至っても沢山の新種が発見されています。新たな調査により発見される場合もありますが、近年の特徴は遺伝子解析による新種の発見でしょう。産地ごとの微妙な違い程度と考えられて変種や亜種とされてきたものが、遺伝子解析により分離されるという報告がなされるようになりました。このように、新種の発見は大変興味深いものです。しかし、我々趣味家には中々情報が入って来ないものです。本日はそんなセダムのここ10年と少しの新種について、ごく簡単にご紹介しましょう。ただ、私もそのすべてを歩漁出来ませんから、おそらくご紹介出来たのはその一部に過ぎないかも知れません。


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タイトゴメ Sedum japonicum 
小石川植物園(2025年7月)



2010年
★米国のアイダホ州から新種であるSedum valensが記載されました。
https://inaturalist.mma.gob.cl/taxa/625968-Sedum-valens


2011年
【追記】メキシコのGuerrero州から新種であるSedum salazariiが記載されました。多年性の塊根植物で、網目状の葉脈を持ちます。
https://mexico.inaturalist.org/taxa/1457543-Sedum-salazarii


2012年
★メキシコから新種であるSedum kristeniiが記載されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/1256784-Sedum-kristenii
★メキシコとグアテマラから新種であるSedum mesoamericanumが記載されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/865046-Sedum-mesoamericanum
★中国の鉛・亜鉛鉱山地域から新種であるSedum plumbizincicolaが記載されました。
https://mexico.inaturalist.org/taxa/1447376-Sedum-plumbizincicola
★メキシコから新種であるSedum perezdelarosaeが記載されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/1370184-Sedum-perezdelarosae
★メキシコから新種であるSedum jarochoが記載されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/784929-Sedum-jarocho
★メキシコから新種であるSedum brachetiiが記載されました。



2013年
★台湾の石灰岩地から新種であるSedum tarokoenseが記載されました。
https://inaturalist.ala.org.au/taxa/906949-Sedum-tarokoense
★中国から新種であるSedum kuntsunianumが記載されました。



2014年
★米国のカリフォルニア州から新種であるSedum citrinumが記載されました。
https://ecuador.inaturalist.org/taxa/704705-Sedum-citrinum
★中国から新種であるSedum spiralifoliumが記載されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/238489-Sedum-spathulifolium-spathulifolium


2015年
★メキシコから新種であるSedum moniliformeが記載されました。Sedum longipesに良く似ているということです。
★メキシコから新種であるSedum piaxtlaenseが記載されました。
★メキシコから新種であるSedum pyriseminumが記載されました。
https://panama.inaturalist.org/taxa/1256783-Sedum-pyriseminum
★フランスとイタリアの狭い地域から、新種であるSedum aquilanumが記載されました。イベリアとモロッコの固有種であるS. nevadensisであると考えられてきましたが、新たな調査により新種であることが判明しました。


2016年
★東アフリカのケニア山高地から、新種であるSedum kenienseが記載されました。


2017年
★日本の男女群島より新種であるSedum danjoenseが記載されました。Sedum formosanumとされてきましたが、遺伝子解析により別種として分離されました。
★メキシコから新種であるSedum sinforosanumが記載されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/868719-Sedum-sinforosanum
★中国からSedum peltatumが説明されました。しかし、キュー王立植物園のデータベースには記載がありません。



2019年
★中国の石灰岩地から新種であるSedum lipingenseが記載されました。
★中国から新種であるSedum ichangensisが記載されました。
★台湾から新種であるSedum kwanwuenseSedum taiwanalpinumが記載されました。
https://inaturalist.ca/taxa/957574-Sedum-kwanwuense

https://www.inaturalist.org/taxa/1400913-Sedum-taiwanalpinum


2020年
★中国から新種であるSedum nanlingenseが記載されました。Sedum onychopetalumやSedum kiangnanenseに近縁とされます。
★ペルー北部から新種であるSedum hutchisoniiが記載されました。
★日本の小笠原諸島から新種のSedum mukojimenseが記載されました。Sedum boninenseから分離されました。
★日本の宮古島から新亜種であるSedum formosanum subsp. miyakojimaenseが記載されました。基準種であるS. formosusと比較したところ、多年性で多結実性、側腋枝を持つなど異なる特徴があります。


2022年
★メキシコから新種であるSedum dormiensが記載されました。
★日本の九州地方から沖縄に分布するSedum japonicum subsp. uniflorumあるいはSedum uniflorumとされるセダムは、Sedum ryukyuenseとされました。これは、1838年に記載されたSedum uniflorum Hook. & Arn.は、過去に同名のセダムが命名されていたため非合法名として命名され直されました。ちなみに、同名のセダムとは、1810年に命名されたSedum uniflorum Raf.(=Phedimus stellatus)です。 

https://inaturalist.ca/taxa/1630780-Sedum-ryukyuense


2023年
★中国から新種であるSedum jinglaniiが記載されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/1630275-Sedum-jinglanii
★中国から新種であるSedum yangjifengenseが記載されました。
★中国から新種であるSedum danxiacolaが記載されました。
https://inaturalist.ala.org.au/taxa/1584651-Sedum-danxiacola
★日本の九州地方の石灰岩地より、新種であるSedum kawaraenseが記載されました。説明されました。Sedum lipingenseに近縁とされます。【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2025.により新種として記載されました。



2024年
★中国の浙江省より新種であるSedum xunvenseが説明されました。S. formosanumに似ていますが、いくつかの特徴と遺伝的に独立していることが確認されています。しかし、まだキュー王立植物園のデータベースには記載がありません。【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2025.により新種として記載されました。
【追記】中国の江西省北東部より、新種とされるSedum fluvialeが説明されました。蓮の花状の栄養枝を持ちます。S. subtikeに似ています。しかし、まだキュー王立植物園のデータベースには記載がありません。
https://mexico.inaturalist.org/taxa/1589243-Sedum-fluviale


2025年
【追記】日本の南西諸島の4つの島に分布する、Sedum formosanum subsp. formosanumとされていましたが、分子系統解析と形態学的な解析を行い、新種とされるSedum diversflorumが説明されました。S. danjoenseやS. formosanum subsp. formosanum、S. formosanum subsp. muyakojimense、S. plumbizincicola、S. tetractinumと似ていますが、多年生で黄緑色の茎や、側枝があり、先端が丸いヘラ状の葉、萼片の形態、黄色の葯、10〜12月に開花するなどの特徴が異なります。特に花弁や花芯の数に多様性があります。しかし、まだキュー王立植物園のデータベースには記載がありません。
【追記】中国の広西チワン族自治区で、新種とされるSedum guangxienseが説明されました。S. tosaenseやS. emaginatumに似ていますが、若い茎が直立し葉が遥かに大きく、花弁が狭三角であるなど特徴により容易に区別出来ます。しかし、まだキュー王立植物園のデータベースには記載がありません。
【追記】中国の浙江省はから、新種とされるSedum yongkangenseが説明されました。近縁であるS. ryukyuenseやS. mukojimense、S. boninenseとは異なり、二年生で散房花序を持つなどの特徴があります。しかし、まだキュー王立植物園のデータベースには記載がありません。
【追記】中国東部より、新種とされるSedum orientalichinenseが説明されました。葉が対生するため、S. makinoi、S. emarginatus、S. baileyiと誤認されてきましたが、先端が凹状の葉身を持つため容易に区別出来ます。しかし、まだキュー王立植物園のデータベースには記載がありません。
【追記】中国の浙江省より、新種とされるSedum simingshanenseが説明されました。近縁であるS. xunvenseやS. formosanumとは、単生で薄緑の滑らかな茎と扁平な葉などの特徴により区別されます。しかし、まだキュー王立植物園のデータベースには記載がありません。



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Sedum bourgaei
『Addisonia』(1917年)より。



セダムは種類が多く皆よく似ていますから、種類の判別は中々困難です。意外にも日本でもまだ新種のセダムが見つかっていますが、その経緯は種の整理や分離独立といった形です。これは、日本のセダムが広く分布する種類と似ていたら、基本的に広域種の地方変異程度に考えてしまうため、このような事態となっているのでしょう。今は遺伝子解析という武器があるため、隠蔽されていた新種が見つけ出されたのです。これからも、このようなケースは増えてくることは確実ですから、場合によっては新種が次々と見つかる可能性もあります。セダムはある意味、今熱い分野なのかも知れませんね。

そういえば、セダムを含むベンケイソウ科の分類は、ここ10年ほどの研究成果により大きな転換期を迎えています。遺伝子工学の発展により進化関係を類推出来る分子系統解析の精度が高まり、ベンケイソウ科植物についてもいくつかの研究がなされています。その成果によると、セダムとされてきた植物は実はまとまりがなく、多系統であることが判明したのです。今までの分類はあくまでも外見的な特徴によるものでしたが、その分け方が必ずしも妥当なものではなかったということです。しかし、セダム属はあまりにも種類が多いため、そのすべてを解析することはなかなか困難で、かつベンケイソウ科全体の改変が必要なことから、分類の変更はなされていません。しかし、研究が進めばベンケイソウ科は改変される可能性が高いでしょう。その時、エケベリア属など馴染みのある名前が統合されて無くなるかも知れません。どのように分類されていくのか、注意深く見守っていきたいと思います。


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前回は東京農業大学の博物館の企画展示を見て回りましたが、今回からはいよいよバイオリウムの温室に入ります。


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生憎の雨模様でしたが、温室なので関係がありません。前回は1月の訪問でしたから葉を落とした植物もありましたが、今回は花も期待出来ます。


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Adansonia za
マダガスカル原産のバオバブ。実生から育てたそうです。前回は葉を落としていましたが、今回は葉がよく茂ってますね。


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Euphorbia milii var. tananarivae
タナナリヴァエは2021年にE. tananarivaeとして独立したようです。


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Kalanchoe beharensis
巨大な樹木状となるカランコエ。「仙女の舞」の名前でも知られます。マダガスカルの原産。

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幹は樹木のようで太くなります。


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バオバブの実生苗。


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ウツボカズラのトンネル。
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Dracontium sp.
ドラコンティウムは地下に芋があるサトイモ科植物で、中南米に29種知られています。旧世界に分布するコンニャクイモ属(Amorphophalus)に似ていますが、ドラコンティウムは新世界に分布します。



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オキナワウラボシ Phymatosorus scolopendria
葉の切れ込みが激しい美しい葉を持つシダ植物。アフリカ、マダガスカル、インド〜東南アジア、ニューギニア島、オーストラリア、中国南部、台湾、小笠原諸島と沖縄以南の日本と、恐ろしく広く分布します。沖縄では珊瑚由来の石灰岩に岩生するということです。


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いかにもなウコギ科ですが、おそらくTrevesia palmataでしょう。「スノーフレーク・ツリー」の名前もあります。まだ若い個体のようです。板橋区立熱帯環境植物館で見た大型の個体は、葉は非常に大きく激しい切れ込みがありました。アッサム、ネパールから、中国南部、広く東南アジアの原産。


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10月に行った新宿御苑の続きです。園内を半周しましたが、いよいよ温室に入ります。


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まずは温室の入口付近の植物から。これは、皇帝ダリアの交配種、ガッツアリアとのこと。大変美しいですね。皇帝ダリアはあまりに背が高くなるため、あまり観賞向きとは言えませんが、これはちょうど良いサイズですね。
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花は皇帝ダリアよりは小さいですが、八重咲きで美しい花です。


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パンパスグラスの穂が出ています。出始めでしょうか?


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チユウキンレン(地湧金蓮) Musella lasiocapa
中国南部からインドシナ半島原産のバショウ科植物。そういえば、2023年の5月に神代植物公園で鉢植えのチユウキンレンが咲いていましたね。


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シークァーサー Citrus depressa
8月に神代植物公園に行きましたが、鉢植えのシークァーサーがなっていました。しかし、地植えでも大丈夫なんですね。沖縄のイメージが強すぎて寒さに弱い気がしていました。ちなみに、交配種なので学名はCitrus × depressaです。


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パイナップルリリー Eucomis comosa
南アフリカ原産の草本で、MassoniaやDrimiopsis、Lachenalia、Ledebouriaなどに近縁です。

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とても面白い花です。


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温室に入ると直ぐにハイビスカスが咲いていました。


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Ixora × 'Super King'
サンタンカの仲間。アカネ科。


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Pachira aquatica
園芸店や100均でもお馴染み、インテリアの定番となっているパキラですが、その種に関してはややこしい事情があるようです。何でも、台湾で苗が生産されているものの、P. aquaticaではなくP. glabraを誤認したということです。そのため、インテリア用に幹が編み込まれたものはP. glabraです。ただ、植物園のパキラはどちらの種になるのかは分かりません。
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幹は太っています。


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ビロウ Livistona chinensis
九州南部や四国南部から、台湾、中国南部に分布する椰子。ビロウという名前はビンロウ(檳榔)と混同されたためとのことです。大変美しい葉を持つ椰子です。
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幹はまだ短いですね。そういえば、夢の島熱帯植物館ではオガサワラビロウ(L. boninensis)を見ていますが、オガサワラビロウは葉柄のトゲか少ない、あるいはまったくないそうです。


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アリアケカズラの仲間が沢山咲いていました。


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プルメリアも満開で美しいですね。


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NPO法人日本多肉植物の会(JSS)が開催するサボテン・多肉植物の展示会にいって参りました。JSSと言えば、過去に飛鳥山公園やシマムラ園芸で開催された即売会に行ったことはありますが、展示会は初めてです。


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会場は日比谷花壇大船フラワーセンターの温室です。大船フラワーセンターもぐるりと一周して一通り見てきましたから、そのうち記事にします。


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流行りのアガヴェなんかもありました。本日はマミラリアが代表するイボサボテンの仲間、Butterworthの言うところのマミロイド・クレードを見ていきましょう。まずは系統樹の根元にあたるアリオカルプスとツルビニカルプス、次の分岐枝のロフォフォラです。最近、サボテン科の分類の記事を挙げていますから、何となく分類を意識してみます。


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花牡丹
いやはや巨大な花牡丹です。綿毛もすごいですね。
花牡丹はAriocarpus furfuraceusと言われますが、現在はA. retususに含まれます。



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丸疣青磁牡丹
青磁牡丹のイボが丸いタイプ。まん丸ですね。
青磁牡丹もやはりA. furfuraceusと言われていますから、やはりA. retususのタイプ違いです。



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三角牡丹
サボテン感が薄い三角牡丹ですが、群生しています。三角牡丹の学名はA. trigonusです。


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アロンソイ
Turbinicarpus alonsoi。よく見る実生苗のアロンソイはアリオカルプスの小型版みたいな感じですが、大株になると雰囲気がガラリと変わりますね。


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ロゼイフロルス
Turbinicarpus × roseiflorus。
ロゼイフロルスは自然交雑種で、組み合わせはT. lophophoroides × T. gielsdorfinusとのこと。


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精巧殿
精巧殿の学名はTurbinicarpus pseudopectinatusです。精巧丸(Pelecyphora aselliformis)と似ていますが、同じマミロイドではありますが、系統樹の違う枝に乗っていますからすごい近縁というほどではありません。精巧丸よりトゲが弱く繊細です。


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銀冠玉
銀冠玉が群生しています。ロフォフォラは魅力的ではありますが、ハダニ予防が大変そうなので手が出せません。学名はLophophora friciiと言われますが、烏羽玉(L. williamsii)のタイプ違い的なことも言われたりしました。しかし、国内流通している銀冠玉は幻覚成分であるメスカリンを含まないため、L. williamsiiではないのでしょう。



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こちらも銀冠玉。


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単頭の銀冠玉。


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烏羽玉
烏羽玉の学名はLophophora williamsiiです。成分分析では、烏羽玉、大型烏羽玉、子吹烏羽玉はメスカリンを含むため、L. williamsiiの範疇と考えて良さそうです。



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赤花烏羽玉
L. jourdanianaと呼ばれたりしましたが、現在はL. williamsiiに含まれます。



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こちらも烏羽玉。


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翠冠玉
ふさふさした翠冠玉ですが、私が育てたらこれほどふさふさには出来ないでしょうね。学名はL. diffusaで、メスカリンを含みません。



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天世界
Epitherantha micromeris var. greggiと言われますが、現在はE. greggiとして分離されています。エピテランサはマミロイドの仲間なのは間違いないようですが、分析の仕方で配置が変わるため、いまいち収まりが悪いですね。



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9月に行った東京薬科大学の薬用植物園の記事の続きです。当時の最高気温が38度でしたが、温室内は地獄と化していました。拭いても汗が止まらず、全身から汗が滴る始末でした。堪らずに温室から出ましたが、風もなく容赦ない直射日光で逃げ場がありません。これは、本当に日射病になる危険があるため、早々と逃げ出す始末でした。


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イエローピタヤ Selenicereus megalanthus
ボリビア原産。一般的なドラゴンフルーツ(S. undatus)とは異なり黄色の実を付けます。ドラゴンフルーツにも黄色の実を付ける品種がありますが、イエローピタヤは実にトゲがあるため区別されます。とは言え、イエローピタヤをイエロードラゴンフルーツとも呼ぶためややこしい感じがします。ブラジルの原産。
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古い実が転がっていました。


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ケープアロエ Aloe ferox
青鰐の名前で流通している巨大アロエ。南アフリカ、レソトの原産。


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Aloe africana
南アフリカ原産の大型アロエ。


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Aloe spicata
スピカタは初めて見ました。南アフリカ、モザンビーク、ジンバブエの原産。



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テキーラリュウゼツラン Agave tequilana
商業的にテキーラを生産するために利用されているアガヴェ。Blue Agaveとも呼ばれます。2004年にA. angustifoliaの亜種とする意見もありました。


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蘇鉄(Cycas revoluta)もなかなかよいサイズです。


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コロシントウリ Citrullus colocynthis
茂る葉を見て西瓜かと思いましたが違いました。コロシントウリです。

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小さい西瓜のようですが、苦く食べると下痢をしてしまいます。砂漠に生えていますから、喉が渇いたからといって西瓜様のコロシントウリを食べると、下痢をして脱水症状になってしまうという罠のような植物です。


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8月に行った神代植物公園の記事の続きです。ラン室に入りましたが、あまりにも花が多くなかなかラン室から出られませんでした。しかし、ラン室も本日で最後です。


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Coelogyne speciosa
ジャワ、スマトラ島、スンダ列島の原産。
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やや花色の濃いスペキオサです。


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Coelogyne tomentosa
タイ、マレーシア、スマトラ島、ジャワの原産。
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ちょうど、咲きそろったよいタイミングでした。コエロギネ(セロジネ)にしては花色が鮮やかで、かつ房咲きなのでゴージャスな感じがします。


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Mycaranthes pannea
=Eria pannea

ミカランテスは初めて聞く名前でしたが、2009年にEriaから分離したとのこと。しかし、2018年に新属であるStrongyleriaとされたようです。アッサム、中国南部から東南アジアの原産。
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毛に覆われた面白い花です。


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リュウキュウセッコク Pinalia ovata
セッコク(石斛)とは言うものの、Dendrobiumではありません。かつてはEriaでしたが、2009年にPinaliaとされました。沖縄、台湾、フィリピン、ボルネオ島、マレーシア、ミャンマーという一筆書きのような線状の分布です。
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あまりセッコク感はないクリーム色で開ききらない花です。


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Rhynchostylis coelestis
一見してヴァンダかと思いましたが、名札はリンコスティリスなので混乱しました。確かにR. coelestisは2021年にVandaとする意見もありましたが、現在はリンコスティリスです。
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いやあ、どう見てもヴァンダですよね。リンコスティリスらしさはまったくありません。しかも、「coelestis」ですから、この色合いも納得がいきません。むしろ、旧・Ascocentrumに見えます。


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Anguloa clowesii
コロンビア、ベネズエラの原産。どうやら落葉性で、Lycasteに近縁で交雑することもあるようです。アングロアは花の形から「tulip orchids」と呼ばれるそうです。花はシナモンの香りがするといいますが、匂いを嗅ぐのを忘れてしまいました。


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Promenaea stapelioides
久しぶりに見たプロメナエア。地面に転がるように咲きます。種小名は「スタペリアに似た」ですが、まあ肉色の色合いはそんな感じがします。ということは、ハエを呼ぶために腐臭を放つのでしょうか?


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最近は日が落ちると寒い日も出てきました。多肉植物たちは秋の生長期ですが、そろそろ室内への取り込みを考えなければなりません。というのも、去年はいよいよ氷点下という段階になって慌てて取り込んだ苦い記憶があります。まあそれなりの量があるので、計画的にやらないと後々大変です。少しずつ取り込んで行きます。居住地の最低気温は11月に入ると10℃程度、末くらいだと5℃程度です。12月には氷点下にもなりますから、11月が取り込みのメインとなります。


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Euphorbia erythrocucullata
取り込みの前に少し花も見ます。エリスロククラタが初めて開花しそうです。
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面白い花を咲かせますが、蕾の時点で既に面白い形です。


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Euphorbia razafindratsirae
このラザフィンドゥラトシラエは挿し木苗で、根が弱かったせいかなかなか生長しませんでした。今年は調子が良さそうで、花も咲いています。
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花は単純な緑色です。


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Euphorbia razafindratsirae
こちらは実生のラザフィンドゥラトシラエ。上の挿し木苗とは異なり葉の先端が尖りません。

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花に模様が入ります。


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まず、室内に取り込む第一弾は、アデニアとコミフォラです。


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コミフォラは非常に生長が早く鉢が小さく見えます。葉が落ちるものも出てきたので、念の為にすべて取り込んでしまいます。


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Ibervillea tenuisecta
我が家では珍しいウリ科植物。つるが大変な勢いで伸びましたが、やや葉が枯れ気味なので室内に取り込みます。

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塊根はよく太っています。


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次はパキポディウムと花キリンを少し。まだ生長期ですが取り込んでしまいます。


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Euphorbia guillauminiana
今年のグイラウミニアナは大変好調で、花も沢山咲き、枝もよく伸びました。先端が枝分かれして、いよいよグイラウミニアナらしくなってきましたね。


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Euphorbia fianarantsoae
購入してからしばらくはなぜか不調でしたが、今年はようやくまともに生長しました。花キリンの中ではいち早く葉が紅葉してきたため、室内に取り込みます。


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Pachypodium saundersii
今年のサウンデルシイは勢いがよく、ついに蕾がつきました。
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初めての開花です。



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サボテン科全体を分子系統により分類した論文の続きです。引き続きJurriaan M. de Vosらの2025年の論文、「Phylogenomics and classification of Cactaceae based on hundreds of nuclear genes」をご紹介します。昨日はCereus連のUebelmannia亜連、Aylostera亜連、Rebutia亜連、Gymnocalycium亜連について記事にしました。本日はCereus連のTrichocereus亜連を見ていきます。


Cactus亜科の分子系統(連レベル)
本日はCereus連の続きを扱います。

 ┏Lymanbensonieae
┏┫
┃┗Copiapoeae

┫┏Cacteae
┃┃
┗┫┏Phyllocacteae
    ┃┃
    ┗┫    ┏Fraileeae 
        ┃┏┫
        ┃┃┗Rhipsalideae
        ┗┫
            ┃┏Notocacteae
            ┗┫
                ┗Cereeae


Cereus連の分子系統(亜連レベル)
本日はTrichocereus亜連を扱います。
 
┏Aylosterinae

┫┏Rebutiinae
┃┃
┃┃    ┏Gymnocalyciinae
┗┫┏┫
    ┃┃┗Cereinae
    ┗┫   
        ┃┏Reicheocactinae
        ┗┫
            ┗Trichocereinae


☆Trichocereus亜連(※1)
※1: Borzicactinae、Echinopsidinae、Eriocereinae、Acanthocalyciinaeを含む。
 
Trichocereus亜連は系統学的に基底群と3つの非公式群からなります。この系統は強い支持があるわけではありませんが、その構成は一貫しています。
Trichocereus亜連はカリブ海地域やフロリダにも分布するHarrisia以外は、完全に南米に分布します。小型で球形のものから、柱サボテン状まで多様性があります。花の形態も極めて不安定です。Trichocereus亜連は過去に行われた分類により境地に立たされました。それは、多数の分離種を認める一方で、広義のCleistocactusや広義のEchinopsisといったごく少数の属のみを認めるものでした。このアプローチは不十分で、Schlumberger & Renner(2012)による詳細なサンプリングによる解析でも、Trichocereus亜連の全体に適応出来る解決策はまだ見つかっていません。AcanthocalyciumとDenmozaを別属とするAnderson(2001, 2005)や、Denmozaのみを認めるHuntら(2006)が提唱する広義のEchinopsisの概念は、著者らの系統により支持されているクレード1とほぼ一致します。しかし、Anderson(2002, 2005)やHuntら(2006)が提唱する広義のCleistocactusの概念はまったく受け容れられず、著者らの系統ではクレード2とクレード3に散在します。伝統的に認められている多数の属が多系統であるという状況は、繰り返された平行進化による特徴の類似により、北米のCactus亜連に状況が近いものがあります。


Trichocereus亜連の分類の大部分は、弱く支持されているに過ぎませんが、地理的に比較的一貫性がある3つのクレードの姉妹系統を区別することが出来ます。この支持の弱さはSchlumberger & Renner(2012)による詳細なサンプリングによる調査で示された内容は反映していますが、その系統関係は著者らの結果と共有しているのは一部に過ぎません。特にHarrisiaやWeberbauerocereus、広義のEchinopsisを構成する系統群では配置が異なります。Schlumberger & Renner(2012)によると、WeberbauerocereusはVatricania + 狭義のCleistocactusの姉妹群で、Harrisia + Leucosteleは狭義のEchinopsisの姉妹群でした。Arthrocereusはこれらの姉妹群としています。Franckら(2013)はArthrocereusの明確な位置を見つけられませんでした。Romeiro-Britoら(2022)はArthrocereusをHarrisiaとTrichocereus亜連の残りすべての系統群の姉妹群としましたが支持は弱く矛盾する証拠があるため、さらなる研究が必要です。しかし、HarrisiaとArthrocereusは初期に分岐した系統群であり、Romeiro-Britoら(2023)でも単系統です。Leucosteleの分類も未解決で、Schlumberger & Renner(2012)ではCleistocactus-Echinopsisクレードにおいて、LeucosteleをHarrisiaの姉妹群としていますが、Franckら(2013)では単系統を形成しませんでした。また、Romeiro-Britoら(2023)はLeucosteleをEchinopsisクレードにおいて、Soehrensia formosaの姉妹群てしています。以上のような不確実性を考慮し著者らは暫定的にLeucosteleをTrichocereus亜連の初期分岐系統群に位置付けました。

LeucosteleとReicheocactusを除外した広義のEchinopsisは、Schlumberger & Renner(2012)において2つの主要なクレードに広がっています。これらのすべてが単系統のクレード1として裏付けられた著者らの結果と対照的です。しかし、すべての属が非常に近縁であり、属間雑種が人工的に作られていることからも、Trichocereus亜連にいくつかの非公式群が存在するという著者らの見解は過大評価すべきではありません。これらの雑種は異なる属を含んでいても稔性があり、それらの雑種からさらなる複雑な雑種を作ることが出来ます。そのため、Trichocereus亜連全体を便宜上「Echinopsis comparium」と呼ぶことも出来ます。


①初期分岐系統群
含まれる属: Arthrocereus(※2)、Harrisia(※3)、Leucostele(※4)、Weberbauerocereus

※2: Chapadocereusを含む。※3: Brasiliharisia、Eriocereus、Estevesiaを含む。※4: 暫定的な分類。

┏Reicheocactus亜連
┃ 初期分岐系統群
┫┏Harrisia tortuosa
┃┃ (=Eriocereus tortuosus)
┃┃
┗┫┏Weberobauerocereus
    ┃┃           weberbaueri
    ┗┫┏クレード1
        ┃┃
        ┗┫┏クレード2
            ┗┫
                ┗クレード3

生物地理的に言うならば、この分類群は謎に包まれています。Eriocereusを含むHarrisiaは、アルゼンチン、ボリビア、パラグアイ、ブラジル北西部に散在し、さらにはカリブ海、北はフロリダまで分布します。一方、Weberbauerocereusはペルーのアンデス山脈西部斜面にのみ分布します。Romeiro-Britoら(2023)はブラジル北東部に分布するH. adscendensが、パラグアイやボリビア、アルゼンチンに分布する2種の姉妹群であることを明らかとしました。Franckら(2013)の系統によると、カリブ海に分布する種は単一の系統を形成し、H. adscendensの姉妹群であるとしました。最近記載された単型のEstevesiaは、中央ブラジルの狭い地域の固有種で、Harrisiaと全体的に類似し種子の特徴も共有するため、暫定的にHarrisiaに含めました。

②クレード1(※5)
含まれる属: Acanthocalycium、Denmoza、Echinopsis(狭義、※6)、Setiechiopsis

※5: 広義のEchinopsis=Echinopsis Clade。※6: Acantholobivia、Chamaecereus、Helianthocereus、Lobivia、Pseudolobivia、Soehrensia、狭義のTrichocereusを含む。

    ┏Setiechiopsis mirabilis
┏┫        (=Echinopsis mirabilis)
┃┗Acanthocalycium spiniflorum
┃            (=Echinopsis spiniflora)
┫┏Denmoza rhodacantha
┃┃ 
┗┫┏Lobivia tegeleriana
    ┃┃(=Echinopsis tegeleriana)
    ┃┃(=Acantholobivia tegeleriana)
    ┗┫┏Echinopsis eyriesii
        ┃┃
        ┗┫┏Trichocereus macrogonus
            ┗┫ (=Echinopsis macrogona)
                ┃┏Chamaecereus silvestrii
                ┗┫ (=Echinopsis chamaecereus)
                    ┗Soehrensia bruchii
                        (=Echinopsis bruchii)
                                  

このクレードの多様性の大部分は、広義のEchinopsisに属します。ごく少数の種を除き完全に東アンデスに固有です。以前の分派のほとんどは、生育形態と開花時期や花の色や形態、受粉シンドロームなどの花の特徴の組み合わせにより定義されてきました。Acanthocalycium、Denmoza、SetiechiopsisはSchlumberger & Renner(2012)な系統では、裏付けの乏しいDenmozaクレードを構成していました。SetiechiopsisはDenmozaとAcanthocalycium(Echinopsis leucanthaを含む)の姉妹属とされていますが、著者らのAcanthocalyciumとSetiechiopsisがDenmozaとその他のEchinopsisクレードの姉妹属とするよく支持された系統とは異なります。著者らのサンプリングは単純化されています。Schlumberger & Renner(2012)が示した広義のEchinopsisの種間の複雑な関係は、クレード1がどのように多様化したのかまだ明確に分かっていません。

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Echinopsis rhodotricha
=Acanthocalycium rhodotrichum
神代植物公園(2023年5月)



③クレード2(※7)
含まれる属: Cephalocleistocactus、Cleistocactus(狭義、※8)、Cremnocereus、Samaipaticereus、Vatricania、Winterocereus(※9)、Yungasocereus


※7: East Andean Clade=Cleistocactus Clade。※8: Bolivicereus、Seticleistocactusを含む。※9:= Hilddwintera
 
┏Cleistocactus baumannii
┃     
┫┏Vatricania guentheri
┃┃
┃┃    ┏Samaipaticereus
┗┫┏┫      corroanus
    ┃┃┗Cleistocactus winteri
    ┃┃ (=Winterocereus aureispinus)
    ┗┫┏Yungasocereus
        ┃┃         inquisiviensis
        ┗┫┏Cleistocactus tarijensis
            ┗┫(=Cephalocleistocactus
                ┃                   tarijensis)
                ┗Cleistocactus 
                                 chrysocephalus
               (=Cephalocleistocactus
                               chrysocephalus)                       


Trichocereus亜連の他のすべての系統群とは対照的に、クレード2は全体的な形態や地理的な特徴が均一です。すべての種は円柱状で肋(rib)があり、東アンデスに分布し、ボリビアのアンデス山脈の麓の低地が中心です。ちなみに、Cleistocactusはアルゼンチン北部まで分布します。不可解にもクレード2のほとんどは種が乏しいか単型です。クレード3に分類されるBorzicactusをCleistocactusから除外した場合でも、多系統とされてしまいます。タイプ種であるCleistocactus baumanniiはクレード2の残りすべてと姉妹種であり、C. baumanniiと近縁とされるCleistocactus tarijensisはCephalocleistocactusの姉妹種として別の系統群とされます。Romeiro-Britoら(2023)は分類を合理化し、Samaipaticereus、Vatricania、Yungasocereusを含む拡張された広義のCleistocactusを提案しています。しかし、クレード2の不確実性を考慮するとこの提案は時期尚早であり、より詳細なサンプリングによる評価がされるまで分離の維持を推奨します。

Vatricaniaは長らくEspostoaの異名と見なされてきましたが、Schlumberger & Renner(2012)により初めて狭義のCleistocactusの直系に属することが確認されました。
近年記載されたボリビア原産の単型であるCremnocereusは、ごく狭い地域に2つの分布が知られています。狭義のCleistocactusといくつかの特徴を共有するだけではなく、花はコウモリ媒(chiropterophilous)であることからOreocereusとも異なります。著者らの分類はまったく暫定的なものです。


④クレード3(※10)
含まれる属: Borzicactus(※11)、Espostoa(※12)、Haageocereus(※13)、Lasiocereus、Matucana(※14)、Mila、Oreocereus(※15)、Oroya、Pygmaeocereus、Rauhocereus(?)

※10: Western Andean and High Andean Clade、Oreocereus Clade。※11: Borzicactellaを含む。※12: Pseudoespostoa、Thrixanthocereusを含む。※13: Loxanthocereus、Peruvocereusを含む。※14: Eomatucana、Submatucanaを含む。Anholoniopsis、Perucactusを含む? ※15: Arequipa、Morawetziaを含む。
 
┏Oreocereus pseudofossulatus

┃    ┏Espostoa blossfeldiorum
┫┏┫(=Thrixanthocereus blossfeldiorum)
┃┃┃┏Lasiocereus rupicola
┃┃┗┫
┃┃    ┗Espostoa lanata
┃┃
┗┫┏Haageocereus
    ┃┃       pseudomelanostele
    ┃┃
    ┗┫    ┏Borzicactus
        ┃┏┫     ventimigliae
        ┃┃┗Matucana haynei
        ┗┫
            ┃┏Matucana madisoniorum
            ┗┫ (=Anhaloniopsis madisoniorum)
                ┗Oroya peruviana


クレード3の系統は支持が低いものの、例外的にThrixanthocereusがLasiocereus + Espostoaの姉妹群を形成するクレードは完全に支持されています。2種からなるLasiocereusはペルー北部のRio Maranon流域の狭い地域の固有種です。Ritter(1981)はLasiocereusをTrichocereus亜連に分類しましたが、Nyffeler & Eggli(2010)はRebutia亜連の初期分岐系統の側系統としました。また、Schlumberger & Renner(2012)はLasiocereus fulvusを(Browningia + Sulcorebutia) + (Rebutia + Aylostera)の姉妹群としましたが支持は低いものでした。属のタイプであるLasiocereus rupicolaを狭義のEspostoaの姉妹群とする配置は、新しく裏付けがあります。ペルー北部の原産で共通する形態や花の構造は一致していますが、Lasiocereusは花座(Cephalium)を持ちません。興味深いことに、LasiocereusとThrixanthocereus(=Espostoa)が近縁であることは、Ritter(1981)により既に仮定されていました。

単型のRauhocereusは、Schlumberger & Renner(2012)がEspostoa lanataの姉妹種であることを発見したためクレード3に含めています。

著者らのデータでは上記のクレード3の属以外の類縁関係については、これ以上の結論は出せません。Schlumberger & Renner(2012)はやや詳細にサンプリングしており、MatucanaやBorzicactusは多系統であることが示されています。著者らの解析でも、M. madisoniorumがOroyaの近くで分離されており、多系統である可能性が示されています。

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Espostoa ritteri
=Espostoa lanata subsp. lanata
東京農業大学バイオリウム(2025年10月)



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Matucana aureiflora
JSS、サボテン・多肉植物展(2025年10月)



最後に
以上が論文の簡単な要約です。
近年の遺伝情報に基づく分類では、特にMammillariaの仲間とTrichocereusの仲間が大きな改変に見舞われました。今回取り上げたTrichocereus亜連は、少し前までTrichocereusやRebutia、LobiviaあたりはすべてEchinopsisに統合されてしまいました。その後行われた分子系統においては、肥大化したEchinopsisにまとまりが見られないことから、再分割され現在に至ります。しかし、今回の論文は以前の論文とは必ずしも系統分類が一致せず、系統の分岐の支持も低いものでした。おそらく、急激に種分化したため解析が難しいのでしょう。それでも、著者らは自然分布も考慮に入れているのは新しい観点です。一般的に分布を拡大し移動しながら種分化しますから、進化の経路を考えた場合は自然分布も根拠の1つでしょう。

長々と続いたサボテン科の分類の記事は本日で終了です。2025年に発表されたばかりの最新の研究成果となります。新しく分かったことや、近年の他の分子系統の結果を再確認し裏付けるものもありました。しかし、今回の論文はサボテン科全体の解析のため、沢山の属は解析していますが、各属あたりの種数は少ないものです。どうしても属内分類はこの論文では分かりません。ある属が単系統ではなく多系統である可能性は、さらなる詳細なサンプリングによる解析でなければ分かりません。ですから、これからもサボテン科の分類について、新たな論文が出ましたら記事にしていきたいと考えております。



ちなみに、本論文は案を提唱している段階ですので、現在認められている分類ではないことに注意が必要です。今回扱った範囲の現在の属分類を一応お示しします。

Arthrocereus(4種、Chapadocereusを含む)、Harrisia(18種、Brasiliharisia、Eriocereus、Erythrocereus、Roseocereus)、Leucostele(13種)、Weberbauerocereus(8種、Meyeniaを含む)
Estevesia(→Cereus)

Acanthocalycium(5種)、Denmoza(→Echinopsis)、Echinopsis(21種、Andenea、Aureilobivia、Cosmantha、× Cosmopsis、Denmoza、Echinonyctanthus、Hymenorebutia、Pilopsis、Salpingolobivia、× Salpingolobiviopsisを含む)、Setiechiopsis(1種、Acanthopetalus)
Acantholobivia(→Lobivia)、Chamaecereus(5種)、Helianthocereus(→Soehrensia)、Lobivia(31種、Acanthanthus、Acantholobivia、Cinnabarinea、Furiolobivia、Hymenorebulobivia、Lobiviopsis、Mesechinopsis、Neolobivia、Pseudolobivia、Scoparebutiaを含む)、Pseudolobivia(→Lobivia)、Soehrensia(24種、Helianthocereus、Megalobiviaを含む)、Trichocereus(4種)

Cephalocleistocactus(→Cleistocactus)、Cleistocactus(30種、Akersia、Bolivicereus、Borzicactella、Cephalocleistocactus、Cleistocereus、Clistanthocereus、Hildewintera、Maritimocereus、Samaipaticereus、Seticleistocactus、Varticania、Winteria、Winterocereus、Yungasocereusを含む)、Cremnocereus(1種)、Samaipaticereus(→Cleistocactus)、Vatricania(→Cleistocactus)、Winterocereus(→Cleistocactus)、Yungasocereus(→Cleistocactus)

Borzicactus(10種、Seticereusを含む)、Espostoa(11種、Binghamia、Pseudoespostoa、Thrixanthocereusを含む)、Haageocereus(7種、Floresia、Haageocactus、Peruvocereusを含む)、Lasiocereus(2種)、Matucana(25種、Anhaloniopsis、Eomatucana、Oroya、Perucactusを含む)、Mila(1種)、Oreocereus(8種、Arequipa、Arequipopsis、Moraquipa、Morawetzia、Submatucanaを含む)、Oroya(→Matucana)、Pygmaeocereus(3種)、Rauhocereus(1種)
Loxanthocereus(12種)


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10月初めくらいに東京農業大学にいって参りました。目的はバイオリウムの温室です。実は1月にも行きましたが、なんせ真冬なもので温室とは言えども葉を落としているものもあり、良い時期に再訪しようと思っていました。
あと、今回からは試したことがありました。毎度、植物園では撮影しまくるわけですが、どうしてもスマホが過熱してしまい、シャッター速度が極端に遅くなったり、撮影後の処理が遅くなったり、フリーズしたり強制シャットアウトしたりと難儀していました。撮影時間よりスマホを冷やす時間の方が長いくらいでした。まあ、原因は様々ですが、1つは処理速度の問題で、古いマイクロSDの容量が小さくてギリギリかつ書込み速度が遅かったのです。というわけで、1TBのマイクロSDXCに変更しました。あとは、スマホ用の冷却機を購入しました。どの程度効果があるか試してみる良い機会です。


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久しぶりの訪問。


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9ヶ月振りの闘鶏の像との再会です。まずは博物館の企画を見ていきます。


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古代の両生類であるディプロカウルスは、面白い形の頭骨を持ちます。
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よく、左のようなユーモラスな想像図が描かれました。
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しかし、最近では右のような想像図に変わったようです。よりおマヌケな感じもしますが…


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現在、「いきもの研究所の舞台裏」という企画展が開催中です。展示内容が入れ替わっていく面白い企画です。4〜5月は標本ラベルとタイプ標本について、6〜8月は標本づくりについて、9〜10月はアンモナイトの魅力について、11〜12月は三葉虫の進化について、来年1〜2月は恐竜のレプリカについて、同3月はマダガスカルの生きものについてです。ということで、今回の展示はアンモナイトについてでした。


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アンモナイトの切断面から内部構造が分かります。


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真珠層が残っており、虹色に輝くものも稀にあります。


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アンモナイトの蓋は初めて見ました。


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3Dスキャナーで取り込んで、3Dプリンターで成形した模型。ワークショップがあったようです。


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恐竜標本の梱包や組み立て。


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蝶の標本。標本づくりと言えば昆虫、しかも鱗翅目はアマチュアでもコレクターが沢山いますよね。


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標本ラベルについての解説。標本は長期間保存するために、標本の種類によりそれぞれ適した保存方法があります。さらに、正確で詳細な記録とラベリングが必要です。正しく作られラベリングされた標本は、後に標本を見た研究者が研究に活用することが出来るのです。

さて、次回はいよいよ隣接する温室であるバイオリウムに入ります。どのような植物が見られるでしょうか。


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10月の中頃に新宿御苑にいって来ました。バラがその頃から見頃だと言う話があり、ちょいと見てきたわけです。まあ、バラは全然咲いていなかったわけですが、園内を2時間ほどかけて散策しました。涼しくなって来ましたから、気持ちの良い散策でしたね。実は新宿御苑では11月に蘭展があるため、来月もまた訪れるつもりです。ですから、今回の新宿御苑の記事はさっと終わらせます。本日は大木戸門からバラ花壇とプラタナス並木を経由して、丸花壇に至るまでを駆け足でご紹介します。


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大木戸門から入りました。入口にこんな看板がありました。今見頃の植物が分かります。


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何となく生えているイチョウが、当たり前のように巨木です。
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これは乳イチョウなどと呼ばれますが、ある種の気根のようなものらしいです。すべてのイチョウにあるわけではなく、気根は割りと高い位置から出がちなので地面に着くこともありません。何のためにあるのか不思議です。


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カラスウリがなっていました。


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遊歩道は巨木に挟まれ、木漏れ日の中を歩きます。ふと見上げると、巨木たちの林冠はまるで空の天蓋の如くでした。


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アツバキミガヨランでしょうか。バラ花壇の周囲に沢山植栽されていました。
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このように花茎があちこちからにょきにょき出ていました。しかし、バラだけではなくアツバキミガヨランまで花が見られないとは、これは実に遺憾。


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バラ花壇はまだまだこれからでした。


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Strawberry Ice
1975年、フランス作出。


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Lilli Marleen
1959年、ドイツ作出。


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Glamis Castle
1992年、イギリス作出。香りの強いバラ。



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Pat Austin
1995年、イギリス作出。香りの強いバラ。


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Jubile du Prince de Monaco
2000年、フランス作出。


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庭園風の庭木。
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丸く整えられています。


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羽衣
1970年、京成バラ園芸作出。



251013093626510
Tchin-Tchin
1978年、フランス作出。



251013093650289
Cornelia
1925年、イギリス作出。


251013093724757
Ballerina
1937年、イギリス作出。



251013093757743
Andalusien
1976年、ドイツ作出。



251013093908147
Goldmarie '84
1984年、ドイツ作出。



251013093949366
Queen Elizabeth
1954年、米国作出。


251013094047402
Esmeralda
1973年、ドイツ作出。



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Fragrant Cloud
1963年、ドイツ作出。



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Gina Lollobrigida
1990年、フランス作出。



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Black Tea
1973年、日本作出。香りの強いバラ。



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Ingrid Bergman
1981年以前、デンマーク作出。


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プラタナス並木も立派。


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彼岸花はもう終わりの時期で、ここだけ咲いていました。


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ヒマラヤスギの大きな球果。
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これも巨木。


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丸花壇に到着。温室は目の前です。
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時期により植栽される植物は変わるのでしょう。


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アメジストセージ(Salvia leucantha)
アメジストセージが満開でした。
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種小名のレウカンタとは白いという意味がありますが、紫色の萼片から白い花が出てくるからでしょう。


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9月に行った東京薬科大学の薬用植物園の続きです。熱帯の樹木を見ていますが、スパイスや食用の樹木が沢山あります。


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ムユウジュ(無憂樹) Saraca indica
ブッダ三聖樹の1つで、ブッダの生誕に関わる樹。夢の島熱帯植物館でも見かけましたが、東京薬用植物園ではS. indicaと同種とも言われるA. asocaの花を見ています。ミャンマー、タイ、ベトナム、マレーシア、スマトラ島の原産。マメ科。


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カカオ Theobroma cacao
植物園の温室にはつきもののカカオノキです。興奮作用のあるテオブロミンを含みますが、カフェインほど強い作用はありません。南米北部の原産。アオイ科。
余談ですが、テオブロミンはカフェインとまったく同じ骨格で官能基だけが違うだけとのことです。これは、近年の違法薬物に対する法規制のイタチごっこを思い起こします。官能基が違うから規制の対象じゃないため、脱法ハーブなんて呼ばれてましたね。

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今回は花と果実を同時に見ることが出来ました。カカオの花は筑波実験植物園で見た以来です。
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カカオの若い果実。果実は新宿御苑と夢の島熱帯植物館、東京都薬用植物園で見かけています。
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見上げると大きな果実がなっていました。


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ベンガルコーヒー Coffea bengalensis
Psilanthusとされることもあります。コーヒーとしての品質はアラビカ種に劣ります。インド、アッサム、ミャンマー、ネパール、タイ、ベトナムの原産。アカネ科。


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オールスパイス Pimenta officinalis
果実や葉を香辛料とします。シナモン、グローブ、ナツメグの香りを併せ持つと言われます。現在、学名はP. dioicaとなっています。中米原産。フトモモ科。


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ポンデローザ Citrus pyriformis
これは巨大な果実がなるレモンで、オオミレモンとも呼ばれます。C. pyriformisは交配種であることから、C. × 
pyriformisとなっており、現在はC. × lumiaの異名とされています。交配の組み合わせは、C. maxima(ブンタンやザボン) × C. medica(シトロン)とのことです。
ちなみに、筑波実験植物園では「Citrus limon 'Ponderosa'」という名前でした。こちらはレモンの1種であるとされるからかも知れません。レモンの学名は、やはり交配種なので、C. × limonとなっています。レモンはC. maxima(ブンタン、ザボン) × C. medica(シトロン) ×C. reticulata(マンダリンオレンジ)との交配と言われています。
他にも柚子とレモンの交配であるとも言われます。柚子はC. × junosと言われており、C. cavaleriei(中国原産の柑橘、Ichang papeda) × C. maxima × C.reticulataと言われています。
何れにせよ、柑橘系は複雑に交配されており、本当のことは分からないような気がします。


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まだ青い実がなっていました。


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ニオイタコノキ Pandanus amaryllifolius
ニオイタコノキは初めて見ました。葉に香りがあり、料理の香り付けに利用されるそうです。モルッカ諸島の原産と言われていますが、栽培が古く広い地域で栽培されるため、本来の自生地であるかはわかりません。タコノキ科。



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いよいよ秋らしくなってきました。出掛けるのに良い時期になりました。何処に行こうか思案中です。さて、本日も我が家の多肉植物を少しご紹介しましょう。


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Zamia integrifolia
Syn. Zamia floridana
インテグリフォリアは秋のフラッシュも終了しました。葉のサイズはどんどん大きくなります。葉の枚数は13枚になりました。


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Cycas debaoensis
中国原産の蘇鉄であるデバオエンシスも秋のフラッシュが終わりました。非常に良い大きな葉が出ています。


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Cycas cairnsiana
オーストラリア原産の青白い蘇鉄のカイルンシアナです。こちらも秋のフラッシュが終わりました。春フラッシュで出た葉は、遮光ネットに当たってしまい真っすぐ伸びませんでした。



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Aloe saundersiae
小型アロエのサウンデルシアエが開花しています。

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アロエには珍しい淡いピンク色の可愛らしい花です。


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Euphorbia schoenlandii
闘牛角が満開です。ユーフォルビアにしては大きな花が咲きます。


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Euphorbia gorgonis
ゴルゴニスの開花は一段落して、実がなっています。



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Aloe erinacea
エリナケアはなかなか大きくなりません。まあ、徒長しないように締めて作っていますから仕方がありません。


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相変わらず8月に行った神代植物公園の食虫植物展の続きです。メインの食虫植物展は見終わりましたが、次の部屋であるラン室では蘭の開花ラッシュでした。本日はバスケット植えの、花がバスケットの下から咲くスタンホペアやドラクラを見ていきます。しかし、これほど沢山のドラクラを見たのは初めてです。


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Stanhopea embreei
エクアドルの原産。バスケット植えで、下方から花が咲きます。

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花は奇妙な形ですが、外側の萼片3枚と花弁3枚という蘭の花の基本形が見て取れます。蘭の花には目立つリップという大きな花弁がありますが、スタンホペアではリップに蜂などがとまるものの足場がすべるため、先端にある蕊柱に触れて受粉する仕組みです。蕊柱とは雄蕊と雌蕊が合わさったもので、写真ではリップの上に突き出した緑色の部分です。


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Stanhopea insignis 'Dark Jungle
ブラジルの原産。そういえば、スタンホペアは特定種の蜂を香りにより呼び寄せており、受粉可能性を高めているそうです。


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Dracula Vampire 'Zorba'
ドラクラ(ドラキュラ)属で「ヴァンパイア」とは狙った名前です。ドラクラにしては大型で、色合いや模様が不気味な雰囲気を醸し出しています。

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ドラクラは小さな花が多いので分かりにくいのですが、変わった構成の花です。目立つ外側の3枚は花弁ではなく萼片で、中に見えるのがリップです。他の2枚の花弁は退化して痕跡状となっています。これは、萼片で花粉媒介者にアピールし、リップは花粉媒介者が掴まる足場、あるいは蜜標(nectar guide)として機能しているということでしょう。下向きの花なので、見えない残り2枚の花弁は確かに不要です。


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Dracula bella
コロンビアの原産。

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花が猿の顔に見えることから、ドラクラの仲間はモンキーオーキッドとも呼ばれます。


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うっかり名札を見忘れました。D. sodiroiかなあとは思いますが、似た種が多いので確信はありません。なんせ、ドラクラ属は146種ありますからね。

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クラゲのような面白い形です。


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Dracula felix
エクアドルとコロンビアの原産。
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これは見事ですね。まるで、イヌセンボンタケのようです。


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Dracula severa
コロンビアの原産。


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Dracula inaequalis 'Superba'
ランプのシェードようなドラクラ感がない面白い花。コロンビアの原産。


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Dracula platycrater
コロンビアの原産。現在、D. spectrumの異名となっているようです。



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サボテン科全体を分子系統により分類した論文の続きです。引き続きJurriaan M. de Vosらの2025年の論文、「Phylogenomics and classification of Cactaceae based on hundreds of nuclear genes」をご紹介します。昨日はCereus連のUebelmannia亜連、Aylostera亜連、Rebutia亜連、Gymnocalycium亜連について記事にしました。本日はCereus連の残りの、Cereus亜連とReicheocactus亜連を見ていきます。


Cactus亜科の分子系統(連レベル)
本日はCereus連の続きを扱います。

 ┏Lymanbensonieae
┏┫
┃┗Copiapoeae

┫┏Cacteae
┃┃
┗┫┏Phyllocacteae
    ┃┃
    ┗┫    ┏Fraileeae 
        ┃┏┫
        ┃┃┗Rhipsalideae
        ┗┫
            ┃┏Notocacteae
            ┗┫
                ┗Cereeae


Cereus連の分子系統(亜連レベル)
本日はUebelmannia亜連とCereus亜連、Reicheocactus亜連を扱います。
 
┏Aylosterinae

┫┏Rebutiinae
┃┃
┃┃    ┏Gymnocalyciinae
┗┫┏┫
    ┃┃┗Cereinae
    ┗┫   
        ┃┏Reicheocactinae
        ┗┫
            ┗Trichocereinae


☆Cereus亜連(※1)
※1: Discocactus亜連、Melocactus亜連、Pilosocereus亜連を含む。

南米東部と北東部にほぼ限定された系統群です。ただし、カリブ海地域や中米、メキシコ、フロリダにも分布するものもあります。Cereus亜連の多様性の大部分はブラジル北東部に見られる属により構成されます。いくつかの属には花座(Cephalium)が見られます。CoelocephalocereusやEspostoopsis、Facheiroa、広義のMicranthocereusの花座は側面にあり、DiscocactusやMelocactusは先端、ArrojadoaやStephanocereusは環状につきます。
Cereus亜連のサンプリングは不十分です。解析結果の不確実性や不十分な支持は、急速に多様化した結果であることを示唆します。著者らの結果に、Romeiro-Britoら(2023)のデータを散りばめました。よって、Cereus亜連は未解決なクレードから構成されており、明確な境界があり種の多い非公式なクレードを復元しています。

①初期に分岐した群
含まれる属: Brasilicereus(※2)、Cereus(※3)、Cipocereus(※4)、Facheiroa(※5)、Leocereus、Praecereus、Stetsonia

※2: Bragaiaを含む。※3: Mirabella、Subpilocereusを含む。Serrulatocereusを含む? ※4: Floribundaを含まない。※5: Zehntnerellaを含む。

┏Praecereus euchlorus

┫┏Stetsonia coryne
┃┃
┃┃    ┏Cereus fricii
┗┫┏┫ (=Subpilocereus fricii)
    ┃┃┃┏Cereus hexagonus
    ┃┃┗┫
    ┃┃    ┗Cereus jamacaru
    ┗┫   
        ┃     ┏Leocereus bahiensis
        ┃┏ ┫
        ┃┃ ┗Facheiroa ulei
        ┗┫
            ┃┏Brasilicereus phaecanthus
            ┗┫  
                ┗非公式系統群
                

系統的に基底的な群で、Cereusクレード、Facheiroaクレード、Romeiro-Britoら(2023)のStetsoniaとPraecereusに相当します。PraecereusとStetsoniaがこの群の初期分岐に位置付けられていることは花序の構造と一致します。しかし、正確な位置は不明です。著者らのデータと異なり、Francoら(2017)やRomeiro-Britoら(2022, 2023)は、StetsoniaをCereus亜連の残りの属の姉妹群としています。Romeiro-Britoら(2016)の系統分類において、PraecereusはCereus属の2種とクレードを形成しています。しかし、Francoら(2017)やRomeiro-Britoら(2022)では、PraecereusをCereusおよびCipocereusの姉妹群としています。一方、Fantinatiら(2021)は、PraecereusがCereusに深く関係することを示しています。Cereus属の関係性は以前として大部分が未解決であり、カリブ海地域原産の2種のCereusは、Romeiro-Britoら(2023)のデータでは単系統ですが、Francoら(2017)のデータでは単系統ではありません。

Cipocereusの配置も未解決です。Francoら(2017)は、CipocereusをMirabellaの姉妹種とし、さらにPraecereusやCereusを含む他の系統群の姉妹種としました。対照的にAmaralら(2021)とRomeiro-Britoら(2023)は、PraecereusとCipocereusがCereusの連続した姉妹種としており、Romeiro-Britoら(2022)では使用したデータの違いによりCipocereusがCereusに埋め込まれているかMirabellaの姉妹種であるかという矛盾した結果を示しました。後者についてはFantinatiら(2021)でも見られ、これらを合わせるとCipocereusとPraecereusを含むより広いCereusを主張出来る可能性があります。

本研究に見られるLeocereusとFacheiroaの近縁性は、Schlumberger & Renner(2012)により初めて確認されました。この近縁性は花序の構造にも反映されており、周皮には多数の鱗片が密集し、しばしば豊富なフェルト層を有します。歴史的にはBarthlott & Hunt(1993)やTaylor & Zappi(2004)により、Trichocereus亜連に分類されていました。これは、Trichocereus亜連の周皮に毛があることによります。また、Fantinatiら(2021)はLeocereusをBrasiliの姉妹としており、Romeiro-Britoら(2022)はLeocereusは解析していないものFacheiroaをBrasilicereusの姉妹としています。著者らのデータでは、BrasilicereusはFacheiroa + Leocereusのクレードに属しませんが、Cereus亜連の残り(非合法群)と姉妹であるとしましたが根拠は薄いものです。

Romeiro-Britoら(2023)のサンプルにはBragaia estevesiiも含まれています。Bragaiaは形態学的にはBrasilicereusと区別することは困難です。Facheiroa系統群を、狭義のBrasilicereus + (Bragaia + (Facheiroa + Leocereus))とし、側系統となる広義のBrasilicereusを解決するためにBragaiaとBrasilicereus、Leocereusを拡張されたFacheiroaに含めることを提案しました。しかし、形態学的な顕著な違いなどを考慮して、これは時期尚早であると著者らは考えます。

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Cereus repandus
夢の島熱帯植物館(2024年12月)



②非公式系統群【Melocactus亜連 + Pilocereus亜連】
含まれる属: Arrojadoa(※6)、Coelocephalocereus(※7)、Discocactus、Espostoopsis、Floribunda、Lagenosocereus、Melocactus、Micranthocereus(※8)、Pierrebraunia、Pilosocereus、Siccobaccatus、Stephanocereus、Xiquexique(※9)

※6: Arrojadoopsisを含む。※7: Buiningia、Mariottiaを含む。※8: Austrocephalocereus、Viridicereusを含む。※9: Caerulocereusを含む?

┏Micranthocereus polyanthus
┫           
┃┏Espostoopsis dybowskii
┃┃
┗┫    ┏Coelocephalocereus aureus
    ┃┏┫ (=Buiningia)
    ┃┃┗Coelocephalocereus
    ┃┃              fluminensis
    ┗┫
        ┃    ┏Discocactus zehntneri
        ┃┏┫          
        ┃┃┗Melocactus oreas
        ┗┫              
            ┃    ┏Xiquexique gounellei
            ┃┏┫(=Pilosocereus gounellei)
            ┃┃┃ 
            ┃┃┗Pilosocereus
            ┗┫           leucocephalus
                ┃
                ┃┏Arrojadoa pusilliflora
                ┗┫ (=Floribunda pusilliflora)
                    ┃ (=Cipocereus pusilliflorus)
                    ┃┏Stephanocereus
                    ┗┫            leucostele
                        ┗Arrojadoa rhodantha


ブラジル北東部原産のEspostoopsisはEspostoaとの表面的な類似により、以前はTrichocereus亜連に含まれると考えられてきました。 著者らの非公式系統群の中では、もっとも初期の分岐枝の中にあります。Schlumberger &  Renner(2012)はEspostoopsisをMicranthocereus densiflorusの姉妹種としましたが、ブラジルにおけるサンプリングは不十分なものでした。初期に分岐した系統群は解析ごとに異なります。著者らのデータでは、狭義のMicranthocereusはCereus亜連の非公式系統群の残りすべての属の姉妹属としましたが、Romeiro-Britoら(2023)はEspostoopsisが狭義のMicranthocereusと残りの属の姉妹属としました。高い支持がなく正当性にかけるため、この系統群には正式な命名をせず、非公式系統群とします。

広義のCoelocephalocereus、すなわちBuiningiaは完全に支持されており、Romeiro-Britoら(2023)もこれを確認しています。DiscocactusとMelocactusとの関係も同様です。両者は通常は分岐せず頂端に花座を持ちます。Discocactusは夜行性でスズメガ媒(sphingophilous)で、Melocactusは昼行性で鳥媒(ornithophilous)です。

StephanocereusとArrojadoaの密接な関係性は、輪状の花座が共通することからも言えます。また、Stephanocereusは夜行性でコウモリ媒(chiropterophilous)、Arrojadoaは昼行性、または薄明薄暮性で鳥媒です。著者らはFloribunda pusilliflora(一般的にはCipocereus)をArrojadoa-Stephanocereusクレードの姉妹種と位置付けましたが、これはRomeiro-Britoら(2023)やFantinatiら(2021)においても確認されています。Romeiro-Britoら(2023)のサンプルの種類が多い解析では、Pierrebraunia bahiensisとStephanocereus luetzelburgiiは、Micranthocereus violaciflorusと共にArrojadoa-Stephanocereusクレードの構成種とされました。Floribunda、Pierrebraunia、Lagenosocereusは花座を形成しませんが、Micranthocereus violaciflorusは側頭に花座を形成し、StephanocereusとArrojadoaは断続的に環状に花座を形成します。Romeiro-Britoら(2023)は大胆にもこれらすべてを拡張されたArrojadoaに含めています。分析されたMicranthocereus violaciflorus以外のすべての系統群が完全に支持されたため、Floribunda + ((Pierrebraunia) + (Lagenosocereus + Stephanocereus) + Arrojadoaと認識した方が進化の分岐をより適切に表すことが出来るとしています。このLagenosocereusとPierrebrauniaの配置は、Fantinatiら(2021)により発見されました。Micranthocereus violaciflorusについては、当面は未解決な孤児として扱う方が最善であり、Guiggi(2024)による単型属Viridicereusとして分離するのは時期尚早です。

広義のPilocereusとMicranthocereusは、Cereus亜連のブラジル原産種に焦点を当てた複数の研究により注目を集めています。Calventeら(2017)やLavorら(2019, 2000)、Fantinatiら(2021)では、Pilosocereusから分離されたXiquexiqueが狭義のPilosocereusとは異なる十分に裏付けられた系統群であることを発見しました。これは、Romeiro-Britoら(2022, 2023)による詳細な研究によっても裏付けられています。さらに、Xiquexiqueを除くPilosocereusはP. bohlei(=X. bohlei)を除いた場合には単系統になります。Romeiro-Britoら(2023)ではP. bohleiはXiquexiqueの姉妹種であるとしていますが、裏付けは限られています。Fantinatiら(2021)やRomeiro-Britoら(2022, 2023)はMicranthocereusを多系統群としました。基準種であるM. polyanthusとその他のAustrocephalocereusを含む数種は、Xiquexiqueの姉妹系統群を形成します。Fantinatiら(2021)はCoelocephalocereus goebelianusの姉妹系統としてM. aurei-azureusを発見しました。Romeiro-Britoら(2023)はMicranthocereusの顕著な多系統性を明らかとしています。MicranthocereusはXiquexiqueの姉妹種ですが、以前はSiccobaccatusとして分離されていた種がCoelocephalocereusの姉妹種とされていました。SiccobaccatusはCoelocephalocereus goebelianusと形態は似ていますが、茎の組織が乾燥させても崩れないという解剖学的な構造が異なります。よって、著者らはこの差異に注目し分離属を認めます。

過去の複数の研究では、ブラジルのBahia中央の狭い地域の固有種であるPilosocereus aureispinusが残りすべての同属の分類群の姉妹種であり、ブラジル国外に分布するPilosocereusはブラジル東部に分布するPilosocereus chrysosteleを姉妹種として狭義のPilosocereusに属し、単一の系統群を形成します。

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Melocactus matanzanus
春の多肉植物・サボテン展示会、川口緑地センター樹里庵(2025年4月)



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Melocactus bahiensis
筑波実験植物園(2024年6月)


240622105951880
Melocactus zehntneri
筑波実験植物園(2024年6月)


☆Reicheocactus亜連
含まれる属: Reicheocactus


矮性の球形から短い円筒形で、節はなく通常は単生です。塊茎状の主根を持ち、多数の密集した低い肋があります。櫛歯状で弱いトゲがあります。花は昼行性で、外果皮の鱗片には豊富な綿毛と毛があります。

アルゼンチン中部のアンデス山脈東部の斜面に分布するReicheocactusがTrichocereus亜連の姉妹群であり孤立しているという見解は、Schlumberger & Renner(2012)により初めて指摘され十分な裏付けがあります。本研究もこれを裏付けています。単属の亜連を形成しその孤立した位置付けが強調されます。Reicheocactus famatimensisは、長年に渡りEchinopsis densispina やEriosyce odieriに誤認されてきました。


最後に
以上が論文の簡単な要約です。
本日の中心はCereus亜連でした。系統図を見ればおわかりの通り、非常に複雑で入り組んでいます。解析は不十分であり、著者らも正式な分類は時期尚早と考えています。さて、このグループは、基本的に柱サボテンにより形成されますが、DiscocactusやMelocactusなど球形のものも含まれます。また、Cephaliumと呼ばれる特徴的な花座を持つものもいくつかありますが、基本的にMelocactusくらいしか見たことがありません。あまり一般的ではない属が多いように思われます。
Reicheocactusは1種で亜連を形成します。かつては、RebutiaやLobiviaてされてきましたが、現在ではReicheocactus famatinensisとなっています。しかし、柱サボテン状でもなく肋ではなく結節(イボ)からなる見た目は、分類学的な位置を見るととても不思議です。
さて、長々と続いたサボテンの最新分類についての記事も次回で最後です。分類が混乱して名前がコロコロ変わったTrichocereus亜連の分類となります。


ちなみに、本論文は案を提唱している段階ですので、現在認められている分類ではないことに注意が必要です。今回扱った範囲の現在の属分類を一応お示しします。

Brasilicereus(→Facheiroa)、Cereus(29種、Cirinosum、Estevesia、Mirabella、Piptanthocereus、Praepilocereus、Subpilocereusを含む)、Cipocereus(5種)、Facheiroa(8種、Bragaia、Brasilicereus、Leocereus、Zehntnerellaを含む)、Leocereus(→Facheiroa)、Praecereus(2種、Monvillea、× Prilleaを含む)、Stetsonia(1種)、Serrulatocereus(1種)

Arrojadoa(14種、Arrojadoopsis、Floribunda、Lagenosocereus、Pierrebraunia、Stephanocereus、Viridicereusを含む)、Coelocephalocereus(9種、Buiningia、Mariottia、Siccobaccausを含む)、Discocactus(15種、Neodiscocactusを含む)、Espostoopsis(1種、Gerocephalusを含む)、Floribunda(→Arrojadoa)、Lagenosocereus(→Arrojadoa)、Melocactus(48種)、Micranthocereus(10 種、Austrocephalocereusを含む)、Pierrebraunia(→Arrojadoa)、Pilosocereus(56種、Pseudopilocereusを含む)、Siccobaccatus(→Coelocephalocereus)、Stephanocereus(→Arrojadoa)、Xiquexique(3種、Caerulocereusを含む)

Reicheocactus(1種)


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サボテン科全体を分子系統により分類した論文の続きです。引き続きJurriaan M. de Vosらの2025年の論文、「Phylogenomics and classification of Cactaceae based on hundreds of nuclear genes」をご紹介します。本日はCactus亜科Cereus連の解説と、Cereus亜連のUebelmannia亜連とAylostera亜連、Rebutia亜連、Gymnocalycium亜連を見ていきます。


Cactus亜科の分子系統(連レベル)
本日はCereus連を扱います。

 ┏Lymanbensonieae
┏┫
┃┗Copiapoeae

┫┏Cacteae
┃┃
┗┫┏Phyllocacteae
    ┃┃
    ┗┫    ┏Fraileeae 
        ┃┏┫
        ┃┃┗Rhipsalideae
        ┗┫
            ┃┏Notocacteae
            ┗┫
                ┗Cereeae



★Cereus連(※1)
※1: Melocacteae、Harrisieae、Trichocereeae、Brownningieae、Echinopsideae、Acanthocalycieaeをを含む。


Cereus連の分子系統(亜連レベル)
本日はUebelmannia亜連とAylostera亜連、Rebutia亜連、Gymnocalycium亜連を扱います。
 
Aylosterinae

┫┏Rebutiinae
┃┃
┃┃    ┏Gymnocalyciinae
┗┫┏┫
    ┃┃┗Cereinae
    ┗┫   
        ┃┏Reicheocactinae
        ┗┫
            ┗Trichocereinae



ごく稀に着生(Echinopsis arboricola)する、小型で球形の単生から群生、あるいは象徴的な柱状や燭台状まで多種多様です。多くの場合、頭状部が明確に変化し(Cephalium)、花は多様です。

Cereus連は分布がほぼ南米に限定されている単系統のクレードです。CereusやHarrisa 、Melocactus、Pilosocereusの中のごく少数の種が中米やメキシコ、カリブ海地域、米国のフロリダまで広がっています。
Cereus連の種の多様性の大部分は、Cereus亜連とTrichocereus亜連に属します。形態は多様で、矮性の孤立した球形のものから柱サボテンまで連続しています。いくつかの系統では生殖する茎部分(Cephalia)が顕著です。ブラジル原産のCereus亜連では先端あるいは環状のCephaliumが見られ、Cereus亜連やTrichocereus亜連のいくつかの系統では側方にCephaliumが見られます。側方のCephaliumは、MicranthocereusやEspostoaの形態学上の「鍵」である特徴として、繰り返し使用されてきました。しかし、それらは平行進化によるものでしかありません。


著者らのデータでは、Cereus連の最初の分岐はAylostera亜連です。次に分岐するRebutia亜連は謎を抱えており、不確定なものです。これは、円柱状や枝分かれした樹木状のBrowningiaや、小型で球形のRebutiaやWeingartiaといった極端な多様性が関係していると考えられます。

Uebelmanniaはブラジル北東部カンポ・ルペストレ植生に生えます。UebelmanniaはそのタイプであるU. gutmiferaが顕著なゴム道(gum duct)を有する特異的な茎を持ちます。
著者らは解析していませんが、Silvaら(2020)やZappiら(2024)はUebelmanniaをCereus連の早期の分岐における単属のクレードと位置付けており、その根拠とする論文がいくつかあります。歴史的にUebelmanniaは、Barthlott & Hunt(1993)はNotocactus連に、Taylor & Zappi(2004)はTrichocereus連に分類されてきました。

種数が豊富なCereus亜連とTrichocereus亜連は、従来の分類では単一属の最古のクレードのパターンを共有します。Cereus亜連のGymnocalyciumをGymnocalycium亜連とし、Trichocereus亜連のReicheocactusをReicheocactus亜連とすることを提案します。


☆Uebelmannia亜連
含まれる属: Uebelmannia


属のタイプであるU. gutmiferaは黄色の花や球形な姿から、当初はParodiaとして記載されました。分布はブラジルのミナス・ジェライス州中心部に限定されます。


☆Aylostera亜連
含まれる属: Aylostera(※2)

※2: Digitorebutia、Mediolobiviaを含む。


Aylostera亜連、Rebutia亜連の分子系統
 
  Aylostera亜連
    ┏Aylostera einstenii
    ┃    (=Rebutia einstenii)
┏┫┏Aylostera pygmaea
┃┗┫(=Digitorebutia haagei)
┃    ┗Aylostera(Rebutia)fiebrigii
┃          (=Rebutia fiebrigii)
┃      Rebutia亜連
┃    ┏Rebutia minuscula

┫┏┫
┃┃┃┏Browningia candelaris
┃┃┗┫
┃┃    ┃┏Weingartia fidana
┃┃    ┗┫
┃┃        ┃┏Weingartia steinbachii
┃┃        ┗┫(=Sulcorebutia steinbachii)
┃┃            ┃┏Weingartia
┃┃            ┗┫   neocumingii
┃┃                ┗Weingartia neocumingii
┃┃                         subsp. pulquinensis
┃┃                   (=Gymnorebutia pulquinensis)     

┃┃    ┏Gymnocalycium亜連
┗┫┏┫
    ┃┃┗Cereus亜連
    ┗┫   
        ┃┏Reicheocactus亜連
        ┗┫
            ┗Trichocereus亜連

広義のRebutiaの多様性は、Ritzら(2007)により明らかとされており、Mostiら(2011)やRitzら(2016)により裏付けられています。広義のRebutiaとは、Anderson(2001, 2005)ではAylosteraやDigitorebutia、Mediolobiviaを含み、Huntら(2006)ではCintiaやWeingartiaを含むものでした。AylosteraとRebutiaを別の属として認識することは、Aylosteraは6〜8花粉片で狭義のRebutiaは3花粉片であるという花粉の形態の違いと整合性があります。

AylosteraはRitzら(2016)により詳細に研究されており、Aylosteraに合致する3系統群に分けられます。2つの系統はDigitorebutiaとMediolobiviaに相当します。ちなみに、著者らはA. einsteiniiを解析しましたが、Ritzらはこれを属のタイプであるA. aureifloraの異名と見なしました。この結果は著者らの分析により裏付けられています。広義のAylosteraは、Mediolobivia(A. einsteinii) + (狭義のAylostera + Digitorebutia)という分岐となりましたが、サンプル数が多いRitzら(2016)では(Mediolobivia + Aylostera) + Digitorebutiaとされています。


☆Rebutia亜連(※3)
含まれる属: Browningia(※4)、Rebutia(狭義)、Weingartia(※5)

※3: Browningiinaeを含む。※4: Azureocereus、Gymnanthocereus、Gymnocereusを含むが、Leptocereus亜連のCastellanosiaを含まない。※5: Cintia、Gymnorebutia、Sulcorebutiaを含む。

狭義のRebutia、Browningia、WeingartiaからなるRebutia亜連は、もっとも謎めいた系統群です。Lendelら(2006)とRitzら(2007)の暫定的なデータにより初めて明らかとなりましたが、Schlumpberger & Renner(2012)の系統にも見られます。

RebutiaとWeingartiaの矮性で球形の形態と、Browningiaの枝分かれした樹木状の形態との間の相違点は極めて顕著です。著者らの系統やRitzら(2007)の系統の支持が低いのは、BrowningiaがRebutiaやWeingartiaに対し長く孤立して進化したためであると考えられます。GymnanthocereusやAzureocereus、Gymnocereusを含む解析が行われることを期待します。また、Schlumberger + Renner(2012)は、Lasiocereus fulvusをBrowningia-Rebutia-Weingartiaクレードの姉妹種としましたが、著者らは属のタイプであるL. fulvusをTrichocereusに属する種であると特定しました。

広義のWeingartiaの単系統性は、Browningia-Rebutia-Weingartiaクレードの姉妹種としています。これは、Ritzら(2007)やMostiら(2011)の研究とは対照的に、著者らのデータでは裏付けられています。


250427094037626
Rebutia perplexa
春の多肉植物・サボテン展示会、川口緑地センター樹里庵(2025年4月)



☆Gymnocalycium亜連
含まれる属: Gymnocalycium(※6)

※6: Brachycalyciumを含む。

Gymnocalyciumはブラジル南部やウルグアイからパラグアイ、ボリビア、南部はパタゴニア地方までアルゼンチンに至る、南米東部の平野およびアンデス山脈斜面に分布します。近年の研究ではGymnocalyciumは単系統であることは一致していますが、属の内部の分類はそれぞれ異なります。また、GymnocalyciumのCereus連内の位置付けは依然として議論が続いています。Ritzら(2007)はGymnocalyciumをTrichocereus亜連の姉妹群としましたが、その根拠は薄いとしています。GymnocalyciumはCereus連の中でも非常に孤立しているため、単属の亜連であるGymnocalycium亜連を提案します。

250831170801616
Gymnocalycium friedrichii LB 2178


250721135142299
Gymnocalycium spegazzinii subsp. cardenasianum


最後に
以上が論文の簡単な要約です。
本日はウエベルマンニア(ユーベルマニア)亜連、アイロステラ亜連、レブチア亜連、ギムノカリキウム亜連についてでした。
ウエベルマンニアは外見的な特異性そのままに、分離された亜連としています。しかし、著者らはサンプリングしていないため、分子系統にはありません。
レブチアは分離されてわずか3種からなる小属です。遺伝的に2群に分けられるため、片方はアイロステラになりました。しかも、2属に分けられるだけではなく、亜連レベルで異なるという見解には驚かされます。
ギムノカリキウムはまとまりのある単系統群です。属内分類もある程度は傾向が解析されています。以前、当該論文を記事にしたことがありますので、そちらもご参照下さい。



ちなみに、本論文は案を提唱している段階ですので、現在認められている分類ではないことに注意が必要です。今回扱った範囲の現在の属分類を一応お示しします。

Uebelmannia(4種)

Aylostera(27種、Cylindrorebutia、Digitorebutia、Echinolobivia、Echinorebutia、Mediolobivia、Rebulobivia、Setirebutiaを含む)

Browningia(11種、Azureocereus、Gymnanthocereus、Gymnocereusを含む)、Rebutia(3種、Eurebutiaを含む)、Weingartia(34種、Neogymnantha、Spegazzinia、Bridgesia、Cintia、Gymnantha、Gymnorebutia、Sulcorebutiaを含む)

Gymnocalycium(67種、Brachycalyciumを含む)



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9月に行った東京薬科大学の薬用植物園の続きです。コショウ属やショウガ科を中心に見てきましたが、本日は熱帯果樹を見ていきます。


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クスノハガシワ Mallotus philippensis
カシワ(Quercus dentata)の葉には似ていませんが、クスノキ(Camphora offichinarum)のような葉のアカメガシワ(M. japanicus)という意味なのでしょう。インド、ネパールから台湾、中国南部、広く東南アジア、ニューギニア島、オーストラリアの原産。



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マンゴー Mangifera indica
なかなか立派なマンゴーの木がありました。日本でもマンゴーは暖地で栽培されますが、最大の栽培地域のインドであり紀元前から栽培されていたそうです。インド、ミャンマー、タイ、中国南部の原産。
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実に立派な株です。


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アボカド Persea americana
アボカドは糖類が少なく脂肪分が多い変わった果樹です。人間以外の動物には毒性が高いので注意が必要です。アボカドを含むPersea(ワニナシ属)は、111種もあるそうです。中米の原産。


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バナナ Musa paradisiaca var. sapientum
バナナがなっていました。植物園の温室ではバナナはよく見かけます。しかし、一般的によく見かけるバナナは自然交雑種ですから、学名は「Musa  × paradisiaca」となっています。組み合わせは、マレーヤマバショウ(M. acuminata)とリュウキュウバショウ(M. balbisiana)とのことです。ちなみに、異名は沢山ありますが、代表的にはM. paradisiaca系とM. sapientum系があり、sapientumの亜種や変種のparadisiacaだったり、paradisiacaの亜種のsapientumなどの名前もあります。しかし、これらはすべて異名扱いとされています。マレーシア、フィリピンの原産。
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なかなかに立派なバナナがなっています。


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ユカン(油甘) Phyllanhus emblica
一見してネムノキの仲間に見えますが、コミカンソウ科とのこと。果実は食用とされるそうです。インド、バングラデシュから台湾、中国南部、東南アジアの原産。


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コーラノキ Cola nitida
コラの種子にはカフェインを含みます。ニティダは代表的なコラで、種子はコーラ・ナッツと呼び、カフェインの1種であるコラチンやテオブロミンを含みます。古くからアフリカでは興奮剤とされてきました。コカ・コーラにコラの種子が用いられていたのは有名な話ですが、コラの実は高価なため使用されなくなりました。アフリカ西海岸沿いおよびマリ、コンゴの原産。


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シクンシ(使君子) Quisqualis indica
かつて種子を駆虫薬としたそうです。シクンシの花は夕方に開く白い花で香りがあり、明らかに蛾媒でどうもスズメガ媒花とされているようです。しかし、やがて花色はピンク色になり最終的には赤色となります。これは、花粉媒介者をスズメガから蜂や鳥に変えているということのようです。複数の花粉媒介者による確実な受粉、あるいは花粉媒介者の増減に関わらず受粉可能性を残す策かも知れません。
インド、ネパールから台湾、中国南部、東南アジア、ニューギニア島、オーストラリア、タンザニアの原産。分布がとても広いのですが、これは種子が浮いて海を漂流するからでしょう。しかし、それでもタンザニアに飛び地があるのが不思議です。やはり分布が広く種子が漂流する
モモタマナ(Terminalia catappa)も、似たような分布でマダガスカルに飛び地があります。海流なのか古代の人流なのか気になりますね。



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最近は明け方や夜間は肌寒くなってきました。相変わらず多肉植物たちは元気ですが、室内の多肉植物置き場を整理して冬の準備を始める頃合いかも知れません。そんなこんなで、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。


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Fouquieria fasciculata
ファスキクラタはどういうわけか葉がありません。何と大きなスズメガの幼虫がついていて、ほとんどの葉を食べられてしまいました。おそらく、エビガラスズメですが、本来は日本に存在しないフォウクィエリアを食害するとは驚きです。

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とは言え、フォウクィエリアは直ぐに新しい葉を出すので、それほど心配はしていません。


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Euphorbia pteroneura
プテロネウラが初開花しました。

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苞が白くなってきました。これは、同じユーフォルビアであるポインセチアと同じです。


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Euphorbia heterodoxa
ヘテロドクサも開花しました。
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苞はもう少し大きくなるでしょうか。


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Portulacaria namaquensis
=Syn. Ceraria namaquensis

ナマクエンシスもよく生長しています。冬にハダニにやられてだいぶボロボロにされましたが、まったく影響を感じさせません。
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とても面白い葉の出方をしますが、葉の出方が似ているAlluaudiaやDidiereaの仲間です。ちなみに、かつてはCerariaでしたが、現在CerariaはPortulacariaに吸収されています。


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武勲丸 Gymnocalycium ochoterenae
武勲丸が水を吸って膨らんでいます。丈夫で育てやすいギムノカリキウムです。


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白葉姫性吹上
吹上の小型のタイプですが、非常によく生長しました。下の方の葉が購入時の葉ですから、大変な勢いです。新しい葉は密に詰まって美しいですね。




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8月に行った神代植物公園の食虫植物展の記事の続きです。ラン室に入り3回目の蘭の記事です。しかし、まだラン室は終わりません。


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Dendrobium chrysopterum
目が覚めるような色合いのデンドロビウムが咲いていました。ニューギニア島原産。2001年に記載されました。


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フウラン(風蘭) Vanda falcata
フウランがいつの間にやらVandaになっていました。Neofindtiaのイメージしかなくてびっくりしました。まあ、私の知識が古いだけですけどね。
フウランは夜に花が香り、花には長い距がありますから、これは蛾媒ということになるのでしょうか。

東アジアの原産。


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Polystachya clareae
ポリスタキアは今まであまり見た記憶がないため、調べてみたら何と244種もある属でした。P. clareaeは2003年に記載されたマダガスカル原産種。

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花は小さいものの、ちゃんと蘭の花です。


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Dendrobium victoriae-reginae
フィリピン原産のデンドロビウム。自然の色とは思えない強い紫色です。


250809102247316
Onicdioda Charlesworthii
オンキディオダはCochliodaとOncidiumの属間交配種で、Onc. incurvumとC. noezlianaということです。しかし、Cochliodaは2008年にOnc.とされていますから、「Oncidium Charlesworthii」が正しい名前となるようです。

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花茎が穂のように伸びます。


250809102300914
Oncidioda Morning Melody 'Sakura'
Onci. roseoidesとOnci. obryzatum。ロゼオイデスがCochliodaとされていたようです。かわいらしい花です。


250809102545986
Dendrobium 'Sonia'
D. 'Caesar'とC. 'Tomie Drake'の交配種。1984年に登録されました。
250809102549409
これは鮮烈な紫色。花弁の根元が白いため、まるで花弁が浮いているようです。



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9月に行った東京薬科大学の薬用植物園の続きです。温室内にいますが、本日はショウガ科を中心に見ていきます。そういえば、今まで植物園ではショウガ科の植物をあまり見かけたことがありません。注目していないから気が付かないだけかも知れませんが、とにかく東京薬科大学の薬用植物園では様々なショウガ科植物を見ることが出来ました。これからはショウガ科植物にも注目していきたいですね。


250902101841608
ブラックカルダモン Amomum subulatum
スパイスとして知られるカルダモンは同じショウガ科のグリーンカルダモン(ショウズク、Elettaria cardamomum)とブラックカルダモンがあります。インド、チベットから中国南部の原産。ショウガ科。


250902102643984
カルダモン Elettaria cardamomum
香辛料として有名なカルダモンですが、これは香辛料として利用する種子の名前で、植物自体は「ショウズク(小荳蔲、小豆蔲)」と言うそうです。インドの原産。ショウガ科。



250902101853632
ナンキョウ(南姜) Alpinia galanga
タイやインドネシアでは根茎を食用としています。アーユルヴェーダでは鎮痛剤としているそうです。アッサムから東南アジアに広く分布します。ショウガ科。


250902102528574
ガジュツ(莪朮) Curcuma zedoaria
紫ウコンとも呼ばれます。生薬とされているそうです。ヒマラヤ、アッサム、バングラデシュの原産。ショウガ科。



250902102400422
ウコン(鬱金) Curcuma longa
ウコンの花が咲いていました。香辛料のターメリックとして有名です。料理だけではなく、生薬や染料とします。インドの原産。ショウガ科。


250902102541349
クスリウコン Curcuma zanthorrhiza
ジャワジンジャー、あるいはジャワウコンとも呼ばれます。どういうわけかC. xanthorrhizaという記載されていない名前が広く流通しているようです。生薬や香辛料などに利用されます。インドの原産。ショウガ科。


250902102208904
オオキンバイバサ Curculigo capitulata
キンバイザサ科は初めて見ました。
キンバイザサの仲間はクルクリンを含みます。クルクリンは酸味を甘味に感じる作用があり、ミラクルフルーツに含まれるミラクリンと似ていますが、クルクリン自体に甘味がある点が異なります。葉は切り花に使用されるそうです。しかし、東南アジアからニューギニア島、オーストラリアの原産。
250902102215161
整った脈が美しいですね。
250902102228483
枯れかけの花穂があり、花も咲いていました。



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10月も半ばになりましたが、どういうわけかハダニが発生してしまいました。今のところユーフォルビアの一部だけですが、全体的に殺ダニ剤を撒いた方がいいかもしれません。というわけで、いくつかダニにやられたものも含め、花キリンの花を見ていきます。


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Euphorbia brachyphylla
ブラキフィラは相当やられました。

250923114105133
葉についた掠れたような白い点がハダニの跡です。


250923114437576
Euphorbia rossii
塊根性花キリンのロシイが一番酷くハダニにやられました。

250923114449453
葉はかなり汚い感じです。
250923114452996
若い花はより緑色です。


250923114616255
Euphorbia makayensis
マカイエンシスにはダニは付いていません。

250923114623293
花は小型です。


250923114222913
Euphorbia waringiae
ワリンギアエは冬にハダニにやられた口ですが、今のところ問題なさそうです。

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冬にハダニにやられて葉を落としましたが、今は大変充実しています。



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サボテン科全体を分子系統により分類した論文の続きです。引き続きJurriaan M. de Vosらの2025年の論文、「Phylogenomics and classification of Cactaceae based on hundreds of nuclear genes」をご紹介します。本日はCactus亜科のFrailea連、Rhipsalis連、Notocactus連を見ていきます。


Cactus亜科の分子系統(連レベル)
本日はFrailea連、Rhipsalis連、Notocactus連を扱います。

 ┏Lymanbensonieae
┏┫
┃┗Copiapoeae

┫┏Cacteae
┃┃
┗┫┏Phyllocacteae
    ┃┃
    ┗┫    ┏Fraileeae 
        ┃┏┫
        ┃┃┗Rhipsalideae
        ┗┫
            ┃┏Notocacteae
            ┗┫
                ┗Cereeae


★Frailea連
含まれる属: Frailea

ブラジル南部、ウルグアイ、パラグアイ、ボリビア、アルゼンチン北部などの南米東部の、低地の岩場から砂質の草原に自生します。体は埋まる場合と埋まらない場合があります。
Fraileaが孤立下位置付けにあることは、以前から知られており、Nyffeler & Eggli(2010a)は孤児としています。Rhipsalis連の姉妹群に位置付けられていますが、極めて謎めいています。その根拠は限られ、支持も乏しいものでした。


241019164926369
Frailea castanea


Frailea連とRhipsalis連の分子系統

┏Frailea chiquitana

┫┏Rhipsalidopsis rosea
┃┃ (=Hatiola rosea)
┗┫┏Lepismium cruciforme
    ┃┃
    ┗┫┏Schlumbergera
        ┃┃    russelliana
        ┗┫┏Hatiora salicornioides
            ┃┃
            ┗┫┏Rhipsalis baccifera
                ┗┫
                    ┗Rhipsalis teres



★Rhipsalis連
含まれる属: Hatiora(※1)、Lepismium(※2)、Rhipsalidopsis、Rhipsalis(※3)、Schlumbergera(※4)

※1: Rhipsalidopsisを含まない。※2: Acanthocereus、Pfeifferaを含まない。※3: Erythrorhipsalisを含まない。※4: PseudozygocactusとZygocactusを含む。

着生性または稀に岩生性の矮性低木。分節する茎は広がるか垂れ下がり、茎は円錐形または扁平な枝状です。トゲは弱く、時に微細な毛状突起に退縮しています。花は昼行性です。

Rhipsalis連は5属からなる着生性の単系統群です。主に南米に分布しますが、RhipsalisはR. bacciferaがアフリカ、マダガスカル、スリランカまで分布します。広義のHatioraはCalventeら(2011a)やKorotkovaら(2011)と同様に、著者らの解析でも単系統ではありません。また、Rhipsalidopsis(イースターカクタス)は、平らな枝分かれした茎と、赤色からピンク色までの花を持つ種として明確に区別されるべきですが、Hatioraには円錐形でしばしば棍棒状の茎と黄色またはピンク色の花を持つ種を含みます。Hatiora epiphylloidesはかつてPseudozygocactusとして分離されましたが、Calventeら(2011a)やKorotkovaら(2011)により、Schlumbergeraに組み込まれていることが発見されました。しかし、茎の形状はRhipsalis連全体に渡り不安定で、Calventeら(2011a)は円錐形と扁平の茎の遷移を複数回発見しています。

著者らの系統は上記と矛盾していますが、Rhipsalis連の初期の分岐点の支持は弱いものです。著者らはRhipsalidopsisとLepismiumを、Schlumbergera + (Hatiora + Rhipsalis)の連続した姉妹群としましたが、Calventeら(2011a)はRhipsalidopsisをSchlumbergeraの姉妹群としています。Korotkovaら(2011)はH. epiphylloidesを含むSchlumbergeraとHatioraを、Rhipsalidopsis + (Lepismium + Rhipsalis)の連続した姉妹群としています。上述の改定されたLepismiumとRhipsalisは、近年のすべての研究において単系統されており、淡い色の半透明の花を咲かせます。

250118111237951~2
Hatiora salicornoides
東京農業大学バイオリウム(2025年1月)


★Notocactus連(※5)
含まれる属: Eriosyce(※6)、Neowerdermannia、Parodia(※7)、Yavia

※5: Parodieaeを含む。※6: Diaguita、Guerreroa、Horridocactus、Islaya、Neoporteria、Neotanahashi、Pyrrhocactus、Rimacactus、Thelocephalaを含む。※7: Acanthocephala、Brasiliparodia、Eriocephala、Notocactus、Wigginsiaを含む。

Notocactus連の分子系統

  ┏Eriosyce aurata
 ┏┫
 ┃┗Eriosyce islayensis
┏┫       (=Islaya islayaensis )
┃┃┏Eriosyce strausiana
┃┗┫ (=Pyrrhocactus strausianus)
┃ ┗Eriosyce subgibbosa
┫        (=Neoporteria subgibbosa)
┃    ┏Yavia cryptocarpa
┃┏┫
┃┃┗Neowerdermannia
┃┃            vorwerkii
┃┃ ┏Parodia schumanniana
┗┫┏┫(=Eriocactus schumannianus)
    ┃┃┗ Parodia haselbergii
    ┗┫   (=Brasilicactus graessneri)
        ┃┏Parodia microsperma
        ┗┫
            ┃┏Parodia erinaceus
            ┗┫ (=Wigginsia sellowii)
                ┗Parodia ottonis
                        (=Notocactus ottonis)

   

分布は南米に限定されます。球形で矮性から中型で、茎に節はなく花は昼行性です。ブラジル南部のサンタカリーナ高地からアルゼンチン南部と中部、アンデス山脈の高地とチリ中部からペルー中部の乾燥した海岸まで分布します。

著者らの研究では広義のEriosyceが同定されました。それは、Islayaを含む狭義のEriosyceと、HorridocactusとPyrrhocactusを含むNeoporteriaから構成されると推定され、Barcenasら(2011)やHernandez-Hernandezら(2011)による解析、さらにGuerroら(2019)により広義のEriosyceの詳細なサンプリングによる研究と一致します。Eriosyceは西アンデスと東アンデスで繰り返し分離した、複雑な生物地理的な歴史を持つ可能性が高いようです。Guerroら(2019)によると、アルゼンチンに残る分類群であるE. strausiana(Pyrrhocactus)などは、広義のEriosyceの残りのクレードの中に埋もれているとしています。しかし、不可解なことに、チリ北部原産のE. lauiを他の3属により形成されるクレードの一部として、YaviaとNeowerdermanniaの姉妹種としました。これは、単型のRimacactusの分離を裏付けています。アルゼンチン原産のYaviaと、アルゼンチンとボリビア、ペルー、チリ北部原産のNeowerdermanniaは、アンデス山脈の高地に分布しますが、Rimacactusの分布はチリ北部の西アンデスの斜面に限られます。

NotocactusやWigginsiaを含む広義のParodiaは、単系統であることが確認されています。しかし、Acanthocephala (=Brasilicactus)は、分布はブラジル南部に限定され、Eriocephala(=Eriocactus)はブラジル南部やパラグアイ、アルゼンチン北東部に限定され、その分類は十分な裏付けがありません。本研究では確認していないBrasiliparodiaも、同様にブラジル南部に限定して分布します。これらの分類群は分布域が狭く、湿潤な気候の岩場に限定して生息します。これらは、すべてのNotocactus、Wigginsia、狭義のParodiaの、祖先的な孤立した遺存種である可能性があります。


250427094015643
Parodia scopa
=Notocactus rudibuenekeri

春の多肉植物・サボテン展示会、川口緑地センター樹里庵(2025年4月)


最後に
以上が論文の簡単な要約です。
Fraileaは1属で1つの連(tribe)となっています。Rhipsalis連の姉妹群とされましたが、分類上の位置はややあやふやなもので、さらなる裏付けが必要です。
Rhipsalis連は着生サボテンが多く特異的な外見のものが多く見られます。Lepismiumなどは一見してPhyllocactus連のHylocereus亜連に属するEpiphyllumなどによく似ています。おそらく、生態学的なニッチの傾向が類似しているため収斂したのでしょう。

Notocactus連は近年、分類が大きく変わった分類群です。NeoporteriaやIslayaがEriosyceに吸収されました。しかし、最大の出来事はParodiaの拡大でしょう。NotocactusやParodia、Wigginsia、Eriocactus、Brasilicactusが分離出来ないことが明らかとなったのです。結果、そのすべてがParodiaとなり、命名上のルールにより巨大なParodiaが誕生しました。これらのことは著者らも再確認しており、概ね正しいと言えるでしょう。


ちなみに、本論文は案を提唱している段階ですので、現在認められている分類ではないことに注意が必要です。今回扱った範囲の現在の属分類を一応お示しします。

Frailea(19種)

Hatiora(3種、Epiphyllopsisを含む)、Lepismium(7種、Acanthorhipsalis、Nothorhipsalis、Ophiorhipsalisを含む)、Rhipsalidopsis(2種)、Rhipsalis(45種、Cassytha、Erythrorhipsalis、Hariota、Hylorhipsalisを含む)、Schlumbergera(7種、Epiphyllanthus、Epiphyllum Pfeiff.、Pseudozygocactus、× Rhipsaphyllopsis、× Schlumbergeranthus、× Schlumbergopsis、Zygocactus、Zygocereusを含む)

※1: Rhipsalidopsisを含まない。※2: Acanthocereus、Pfeifferaを含まない。※3: Erythrorhipsalisを含まない。※

Eriosyce(64種、Chilenia、Chileniopsis、Chileocactus、Chileorebutia、Chiliorebutia、Delaetia、Diaguita、Dracocactus、Euporteria、Friesia、Guerreroa、Hildmannia、Horridocactus、Islaya、Neochilenia、Neomapuchea、Neoporteria、Neotanahashia、Nichelia、Pyrrhocactus、Rodentiophila 、Thelocephalaを含む)、Neowerdermannia(2種)、Parodia(75種、Hickenia、Microspermia、Neohickenia、Acanthocephala、Bolivicactus、Brasilicactus、Brasiliparodia、Brasilocactus、Chrysocactus、Dactylanthocactus、Eriocactus、Eriocephala、Malacocarpus、Notocactus、Peronocactus、Ritterocactus、Sericocactus、Wigginsiaを含む)、Yavia(1種)、Rimacactus(1種)



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サボテン科全体を分子系統により分類した論文の続きです。引き続きJurriaan M. de Vosらの2025年の論文、「Phylogenomics and classification of Cactaceae based on hundreds of nuclear genes」をご紹介します。本日はCactus亜科のPhyllocactus連を見ていきます。Phyllocactus連は森林性サボテンで、熱帯林に分布ししばしば着生しますが、本日扱うEchinocereus亜連は主に大型の柱サボテンからなります。


Cactus亜科の分子系統(連レベル)
本日はPhyllocactus連を扱います。

 ┏Lymanbensonieae
┏┫
┃┗Copiapoeae

┫┏Cacteae
┃┃
┗┫┏Phyllocacteae
    ┃┃
    ┗┫    ┏Fraileeae 
        ┃┏┫
        ┃┃┗Rhipsalideae
        ┗┫
            ┃┏Notocacteae
            ┗┫
                ┗Cereeae


Phyllocactus連の分子系統(亜連レベル)
前回はCorryocactus亜連、Leptocereus亜連、Hylocereus亜連についてでしたが、今回は残りのEchinocereus亜連についてです。

┏Corryocactinae

┫┏Leptocereinae
┃┃
┗┫┏Hylocereinae
    ┗┫
        ┗Echinocereinae



☆Echinocereus亜連(※1)
※1: Nyctocereine、Cephalocereinan、Myrtillocactinae、Pachycereinae、Pterocereinae、Stenocereinae、Selenicereinaeを含む。

Echinocereus亜連の分子系統

         ①初期に分岐した系統
┏Nyctocereus serpentinus
┃     (=Peniocereus serpentinus)
┃          
┫┏Echinocereus viridiflorus
┃┃
┗┫┏Deamia testudo
    ┗┫   (=Selenicereus testudo)
        ┃┏Lemaireocereus hollianus
        ┃┃   (=Pachycereus hollianus)
  ┃┃  ②クレード1
        ┗┫  ┏Stenocereus
   ┃  ┃      thurberi
            ┃    ┏┫┏Stenocereus standleyi
   ┃ ┃┗┫(=Ritterocereus standleyi)
   ┃ ┃ ┗Morangaya pensilis
            ┃┏┫       (=Echinocereus pensilis)        
            ┃┃┃┏Isolatocereus dumortieri
            ┗┫┗┫ (=Stenocereus dumortieri)
       ┃ ┃┏Escontria chiotilla
                ┃    ┗┫    
                ┃        ┃┏Myrtillocactus
                ┃        ┗┫    geometrizans
                ┃            ┗Polaskia chichipe
                ┃  ③クレード2
                ┃    ┏Bergerocactus emoryi
                ┃    ┃
                ┃┏┫┏Cephalocereus polylophus
                ┃┃┗┫ (=Neobuxbaumia polylopha)
                ┃┃    ┗Cephalocereus
                ┗┫                    senilis
     ┃ ┏Mitrocereus militaris
                    ┃┏┫ (=Backebergia militaris)
                    ┃┃┗Marshallocereus aragonii
                    ┃┃      (=Stenocereus aragonii)       
                    ┗┫
                        ┃┏Carnegiea gigantea
                        ┃┃
                        ┗┫
                            ┃┏Lophocereus marginatus
                            ┗┫(=Marginatocereus 
                                ┃       marginatus)
                                ┃(=Pachycereus)
                                ┗Lophocereus schottii
                                (=Pachycereus schottii)

多稜で矮性から中型の低木、あるいは燭台状の枝分かれした高木。単独の円柱状か、稀に(半)着生で全長にわたり根を張るDeamiaもあります。茎は通常は節がなく、夜行性の大きな花を咲かせます。しばしば、コウモリ媒(chiropterophilous)です。
Echinocereus亜連はほぼ完全に北米と中米に分布する柱サボテンのグループで、多様性の中心はメキシコにあります。小型のEchinocereusから、巨大な樹木状のCephalocereusやPachycereus、Carnegieaなど多岐にわたります。広義のPachycereus、広義のPeniocereus、広義のStenocereusは明らかに多系統で、複数の系統群にまたがることもあります。本研究においては、Nyctocereusの位置付けに関して、Franco-Estradeら(2021)による最新の研究とかなり異なります。Echinocereus亜連に関する理解は依然として不十分で、これはCactus亜連の状況とほぼ同様です。Echinocereus亜連は明確に単系統ですが、内部の分類は十分に解明されていません。著者らのデータに基づくと、3つのクレードとその姉妹群である種数が少ない系統がありますが、十分な裏付けが不足しているため、これらのグループには名前を付けていません。


①初期に分岐した系統

含まれる属: Deamia(※2)、Echinocereus(狭義、※3)、Lemaireocereus、Nyctocereus(※4)

※2: 以前はHylocereus連のSelenicereusに含まれていた。※3: Wilcoxiaを含み、Morangayaを含まない。※4: 以前はPeniocereusに含まれていた。

EchinocereusはE. pensilisを除いた場合に単系統で、明確にWilcoxiaを含みます。Echinocereusはほぼすべての種で、花芽が表皮を突き破って出てくることで有名です。
狭義のNyctocereus(Cullmannia、Neoevansiaを含む)は、Franco-Estradeら(2021)の系統分類に基づいています。NyctocereusはPachycereusグループ(クレード3相当)の姉妹群とされています。著者らの解析では、Nyctocereusは他のすべてのEchinocereus亜連の姉妹群でした。なお、広義のPeniocereusの多系統性はBarcenasら(2011)により初めて指摘されました。
Lemaireocereusは以前は広義のPachycereusに含まれていました。Lemaireocereusは残りの北米の柱サボテンの姉妹群として孤立した位置にあることは、Ariasら(2003)とArias & Terrazas(2006)により指摘され、著者らのデータとFranco-Estradeら(2021)により裏付けられます。


②クレード1

含まれる属: Escontria、Isolatocereus、Myrtillocactus、Polaskia(※5)、Stenocereus(※6)

※5: Heliabravoaを含む。※6: Griseocereus、Hertrichocereus、Machaerocereus、Morangaya(以前はEchinocereus)、Rathbunia、Ritterocereusを含み、Marshallocereus(→クレード2)を含まない。

Echinocereus(Morangaya) pensilisはバハ・カリフォルニア産で、おそらく鳥媒花で、その正しい位置付けは議論の的となっています。Pradoら(2010)やBarcenasら(2011)、および著者らのデータでは、Stenocereus、Escontria、Machaerocereus、Polaskiaを含む系統群に分類されます。Sanchezら(2014)とFranco-Estradeら(2021)も同様です。Sanchezら(2018)はMorangayaをStenocereus(Rathbunia) alamosensisの姉妹群としており、花は鳥媒花で果実の特徴も共有しています。著者らの系統樹において、Morangayaを認めるとStenocactusは側系統となり、Ritterocereusは別の系統とせざるを得なくなります。Echinocereus (Morangaya) pensilisの位置付けをStenocereusに位置付けるためには、新たな組み合わせが必要となります。著者らはEchinocereus (Morangaya) pensilisを、Stenocereus pensilisとする提案を行いました。

PolaskiaはそのタイプであるP. chichipeについて、Myrtillocactusの姉妹群としての十分な裏付けを得ることが出来ました。これは、Franco-Estradeら(2021)の結果を反映しています。P. chende(Heliabravoa)は、Franco-Estradeら(2021)により、Escontriaの姉妹群とされています。EscontriaとPolaskiaの近縁性は、その自然交雑種である× Polascontriaの存在によっても裏付けられます。

Anderson(2001、2005)やHuntら(2006)が用いた分類におけるStenocereusは、古くからゴルディアスの結び目のようで、時代と共に分離されていきました。著者らの解析にはStenocereusのタイプであるS. stellatusは含まれませんが、S. thurberiはAriasら(2005)により準多系統のStenocereusの一部とされています。著者らが解析した広義のStenocereusの分離群であるIsolatocereus、Marshallocereus、Ritterocereusは配置が相反しているため、Anderson(2001、2005)やHernandez-Ledesmaら(2015)により限定された広義のStenocereusの概念は、極めて多系統的で維持は不可能です。Marshallocereusはこのクレードですらなく、Stenocereus yunckderiと共にクレード2に属します。解決策は見つかっておらず、このクレードに含まれる属は暫定的なものです。

240922101130480
Stenocereus(Ritterocereus) pruinosus
新宿御苑(2024年9月)


③クレード2
含まれる属: Backebergia(※7)、Bergerocactus、Carnegiea、Cephalocereus(※8)、Lophocereus(※7)、Marginatocereus(※7)、Marshallocereus(※9)、Pachycereus(狭義、※10)、Pterocereus

※7: Pachycereusに含まれていた。※8: Neobuxbaumia、Neodawsonia、Pseudomitrocereusを含む。※9: クレード1のStenocereusに含まれる。※10: Lemaireocereus、Lophocereus、Marginatocereus、Marshallocereus、Pterocereusを含まない。

Neobuxbaumia(Pseudomitrocereus、Mitrocereus fulvicepsを含む)は、著者らの系統樹ではCephalocereusの姉妹群として示されており、これは過去の研究と一致します。過去の研究はすべて単系統のクレードに混じったCephalocereusとNeobuxbaumiaの種を発見したため、NeobuxbaumiaはCephalocereusとされます。著者らの系統樹においては、広義のCephalocereus(メキシコ中部原産)をBergerocactus(カリフォルニア州南西部およびバハ・カリフォルニア北西部)の姉妹群とする、生物地理的に謎めいた位置付けとしましたが、Franco-Estradeら(2021)においても同様の結果が得られています。

広義のPachycereusである亜系統群は、広義のPachycereusは、Marshallocereus(旧・Stenocereus)、単型のCarnegieaからなり、過去の研究結果と一致します。

240622105935223
Pachycereus pringlei
筑波実験植物園(2024年6月)


DSC_1244
Carnegiea gigantea
神代植物公園(2022年5月)



最後に
以上が論文の簡単な要約です。
本日はEchinocereus亜連についてでした。柱サボテンには三角柱や金紐の仲間と近縁な主に北米に分布するEchinocereus・Pachycereus系と、MelocactusやEchinopsisなどに近縁な主に南米やカリブ海地域に分布するCereus・Trichocereus系の2つがあります。共に柱状になりますが、互いに関係なく似た姿に収斂したということなのでしょう。ただ、Echinocereus亜連の内部の分類については、まだ不確かな部分があるようです。



ちなみに、本論文は案を提唱している段階ですので、現在認められている分類ではないことに注意が必要です。今回扱った範囲の現在の属分類を一応お示しします。

Deamia(4種)、Echinocereus(84種、Wilcoxiaを含む)、Lemaireocereus(2種)、Nyctocereus(1種)

Escontria(1種)、Isolatocereus(1種)、Myrtillocactus(4種、Myrtillocereusを含む)、Polaskia(2種、Chichipia、Heliabravoaを含む)、Stenocereus(22種、Neolemaireocereus、Glandulicereus、Griseocactus、Griseocereus、Hertrichocereus、Machaerocereus、Neogriseocereus、Nigellicereus、Rathbunia、× Rittellicereus、Ritterocereusを含む)、Morangaya(1種)

Backebergia(→Mitrocereusに含まれる、1種)、Bergerocactus(1種)、Carnegiea(1種)、Cephalocereus(13種、Pilocereus、Cephalophorus、Haseltonia、Neobuxbaumia、Neodawsonia、Pseudomitrocereus、Rooksbyaを含む)、Lophocereus(3種、Marginatocereusを含む)、Marginatocereus(→Lophocereusに含まれる)、Marshallocereus(1種)、Pachycereus(5種、Anisocereus、Tribulariaを含む)、Pterocereus(1種)


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8月に行った神代植物公園の食虫植物展の続きです。前回からラン室に入りましたが、ちょっとした蘭の展示会程度の花はいつでも咲いているのは流石ですね。


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胡蝶蘭(Phalaenopsis)が実にゴージャスですね。


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Paphiopedilum lawrenceanum
いかにもなパフィオペディラム。ボルネオ島の原産。


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Paphiopedilum 'Robin Hood'
赤いパフィオというとせいぜい赤褐色というイメージがありましたが、ここまで赤い品種があるとは驚きです。どうやら、園芸品種同士の交配のようです。


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Lycaste Wyldfire "Takatsu"
リカステの園芸品種。リカステは萼片が目立ち、リップが小さいので不思議な形の花に見えます。


250809102058041
 Masdevallia veitchiana 'prince de Galle'
ヴェトゥキアナはペルー原産。マスデヴァリアは特徴的な面白い花を咲かせます。


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Warczewiczella Merion
これは聞いたことがない蘭です。ずいぶんとややこしい名前ですが、南米原産のようです。「Merion」はW. discolor × W. wailesianaの交配種とのこと。


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Miltoniopsis roezlii
ミルトニアやミルトニオプシスはパンジーに似た雰囲気の蘭です。ミルトニアやミルトニオプシスは、夏の暑さに弱いイメージがあり、育てたことはありません。


250809102139805
(左): Miltonia Eastearn Bay 'Russian'
(右): Miltonio Rouge 'California Plum'
ミルトニアの交配種。



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Myrmechis thomsoniana
このラベルは誤表記ですね。ミルメキスはアリドオシランなど非常に小型で地味な蘭です。正しくは、Myrmecophila thomsonianaですね。キューバの原産。



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最近、リニューアルした鶴仙園に行って花キリンやらアロエを買いました。そして、五反田BBではユーフォルビアとアデニアを買ったりしました。というわけで、これらの購入品を早速植え替えてしまいます。あまり遅くに植え替えると、植え替えのダメージが抜けないまま寒くなってしまいますから、今年最後の植え替えになるでしょう。基本的に直ぐに植え替えるのは、購入品は鉢や用土が異なりますから、乾き具合が分からないのが嫌なことと、病害虫のチェックも兼ねています。ちなみに、今年の多肉植物の植え替えは、合計170鉢になりました。


251004084835316
Aloe inexpectata
マダガスカルの小型アロエ。用土は赤玉細粒です。鶴仙園での購入品。
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根には問題はありませんが、動いていないようです。
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植え替え後。プレステラ75に植えました。


251004084917558
Gasteria bicolor var. liliputana GM 271
フィールドナンバー付きの矮性種のガステリア。鶴仙園での購入品。
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根はかなり豊富です。
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植え替え後。プレステラ75に植えました。


251004084922495
Euphorbia didiereoides
マダガスカルの花キリンですが、化粧砂があり用土が不明です。鶴仙園での購入品。
251004085718277
水はけは問題がなかったようです。根の状態は良好。
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植え替え後。根が多いので、プレステラ105に植えました。


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Euphorbia monteiroi
モンテイロイは一見して排水が良さそうです。ビッグバザールでの購入品。
251004085700957
根は普通ですね。実生苗なのでこんなものでしょう。ただ、実生はピートモス系?でやったのか、根周りは湿っぽい感じでした。
251004091554130
植え替え後。プレステラ90に植えました。


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Euphorbia arbuscula
ソコトラ島原産のユーフォルビア。過去の経験からすると挿し木苗です。ビッグバザールでの購入品。
251004085703945
根は挿し木苗にしては、まあまあありましたね。ただ、用土はかなり多湿で冬に腐りそうでした。
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植え替え後。そのままのプレステラ90に植えました。


251004084911848
Adenia cladosepala
マダガスカル原産のアデニア。やはり化粧砂の下が気になります。ビッグバザールでの購入品。
251004085707294
根は非常に豊富でした。
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植え替え後。プレステラ90に植えました。


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9月に行った東京薬科大学の薬用植物園の続きです。前回は熱帯の材をとる樹木などを見ました。今回はコショウ属(Piper)を中心に見ていきます。フウトウカズラやキンマなど、植物園の温室でコショウ属植物は見られますが、如何せん地味な存在で気が付かれないのが常です。


250902103036744
コショウ(胡椒) Piper nigrum
ちょうど、胡椒の実がなっていました。収穫後の加工により黒胡椒や白胡椒となります。インド原産。コショウ科。


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インドナガコショウ(ヒハツ、畢撥) Piper longum
ヒハツの花が咲いていました。英語のpepper はサンスクリット語の「pippali」に由来しますか、これは本来ヒハツを指しており、取り違えがあった模様です。ですから、ヒハツが本来のペッパーだったということになります。インド、バングラデシュから中国南部、タイベトナムあたりの原産。コショウ科。



250902101440932
フウトウカズラ(風藤葛) Piper kadsura
常緑のつる植物。全体に香りがありますが、コショウによく似た果実は辛みがないそうです。台湾、日本、韓国の原産。コショウ科。


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ヒハツモドキ(ジャワナガコショウ)
Piper retrofractum

バングラデシュから中国南部、フィリピンあたりの原産。果実は辛みがあり香辛料とされ、沖縄でも栽培され「島胡椒」などと呼ばれているそうです。コショウ科。


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キンマ Piper betle
ビンロウ(ヤシ科)の実をキンマの葉で包み、石灰をまぶして噛む習慣が東南アジアを中心に広くあります。コショウ科。


250902101748680
タイワンフタリシズカ Chloranthus oldhamii
台湾、フィリピン原産のヒトリシズカの仲間。


250902101756257
ナツメヤシ(棗椰子) Phoenix dactylifera
最近、日本でもデーツの名前で、ナツメヤシの干した果実がたまに見かけます。販売されているデーツの種子を蒔くと実生が得られますが、ナツメヤシは乾燥には強いものの寒さには弱いため育てるのは大変そうです。ちなみに、高さ15〜25mになります。サウジアラビアやオマーン、パキスタン、イランあたりの原産と言われていますが、古代から栽培されてきたため、厳密な本来の自生地は分からないかも知れませんね。



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いつの間にやら10月になってしまいましたが、11月のBBまで隙なので、植物園巡りを再開したいと思います。真夏の猛暑はありませんし、これからは秋バラの時期ですから植物園も華やかな季節ですね。楽しみです。さて、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。


250923111610515
Gymnocalycium gibbosum ssp. borlthii
ボルティイは一度根腐れしてからは、塊根もすっかり痩せてしまいました。しかし、どうやらしっかり根を張ったようです。
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塊根が太ったせいか、持ち上がってしまいました。


250923113633642
黒竜 Pterocactus tuberosus
黒竜は購入時に拗れていたのですが、新しい枝は良さそうです。一見して何に近縁が分かりにくいのですが、ウチワサボテン亜科でテフロカクタスに近縁です。



250923113721092
Euphorbia mitriformis
ソマリアもののミトリフォルミスです。今年の1月のBBで購入しましたが、生長の兆しが見えます。


250923111353394
Haworthia venosa ssp. granulata
現在はHaworthiopsis granulataです。順調に生長しています。


250923112022496
Haworthia limifolia var. stolonifera
ハウォルチア時代のリミフォリアの変種です。私の手持ちの変種リミフォリアと比べると、大柄で明るい色をしています。とは言え、変種ストロニフェラはリミフォリアがハウォルチオプシスとなる時に、ハウォルチオプシスとされませんでした。要するに、変種リミフォリアの変異の範囲内とされたようです。下の方の葉が古い葉ですから、特に今年は急激に巨大化しました。



250923112419318
Haworthiopsis koelmaniorum
コエルマニオルムも随分と立派になり、貫禄が出てきました。



250923111440541
Haworthiopsis longiana
ロンギアナが開花しました。

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花は大きく、色合いははっきりしています。


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8月に行った神代植物公園の食虫植物展の続きです。食虫植物展の会場を出て、ラン室に入りました。神代植物公園のラン室はいつ行っても何かしら咲いているイメージがあります。


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Dendrobium parthenium
背の高いデンドロビウムが咲いていました。フィリピン、ボルネオ島の原産。

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可憐で美しいですね。


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Mycaranthes latifolia
聞き覚えのない蘭でしたが、Eriaから分離された属のようです。インドネシア、マレーシアの原産。
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長い穂のような花序に小さな花が沢山つきます。


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Pleurothallis titan
プレウロタリスは小型のイメージが強かったのですが、1m程度の高さがあり驚きました。コロンビア、エクアドル、パラグアイの原産。


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ミニ胡蝶蘭が咲いていました。


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板付けのOncidiumも咲いています。


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Sobralia macrantha
Cattleyaのような花を咲かせますが、茎葉はまったく異なります。花は非常に短命と聞きます。中米の原産。


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Neobenthamia gracilis
花がくす玉のように丸く集まって咲きます。タンザニア原産。現在の学名は、Polystachya neobenthamiaとなっています。


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Dendrobium revolutum
カンボジア、ラオス、タイ、マレーシアの原産。
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花は小型で目立ちません。


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Prosthechea cochleata f. album
メキシコから南米北部の原産。コクレアタのリップが白いタイプ。ただし、f. albumはキュー王立植物園のデータベースに記載がありません。


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Oncidium planilabre
スパイダーオーキッド感があるオンキディウム(オンシジウム)。エクアドル、ペルーの原産。
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個々の花は小さいものの、大量に咲いています。


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サボテン科全体を分子系統により分類した論文の続きです。引き続きJurriaan M. de Vosらの2025年の論文、「Phylogenomics and classification of Cactaceae based on hundreds of nuclear genes」をご紹介します。本日はCactus亜科のPhyllocactus連を見ていきます。Phyllocactus連は森林性サボテンで、熱帯林に分布ししばしば着生します。クジャクサボテンや月下美人、三角柱や金紐などのヒモサボテンが有名です。Echinocereus亜連は次回に扱います。


Cactus亜科の分子系統(連レベル)
本日はPhyllocactus連を扱います。

 ┏Lymanbensonieae
┏┫
┃┗Copiapoeae

┫┏Cacteae
┃┃
┗┫┏Phyllocacteae
    ┃┃
    ┗┫    ┏Fraileeae 
        ┃┏┫
        ┃┃┗Rhipsalideae
        ┗┫
            ┃┏Notocacteae
            ┗┫
                ┗Cereeae


★Phyllocactus連(※1)
※1: Echinocereeae、Hylocereeae、Leptocereeae、Pachycereeae、Monvilleeae、Peniocereeaeを含む。

Phyllocactus連の分子系統(亜連レベル)

Corryocactinae

┫┏Leptocereinae
┃┃
┗┫┏Hylocereinae
    ┗┫
        ┗Echinocereinae


Phyllocactus連は長らくHylocereus連(2001, 2005)の名前で知られていましたが、Phyllocactus連(1845)が優先されます。初期の分岐のいくつかは支持が乏しいのですが、多様なPhyllocactus連の複雑な関係性を強調するために4亜連を認めます。Phyllocactus連は多数の独立した着生が見られます。従来型の肋(rib)がある直立した茎から、垂れ下がる葉のような形態まで見られます。


☆Corryocactus亜連(※2)
含まれる属: Austrocactus、Brachycereus、Corryocactus(※3)、Eulychnia、Jasminocereus、Neoraimondia(※4)、Pfeiffera(※5)、Strophocactus(※6)

※2: Pfeifferinae、Eulychniinaeを含む。※3: Erdisia、Eulychnocactusを含む。※4: Neocardenasiaを含む。※5: 狭義のAchanthorhipsalisとBolivihanburyaを含み、Lepismium p.p.とLymanbensoniaを含まない。※6: Pseudoacanthocereusを含む。以前はSelenicereusに含まれていた。

Corryocactus亜連の分子系統

 ┏Pfeiffera ianthothele
┏┫(=Lepismium ianthothele)
┃┗Pfeiffera miyagawae
┃    (=Lepismium miyagawae)
┃    ┏Eulychnia acida
┫┏┫
┃┃┗Austrocactus spiniflorus
┃┃
┃┃    ┏Corryocactus squarrosus
┗┫┏┫(=Erdisia squarrosa)
    ┃┃┃┏Corryocactus brevistylus
    ┃┃┗┫
    ┃┃    ┗Corryocactus melanotrichus
    ┗┫     (=Erdisia melanotricha)  
        ┃┏Strophocactus brasiliensis
        ┃┃  (=Pseudoacanthocereus  
        ┗┫         brasiliensis)
            ┃┏Leptocereus亜連
            ┗┫
    ┃┏Hylocereus亜連
                ┗┫
                    ┗Echinocereus亜連


チリ沿岸やパタゴニアのステップ地帯、湿潤なアマゾンの森林に生息する。地上性または着生性で、小型の低木から樹木状まであります。茎は通常は分節し、肋(rib)がありトゲがあるものから平らでやや細い枝を持つものまで多様です。花は非常に変異が多く、昼行性から夜行性で、通常はトゲのある果皮を持ちます。

他のすべてのPhyllocactus連の姉妹群はPfeifferaですが、分類学上の複雑な歴史があります。伝統的にPfeifferaは、着生あるいは岩生のP. ianthotheleと、短い肋がありトゲのある茎を持つ類似したいくつかの分類群に限定されてきました。Barthlott & Taylor(1995)は、PfeifferaをLepismiumに含めました。しかし、Nyffeler(2000)はこの説が妥当ではないことを示し、Huntら(2006)はPfeifferaを独立した属として認めました。Korotkovaら(2010)は、Pfeifferaは多系統であり、一部はLymanbensoniaやLepismiumとして分離されるべきであることを示しました。現在のPfeifferaは、肋骨状のトゲのある柱サボテン状(cereoid)の茎から平行な跛行(cladodia)まで、形態的に連続しています。

Pseudoacanthocereusの2種、P. brasiliensisとP. sicariguensisは分子系統では分離して出現します。かつてはAchanthocereusに分類されていましたが、この2種の種子は非常に大きく共通する特徴を持ちます。PseudoacanthocereusがEchinocereus亜連ではなく、Corryocactus亜連を含む祖先種の一部と位置付けられていることは、Korotkovaら(2017)による分子系統により初めて明らかとなりました。その系統樹では、PseudoacanthocereusはNeoraimondiaおよびLeptocereus亜連の姉妹群として記載されています。また、不思議なことに、StrophocactusのタイプであるS. wittiiがPseudoacanthocereusに組み込まれていることを発見しました。
StrophocactusはAnderson(2001, 2005)などによりSelenicereusの異名として扱われてきました。Huntら(2006)は、Strophocactusを3種、S. wittii、S. testudo(Deamia testudo)、S.chontalensis(Nyctocereus chontalensis)からなる属として認めました。しかし、現在はD. testudoとN. chontalensisがEchinocereus亜連のDeamiaとして認識されていることから、表面的な類似が生じた平行進化の好例です。Pseudoacanthocereusは命名上の優先権を持つStrophocactusに分類するのが望ましい解決策であると思われます。

Neoraimondiaの2種はおそらく同属ではありません。ペルーのアンデス山脈西斜面に分布するN.
arequipensisは、Nyffeler(2002)によるとLeptocereus亜連の一部です。一方、Hernandez-Hernandezら(2011)やKorotkovaら(2017)は、ボリビアのアンデス山脈東斜面に分布するN. herzogiana(=Neocardenasia)をPseudoacanthocereusの姉妹群としています。両種は多数の花を咲かせるアレオーレを持ち、わずかな解剖学的差異しかありません。

BrachycereusとJasminocereusの分類は暫定的なものです。分子生物学的な研究のために採取されたことは著者らの知る限りありません。Barthlott & Hunt(1993)は両者をTrichocereus連とし、Endler & Buxbaum(1958)はBrachycereusをEchinocereus連に分類し後にHylocereus連に、JasminocereusはCereus連に分類しました。


☆Leptocereus亜連
含まれる属: Armatocereus、Castellanosia、Leptocereus(※7)

※7: Dendrocereus、Neoabbottiaを含む。

Leptocereus亜連の分子系統

┏Castellanosia caineana
┃(=Browningia caineana)
┫┏Armatocereus laetus
┃┃(=Lemaireocereus laetus)
┗┫┏Leptocereus quadricostatus
    ┗┫
        ┗Leptocereus nudiflorus
            (=Dendrocereus nudiflorus)


地上性で円柱状の、主に枝分かれの多い低木から高木。茎には節と肋があります。花は夜行性で、Castellanosia以外は外果皮にはトゲがあります。

Leptocereus亜連は、Nyffeler(2002)およびHernandez-Hernandezら(2011)において、漠然と記載されていましたが、支持度は低いものでした。本研究においては、高い支持度を得ています。Leptocereus亜連は形態的にも地理的にも異質です。LeptocereusとArmatocereusの周皮は多数のアレオーレがあり通常は密にトゲが生えていますが、Dendrocereusの周皮はトゲは生えているもののアレオーレの位置が緩く、Castellanosiaの周皮は完全にトゲがありません。地理的には3属は非連続的で、以前はBrowningiaに含まれていたCastellanosiaはボリビアの低地産で、Armatocereusは南米北西部のコロンビア、エクアドル、ペルー産て、Leptocereusはカリブ海地域に分布します。また、Barriosら(2020)は、DendrocereusがLeptocereusに含まれることを示しました。


☆Hylocereus亜連(※8)
含まれる属: Acanthocereus(※9)、Aporocactus、Disocactus(※10)、Epiphyllum(※11)、Hylocereus(※12)、Kimnachia、Pseudorhipsalis(※13)、Selenicereus(※14)、Weberocereus(※15)

※8: Epiphyllinae、Disocactinae、Heliocereinae、Weberocereinae、Achanthocereinaeを含む。※9: Monvillea、Peniocereusを含む。※10: Bonifazia、Chiapasia、Nopalxochiaを含み、Aporocactusを含まない。※11: Marnieraを含む。※12: Wilmatteaを含む。※13: Wittocactus=Wittiaを含む。※14: Cryptocereus、Werckleocereusを含み、Deamia(→Echinocereus亜連)、Strophocactus(→Corryocactus亜連)を含まない。※15: Eccremocactusを含み、Werckleocereusを含まない。

Hylocereus亜連の分子系統

 ┏Acanthocereus tetragonus
┏┫
┃┗Acanthocereus cuixmalensis
┃     (=Peniocereus cuixmalensis)
┫┏Weberocereus frohningiorum
┃┃
┃┃        ┏Selenicereus guatemalensis
┃┃    ┏┫(=Hylocereus guatemalensis)
┃┃    ┃┗Selenicereus undatus
┃┃    ┃     (=Hylocereus undatus)
┗┫┏┫┏Selenicereus grandiflorus
    ┃┃┗┫
    ┃┃    ┗Selenicereus tonduzii
    ┗┫         (=Werckleocereus tonduzii)
        ┃         (=Weberocereus tonduzii)
        ┃┏Epiphyllum phyllanthus
        ┃┃
        ┗┫┏Pseudorhipsalis acuminata
            ┃┃(=Pseudorhipsalis horichii)
            ┗┫┏Aporocactus flagelliformis
                ┗┫ (=Disocactus flagelliformis)  
                    ┗Disocactus biformis

斜上または登攀性の肋がある茎を持つ低木が、斜上あるいは匍匐、垂下する茎を持つ半着生から着生植物。茎は節の有無に関わらず肋があり、扁平で枝分かれします。主にメソアメリカ、カリブ海地域および南米北部の熱帯湿潤な地域に分布します。その多くは夜行性でしばしば大きな花を咲かせ、通常はスズメガ媒(sphingophilous)です。
Hylocereus亜連の形態の多様性は驚異的で、従来型の多数の肋がある柱サボテン状(Acanthocereus、Aporocactus、Selenicereus)から、肋が少ない柱サボテン状および斜上するツタ植物(Hylocereus)、平らな茎を持つ低木(Weberocereus frohningiorum、Epiphyllum、Disocactus)まで、あらゆる形態が見られます。また、Hylocereus亜連は栽培において容易に属間雑種が出来ることが知られています。Acanthocereusを除くHylocereus亜連は「Epiphyllum comparium」とも呼ばれ、様々な交雑種に、数十もの学名がついています。

本研究におけるデータでは、HylocereusとSelenicereusを含む亜系統、「hylocereoid clade」(Korotkovaら, 2017)に関しては完全な解明はされません。2属は伝統的に果皮と果実の特徴により区別されてきました。Hylocereusの果皮と果実は鱗状でトゲがなく、Selenicereusの果皮と果実は鱗状ではなく多少なりともトゲがあります。Hernandez-Hernandezら(2011)の非常に少ないサンプルによる解析ではHylocereusとSelenicereusはそれぞれが単系統であり姉妹群であることが示され、Cruzら(2016)はこれらを未解決な多分岐群と見なしました。しかし、Plumeら(2023)やKorotkovaら(2017)による広範囲なサンプルによる解析では、Selenicereus(以前はWerckleocereusとして分離されていたWeberocereusを含むが、Deamiaは含まない)は、Hylocereusの末端系統群に対する側系統群であることが特定されました。それらすべてを広義のSelenicereus(Deamiaは除く)に統合する提案があります。現状ではその提案は時期尚早であると思われます。Deamiaの除外以外は、Echinocereus亜連の基底段階の一部として明示されており、著者らのデータによっても裏付けられています。

狭義のWeberocereus(Werckleocereusを除く)は、Korotkovaら(2017)による解析で比較的よく裏付けられた単系統群です。

PseudorhipsalisはCruzら(2016)により狭義のEpiphyllumの姉妹群とされましたが、Korotkovaら(2017)においては多系統である事が示され、ほとんどの種はEpiphyllum + Disocactusの姉妹群とされています。一方でP. ramulosa(Kimnachia)は、Epiphyllum + Disocactusと多系統を形成します。

Disocactusの分類は長年の問題領域となっています。Anderson(2001, 2005)やHuntら(2006)が用いた広域な範囲はBarthlott(1991)にまで遡ります。Barthlottは茎と花の特徴の組み合わせにより、AporocactusやHeliocereus、Nopalxochiaなどを含めました。この分類では、柱サボテン状のトゲが沢山ある茎を持つものから、トゲの有無に関わらず扁平な枝まで、通常は着生植物として生育する一連のサボテン全体を含んでいました。Cruzら(2016)やKorotkovaら(2017)、Rosas-Reinholdら(2022)は、これらの広義のDisocactusの単系統性に疑問を呈しました。さらに、Aporocactusが独立した系統であること、またはAcanthocereusや残りのHylocereusの位置が未解決であるとしました。Cruzら(2016)やKorotkovaら(2017)は、Epiphyllumの一部、例えばよく知られているE. crenatumがDisocactusとクラスターを形成することを明らかとしており、形態に基づくHylocereus亜連の同定をさらに複雑にしています。しかし、集晶(crystal druses)の有無やクチクラの厚さといった解剖学的形質は、狭義のSelenicereusとWeberocereusを除くすべての属で類縁関係を示します。また、Hylocereus亜連は、Epiphyllum chrysocardiumやWeberocereus imitans、Disocactus anguliger、Selenicereus anthonyanusにおいて、シダの葉を思わせる切り込みのある茎が、平行進化したことは注目します。

AcanthocereusはかつてCorryocactus亜連に分類されていました。しかし、著者らの系統樹では残りのHylocereus亜連と姉妹群であることが確認されており、Korotkovaら(2017)の結果を裏付けています。PeniocereusはAriasら(2005)により多系統であることが示されており、PseudoacanthocereusはAcanthocereusに対応する系統群の一部です。


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クジャクサボテン Epiphyllum cv.
東京都薬用植物園(2025年5月)



240922100021895
ドラゴンフルーツ
Hylocereus undatus=Selenicereus undatus

新宿御苑(2024年9月)


最後に
以上が論文の簡単な要約です。
本日はPhyllocactus連についてでした。今回はたった3亜連についてだけなのに解説はやたらに長いものでした。これは、Phyllocactus連に含まれる種が、分類学上ややこしいものが多いからでしょう。着生したり扁平だったり紐状だったりという特徴は、Rhipsalis連でも見られる特徴です。しかし、この共通点は似た環境で似た生態であることから、形態的に収斂しただけにも思えます。さらに、Phyllocactus連の内部分類も、はっきりしない部分があるように思えます。本論文では解析していない属もありますから、今後に期待しましょう。次回はPhyllocactus連の残りのEchinocereus亜連についてですが、また来週となります。

ちなみに、本論文は案を提唱している段階ですので、現在認められている分類ではないことに注意が必要です。今回扱った範囲の現在の属分類を一応お示しします。

Austrocactus(11種)、Brachycereus(1種)、Corryocactus(15種、Corryocereus、Erdisia、Eulychnocactusを含む)、Eulychnia(9種、Philippicereusを含む)、Jasminocereus(1種)、Neoraimondia(2種、Neocardenasiaを含む)、Pfeiffera(6種、Bolivihanburyaを含む)、Strophocactus(4種、Strophocereus、Pseudoacanthocereusを含む)

Armatocereus(7種)、Castellanosia(1種)、Leptocereus(19種、Dendrocereus、Neoabbottiaを含む)

Acanthocereus(17種)、Aporocactus(2種)、Disocactus(18種、Aporocereus、Bonifazia、Chiapasia、Disisocactus、Disisorhipsalis、Heliocereus、Lobeira、Mediocactus、Mediocereus、Nopalxochia、Pseudonopalxochia、Trochilocactus)、Epiphyllum(10種、Athrophyllum、Phyllocereus、Marniera、Phyllocactus)、Hylocereus(→Selenicereusに含まれる)、Kimnachia(1種)、Pseudorhipsalis(5種、Wittia、Wittiocactusを含む)、Selenicereus(32種、Cereaster、Chiapasophyllum、Cladoblasia、Cryptocereus、Hylocereus、Werckleocereus、Wilmattea)、Weberocereus(6種、Eccremocactus、Eccremocereus)、Monvillea(→Praecereusに含まれる)、Peniocereus(8種、Cullmannia、Neoevansiaを含む)


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サボテン科全体を分子系統により分類した論文の続きです。引き続きJurriaan M. de Vosらの2025年の論文、「Phylogenomics and classification of Cactaceae based on hundreds of nuclear genes」をご紹介します。
本日はCactus亜科のCactus連を見ていきます。Cactus連は、有星類やEchinocactusにAztekiumやGeohintoniaを含むEchinocactus亜連と、FerocactusやThelocactus、Kroenleinia(金鯱)、Stenocactus (Echinofossulocactus)を含むFerocactus亜連、Mammillaria科代表するイボサボテンからなるCactus亜連からなります。



Cactus亜科の分子系統(連レベル)
本日はCactus連を扱います。

 ┏Lymanbensonieae
┏┫
┃┗Copiapoeae

┫┏Cacteae
┃┃
┗┫┏Phyllocacteae
    ┃┃
    ┗┫    ┏Fraileeae 
        ┃┏┫
        ┃┃┗Rhipsalideae
        ┗┫
            ┃┏Notocacteae
            ┗┫
                ┗Cereeae



★Cactus連(※1)
※1: EchinocacteaeとMammillarieaeを含む。

球形から短円筒形で、単独からクッション状となります。茎に節はなく、結節(疣)または稀に肋(稜、rib)を持ちます。稀に地下茎が肥大したり、多肉質な主根を持つものもあります。
Cactus連は純粋に北米に分布する系統で、中米と南米北部にはごく少数の例外(MammillariaやEscobariaなど)が見られます。よって、北米の球形サボテンの多様性は、Cactus連の放散による結果です。Cactus連はCactus亜科の祖先系統であるという立場は、Walkerら(2018)により裏付けられています。本解析では、Ferocactus亜連およびCactus亜連(「Core Cacteae」と言われていた)の姉妹群として、側系統にEchinocactus亜連を分類しますが、その支持は低いものです。


✩Echinocactus亜連(※2)
含まれる属: Astrophytum(※3)、Aztekium、Echinocactus(※4)、Geohintonia、Sclerocactus(※5)

※2: Astrophytinae、Sclerocactonaeを含む。※3: Digitostigmaを含む。※4: Homalocephalaを含み、Kroenleiniaを含まない。※5: Ancistrocactus、Echinomastus、Papyrocactusを含み、Glandulicactusを含まない。

Echinocactus亜連の分子系統
    ┏Aztekium ritteri
┏┫    
┃┗Geohintonia mexicana

┃    ┏Sclerocactus scheeri
┃    ┃(=Ancistrocactus scheeri)
┃┏┫┏Sclerocactus spinosior
┃┃┗┫
┃┃    ┗Sclerocactus whipplei
┃┃
┃┃    ┏Echinocactus platyacanthus
┗┫┏┫
    ┃┃┗Astrophytum myriostigma
    ┃┃
    ┗┫┏Ferocactus亜連
        ┗┫
            ┗Cactus亜連


Echinocactus亜連は、3つのサブクレードからなる側系統群です、複数の属が非単系統なので複雑です。Ferocactus亜連とCactus亜連の姉妹群です。すべての研究において、Geohintonia + Aztekiumのクレードは他のグループの姉妹群です。また、Echinocactus + AstrophytumとSclerocactusは、Ferocactus亜連やMammilloidクレードの姉妹群であることは意見が一致しています。Echinocactusは単系統ではなく、「Golden Barrel」ことEchinocactus grusonii(金鯱)はEchinocactusから区別され、Ferocactusクレードと近縁で単型のKroenleiniaとして分離されました。さらに、Vargas-Lunaら(2018)は、HomalocephalaがAstrophytum + 狭義のEchinocactusの姉妹群とされるため、Homalocephalaの分離を提案しています。広義のSclerocactusも多系統で、狭義のSclerocactus (AncistrocactusとEchinomastusを含む)とFerocactus系統のGlandulicactusは区別されます。


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Echinocactus horizonthalonius
春の多肉植物・サボテン展示会、川口緑地センター樹里庵(2025年4月)



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Astrophytum myriostigma
神代植物公園(2022年5月)



✩Ferocactus亜連(※6)
含まれる属: Ferocactus(※7)、Glandulicactus、Kroenleinia、Leuchtenbergia、Stenocactus、Thelocactus(※8)

※6: Thelocactinaeを含む。※7: Bisnagaを含む。 ※8: Hamatocactus、Torreycactusを含む。

この系統群は、Leuchtenbergia以外では明瞭な縦溝に特徴付けられます。本研究ではFerocactusはThelocactusと同格でした。かなり複雑で部分的に解明が不十分です。Ferocactusは極めて側系統的です。含まれる属の近縁性は、属間雑種が得られることにより証明されています。この系統群は便宜的に「Ferocactus comparium」と呼び、複数の独立した属に分割するのではなく、これらの属を広義のFerocactusとして統合することを検討するべきでしょう。

Ferocactus亜連の分子系統

    ┏Stenocactus obvallatus
┏┫ 
┃┃┏Leuchtenbergia principis
┃┗┫
┃ ┗Ferocactus uncinatus
┃        (=Glandulicactus uncinatus)
┃         (=Sclerocactus uncinatus)
┃┏Ferocactus wislizeni
┃┃
┗┫┏Ferocactus haematacanthus
    ┃┃
    ┗┫┏Thelocactus hexaedrophorus
        ┗┫
            ┗Thelocactus rinconensis
                (=Thelocactus freudenbergeri)



250118111818094
Kroenleinia grusonii
東京農業大学バイオリウム(2025年1月)


250118111744104
Leuchtenbergia principis
東京農業大学バイオリウム(2025年1月)



250427093954321
Thelocactus hexaedrophorus var. fossulatus
春の多肉植物・サボテン展示会、川口緑地センター樹里庵(2025年4月)



250224100603017~2
Ferocactus stainesii
神代植物公園(2025年2月)



✩Cactus亜連(※9)
含まれる属: Acharagma 、Ariocarpus(※10)、Cochemiea(※11)、Coryphantha(※12)、Cumarinia、Epithelantha、Escobaria、Kadenicarpus(※13)、Lophophora、Mammillaria(※14)、Mammilloydia、Neolloydia、Obregonia、Oehmea、Ortegocactus、Pediocactus(※15)、Pelecyphora(※16)、Rapicactus(※17)、Strombocactus(※18)、Turbinicarpus(※19)

※9: Coryphanthinae、Bravocactinae、Pediocactinae、Turbinicarpinae、Cochemieinad、Epithelanthinae、Escobariinae、Pelecyphorinae、Mammillariinaeを含む。※10: Neogomesia、Roseocactusを含む。※11: Bartschella、Chilita、Phellospermaを含む。※12: Escobrittonia、Lepidocoryphanthaを含む。※13: 狭義のTurbinicarpusを除く。※14: Dolichothele、Escobariopsis、Leptocladodia、Mammillopsisを含み、MammilloydiaとOehmea、Cochemieaを含まない。本研究では解析していないCryptocarpocactus、Fimbriatocactus、Klainzia、Porfiria、Pseudomammillaria、Solisiaについては暫定的にMammillaria に含める。※15: Navajoa、Puebloa、Utahiaを含む。※16: Encephalocarpusを含む。※17: Lodiaを含む。※18: Chichimecactusを含む。※19: Gymnocactus、Normanbokeaを含み、KadenicarpusとRapicactusを含まない。

Cactus亜連の分子系統

    ┏Ariocarpus retusus
┏┫ 
┃┃┏Strombocactus disciformis
┃┃┃
┃┗┫┏Turbinicarpus
┃ ┗┫         schmiedickeanus
┃        ┗Kadenicarpus horripilus
┃            (=Gymnocactus horripilus)
┃    ┏Lophophora williamsii
┃┏┫
┃┃┃┏Acharagma roseanum
┃┃┗┫
┃┃    ┗Rapicactus subterraneus
┃┃     (=Turbinicarpus subterraneus)
┃┃   
┗┫┏Mammillaria mammillaris
    ┃┃
    ┃┃    ┏Cochemiea conoidea
    ┗┫┏┫(=Neolloydia conoidea)
        ┃┃┗Coryphantha sulcata
        ┗┫
            ┃┏Mammillaria candida
            ┃┃(=Mammilloydia candida)
            ┗┫┏Pelecyphora macromeris
                ┃┃(=Lepidocoryphantha
                ┗┫        macromeris)
                    ┃(=Coryphantha
                    ┃         macromeris)
                    ┗Pelecyphora aselliformis


これは、Butterworthら(2002)による「mammilloid clade」で、北米の放散の大部分を含みます。縦肋(longitudinal ribs)ではなく、明確な結節(疣、tubercles)を特徴としています。
本研究の標本抽出法では系統群の多様性の全体像は明らかにはなりませんが、広義のTurbinicarpus、広義のCoryphantha、広義のMammillariaは単系統ではないことが過去の報告により示されています。
Epithelanthaの位置付けは研究により異なります。「mammilloid clade」全体の姉妹群であったり、狭義のTurbinicarpusを含むクレードの近祖的な位置付けだったり、狭義のTurbinicarpusの姉妹群となっていたりします。
Pediocactusは過去にP. simpsoniiのみが分析されており、「mammilloid clade」全体の姉妹群とされましたが、かつては大きく異なる分類体系に属していたことも考慮すると、現在の状況では暫定的な分類と見なすべきでしょう。

「mammilloid clade」の残りの系統群の姉妹群となる1つ目の亜系統群は、Ariocarpus、Strombocactus、狭義のTurbinicarpusです。Vazquez-Sanchezら(2013)によると、Turbinicarpusの一部はKadenicarpusとして分離されます。Barcenasら(2021)によると、Strombocactus corregidoraeは単型のChichimecactusとして分離されるべきであるとしています。

2番目の亜系統群は、Lophophora + Acharagma + Rapicactusからなります。Hernandez-Hernandezら(2011)やVazquez-Sanchezら(2013)によると、ObregoniaはLophophoraの姉妹群としています。広義のTurbinicarpusとRapicactusの分離は、Vazquez-Sanchezら(2013)により初めて支持され、後に生息環境の好みの違いや幹の解剖学的特徴からも提唱されます。

3つ目の亜系統群は、「mammilloid clade」の残りすべての属を含み、顕著なのは二型性のアレオーレを持つことです。これは、トゲの形成部と花の形成部が空間的に分離されており、EscobariaやNeolloydia、Ortegocactus、Pelecyphoraに存在します。広義のMammilliaの非単系統性は初期の分子系統でも確認されており、CochemieaがMammillaria節のAncistracanthae やPhellosperma、狭義のMammillariaのいくつかとクラスターを形成し、NeolloydiaやOrtegocactusともクラスターを形成しています。このことにより、広義のCochemieaが狭義のMammillariaより分離されました。これは、その後の研究でも確認されていますが、NeolloydiaとOrtegocactusの位置は異なります。広義のCoryphanthaから単型的に分離するCumariniaも、狭義のMammillariaや広義のCoryphanthaを含む系統と同列に位置付けられています。最新の「mammilloid clade」の解析であるSanchezら(2022)やChincoya ら(2023)においては、NeolloydiaやOrtegocactusを広義のCochemieaの連続した姉妹群としました。広義のCochemieaは狭義のCoryphantha + Escobaria系統群の姉妹群です。ちなみに、CoryphanthaはLepidocoryphanthaを除外した場合にのみ単系統となります。EscobariaはLepidocoryphanthaと形態がまったく異なるPelecyphoraを包含した場合は単系統となります。Sanchezら(2022)はこれらの要素を含めPelecyphoraを再定義しましたが、近年の分子系統では部分的にしか支持されず、サンプルに不足があります。サンプルはより多くの系統を含める必要があります。なぜなら、全体的に極めて多系統的であり、見られる特徴は並行して繰り返し進化して来たように見えるからです。
Mammillaria sphacelataは、以前は孤立した系統とは考えられていませんでした。Butterworthら(2004)によると、狭義のMammillariaの基底近くのクレードの一部として示されました。一方、Breslinら(2021)によると、広義のCoryphantha + 広義のCochemieaの姉妹群として示されました。Sanchezら(2022)やChincoyaら(2023)では、狭義のMammillariaの一部ではなく、Mammillaria(Oehmea) beneckeiと同じクレードとしています。この時、Mammilloydia + Mammillaria albiflora、およびOehmea + Mammillaria sphacelataは、狭義のMammillariaの連続した姉妹群です。同様にCoryphantha macromeris (Lepidocoryphanthaのタイプ)が組み込まれたため、Breslinら(2021)とは大きく異なる系統となりました。

謎めいたクレードとして、Chincoyaら(2023)の示す「クレード4」があります。これは、Mammillaria theresaeやM.barbata、M. wrightiiから構成され、Neolloydia、Ortegocactus、広義のCochemieaの姉妹群として現れました。Breslinら(2021)はM. wrightiiを別属とし、Neolloydiaの姉妹群としました。この意外な分類と低い支持を考慮すると、BreslinらのEscobariaを広義のCoryphanthaに含めNeolloydiaとOrtegocactusをCochemieaに含める大胆な分類、あるいはSanchezらのEscobariaをPelecyphoraに含める分類は時期尚早であると判断し、上記の分類を提案します。



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Epitherantha bokei
春の多肉植物・サボテン展示会、川口緑地センター樹里庵(2025年4月)



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Escobaria leei
現在はPelecyphora sneedii subp. sneediiの異名
春の多肉植物・サボテン展示会、川口緑地センター樹里庵(2025年4月)



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Mammillaria humboldtii
春の多肉植物・サボテン展示会、川口緑地センター樹里庵(2025年4月)



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Ariocarpus furfuraceus
春の多肉植物・サボテン展示会、川口緑地センター樹里庵(2025年4月)


最後に
以上が論文の簡単な要約となります。
今回はカクタス連についてでしたが、まあわかりにくい話です。特にマミラリアの仲間はややこしいですね。この論文は1属のサンプルが1種か2種、かつ解析していない属もあり、属内分類が不確定なマミラリア系統の解析には向いておりません。論文内では暫定的に分類していますが、おそらく分離されるか統合されるかという部分については、ただの予想なのでそれほどの信頼性はないと思います。この論文の重要性は、サボテン科の各分類群間の関係性だと思いますから、各論については今後のさらなる研究を期待したいところです。しかし、マミラリア系統は種か多くかなり混乱しているため、今後分類が大きく変わる可能性があります。今もかなり変わりましたが、現在は過渡期と言ったところでしょうか。


ちなみに、本論文は案を提唱している段階ですので、現在認められている分類ではないことに注意が必要です。今回扱った範囲の現在の属分類を一応お示しします。
調べてみて少し驚いたのですが、縮玉などの非常に多くの稜を持つサボテンは昔はEchinofossulocactusと呼ばれていましたが、近年ではStenocactusに変わりました。しかし、EchinofossulocactusはEchinocactusに含まれるというのが最近の見解のようです。これは、縮玉などがEchinocactusになったわけではなく、EchinofossulocactusがStenocactusの異名ではなくEchinocactusの異名となったというだけの話です。Echinofossulocactusが命名時にEchinocactusやFerocactus、さらにはAstrophytumまで含んだ雑多な分類群だったからでしょう。

Astrophytum(6種、Digitostigma、Maierocactusを含む)、Aztekium(2種)、Echinocactus(2種、Brittonrosea、Echinofossulocactus、Efossus、Emorycactus、Meyerocactusを含む)、Geohintonia(1種)、Sclerocactus(27種、Ancistrocactus、Coloradoa、Echinomastus、Papyrocactus、Roseia、Toumeya、Utahiaを含む)、Homalocephala(3種)

Ferocactus(30種、Bisnaga、Brittonia、Glandulicactus、Parrycactusを含む※7)、Glandulicactus(→Ferocactus)、Kroenleinia(1種)、Leuchtenbergia(1種)、Stenocactus(9種)、Thelocactus(13種、Hamatocactus、Napina、Thelomastus、Torreycactusを含む)

Acharagma(3種) 、Ariocarpus(7種、Anhalonium、Neogomesia、Roseocactus、Stromatocactusを含む)、Cochemiea(40種、Fimbriatocactus、Neolloydia、Ortegocactusを含む)、Coryphantha(43種、Escobrittonia、Glanduliferaを含む)、Cumarinia(1種)、Epithelantha(10種、Cephalomamillariaを含む)、Escobaria(→Pelecyphora)、Kadenicarpus(3種、Bravocactusを含む)、Lophophora(4種、Peyotlを含む)、Mammillaria(147種、Bartschella、Cactus、Chilita、Cryptocarpocactus、Dolichothele、Ebnerella、Escobariopsis、Haagea、Krainzia、Lactomamillaria、Leptocladia、Leptocladodia、Mamillopsis、Mammariella、Mammilloydia、Melocactus Boehm.、Neomammillaria、Oehmea、Phellosperma、Porfiria、Pseudomammillaria、Solisia)、Mammilloydia(→Mammillaria)、Neolloydia(→Cochemiea)、Obregonia(1種)、Oehmea(→Mammillaria)、Ortegocactus(→Cochemiea)、Pediocactus(4種、Navajoa、Neonavajoa、Pilocanthus、Puebloaを含む)、Pelecyphora(21種、Cochiseia、Encephalocarpus、Escobaria、Escobesseya、Escocoryphantha、Fobea、Lepidocoryphantha、Neobesseyaを含む)、Rapicactus(5種)、Strombocactus(1種)、Turbinicarpus(14種、Gymnocactus、Lodia、Normanbokea、Pseudosolisiaを含む)、Utahia(→Sclerocactus)、Chichimecactus(1種)、Fimbriatocactus(→Cochemiea)


さて、実は私のブログでも、論文内で根拠とされている論文をいくつかご紹介しています。論文内の各論はややこしいので、それぞれの根拠論文を個別に読んだ方が分かりやすいでしょう。ということで、過去の記事のリンクを貼っておきます。ご参照下さい。


EchinocactusやFerocactusについて

Mammilloid cladeについて


StrombocactusからのChichimecactusの分離について


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9月に行った東京薬科大学の薬用植物園の記事の続きです。熱々の温室で蒸されながらトロピカル植物を見ています。


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Cyclanthus bipartitus
キクラントゥスは初めて見ました。キクラントゥス属は2種からなる
パナマソウ科の植物です。ビパルティトゥスは中南米の原産。


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チャボイランイランノキ
Cananga odorata var. fruticosa

イランイランノキの変種です。高木のイランイランノキの矮性変種で、高さ2mほどの低木となります。イランイランノキと同じく、大変香りの良い花を咲かせます。東南アジアの原産。


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ショウベンノキ Turpinia ternata
日本と台湾の原産ですが、日本では高知県南西部、大分県以南から琉球列島に分布します。植物園の温室では割りと見かけ、新宿御苑や東京都薬用植物園で見かけています。ちなみに、学名は2018年にStaphylea ternataとなっています。ミツバウツギ科。


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マホガニー Swietenia mahagoni
高級木材として有名なマホガニーです。薬用植物園には他にもチークやインドシタンなどの材木用樹木を見ることが出来るのは珍しいですね。センダン科。フロリダ半島からカリブ海地域の原産。



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インドシタン Pterocarpus indicus
心材はビャクダンあるいはバラのような香りがあると言います。カリン(花梨)という名前で呼ばれるのが一般的なようですが、庭木や果実をのど飴に配合したりするバラ科のカリンとは別種です。伐採により急激に減少している樹木で、花梨材の名前で材とします。中国南部、台湾から広く東南アジア、ニューギニア島まで分布します。



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チーク Tectona grandis
マホガニーに並ぶ高級木材です。チークには3種あります。グランディスはCommon Teakと呼ばれるからには一番一般的なのでしょうか。インドからカンボジア、タイ、ラオス、ベトナム、ミャンマーあたりの原産。シソ科。



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ベンガルボダイジュ Ficus benghalensis
インドやバングラデシュ、ヒマラヤ地域、ネパール、スリランカあたりの原産。イチジク科の樹木で、気根を伸ばし地面に着くと新たな幹(支柱根)と化すため、1株で巨大な面積を占めることがあります。絞め殺し植物としても有名です。インドボダイジュは仏教三霊樹の1つですが、ベンガルボダイジュは菩薩心や輪廻の象徴などとされ、インドの寺院では聖なる樹とされているそうです。


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Pencil-Stemのユーフォルビアは、最近イベントでも見かけるようになってきました。私も見かけると、ついつい買ってしまいます。我が家にも、Pencil-Stemのユーフォルビアがだいぶ増えてきたので、ちょっと生長具合を見てみましょう。


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Euphorbia aphylla
アフィラは今年は大変な勢いでした。伸び過ぎて倒れ気味です。アフィラは多肉植物は珍しいEsula亜属です。aphyllis節なんでしょうか?

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全体的に産毛が生えます。節も葉もありません。カナリア諸島の海岸沿いに生えます。


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Euphorbia schimperi
スキムペリも良い生長具合です。スキムペリもEsula亜属のaphyllis節です。紅海の両岸、アフリカ側のエリトリアとエチオピア、アラビア半島側のオマーンやサウジアラビア、イエメン、ソコトラ島に分布します。
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葉は結構しっかりしています。


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Euphorbia appariciana
アパリキアナはどうも生長がイマイチです。入手からあまり生長していません。根張りがあまり良くないのが原因かも知れません。アパリキアナは雑草が多いChamaecyce亜属です。どうやらCrossadenia節となるようです。ブラジル原産ですが、南米に分布する夜光キリンの仲間とは近縁ではありません。
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節はありますが葉はありません。葉はありませんが葉の痕跡があります。この葉の位置でribが収束するパターンは、Pencil-StemのEuphorbia亜属でも見られますから、ユーフォルビアで起きやすい形態なのかも知れません。


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Euphorbia antisyphilitica
アンティシフィリティカは生長はイマイチでした。去年の生長が良かったので、根詰まり気味なのかも知れません。Chamaecyce亜属ですが、こちらはAlectopoctonum節です。Pencil-Stemのユーフォルビアには珍しく北米産。米国とメキシコに分布します。
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生長している芽には短命な小さな葉がつきます。もはや、葉としての機能を果たさないくらい退化しています。
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全身が蝋で覆われます。強い日照に対する適応なのかも知れません。アンティシフィリティカからとれる蝋は昔から利用されてきましたが、工業化の進展に従いあまり利用されなくなりました。しかし、最近は食品関連や化粧品などの原料としての利用があるようです。


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Euphorbia attastoma
アタストマは急激に伸びて、倍以上の長さになりました。Euphorbia亜属の新世界に分布するNew World Cladeです。夜光キリン(E. phosphorus)に代表されるBrasilienses節となります。アタストマはブラジルに分布します。
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肋(rib)が非常に多く筋状となります。
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節はありませんが、痕跡のような葉があります。


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Euphorbia sipolisii
シポリシイは去年はイマイチでしたが、今年はよく育っています。シポリシイもEuphorbia亜属のBrasilienses節です。ブラジルに分布します。
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シポリシイはribが少なく角張った外見となります。
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痕跡状の葉があります。


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Euphorbia heterodoxa
ヘテロドクサはよく茂っています。やや日焼け気味になりましたが、峠は越えました。Euphorbia亜属のStachydium節ですが、これはBrasilienses節の姉妹群です。
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ヘテロドクサの葉は大きく、主たる光合成の場は葉なのでしょう。
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節はありませんが、葉の痕跡が残ります。


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Euphorbia weberbaueri 
ウェベルバウエリは春先に外に出した途端に日焼けしてしまいましたが復活しました。ウェベルバウエリはEuphorbia亜属のEuphorbiastrum節に分類されます。Euphorbiastrum節はNew World Cladeですが、Brasilienses節やStachydium節とはやや離れた系統です。

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短命な痕跡状の葉があります。


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Euphorbia pteroneura
プテロネウラは勢いがあります。生長期には葉がありますが、冬には葉を落とします。プテロネウラもEuphorbia亜属のEuphorbiastrum節です。
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葉は大きくしっかりとしています。
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ribはあまりはっきりしません。葉の主脈は白い筋に見えます。これは毒性のある乳液の存在をアピールしている可能性もあります。


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Euphorbia alluaudii subsp. alluaudii
亜種アルアウディイは日焼け気味で、ここ2年ほどは黄色っぽい色合いで、生長しませんでした。しかし、今年は復活しよく生長しています。Euphorbia亜属の旧世界に分布するOld World Cladeに分類されます。Deuterocalli節に属しますが、E. hedyotoidesを含むDenisophorbia節と姉妹群です。ちなみに、Deuterocalli節 + Denisophorbia節は花キリン類(Goniostema節)と姉妹群です。マダガスカルの原産。
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ribがなくつるりとした幹に、小さな短命な葉が沢山つきます。ちなみに、亜種アルアウディイはなぜか亜種オンコクラダの名前で流通しています。


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Euphorbia alluaudii subsp. onchoclada
亜種オンコクラダもかなり伸びました。亜種オンコクラダは膨らんだ幹を持ちます。マダガスカルの原産。
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新しい幹は亜種アルアウディイとよく似ています。


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Euphorbia cryptospinosa
クリプトスピノサはよく伸びていたのですが、水やりをしていた時にうっかり折っていまいました。折れた穂先は挿しておいたのですか、どうやら活着したようです。既に枝が伸び始めています。問題は元の方で、枝分かれせずに新たな枝が伸びています。また折れそうで怖いですね。
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新芽はアスパラガスに似ていますが、直ぐに脱落する痕跡状の葉があります。
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特徴的な幹の模様。クリプトスピノサは他のPencil-Stemのユーフォルビアと違い、柱サボテン状のユーフォルビアに近縁な仲間です。つまりは、Euphorbia亜属のEuphorbia節です。


というわけで、集めたPencil-Stemのユーフォルビアはこんなところです。Pencil-Stemのユーフォルビアは好きですが、イベントで購入するだけで積極的に集めていません。あくまでも、イベントでの偶発性に期待しています。そういえば、Pencil-Stemのユーフォルビアの代表格であるミルクブッシュ(アオサンゴ、ミドリサンゴ、E. tirucalli)は持っていません。つまりは、Euphorbia亜属のOld World Clade、Tirucalli節ですね。先日のBBでソコトラ島産のE. arbusculaを入手しましたが、これが初めてのTirucalli節でした。よくよく考えたら、ミルクブッシュは園芸店で室内インテリア用にデカい鉢に植わってるパターンが多いからかも知れません。なんだか、手を出しにくい雰囲気があります。


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8月に行った神代植物公園の食虫植物展の続きです。ウツボカズラやサラセニア、ムシトリスミレ、モウセンゴケ、ハエトリグサ、ムジナモと有名どころは見てきました。しかし、流石に植物園の展示です。上に挙げた食虫植物以外の食虫植物もありました。


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あまり見たことがない風変わりな食虫植物が並んでいました。


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Darlingtonia californica
サラセニアに似ていますが、こちらはダルリングトニア(ダーリングトニア)です。サラセニア科ですが、筒の先端が膨らんで丸まります。ダルリングトニアは消化酵素を持たないため、微生物や湧いたボウフラの排泄物を吸収しています。原始的な食虫植物です。1属1種。米国のカリフォルニア州、オレゴン州の原産。


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Heliamphora minor
こちらもサラセニア科のヘリアンフォラです。蓋が痕跡程度しかありません。種によっては消化酵素を出さないため、獲物は微生物による分解が必要とのことです。秘境として有名なギアナ高地の原産。



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Drosophyllum lusitanicum
ドロソフィルムはモウセンゴケ科とされてきましたが、分子系統による分類により1属1種のドロソフィルム科となりました。茎は木質化し高さ1mにもなります。ジブラルタル海峡を挟んだ両岸であるモロッコ、ポルトガル、スペインの原産。
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粘液が沢山見えます。


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Roridula gorgonias
高さ1mになるロリドゥラ科の低木。消化酵素を持ちません。しかし、共生しているカスミカメムシが捕獲された昆虫を捕食し、出した排泄物を吸収します。カスミカメムシは体表面の構造上、粘液にトラップされません。また、ロリドゥラは獲物を誘引しているかまだ分かっていません。南アフリカの原産。
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ハエがトラップされていますが、カメムシがいないと栄養を吸収することが出来ません。


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Catopsis berteroniana
着生アナナスの仲間ですが、食虫植物であるのはこの種のみです。原始的な食虫植物で、やはり分解酵素を持ちません。アナナス系の食虫植物は自身で水を溜めず、タンクブロメリアよろしく雨水を溜めて捕虫します。フロリダ半島からカリブ海地域、中南米の原産。


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Brocchinia hechtioides
タンクブロメリアの食虫植物。コロンビア、ガイアナ、ベネズエラの原産。



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Brocchinia reducta
こちらも、ブロキニア。食虫植物であることが確認されたブロキニアは2種あり、両種を見ることが出来ました。ブラジル北部、ガイアナ、ベネズエラの原産。
国立遺伝学的研究所がプレスリリースしている論文によると、レドゥクタは菌根菌(アーバスキュラー菌)との共生能力が低下しているとのことです。



というわけで、食虫植物展の内容は本日で終了です。普段は植物園でも見かけないような、多種多様で珍しい食虫植物を見ることが出来ました。以前、食虫植物の本を読んだことがありますが、実際に見ることが出来て良かったです。このようなイベントは実に有用ですね。さて、メインである食虫植物展はここまでですが、まだ神代植物公園の記事は続きます。多肉植物展の会場から、ラン室に入ります。真夏真っ盛りに咲くランを見ました。


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9月に行った東京薬科大学の薬用植物園の記事の続きです。まだ温室の入口付近でウロウロしています。


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マチン Strychnos nux-vomica
毒性の高さで有名なストリキニーネを含有する樹木。ストリキニーネは医療用にも利用されますが、中毒量と薬効量が近いため使いにくいようです。インド、スリランカからベトナム、マレーシアあたりの原産。


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パナマソウ Carludovica palmata
パナマ帽の原料のパナマソウです。分類がよく分からない謎めいた植物でしたが、遺伝的にはタコノキに近縁とのこと。植物園でパナマソウを見るのは4カ所目になります。中南米の原産。



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トンキンニッケイ Cinnamomum cassia
いわゆるシナモンですが、使われているのは上物であるセイロンニッケイではなく、トンキンニッケイ=シナニッケイが一般的です。
あと、今更ですがシナニッケイの学名がよく分からないことに気が付きました。実はC. cassiaという名前の植物は複数あり、非合法名です。一般的にはC. cassia (L.) J. Presl.ですが、これはスリランカシナモン(Neolistea cassia)の異名です。スリランカシナモンはスリランカとインドの原産ですから、シナニッケイとは関係がなさそうです。ちなみに、Wikipediaや日本薬学会はこの表記でした。次にC. cassia Nees ex Blumeですが、現在ではインドネシアンシナモン(C. burmanni)の異名となっています。東京薬科大学の薬用植物園の名札ではC. cassia Blumeとなっていましたが、おそらくこれを指しているのでしょう。最後はC. cassia (L.) D. Don.です。これは、熊本大学薬学部など、いくつかのサイトで見かけました。しかし、これはキュー王立植物園のデータベースに名前がありません。GBIF(地球規模生物多様性情報機構)では、N. cassia (L.) Kosterm.の異名としています。要するに、これらはvon Linneが1753年に命名したLaurus cassia L.から来ているのでしょう。しかし、流通しているシナモンは「真のシナモン」たるC. verumと代替品であるC. cassiaが代表的でしょう。スリランカシナモン(N. cassia)が大量に流通しているとは思えません。
さて、Pei Chenらの2014年の論文では、シナモンの成分を分析していますが、この手の論文には珍しくシナモンの種について言及があります。流通するシナモンは主に4種で、C. verumと偽って他種が混ぜものというか、逆に少しだけC. verumが入れてあるというようなことが書いてありました。C. verum以外の他の3種とは、C. cassia、C. burmanni、C. loureiroiです。このC. cassiaはC. aromaticumのことで、Chinese cinnamonと呼ばれるとありました。まあ、流通量と分布から考えると、C. burmanniかC. aromaticumですが、論文では明確に区別していますからシナニッケイの正体はC. aromaticumなのでしょうね。


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コウトウノボタン(マルバルノボタン)
Melastoma malabathricum
ノボタンの仲間。残念ながら花はありませんでした。コウトウノボタンはアルミニウムを過剰に蓄積するため、土壌汚染の処理に利用出来るかも知れません。インドから中国南部、東南アジア、ニューギニア島、オーストラリアあたりの原産。



250902100335965
サチャインチ Plukenetia volubilis
果実はナッツとして食用ですが、葉や果実は有毒で加熱する必要があります。現在はP. verrucosaの異名となっているようです。南米の原産。



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レンブ Syzygium samaragense
面白い果実がなりますが、まだ見たことがありません。フトモモ属はオーストラリア原産のものが多いため、近縁のオージープランツブームでも園芸店で見かける機会が増えたかも知れません。インド、東南アジア、ニューギニア島あたりの原産。


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ホシアザミ Hippobroma longiflora
ホシアザミの花が咲いていました。ジャマイカの原産ですが、世界中の熱帯に帰化しています。白い乳液には強烈な毒性があるとされ、ネームプレートにも赤字で「猛毒」の表記がありました。




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さあ、やって参りました。ビッグバザールです。前回のBBは5月でしたからずいぶん久しぶりです。しかし、7月に東京ビッグサイトでUNIQUE PLANTS FESTAというビッグイベントかあったため、それほど久しぶりな感じはしませんけどね。

さて、ちょうど開場時間をまわったあたりでTOCビルに到着しましたが、驚くべきことにまだ待機列が伸び続けていました。廊下をぐるぐる回る感じで、恐ろしく長い待機列が出来ていました。その後、待機列はまったく動かなかったので、混雑を避けるために入場制限を行っていたのでしょうか。待機列が動いたのは10時13分になってからでした。


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とにかく今日は時間がありません。午後から仕事があり、11時前には会場から出る必要があります。入場が遅れていたことと、会場内の混雑により実質30分ちょいしか見ることが出来ませんでした。壁際を1周しただけで、しかもちゃんと見れたかと言われるとかなり怪しい感じがあります。仕方がないので、ぱっと見で分かるPencil-Stemのユーフォルビアとアデニアを探しました。他のユーフォルビアやアロエ、硬葉系ハウォルチアも気になりますが、数が多く判別に時間がかかるため、今回は無視するしかありませんでした。
購入品ですが、まずは毎度Pencil-Stemのユーフォルビアを持って来ているブースで安いPencil-Stemのユーフォルビアを購入し、ラフレシアリサーチで柳葉キリンを購入しました。最後にX-PLANTSでアデニアを購入してタイムアップです。しかし、今回の購入品はすべて安価で、奇しくも同じ値段でとても安く済みました。

さて、では購入品です。名前はラベルの表記のママです。


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Euphorbia arbuscula
やや太い枝を持つPencil-Stemのユーフォルビア。なんと、ソコトラ島の原産です。樹木状に育つ珍種。ユーフォルビア亜属のSection Tirucalliです。しかし、ミルクブッシュ(E. tirucalli)やトナカイ角(E. stenoclada)を差し置いて、アルブスクラを入手することになるとは思いませんでした。



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柳葉キリン Euphorbia monteiroi
まだ小さな実生苗です。アンゴラ、ボツワナ、南アフリカ、ジンバブエの原産。Rhizanthium(Athymalus)亜属のAnthacanth節ですが、Pseudeuphorbia亜節は初めてです。以前から気になってはいたユーフォルビアです。



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Adenia cladosepala
マダガスカル原産のアデニア。アデニアは葉がかわいらしいので、最近気に入ってちょこちょこ集めています。


というわけで、9月のサボテン・多肉植物のビッグバザールでした。今回はいつも以上の混雑と予定があることもあり、じっくり見ることが出来ず消化不良でしたね。1日バタバタしており疲れました。変わりどころでは、ぱっと見ですがPachypodium decaryiの苗がいくつかのブースにありました。あまりパキポディウムらしさがないデカリィですが、希少かつ面白いパキポディウムです。あと、P. rosulatum var. graciliusの苗が1000円で販売されていました。パキポディウムは自分で実生する人も増えたせいか、苗は飽和状態なのかも知れませんね。あと、Fraileaを買うつもりでしたが、また忘れました。いつになったら買えるのか…。我ながら呆れます。


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さて、サボテン科全体を分子系統により分類した論文の続きです。引き続きJurriaan M. de Vosらの2025年の論文、「Phylogenomics and classification of Cactaceae based on hundreds of nuclear genes」をご紹介します。


まずは、サボテン科の大まかな分子系統を示します。
本日はMaihuenia亜科とBlossfeldia亜科、さらにCactus亜科の一部を扱います。

    ┏Leuenbergerioideae
┏┫    
┃┗Pereskioideae

┃┏Opuntioideae
┃┃
┗┫┏Maihuenioideae
    ┃┃
    ┗┫┏Blossfeldioideae
        ┗┫
            ┗Cactoideae


④Maihuenia亜科
含まれる属: Maihuenia
多肉質の主根を持つ矮性低木で、大きく平らなクッション状の茎を形成します。多肉質でやや分節した円柱状の茎を持ちます。顕著な長命の円柱状の葉を持ちます。
アルゼンチン南部とチリにのみ分布する2種のMaihueniaは、塊根はPereskia humboldtiiとよく類似します。茎の表皮には気孔は少なく、直ぐに樹皮に変わります。茎と葉には粘液質が豊富に含まれ、「派生した南部のPereskia」と解釈されています。


⑤Blossfeldia亜科
含まれる属: Blossfeldia
単独で扁平化した小型の、あるいは互いに重なり合い密集したクッション状となります。目に見える葉はなく、痕跡程度まで縮小し、アレオーレは短く目立たないフェルト状の毛が数本生える程度となっています。
Nyffeler(2002)によると、「真の」サボテン=Cactoideaeの多様性全体の姉妹群です。系統的に孤立していることは、すべての研究において裏付けられています。他のサボテンと比較すると、特徴の組み合わせが独特で、単型属であるBlossfeldiaを単属亜科に分類することが正当化されます。

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Blossfeldia liliputana 
JSS、サボテン・多肉植物展(2025年10月)


⑥Cactus亜科(※1)
※1: Rhipsalidoideae、Cereoideae、Calymmanthioideaeを含む。
矮性から小型、大型の低木から樹木状で、単独で分岐しないものや枝分かれして樹冠を持つものもあります。稀に大きな塊茎を持つものや、湿潤な森林地帯では半着生となるものもあります。葉は顕微鏡的な痕跡まで縮小し、アレオーレを持ちます。花のサイズは侍様々で、直径40cmに達するものもあります。花は昼行性または夜行性です。
これは「真の」サボテンであり、目立った葉を持たない球形から円柱形で、サボテンの生育形態の多様性のすべてを含みます。Cactoideae(Cactus亜科)は伝統的にCereoideaeという誤った名称で知られていました。Blossfeldiaを除けば、Cactus亜科の範囲は異論なく分類されてきましたが、やがて分子系統によりBlossfeldiaは除外されました。Cactus亜科の初期に分岐したLymanbensoniaとCopiapoaは系統学的な位置が長らく不明で、Nyffeler & Eggli(2007)により「孤児」と表現されました。

Cactus亜科の分子系統(連レベル)
本日はLymanbensonia連とCopiapoa連を扱います。

 ┏Lymanbensonieae
┏┫
┃┗Copiapoeae

┫┏Cacteae
┃┃
┗┫┏Phyllocacteae
    ┃

    ┗┫    ┏Fraileeae 
        ┃┏┫
        ┃┃┗Rhipsalideae
        ┗┫
            ┃┏Notocacteae
            ┗┫
                ┗Cereeae



★Lymanbensonia連(※2)
含まれる属: Calymmanthium、Lymanbensonia(※3)

※2: Calymmantheaeを含む。※3: Acanthorhipsalisを含む。

高さ8mに達する小高木、あるいは着生で広がり垂れ下がります。茎は扁平または3〜4 本の細い翼状の鋸歯があります。
Buxbaum(1969)はCalymmanthiumを亜科の中でもっとも原始的な属の1つと解釈しました。(解析した)遺伝子が少ないWallace(2002)の分子生物学的研究でも裏付けられ、CalymmanthiumをCactus亜科の他のすべての属の姉妹群としました。Calymmanthiumを発見したRitter(1981)は、Calymmanthiumを特殊化した高度な系統と見なしていました。Korotkovaら(2010)は、AcanthorhipsalisまたはPfeifferaに分類されていた4種を、単型属Calymmanthiumの姉妹群として発見しました。したがって、Lymanbensoniaは独立した属として分類されるべきです。



★Copiapoa連
含まれる属: Copiapoa(※4)

※4: Pilocopiapoaを含む。

球形から短円柱形の単独からクッション状の低木。一部は地下に塊茎を持ち、地上部は小さく草食動物の捕食時に脱落します。茎は節で分かれていません。花は昼行性で黄色で、稀にピンク色を帯びます。果実は成熟すると乾燥し上部が開きます。
約30種からなるこの謎めいた属は、すべてチリ中部から北部にかけてアタカマ山脈西端および海岸線とコルディリェラ山脈沿岸部に固有です。Copiapoaの分類は長らく論争の的になってきました。頂端付近に黄色い花を沢山咲かせることから、伝統的にNotocactusに分類されてきました。しかし、すべての分子生物学的研究では、CopiapoaをNotocactus連に分類することは誤りであることを示しています。Copiapoaは解析により多様で、未分類の孤児種として扱われていました。本研究では、Cactus亜科の中ではCopiapoa連は孤立しています。まだ完全に解明されていない位置付けを強調するために独自の単属種としました。


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Copiapoa cinerea
春の多肉植物・サボテン展示会、川口緑地センター樹里庵(2025年4月)



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Copiapoa dealbata
神代植物公園(2022年5月)


最後に
昨日に引き続き最新のサボテン科の分子系統を見ています。本日扱ったMaihueniaは2種、Blossfeldiaは1種と、小さな属ですが、それぞれが亜科を担っています。それだけ、独特で遺伝的に異なるということがわかります。さらに、Cactus亜科のLymanbensonia連とCopiapoa連についても解説されました。Lymanbensonia連のLymanbensoniaは5種、Calymmanthiumは1種からなる小さな分類群ですが、いずれも一般的に馴染みがあるサボテンではありません。逆にCopiapoa連のCopiapoaは有名ですが、昔から分類学者を悩ませてきたサボテンです。独自性が高いことから、ほとんどのCactus亜科の姉妹群となる配置となっています。
記事を書くのに思ったより時間がかかり、続けてすべて書くのは難しいので、続きはまた来週となります。


ちなみに、本論文は案を提唱している段階ですので、現在認められている分類ではないことに注意が必要です。今回扱った範囲の現在の属分類を一応お示しして終わります。

Blossfeldia(1種)
Calymmanthium(1種、Diploperianthiumを含む)、Lymanbensonia(5種)、Acanthorhipsalis(→Lepismiumに含まれる)
Copiapoa(39種、Pilocopiapoaを含む)



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サボテンはその高い多様性にも関わらず、すべての種がサボテン科に分類されますが、その分類に関しては紆余曲折ありました。しかし、近年の遺伝子工学の発展により、サボテンに関しても遺伝子の違いを根拠とした分子系統が盛んに行われる様になりました。私もそれらの論文を読んでは、その都度ポツポツと記事にしてきましたが、ついには調子に乗ってサボテン科の分類についてまとめた記事を書いたりもしました。しかし、私のしたことは既存の論文の内容をツギハギしただのパッチワークに過ぎず、継ぎ目が怪しくなってしまうものでした。どうしても、論文の年代により解析の精度が異なるだとか、扱うサンプルの妥当性だとか、そこら辺は考慮していないというか、私の力量ではそもそも出来なかったのです。ややモヤモヤしてはいましたが、何と新たにサボテン科全体を分子系統により分類した論文が出たのです。というわけで、本日はJurriaan M. de Vosらの2025年の論文、「Phylogenomics and classification of Cactaceae based on hundreds of nuclear genes」をご紹介します。


分子系統分類
170種、属分類の90%を種の遺伝子を分子系統解析しました。サボテン科という分類の境界は安定していますが、その内部分類はDNA時代以前も以後も不安定なものでした。まず、サボテン科は形態が多様であり、しばしば直感的に「傾向」(trends)として認識されてきており、より極端な形態に向かう傾向があるとされました。しかし、分子生物学的な研究により、かつて分類に用いられた多くの形質は高い相同性を示すことが明らかとなりつつあります。形態とDNAの不一致は、形態学的収斂と並行性の高さを示す証拠であり、種間関係や進化の理解を難しくしています。良い例の1つはAstrophypumで、A. caputmedusaeは細長い疣(tubercles、結節)を持ち、他4種は稜(rib)を持ちます。また、Leuchtenbergiaは長い疣を持ちますが、稜を持つStenocactusやFerocactusと近縁です。さらに、伝統的にFerocactus(広義)とされてきた種は、形態的には一貫性があるにも関わらず、比較的大きな分子的な多様性を示します。
サボテン科の分類が不安定なもう1つの理由は、分子的に急速な放散を示すことです。サボテン科は若いグループで種の多様性が高く、すべての植物の中でも科レベルの多様率は上位5位に入ります。この急速な放散の結果、種間のDNAの分岐は非常に低く、分子系統では成功と失敗が混在します。

【解説】
この部分はわかりにくいため、少し解説します。これはサボテンの分類の難しさについての話です。1つは形態が似ていても遺伝的に近縁とは限らず、遺伝的に近縁であっても形態が似ているとは限らないということです。2つ目は、サボテン科は割りと新しい時代に急速に種分化したため、遺伝子解析をした時に上手く解析出来ない場合もあるということです。


  
サボテン科の分子系統
サボテン科の分子系統の根元にあるのは、Leuenbergeria亜科とPereskia亜科です。この2亜科は似ていますが、茎は木質化し葉は多肉質ではないなど、想定されるサボテン科の原始的な姿を表しているように見えます。しかし、高度に派生した分類群と考えられていたMaihueniaやBlossfeldiaは、考えられていたよりもサボテン科の基部系統に近かかったため、低木状あるいは樹木状であることがサボテン科の祖先であるという考えに疑問を投げかけます。また、サボテン科に近縁な他の科も、主に小型の草本で構成されており、多肉質な主根を持つことが多いも理由の1つです。

【解説】
論文中では他にも系統解析の妥当性などを議論していますが、割りと難解かつ分子遺伝学や解析プログラムの話など、あまり私の興味を惹かない話題でしたので割愛します。気になる方は論文をご確認下さい。ということで、以下にサボテン科の分子系統を示します。
まずはサボテン科の分子系統と、各亜科の解説を見ていきます。


サボテン科の分子系統(亜科レベル)

    ┏Leuenbergerioideae
┏┫    
┃┗Pereskioideae

┃┏Opuntioideae
┃┃
┗┫┏Maihuenioideae
    ┃┃
    ┗┫┏Blosfeldioideae
        ┗┫
            ┗Cactoideae

    

①Leuenbergeria亜科
含まれる属: Leuenbergeria
低木から高木で、幹はわずかに多肉質かまったく多肉質ではありません。トゲのあるアレオーレを持ちます。茎には気孔がなく、早期に周皮(periderm)が形成されて表皮(epidermis)は急速に消失します。葉は時にやや多肉質で羽状脈があり、落葉性です。
Leuenbergeriaは伝統的にPereskiaに含まれてきましたが、分子系統学的研究により2012年に記載されました。差異は2002年より指摘されてきましたが、近年の大規模な研究でも概ね同様の結果を得ています。Leuenbergeriaはブラジル原産のL. aureifloraを除き、主にカリブ海に分布します。



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Leuenbergeria guamacho
筑波実験植物園(2024年6月)



②Pereskia亜科(狭義)
まれる属: Pereskia(※1)
※1: Rhodocactusを含む。Leuenbergeriaを含まない。
低木から高木で、幹はほぼ多肉質ではありません。トゲのあるアレオーレを持ちます。P. aculeata以外では周皮の形成は遅れ、茎には気孔があります。葉は時に多肉質で羽状脈があり、落葉性です。Leuenbergeriaを含まない狭義のPereskiaは、完全に南米の原産です。


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Pereskia aculeata
筑波実験植物園(2024年6月)


③Opuntia亜科(※2)
※2: Pereskiopsis亜科を含む。
矮性から大型の低木から高木。茎は分節し、円筒形または扁平で、トゲのあるアレオーレを持ちます。葉は円錐形で退化しており短命ですが、QuiabentiaやPereskiopsisでは扁平で平行脈があり、わずかに多肉質で長命です。球果を持ち、種子は比較的大型です。
本データは、過去の報告と同様にOpuntia亜科が単系統であることを明確に示しています。3つのサブクレードについて認めたが、互いの関係は完全には明らかとなっていません。著者らはCylindropuntia連をより狭い範囲に限定し、南米原産の種の大部分をPterocactus連として認めました。


Opuntia亜科の分子系統(連、属レベル)
3つの連(tribe)に分けられます。

          Tribe Opuntieae
    ┏Salmonopuntia salmiana
    ┃
    ┃    ┏Airampoa soehrensii

┏┫┏┫
┃┃┗Opuntia ficus-indica
┃┗┫
┃    
┃┏Tacinga funalis
┃    ┗┫
┃        ┗Brasiliopuntia brasiliensis
┃       Tribe Cylindropuntieae
┃        ┏Micropuntia pulchella
┃    ┏┫      (=Grusonia pulchella)
┃    ┃┗Pereskiopsis porteri
┃┏┫
┃┃┃
┏Cylindropuntia imbricata
┃┗┫
┃┃    
┃┏Grusonia bradtiana
┃┃    ┗┫
┃┃        
┃┏Grusonia clavata
┃┃        ┗┫(=Corynopuntia clavata)
┃┃            ┗Grusonia marenae
┃┃              (=Marenopuntia marenae)
┃┃    Tribe Pterocacteae
┗┫┏Maihuenopsis glomerata
    ┃┃
    ┗┫┏Pterocactus tuberosus
  ┃┃
  ┃
┃ ┏Tephrocactus articulatus
        ┗┫┏┫
            ┃
┃┗Tephrocactus verschaffeltii
   ┃┃    (=Banfiopuntia verschaffeltii)
            ┗┫ ┏Austrocylindropuntia
                ┃    ┃     lagopus
                ┃┏┫(=Punotia lagopus)
    ┃┃┗Austrocylindropuntia
                ┗┫           exaltata

                    ┃┏Cumulopuntia sphaerica
                    ┗┫(=Sphaeropuntia 
                        ┃       sphaerica)
                        ┗Cumulopuntia
                                    boliviana



★Opuntia連
含まれる属: Brasiliopuntia、Consolea、Opuntia(※3)、Miqueliopuntia、Salmonopuntia(※4 )、Tacinga、Airampoa(※5)

※3: Nopaleaを含む。狭義。※4: =Salmiopuntia、Mortolopuntiaを含む。※5: =Tunilla

矮性低木から高木。幹や樹冠が明瞭に区別出来ることは稀で、茎は分節し円錐形あるいは扁平です。葉は短命で退化しています。

伝統的に単型のSalmonopuntiaは、2つの亜系統に分類される残りの属の姉妹群です。1つ目の亜系統はAirampoa(南米アンデス)とOpuntia(カナダ南部からアルゼンチン中部)からなり、扁平化した枝を持ちます。2つ目の亜系統は、南米東部(主にブラジル)に限定され、TacingaとBrasiliopuntiaからなります。この両者は花糸の基部に毛があります。Brasiliopuntiaは、樹木のような構造を持ち、円柱状の分節しない主幹を形成し、枝は分節し円柱状からやや扁平まで様々です。Tacingaは中間型で、ブラジル東部およびカリブ海諸島という謎めいた分離した分布を示しますが、これはLeuenbergeriaやPseudocanthocerus(=Strophocactus)も同様の傾向があります。

本研究ではチリ原産で全体が円柱状のMiqueliopuntiaと、カリブ海諸島原産で成体は円柱状の主幹を持つConsoleaを解析していません。Consoleaを広義のOpuntiaに含める意見もありますが、狭義のOpuntiaとは明確に異なります。Consoleaは倍数体種のみ知られ、系統解析ではTacinga+Brasiliopuntia+Opuntiaの姉妹群であることは判明しています。Nopaleaは鳥媒花(ornithophilous flower)であるため、伝統的に分離されてきました。しかし、遺伝的には狭義のOpuntiaに含まれることが明らかとなっています。



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Opuntia tuna
筑波実験植物園(2024年6月)


★Cylindropuntia連(※6)
含まれる属: Cylindropuntia、Grusonia(※7)、Micropuntia、Pereskiopsis、Quiabentia

※6: Pereskiopsis連を含む。※7CorynopuntiaとMarenopuntiaを含み、Micropuntiaを含まない。

矮性から大型の低木で、稀に地下に塊茎を持ちます。茎は円錐形で節があり、稀に節がないものもあります。葉はわずかに多肉質あるいはやや多肉質で、平らで平行脈があり長命です。
Nyffeler & Eggli(2010)によりCylindropuntia連に分類された南米原産の属は、独立しPterocactus連に分類します。このことにより、Cylindropuntia連は節のある円錐形の茎を持つ、ほぼ北米原産の系統群となります。
広義のGrusoniaは支持されず、単一型で米国のモハーベ砂漠に分布するMicropuntiaを分離します。逆にCorynopuntiaとMarenopuntiaをGrusoniaに含めることが妥当であることが分かりました。不可解なことに、Micropuntiaはメキシコとグアテマラ原産のPereskiopsisと姉妹群です。Majureら(2019, 2023)によると、南米原産のQuiabentiaとPereskiopsis、Micropuntiaは、残りのCylindropuntia連(広義のGrusonia + Cylindropuntia)の姉妹群であることを特定しています。
QuiabentiaとPereskiopsisは、節のない主茎と扁平で平行脈を持つ多肉質の葉を持ちます。また、これらの葉は、Pereskiaの葉とは相同性がありません。



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Pereskiopsis diguetii
東京農業大学バイオリウム(2025年1月)



★Pterocactus連(※8)
含まれる属: Austrocylindropuntia(※9)、Cumulopuntia(※10)、Maihueniopsis(※11)、Pterocactus、Tephrocactus(※12) 

※8: Tephrocactus連、Austrocylindropuntia連を含む。※9: AndinopuntiaとPunotiaを含む。※10: Sphaeropuntiaを含む。※11: Punaを含む。※12: Banfiopuntiaを含み、Pseudotephrocactusを含まない。

矮性低木で、肥大した主根または多肉質の塊茎を持つ。しばしばコンパクトなクッションを形成します。茎には節があり円錐形です。葉は円錐形で短命です。
Austrocylindropuntia連とTephrocactus連を含みます。最近、系統分類の論文で使用されるTephrocactus連より、Pterocactus連の方が命名上の優先権があります。Maihueniopsisは他属の姉妹群で、次にPterocactusと残りの属が続きます。この2属の支持は低く議論の余地がありますが、過去の論文の解析結果とまったく同じです。
最近分離された単型属であるPunotiaは非常に高い裏付けによりAustrocylindropuntiaの姉妹群です。過去の報告ではAustrocylindropuntia + Cumulopuntiaの姉妹群とされましたが、裏付けに乏しくデータも限られています。かつてAustrocylindropuntiaに分類されていた単型のBanfiopuntiaは、Tephrocactusの初期分岐段階の一部として示されており、Sphaeropuntiaとして分離された種はCumulopuntiaに属します。


DSC_0587
Pterocactus tuberosus
神代植物公園(2023年5月)



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Tephrocactus articulatus
筑波実験植物園(2025年2月)



最後に
以上が論文の簡単な要約です。記事が長くなったので、本日は3亜科のみです。記事はまだまだ続きます。
さて、以前サボテンの分類を記事にしましたが、大まかな分類ではそれほどの違いはなさそうです。過去記事は以下になります。






今回の記事のポイントの1つは、Leuenbergeriaでしょう。Pereskiaとの違いは以前から指摘されてきましたが、伝統的に樹木状のサボテンとしてまとめられてきました。しかし、近年Leuenbergeriaをより原始的な特徴を持つ分類群としてPereskiaから独立する意見が立ち続けに出されました。今回ご紹介した論文においてもその正当性が確認されています。外見はPereskiaと似ていますが、論文ではLeuenbergeriaは亜科レベルで異なる分類群であるとしています。


Leuenbergeriaの分離を提案した論文の記事はこちら。


今回の記事のメインはOpuntia亜科=ウチワサボテン亜科でしょう。私自身がウチワサボテンに疎いため、その分類を調べたことがありませんでした。しかし、論文では3つの群に綺麗に分かれており、かなり整理された感じがします。論文では解析していない属もあるため、完全なものではありませんが、基本的にはこの分子系統がこれからの研究の基調となっていくのではないでしょうか。

ちなみに、本論文は案を提唱している段階ですので、現在認められている分類ではないことに注意が必要です。今回扱った範囲の現在の属分類を一応お示しして終わります。

Leuenbergeria(8種)、Pereskia(10種、Carpophillus、Peirescia、Rhodocactusを含む)

Brasiliopuntia(1種、Mortolopuntiaを含む)、Consolea(8種)、Opuntia(152種.Cactodendron、Chaffeyopuntia、Clavarioidia、Ficindica、Nopal、Nopalea、Phyllarthus、Platyopuntia、Plutonopuntia、Subulatopuntia、Tunasを含む)、Miqueliopuntia(1種)、Salmonopuntia(2種、Salmiopuntiaを含む )、Tacinga(12種)、Airampoa(4種、Tunillaを含む)
Cylindropuntia(41種)、Grusonia(19種、CorynopuntiaとMarenopuntiaを含む)、Micropuntia(1種)、Pereskiopsis(6種)、Quiabentia(2種)
Austrocylindropuntia(7種、Andinopuntia、Banfiopuntia、Peruviopuntia、Pseudotephrocactus、Trichopuntiaを含む)、Cumulopuntia(14種、Sphaeropuntiaを含む)、Maihueniopsis(20種、Punaを含む)、Pterocactus(10種)、Tephrocactus(12種、Pseudomaihueniopsis、Ursopuntia、Weberiopuntiaを含む)、 Punotia(1種)



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相変わらず、8月に行った神代植物公園の食虫植物展の続きです。本日はサラセニアとウツボカズラの残りをご紹介しましょう。


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Sarracenia psittacina var. okefenokeensis
現在、変種okefenokeensisはS. psittacinaに含まれるとされているようです。


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Sarracenia purpurea ssp. venosa
S. purpurea subsp. purpureaが米国東側からカナダまで広く分布するのに対し、subsp. venosaはジョージア州とカロライナ州にのみ分布します。


250809100836827
Sarracenia minor
フロリダ州、ジョージア州、カロライナ州の原産。


250809100726990
Nepenthes gracilis 'sport'
グラキリス自体は東南アジアの原産ですが、これは非常に小さいですね。丸っこい捕虫袋が地際に並びます。しかし、この「sport」が何を指しているのかよくわかりませんが、タイプを表しているのでしょうか?


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Nepenthes bokorensis
カンボジアの原産。


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フクロユキノシタ Cephalotus follicularis
一見してウツボカズラに見えますが、他人の空似でこちらはフクロユキノシタ科のフクロユキノシタです。オーストラリア原産。


さて、食虫植物展も次回で終わりです。次回はウツボカズラやハエトリグサなどの有名どこにではない、あまり聞いたことがない珍しい食虫植物を見てみましょう。


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突如、思い立って鶴仙園にいって参りました。鶴仙園は入荷情報を毎日ブログに載せてくれるので、私も毎日見ています。以前は入荷情報を見ては足繁く鶴仙園に行っていたわけですが、公私共に以前より忙しくなり最近はすっかり足が重くなりました。まあ、ブログはなんだかんだで見ていますから、鶴仙園がリニューアルのためにセールをやっていたのは知っていたのですが残念ながら行けず、今回はリニューアル後ずいぶん経ってからの訪問です。鶴仙園は今年で3回目となりました。


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旧・鶴仙園跡地。そういえば、エスカレーターで屋上まで行こうとすると、改装中ゆえダンジョン攻略よろしくあちこち館内を移動する羽目になります。私もかつては苦労しました。しかし、実はロフト側のエレベーターなら直通で屋上に行くことが出来ます。


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新しい鶴仙園は旧・鶴仙園の左隣にあります。


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ここが新しい鶴仙園。


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新しい鶴仙園の内部はそれほど広くありません。リニューアル前の拡張した鶴仙園より狭いのですが、それ以前と比べてどうでしょうかね?


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ユーフォルビア・ディディエロイデス
これは確認のための一鉢です。かつて、ホムセンで「ディディエレオイデス」の名札が付いた花キリンを購入したわけですが、ウェブ上で調べて出てくる姿と何やら異なるわけです。しかし、筑波実験植物園では私の手持ちに似た花キリンの名札がディディエレオイデスなんですよね。これでさっぱり分からなくなりました。そのための現物確認です。ちなみに、E. didieroidesと表記されがちですが、E. didiereoidesが正しい学名です。



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Aloe inexpectata
少しA. calcairophilaに似た雰囲気の小型アロエがあったので、気になって購入しました。マダガスカル原産の2003年の新種とのこと。


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Gasteria bicolor var. liliputana GM 271
珍しくもないリリプタナですが、フィールドナンバー付きでした。現在、ビコロル系はG. obliquaにまとめているようです。GMはこの場合はGerhard Marxのことですが、「GM 271」で調べるとMarginatocerus marginatusが出てきてしまいます。この場合のGMはGrzegorz Matuszewskiを指すようです。フィールドナンバーは調べても分からないことが多いので困ってしまいます。


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東武百貨店に移動して、ちょうど開催されていた大北海道展で色々買い込みました。疲れたので5Fの「ル・ポワール」という喫茶店で昔ながらのプリンを食べて一息ついてから帰りました。


さて、リニューアル後の鶴仙園は、高価なコーデックスは沢山ありましたね。サボテンは流行りどころのCopiapoaやEriosyce(だったかな?)あたり、さらに兜丸あたりは沢山ありましたが、以前のような多様性は薄く、やや物足りないような雰囲気もありました。あと、ユーフォルビアはやや珍しいものもありました。まあ、しかしラインナップは不動ではないでしょう。訪問する度に異なる多肉植物を見ることが出来ると期待しています。



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9月の始め頃に夏休みを取り、またまた植物園に行って参りました。今回は東京薬科大学の薬用植物園です。薬用植物は八王子キャンパスにあります。見学自由ではなくてちゃんと入館手続きをしてから校内に入ります。見学出来る施設が決まっていますから、勝手に校内をうろつくのは厳禁です。
さて、朝イチで到着したものの、その日は最高気温38℃という炎天下でした。開園時間に入りましたが既に35℃近い気温になっており、流石に熱中症の危険がある雰囲気がしていましたね。



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薬用植物園の入口付近に池があります。


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何はさて置き、まずは温室です。


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入口にトンキンニッケイの枯れ葉がありました。枯れ葉でも折るとシナモンの素晴らしい香りが漂います。ニッケイ、つまりCinnamomum、シナモンの仲間です。トンキンニッケイとはC. cassiaのことです。シナニッケイという名前の方が一般的かも知れません。


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トウワタ(唐綿) Asclepias curassavica
果実に綿がありますが、主な用途は観賞用ですから、産業化するレベルの量や品質ではないのでしょう。トウワタは旅をする蝶として有名なオオカバマダラの食草です。オオカバマダラは毒蝶ですが、トウワタ由来の毒を持ちます。旧ガガイモ科。中南米の原産。
何でも、トウワタ属の花はラン科に並ぶほどの複雑な構造で、小型の蜂などは花に閉じ込められてしまうそうです。小さな花なので実際に見ても構造はよく分かりませんが…



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Euphorbia resinifera
いわゆる白角キリンと呼ばれるユーフォルビア。日焼け気味ですね。白角キリンはモロッコ産ハチミツの重要な原料です。ちなみに、ユーフォルビアのハチミツは薬用として用いられます。



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ラカンカ(羅漢果) Siraitia grosvenorii
ラカンカの塊茎。つる性で果実は非常に甘く甘味料などとされます。含まれるモグロシドVはショ糖の300から400倍の甘さがあります。ウリ科。中国の原産。


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マニホットゴム Manihot glaziovii
マニホットといえばタピオカの原料のキャッサバ(M. esculenta)を思い浮かべますが、こちらは食用ではありません。名前の通りゴムが採れますが、採取量はあまり多くはないようで、現在はあまり栽培されていないようです。というより勝手に増えて侵略的外来種となっています。デンプンをリューマチや汗止、消毒、さらには賦形剤として利用するそうです。トウダイグサ科。ブラジル原産。

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独特の荒れた幹肌。


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Polygonatum kingianum
植物園には知らない植物が沢山ありますから。このような雑草然とした植物も気になります。一見してよく分からない植物でしたが、
Polygonatumですからナルコユリ(P. falcatum)の仲間ですね。アマドコロ属、あるいはナルコユリ属とも言います。P. kingianumはナルコユリやカギクルマバナルコユリ(P. sibiricum)と共に塊茎をオウセイ(黄精)の名前で漢方とするそうです。滋養強壮や病後の虚弱などに使用するようです。中国、ミャンマー、タイ、ベトナムの原産。


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ビワモドキ Dillenia indica
植物分類表を見ていると必ず出てくるビワモドキ科のビワモドキです。以前から気になっていましたが、板橋区立熱帯環境植物館や夢の島熱帯植物館でも見ています。インドから中国、ボルネオ島まで広く分布します。

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大きな蕾がありました。花はまだ見たことがないので、タイミングが合わず残念です。


というわけで東京薬科大学の薬用植物園に行ってきましたが、まだ記事は続きます。とは言え、温室に入った途端、全身から汗が噴き出て汗が止まらなくなりました。最高気温となる12時を避けて、早々に退却した次第です。ですから、温室に長居は出来ませんでしたから、いつもより撮影した写真は少な目です。



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8月に行った神代植物公園の食虫植物展の続きです。モウセンゴケの続きとハエトリグサを見ました。本日登場するモウセンゴケ、ハエトリグサ、ムジナモは同じモウセンゴケ科です。


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Drosera adelae
オーストラリア原産のモウセンゴケ。肉質で幅広い葉を持ちます。


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Drosera oblanceolata
中国南東部原産のモウセンゴケ。


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Drosera slackii
南アフリカ原産のモウセンゴケ。みっちり詰まったような形が面白いですね。


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Drosera scorpioides
オーストラリア原産のモウセンゴケ。


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イトバモウセンゴケ Drosera filiformis
米国東部原産のモウセンゴケ。細長い捕虫葉は非常に長いですね。


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ハエトリグサ Dionaea muscipula
食虫植物として有名なハエトリグサ、またはハエトリソウです。同じ葉が動くモウセンゴケ類よりも、葉の閉じる速度が速く昆虫を捕まえます。1属1種。


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Dionaea muscipula 'CK Meltdown'
ハエトリグサの園芸品種。最早、捕虫出来ないぐらい捕虫葉が歪んでいます。


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ムジナモ Aldrovanda vesiculosa
ムジナモは完全に水草化した食虫植物で、根は早々になりなり水面を漂います。捕虫葉を閉じる速度が非常に速いことが知られています。




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今年の夏も暑かったのですが、ようやく涼しくなってきました。出掛けるのに良い日和です。また、植物園巡りを再開したいですね。それはそうと、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。


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Gymnocalycium ochoterenae var. cinereum
キネレウムはストレスカラーで真っ赤ですが、生育は順調です。実は最近流通しているキネレウムが何者であるか私にもよく分かっておりません。変種キネレウム自体は、現在はG. ochoterenaeに含まれるとされています。しかし、キネレウムのトゲの根元が黒いという特徴が見られません。


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Aloe peglerae
ペグレラエはまだ葉が二列性の小苗で入手しましたが、約4年でここまで生長しました。現在6号鉢に植えています。


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Euphorbia polygona
多稜タイプのポリゴナ。購入時にはブルームはまったくありませんでしたが、なぜか今年はブルームがよく出ています。


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Euphorbia susannae
スサンナエはやや調子を崩していましたが、なんとか復活しました。


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Euphorbia squarrosa
「奇怪ケ島」の名前もあるスクアロサの苗ですが、今まで弱々しい枝ばかりでしたが、今年は良い枝が出ましたね。そういえば、奇怪ケ島はE. stellata var. stellata(飛竜)の変異幅に入ると見なされているようです。外見的には平たい枝の飛竜と、立体的で捻れる奇怪ケ島は見分けることができます。


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Euphorbia fimbriata
フィンブリアタは開花したり枝が出たり、今年は好調そのものです。ちなみに、フィンブリアタはE. mammillarisの異名となっています。


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Euphorbia schoenlandii
いわゆる「闘牛角」です。最近、何やら流行り気味なのかかなりの高額で販売されています。
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花が咲いていますが、闘牛角は割りと開花しますから珍しくはありません。


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