ユーフォルビア・オベサ・ドットコム

12月始めに訪れた、夢の島熱帯植物館の続きです。今回は温室の中央付近まで進みます。

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ココヤシ Cocos nucifera
そびえ立つ巨大なココヤシ。日本人が想像する椰子の実はココヤシの実ですよね。熱帯地域で広く栽培され、様々な用途に使われます。
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よく見たら1つだけ実がなっていました。あれが落ちてきて当たったら只では済まなそうですね。

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パラミツ Artocarpus heterophyllus
巨大な果実を直接幹から生やすことで有名なジャックフルーツです。一抱えもある巨大な果実には未だに出会えていません。
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葉は思いの外、厚みがありしっかりしていて濃色。

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アレカヤシ Dypsis lutescens
一般的には「アレカヤシ」ですが、コガネタケヤシ(ヤマドリヤシ)と言った方が正しいようです。昔はアレカ属とされたこともあるためアレカヤシと呼ばれたのでしょう。現在の学名はChrysalidocarpus lutescensです。

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ビンロウ Areca catechu
いわゆる檳榔樹です。南方の習慣で、ビンロウの実を石灰とともに噛む光景はテレビなどでもお馴染みです。
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ちょうど花を見ることが出来ました。

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キンマ Piper betle
ビンロウの根元を這うつる植物があったのですが、この葉の感じにピンときました。これはピペル、つまりコショウの仲間です。ビンロウと来てピペルときたら、当然キンマなわけです。ビンロウの実はキンマの葉に包んで一緒に噛みます。キンマの葉は結構苦いそうです。このように用途で組み合わせて植えられているのは楽しいですね。

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ゴレンシ Averrhoa carambola
いわゆるスターフルーツですが、要するにでかいカタバミの仲間です。
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艷やかな実が鈴なりになっていました。

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ビワモドキ Dillenia indica
美しい葉が特徴のビワモドキです。印象的な花を咲かせますが、まだ見たことはありません。板橋区立熱帯環境植物館で初めて見ましたが、ビワモドキ科は日本には自生しないため、これも貴重な体験です。

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セイロンマンリョウ Ardisia elliptica
マンリョウ(万両)やカラタチバナ(=百両)と同じヤブコウジ属ですが、高さ5mにもなります。インド洋あたりの原産のようですが、移植されると増えすぎてしまうようで、世界の侵略的外来種ワースト100に指定されています。

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カカオ Theobroma cacao
カカオの実がちょうど沢山なっていました。熱帯の樹木によく見られる、幹から直接開花して果実をつける幹生果です。そういえば、新宿御苑でも着果していましたね。
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よいサイズのカカオ。
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熟成しきった実と若い緑色の実。

いよいよ、夢の島熱帯植物館の温室も半分くらいまで進みました。ここからは、順路を外れ高台に登っていきます。


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「本日の多肉植物」という記事を2023年の11月26日から始めましたが、なんと今日で100回なりました。だから何だということはありませんが、ある種の節目ですかね。調べたら書いた記事数は1000を超えていました。思ったより書いていましたね。とはいえ、本日も何事もないかのように、我が家の多肉植物たちをご紹介しましょう。

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Euphorbia silenifolia
シレニフォリアが初めて開花しました。
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しかし、貧弱な花です。オベサのように小さい花でも花茎か短いならまだしも、わざわざ花茎を長く伸ばしてこの目立たなさは何やら不思議です。

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Euphorbia fimbriata
フィンブリアタはE. mammillaris(鱗宝)の異名で、太さなどが違うと言われていますが、おそらくは
ただのタイプ違いに過ぎないのでしょう。ちなみに、鱗宝の斑入りは「白樺キリン」とか「ミルクトロン」などという名前でよく見かけます。

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Euphorbia polygona var. noorsveldensis
かつてはE. horrida var. noorsveldensisとされていましたが、E. horridaがE. polygona var. horridaとされたことから、E. polygona var. noorsveldensisとなりました。しかし、近年ホリダ系はすべてポリゴナとされたため、ホリダ系の変種horridaも変種noorsveldensisもすべてEuphorbia polygona扱いとなっています。

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Euphorbia polygona
白粉が少ない多稜タイプのポリゴナ。やや尖端がすぼまり気味です。10%の遮光でも徒長してしまうようで困ったものです。

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Euphorbia makallensis
マカレンシスはまだ生長が続いているようです。自生地ではマット状に群生して広がるといいますが、何年育てたらそうなるのでしょうね。


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去年の11月に2010年以降に発見されたエケベリアの新種についての記事を書きました。あれから1年経ちました。去年記事を書いた後に発表されたものや、私の論文検索に漏れがありましたので追記もしました。追記した部分は【追記】と表記しています。また、去年の記事は誤記が散見されたため、修正しております。

実はサボテンや多肉植物も、毎年のように新種が発見されています。地球上のすべての土地が調査し尽くされているわけではないため、未踏の場所を調査したら新種は見つかるもののようです。さらに、詳しく研究されず、似た種類を1種類にまとめてしまっていたりもします。そのようなものは、最近になって再び研究されて整理され始めています。ここ10年ちょいの多肉植物の新種については、サボテン、アロエ、アガベ、セダムについて最近記事にしてまとめて来ました。本日はエケベリアの近年の新種について見てみましょう。論文を軽く漁っただけなので、すべての新種を網羅してはいないかも知れません。

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Echeveria whitei
『Addisonia』(1925年)より。

2011年
★メキシコのMichoacanより、新種のEcheveria purhepechaが記載されました。

2012年
【追記】メキシコのSinaloaより、新種のEcheveria julianaが記載されました。

2013年
★メキシコ西部のSierra de Manantlanより、新種のEcheveria yalmanantlanensisが記載されました。石灰岩の山塊Cerro de Grandeの固有種です。【追記】2023年に新属であるChazaroa属が提唱され、Chazaroa yalmanantlanensisに変更されました。

2014年
★メキシコのColima火山より、新種であるEcheveria muniziiが記載されました。E. fulgensに似ています。
★メキシコ西部Colimaの石灰岩地より、新種であるEcheveria cerrograndensisが記載されました。E. fulgensと近縁と考えられます。
★メキシコのJaliscoより、新種のEcheveria marianaeが記載されました。E. novogaliciana、E. dactyliferaに似ています。

2015年
★メキシコのJaliscoより、Echeveria rulfianaが記載されました。

2016年
★メキシコのMichoacanより、新種であるEcheveria pistioidesが記載されました。
★メキシコのMichoacanより、新種であるEcheveria coruanaが記載されました。


2018年
【追記】ペルーのLimaで、新種であるEcheveria deltoideaEcheveria fruticosaが記載されました。E. deltoideaはE. chiclensisと似ていますが、葉がより大きく幅広で平らな点が異なります。E. fruticosaは直立あるいは横臥する目立つ地上茎を持ちます。

2019年
★メキシコのMichoacanより、新種であるEcheveria michihuacanaが記載されました。
★メキシコのGuerreroより、新種であるEcheveria xochipalensisが記載されました。
★メキシコのNevado de Colima火山より、新種であるEcheveria sonianevadensisが記載されました。


2020年
★エクアドルとペルーの国境より、既存種より2種の新種が分離されました。1つはEcheveria quitensisとされてきた中から、Echeveria cojitambensisが分離されました。もう1つはEcheveria cuencaensisと混同されてきたEcheveria tabaconasensisが分離されました。
★メキシコのSinaloaより、新種であるEcheveria coppiiが記載されました。

2021年
★ペルーのTayacaja州より、新種であるEcheveria incaicaが記載されました。E. oreophilaに似ています。
★ペルーのCastrovirreyna州より、新種のEcheveria ostolazaeが記載されました。
★メキシコのGuerreroより、新種であるEcheveria islasiaeが記載されました。
★メキシコのDurangoより、新種であるEcheveria kristeniiが記載されました。E. dactyliferaおよびE. novogalicianaに似ています。


2022年
★メキシコのOaxacaのMixteca Atla山地より、新種であるEcheveria andreaeが記載されました。

2023年
★Echeveria pringlei var. parvaを独特させ、Echeveria flammigeraを代替名として記載しました。

2024年
【追記】メキシコのMichoacanより、Echeveria sotoiが説明されました。E. gibbifloraに似ていますが、茎は細く背が高くなり、葉はより細く紫がかる灰白色にはならないことや、花のいくつもの細かい特徴が異なります。
【追記】メキシコのMichoacanより、Echeveria coalcomanensisが説明されました。
【追記】メキシコのJaliscoより、Echeveria cuevasiiEcheveria vazqueziiが説明されました。E. cuevasiiは亜低木状で中型のロゼットなどSeries NudaeのE. flammigeraと特徴を共有していますが、短枝が少なく葉が長く花序あたりの花が多いなど異なる特徴があります。E. vazqueziiはE. marianaeやE. novogalicianaと似ていますが、大きく無毛のロゼット、短い花序、Series Gibbifloraeに典型的な複数の花序からなる円錐花序を持ちます。

以上がエケベリアの新種たちです。意外と新種は見つかっていますし、これからも見つかる可能性が高そうです。エケベリアの分布の中心はメキシコのようですが、エクアドルでも新種が見つかっていますね。もしかしたら、メキシコ以外では調査が遅れているだけで、これからまだまだ新種が見つかるかも知れません。また、今は何と言っても遺伝子解析の時代です。エケベリアは形態学的によく似た種類が多いため、混同されている種類もありそうですから、遺伝子解析により大幅に改訂されてしまうかも知れません。これからのエケベリア研究は目が離せませんね。


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前回に引き続き夢の島熱帯植物館へ行った話です。温室に入りましたが、まだ入ったばかりのところで終わっていましたね。今回はグイグイ進みます。

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ヒカゲヘゴ Cyathea lepifera
奄美大島以南に自生する木性シダ。ヘゴは大型で見栄えし優美なため、温室には欠かせない植物です。現在はSphaeropteris lepiferaとされているようです。SphaeropterisはCyathea属内の亜属でしたが、遺伝子解析の結果により分離・独立しました。

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ゾウタケ(ダイマチク) Dendrocalamus giganteus
高さ30m、直径30cmになる最大の竹とのことです。見上げる高さでした。しかし、植物園の温室で竹は割りと珍しいですね。
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驚いたのはこの棹の太さです。写真だとイマイチ伝わりませんが…

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サキシマスオウノキ Heritiera littoralis
盤根が発達することで有名で、マングローブ林などで体を支える働きがあるとされているようです。ちなみに、「先島」とは宮古列島と八重山列島を合わせた地域を指します。とはいえ、種子は海流に乗り拡散されるため、分布はポリネシアやインド洋岸までととても広いものです。
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盤根も少しできていました。

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オヒルギ Burguiera symnorhiza
マングローブ林の構成樹木です。湿地帯が造成されている温室では必ず植えられています。やはり、こちらも海流散布されるため、分布は広大です。

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Heliconiaですかね? 小型ですが、スッキリとした形で色合いも良いですね。

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ミミモチシダ Acrostichum aureum
マングローブ林に生える巨大な水生シダです。神代植物公園でも見かけました。
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葉は革質で巨大。

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ハナチョウジ Russelia equisetiformis
わさわさ生えていますが、ハナチョウジは日本でも暖地なら野外に植えられるそうです。Cyrtanthusのような雰囲気の面白い花が咲きます。

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カトレアが沢山咲いていましたが、実に良い香りがしました。ちょうど洋ランの花期だったみたいです。

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こちらはオンシジウム。

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コチョウランも可愛らしいですね。

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このように着生シダが何気なく生態展示されています。

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滝の裏側を通ります。飛沫が少しかかるダイナミックな仕様。

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ホソバリュウビンタイ  Angiopteris palmiformis
南方系のリュウビンタイですが、より巨大に育ちます。葉は見上げる高さです。そういえば、新宿御苑の温室で異様に巨大なリュウビンタイがありましたが、ホソバリュウビンタイだったのでしょうか?
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塊根は見えづらいですのですがやはり巨大。

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クロツグ Arenga engleri
南西諸島や台湾に分布する小型のヤシ。観賞用に適したタイプではないせいか、あまり栽培されないヤシです。調べてみたら、南西諸島原産のクロツグは2006年にArenga ryukyuensisとして独立したようです。よって、A. engleriは台湾に自生する種に対する学名になります。

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マンゴー Mangifera indica
残念ながら実はありませんでしたが、立派なマンゴーの樹です。筑波実験植物園では鉢植えのマンゴーに小さな青い実がついていましたから、割と若いうちから結実するのかも知れません。

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ヒスイカズラ Strongylodon macrobotrys
花期ではないので目立ちませんが、かなり大規模なヒスイカズラです。花が咲けば見応えがあるでしょうね。神代植物公園では間近で花を見ることが出来ました。オオコウモリが受粉するという面白い生態の植物でもあります。

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パナマソウ Carludovica palmata
パナマノキを見るのは筑波実験植物園に続いて2回目。ヤシのようにも見えますが、実はタコノキに近縁なグループです。実に奇妙な植物ですが、その不思議な花を一度見てみたいものです。


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当ブログでは多肉植物の分類についてもぼちぼち記事にしていますが、近年では遺伝子解析を用いた分子系統による分類が当たり前となっています。サボテンもまた盛んに遺伝子解析がなされており、サボテンの属分類はだいぶ様変わりしました。さて、マミラリアだのパロディアだのと分類の記事を書いていましたが、私の好きなギムノカリキウムについては記事を書いていないことに気が付きました。論文自体は数年前に読んでいて、たまに引っ張り出しては参考にしていましたが、今更ですが記事にしておこうという次第です。
さて、本日ご紹介するのはPablo H. Demaioらの2011年の論文、『Molecular phylogeny of Gymnocalycium (Cactaceae): Assessment of alternative infrageneric systems, a new subgenus, and trends in the evolution of the genus』です。割りと有名な論文ですから、あるいは皆さんご存知かも知れませんが、お暇であればしばしお付き合い下さい。

ギムノカリキウム属とは?
Gymnocalycium Pfeiff. ex Mittlerは、球状の生長パターンと、トゲがない花托を持つ昼行性の花を特徴とする、約50種からなる属です。パタゴニア南部を除くボリビア南部、パラグアイ南西部及び北部、ブラジル南部、ウルグアイ、アルゼンチンに分布します。
Gymnocalyciumは栽培しやすく開花も早いため、サボテン愛好家の間でも人気のある属の1つです。分類群の新しい記述は個人の収集家や栽培家により行われてきたため、小さな形態的な差異を過度に強調し新しい分類群として記述する傾向があります。そのため、異名が増加しており、安定した属内の分類システムが必要となりました。

ギムノカリキウム属の分類の歴史
ギムノカリキウム属の属内分類の最初の試みはFrič(1935)によるもので、種子の形質にもとづいて5つのグループからなるシステムを発表しました。しかし、このシステムは非公式で有効に記載されませんでした。

Frič, 1935
1, Ovatiseminae
2, Macroseminae
3, Trichomoseminae
4, Microseminae
5, Muscoseminae

Schütz(1968)はFričの基準に従い、5つの亜属からなる有効なシステムを発表しました。

Schütz, 1968
1, Gymnocalycium
  =Ovatiseminae Schütz, nom illeg.
2, Macroseminae Schütz
3, Trichomoseminae Schütz
4, Microseminae Schütz
5, Muscoseminae Schütz

Buxbaum(1968)は、ギムノカリキウムの列(series)、亜列(subseries)を公表しました。また、他にもBackeberg(1941, 1958)やIto(1950, 1957)、Pazout(1964)などは、茎と花の形態に基づき属内分類群を提案しましたが、無効であると判断されています。

Schütz(1968)の分類体系は、Till & Hesse(1985)及びMetzing(1992)により修正され、Till(2001)及びTill et al.(2008)が果実と花、種子の特徴に基づく新しい体系が発表されるまで、ほぼ30年間に渡り研究者や趣味家に広く受け入れられてきました。Tillの分類体系はSchützとは大きく異なりますが、どちらが自然な分類を反映しているのか判断する決定的な証拠はありませんでした。

分子系統解析
ギムノカリキウム属内分類における論争は、形態に基づく方法では分類体系の解決が困難であることを示しています。しかし、形態学的な情報と遺伝子情報を組み合わせて利用したなら、安定した分類が出来ます。

  ┏━Gymnocalycium
  ┃
  ┣━Trichomosemineum
 ┏┫
┏┫┗━Macrosemineum
┃┃
┃┗━━Scabrosemineum

┃┏━━Muscosemineum
┣┫
┃┗━━Pirisemineum

┗━━━Microsemineum

Microsemineum亜属
G. saglionis

Microsemineumはギムノカリキウムの中でもっとも早く分岐した分類群であることが示唆されます。特徴は茎は大型で、果実は色鮮やかかつジューシーで甘いため、鳥などの脊椎動物を引き寄せます。果実の特徴はPirisemineum亜属と似ています。ジューシーな果実はギムノカリキウム属を含むBCT系統群の多くの属、TrichocereusやStetsonia、Echinopsisと共通します。
G. saglionisはアルゼンチン北西部の山脈に自生します。ギムノカリキウム属の分子系統の基底にあるため、ギムノカリキウムの祖先はアルゼンチン北西部とボリビア南部の山岳地帯が起源であると考えられます。

Pirisemineum亜属+Muscosemineum亜属
Pirisemineum亜属
G. pflanzii ssp. pflanzii, G. pflanzii ssp. zegarrae, G. chacoense
Muscosemineum亜属
G. marsoneri ssp. marsoneri, G. marsoneri ssp. megatae, G. eurypleurum, G. schickendantzii ssp. schickendantzii, G. mihanovichii, G. anisitsii ssp. damsii

Pirisemineum亜属とMuscosemineum亜属は、分布域がアルゼンチン中央部まで広がるG. schickendantziiを除き、ほとんどの種はアルゼンチン北部、ボリビア南部、パラグアイ西部のグラン・チャコ森林に生息します。Pirisemineum亜属はジューシーな果実とムール貝のような形の種子を特徴としています。果実はMicrosemineum亜属と似ていますが、主にアリにより散布されます。

Scabrosemineum亜属
G. hossei, G. glaucum ssp. glaucum, G. glaucum ssp. ferrarii, G. castellasonii ssp. castellasonii, G. castellasonii ssp. ferocius, G. oenanthemum, G. bayrianum, G. monvillei, G. ritterianum, G. mostii ssp. valnicekianum, G. mostii ssp. mostii, G. horridispinum ssp. horridispinum, G. horridispinum ssp. achirasense, G. rhodanthemum, G. spegazzinii

このグループは広義(sensu lato)のMicrosemineum亜属で、Schütz(1968)より分類されました。Tillら(2008)はMicrosemineum亜属のSection Saglionia(節)に、Microsemineum亜節を分類しました。しかし、分子系統では分離されたグループを作っています。そのため、著者らはGymnocalycium subgen. Scabrosemineum Demaio, Barfusr, R. Kiesling and Chiapella, subgen. nov.を新亜属として記載しました。このグループのほとんどが、アルゼンチン中西部の山岳地帯の温帯亜湿潤気候に分布します。自生地は背の高い草むらが優勢で、岩の露頭が点在します。

Macrosemineum亜属
G. denudatum, G. horstii ssp. horstii, G. paraguayense, G. hyptiacanthum ssp. netrelianum, G. hyptiacanthum ssp. uruguayense, G. mesopotamicum, G. reductum ssp. leeanum

従来、Macrosemineum亜属(Macrosemineum亜節)に分類されていた種は分子系統では単系統とは見なされません。ブラジル南部に分布するG. horstiiとG. denudatumは、Trichomosemineum亜属やGymnocalycium亜属と姉妹関係にあり、まとまりがあります。解析方法によっては、G. hypticanthumはGymnocalycium亜属とされる場合もあります。Kiesling(1980)は、G. mesopotamicumの種子がTrichomosemineum亜属とG. hypticanthumの中間形態を示すことを指摘しました。分子系統でもG. mesopotamicumの位置はTrichomosemineum亜属と密接な関係があることを裏付けています。
Macrosemineum亜属のほとんどの種は形態的に類似しており、地理的に分布は限定されています。分布は、ウルグアイ、南中央パラグアイ、ブラジル南部、アルゼンチン東部の、岩の露頭などに自生します。

Trichomosemineum亜属
G. bodenbenderianum, G. quehlianum

Trichomosemineum亜属は、アルゼンチン西部から中央部の山岳地帯と乾燥した谷間に生息しまTrichomosemineum亜属の命名はSchütz(1968)によるものですが、Buxbaum(1968)はSeries Quehliana(列)、Tillら(2008)はMicrosemineum亜属、Section Saglionia(節)、Subsection Pilesperma(亜節)に分類しました。分子系統はこれらのグループを支持しており、形態学的な過去の研究内容とも一致します。ただし、Tillら(2008)のPilespermaの位置は一致していません。

Gymnocalycium亜属
G. bruchii, G. calochlorum, G. baldianum var. baldianum, G. schroederianum, G. robustum, G. gibbosum ssp. gibbosum, G. fischeri, G. kieslingii, stringlianum, G. uebelmannianum, G. andreae, G. reductum ssp. reductum, G. erinaceum, G. amerhauseri

Gymnocalycium亜属は、ほとんどが中央アルゼンチンの山岳地帯に自生し、他にはパタゴニア北部、アルゼンチン東部、ウルグアイ西部に少数の種が分断されて自生します。すべての種は、Schütz(1968)、Till(2001)、Tillら(2008)のGymnocalycium亜属に相当します。ただし、Tillら(2008)のさらなる分類は現在のところ支持されません。過去10年間に発見されたギムノカリキウム属の新種はほとんどがこのグループに属し、形態学的に非常に類似しています。分子系統でもほとんどの配列が同じであり、顕著な均質性を示しました。この解像度の低さは既存のDNA配列データによる解決は難しい可能性があります。これは、急速に新しい時代に種が放散したことを反映しているのかも知れません。

ギムノカリキウムの形態学
Nyffeler(2005)が説明したBCT clade(※1)の祖先分類群は、おそらくbarrel cacti(Ferocactus, Echinocactus)でした。BCT cladeのGymnocalycium属の祖先は、おそらく樽状(Barrel)の生長形態か球状で単独の生長形態であることが示唆されます。G. saglionisはこの属唯一の樽状生長形態を持つ種であり、おそらくはGymnocalycium属の祖先に似ています。他の種はサイズが徐々に縮小し、球状となる傾向を示します。円柱状あるいは樽状のサボテンの分布は低温により厳しく制限されていますが、球状のサボテンは寒さに強いようです。Gymnocalycium属のサイズが小さくなったのは、温暖な気候からより涼しい条件下へ適応した結果かも知れません。
かぶら状の根は水とデンプンの貯蔵に関係しています。かぶら状の根は高度の脱水に耐える能力があり、干ばつ時の水分損失を防ぎます。特にTrichomosemineum亜属とGymnocalycium亜属は、独特な多肉質の根を発達させる傾向があります。
基底系統であるMicrosemineum亜属、Pirisemineum亜属、Muscosemineum亜属は種子が小さく、果実はジューシーで色鮮やかです。この特徴は、endozoochory(※2)と関連があります。Macrosemineum亜属、Trichomosemineum亜属、Gymnocalycium亜属は乾燥した緑色の果実を持ち、これはアリ散布(myrmecochory)と関連があります。また、これらのグループは種子が大きいものもありますが、このような種子は散布されにくいものの発芽など活発な苗木を生み出す可能性があります。

※1 ) BCT caldeは、主に柱サボテンからなる巨大なグループです。UebelmanniaやCereus、BrowningiaなどからなるCereeaeと、EchinopsisやHarrisia、Oreocereus、Matucana、GymnocalyciumなどからなるTrichocereeaeからなります。

※2 ) endozoochoryとは、果実が動物に食べられて体内で種子が運搬されること。被食散布される。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
注意事項としては、各亜属に書かれた学名は、論文が書かれた2011年当時のものであるため現在とは異なる部分があるかもしれません。また、書かれた学名は研究に用いた種を指しているだけで、すべての種を調査しているわけではありません。
さて、一応はギムノカリキウム属内の分類が科学的になされたわけですが、論文がやや古いためより精度の高い解析が望まれます。今回は割愛しましたが、論文では種ごとの関係まで解析されています。ただし、特にGymnocalycium亜属などは種ごとの関係性はあまり上手く解析出来ていないようです。おそらく、分散しながら急速に進化したため、既存の方法では上手くいかないのでしょう。さらなる研究が待たれます。


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昨日に引き続き夢の島熱帯植物館へ行った話です。昨日は公園内と植物館の外をぶらついただけでした。今回からいよいよ温室内に入ります。夢の島熱帯植物館はゴミ焼却で発生した熱で温室を加温している施設ですから、温室がメインとなります。

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シェフレラに沢山の蕾がついていました。シェフレラは野外で地植えされることもあるくらい丈夫ですが、花はなかなか見る機会がありません。そういえば、一般的にシェフレラ(Schefflera)と呼ばれていますが、最近シェフレラ属ではなくなったので和名のヤドリフカノキと呼ぶべきなのでしょうか? 昔はホンコンカポックなんて呼んでいましたが、カポックは複数の植物を指しているのであまり良い名前ではなさそうです。ちなみに、Heptapleurum arboricolaが現在の学名です。
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こちらの枝は開花中でした。しかし、地味な花です。地味な花は風媒花と相場が決まっていますが、花粉を量産するような花には見えないので、虫媒花なのでしょう。花粉媒介者にどのようにアピールしているのでしょうか?

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入口に壁掛けのビカクシダ。植物園ではこのサイズは珍しくありません。

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入口前の通路は早くもクリスマス仕様。

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温室に入るとまず鮮やかな赤い花が目に入ります。ヤクチ(Alpinia oxyphylla)とありましたが、レッドジンジャー(Alpinia purpurata)に見えます。

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フウリンブッソウゲ Hibiscus schizopetalus
フウリンブッソウゲが咲いていました。新宿御苑でも見ましたが、実に装飾的な花です。

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斑入りのアスプレニウム。
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芸術的な模様です。

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インドボダイジュ(印度菩提樹) Ficus religiosa
仏教三聖樹の1つ。仏陀がインドボダイジュの下で悟りを開いたとされています。
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インドボダイジュはこの長い滴下尖端が特徴です。

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ムユウジュ(無憂樹) Saraca indica
仏陀三聖樹の1つ。釈迦の生誕に関わる樹。

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サラノキ Shorea robusta
いわゆる沙羅双樹で、仏陀三大聖樹の1つ。仏陀の入滅に関わる樹。サラノキは初めて見ました。日本の寺院ではナツツバキをサラノキとして植えることが多いと説明に書いてありました。
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樹皮が割れています。コルクが発達しているのでしょうか?

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Holmskioldia tettensis
この淡い花弁のようなものは萼で、本来は紫色の花弁がついています。散った後なのかこれから咲くのかはよく分かりません。タヒチアンハットなどと呼ばれているそうです。ちなみに、現在はKaromia属とされているようです。

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滝がある池の景観。

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タイリンヒメフヨウ Malvaviscus penduliflorus
タイリンヒメフヨウが沢山咲いていました。「フヨウ」と付きますが、Hibiscusではありません。
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下向きで開ききらない面白い花です。

夢の島熱帯植物館はまだ温室に入ったばかりです。仏教三聖樹が並べてあった様に、夢の島熱帯植物館では関係する植物がまとめて植えてある場合もあるようです。おそらく、私が気が付かないものもあったかも知れません。さて、夢の島熱帯植物館の記事はまだまだ続きます。


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12月は何もやることがないのですが、最後に植物園に行こうと思い立ちました。今年最後のイベントになりそうですが、季節的に温室内が良いだろうということで、夢の島熱帯植物館に決まりました。この季節に野外の植物は落葉しているものも多く、花や果実を見ることは出来そうにありませんからね。
さて、というわけで新木場駅から徒歩で夢の島熱帯植物館へ向かいました。陽射しが強く日中は暖かいくらいでしたね。

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公園内は沢山の樹木が植えられていましたが、ユーカリらしき樹木があちらこちらにありました。花的にこれもユーカリっぽいですね。

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巨大なカナリーヤシが何本かありました。
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こちらの個体は気根が多く、何やらモサモサした見た目です。

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お馴染みのアオノリュウゼツラン。

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何気なく低木がありますが、花が咲いています。
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これは、まさかのCallistemon。こんな低木状に育つのは予想外でした。

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ハナシュクシャ(ジンジャーリリー、Hedychium)らしき花が沢山咲いていました。

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ここまでは公園内の植栽でした。いよいよ、夢の島熱帯植物館に到着です。

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ハロウィンの名残で巨大カボチャが沢山。
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色も形も様々。

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こちらは花で作ったカボチャの壁画。ベゴニアとトウガラシとマリーゴールドでしょうか?

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ここにもアオノリュウゼツラン。
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何回か花茎が伸びているところは見ていますが、開花のタイミングには上手く合いませんね。
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見上げる高さです。

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ソテツ Cycas revoluta
ソテツはまあまあ良いサイズ。
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開花の跡があります。

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Stenocarpus sinuatus
ニューギニアとオーストラリア原産のヤマモガシ科植物。不思議な花をつけますが、流石に季節外れでした。
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装飾的な葉が美しいですね。

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Opuntia ficus-indica
果実を食用とするために世界中に移植されたウチワサボテンです。食用以外にも利用出来ないか色々と研究されています。

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Aloe arborescens
いわゆるキダチアロエですが、地植えだと大群落を作りがちです。
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開花はまだみたいです

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鬼面角 Cereus peruvianus
鬼面角は外栽培でも越冬出来るみたいですね。しかし、C. peruvianusは難のある名前で、Cereus repandusとStenocereus griseusの異名です。鬼面角はC. repandusの方ですね。
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アップにするとこんな感じ。

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名札がありませんが、Agave angustifoliaでしょうか。

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Dioon edule
エドゥレは非常に生長が遅いソテツで、このサイズでもそれなりの年齢のはずです。非常に美しい葉を持ちます。しかし、外栽培というか戸外に地植えでも平気なもんですね。
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古いコーンがまだ残っています。

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Melaleuca bracteata
こちらもオーストラリア原産のフトモモ科植物ですから、ブラシノキのような花が咲きます。
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繊細な葉が美しいですね。

恐ろしいことに、まだ温室には入っていません。ということで次回からが本番です。写真を撮りまくったので、夢の島熱帯植物館の記事はしばらく不定期で続ける予定です。


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今年は植物園にあちこち行く予定でしたが、思ったより忙しく板橋区立熱帯環境植物館と筑波実験植物園、それと新宿御苑にしか行けませんでした。もっとバリバリ回る予定でしたから、何だかガッカリです。12月はこれと言ったイベントも無さそうですから、少しのんびりします。というわけで、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。なんとなく、Euphorbia decaryiグループを取り上げてみました。


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Euphorbia ambovombensis
古参のアンボボンベンシス。何故か花は咲きません。アンボボンベンシスはやや厚みのある葉の縁が少し縮れます。

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Euphorbia ambovombensis
こちらは「suzannae-marnierae」の名前で入手したものです。日本国内で販売されるスザンナエ-マルニエラエは、実はアンボボンベンシスというパターンが多いようです。ウェブ上でもスザンナエ-マルニエラエはアンボボンベンシスらしきものばかりでしたが、最近は本物らしきものも見かけるようになってきました。

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Euphorbia suzannae-marnierae
こちらが本来のスザンナエ-マルニエラエです。葉が細長く葉縁の縮れもより繊細なようです。

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Euphorbia waringiae
ワリンギアエは非常に葉が細長く葉の幅が均一です。幹の毛羽立ちも激しいですね。

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Euphorbia cap-saintemariensis
カプサインテマリエンシスは最近やたらに見かけるようになりました。葉は分厚く縮れは激しくEuphorbia boiteauiに似ていますが、幹が立ち上がる性質が強いようです。

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Euphorbia boiteaui
挿し木のボイテアウイです。挿し木のボイテアウイは地下茎が暴れがちになりますが、意図的に地下茎を切除して育てています。そういえば、ボイテアウイは一般的にはEuphorbia decaryiの名前で流通していました。現在、Euphorbia decaryiとはEuphorbia francoisiiと呼ばれていた花キリンを指す名前です。

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Euphorbia boiteaui
ボイテアウイの実生苗ですが、未だに少し珍しい部類です。挿し木がしやすいせいか、以前は挿し木苗しか流通していませんでした。流通している挿し木と異なり葉が小さいようですが、この違いが実生と挿し木の違いなのか、産地の違いなどによる個体差なのかは分かりません。

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Euphorbia decaryi
いわゆるEuphorbia francoisiiと呼ばれる花キリンです。交配が繰り返されて様々なタイプが生み出されており、原種がどのようなものかよく分かりません。このデカリイも、どのような交配の結果かは不明です。

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Euphorbia crassicaulis
クラシカウリスはフランコイシイの変種とされてきましたが、現在は独立種とされています。こちらもやはり交配が繰り返されており、このタイプが原種にあたるのかは分かりません。この個体は枝分かれしやすいようです。


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気がつけばもう12月になってしまいます。多肉植物はシーズンオフですね。我が家の多肉植物たちは、冬の間に室内なので中には多少生長するものもありますが、やはり本来の生長期の勢いはありません。今月は多肉植物を室内に取り込むのにバタバタしましたが、取り込んでしまえば暇なものです。12月は何もすることがありません。

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Euphorbia millotii
ミロティイの葉がすべて落ちました。のっぺりした幹だけだと実に妙な雰囲気です。

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Euphorbia heterodoxa
ヘテロドクサが結実しました。どうやら自家受粉したようです。

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Euphorbia ramena
ラメナが開花しています。去年も冬に咲いていたような気がします。

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Tylecodon buchholzianus
コンパクトな樹形のブクホルジアヌスに葉が出てきました。我が家では珍しい冬型の多肉植物です。何故か葉が出ないという話も聞きますが、何が違うのでしょうか? 確かに去年は冬の間も葉が出ませんでした。

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Euphorbia delphinensis
デルフィネンシスが開花しています。まあ、デルフィネンシスは一年中咲いていますけどね。

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Poutulacaria namaquensis
ナマクアエンシスはまだ生長が止まりません。ナマクアエンシスは10℃以下になっても平気で、冬の間も生長を続けます。



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アロエと言えば、美容関係や食品関係で使われるキダチアロエ(Aloe arborescens)やアロエ・ベラ(Aloe vera)が有名ですが、知られていないだけで実はアロエは数百種類もあると言われています。サイズも数cmから十数mと、かなりの幅があります。しかし近年、アロエ属から樹木状のアロエ(Aloidendron)や叢生するアロエ(Aloiampelos)、葉が二列性のアロエ(Kumara)、三列性のアロエ(Gonialoe)、ハウォルチア様のアロエ(Aristaloe)が分離されました。本日は樹木状のアロエ、つまりはアロイデンドロンの話です。
アロイデンドロンは南アフリカに育つディコトムム(Aloidendron dichotomum)が有名です。Aloe dichotomaといった方が、馴染みがあるかも知れません。アロイデンドロン以外にも大型になるアロエは他にもありますが、基本的に単幹で枝分かれせず、頭でっかちな外見となります。しかし、アロイデンドロンは枝の分岐を繰り返して樹冠を作り、樹木状の外見に育ちます。
さて、本日はアロイデンドロンの中でもAloidendron pillansiiについて書かれたColin C. Walkerの2024年の論文、『Aloidendron pillansii (L. Guthrie) Klopper & Gideon F. Sm. - a review of a Critically Endangered southern African tree aloe』を見てみましょう。

ピランシーの発見
Aloe pillansiiは、1928年にGuthrieにより記載されましたが、図解はありませんでした。ピランシーという名前は、南アフリカの著名な植物学者であるNeville Pillansにちなんで命名されました。A. pillansiiはPillansが1924年と1926年に行われたRichtersveld遠征で発見された種の1つです。Guthrieはその分布を、「南アフリカ、Little Namaqualand、Anisfonteinの南西、頂上が平らな丘の西斜面に豊富」としています。GuthrieはA. dichotomaと比較し、枝分かれがまばらで葉が大きく広がり、花序が散在し、雌しべがあまり突き出していないとしました。
Pillansは1935年に以下のように記述しています。「A. pillansiiは1926年10月にNamaqualandのRichtersveldのAnisfonteinの丘で発見されました。当時、ほとんどの植物はカナリア色の円錐花序をつけており、sugarbirdが訪れていました。この種はAnisfonteinからオレンジ川のSendlings Drift付近まで北に広がる狭い地域にのみ生息します。A. dichotoma(Kokerboom)とは、主幹に比べて枝が太く直立し、はるかに幅が広い葉で簡単に区別出来ます。高さ30フィートの植物は珍しくなく、最近少なくとも60フィート(≒18m)の植物の目撃情報があります。」

アロイデンドロンの誕生
2002年にZonneveldは 核DNA量の類似を根拠に、ディコトマの亜種、つまりA. dichotoma subsp. pillansiiとしました。
2013年にDuraらはアロエ属の遺伝子解析による分子系統を行い、A. tongaensis以外の樹木状アロエの系統関係が特定されました。アロエの系統樹でアロイデンドロンは基底群で、アロエの仲間では古い系統であり、A. pillansiiを含む樹木アロエは他のアロエとは異なる系統群を形成しました。この根拠に基づき、2013年にGraceらは6種類の樹木アロエをAloidendron Klopper & Gideon F. Smに分離しました。
2015年にVan Jaasveld & Juddによるアロイデンドロンに関する著作により、Kumara plicatilis(Aloe plicatilis)とともに扱われましたが、これはアロイデンドロンと必ずしも近縁ではありませんでした。

ピランシーの生息域
ピランシーの生息域はPillansが説明したように狭いのですが、ナミビア南部にも分布することが分かりました。3つの亜集団があり、1つはナミビアのRosh Pinah周辺、2つ目はRichtersveldの中央、3つ目はRichtersveld南部のEksteenfontein周辺です。ピランシーの分布に影響を与えている要因は、冬に霧の形で降水があることです。
2022年にSwartらは、ピランシーの生息地と生態についての特徴を要約しています。1〜345株の植物が単独で、あるいは局所的に豊富な小さなグループで発生します。通常はドロマイト、頁岩、砂岩、花崗岩などの様々な地層の露出した岩の多い地形で見つかります。地形は山の斜面から平地まで様々ですが、植物の大部分は東または西に面した斜面に生えます。降水量は年間50〜100mmですが、21世紀の干ばつにより一部の地域では雨が降りません。花は春(10月)に開花し、主にsugarbirdにより受粉しますが、他の鳥や蜂も関与している可能性があります。夏に果実は熟し種子が散布されます。だだし、干ばつの時期には開花しません。ピランシーは夏の気温が50℃を超えることもある厳しい環境に生息するため、耐熱性が顕著です。

ピランシーの減少
MidgleyはCornell's Kopにおけるピランシーの減少について考察しました。Reynoldsが1950年に出版した「The Aloes of South Africa」に記載された1950年以前に撮影された写真と、1997年当時の写真を比較しました。結果、「古い個体の減少と、新しい個体の欠如」が認められました。
2003年にLoots & Mannheimerはナミビアのピランシーの状況を調査しました。5つの集団で1500を超える植物を数えました。これらのうち、最大の集団は近くの採鉱が原因となり状態が悪いことが分かりました。また、すべての集団で新規植物の加入率が低いことが分かりました。
さらなるデータと評価は、Bolusら(2004)やDuncanら(2005, 2006)、Powell(2005)、Swart & Hoffman(2013)により提供されました。2022年にSwartらは、野生のA. pillansiiの状況に関する包括的な評価を行いました。
1, 3つの亜個体群があり、それぞれ気候と生息地の特性が異なります。
2, 野生の個体群の総数は5935個体以上、9000個体未満であることが確認されています。
3, ナミビア南部の北部亜集団の個体群は老化しています。密度が最も高く、個体群全体の46%が生息しています。苗木はなく、幼木もほとんどありません。
4, 中央の亜集団の個体群は約16%を占め、主にRichtersveld国境保護区内及び郊外に分布しています。最も密度が低い亜集団です。
5, 南部の亜集団の個体群は、約38%を占めています。

レッドリストの評価
上記のデータに基づき、Swartら(2022)はIUCNレッドリストで、A. pillansiiを絶滅危惧IA類(CR)としました。Swartらは以下のような脅威を特定しました。
1, 園芸取り引きのための違法な採取の結果として、中央亜集団の減少が報告されています。
2, 北部及び中央亜集団で、採掘活動により生息地の喪失と劣化が進行中です。砂の投棄や砂の採掘による二次的影響は、今後50年間に増加が予想されます。
3, 21世紀の極端な干ばつにより、個体数は減少しています。人為的な気候変動の影響は、現在及び将来的な主たる脅威であると考えられます。
4, 利用可能な餌不足により、ヒヒによる草食が大幅に増加し、特に南部の亜集団で深刻で、2015年から2020年の高い死亡率につながりました。

ワシントン条約(CITES)による規定では、ピランシーは付属書Iに掲載されています。ちなみに、付属書Iに掲載された南アフリカのアロエはわずか4種類です。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
論文では発見の経緯から分類や命名の変遷、自生地、生態など、多くの過去の研究による知見が上手くまとめられています。大変、勉強になりますね。しかし、どうやらピランシーは大変な希少種のようで、そもそもの分布が狭く数も少ない上、開発や環境変動によりダメージを受け、新しい個体が育っていないようです。新規加入がなければジリ貧ですから、ピランシーの将来は厳しいと言わざる得ないでしょう。何もできないことがもどかしくはありますが、簡単な解決策もないのが現状です。ピランシーが野生絶滅する前に、有効な保護がなされることを願っております。


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いよいよ寒くなって来ました。多肉植物たちを慌てて室内へ取り込んでいますが、とりあえずパキポディウムとユーフォルビア、あとアロエだけはなんとか終わりました。他はまあぼちぼちやるつもりです。まあ、本当に室内に入れただけで、床に並べただけですけどね。混乱している様子をお伝えします。

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柱サボテン状のユーフォルビアや花キリン。

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5号鉢以上の多肉植物たち。

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Pencil Stemのユーフォルビアなど。

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アロエたち。

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とりあえず、適当にメタルラックに収納。並びは後で考えます。

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こちらも同様。取り敢えずこれ以上は寒さに当てたくないというだけです。

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10号鉢のPachypodium densiflorum。部屋が片付かないと置く場所がありません。取り敢えず玄関で待機。そういえば、同じ10号鉢に植えたZamia furfuraceaを忘れていました。こちらもどうにもしなければ…


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鶴仙園のイベントも終え、今年最後のBBも無事参加出来ました。しかし、多肉植物の室内への取り込みが遅れに遅れ、もう11月も終わりだと言うのにバタバタ慌てて取り込んでいます。そろそろ氷点下になる可能性もありますからね。

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花キリンと柱サボテン状のユーフォルビア。

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ユーフォルビア普及種。

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ユーフォルビアその他。
恐ろしいことにまだユーフォルビアあるんですよね。 しかし、これで9割方は片付いたはず。しかし、ユーフォルビア以外はまったく片付いていない恐怖…

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こちらはプレステラ120に入らない、5号鉢以上の連中。とりあえず、集めて並べただけ。

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パキプスはおかしな形に育ちましたが、このロングポット植えは灌木系には最適です。今年もよく育ちました。
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写真だとわかりにくいのですが、ポットはかなり変形しており、パワータンクの発達が見て取れます。しかし、ロングポットで塊根が底まで到達しているわけですが、これ以上深い鉢はややナンセンスな気がします。パワータンクを外したり切断はしたくないわけで、さてどうしようかといったところです。ユーフォルビアの塊根よろしく地上に出してしまうのも手ですかね。しかし、パキプスでは一般的に何故か塊根そのものを露出させないのは不思議です。パワータンクを露出させると育ちが悪くなるとか何かあるのでしょうか? パキプスを塊根刺しで増やすことはよくやられていますから、特に問題は無さそうですけど。

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Pachypodium brevicaule
ブレヴィカウレは絶好調で、プレステラ90ではもう窮屈そうです。冷え込むようになったこの時期まで室外に出していましたが、葉は結構残りましたね。

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Pachypodium rutenbergianum
ルテンベルギアヌムは葉がだいぶ落ちましたが、今年の生長は良好でした。来年は枝を切って枝を増やしていきます。マダガスカルのパキポディウムはあまり枝を剪定しませんが、現地球ならともかく苗木ならそれもアリだと思うわけですけどどうでしょうか?

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Pachypodium enigmaticum
エニグマティクムはなかなか饅頭形態から進みません。エニグマティクムは偽物も流通したことがあるそうですが、花が咲かないと判別出来ません。早いところその大型の花を拝みたいところです。

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Pachypodium drakei
ロスラツムに吸収されてしまったドラケイですが、ロスラツムより全体的に長細く育ちます。しかし、今年は花が咲きませんでしたね。残念。


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いよいよ、待ちに待ったビッグバザールです。開催場所も五反田TOCに戻り、行きやすくなりました。先週、鶴仙園でハウォルチアのイベントがありかなり散財しましたから、やや懐が心許ない感じではあります。しかし、まあBBは今回で16回目の参加です。参加するだけ参加して、会場の様子をレポートすることにしましょう。

本日はよく晴れて、歩いていると汗ばむ陽気でした。いつものように開場後に到着しましたが、別の部屋にある待機列がまだ捌けていなくて驚きました。そのまま10分ほど並んで待ちましたから、今回のBBは大入りでしたね。多肉植物ブームはまだまだ続きそうです。

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TOCビルもクリスマス仕様です。

さて、今回のBBの傾向ですが、よく分かりません。広い角部屋で、2部屋分あります。あまりに広く出店が多く、多肉植物もあまりに多様で目が回ってしまいました。相変わらずアガヴェやハウォルチアの専門店が複数あり、サボテンもかなりありました。私の好きなギムノカリキウムも沢山ありましたね。コーデックスも豊富で、海外からの出店では立派な抜き苗もあちらこちらにありました。

個人的にはユーフォルビアとアロエばかり集めていたので、今回は買わないと決めていました。しかし、ユーフォルビアはかなり豊富でついつい目に入ってしまいますが、心を鬼にして耐えました。
今回も引き続きアデニアを中心に見ていくつもりでしたが、2種入手してとりあえずは満足です。1つはグランカクタスの小さな実生苗、もう1つはSP園芸の大きなアデニアです。
次に気になったのは、ラフレシアリサーチのソテツ苗です。ラフレシアリサーチはたまにソテツ苗を持ってきますが、今回は沢山持ってきていましたね。ここで1鉢購入。
最後にアガヴェを探しました。アガヴェは集めておらず、今後集める予定はありませんが、今年出た論文を記事にしたこともあり少し気になっていました。論文では、アガヴェの一部をEchinoagaveとして分離し新属を提唱しています。まだ、新属は発表されたばかりですから認められるかは分かりませんが、個人的には来年あたりに承認されるような気がします。というわけで、Echinoagaveとされるアガヴェを探しましたが、BBのアガヴェはみな同じようなものばかりで、イマイチ多様性がありませんね。強刺がほとんどで、覆輪がそれなりにといったところでしょうか? 探しましたがEchinoagaveに相当するアガヴェは3店舗で3種類だけでした。小さな内から育てたいので、もっとも小さい鉢をカクタスブライトにて購入。
会場を2周して帰ろうとしましたが、入口で面白いものがありました。配置図に載っていないお店でしたが、「メキシコのカラスウリ」なる塊根植物がありました。面白いので購入。また、結構立派な吹上(Agave striata=Echinoagave striata)もありました。

さて、いよいよお待ちかねの購入品のご紹介です。
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アデニア ベネナータ
こちらはグランカクタスのアデニア。Adenia venenataですね。原産地はアフリカ中央部を横断して、アフリカの角からサウジアラビアまでと広大。可愛らしいサイズですね。

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Adenia stylosa
何やらボコボコした塊茎が面白いですね。一回りして戻ったらボコボコ具合が激しいやつが消えていました。BBでは即決しないと直ぐに売れてしまいます。マダガスカル原産。かなり大柄なアデニアです。
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「紅葉西番蓮」なる表記がありましたが、この怪し気な葉色と葉の形から来ているのでしょうか?
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ボコボコしています。

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Cycas cairnsiana
これは青いソテツとして有名なカイルンシアナの苗です。まだ、種子がついていますね。オーストラリア原産。

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Agave albopilosa
エキノアガヴェが提唱されていますから、気になって1種類入手しておこうということになりました。果たしてEchinoagave albopilosaに変更されるのでしょうか? 2007年に記載された新種。メキシコ原産。

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Ibervillea tenuisecta
非常に可愛らしい実をつけるウリ科の塊根植物です。塊根は巨大に育つそうです。そういえば、「メキシコのカラスウリ」と書いてありました。まあ、イベルヴィレアですから、正確にはカラスウリではないわけですけどね。

というわけで、2024年11月のサボテン・多肉植物のビッグバザールでした。懐具合が怪しいなどと言っておきながら、随分と盛大に買ってしまいました。特にカイルンシアナは奮発しないと買えないお値段でしたから、散財具合はなかなかのものでした。多肉植物の室外への取り込みも終わっていないのに、イベントばかり行っているのは反省しています。まあ、しかし終わりよければすべて良し。自身、16度目のBBを十二分に堪能しました。来年までしばらくはこれと言ったイベントも無さそうから、それまでに懐を温めておきます。


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相変わらず多肉植物の室温への取り込みをしています。しかし、なかなか時間が取れずまだ半分も取り込んでいません。来週には最低気温が2℃との予報ですから、流石になんとかしないと不味いですよね。
そういえば、ライブドアブログのアプリが機能不全に陥って、ついに1ヶ月になろうというところですが、ようやく復旧した模様です。私は移動中に記事を書くため、コード入力しながらの記事作成は非常に煩雑で時間がかかりました。記事をアップする頻度を下げてなんとか継続していましたが、来週から本来のペースに戻ります(たぶん)。
まあ、そんなこんなで、悲喜こもごもありつつも、本日も我が家の多肉植物たちをご紹介しましょう。

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今回の室内への取り込み第一弾はユーフォルビア。

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こちらもユーフォルビア。

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主にユーフォルビア。恐ろしいことにまだユーフォルビアはまだまだありますが、本日はここまで。この調子だと11月中に終わるのか怪しいですね。最近の冷え込みを考えると大丈夫なのかはわかりませんが…

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Euphorbia tortirama
トルティラマは枝が捻れる塊根性ユーフォルビアです。今年は枝がよく出て綺麗な仕上がりです。

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Euphorbia hedyotoides
ヘディオトイデスは1年で驚くほど生長しました。去年は枝分かれしていなかったわけですから、正に急成長です。

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Euphorbia globosa
グロボサは少し徒長してしまいました。しかし、同時期に出てきた球の中で、1本だけ徒長した理由は不明です。
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相変わらず花が咲き続けています。
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奇妙な花が多いユーフォルビアの中でも、グロボサの花は特に面白い形状です。

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Euphorbia robecchii
ロベキイは目立った生長がありません。入手1年目はまったく動かずでしたが、植え替えたら貧弱だった根はよく発達していました。
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よく見たら、生長点が十字になっています。いよいよribが増え始めているようです。

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Gymnocalycium ferocior
フェロキオル(フェロシオール)は、相変わらず良いトゲが出ていますね。そういえば、一昨年の10月に鶴仙園で小苗を入手しましたが、もうプレステラ90では少し窮屈そうです。凄まじい生長を見せてくれました。
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2022年10月の姿。まだ初々しいですね。



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先日、オザキフラワーパークにてCycas debaoensisを購入しました。以前から、BBでラフレシアリサーチさんがたまに持ってきていたのは知っていたのですが、他に欲しい多肉植物が沢山あったので購入は見送ってきました。しかし、10月にヨネヤマプランテイションのイベントでC. debaoensisが沢山並んでいるのを見て、どうにも気になるものの、悩んだ挙げ句、結局は購入しませんでした。しかししかし、ついにオザキフラワーパークで我慢出来ませんでした。というわけで、早速情報を集めてみましたが、あまり有用そうな情報は見当たりませんでした。そこで、C. debaoensisの論文を漁って見ることにしました。
ということで、本日はLUO Wenhuaらの2014年の論文、『Ex situ conservation of Cycas debaoensis: a rare and endangered plant』をご紹介します。何とこの論文は中国語で書かれたものです。というか、C. debaoensisが中国原産のためか、中国語の論文がほとんどでした。漢字だと『珍稀瀕危植物徳保蘇鉄迁地保护研究』ですかね? 本文は簡体字ですがよくわからないので、これで合ってるかは不明です。ちなみに、中国語はわからないので、機械翻訳ですから内容に関してはやや不安ではあります。

中国のソテツ
中国にはCycas属のソテツが38種類あります。いずれも、国家第一級重点保護野生植物に指定されています。C. debaoensisは広西チワン族自治区南部に自生する中国の固有種で、二分性で羽状に分かれた美しい葉を持ち高い装飾性があります。深刻な人為的介入や密猟により、その野生個体の数は大幅に減少しており、保護のための効果的な対策が喫緊となっています。

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Cycas debaoensis

C. debaoensisの故郷
C. debaoensisの原産地は、広西チワン族自治区徳宝県から約30km離れた福平郷福平村近くの石灰岩の斜面です。分布地域は南亜熱帯モンスーン気候に属し、年間平均気温19.5℃、最低気温マイナス2.6℃、最高気温37.0℃です。年間降水量は1461mmで、夏と秋に集中し、冬と春は乾季となります。土壌は石灰岩が風化して出来た土壌で、中性から弱アルカリ性を示します。森林は近隣の村人が放牧や薪の伐採に利用しており、植生は二次的な矮性低木が優勢で、C. debaoensisは植生の中では優勢な種の1つです。植生は乾生性の低木と草本で、樹種の多様性は小さいようです。
生息域外保護区として、桂林市の南の郊外、燕山鎮にある桂林植物園内にもあります。中部亜熱帯モンスーン気候に属し、年間平均気温は19.2℃、最も寒い1月の平均気温は8.4℃、最も暑い7月の平均気温は28.4℃でした。また、最高気温は40℃になり、冬には霜が降りることもあります。土壌はpH4.7〜5.6の酸性の赤土からなります。

最適な種子の保管方法
2010年に広西チワン族自治区徳宝県福平郷上平屯の野生ソテツ個体群から、200個を超える選別した種子を収集しました。収集した種子は外皮を剥ぎ、5% 過マンガン酸カリウム溶液で消毒し、水洗いしました。
C. debaoensisの種子は成熟しても胚は完全に発達しておらず後熟し、約6ヶ月休眠します。種子は①乾燥(常温)、②冷蔵(5℃)、③湿った砂の3条件で6ヶ月以上保管し、70%遮光下で温室内の苗床に播種しました。
①種子を常温保管した場合、保管期間が90日以内ならば発芽率に差は見られず、120日を超えると発芽率は約50%に低下しました。
②種子を冷蔵保管した場合、保管期間が90日以内ならば発芽率に差は見られず、120日を超えると発芽率は約60%に低下しました。
③種子を湿った砂に保管した場合、保管期間が150日以内ならば発芽率に差は見られず、発芽率は約80%でした。

C. debaoensisの生長
C. debaoensisの生長は遅く、現地調査では何十年も育った植物でも、茎は高さ50cmに満たないことが分かっています。栽培された8年生植物の高さの平均は15.2cm、直径の平均は17.2cmで、高さの年平均生長は1.9cmです。草丈と直径の生長のピークは樹齢4年目から6年目で、年平均生長は高さ3.0cm、幅3.8cmでした。その後の生長は鈍化します。
樹齢8年生のC. debaoensisは、一株あたりの葉の数は平均8枚で、葉の長さは平均302.6cmでした。小葉の長さは平均26.3cmで、枚数の平均は740枚でした。
桂林植物園のC. debaoensisでは、新芽が5〜6月、まれに7月に出ます。新芽の展開には約40日かかります。9月に花が咲き始め、11月中旬から下旬に果実は成熟します。また、原産地と比べると、開花期は1〜2ヶ月遅れ、種子の成熟期は1ヶ月遅れます。これは、場所による積算温度の違いが関係している可能性があります。

C. debaoensisの適応性
C. debaoensisは湿潤な環境に適していますが、乾燥耐性が高く乾燥した石灰岩の環境でもよく育ちます。土壌適応力が高く酸性土壌の桂林植物園でも正常に育ちます。桂林植物園においても開花・結実し、生育や葉色も原産地より優れています。C. debaoensisは耐寒性もあり、マイナス3℃〜マイナス1℃の低温下でも目立った凍害は発生しませんでした。

C. debaoensisの受粉
C. debaoensisの雄花の成熟期は雌花より5〜10日早いため、人工受粉を利用した方が結実量を増やすことが出来ます。雄花が成熟したら花粉を袋に集め、4℃前後の冷蔵庫で保管します。雌花が成熟したら、花粉を取り出し室温に10分以上放置した後に、ブラシで人工受粉します。人工受粉では1株の植物から生産される種子は、250個を超えることもあり、野生の植物より40%以上も多くなります。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
近年、にわかに流通し始めたCycas debaoensisという蘇鉄の原産地の情報や育て方、増やし方などについての論文でした。原産地では希少な植物のようで、中国では国家により保護されているようです。希少種であるからには、原産地や生態を詳しく調査するのは当たり前のことですが、ここでは一歩進んで人工受粉や種子の保管についても言及しています。原産地の保護と繁殖方法の確立、さらには地域の人々に対し保護について説明し理解してもらい、場合によっては協力していただければ最良です。まあ、ここまで行くにはかなりの時間と手間がかかりますから、簡単にはいかないでしょう。しかし、この論文のような研究は種の保護に対する端緒としてとても重要なものです。
「原産地や生態を詳しく調査するのは当たり前のことですが」などと調子の良いことを言いましたが、残念ながら植物は動物と比較すると人気がなく、予算すらまともに下りず、絶滅危惧種であっても調査すらされていない場合が多いのが現状です。この植物を軽視する傾向は、植物の自生地の破壊や絶滅に拍車をかけていますが、改善される見込みはありません。莫大な予算が下りている大型哺乳類であっても、生息する環境に植物がなければ存続出来ないことは明らかです。種単体ではなく、生態や環境を含んだ総合的な保護が必要とされているのではないでしょうか。


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多肉植物を室温に取り込まなければならないのですが、なかなか進みません。困りましたね。記事を書く時間もとれない有様ですが、本日もなんとか我が家の多肉植物たちをご紹介します。

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Euphorbia sepulta
セプルタは非常によく生長しました。ソマリアものですし、非常に心許ないサイズでしたから、割と気を使って様子を見ながら育てていました。しかし、意外と丈夫で根の張りも良好です。

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Euphorbia cuneata var. pumilans
クネアタ変種プミランスはこの前の木更津C&Sで入手したばかりですが、生長が止まりません。

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Adenia stenodactyla
ステノダクティラがつるを一気に伸ばしました。
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アデニアと言えば、このような装飾的な美しい葉が特徴です。
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本来は地中に埋まった塊根から、つるを伸ばすタイプ。

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Adenia goetzei
ゴエトゼイ(ゴエツィー)は今頃になって秋の生長を開始しました。秋というには遅い気もしますが…

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Commiphora pseudopaolii
プセウドパオリイが生長しています。コミフォラは初めてですから、これからが楽しみです。


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久しぶりに鶴仙園へ行って参りました。西武池袋本店、ではなくて今はヨドブルーム(ヨドバシカメラ)になった方のお店です。来るのは夏以来のですね。夏に行った時は隣にあった観葉植物のお店が空になっており、店員さんに聞いたところ、隣のスペースも鶴仙園になって広くなるということでした。涼しくなってきて出掛けるには良い日和ですし、広くなった店内も気になりますからそろそろとは思っていました。しかし、去年の今頃に鶴仙園のイベントがあったので、今年もやるならイベントの日程に合わせて行こうということになりました。

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山口県からPlant's Workさんが、土日に「FEHN」というコラボイベントを開催しています。今年で3回目ですね。私は毎度参加しています。FEHN、これはFar East Haworthia Networkの略だそうで、毎度沢山のハウォルチアが陳列されます。本日も朝10時から開催されていますから、皆様も是非ご参加下さい。

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店舗が拡大して広くなりました。

さて、昨日は金曜日の怪しい天気が嘘のように、明るくなりました。さて、夏以来の鶴仙園はどう変わったでしょうか?
開店から少し経ってから到着しましたが、大変な賑わいでした。お店が広くなったため、イベント品もいつもより沢山あったような気がします。今年はアストロロバはありませんでしたが、硬葉系ハウォルチアはかなりの量がありました。正直、目移りしてしまい、あれも欲しいこれも欲しい状態で困ってしまいました。H. nigraやH. scabraの変種や品種、大型・小型、産地による外見の大きな違いなど、これはもうたまりませんね。そういえば、驚いたことにH. bruynsiiが売っていましたが、私も初めて見ました。ネットで調べると何だか軟葉系みたいで一緒に並んでると区別つかないような気がしていましたが、実際に見てみるとかなり特徴的でぱっと見で区別出来ますね。なるほどなあと、感嘆してしまいました。まあ、かなりお高いので今回はパスしました。H. bruynsiiは持っていないので欲しかったのですが、来週はBBがありますからね。我慢我慢。ちなみに、きらびやかな軟葉系はまったくわからないので、特にコメントはありません。ものすごく沢山あったくらいの感想です。いや、尋常ではない量がありましたが。
さて、というわけで、本日の購入品です。いやはや、買い過ぎました。明らかに予算オーバーです。しかし、これでも絞りに絞った結果なんですけどね。

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包装紙も西武から鶴仙園オリジナルに変わりました。

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H. venosa ssp. granulata
本日の目玉はグラヌラタです。グラヌラタをただのヴェノサの亜種と侮るなかれ。現在はHaworthiopsis granulataという独立種となっています。ですから、見た瞬間心の中は小躍り状態でした。硬葉系ハウォルチアは現在19種類が認められていますが、私の手持ちはこれで17種類になりました。あとは、H. bruynsiiと、何やら情報があまりないH. henriquesiiのみを残すばかりとなりました。
ちなみに、グラヌラタは始めはHaworthia granulataとして記載されましたが、後にHaworthia venosa subsp. granulataやら、Haworthia scabra subsp. granulataやらとされましたが、2013年に硬葉系がHaworthiopsisに変更された時に、独立種に戻りました。グラヌラタが初めて記載されてから実に101年目の出来事でした。

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H. scabra var. lateganiae
スカブラの変種ラテガニアエです。なんと、いつの間にやらスカブラは4変種目です。あとはvar. smitiiだけですね。同じように結節がないvar. starkianaと異なり、つや消しのような肌模様が目を引きますね。

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H. scabra
普通のスカブラと思いきや、なんという結節。この艷やかな黒さも目を引きますね。今回はスカブラが豊富でしたね。コレクションしたくなります。

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G. ラゴネシー
こちらはイベントとは無関係の鶴仙園のサボテンです。言わずとしれたGymnocalycium ragoneseiです。今回はイベント苗だけ買うつもりでしたが、公式ブログで入荷情報があったもので、ついついね。ラゴネシーはBBでも見かけないし、鶴仙園のいつものラインナップにもいませんから、これを逃すと次はいつの日になるかわかりませんからね。以前入手したラゴネシーとは少しタイプが異なるようです。

いやぁ~楽しかったですね。来週は五反田でBBなのに、はしゃぎ過ぎました。しかし珍品だらけでしたからね。仕方がありません。これからもこのイベントが続いて欲しいものですね。
それはそうと、実は鶴仙園のラインナップにも硬葉系が沢山入荷しており、気になったのですが心を鬼にして諦めました。欲しいものがありすぎるのも困りものです。また来年、暖かくなってきたら訪れることにしましょう。


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さて、いよいよ明日からの2日間、池袋の鶴仙園にてイベントが開催されます。下関のPlant's Workさんとのコラボイベントです。過去2回開催されており、私も毎度楽しみにしているイベントです。

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基本的にはハウォルチアがメインで、軟葉系の美しい交配種が大量に並べられます。また、フィールドナンバー付きの原種もあり、珍しいものに出会えるかも知れません。私は硬葉系好きですが、結構気になるものがあり毎度悩んでしまいます。一昨年はフィールドナンバー付きのwoolleyi、昨年はアストロロバを中心に購入しました。せっかくですから、以前のイベントで入手した個体をご紹介しましょう。

2022年
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H. venosa subsp. woolleyi GM079
2022年はウォオレイ(ウーレイ)を購入。これ自体、イベントなどでも見かけないハウォルチアです。フィールドナンバーつきですから、葉先が枯れるなど非常に野性的で私好みです。ちなみに、現在はH. woolleyiとなり独立種とされています。
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あれから2年経ちましたが、サイズ感はあまり変わっていません。小型のタイプなのでしょう。

2023年
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H. jonesiae
ヨネシアエは青白い硬葉系ハウォルチアです。おそらくは、H. glauca var. herreiの小型なタイプなのでしょう。
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環境が変わり段が出来てしまいました。しかし、まあ良く生長しています。
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Astroloba aspera
謎のアストロロバであるアスペラです。非常に美しいアストロロバですが、その出自は謎に包まれています。流石に説明は大変なので、過去の記事を貼っておきます。

https://euphorbia-obesa.com/archives/24702131.html

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アスペラは少し日焼けしましたが、生長自体は順調です。

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A. spiralis
このようなノーマルなスピラリスはあまり見かけません。装飾がなくシャープな葉の形です。
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スピラリスは非常に良く生長しました。縦だけではなく、幅も大きくなりました。

せっかくのきらびやかなハウォルチアのイベントなのに、地味な硬葉系やハウォルチアではないアストロロバばかり買っていますね。まあでも好きなものは仕方がありません。今年も硬葉系を狙います。出来れば、フィールドナンバーつきやnom. nud.なんてあると嬉しいわけですが、今年はどうでしょうかね? とても楽しみです。


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いよいよ寒さが本格的になってきました。去年のブログを見返して見たら、今頃は多肉植物たちを室内に取り込むのにバタバタしていましたね。というわけで、唐突に多肉植物の室内への取り込みを開始しました。

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いよいよ寒くなり、明け方は10℃を下回る日も出てきました。寒さに弱いユーフォルビアは流石にそろそろ室内に取り込む必要がありそうです。

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こちらはパキポディウム苗たち。

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お次はユーフォルビアというか花キリンたち。

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こちらはユーフォルビアのやや過保護にしている連中。

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Uncarina roeoesliana
ロエオエスリアナは春先にロングポットに植えて水を切らさないようにしましたが、非常によく育ちました。塊根の太り具合が良好です。生長が鈍り、ナメクジに葉を舐められるようになったため、室内に取り込みます。傷んだ葉はポロポロと取れてしまいました。来年の春まで葉を落としたまま休眠します。

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Euphorbia ankarensis
こちらは冬の間は葉を出さずに花だけを咲かせる可能性があるアンカレンシスです。しかし、アンカレンシスの名前で入手しましたが、特徴的にはE. denisianaに見えます。まあ、アンカレンシスもE. denisiana var. ankarensisとされていますから、違いは微妙なところかも知れませんけど。

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Euphorbia gottlebei
今年のゴトレベイは調子が良く、秋口に枝が出たり花が咲き始めました。まだ、花は続くようです。

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Aloe albiflora
「雪女王」の名前もあるアルビフロラが開花しました。その名前の通り白い花を咲かせます。暖色系の花が多いアロエ中にあって、白花は割りと珍しい部類です。
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基本的に鳥媒花であるアロエの中にあって、おそらくアルビフロラは虫媒花なのでしょう。
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良く見たら2本目の花茎が出てきています。株が充実している証拠でしょう。

さて、多肉植物たちの室内への取り込みを行いましたが、実はまだほんの一部に過ぎません。土曜日は休日出勤で、日曜日も忙しく夕方に日が落ちるまでの一時に作業しただけです。早く取り込みたいのですが、なかなか進みませんね。困りました。

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植物の名前は混乱しているものが多く、1つの植物に沢山の異名があることは珍しいことではありません。古い時代に記載された種では、そもそもそれが何を指していたのかがよくわからないケースもあります。これは、国際命名規約が整備される前のもので必要な情報が足りていなかったり、古いため記述された標本が戦争などで失われてしまい現存しないなど、種の判別のために必要な情報が不足しているためです。多肉植物の記載された時の情報を知りたいため、古い時代の記述を調べることがありますが、図譜はなく標本の指定もなく、ラテン語による2〜3行の簡素な特徴の説明があるだけだったりします。このように、古い時代の記述は混乱しており、それが何を指しているのかは植物学者が丹念に調査しないとわからないものばかりです。ですから、古い記述が実はある植物を指していたことが判明し、より古いというか先に命名された名前に修正されることも珍しくありません。
ということで、本日は命名に関する内容ということで、Detlev Metzing & Roberto Kieslingの2007年の論文、『Winterocereus (Cactaceae) is the corred name for Hildewintera』をご紹介します。

Hildewinteraの歴史
Borzicactus族は球状から円柱状になるサボテンのグループで、ボリビア、ペルー、アルゼンチンに分布し、主に鳥媒花です。その中で、二重花被という特徴を持つものが、1962年にWinteria aureispina F. Ritterとして記載されました。しかし、これは1784年に記載されたWintera Murrayと同名(parahomonymy)、1878年に記載されたWinteria Saccardoと同名(Homonymy)であるため、属名を変更する必要がありました。
1966年にWinterocereus Backebergと、それより3〜4ヶ月早くHildewintera F. ritterに変更する提案がなされました。(先取権により)Hildewinteraとなり、その妥当性については疑問視されたことはありませんでした。

Hildewinteraは非合法
2003年にHildewinteraの新種が記載された論文が出されました。その論文に対するコメントとして、W. Greuter(私信)はING(Index Nominum Genericorum)において、Hildewinteraの項目に「タイプ種に対する不完全な参照」が記されていることを気が付かせてくれました。
著者らはRitter(1966)による学名への参照のページ番号が省略されているため、「完全かつ直接的」ではなかったことを見逃していました。これは属名にも当てはまり、よってHildewinteraは有効に公表されなかった(not validly published)ことが判明しました。その結果、Backeberg(1966)が公表したWinteriocereusは、規約の要件をすべてみたし、もっとも古い利用可能な名前です。Rowley(1968)による索引への記載により、Hildewinteraは有効に公表されましたが、そこでもWinteriocereus Backeberg 1966が異名として記載されているため、Hildewinteraは非合法名です。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
特に疑問もなく一般的に使用されてきたHildewinteraが実は有効に公表されていない非合法名であり、これを有効に公表されているWinterocereusとしましょうという提案でした。しかし、現在はWinterocereusはCleistocactus Lem.に吸収されてしまいました。著者らもCleistocactusに含める意見については承知しており、別属とすべきであることを改めて主張していますが、結局のところCleistocactusに統廃合されつしまったわけで、この論文の提案を無駄ではないかと思われるかも知れません。とはいえ、この論文は分類学的に意味があり、特定の分類群の命名に対する正しい知識を与えてくれます。ですから、データベース上でもこの論文の知見は活用されており、将来の分類学に対する有効な資料となっています。例えば、キュー王立植物園のデータベースでCleistocactusを見てみましょう。

Cleistocactus Lem., 1861.
Heterotypic Synonyms
Winteria F. Ritter, 1962, nom illeg.
Winterocereus Backeb., 1966.
Hildewintera F. Ritter ex G. D. Rowley, nom illeg.

以上のように、論文の知見が活用されています。WinteriaやHildewinteraが非合法名であることや、HildewinteraがRowleyにより再び記載されたことなどです。また、将来的にCleistocactusの再編が行われる可能性もあるため、その時にこの論文は重大な意味を持つことになるかも知れません。


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いよいよ寒くなって来ましたが、いつ多肉植物たちを室内に取り込むのか思案中です。いつも、ぎりぎりまで粘ってバタバタ取り込むのが毎度恒例となっています。さて、そんなこんなで、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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Euphorbia clavigera
クラビゲラは育ってはいますが、なかなか枝が伸びません。もっとぐんぐん育ってほしいですね。
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塊根はよく太っているようです。

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Aloe spectabilis
スペクタビリスはなかなか大きくなりません。BBのオマケでいただいたものですが、かなりの巨大種ということです。まあ、育ったら育ったで持て余しそうです。
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いいトゲが出ています。

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Zamia integrifolia
インテグリフォリアは今年は非常に良い葉が出ました。去年はまさかの尺取虫に齧られるという蘇鉄にあるまじき失態を犯しましたから、まったくもって嬉しい限りです。
インテグリフォリアは一般的にはZ. floridanaの名前で販売されていますが、これは誤りということになります。とはいえ、正しいとされるZ. integrifoliaという名前は曰く付きです。von Linneの息子さん(Linne filius)が命名しましたから非常に古い名前なのですが、実はZ. pumilaと区別出来ていないのではないかという疑惑があるのです。ただし、Z. floridanaの命名より前に命名されたZ. integrifolia以外の名前がいくつもあるため、Z. integrifoliaの正統性がどうであれ、Z. floridanaが採用されることはありません。

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Tulista pumila var. ohkuwae
このツリスタはなかなかにして悩ましい存在です。入手した時のラベルには「Tulista pumila (ohkuwai) GM 602」とありました。「GM 602」はフィールドナンバーで、野生個体の由来であることを示します。しかし、残念ながらGM 602の詳細な情報はよく分かりません。GMはGM 602を採取したGerhard Marxを指しますが、Gerhard Marxが採取した他のプミラはHaworthia pumilaとされています。Tulista属はかつてはHaworthia属で、分離独立しましたが、おそらくGerhard MarxがGM 602を採取したのはTulista属誕生前のような気がします。ですから、GM 602もフィールドナンバーの情報としてはHaworthiaだったのではないでしょうか。ちなみに、プミラがツリスタ属とされたのは2013年のことです。さらに、(ohkuwai)とありますが、これも問題です。先ずはこの括弧表示の意味からです。2006年にHaworthia ohkuwaeが記載されましたが、Tulista pumila var. ohkuwaeとされたのは2016年と割りと最近です。GM 602は採取された時、単にH. pumilaとされたのではないでしょうか。まとめると、Gerhard Marxにより採取された時には、Haworthia pumila GM 602とされ、後にTulistaへ変更され、この個体がvar. ohkuwaeであることが判明したという流れです。どうでしょうかね? 何言ってんだこいつは、と思われるかも知れませんが…。ちなみに、ohkuwaeがohkuwaiと表記されているのは、2018年の国際命名規約の変更によるもので、様々な植物の名前の語尾が変更されたようです。

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Hawortiopsis coarctata var. tenuis
コアルクタタ亜種テヌイス、要するに九輪塔のタイプ違いです。割りと小型で可愛らしい感じがします。今年は割りとよく育ちました。

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Aloiampelos gracilis
ヤブ状に育つ旧・アロエ属のアロイアンペロス属のグラキリスです。最近はこんなものも販売されています。

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Aloiampelos tenuior
こちらもアロイアンペロスです。「青々錦」という名前もあります。下葉が枯れて見苦しい感じです。もうちょい、水を多めでもいいのかも知れません。


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相変わらずライブドアブログのアプリが復活しません。いやはや、なんとも困りましたね。先日、アガヴェの論文の記事をあげましたが、編集に結構な時間がかかりました。連休中に基本的なコードは覚えましたが、妙に手間がかかります。アプリがないととても不便です。まあ、しばらくはだましだましペースを落として記事を書いていきます。さて、そんな状況ですが、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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Euphorbia debilispina
デビリスピナは塊根性ではありませんが、根が木質化し荒れ肌なので面白いと思い根を露出させています。根を露出させても生長にはまったく影響はなく、今年は沢山枝が出ました。水分や栄養の吸収は根毛が担っており、木質化した太い根は水や栄養を運ぶパイプラインであり、地上部を支える役割があります。ですから、露出させても問題にはならないのです。なんとなく盆栽風。
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ユーフォルビアの根は滑らかな質感のものが多いため、この荒れ性は特筆に値します。

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Haworthia arachnoidea
アラクノイデアは冬の間に根腐れさせてしまいましたが、見事に復活しました。全体的に軟弱になりふにゃふにゃしていましたから、ここまで早く生長するとは驚きです。

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Tulista kingiana
キンギアナはツリスタの中ではあまり見かけない種です。その理由は単純に地味だからに過ぎないような気もします。

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Dioon spinulosum
スピヌロスムは非常に順調です。すっきりした姿はインテリア向きかも知れませんね。

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Tulista minor こちらはツリスタのミノルです。私の育てている個体はこのサイズより大きくなりません。ミノルはツリスタの中では小型らしいのですが、流石に小さ過ぎる気もします。


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アガヴェは専門外なのですが、イベントでオマケでいただいた苗を2つ育てています。そんな縁もあり、たまにアガヴェについても記事にしています。そんなこんなで本日はアガヴェについての記事です。何でも、ネイティブアメリカンがかつてアガヴェを作物として栽培していたらしいのです。詳しく見てみましょう。本日ご紹介するのは、Wendy C. Hodsonらの2018年の論文、『Hohokam Lost Crop Found: A New Agave (Agavaceae) Species Only Known from Largescale pre-Columbian Agricultural Field in Southern Arizona』です。

アガヴェ栽培と考古学
考古学者は南アリゾナの先コロンブス期の居住者であるHohokam族が、大規模なアガヴェ栽培を行っていたことを提唱してきました。数千エーカーに及ぶ岩石や岩の配列や、アガヴェの収穫と加工に用いられた特徴的な石器、アガヴェを調理するための大きな焙煎穴などの証拠があります。1500年代半ばにスペイン人がアリゾナに到着したころには、1350年頃から始まる深刻な人口減少により、Hohokamの文化や農地利用のパターンは消滅していました。

Hohokam族と農業
Hohokam族は、現在のアリゾナ州中部と南部のソノラ砂漠で農業を営んでいました。Hohokamの社会は古代の狩猟採集集団から発展し、少なくとも4000年前からトウモロコシを栽培していました。Hohokam族は紀元後300年から1450年にかけて、Gila川、Salt川、San Pedro川、Santa Cruz川、Verde川とその支流に沿って、洗練された集約的な農業システムを開発しました。
数百マイルに及ぶ大規模で複雑な灌漑用水路と溝が、氾濫原と隣接する段丘で栽培される作物に水を供給しました。段丘ではトウモロコシ、tepary beans(Phaseolus acutifolius var. acutifolius)、ヒョウタン、アマランサス、綿花を栽培していました。西暦800年までにSan Pedro川などの川沿いに儀式用の舞踏場や土塁などの公共施設を備えた大規模なHohokamの竪穴式住居の村落が広がっていました。Salt川とGila川の流域では、Hohokamの人口は灌漑用水路の延長上に広がり、川の取水口から何マイルも離れていることも珍しくありませんでした。考古学者の推定によれば、西暦1300年までにHohokamの人口は約4万人に達しており、先史時代のアメリカ南西部ではもっとも人口が集中していた地域の1つでした。

先史時代の遺構
考古学者は、アガヴェはいくつかの河川沿いの畑の乾燥した地域で栽培されていたと推測しています。しかし、先史時代の灌漑氾濫原が沖積土に埋もれたため、アガヴェが栽培されていた証拠は山岳地帯のbajada(※1)とterrace(※2)でした見られません。bajadaとterraceは遠目には自然地形に見えますが、実際には重ねた岩や整列した岩により構築されており、乾燥農業用に修正され管理された人工的な景観を示します。

(※1)bajadaは、山の正面に沿い合体した一連の扇状地から構築される。

(※2)terraceは階段状の地形のこと。

アガヴェの痕跡
平板状の石ナイフや鋭角なパルプ加工用かんな、石鎚などの特殊な石器、焙煎穴の存在は、栽培されていた作物を特定するための重要な手がかりです。これらの道具は、先史時代を通じてアガヴェの食品あるいは飲料、繊維加工のために使用されていたからです。アリゾナ州中央部と南部のHohokam遺跡からは炭化したアガヴェが発見されており、葉の基部や繊維、葉柄の断片が含まれています。植物学的に見ると2種類以上のアガヴェが栽培されていたことが示唆されます。残念ながらアガヴェの残骸は断片的すぎて種の特定はできません。研究者は、Agave murpheyiやアリゾナ州のアガヴェ、またはメキシコ原産の栽培品種のいずれかが栽培されたと考えています。さらに、これらの先史時代の遺構や道具は、A. chrysanthaやA. deserti subsp. simplex、A. palmeri、A. parryiなどのアリゾナ州南東部及び中央部に分布する野生アガヴェの自生地より低い標高で発見されています。

先コロンブス期の栽培アガヴェ
1980年代初頭、Hodgson氏ら植物学者たちはアリゾナ州とメキシコのソノラ州北部で、先史時代の栽培アガヴェを突き止めるために現地調査を開始しました。アリゾナ州中部では先史時代の畑に残存するアガヴェの個体群を発見し、A. murpheyiとA. delamateriが先コロンブス期の栽培種であることを示しました。両種は種子をほとんど生成せず、根茎を介して容易に無性生殖するなど、栽培植物に共通する特徴を持っています。形態学的変異はほとんど見られず、自然環境ではないterraceなどの考古学的な環境に関連して生育しています。2007年にParkerらによる研究では、両種ともに野生のアガヴェより遺伝的多様性が低いことがわかりました。これは、作物に期待される特徴です。

未知の栽培アガヴェ
Clark & Lyons(2012)は、San Pedro川の考古学研究書において、完新世の氾濫原を見下ろすアリゾナ州南部にあるHohokamの乾性耕作地の段丘に、生きたアガヴェが存在することを明らかにしました。農地のいくつかは60ヘクタールを超えていました。畑に生えるアガヴェの写真は注目を集めましたが、種の同定はできませんでした。HodgsonとSalywonは現地を訪れ、そのアガヴェが未記載種であることを突き止めました。

新種アガヴェの情報
Agave sanpedroensis W. C. Hodgson & A. M. Salywon sp. nov.
タイプ: アメリカ合衆国、アリゾナ州Pima郡、標高914m、ソノラ砂漠上部の低木地帯、多数の先コロンブス期のbajadaとterrace。

自生地はTortolita山脈近くの1か所で、12以下の個体群が知られています。人工的な先コロンブス期の農地でのみ発生し、自然環境には見られません。分布域には、Calliandra eriophylla(緋合歓)、Carnegiea gigantea(弁慶柱、Saguaro)、Cylindropuntia fulgida(cholla)、Ferocactus wislizeni、Fouquieria splendens、Opuntia engelmannii、Opuntia phaeacantha、Parkinsonia microphylla、Prosopis velutina(ベルベットメスキート)、Eragrostis lehmannianaが自生します。
花色はA. phillipsianaおよびA. palmeriに類似しています。A. sanpedroensisのS字型の曲がりくねった細い花序と大きく厚みのある花は、A. phillipsianaに似ています。これは側枝のある頑丈な花序があるA. palmeriとは異なります。A. sanpedroensisの厚みのある基部と芽の形の刻印がある灰緑色の葉を持ち、目立って厚みがなく芽の形の刻印がなく、より濃い緑色のA. phillipsianaおよびA. palmeriとは異なります。
高さ及び幅は50〜70cmで、ロゼットは開き、根茎は自由に分離しクローンを形成する。葉は線状披針形から線状倒披針形で、長さ44〜49cmで縁は波打ちます。縁歯は強く反り返り、時々直立または上向きになります。花は7月下旬から8月で、果実は発育初期に枯れるらしく、知られていません。
著者らは開花した花を2個体観察しましたが、果実はありませんでした。不稔のように見えますが、根茎により容易に無性生殖するため、放棄されてから何世紀にも渡り畑で生き残ってきました。A. sanpedroensisが不稔である理由はわかりません。おそらく自家和合性がなく、野生個体の分布域外で育ったため、環境が着果に合わないであるとか、人為的選択の結果として遺伝的不適合があるのかも知れません。または、無性生殖のために意図的に選抜された可能性もあります。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
驚くべきことに、先史時代に栽培されていたと思しきアガヴェの新種について述べられています。おそらく不稔で種子が出来ず、シュートなどの栄養繁殖で増える特徴はいかにも栽培植物です。 気になるのはAgave sanpedroensisの出自です。栽培された元の種は何だったのでしょうか? 近隣のアガヴェの交配種でしょうか? あるいはメキシコなど他所からの移入も考えられます。単に原種は絶滅して栽培植物だけ生き残っただけかもしれません。詳細は遺伝子解析が行われていないため、わかりませんが著者らも気にしているようですから、何れ解明されるでしょう。 さて、最後にアガヴェ栽培を行う意味について考えてみましょう。アガヴェは育つのに時間がかかりますから、日常的な生活を支える栽培作物とは言えないでしょう。ある程度の生活的余剰があることが見て取れます。そして、その文化が失われたのは、Hohokamの衰退ともに失われていったのでしょう。著者らは他地域からの侵入など、外圧を示唆しています。考古学とリンクした面白い研究ですが、この研究を受けて考古学者たちがどのような考えを持つのか気になりますね。


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ライブドアブログのアプリが死亡してしばらく経ちましたが、どうにもならない感じがしています。今回のような記事ならまだしも、論文の翻訳記事だと非常に長文になるため、いちいちコードを書いていると恐ろしく煩雑で時間がかかります。ネタはあるものの、編集に時間がかかるため、論文の記事の頻度は下げざるを得ないでしょう。困りましたね。まあ、そんなこんなで、本日も我が家の多肉植物たちを少しだけご紹介しましょう。

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Euphorbia makayensis
マカイエンシスが開花しました。
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初めての開花ですが、花キリンとしては小さく目立たない花でした。
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よく見たら3本も枝が出てきました。これは来年が楽しみですね。

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Euphorbia ramena
ラメナはトゲがなく毛がモサモサ生える変わった花キリンです。
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蕾が出てきました。

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Euphorbia fimbriata
フィンブリアタは4月にコーナンで購入しましたが、倍くらいの高さになりました。E. mammillarisの異名扱いされていますが、別種としている人も結構いるみたいです。まあ、私にはただのタイプ違いにしか見えませんが…

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Euphorbia alluaudii subsp. alluaudii
何故かsubsp. onchocladaの名前で販売されているアルアウディイです。今年は植え替え効果か順調に生長しました。去年は秋の西日にやられてしまい、全体的に黄色くなってしまいました。気を付けたいですね。

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Aloe peglerae
苗を入手してから3年、だいぶ育ちましたね。現在では6号鉢。ペグレラエは美しいアロエですから、これからが楽しみです。雑草だらけなのは見なかったことにしてください…


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最近は忙しくなかなか論文を読めないため、記事のネタに困っています。逆にイベントに行った際は、移動中にじっくり読めるので、イベント続きの今は少しネタのストックがあったりします。さて、そんなこんなで、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。【追記】ライブドアブログのアプリが不具合で上手く書き込めません。症状が出てからすでに1週間ほど経つようですが、いよいよ我がブログも書けなくなりました。アプリ以外なら書けますが、コードを打ち込まないと編集出来ないため、コードがわからない私ではどうしようもないですね。ということで、アプリの不具合が直るまではブログもお休みですかね。早く直ればいいのですが…

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Euphorbia bubalina
ブバリナの花が開いてきました。ユーフォルビアにしては巨大な苞です。似た雰囲気の鉄甲丸(E. bupleurifolia)の花は短命ですが、ブバリナの花は非常に長持ちです。


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瑠璃晃 Euphorbia susannae
スサンナエが開花しています。スサンナエな非常に徒長しやすく、10%の遮光でも徒長気味になってしまいます。


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白花矮性花キリン Euphorbia milii cv.
剪定を繰り返して枝を増やした花キリンです。10月始めくらいの異常な強光で調子を落としましたが、半日陰になる場所に置き復活しました。なんだかんだで10年以上の長い付き合いですから、大事にしたいものです。


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Gymnocalycium esperanzae VoS 1791
エスペランザエが良いですね。今年も好調です。暗い色合いにも関わらず、割りと強光にも耐えます。


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Aloe bowiea
ボウィエアは根元から子が吹いてきました。株が充実したということでしょうか。


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Haworthia mucronata var. mucronata JDV 90-111
ムクロナタが非常に元気で、鉢から溢れんばかりです。しかし、このままだと根詰まりを起こしかねないので、来年植え替えることにしましょう。



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先日、ここ10年あまりのアガヴェの新種について、記事を書きました。その中で、今年出た論文でアガヴェから新属を分離するという話がありました。これは、一体どういうことなのでしょうか? 詳細が知りたいため、当該論文を読んでみることにしました。
ということで、本日はJ. Anthonio Vazquez-Garciaらの2024年の論文、『NEW GENERA AND NEW COMBINATIONS IN AGAVACEAE (ASPARAGALES)』をご紹介しましょう。

アガヴェの歴史
Agave属(Agave L.、リュウゼツラン属)の分類学上の位置づけと、リュウゼツラン科(Agavaceae)は歴史的に変化してきました。Bentham & Hooker(1883)およびEngler & Prantl(1988)の分類体系では、主に子房下位の特徴からアガヴェは他のユリ科植物と共にアマリリス亜綱(Amaryllidae)に分類されました。Hutchinson(1934)と長く使われてきたCronquist(1981)の分類体系では、子房の位置に関係なく多かれ少なかれ繊維状の葉を持つリュウゼツラン科に含まれてていました。しかし、YuccaとAgaveだけが独自の核型を共有していることが分かり、Agaveのような核型を持つギボウシ(Hosta)をリュウゼツラン科とする解釈や、それをただの収斂進化と見る研究者もいました。Dahlgrenら(1985)の分類体系では、化学的特徴を追加しリュウゼツラン科をYucca族(Yucceae)とAgave族(Agaveae)により減らしましたが、これは後の遺伝子解析により裏付けられています。遺伝子解析による国際的な植物分類の研究の成果であるAPGシステムでは、APG II(2003)まではリュウゼツラン科は認識されていましたが、以降はキジカクシ科(Asparagaceae)という大きな科に含まれることになりました(APG III, 2009、APG IV, 2016)。同様にAgave属はManfredaやPolianthes、Prochnyanthesなど、伝統的に形態が異なる属を含むように拡大しました(Thiede et al., 2020)。

Choritepalae節の誕生
Gentry(1982)はAgave bracteosaとAgave ellemeetianaが、トゲのない葉と明確な花冠節を持つ円盤状の花托という際立った特徴を共有していることを指摘しました。2015年にはChoritepalae節として公式化されました。Gentryはその特徴からこのグループをAgave属から分離する提案を行いました。最近の遺伝子解析では、約618万年前にA. bracteosaが広義のAgaveから早期に分離し、約425万年前にA. ellemeetianaがJuncineae節から分離したと推定されます。Juncineae節はかつてStrictaグループと呼ばれていました。

新属の分離
以前の著者らは、Agave属を単系統群として、Manfreda、Polianthes、ProchnyanthesをAgave属に含めることを提案しました。しかし、この分類では形態が異常に多様になっています。遺伝的(Jamez-Barron et.al. 2020)、形態学的、推定分岐年代の証拠から、Agave属のより正確な範囲を指定し、Echinoagave、Paraagave、Paleoagaveの3つの新属を分離します。

Agave sensu lato(広義のアガヴェ)の系統解析

          ┏━━Agave sensu stricto 
      ┏┫   (狭義のアガヴェ)
      ┃┃┏━Polianthes
      ┃┗┫ (incl. Prochnyanthes)
  ┏┫    ┗━Manfreda
  ┃┃
  ┃┃┏━━Echinoagave
  ┃┗┫
  ┫    ┗━━Paraagave
  ┃
  ┗━━━━Paleoagave


新属をAgave属から分離する目的は、より自然なあるいは単系統群に基づき、正確な分類を提供することです。また、Manfreda、Polianthes、Prochnyanthesからなる系統群は狭義のAgave属(Agave sensu stricto)とは分けられます。分類群の特徴とサンプル数を増やすことで、Manfreda、Polianthes、Prochnyanthesの間の関係をより明確に出来る可能性があります。

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Agave striata=Echinoagave striata
筑波実験植物園(2024年7月)


Agaveの分類
①Echinoagave
葉縁は微細な鋸歯状。葉は条線があり先端はカールせずにトゲがある。花は交互に均等な融合花被片を持ち筒状。
1. E. albopilosa (A. albopilosa)
2. E. cryptica (A. cryptica)
3. E. cremnophila (A. cremnophila)
4. E. dasylirioides (A. dasylirioides)
5. E. gracielae (A. gracielae)
6. E. kavandivi (A. kavandivi)
7. E. lexii (A. lexii)
8. E. petrophila (A. petrophila)
9. E. rzedowskiana (A. rzedowskiana)
10. E. strata (A. strata)
11. E. stricta (A. stricta)
12. E. tenuifolia (A. tenuifolia)

②Paleoagave
葉縁は微細な鋸歯状。葉は条線がなく先端はカールしトゲはない。花は交互に不均等な自由花被片を持つ。
1. P. bracteosa (A. bracteosa)

③Paleoagave
葉縁は微細な鋸歯状ではない。葉の先端にトゲはなく、先端は硬い。
1. P. ellemeetiana (A. ellemeetiana) 

④Agave sensu stricto
葉縁は微細な鋸歯状ではない。葉の先端にトゲがある。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
趣旨としてはアガヴェから、3つの属を分離する提案です。割りとはっきりした結果ですので、認められまる可能性は高いように思われます。個人的にはこの提案には驚きました。というのも、分離されるのがManfredaやPolianthesといったアガヴェらしからぬグループではなかったからです。Manfredaなどはアガヴェとはかなり外見上の特徴は異なりますから、アガヴェ属への統廃合には違和感を覚える人も多いでしょう。しかし、狭義のAgaveとManfreda、Polianthesは非常に近縁で、新属Echinoagaveなどと遺伝的にかなり距離があるようです。要するに、EchinoagaveやParaagave、Paleoagaveの方がManfredaなどよりも分離の要件を満たしているということです。ただ、今年発表されたばかりの論文ですから、まだ3つの新属は認められていません。今後、審査されていくでしょう。来年、「The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2025. 」において新属として記載されるか、私も注視していきたいと思います。

ManfredaとPolianthes
次に気になるのはManfredaやPolianthesの今後でしょう。著者らのグループは、かつて古い時代の遺伝子解析結果を元に、ManfredaやPolianthesがアガヴェから分離出来ないことを指摘し、結果としてManfredaやPolianthesはアガヴェ属に統廃合されていきました。しかし、新しい遺伝子解析結果では、
ManfredaやPolianthesは明確に狭義のアガヴェから分離されているように見えます。ただ、サンプル数が少ないためManfredaやPolianthesとされる種のすべてで明瞭に分離が可能であるかは、まだわかりません。著者らもその点を明らかにする必要性を指摘しています。思うこととして、古い時代の遺伝子解析は精度が甘いので、大まかな傾向としては正しくても、細かい部分の信頼性には疑問がある場合もあることは薄々感じていました。といったわけで、ManfredaやPolianthesはアガヴェから分離される可能性もありますが、現時点でははっきりとしたことは言えないように思われます。今後の研究に期待しましょう。


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イベント続きですが、週末には神田神保町古本まつりに行く予定です。うっかり忘れていましたね。しかし、天気予報は雨続きですから開催されるのは心配です。さて、めっきり涼しくなってきましたが、多肉植物たちはどんな感じでしょうか? 本日も我が家の多肉植物たちを少しだけご紹介しましょう。

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Euphorbia gottlebei
ゴトレベイの花が沢山咲いています。枝も増えましたから、これから毎年花が増えてくれるでしょうか。楽しみですね。


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Aristaloe aristata
アリスタタは沢山の花を咲かせましたが、何と2本目の花茎が伸びて開花し始めました。


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Pachypodium horombense
ホロンベンセが非常に元気ですが、どういう訳か花が咲きません。


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H. jonesiae
ヨネシアエはおそらくH. glauca var. herreiの1タイプです。全体的に小型で華奢な感じがします。


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Euphorbia pachypodioides
パキポディオイデスは早くも葉が落ちています。根が細く繊細なせいかすぐに葉を落としてしまうので、管理が面倒ではあります。ある程度のサイズになれば、根が太くなりそれなりに強くなるのでしょうか?


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雪女王 Aloe albiflora
雪女王が非常に充実しています。早くも花茎が伸びてきました。

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「雪女王」にしろ「albiflora」にしろ、アロエらしからぬその白い花を冠した名前です。


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たまたまですが、グーグルの記事にオザキフラワーパークの多肉植物のイベントが出てきました。オザキフラワーパークは過去に2回ほど行ったことがありますが、ブログを始める前ですから、だいぶ昔の話です。オザキフラワーパークは家からだと、行き方がやや面倒くさいのですが、イベントに合わせて久しぶりに覗いてみることにしました。

さて、「多肉大集合!」という名前で行われた土日のイベントでしたが、イベントの規模的にはまあまあでしたね。ただ、柱サボテンや大型ユーフォルビアなど、インテリア向きの見栄えする大株も多数入荷するところなどは一般的なイベントとは異なりますね。

多肉大集合スクエアポスター_アートボード-1-1260x1260

2階にエスカレーターで上がると、眼前に多肉植物が並んでお出迎えしてくれます。まあ、いろいろとありましたが、チタノタ系などアガヴェが沢山並んでいました。私は詳しくないのでよくわかりません。あと、人気のサンセベリアの小型種や筒アナナスも並んでいました。その他はユーフォルビアやPachypodium cactipes、Dorstenia gigasのなどの苗などもありました。ここでは、久しぶりに見たMonadenium rubellumが一鉢あったので購入しました。

同時開催で観葉植物のフェアもやっていて、ビカクシダとアロイド、いわゆるサトイモ科植物が大量にありましたね。アロイドは最近流行の兆しがあるようで、素晴らしい斑入りの植物が流通しています。ここには、着生サボテンの吊り鉢も沢山ありました。

最後にメインの売り場である一番奥の売り場ですが、見上げる高さのFicusなどで鬱蒼としており、まるで植物園の温室のようでした。コバンボダイジュの苗まであり、今は何でも売っているのだなあと驚きました。多肉植物のコーナーなそれなりのスペースを貰っていて、割りと多様でした。気になったのはTrichodiademaで、T. bulbosumだけではなく、T. stellatumやT. densumもありました。しかし、Trichodiademaはブルボスムを育てていますが、イマイチ育ち方が分かっていません。集めるのはまだ早いかもしれませんね。亀甲竜やPachypodium graciliusの小苗が大量にあり、よくあるミニ多肉もまあそれなりにありました。あと、何やらサンゴアブラギリが沢山ありましたが、需要はあるのでしょうか? サボテンも普及種を中心にそれなりにありました。「ロフォフォラ」とだけ表記されたサボテンが沢山ありましたが、何だか不思議です。他にはKumara plicatilis(Aloe plicatilis)やらガガイモ科植物もありました。Dioon supinulosumやFouquieria formosaあたりのややマニアックな連中もありました。ここでは、Cycas debaoensisを購入。巨大なミルクブッシュやボトルツリーを見ながら、プレステラ150と一緒に会計を済ませました。


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Cycas debaoensis
最近、割りと見かけるデバオエンシスですが、毎度気にしつつも見送ってきました。しかし、今回は奮発して購入しました。というのも、Dioon supinulosumのように普及種になってくれたら良いのですが、Dioon eduleのように一時期大量に実生苗が流通して打ち止めのパターンもあるためです。今後、流通してくれたら安くなるかもしれませんが、わかりませんからね。まあ、そんな講釈をたれつつ、流通して値が下がる前のバカ高いAloe erinaceaやらEuphorbia tulearensisを買ってしまった前科があるわけですが…

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Monadenium rubellum
ちらほらピンクの花が咲いているルベルムです。以前から気になってはいましたが、なんとなく手を出していませんでした。今回は塊根がなかなか良い形でしたから購入を決めました。モナデニウムはユーフォルビアに吸収されましたから、ルベルムも現在はEuphorbia rubellum、ではなくEuphorbia neorubellaとなっています。

先週のヨネヤマプランテイションの即売会、木更津C&Sに行ったばかりなのに、またイベントに行ってしまいました。しかし、久しぶりのオザキフラワーパークは多肉植物以外も割りと見るべきものが沢山あって面白かったですね。


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最近はめっきり涼しくなってきました。多肉植物を見るのに適した季節ですが、蚊が多くて敵いません。蚊に血を吸われつつ写真を撮りましたので、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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Portulacaria namaquensis
去年の11月にBBで購入しましたが、下の画像が購入時なので、1年の間に実によく生長しました。ちなみに、Ceraria属はPortulacaria属に吸収されて消滅しました。
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2023年11月、BB

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Euphorbia makayensis
去年の5月に木更津C&Sで購入しましたが、下の購入時の画像と比べるとまるで違う植物のようです。よく育ちました。最近、初めて花芽が出てきました。これは楽しみですね。2021年に記載された新種です。
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2023年5月、木更津C&S

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Fouquieria purpusii
今年の3月にBBで購入したプルプシイですが、実によく育ちました。下の画像は購入時のものです。しかし、えらく曲がっていますね。
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2024年3月、BB

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Haworthia chloracantha var. denticulifera
2月の始めに鶴仙園にて購入したクロラカンタ変種デンティクリフェラです。周囲の子株が育ち見事な群生株になりました。


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H. venosa subsp. woolleyi GM 079
2年前の鶴仙園のイベントで購入しましたが、ほとんどサイズ感は変わっていないですね。小型のタイプなのでしょうか?



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去年、サボテンやアロエ、セダムなどのここ10年あまりに見つかった新種についてまとめた記事を書きました。今年はあれから1年でどう変わったのか、新たに見つかった新種はあるのかをポツポツと記事にしています。アガベについてもこの1年で見つかった新種はあるのか、あるいは説明された新種候補が正式に新種として記載されたのかを見ていきましょう。
ちなみに、論文が出て新種が説明されたとしても、それは新種であると著者が主張しているだけなので、まだ正式に新種として記載されたわけではありません。場合によっては既存種と同種かも知れません。ですので、論文が発表されてもすぐに新種として記載されるわけではありませんから、去年発表された新種候補たちはどうなったのか調べてみました。以下、追加した情報は【追記】と表記しております。

近年、多肉植物で最も盛り上がっているのはAgaveでしょう。「サボテン・多肉植物のビッグバザール」でも、Agaveの専門店が出店するようになり、あちこちでAgaveを出しています。多肉植物に強い園芸店でもAgaveはコーデックスに代わる目玉となっています。いつまでAgaveブームが続くのかは分かりませんが、流行っているオテロイ(Agave oteroi)は2019年に記載されたばかりの新種であることを考えたら、まだまだ盛り上がる要素は出てくるかも知れませんね。さて、そんなAgaveですが、オテロイの例にあるように新種が見つかっています。ここ10年と少しのAgaveの新種を見てみましょう。ちなみに、最近のAgaveに関する論文をざっと漁っただけなので、漏れもあるでしょうし、Abstractを流し読みしただけなので何かしらの間違いがあるかも知れません。まあ、ご参考までにということで。


2011年
★メキシコのバハ・カリフォルニアから、新種のAgave turneriが記載されました。
★メキシコ南部から、新種のManfreda justosierranaManfreda umbrophilaManfreda verhoekiaeが記載されました。しかし、2012年にはAgave属に移され、それぞれAgave justorierranaAgave umbrophilaAgave verhoekiaeとされました。


2012年
★メキシコ西部のmanantlanicola山脈の高地から、新種であるAgave manantlanicolaが記載されました。
★メキシコのJulisco州から、新種であるAgave temacapulinensisが記載されました。Agave wocomahiと近縁と考えられます。


2013年
★Agave gypsophilaを再評価し、Agave abisaiiAgave andreaeAgave kristeniiAgave pablocarrilloiが分離されました。
★メキシコのVeracruzより、新種であるAgave jimenoiが記載されました。
【追記】アリゾナ州中部より、新種であるAgave verdensisAgave yavapaiensisが記載されました。種子をあまり作らず、主に栄養繁殖により増えます。

2014年
★メキシコのバハ・カリフォルニアのVizcaino半島から、新種のAgave azureaが記載されました。Agave vizcainoensisに近縁と思われます。
★メキシコ西部のQueretaroから、新種のAgave doctorensisが記載されました。Agave montium-sancticaroiに似ています。
★メキシコのOaxacaより、新種であるPolianthes alboaustralisが記載されました。しかし、2015年にはAgave属に移され、Agave alboaustralisとされました。

2015年
【追記】メキシコのJuliscoより、新種であるPolianthes cernuaが記載されました。しかし、同2015年にAgave属に移され、Agave neocernuaとされました。

2016年
★メキシコ西部より、新種であるPolianthes quilaeが記載されました。しかし、2017年にはAgave属に移され、Agave quilaeとされました。

2017年
★コロンビアから新種であるAgave paxが記載されました。
★メキシコ西部より、新種であるManfreda occidentalisが記載されました。しかし、2019年にはAgave属に移され、Agave occidentalisとされました。

2018年
★メキシコのVeracruz中央海岸より、新種であるAgave maria-patriciaeが記載されました。
★メキシコのOaxaca南東部より、新種であるAgave cremnophilaが記載されました。【追記】2024年にEchinoagave cremnophilaとしてアガヴェ属から独立する提案がなされております。
★メキシコ西部のSierra del  Surより、新種であるManfreda santana-micheliiが記載されました。しかし、2019年にはAgave属に移され、Agave santana-micheliiとされました。
★メキシコのMichoacan州より、新種であるPolianthes venustulifloraが記載されました。しかし、2019年にはAgave属に移され、Agave venustulifloraとされました。
【追記】アリゾナ州中部より、新種であるAgave sanpedroensisが記載されました。アリゾナ州の先住民族であるHohokam族が1450年頃まで栽培していた「失われた作物」であると著者は主張しています。


2019年
★メキシコのTmaulipas州より、Agave lexiiが記載されました。Agave tenuifoliaやAgave striataに似ています。【追記】2024年にEchinoagave lexiiとしてアガヴェ属から独立する提案がなされております。

Echinoagave lexii
https://www.inaturalist.se/taxa/1525256-Echinoagave-lexii

★メキシコのOaxaca北中部より、新種であるAgave oteroiが記載されました。 

Agave oteroi
https://www.inaturalist.se/taxa/1076020-Agave-oteroi

★メキシコ西部のChorros del Varal州立保護区より、新種であるAgave garciaruiziiが記載されました。Agave angustiarumおよびAgave imppressaに関連するようです。

Agave garciaruizii
https://www.inaturalist.se/taxa/1233151-Agave-garciaruizii

2020年
★メキシコのOaxaca南部から、新種であるAgave calciphilaが記載されました。Agave angustiarumやAgave ghiesbreghtii、Agave huehuetecaに似ています。

Agave calciphila
https://www.inaturalist.org/taxa/1268056-Agave-calciphila

★コロンビアから新種であるAgave sylvesterianaが記載されました。

Agave sylvesteriana
https://www.inaturalist.org/taxa/1146456-Agave-sylvesteriana

★メキシコのGerrero州から、新種であるManfreda arceliensisが説明されました。しかし、この種は認められておりません。【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plantsにより新種として記載されました。記載年は2020年ではなく2018年とされています。また、2023年にAgave属に移され、Agave arceliensisとされました。

2021年
★メキシコのTamaulipas州の湿った渓谷で、新種であるAgave crypticaが記載されました。Agave tenuifoliaと混同されてきたようです。【追記】2024年にEchinoagave crypticaとしてアガヴェ属から独立する提案がなされております。

Echinoagave cryptica
https://www.inaturalist.org/taxa/1525251-Echinoagave-cryptica

2022年
★メキシコ西部のBalsas盆地から、新種であるAgave internilloensisが記載されました。Agave gypsicolaに似ていますが、新種は葉が1mを超える大型種です。
★メキシコのOaxaca州西部より、新種であるAgave rosalesiiが記載されました。Agave ellemeetiana var. subdentataより分離されました。

Agave rosalesii
https://www.inaturalist.org/taxa/1373684-Agave-rosalesii

★メキシコのJaliscoより、新種であるAgave martaelenaeAgave servandoanaが説明されました。しかし、データベースへの記載はまだのようです。【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024. により新種として記載されました。

2023年
★メキシコのSinaloaより、新種であるAgave mayoが記載されました。Agave schidigeraと共通する特徴があります。【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024. により新種として記載されました。

Agave mayo
https://www.inaturalist.org/taxa/1497655-Agave-mayo

★メキシコ原産のPolianthes montanaから、Polianthes aarodrigueziiが分離されました。【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024. により、受け入れられず異名にもならない未配置名(unplaced names)とされています。

2024年
【追記】Agave属よりEchinoagaveParaagaveを分離する提案がなされました。まだ、キュー王立植物園のデータベースには記載がありません。
また、PolianthesやManfredaがAgave属から明瞭に分離可能であることも判明しました。このことにより、Agaveに統廃合が進んでいるPolianthesやManfredaが復活する可能性があります。

Echinoagave
https://www.inaturalist.org/taxa/1524995-Echinoagave

Paraagave
https://www.inaturalist.org/taxa/1524996-Paraagave

【追記】メキシコのJaliscoより、新種であるEchinoagave nievesiorumが説明されました。まだ、キュー王立植物園のデータベースには記載がありません。

さて、Agaveの新種を漏れはあるかも知れませんが、大体の種類は収集出来たのではないでしょうか。ここでは、ManfredaやPolianthesが入っていますが、2000年代後半から2010年代前半にかけてManfredaやPolianthesがAgaveに含まれることが遺伝子解析により明らかになりました。そのため、ManfredaやPolianthesは徐々にAgaveへ改名されていきました。しかし、その最中でも新種は相変わらずManfredaやPolianthesと命名され続けたようですね。まあ、結局はAgaveに訂正されてしまいましたが。
【追記】大雑把にAgaveへの統廃合の流れを追って見ました。割り早い時期に行われた遺伝子解析ではPolianthesやManfredaがAgaveから分離出来ないとされましたが、2024年の論文では分離されています。これは、遺伝子解析の質が上がったことも関係あるのでしょう。また、EchinoagaveとParaagaveの独立も提案されており、アガヴェ自体が大きく変わりそうです。気になるため現在論文を読んでいます。近いうちに記事に出来ればと考えております。


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最近の購入品を植え替えるために赤玉土をアマゾンで注文しましたが、何故か到着予定日を過ぎても発送されていないため、キャンセルしました。在庫有り商品だったのに一体何だったのやら。おかげで今年最後の植え替えが出来ませんでした。流石にもう11月ですから、これからの植え替えはなかなか厳しいですよね。最近の購入品は用土が不明ですから、乾き具合が分からないので冬に根腐れする可能性があります。困りました。まあ、仕方がありませんね。さて、そんなこんなでグダグダしていますが、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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Euphorbia tardieuana
トゲナシ花キリンのタルディエウアナですが、勢いは良いものの残念ながら花は咲きませんでした。同じトゲナシ花キリンであるE. geroldiiはよく開花したので、こちらも楽しみにしていました。来年は咲いてくれるでしょうか?


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Euphorbia boiteaui
こちらは挿し木のボイテアウイです。根や主幹が太ってきて、少し見られるようになってきました。


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Euphorbia boiteaui
同じボイテアウイですが、こちらは実生苗です。葉が茂り見えませんが、自然と塊根ができます。しかし、上の挿し木苗と比べると、葉の形が結構違いますよね。これは、挿し木と実生の違いではなく、産地の違いによるタイプ違いに過ぎないような気もします。


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孔雀丸 Euphorbia flanaganii
去年まではよく陽を当てていたので、太く短く締まった枝が出ていました。しかし、枝は割りと短命で、なんとなくみすぼらしい姿となってしまいます。今年は遮光強めにしたところ枝は間延びしましたが、枝の本数は圧倒的に増えました。


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Agave × leopoldii
レオポルディイは2022年の秋のBBで、オマケでいただいた抜き苗でした。発根からスタートしましたが、去年は色味が悪く目立った生長は見られませんでした。しかし、今年は葉が次々と出て色味も良くなりました。新しい葉は繊維が出て特徴が出てきましたね。


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Fouquieria fasciculata
今年のファスキクラタは、相変わらず枝が伸びるだけでした。幹はなかなか太りません。

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太る気配なし。


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9月に行った新宿御苑の温室の記事が未だに続いていますが、今日で最後となります。温室を出て、温室の近辺を少しうろついて帰りました。

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パパイヤ
日本だとパパイヤは寒さで冬に枯れてしまいますが、温室だと枯れないため巨大に育ちます。

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まだ実は小さいですね。

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チェリモヤ Annona cherimoya
昔一度だけチェリモヤの果実を食べたことがありますが、
完熟するとねっとりとして非常に甘く、大変美味でした。それ以降は交配種のアテモヤしか入手出来ていません。

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コバンボダイジュ Ficus delioides
小型のボダイジュというかイチジクの仲間。実物は初めて見ました。

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小さな実が沢山なっていました。

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ウツボカズラ Nepenthes × mixta
温室につきもののウツボカズラです。


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ウコン Curcuma longa
運良くウコンの花が咲いていました。いわゆるターメリックです。


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Aristolochia gigantea
奇怪な花で知られるアリストロキアの花が咲いていました。ギガンテアは去年の5月に神代植物公園で初めて見ましたから、これで2回目の出会いです。

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蕾もまた異様な感じがしますね。そういえば、アリストロキアは腐肉臭や糞便臭などを放ちハエを呼びます。ギガンテアは花弁は柑橘系の香りを放ち、花筒は腐臭を放つそうです。今回は開いた花が高い位置にあったので、残念ながら確認できませんでした。
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アリストロキアにありがちなコルク質のヒビ割れた幹。

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Coelogyne guamense
通路の壁には沢山の蘭がぶら下げてありましたが、時期が悪く咲いていたのはコエロギネ(セロジネ)だけでした。

ここで温室を出ましたが、風が非常に強くなっており、温室の入り口に並べてある鉢植えが倒れていました。帰り道、看板やら傘立てやらみんなひっくり返っていましたから、大した暴風でしたね。

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ヤタイヤシ Butia yatay
ヤタイヤシは耐寒性が強く日本でも野外栽培可能なヤシです。とはいえ、それなりのサイズになりますから、庭に植える人もそうはいないでしょう。

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実が沢山なっています。
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芝生には熟した果実が落ちていました。

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アオノリュウゼツラン
巨大なアオノリュウゼツランですが、このようにのびのびとした場所に植えられず、狭い場所に寄せ植えされがちですよね。
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花茎が伸びていました。右は枯れた過去の花茎です。
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よく見ると花は終わっていて、実がなっていますね。そういえば、今年はリュウゼツランの花が咲いたというニュースが沢山ありましたが、実際のところそれほど珍しい現象ではないような気がします。逆に話題になったから、あちこちで取り上げられただけではないでしょうか。あと、実はアオノリュウゼツランではないリュウゼツランは結構あちこちで咲いていますから、気にして見ると意外と目に入るものです。

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ソテツ Cycas  revoluta
立派なソテツの群生株がありました。奄美大島のソテツは外来のカイガラムシにより、相当やられてしまっているようです。場合によっては壊滅もあり得るかも知れません。これといった対抗手段がないのが、歯痒いところです。

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コーンが出た跡がありました。

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Bauhinia forficata
外にもバウヒニアがありました。これで遭遇したバウヒニアは3種類になります。

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一輪だけ咲いていました。大型の花です。

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穏やかに見えますが、暴風が吹き荒れています。

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帰りに駅付近にある、& Sandwich.のBLTCEサンドを購入。すごいボリューム。

というわけで、新宿御苑の温室を堪能してきました。実に9回に渡りしつこく記事にしましたが、これでも加減したほうです。残念ながら一日天気が怪しかったこともあり、温室以外はほとんど見ていませんが、まあまた行けば良いことです。撮影していない植物もまだまだありますからね。とはいえ、もう11月になってしまいます。今年の植物園巡りはこれで最後かも知れません。来年、春になったら再開しましょう。


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2日連続で多肉植物のイベントに出て、少し疲れてしまいました。土曜日は横浜、日曜日は木更津と、まあ移動時間が長いこと。しばらくは大人しくしていましょう。ということで、本日も我が家の多肉植物たちをご紹介しましょう。

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イヌサフランがちらほら咲いています。香辛料のサフランと異なり、こちらは猛毒です。

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Euphorbia brachyphylla
7月に開催されたヨネヤマプランテイションのイベントで購入したブラキフィラですが、初めて開花しました。

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予想していなかった緑色の花です。

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Euphorbia bubalina
ブバリナも開花が始まりました。まだ開きかけですが、ユーフォルビアとしては割りと大型の花を咲かせます。まあ、大きいのは花弁ではなく苞ですけどね。

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Euphorbia longetuberculosa
ロンゲツベルクロサも葉が出てきました。実生苗なので直根が1本しかなくグラついていましたが、側根が出たのかグラつかなくなりました。


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H. tessellata IB 6776
テセラタIB 6776は幾度も花を咲かせ好調でしたね。IB 6776はテセラタの中でも風変わりな外見です。


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Aloe thompsoniae
トンプソニアエが非常に元気で、良い葉が出ています。


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白磁盃 Aloe pratensis
白磁盃が非常に元気。しかし、国内で販売されている白磁盃は、何だかA. humilisの血が入っているような気がしますが、どうでしょうかね?


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新天地 Gymnocalycium sagrionis
新天地は季節に関係なくトゲを出している気がします。冬でも新トゲ出していますよね。


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こちらは野良多肉のH. cooperiらしきハウォルチア。周年野外栽培というか割りと放置気味です。非常に丈夫で、増えたり根詰まりおこして枯れたりして、勝手に更新しているようです。
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花はやや根元が膨らんだ形で、色は全体的に白っぽいですね。放置していても花はよく咲きます。

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士童 Frailea castanea
こちらは野良サボテンの士童です。同じく周年野外栽培かつ雨ざらしです。雑草も取りませんが、真夏は良い遮光になっているみたいです。勝手に増えて更新しています。



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土曜日は横浜のイベントに行ったのに、日曜日は木更津のイベントです。何故か集中しますね。木更津C&Sは今年2回目ですが、前回は仕事があり行けませんでした。ですから、今回は是が非でもと楽しみにしておりました。
さて、朝から天気はあまりよろしくない感じでした。昨日は30℃を超えたのに、今日の朝は肌寒く感じました。今回も東京駅にあるバスターミナル東京八重洲から、高速バスで木更津にあるかずさアカデミアホールに向かいます。

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曇り模様のレインボーブリッジ。

高速バスはすこぶる順調で、9時半頃には到着しました。それからは、ゆっくり1時間ほどかけて見て回りましたが、卓の数が毎度増えていますね。お客さんの入りも上々といったところでしょうか。高速バスも混雑していました。

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今回の木更津C&Sの傾向は、かなり多彩でした。木更津C&Sの傾向というより、多肉植物業界自体が全体的に多様化していますよね。今回はサボテンや筒アナナスの専門店もあり、ユーフォルビア、アロエ、コーデックス全般、アガヴェ、メセン、エケベリアなど何でもある感じがします。パキプスやパキポディウムの可愛らしい苗も沢山ありました。
さて、今回の木更津C&Sはユーフォルビア中心に購入しました。まずはBabyleaf Plantsでアデニア、その後に2店舗でユーフォルビアなどを4つ購入し、最後にラフレシアリサーチで激安のコミフォラ苗を購入しました。
ということで、以下購入品です。
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Adenia keramanthus
大柄なアデニア苗。我が家のアデニアはつる性が高いものばかりですが、こちらは樹木としての性質が強そうです。全体的に産毛が生えています。原産地はソマリア、ケニア、タンザニア。

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Euphorbia biselegans
(Monadenium elegans)
買ってから気が付きましたが、このユーフォルビアはあちこちにあり、安い実生があったんですよね。わざわざ育った株を買ってしまい失敗しました。まあ、サイズからすると、激安だとは思いますが。旧・モナデニウムですが、すでにE. elegansという名前のインド原産の雑草があるため、モナデニウムからユーフォルビアに移行する際に「2」を表す「bis-」を接頭につける羽目になりました。タンザニア原産。

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Euphorbia cryptospinosa
棒状(Pencil-stem)のユーフォルビア。マダガスカルや南米が有名ですが、このような形状のユーフォルビアは世界中に存在します。原産地はエチオピア、ソマリア、ケニア。

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Euphorbia cuneata var. pumilans
一見して何の仲間だかわかりませんでしたが、どうやらAthymalus亜属のようです。Athymalus亜属はE. balsamiferaが有名ですが、基本的に多肉植物ではありませんね。E. cuneataはSection Lyciopsisのようです。ケニア、タンザニア原産。

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Euphorbia sipolisii
ブラジル原産。Section Brasiliensisは初めてです。

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Commiphora aff. orbicularis
オルビクラリス類似種と言っていますが、若干怪し気な雰囲気を醸し出していますね。

今回の木更津C&Sは、私の好きなユーフォルビアが非常に豊富で、まさかのユーフォルビア・ブームの到来かと思わせるくらいでした。私も目移りしてしまい、だいぶ悩みましたが、ちょいと変わりどころをチョイスしました。最近、気になっているアデニアも入手出来て大変満足度が高いイベントでした。次のイベントは五反田TOCに戻ったビッグバザールですかね。

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帰りは晴れて陽射しが強くなりました。


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毎度お馴染み、横浜のヨネヤマプランテイションで開催された多肉植物BIG即売会、いや名称が変更されたのか「多肉植物BIGフェア」となりましたが、まあとにかく行って参りました。
朝イチで行きましたが、まあまあの人の入りでした。今回はファームの名前ごとの売り場となっていましたね。

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さて、今回はかなり盛大で、入荷先が違うせいか種類もまた多様でした。お馴染みのアガベやパキポディウム苗、ユーフォルビア、アロエ、あとサボテンも結構ありましたね。普通にホルスティーが売っていてちょっと驚きました。オトンナも出てきています。さて、まず気になったのはソテツです。様々なサイズのDioon spinulosumが沢山ありました。また、Cycas angustifoliaは非常に高額、Cycas debaoensisは買える値段でしたが、明日もイベントがあるため今回は断念しました。あと、何種類かのつる性の塊根植物の苗がまとめて並べられていました。やたらマニアックなものも普通に入手可能になったものですね。一通り見た後に何やら目立たない灌木の小苗があったので、よくよく見たらコミフォラでした。最近、コミフォラの論文の記事をあげたこともあり、ついつい買ってしまいました。まあ、コミフォラは多肉植物でもコーデックスでもないような気もしますが、えらく安かったのでうっかりです。コミフォラは流通量が少ないせいか、今回のような小苗は初めて見ました。珍しいですね。

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Commiphora mildbraedii
エチオピア、ケニア、タンザニア原産。


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Commiphora holtziana
ボルトジアナは現在はC. katafの異名となっているようです。東アフリカからアラビア半島の原産。

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Commiphora pseudopaulii
ケニア、ソマリア原産。

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Euphorbia heterodoxa
以前、イベントでヘテロドクサとウェベルバウエリが並べて売られていて、ウェベルバウエリを買ったらヘテロドクサの名札がついていたことがありました。ということは、あのときのヘテロドクサにはウェベルバウエリの名札がついていたのでしょうか? というしょうもない思い出があるヘテロドクサですが、あまり見かけないタイプのユーフォルビアです。久しぶりに見たので購入しました。ブラジル原産。カクタス広瀬株。
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開花中でした。

今年は国際多肉植物協会のイベントであるSucculent Stationがなかったので、タナベフラワーに行っていません。ヨネヤマプランテイションの帰りに寄ろうかと思いましたが、明日は木更津のイベントに行くつもりなので、無理はしないことにしました。イベント開催という口実がないと遠出は億劫になってきました。来年はイベントが復活しないですかね? ということで、ヨネヤマプランテイションで開催された多肉植物BIGフェアでした。いつもと違う変わりどころを入手出来て非常に良かったです。

【緊急】
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入り口の前に並んでいた観葉植物の中に立派なソテツがありましたが、びっちりとカイガラムシがついていました。ちょっと頭をかすめたのですが、現在進行形で奄美大島などで外来カイガラムシ、通称CASが猛威を振るっております。奄美大島では苗などを島外に送らないようにという注意喚起がなされています。このカイガラムシがCASではないことを願っております。もし、これがCASならば関東一円に拡がってしまう可能性もあります。まあ、このカイガラムシがCASである確証はありませんが、個人的にCAS感染株を小包でやり取りした場合には検知不可能ですから、どちらにせよCASの本土上陸は防ぎようがありません。時間の問題でしょうね。ソテツは食用に加工はされてはいるものの、基本的には食糧作物ではありませんから、それほど本腰を入れて対策される可能性は低いでしょう。何やら憂鬱な気分になってしまいました。


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9月に行った新宿御苑の温室の続きです。植物園の記事は人気がありませんが、個人的には植物園は面白くて仕方がないので記事は終わりません。

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サガリバナ Barringtonia racemosa
残念ながら花期が終わってしまっています。一夜花。アフリカ東岸・マダガスカルからインド、東南アジア、ニューギニア、オーストラリアまでと非常に分布が広い植物ですが、種子が海流に乗って広まるタイプのようです。日本でも奄美大島以南に自生します。湿地の植物。

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樹の下には沢山の花がらが落ちていました。タイミング的には散ったばかりかも知れません。
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探したら一輪だけ咲いていました。沢山あるのは雄しべです。

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スイレンがひっそりと咲いていました。

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名前のわからない巨大なイモが何気なくあったりします。

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滝の裏側を通ります。

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Dichorisandra thyrsiflora
Blue Gingerの蕾が膨らんできています。ジンジャーと言うものの実際にはツユクサ科植物です。ブラジル原産。


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ヒシガタホウライシダ Adiantum trapeziforme
実に目を引く大型のアジアンタム。別名シシガタホウライシダ。中南米の原産。
ちなみに、A. trapeziformeという名前は3種のシダ植物に命名された名前です。ヒシガタホウライシダはCarl von Linneが1753年に命名したものですが、1762年に命名されたA. trapeziformeはAsplenium marinum var. marinum、1786年に命名されたA. trapeziformeはAdiantum cunninghamiiの異名となっています。この2種の
A. trapeziformeという名前は"sensu auct."、つまりは本来指定された植物と異なる植物に使用されてきたようです。

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フイリソシンカ Bauhinia variegata
バウヒニアは板橋区立熱帯植物館で見たB. purpureaに続いて2種類目。世界中の熱帯域で栽培されています。インド、バングラデシュ、ミャンマー、ネパール、タイ、ベトナム、中国南部の原産。キュー王立植物園のデータベースでは何故かパナマも自生地となっていますが、どうなんでしょうね?
未だにバウヒニアの花は見たことがありませんでしたが、温室の外のバウヒニアが開花していました。次回の記事でご紹介します。


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ベニマツリ Rondeletia odorata
実にまとまりの良い一見して作り物のような紅茉莉の花が咲いていました。キューバ原産。

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マカダミア Macadamia integrifolia
ひっそりと目立たない場所にマカダミアがありました。インテグリフォリアはもっとも一般的なマカダミアのようです。板橋区立熱帯植物館ではM. tetraphyllaがありましたがいずれもまだ小さな樹です。マカダミアの実がなりそうな成木にはまだ出会えていません。オーストラリア原産。

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ゴレンシ Averrhoa carambola
いわゆるスターフルーツです。断面が星形になる面白い果実がなりますが、要するに巨大なカタバミの実です。しかし、カタバミの樹というと不思議な感じがしますね。インドネシア原産ですが、東南アジア一帯や南米で栽培されます。

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ゴレンシの葉。

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タビビトノキ Ravenala madagascariensis
オウギバショウが正式な名前のようですが、タビビトノキが一般的です。植物園の温室にはつきもののようで、これで3回目の出会いです。オウギバショウという名前ですが、バナナの仲間ではなくゴクラクチョウカの仲間のようです。マダガスカル原産。


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Osmoxylon lineare
ウコギ科のオスモキシロンが開花していました。1月に行った板橋区立熱帯植物館でも花を見たので、これで2回目です。あまり馴染みがない植物ですが、温室では一般的なのでしょうか? フィリピン原産。

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お菓子のような面白い花です。


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最近Yahooニュースで、イスラエルの洞窟からおよそ1000年前のコミフォラの種子が発見され、播種したところ発芽したという記事があがりました。日本でも古代蓮の例がありますが、古い時代の埋蔵種子の復活はなかなかロマンがあります。コミフォラ自体は日本人にはあまり馴染みがありませんが、近年では多肉植物ブームにより非常に高価ではありますがチラホラ見かけるようになりました。コミフォラは日本では観葉植物の域を出ませんが、海外では意味合いが異なります。何せ聖書に出てくる没薬とは、コミフォラやボスウェリアの樹脂のことだからです。

しかし、記事を読んでみても、どうも今ひとつ頭に内容が入ってきませんでした。例えば、「学者による種レベルの解析に必要な繁殖物質がつくられていないからだ」とか、何やら不自然な文章でよく意味がわかりません。これはおそらく、植物の分類や種の同定は花が基準になっていますから、未開花だと種の同定が難しいですよという意味でしょうか。わかりにくいので、元の論文をよんでみることにしました。ということで、Sarah Sallonらの2024年の論文、『Characterization and analysis of a Commiphora species germinated from an ancient seed suggests a possible connection to species mentioned in the Bible』をご紹介しましょう。

コミフォラとは
Commiphoraは乳香(Frankincense)や没薬(Myrrh)が豊富なブルセラ科の仲間で、主にアフリカ、マダガスカル、アラビア半島に分布します。この仲間の生産する芳香性樹脂やオレオレジンのために、経済的および民族植物学の観点から評価されてきました。オレオレジンが民族医療に用いられている25種のコミフォラのうち、C. gileadensisは「ユダヤバルサム(Judean Balsam)」または「ユダヤの香油(Balm of Gilead)」の候補であると考えられてきました。ユダヤバルサムは死海流域のオアシスで少なくとも1000年以上に渡り独占的に栽培されてきました。古代ユダヤのもっとも重要な輸出品であり、その芳香性と経済的な意味合いで高く評価されてきました。しかし、ユダヤバルサムは9世紀までに姿を消し、その正体について論争が続いています。候補であるC. gileadensisは記述された形態との違いや、南レバント(イスラエル、パレスチナ、ヨルダン)にコミフォラが発見された遺跡がなく、今日においても在来のコミフォラは存在しないことから、異論の余地があります。

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Balsamodendrum opobalsamum
 =Commiphora gileadensis
「Medical plants.」(1880年)より。


古代の種子の復活
1986年から1987年にかけて実施されたユダヤ砂漠北部の洞窟の考古学調査の際に、正体不明の種子が発見されました。種子の放射性炭素年代では、西暦993年から1202年と推定されます。種子は大学に保管され、2010年に温室で播種されました。謎の種子は播種より約5週間後に発芽しました。
「Sheba」というあだ名をもらった苗は、コミフォラ属に典型的な形態学的特徴を示しました。現在は実生より14年経ち、高さは約3mになりました。樹皮は淡い緑がかった褐色で薄くシート状に剥がれ、その下は濃い緑色です。また、12月から4月までの涼しい時期には落葉し、樹皮を傷つけると透明のオレオレジンが少量出ます。しかし、葉や樹皮、樹脂からは、香りはほとんどありませんでした。「Sheba」はまだ開花していないため、現時点では種を判別する材料がありません。


遺伝子解析
「Sheba」と他のコミフォラ属109種との分子系統解析を行いました。「Sheba」は種が多く広範囲に分布するSpinescens cladeに含まれる、南アフリカ原産のコミフォラであるC. angolensis、C. neglecta、C. tenuipetiolataの姉妹種であることが判明しました。Spinescens cladeにはトゲのあるタイプと、商業的にオレオレジンが採取されるコミフォラのほとんどを含みます。
しかし、約200種知られるコミフォラのうち109種しか解析していないため、既存種と一致するものがあるかわかりません。そのため、ラテン語の学名を決定することができません。

仮説1 Judean Balsam
著者らは「Sheba」は古代に栽培されていた「ユダヤバルサム」あるいは「ユダヤの香油」の候補なのではないかと考えました。ユダヤバルサムのオレオレジンは古代ユダヤのもっとも貴重な商品であり、ローマ帝国に輸出されたオレオレジンは香水やお香、白内障の治療、防腐剤、解毒剤、儀式に用いられました。
死海地域のオアシスで栽培されていたユダヤバルサムは、古代ユダヤ特有のものとされています。しかし、その原産地であるとは考えられておりません。StrabonやJosephus Flaviusなどの古代の評論家は、その起源をエチオピア、エリトリア、南アラビアの一部を含む、古代Saba王国としています。古代Saba王国は香木やスパイス貿易への関与が知られています。南アラビアとイスラエル王国の交易は年代的にこの時代まで遡ることができます。ユダヤバルサムがユダヤに導入されたのは、紀元前10世紀、または紀元前8世紀のアッシリアによるイスラエル征服後であることが示唆されます。しかし、その経済的重要性にもかかわらず、ユダヤバルサムは「真のバルサム」(true Balsam)と共に9世紀までには姿を消しています。エジプトのヘリオポリスにあるAyn Shams (Matariyya)の庭園にのみ残り、ユダヤ原産とされる不稔株(sterile strain)が16世紀まで栽培されていたと言われています。

Judean Balsamとは?
ユダヤバルサムの同定は長い間、議論の的となってきました。18世紀以来、C. gileadensisがユダヤバルサムのもっとも有力な候補と考えられてきました。C. gileadensisは一般的に「ギレアドの香油」として知られ、アラビア半島と北東熱帯アフリカ原産の低木です。古代からユダヤバルサムの画像はほぼ残っていませんが、6世紀に描かれたモザイク画では、3葉の低木状の茂みがユダヤバルサムのプランテーションを表していると考えられています。しかし、Balanites aegypticaを含むいくつかの樹脂を生産する樹木もユダヤバルサムの候補です。また、C. gileadensis以外にも芳香性樹脂を目的に栽培されるC. africana、C. schimperi、C. habessinica、C. wightiiも候補です。
「Sheba」の葉や樹脂の化学成分の分析ではコミフォラの主要な芳香成分は検出されず、燃やしても揮発性の芳香成分は検出されませんでした。よって、「Sheba」は商業的な利用はされておらず、ユダヤバルサムではないと考えられます。

仮説2 "tsuori"
「Sheba」の成分分析では、創傷治癒や抗炎症、抗菌、抗ウイルス、肝臓保護、抗腫瘍活性があるとされる化学成分が検出されており、「Sheba」がその芳香目的ではなく医療などに利用されていた可能性があります。聖書には樹脂の抽出物である「tsuori」が記載されており、治癒に関連する貴重な物質であると考えられています。ちなみに、「tsuori」には芳香性があるという記述はありません。
聖書の「tsuori」は、紀元前18〜16世紀(中期青銅時代)の聖書資料(創世記)と、紀元前7〜6世紀(鉄器時代II)の文献(エレミア書)で言及されており、長い間議論の的となってきました。「tsuori」をユダヤバルサムと同一視する意見もありますが、それを証明する証拠は不十分です。聖書に登場する「tsuori」はおそらくは地元に分布し、死海・ヨルダン地溝帯のGilead地域と関連付けられます。古代のGilead地域は山岳の豊かな森林で、その下には肥沃は谷なあり、歴史を通じて集中的に耕作されてきました。「Sheba」もまた死海・ヨルダン地溝帯の洞窟で発見されています。
薬効成分のうち、五環性トリテルペノイドはC. confusaとC. holziannaで検出されています。「Sheba」の葉や茎には、皮膚軟化作用、抗酸化作用、保湿作用、抗腫瘍作用などが確認されている多価不飽和脂肪酸であるスクアレンが高濃度(30%)に含まれています。「Sheba」の樹脂から検出された糖脂質化合物は他には報告がありません。


「Sheba」の謎
著者らは「Sheba」が聖書に記述された「tsuori」である可能性を指摘しました。さらに、著者らは何故「Sheba」がユダヤ砂漠の洞窟に埋もれていたのかを考察しています。
コミフォラの果実を鳥が食べたり、種子を小型のげっ歯類が埋めて備蓄することが分かっています。発見された種子が少ないことからも、動物により運ばれ埋蔵された可能性は否定できません。しかし、人為的に種子が洞窟に保管されていた可能性も依然として存在します。
西暦9世紀にこの地域からユダヤバルサムが姿を消してしばらく経った時期には、かなりの政治的、社会的動乱が起こりました。動乱は初期ファーティマ朝とセルジューク朝の争い、1099年の第1回十字軍の到来、12世紀初頭に建国されたエルサレム王国の領土拡大のための戦争を経て、1289年のエルサレム王国の崩壊まで続きました。地元住民と支配者との戦闘や経済的困難から、この時期のユダヤ砂漠のいくつかの洞窟を織物など地元の物品の安全な保管場所として利用していた考古学的な証拠があります。しかし、他の遺物がほとんどないことから、住居としては使用されていなかったことが示唆されます。
おそらく商業と関係があった「Sheba」の生き残りから採れた種子は、洞窟に隠すほど貴重だったのかも知れません。この遺跡からは、銅器時代(紀元前5千年紀)の人骨、紀元前1世紀から4世紀のナツメヤシの種子、ローマ時代の遺跡などが見つかっています。


再びのJudean Balsam
もし、外来種とされるユダヤバルサムがコミフォラ属であったならば、在来の「Sheba」などを台木として接ぎ木されていた可能性もあります。その場合、C. gileadensisとの違いや、時代ごとにユダヤバルサムの記述が変化する謎が説明できます。例えば、「ザクロに似た背の高い木」(紀元前4世紀、テオプラストス)、「小さな低木サイズの木」(1世紀、ストラボン)などです。これらの変化は、何世紀にもわたる栽培化によるC. gileadensisの栽培品種であると説明されてきましたが、接ぎ木による穂木の活力低下により矮性化が引き起こされた可能性があります。接ぎ木は台木による種子中絶(abortion)や種無し果実を引き起こす単為結果(parthenocarpy)と関連するため、ユダヤバルサム栽培に関連する発掘現場からコミフォラの種子が発見されない理由かも知れません。接ぎ木は、紀元前1800年頃に開発され、紀元前5世紀までにギリシャに定着し、ローマ時代には一般化しており、紀元前4世紀からその支配下にあったユダヤ農民には馴染みがあった可能性が高いと言えます。接ぎ木の利点として、死海地域のストレスの多い乾燥貧栄養状態への適応、土壌の病原菌、土壌のpH、塩分、干ばつ、洪水などのストレスへの耐性の向上が挙げられます。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
聖書が啓典宗教にとって重要な意味を持つことは、皆様よくご存知のことと思いますが、対するこだわりは思った以上です。例えば、聖書に登場する植物だけをまとめたマニアックな本ですら昔から沢山出版されているくらいです。古代の洞窟から発見された種子「Sheba」がコミフォラとわかった時は、研究者たちも色めき立ったことでしょう。「Sheba」は重要かつ謎多きユダヤバルサムの可能性すらありましたが、残念ながら「Sheba」からは芳香成分は検出されませんでした。著者らは治癒に関連する「tsuori」である可能性を考えています。しかし、直接的な証拠はなく、今後の発掘調査に期待する感じでしょうか。
さて、論文では遺伝子解析をしていますが、種の同定にまで至っておりません。現実的にすべての種との比較はなかなか難しいでしょう。この論文で外見的特徴による同定がなされていないのは、葉や茎だけでは種の判別が難しいからということのようです。植物の同定は花が重要なため、「Sheba」は未だに開花していないため同定できません。「Sheba」の開花のニュースを待つしかなさそうです。


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出かけたいのは山々なのですが、最近は妙に忙しく多肉植物を見ている時間すらなかなか取れません。今週末は木更津でイベントが開催され行く予定ではありますが、疲労でダウンしてしまうかも知れません。さて、多肉植物たちにもチラホラ花芽が見え始めていますが、本日も我が家の多肉植物たちをご紹介しましょう。

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闘牛角 Euphorbia schoenlandii
闘牛角の花が完全に開きました。両性花なんですかね?


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Euphorbia hofstaetteri
ホフスタエテリの花が色付いてきました。徐々に紅い模様が入ります。


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リップマンジャー
小型の花キリンのリップマンジャーですが、非常に元気でよく開花しています。剪定を繰り返して花を増やしたいですね。


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H. triangularis
トリアングラリスがなかなか美しい仕上がり。このH. triangularisは学術的に記載された名前ではなく、古い時代にAloe triangularisと命名された植物を、ハウォルチア属に移したものです。要するに園芸名で、その正体はH. viscosaとされているようです。


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H. rynveldii
リンヴェルディイはもう少し日当たりよくしても良さそうです。


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Aloidendron ramosissimum
ラモシシムムは今年はよく生長しました。


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こちらは周年、屋外栽培しているオブツーサです。cymbiformis系かcooperi系かわかりませんが、とにかく丈夫で手間いらずです。


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9月に行った新宿御苑の温室の続きです。多肉植物が沢山あった乾燥地のゾーンが終わり、熱帯のジャングルに入ります。

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タイヨウフウトウカズラ Piper postelsianum
特に外見的に目についたわけではありませんが、ピペル属、つまりはコショウの仲間なので気になりました。小笠原諸島の母島の固有種。自生個体はわずか1個体しかない絶滅危惧種。


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サポジラ Manilkara zapota
chicle、つまりチューインガムの意味で呼ばれる高木。樹皮にラテックスが豊富でチューインガムの原料となります。完熟果は柔らかく甘みが強く、干し柿に似ていると言われています。中米周辺の原産。


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タコノキ Pandanus boninensis
タコノキに実がなっていました。小笠原諸島の原産。

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気根が伸びて幹を支えます。海岸線に生えるため、砂地でも倒れない工夫でしょうか。
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足下にも実が転がっていました。

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ムユウジュ Saraca asoca
いわゆる、無憂樹。仏教三大聖樹の1つで、釈迦が生まれた場所にあった木とされているようです。マメ科植物。インド、スリランカ、ヒマラヤ地域の原産。


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インドボダイジュ Ficus religiosa
こちらも仏教三大聖樹で、釈迦が悟りを開いた場所にあった木とされています。熱帯のイチジクなので、気根が沢山出て、1個体で広大な面積を占有したりします。

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インドボダイジュの葉は先端が細長く伸びています。これを滴下尖端と呼び、雨だれが高率良く流れ落ちるのだと言われているようです。

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カカオノキ Theobroma cacao
筑波実験植物園では幹から直接咲く奇妙な花を見ることが出来ましたが、カカオの実がなっているのははじめて見ました。南米北部の原産。

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デイコ Erythrina indica
非常に分布が広いマメ科植物。台湾や中国南部からニューギニア、オーストラリア北部、東南アジアからインド、アッサム、そしてマダガスカルとタンザニアまでが自然分布とされているようです。要するに、海流に乗ってインド洋から東南アジア、ミクロネシアやメラネシアに拡がったということなのでしょうか。ちなみに現在ではE. variegataに含まれます。和名はデイコだったりデイゴだったりします。


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ロウソクノキ Parmentiera  cereifera
幹から直接花を咲かせる幹花性ですが、残念ながら花は咲いていませんでした。細長い面白い実をつけるので、いつか見てみたいものです。パナマ原産。


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Tacca chantrieri
東南アジアに広く分布するタシロイモの仲間。クロバナタシロイモという名前もあるようです。奇怪な花でよく知られています。

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中国南部に自生するT. chantrieriは観察してもそれらしい花粉媒介者が訪れないため、どのように繁殖しているのか分かっていません。そういえば、神代植物公園でも花を見ています。

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ショウベンノキ Turpinia ternata
幹を切ると水が沢山出るところから、この酷い和名がついたらしいのですが…。四国以南の日本から台湾に分布。ちなみに、現在の学名はStaphylea ternataとなっています。


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何やら巨大なイモ。こういうサトイモ科植物は沢山種類があるため、よくわかりません。

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オオハマオモト Crinum asiaticum var. sinicum
タイワンハマオモトとも呼ばれる大型のハマオモト。

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タイミングよく花が咲いていました。見上げる高さ。我が家にもハマユウ(ハマオモト、C. asiatica v. japonicum)がありますが、サイズ感が違います。


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めっきり冷え込む日も出てきました。雨が多いのは困りますが、まあ仕方がありません。そろそろ、多肉植物たちのこの1年の生長を確認する頃合いかも知れません。さて、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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闘牛角 Euphorbia schoenlandii
闘牛角は枯れた枝が長く残り、荒々しいトゲに覆われた姿になります。一見してバリダの花柄の跡に似ていますが、闘牛角はタコものユーフォルビアなので、ゴルゴニスや孔雀丸の枝と同等なものです。

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よく見ると花が咲いていました。

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閃光閣 Euphorbia knobelii
実生の閃光閣が非常に元気です。3分頭しましたが、これは今年生長した分です。


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Agave multifilifera
ムルティフィリフェラはあまり大きくはなりませんでしたが、今年は強光に当てて非常に締めて育てました。以前、植え替えた時に、葉が軟弱で根元からポキポキ折れてしまい難儀しました。しかし、現在は触ると非常に硬くがっしりしています。


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Aloe pseudoparvula
プセウドパルヴラは生長が良く、青白い葉が非常に美しいですね。全体的に扁平なロゼットでしたが、葉な立ち上がり少しだけA. parvulaに似てきました。


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Gasteria bicolor
このビコロルは元々葉が長いタイプではありますが、流石に徒長気味ですかね。同じ環境に置いていても、ビコロルとG. verrucosaだけ徒長している感かあります。


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H. glauca v. herrei RIB 0217
フィールドナンバーつきのヘレイです。株分けしたというか、植え替え時に外れてしまったやつです。今年は結構育ちましたね。


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逆鱗竜 Euphorbia clandestina
これはいけません。たぶん赤ダニです。とりあえずベニカXをかけましたが、ダニにどれだけ効くかわかりません。殺ダニ剤を作らないといけないかも知れませんね。



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去年の10月に、2010年以降に発見されたセダムについての記事を書きました。本日はあれから1年経って、当時は論文が出ただけで正式に記載されていなかった新種がどうなったのでしょうか。答え合わせの時間です。さらには去年の記事からは漏れていた種もいくつか追記しました。新たな情報には【追記】と表記してあります。あと、いくつかスペルミスもあったので修正しました。

Sedumは丈夫で育てやすく、寄植えやグランドカバーなど用途の幅も広く、その種類も非常に沢山あります。しかも、近年に至っても沢山の新種が発見されています。新たな調査により発見される場合もありますが、近年の特徴は遺伝子解析による新種の発見でしょう。産地ごとの微妙な違い程度と考えられて変種や亜種とされてきたものが、遺伝子解析により分離されるという報告がなされるようになりました。このように、新種の発見は大変興味深いものです。しかし、我々趣味家には中々情報が入って来ないものです。本日はそんなセダムのここ10年と少しの新種について、ごく簡単にご紹介しましょう。ただ、私もそのすべてを歩漁出来ませんから、おそらくご紹介出来たのはその一部に過ぎないかも知れません。

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Sedum spp.
『Illustrations of the British flora』(1908年)より。


2010年
★米国のアイダホ州から新種であるSedum valensが記載されました。


2012年
★メキシコから新種であるSedum kristeniiが記載されました。
★メキシコとグアテマラから新種であるSedum mesoamericanumが記載されました。
★中国の鉛・亜鉛鉱山地域から新種であるSedum plumbizincicolaが記載されました。
★メキシコから新種であるSedum perezdelarosaeが記載されました。
★メキシコから新種であるSedum jarochoが記載されました。
★メキシコから新種であるSedum brachetiiが記載されました。


2013年
★台湾の石灰岩地から新種であるSedum tarokoenseが記載されました。
★中国から新種であるSedum kuntsunianumが記載されました。


2014年
★米国のカリフォルニア州から新種であるSedum citrinumが記載されました。
★中国から新種であるSedum spiralifoliumが記載されました。


2015年
★メキシコから新種であるSedum moniliformeが記載されました。Sedum longipesに良く似ているということです。
★メキシコから新種であるSedum piaxtlaenseが記載されました。
★メキシコから新種であるSedum pyriseminumが記載されました。
【追記】フランスとイタリアの狭い地域から、新種であるSedum aquilanumが記載されました。イベリアとモロッコの固有種であるS. nevadensisであると考えられてきましたが、新たな調査により新種であることが判明しました。


2016年
★東アフリカのケニア山高地から、新種であるSedum kenienseが記載されました。


2017年
★日本の男女群島より新種であるSedum danjoenseが記載されました。Sedum formosanumとされてきましたが、遺伝子解析により別種として分離されました。
★メキシコから新種であるSedum sinforosanumが記載されました。
★中国からSedum peltatumが説明されました。しかし、キュー王立植物園のデータベースには記載がありません。


2019年
★中国の石灰岩地から新種であるSedum lipingenseが記載されました。
★中国から新種であるSedum ichangensisが記載されました。
★台湾から新種であるSedum kwanwuenseSedum taiwanalpinumが記載されました。


2020年
★中国から新種であるSedum nanlingenseが記載されました。Sedum onychopetalumやSedum kiangnanenseに近縁とされます。
★ペルー北部から新種であるSedum hutchisoniiが記載されました。
★日本の小笠原諸島から新種のSedum mukojimenseが記載されました。Sedum boninenseから分離されました。
【追記】日本の宮古島から新亜種であるSedum formosanum subsp. miyakojimaenseが記載されました。基準種であるS. formosusと比較したところ、多年性で多結実性、側腋枝を持つなど異なる特徴があります。


2022年
★メキシコから新種であるSedum dormiensが記載されました。
★日本の九州地方から沖縄に分布するSedum japonicum subsp. uniflorumあるいはSedum uniflorumとされるセダムは、Sedum ryukyuenseとされました。これは、1838年に記載されたSedum uniflorum Hook. & Arn.は、過去に同名のセダムが命名されていたため非合法名として命名され直されました。ちなみに、同名のセダムとは、1810年に命名されたSedum uniflorum Raf.(=Phedimus stellatus)です。 


2023年
★中国から新種とされるSedum jinglaniiが説明されました。【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024. により新種として記載されました。
★中国から新種とされるSedum yangjifengenseが説明されました。【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024. により新種として記載されました。
★中国から新種とされるSedum danxiacolaが説明されました。
【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024. により新種として記載されました。
★日本の九州地方の石灰岩地より、新種とされるSedum kawaraenseが説明されました。Sedum lipingenseに近縁とされます。
【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024. により新種として記載されました。

2024年
【追記】中国の浙江省より新種であるSedum xunvenseが説明されました。S. formosanumに似ていますが、いくつかの特徴と遺伝的に独立していることが確認されています。しかし、まだキュー王立植物園のデータベースには記載がありません。

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Sedum bourgaei
『Addisonia』(1917年)より。


セダムは種類が多く皆よく似ていますから、種類の判別は中々困難です。意外にも日本でもまだ新種のセダムが見つかっていますが、その経緯は種の整理や分離独立といった形です。これは、日本のセダムが広く分布する種類と似ていたら、基本的に広域種の地方変異程度に考えてしまうため、このような事態となっているのでしょう。今は遺伝子解析という武器があるため、隠蔽されていた新種が見つけ出されたのです。これからも、このようなケースは増えてくることは確実ですから、場合によっては新種が次々と見つかる可能性もあります。セダムはある意味、今熱い分野なのかも知れませんね。

【追記】
そういえば、セダムを含むベンケイソウ科の分類は、ここ10年ほどの研究成果により大きな転換期を迎えています。遺伝子工学の発展により進化関係を類推出来る分子系統解析の精度が高まり、ベンケイソウ科植物についてもいくつかの研究がなされています。その成果によると、セダムとされてきた植物は実はまとまりがなく、多系統であることが判明したのです。今までの分類はあくまでも外見的な特徴によるものでしたが、その分け方が必ずしも妥当なものではなかったということです。しかし、セダム属はあまりにも種類が多いため、そのすべてを解析することはなかなか困難で、かつベンケイソウ科全体の改変が必要なことから、分類の変更はなされていません。しかし、研究が進めばベンケイソウ科は改変される可能性が高いでしょう。その時、エケベリア属など馴染みのある名前が統合されて無くなるかも知れません。どのように分類されていくのか、注意深く見守っていきたいと思います。


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9月に行った新宿御苑の温室の続きです。乾燥地の植物ゾーンにいますが、いよいよ主役であるサボテンやユーフォルビアが登場します。

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Haworthia asperiuscuta
硬葉系ハウォルチアはHaworthiopsisとして軟葉系ハウォルチアから独立しましたが、植物園のハウォルチアは基本的にラベルはそのままです。こちらも明らかにHaworthiopsisなのですが、聞いたことがない名前です。七重宝塔という名前もあり、H. asperiusculaとと表記されている場合もあるようです。まあ、どう見てもH. viscosaかその交配種ですよね。調べてみると、正しい表記はH. asperiusculaの方で、ラベルの名前は誤記ですね。やはりと言うか、H. viscosa var. viscosaの異名でした。タイプ違いくらいのものですかね。


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スミダノユキ Euphorbia grandidens
樹木状になるユーフォルビアです。南アフリカ、スワジランド、モザンビークの原産。


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白条キリン Euphorbia leuconeura
マダガスカル原産の花キリン。花キリンにはいくつか系統がありますが、何に近縁なのでしょうか。

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幹は独特のヒビ割れによりブロック状の模様があります。

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沖天閣 Euphorbia ingens
沖天閣はアフリカの角からタンザニア、ザイールまでアフリカ大陸を横断し、そのライン以南のアンゴラと南アフリカ西部以外の恐ろしく広い地域に分布します。高さ10mを超える巨大なユーフォルビア。


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朝霧閣 Ritterocereus pruinosus
Ritterocereusは現在Stenocereusに吸収されたため、Stenocereus pruinosusとなっています。


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アオサンゴ Euphorbia tirucalli
手前の金鯱ではなく、奥にあるモサモサしたやつです。ミドリサンゴとかミルクブッシュとも呼ばれます。原産地は熱帯アフリカあるいは東アフリカと書かれていることが多いのですが、実際には世界中に移植されているため原産地は長らく不明でした。しかし、キュー王立植物園のデータベースを見てみたら、いつの間にやらマダガスカル原産となっていました。何か関係する論文が出たのかも知れません。


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Zamia pumila(誤)
こちらは近年ではすっかり普及したヒロハザミア(メキシコソテツ)ですが学名が間違っています。Z. pumilaではなくZ. furfuraceaが正しい学名です。ヒロハザミアはプミラあるいはフルフラケアと呼ばれて販売されていますが、本来はそれほど似ているわけではありません。以下のキュー王立植物園のプミラの標本を見れば、葉の形がまったく異なることがわかります。

Zamia pumila
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:270561-2/images

Zamia furfuracea
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:270522-2/images

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リュウケツジュ Dracaena draco
温室栽培だと原産地のような威容は再現出来ないようです。筑波実験植物園の個体も、やはりなかなか分岐せずに背ばかり高くなっていました。カナリア諸島原産。


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トックリラン Beaucarnea recurvata
大きなトックリランは温室に付き物ですが、基本的にサボテンと同じゾーンにありますから、あまり目立ちません。メキシコ原産。

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幹の太り具合はまあまあ。

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フイリウスバリュウゼツラン Agave angustifolia var. marginata
そういえば、
A. angustifolia var. marginata GentryとA. angustifolia var. marginata Trelがありますがどちらを示しているのでしょうか? アガヴェは詳しくないのでよくわかりません。Gentryの方はnot validly publ.とあり、正式に記載されていませんから、Trelの方ですかね。まあ、どちらもA. angustifolia var. angustifoliaの異名扱いとなっています。
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立派な幹があります。

乾燥地の植物のゾーンはここまでです。これより先は熱帯植物のゾーンがまだまだ続きます。


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ちらほらとサボテンの展示会が開催されており、週末に行く予定でしたが、仕事が忙しく疲労で外出する気になりませんでした。残念ですが仕方がありません。無理してまで行くものではありませんからね。さて、本日も我が家の多肉植物たちを少しだけご紹介しましょう。

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Euphorbia gottlebei
ゴトレベイが開花しました。意外にも花キリンは地味な色合いの花が多いため、ゴトレベイの花は覚めるような美しさがあります。


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Euphorbia hofstaetteri
ホフスタエテリも開花しています。まだ苞が開き始めといったところで、紅色の模様はこれからもっとはっきりするはずです。


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Euphorbia decaryi
いわゆる、Euphorbia francoisiiです。E. decaryiと言われてきた花キリンが実はE. boiteauiであり、E. decaryiはE. francoisiiと言われている花キリンのことだったということです。ただし、フランコイシイ系は交配が盛んに行われてきた経緯から、以下のクラシカウリスも含め原種ではないかも知れません。

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どうにもまっすぐ育ちませんでした。塊根も滅茶苦茶な形です。そういえば、不思議と枝分かれしません。

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Euphorbia crassicaulis
一般的にはE. francoisii var. crassicaulisと呼ばれている花キリンですが、現在は独立種とされています。

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塊根の太り具合は良好です。枝分かれが激しいですね。

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Euphorbia crassicaulis f. rubrifolia
一般的にはE. francoisii var. crassicaulis f. rubrifoliaという怪し気な名前で取引される花キリンです。要するにクラシカウリスの葉がより赤いタイプというだけの話です。
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塊根の太り具合はイマイチですね。どちらかと言えば、クラシカウリスというよりデカリイ(旧フランコイシイ)なのかもしれません。


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9月に行った新宿御苑の温室の続きです。まだ多肉植物ゾーンにいます。気になる植物が多く、なかなか進みません。

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青々錦 Aloe tenuior
青々錦が雑草のように蔓延っていました。ちなみに、青々錦はアロエ属から独立し、現在ではAloiampelos tenuiorになっています。アロイアンペロスは非常に丈夫で藪状になるアロエ類です。南アフリカ原産。


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Aloe davyana
ネームプレートには「ホシフリュウゼツ」とありましたが、どうやら「星斑竜舌」と書くようです。アロエっぽくない名前ですが、もしかしたら命名が古いのかも知れませんね。南アフリカ原産。


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Macrozamia pauli-guilielmi
日本ではマクロザミアは滅多に見かけないため、非常にレア感があります。オーストラリア原産の小型ソテツ。

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葉は非常に繊細で実に優美。

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不動剣 Agave horrida
なんだか間延びしたような形ですが、選抜品でなければこんなものなのでしょうか。メキシコ原産。


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Cycas sp.
キカスの不明種。大型で見上げる高さで、実に立派。

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幹も太く貫禄があります。

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Bursera fagaroides
コーデックスとして栽培されるブルセラ・ファガロイデスですが、地植えにするとただの灌木ですね。鉢植えのものは盆栽的な楽しみ方なのでしょう。米国からメキシコの原産。


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ススキノキ Xanthorrhoea preissii
あまり目立たないため注目されませんが、ススキノキは乾燥地を模した温室ではよく見かける植物です。神代植物公園や筑波実験植物園でも植栽されてましたね。オーストラリア原産の1属1種の珍種です。

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幹の葉をカットした跡が面白いですね。

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ハナキリン Euphorbia milii var. sprendens
ハナキリンの大株がありました。これは変種スプレンデンスですが、ミリイ系はすべてハナキリンの和名でいいのか気になります。

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ちらほら花が咲いていました。

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ヒメオニソテツ Encephalartos horrida
人気のエンケファラルトスですが、サイズはまだまだですね。筑波実験植物園の個体よりは大きそうですが、神代植物公園の個体は実に巨大で別種のようでした。


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シャムソテツ Cycas siamensis
シャムソテツは樹形が非常に整い美しいソテツです。実に見栄えしますね。今まで見た中では筑波実験植物園のシャムソテツが最優美でしたね。



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烏羽玉の仲間、つまりはペヨーテは幻覚作用を持つアルカロイドを含み、アメリカでは先住民が宗教的な意味合いで古くから利用してきました。南米ではTrichocereusの仲間をSan Pedroと呼び、やはりその幻覚作用を利用してきました。しかし、San Pedroはペヨーテほど一般的ではないせいか、あまり良い論文を見つけ出せずにいましたが、ようやく見つけ出せたので記事にします。
本日ご紹介するのは、Marlene Dobkinの1968年の論文、『Trichocereus pachanoi -A Mescaline Cactus Used in Folk Healing in Peru』です。ペルーの民間療法を調査した民族学的な研究です。言い訳になりますが、論文の出版が1968年と非常に古く、文字が掠れてよく読めない部分が多々ありましたので、内容的に不正確な訳があるやもしれないということはご了承いただきたいところです。

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San Pedro (Trichocereus pachanoi) at Cataluco, near Huancabamba.
「Botanical Museum leaflets, Harvard University v.29」(1983年)


魔術的治療の調査
著者は1967年の夏に、リマの北約500マイルにある沿岸のメスティソの村で調査を行いました。Lambayeque県にある小さな農業コミュニティでは、100人以上の男性と3人の女性が、Trichocereus pachanoiの使用により病気の診断と治療に取り組んでいます。著者は病気に対する信念体系と、薬物と魔術について調査しました。

魔術的な治療
ペルーの沿岸農民は病気について、その経験則的な病因は認識しているものの、病気の根本原因を超自然的なものとしています。なので、経験的な治療は評価されていますが、魔術や祈祷が優先しあくまでも補助的なものです。病気の原因は聖地や墓、遺跡から発せられる蒸気や空気によると信じられます。
医療施設やバランスの取れた食事がなく、衛生設備も劣悪なため、病気からくる不安を抱えた住民は民間療法士(folk healer)であるmesaに相談します。夜通しの治療の儀式で、療法士と患者はSan Pedroで作った薬を飲みます。薬の作用がある間に療法士は病気の原因を占い、病人に投与する薬草を処方します。患者は村内だけではなく、友人や親戚から紹介され、遠く離れた地域からも訪れます。

処方
すべての療法士は治療の儀式でTrichocereus pachanoiを利用しますが、添加物や儀式にはバリエーションがあります。療法士の中には、下剤作用と不眠効果を高めるCondorillo(Lycopodium sp.、ヒカゲノカズラ類)、Misha(Datura arborea、キダチチョウセンアサガオ)、Hornamo(未確認)を加える場合もあります。ある療法士によると、Mishaは特に衰弱している患者に大量に与えると死に至る可能性があるということです。San Pedroとその添加物は吐気および激しい嘔吐を引き起こしますが、これは病人から不純物を取り除き浄化させるために重要であると考えられています。療法士は患者の体の大きさや病気の性質、罹患期間の長さに基づいて投薬量を決定します。一般的にサボテンは細かく切り刻まれ、水に入れてエッセンスだけが残るまで数時間煮られます。治癒の力は療法士が使用する物質に宿ると信じられています。

儀式
以下は著者がVallesecoで観察したある治療儀式の様子です。
バスで4時間ほど離れた町から3人の患者がやって来ました。儀式は夜間に行われ、人工的な照明は一切使われませんでした。
助手を務める治療師の弟子は、タバコと水の混合物を嗅ぎタバコとして吸い込みました。治療師はスペイン語で主の祈りに始まる、かなりメロディアスで心地良いな歌を歌い始めました。その後は、ラテン語とケチュア語の混じる自然な詩が続きました。歌にはガラガラの役目を果たすヒョウタンによるリズミカルな伴奏がありました。約1時間の歌唱の後に、San Pedroのエッセンスがカップに注がれ、その効果を高めるためにカップは石や剣、磨かれた棒により軽く叩かれました。
時折、患者と治療師、助手は外に出て催吐作用のある薬を吐き出しました。聖母マリアと神に祈りを捧げながら、さらに歌は続きました。時折、歌は治療師が病人に与えるであろう助けを朗読しました。患者は順番に立ち上がり、助手は装飾のある剣を患者の足の間に置き、患者に柄をつかませました。助手は嗅ぎタバコとして鼻にタバコをくわえ、剣を患者の体のあちこちに、十字を描くように擦り付けられました。
治療師は患者の症状とその問題について話し合い、完了すると歌を再開しました。やがて、助手が立ち上がり、空中に水を撒き、剣で空気を切り、「悪霊」(evil spirits)を追い払いました。別のタイミングで治療師は磨かれた石のいくつかを擦り合わせ、夜の暗闇の中に火花を飛ばしました。夜が明け、最後に一連の歌が歌われ儀式は終了しました。


その解釈
治療師たちはサボテンの効果が続くと、患者を苦しめている病気の性質についての洞察が得られると主張しています。石(herbal stone)を打つことで刺激されるビジョンは治療師たちの誇りであり、処方のための情報源です。治療師たちは病気を取り除く象徴として、病人にかける何らかの物体、あるいは小さなモルモット(cuye)を使用します。
治療師たちが用いる儀式の多くはローマ・カトリックの信仰と融合しており、実際の儀式にもカトリックの典礼がそのまま取り込まれています。カトリック教徒が多数を占めるこの土地では、馴染みのあるラテン語の祈りも唱えられます。祈りは様々なカトリックの聖人に向けられ、病人のためにとりなしてくれるように懇願されます。


最後に
以上が論文の簡単な要約です。
普段あまり読まない内容ですから、割りと新鮮な気分で読めました。しかし、San Pedroは激しい嘔吐を伴うため、その使用は極めて宗教的な目的に限定せざる得ないようにも思われます。ペヨーテはドラッグとして法的に規制されている国もありますが、San Pedroはどうでしょうか? 抽出成分ならいざ知らず、サボテンを食べたり煮出した汁を飲んだけでは、ただただ苦しいだけでしょう。やはり、その豪華で美しい花を楽しむのが一番ですよね。


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9月に行ってきた新宿御苑の温室の続きです。ここからは乾燥地のゾーンで、いよいよ多肉植物が登場します。

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ドラゴンフルーツ Hylocereus undatus
何やら断崖から垂れ下がるサボテンがあるなあと思ったらドラゴンフルーツでした。面白い展示方法です。ちなみに、2017年にSelenicereusとなりました。中米原産ですが、世界中で食用の果実を目的に栽培されています。

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気根が岩にしっかりと着生しています。

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玉つづり Sedum morganianum
これは上手い生態展示ですね。メキシコ原産。


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Haworthia herrei
代表的な青白い硬葉系ハウォルチアのヘレイですが、現在はHaworthiopsis glauca var. herreiとなっています。様々なタイプがあり、割と外見は異なります。


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アヤミノ × Gastrolea beguinii
タイミングよく開花中でした。
Aloe aristata × Gasteria carinataらしいのですが、アロエとガステリア交配なら× Gasteraloeなのではと思いました。調べてみたところ、× Gasteroleaは有効に出版されていないとあり、やはり× Gasteraloeが正しいようです。ただし、交配親であるAloe aristataがアロエ属から独立しAristaloe aristataとなったため、2019年に× Aristeria属とされています。ということで、現在の名前は「× Aristeria beguinii」です。


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吉祥天 Agave parryi var. huachucensis
一般的にはパリイ系全体を吉祥天と呼びがちで、変種パリイも変種トルンカタも吉祥天と呼ばれたりしますが、何が正しいのかはよくわかりません。


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虎の巻 Gasteria gracilis
KwaZulu-Natal原産と言われているグラキリスですが、現在では由来のわからない種とされています。詳細は不明ですが、タイプ標本がないだとか、記載時の種と現在のグラキリスと呼ばれているものが同一種かわからないだとかが考えられますが、要するに謎の植物ということです。


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朧月 Graptopetalum paraguayense
グラプトペタルムは確かに茎が長く伸びますが、こういう展示は初めて見ました。本来は岩の割れ目に生えるそうですから、これが正しい姿なのかも知れません。


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十二の巻 Haworthia fasciata
残念なことに園芸品種である十二の巻にファスキアタの名札がついていました。これは筑波実験植物園でもそうでしたね。十二の巻はおそらくはH. attenuata系と思しき交配種ですから、ファスキアタではありません。ハウォルチアの栽培品は園芸品種や優良選抜品の掛け合わせが多いので、野生個体とはまったく異なる姿だったりします。植物園の役割からして、園芸種以外ならばフィールドナンバーつきの野生由来の個体を展示すべきではないかと思いますが如何でしょうか。


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王犀角 Stapelia gigantea
ヒトデのような形の異様な雰囲気の花を咲かせる王犀角ですが、残念ながらまだ蕾でした。

乾燥地のゾーンはまだまだ始まったばかりです。続きます。


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多肉植物たちも秋の生長期に入り、見ていて楽しい季節です。そんな我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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Euphorbia hedyotoides
ヘディオトイデスの勢いが止まりません。分岐しまくっています。

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実は相変わらず地味な花も咲いていたりします。

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Euphorbia silenifolia
シレニフォリアに新しい葉が沢山出てきました。

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塊茎はなかなか大きくなりません。

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Adenia olaboensis
オラボエンシスは相変わらずといった感じがありますが、幹は太く成りつつあるようです。

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幹が割れてきました。太くなっている証拠ですね。

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Fouquieria splendens
スプレンデンスは何故か夏の間は葉を落としてしまい、完全に休眠状態でした。他のFouquieriaは元気なのに不思議です。しかし、ようやく葉がお目見えです。枯れなくて一安心しました。


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Euphorbia spannringii
スパンリンギイは最近植え替えましたが、新しい葉がもりもり出ています。将来が楽しみな塊根性ユーフォルビアです。



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9月に行った新宿御苑の温室の記事の続きです。不定期に記事にしていますが、今回は林床っぽいフロアの続きから、空中遊歩道へ行き高い位置から見た温室の状況です。

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クスダマジンジャー(マツカサジンジャー)
Tapeinochilos ananassae
名前の通り面白い花を咲かせる植物ですが、ジンジャーとありますがショウガ科ではなくホオザキアヤメ科です。まあ、ショウガ科に近縁ではあるようですが。オーストラリア北東部、ニューギニアの原産。

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何とも言えない形状ですが、実に目立ちます。

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シナニッケイ Cinnamomum cassia
いわゆるシナモンですが、シナモンとして利用される5種のうちもっとも一般的とのことです。そういえば、板橋区立熱帯植物館で大きなセイロンニッケイは見たことがあります。
しかし、このCinnamomum cassiaという名前には問題があり、インド原産のNeolitsea cassiaの異名でもありnom. illeg.です。現在、シナニッケイはCinnamomum burmanni (ジャワニッケイ、インドネシアン・シナモン)と同一種とされています。中国南部から東南アジアの原産。

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ソーセージノキ Kigelia africana
ソーセージノキは熱帯アフリカに広く分布するノウゼンカズラ科植物です。長く垂れた花柄の先に、重さ5〜10kgにもなる巨大なソーセージ型の果実を沢山つけます。観葉樹としては非常に面白い植物ですが、残念ながら果実は見られませんでした。


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ヒカゲヘゴ Cyathea lepifera
背の高いヘゴも空中遊歩道から見ることが出来ます。

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下から見上げるのではなく、横から見るヘゴの葉は非常に装飾的で美しいものです。
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鱗片に覆われた新芽が見えます。

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ホウオウボク Delonix regia
マダガスカル原産のマメ科植物。熱帯地方で広く植栽されており、日本では沖縄で見ることが出来ます。その花の美しさで有名ですが、残念ながら今回は花は見られませんでした。


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ベニラタンヤシ Latania lontaroides
ベニラタンヤシが大きな美しい葉を広げています。レユニオン島原産。


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上から林床の熱帯植物を見ることが出来ます。サトイモ科やらパイナップル科やら。

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鬱蒼としています。

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崖から水が滴る小さな滝がありました。

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何やら細く垂れ下がる植物に花が咲いています。Russeliaでしょうか? 名札がないので分かりません。

さて、空中遊歩道を渡ったらいよいよ乾燥地の植物たちの登場です。続きます。


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今年の秋はサボテンや多肉植物の展示会がいくつか催されるようです。私も時間が合えば行ってみるつもりです。さて、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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閃光閣 Euphorbia knobelii
クノべリイは冬の間に植物用ランプで焼けてしまい、模様があやふやかつ全体的に黄色くなり、生長が止まってしまいました。しかし、徐々に色味が戻り最近ようやく生長を再開しました。


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龍尾閣 Euphorbia griseola
グリセオラが非常に元気で、グングン伸びています。グリセオラは何故かE. richardsiaeの名前で販売されているようです。


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亀甲竜 Dioscorea elephantipes
亀甲竜もだいぶ蔓が伸びてきましたね。しかし、火星人(Fockea edulis)の蔓と絡んでしまい、外すのに難儀しました。メタルラックに絡ませた方が管理が楽なので、室内に移動させます。

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丸みがあって可愛らしい亀甲竜です。

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Pachypodium enigmaticum
どういう訳か、エニグマティクムの葉が落葉しています。幹は健全ですが地下が心配です。グラついてはいないようですが…


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Euphorbia venefica
猛毒3兄弟のヴェネフィカが元気です。黄色いのは去年の葉ですが、新しい葉はより立派ですね。


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Euphorbia geroldii
トゲなし花キリンのゲロルディイが開花しています。まあ、夏の間はずっと開花していたのですが、相変わらずの美しさです。



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花の受粉に関わる話は面白く、私も度々記事にしています。例えばサボテンで言えば、昆虫だけではなくハチドリやコウモリも花粉媒介者として受粉に寄与しています。花の受粉様式は恐ろしく多様で、花粉媒介者だけではなく、雌雄異株と雌雄同株、雌雄異熟、雌雄離熟など、様々な用語が飛び交います。しかし、受粉した後の話、つまり結実して種子が散布される植物の繁殖ではとても重要な部分は、何故か受粉と比較すると論文も少なく感じます。この部分は重要かつ面白いため、以前から気になっていました。ところが驚くべきことに、動物による種子散布に関する本が出版されたのです。それは、総勢18人の研究者による2024年9月の新刊、『タネまく動物』(文一総合出版)です。様々な動物の様々な種類の植物の種子散布について語られます。その中の一部のトピックを少しご紹介しましょう。

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植物の種子散布は、ホウセンカやユーフォルビアのように種子をはね飛ばしたり、タンポポの綿毛がついた種子が風で運ばれたりと、必ずしも動物が種子散布に関与するわけではありません。しかし、全体的に見れば、植物の種子散布は動物に依存していると言っていいはずです。もっとも一般的な動物による種子散布は被食散布でしょう。果実を食べた動物が糞として種子を動き回りながら散布するのです。この図式は割りと一般的にも知られていますが、一部の昆虫も被食散布を行っていることは私も初めて知りました。しかも、まだまだ未開拓な分野のようです。研究されていないだけで、あるいは昆虫による種子散布は特殊な事例ではなく、一般化するかもしれません。また、果実を食べた動物を肉食動物が食べて、肉食動物の糞から2次的に種子が散布されるという話には驚きました。確かに言われて見れば、そのようなことは日常的に起こっているのでしょう。

種子散布の様式は実に多様です。私は果実ではなく種子そのものを食べる動物のことをすっかり失念していました。ですから、大型動物の糞に含まれる大量の種子を、ネズミが持ち去るという話には驚かされました。もちろん、種子を食べられてしまいますから、持ち去られた種子は発芽しません。場合によっては冬のために種子を隠して忘れてしまうこともあるかもしれません。しかし、確実なのは糞虫が糞の下に穴を掘って、種子ごと糞を埋めてしまうことです。このように、動物に食べられて糞として散布されて終わりではないのです。まったく、生態系の複雑さには驚かされます。

被食散布の次によく知られているのは付着散布でしょう。オナモミやセンダングサなど鉤爪などで動物の体毛に付着して運ばれるものや、粘着質なものもあるようです。しかし、付着散布はそれだけではなく、海洋鳥には付着種子ではない雑草の種子も付着しており、島を越えて種子が散布されています。さらに、驚いたのはカナリア諸島の猛禽類の話で、捕獲した獲物を調べると様々な種子が見つかったということです。カナリア諸島には複数の島に分布するEuphorbia canariensisと1つの島にしか分布しないEuphorbia handiensisという2種類のサボテン様ユーフォルビアが生えています。E. canariensisの種子は付着種子ではないのに複数の島に分布し、E. handiensisは1つの島にしか分布しない謎は、もしかしたらこのあたりに解決の鍵があるのかも知れませんね。

さて、本書は動物による種子散布に特化した稀有な読み物と言えます。研究者の手による本にも関わらず、初学者にも分かりやすく誰でも読める難易度となっています。しかし、それでも研究された内容は鋭く、まったく知らなかった話も多く大変勉強になりました。このようなニッチな分野を扱った本はあまりないため、このような本が出版されたことを嬉しく思います。普通に読み物としても面白い本ですから、ぜひ多くの方に手にとっていただきたいと思います。おすすめします。


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